洗浄装置、基板処理システム、洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体
【課題】基板のフォトリソグラフィー処理前に、基板の周縁部に付着した付着物を適切に除去する。
【解決手段】洗浄装置1は、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック20を有している。洗浄装置1には、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器30が設けられている。浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの周縁部Bを挿入するための側面開口部33が形成されている。浸漬容器30は、高温の純水でウェハWの周縁部Bを浸すことができる。洗浄装置1には、ウェハWの周縁部Bに常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51が設けられている。これらノズル50、51から供給される洗浄液は、洗浄液供給部70で純水と不活性ガスが混合された洗浄液である。
【解決手段】洗浄装置1は、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック20を有している。洗浄装置1には、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器30が設けられている。浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの周縁部Bを挿入するための側面開口部33が形成されている。浸漬容器30は、高温の純水でウェハWの周縁部Bを浸すことができる。洗浄装置1には、ウェハWの周縁部Bに常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51が設けられている。これらノズル50、51から供給される洗浄液は、洗浄液供給部70で純水と不活性ガスが混合された洗浄液である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置、基板処理システム、洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとして、ウェハのエッチング処理が行われ、その後レジスト膜の剥離処理、ウェハの洗浄処理などが行われて、ウェハ上に所定のパターンが形成される。このように所定の層に所定のパターンが形成される工程が繰り返し行われて、半導体デバイスが製造される。
【0003】
上述したエッチング処理後の洗浄処理としては、例えばウェット処理室においてフッ酸溶液や純水によって水洗するウェット洗浄方法が知られている。しかしながら、このウェット洗浄方法では、主にウェハの表面に向けて純水等を吹き付けるため、ウェハの裏面に付着したパーティクルを除去することができない。
【0004】
そこで、従来より、ウェハの外周部を保持した状態で当該ウェハの裏面に2つの相状態を呈する物質を接触させて、ウェハの裏面に付着したパーティクルを除去する洗浄方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−147654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したエッチング処理では、例えばエッチングガスを用いたプラズマ処理が行われる。この場合、ウェハの周縁部のエネルギー状態はウェハの表面に比べて低くなる。そうすると、ウェハの周縁部には、エッチングガスが堆積していわゆるベベルポリマーが付着する。また、ウェハの周縁部には、エッチング処理などを行う処理装置から発生するポリマーなども付着する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄方法を用いた場合、ウェハの裏面を洗浄することはできるが、ウェハの周縁部に強固に付着した付着物まで除去することができない。また、この付着物がウェハの周縁部のどの場所に付着しているか明確ではなかったため、付着物の除去をさらに困難にしていた。そして、この付着物がウェハの周縁部に付着した状態でその後のフォトリソグラフィー処理が行われると、フォトリソグラフィー処理を適切に行うことができない。そうすると、当該ウェハから製造される半導体デバイスの品質が低下し、半導体デバイスの歩留まりが低下してしまう。
【0008】
特に、露光処理では、露光レンズと基板との間に液浸液、例えば純水を介して露光するいわゆる液浸露光が行われているが、この液浸露光を行う際、ウェハの周縁部の付着物が剥がれて液浸液中に混じることがある。そうすると、この付着物が光を遮光するため、露光を適切に行うことができない。この結果、当該ウェハから製造される半導体デバイスの品質が低下し、半導体デバイスの歩留まりが低下してしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板のフォトリソグラフィー処理前に、基板の周縁部に付着した付着物を適切に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置であって、基板を保持して当該基板を回転させる回転保持部と、基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける洗浄液ノズルと、側面に基板の周縁部を挿入するための開口部が形成され、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器と、を有することを特徴としている。なお、所定の圧力は、洗浄液ノズルから吹き付けられる洗浄液の温度に応じて設定される。また、常温とは例えば23℃である。
【0011】
本発明によれば、浸漬容器内に開口部から基板の周縁部を挿入して、当該浸漬容器内に貯留された純水で基板の周縁部を浸すことができるので、基板の周縁部に付着した付着物に純水を浸透させることができる。しかも、純水は常温より高い温度であるため、付着物が基板の周縁部から剥がれ易くなる。そして、回転保持部により基板を回転させて、純水に浸された基板の周縁部に対して洗浄液ノズルから常温より高い温度の洗浄液を吹き付けることができるので、基板の周縁部から剥がれ易くなった付着物を当該基板の周縁部から除去することができる。このように基板の周縁部に付着した付着物を2段階で除去できるので、付着物が強固に付着している場合でも、フォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部から付着物を適切に除去することができる。特に、基板の周縁部を高温の純水で浸しているので、基板の周縁部における付着物の付着場所が明確でなくても、当該付着物を基板の周縁部から適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、基板から製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0012】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であるのが好ましい。
【0013】
前記洗浄液ノズルは、複数設けられていてもよい。
【0014】
前記浸漬容器は、複数設けられていてもよい。
【0015】
前記浸漬容器の上面は開口し、前記洗浄装置は、前記浸漬容器の上方から当該浸漬容器内に常温より高い温度の純水を供給する純水ノズルをさらに有していてもよい。
【0016】
前記浸漬容器の前記開口部が形成された側面は、基板の外周に沿って湾曲していてもよい。
【0017】
前記浸漬容器には、当該浸漬容器内の純水に超音波を付与する超音波発振部が設けられていてもよい。
【0018】
別な観点による本発明の基板処理システムは、前記洗浄装置と、基板にフォトリソグラフィー処理を行う処理部と、を有している。
【0019】
また別な観点による本発明は、基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部に付着した付着物を除去する洗浄方法であって、基板の周縁部を常温より高い温度の純水で浸し、当該純水を前記付着物に浸透させる浸漬工程と、その後、前記基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付け、前記付着物を除去する吹付工程と、を有している。
【0020】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であるのが好ましい。
【0021】
前記浸漬工程において、基板の周縁部が浸される純水に超音波を付与してもよい。
【0022】
また別な観点による本発明によれば、前記洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0023】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板のフォトリソグラフィー処理前に、基板の周縁部に付着した付着物を適切に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる洗浄装置1の構成の概略を示す縦断面図であり、図2は、洗浄装置1の構成の概略を示す横断面図である。
【0026】
洗浄装置1は、図1に示すように内部を密閉することができる処理容器10を有している。処理容器10の一の側面には、図2に示すようにウェハWの搬入出口11が形成され、搬入出口には、開閉シャッタ12が設けられている。
【0027】
処理容器10内部には、図1に示すようにウェハWを吸着保持する回転保持部としてのスピンチャック20が設けられている。スピンチャック20は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック20上に吸着保持できる。
【0028】
スピンチャック20は、例えばモータなどを備えた駆動機構21を有し、その駆動機構21により所定の速度に回転できる。また、駆動機構21には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック20は上下動可能になっている。
