自動車の制御装置及び制御方法
【課題】ドライバによって異なる運転状態及び制御機能に対応し、ドライバの意図通りに自動変速機搭載車を運行するパワートレイン制御装置及び制御方法を提供することにある。
【解決手段】現在の走行状態及びドライバ操作量等を検出するための制御用センサ1と、ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段2と、複数の運転モードの中から上記把握手段で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段3と、前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて複数の制御機能を選択する制御機能選択手段4と、前記制御用センサ1及び制御機能選択手段4の信号を用いて制御用アクチュエータ5の制御量を演算する制御量演算手段6とにより構成される。
【解決手段】現在の走行状態及びドライバ操作量等を検出するための制御用センサ1と、ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段2と、複数の運転モードの中から上記把握手段で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段3と、前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて複数の制御機能を選択する制御機能選択手段4と、前記制御用センサ1及び制御機能選択手段4の信号を用いて制御用アクチュエータ5の制御量を演算する制御量演算手段6とにより構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートレイン制御装置に係り、特に自動変速機搭載車のドライバが要求するとおりの走行を実現させるのに好適なパワートレイン制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第一の従来技術として、エコノミーモードの変速特性と、該エコノミーモードよりも変速線が高速側に設定されたパワーモード等の変速特性とが用意され、スイッチ等のマニュアル選択によっていずれか所望の変速特性が選択できることが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、第二の従来技術として、現在の運転状態からファジー推論を用いて道路状態を予測し推定する。その予測し推定した道路状態に応じて変速線を変化させることにより、ある程度ドライバの意図通りの加速,減速等の変速が得られることが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平3−117774号公報
【特許文献2】特開平5−346162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記第一の従来技術では、燃費を良くすることのみを考慮しているはずのエコノミーモードのほかに、該エコノミーモードよりも変速線が高速側に設定されたパワーモード等の変速特性が用意され運転性能も多少考慮しているため、あまり燃費を良くすることに貢献していなかった。また、上記第二の従来技術のファジー推論を用いて最適な変速線を決定していたはずであるが、ドライバの意図通りの加速,減速等の変速が得られないといった問題が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、ドライバによって異なる自動車の運転状態及び制御機能に対応し、ドライバの意図通りに自動変速機搭載車を運行するパワートレイン制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、現在の走行状態及びドライバの操作量の度合等を検出するための制御用センサと、ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段と、複数の運転モードの中から前記ドライバ意図把握手段で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段と、前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて少なくとも二つの制御機能を選択する制御機能選択手段と、前記制御用センサ及び制御機能選択手段の信号を用いて制御用アクチュエータの制御量を演算する制御量演算手段とを備えることにより達成される。
【0008】
運転モード選択手段でドライバが意図する運転状態、例えば超燃費運転を選択した場合、制御機能選択手段では、燃費低減を実現する広域ロックアップ制御(トルクコンバータ部の滑りを無くしトルク伝達の効率を向上させる方法),燃費変速制御(トルク伝達効率を考慮しつつエンジン効率の最大点でエンジンを運転するよう変速点を決定),燃料カット制御(減速時及び変速時に燃料カットを実行)等、複数の制御機能が選択され、ドライバが意図する燃費を良くする運転が可能になる。スポーツ運転を選択し運行した場合、前記制御機能選択手段では、加速感向上のため高回転で変速させる高回転変速制御,変速時の加速低下を防止する短変速時間制御,コーナーを高速に走行するためコーナー入口のシフトダウンによる強エンブレ制御等が選択され、ドライバが意図するスポーツモードの運転が可能になる。心地良い運転を選択した場合、前記制御機能選択手段では、変速期間の時間を同じにする等間隔変速制御,変速時間の管理とショック低減を両立する滑らか変速制御,ファジー推論を用いて道路の状態(勾配等)を推定し該勾配状態に見合った変速線を決定する変速線制御等が選択され、ドライバが意図する心地良い運転を可能にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライバによって異なる自動車の運転状態及び制御機能に対応し、ドライバの意図通りに自動変速機搭載車を運行するパワートレイン制御装置及び制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明によるパワートレイン制御装置及び制御方法について、詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である。本発明は、現在の走行状態及びドライバ作動量等を検出するための制御用センサ1,ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段2,複数の運転モードの中から前記ドライバ意図把握手段2で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段3,前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて複数の制御機能を選択する制御機能選択手段4,上記制御用センサ1及び制御機能選択手段4の信号を用いて制御用アクチュエータ5の制御量を演算する制御量演算手段6が設けられている。
【0011】
