説明

生物活性化合物としての1,3−プロパンジオール誘導体

【課題】リポ酸などの脂肪酸からなる生物活性物質の脂質バリア透過性を向上させるとともに、リポ酸と異なる種類の脂肪酸からなる生物活性物質を同時に透過させる新規化合物。
【解決手段】特定の基本骨格からなる1,3−プロパンジオールに、C12〜30脂肪酸から導かれたアシル基,またはC12〜30脂肪族アルコール基と、リポ酸を結合させて、C12〜30脂肪酸から導かれたアシル基、またはC12〜30脂肪族アルコール基と、リポ酸を結合した1,3−プロパンジオール誘導体を生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は生物活性物質の提供に関し、生物活性物質の言葉の中には治療または健康保持においてヒトまたは動物の体に投与されるべき薬剤、必須栄養剤またはその他の何らかの化合物が含まれる。
とりわけ本明細書は、脂肪親和性であるので体内において脂質バリアを容易に通過することができる形状の生物活性物質の提供、または同一分子における二つの生物活性物質(少なくとも1種の生物活性物質が脂肪酸または脂肪族アルコールである)の提供、またはこれら二つの目的および/またはキラル中心のないかかる化合物の容易な製造の目的に役立つ形状の生物活性物質の提供に関する。薬剤規制の観点から、単一の分子として提示された二つの生物活性物質を持つことは二つの別々の分子を持つよりも極めて有利である。また新規な方法で既知の生物活性物質を提供する利点もある。これらの利点は増大した脂肪親和性、通常では共に提供されない二つの生物活性物質の付加的効果、および時として、かかる生物活性物質の相乗的効果を含む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、以下に詳細に考慮される、いくつかの連結分子を介する生物活性物質の連結、およびいくつかの化合物はそれ自体が全く新規であり、一方他のものは治療および/または健康維持における有用性の意味で新規である一連の化合物の製造に関する。しかしながら、たとえば脂肪酸および抗ウイルス剤に関する特許文献1、および脂肪酸および非ステロイド系抗炎症剤に関する継続中の特許文献2に開示されているように、現在クレームされていない、そして直接に生物活性物質に連結している、他の連結分子を用いる化合物についての議論が示されている。
【0003】
刊行文献 上記に論じたような概念は刊行された特許や一般文献においてあまり注目されなかった。しかしながら、いくつかの特定の天然産ジオール誘導体およびいくつかの特定のジオールエステルの栄養学的および薬学的用途に関する刊行物がある。
【0004】
一般文献における一つの情報源は、とりわけ1,3−プロパンジオールの長鎖ジエステルを記述するベルゲルソンらの論文(非特許文献1)である。ここでは、酸基についてはほとんど触れていないが、ジオレエートが確認されている。特許文献ではたとえば食用可能な脂肪擬似体がナビスコ(Nabisco)によって特許文献3および特許文献4において提示され、明らかに1,4−ブタンジオールのリノレン酸エステル(この言葉は他に付記しない限り“アルファ”異性体を示す)およびアラキドン酸エステルが含まれている。
【0005】
ユリレバー(Unilever)の特許文献5は、とりわけリノール酸およびリノレン酸(この場合も疑いもなくアルファ異性体である)の1,3−プロパンジオールエステルを用いる植物の生長と経済的な収穫に関する。2,3−ブタンジオールエステルの抗潰瘍剤がエスエス製薬社(SS Pharmaceutical Co.)の特許文献6に記述されている。短鎖脂肪酸のプロパンジオールエステルの種々の薬学的作用がサノフィ(Sanofi)の特許文献7に開示されている。恐らくより関連がうすいが、テルモ(Terumo)K.K.が特許文献8において、5−フルオルウラジルをα−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸またはエイコサペンタエン酸と基−CH(R)−O−(ここでR=メチルなど)を介して結びつけ、とりわけ抗ガン剤としている。
【特許文献1】EPA-0393920
【特許文献2】EP-95301315.8(EPA-0675103として発行)
【特許文献3】EPA-0405873
【特許文献4】EPA-0405874
【特許文献5】英国特許明細書2,161,477(EPA-0161114に対応)
【特許文献6】EPA-0056189
【特許文献7】EPA-0018342
【特許文献8】EPA-0222155
【非特許文献1】Bergelson et al(Biochim.,Biophys.Acta 116(1966)511-520)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
脂質バリア 多くの薬剤は細胞表面の受容体と結びつくことによって細胞膜表面に作用するか、または特定の移送系によって細胞内にとり込まれる。しかしながら、多くの薬剤は、核酸機能、細胞内酵素の作用、またはリソソームまたは微小管のような系の挙動のような多くの異なる機能の一つを変化させることによって細胞内作用するが、効果的に細胞内に浸透することができない。薬剤が結合することができる受容体や移送系が存在しなかったり、またはこれらの系が最高速度よりもより低い速度で細胞内に薬剤を移送するためと思われる。同様にミトコンドリアおよび核膜のような細胞内膜を最高速度よりもより低い速度で薬剤が透過するであろう。
【0007】
薬剤の移動にはその重要性が認められた他のバリアがある。とりわけ重要なものの一つは、血脳関門であり、細胞膜の多くの特徴を有している。この関門(バリア)の故に、多くの薬剤は脳内において適切な濃度に達することが困難である。他は皮膚である。数年前までは、その目的が皮膚上に作用する場合のみ薬剤は皮膚に塗られた。しかしながら、皮膚は特定系の作用によって薬剤を体内に取り込むための適切なルートであることが認められ、その結果としてより多くの化合物が絆創膏技術の変形によって投与されている。
【0008】
三つのタイプのバリアの全て、すなわち細胞膜および細胞内膜、血脳関門および皮膚は共通した重要な特徴、すなわちこれらバリアは実質的に脂質から構成されているとの特徴を有する。これが意味することは、受容体または移送系によって運び込まれない限り、これら膜は主として水溶性薬剤にとって非透過性であることである。これに対して、脂肪親和性の物質は何らかの特定の受容体または移送系を必要とすることなく、より容易にバリアを透過することができる。
【0009】
脂質バリアの通過が要求される生物活性体の種類 脂肪親和性の増大によって、その薬物動力学的挙動が改善される薬剤を、体内への経路に従って下記に列挙する。
1.細胞への取込み:主として細胞内への作用が特に有益とされる薬剤。これらには下記が含まれる:
a.ステロイド系または非ステロイド系のいずれにせよ、全ての抗炎症剤。
b.ガンの治療に使用される全ての細胞毒薬剤。
c.全ての抗ウイルス剤。
d.最高の効果を達成するために細胞内に入らねばならない全ての他の薬剤、とりわけDNAまたはRNA、または細胞内に位置する酵素、または第二の伝達系、または微小管、ミトコンドリア、リソソーム、またはいずれか他の細胞内小器官に作用する薬剤。
e.エストロゲン、プロゲスチン、アンドロゲン系ホルモンおよびデヒドロエピアンドロステロンのような細胞内に作用するステロイドホルモンおよび他のホルモン。
2.血脳関門:中枢神経系に作用する全ての薬剤は、この技術によってそれらの輸送が改善される。この薬剤には、精神医学において使用された全ての薬剤、いずれかの組織に関連した大脳感染症または大脳ガンに用いられる全ての薬剤、および抗テンカン剤のように神経細胞に作用する全ての薬剤および多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ハンティングトン舞踏病およびその他のような神経性疾患に作用する他の薬剤が含まれる。
3.皮膚:血脳関門におけるように、全身性的効果を達成するために皮膚の透過が要求される全ての薬剤は、それら薬剤の脂肪酸誘導体への変換によって利益が得られる。
論じたこころみは、たとえばアミノ酸に応用することができる。とりわけ興味のあることはタンパク質の成分として作用することは勿論、細胞の機能の制御における役割を演ずると思われるアミノ酸である。例にはトリプトファン(神経および筋肉機能の重要な常連である5−ヒドロキシトリプタミン〔5−HT〕の先駆体)、フェニルアラニン(カテコールアミンの先駆体)およびアルギニン(細胞活性の制御において同様に重要な役目を演ずる酸化窒素の合成の調節剤)が含まれる。
【0010】
一般的に参照した性質 一般に、ここで提示した化合物は、それらの脂肪親和性に加えて多くの利点を有している。与えられた脂肪酸の二つの部分、または一つの部分でさえも、経口、非経口または局所用調合物として体内に容易に取り入れられ、たとえば遊離脂肪酸に関連した如何なる副作用もなく極めて良好な耐性があり、適切な使用に安定でありすぎることがなく、キラル中心を持つ必要がなく、同一脂肪酸の三つの部分を有する、対応するトリグリセライドよりも、極めて容易に合成することができる形状で分配することができる。これに対してトリグリセライドはすぐれた耐性があり、良く使用されているにもかかわらず、合成がより困難であり、多様な異性体と共にキラル中心を有している故に提案した化合物よりも望ましくない。更にトリグリセライドでは脂肪酸が一つの位置から他の位置に比較的容易に移動して原製造物中には存在しない新しい分子を創世する。このことは、とりわけかかる不安定性を容認できない薬剤法規に関連して明らかに問題を引き起こす。
【0011】
二つの異なる脂肪酸が用いられる場合には、上述のような利点に加えて、一つの分子内に異なる生物学的作用を有する二つの物質を同時に投与することができる利点がある。このことは、二つの物質を別々の化合物として投与したときに発生する調整の問題を回避し、キラル中心の可能性がある場合に起こる問題を同時に回避する。二つの薬剤が別々の分子として用いられた場合には、調整の専門家はそれぞれの薬剤の別個の検討および同時の組合せで検討すべきことを要求する。もしも二つの薬剤が単一分子内に組合わされている場合には、単一分子についてのみ検討が必要となり、開発費が著しく低下する。
【0012】
脂肪酸以外の活性物質が存在する場合にも類似した利点がある。薬剤として許容される化合物、またはキラルのない(薬剤または他の化合物がそれら自身キラルでない限り)比較的脂肪親和性の化合物の形状で投与される他の化合物は比較的容易に活性部分を放出し、経口、局所または非経口投与に良好に用いられる。
【0013】
これら化合物の脂肪親和性によって、これら化合物は部分的にはリンパ系を経て吸収され、従って肝臓を迂回するので多くの化合物におけるよりも胃腸の炎症を生ずることが少なく、また皮膚、細胞膜および血脳関門のような脂肪親和性バリアを通過する薬剤および他の薬品の輸送を容易にする。
【0014】
多くの薬剤を更に脂肪親和性とすることによって、脂質バリアを容易に通過することに加えて興味ある特異な性質をこれら薬剤に付与することができる証拠がある。これら性質には、作用継続時間の延長、とりわけ胃腸への副作用の低減、最初に起こる肝臓代謝の回避、および潜在的には異なる物質の特定の部位への配分が含まれる。
【0015】
脂肪酸誘導体:脂肪酸の効果 活性物質の脂質膜を通しての輸送は、活性物質を直接に、または中間物の結合を介して、とりわけγ−リノレン酸(GLA)またはジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)と結合させることによって改善され、これら二つの脂肪酸はそれ自身、望ましい効果の範囲を有する。これらの結合は活性物質を、いずれかの輸送上の利点にかかわりなく、それ自身望ましい作用を有する脂肪酸と共に同一分子で共に分配することを可能にする。必須脂肪酸(EFAs)のいずれかのような、とりわけn−6およびn−3系EFAs(図1参照)の12の天然酸のような他の脂肪酸を用いることもできる。これら12の酸の中で、アラキドン酸、アドレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸は、これらがそれ自体で特に望ましい効果を有する故にとりわけ興味がある。更に、いずれかの脂肪酸、好適にはC12〜C30またはC16〜C30で望ましくは二つ以上のシスまたはトランス炭素−炭素2重結合を有する酸も使用される。使用は脂肪酸または対応する脂肪族アルコールの形状でなされる。共役リノール酸およびコロンビン酸はそれ自体が価値ある性質を有し、とりわけ使用されるであろう脂肪酸の例である。従って脂肪酸への参考文献は、一つまたは他の酸の化学が特異的に論じられている場合以外は、二つの形状として読まれるべきである。しかしながら、GLAおよびDGLAの望ましい性質は、これらの酸を目的のために特に価値あるものとしている。
【0016】
天然酸の必須脂肪酸は全てシス構造であり、対応するオクタデカン酸、エイコサン酸またはドコサン酸の誘導体として組織的に命名される。たとえばz,z−オクタデカ−9,12−ジエン酸またはz,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサン酸の如くであるが、対応する18:2n-6または22:6n-3のような、炭素原子の数、不飽和中心の数および鎖末端から不飽和がはじまるまでの炭素原子の数にもとづく数字による表示が便利である。イニシャル、たとえばEPAおよび短縮名称形、たとえばエイコサペンタエン酸がある場合には慣用名として用いられる。
【0017】