【0029】
スピンチャック20の下方側にはガイドリング22が設けられており、このガイドリング22の外周縁は下方側に屈曲して延びている。前記スピンチャック20、スピンチャック20に保持されたウェハW及びガイドリング22を囲むようにカップ23が設けられている。カップ23は、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収することができる。
【0030】
このカップ23は上面にスピンチャック20が昇降できるようにウェハWよりも大きい開口部が形成されていると共に、側周面とガイドリング22の外周縁との間に排出路をなす隙間24が形成されている。前記カップ23の下方側は、ガイドリング22の外周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。カップ23の底部の内側領域には、カップ23内の雰囲気を排気する排気口25が形成されており、この排気口25には排気管25aが接続されている。さらに前記カップ23の底部の外側領域には、回収した液体を排出する排液口26が形成されており、この排液口26には排液管26aが接続されている。
【0031】
スピンチャック20の側方であってカップ23の内側には、内部に純水を一時的に貯留することができる浸漬容器30が設けられている。浸漬容器30は、水平方向(図1及び図2中のY方向)に移動可能になっている。
【0032】
浸漬容器30は、図3に示すように略直方体形状を有している。浸漬容器30の上面は開口し、上面開口部31が形成されている。浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの外周に沿って湾曲した湾曲部32が形成されている。また、浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの周縁部を挿入するための側面開口部33が形成されている。かかる構成により、図2に示すようにウェハWの周縁部Bのみが側面開口部33から浸漬容器30内に挿入される。なお、湾曲部32は、その湾曲部32からウェハWの端部までの距離Lが、周縁部Bの長さと一致する長さ、例えば5mm〜8mmになるように形成されている。
【0033】
浸漬容器30の上方には、浸漬容器30内に純水を供給する純水ノズル40が配置されている。純水ノズル40には、純水供給源41に連通する供給管42が接続されている。純水供給源41内には、純水が貯留されている。供給管42には、純水を加熱する例えばヒータなどの加熱装置43と、純水の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群44とが純水供給源41からこの順で設けられている。
【0034】
そして、純水供給源41から供給された純水は、加熱装置43により例えば70℃以上に加熱され、純水ノズル40に供給される。加熱された純水は、図4に示すように純水ノズル40から浸漬容器30内に供給される。浸漬容器30内の純水は、当該浸漬容器30内を下方に流れ、ウェハWの下面と側面開口部33との間の隙間から流れ出る。したがって、ウェハWの周縁部Bは、浸漬容器30内の例えば70℃以上の高温の純水に浸される。なお、浸漬容器30内の純水の温度は、常温より高ければよく本実施の形態に限定されない。
【0035】
また、スピンチャック20の側方には、例えば浸漬容器30に対向する位置のウェハWの周縁部Bに対して洗浄液を吹き付ける第1の洗浄液ノズル50が設けられている。第1の洗浄液ノズル50は、その軸方向がウェハWの径方向と一致するように配置され、すなわち洗浄液がウェハWの周縁部Bの接線方向と直角方向に吹き付けられるように配置されている。さらに、スピンチャック20の下方には、第1の洗浄液ノズル50と共にウェハWの周縁部Bに対して洗浄液を吹き付ける第2の洗浄液ノズル51が設けられている。第2の洗浄液ノズル51は、その軸方向が鉛直方向になるように配置されている。なお、本実施の形態においては、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51が設けられていたが、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0036】
第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51には、洗浄液を供給する供給管60、61がそれぞれ接続されている。供給管60、61は、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群62を介して洗浄液供給部70に連通している。
【0037】
洗浄液供給部70は、内部に純水を貯留する純水供給源71と内部に不活性ガス、例えば窒素ガスを貯留する不活性ガス供給源72とを有している。純水供給源71と不活性ガス供給源72には、供給管73、74がそれぞれ接続されている。供給管73には、純水を加熱する例えばヒータなどの加熱装置75が設けられている。供給管73、74はその下流側で合流し、供給管76に接続される。供給管76は、供給機器群62に接続される。また、供給管76には、洗浄液を加熱する例えばヒータなどの加熱装置77が設けられている。
【0038】
そして、純水供給源71から供給管73に例えば0.5MPa〜1.0MPaで純水が供給される。供給された純水は、加熱装置75により例えば100℃に加熱される。一方、不活性ガス供給源72から供給管74に例えば0.5MPa〜1.0MPaで不活性ガスが供給される。これら純水と不活性ガスが供給管73、74の下流側で混合され、これにより生成された洗浄液は供給管76を流れる。生成された洗浄液は、加熱装置77により例えば130℃に加熱され、供給機器群62を介して第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51に供給される。そして、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から例えば70℃以上の高温の純水が、所定の圧力、例えば0.3MPa〜0.5MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けられる。なお、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から吹き付けられる純水の温度は、常温より高ければよく本実施の形態に限定されない。
【0039】
以上の洗浄装置1には、図1に示すように制御部100が設けられている。制御部100は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、洗浄装置1のスピンチャック20の回転動作と上下動作、供給機器群44による純水ノズル40の供給動作、供給機器群62による第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51の供給動作、洗浄液供給部70における洗浄液の生成動作などを制御するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。
【0040】
次に、以上のように構成された洗浄装置1を用いて行われるウェハWの周縁部Bの洗浄方法について説明する。
【0041】
例えばエッチング処理後、洗浄装置1に搬送されたウェハWは、先ず、スピンチャック20に吸着保持される。このとき、浸漬容器30は、ウェハWと緩衝しない位置に退避している。続いて、ウェハWを所定の位置まで下降させると共に、浸漬容器30を移動させて、ウェハWの周縁部Bを側面開口部33から浸漬容器30内に挿入させる。
【0042】
その後、ウェハWを例えば0.2rpm〜10rpmで低速回転させる。同時に、純水ノズル40から浸漬容器30内に例えば70℃以上の高温の純水を供給する。そして、ウェハWの周縁部Bが所定の時間、例えば約10秒間、高温の純水に浸される。そうすると、純水は周縁部Bに付着した付着物に浸透し、付着物は周縁部Bから剥がれ易い状態になる。
【0043】
その後、純水に浸されたウェハWの周縁部Bが第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51の位置まで到達すると、周縁部Bに対して、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から例えば70℃以上の高温の洗浄液が0.3MPa〜0.5MPaの高圧力で吹き付けられる。そうすると、この洗浄液により付着物が周縁部Bから剥がされ除去される。
【0044】
そして、ウェハWを例えば1〜2回転させて、周縁部Bの全周から付着物を除去すると、純水ノズル40からの純水の供給と、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けを停止する。その後、ウェハWを例えば2000rpmで例えば約15秒間高速回転させ、ウェハWに付着した純水や洗浄液を乾燥させる。こうして一連のウェハWの周縁部Bの洗浄処理が終了し、ウェハWは次のフォトリソグラフィー工程に搬送される。
【0045】
以上の実施の形態によれば、浸漬容器30内に側面開口部33からウェハWの周縁部Bを挿入して、当該浸漬容器30内に貯留された純水で周縁部Bを浸したことで、周縁部Bに付着した付着物に純水を浸透させることができる。しかも、純水は高温であるため、付着物が周縁部Bから剥がれ易くなる。そして、純水に浸された周縁部Bに対して第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から高温の洗浄液を吹き付けたので、周縁部Bから剥がれ易くなった付着物を当該周縁部Bから除去することができる。このようにウェハWの周縁部Bに付着した付着物を2段階で除去できるので、付着物が強固に付着している場合でも、フォトリソグラフィー処理前に周縁部Bから付着物を適切に除去することができる。特に、周縁部Bを高温の純水で浸しているので、周縁部Bにおける付着物の付着場所が明確でなくても、当該付着物を周縁部Bから適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、ウェハWから製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0046】
