説明

画像処理装置

【課題】 1回の入力データに対し、異なる条件で画像処理を行うことにより、使用用途に合わせた画像再処理や、撮影のやり直しを回避すること。
【解決手段】 入力された画像データに所定の画像補正処理を行う画像処理装置において、画像データに対し、複数の異なるパラメータのそれぞれで画像処理を行う画像処理部18と、画像処理部18で処理された画像データを蓄積するメモリカード16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルスチルカメラなどの静止画デジタル撮像装置や画像入出力装置に利用され、特に、一つの画像処理(補正)項目に対し複数の条件で画像処理を実行する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、デジタルスチルカメラや銀塩カメラでは、撮影を行う前に色合いやシャープネスなどの条件を設定して撮影を行っている。また、デジタルスチルカメラで撮像した撮像データをパーソナルコンピュータに入力し、コンピュータ上のPCアプリケーションを用い撮像データに対する画像処理が行われている。また、コンピュータを用いずにカメラのみで容易に画像合成を行う技術が、特開平8−140025号公報の「デジタルカメラ」に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に示されるような従来のデジタルカメラにあっては、撮影者が撮影前に期待する撮像条件を設定しているので、撮影後のデータが意図する画像ではない場合が生じる。また、特開平8−140025号公報では、露光量を変更しながら撮影を行うオートブラケット機能を有しているが、一つの露光データに対し自動的にパラメータを変更しながら記録する機能を有していないので、撮像データに対する意図する画像処理の結果が得られない。
【0004】たとえば、2値データとして記録した場合、その後に多値データとして扱うことができなかったり、多値で記録した画像を2値データとして扱うことができない場合、PCアプリケーションなどの画像処理装置で画像処理を行う必要がある。また、圧縮率に関しても、ディテールを確認した後、遠隔地で被写体像の概要を確認するため通信でデータ転送する場合、異なる圧縮率で2回撮影するか、パーソナルコンピュータ上で再圧縮する必要があった。
【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、1回の入力データに対し、異なる条件で画像処理を行うことにより、使用用途に合わせた画像再処理や、撮影のやり直しを回避することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1にかかる画像処理装置にあっては、入力された画像データに所定の画像補正処理を行う画像処理装置において、前記画像データに対し、複数の異なるパラメータのそれぞれで画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段で処理された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、を備えたものである。
【0007】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、複数の異なる条件で画像処理することにより、一つの画像データに対する異なる画像処理結果が得られ、その中からユーザが意図する画像を選択可能にさせる。
【0008】また、請求項2にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、色変換処理時に、異なる色変換係数を用いてそれぞれ処理するものである。
【0009】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、色変換処理を行うときの変更条件を複数の異なる色変換係数とすることにより、一つの画像データに対する異なる色合いの画像処理結果を出力する。
【0010】また、請求項3にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、エッジ強調処理時に、異なるエッジ強調係数を用いてそれぞれ処理するものである。
【0011】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、エッジ強調処理(アパーチャー処理)を行うときの変更条件を複数の異なるエッジ強調係数(アパーチャー係数)とすることにより、一つの画像データに対する異なる出力輝度信号の画像処理結果を出力する。
【0012】また、請求項4にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、ガンマ変換処理時に、異なるガンマ変換係数を用いてそれぞれ処理するものである。
【0013】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、ガンマ変換処理を行うときの変更条件を複数の異なるガンマ変換係数とすることにより、一つの画像データに対する異なる階調性の画像処理結果を出力する。