【0018】
GLAおよびDGLA GLAおよびDGLAはそれ自体で抗炎症効果を有すること、血圧を低下すること、血小板の凝集を抑制すること、コレステロールのレベルを低下すること、ガン細胞の生長を抑制すること、運動異状の症状を低減すること、胸部の苦痛を和らげること、カルシウムの吸収を改善し、骨への蓄積を高めること、電離放射線の有害な効果を低減すること、種々の精神疾患を治療すること、血管拡張をもたらすこと、腎臓機能を改善すること、糖尿病合併症を治療すること、血管を膨張させることなどが示されている。従ってGLAおよびDGLAに結合した活性物質は、より脂肪親和性になり、全ての膜、皮膚および血脳関門の透過性が高められるばかりでなく、新規かつ付加的な治療効果をも示すようになる。よって脂肪酸化合物は、相互に二つの部分からなるプロドラッグ(もしも脂肪酸と活性物質が直接結合したならば)、であり、または相互に三つの部分からなるプロドラッグ(もしも一つの中間部を介して結合している場合には)である。これに関して格別に価値のある他の脂肪酸は、全ての細胞膜の主要な構成成分であるアラキドン酸およびドコサヘキサエン酸、アドレン酸、およびGLAおよびDGLAのそれに類似の望ましい性質の範囲を有するステアリドン酸およびエイコサペンタエン酸である。特別に興味がある図1の脂肪酸に含まれなかった脂肪酸は、共役リノール酸(cLA)およびコロンビン酸(CA)である。cLAはガンの治療と予防に、特にタンパク質含有組織の生長促進に、心血管疾患の予防と治療に、そして酸化防止剤として興味ある効果の範囲を有する。CAは必須脂肪酸の多くの性質を有する。
【0019】
生物活性脂肪酸と相互効力を有する活性物質の種類 本書で述べた化合物に組み込まれるべき活性物質の種類は広義には下記のようである。
a)抗生物質、抗原生動物剤、抗精神病剤、抗うつ剤およびNSAID、および心血管、呼吸器、皮膚、精神科的、神経学的、腎臓、筋肉、胃腸、生殖器および他の疾患およびガンの治療に用いた化合物を含む薬剤。
b)ホルモン。
c)アミノ酸。
d)ビタミン、とりわけB群、および他の必須栄養素。
e)サイトカインおよびペプチド。
f)神経伝達物質および神経伝達物質先駆体。
g)直接的に、またはホスフェート部分を介して結合することができる、イノシトール、コリン、セリンおよびエタノールアミンのようなリン脂質頭部群。
h)ガンの治療に特に効果があるフェニル酢酸、フェニル酪酸および桂皮酸のような芳香族脂肪酸。
【0020】
効力 薬剤の治療効果と脂肪酸の治療効果との組合せは下記の例によって考えることができる:
a)向精神薬を脳機能に重要な役割を有するGLA、DGLA、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のような脂肪酸と結合させると、二重の治療効果が与えられる。
b)心血管疾患の治療に用いた薬剤を、トリグリセライド・レベルを低下させ、血小板凝集を抑制するGLAまたはDGLA、または有効なコレステロール低下剤であるアラキドン酸、または抗不整脈の性質を有するDHAのように、治療に効果のある脂肪酸と結合させる。
c)なんらかの形の炎症の治療に用いた薬剤を、同様に抗炎症作用のあるγ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸またはエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸のような脂肪酸と結びつける。
d)骨粗鬆症の治療に用いた薬剤を、カルシウムの骨への取込みを促進するGLAまたはDGLA、または尿へのカルシウム排出を減少させるEPAまたはDHAと結びつける。
e)皮膚病に用いた薬剤を、皮膚の抗炎症効果を有するGLAまたはDGLAと結合させる。
f)ガンに用いた薬剤を、それ自体に抗ガン効果があり、かつ抗ガン剤に対して逆抵抗力があるGLA、DGLA、アラキドン酸、EPAまたはDHAと結びつける。
【0021】
必須脂肪酸を生物活性物質として用いる考え 必須脂肪酸(EFAs)はすでに述べたとおりであり、かつ良く知られており、一連の12の化合物から成る。n−6系の母体化合物であるリノール酸およびn−3系の母体化合物であるα−リノレン酸は主要な食事療法のEFAではあるが、これら物質はそれ自体では体内における役割は比較的低い。人体に十分に有用であるためには、これら母体化合物はより長鎖の、かつより高度に不飽化された化合物に代謝されなければならない。細胞膜および他の脂質反応におけるレベルによって判断した定量的意味からすれば、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)およびアラキドン酸(AA)はn−6系の主要なEFA代謝物であり、一方、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)はn−3系の主要な代謝物である。DGLA、AA、EPAおよびDHAは人体における大部分の脂質の重要な構成成分である。それ自体で重要であると同様に、これらの酸はプロスタグランジン、ロイコトリエンおよび他の化合物を含む広範囲の酸化誘導体、すなわちエイコサノイドを与えることができる。治療上で特に価値があると思われる脂肪酸は、DGLA、AA、EPAおよびDHA、ならびにDGLAの先駆体であるGLA、EPAの先駆体であるステアリドン酸(SA)、およびDHAの先駆体であるDPA(22:5n-3)、およびアドレン酸である。
【0022】
更にEFAではないが人体において重要な効果を有するオレイン酸、パリナル酸およびコロンビン酸のような脂肪酸がある。これらの中で最も興味があるものの一つは、早くから一連の望ましい効果を有することが注目されていた共役リノール酸である。
【0023】
以前は、栄養および病気の治療の両方において、リノール酸およびα−リノレン酸を供給すれば十分であり、体自体の代謝が以後の工程を行なうであろうと考えられていた。しかし現在では、これは正しくないことが広く受け入れられている。異なる病気は異なる異状なEFAsのパターンを有し、かつ代謝上の問題の故に、リノール酸やα−リノレン酸を与えることで単純にはなおすことができない。従って多くの状況において、他のEFAsの一種を大量に与えること、または二種以上のEFAsを同時に与えることが適切である。EFAsは種々の形状で、かつ種々の混合物で供給することができるが、栄養および医学的治療の双方において脂肪酸を特定の分子として与えるのが便利である。種々の状況におけると同様に、EFAまたは他の脂肪酸をアミノ酸、ビタミン、薬剤またはそれ自体が望ましい性質を有する他の分子と共に与えるのが望ましい。
【0024】
現在までのところ、二種の脂肪酸の同時投与の計画は、必須脂肪酸は天然ではトリグリセライドの形で存在するので、特定のトリグリセライドの形で行なわれていた。しかしながらトリグリセライドは、2の位置の炭素に関して対称でない限りキラルであり、この事実はα−およびβ位置の間のアシル基の移動と共に特定のトリグリセライドの製造を困難にしている。この移動は製造の後に起こることがあり、薬剤調整に特別の問題を提供している。同一のトリグリセライド分子に二つの脂肪酸が存在する場合の特異性欠如は、製造、薬理学、調合および安定性において多くの問題を生じている。更にトリグリセライド製造に手間がかかり、かつ困難である。類似した条件下で処理したとき、プロパンジオール誘導体は、はるかにより迅速に製造することができる。
【0025】
異なる脂肪酸を同時に、または単一の脂肪酸を大量に許容された形状で大量に投与することの便利さの目的のために、望ましくはジオールの形状での使用がなされた。
本発明に従って組み込まれるべき生物活性物質の化学的性質 本明細書は、利用可能なカルボキシル、アルコールまたはアミノ基を有する生物活性物質の脂肪酸(または脂肪族アルコール)誘導体であって、明確に限定された化学的実体が形成されている誘導体をカバーする。結合によって二つの部分からなる化合物、または適切な結合基の介在によって三つの部分からなる化合物を直接に形成することができ、構成部分の数に応じて、化合物を分裂することができる。
【0026】
生物活性物質の化学的種類 化合物の種類は下記のとおりであり、ここでn=1〜3である。クレームされた物質はクラス(a)(ii);n=3のジエステルを含む。またクレームされた物質にはクラス(b)(iv);n=3のホスフェートエステルがある。nがより大きい、またはより小さい数の物質、または結合がエステル結合でない物質は同様な理由で価値があり、開示されているが、大部分は現在はクレームされていない。
【0027】
(a)遊離カルボキシル基を有する生物活性物質−下記のように誘導することができる。
(i)不飽和脂肪族アルコール(UFA)とのエステル結合