また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から吹き付けられる洗浄液は不活性ガスを含んでいるので、この不活性ガスがウェハWの周縁部Bに付着した付着物に衝突することにより、周縁部Bからの付着物の除去が容易になる。
【0047】
以上の実施の形態の浸漬容器30には、図5に示すように当該浸漬容器30内の純水に超音波を付与する超音波発振部110が設けられていてもよい。これによって、浸漬容器30内の純水がウェハWの周縁部Bの付着物にさらに浸透し易くなり、周縁部Bの付着物をより適切に除去することができる。
【0048】
また、以上の実施の形態の第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51を、図6に示すように複数設けてもよい。このとき、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51は、ウェハWの円周上に等間隔に設けられる。また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51に加えて、図7に示すように第3の洗浄液ノズル120をさらに設けてもよい。第3の洗浄液ノズル120は、その軸方向が周縁部Bの接線方向と一致するように配置される。さらに、浸漬容器30を、図8に示すように複数設けてもよい。このとき、浸漬容器30は、ウェハWの円周上に等間隔に設けられる。以上、いずれの実施の形態においても、ウェハWの周縁部Bの洗浄能力が向上するので、周縁部Bをより短時間で洗浄することができる。
【0049】
以上の洗浄装置1は、図9に示すようにウェハWにフォトリソグラフィー処理を行う基板処理システムとしての塗布現像処理システム200内に設けられていてもよい。
【0050】
塗布現像処理システム200は、図9に示すように例えば外部との間で複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション201と、フォトリソグラフィー処理の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理部としての処理ステーション202と、処理ステーション202に隣接する露光装置203との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション204とを一体に接続した構成を有している。
【0051】
カセットステーション201には、カセット載置台210が設けられている。カセット載置台210には、複数、例えば4つのカセット載置板211が設けられている。カセット載置板211は、水平方向のX方向(図9中の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらのカセット載置板211には、塗布現像処理システム200の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。なお、塗布現像処理システム200とその外部との間のカセットの搬入出は、工場内の処理装置間でカセットを搬送する図10に示す外部カセット搬送装置Aにより行われる。
【0052】
カセットステーション201には、図9に示すようにX方向に延びる搬送路220上を移動自在なウェハ搬送装置221が設けられている。ウェハ搬送装置221は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板211上のカセットCと、後述する処理ステーション202の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0053】
処理ステーション202には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション202の正面側(図9のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション202の背面側(図9のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション202のカセットステーション201側(図9のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション202のインターフェイスステーション204側(図9のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0054】
例えば第1のブロックG1には、図11に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置230、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下、「下部反射防止膜」という)を形成する下部反射防止膜形成装置231、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置232、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下、「上部反射防止膜」という)を形成する上部反射防止膜形成装置233が下から順に4段に重ねられている。
【0055】
例えば第1のブロックG1の各装置230〜233は、処理時にウェハWを収容するカップFを水平方向に複数有し、複数のウェハWを並行して処理することができる。
【0056】
例えば第2のブロックG2には、図10に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置240や、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置241、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置242、上述したウェハWの周縁部Bを洗浄する洗浄装置1が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置240は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、熱処理装置240、アドヒージョン装置241、周辺露光装置242及び洗浄装置1の数や配置は、任意に選択できる。
【0057】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置250、251、252、253、254、255、256が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置260、261、262が下から順に設けられている。
【0058】
図9に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置270が配置されている。
【0059】
ウェハ搬送装置270は、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置270は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0060】
ウェハ搬送装置270は、例えば図10に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1〜G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0061】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置280が設けられている。
【0062】
シャトル搬送装置280は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置280は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置252と第4のブロックG4の受け渡し装置262との間でウェハWを搬送できる。
【0063】
図9に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置290が設けられている。ウェハ搬送装置290は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置290は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0064】
インターフェイスステーション204には、ウェハ搬送装置300と受け渡し装置301が設けられている。ウェハ搬送装置300は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置300は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置と受け渡し装置301にウェハWを搬送できる。
【0065】
以上の基板処理システム1には、図9に示すように上述した制御部100が設けられている。制御部100のプログラム格納部には、洗浄装置1の動作を制御するプログラムに加えて、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、後述する塗布現像処理システム200の所定の作用、すなわちウェハWへのレジスト液の塗布、現像、露光、加熱処理、ウェハWの受け渡し、各装置の制御などを実現させるためのプログラムも格納されている。
【0066】
次に、以上のように構成された塗布現像処理システム200を用いて行われるウェハWの処理方法について説明する。
【0067】
先ず、複数枚のウェハWを収容したカセットCが、外部カセット搬送装置Aにより図9に示すカセットステーション201の所定のカセット載置板211に載置される。その後、ウェハ搬送装置221によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、処理ステーション202の第3のブロックG3の例えば受け渡し装置253に搬送される。
