汚染物質除去方法、汚染物質除去機構および真空薄膜形成加工装置
【課題】被処理基板の裏面端部や側面に付着した膜(汚染物質)を除去することを可能にする汚染物質除去方法等を提供する。
【解決手段】本発明の汚染物質除去方法は、表面に薄膜が形成された被処理基板7の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む。
【解決手段】本発明の汚染物質除去方法は、表面に薄膜が形成された被処理基板7の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中においてシリコンなどの半導体や金属、ガラス、セラミックス、プラスチック等の基板上に薄膜を形成する際に基板の側面や裏面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去方法および汚染物質除去機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスや電子デバイスは、微細化の進展によって真空中にて行われる薄膜プロセスを経て製造される。薄膜プロセスでは、シリコンなどの半導体や金属、ガラス、セラミックス、プラスチック等の基板上に薄膜を形成加工することによって、複数のデバイスが構成される。チップの収率(1枚の基板から得られるチップの数)を向上させるために基板の大型化が進んでおり、用いられるシリコンウエハは直径200mmのものから300mmのものへと移行しつつある。また、チップの収率を向上させるためには、基板の大型化を進めること以外にも、基板表面のなるべく全面を使うことが効果的である。
【0003】
しかしながら、図12に示すように、基板101表面の全面に薄膜を形成しようとすると、基板101の側面や裏面にも膜102が付着しまう。基板101の側面や裏面に付着した膜102が、その次の工程において剥がれて基板101の表面に付着混入してしまうと、デバイスの特性を著しく悪化させてしまう。その結果、チップの歩留まりを低下させてしまう。このような理由により、基板表面の全面に渡って薄膜を形成加工するのは困難であった。
【0004】
このような問題を解消するために、従来から、薄膜形成工程中に基板101の側面や裏面に膜102が付着しないような工夫がなされている。図13に示す例では、マスク部材103が基板101の表面の周囲縁に当接されている。また、図14に示す例では、マスク部材103が基板101の表面の周囲縁の真上を覆うように配置されている。
【0005】
また、特許文献1には、高密度プラズマ源を使用して炭素系層間膜を成膜する成膜処理装置が開示されている。この成膜処理装置は、少なくとも基板の縁の部分で、かつ基板が基板ホルダーに接しないために冷却が行われない部分には炭素膜が成膜されないように、成膜範囲を限定して成膜処理操作が行われる。具体的には、この成膜処理装置は、ホルダー部に搭載された被処理基板の表面周縁部に炭素膜が成膜されないようにするために、リング状部材が設けられている。
【特許文献1】特開平11−176820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、薄膜形成工程中に基板の側面や裏面に膜が付着することを防止するために、図13や図14に示したマスク部材を用いた場合には、図15(a)に示すように基板101表面の縁部A付近に薄膜を形成することができない。つまり、基板表面の縁部を含む全面にわたって薄膜を形成することができない。そのため、図15(b)に示すように、基板101上に構成されるチップのうち、形成領域が基板101の縁部A付近に及ぶチップは不良品となり、チップの収率を最大限にすることができない。
【0007】
なお、基板に付着した微細なパーティクル(ごみ)を洗浄液によって除去する技術が知られており、この技術によって、基板の側面や裏面に付着した膜を除去することも可能である。しかしながら、数多くある成膜工程の毎処理後に洗浄工程を行うのは時間と手間がかかり、さらに処理コストも膨大となってしまうため、この方策は好ましい解決策ではない。
【0008】
そこで本発明は、被処理基板の裏面端部や側面に付着した膜(汚染物質)を除去することを可能にする汚染物質除去方法、汚染物質除去機構および真空薄膜形成加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の汚染物質除去方法は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む。
【0010】
また、本発明の汚染物質除去機構は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去手段を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被処理基板の裏面端部や側面に付着した膜(汚染物質)を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る汚染物質除去機構は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した薄膜(汚染物質)を除去する汚染物質除去手段としてイオンガン(ビーム照射手段)を有している。イオンガンは、内部を真空排気するための真空ポンプを備えた真空チャンバ内に設置される。真空チャンバ内には、薄膜が形成された被処理基板の薄膜形成加工面が上向きになるように被処理基板を支持固定する基板支持台も設置される。被処理基板は、静電吸着によって基板支持台に固定される。基板支持台は、回転導入機構によって、被処理基板を支持した状態で回転できるようになっている。なお、基板支持台の大きさは、被処理基板の裏面縁部が露出されるように被処理基板よりも小さい。
【0013】
イオンガンは、基板支持台に設置された被処理基板の下方に、イオンビームが被処理基板の裏面縁部及び側面に照射されるように配置する。真空チャンバ内の真空度は圧力が0.1Pa以下であることが好ましい。本発明に適用可能な汚染物質除去手段としては、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム(原子が複数集まった粒子状のもの)、レーザービームなどによる指向性のあるビームを照射するビーム照射手段が挙げられる。特に、イオンビームは、良好な指向性を有し、基板裏面の縁部付近及び側面のみを狙ってビームを照射することができるため、ビーム照射手段として好適である。
【0014】
イオンビームのイオン種として、He,N,O,Ne,Ar,Kr,Xeのうち少なくとも1種類の元素からなるイオンを使用することが好ましい。He,Ne,Ar,Kr,Xeは不活性ガスであり、被処理基板に形成された薄膜と反応することがないので好適である。つまり、イオンビームによって、被処理基板に形成された薄膜の特性が劣化すること抑えることができる。なお、Oは被処理基板に形成された薄膜と反応してしまうため、用いるイオン種としては本来は不適切であるが、付着している汚染物質が有機物であればOはそれら有機物と反応してクリーニングする効果がある。また、被処理基板に形成された薄膜が酸化物であれば、酸素イオンビームが悪影響を及ぼすこともない。同じような観点から、Nも、被処理基板に形成された薄膜が窒化物であれば窒素イオンが窒化膜の特性を劣化させることはない。またOやNは安価であるため実用的である。
【0015】
また、照射ビームのビーム径は、ビームが基板支持台や真空チャンバ内部の壁などに当たって基板の裏側面や表面を汚染しないようにするために小さい方が良く、具体的には5mm以下であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る真空薄膜形成加工装置は、上記の汚染物質除去機構を備えた真空チャンバ(汚染物質除去室)を少なくとも1室有している。真空薄膜形成加工装置は、真空処理室として、物理的気相蒸着室(PVD)室、化学的気相蒸着室(CVD)室、物理的エッチング室、化学的エッチング室、基板加熱室、基板冷却室、酸化処理室、還元処理室、アッシング室のうちの少なくとも1室をさらに有する。汚染物質除去室と少なくとも1つの真空処理室とは真空搬送室を介して連結されており、被処理基板は、汚染物質除去室と真空処理室との間を真空中にて大気に曝されることなく搬送される。
【0017】