図2は図1を詳細に説明しているブロック図である。制御用センサ1は、空気量センサ,車速センサ,エンジン回転センサ,タービン回転センサ,スロットル開度センサ,ハンドル舵角センサ,加速度センサ,トルクセンサ,アクセル開度センサが用いられる。また、破線で示した従動輪速センサ及び駆動輪速センサは、従動輪と駆動輪のスリップ率を管理し車両の安全性を確保するために用いられる。車両の加速度及び駆動軸のトルクは、それぞれ車速の微分及びトルクコンバータ特性を用いて演算することができるが、破線で示す加速度センサ及びトルクセンサを用いることも可能である。更に、スロットルバルブ等の空気量を電子制御する場合(制御用アクチュエータ:電子スロットル)は、アクセル開度センサが必要となる。ドライバ意図把握手段2のモード選択として、ON/OFFスイッチ,電子カード及び音声等が用いられる。運転モード選択手段3は、前記ドライバ意図把握手段2の出力に対し、例えばスポーツ運転フラグ,超燃費運転フラグ及び心地良い運転フラグ等を発生させ、モードに見合う制御を実行する。次に、制御機能選択手段4では、それぞれの前記運転モードに対し、少なくとも二つの制御機能を選択する。例えば、スポーツ運転モードでは、山岳路を制限速度内で高速運転するため、アップシフトで高回転変速,ダウンシフトで強エンジンブレーキ及び短時間変速等、複数の制御機能を実行する。超低燃費運転モードでは、あらゆる道路状況でも駆動系の伝達効率を考慮するように変速点を決定し、且つ、変速中及び減速中に燃料カットを実行し、更にある程度の振動を考慮したロックアップ域の拡大を行う。心地良い運転モードでは、全てのドライバがある程度、満足する走行を可能とする。例えば、発進から1〜2速への変速,1〜2速への変速から2〜3速へ変速の時間を等間隔としたり、変速ショックをドライバが感じない程度にしたり、更に、ファジー理論を用いて道路状態を推定しドライバの意図がある程度、反映する変速線を決定したりする。そして、前記制御機能選択手段4で選択された制御機能に応じた制御量を制御量演算手段6で演算し、制御用アクチュエータ5、例えば、変速点制御ソレノイド,クラッチ締結圧制御ソレノイド,ロックアップ制御ソレノイド及び燃料噴射弁に出力する。また、空気量制御を付加する場合は、電子制御スロットルを用いる。電子制御スロットルは、例えば、強エンジンブレーキ制御のための変速時にエンジンの回転数を合わせるような制御に用いることができる。これにより、スムースな減速が実現できる。なお、制御用センサの信号からドライバ意図把握手段を実施することも可能である。
【0012】
図3にシステム構成図を示す。エンジン7の吸気管8に取り付けられたスロットルバルブ9の駆動に伴い空気が吸入される。この空気量を空気流量計10により検出し、この信号Qaを制御ユニット11に入力する。また、スロットル開度信号θ,エンジン回転数
Ne,タービン回転数Nt,車速信号Vsp,トルク信号To,従動輪速信号Vf,駆動輪速信号Vr,加速度信号G,シフト位置信号S,ハンドル舵角信号α,モードスイッチ
SW,アクセル開度θaがそれぞれスロットル開度センサ12,エンジン回転センサ13,タービン回転センサ14,車速センサ15,トルクセンサ16,従動輪速センサ17,駆動輪速センサ18,加速度センサ19,シフト位置スイッチ20,ハンドル舵角センサ21,モードスイッチ22,アクセル開度センサ23より検出される。前記制御用センサ信号が制御ユニット11に入力され、目標スロットル開度θtar ,燃料噴射幅Ti,点火時期Adv,ロックアップデューティlu,変速比i(n),油圧デューティPLがそれぞれ電子制御スロットル24,燃料噴射弁25,点火装置26,ロックアップ制御ソレノイド27,変速点制御ソレノイド28,クラッチ締結圧制御ソレノイド29に出力される。このシステム構成により本発明が実施可能となる。
【0013】
図4に運転モード設定時の制御フローチャートを示す。まず、処理30でスポーツ運転モードスイッチSWs及び超燃費運転モードスイッチSWfを読み込む。ここでは、ドライバの意図の把握を前記二つのスイッチを用いて判断し、前記二つスイッチがOFF の場合は、心地良い運転モードとした。処理31では、SWsが1かどうかを判断する。1の場合は処理32に進み、スポーツ運転モードフラグFlgS=1 を実行する。1以外の場合は、処理33に進み、SWfが1かどうかを判断する。1の場合は処理34に進み、超低燃費運転モードフラグFlgF=1 を実行する。1以外の場合は、処理35に進み、心地良い運転モードフラグFlgC=1 を実行する。
【0014】
図5は運転モード実行時の制御フローチャートである。まず、処理36では、図4で設定されたフラグFlgS,FlgF及びFlgC を読み込む。そして、それぞれ処理37,38,39で1かどうかを判断し、1の場合はそれぞれスポーツ運転モード制御40,超燃費運転モード制御41,心地良い運転モード制御42のサブルーチンを実行する。
【0015】
最初に、図6から図11でスポーツ運転モードの制御機能を説明する。図6は変速点制御の制御フローチャート、図7は変速点制御に用いる変速線である。まず、処理43で車速Vsp,タービン回転数Nt,FlgU及びFlgD(後述)を読み込む。処理44では、変速機構の入出力回転比いわゆるギア比grをNt/Vspより演算する。これは後述の変速中制御(アップシフト時制御45,ダウンシフト時制御46)のサブルーチンで用いる。処理47では、アップシフト中フラグFlgU が1かどうか、処理48ではダウンシフト中フラグが1かどうかを判断する。それぞれ1の場合は、処理45及び処理46に進み、前記サブルーチンを実行する。1以外の場合は、処理49に進む。エンジンスタート時は、初期設定によりFlg4,Flg3及びFlg2 は0が設定されている。そのため、処理49,処理
50,処理51を介して処理52に進む。つまり、車速0の状態では、1速状態となっている。処理52では、図7の変速線を検索し現在のVspがV2 以上かどうかを判断する。ここで、図7の実線はアップシフト線、破線はダウンシフト線である。変速線がスロットル開度の変化にもかかわらず同一車速に設定されている理由は、マニュアルミッション車の走行を意図するためである。処理52でNoの場合は、処理53でFlg1 に1をセットし、処理54で1速の信号を出力する。Yes の場合は、処理55に進みFlg2 に1をセットし、処理56で2速の信号を出力する。そして処理57でアップシフト中フラグFlgU を1にし、処理58でFlg1を0にする。今度は、Flg2=1のため処理51でYes に進む。処理59では、現在のVspがV4 以上かどうかを判断する。Yes の場合は、処理60に進みFlg3 に1をセットし、処理61で3速の信号を出力する。そして処理62でアップシフト中フラグFlgUを1にし、処理63でFlg2を0にする。Noの場合は、処理64に進み現在のVspがV1 以下かどうかを判断する。Yes の場合は、処理65でFlg1 に1をセットし、処理66で1速の信号を出力する。そして処理67でダウンシフト中フラグFlgD を1にし、処理68でFlg2 を0にする。Noの場合は、リターンされる。以下、処理69から処理83までは前記フローと同様の制御により変速線制御が可能となる。
【0016】