【0068】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2の洗浄装置1に搬送され、ウェハWの周縁部Bの洗浄処理が行われる。なお、洗浄装置1における洗浄処理は、上記実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2の熱処理装置240に搬送され、温度調節される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第1のブロックG1の下部反射防止膜形成装置231に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、第2のブロックG2の熱処理装置240に搬送され、加熱され、温度調節され、その後第3のブロックG3の受け渡し装置253に戻される。
【0070】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置290によって同じ第3のブロックG3の受け渡し装置254に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2のアドヒージョン装置241に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によってレジスト塗布装置232に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置255に搬送される。
【0071】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置270によって上部反射防止膜形成装置233に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送されて、加熱され、温度調節される。その後、ウェハWは、周辺露光装置242に搬送され、周辺露光処理される。
【0072】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置256に搬送される。
【0073】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置290によって受け渡し装置252に搬送され、シャトル搬送装置280によって第4のブロックG4の受け渡し装置262に搬送される。その後、ウェハWは、インターフェイスステーション204のウェハ搬送装置300によって露光装置203に搬送され、露光処理される。
【0074】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置300によって露光装置203から第4のブロックG4の受け渡し装置260に搬送される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送され、露光後ベーク処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって現像装置230に搬送され、現像される。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送され、ポストベーク処理される。
【0075】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置250に搬送され、その後カセットステーション201のウェハ搬送装置221によって所定のカセット載置板211のカセットCに搬送される。こうして、一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0076】
以上の実施の形態においても、ウェハWにフォトリソグラフィー処理を行う前に、洗浄装置1においてウェハWの周縁部Bの付着物を適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、ウェハWから製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の洗浄装置を用いた場合の洗浄効果について説明する。本発明の洗浄装置としては、先に図1及び図2で示した洗浄装置1を用いた。本実施例において、浸漬容器30内には、75℃に加熱された純水を供給した。また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からは、75℃の純水を0.4MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けた。
【0079】
また比較例として、洗浄装置1の浸漬容器30を設けない場合の洗浄を行った。すなわち、純水でウェハWの周縁部Bを浸さずに、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けのみを行ってウェハWの周縁部Bを洗浄した。さらに別の比較例として、洗浄装置1に浸漬容器30を設けるが、浸漬容器30内に常温の23℃の純水を供給する場合の洗浄を行った。すなわち、ウェハWの周縁部Bを常温の純水で浸した後、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けを行ってウェハWの周縁部Bを洗浄した。なお、いずれの比較例においても、本実施例と同様に、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から75℃の純水を0.4MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けた。
【0080】
かかる条件下で洗浄処理を行った後、ウェハの周縁部の付着物(BSP:ベベルポリマー)の除去率を測定した結果を図12に示す。図12の縦軸は、付着物の除去率を示している。この除去率は、ウェハの周縁部の面積に対して、付着物が除去された面積の比率を示している。
【0081】
図12を参照すると、ウェハの周縁部を純水で浸さない場合には、付着物の除去率は41.67%であり、ウェハの周縁部を常温の純水で浸した場合には、付着物の除去率は53.27%であった。すなわち、いずれの場合も周縁部の付着物を除去しきれない。
【0082】
これに対して、本発明のように高温の純水でウェハの周縁部を浸した場合には、付着物の除去率は86.97%であり、周縁部の付着物をほとんど除去できることが分かった。すなわち、本発明の洗浄装置を用いた場合、ウェハの周縁部の付着物を適切に除去できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図3】浸漬容器の斜視図である。
【図4】浸漬容器内を純水が流れる様子を示した説明図である。
【図5】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図7】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図8】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図9】他の実施の形態にかかる塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す平面図である。
【図10】塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図11】塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図12】実施例において、洗浄処理後に、ウェハの周縁部の付着物の除去率を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1 洗浄装置
20 スピンチャック
30 浸漬容器
31 上面開口部
32 湾曲部
33 側面開口部
40 純水ノズル
50 第1の洗浄液ノズル
51 第2の洗浄液ノズル
70 洗浄液供給部
100 制御部
110 超音波発振部
120 第3の洗浄液ノズル
200 塗布現像処理システム
202 処理ステーション
B 周縁部
W ウェハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置、基板処理システム、洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。そしてこのレジストパターンをマスクとして、ウェハのエッチング処理が行われ、その後レジスト膜の剥離処理、ウェハの洗浄処理などが行われて、ウェハ上に所定のパターンが形成される。このように所定の層に所定のパターンが形成される工程が繰り返し行われて、半導体デバイスが製造される。
【0003】
上述したエッチング処理後の洗浄処理としては、例えばウェット処理室においてフッ酸溶液や純水によって水洗するウェット洗浄方法が知られている。しかしながら、このウェット洗浄方法では、主にウェハの表面に向けて純水等を吹き付けるため、ウェハの裏面に付着したパーティクルを除去することができない。
【0004】
そこで、従来より、ウェハの外周部を保持した状態で当該ウェハの裏面に2つの相状態を呈する物質を接触させて、ウェハの裏面に付着したパーティクルを除去する洗浄方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−147654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したエッチング処理では、例えばエッチングガスを用いたプラズマ処理が行われる。この場合、ウェハの周縁部のエネルギー状態はウェハの表面に比べて低くなる。そうすると、ウェハの周縁部には、エッチングガスが堆積していわゆるベベルポリマーが付着する。また、ウェハの周縁部には、エッチング処理などを行う処理装置から発生するポリマーなども付着する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄方法を用いた場合、ウェハの裏面を洗浄することはできるが、ウェハの周縁部に強固に付着した付着物まで除去することができない。また、この付着物がウェハの周縁部のどの場所に付着しているか明確ではなかったため、付着物の除去をさらに困難にしていた。そして、この付着物がウェハの周縁部に付着した状態でその後のフォトリソグラフィー処理が行われると、フォトリソグラフィー処理を適切に行うことができない。そうすると、当該ウェハから製造される半導体デバイスの品質が低下し、半導体デバイスの歩留まりが低下してしまう。