本実施形態の真空薄膜形成加工装置によれば、薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した膜(汚染物質)を、汚染物質除去室内に設置された汚染物質除去機構によって除去することができる。被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した膜(汚染物質)の除去工程は、全ての薄膜を形成した後に行ってもよいし、各成膜工程を終える毎に行ってもよい。
【0018】
物理的気相蒸着室(PVD)室での薄膜形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法、レーザーアブレーション法、イオンビームスパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いることができる。さらには、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、MBE(モレキュラービームエピタキシ)法等を用いることができる。
【0019】
化学的気相蒸着室(CVD)室の薄膜形成方法としては、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法、Cat(触媒)CVD法、MO(有機金属)CVD法、ALD(アトミックレイヤーデポジション)法などを用いることができる。
【0020】
物理的エッチング室でのエッチング方法としては、イオンビームエッチング(イオンミリング)法、逆スパッタエッチング法などを用いることができる。
【0021】
化学的エッチング室でのエッチング方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)法などを用いることができる。
【0022】
酸化処理室の酸化処理方法としては、ラジカル酸化、プラズマ酸化、自然酸化、イオンビーム酸化などを用いることができる。
【0023】
アッシング室では、エッチング加工時にマスクとして使用していたフォトレジストを酸素プラズマ雰囲気等に曝露することによって灰化して除去する。
【0024】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0025】
(実施例1)
図1は、本発明を適用可能な汚染物質除去機構と汚染物質除去室を示す概略構成図である。
【0026】
汚染物質除去室を構成する真空チャンバ1内には、汚染物質除去機構を構成するイオンガン2と、基板回転機構3を備えた静電吸着方式の基板支持台4とが設置されている。真空チャンバ1には、ゲートバルブ5を介して真空ポンプ6が接続されている。被処理基板7は、真空ポンプ6の反対側に設置されたゲートバルブ8を通して真空チャンバ1内に搬入される。真空チャンバ1内は、真空ポンプ6によって、所望の真空度になるように設定されている。本実施例における真空チャンバ1内の真空度は1×10-5Paである。
【0027】
基板支持台4の大きさは被処理基板7よりも小さくなっており、基板支持台4は被処理基板7の中央部を支持している。そのため、基板支持台4に支持された被処理基板7の側面および裏面縁部は、基板支持台4に覆われずに露出した状態になっている。
【0028】
本実施例では、被処理基板7として直径300mmのシリコンウエハを用いている。被処理基板7には、薄膜形成工程を経て、表面のみならず、側面および裏面の端部から2mmの範囲の全周に渡って膜が付着している(図12に示した状態)。これは、前工程の成膜工程で300mmのウエハサイズより小さい直径296mmの基板支持台が用いられていたために、被処理基板7の側面や裏面に膜が回りこんで付着したためである。このように膜が付着した被処理基板7を直径100mmの静電吸着式の基板支持台4に載せ、静電吸着によってその上に固定させた上で、基板回転機構3によって30rpmの回転速度で被処理基板7を回転させる。そして、回転する被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンガン2によってイオンビームを照射する。本実施例では、イオンビームにはビーム径が5mmのものを使用した。
【0029】
次に、図2を参照して、被処理基板とイオンガンとの位置関係を説明する。
【0030】
図2に示すように、被処理基板7の中心の裏面側を回転の原点O、被処理基板7の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとする。点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで被処理基板7の外側に延び、かつ被処理基板7の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで被処理基板7の下側に延びる線分上の任意の点をRとする。円筒形をしたイオンガン2は、その中心軸が線分PRと重なるように配置されている。そして、イオンガン2を、0°<α<90°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置することで、被処理基板7の裏面縁部と側面に対して同時にイオンビームを照射することができる。しかしながら、被処理基板7の表面に形成されている薄膜にイオンビームが照射されることは好ましくないため、角度αは45°以下にすることが好ましい。
【0031】
イオンガン2は、イオンビーム照射口2aと被処理基板7の裏面との距離Lが10mm以上500mm以下の範囲となる位置に配置される。本実施例では、角度α,βをともに30°とし、距離Lを50mmとした。
【0032】
図3に、イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す。図3に示すように、本実施例によれば、被処理基板7の裏面の縁部から2mmの範囲および側面に付着した汚染物質を、被処理基板7の全周にわたって除去することができた。
【0033】
本実施例では、被処理基板7を支持固定した基板支持台4を基板回転機構3によって回転させ、回転する被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンガン2によってイオンビームを照射する構成を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明に適用できるのはこの構成に限られない。この構成に代えて、イオンガン2を、被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンビームを照射させながら、基板支持台4に支持固定された被処理基板7の周囲縁に沿って移動させる構成としてもよい。さらには、被処理基板7を支持固定した基板支持台4を基板回転機構3によって回転させる構成と、イオンガン2を被処理基板7の周囲縁に沿って移動させる構成とを組み合わせてもよい。
【0034】
(実施例2)
図2に示した被処理基板とイオンガンとの位置関係によれば、上述したように、被処理基板7の裏面縁部及び側面に付着した膜を除去することが可能である。しかしながら、イオンビームによって除去された膜(汚染物質)が被処理基板7の表面上に付着してしまうおそれがある。
【0035】
これに対し本実施例では、まず、図4(a)に示すように角度αが−90°<α<0°となるように配置したイオンガン2によって、被処理基板7の裏面縁部の汚染物質のみを先に除去する。このような角度αに配置したイオンガン2によって被処理基板7の裏面縁部にイオンビームを照射することにより、被処理基板7から除去された汚染物質は基板の外側に向かって飛び出す。そのため、汚染物質が被処理基板7上に再付着することを抑えることができる。
【0036】
次に、図5(a)に示すように角度αが0°<α<90°となるように配置したイオンガン2によって、被処理基板7の側面の汚染物質を除去する。このような角度αに配置したイオンガン2によって被処理基板7の側面にイオンビームを照射することにより、被処理基板7の側面から除去された汚染物質が被処理基板7の裏面に再付着することを抑えることができる。
【0037】
このような2つのステップで被処理基板7の裏面縁部と側面の汚染物質を個別に除去するために、イオンガン2の配置角度を変更するための機構を真空チャンバ1(図1参照)内に設けてもよい。
【0038】