【0014】また、請求項5にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、色変換処理、エッジ強調処理、ガンマ変換処理のうち少なくとも二つを組み合わせ、異なる複数のパラメータでそれぞれ処理するものである。
【0015】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、色変換処理、エッジ強調処理、ガンマ変換処理のうち少なくとも二つを組み合わせ、それぞれ複数の異なる係数で処理することにより、一つの画像データから異なる画像処理結果を適宜選択することが可能となる。
【0016】また、請求項6にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、2値化処理と多値化処理とを選択的に行うものである。
【0017】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データの使用目的に応じて、2値化/多値化の処理を選択的に行うことにより、ユーザの使用意図に対応した画像処理が可能となる。
【0018】また、請求項7にかかる画像処理装置にあっては、さらに、前記画像処理手段で画像処理された画像データを表示する表示手段と、前記表示手段に表示された画像データの選択を指示する指示手段と、を備え、前記指示手段によって選択された画像データを前記画像データ蓄積手段に蓄積するものである。
【0019】この発明によれば、一つの入力データを複数の異なる条件で画像処理し、その結果を画像データ蓄積手段に蓄積する際に、複数の画像処理結果を表示手段に表示し、その表示結果からユーザが意図するものを選択し、該選択された画像のみを画像データ蓄積手段に蓄積することにより、使用メモリ容量を最小限に抑える。
【0020】また、請求項8にかかる画像処理装置にあっては、さらに、前記画像処理手段で画像処理された画像データを圧縮する画像圧縮手段を備え、前記画像圧縮手段は、前記画像データに対して異なる圧縮率でそれぞれ圧縮するものである。
【0021】この発明によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、圧縮率を異ならせて画像圧縮することにより、たとえば低ビットレートの通信で画像を転送する場合には高圧縮率の画像を選択し、被写体像の概要のみが必要な場合には低圧縮率の画像を選択することにより、記録データの使用用途に応じたデータ選択が可能になる。
【0022】また、請求項9にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段に対し、画像処理する際の各係数の変更回数を設定するものである。
【0023】この発明によれば、画像処理する際の各係数の変更回数を設定できるようにすることにより、各画像処理における処理結果の数を適宜変更することが可能となる。
【0024】また、請求項10にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段に対し、画像処理する際における各係数の変更度合いを設定するものである。
【0025】この発明によれば、画像処理する際における各係数の変更度合い(段階)を設定できるようにすることにより、各画像処理における処理結果のレベルを適宜変更することが可能となる。
【0026】また、請求項11にかかる画像処理装置にあっては、前記画像処理手段は、前記画像データ蓄積手段に蓄積されている処理後の画像データを読み出し、該画像データに対しあらかじめ指定された画像処理を実行するものである。
【0027】この発明によれば、撮影済みの画像データを再度異なる画像処理で出力したい場合、画像データ蓄積手段に蓄積されている処理後の画像データを読み出し、該画像データを画像処理手段に入力することにより、コンピュータなど他の画像処理装置を用いずに、所望の画像処理が実現する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる画像処理装置の好適な実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0029】まず、本発明にかかる画像処理装置が適用される装置としてデジタルスチルカメラを例にとって説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラのシステム構成を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ10は、このカメラ全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)11を備えている。マイコン11には、後述するように、入力装置12と、フレームメモリ13と、画像処理装置14と、バッファメモリ15と、メモリカード16と、キー操作部17と、が接続されている。
【0030】入力装置12は、何れも不図示であるが、レンズユニット、CCD(charge coupled device:電荷結合素子)、CCDを駆動するタイミングSG(制御信号発生器)、CCD出力電気信号(アナログ画像データ)をデジタルデータに変換するA/D変換器から構成されている。さらに、CCDは、たとえば、インターレース方式で、メカシャッターと併用することにより全画素読み出しが可能なタイプを用い、総画素数230画素(水平1901画素、垂直1212画素)、有効画素数は216万画素(水平1800画素、垂直1200画素)のものを採用する。