【0008】
特に、露光処理では、露光レンズと基板との間に液浸液、例えば純水を介して露光するいわゆる液浸露光が行われているが、この液浸露光を行う際、ウェハの周縁部の付着物が剥がれて液浸液中に混じることがある。そうすると、この付着物が光を遮光するため、露光を適切に行うことができない。この結果、当該ウェハから製造される半導体デバイスの品質が低下し、半導体デバイスの歩留まりが低下してしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板のフォトリソグラフィー処理前に、基板の周縁部に付着した付着物を適切に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置であって、基板を保持して当該基板を回転させる回転保持部と、基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける洗浄液ノズルと、側面に基板の周縁部を挿入するための開口部が形成され、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器と、を有することを特徴としている。なお、所定の圧力は、洗浄液ノズルから吹き付けられる洗浄液の温度に応じて設定される。また、常温とは例えば23℃である。
【0011】
本発明によれば、浸漬容器内に開口部から基板の周縁部を挿入して、当該浸漬容器内に貯留された純水で基板の周縁部を浸すことができるので、基板の周縁部に付着した付着物に純水を浸透させることができる。しかも、純水は常温より高い温度であるため、付着物が基板の周縁部から剥がれ易くなる。そして、回転保持部により基板を回転させて、純水に浸された基板の周縁部に対して洗浄液ノズルから常温より高い温度の洗浄液を吹き付けることができるので、基板の周縁部から剥がれ易くなった付着物を当該基板の周縁部から除去することができる。このように基板の周縁部に付着した付着物を2段階で除去できるので、付着物が強固に付着している場合でも、フォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部から付着物を適切に除去することができる。特に、基板の周縁部を高温の純水で浸しているので、基板の周縁部における付着物の付着場所が明確でなくても、当該付着物を基板の周縁部から適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、基板から製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0012】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であるのが好ましい。
【0013】
前記洗浄液ノズルは、複数設けられていてもよい。
【0014】
前記浸漬容器は、複数設けられていてもよい。
【0015】
前記浸漬容器の上面は開口し、前記洗浄装置は、前記浸漬容器の上方から当該浸漬容器内に常温より高い温度の純水を供給する純水ノズルをさらに有していてもよい。
【0016】
前記浸漬容器の前記開口部が形成された側面は、基板の外周に沿って湾曲していてもよい。
【0017】
前記浸漬容器には、当該浸漬容器内の純水に超音波を付与する超音波発振部が設けられていてもよい。
【0018】
別な観点による本発明の基板処理システムは、前記洗浄装置と、基板にフォトリソグラフィー処理を行う処理部と、を有している。
【0019】
また別な観点による本発明は、基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部に付着した付着物を除去する洗浄方法であって、基板の周縁部を常温より高い温度の純水で浸し、当該純水を前記付着物に浸透させる浸漬工程と、その後、前記基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付け、前記付着物を除去する吹付工程と、を有している。
【0020】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であるのが好ましい。
【0021】
前記浸漬工程において、基板の周縁部が浸される純水に超音波を付与してもよい。
【0022】
また別な観点による本発明によれば、前記洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0023】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板のフォトリソグラフィー処理前に、基板の周縁部に付着した付着物を適切に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる洗浄装置1の構成の概略を示す縦断面図であり、図2は、洗浄装置1の構成の概略を示す横断面図である。
【0026】
洗浄装置1は、図1に示すように内部を密閉することができる処理容器10を有している。処理容器10の一の側面には、図2に示すようにウェハWの搬入出口11が形成され、搬入出口には、開閉シャッタ12が設けられている。
【0027】
処理容器10内部には、図1に示すようにウェハWを吸着保持する回転保持部としてのスピンチャック20が設けられている。スピンチャック20は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック20上に吸着保持できる。
【0028】
スピンチャック20は、例えばモータなどを備えた駆動機構21を有し、その駆動機構21により所定の速度に回転できる。また、駆動機構21には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック20は上下動可能になっている。
【0029】
スピンチャック20の下方側にはガイドリング22が設けられており、このガイドリング22の外周縁は下方側に屈曲して延びている。前記スピンチャック20、スピンチャック20に保持されたウェハW及びガイドリング22を囲むようにカップ23が設けられている。カップ23は、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収することができる。
【0030】
このカップ23は上面にスピンチャック20が昇降できるようにウェハWよりも大きい開口部が形成されていると共に、側周面とガイドリング22の外周縁との間に排出路をなす隙間24が形成されている。前記カップ23の下方側は、ガイドリング22の外周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。カップ23の底部の内側領域には、カップ23内の雰囲気を排気する排気口25が形成されており、この排気口25には排気管25aが接続されている。さらに前記カップ23の底部の外側領域には、回収した液体を排出する排液口26が形成されており、この排液口26には排液管26aが接続されている。
【0031】
スピンチャック20の側方であってカップ23の内側には、内部に純水を一時的に貯留することができる浸漬容器30が設けられている。浸漬容器30は、水平方向(図1及び図2中のY方向)に移動可能になっている。
【0032】
浸漬容器30は、図3に示すように略直方体形状を有している。浸漬容器30の上面は開口し、上面開口部31が形成されている。浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの外周に沿って湾曲した湾曲部32が形成されている。また、浸漬容器30のウェハW側の側面には、ウェハWの周縁部を挿入するための側面開口部33が形成されている。かかる構成により、図2に示すようにウェハWの周縁部Bのみが側面開口部33から浸漬容器30内に挿入される。なお、湾曲部32は、その湾曲部32からウェハWの端部までの距離Lが、周縁部Bの長さと一致する長さ、例えば5mm〜8mmになるように形成されている。
【0033】
浸漬容器30の上方には、浸漬容器30内に純水を供給する純水ノズル40が配置されている。純水ノズル40には、純水供給源41に連通する供給管42が接続されている。純水供給源41内には、純水が貯留されている。供給管42には、純水を加熱する例えばヒータなどの加熱装置43と、純水の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群44とが純水供給源41からこの順で設けられている。
【0034】
そして、純水供給源41から供給された純水は、加熱装置43により例えば70℃以上に加熱され、純水ノズル40に供給される。加熱された純水は、図4に示すように純水ノズル40から浸漬容器30内に供給される。浸漬容器30内の純水は、当該浸漬容器30内を下方に流れ、ウェハWの下面と側面開口部33との間の隙間から流れ出る。したがって、ウェハWの周縁部Bは、浸漬容器30内の例えば70℃以上の高温の純水に浸される。なお、浸漬容器30内の純水の温度は、常温より高ければよく本実施の形態に限定されない。
【0035】
また、スピンチャック20の側方には、例えば浸漬容器30に対向する位置のウェハWの周縁部Bに対して洗浄液を吹き付ける第1の洗浄液ノズル50が設けられている。第1の洗浄液ノズル50は、その軸方向がウェハWの径方向と一致するように配置され、すなわち洗浄液がウェハWの周縁部Bの接線方向と直角方向に吹き付けられるように配置されている。さらに、スピンチャック20の下方には、第1の洗浄液ノズル50と共にウェハWの周縁部Bに対して洗浄液を吹き付ける第2の洗浄液ノズル51が設けられている。第2の洗浄液ノズル51は、その軸方向が鉛直方向になるように配置されている。なお、本実施の形態においては、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51が設けられていたが、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0036】
