説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】 通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動を強制的に停止した後に中間転写媒体の回転移動を再開した際のクリーナの当接タイミングを制御してクリーニング不良の発生を防止する。
【解決手段】 中間転写ベルト71の回転移動を再開すると、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しない転写禁止領域(トナー非担持領域)714がクリーニング位置Pcに位置する間でのみ、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を許可している。したがって、プロセス初期化動作の完了によって中間転写ベルト71からトナー像が完全にクリーニング除去されるまでに、クリーナ761へのトナー付着を発生させることなく、クリーナ761を清浄な状態に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写媒体の表面をクリーナでクリーニングする画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、例えばカラープリンター、カラーファクシミリ、カラー複写機等が従来より知られている。例えば特許文献1に記載の装置では、次のような通常転写シーケンスを実行することで画像を形成している。すなわち、感光体上に形成したトナー像を中間転写媒体に1次転写する処理を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)ごとに行い、これら4色のトナー像を中間転写媒体上で重ね合わせてカラー画像(1次転写トナー像)を形成している。そして、そのカラートナー像を2次転写ローラによって記録材に2次転写することで記録材にカラー画像を形成している。また、2次転写後に中間転写媒体上の残留トナーについてはクリーナによりクリーニング除去している。
【0003】
また、この種の画像形成装置では、紙詰まり等のエラーが発生することがあるが、特許文献1に記載の装置では、エラー発生から一定時間内に記録材の補給等のエラー処理がなされると、中間転写媒体に残存するトナー像を記録材に2次転写している。こうして、中間転写媒体上のトナー像を有効に利用するとともに、該トナー像の再形成を不要とすることで再起動時のスピードアップを図っている。一方、エラー発生から一定時間内にエラー処理がなされない場合には、クリーナを中間転写媒体に当接させてクリーニングシーケンスを実行する。これによって、中間転写媒体上のトナー像をクリーニング除去し、中間転写媒体上に長時間トナー像が乗っていることによる中間転写媒体の劣化を防止している。
【0004】
【特許文献1】特許第3524310号公報(第7頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなエラーが発生した場合には、エラー発生とほぼ同時に中間転写媒体を含む装置の特定部位が強制的に一時停止される。そして、エラー処理が完了すると、中間転写媒体の回転移動が再開される。このとき、エラー処理が一定時間内に行われた場合には、中間転写媒体上にトナー像を残存させたままトナー像を2次転写位置まで移動させて2次転写を行う。このとき、1次転写処理を行わず、中間転写媒体を空回しして記録材に2次転写したいトナー像を2次転写位置に移動させる必要がある。その空回しの際に中間転写媒体に残存するトナー像が感光体の逆転写して画質低下を招くことがあった。したがって、エラーが発生した場合には、早期にクリーニングシーケンスを実行するのが望ましい。
【0006】
また、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止される要因としては、上記したエラー発生に限定されるものではなく、例えば停電やユーザの誤操作などがある。すなわち、このような原因により通常転写シーケンスの実行中に電源が落ちると、中間転写媒体の表面に1次転写トナー像が残存したまま装置全体が停止されることがある。このような場合には、装置停止直前の通常転写シーケンスの進捗状況を把握することは困難である。したがって、エラー発生の場合と同様に、早期にクリーニングシーケンス(プロセス初期化処理)を実行するのが望ましい。
【0007】
ここで問題となるのが、クリーニングシーケンスにおけるクリーナの当接タイミングである。すなわち、中間転写媒体をクリーニングするためには、中間転写媒体に対してクリーナを当接させる必要がある。したがって、早期のクリーニングシーケンスを開始するには、エラー処理後の装置復帰または電源再投入により中間転写媒体の回転移動が再開されるのと同時にクリーニングシーケンスを実行するのが望ましい。しかしながら、中間転写媒体の表面領域のうちトナー像を担持している領域がクリーニング位置に位置しているにもかかわらず、クリーナが強制的にトナー像や残留トナーに移動すると、クリーナにトナーが付着してしまい、その付着トナーがクリーニング不良の原因となることがあった。特に、近年においては、画質向上のために球形トナーの使用が多くなってきており、クリーナへの球形トナーの付着によるクリーニング不良がより深刻な問題となってきている。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動を強制的に停止した後に中間転写媒体の回転移動を再開した際のクリーナの当接タイミングを制御してクリーニング不良の発生を防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、トナー像を担持しながら回転移動する中間転写媒体と、所定のクリーニング位置で中間転写媒体の表面に対して離当接自在に設けられ、中間転写媒体の表面に当接することで中間転写媒体の表面をクリーニングするクリーナと、クリーナを離当接駆動するクリーナ駆動手段と、クリーナ駆動手段に対して駆動指令を与えてクリーナの離当接動作を制御する制御手段とを備え、トナー像の中間転写媒体への1次転写および1次転写トナー像の記録材への2次転写を通常転写シーケンスとして実行して画像を形成するとともに、制御手段は、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に中間転写媒体の回転移動を再開したとき、中間転写媒体の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域がクリーニング位置に位置する間でのみ、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を許可することを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる画像形成方法は、トナー像を担持しながら回転移動する中間転写媒体と、所定のクリーニング位置で中間転写媒体の表面に対して離当接自在に設けられ、中間転写媒体の表面に当接することで中間転写媒体の表面をクリーニングするクリーナと、クリーナを離当接駆動するクリーナ駆動手段と、クリーナ駆動手段に対して駆動指令を与えてクリーナの離当接動作を制御する制御手段とを備え、トナー像の中間転写媒体への1次転写および1次転写トナー像の記録材への2次転写を通常転写シーケンスとして実行して画像を形成する画像形成方法であって、上記目的を達成するため、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に中間転写媒体の回転移動を再開する工程と、中間転写媒体の回転移動を再開したとき、中間転写媒体の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域がクリーニング位置に位置する間でのみ、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を許可する工程とを備えたことを特徴としている。
【0011】
この種の画像形成装置では、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に中間転写媒体の回転移動を再開したとき、中間転写媒体の表面に1次転写トナー像が残存することがある。そして、この1次転写トナー像にクリーナを移動させて接触させてしまうと、このことがクリーニング不良の原因となってしまう。そこで、この発明(画像形成装置および方法)では、中間転写媒体の回転移動を再開すると、中間転写媒体の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域がクリーニング位置に位置する間でのみ、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を許可している。これにより、クリーナへのトナー付着が発生せず、クリーナを清浄な状態に維持することができる。その結果、クリーニング不良の発生を確実に防止しながら、該クリーナを用いたクリーニング処理を行うことができる。
【0012】