【0031】フレームメモリ13は、少なくとも撮像画像の1画面以上の画像データを蓄積することができる画像メモリであり、たとえば、VRAM,SRAM,DRAM,あるいはSDRAM(シンクロナスDRAM)などの一般に用いられているメモリを用いる。バッファメモリ15は、画像処理装置14で処理された撮像データを格納するためものである。
【0032】画像処理装置14は、後述するように、画像処理部18と、表示制御部19と、データ圧縮部20と、を備えている。さらに、画像処理装置14には、パラメータ格納部21と、表示装置22と、が接続されている。
【0033】マイコン11は、一般的に知られているマイクロコンピュータシステムが採用され、何れも不図示であるが、制御プログラムに基づいて所定の制御(撮像、記録、再生など)を実行するCPU、制御プログラムが格納されているROM、ワーキングメモリ(作業領域)として使用されるRAMなどによって構成されている。メモリカード16は、バッファメモリ15に格納されたデータを圧縮し、その圧縮データを格納(蓄積)しておくためのものである。この他に、たとえば8MB程度の内部メモリあるいはスマートメディア(切手大の薄い小型メモリ)などに記録する構成であってもよい。
【0034】表示装置22は、液晶ディスプレイにより撮像データを表示するものである。表示制御部19は、画像処理装置14で所定の画像処理がなされた撮像データを表示制御し、その撮像データを表示装置22に送出する機能を有する。画像処理部18は、マイコン11の指示に基づいてパラメータ格納部21に格納されている画像処理パラメータを選択し、そのパラメータに従った画像処理を実行するものである。
【0035】パラメータ格納部21には、たとえば、図3に示すように、■色変換係数、■エッジ強調係数(アパーチャー係数)、■ガンマ変換係数、■上記三つのうちの少なくとも二つの組み合わせ、■2値化処理+多値化処理、■圧縮率、■係数変更回数、■係数変更回数の度合い、といった処理に対し、それぞれ複数の条件(パラメータ)で処理できるような異なる係数があらかじめ格納されている。なお、このパラメータ格納部21に格納する内容(データ)を、マイコン11のROMによって代用する構成であってもよい。
【0036】すなわち、後述するように、たとえば、■の色変換係数を選択すると、色変換係数の値を少なくとも二つ変えて状態で画像処理し、その結果を表示出力し、ユーザの好みによって何れかを選択させ、さらにその選択された画像データを圧縮し保存する。同様に、他のパラメータ■〜■についてのその処理項目を選択することにより異なる値(条件)での画像処理が行われる。
【0037】なお、エッジ強調係数(アパーチャー係数)は、アパーチャー補正と呼ばれるエッジ強調を行う際に用いられる係数である。たとえば、4水平ライン分の遅延戦を持ち、垂直方向に5ライン処理を行うことができる。5ライン処理により、水平・垂直ともに中域周波数・高域周波数のアパーチャー補正が実現し、出力輝度信号の周波数特性の最適化が可能である。ガンマ変換係数は、ガンマ(γ)変換時に用いられ、この補正によって階調性が補正される。
【0038】データ圧縮部20は、画像圧縮の符号化方法として、JPEG(JointPhotographic Experts Group)方式を採用する。この符号化アルゴリズムにはADCT(適応離散コサイン)を用い、最初に解像度の低い画像を符号化し、次第に解像度が高くなるような階層符号化も取り入れられる。キー操作部17は、撮像装置の動作指示を行うためのものであり、撮影を指示するレリーズキー、およびその他の各種設定を外部から行うためのボタンなどを備えている。
【0039】つぎに、以上のように構成されたデジタルスチルカメラの動作について説明する。入力装置12から入力されたデジタルデータは、フレームメモリ13に一時保管される。画像処理部18は、マイコン11から指示された画像処理パラメータに基づいて、フレームメモリ13に一時保管されたデータを処理し、バッファメモリ15に出力する。表示制御部19は、バッファメモリ15に書き込まれたデータを表示装置22に送り、撮像画像の表示を行う。データ圧縮部20は、バッファメモリ15に書き込まれたデータをJPEG方式で符号化し、その圧縮結果をメモリカード16に蓄積する。
【0040】マイコン11のCPUは、ROMに格納されている制御プログラムに従ってRAMを作業領域として使用しながら、キー操作部17からの指示、あるいはリモコン(不図示)などの外部動作指示、あるいはパーソナルコンピュータなどの外部端末からの通信による通信動作指示に従い、デジタルスチルカメラ10の全動作を制御する。具体的には、マイコン11は、撮像動作制御、画像処理装置14における画像処理パラメータの設定、メモリコントロール、表示制御などを行う。
【0041】ここで、上記デジタルスチルカメラ10による一連の撮像動作について上述と重複する部分を含め説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラ10の動作例を示すフローチャートである。撮像が開始されると、まず、入力装置12から撮像データ(デジタルデータ)を入力する(ステップS11)。具体的には、画像の取り込みは、ズームレンズを通して結像した被写体像を230万画素のCCDで光電変換し、その電気信号をA/D変換器を経てデジタルの画像信号を後段に出力する。画像処理装置14はマイコン11から信号に基づいてパラメータ格納部21に格納されている画像処理パラメータ(図3参照)を選択する(ステップS12)。