第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51には、洗浄液を供給する供給管60、61がそれぞれ接続されている。供給管60、61は、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群62を介して洗浄液供給部70に連通している。
【0037】
洗浄液供給部70は、内部に純水を貯留する純水供給源71と内部に不活性ガス、例えば窒素ガスを貯留する不活性ガス供給源72とを有している。純水供給源71と不活性ガス供給源72には、供給管73、74がそれぞれ接続されている。供給管73には、純水を加熱する例えばヒータなどの加熱装置75が設けられている。供給管73、74はその下流側で合流し、供給管76に接続される。供給管76は、供給機器群62に接続される。また、供給管76には、洗浄液を加熱する例えばヒータなどの加熱装置77が設けられている。
【0038】
そして、純水供給源71から供給管73に例えば0.5MPa〜1.0MPaで純水が供給される。供給された純水は、加熱装置75により例えば100℃に加熱される。一方、不活性ガス供給源72から供給管74に例えば0.5MPa〜1.0MPaで不活性ガスが供給される。これら純水と不活性ガスが供給管73、74の下流側で混合され、これにより生成された洗浄液は供給管76を流れる。生成された洗浄液は、加熱装置77により例えば130℃に加熱され、供給機器群62を介して第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51に供給される。そして、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から例えば70℃以上の高温の純水が、所定の圧力、例えば0.3MPa〜0.5MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けられる。なお、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から吹き付けられる純水の温度は、常温より高ければよく本実施の形態に限定されない。
【0039】
以上の洗浄装置1には、図1に示すように制御部100が設けられている。制御部100は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、洗浄装置1のスピンチャック20の回転動作と上下動作、供給機器群44による純水ノズル40の供給動作、供給機器群62による第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51の供給動作、洗浄液供給部70における洗浄液の生成動作などを制御するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。
【0040】
次に、以上のように構成された洗浄装置1を用いて行われるウェハWの周縁部Bの洗浄方法について説明する。
【0041】
例えばエッチング処理後、洗浄装置1に搬送されたウェハWは、先ず、スピンチャック20に吸着保持される。このとき、浸漬容器30は、ウェハWと緩衝しない位置に退避している。続いて、ウェハWを所定の位置まで下降させると共に、浸漬容器30を移動させて、ウェハWの周縁部Bを側面開口部33から浸漬容器30内に挿入させる。
【0042】
その後、ウェハWを例えば0.2rpm〜10rpmで低速回転させる。同時に、純水ノズル40から浸漬容器30内に例えば70℃以上の高温の純水を供給する。そして、ウェハWの周縁部Bが所定の時間、例えば約10秒間、高温の純水に浸される。そうすると、純水は周縁部Bに付着した付着物に浸透し、付着物は周縁部Bから剥がれ易い状態になる。
【0043】
その後、純水に浸されたウェハWの周縁部Bが第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51の位置まで到達すると、周縁部Bに対して、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から例えば70℃以上の高温の洗浄液が0.3MPa〜0.5MPaの高圧力で吹き付けられる。そうすると、この洗浄液により付着物が周縁部Bから剥がされ除去される。
【0044】
そして、ウェハWを例えば1〜2回転させて、周縁部Bの全周から付着物を除去すると、純水ノズル40からの純水の供給と、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けを停止する。その後、ウェハWを例えば2000rpmで例えば約15秒間高速回転させ、ウェハWに付着した純水や洗浄液を乾燥させる。こうして一連のウェハWの周縁部Bの洗浄処理が終了し、ウェハWは次のフォトリソグラフィー工程に搬送される。
【0045】
以上の実施の形態によれば、浸漬容器30内に側面開口部33からウェハWの周縁部Bを挿入して、当該浸漬容器30内に貯留された純水で周縁部Bを浸したことで、周縁部Bに付着した付着物に純水を浸透させることができる。しかも、純水は高温であるため、付着物が周縁部Bから剥がれ易くなる。そして、純水に浸された周縁部Bに対して第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から高温の洗浄液を吹き付けたので、周縁部Bから剥がれ易くなった付着物を当該周縁部Bから除去することができる。このようにウェハWの周縁部Bに付着した付着物を2段階で除去できるので、付着物が強固に付着している場合でも、フォトリソグラフィー処理前に周縁部Bから付着物を適切に除去することができる。特に、周縁部Bを高温の純水で浸しているので、周縁部Bにおける付着物の付着場所が明確でなくても、当該付着物を周縁部Bから適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、ウェハWから製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0046】
また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から吹き付けられる洗浄液は不活性ガスを含んでいるので、この不活性ガスがウェハWの周縁部Bに付着した付着物に衝突することにより、周縁部Bからの付着物の除去が容易になる。
【0047】
以上の実施の形態の浸漬容器30には、図5に示すように当該浸漬容器30内の純水に超音波を付与する超音波発振部110が設けられていてもよい。これによって、浸漬容器30内の純水がウェハWの周縁部Bの付着物にさらに浸透し易くなり、周縁部Bの付着物をより適切に除去することができる。
【0048】
また、以上の実施の形態の第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51を、図6に示すように複数設けてもよい。このとき、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51は、ウェハWの円周上に等間隔に設けられる。また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51に加えて、図7に示すように第3の洗浄液ノズル120をさらに設けてもよい。第3の洗浄液ノズル120は、その軸方向が周縁部Bの接線方向と一致するように配置される。さらに、浸漬容器30を、図8に示すように複数設けてもよい。このとき、浸漬容器30は、ウェハWの円周上に等間隔に設けられる。以上、いずれの実施の形態においても、ウェハWの周縁部Bの洗浄能力が向上するので、周縁部Bをより短時間で洗浄することができる。
【0049】
以上の洗浄装置1は、図9に示すようにウェハWにフォトリソグラフィー処理を行う基板処理システムとしての塗布現像処理システム200内に設けられていてもよい。
【0050】
塗布現像処理システム200は、図9に示すように例えば外部との間で複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション201と、フォトリソグラフィー処理の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理部としての処理ステーション202と、処理ステーション202に隣接する露光装置203との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション204とを一体に接続した構成を有している。
【0051】
カセットステーション201には、カセット載置台210が設けられている。カセット載置台210には、複数、例えば4つのカセット載置板211が設けられている。カセット載置板211は、水平方向のX方向(図9中の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらのカセット載置板211には、塗布現像処理システム200の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。なお、塗布現像処理システム200とその外部との間のカセットの搬入出は、工場内の処理装置間でカセットを搬送する図10に示す外部カセット搬送装置Aにより行われる。
【0052】
カセットステーション201には、図9に示すようにX方向に延びる搬送路220上を移動自在なウェハ搬送装置221が設けられている。ウェハ搬送装置221は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板211上のカセットCと、後述する処理ステーション202の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0053】