(ii)不飽和脂肪酸のω−ヒドロキシアルキルエステルとのエステル結合

(iii)不飽和脂肪族アルコールのω−ヒドロキシアルキルカルボキシエステルとのエステル結合

【0028】
(b)遊離ヒドロキシル基を有する生物活性体−これは下記のように誘導することができる。
(i)不飽和脂肪酸とのエステル結合


(ii)不飽和脂肪族アルコールのω−カルボキシアルキルカルボキシエステルとのエステル結合


(iii)不飽和脂肪酸のω−カルボキシアルキルエステルとのエステル結合


(iv)不飽和脂肪酸のω−ヒドロキシアルキルエステルとのホスフェートエステル結合

【0029】
(c)遊離アミノ基を有する生物活性体−これらは下記のように誘導される。
(i)必須脂肪酸とのアミド結合

(ii)必須脂肪族アルコールのω−カルボキシアルキルカルボキシエステルとのアミド結合


(iii)必須脂肪酸のω−カルボキシアルキルエステルとのアミド結合


上記カテゴリーの全てにおいて、nは好適には1〜3であり、不飽和脂肪酸またはアルコールの炭素鎖は下記によって表わしている。

【0030】
これらカテゴリーのすべてにおいて、“不飽和脂肪酸”(およびこれから導かれた“不飽和脂肪族アルコール”)は、オレイン酸(およびオレイルアルコール)および二つまたはそれ以上のシスまたはトランス二重結合を有するいずれかの脂肪酸(または対応する脂肪族アルコール)から成る群のメンバーを表わす。しかしながら、関連する最も価値のある脂肪酸は、図1に示した必須脂肪酸であり、とりわけGLA、DGLA、AA、SA、EPAおよびDHAである。特別の目的のためには、共役リノール酸およびコロンビン酸が最も興味がある。
【0031】
製造の一般的議論 個々の脂肪酸は自然の動物、植物または微生物源から精製され、または当業者に知られた方法によって化学的に製造され、または更に開発される。
個々の脂肪族アルコールは当業者に知られた方法により、上記に概説した脂肪酸の化学的還元によって製造され、または更に開発される。
【0032】
クラス(a),(b)および(c)〔サブクラス(ii)および(iii)〕において生物活性物質を取り入れるためには一つまたはそれ以上のエステル結合の形成が必要である。かかる化学はエステル合成の妥当ないずれかの方法、とりわけ下記の方法によって達成される。
【0033】
(a)アルコールと、酸塩化物、酸無水物または好適に活性化されたエステルを、有機第3級塩基、たとえばピリジンの存在下または非存在下、好適な不活性溶媒、たとえばジクロルメタン中で0℃〜120℃の温度で反応させる方法。
(b)アルコールを、酸または短鎖または中程度の鎖のアルキルエステルと好適な酸触媒、たとえば4−トルエンスルホン酸の存在下に、好適な不活性溶媒、たとえばトルエン中で、または溶媒なしで、50〜180℃の温度で反応させ、反応で形成した水を、たとえば減圧下に除去する方法。
(c)アルコールを酸と、縮合剤、たとえば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に、好適な有機第3級塩基、たとえば4−(N,N−ジメチルアミノピリジン)の存在下、または塩基なしで、不活性溶媒、たとえばジクロルメタン中で0℃〜50℃の温度で反応させる方法。
(d)アルコールを酸または酸の短鎖または中程度鎖のアルキルエステルと、または酸の活性化エステル、たとえばビニルエステルと、加水分解酵素たとえば豚肝臓エステラーゼの存在下に、好適な溶媒、たとえばヘキサンと共に、または溶媒なしで、20℃〜80℃の温度で、副生成物の水、またはアルコールまたはアルデヒドが、たとえば減圧下に除去されるような条件で反応させる方法。
(e)酸を好適なアルコール誘導体、たとえばヨー化物と、好適な塩基、たとえば炭酸カリウムの存在下に、または非存在下に、好適な溶媒、たとえばジメチルホルムアミド中で0℃〜180℃の温度で反応させる方法。
(f)アルコールを酸の短鎖または中程度鎖のアルキルエステルと、M+OY-型のアルコキシド(ここでMはアルカリまたはアルカリ土類金属、たとえばナトリウムであり、Yは1〜4炭素原子を有するアルキル基で、分技、非分技、飽和または不飽和である)の触媒量の存在下、好適な溶媒、たとえばトルエンの存在下、または非存在下、50℃〜180℃の温度で反応させ、低級アルコールHOYを反応混合物から、たとえば減圧下に除去する方法。
クラス(c)における生物活性物質の組み入れにはアミド結合の形成が要求される。かかる化学は、アミド合成のいずれかの適切な方法、とりわけ下記の方法によって達成される。
(g)アミンを酸塩化物、酸無水物または好適に活性化されたエステルと、有機第3級塩基、たとえばピリジンの存在下、または非存在下に、好適な溶媒、たとえばジクロルメタン中で0℃〜120℃の温度で反応させる方法。
(h)アミンを酸と、縮合剤、たとえば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に、好適な有機第3級塩基、たとえば4−(N,N−ジメチルアミノピリジン)の存在下、または非存在下に、不活性溶媒、たとえばジクロルメタン中で0℃〜50℃の温度で反応させる方法。
(i)アミンを酸または酸の短鎖または中程度の鎖のアルキルエステル、または酸の活性化されたエステル、たとえばビニルエステルと、加水分解酵素、たとえば豚肝臓エステラーゼの存在下に、好適な溶媒、たとえばヘキサン中で、または溶媒なしで、20℃〜80℃の温度で副生成物の水またはアルコールまたはアルデヒドが、たとえば減圧下で除去されるような条件で反応させる方法。
クラス(b)(iv)における生物活性物質の組み入れには、ホスフェートエステル結合の形成が必要である。かかる化学はホスフェートエステル合成のいずれかの適切な方法、とりわけ下記の方法によって達成することができる。
(j)アルコール(たとえばUFA、3−ヒドロキシプロピルエステル)を好適に活性化されたホスフェート誘導体(たとえばPOCl3)と第3級塩基(たとえばEt3N)と共に好適な溶媒(たとえばTHF)中で10℃より低い温度で反応させて、粗ホスホロジクロリデートを生成させる方法。
この方法では、引き続きアルコール(たとえばα−トコフェロール)を粗ホスホロジクロリデートと、第3級塩基(たとえばEt3N)と共に好適な溶媒(たとえばTHF)中で、ほぼ周辺温度で反応させて粗ホスホロクロリデートを生成させる。これを加水分解(たとえば水およびEt3Nを加えて)してホスホジエステルを生成させる。これに対して、メタノールを加えるとホスホルトリエステルを生成し、これは好適な求核剤(たとえば臭化リチウム)を用い、好適な溶媒(たとえばメチルエチルケトン)中で脱メチル化されると、ホスホジエステルを生ずる。
(k)ホスホモノエステル(たとえばUFAのホスフェート、3−ヒドロキシプロピルエステル)をアルコール(たとえばコリン)と縮合剤(たとえば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下に好適な溶媒中、好適な温度で反応させる方法。
(l)2−デオキシ−2−リソホスファチジルコリンとホスホリパーゼDを触媒として第1級または第2級アルコールのトランスホスファチジル化反応。
【0034】
一般に上記反応コースの化学は結合される化合物の性質および結合が直接的であるか、または間接的であるかに依存する。脂肪酸の対は、たとえば脂肪酸−脂肪族アルコールエステルまたは無水物として直接的に結合することができ、もしもジオール結合子が用いられると、より一般的な便利な、脂肪酸へのエステル結合に代わって脂肪族アルコールへのエーテル結合が形成される。全ての場合において、結合はそれ自体、化学的に知られている。
直接的に、または結合、とりわけ1,3−プロパンジオール結合を介して結合した活性物質の対の例活性物質の対の例を下記に示す。得られた化合物は我々の知識からするとほとんど新規である。そうであるならば、これら化合物は新規な化学的実体として本発明の一部を提示するものであり、現時点でクレームされているか否かにかかわらず、病気の治療または予防への使用も同様に新規である。
【0035】
脂肪酸
GLA−OA(OA=オレイン酸)、GLA−GLA、EPA−EPA、GLA−EPA、GLA−DHA、AA−DHA、AA−EPA、GLA−AA、GLA−SA、SA−DHA、AA−SA、DGLA−DGLA、DGLA−GLA、DGLA−SA、DGLA−AA、DGLA−EPA、DGLA−DHA、AA−AA、EPA−SA、EPA−DHA、DHA−DHA、cLA−cLA、cLA−GLA、cLA−DGLA、cLA−AA、cLA−SA、cLA−EPA、cLA−DHA、CA−CA、CA−GLA、CA−DGLA、CA−AA、CA−SA、CA−EPA、CA−DHA。
【0036】
ビタミン
GLA−ナイアシン、GLA−レチン酸、GLA−レチノール、GLA−ピリドキサル、ジ−GLA−ピリドキシン、ジ−EPA−ピリドキサルおよび一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、アスコルビン酸、ビタミンDおよびその誘導体および類似体、ビタミンEおよびその誘導体および類似体、ビタミンKおよびその誘導体および類似体、ビタミンB1(サイアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、葉酸および関連するプテリン、ビタミンB12、ビオチンおよびパントテン酸を含む、いずれかのビタミン。
【0037】
アミノ酸
GLA−トリプトファン、GLA−プロリン、GLA−アルギニン、GLAまたはDHA−フェニルアラニン、GLA−GABA、GLA−アミノレブリン酸および一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、天然産アミノ酸またはタウリンおよびカルニチンのような関連化物のいずれか。
【0038】
芳香族酸
GLA−フェニル酪酸、GLA−フェニル酢酸、GLA−トランス−桂皮酸、および一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、芳香族アルカン酸または芳香族アルケン酸のいずれかとの対。
【0039】
ステロイド
GLA−ヒドロコルチゾン、GLA−エストラジオール、GLA−およびDHA−デヒドロエピアンドロステロンおよび一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、いずれかのエストロゲン、いずれかのプロゲスチン、いずれかのアドルナルステロイドおよびいずれかの抗炎症性ステロイド、とりわけベータメタソン、プレドニソン、プレドニソロン、トリアムシノロン、ブデソニド、クロベタソル、ベクロメタソンおよび他の関連ステロイドのような、いずれかの天然または合成ステロイド。
【0040】
抗酸化剤
GLA−リポ酸、DHA−リポ酸、GLA−トコフェロール、ジ−GLA−3,3’−チオジプロピオン酸および一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、天然産または合成抗酸化剤で前記酸と化学的に結合しうるもの。これら抗酸化剤には、フェノール系抗酸化剤〔たとえば、オイゲノール、カルノシン酸、カフェイン酸、BHT、没食子酸、トコフェノール、トコトリエノールおよびフラボノイド抗酸化剤(たとえばミリセチン、フイセチン)〕、ポリエン(たとえばレチン酸)、不飽和ステロイド(たとえばΔ5−アベノスチロール)、有機イオウ化合物(たとえばアリシン)、テルペン(たとえばゲラニオール、アビエチン酸)およびアミノ酸抗酸化剤(たとえばシステイン、カルノシン)が含まれる。
【0041】
薬剤
GLAおよびインドメタシン、イブプロフェン、フルオキセチン、アンピシリン、ペニシリンV、スリンダク、サリチル酸、メトロニダゾール、フルフェナジン、ダプソン、トラニルシイプロミン、アセチルカルニチン、ハロペリドール、メパクリン、クロロキン、ペニシリン、テトラサイクリン、プラバスタチン、エフィドロン酸、パミドロン酸およびクロルドロン酸およびこれらのナトリウム塩のようなビスホスフェート、X線対照媒体として用いるアデノシルスクシネートおよびアデニロスクシネートおよび関連化合物および薬品、および一般的には、たとえばGLA、DGLA、AA、SA、EPAまたはDHAのいずれかと、いずれかの薬剤、とりわけ感染症、種々の形の関節炎、ガン、心血管疾患、呼吸器疾患、皮膚疾患、精神病、神経疾患、筋肉疾患、腎臓病、胃腸疾患、生殖器および他の疾患を含む炎症性疾患の治療に用いられた、いずれかの薬剤。
【0042】
NSAIDに適用された概念:示された有効性 論じられた概念の具体的な例として、発明者らは種々の非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の誘導体、とりわけGLA−インドメタシンのエステルを製造した。インドメタシンは非ステロイド系抗炎症性薬剤として、アラキドン酸を炎症性のプロスタグランジン先駆体代謝物に変換するシクロオキシゲナーゼ酵素を抑制する主として細胞内の作用機構を有すると信じられている。
【0043】
インドメタシンは細胞内にほとんど浸透せず、従って比較的大量に投与しなければならず、このため多くの副作用を生ずることが知られており、そこでインドメタシン−GLAについて正常な繊維芽細胞、乳ガンおよび悪性黒色腫細胞を用いて、細胞浸透能力をインドメタシン自身のそれと比較した。
結果をEPA-0675103に述べ、全ての細胞系において、インドメタシンと共に培養後の細胞内インドメタシンのレベルは極めて低く、微量が検出されるにすぎないことを示した。これに対して、再び全ての細胞系において、インドメタシン−GLA共存下の培養では、細胞内に極めて大量のインドメタシン−GLAおよび遊離インドメタシンの両方が見出された。この結果はインドメタシンのGLAエステルが細胞内に効果的に浸透し、次いで細胞内で脱エステル化されて遊離のインドメタシンを与えることを明確に示している。そして、細胞膜バリアと血脳関門および皮膚バリアの間の多くの類似性の見地からインドメタシン−GLAは同様にインドメタシンのこれらバリアの透過の促進に有効と考えられる。かかる透過および活性物質の遊離状態への開裂は本書に開示した全ての化合物についても期待される。
【課題を解決するための手段】
【0044】
クレームされた本発明 本発明の概要はクレームに述べたとおりであり、第1クレームは治療に用いるための化合物に関するものであり、1,3−プロパン残基が残基R1およびR2との間で結合を形成している。ここでR1はアシル基またはC12〜30、好ましくはC16〜30の、望ましくは二つまたはそれ以上のシスまたはトランス二重結合を有する脂肪酸から導かれた脂肪族アルコール基であり、R2は水素またはアシル基またはR1と同一または異なる脂肪族アルコール基、またはいずれか他の栄養素、薬剤または他の生物活性残基である。
この化合物は一般的には酸官能基を有する活性物質であり、たとえば脂肪族アルコールまたは他のヒドロキシ官能基を有する活性物質によって直接的にジオール残基へとエステル化され、とりわけR2が栄養素、薬剤またはヒドロキシまたはアミノ基を有する他の生物活性物質のとき、ホスフェート、スクシネートまたは他の二官能性酸基をR1および/またはR2基および1,3−プロパンジオール残基との間に挿入することができる。
本発明については、下記に広範囲に論ずるが、体内において放出可能な、広範囲な活性物質に関する。
【0045】