あるいは、図6に示すように、被処理基板7に対するイオンビームの入射角度が異なる2つのイオンガン21,22を配置した構成としてもよい。図6に示す構成において、被処理基板7の裏面縁部の汚染物質を除去するイオンガン21は配置角度α,βがそれぞれ−60°,30°であり、被処理基板7の側面の汚染物質を除去するイオンガン22は配置角度α,βがそれぞれ30°,60°である。なお、汚染物質を飛ばす方向である、これらのイオンガン21,22の延長上には、ゲートバルブや真空ポンプなどの排気系が配置されていることが好ましい。これにより、被処理基板7から除去された汚染物質が被処理基板7に再付着する前に、真空チャンバ内に浮遊する汚染物質を真空チャンバの外に速やかに排出することが可能となる。
【0039】
なお、処理室の真空チャンバ1内には、他の成膜室などと同様に防着板(不図示)が配置されている。この防着板は、汚染物質を吸着する役目を持ち、定期的に交換されている。イオンガン21,22は、この防着板に向けて汚染物質を飛ばすように配置されていてもよい。
【0040】
(実施例3)
図7は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例であるフラッシュメモリ用絶縁膜形成装置の概略構成を示す図である。
【0041】
図7に示す絶縁膜形成装置は、真空搬送ロボット12を内部に備えた真空搬送室10を備えている。真空搬送室10には、ロードロック室11、基板加熱室13、第1のPVD(スパッタリング)室14、第2のPVD(スパッタリング)室15、汚染物質除去室16、基板冷却室17がそれぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0042】
次に、図7に示した絶縁膜形成装置の動作について説明する。
【0043】
まず、被処理基板を真空搬送室10に搬出入するためのロードロック室11に被処理基板(シリコンウエハ)をセットし、圧力が1×10-4Pa以下に達するまで真空排気する。その後、真空搬送ロボット12を用いて、真空度が1×10-6Pa以下に維持された真空搬送室10内に被処理基板を搬入し、所望の真空処理室に搬送する。
【0044】
本実施例においては、初めに基板加熱室13に被処理基板を搬送して400℃まで加熱し、次に第1のPVD(スパッタリング)室14に搬送して被処理基板上にAl2O3薄膜を15nmの厚さに成膜する。次いで、第2のPVD(スパッタリング)室15に被処理基板を搬送して、その上にTiN膜を20nmの厚さに成膜する。その後、被処理基板を汚染物質除去室16内に搬送し、被処理基板の裏面縁部と側面に付着したAl2O3膜およびTiN膜を除去する。最後に、被処理基板を基板冷却室17内に搬送して、室温になるまで被処理基板を冷却する。全ての処理が終了した後、ロードロック室11に被処理基板を戻し、大気圧になるまで乾燥窒素ガスを導入した後に、ロードロック室11から被処理基板を取り出す。
【0045】
本実施例の絶縁膜形成装置では、汚染物質除去室16以外の真空処理室の真空度は1×10-6Pa以下とした。汚染物質除去室16の真空度は1×10-5Pa以下であるが、イオンビーム照射時にはArガスが流入されるため、真空度は0.04〜0.1Paとなる。
【0046】
本実施例では、Al2O3膜とTiN膜の成膜にマグネトロンスパッタリング法を用いている。これらの膜の成膜には、これに代えて、レーザーアブレーション法やイオンプレーティング法、蒸着法、MBE法、ALD法、CVD法などを用いてもよい。また、本実施例では被処理基板上に複数の成膜処理を施した後に、汚染物質除去室16にて被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質を除去した例を示したが、汚染物質除去室16における汚染物質除去工程は各成膜処理後に行ってもよい。
【0047】
(実施例4)
図8は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)用磁気トンネル接合成膜装置の概略構成を示す図である。
【0048】
図8に示す磁気トンネル接合成膜装置は、2機の真空搬送ロボット22を備えた真空搬送室20を有している。真空搬送室20には、3つのPVD(スパッタリング)室24,25,27と、2つのロードロック室21と、酸化処理室26と、基板前処理室(逆スパッタエッチング室)23と、汚染物質除去室28とが、それぞれゲートバルブを介して連結されている。PVD(スパッタリング)室24,25,27の各々は、それぞれ5つのスパッタリングターゲットを有している。
【0049】
次に、図8に示した磁気トンネル接合成膜装置の動作について説明する。
【0050】
被処理基板は、ロードロック室21から真空搬送ロボット22によって真空搬送室20内に搬入される。その後、まず初めに、被処理基板は基板前処理室23内に搬送され、被処理基板の表面に付着した不純物を逆スパッタエッチングによって物理的に除去する。次に、被処理基板は第1のPVD(スパッタリング)室24内に搬送され、被処理基板上にTaN(10nm)/Ta(10nm)/NiFe(2nm)/PtMn(15nm)から成る多層膜を成膜する。
【0051】
次いで、被処理基板は第2のPVD(スパッタリング)室25内に搬送され、被処理基板上にCoFe(2nm)/Ru(0.9nm)/CoFeB(2.5nm)/Mg(1nm)から成る多層薄膜を成膜する。次に、被処理基板を酸化処理室26内に搬送して、Mg(1nm)層をラジカル酸化処理してMgO絶縁膜を形成する。その後、被処理基板を第3のPVD(スパッタリング)室27内に搬送し、被処理基板上にCoFeB(1nm)/NiFe(2nm)/Ta(1nm)/Ru(5nm)/TaN(50nm)から成る多層膜を成膜する。このようにして、被処理基板表面の全面に図9(a)に示す磁気トンネル接合を形成した。
【0052】
最後に、被処理基板を汚染物質除去室28内に搬送し、被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した、多層膜を構成する不純物元素を除去し、被処理基板をロードロック室21に戻す。これにより、被処理基板の裏面縁部及び側面には汚染物質の付着していない被処理基板を得ることができた(図9(b)参照)。
【0053】
本実施例においては、複数の成膜処理後に汚染物質除去室28にて被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する例を示したが、汚染物質除去室28における汚染物質除去工程は各成膜処理後に行ってもよい。
【0054】
(実施例5)
図10は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、実施例4で作製した磁気トンネル接合上にパターニングされたフォトレジストが形成された被処理基板を加工する装置を示す概略構成図である。
【0055】
図10に示す装置は、真空搬送ロボット32を備えた真空搬送室30を有している。真空搬送室30には、2つの化学的エッチング室(RIE)室33,35と、物理的エッチングを行うアッシング室34と、化学的気相蒸着室(プラズマCVD)室36と、汚染物質除去室37とが、それぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0056】
フォトレジスト付き磁気トンネル接合が形成された被処理基板は、初めに、ロードロック室31から真空搬送室30を経て第1の化学的エッチング室(RIE)室33内に搬送される。第1の化学的エッチング室(RIE)室33では、被処理基板に塗布されたフォトレジストをマスクとして、フッ素系ガスを用いて、最上層のTaN層をRu層が露出するまでエッチングする。次に、被処理基板をアッシング室34内に搬送して、前工程でマスクとして使用していたフォトレジストを除去する。その後、被処理基板を第2の化学的エッチング室(RIE)室35内に搬送する。第2の化学的エッチング室(RIE)室35では、前工程でフォトレジストマスクの下に残されていたTaNをハードマスクとして、アルコール系ガスを用いて、被処理基板の表面に近いTa層が露出するまで、Ru層からNiFe層までの多層膜をエッチングする。その後、被処理基板を化学的気相蒸着(熱CVD)室36内に搬送してSiO2保護膜を形成する。ここまでの一連のプロセスによって、被処理基板の裏面縁部と側面には汚染物質が多く付着している。
【0057】