処理ステーション202には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション202の正面側(図9のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション202の背面側(図9のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション202のカセットステーション201側(図9のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション202のインターフェイスステーション204側(図9のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0054】
例えば第1のブロックG1には、図11に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置230、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下、「下部反射防止膜」という)を形成する下部反射防止膜形成装置231、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置232、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下、「上部反射防止膜」という)を形成する上部反射防止膜形成装置233が下から順に4段に重ねられている。
【0055】
例えば第1のブロックG1の各装置230〜233は、処理時にウェハWを収容するカップFを水平方向に複数有し、複数のウェハWを並行して処理することができる。
【0056】
例えば第2のブロックG2には、図10に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置240や、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置241、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置242、上述したウェハWの周縁部Bを洗浄する洗浄装置1が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置240は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、熱処理装置240、アドヒージョン装置241、周辺露光装置242及び洗浄装置1の数や配置は、任意に選択できる。
【0057】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置250、251、252、253、254、255、256が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置260、261、262が下から順に設けられている。
【0058】
図9に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置270が配置されている。
【0059】
ウェハ搬送装置270は、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置270は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0060】
ウェハ搬送装置270は、例えば図10に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1〜G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0061】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置280が設けられている。
【0062】
シャトル搬送装置280は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置280は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置252と第4のブロックG4の受け渡し装置262との間でウェハWを搬送できる。
【0063】
図9に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置290が設けられている。ウェハ搬送装置290は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置290は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0064】
インターフェイスステーション204には、ウェハ搬送装置300と受け渡し装置301が設けられている。ウェハ搬送装置300は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置300は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置と受け渡し装置301にウェハWを搬送できる。
【0065】
以上の基板処理システム1には、図9に示すように上述した制御部100が設けられている。制御部100のプログラム格納部には、洗浄装置1の動作を制御するプログラムに加えて、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、後述する塗布現像処理システム200の所定の作用、すなわちウェハWへのレジスト液の塗布、現像、露光、加熱処理、ウェハWの受け渡し、各装置の制御などを実現させるためのプログラムも格納されている。
【0066】
次に、以上のように構成された塗布現像処理システム200を用いて行われるウェハWの処理方法について説明する。
【0067】
先ず、複数枚のウェハWを収容したカセットCが、外部カセット搬送装置Aにより図9に示すカセットステーション201の所定のカセット載置板211に載置される。その後、ウェハ搬送装置221によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、処理ステーション202の第3のブロックG3の例えば受け渡し装置253に搬送される。
【0068】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2の洗浄装置1に搬送され、ウェハWの周縁部Bの洗浄処理が行われる。なお、洗浄装置1における洗浄処理は、上記実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2の熱処理装置240に搬送され、温度調節される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第1のブロックG1の下部反射防止膜形成装置231に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、第2のブロックG2の熱処理装置240に搬送され、加熱され、温度調節され、その後第3のブロックG3の受け渡し装置253に戻される。
【0070】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置290によって同じ第3のブロックG3の受け渡し装置254に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第2のブロックG2のアドヒージョン装置241に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によってレジスト塗布装置232に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置255に搬送される。
【0071】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置270によって上部反射防止膜形成装置233に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送されて、加熱され、温度調節される。その後、ウェハWは、周辺露光装置242に搬送され、周辺露光処理される。
【0072】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置256に搬送される。
【0073】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置290によって受け渡し装置252に搬送され、シャトル搬送装置280によって第4のブロックG4の受け渡し装置262に搬送される。その後、ウェハWは、インターフェイスステーション204のウェハ搬送装置300によって露光装置203に搬送され、露光処理される。
【0074】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置300によって露光装置203から第4のブロックG4の受け渡し装置260に搬送される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送され、露光後ベーク処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって現像装置230に搬送され、現像される。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって熱処理装置240に搬送され、ポストベーク処理される。
【0075】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置270によって第3のブロックG3の受け渡し装置250に搬送され、その後カセットステーション201のウェハ搬送装置221によって所定のカセット載置板211のカセットCに搬送される。こうして、一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0076】