生物活性物質と脂肪酸との直接結合(クラス(a)〔i〕、(b)〔i〕および(c)〔i〕については上記に論じたが、本発明は主としてクラス(a)〔ii〕、n=3に関し、ここで生物活性物質は、脂肪酸自体であっても良いが、1,3−プロパンジオールのジエステルとして脂肪酸と結合し、クラス(b)〔iv〕、n=3では、生物活性物質は、脂肪族アルコールまたは脂肪酸の3−ヒドロキシプロピルエステル自体であっても良いが、ホスフェート結合を介して1,3−プロパンジオールの脂肪酸モノエステルと結合している。このジオールは、また2−デオキシグリセロールと、および対応するジエステルの2−デオキシ−1,3−ジグリセライドと考えることもできる。クラス(b)〔iv〕、n=3の化合物もまた1,3−プロパンジオールにもとづくものであり、2−デオキシ−2−リソホスホリピドと考えることができる。ここに列挙した化合物は、ほとんど全てが新規化合物、または少なくともヒトまたは動物疾患の治療に今まで用いられたことがない。
【0046】
ジオールを結合子として用いた化合物については、広範囲に、多くの他のジオールについて文献に開示されているが、必須脂肪酸ジエステルの形で、または一つの位置に必須脂肪酸を有し、他の位置に生物活性物質(必須脂肪酸ではない)を有する化合物での治療への使用は共に知られておらず、とりわけ重要であると考える。事実、グリセロール(3)−モノエステルおよびジグリセライド(α,βおよび1,3、ここで位置1の脂肪酸は位置3のそれと異なる)に存在するキラル中心が存在せず、また位置の異性体も存在しないので、もしも完全に限定された化合物が要求されるならば、単一脂肪酸をモノエステルまたはジエステルとして与える好適な方法が提供される。更に個々の酸の投与とは別に、かかるモノおよびジエステルは薬学的調合における乳化剤としての価値がある。1,3−プロパンジオール構造は天然トリグリセライドのグリセロールおよび効果的かつ安全な分配系に近似している。
【0047】
更に、トリグリセライドにおいて示されたアシル基の移動の問題もなく、かつ光学異性体による複雑さもなく、特定の化合物を容易かつ明確に合成することができる。本発明者らは、たとえば1,3−プロパンジオールGLA/EPAジエステル乳化液の静脈注入および経口投与によって遊離GLAおよびEPAが急速に生体内に放出されること、およびGLAがAAに、およびEPAがDHAに更に代謝されることを明らかにした。
同様に、GLA−GLAおよびEPA−EPAジエステルおよびナイアシン−GLAおよびインドメタシン−GLAジエステルは経口投与の後に吸収され、活性物質を放出することを示した。
【0048】
更に、本発明者が知っている限りでは第17,18および19頁に述べた全ての1,3−プロパンジオールから導いた化合物は、今まで記述されたことのない新規化合物である。列挙した二つの脂肪酸の特定のジオール、およびGLA、DGLA、AA、SA、EPA、DHA、cLAおよびCAのリストから取り出された脂肪酸が一つの位置に存在し、他の位置がビタミン、アミノ酸、芳香族酸、ステロイド、抗酸化剤または他の治療用薬剤であるジオールは新規物質である。
【0049】
脂肪酸ジエステルは広範に変化した可能な用途を有する。ジエステルは、脂肪酸の異状が確認されている疾患の治療または予防のための薬剤として用いられる。食品へ添加することができ、または疾患の治療または予防のために特定の脂肪酸を要求する人への栄養補給成分として添加または用いられる。また獣医用途のための食品または薬剤としても用いられる。更にスキンケアのために用いることができる。
【0050】
現在クレームに含まれている利点および種々の詳細な状況からすると、本発明は下記を提供する。
(i)治療または栄養の目的で、一つまたは二つの不飽和脂肪酸部分、または一つの不飽和脂肪酸および脂肪酸ではない一つの生物活性物質を投与するための便利かつ安全な方法。
(ii)天然産n−6またはn−3系の必須脂肪酸、とりわけGLAまたはDGLA、AA、SA、EPAまたはDHAまたは関連脂肪酸のcLAまたはCAとの1,3−プロパンジオール結合によって細胞に入るか、または皮膚、血脳関門または他のバリアを通過してその作用を発揮するために、人体における脂質膜を越えることが要求される生物活性物質の誘導体。
(iii)薬剤および脂肪酸が共に効能があるような、薬剤の脂肪酸誘導体。
(iv)上記のような形状の薬剤の投与を特徴とする、人体における脂質膜を越える薬剤の輸送を改善する方法。
(v)上記のような形で医薬中に薬剤を取り込むことを特徴とする、人体における脂質膜を越えての薬剤の輸送を含む、治療の改善のための薬剤の製造方法。
(vi)上記(ii)のリストから一つまたは二つの脂肪酸を分配するための、またはこれら脂肪酸の一つを他の活性剤と共に分配するための、医薬の製造方法。
【0051】
特定の化合物の例を本書のはじめに、製造例を後半に示した。
一般的効果および用途 化合物の特定の基の特別の使用は本書の他の場所に示した。しかしながら、1,3−プロパンジオールジエステルの一般的有用性を以下に示した。
【0052】
1.脂肪酸の許容性の改善。トリグリセライドの場合は別にして、脂肪酸が投与される全ての形状は、遊離酸、塩、エチルエステルおよび他のグリセライドを含めて、悪心、嘔吐および下痢によって示されるように、ある程度の胃腸の過敏症をもたらす。ラットおよびマウスによる動物実験によって、プロパンジオールジエステルには著しく良好な許容性を示すことが見出された。たとえば、GLA−GLAおよびGLA−EPAジエステルはラットおよびマウスに何らの下痢症状を示さずに10g/kgまで与えることができた。このことは、ジエステルは生物学的に活性な脂肪酸投与の、容易に許容可能な方法であることを示している。
2.薬剤の毒性低減。アスピリンおよびインドメタシンのような非ステロイド系の抗炎症剤は、胃および腸の潰瘍および胃腸系への出血をともなう激しい胃腸毒性をもたらすことで有名である。胃腸の潰瘍の原因となることが知られているインドメタシンの投与量(5〜30mg/kg)が遊離インドメタシンの形で、またはインドメタシンの同一量が1,3−プロパンジオールの一方の位置、GLAが他方の位置にある1,3−プロパンジオールジエステルを絶食させたラットに与えた。動物は24時間後に犠牲となり、胃腸器官の全てに潰瘍がチェックされた。インドメタシン単独が投与された動物では広範な潰瘍が見出されたにもかかわらず、GLA−インドメタシンで処理された動物にはほとんど、または全く潰瘍が見出されなかった。
3.脂肪酸の生物学的に活性形の効果的な分配。GLAをGLA−GLAまたはGLA−EPAの形で投与し、EPAをGLA−EPAまたはEPA−EPAの形で投与した。ジエステルは胃管栄養法または静脈注射によって、乳化剤として2%のカラスムギのガラクトリピドを用いて作った20%乳化液の形で約0.1〜2.0g/kgの投与量で与えた。動物を1、2、4、8および24時間後に殺して血漿、赤血球および肝臓を集めた。
【0053】
代謝されないジエステルの存在は高圧液体クロマトグラフィによって確認した。ジエステルから導かれた脂肪酸およびこれら酸の代謝物の存在を肝臓、血漿または赤血球の脂質抽出によって、この脂質区分をトリグリセライド、ホスホリピド、コレステロールエステルおよび遊離脂肪酸に薄層クロマトグラフィによる分離によって、これらの分離した区分から導かれた脂肪酸のメチル化によって、および標準的な教科書に良く記述されている方法を用いるガスクロマトグラフィによる、これら脂肪酸の分析によって夫々チェックした。これら実験によって経口投与後、投与したジエステルの約10%をジエステルの形で確認できることが示された。GLAまたはEPAの大部分は、遊離脂肪酸またはホスホリピド中に見出され、僅かな部分がコレステロールエステルおよびトリグリセライド区分中に見出された。更に、とりわけホスホリピド区分中に、GLA、DGLAおよびアラキドン酸の代謝物、およびEPA、ドコサペンタエン酸およびDHAの代謝物が大量に見出された。これらの観察結果は、脂肪酸がジエステル形から容易に放出され、次いで生物学的活性物質へと更に代謝されることを示している。類似した結果がジエステルの静脈内投与から得られた。ただし、1時間はジエステルの約40%が最初の形で残存し、次の24時間で脂肪酸が放出され、代謝され、他の脂質区分中に組み込まれる。未変化のジエステル形は、それ自体生物活性を有することが可能である。1,3−ジグリセリド形におけるリノール酸は、ガンに対して選択的作用をするが正常細胞には作用せず、かつリノール酸の他の形では示されない抗ガン効果を有することが見出された〔マツザキCA,Matsuzaki)ら、Cancer Res.1989.49,5702-7〕。この効果および恐らくは他の作用は、1,3−ジグリセライドとして位置を占める脂肪酸の二つの分子の分配を要求することが可能である。
【0054】
同様な位置占めが1,3−プロパンジオールによって達成されるであろうし、従ってジオール型がその完全な代謝以前のある時間に循環することが確実であるある種のプロパンジオール誘導体の静脈内投与においても特別の価値があるであろう。
【0055】
脂肪酸は多数の望ましい生物学的および治療上の活性を有し、これについては本発明者ら、およびその他の人による多数の刊行物に詳細に述べられている。4種の脂肪酸、すなわちGLA、DGLA、SAおよびEPAは、下記を含むより広範な効能スペクトルを有している。
1.血管拡張、血圧低下、血小板凝集の抑制、トリグリセライドおよびLDL−コレステロールレベルの低下、HDL−コレステロールレベルの高揚およびなだらかな筋肉増殖の抑制を含む心血管作用。
2.サイトカインのような炎症媒介物先駆体およびアラキドン酸から導かれたエイコサノイドの形成の低減、好中球移動および好中性呼吸障害の低減、局所的炎症反応の低減、尿酸によってもたらされた炎症およびアジュバント関節炎のような種々の動物モデルにおける炎症の抑制、および骨関節炎およびリュウマチ性関節炎のような種々の炎症性疾患の治療。
3.過度の免疫および試験的アレルギー性脳脊髄炎およびブドウ膜炎、過敏な動物における気管支および皮膚の反応過多のような、動物モデルにおけるアレルギー性レスポンスの鎮静化を含む免疫調節機能から、過度の免疫レスポンスが役割を演じているヒトの疾患において脂肪酸は価値があるとの概念がみちびかれる。
4.気管支拡張を含む呼吸器への作用および気管支収縮作用の抑制。
5.カルシウム吸収の増大、カルシウム排出の低減、骨へのカルシウム析出の増加および動脈および腎臓のような組織へのカルシウムの異所析出の低減によるカルシウムバランスの改善。
6.3種類の抗ガン効果、すなわち細胞毒による選択的損傷および正常細胞ではなくガン細胞へのアポプトシス(apoptosis)の導入、生長因子の低減作用および生長に必要な第2の伝達系の妨害による生長の抑制、E-カデリン(cadherin)発現増加を含む種々の作用による転位抑制、およびウロキナーゼ、リポキシゲナーゼおよびマトリックス・メタロプロテナーゼのようなタンパク質分解酵素の抑制、およびガンに関連する悪質液(カヘキシー)の抑制。
7.正常な神経膜構造および機能の維持および神経伝達物質のプレおよびポストシナプス作用を含む神経細胞への作用。
【0056】
かかる望ましい作用は、脂肪酸のこの群が、多くのタイプの心血管疾患、リューマチ性関節炎、骨関節症、潰瘍性腸炎およびクローン病を含む炎症性疾患、喘息を含む呼吸器疾患、精神分裂症、アルコール中毒症、注意欠如症、ウツ病およびアルツハイマー病を含む精神疾患、多重硬化症およびハンティングトン舞踏病を含む神経疾患、種々のタイプの腎炎症疾患および泌尿器カルシウム結石を含む腎臓および泌尿管疾患、骨粗鬆症および異所性カルシウム沈着、および胃腸潰瘍および炎症性疾患を含む代謝不全を含む多くの異なる疾患の治療に用いられることを意味している。
【0057】
共役リノール酸(cLA)については、GLAやEPAのようには広範に試験されていないが、ガン、心血管および代謝疾患の治療に価値ある効果を含む広い範囲の作用を有していると思われる。
【0058】
GLA、DGLA、AAおよびコロンビン酸は皮膚への望ましい作用を有しており、アトピー性湿疹、乾癬、じんましんおよびアレルギー性疾患のような皮膚疾患の治療にとりわけ有効である。
【0059】
AAはしばしば潜在的に有害な脂肪酸と考えられている。しかしながら、AAは全ての正常細胞膜の必須構成要素であり、アトピー性湿疹、精神分裂症〔ホロビンら(Horrobin et al)Schizophrenia Res.1994,13,195-207〕および心血管疾患(ホロビン(Horrobin)、Prostaglandins Leukotr.EFAs 1995,53,385-96〕を含む種々の病気において低レベルで存在することが見出されている。AAはこれらの状態において、およびしばしばレベルが同様に低いアルコール中毒および注意欠如症のような他の精神病においても特に価値があると思われる。
【0060】
DHAはEFAの上記作用のいくつかを有している。しかしながら、細胞膜中に、特に心臓、腎臓および脳のそれに重要な量で見出されている。DHAはまた、強い抗炎症および望ましい心血管効果を有する。DHAは心血管疾患、網膜炎、老人斑変性および失読症を含む網膜および視覚疾患、および精神分裂症、注意欠如症、うつ病、アルコール中毒、アルツハイマー病および他の形の痴呆および多重硬化症を含む精神および神経の疾患に特に価値があると思われる。
【0061】
感染症もまた脂肪酸、とりわけGLAおよびDGLA、EPAおよびDHAに感応することが近年確認された。抗生物質に高い耐性を示す菌株を含めて、多くのバクテリアはこれら脂肪酸によって殺される。多数の研究所からの近年の仕事によれば、これら高度の不飽和脂肪酸は、マラリアのような疾患および原生動物による疾患に対して好結果の応答を与え重要であることが明らかになった。
【0062】
上述から種々の特定の脂肪酸は、疾患の治療および予防の両方において、スキンケアおよび栄養において、薬剤およびほとんどいずれかのクラスの他の生物活性物質の効力に加えることができ、同様に同一の分子中に単一種の脂肪酸または二つの異なる脂肪酸としてのジオール形状で与えられたとき価値のある治療効果を有することが明白である。とりわけ価値あることは、あらゆる環境下で脂肪酸は著しく非毒性であり、重要な副作用の危険なしで安全に大量を投与することができる。
【0063】
ジエステルの治療効能の特別の例として、裸のマウスの皮下に移植したASPC−1ヒトすい臓ガンの治療に1,3GLA−EPAプロパンジオールジエステルを試験した。マウスは胸腺機能が欠けるので拒絶なしで他からの移植を受け入れることができる。15匹のマウスに、マトリゲル(Matrigel)およびDMEM緩衝液に懸濁したASPC−1細胞500万を夫々皮下に注射した。全ての動物に腫瘍が発生し、その大きさをカリパスを用いて測定し、その容積を直線上の寸法から推定した。腫瘍の大きさは1週に2回、5週間測定した。動物を三つの群に分けた。5匹の動物をコントロールに用い、一日当り10g/kgのトウモロコシ油のみを与えた。他の5匹の動物には1日当り10g/kgのトウモロコシ油を与え、更に1週間当りGLA−EPAジエステルの1.5g/kgの投与量で2回注射した。
【0064】