ここで、「トナー非担持領域」として、トナー像が形成されない領域を利用してもよいし、またトナー像の一部を中間転写媒体から強制的に除去して形成した領域を利用してもよい。例えば、中間転写媒体の回転方向において、中間転写媒体の周長がトナー像の長さよりも長く、中間転写媒体の一部がトナー像が転写されない非転写領域となっている場合には、該非転写領域をトナー非担持領域として、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御するようにしてもよい。このように非転写領域を積極的に利用することでクリーナへのトナー付着をより確実に防止することができる。なお、中間転写媒体が継ぎ目を有する無端状の像担持ベルトで構成されている場合には、回転方向における継ぎ目の両側が所定範囲にわたってトナー像の1次転写を禁止する転写禁止領域となっていることが多い。そこで、継ぎ目を有する中間転写媒体では、転写禁止領域を非転写領域(トナー非担持領域)として、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御してもよい。
【0013】
また、中間転写媒体の回転移動を再開した後で、かつ中間転写媒体にクリーナを当接移動させる前に、中間転写媒体上のトナーを部分的に除去してトナー非担持領域を形成してもよい。例えば、中間転写媒体の回転移動を再開したとき、1次転写バイアスと逆極性の逆転写バイアスを中間転写媒体に印加して中間転写媒体表面の一部から潜像担持体にトナーを逆転写して逆転写領域を形成することができる。そして、逆転写領域をトナー非担持領域として、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御するようにしてもよい。
【0014】
また、中間転写媒体の回転移動を再開したとき、2次転写部材を中間転写媒体に当接移動して中間転写媒体から2次転写部材にトナーを転写して転写除去領域を形成することができる。そして、該転写除去領域をトナー非担持領域として、中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御するようにしてもよい。これらのようにしてトナー非担持領域の形成およびクリーナの当接移動制御を行う場合には、トナー非担持領域を中間転写媒体の任意の位置やタイミングで形成することができる。その結果、トナー非担持領域の形成タイミングを調整することで中間転写媒体へのクリーナの当接移動を早期に行うことができる。
【0015】
また、2次転写を行うために、次のような2次転写手段が設けられることがある。すなわち、2次転写手段は、所定の2次転写位置で中間転写媒体に対して離当接移動自在に設けられた2次転写部材と、2次転写部材を離当接駆動する2次転写駆動手段とを有し、2次転写部材を中間転写媒体に当接移動することによって記録材に1次転写トナー像を2次転写する。この場合、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に中間転写媒体の回転移動を再開したとき、トナー非担持領域が2次転写位置に位置する間でのみ、中間転写媒体への2次転写部材の当接移動を許可するように構成してもよい。これによって、クリーナと同様に、2次転写部材へのトナー付着が発生せず、2次転写部材を清浄な状態に維持することができる。
【0016】
ここで、中間転写媒体の回転移動を再開した後に実行される処理として、例えばプロセス初期化処理やクリーナ初期化処理などがある。これらのうち、「プロセス初期化処理」とは、トナー非担持領域がクリーニング位置に位置する間にクリーナを中間転写媒体に移動して当接させるとともに、中間転写媒体が1周以上回転するまで、中間転写媒体へのクリーナの当接状態を維持して中間転写媒体の表面をクリーニングして中間転写媒体を初期状態に戻す処理であり、このプロセス初期化処理によって通常転写シーケンスの実行が可能となる。
【0017】
また、「クリーナ初期化処理」とは、クリーナ駆動手段に駆動指令を与えてクリーナを中間転写媒体に当接させるのに続いて中間転写媒体から離間させてクリーナを初期位置に位置決めする処理である。これは、駆動指令後における中間転写媒体に対するクリーナの位置を直接確認するのではなく、該駆動指令に基づきクリーナの離当接状態を推認し、その推認結果に基づき次のクリーナの離当接動作を決定する、いわゆるオープンループ制御でクリーナの離当接動作を行う装置で実行される。そして、このクリーナ初期化処理に続いて、上記と同様にしてプロセス初期化処理を実行するように構成してもよく、これ(クリーナ初期化処理+プロセス初期化処理)によって通常転写シーケンスの実行が可能となる。
【0018】
また、中間転写媒体の回転移動を再開した後、かつ中間転写媒体へのクリーナの当接移動されるまでの間において、中間転写媒体に対して1次転写バイアスと同極性のバイアスを印加するように構成してもよい。このバイアス印加によって中間転写媒体に残存しているトナー像が逆転写されるのを防止することができる。
【0019】
また、中間転写媒体の回転移動動作に関連して同期信号を出力するセンサを備えた装置においては、センサから出力される同期信号に基づき中間転写媒体のトナー非担持領域がクリーニング位置に位置しているか否かを判断するようにしてもよい。このように上記センサを用いることでクリーナ初期化処理やプロセス初期化処理の実行タイミングを正確に制御することができ、クリーナへのトナー付着防止をより確実に行うことができ、クリーニング不良をさらに確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シート(記録材)Sに画像信号に対応する画像を形成する。
【0021】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は1次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
【0022】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。このように、この実施形態では感光体22が本発明の「潜像担持体」に相当している。
【0023】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するブラック用の現像器4K、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびイエロー用の現像器4Yを備えている。この現像ユニット4はエンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4K、4C、4M、4Yが選択的に感光体22と対向する所定の現像位置に位置決めされると、該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0024】
各現像器4K、4C、4M、4Yには、該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94がそれぞれ設けられている。そして、各現像器に設けられた送受信部49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つと、本体側に設けられた送受信部109とが互いに近接配置され、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で無線通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
【0025】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、1次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に1次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。この中間転写ベルト71は、図3の展開図に示すように、ほぼ矩形のシート体が継ぎ目711で継ぎ合わされて形成された無端ベルトからなっており、回転移動方向D2とほぼ直交する回転軸方向712の一端側(同図中、上側)に突起部713が設けられている。
【0026】
また、この中間転写ベルト71は、転写禁止領域714と転写許可領域715とを有している。転写禁止領域714は、継ぎ目711の両側所定寸法の範囲に回転軸方向712に一端から他端に亘って設定され、トナー像の1次転写が禁止されている。転写許可領域715は、転写禁止領域714以外の領域であって、回転軸方向712の一端部および他端部を除く矩形の領域に設定されている。この転写許可領域715は、回転移動方向D2に長辺方向のA3判より大きいサイズを有している。そして、同図(a)に示すように、回転移動方向D2に長辺方向となるA3判サイズの画像TIが転写可能になっている。また、同図(b)に示すように、中間転写ベルト71の一周で、回転移動方向D2に短辺方向となるA4判サイズのトナー像TI(n)、TI(n+1)が2枚、所定間隔だけ離間しながら転写可能になっている。このように、この実施形態では、中間転写ベルト71の回転方向D2において、中間転写ベルト71の周長が最大トナー像、つまりA3判サイズのトナー像の長さよりも長くなっている。また、転写禁止領域714にはトナー像が転写されず、本発明の「非転写領域」および「トナー非担持領域」に相当している。
【0027】