以上の実施の形態においても、ウェハWにフォトリソグラフィー処理を行う前に、洗浄装置1においてウェハWの周縁部Bの付着物を適切に除去することができる。そうすると、その後のフォトリソグラフィー処理を適切に行うことができ、ウェハWから製造される半導体デバイスの品質を向上させ、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の洗浄装置を用いた場合の洗浄効果について説明する。本発明の洗浄装置としては、先に図1及び図2で示した洗浄装置1を用いた。本実施例において、浸漬容器30内には、75℃に加熱された純水を供給した。また、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からは、75℃の純水を0.4MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けた。
【0079】
また比較例として、洗浄装置1の浸漬容器30を設けない場合の洗浄を行った。すなわち、純水でウェハWの周縁部Bを浸さずに、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けのみを行ってウェハWの周縁部Bを洗浄した。さらに別の比較例として、洗浄装置1に浸漬容器30を設けるが、浸漬容器30内に常温の23℃の純水を供給する場合の洗浄を行った。すなわち、ウェハWの周縁部Bを常温の純水で浸した後、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51からの洗浄液の吹き付けを行ってウェハWの周縁部Bを洗浄した。なお、いずれの比較例においても、本実施例と同様に、第1の洗浄液ノズル50と第2の洗浄液ノズル51から75℃の純水を0.4MPaでウェハWの周縁部Bに吹き付けた。
【0080】
かかる条件下で洗浄処理を行った後、ウェハの周縁部の付着物(BSP:ベベルポリマー)の除去率を測定した結果を図12に示す。図12の縦軸は、付着物の除去率を示している。この除去率は、ウェハの周縁部の面積に対して、付着物が除去された面積の比率を示している。
【0081】
図12を参照すると、ウェハの周縁部を純水で浸さない場合には、付着物の除去率は41.67%であり、ウェハの周縁部を常温の純水で浸した場合には、付着物の除去率は53.27%であった。すなわち、いずれの場合も周縁部の付着物を除去しきれない。
【0082】
これに対して、本発明のように高温の純水でウェハの周縁部を浸した場合には、付着物の除去率は86.97%であり、周縁部の付着物をほとんど除去できることが分かった。すなわち、本発明の洗浄装置を用いた場合、ウェハの周縁部の付着物を適切に除去できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図3】浸漬容器の斜視図である。
【図4】浸漬容器内を純水が流れる様子を示した説明図である。
【図5】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図7】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図8】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す平面図である。
【図9】他の実施の形態にかかる塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す平面図である。
【図10】塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図11】塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図12】実施例において、洗浄処理後に、ウェハの周縁部の付着物の除去率を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1 洗浄装置
20 スピンチャック
30 浸漬容器
31 上面開口部
32 湾曲部
33 側面開口部
40 純水ノズル
50 第1の洗浄液ノズル
51 第2の洗浄液ノズル
70 洗浄液供給部
100 制御部
110 超音波発振部
120 第3の洗浄液ノズル
200 塗布現像処理システム
202 処理ステーション
B 周縁部
W ウェハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置であって、
基板を保持して当該基板を回転させる回転保持部と、
基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける洗浄液ノズルと、
側面に基板の周縁部を挿入するための開口部が形成され、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器と、を有することを特徴とする、洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液ノズルは、複数設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記浸漬容器は、複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記浸漬容器の上面は開口し、
前記洗浄装置は、前記浸漬容器の上方から当該浸漬容器内に常温より高い温度の純水を供給する純水ノズルをさらに有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記浸漬容器の前記開口部が形成された側面は、基板の外周に沿って湾曲していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記浸漬容器には、当該浸漬容器内の純水に超音波を付与する超音波発振部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄装置と、基板にフォトリソグラフィー処理を行う処理部と、を有することを特徴とする、基板処理システム。
【請求項9】
基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部に付着した付着物を除去する洗浄方法であって、
基板の周縁部を常温より高い温度の純水で浸し、当該純水を前記付着物に浸透させる浸漬工程と、
その後、前記基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付け、前記付着物を除去する吹付工程と、を有することを特徴とする、洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であることを特徴とする、請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記浸漬工程において、基板の周縁部が浸される純水に超音波を付与することを特徴とする、請求項9又は10に記載の洗浄方法。
【請求項12】
請求項9〜11の洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項1】
基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部を洗浄する洗浄装置であって、
基板を保持して当該基板を回転させる回転保持部と、
基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付ける洗浄液ノズルと、
側面に基板の周縁部を挿入するための開口部が形成され、内部に常温より高い温度の純水を貯留する浸漬容器と、を有することを特徴とする、洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液ノズルは、複数設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記浸漬容器は、複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記浸漬容器の上面は開口し、
前記洗浄装置は、前記浸漬容器の上方から当該浸漬容器内に常温より高い温度の純水を供給する純水ノズルをさらに有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記浸漬容器の前記開口部が形成された側面は、基板の外周に沿って湾曲していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記浸漬容器には、当該浸漬容器内の純水に超音波を付与する超音波発振部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄装置と、基板にフォトリソグラフィー処理を行う処理部と、を有することを特徴とする、基板処理システム。
【請求項9】
基板のフォトリソグラフィー処理前に基板の周縁部に付着した付着物を除去する洗浄方法であって、
基板の周縁部を常温より高い温度の純水で浸し、当該純水を前記付着物に浸透させる浸漬工程と、
その後、前記基板の周縁部に常温より高い温度の洗浄液を所定の圧力で吹き付け、前記付着物を除去する吹付工程と、を有することを特徴とする、洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄液は、不活性ガスが混合された純水であることを特徴とする、請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記浸漬工程において、基板の周縁部が浸される純水に超音波を付与することを特徴とする、請求項9又は10に記載の洗浄方法。
【請求項12】
請求項9〜11の洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−147262(P2010−147262A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323195(P2008−323195)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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