ジエステルは2%のカラスムギ・ガラクトリピドを乳化剤に用いた20%乳化液の形で投与した。静脈注射の乳化液は極めて良好に許容され、何らかの溶血現象や血栓静脈炎または他のいずれの疾患も動物に認められなかった。更に他の5匹の動物には、トウモロコシ油の代わりにGLA−EPAジエステルの10g/kg/日を与えた。処理を3週間継続し、次いで腫瘍を更に2週間成長させて動物を殺し、腫瘍を摘出し、計量した。腫瘍の平均重量:コントロール群1240±290mg、GLA−EPA静脈注射群820±180mg、GLA−EPA経口投与群490±160mg。
【0065】
GLA−EPAジエステルの経口投与および静脈内投与の両方では何らかの副作用または動物の死亡なしで腫瘍の生長が実質的に抑制された。このことは、GLAおよびEPAが夫々別個に、実験室で培養されているヒトのガン細胞を選択的に殺すことができた結果から予測されるように、GLA−EPAジエステルをガンの治療に効果的に使用できることを証明するものである。すなわちジエステルは種々の脂肪酸投与の生物学的に活性な方法である。すなわちジエステルは多くの刊行物、文献において注目されてきたように、脂肪酸の多くの望ましい効果を発揮することが合理的に期待される〔たとえばホロビン(Horrobin)DE,ed.,ω-6 Essential Fatty Acids: Pathophysiology and Rolesin Clinical Medicine: Wiley-Liss,New York,1990.シモポーロス(Simopoulos)AP et al,eds.Health Effects of Omega-3 Polycensaturated Fatty Acids in Seafoods,Karger,Basel,1991.Fats and Oils in Human Nutrition,World Health Organization,Rome,1994.Unsaturated Fatty Acids: Nutritional and Physiological Significance.British Nutrition Foundation,Chapman and Hall,London,1992)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
特定の1,3−プロパンジオール化合物の特定用途1.下記の治療のための、以下を含む1,3−プロパンジオール誘導体:一つの脂肪酸がGLAまたはDGLAであり、他がGLA、DGLA、SA、EPA、DHA、cLA(共役リノール酸)またはCA(コロンビン酸)である二種の脂肪酸。
(a)糖尿病合併症、特に精神障害および網膜症;および糖尿病および糖尿病前におけるインシュリンに対する反応の改善;
(b)ガン;
(c)骨関節炎;
(d)リューマチ性関節炎;
(e)ショーグレン(Sjogren)症候群、全身性紅斑、潰瘍性腸炎、クローン(Crohn)病およびブドウ膜炎を含む他の炎症性および自己免疫疾患;
(f)喘息を含む呼吸器疾患;
(g)多重硬化症、パーキンソン(Parkinson)病及びハンチングトン(Huntington)舞踏病を含む神経疾患;
(h)腎臓および泌尿管疾患;
(i)心血管疾患;
(j)色素性網膜炎および老人斑変性を含む眼の変性疾患;
(k)精神分裂症、アルツハイマー(Alzheimer)病、注意欠如症、アルコール中毒およびうつ病を含む精神病;
(l)前立腺肥大および前立腺炎;
(m)インポテンツおよび男性不妊病;
(n)乳房痛;
(o)男性型禿頭症;
(p)骨粗鬆症;
(q)アトピー性湿疹、手の湿疹、乾癬、じんましんおよびアレルギー性疾患を含む皮膚科的疾患;
(r)失読症および他の無気力症;
(s)ガン悪液質2.二つの脂肪酸を含む誘導体としての1,3−プロパンジオール、ここで一つの脂肪酸はAAであり、他のそれはAA、GLA、DHA、DGLAまたはEPAであり、上記1で述べた疾患、とりわけ(a)、(g)、(i)、(j)、(k)、(q)および(r)の治療のためのものである。
【0067】
3.上記1におけるいずれかの疾患、とりわけ、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(p)、(r)および(s)の治療のための、二つの脂肪酸を含み、その一つの脂肪酸がEPAであり、他のそれがEPAまたはDHAである誘導体としての1,3−プロパンジオール。
【0068】
4.一つの位置がGLA、DGLA、AA、SA、cLA、EPAまたはDHAから引き出された脂肪酸によって占められ、他の位置が下記のリストから選択された薬剤によって占められている1,3−プロパンジオール誘導体であり、その化学構造は、ここに記述した結合の一つによって1,3−プロパンジオールに結合している。
(a)いずれかの疾患、とりわけ精神病、神経疾患、行動疾患、苦痛、および他の疾患、および特にうつ病、睡眠および偏頭痛の治療のためのトリプトファン;
(b)いずれかの疾患、とりわけ、うつ病、多重硬化症および慢性疲労症候群の治療のためのフェニルアラニン;
(c)いずれかの疾患、とりわけ酸化窒素の生産が不完全である疾患の治療のためのアルギニン;
(d)いずれかの疾患、とりわけ筋肉弱化、心不全、慢性疲労症候群、アルツハイマー病、および末梢神経障害の治療のためのカルニチンまたはカルニチン誘導体;
(e)いずれかの疾患の治療のための、いずれか他のアミノ酸または関連物質、またはいずれかの疾患、とりわけガンの治療のためのアミノレブリン酸またはその誘導体;
(f)いずれかの疾患、とりわけ筋ジストロフィ、心不全、慢性疲労およびアルツハイマー病および他の痴呆の治療のためのアデニロスクシネートまたは関連物質;
(g)いずれかの疾患、とりわけ痛みのある炎症性疾患、アルツハイマー病および他の痴呆、および血小板凝集が抑制されるべきいずれかの疾患の治療のためのアスピリン、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、またはいずれか他の非ステロイド系抗炎症剤;
(h)いずれかの適切な感染症の治療のための、いずれかの抗生物質、とりわけテトラサイクリン、クリンダマイシン、ミノサイクリン、クロルテトラサイクリンおよび座瘡の治療のためのエリスロマイシン;
(i)いずれかの疾患の治療のための、いずれかの抗マラリア剤または抗原生動物薬、とりわけクロロキン、メパクリン、キナクリンおよびマラリア、原生動物疾患、炎症性疾患および精神分裂症の治療のためのメフロキン;
(j)いずれかの疾患の治療のための、いずれかの抗真菌剤、とりわけメトロニダゾールおよび抗真菌性イミダゾールおよびニトロイミダゾールおよび種々のタイプの真菌感染症の治療のためのアンフォテリシン;
(k)いずれかの疾患の治療のための、いずれかの抗炎症性ステロイド、とりわけハイドロコーチゾンおよび皮膚疾患の治療のためのベータメタソンおよび喘息の治療のためのベクロメタソンおよびブデソニド;
(l)いずれかの疾患の治療のためのいずれかの生殖腺ステロイド、とりわけエストロゲンおよび卵巣不全および骨粗鬆症の治療のためのプロゲストゲンおよび精巣不全の治療のためのアンドロゲン;
(m)いずれかの疾患の治療のための、いずれかのアドレナルステロイド、とりわけ老化に関連する疾患の治療のためのデヒドロエピアンドロステロン;
(n)いずれかの疾患の治療のための、いずれかのレチノイド、とりわけトレチノインおよび皮膚科的疾患の治療のための、およびスキン・ケアに使用するためのイソトレチノイン;
(o)ガンの治療のための、いずれかの抗ガン剤;
(p)精神分裂症および他の精神病の治療のための、いずれかの抗精神病薬;
(q)いずれかの疾患の治療のための、とりわけうつ病の治療のための、いずれかの抗うつ薬;
(r)いずれかの疾患の治療のための、とりわけ不安およびパニック発作の治療のための、いずれかの抗不安薬;
(s)いずれかの疾患の治療のための、いずれかの免疫抑制薬、とりわけ臓器移植後の免疫制御のための、および乾癬、湿疹、喘息、リューマチ性関節炎および炎症性腸疾患を含む自己免疫および炎症性疾患の治療のためのシクロスポリンおよびタクロリムス;
(t)いずれかの疾患、とりわけ過剰胃酸生産または胃酸度に対する防御低下と関連した疾患の治療のための、いずれかのプロトン・ポンプ禁止剤またはH2拮抗薬;
(u)いずれかの疾患、とりわけ液体の停留および高血圧に関連した疾患の治療のための、いずれかの利尿剤;
(v)いずれかの疾患、とりわけ心血管疾患のために用いる、いずれかの抗カルシウム剤;
(w)いずれかの疾患、とりわけ心血管疾患のために用いる、いずれかのアンギオテンシン変換酵素抑制剤または抗アンギオテンシン剤;
(x)いずれかの疾患、とりわけ心血管疾患のために用いる、いずれかのベータ・ブロッカー;
(y)いずれかの疾患のために用いる、いずれかの抗てんかん剤、とりわけフェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、エトサクシミド、ビガバトリンまたはテンカンの治療のためのラモトリジン;
(z)いずれかの疾患の治療のための、いずれかの脂質低下薬、とりわけコレステロール低下およびコレステロール緩和のために用いたフィブレート(fibrate)およびスタチン(statin);
(aa)糖尿病の治療に用いた、いずれかの経口低血糖剤またはインシュリン感応剤;
(bb)骨粗鬆症、ページェット病(変形性骨炎)またはガンの治療に用いた、いずれかのビスホスホネート;
(cc)ジアトリゾエート化合物、イオジパミド、イオグリカメート、イオパノエート、イオフェンジレート、イオタラメート、イオキサグレート、メトリザミドおよび関連化合物を含む放射線医療におてい用いた、いずれかの対照剤;
(dd)ペプチドまたはタンパク質自体が治療に用いられた疾患の治療に用いるための、インシュリン、カルシトニン、エリスロポイエチンおよび他のペプチドを含むペプチドまたはタンパク質;
(ee)いずれかの治療に用いた、または食品、栄養補給剤またはビタミンを効果的供給の方法としての食品添加物に用いた、いずれかのビタミン;
(ff)いずれかの疾患、とりわけ抗酸化剤が特に有効であろう、心血管疾患、ガンおよび炎症性不全を含む疾患の治療に用いた、いずれかの抗酸化剤および食品または他の防腐剤または食品、食品添加剤または栄養補給剤として用いる、いずれかの抗酸化剤;
(gg)いずれかのポリフィリン・クロリンまたはバクテリオクロリンにもとづく薬剤、とりわけガンの光力学的療法に用いるクロリンのテトラキス(ヒドロキシフェニル)誘導体。
【0069】
製造の容易さ
トリグリセライドの製造
下記に、とりわけトリグリセライドと比較した、1,3−プロパンジオール使用の利点を考える。
とりわけ、脂肪酸のエステル化において、特にただ1種の脂肪酸(たとえばγ−リノレン酸)を3炭素鎖骨格に取付けられるときには、グリセロールの代わりに1,3−プロパンジオールが使用されるべきことが提案された。ジエステルおよびトリグリセライドは化学的に極めて類似しているが、ジエステルの製造は極めて温和な条件で、かつ数時間で行なわれる。トリグリセライドを製造するには、苛酷な条件が要求されるか、または脂肪酸塩化物を使用しなければならないか、または生物触媒(数日の反応時間が要求される)が必要である。
【0070】
トリグリセライド製造方法の概要は次のとおりである:触媒として金属、金属塩化物または有機酸を用いる化学反応;脂肪酸の酸塩化物の使用;固定された酵素の使用。
【0071】
触媒として酸、金属または金属塩化物を使用する全ての工程は極めて類似しており、利点および欠点の共通リストがあてはまる。問題の多くは方法に固有なものであり、すなわち、酸性条件および高温(140℃〜180℃)。p−TSA法は温和な条件下で行なわれるので(140℃)、恐らく最も問題が少ない方法と思われる。
【0072】
グリセロールと脂肪酸塩化物の反応は“低温条件”下で行なわれるが、有毒ガスが発生し、注意深く監視しないと制御不可能となる。また、この方法は脂肪酸塩化物自体をまずはじめに製造しなければならない欠点がある。この付け足しの工程が、この方法の全体的効率を低下させる。特定の酵素の群、リパーゼが極めて温和な条件(たとえは60℃)下のエステル化反応の触媒として用いることができ、ポリ不飽和脂肪酸が使用される場合には、この触媒が恐らく選択されるであろう。しかしながら、多くの酵素はグリセロールの1−および3−の位置と最も効果的に作用する。脂肪酸の2−位置への付加はおそく、しばしば“アシル転位”に依存する。すなわち、脂肪酸は最初に恐らく1−または3−位置に着き、次いで2−位置に転位し、この2−位置に残る。従って、酵素が触媒となるトリグリセライド製造は、反応完結に日数を必要とする。
【0073】
理論的には、グリセライドに適用されたと同様な方法が1,3−プロパンジオールのエステル化にもあてはまる。しかしながら、酵素がグリセロールの1−および3−位置への脂肪酸の付加を優先的に触媒作用することを考えると、この方法はジエステルの製造に用いると、とりわけ効果的であろうことが明白である。
このことは事実であり、反応は数時間で、かつトリグリセライド製造に要求されるよりも、より低い(たとえば、45℃〜60℃)温度で完結する。4時間後に遊離脂肪酸は存在せず、8時間後にはジエステルの収率は95%を越え、残りがモノエステルである。
【0074】
特定のトリグリセライド製造の更なる複雑性は、グリセロール内に第1級および第2級ヒドロキシル基が、かつ中央の炭素原子にプロキラル中心が存在することである。これらの問題は注意深く選択した保護基の使用とキラル合成によって解決することができる。しかしながら、このことは多段階の製造において収率を低下させ、各工程における不純物レベルの増大をもたらす。しかしながら、これに対して、1,3−プロパンジオールは第1級ヒドロキシル基のみを有し、プロキラル中心を持っていない。従って、プロパンジオール法は最高2工程となり、全体の収率を改善し、不純物レベルを低下させる。
【0075】
要約すれば、ポリ不飽和脂肪酸と1,3−プロパンジオールからジエステルを製造する反応は、対応するグリセライド製造よりもより速く、かつはるかに温和な条件で実施することができる。このことは、より経済的、より無駄の少ない製造方法を提供し、かつ反応材料や生成物が工程中で変質または分解する危険を最少にする。
【0076】
調製物
本発明の化合物は医薬、スキンケア製品または食品の製造分野における当業者に知られている、いずれかの適切な方法で調製される。調製物は経口的に、経腸的に、局所的に、非経口的に(皮下、筋肉、静脈内)、直腸に、膣に、またはいずれか他の適切な経路で投与される。
【0077】
トリグリセライドのように、1,3−プロパンジオールジエステル、とりわけ二つの脂肪酸を含むジエステルはリン脂質または特にガラクト脂質乳化剤を用いて容易に乳化される。かかる乳化液は経口、直腸、静脈内投与のために特に有用である。
【0078】
たとえば、脂肪酸(UFA)ジエステルは流動自在の油として存在し、従って下記のように調製される。
1.GLAおよびEPAと1,3−プロパンジオールのジエステルの20%乳濁液の製造
口腔用乳濁液は高圧均質化によって製造される。得られた乳濁液の粒径分布およびゼータ・ポテンシャルは室温における力学的光分散によって決定される。
粒径測定は室温において行なわれる〔ゼータサイザ(Zetasizer)4マルバーン・インスツルーメンツ・リミテッド(Malvern Instruments Limited)〕。
水中への油の乳濁液(バッチ・サイズ200g)は下記構成成分を含むものが製造された。
成 分
乳化剤(ガラクト脂質) 2.00
ジエステル(GLA−EPA) 20.00
アスコルビル・パルミテート(AP) 0.02
ビタミンE 0.5
水 100.00