なお、同図に示すように、中間転写ベルト71の回転軸方向712の他端側(同図中、下側)において導電層716が表面に露出している。そして、この露出した部分に対して1次転写バイアス発生部102から1次転写バイアスが印加され、この1次転写バイアス印加によって感光体22上のトナー像が中間転写ベルト71に1次転写される。このように、1次転写バイアス発生部102が本発明の「1次転写手段」として機能している。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って2次転写領域(2次転写位置)TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0028】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、2次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において2次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで2次転写領域TR2に送り込まれる。
【0029】
この2次転写領域TR2では、ローラ73に対向して2次転写ローラ78が中間転写ベルト71に対して離当接自在に設けられている。この2次転写ローラ78には、2次転写ローラ駆動機構781が機械的に接続されており、エンジンコントローラ10からの駆動指令に応じて作動することで2次転写ローラ78を中間転写ベルト71に対して離当接駆動する。また、2次転写ローラ78は2次転写バイアス発生部103と電気的に接続されており、後述するタイミングで2次転写バイアスが印加される。このように、この実施形態では、2次転写ローラ78および2次転写ローラ駆動機構781がそれぞれ本発明の「2次転写部材」および「2次転写駆動手段」に相当しており、これらにより、本発明の「2次転写手段」が構成されている。
【0030】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、2次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0031】
また、ローラ75の近傍には、垂直同期センサ77およびクリーニング部76が設けられている。垂直同期センサ77は、例えば互いに対向配置された発光部(例えばLED)および受光部(例えばフォトダイオード)を有するフォトインタラプタからなり、回転する中間転写ベルト71の回転軸方向712の一端側に配置され、突起部713の通過を検出するもので、この検出信号がエンジンコントローラ10による装置制御の基準となる垂直同期信号(基準信号)として使用される。このように、この実施形態では、垂直同期センサ77が本発明の「センサ」として機能している。
【0032】
図4は中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング部の構成を示す図である。このクリーニング部76では、クリーニング位置Pcにおいてクリーナ761が中間転写ベルト71に対して離当接自在に配置されている。すなわち、クリーナ761の後端部が揺動レバー762の後端部と連結されるとともに、その連結部分が回動軸763に固定されており、クリーナ761および揺動レバー762が一体的に回動軸763回りに回動自在となっている。この回動動作によりクリーナ761の先端部が中間転写ベルト71に移動して当接したり(同図(a))、クリーナ761の先端部が中間転写ベルト71から移動して離間する(同図(b))。なお、この実施形態では、揺動レバー762の先端部にバネ部材760が取り付けられて該バネ部材760の付勢力によりクリーナ761が中間転写ベルト71に当接される。
【0033】
また、中間転写ベルト71に対してクリーナ761の離当接駆動するために、クリーナ駆動機構764が設けられている。このクリーナ駆動機構764は、回転軸765と、この回転軸765に固着されてクリーナ761を中間転写ベルト71に離当接させるクリーニング用カム766とを備えている。また、回転軸765はクラッチ767を介して駆動モータ768に連結されており、エンジンコントローラ10からの指令によってクラッチ767が閉じられると、駆動モータ768の駆動力が回転軸765に伝達され、カム766が回転する。
【0034】
ここでは、クリーニング用カム766はクリーナ761が図4に示すような2つのポジションのうち一のポジションに選択的に回転位置決めされるように、回転軸765に対して固着されている。すなわち、図4(a)では、クリーナ761が中間転写ベルト71に当接されている状態を示しており、カム766がクリーナ761の揺動レバー762から離間されている(以下、「当接ポジション」という)。また、図4(b)では、クリーナ761が中間転写ベルト71から離間されている状態を示しており、カム766がクリーナ761の揺動レバー762に当接されている(以下、「離間ポジション」という)。
【0035】
そして、必要に応じて、クリーナ初期化動作、プロセス初期化動作および通常クリーニング動作を選択的に行う。なお、「クリーナ初期化動作」、「プロセス初期化動作」および「通常クリーニング動作」の概要は以下のとおりである:
・クリーナ初期化動作…クリーナ761をまず強制的に中間転写ベルト71の表面に移動当接させ、さらに該表面から離間移動させてクリーナ761を離間位置(初期位置)に位置決めする動作;
・プロセス初期化動作…エラー処理を行った後に装置を復帰させた時または電源投入時に、クリーナ761を中間転写ベルト71に当接させながら中間転写ベルト71を1周以上回転移動させて中間転写ベルト71の表面をクリーニングして中間転写ベルト71を初期状態に戻す動作;
・通常クリーニング動作…クリーナ761を中間転写ベルト71に当接することで、該ベルト71上の残留トナーを掻き落とす動作。
【0036】
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0037】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0038】
上記のように構成された装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字要求内容を示す信号)がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ72が画像形成指令を画像展開および解析してエンジン部EGの動作指示に適した形式のジョブデータ(印字情報)に作成し、エンジンコントローラ10に与える。そして、エンジンコントローラ10によってエンジン部EGを制御してトナー像の中間転写ベルト71への1次転写と、1次転写トナー像TIのシート(記録材)Sへの2次転写とを通常転写シーケンスとして実行してカラー画像やモノクロ画像を形成する。また、2次転写後に中間転写ベルト71上に残留するトナーをクリーナ761によりクリーニング除去する(通常クリーニング処理)。
【0039】
この通常転写シーケンスにおいては、中間転写ベルト71上にトナー像が形成されている状態、すなわち1次転写を行っている間、2次転写ローラ78およびクリーナ761は中間転写ベルト71から離間している。そして、トナー像が全て重ね合されて1次転写が終了し、その画像領域の先端が2次転写領域TR2の位置に移動してくると、エンジンコントローラ10は2次転写ローラ78を中間転写ベルト71に当接させる。すると、トナー像が2次転写領域(2次転写位置)TR2でシートSに転写される。また、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域、例えば転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに位置する間に、クリーナ761を中間転写ベルト71に当接させた後、クリーナ761の当接状態を所定時間だけ維持させる。これによって、中間転写ベルト71に残留したトナーがクリーニング部76によって除去回収される(通常クリーニング動作)。
【0040】
ところで、上記した通常転写シーケンスを実行している途中に、例えば停電やユーザの誤操作などにより電源が落ちると、中間転写媒体の表面に1次転写トナー像が残存したまま装置全体が停止されることがあり、この時点で中間転写ベルト71も当然のことながら強制的に停止される。また、紙詰まり等のエラー発生によって中間転写ベルト71の回転移動が強制的に停止されて中間転写媒体の表面に1次転写トナー像が残存することがあった。このように中間転写ベルト71が強制的に停止された時点において、クリーナ761の離当接駆動も停止される。そして、エラー処理後の装置復帰または電源再投入により中間転写ベルトの回転移動が再開されると、この実施形態では、以下のように、クリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を実行した上で通常転写シーケンスを実行している。これによって、クリーナ761のエッジにトナーが付着するのを確実に防止している。
【0041】
図5は図1の装置において実行される電源再投入またはエラー復帰時の動作を示すフローチャートである。また、図6はクリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示すタイミングチャートである。さらに、図7はクリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示す模式図である。
【0042】