図8はアップシフト時制御の制御フローチャート、図10はアップシフト時のタイムチャートである。図8において、まず、処理84でギア比gr,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理85では、Flg2 が1になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理86で変速中制御開始フラグFlg12が1かどうかを判断する。1以外の場合は、図10のFlg2 がONからFlg12 がONの間を意味している。よって、処理87に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数k1 になったかどうかを判断する。処理87でYes の場合は、処理88でFlg12 に1をセットする。つまり、変速中エンジントルク制御及び油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理89,90でそれぞれ点火時期リタード制御及び1〜2速への変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理91でギア比grが変速中制御終了時期定数k2 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理92でFlg12 に0,処理93でFlgU に0をセットする。これにより、図6で示したアップシフト時制御のサブルーチンが終了する。以下、処理94から処理110までは、前記フローチャートと同様の制御により変速中エンジン制御及び油圧制御が可能となる。図10において、実線が本発明、破線が従来制御である。従来制御では、油圧低下及びエンジントルクを点火時期リタードにより低減し変速中のトルク変動を抑制していた。これに対し、本発明のスポーツ運転モードでは、油圧を高め且つ、点火時期をリタードし極力変速時間を短くして加速感を向上させるようにした。つまり、スポーツ運転では、ある程度の変速ショックは問題ないのである。
【0017】
図9はダウンシフト時制御の制御フローチャート、図11はダウンシフト時のタイムチャートである。図9において、まず、処理111でギア比gr,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理112では、Flg3 が1になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理113で変速中制御開始フラグFlg43 が1かどうかを判断する。1以外の場合は、図11のFlg3がONからFlg43がONの間を意味している。よって、処理
114に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数m6 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理115でFlg43 に1をセットする。つまり、変速中に油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理116で4〜3速への変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理117でギア比grが変速中制御終了時期定数m5 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理118でFlg43 に0、処理119でFlgD に0をセットする。これにより、図6で示したダウンシフト時制御のサブルーチンが終了する。以下、処理120から処理134までは、前記フローと同様の制御により変速中に油圧制御が可能となる。ダウンシフト時は、早く急激なトルク変化が要求されるため、エンジントルク低減制御を実行せず、変速中の油圧制御によりトルクを高める方式とする。図11において、実線が本発明,破線が従来制御である。従来制御では、変速終了後の振動を点火時期リタードにより低減し変速後のトルク変動を抑制していた。これに対し、本発明のスポーツ運転モードでは、変速中の油圧低下のみで変速時間を短くし、且つ、変速終了後の振動は抑制せず加速感の向上を図る。やはり、スポーツ運転のダウンシフトでも、ある程度の変速ショックは問題ないのである。図12から図20で超燃費運転モードの制御機能を説明する。図12はトルクコンバータを用いた場合の燃費変速点演算方式、図14(a)はトルクコンバータ特性図、図14(b)は逆ポンプ容量係数の特性図、図15(a)は燃料消費量の特性図である。まず、処理135でエンジン回転数Ne,タービン回転数Nt,車速Vsp及び変速比iを読み込む。処理136では、トルクコンバータ入出力軸回転比いわゆる速度比eをNt/Neにより演算する。処理137,138では、図14(a)のeの関数である特性を用いて、それぞれポンプ容量係数c及びトルク比tを検索する。処理139では、上記Ne,c及びtから成る式(1)を用いてタービントルクTtを演算する。
【0018】
Tt=c・t・Ne2 …(1)
処理140では、変速機出力軸トルクいわゆる駆動軸トルクToを上記Tt及び現在の変速比iを用いて演算する。また、この駆動軸トルクToは前述のトルクセンサを用いても良い。処理141では、上記演算したToとこの車両に取り付けられている変速機の変速比数分i(n)を用いて、変速比毎のタービントルクTt(n)を演算する。この場合は、4速の変速機を示した。処理142では、Vspと上記i(n)を用いて、変速比毎のタービン回転数Nt(n)を演算する。処理143では、図14(b)のeの関数である逆ポンプ容量係数cp特性を用いて、変速比毎の速度比e(n)を式(2)を用いて検索する。逆ポンプ容量係数cp特性は式(3)から求めることができる。
【0019】
cp=Tt/Nt2 …(2)
cp=t・c/e2 …(3)
処理144では、前記検索されたe(n)と図14(a)のトルク比t特性を用いて変速比毎のトルクt(n)を演算する。そして、処理145,処理146それぞれ変速比毎のエンジントルクTe(n)及びエンジン回転数Ne(n)を演算する。処理147では、前記演算されたTe(n)及びNe(n)を用いて、変速比毎に図15(a)のエンジントルクとエンジン回転数から成る燃料消費量Qfデータテーブルを検索し、最小燃料消費量の変速比i(n)を求める。そして、処理148で最小燃料消費量の変速比i(n)を出力し、処理149で出力された変速比の変数、例えばn=1の時は前記フラグFlg1 を1にセットする。
【0020】
図13はロックアップを用いた場合の燃費変速点演算方式、図15(b)はスロットル開度特性図である。まず、処理150でエンジン回転数Ne,車速Vsp,スロットル開度及び変速比iを読み込む。処理151では、現在のエンジントルクTeをスロットル開度θとエンジン回転数Neのデータテーブルより検索する。処理152では、変速機出力軸トルクいわゆる駆動軸トルクToを上記Te及び現在の変速比iを用いて演算する。この駆動軸トルクToは前述のトルクセンサを用いても良い。処理153では、前記演算したToと、この車両に取り付けられている変速機の変速比数分i(n)を用いて、変速比毎のエンジントルクTe(n)を演算する。これは、4速の変速機を用いた場合である。処理154では、Vspと上記i(n)を用いて、変速比毎のエンジン回転数Ne(n)を演算する。ロックアップの場合は、トルクコンバータ部の演算が不必要になり、処理が簡単化される。処理155では、上記演算されたTe(n)及びNe(n)を用いて、変速比毎に図15(a)のQfデータテーブルを検索し、最小燃料消費量の変速比i(n)を求める。そして、処理156で最小燃料消費量の変速比i(n)を出力し、処理157で出力された変速比の変数、例えばn=4の時は上記フラグFlg4 を1にセットする。図14(a)において、速度比e=1の状態がロックアップであり、トルクコンバータの伝達効率が100%となる。それ故、駆動軸トルクと車速から直接、エンジントルク及びエンジン回転数が得られる。