乳化剤のガラクト脂質をジエステル中に分散し、ビタミンE、APおよび水を混合した。数分間の、スピード4における高剪断混合〔ウルトラトールラックス(Ultraturrax)〕によって油層を水層に加えた。この前乳化を、次いで80MPAおよび50℃、6サイクルで均質化した〔ミニラブ(mini-Lab)8.30H;APVラニー(Rannie)AS,デンマーク(Denmark)〕。形成された乳化液は平均粒径230nmを有した。
抗微生物防腐剤のソルビン酸カリウム、および香料を上記口腔用乳化剤に加えることもできる。
【0079】
2.GLAおよびEPAと1,3−プロパンジオールのジエステルの静脈注射用20%乳化液の製造
同様な方法で、下記の成分を含む水中への油の乳化液の200gを製造した:

成 分
乳 化 剤 2.0
ジエステル(GLA−EPA) 20.0
グリセロール 2.0
水 100.00

高圧均質器で6分間均質化した上記乳化液は、211nmの平均粒径を有し、ゼータ・ポテンシャルは−40mVであった。かかるI.V.乳化液は孔径0.22ミクロンの膜で濾過することもできるし、またオートクレーブで処理して粒径を変えることもできる。
投与されるべき活性物質の投与量は、活性物質の種類によって、主として1mg〜200g/日の範囲であり、好ましくは10mg−10g/日、極めて好ましくは10mg〜3g/日である。ガンの治療の場合には、好ましい投与量は5〜150g/日の範囲である。活性物質は製剤に適切な場所に局的的に投与することもでき、活性物質は局所用製剤の0.001〜50%、好ましくは0.05%〜20%、極めて好ましくは0.1〜10%である。
【0080】
実施例
脂肪酸に結合したNSAIDの製造の実例が、発行され、先に引用したEPA-0675103に示されている。1,3−プロパン残基を介する脂肪酸の結合の製造の実例を、他の一般的実例材料と共に以下に示す。
【実施例1】
【0081】
1,3−(ジ−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (GLAの1,3−プロパンジオールジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.07g)と4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.59g)の塩化メチレン(5ml)溶液を、1,3−ジヒドロキシプロパン(0.152ml)およびz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸(95%、1.36g)の塩化メチレン(15ml)溶液に加えた。反応物を窒素ガス下、室温で、tlc(薄層クロマトグラフィ)により反応完結が認められるまで攪拌した。
ヘキサン(80ml)を反応物に加えた。沈殿物を濾過により分離し、ヘキサンによって十分に洗浄した。濾液を合併し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィによって精製し、1,3−(ジ−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを淡黄色、自由に流動する油として得た。
【実施例2】
【0082】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(z−オクタデカ−9−エノイルオキシ)プロパン (GLAおよびオレイン酸の1,3−プロパンジオールジエステル)
その1: z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸(150g)の塩化メチレン(500ml)溶液を、1,3−ジヒドロキシプロパン(205g)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(130g)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(87g)および塩化メチレン(2500ml)の混合物中に室温、窒素ガス中で滴下、添加した。tlcが反応完結を示したときに、反応混合物を濾過した。濾液を希塩酸、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗った。溶液を乾燥し、濃縮し、乾燥カラム・クロマトグラフィによって精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパンを黄色油として得た。
その2: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(23.7g)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(15.9g)の塩化メチレン(200ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(33.6g)およびz−オクタデカ−9−エン酸(30g)の塩化メチレン(400ml)溶液に窒素ガス下、室温で加えた。tlc分析によって反応完結が証明された後に、溶液をヘキサンでうすめ、濾過、濃縮し、乾燥カラム・クロマトグラフィにより精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(z−オクタデカ−9−エノイルオキシ)プロパンを流動自在の淡黄色油として得た。
【実施例3】
【0083】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)プロパン (GLAおよびEPAの1,3−プロパンジオールジエステル)
実施例2、その2と同様に、ただしz−オクタデカ−9−エン酸をz,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸に代えて製造した。クロマトグラフィによって1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)プロパンを淡黄色油として得た。
【実施例4】
【0084】
1,3−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (GLAの1,3−プロパンジオールジエステル)
実施例2、その2と同様に、ただしz−オクタデカ−9−エン酸をz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸に代えて製造した。クロマトグラフィによって1,3−(ジ−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを淡黄色油として得た。
【実施例5】
【0085】
(±)−1−(1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (リポ酸およびGLAの1,3−プロパンジオールジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(720mg、3.45ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(480mg、3.98ミリモル)とt−ブチルメチルエーテル(15ml)の混合物を、リポ酸(645mg、3.12ミリモル)と1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、3ミリモル)およびt−ブチルメチルエーテル(30ml)の混合物に加えた。混合物を室温、窒素ガス下で5時間攪拌し、反応の進展をtlc(40%酢酸エチル/ヘキサン)で監視した。反応完結後、混合物を濾過し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(ヘキサン、2%酢酸エチル/ヘキサン、5%酢酸エチル/ヘキサンおよび最後に10%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して(±)−1−(1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを粘ちょうな黄色油として得た。
【実施例6】
【0086】
1−(〔z〕−5−フルオル−2−メチル−1−〔4−{メチルスルフィニル}ベンジリデン〕インデン−3−アセチルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (スリンダックおよびGLAの1,3−プロパンジオールエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(720mg、3.45ミリモル)のt−ブチルメチルエーテル(30ml)溶液に、スリンダック(1.12g、3.15ミリモル)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(480mg、3.9ミリモル)、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、3ミリモル)およびt−ブチルエチルエーテル(15ml)混合物を加えた。混合物を室温、窒素ガス下で5時間攪拌し、反応の進展をtlc(40%酢酸エチル/ヘキサン)によって監視した。反応完結後、混合物を濾過し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(40%酢酸エチル/ヘキサン、次いで50%酢酸エチル/ヘキサン、最後に60%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−(〔z〕−5−フルオル−2−メチル−1−〔4−{メチルスルフィニル}ベンジリデン〕インデン−3−アセチルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンをワックス状の黄色固体として得た。
【実施例7】
【0087】
1−(〔R〕−3−アセトキシ−4−〔トリメチルアンモニオ〕ブチロイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (アセチルカルニチンおよびGLAの1,3−プロパンジオールジエステル)
新鮮な蒸留塩化チオニル(1.5ml)を、西洋なし状のフラスコ中の(R)−アセチルカルニチン(1g)に徐々に加えた。透明な溶液が得られるまで、薬剤がフラスコの底部にとどまるように注意した。室温で4時間の後に、過剰の塩化チオニルを減圧下で除去した(フラスコ温度を30℃未満に保つ)。この結果、酸塩化物が極めて吸湿性の白色固体として得られ、これを更に精製することなしで直ちに使用した。フラスコに1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1.4g、4.17ミリモル)および乾燥THF(4ml)を加えた。この混合物を室温下で終夜放置した。tlc分析(40%酢酸エチル/ヘキサン)によって反応完結を知った。反応混合物を烈しく攪拌しながらヘキサン(250ml)中に滴下、添加した。形成された白色の細かい沈殿物を遠心分離により集めた。上清を除去した後、固体をヘキサン中に再懸濁させ、遠心分離した。ヘキサンによる洗浄操作を更に1回行なって1−(〔R〕−3−アセトキシ−4−〔トリメチルアンモニオ〕ブチロイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを得た。
【実施例8】
【0088】
1−(3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(〔フェノキシアセチル)アミノ〕−4−チア−1−アザビシクロ〔3.2.0〕ヘプタン−2−オイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (ペニシリンVおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
ペニシリンV(1g、2.9ミリモル)、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(860mg、2.6ミリモル)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(620mg、3ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(触媒量)とジクロルメタン(30ml)の混合物を室温下で終夜攪拌した。反応混合物をヘキサン(50ml)でうすめ、濾過し、乾固まで濃縮した。残留物をヘキサン(3×50ml)で洗浄し、未反応の1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパンを除去した。半固体状の残留物をジエチルエーテル(150ml)に溶解し、水(100ml)で洗浄し、乾燥した。エーテル溶液をヘキサン(125ml)でうすめ、溶液をシリカ床(4cm×4cm)を通して濾過した。濾液を濃縮して1−(3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(〔フェノキシアセチル)アミノ〕−4−チア−1−アザビシクロ〔3.2.0〕ヘプタン−2−オイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを粘ちょうな無色油として得た。
【実施例9】
【0089】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(1−(4−クロルベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−インドール−3−アセチルオキシ)プロパン(インドメタシンおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(58g、0.28モル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(37.9g、0.31モル)の塩化メチレン(800ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(79.5g、0.24モル)およびインドメタシン(93.2g、0.26モル)の塩化メチレン(400ml)溶液に攪拌しながら室温、窒素ガス下で加えた。攪拌を3時間、継続した。混合物を濾過し、濃縮して乾燥カラム・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。生成物留分を合併し、濃縮して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(1−(4−クロルベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−インドール−3−アセチルオキシ)プロパンを明るい黄色の粘着性油として得た。
【実施例10】
【0090】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(2−ピロリジンカルボキシ)プロパン (プロリンおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
その1: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(674mg、3.3ミリモル)と4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(472mg、3.9ミリモル)の塩化メチレン(20ml)
溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、2.97ミリモル)およびN−tBOC−プロリン(671mg、3.12ミリモル)の塩化メチレン(20ml)溶液に攪拌しながら室温で窒素ガス下に加えた。攪拌を7時間、続行し、混合物を終夜、0℃で保存した。混合物を濾過し、カラム・クロマトグラフィ(メタノール/塩化メチレン)で精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(N−tBOC−2−ピロリジンカルボキシ)プロパンを黄色油として得た。
その2: 保護基を導入した生成物を10%v/vアニソール/トリフルオル酢酸(10ml)に溶解し、室温で窒素ガス下に30分間放置した。分析により脱保護の完結が示された後に、混合物をカラム・クロマトグラフィ(8%メタノール/42%塩化メチレン/50%酢酸エチル)により精製して、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(2−ピロリジンカルボキシ)プロパンを粘着性橙色油として得た。
【実施例11】
【0091】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(2−アミノ−3−インドリルプロパノイルオキシ)プロパン (トリプトファンおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
その1: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(674g、3.3ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(472mg、3.9ミリモル)の塩化メチレン(20ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、2.97ミリモル)およびN−tBOC−トリプトファン(950mg、3.12ミリモル)の塩化メチレン(20ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下に加えた。攪拌を7時間継続し、混合物を終夜、0℃に保存した。混合物を濾過し、カラム・クロマトグラフィ(メタノール/塩化メチレン)で精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(N−tBOC−2−アミノ−3−インドリルプロパノイルオキシ)
プロパンを黄色油として得た。
その2: 保護基を入れた生成物を10%v/vアニソール/トリフルオル酢酸(6.1ml)に溶解し、室温、窒素ガス下に15分放置した。分析によって脱保護の完結が示された後に、混合物をカラム・クロマトグラフィ(8%メタノール/42%塩化メチレン/50%酢酸エチル)によって精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(2−アミノ−インドリルプロパノイルオキシ)
プロパンを粘着性赤色ワックスとして得た。
【実施例12】
【0092】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(α−アミノ−β−フェニル−プロピオニルオキシ)プロパン (フェニルアラニンおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
その1: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.77g、8.57ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.24g、10.13ミリモル)の塩化メチレン(30ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(2.62g、7.79ミリモル)およびN−tBOC−フェニルアラニン(2.17g、8.18ミリモル)の塩化メチレン(30ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下で加えた。攪拌を7時間続行し、混合物を終夜、0℃で保存した。混合物を濾過し、カラム・クロマトグラフィ(メタノール/塩化メチレン)により精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(N−tBOC−α−アミノ−β−フェニル−プロピオニルオキシ)プロパンを黄色油として得た。
その2: 保護した生成物を10%v/vアニソール/トリフルオル酢酸(17ml)に溶解し、室温、窒素ガス下に30分間放置した。分析によって脱保護の完結を知った後に、混合物をカラム・クロマトグラフィ(8%メタノール/42%塩化メチレン/50%酢酸エチル)により精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(α−アミノ−β−フェニル−プロピオニルオキシ)プロパンを粘着性ある黄色油として得た。
【実施例13】
【0093】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(4−アミノ−ブタノイルオキシ)プロパン (GABAおよびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
その1: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.84g、4.06ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.59g、4.79ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1.24g、3.69ミリモル)およびN−tBOC−GABA(0.75g、3.69ミリモル)の塩化メチレン(15ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下で加えた。攪拌を7時間続行し、混合物を終夜、0℃で保存した。混合物を濾過し、カラム・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−(N−tBOC−4−アミノブタノイルオキシ)プロパンを無色油として得た。
その2: 保護した生成物を10%v/vアニソール/トリフルオル酢酸(10.5ml)に溶解し、室温、窒素ガス下で30分放置した。分析によって脱保護の完結を知った後に、混合物をカラム・クロマトグラフィ(8%メタノール/42%塩化メチレン/50%酢酸エチル)により精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(4−アミノブタノイルオキシ)プロパンを無色油として得た。
【実施例14】
【0094】
3,3’−チオ−ジ−(1−プロピオニルオキシ−(3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン))(GLAおよび1,3−プロパンジオールと3,3’−チオジプロピオン酸とのビスジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(660mg、3.22ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(445mg、3.64ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(940mg、2.8ミリモル)および3,3’−チオジプロピオン酸(250mg、1.4ミリモル)の塩化メチレン(30ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下で加えた。攪拌を4時間続行した。混合物をヘキサン(50ml)
でうすめ、濾過、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。生成物留分を集め、濃縮して3,3’−チオ−ジ−(1−プロピオニルオキシ−(3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−プロパン))を無色油として得た。
【実施例15】
【0095】
1−(1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−プロピル)−4−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)ブタン−1,4−ジオン (GLAモノエステルと1,3−プロパンジオール)およびGLAアルコールとコハク酸からのジエステル)
その1: 1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(10g、30ミリモル)およびコハク酸無水物(3g、30ミリモル)の乾燥THF(100ml)混合物を室温下、透明溶液が得られるまで攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデ−7−セン(4.5ml、30ミリモル)の乾燥THF(50ml)溶液を前記冷却溶液中に滴下、添加した。3時間後、分析によって大部分のモノエステルが反応したことを知った。
コハク酸無水物の少量の結晶を更に添加し、更に30分間攪拌した。反応混合物をジエステルエーテル(250ml)でうすめ、2M塩酸(2×250ml)、水(250ml)および塩水(250ml)で洗浄した。次いで乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮、乾固した。生成物は更に何らの精製をせずに使用した。
その2: 塩化オキサリル(3.9ml、45ミリモル)を、その1からの生成物(13g、30ミリモル)の塩化メチレン(75ml)溶液に加えた。混合物を室温、窒素ガス下で2時間攪拌し、濃縮、乾固した。ヘキサン(75ml)を添加し、混合物を濃縮、乾固した。この操作をヘキサンの夫々75mlの部分について更に2回繰り返した。生成物は何らかの精製をせずに使用した。
その3: その2で製造した酸塩化物(1g、2.2ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノール(635mg、2.4ミリモル)、トリエチルアミン(1ml、7.2ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(計算量)の塩化メチレン(20ml)溶液に室温で滴下した。反応完結の後、混合物を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−(1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−プロピル)−4−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)ブタン−1,4−ジオエートを無色油として得た。
【実施例16】
【0096】
1−(2,3,5−トリヨードベンゾイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパン (2,3,5−トリヨード安息香酸およびGLAと1,3−プロパンジオールからのジエステル)
2,3,5−トリヨードベンゾイルクロライド(1.54g、3.08ミリモル)を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、2.97ミリモル)およびトリエチルアミン(1ml)の塩化メチレン(80ml)混合物に加え、得られた混合物を終夜、室温、窒素ガス下で攪拌した。混合物を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−(2,3,5−トリヨードベンゾイルオキシ)−3−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)プロパンを得た。
【実施例17】
【0097】
(±)−1−(1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルオキシ)−3−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノイルオキシ)プロパン (DHAおよびリポ酸と1,3−プロパンジオールからのジエステル)
その1: z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(6.4g、19.5ミリモル)の塩化メチレン(225ml)溶液を、1,3−プロパンジオール(7.5g、99ミリモル)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.65g、20ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(2.1g、17ミリモル)の塩化メチレン(225ml)溶液に、−10℃で滴下、添加した。反応混合物を室温に暖めながら終夜攪拌した。反応物を濾過し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、1−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパンを淡黄色油として得た。
その2: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(720mg、3.45ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(480mg、3.9ミリモル)の塩化メチレン(30ml)溶液を、1−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1.16g、3ミリモル)およびリポ酸(645mg、3.12ミリモル)と塩化メチレン(15ml)の混合物に加えた。室温、窒素ガス下で2.5時間の後に、混合物を濾過し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、(±)−1−(1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルオキシ)−3−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノイルオキシ)プロパンを黄色油として得た。
【実施例18】
【0098】
メチル−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−ホスフェート (GLAの3−ヒドロキシプロピルエステルの2分子と、メタノールの1分子のホスホトリエステル)
その1: トリエチルアミン(3.74ml、26.8ミリモル)を、新鮮な蒸留したオキシ塩化リン(2.74g、17.9ミリモル)の無水THF(15ml)溶液に滴下、添加した。この混合物に、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)
−3−ヒドロキシプロパン(5g、14.9ミリモル)の無水THF(15ml)溶液を滴下、添加した。その間、温度を10℃より低く保ち、反応を窒素ガス下で行なった。15分後、分析により出発物質の消失を知った。混合物を濾過し、濃縮した。
トルエン(50ml)を加え、混合物を濃縮した。更にトルエン(50ml)を加え、次いで除去した。
その2: 1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(3g、9ミリモル)の無水THF(10ml)溶液を、粗ホスホクロリデート(7.5ミリモル)(上記その1で製造したバッチの半分)およびトリエチルアミン(3.2ml、22.5ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に室温、窒素ガス下で滴下、添加した。反応混合物を3日間、10℃未満の温度で保存した。メタノール(15ml)を加え、目的とするホスホトリエステルを形成するホスホロクロリデートの反応完結をtlcが示すまで室温で反応を行なった。フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)で精製してメチル−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−ホスフェートを無色油として得た。
【実施例19】
【0099】
ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェート (GLAの3−ヒドロキシプロピルエステルの2分子のホスホジエステル)
臭化リチウム(104mg、1.13ミリモル)とメチルエチルケトン(1ml)をメチル−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−ホスフェート(0.85g、1.13ミリモル)(実施例18において製造)のメチルエチルケトン(1ml)溶液を加え、混合物を還流下に1時間加熱した。冷却後、混合物をジエチルエーテル(3ml)に溶解し、水(3ml)で抽出した。形成された乳濁液を数滴のメタノールを加えてこわした。有機層を分離し、乾燥(硫酸ナトリウム)、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(メタノール/クロロホルム)により精製してジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェートをワックス状白色固体として得た。
【実施例20】
【0100】
(2−アミノエチル)−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェート (エタノールアミンおよびGLAの3−ヒドロキシプロピルエステルからのホスホジエステル)
その1: エタノールアミン(0.5ml、8.25ミリモル)およびトリエチルアミン(4.2ml、30ミリモル)の無水THF(20ml)混合物を、粗ホスホクロリデート(7.5ml)
(上記実施例18、その1で製造したバッチの半分)の無水THF(20ml)溶液に温度を10℃より低く保ちながら加えた。反応の進行をtlcで監視した。混合物を3日間、5℃より低温に保った。その後に濾過し、濃縮し、ヘキサン(50ml)でうすめ、再濃縮した。
その2: その1から得られた生成物を、イソプロパノール(100ml)、酢酸(10ml)および水(40ml)に溶解し、溶液を窒素ガス下、室温に放置した。tlcが反応完結を示したとき、混合物を濃縮し、アセトニトリル(50ml)およびヘキサン(50ml)に分配した。ヘキサン層を分離し、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(メタノール/クロロホルム/水)で精製した。精製留分を集め、濃縮した。酢酸エチルの添加によって(2−アミノエチル)−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェートがワックス状クリーム色の固体として分離し、これを遠心分離により集めた。
【実施例21】
【0101】
(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル)ホスフェート (コリンおよびGLAの3−ヒドロキシプロピルエステルのホスホジエステル)
その1: 2−クロル−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキサイド(430mg、3.4ミリモル)のトルエン(5ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、2.98ミリモル)およびトリエチルアミン(0.57ml、4.1ミリモル)のトルエン(45ml)冷却(0℃)溶液に加えた。混合物を終夜攪拌し、室温まで暖めた。分析の結果、反応は完結しなかった。更に、トリエチルアミン(0.3ml)および2−クロル−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキサイド(200mg)をトルエン(5ml)溶液として加え、反応を更に終夜続行した。その後、tlcは反応完結を示し、混合物を濃縮した。
その2:その1から粗生成物をアセトニトリル(60ml)に溶解した。この溶液の1/4(15ml)およびトリメチルアミン(10ml)を封管中で60℃で5時間加熱した(注意!)。反応物を冷却し、窒素気流下で濃縮して(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル)ホスフェートを得た。
【実施例22】
【0102】
(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェート (GLAの3−ヒドロキシプロピルエステルのホスホモノエステル)