最後に、被処理基板を汚染物質除去室37内に搬送し、被処理基板の裏面縁部と側面にイオンビームを照射することによって、それらの汚染物質を除去する。
【0058】
(実施例6)
図11は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、相変化メモリ向け薄膜形成装置の概略構成図である。
【0059】
図11に示す薄膜形成装置は、真空搬送ロボット42を備えた真空搬送室40を有している。真空搬送室40には、ロードロック室41、基板加熱室43、基板前処理室44、第1のPVD(スパッタリング)室45、第2のPVD(スパッタリング)室46、汚染物質除去室47がそれぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0060】
次に、図11に示した薄膜形成装置の動作について説明する。
【0061】
被処理基板は、ロードロック室41から真空搬送室40内に搬入された後に、まず初めに基板加熱室43内に搬送され、200℃まで加熱される。次に、被処理基板は基板前処理室44内に搬送されて逆スパッタエッチングが行われ、被処理基板の表面に付着した不純物が除去される。その後、被処理基板は第1のPVD(スパッタリング)室45内に搬送され、GeSbTGe等のカルコゲナイト系相変化材料からなる薄膜が60nmの厚さに成膜される。次いで、被処理基板は第2のPVD(スパッタリング)室46内に搬送され、TiN膜が50nmの厚さに成膜される。その後、被処理基板は汚染物質除去室47内に搬送され、被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質であるGeSbTeおよびTiNが除去される。全ての処理が終了した後、被処理基板はロードロック室41に戻される。このようにして、被処理基板表面の全面に所望の薄膜を形成した後、被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用可能な汚染物質除去機構と汚染物質除去室を示す概略構成図である。
【図2】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図3】イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す図である。
【図4】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図5】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図6】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図7】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例であるフラッシュメモリ用絶縁膜形成装置の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)用磁気トンネル接合成膜装置の概略構成を示す図である。
【図9】イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す図である。
【図10】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、実施例4で作製した磁気トンネル接合上にパターニングされたフォトレジストが形成された被処理基板を加工する装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、相変化メモリ向け薄膜形成装置の概略構成図である。
【図12】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図13】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図14】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図15】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1 真空チャンバ
2,21,22 イオンガン
3 回転導入機構
4 基板支持台
7 被処理基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中においてシリコンなどの半導体や金属、ガラス、セラミックス、プラスチック等の基板上に薄膜を形成する際に基板の側面や裏面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去方法および汚染物質除去機構等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスや電子デバイスは、微細化の進展によって真空中にて行われる薄膜プロセスを経て製造される。薄膜プロセスでは、シリコンなどの半導体や金属、ガラス、セラミックス、プラスチック等の基板上に薄膜を形成加工することによって、複数のデバイスが構成される。チップの収率(1枚の基板から得られるチップの数)を向上させるために基板の大型化が進んでおり、用いられるシリコンウエハは直径200mmのものから300mmのものへと移行しつつある。また、チップの収率を向上させるためには、基板の大型化を進めること以外にも、基板表面のなるべく全面を使うことが効果的である。
【0003】
しかしながら、図12に示すように、基板101表面の全面に薄膜を形成しようとすると、基板101の側面や裏面にも膜102が付着しまう。基板101の側面や裏面に付着した膜102が、その次の工程において剥がれて基板101の表面に付着混入してしまうと、デバイスの特性を著しく悪化させてしまう。その結果、チップの歩留まりを低下させてしまう。このような理由により、基板表面の全面に渡って薄膜を形成加工するのは困難であった。
【0004】
このような問題を解消するために、従来から、薄膜形成工程中に基板101の側面や裏面に膜102が付着しないような工夫がなされている。図13に示す例では、マスク部材103が基板101の表面の周囲縁に当接されている。また、図14に示す例では、マスク部材103が基板101の表面の周囲縁の真上を覆うように配置されている。
【0005】
また、特許文献1には、高密度プラズマ源を使用して炭素系層間膜を成膜する成膜処理装置が開示されている。この成膜処理装置は、少なくとも基板の縁の部分で、かつ基板が基板ホルダーに接しないために冷却が行われない部分には炭素膜が成膜されないように、成膜範囲を限定して成膜処理操作が行われる。具体的には、この成膜処理装置は、ホルダー部に搭載された被処理基板の表面周縁部に炭素膜が成膜されないようにするために、リング状部材が設けられている。
【特許文献1】特開平11−176820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、薄膜形成工程中に基板の側面や裏面に膜が付着することを防止するために、図13や図14に示したマスク部材を用いた場合には、図15(a)に示すように基板101表面の縁部A付近に薄膜を形成することができない。つまり、基板表面の縁部を含む全面にわたって薄膜を形成することができない。そのため、図15(b)に示すように、基板101上に構成されるチップのうち、形成領域が基板101の縁部A付近に及ぶチップは不良品となり、チップの収率を最大限にすることができない。
【0007】
なお、基板に付着した微細なパーティクル(ごみ)を洗浄液によって除去する技術が知られており、この技術によって、基板の側面や裏面に付着した膜を除去することも可能である。しかしながら、数多くある成膜工程の毎処理後に洗浄工程を行うのは時間と手間がかかり、さらに処理コストも膨大となってしまうため、この方策は好ましい解決策ではない。
【0008】
そこで本発明は、被処理基板の裏面端部や側面に付着した膜(汚染物質)を除去することを可能にする汚染物質除去方法、汚染物質除去機構および真空薄膜形成加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の汚染物質除去方法は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む。
【0010】