電源投入やエラー復帰から所定時間が経過すると、エンジンコントローラ10によりエンジン部EGの各部が以下のように制御されて2次転写ローラ78の初期化処理、クリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作が実行される。まず、駆動部が作動して中間転写ベルト71の回転駆動が開始される(ステップS1)。すると、中間転写ベルト71の突起部713が垂直同期センサ77を通過するたびに垂直同期信号(基準信号)Vsyncが出力される。つまり、中間転写ベルト71が1周するたびに垂直同期信号Vsyncが出力され、その周期は中間転写ベルト71の1周分に相当している。なお、図6の1点破線は継ぎ目711の移動状態を示している。
【0043】
そして、駆動モータの回転駆動力が2次転写ローラ78の駆動力として2次転写ローラ駆動機構781に与えられて2次転写ローラ78の初期化処理が実行される(ステップS2)。この実施形態では、2次転写ローラ駆動機構781はクリーナ駆動機構764のカム機構と同様の構成を有しており、回転駆動力を受けて2次転写用カムを固定保持する支持軸を回転させる。これによって2次転写用カムの支持軸とともに該カムが回転し、2次転写ローラ78を強制的に中間転写ベルト71の表面に移動当接させた後、該表面から離間移動させて2次転写ローラ78を中間転写ベルト71から離間した2次転写ローラ用ホームポジションに位置決めする。なお、この動作のとき、中間転写ベルト71への2次転写ローラ78の当接位置については一切考慮していないため、2次転写ローラ78がトナー上に一旦当接して2次転写ローラ78がトナーで汚れる場合があるが、これに関しては後で説明するプロセス初期化動作において除去する。
【0044】
2次転写ローラ78の初期化動作後、タイミングt1で最初の垂直同期信号Vsyncが出力される(ステップS3)と、その信号検出から所定時間T1が経過するのを待つ(ステップS4)。これは中間転写ベルト71の表面のうち転写禁止領域(トナー非担持領域)714をクリーニング位置Pcに位置させるためである。すなわち、この実施形態では、垂直同期信号Vsyncが検出された時点においては、図7(a)に示すように、クリーニング位置Pcには転写許可領域715が位置しており、トナー像TIが位置していることがある。そして、この状態から時間T1が経過すると、転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに移動してくる。したがって、この時点ではクリーニング位置Pcにトナー像が位置することがあり得ない。そこで、この実施形態では、次のようにしてクリーナ初期化動作を実行する。
【0045】
時間T1経過直後に、エンジンコントローラ10からの駆動指令に応じて駆動モータ768の駆動が開始される(ステップS5)。また、それと同時または若干遅れて、クラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達する。これによって、回転軸765が回転し、クリーナ761が中間転写ベルト71に対して離当接される。すなわち、同図(b)に示すようにクリーナ761が強制的に中間転写ベルト71の表面(転写禁止領域714の表面)に移動当接させた後、クラッチ767により所定の角度でカム766が停止する。これにより、同図(c)に示すように、クリーナ761を初期位置(ホームポジション)に位置決めする(ステップS6)。なお、この実施形態では、上記のように、2次転写ローラ78の初期化動作とクリーナ761の初期化動作とで実行タイミングを相互にずらしている。このため、例えば両初期化動作を同一の駆動モータで実行したとしても、両者の実行タイミングが重なり合わないため、駆動モータの負荷を小さくすることができる。つまり、小型の駆動モータを用いることができ、装置サイズやコストの面で有利である。
【0046】
こうして、クリーナ初期化動作が完了すると、次の垂直同期信号Vsyncがタイミングt2で出力されるのを待って(ステップS7)、1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に1次転写バイアスを印加する(ステップS8)。これにより、感光体22上に残っているトナーを中間転写ベルト71に転写する。また、その同期信号Vsyncの検出から所定時間T2経過した(ステップS9)後、エンジンコントローラ10からの当接指令に応じてクラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達してクリーナ761を中間転写ベルト71に移動当接させる(ステップS10)。そして、同図(d)に示すように中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接状態を維持することで中間転写ベルト71上のトナーのクリーニング除去を開始する(プロセス初期化動作)。
【0047】
それに続いて、次の垂直同期信号Vsyncがタイミングt3で出力される(ステップS11)と、2次転写ローラ78のクリーニング処理を実行する(ステップS12)。すなわち、2次転写ローラ78を中間転写ベルト71に当接させて2次転写バイアス発生部103から通常の2次転写バイアスと逆のバイアスを印加し、2次転写ローラ78に付着したトナーを中間転写ベルト71に転写させる。この動作により、2次転写ローラ78に付着したトナーのクリーニングを行う。そして、図6に示すように所定時間後に2次転写ローラ78を中間転写ベルト71から離間させ、印加していたバイアスをオフして、2次転写ローラ78の初期化を終了する。なお、こうして2次転写ローラ78から中間転写ベルト71に移行したトナーについては、プロセス初期化動作の一環としてクリーナ761によりクリーニング除去される。
【0048】
2次転写ローラ78のクリーニング処理および中間転写ベルト71のクリーニング処理が完了すると、エンジンコントローラ10からの離間指令に応じてクラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達してクリーナ761を中間転写ベルト71から離間させてホームポジションで停止位置決めする(ステップS13)。
【0049】
その後、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられる(ステップS14)と、通常転写シーケンスを実行して画像形成を行う(ステップS15)。
【0050】
以上のように、この実施形態では、中間転写ベルト71の回転移動を再開すると、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しない転写禁止領域(トナー非担持領域)714がクリーニング位置Pcに位置する間でのみ、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を許可している。したがって、プロセス初期化動作の完了によって中間転写ベルト71からトナー像が完全にクリーニング除去されるまでに、クリーナ761が中間転写ベルト71に当接するものの、その当接位置にはトナー像が存在しないため、クリーナ761へのトナー付着を発生させることなく、クリーナ761を清浄な状態に維持することができる。その結果、クリーナ初期化処理に起因するクリーニング不良の発生を確実に防止することができ、該クリーナ761を用いたクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0051】
このような作用効果を実際に確認すべく、従来装置(クリーナ初期化動作においてトナー像にクリーナを当接させてしまう装置)および本実施形態にかかる装置において、プロセス初期化動作を完了した後の中間転写ベルト71上のトナーをテープ転写し、そのOD値を測定した。また、近年においては、画質向上のために球形トナーの使用が多くなってきており、クリーナ761への球形トナーの付着によるクリーニング不良が顕著になってきているため、種々の球形度を有するトナー粒子を用いて同様の測定を行った。
【0052】
また、トナー粒子は市場で広く流通しているトナー粒子と同様に3〜8.5μm程度の平均粒径を有するものを使用できる。また、トナーの平均粒径は、例えば精密粒度分布測定装置、マルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。なお、ここでは、トナーの平均粒径は平均体積粒子径を示すものである。
【0053】
さらに、トナー粒子の球形度は0.96以上のものを使用した。ここで、トナーの平均球形度は、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社製)を用いて測定することができる。この装置にはフラットシースフローセルと、このセルを挟んで対向する位置にCCDカメラとストロとが配置されている。そして、水などに分散させたトナー粒子を吸引してフラットシースフローセルを通過させ、通過する粒子を、ストロボをフラッシュさせた状態で撮影する。得られた画像をコンピューター処理し、個々の粒子の面積(粒子投影面積)および粒子投影像の周囲長を計測し、またコンピューターにより粒子の円相当径を計算することにより個々の粒子の球形度を求めることができる。
【0054】
表1は測定結果および良否判定結果を示すものである。なお、同表における判定基準はOD値に基づいている。より具体的には、
(1)OD値=0.11〜0.12
プロセス初期化動作後の中間転写ベルト71上のトナーをテープを用いて白い紙上に転写した場合であっても、目視によりトナーを認識することはできない。そこで、この場合には、クリーニングが良好に行われていると判定することができる、