【0042】続いて、上記ステップS12で選択した画像処理パラメータ(複数の条件設定)に従って画像処理を行い(ステップS13)、その処理したデータをバッファメモリ15に出力する(ステップS14)。その後、バッファメモリ15内のデータを表示装置22に送出し(ステップS15)、撮像画像を表示装置22に表示する(ステップS16)。さらに、データ圧縮部20により、JPEG方式により上記バッファメモリ15に格納したデータを圧縮し(ステップS17)、メモリカード16に蓄積する(ステップS18)。
【0043】画像処理部18は、フレームメモリ13から読み出された画像データに対し、オートホワイトバランス処理で色信号の調整を行い、アパチャー補正と呼ばれるエッジ強調を行う。その後、ガンマ補正により、階調処理を行う。明るさの情報である輝度信号Yと色の情報である色差信号Cr,Cbのデータに変換されて画像領域に出力される。これらのY,Cr,Cbデータは、画像処理部18に再度転送され、JPEG圧縮処理が行われる。
【0044】この実施の形態では、特に、上述した画像処理は、同一の処理に対し、マイコン11の指示により複数の条件で画像処理され、その画像処理結果が表示装置20に出力され、キー操作部17で選択された画像のみがデータ圧縮部20によって圧縮される。
【0045】JPEG圧縮処理は、たとえば、内部24MHzで動作することにより、179×1200の画像データを約30秒で圧縮・伸長することができる。圧縮された画像データは、表示制御部19により所定の圧縮画像データ領域に書き込まれる。この場合、たとえば、約2MBの圧縮画像データ領域として使うことにより、ノーマルモード画像(1792×1200)を5枚分記録することができる。すなわち、圧縮画像データはバッファメモリ15のデータ領域から読み出され、マイコン11の制御により、メモリカード16などにDMA転送により記録される。
【0046】ここで、色変換係数として、ホワイトバランスのゲインを変更しながら画像処理を行う例について説明する。まず、AWB(オートホワイトバランス)制御の基本動作を説明する。先に述べたように、レンズを介した被写体像は、CCDに入射し、CCDは被写体像を電気信号(デジタル画像データ)に変換し、R,G,Bのアナログ画像データを出力する。上記アナログ画像データはA/D変換器によってR,G,Bのデジタル画像データに変換される。該変換されたデジタル画像データはフレームに保管される。
【0047】マイコン11は、上記デジタル画像データの特定部分、あるいは全体のR,G,Bの値を読み出し、適正なホワイトバランスになるようなホワイトバランスのゲインGr0とGb0を算出する。画像処理部18では、R,G,Bデータを輝度と色差のY,Cb,Crデータに変換してバッファメモリ15に出力する。この画像変換をする際に、マイコン11から画像処理装置14に対し、ホワイトバランスゲインGr0,Gb0を設定する。
【0048】バッファメモリ15に蓄積されたデータは、画像処理装置14内のデータ圧縮部20に読み込まれ、JPEG圧縮される。該圧縮されたデータはメモリカード16などの外部記録装置、あるいは内部メモリなどに記録される。
【0049】この実施の形態では、さらに色合いが青くなるようなゲインGr1とGb1(Gr1<Gr0、Gb1>Gb0)、赤くなるようなゲインGr2とGb2(Gr2<Gr0、Gb2>Gb0)を算出する。そして、ゲインGr0、Gb0を設定した画像処理に続いて、ゲインGr1、Gb1による画像処理、およびゲインGr2、Gb2による画像処理を行う。
【0050】表示装置22には、画像処理装置14において、複数の条件で処理された画像の全数あるいは一部を並べて表示する。また、キー操作部17から、表示された画像に対してメモリカード16への記録が必要かの選択を行うようにする。ここで選択された画像は、データ圧縮部20に送られ圧縮された後に、メモリカード16に記録される。また、上述した、色合いの条件を変えて画像処理を行う他に、図3に示す他の画像処理項目についてもそれぞれ異なる条件での画像処理を選択的に行うことができる。たとえば、入力データを、2値として処理する2値化処理と、画像データとして多値処理を行う多値化処理の二つの方法で画像処理を行うことにより、記録データの使用用途に応じたデータの選択が可能になる。
【0051】すなわち、2値化処理による画像処理は、たとえば、被写体像が文字画像であればOCR処理装置に直接入力することができるし、ファクシミリ機能があれば直接ファクシミリ送信を行うことができ、他方、多値による処理結果は、写真画像として扱うことができる。また、記録(蓄積)する画像の圧縮率を変更して複数の記録画像とすることにより、記録データの使用用途に応じたデータの選択も可能となる。たとえば、高圧縮率の画像のみを使用することにより、低ビットレートの通信で画像を転送することにより、転送時間の短縮化が図られる。