また、本発明の汚染物質除去機構は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去手段を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被処理基板の裏面端部や側面に付着した膜(汚染物質)を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る汚染物質除去機構は、表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した薄膜(汚染物質)を除去する汚染物質除去手段としてイオンガン(ビーム照射手段)を有している。イオンガンは、内部を真空排気するための真空ポンプを備えた真空チャンバ内に設置される。真空チャンバ内には、薄膜が形成された被処理基板の薄膜形成加工面が上向きになるように被処理基板を支持固定する基板支持台も設置される。被処理基板は、静電吸着によって基板支持台に固定される。基板支持台は、回転導入機構によって、被処理基板を支持した状態で回転できるようになっている。なお、基板支持台の大きさは、被処理基板の裏面縁部が露出されるように被処理基板よりも小さい。
【0013】
イオンガンは、基板支持台に設置された被処理基板の下方に、イオンビームが被処理基板の裏面縁部及び側面に照射されるように配置する。真空チャンバ内の真空度は圧力が0.1Pa以下であることが好ましい。本発明に適用可能な汚染物質除去手段としては、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム(原子が複数集まった粒子状のもの)、レーザービームなどによる指向性のあるビームを照射するビーム照射手段が挙げられる。特に、イオンビームは、良好な指向性を有し、基板裏面の縁部付近及び側面のみを狙ってビームを照射することができるため、ビーム照射手段として好適である。
【0014】
イオンビームのイオン種として、He,N,O,Ne,Ar,Kr,Xeのうち少なくとも1種類の元素からなるイオンを使用することが好ましい。He,Ne,Ar,Kr,Xeは不活性ガスであり、被処理基板に形成された薄膜と反応することがないので好適である。つまり、イオンビームによって、被処理基板に形成された薄膜の特性が劣化すること抑えることができる。なお、Oは被処理基板に形成された薄膜と反応してしまうため、用いるイオン種としては本来は不適切であるが、付着している汚染物質が有機物であればOはそれら有機物と反応してクリーニングする効果がある。また、被処理基板に形成された薄膜が酸化物であれば、酸素イオンビームが悪影響を及ぼすこともない。同じような観点から、Nも、被処理基板に形成された薄膜が窒化物であれば窒素イオンが窒化膜の特性を劣化させることはない。またOやNは安価であるため実用的である。
【0015】
また、照射ビームのビーム径は、ビームが基板支持台や真空チャンバ内部の壁などに当たって基板の裏側面や表面を汚染しないようにするために小さい方が良く、具体的には5mm以下であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る真空薄膜形成加工装置は、上記の汚染物質除去機構を備えた真空チャンバ(汚染物質除去室)を少なくとも1室有している。真空薄膜形成加工装置は、真空処理室として、物理的気相蒸着室(PVD)室、化学的気相蒸着室(CVD)室、物理的エッチング室、化学的エッチング室、基板加熱室、基板冷却室、酸化処理室、還元処理室、アッシング室のうちの少なくとも1室をさらに有する。汚染物質除去室と少なくとも1つの真空処理室とは真空搬送室を介して連結されており、被処理基板は、汚染物質除去室と真空処理室との間を真空中にて大気に曝されることなく搬送される。
【0017】
本実施形態の真空薄膜形成加工装置によれば、薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した膜(汚染物質)を、汚染物質除去室内に設置された汚染物質除去機構によって除去することができる。被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した膜(汚染物質)の除去工程は、全ての薄膜を形成した後に行ってもよいし、各成膜工程を終える毎に行ってもよい。
【0018】
物理的気相蒸着室(PVD)室での薄膜形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法、レーザーアブレーション法、イオンビームスパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いることができる。さらには、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、MBE(モレキュラービームエピタキシ)法等を用いることができる。
【0019】
化学的気相蒸着室(CVD)室の薄膜形成方法としては、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法、Cat(触媒)CVD法、MO(有機金属)CVD法、ALD(アトミックレイヤーデポジション)法などを用いることができる。
【0020】
物理的エッチング室でのエッチング方法としては、イオンビームエッチング(イオンミリング)法、逆スパッタエッチング法などを用いることができる。
【0021】
化学的エッチング室でのエッチング方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)法などを用いることができる。
【0022】
酸化処理室の酸化処理方法としては、ラジカル酸化、プラズマ酸化、自然酸化、イオンビーム酸化などを用いることができる。
【0023】
アッシング室では、エッチング加工時にマスクとして使用していたフォトレジストを酸素プラズマ雰囲気等に曝露することによって灰化して除去する。
【0024】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0025】
(実施例1)
図1は、本発明を適用可能な汚染物質除去機構と汚染物質除去室を示す概略構成図である。
【0026】
汚染物質除去室を構成する真空チャンバ1内には、汚染物質除去機構を構成するイオンガン2と、基板回転機構3を備えた静電吸着方式の基板支持台4とが設置されている。真空チャンバ1には、ゲートバルブ5を介して真空ポンプ6が接続されている。被処理基板7は、真空ポンプ6の反対側に設置されたゲートバルブ8を通して真空チャンバ1内に搬入される。真空チャンバ1内は、真空ポンプ6によって、所望の真空度になるように設定されている。本実施例における真空チャンバ1内の真空度は1×10-5Paである。
【0027】
基板支持台4の大きさは被処理基板7よりも小さくなっており、基板支持台4は被処理基板7の中央部を支持している。そのため、基板支持台4に支持された被処理基板7の側面および裏面縁部は、基板支持台4に覆われずに露出した状態になっている。
【0028】
本実施例では、被処理基板7として直径300mmのシリコンウエハを用いている。被処理基板7には、薄膜形成工程を経て、表面のみならず、側面および裏面の端部から2mmの範囲の全周に渡って膜が付着している(図12に示した状態)。これは、前工程の成膜工程で300mmのウエハサイズより小さい直径296mmの基板支持台が用いられていたために、被処理基板7の側面や裏面に膜が回りこんで付着したためである。このように膜が付着した被処理基板7を直径100mmの静電吸着式の基板支持台4に載せ、静電吸着によってその上に固定させた上で、基板回転機構3によって30rpmの回転速度で被処理基板7を回転させる。そして、回転する被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンガン2によってイオンビームを照射する。本実施例では、イオンビームにはビーム径が5mmのものを使用した。
【0029】
次に、図2を参照して、被処理基板とイオンガンとの位置関係を説明する。
【0030】