(2)OD値=0.13〜0.15
プロセス初期化動作後の中間転写ベルト71上のトナーをテープを用いて白い紙上に転写した場合に、目視によりトナーを認識することができる。しかしながら、プロセス初期化動作直後の中間転写ベルト71上の像をシートSに転写および定着したとしても目視でトナーを認識することはできない。そこで、この場合にも、実質的にはクリーニング不良が発生しておらず、クリーニングが良好に行われていると判定することができる、
(3)OD値=0.16以上
プロセス初期化動作後の中間転写ベルト71上に目視できる程度のトナーが残存しており、クリーニング不良が発生している。
【0055】
【表1】

【0056】
同表から明らかなように、球形度が比較的低いトナー粒子を用いる場合はもちろんのこと、球形度が比較的高いトナー粒子を用いる場合にも、良好なクリーニングを行うことができる。
【0057】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、図7に示すように、中間転写ベルト71の回転移動方向D2における継ぎ目711の上流側表面においてクリーナ初期化動作を行っている。しかしながら、図8に示すように下流側表面においてクリーナ初期化動作を行うようにしてもよい。また、上記第1実施形態では、継ぎ目711を有する中間転写ベルト71に対して本発明を適用しているが、継ぎ目が設けられていない中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写媒体に対しても本発明を適用可能である。つまり、継ぎ目を有さない中間転写媒体にトナー像を担持させる装置において、中間転写媒体の回転方向において、中間転写媒体の周長が最大トナー像の長さよりも長く設定することがある。この装置では、中間転写媒体の一部はトナー像が転写されない非転写領域(紙間領域)となっているため、非転写領域を本発明の「トナー非担持領域」として中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御するようにすればよい。これにより、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
<第3実施形態>
上記第1および第2実施形態では、トナー像が形成されない非転写領域を本発明の「トナー非担持領域」として利用しているが、次のようにトナー非担持領域を形成するとともに、該トナー非担持領域を利用して中間転写媒体へのクリーナの当接移動を制御するようにしてもよい。すなわち、通常転写シーケンス途中で中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に中間転写媒体の回転移動を再開したときに、中間転写媒体上に存在するトナー像の一部を強制的に除去してトナー非担持領域を形成することができる。以下、図9および図10を参照しつつ第3実施形態について詳述する。
【0059】
図9は本発明の第3実施形態におけるクリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示すタイミングチャートである。また、図10はクリーナ初期化動作を示す模式図である。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、2次転写ローラ78の初期化処理が完了した後に逆転写領域を形成するとともに、該逆転写領域を利用してクリーナ初期化動作を実行している点である。すなわち、1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に1次転写バイアスと逆極性の逆転写バイアスを中間転写ベルト71に印加して中間転写ベルト71から感光体22にトナーを逆転写して逆転写領域717を形成している。そして、この逆転写領域717を本発明の「トナー非担持領域」として、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を制御している。より具体的には、2次転写ローラ78の初期化処理後に1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に逆転写バイアスが印加される。ここで、印加タイミングは正確にコントロールされているわけではないため、転写禁止領域714が位置することがあるが、この場合には転写禁止領域714が逆転写領域717となる。逆に、1次転写領域TR1に転写許可領域715が位置する場合には、図10(a)に示すように、逆転写バイアスの印加により中間転写ベルト71上のトナーが感光体22に逆転写される。これによって、同図(b)に示すように逆転写バイアスの印加時間に対応する長さの逆転写領域717が形成される。なお、感光体22に逆転写されたトナーTNはクリーニング部25により除去されて廃トナータンクに回収される。また、後述するようにクリーナ初期化動作後に感光体22上に残っているトナーを中間転写ベルト71に戻し、プロセス初期化動作により除去するようにしてもよい。
【0060】
こうして形成された逆転写領域717では、トナーが中間転写ベルト71の表面に担持されておらず、本発明の「トナー非担持領域」に相当している。そして、逆転写バイアスの印加から所定時間T3が経過するのを待つ。この経過時間T3は、中間転写ベルト71の表面のうち逆転写領域(トナー非担持領域)717がクリーニング位置Pcに移動するまでの時間に相当するものであり、1次転写領域TR1からクリーニング位置Pcまでの距離と、中間転写ベルト71の周速とで一義的に決まる値である。したがって、逆転写バイアスの印加から時間T3が経過することで、図10(c)に示すように、逆転写領域717がクリーニング位置Pcに位置する。そして、このようにして逆転写領域717がクリーニング位置Pcが位置している間に、第1実施形態と同様にしてクリーナ初期化動作を実行する。
【0061】
また、クリーナ初期化動作が完了すると、第1実施形態と同様にしてプロセス初期化動作を実行する。すなわち、1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に1次転写バイアスを印加する。これにより、感光体22上に残っているトナーを中間転写ベルト71に転写する。また、垂直同期信号Vsyncがタイミングt2で出力されてから所定時間T2経過した後、エンジンコントローラ10からの当接指令に応じてクラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達してクリーナ761を中間転写ベルト71の転写禁止領域(トナー非担持領域)714に移動当接させる。そして、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接状態を維持することで中間転写ベルト71上のトナーのクリーニング除去を実行する(プロセス初期化動作)。なお、この実施形態では、中間転写ベルト71の転写禁止領域714でクリーナ761を当接移動させてプロセス初期化動作を開始しているが、逆転写領域717を利用するようにしてもよい。すなわち、逆転写領域717が再度クリーニング位置Pcに移動してくるのを待ってプロセス初期化動作を開始するようにしてもよい。
【0062】
さらに、プロセス初期化動作が完了すると、第1実施形態と同様に、2次転写ローラ78のクリーニング処理および中間転写ベルト71のクリーニング処理を実行した後、クリーナ761を中間転写ベルト71から離間させてホームポジションで停止位置決めする。そして、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられると、通常転写シーケンスを実行して画像形成を行う。
【0063】
以上のように、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、中間転写ベルト71の回転移動を再開すると、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しない逆転写領域717や転写禁止領域714などのトナー非担持領域がクリーニング位置Pcに位置する間でのみ、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を許可している。したがって、クリーナ761へのトナー付着を発生させることなく、クリーナ761を清浄な状態に維持することができ、クリーナ初期化処理に起因するクリーニング不良の発生を確実に防止することができる。その結果、該クリーナ761を用いたクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0064】
また、逆転写領域717の形成位置や形成タイミングについては、任意に設定することができる。このため、転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに位置するまで待つことなく、逆転写領域717を形成するとともに、該逆転写領域717を利用してクリーナ初期化動作を実行することができる。したがって、クリーナ初期化動作を早期に行うことができる。
【0065】
<第4実施形態>
中間転写媒体上に存在するトナー像の一部を強制的に除去してトナー非担持領域を形成するために、2次転写ローラ78の初期化処理を利用してもよい。以下、図11および図12を参照しつつ第4実施形態について詳述する。
【0066】