【0021】
図16はロックアップ運転域の比較図である。薄網掛け領域の従来制御では、運転性と燃費を両立するため、狭い運転領域のロックアップとなっている。これに対し、本発明では運転性能を無視し燃費低減のみを狙いとするため、かなりの運転領域がロックアップするようになっている。しかし、低車速域はエンジンストップ防止,高スロットル開度域は高トルク発生のためロックアップを中止する必要がある。但し、ドライバが高トルクを必要としない場合は、高スロットル開度域でもロックアップといった設定も可能である。これにより、実用運転域での燃費が大幅に低減する。
【0022】
図17は変速時燃料カット制御の制御フローチャートである。これは、図10で示したスポーツ運転モードの変速中の点火時期制御を燃料カット制御にし、燃費低減を図ったものである。まず、処理158でタービン回転数Nt,車速Vsp,2速フラグFlg2 ,3速フラグFlg3 及び4速フラグFlg4 を読み込む。処理159では、変速機構の入出力回転比いわゆるギア比grをNt/Vspより演算する。そして、処理160では、Flg2 が1になったかどうかを判断する。Yesの場合は、処理161で変速中制御開始フラグFlg12が1かどうかを判断する。1以外の場合は、処理162に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数k10になったかどうかを判断する。この定数は、エンジントルク制御の手法(点火時期,燃料量,空気量)による制御応答性を考慮して変化させる必要がある。よって、処理162でYes の場合は、処理163でFlg12 に1をセットする。つまり、変速中エンジントルク制御及び油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理164,処理165でそれぞれ燃料カット制御及び1〜2速へ変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理166でギア比grが変速中制御終了時期定数k11になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理167でFlg12 に0をセットする。以下、処理168から処理
182では、前記フローと同様の制御により変速中エンジン制御及び油圧制御が可能となる。
【0023】
図18はクラッチ締結油圧高効率制御の制御フローチャートである。まず、処理183でタービン回転数Nt,車速Vsp,変速比i(n),1速フラグFlg1,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理184では、現在の変速比が1速かどうかを判断する。Yes の場合は、処理185に進み、車速Vspから求まる換算タービン回転数Noを
Vsp・i(1)より演算する。処理186から処理190では、2速,3速及び4速のそれぞれの換算タービン回転数を演算する。そして、処理191で実際のタービン回転数
Ntと前記換算タービン回転数Noの偏差ΔNを演算する。処理192では、補正目標油圧ΔPLを前記ΔNの関数(PID制御)により求め、処理193で出力する。これにより、変速機内クラッチが滑るぎりぎりの油圧制御が可能となり、最高効率の油圧による燃費低減が図れる。
【0024】
図19は減速時燃料カット制御の制御フローチャートである。これは、前述の燃費低減のための変速線演算により得られた減速時に、燃料カット制御を併用し更なる燃費低減を図るものである。まず、処理194で、エンジン回転数Ne,スロットル開度θ,基本燃料噴射量Tp及びエンジン水温等で変化する燃料噴射量演算のための変数k30を読み込む。処理195では、上記スロットル開度θが0、つまり減速状態かどうかを判断する。Noの場合は、処理196,処理197でそれぞれ燃料カット係数Fuelを1,減速時燃料カット可能回転数かどうかのフラグFlgFC を0にする。そして、処理198に進み燃料噴射量TiをFuel・k30・Tpにより求め、処理199で出力する。処理195でYes の場合は、処理200で上記FlgFC が1かどうかを判断する。Noの場合は、処理201に進みNeが、例えば、2000rpm よりも大きいかどうかを判断する。大きい場合は、処理
202で上記Fuelに0、処理203で上記FlgFC に1をセットする。そして、処理198に進む。処理200で既に上記FlgFC が1の場合は、処理204に進み、Neが1500
rpm 以下かどうかを判断する。これは、燃料カット終了エンジン回転数の判定であり、エンジンストールを考慮して決定される。
【0025】
図20は図19のタイムチャートである。スロットル開度全閉を検出し、エンジン回転数が2000rpm 以上のため、Fuel信号が0になっている。更に、燃料カットの影響でエンジン回転数が急激に低下し、その後1500rpm でFuel信号が1になり燃料カットが中止されている。
【0026】
図21から図29で心地良い運転モードの制御機能を説明する。図21はファジー推論による変速点制御の制御フローチャート、図22は車速に対しドライバが感じるメンバーシップ関数、図23はファジールールから求まる道路状態判定結果、図24は道路状態に応じた変速線変更例である。図21において、まず、処理205でスロットル開度θ,車速Vsp,ハンドル角α及び道路勾配βを読み込む。上記βは、式(4)から求めることができる。
【0027】
β=(To−TL−K100・W・dVsp/dt)/k200 …(4)
To:駆動軸トルク、TL :平坦路走行抵抗、W:車両慣性重量、
K100,k200:定数
ここで、Toはトルクコンバータを用いた演算方式,トルクセンサ方式等により求めることができる。また、加速度センサを用いる場合は、式(5)から求めることができる。
【0028】
β=sin1(Gs−dVsp/dt)/g …(5)
g:重力加速度、Gs:前後加速度センサ信号
処理206では、Vspの微分により前後加速度Gを演算する。処理207から211では、メンバーシップ関数M(n)をそれぞれVsp,G,α,β及びθの関数g(n)により求める。これらは、図22のようなメンバーシップ関数を用いる。処理212では、図23に示した道路状態のファジールールを用いて、現在の走行環境を判定する。もし、車速が小,道路勾配が正大(登り且つ大),ハンドル角が大,スロットル開度が中の場合は、処理214が実行され屈曲路登坂モードの変速線が選択される。処理215から217においても同様の走行環境判定が実行される。これら以外の場合は、処理213の平坦路モード、いわゆる通常のノーマル変速線制御が実行される。処理218では、前記変速線選択で実行された変速線をVspとθの関数h1(図24のテーブル検索) により求め、変速比i(n)を演算する。そして、処理219で変速比i(n)を出力し、処理220で出力された変速比の変数、例えばn=3の時は上記フラグFlg3 を1にセットする。図24において、平坦路モードのアップシフト線が実線,ダウンシフト線が破線である。例えば、ファジールールにより屈曲路登坂モードが選択された場合は、図24矢印→の薄線のように変更され、コーナー走行時のビジィーシフトを回避する。また、高速登坂モードが選択された場合は、上向の矢印が示す実線のように変更され、高速時のビジィーシフトを回避する。