図2に示すように、被処理基板7の中心の裏面側を回転の原点O、被処理基板7の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとする。点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで被処理基板7の外側に延び、かつ被処理基板7の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで被処理基板7の下側に延びる線分上の任意の点をRとする。円筒形をしたイオンガン2は、その中心軸が線分PRと重なるように配置されている。そして、イオンガン2を、0°<α<90°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置することで、被処理基板7の裏面縁部と側面に対して同時にイオンビームを照射することができる。しかしながら、被処理基板7の表面に形成されている薄膜にイオンビームが照射されることは好ましくないため、角度αは45°以下にすることが好ましい。
【0031】
イオンガン2は、イオンビーム照射口2aと被処理基板7の裏面との距離Lが10mm以上500mm以下の範囲となる位置に配置される。本実施例では、角度α,βをともに30°とし、距離Lを50mmとした。
【0032】
図3に、イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す。図3に示すように、本実施例によれば、被処理基板7の裏面の縁部から2mmの範囲および側面に付着した汚染物質を、被処理基板7の全周にわたって除去することができた。
【0033】
本実施例では、被処理基板7を支持固定した基板支持台4を基板回転機構3によって回転させ、回転する被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンガン2によってイオンビームを照射する構成を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明に適用できるのはこの構成に限られない。この構成に代えて、イオンガン2を、被処理基板7の縁部及び側面に対して裏面側からイオンビームを照射させながら、基板支持台4に支持固定された被処理基板7の周囲縁に沿って移動させる構成としてもよい。さらには、被処理基板7を支持固定した基板支持台4を基板回転機構3によって回転させる構成と、イオンガン2を被処理基板7の周囲縁に沿って移動させる構成とを組み合わせてもよい。
【0034】
(実施例2)
図2に示した被処理基板とイオンガンとの位置関係によれば、上述したように、被処理基板7の裏面縁部及び側面に付着した膜を除去することが可能である。しかしながら、イオンビームによって除去された膜(汚染物質)が被処理基板7の表面上に付着してしまうおそれがある。
【0035】
これに対し本実施例では、まず、図4(a)に示すように角度αが−90°<α<0°となるように配置したイオンガン2によって、被処理基板7の裏面縁部の汚染物質のみを先に除去する。このような角度αに配置したイオンガン2によって被処理基板7の裏面縁部にイオンビームを照射することにより、被処理基板7から除去された汚染物質は基板の外側に向かって飛び出す。そのため、汚染物質が被処理基板7上に再付着することを抑えることができる。
【0036】
次に、図5(a)に示すように角度αが0°<α<90°となるように配置したイオンガン2によって、被処理基板7の側面の汚染物質を除去する。このような角度αに配置したイオンガン2によって被処理基板7の側面にイオンビームを照射することにより、被処理基板7の側面から除去された汚染物質が被処理基板7の裏面に再付着することを抑えることができる。
【0037】
このような2つのステップで被処理基板7の裏面縁部と側面の汚染物質を個別に除去するために、イオンガン2の配置角度を変更するための機構を真空チャンバ1(図1参照)内に設けてもよい。
【0038】
あるいは、図6に示すように、被処理基板7に対するイオンビームの入射角度が異なる2つのイオンガン21,22を配置した構成としてもよい。図6に示す構成において、被処理基板7の裏面縁部の汚染物質を除去するイオンガン21は配置角度α,βがそれぞれ−60°,30°であり、被処理基板7の側面の汚染物質を除去するイオンガン22は配置角度α,βがそれぞれ30°,60°である。なお、汚染物質を飛ばす方向である、これらのイオンガン21,22の延長上には、ゲートバルブや真空ポンプなどの排気系が配置されていることが好ましい。これにより、被処理基板7から除去された汚染物質が被処理基板7に再付着する前に、真空チャンバ内に浮遊する汚染物質を真空チャンバの外に速やかに排出することが可能となる。
【0039】
なお、処理室の真空チャンバ1内には、他の成膜室などと同様に防着板(不図示)が配置されている。この防着板は、汚染物質を吸着する役目を持ち、定期的に交換されている。イオンガン21,22は、この防着板に向けて汚染物質を飛ばすように配置されていてもよい。
【0040】
(実施例3)
図7は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例であるフラッシュメモリ用絶縁膜形成装置の概略構成を示す図である。
【0041】
図7に示す絶縁膜形成装置は、真空搬送ロボット12を内部に備えた真空搬送室10を備えている。真空搬送室10には、ロードロック室11、基板加熱室13、第1のPVD(スパッタリング)室14、第2のPVD(スパッタリング)室15、汚染物質除去室16、基板冷却室17がそれぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0042】
次に、図7に示した絶縁膜形成装置の動作について説明する。
【0043】
まず、被処理基板を真空搬送室10に搬出入するためのロードロック室11に被処理基板(シリコンウエハ)をセットし、圧力が1×10-4Pa以下に達するまで真空排気する。その後、真空搬送ロボット12を用いて、真空度が1×10-6Pa以下に維持された真空搬送室10内に被処理基板を搬入し、所望の真空処理室に搬送する。
【0044】
本実施例においては、初めに基板加熱室13に被処理基板を搬送して400℃まで加熱し、次に第1のPVD(スパッタリング)室14に搬送して被処理基板上にAl2O3薄膜を15nmの厚さに成膜する。次いで、第2のPVD(スパッタリング)室15に被処理基板を搬送して、その上にTiN膜を20nmの厚さに成膜する。その後、被処理基板を汚染物質除去室16内に搬送し、被処理基板の裏面縁部と側面に付着したAl2O3膜およびTiN膜を除去する。最後に、被処理基板を基板冷却室17内に搬送して、室温になるまで被処理基板を冷却する。全ての処理が終了した後、ロードロック室11に被処理基板を戻し、大気圧になるまで乾燥窒素ガスを導入した後に、ロードロック室11から被処理基板を取り出す。
【0045】
本実施例の絶縁膜形成装置では、汚染物質除去室16以外の真空処理室の真空度は1×10-6Pa以下とした。汚染物質除去室16の真空度は1×10-5Pa以下であるが、イオンビーム照射時にはArガスが流入されるため、真空度は0.04〜0.1Paとなる。
【0046】
本実施例では、Al2O3膜とTiN膜の成膜にマグネトロンスパッタリング法を用いている。これらの膜の成膜には、これに代えて、レーザーアブレーション法やイオンプレーティング法、蒸着法、MBE法、ALD法、CVD法などを用いてもよい。また、本実施例では被処理基板上に複数の成膜処理を施した後に、汚染物質除去室16にて被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質を除去した例を示したが、汚染物質除去室16における汚染物質除去工程は各成膜処理後に行ってもよい。
【0047】
(実施例4)
図8は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)用磁気トンネル接合成膜装置の概略構成を示す図である。
【0048】
図8に示す磁気トンネル接合成膜装置は、2機の真空搬送ロボット22を備えた真空搬送室20を有している。真空搬送室20には、3つのPVD(スパッタリング)室24,25,27と、2つのロードロック室21と、酸化処理室26と、基板前処理室(逆スパッタエッチング室)23と、汚染物質除去室28とが、それぞれゲートバルブを介して連結されている。PVD(スパッタリング)室24,25,27の各々は、それぞれ5つのスパッタリングターゲットを有している。
【0049】
次に、図8に示した磁気トンネル接合成膜装置の動作について説明する。
【0050】