図11は本発明の第4実施形態におけるクリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示すタイミングチャートである。また、図12はクリーナ初期化動作を示す模式図である。この第4実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、2次転写ローラ78の初期化処理により転写除去領域718を形成するとともに、この転写除去領域718を本発明の「トナー非担持領域」として、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を制御している点である。より具体的には、電源投入やエラー復帰から所定時間が経過すると、エンジンコントローラ10によりエンジン部EGの各部が以下のように制御されて2次転写ローラ78の初期化処理が実行される。
【0067】
この実施形態では、2次転写ローラ駆動機構781はクリーナ駆動機構764のカム機構と同様の構成を有しており、回転駆動力を受けて2次転写用カムを固定保持する支持軸を回転させる。これによって2次転写用カムの支持軸とともに該カムが回転し、図12(a)に示すように2次転写ローラ78を強制的に中間転写ベルト71の表面に移動当接させる。そして、所定時間後に2次転写ローラ78を該表面から離間移動させて中間転写ベルト71から離間した2次転写ローラ用ホームポジションに位置決めする。ここで、2次転写ローラ78の離当接タイミングは正確にコントロールされているわけではないため、転写禁止領域714が2次転写領域TR2に位置することがあるが、この場合には転写禁止領域714の一部が逆転写領域717となる。逆に、2次転写領域TR2に転写許可領域715が位置する場合には、同図(a)に示すように、中間転写ベルト71への2次転写ローラ78の当接により中間転写ベルト71上のトナーが2次転写ローラ78に転写される。これによって、同図(b)に示すように2次転写ローラ78の当接時間に対応する長さの転写除去領域718が形成される。なお、2次転写ローラ78に転写除去されたトナーTNは後のプロセス初期化動作により除去される。
【0068】
こうして形成された転写除去領域718では、トナーが中間転写ベルト71の表面に担持されておらず、本発明の「トナー非担持領域」に相当している。そして、2次転写ローラ78の初期化処理から所定時間T4が経過するのを待つ。この経過時間T4は、中間転写ベルト71の表面のうち転写除去領域(トナー非担持領域)718がクリーニング位置Pcに移動するまでの時間に相当するものであり、2次転写領域(2次転写位置)TR2からクリーニング位置Pcまでの距離と、中間転写ベルト71の周速とで一義的に決まる値である。したがって、2次転写ローラ78の初期化処理から時間T4が経過することで、図12(c)に示すように、転写除去領域718がクリーニング位置Pcに位置する。そして、このようにして転写除去領域718がクリーニング位置Pcが位置している間に、第1実施形態と同様にしてクリーナ初期化動作を実行する。
【0069】
また、クリーナ初期化動作が完了すると、第1実施形態と同様にしてプロセス初期化動作を実行する。すなわち、1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に1次転写バイアスを印加する。これにより、感光体22上に残っているトナーを中間転写ベルト71に転写する。また、垂直同期信号Vsyncがタイミングt2で出力されてから所定時間T2経過した後、エンジンコントローラ10からの当接指令に応じてクラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達してクリーナ761を中間転写ベルト71の転写禁止領域(トナー非担持領域)714に移動当接させる。そして、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接状態を維持することで中間転写ベルト71上のトナーのクリーニング除去を実行する(プロセス初期化動作)。なお、この実施形態では、中間転写ベルト71の転写禁止領域714でクリーナ761を当接移動させてプロセス初期化動作を開始しているが、転写除去領域718を利用するようにしてもよい。すなわち、転写除去領域718が再度クリーニング位置Pcに移動してくるのを待ってプロセス初期化動作を開始するようにしてもよい。
【0070】
さらに、プロセス初期化動作が完了すると、第1実施形態と同様に、2次転写ローラ78のクリーニング処理および中間転写ベルト71のクリーニング処理を実行した後、クリーナ761を中間転写ベルト71から離間させてホームポジションで停止位置決めする。そして、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられると、通常転写シーケンスを実行して画像形成を行う。
【0071】
以上のように、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、中間転写ベルト71の回転移動を再開すると、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しない転写除去領域718や転写禁止領域714などのトナー非担持領域がクリーニング位置Pcに位置する間でのみ、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を許可している。したがって、クリーナ761へのトナー付着を発生させることなく、クリーナ761を清浄な状態に維持することができ、クリーナ初期化処理に起因するクリーニング不良の発生を確実に防止することができる。その結果、該クリーナ761を用いたクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0072】
また、転写除去領域718の形成位置や形成タイミングについては、任意に設定することができる。このため、転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに位置するまで待つことなく、転写除去領域718を形成するとともに、該転写除去領域718を利用してクリーナ初期化動作を実行することができる。したがって、クリーナ初期化動作を早期に行うことができる。
【0073】
<第5実施形態>
図13は本発明の第5実施形態におけるクリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示すタイミングチャートである。また、図14は2次転写ローラの初期化動作を示す模式図である。この第5実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、転写禁止領域714が2次転写領域TR2に位置している間に2次転写ローラ初期化動作を実行している点である。より具体的には、電源投入やエラー復帰から所定時間が経過すると、エンジンコントローラ10によりエンジン部EGの各部が以下のように制御されて2次転写ローラ78の初期化処理が実行される。
【0074】
まず、電源投入やエラー復帰後にタイミングt1で最初の垂直同期信号Vsyncが出力されると、その信号検出から所定時間T5が経過するのを待つ。これは中間転写ベルト71の表面のうち転写禁止領域(トナー非担持領域)714を2次転写領域TR2に位置させるためである。すなわち、この実施形態では、垂直同期信号Vsyncが検出された時点においては、図14(a)に示すように、2次転写領域TR2には転写許可領域715が位置しており、トナー像TIが位置していることがある。そして、この状態から時間T5が経過すると、転写禁止領域714が2次転写領域TR2に移動してくる。したがって、この時点では2次転写領域TR2にトナー像が位置することがあり得ない。そこで、この実施形態では、転写禁止領域714が2次転写領域TR2に位置している間に2次転写ローラ初期化動作を実行する。すなわち、2次転写用カムの支持軸とともに該カムが回転し、図14(b)に示すように2次転写ローラ78を強制的に中間転写ベルト71の転写禁止領域(トナー非担持領域)714に移動当接させる。そして、所定時間後に2次転写ローラ78を中間転写ベルト71の表面から離間移動させて2次転写ローラ用ホームポジションに位置決めする(同図(c))。
【0075】
そして、それ以降は、第1実施形態と同様にして、クリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を実行する。また、プロセス初期化動作が完了すると、中間転写ベルト71のクリーニング処理を実行した後、クリーナ761を中間転写ベルト71から離間させてホームポジションで停止位置決めする。そして、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられると、通常転写シーケンスを実行して画像形成を行う。
【0076】
以上のように、第5実施形態によれば、転写禁止領域(トナー非担持領域)714が2次転写領域TR2に位置している間に2次転写ローラ初期化動作を実行している。したがって、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、2次転写ローラ78のクリーニング処理が不要となるという作用効果が得られる。
【0077】
<第6実施形態>