【0029】
図25は等間隔変速の変速線テーブル、図25実行時の駆動軸トルク特性である。図
25には、図26のように例えば、発進から1〜2速への変速と1〜2速への変速から2〜3速まで変速までの時間が等間隔aとなるような変速線が記憶されており、燃費よりも心地良い運転性を重視する。また、駆動軸トルクの大きさと等間隔の関係は、比例としたほうがより良い。
【0030】
図27はアップシフト時トルク制御の制御フローチャートである。まず、処理221でタービン回転数Nt,エンジン回転数Ne,変速比i(n),1〜2速への変速中フラグFlg12 ,2〜3速への変速中フラグFlg23 及び3〜4速へ変速中フラグFlg34 を読み込む。処理222では、現在の変速が1〜2速かどうかを判断する。Yes の場合は、図8に示すように1〜2速へ変速中であり、処理223に進み1〜2速への変速に見合うある一定量j1(i(1)) を差引き、目標エンジントルクTeのセットする。この時のTeは、点火時期,燃料量及び空気量で異なるため、それぞれの制御項目に応じてそれぞれのテーブルを検索し出力される。処理224では、Flg12=1 と同時に駆動軸トルク推定のためのトルク伝達比tdをi(1)の関数p1 により求める。処理225から処理230では、2〜3速,3〜4速の変速におけるTe,tdを演算する。そして、処理231で変速比i(n)毎の目標駆動軸トルクTtarを関数j4(テーブル検索等) により演算する。処理232では、タービントルクTtを式(6)により演算する。
【0031】
Tt=c・t・Ne2 …(6)
c:ポンプ容量係数、t:トルク比
処理233では、実際の駆動軸トルクToを上記演算したタービントルクTt及びトルク伝達比tdを用いて推定する。処理234では、前記駆動軸トルクToと目標駆動軸トルクTtarの偏差ΔTを演算する。処理235では、補正目標油圧ΔPLを前記ΔTの関数(PID制御)により求め、処理236で出力する。また、処理237でエンジントルク低減量Teを出力する。これにより、変速中トルクフィードバックの油圧制御が可能となり、変速中のショック低減が図れる。
【0032】
図28はダウンシフト時トルク制御の制御フローチャート、図29は図28実行時のタイムチャートである。ここでは、スロットル開度制御、いわゆる電子制御スロットルを用いた場合の制御例である。まず、処理238でアクセル開度θa,タービン回転数Nt,エンジン回転数Ne,車速Vsp,2〜1速へ変速中フラグFlg21 ,3〜2速へ変速中フラグFlg32 及び4〜3速へ変速中フラグFlg43 を読み込む。処理239では、現在の変速が2〜1速かどうかを判断する。Yes の場合は、図9に示すように2〜1速へ変速中であり、処理240に進み2〜1速へ変速、現在のθa及びVspに見合う目標駆動軸トルクTtar を関数q1(テーブル検索等) を用いて演算する。処理250では、Flg21=1と同時に駆動軸トルク推定のためのトルク伝達比tdをi(2)の関数p1 により求める。処理251から処理256では、3〜2速,4〜3速へ変速におけるTtar,tdを演算する。そして、処理257では、タービントルクTtをアップシフトと同様に式(6)により演算する。処理258では、実際の駆動軸トルクToを上記演算したTt及びtdを用いて推定する。処理259では、上記駆動軸トルクToと目標駆動軸トルクTtarの偏差
ΔTを演算する。処理260では、補正スロットル開度Δθを上記偏差ΔTの関数(PID制御)により求める。そして、処理261で目標スロットル開度θtar を通常の目標スロットル開度演算(r1(θa,Ne))に上記偏差Δθを加えることにより求め、処理262で出力する。これにより、図29に示す破線の従来制御に対しトルクフィードバックスロットル制御では、変速前後のトルク段差がなく滑らかなダウンシフトが可能となる。
【0033】
図30はエンジンブレーキ時フェールセイフの制御フローチャートである。まず、処理263で従動輪速Vf,駆動輪速Vr,スロットル開度θ及びエンジン回転数Neを読み込む。処理264では、スリップ率Sを式(7)により演算する。
【0034】
S=(Vf−Vr)/Vf …(7)
処理265では、θ=0且つNe≧1500rpm かどうかを判断する。ここでは、減速時のエンジンブレーキ制御中かどうかの判断をする。Yes の場合は、処理266に進みスリップ率Sが0.3 以上かどうかを判断する。つまり、ここでは、エンジンブレーキ制御実行中の路面摩擦係数が小さいかどうかを判断し、安全な運転状態かどうかを判定している。Yes の場合、つまりエンジンブレーキ制御により駆動輪がロック状態に近くなると判断した場合は、前述のスポーツ運転を禁止、あるいは強制的にシフトアップし車両の安全性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例。
【図2】図1の詳細ブロック図。
【図3】システム構成図。
【図4】運転モード設定時の制御フローチャート。
【図5】運転モード実行時の制御フローチャート。
【図6】変速点制御の制御フローチャート。
【図7】変速点制御に用いる変速線。
【図8】アップシフト時制御の制御フローチャート。
【図9】ダウンシフト時制御の制御フローチャート。
【図10】アップシフト時のタイムチャート。
【図11】ダウンシフト時のタイムチャート。
【図12】トルクコンバータを用いた場合の燃費変速点演算方式。
【図13】ロックアップを用いた場合の燃費変速点演算方式。
【図14】(a)はトルクコンバータ特性図。(b)は逆ポンプ容量係数の特性図。
【図15】燃料消費量の特性図。
【図16】ロックアップ運転域の比較図。
【図17】変速時燃料カット制御の制御フローチャート。
【図18】クラッチ締結油圧高効率制御の制御フローチャート。
【図19】減速時燃料カット制御の制御フローチャート。
【図20】図19のタイムチャート。
【図21】ファジー推論による変速点制御の制御フローチャート。
【図22】車速に対しドライバが感じるメンバーシップ関数。
【図23】ファジールールから求まる道路状態判定結果。
【図24】道路状態に応じた変速線変更例。
【図25】等間隔変速の変速線テーブル。
【図26】図25実行時の駆動軸トルク特性。
【図27】アップシフト時トルク制御の制御フローチャート。
【図28】ダウンシフト時トルク制御の制御フローチャート。
【図29】図28実行時のタイムチャート。
【図30】エンジンブレーキ時フェールセイフの制御フローチャート。
【符号の説明】
【0036】