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1.95g、5.8ミリモル)、ピリジン(1.4ml、17.3ミリモル)および無水THF(15ml)の溶液を、オキシ塩化リン(1.02g、6.6ミリモル)の無水THF(5ml)冷却(0℃)溶液に攪拌しながら、滴下、添加し、得られた混合物を0℃に3時間保った。重炭酸ナトリウム水溶液(10%w/w、10ml)を反応混合物に加えた。20分攪拌の後に、混合物を氷水(30ml)中にそそぎ入れ、溶液を2M塩酸の滴下、添加によってpH1に酸性化した。混合物をジエチルエーテル(2×30ml)で抽出し、エーテル抽出物を合併し、乾燥、濃縮した。得られた油を乾燥ピリジンによって共沸混合物化し、(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)ホスフェートを粘着性の黄色油として得た。
【実施例23】
【0103】
メチル−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(α−トコフェリル)ホスフェート (α−トコフェロール、メタノールおよびGLAの3−ヒドロキシプロピルエステルのホスホトリエステル)
その1: トリエチルアミン(7.5ml)を新鮮な蒸留オキシ塩化リン(1.26g、8.25ミリモル)の無水THF(7.5ml)溶液に0℃で加えた。15分後に、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(2.5g、7.5ミリモル)の無水THF(7.5ml)溶液を0℃で30分にわたって滴下、添加した。この温度で、添加終了後、更に30分間、攪拌を続けた。α−トコフェロール(3.23g、7.5ミリモル)の無水THF(5ml)溶液を10℃で滴下、添加し、得られた混合物を10℃で1時間、次いで室温に暖めながら終夜、攪拌した。
その2:上記その1で製造した混合物の1・4、トリエチルアミン(0.8ml、6ミリモル)およびメタノール(10ml)を終夜、窒素ガス下、室温で攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル(30ml)と水(20ml)とに分配し、塩化ナトリウムおよびメタノールを加えて乳濁液をこわした。酢酸エチル層を乾燥、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(クロロホルム)により精製してメチル−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(α−トコフェリル)ホスフェートを得た。
【実施例24】
【0104】
(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(α−トコフェリル)ホスフェート (α−トコフェロールおよびGLAの3−ヒドロキシプロピルエステルのホスホトリエステル)
トリエチルアミン(2ml)および水(5ml)を、実施例23、その1で製造した反応混合物の1・4に加えた。混合物を窒素ガス下、水浴中で1時間攪拌し、2M塩酸でpH1に酸性化し、酢酸エチル(20ml)およびメタノール(5ml)で抽出した。抽出物を乾燥、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(クロロホルム)により精製して(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシプロピル)−(α−トコフェリル)ホスフェートを得た。
【実施例25】
【0105】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−5−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)
ペンタン (GLAおよびEPAと1,5−ペンタンジオールとのジエステル)
その1: z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(2g)を、1,5−ジヒドロキシペンタン(3.5g)、トリエチルアミン(0.94ml)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.2g)の塩化メチレン(50ml)溶液に攪拌しながら0℃で窒素ガス下に滴下、添加した。tlcによって反応完結が証明された後に、反応混合物を希塩酸および水で洗浄、乾燥し、カラム・クロマトグラフィにより精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−5−ヒドロキシペンタンを淡黄色油として得た。
その2: 実施例2、その2のようにして、ただし1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパンを1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−5−ヒドロキシペンタンで、かつz−オクタデカ−9−エン酸をz,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタン酸で置き換えて、反応させた。クロマトグラフィによって1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−5−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)ペンタンを淡黄色油として得た。
【実施例26】
【0106】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−4−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)ベンゼン (GLAおよびEPAと1,4−ジヒドロキシベンゼンのジエステル)
実施例25その1および2における同様に製造した。ただし、その1における1,5−ジヒドロキシペンタンを1,4−ジヒドロキシベンゼンに、その1における塩化メチレンを溶媒としてのテトラヒドロフランに置き換えた。クロマトグラフィによって1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−4−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)ベンゼンを淡黄色油として得た。
【実施例27】
【0107】
1,4−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)−ブタン−1,4−ジオエート (GLAアルコールとコハク酸のジエステル)
その1: 1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデ−7−セン(0.54ml)の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)溶液を、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノール(1g)およびコハク酸無水物(0.36g)の乾燥テトラヒドロフラン(20ml)の冷却(0℃)溶液に滴下、添加した。tlcにより反応完結を知った後に、反応混合物をジエチルエーテルでうすめ、希塩酸、水および塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮し、反応の第2の部分に直接使用した。
その2: 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.83g)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.55g)の塩化メチレン(20ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)−ブタン−1,4−ジオエート(1.32g)およびz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノール(0.98g)の塩化メチレン(40ml)溶液に加えた。分析による反応完結の後に、反応混合物をヘキサンでうすめ、濾過、濃縮し、クロマトグラフィで精製して1,4−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)−ブタン−1,4−ジオエートを淡黄色油として得た。
【実施例28】
【0108】
2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート (メトロニダゾールとGLAのエステル)
方法A: メトロニダゾール(206g)の無水アセトニトリル(2300ml)と無水ピリジン(107ml)への懸濁液に攪拌しながら室温、窒素ガス下で、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(373g)を30分で加えた。この酸塩化物の添加後すぐに透明な溶液が形成され、攪拌を2時間続行した。混合物を終夜放置し、溶媒を減圧下(50℃/20mmHg)で除去した。残留物に酢酸エチル(1000ml)を加え、沈殿した何らかの固体を濾別した。この酢酸エチル溶液を塩水、2M塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、そして最後に塩水でと、連続して洗浄した。
乾燥(硫酸ナトリウム)後、溶媒を除去してオレンジ色の油を得た。この物質を乾燥カラム・クロマトグラフィにかけて2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエートを淡黄色の蒸留不可能な油として得た。
方法B: メトロニダゾール(1.9g)をトルエン(30ml)中に懸濁し、攪拌しながら混合物をディーン(Dean)およびスターク(Stark)のヘッドを用い、存在する何らかの水を除去するために、還流下で20分加熱した。この沸とう溶液に窒素ガス下で、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(2.96g)を20分間で滴下、添加した。反応混合物を攪拌し、還流下に更に2時間加熱して黒ずんだ反応混合物を得た。冷却後、この混合物を乾燥カラム・クロマトグラフィにかけて2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエートを淡黄色、蒸留不可能油として得た。
【実施例29】
【0109】
2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z−オクタデカ−9,12−ジェノエート (メトロニダゾールとLAのエステル)
メトロニダゾール(1.9g)の乾燥ジクロルメタン(20ml)への懸濁液に、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.22g)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.2g)およびリノール酸(2.8g)を連続的に加えた。混合物を室温下で終夜攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(20ml)を加え、攪拌を続行した。濾過の後に、有機層を分離し、50%の飽和塩水で、最後に飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。ジクロルメタン溶液を乾燥(硫酸ナトリウム)し、減圧で蒸発させた(30℃/20mmHg)。得られた残留物にガソリン(b.p.30〜60℃、20ml)を加え、混合物を室温で2時間放置して残存する尿素を沈殿させた。この沈殿を濾過により除去し、濾液を乾燥カラムにかけて2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−オクタデカ−9,12−ジェノエート淡黄、蒸留不可能油として得た。
【実施例30】
【0110】
2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−エイコサ−8,11,14−トリエノエート (メトロニダゾールとDGLAのエステル)
類似の方法で、しかしリノール酸をz,z,z−エイコサ−8,11,14−トリエン酸の要求量で置換して、2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z−エイコサ−8,11,14−トリエノエートを製造した。
【実施例31】
【0111】
2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノエート (メトロニダゾールとDHAのエステル)
類似の方法で、しかしリノール酸をz,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸で置換して、2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾリル)エチル−z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノエートを製造した。
【実施例32】
【0112】
4−〔3−〔2−(トリフルオルメチル)10H−フェノチアジン−10−イル〕
〕−1−ピペラジンエチル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート (フルフェナジンとGLAのエステル)
類似の方法で、しかしメトロニダゾールを4−〔3−〔2−(トリフルオルメチル)10H−フェノチアジン−10−イル〕〕−1−ピペラジンエタノール(フルフェナジン)に、およびリノール酸をGLAの要求量に夫々置き換えて、4−〔3−〔2−(トリフルオルメチル)−10H−フェノチアジン−10−イル〕〕−1−ピペラジンエチル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエートを製造した。
【実施例33】
【0113】
4,4’−(ビスz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルアミノ)ジフェニルスルホン (ダプソンとGLAのビスアミド)
類似した方法で、しかしメトロニダゾールを4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(ダプソン)の必要量で、リノール酸をGLAの必要量で置換して、4,4’−(ビスz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルアミノ)ジフェニルスルホンを製造した。
【実施例34】
【0114】
N−メチル−3−フェニル−3〔α,α,α−トリフルオル−p−トリル〕プロピル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエンアミド (フルオキセチンとGLAのアミド)
類似の方法で、しかしメトロニダゾールを要求量のN−メチル−3−フェニル−3〔α,α,α−トリフルオル−p−トリル〕プロピルアミン(フルオキセチン)に、およびリノール酸を要求量のGLAで置換して、N−メチル−3−フェニル−3〔α,α,α−トリフルオル−p−トリル〕プロピル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエンアミドを製造した。
【実施例35】
【0115】
トランス−1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルアミノ)−2−フェニルシクロプロパン (トラニルシプロミンとGLAのアミド)
類似の方法で、しかしメトロニダゾールを要求量のトランス−1−アミノ−2−フェニルシクロプロパン(トラニルシプロミン)で、およびリノール酸を要求量のGLAで置換して、トランス−1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルアミノ)−2−フェニルシクロプロパンを製造した。
【実施例36】
【0116】
6−〔(アミノフェニルアセチル)アミノ〕−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−アザビシクロ〔3.2.0〕ヘプタン−2−カルボン酸−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエンアミド (アンピシリンとGLAのアミド)
トリエチルアミン(0.3ml)をアンピシリン(0.7g)の無水DMF(120ml)懸濁液に攪拌しながら窒素ガス下で加えた。得られた透明溶液に、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.75g)を反応物を0〜10℃に保ちながら加えた。反応混合物を室温下で終夜放置するに先立って、この温度で数時間攪拌を続行した。放置後の分析(40%THF/ヘキサン)は、大部分のスクシンイミドエステルが反応したことを示した。水(40ml)を反応フラスコに加え、内容物を攪拌した。次いで溶液を中和し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)、濃縮、乾固して黄色ガラス状の粗生成物を得た。ヘキサン存在下に砕いて6−〔(アミノフェニルアセチル)アミノ〕−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ〔3.2.0〕ヘプタン−2−カルボン酸−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエンアミドを黄色粉末体として得た。
【実施例37】
【0117】
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート (GLAとGLAアルコールのエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.82g)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.48g)を塩化メチレン(5ml)と共に、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノール(0.95g)およびz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸(1g)の塩化メチレン(10ml)溶液に攪拌しながら室温、窒素ガス下で加えた。tlcによって反応完結を知り、ヘキサンを反応混合物に加え、次いで濾過し、濾液をカラム・クロマトグラフィにより精製して、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエートを淡黄色油として得た。
【実施例38】
【0118】
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノエート (EPAとGLAアルコールのエステル)
実施例37におけるように製造した。ただし、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸をz,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸に代えた。
【実施例39】
【0119】
2−メチル−3−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)−4−ホルミル−5−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)メチルピリジン(ピリドキサルのジEPAエステル)
ピリドキサル・ハイドロクロライド(1.0g)の塩化メチレン(20ml)への懸濁液にトリエチルアミン(2.0ml)を加えた。透明な黄色液が得られた。氷で冷却しながら、z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルクロライド(1.73g)(塩化メチレン中でEPAとオキサリルクロライドとの反応によって製造した)を加えた。混合物を窒素ガス下で室温まで暖めながら終夜攪拌した。等容積の塩化メチレンでうすめた後に、混合物を2M塩酸(20ml)で抽出し、水で洗浄し(3×20ml)、乾燥、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して2−メチル−3−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)−4−ホルミル−5−(z,z,z,z,z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエノイルオキシ)メチルピリジンを澄んだ油として得た。
【実施例40】
【0120】
2−メチル−3−ヒドロキシ−4−ホルミル−5−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)メチルピリジン (ピリドキサルのジGLAエステル)
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(800mg、2.7ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、ピリドキサル・ハイドロクロライド(500mg、2.45ミリモル)、トリエチルアミン(1ml、7.2ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(数mg、触媒量)と塩化メチレン(20ml)の混合物に0℃、窒素ガス下で徐々に滴下、添加した。tclによって示された反応完結の後に、混合物を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して2−メチル−3−ヒドロキシ−4−ホルミル−5−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)メチルピリジンを、その後に固化した無色油として得た。
【実施例41】
【0121】
2−メチル−3−ヒドロキシ−4,5−ジ(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)メチルピリジン (ピリドキシンのビスGLAエステル)
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(650mg、2.2ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、ピリドキシン・ハイドロクロライド(206mg、1ミリモル)、トリメチルアミン(0.7ml、5ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(数mg、触媒量)と塩化メチレン(20ml)の混合物を0℃で窒素ガス下に徐々に滴下、添加した。tclにより反応完結を知ったのち(4時間)、混合物を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、2−メチル−3−ヒドロキシ−4,5−ジ−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)メチルピリジンを無色油として得た。
【実施例42】
【0122】
1−(2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾロイル)エチル)−4−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)ブタン−1,4−ジオエート (メトロニダゾールおよびGLAアルコールとコハク酸のジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(780mg、3.8ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(530mg、4.3ミリモル)の塩化メチレン(15ml)溶液を、GLAアルコール・スクシネートモノエステル(1.25g、3.3ミリモル)(実施例27、その1におけるように製造)およびメトロニダゾール(620mg、3.6ミリモル)の塩化メチレン(30ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下で加えた。tlcにより反応完結を知ったのち、混合物をヘキサンでうすめ、濾過、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。生成物留分を集め、濃縮して1−(2−(2−メチル−5−ニトロイミダゾロイル)エチル)−4−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル)−1,4−ブタンジオエートを無色油として得た。
【実施例43】
【0123】
トランス−1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシカルボニルブチルオキシアミノ)−2−フェニルシクロプロパン (コハク酸、1−GLAアルコールエステル、4−トラニルシプロミンアミド)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(315mg、1.52ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(210mg、1.72ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、GLAアルコール・スクシネートモノエステル(500mg、1.32ミリモル)(実施例27、その1におけるように製造)およびトラニルシプロミン(225mg、1.32ミリモル)の塩化メチレン(20ml)溶液に攪拌しながら、室温、窒素ガス下で加えた。tlcによって反応完結を確認の後に、混合物をヘキサンでうすめ、濾過、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。生成物留分を集め、濃縮してトランス−1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシカルボニルブチルオキシアミノ)−2−フェニルシクロプロパンを無色油として得た。
【実施例44】
【0124】
(±)−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4',8',12’−トリメチルデシル)−6−クロマニル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート (α−トリフェロールのGLAエステル)
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(2.96g、10ミリモル)を、(±)−α−トコフェロール(4.3g、10ミリモル)およびピリジン(0.885mg、11ミリモル)の塩化メチレン(35ml)溶液に攪拌しながら、2〜3分の間に、窒素ガス下、−5℃で滴下、添加した。反応混合物を室温に暖めながら、終夜攪拌した。tlc分析により、実質的に反応完結を知った。反応混合物を水(100ml)、2M塩酸(100ml水に10ml)および水(4×100ml)で洗浄した。
有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(エーテル/ヘキサン)により精製して(±)−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4',8',12’−トリメチルデシル)−6−クロマニル−z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエートを淡黄色油として得た。
【実施例45】
【0125】
アンドロスト−5−エン−17−オン−3−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノエート)(デヒドロエピアンドロステロンのDHAエステル)
デヒドロエピアンドステロン(1g)およびトリエチルアミン(1ml)と塩化メチレン(20ml)の混合物に、冷却(0℃)しながらz,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノイルクロライド(1.33g)(DHAとオキサリルクロライドとの塩化メチレン中での反応により製造)を加えた。
反応混合物を終夜攪拌し、室温まで温度を高めた。塩化メチレン(20ml)でうすめ、2M塩酸(20ml)で抽出し、水で洗浄(2×20ml)し、乾燥、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、デヒドロエピアンドロスト−5−エン−17−オン−3−(z,z,z,z,z,z−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノエート)を澄んだ油として得た。
【実施例46】
【0126】
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−(2−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)アセテート)
GLAおよびGLAアルコールとグリコール酸のジエステルその1: クロルアセチルクロライド(0.4ml、5ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノール(1g、3.8ミリモル)およびトリエチルアミン(1.4ml、10ミリモル)の塩化メチレン(20ml)溶液に0℃で滴下、添加した。反応進行をtlcで監視した。3時間後、反応は実質的に完結したが、完全ではなかった。数滴のクロルアセチルクロライドを更に加えた。tlc分析により5分以内に反応は完結した。混合物を水(2×50ml)および塩水(50ml)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)、濃縮した。少量の水を共沸混合物として除去するためにトルエンを加えた。これにより、GLAアルコールのクロルアセチルエステルを濃褐色油として得、この油は更なる精製なしで使用した。
その2: z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸(700mg、2.5ミリモル)および炭酸セシウム(410mg、1.25ミリモル)の混合物をメタノールにまぜて透明な溶液を得た。次いで混合物を濃縮し、高真空下、40℃で1時間保持した。GLAのセシウム塩が得られ、更なる精製なしで使用した。
その3: その2で製造したGLAのセシウム塩を入れたフラスコに、GLAアルコールのクロルアセチルエステル(その1)(500mg、1.5ミリモル)および乾燥DMF(15ml)を加えた。反応混合物を窒素ガス下、室温で攪拌した。90分の後に、tlc分析は反応完結を示した。反応混合物をヘキサン(2×40ml)で抽出し、ヘキサン抽出物を塩水(2×50ml)および水(50ml)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)、濃縮してz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−(2−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニルオキシ)アセテート)を無色油として得た。
【実施例47】
【0127】
ハイドロコルチゾン−21−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート)
(ハイドロコルチゾンのGLAエステル)
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルクロライド(450mg、1.52ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、ハイドロコルチゾン(500mg、1.38ミリモル)、トリエチルアミン(420μl、3ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(数mg、触媒量)の塩化メチレン(20ml)混合物に0℃、窒素ガス下で徐々に滴下、添加した。4時間後、tlc分析は反応完結を示した。
混合物を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル/ヘキサン)により精製してハイドロコルチゾン−21−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノエート)を無色油として得た。
【実施例48】
【0128】
z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−(2−(1−(4−クロルベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチルインドール−3−アセチルオキシ)アセテート)(インドメタシンおよびGLAアルコールとグリコール酸とのジエステル)
その1: インドメタシン(895mg、2.5ミリモル)および炭酸セシウム(410mg、1.25ミリモル)の混合物をメタノールにまぜて透明な溶液を得た。この溶液を次いで濃縮し、40℃で高真空下に1時間保持した。この結果、インドメタシンのセシウム塩を明るい黄色固体として得た。
その2: その1で製造したインドメタシンのセシウム塩を入れたフラスコに、GLAアルコールのクロルアセチルエステル(実施例46、その1で製造)(500mg、1.5ミリモル)および乾燥DMF(15ml)を加えた。反応混合物を窒素ガス下、室温で攪拌し、tlcにより反応の進行を監視した。冷蔵庫に1夜放置の後、tlc分析は反応完結を示した。混合物を水(50ml)および酢酸エチル(50ml)に分配した。数mlの塩水を乳濁状態をこわすために使用した。酢酸エチル層を水(3×50ml)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、シリカのパットを通して濾過し、濃縮してz,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエニル−(2−(1−(4−クロルベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチルインドール−3−アセチルオキシ)
アセテート)を明るい黄色油として得た。
【実施例49】
【0129】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(4−フェニルブタノイルオキシ)プロパン (4−フェニルブタン酸およびGLAと1,3−プロパンジオールのジエステル)
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(710mg、3.45ミリモル)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(475mg、3.9ミリモル)の塩化メチレン(10ml)溶液を、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−ヒドロキシプロパン(1g、3ミリモル)および4−フェニルブタン酸(520mg、3.15ミリモル)の塩化メチレン(15ml)溶液に加えた。得られた混合物を窒素ガス下、室温でtlcによって反応完結が示されるまで攪拌した。混合物を濾過、濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィにより精製して1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(4−フェニルブタノイルオキシ)プロパンを得た。
【実施例50】
【0130】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(フェニルアセトキシ)プロパン (フェニル酢酸およびGLAと1,3−プロパンジオールのジエステル)
実施例49と類似の方法で、しかし4−フェニルブタン酸をフェニル酢酸(430mg、3.15ミリモル)に代えて1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(フェニルアセトキシ)プロパンを得た。
【実施例51】
【0131】
1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(トランス−シンナモイルオキシ)プロパン (トランス−桂皮酸およびGLAと1,3−プロパンジオールのエステル)
実施例49と類似の方法で、しかし4−フェニルブタン酸をトランス−桂皮酸(470mg、3.15ミリモル)に代えて、1−(z,z,z−オクタデカ−6,9,12−トリエノイルオキシ)−3−(トランス−シンナモイルオキシ)プロパンを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式で表される化合物。