ところで、上記第1ないし第5実施形態では、エンジンコントローラ10はクリーナ駆動機構764に駆動指令を与えることでクリーナ761を中間転写ベルト71に対して離間させたり、当接させるが、駆動指令後における中間転写ベルト71に対するクリーナ761の位置を直接確認するのではなく、該駆動指令に基づきクリーナ761の離当接状態を推認している。そして、その推認結果に基づき次のクリーナ761の離当接動作を決定している。つまり、いわゆるオープンループ制御でクリーナ761の離当接動作を行っている。このため、プロセス初期化処理を実行するのに先立って、クリーナ初期化処理を実行している。しかしながら、中間転写ベルト71に対するクリーナ761の位置を直接確認することができる装置、例えばクリーナ761を直接検出するセンサを備えた装置では、中間転写ベルト71の回転移動を再開した後、プロセス初期化処理を直接行うようにしてもよい。このような装置に対しても、本発明を適用することができる。以下、図15を参照しつつ本発明の第6実施形態について詳述する。
【0078】
図15は本発明にかかる画像形成装置の第6実施形態を示すタイミングチャートである。この第6実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、クリーナ初期化処理を省略している点であり、その他の構成および動作はほぼ同一である。したがって、ここでは相違点を中心に説明する。
【0079】
この実施形態では、電源投入やエラー復帰から所定時間が経過すると、エンジンコントローラ10によりエンジン部EGの各部が以下のように制御されて2次転写ローラ78の初期化処理、プロセス初期化動作および通常転写シーケンスが実行される。まず、駆動部が作動して中間転写ベルト71の回転駆動が開始される。すると、中間転写ベルト71の突起部713が垂直同期センサ77を通過するたびに垂直同期信号(基準信号)Vsyncが出力される。つまり、中間転写ベルト71が1周するたびに垂直同期信号Vsyncが出力され、その周期は中間転写ベルト71の1周分に相当している。
【0080】
そして、駆動モータの回転駆動力が2次転写ローラ78の駆動力として2次転写ローラ駆動機構781に与えられて2次転写ローラ78の初期化処理が実行される。そして、2次転写ローラ78の初期化動作後、タイミングt1で最初の垂直同期信号Vsyncが出力されると、1次転写バイアス発生部102から中間転写ベルト71に1次転写バイアスを印加するとともに、その信号検出から所定時間T1が経過するのを待つ。これは中間転写ベルト71の表面のうち転写禁止領域(トナー非担持領域)714をクリーニング位置Pcに位置させるためである。
【0081】
そして、時間T1経過によりクリーニング位置Pcには、トナーを担持していない転写禁止領域714が位置することとなる。そこで、この実施形態では、エンジンコントローラ10から当接指令に応じてクラッチ767が閉じて駆動モータ768からの回転駆動を回転軸765に伝達する。これによりクリーナ761を中間転写ベルト71に移動当接させる。そして、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接状態を維持することで中間転写ベルト71上のトナーのクリーニング除去を開始する(プロセス初期化動作の開始)。
【0082】
それ以降については、第1実施形態と同様にして、(1)2次転写ローラ78のクリーニング処理、(2)2次転写ローラ78から中間転写ベルト71に移行したトナーのクリーニング除去、(3)クリーナ761のホームポジションへの移動、(4)画像形成指令の入力待ちおよび(5)通常転写シーケンスを行う。
【0083】
以上のように、第6実施形態においても、第1実施形態と同様に、通常転写シーケンス途中で中間転写ベルト71の回転移動が強制的に停止された後に中間転写ベルト71の回転移動を再開したとき、中間転写ベルト71の表面のうちトナーを担持しない転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに位置する間でのみ、中間転写ベルト71へのクリーナ761の当接移動を許可している。したがって、クリーナ761へのトナー付着を発生させることなく、クリーナ761を清浄な状態に維持することができ、クリーナ初期化処理に起因するクリーニング不良の発生を確実に防止することができる。その結果、該クリーナ761を用いたクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0084】
なお、第6実施形態では、転写禁止領域714がクリーニング位置Pcに位置する間に中間転写ベルト71にクリーナ761を当接移動させてプロセス初期化動作を開始しているが、第3および第4実施形態と同様に、逆転写領域717や転写除去領域718などのトナー非担持領域を利用してプロセス初期化動作を開始してもよい。
【0085】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、カム766を利用したクリーナ駆動機構764を用いてクリーナ761を駆動しているが、中間転写ベルト71に対するクリーナ761の離当接駆動方式については任意である。また、クリーナ761の位置を直接検出してクリーナ761を駆動制御するのか、いわゆるオープンループ制御でクリーナ761を駆動制御するのか等についても任意である。この発明は、所定のクリーニング位置でクリーナを中間転写媒体の表面に対して離当接させて中間転写媒体の表面をクリーニングする画像形成装置全般に適用することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、継ぎ目711を有する中間転写ベルト71に対して本発明を適用しているが、継ぎ目が設けられていない中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写媒体に対しても本発明を適用可能である。
【0087】
また、ブレードクリーナ方式の画像形成装置に対して本発明を適用したが、中間転写媒体に対してクリーナを当接させてクリーニング処理を実行する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【0088】
さらに、上記各実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく任意である。さらに、本発明のようなロータリー現像方式の装置のみでなく、各トナー色に対応した現像器がシート搬送方向に沿って一列に並ぶように配置された、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】中間転写ベルトの構成を示す図。
【図4】中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング部の構成を示す図。
【図5】電源再投入またはエラー復帰時の装置動作を示すフローチャート。
【図6】クリーナ初期化動作およびプロセス初期化動作を示すタイミングチャート。
【図7】第1実施形態でのクリーナおよびプロセス初期化動作を示す模式図。
【図8】本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図。
【図9】本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図。
【図10】第3実施形態におけるクリーナ初期化動作を示す模式図。
【図11】第4実施形態でのクリーナおよびプロセス初期化動作を示す模式図。
【図12】第4実施形態におけるクリーナ初期化動作を示す模式図。
【図13】第5実施形態でのクリーナおよびプロセス初期化動作を示す模式図。
【図14】第5実施形態における2次転写ローラの初期化動作を示す模式図。
【図15】第6実施形態でのクリーナおよびプロセス初期化動作を示す模式図。
【符号の説明】
【0090】
1…画像形成装置、 11…メインコントローラ(制御手段)、 71…中間転写ベルト(中間転写媒体)、 77…垂直同期センサ、 101…CPU(制御手段)、 714…転写禁止領域(トナー非担持領域)、 717…逆転写領域(トナー非担持領域)、 718…転写除去領域(トナー非担持領域)、 761…クリーナ、 764…クリーナ駆動機構、 D2…(中間転写ベルトの)回転移動方向、 Pc…クリーニング位置、 Vsync…垂直同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持しながら回転移動する中間転写媒体と、
所定のクリーニング位置で前記中間転写媒体の表面に対して離当接自在に設けられ、前記中間転写媒体の表面に当接することで前記中間転写媒体の表面をクリーニングするクリーナと、
前記クリーナを離当接駆動するクリーナ駆動手段と、
前記クリーナ駆動手段に対して駆動指令を与えて前記クリーナの離当接動作を制御する制御手段とを備え、
トナー像の前記中間転写媒体への1次転写および1次転写トナー像の記録材への2次転写を通常転写シーケンスとして実行して画像を形成するとともに、
前記制御手段は、前記通常転写シーケンス途中で前記中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に前記中間転写媒体の回転移動を再開したとき、前記中間転写媒体の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置する間でのみ、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を許可することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写媒体の回転方向において、前記中間転写媒体の周長がトナー像の長さよりも長く、前記中間転写媒体の一部はトナー像が転写されない非転写領域となっており、