1…制御用センサ、2…ドライバ意図把握手段、3…運転モード選択手段、4…制御機能選択手段、5…制御用アクチュエータ、6…制御量演算手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートレイン制御装置に係り、特に自動変速機搭載車のドライバが要求するとおりの走行を実現させるのに好適なパワートレイン制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第一の従来技術として、エコノミーモードの変速特性と、該エコノミーモードよりも変速線が高速側に設定されたパワーモード等の変速特性とが用意され、スイッチ等のマニュアル選択によっていずれか所望の変速特性が選択できることが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、第二の従来技術として、現在の運転状態からファジー推論を用いて道路状態を予測し推定する。その予測し推定した道路状態に応じて変速線を変化させることにより、ある程度ドライバの意図通りの加速,減速等の変速が得られることが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平3−117774号公報
【特許文献2】特開平5−346162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記第一の従来技術では、燃費を良くすることのみを考慮しているはずのエコノミーモードのほかに、該エコノミーモードよりも変速線が高速側に設定されたパワーモード等の変速特性が用意され運転性能も多少考慮しているため、あまり燃費を良くすることに貢献していなかった。また、上記第二の従来技術のファジー推論を用いて最適な変速線を決定していたはずであるが、ドライバの意図通りの加速,減速等の変速が得られないといった問題が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、ドライバによって異なる自動車の運転状態及び制御機能に対応し、ドライバの意図通りに自動変速機搭載車を運行するパワートレイン制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、現在の走行状態及びドライバの操作量の度合等を検出するための制御用センサと、ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段と、複数の運転モードの中から前記ドライバ意図把握手段で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段と、前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて少なくとも二つの制御機能を選択する制御機能選択手段と、前記制御用センサ及び制御機能選択手段の信号を用いて制御用アクチュエータの制御量を演算する制御量演算手段とを備えることにより達成される。
【0008】
運転モード選択手段でドライバが意図する運転状態、例えば超燃費運転を選択した場合、制御機能選択手段では、燃費低減を実現する広域ロックアップ制御(トルクコンバータ部の滑りを無くしトルク伝達の効率を向上させる方法),燃費変速制御(トルク伝達効率を考慮しつつエンジン効率の最大点でエンジンを運転するよう変速点を決定),燃料カット制御(減速時及び変速時に燃料カットを実行)等、複数の制御機能が選択され、ドライバが意図する燃費を良くする運転が可能になる。スポーツ運転を選択し運行した場合、前記制御機能選択手段では、加速感向上のため高回転で変速させる高回転変速制御,変速時の加速低下を防止する短変速時間制御,コーナーを高速に走行するためコーナー入口のシフトダウンによる強エンブレ制御等が選択され、ドライバが意図するスポーツモードの運転が可能になる。心地良い運転を選択した場合、前記制御機能選択手段では、変速期間の時間を同じにする等間隔変速制御,変速時間の管理とショック低減を両立する滑らか変速制御,ファジー推論を用いて道路の状態(勾配等)を推定し該勾配状態に見合った変速線を決定する変速線制御等が選択され、ドライバが意図する心地良い運転を可能にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライバによって異なる自動車の運転状態及び制御機能に対応し、ドライバの意図通りに自動変速機搭載車を運行するパワートレイン制御装置及び制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明によるパワートレイン制御装置及び制御方法について、詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である。本発明は、現在の走行状態及びドライバ作動量等を検出するための制御用センサ1,ドライバの意図を把握するためのドライバ意図把握手段2,複数の運転モードの中から前記ドライバ意図把握手段2で把握した運転モードを選択する運転モード選択手段3,前記運転モード選択手段で選択されたモードに応じて複数の制御機能を選択する制御機能選択手段4,上記制御用センサ1及び制御機能選択手段4の信号を用いて制御用アクチュエータ5の制御量を演算する制御量演算手段6が設けられている。
【0011】
図2は図1を詳細に説明しているブロック図である。制御用センサ1は、空気量センサ,車速センサ,エンジン回転センサ,タービン回転センサ,スロットル開度センサ,ハンドル舵角センサ,加速度センサ,トルクセンサ,アクセル開度センサが用いられる。また、破線で示した従動輪速センサ及び駆動輪速センサは、従動輪と駆動輪のスリップ率を管理し車両の安全性を確保するために用いられる。車両の加速度及び駆動軸のトルクは、それぞれ車速の微分及びトルクコンバータ特性を用いて演算することができるが、破線で示す加速度センサ及びトルクセンサを用いることも可能である。更に、スロットルバルブ等の空気量を電子制御する場合(制御用アクチュエータ:電子スロットル)は、アクセル開度センサが必要となる。ドライバ意図把握手段2のモード選択として、ON/OFFスイッチ,電子カード及び音声等が用いられる。運転モード選択手段3は、前記ドライバ意図把握手段2の出力に対し、例えばスポーツ運転フラグ,超燃費運転フラグ及び心地良い運転フラグ等を発生させ、モードに見合う制御を実行する。次に、制御機能選択手段4では、それぞれの前記運転モードに対し、少なくとも二つの制御機能を選択する。例えば、スポーツ運転モードでは、山岳路を制限速度内で高速運転するため、アップシフトで高回転変速,ダウンシフトで強エンジンブレーキ及び短時間変速等、複数の制御機能を実行する。超低燃費運転モードでは、あらゆる道路状況でも駆動系の伝達効率を考慮するように変速点を決定し、且つ、変速中及び減速中に燃料カットを実行し、更にある程度の振動を考慮したロックアップ域の拡大を行う。心地良い運転モードでは、全てのドライバがある程度、満足する走行を可能とする。例えば、発進から1〜2速への変速,1〜2速への変速から2〜3速へ変速の時間を等間隔としたり、変速ショックをドライバが感じない程度にしたり、更に、ファジー理論を用いて道路状態を推定しドライバの意図がある程度、反映する変速線を決定したりする。そして、前記制御機能選択手段4で選択された制御機能に応じた制御量を制御量演算手段6で演算し、制御用アクチュエータ5、例えば、変速点制御ソレノイド,クラッチ締結圧制御ソレノイド,ロックアップ制御ソレノイド及び燃料噴射弁に出力する。また、空気量制御を付加する場合は、電子制御スロットルを用いる。電子制御スロットルは、例えば、強エンジンブレーキ制御のための変速時にエンジンの回転数を合わせるような制御に用いることができる。これにより、スムースな減速が実現できる。なお、制御用センサの信号からドライバ意図把握手段を実施することも可能である。