ここで、R1は、C12〜30脂肪酸から導かれたアシル基、またはC12〜30脂肪族アルコール基から選ばれ、R2は、リポ酸である。
【請求項2】
下記の構造式で表される化合物。

ここで、R1は、C12〜30脂肪酸から導かれたアシル基、またはC12〜30脂肪族アルコール基から選ばれ、R2は、トリプトファン、フェニルアニリン、GABA,フルオキセチン、又はトラニルシプロミンである。
【請求項3】
1が、γ−リノール酸(GLA)、ジホモ−γ−リノール酸(DGLA)、アラキドン酸(AA)、アドルン酸、ステアリン酸(SA)、エイコペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、コロンビン酸(CA)、パリナリン酸及び共役リノール酸(cLA)からなる群から選ばれる請求項2記載の化合物。
【請求項4】
1が、γ−リノール酸(GLA)、であり、R2が、トリプトファンである請求項2記載の化合物。
【請求項5】
1が、γ−リノール酸(GLA)、であり、R2が、フェニルアニリンである請求項2記載の化合物。
【請求項6】
1が、γ−リノール酸(GLA)、であり、R2が、GABAである請求項2記載の化合物。

【公開番号】特開2007−231020(P2007−231020A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97560(P2007−97560)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【分割の表示】特願平8−533121の分割
【原出願日】平成8年5月1日(1996.5.1)
【出願人】(503327716)スカリスタ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】