前記制御手段は、前記非転写領域を前記トナー非担持領域として、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写媒体は継ぎ目を有する無端状の像担持ベルトで構成され、前記回転方向における前記継ぎ目の両側が所定範囲にわたってトナー像の1次転写を禁止する転写禁止領域となっており、
前記制御手段は、前記転写禁止領域を前記非転写領域として、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を制御する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写媒体の回転移動を再開した後で、かつ前記中間転写媒体に前記クリーナを当接移動させる前に、前記中間転写媒体上のトナーを部分的に除去して前記トナー非担持領域を形成する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
潜像を担持可能な潜像担持体と、
前記潜像担持体上に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記中間転写媒体に対して1次転写バイアスを印加して前記潜像担持体上のトナー像を前記中間転写媒体に1次転写する1次転写手段とをさらに備え、
前記1次転写手段は、前記中間転写媒体の回転移動を再開したとき、前記1次転写バイアスと逆極性の逆転写バイアスを前記中間転写媒体に印加して前記中間転写媒体表面の一部から前記潜像担持体にトナーを逆転写して逆転写領域を形成するとともに、
前記制御手段は、該逆転写領域を前記トナー非担持領域として、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を制御する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写媒体に対して離当接移動自在に設けられた2次転写部材と、前記2次転写部材を離当接駆動する2次転写駆動手段とを有し、前記2次転写部材を前記中間転写媒体に当接移動することによって前記記録材に1次転写トナー像を2次転写する2次転写手段をさらに備え、
前記2次転写手段は、前記中間転写媒体の回転移動を再開したとき、前記2次転写部材を前記中間転写媒体に当接移動して前記中間転写媒体表面の一部から前記2次転写部材にトナーを転写して転写除去領域を形成するとともに、
前記制御手段は、該転写除去領域を前記トナー非担持領域として、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を制御する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
所定の2次転写位置で前記中間転写媒体に対して離当接移動自在に設けられた2次転写部材と、前記2次転写部材を離当接駆動する2次転写駆動手段とを有し、前記2次転写部材を前記中間転写媒体に当接移動することによって前記記録材に1次転写トナー像を2次転写する2次転写手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記2次転写駆動手段に対して駆動指令を与えて前記2次転写部材の離当接動作を制御し、しかも、
前記通常転写シーケンス途中で前記中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に前記中間転写媒体の回転移動を再開したとき、前記トナー非担持領域が前記2次転写位置に位置する間でのみ、前記中間転写媒体への前記2次転写部材の当接移動を許可する請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
エラー処理後の装置復帰または電源再投入により前記中間転写媒体の回転移動を再開させた時、前記クリーナにより前記中間転写媒体の表面をクリーニングして前記中間転写媒体を初期状態に戻すプロセス初期化処理を実行した後、前記通常転写シーケンスを実行する請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記トナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置する間に前記クリーナを前記中間転写媒体に移動して当接させるとともに、前記中間転写媒体が1周以上回転するまで、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接状態を維持して前記プロセス初期化処理を実行する画像形成装置。
【請求項9】
エラー処理後の装置復帰または電源再投入により前記中間転写媒体の回転移動を再開させた時、前記制御手段は、前記トナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置する間に、前記クリーナ駆動手段に前記駆動指令を与えて前記クリーナを前記中間転写媒体に当接させるのに続いて前記中間転写媒体から離間させて前記クリーナを初期位置に位置決めするクリーナ初期化処理を実行する請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記クリーナ初期化処理の後で、かつ前記通常転写シーケンス前に、前記トナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置する間に前記クリーナを前記中間転写媒体に移動して当接させるとともに、前記中間転写媒体が1周以上回転するまで、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接状態を維持して前記中間転写媒体の表面をクリーニングして前記中間転写媒体を初期状態に戻すプロセス初期化処理を実行する請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
潜像を担持可能な潜像担持体と、
互いに異なる複数色のトナーを有し、前記複数色から選択された一色のトナーにより前記潜像担持体上に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像手段とをさらに備え、
前記選択トナーの色を切り換えながら、トナー像を形成するとともに該トナー像を前記中間転写媒体に1次転写し、各色のトナー像を前記中間転写媒体上で重ね合わせてカラー画像を形成した後、該カラー画像を前記記録材に2次転写する請求項1ないし4記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記中間転写媒体に対して1次転写バイアスを印加して前記潜像担持体上のトナー像を前記中間転写媒体に1次転写する1次転写手段をさらに備え、
前記中間転写媒体の回転移動を再開した後、かつ前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動されるまでの間において、前記前記中間転写媒体に対して1次転写バイアスと同極性のバイアスが印加される請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記中間転写媒体の回転移動動作に関連して同期信号を出力するセンサをさらに備え、
前記制御手段は前記センサから出力される同期信号に基づき前記中間転写媒体のトナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置しているか否かを判断する請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
球形度が0.96以上のトナー粒子を用いてトナー像を形成する請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
トナー像を担持しながら回転移動する中間転写媒体と、所定のクリーニング位置で前記中間転写媒体の表面に対して離当接自在に設けられ、前記中間転写媒体の表面に当接することで前記中間転写媒体の表面をクリーニングするクリーナと、前記クリーナを離当接駆動するクリーナ駆動手段と、前記クリーナ駆動手段に対して駆動指令を与えて前記クリーナの離当接動作を制御する制御手段とを備え、トナー像の前記中間転写媒体への1次転写および1次転写トナー像の記録材への2次転写を通常転写シーケンスとして実行して画像を形成する画像形成方法において、
前記通常転写シーケンス途中で前記中間転写媒体の回転移動が強制的に停止された後に前記中間転写媒体の回転移動を再開する工程と、
前記中間転写媒体の回転移動を再開したとき、前記中間転写媒体の表面のうちトナーを担持しないトナー非担持領域が前記クリーニング位置に位置する間でのみ、前記中間転写媒体への前記クリーナの当接移動を許可する工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−78514(P2006−78514A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259179(P2004−259179)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】