【0052】また、撮影結果のディテールを確認した後は、撮影した被写体像の概要だけ確認可能なデータを蓄積したい場合には、低圧縮率の画像でディテールを確認し、低圧縮率の画像のみを記録することにより、記録部の必要容量を削減することができる。また、画像処理を行う際に、係数変更回数および係数変更の度合い(段階)を設定可能とすることにより、同一の入力結果から複数の処理結果を得ることができると共に、係数の変更回数やその度合い(段階)の設定によって、的確な画像処理結果が得られる。
【0053】さて、上述した画像処理は、一つの画像処理に対し複数のパラメータのそれぞれで画像処理を行い、その処理済みのデータを記録する記録装置(本例では、メモリカード16)が必要なる。そこで、この実施の形態では、処理結果を表示装置22に表示し、ユーザが必要な画像をキー操作部17を介して選択しその画像データのみをメモリカード16に記録することにより、メモリ容量を削減する。また、一度、画像処理を完了し、メモリカード16に記録(蓄積)された処理済みのデータを、再度、画像処理装置14に入力して処理することにより、撮影済みの画像に対してコンピュータなどの画像処理装置を用いずに、カメラのみで使用者の意図する画像を取得することができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる画像処理装置(請求項1)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、複数の異なる条件で画像処理することにより、一つの画像データに対する異なる画像処理結果が得られ、その中からユーザが意図する画像を選択可能にさせるため、使用用途に合わせた画像再処理や、撮影のやり直しを回避することができる。
【0055】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項2)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、色変換処理を行うときの変更条件を複数の異なる色変換係数とすることにより、一つの画像データに対する異なる色合いの画像処理結果を出力するため、使用者の好みに合った色補正後の画像が得られる。
【0056】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項3)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、ガンマ変換処理を行うときの変更条件を複数の異なるガンマ変換係数とすることにより、一つの画像データに対する異なる階調性の画像処理結果を出力するため、使用者が所望する階調画像を提供することができる。
【0057】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項4)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、エッジ強調処理(アパーチャー処理)を行うときの変更条件を複数の異なるエッジ強調係数(アパーチャー係数)とすることにより、一つの画像データに対する異なる出力輝度信号の画像処理結果を出力するため、エッジ強調(アパーチャー補正)処理における複数の処理結果を使用者に提供することができる。
【0058】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項5)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、色変換処理、エッジ強調処理、ガンマ変換処理のうち少なくとも二つを組み合わせ、それぞれ複数の異なる係数で処理することにより、一つの画像データから異なる画像処理結果を適宜選択することが可能となるため、使用者が所望する画像品質に合わせた画像処理結果を提供することができる。
【0059】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項6)によれば、画像処理手段に入力された画像データの使用目的に応じて、2値化/多値化の処理を選択的に行うことにより、ユーザの使用意図に対応した画像処理が可能となるため、文字画像であれば2値画像として記録し、その後の処理、たとえばOCR処理やファクシミリ送信が2値画像で直接行うことができ、他方、被写体が写真画像である場合には写真画像として取り扱うことができる。
【0060】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項7)によれば、一つの入力データを複数の異なる条件で画像処理し、その結果を画像データ蓄積手段に蓄積する際に、複数の画像処理結果を表示手段に表示し、その表示結果からユーザが意図するものを選択し、該選択された画像のみを画像データ蓄積手段に蓄積するため、使用者が必要とするデータのみが蓄積され、その使用するメモリ容量を最小限に抑えることができる。
【0061】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項8)によれば、画像処理手段に入力された画像データに対し、圧縮率を異ならせて画像圧縮するため、たとえば低ビットレートの通信で画像を転送する場合には高圧縮率の画像を選択し、被写体像の概要のみが必要な場合は、低圧縮率の画像でディテールを確認し低圧縮率の画像のみを残すことにより、その使用するメモリ容量を最小限に抑えることができる。