【0012】
図3にシステム構成図を示す。エンジン7の吸気管8に取り付けられたスロットルバルブ9の駆動に伴い空気が吸入される。この空気量を空気流量計10により検出し、この信号Qaを制御ユニット11に入力する。また、スロットル開度信号θ,エンジン回転数
Ne,タービン回転数Nt,車速信号Vsp,トルク信号To,従動輪速信号Vf,駆動輪速信号Vr,加速度信号G,シフト位置信号S,ハンドル舵角信号α,モードスイッチ
SW,アクセル開度θaがそれぞれスロットル開度センサ12,エンジン回転センサ13,タービン回転センサ14,車速センサ15,トルクセンサ16,従動輪速センサ17,駆動輪速センサ18,加速度センサ19,シフト位置スイッチ20,ハンドル舵角センサ21,モードスイッチ22,アクセル開度センサ23より検出される。前記制御用センサ信号が制御ユニット11に入力され、目標スロットル開度θtar ,燃料噴射幅Ti,点火時期Adv,ロックアップデューティlu,変速比i(n),油圧デューティPLがそれぞれ電子制御スロットル24,燃料噴射弁25,点火装置26,ロックアップ制御ソレノイド27,変速点制御ソレノイド28,クラッチ締結圧制御ソレノイド29に出力される。このシステム構成により本発明が実施可能となる。
【0013】
図4に運転モード設定時の制御フローチャートを示す。まず、処理30でスポーツ運転モードスイッチSWs及び超燃費運転モードスイッチSWfを読み込む。ここでは、ドライバの意図の把握を前記二つのスイッチを用いて判断し、前記二つスイッチがOFF の場合は、心地良い運転モードとした。処理31では、SWsが1かどうかを判断する。1の場合は処理32に進み、スポーツ運転モードフラグFlgS=1 を実行する。1以外の場合は、処理33に進み、SWfが1かどうかを判断する。1の場合は処理34に進み、超低燃費運転モードフラグFlgF=1 を実行する。1以外の場合は、処理35に進み、心地良い運転モードフラグFlgC=1 を実行する。
【0014】
図5は運転モード実行時の制御フローチャートである。まず、処理36では、図4で設定されたフラグFlgS,FlgF及びFlgC を読み込む。そして、それぞれ処理37,38,39で1かどうかを判断し、1の場合はそれぞれスポーツ運転モード制御40,超燃費運転モード制御41,心地良い運転モード制御42のサブルーチンを実行する。
【0015】
最初に、図6から図11でスポーツ運転モードの制御機能を説明する。図6は変速点制御の制御フローチャート、図7は変速点制御に用いる変速線である。まず、処理43で車速Vsp,タービン回転数Nt,FlgU及びFlgD(後述)を読み込む。処理44では、変速機構の入出力回転比いわゆるギア比grをNt/Vspより演算する。これは後述の変速中制御(アップシフト時制御45,ダウンシフト時制御46)のサブルーチンで用いる。処理47では、アップシフト中フラグFlgU が1かどうか、処理48ではダウンシフト中フラグが1かどうかを判断する。それぞれ1の場合は、処理45及び処理46に進み、前記サブルーチンを実行する。1以外の場合は、処理49に進む。エンジンスタート時は、初期設定によりFlg4,Flg3及びFlg2 は0が設定されている。そのため、処理49,処理
50,処理51を介して処理52に進む。つまり、車速0の状態では、1速状態となっている。処理52では、図7の変速線を検索し現在のVspがV2 以上かどうかを判断する。ここで、図7の実線はアップシフト線、破線はダウンシフト線である。変速線がスロットル開度の変化にもかかわらず同一車速に設定されている理由は、マニュアルミッション車の走行を意図するためである。処理52でNoの場合は、処理53でFlg1 に1をセットし、処理54で1速の信号を出力する。Yes の場合は、処理55に進みFlg2 に1をセットし、処理56で2速の信号を出力する。そして処理57でアップシフト中フラグFlgU を1にし、処理58でFlg1を0にする。今度は、Flg2=1のため処理51でYes に進む。処理59では、現在のVspがV4 以上かどうかを判断する。Yes の場合は、処理60に進みFlg3 に1をセットし、処理61で3速の信号を出力する。そして処理62でアップシフト中フラグFlgUを1にし、処理63でFlg2を0にする。Noの場合は、処理64に進み現在のVspがV1 以下かどうかを判断する。Yes の場合は、処理65でFlg1 に1をセットし、処理66で1速の信号を出力する。そして処理67でダウンシフト中フラグFlgD を1にし、処理68でFlg2 を0にする。Noの場合は、リターンされる。以下、処理69から処理83までは前記フローと同様の制御により変速線制御が可能となる。
【0016】
図8はアップシフト時制御の制御フローチャート、図10はアップシフト時のタイムチャートである。図8において、まず、処理84でギア比gr,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理85では、Flg2 が1になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理86で変速中制御開始フラグFlg12が1かどうかを判断する。1以外の場合は、図10のFlg2 がONからFlg12 がONの間を意味している。よって、処理87に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数k1 になったかどうかを判断する。処理87でYes の場合は、処理88でFlg12 に1をセットする。つまり、変速中エンジントルク制御及び油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理89,90でそれぞれ点火時期リタード制御及び1〜2速への変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理91でギア比grが変速中制御終了時期定数k2 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理92でFlg12 に0,処理93でFlgU に0をセットする。これにより、図6で示したアップシフト時制御のサブルーチンが終了する。以下、処理94から処理110までは、前記フローチャートと同様の制御により変速中エンジン制御及び油圧制御が可能となる。図10において、実線が本発明、破線が従来制御である。従来制御では、油圧低下及びエンジントルクを点火時期リタードにより低減し変速中のトルク変動を抑制していた。これに対し、本発明のスポーツ運転モードでは、油圧を高め且つ、点火時期をリタードし極力変速時間を短くして加速感を向上させるようにした。つまり、スポーツ運転では、ある程度の変速ショックは問題ないのである。
【0017】