被処理基板は、ロードロック室21から真空搬送ロボット22によって真空搬送室20内に搬入される。その後、まず初めに、被処理基板は基板前処理室23内に搬送され、被処理基板の表面に付着した不純物を逆スパッタエッチングによって物理的に除去する。次に、被処理基板は第1のPVD(スパッタリング)室24内に搬送され、被処理基板上にTaN(10nm)/Ta(10nm)/NiFe(2nm)/PtMn(15nm)から成る多層膜を成膜する。
【0051】
次いで、被処理基板は第2のPVD(スパッタリング)室25内に搬送され、被処理基板上にCoFe(2nm)/Ru(0.9nm)/CoFeB(2.5nm)/Mg(1nm)から成る多層薄膜を成膜する。次に、被処理基板を酸化処理室26内に搬送して、Mg(1nm)層をラジカル酸化処理してMgO絶縁膜を形成する。その後、被処理基板を第3のPVD(スパッタリング)室27内に搬送し、被処理基板上にCoFeB(1nm)/NiFe(2nm)/Ta(1nm)/Ru(5nm)/TaN(50nm)から成る多層膜を成膜する。このようにして、被処理基板表面の全面に図9(a)に示す磁気トンネル接合を形成した。
【0052】
最後に、被処理基板を汚染物質除去室28内に搬送し、被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した、多層膜を構成する不純物元素を除去し、被処理基板をロードロック室21に戻す。これにより、被処理基板の裏面縁部及び側面には汚染物質の付着していない被処理基板を得ることができた(図9(b)参照)。
【0053】
本実施例においては、複数の成膜処理後に汚染物質除去室28にて被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する例を示したが、汚染物質除去室28における汚染物質除去工程は各成膜処理後に行ってもよい。
【0054】
(実施例5)
図10は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、実施例4で作製した磁気トンネル接合上にパターニングされたフォトレジストが形成された被処理基板を加工する装置を示す概略構成図である。
【0055】
図10に示す装置は、真空搬送ロボット32を備えた真空搬送室30を有している。真空搬送室30には、2つの化学的エッチング室(RIE)室33,35と、物理的エッチングを行うアッシング室34と、化学的気相蒸着室(プラズマCVD)室36と、汚染物質除去室37とが、それぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0056】
フォトレジスト付き磁気トンネル接合が形成された被処理基板は、初めに、ロードロック室31から真空搬送室30を経て第1の化学的エッチング室(RIE)室33内に搬送される。第1の化学的エッチング室(RIE)室33では、被処理基板に塗布されたフォトレジストをマスクとして、フッ素系ガスを用いて、最上層のTaN層をRu層が露出するまでエッチングする。次に、被処理基板をアッシング室34内に搬送して、前工程でマスクとして使用していたフォトレジストを除去する。その後、被処理基板を第2の化学的エッチング室(RIE)室35内に搬送する。第2の化学的エッチング室(RIE)室35では、前工程でフォトレジストマスクの下に残されていたTaNをハードマスクとして、アルコール系ガスを用いて、被処理基板の表面に近いTa層が露出するまで、Ru層からNiFe層までの多層膜をエッチングする。その後、被処理基板を化学的気相蒸着(熱CVD)室36内に搬送してSiO2保護膜を形成する。ここまでの一連のプロセスによって、被処理基板の裏面縁部と側面には汚染物質が多く付着している。
【0057】
最後に、被処理基板を汚染物質除去室37内に搬送し、被処理基板の裏面縁部と側面にイオンビームを照射することによって、それらの汚染物質を除去する。
【0058】
(実施例6)
図11は、本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、相変化メモリ向け薄膜形成装置の概略構成図である。
【0059】
図11に示す薄膜形成装置は、真空搬送ロボット42を備えた真空搬送室40を有している。真空搬送室40には、ロードロック室41、基板加熱室43、基板前処理室44、第1のPVD(スパッタリング)室45、第2のPVD(スパッタリング)室46、汚染物質除去室47がそれぞれゲートバルブを介して連結されている。
【0060】
次に、図11に示した薄膜形成装置の動作について説明する。
【0061】
被処理基板は、ロードロック室41から真空搬送室40内に搬入された後に、まず初めに基板加熱室43内に搬送され、200℃まで加熱される。次に、被処理基板は基板前処理室44内に搬送されて逆スパッタエッチングが行われ、被処理基板の表面に付着した不純物が除去される。その後、被処理基板は第1のPVD(スパッタリング)室45内に搬送され、GeSbTGe等のカルコゲナイト系相変化材料からなる薄膜が60nmの厚さに成膜される。次いで、被処理基板は第2のPVD(スパッタリング)室46内に搬送され、TiN膜が50nmの厚さに成膜される。その後、被処理基板は汚染物質除去室47内に搬送され、被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質であるGeSbTeおよびTiNが除去される。全ての処理が終了した後、被処理基板はロードロック室41に戻される。このようにして、被処理基板表面の全面に所望の薄膜を形成した後、被処理基板の裏面縁部と側面に付着した汚染物質を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用可能な汚染物質除去機構と汚染物質除去室を示す概略構成図である。
【図2】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図3】イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す図である。
【図4】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図5】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図6】被処理基板とイオンガンとの位置関係を示す図である。
【図7】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例であるフラッシュメモリ用絶縁膜形成装置の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)用磁気トンネル接合成膜装置の概略構成を示す図である。
【図9】イオンビーム照射前と照射後の被処理基板の裏面縁部および側面の膜付着状況を示す図である。
【図10】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、実施例4で作製した磁気トンネル接合上にパターニングされたフォトレジストが形成された被処理基板を加工する装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の真空薄膜形成加工装置の一例である、相変化メモリ向け薄膜形成装置の概略構成図である。
【図12】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図13】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図14】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【図15】従来技術による薄膜形成工程を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1 真空チャンバ
2,21,22 イオンガン
3 回転導入機構
4 基板支持台
7 被処理基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む汚染物質除去方法。
【請求項2】
前記ビームは、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム、レーザービームのうちのいずれか1つである、請求項1に記載の汚染物質除去方法。