【0062】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項9)によれば、画像処理する際に、色補正処理やエッジ強調処理といった一連の画質向上処理における処理結果の数を適宜変更するため、その処理に適した係数変更回数を設定することができる。
【0063】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項10)によれば、画像処理する際における各係数の変更度合い(段階)を設定できるようにすることにより、各画像処理における処理結果のレベルを適宜変更することが可能となるため、処理レベルごとの結果を使用者が確認することができる。
【0064】また、本発明にかかる画像処理装置(請求項11)によれば、撮影済みの画像データを再度異なる画像処理で出力したい場合、画像データ蓄積手段に蓄積されている処理後の画像データを読み出し、該画像データを画像処理手段に入力するため、その都度、コンピュータなど他の画像処理装置を用いなくても、本画像処理装置が搭載される装置、たとえばデジタルスチルカメラのみで所望の画像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるデジタルスチルカメラの動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したパラメータ格納部に格納されている画像処理パラメータ例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 デジタルスチルカメラ
11 マイコン
12 入力装置
13 フレームメモリ
14 画像処理装置
15 バッファメモリ
16 メモリカード
17 キー操作部
18 画像処理部
19 表示制御部
20 データ圧縮部
21 パラメータ格納部
22 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力された画像データに所定の画像補正処理を行う画像処理装置において、前記画像データに対し、複数の異なるパラメータのそれぞれで画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段で処理された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 前記画像処理手段は、色変換処理時に、異なる色変換係数を用いてそれぞれ処理することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】 前記画像処理手段は、エッジ強調処理時に、異なるエッジ強調係数を用いてそれぞれ処理することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】 前記画像処理手段は、ガンマ変換処理時に、異なるガンマ変換係数を用いてそれぞれ処理することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】 前記画像処理手段は、色変換処理、エッジ強調処理、ガンマ変換処理のうち少なくとも二つを組み合わせ、異なる複数のパラメータでそれぞれ処理することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】 前記画像処理手段は、2値化処理と多値化処理とを選択的に行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】 さらに、前記画像処理手段で画像処理された画像データを表示する表示手段と、前記表示手段に表示された画像データの選択を指示する指示手段と、を備え、前記指示手段によって選択された画像データを前記画像データ蓄積手段に蓄積することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項8】 さらに、前記画像処理手段で画像処理された画像データを圧縮する画像圧縮手段を備え、前記画像圧縮手段は、前記画像データに対して異なる圧縮率でそれぞれ圧縮することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項9】 前記画像処理手段に対し、画像処理する際の各係数の変更回数を設定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項10】 前記画像処理手段に対し、画像処理する際における各係数の変更度合いを設定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項11】 前記画像処理手段は、前記画像データ蓄積手段に蓄積されている処理後の画像データを読み出し、該画像データに対しあらかじめ指定された画像処理を実行することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】特開2001−218077(P2001−218077A)
【公開日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−26622(P2000−26622)
【出願日】平成12年2月3日(2000.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】