【請求項3】
前記被処理基板の裏面縁部及び側面に対して前記ビームを照射する際に、前記被処理基板を静電吸着によって基板支持台の上に固定し、前記基板支持台とともに前記被処理基板を回転させることを含む、請求項1または2に記載の汚染物質除去方法。
【請求項4】
表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去手段を備えた汚染物質除去機構。
【請求項5】
前記汚染物質除去手段は、前記被処理基板の裏面縁部及び側面に対して指向性を有するビームを照射するビーム照射手段である、請求項4に記載の汚染物質除去機構。
【請求項6】
前記ビームは、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム、レーザービームのうちのいずれか1つである、請求項5に記載の汚染物質除去機構。
【請求項7】
前記ビーム照射手段はイオンビームを照射するイオンビーム照射手段であり、
前記イオンビームは、イオン種としてHe、N、O、Ne、Ar、Kr、Xeのうち少なくとも1種類の元素からなるイオンを含んでいる、請求項5に記載の汚染物質除去機構。
【請求項8】
前記被処理基板の中心の裏面側を回転の原点O、前記被処理基板の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとし、点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで前記被処理基板の外側に延び、かつ前記被処理基板の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで前記被処理基板の下側に延びる線分上の任意の点をRとしたとき、
前記ビーム照射手段は、0°<α<90°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置されている、請求項5から7のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項9】
前記被処理基板の中心の裏面側を回転の原点O、前記被処理基板の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとし、点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで前記被処理基板の外側に延び、かつ前記被処理基板の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで前記被処理基板の下側に延びる線分上の任意の点をRとしたとき、
前記ビーム照射手段は、−90°<α<0°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置されている、請求項5から8のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項10】
前記被処理基板を支持固定する基板支持台と、該基板支持台を回転させる回転手段とを備えている、請求項4から9のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構を真空チャンバ内に備えた汚染物質除去室。
【請求項12】
請求項11に記載の汚染物質除去室と、
物理的気相蒸着室(PVD)室、化学的気相蒸着室(CVD)室、物理的エッチング室、化学的エッチング室、基板加熱室、基板冷却室、酸化処理室、還元処理室、アッシング室のうちの少なくとも1つの真空処理室と、
を備えた真空薄膜形成加工装置。
【請求項13】
前記汚染物質除去室と前記少なくとも1つの真空処理室とは真空搬送室を介して連結されている、請求項12に記載の真空薄膜形成加工装置。
【請求項1】
表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に対して、真空中において、指向性を有するビームを照射することを含む汚染物質除去方法。
【請求項2】
前記ビームは、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム、レーザービームのうちのいずれか1つである、請求項1に記載の汚染物質除去方法。
【請求項3】
前記被処理基板の裏面縁部及び側面に対して前記ビームを照射する際に、前記被処理基板を静電吸着によって基板支持台の上に固定し、前記基板支持台とともに前記被処理基板を回転させることを含む、請求項1または2に記載の汚染物質除去方法。
【請求項4】
表面に薄膜が形成された被処理基板の裏面縁部及び側面に付着した汚染物質を除去する汚染物質除去手段を備えた汚染物質除去機構。
【請求項5】
前記汚染物質除去手段は、前記被処理基板の裏面縁部及び側面に対して指向性を有するビームを照射するビーム照射手段である、請求項4に記載の汚染物質除去機構。
【請求項6】
前記ビームは、イオンビーム、電子ビーム、原子ビーム、分子ビーム、クラスタービーム、レーザービームのうちのいずれか1つである、請求項5に記載の汚染物質除去機構。
【請求項7】
前記ビーム照射手段はイオンビームを照射するイオンビーム照射手段であり、
前記イオンビームは、イオン種としてHe、N、O、Ne、Ar、Kr、Xeのうち少なくとも1種類の元素からなるイオンを含んでいる、請求項5に記載の汚染物質除去機構。
【請求項8】
前記被処理基板の中心の裏面側を回転の原点O、前記被処理基板の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとし、点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで前記被処理基板の外側に延び、かつ前記被処理基板の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで前記被処理基板の下側に延びる線分上の任意の点をRとしたとき、
前記ビーム照射手段は、0°<α<90°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置されている、請求項5から7のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項9】
前記被処理基板の中心の裏面側を回転の原点O、前記被処理基板の外周の裏面側の任意の点をP、Pを含む接線上の任意の点をQとし、点O,P,Qを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度αで前記被処理基板の外側に延び、かつ前記被処理基板の垂線に平行かつ線分PQを含む平面内において線分PQに対して点Pから角度βで前記被処理基板の下側に延びる線分上の任意の点をRとしたとき、
前記ビーム照射手段は、−90°<α<0°かつ0°<β<180°を満たす位置に配置されている、請求項5から8のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項10】
前記被処理基板を支持固定する基板支持台と、該基板支持台を回転させる回転手段とを備えている、請求項4から9のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか1項に記載の汚染物質除去機構を真空チャンバ内に備えた汚染物質除去室。
【請求項12】
請求項11に記載の汚染物質除去室と、
物理的気相蒸着室(PVD)室、化学的気相蒸着室(CVD)室、物理的エッチング室、化学的エッチング室、基板加熱室、基板冷却室、酸化処理室、還元処理室、アッシング室のうちの少なくとも1つの真空処理室と、
を備えた真空薄膜形成加工装置。
【請求項13】
前記汚染物質除去室と前記少なくとも1つの真空処理室とは真空搬送室を介して連結されている、請求項12に記載の真空薄膜形成加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−38295(P2009−38295A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203054(P2007−203054)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】
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