図9はダウンシフト時制御の制御フローチャート、図11はダウンシフト時のタイムチャートである。図9において、まず、処理111でギア比gr,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理112では、Flg3 が1になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理113で変速中制御開始フラグFlg43 が1かどうかを判断する。1以外の場合は、図11のFlg3がONからFlg43がONの間を意味している。よって、処理
114に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数m6 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理115でFlg43 に1をセットする。つまり、変速中に油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理116で4〜3速への変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理117でギア比grが変速中制御終了時期定数m5 になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理118でFlg43 に0、処理119でFlgD に0をセットする。これにより、図6で示したダウンシフト時制御のサブルーチンが終了する。以下、処理120から処理134までは、前記フローと同様の制御により変速中に油圧制御が可能となる。ダウンシフト時は、早く急激なトルク変化が要求されるため、エンジントルク低減制御を実行せず、変速中の油圧制御によりトルクを高める方式とする。図11において、実線が本発明,破線が従来制御である。従来制御では、変速終了後の振動を点火時期リタードにより低減し変速後のトルク変動を抑制していた。これに対し、本発明のスポーツ運転モードでは、変速中の油圧低下のみで変速時間を短くし、且つ、変速終了後の振動は抑制せず加速感の向上を図る。やはり、スポーツ運転のダウンシフトでも、ある程度の変速ショックは問題ないのである。図12から図20で超燃費運転モードの制御機能を説明する。図12はトルクコンバータを用いた場合の燃費変速点演算方式、図14(a)はトルクコンバータ特性図、図14(b)は逆ポンプ容量係数の特性図、図15(a)は燃料消費量の特性図である。まず、処理135でエンジン回転数Ne,タービン回転数Nt,車速Vsp及び変速比iを読み込む。処理136では、トルクコンバータ入出力軸回転比いわゆる速度比eをNt/Neにより演算する。処理137,138では、図14(a)のeの関数である特性を用いて、それぞれポンプ容量係数c及びトルク比tを検索する。処理139では、上記Ne,c及びtから成る式(1)を用いてタービントルクTtを演算する。
【0018】
Tt=c・t・Ne2 …(1)
処理140では、変速機出力軸トルクいわゆる駆動軸トルクToを上記Tt及び現在の変速比iを用いて演算する。また、この駆動軸トルクToは前述のトルクセンサを用いても良い。処理141では、上記演算したToとこの車両に取り付けられている変速機の変速比数分i(n)を用いて、変速比毎のタービントルクTt(n)を演算する。この場合は、4速の変速機を示した。処理142では、Vspと上記i(n)を用いて、変速比毎のタービン回転数Nt(n)を演算する。処理143では、図14(b)のeの関数である逆ポンプ容量係数cp特性を用いて、変速比毎の速度比e(n)を式(2)を用いて検索する。逆ポンプ容量係数cp特性は式(3)から求めることができる。
【0019】
cp=Tt/Nt2 …(2)
cp=t・c/e2 …(3)
処理144では、前記検索されたe(n)と図14(a)のトルク比t特性を用いて変速比毎のトルクt(n)を演算する。そして、処理145,処理146それぞれ変速比毎のエンジントルクTe(n)及びエンジン回転数Ne(n)を演算する。処理147では、前記演算されたTe(n)及びNe(n)を用いて、変速比毎に図15(a)のエンジントルクとエンジン回転数から成る燃料消費量Qfデータテーブルを検索し、最小燃料消費量の変速比i(n)を求める。そして、処理148で最小燃料消費量の変速比i(n)を出力し、処理149で出力された変速比の変数、例えばn=1の時は前記フラグFlg1 を1にセットする。
【0020】
図13はロックアップを用いた場合の燃費変速点演算方式、図15(b)はスロットル開度特性図である。まず、処理150でエンジン回転数Ne,車速Vsp,スロットル開度及び変速比iを読み込む。処理151では、現在のエンジントルクTeをスロットル開度θとエンジン回転数Neのデータテーブルより検索する。処理152では、変速機出力軸トルクいわゆる駆動軸トルクToを上記Te及び現在の変速比iを用いて演算する。この駆動軸トルクToは前述のトルクセンサを用いても良い。処理153では、前記演算したToと、この車両に取り付けられている変速機の変速比数分i(n)を用いて、変速比毎のエンジントルクTe(n)を演算する。これは、4速の変速機を用いた場合である。処理154では、Vspと上記i(n)を用いて、変速比毎のエンジン回転数Ne(n)を演算する。ロックアップの場合は、トルクコンバータ部の演算が不必要になり、処理が簡単化される。処理155では、上記演算されたTe(n)及びNe(n)を用いて、変速比毎に図15(a)のQfデータテーブルを検索し、最小燃料消費量の変速比i(n)を求める。そして、処理156で最小燃料消費量の変速比i(n)を出力し、処理157で出力された変速比の変数、例えばn=4の時は上記フラグFlg4 を1にセットする。図14(a)において、速度比e=1の状態がロックアップであり、トルクコンバータの伝達効率が100%となる。それ故、駆動軸トルクと車速から直接、エンジントルク及びエンジン回転数が得られる。
【0021】
図16はロックアップ運転域の比較図である。薄網掛け領域の従来制御では、運転性と燃費を両立するため、狭い運転領域のロックアップとなっている。これに対し、本発明では運転性能を無視し燃費低減のみを狙いとするため、かなりの運転領域がロックアップするようになっている。しかし、低車速域はエンジンストップ防止,高スロットル開度域は高トルク発生のためロックアップを中止する必要がある。但し、ドライバが高トルクを必要としない場合は、高スロットル開度域でもロックアップといった設定も可能である。これにより、実用運転域での燃費が大幅に低減する。
【0022】
図17は変速時燃料カット制御の制御フローチャートである。これは、図10で示したスポーツ運転モードの変速中の点火時期制御を燃料カット制御にし、燃費低減を図ったものである。まず、処理158でタービン回転数Nt,車速Vsp,2速フラグFlg2 ,3速フラグFlg3 及び4速フラグFlg4 を読み込む。処理159では、変速機構の入出力回転比いわゆるギア比grをNt/Vspより演算する。そして、処理160では、Flg2 が1になったかどうかを判断する。Yesの場合は、処理161で変速中制御開始フラグFlg12が1かどうかを判断する。1以外の場合は、処理162に進み、ギア比grが変速中制御開始時期定数k10になったかどうかを判断する。この定数は、エンジントルク制御の手法(点火時期,燃料量,空気量)による制御応答性を考慮して変化させる必要がある。よって、処理162でYes の場合は、処理163でFlg12 に1をセットする。つまり、変速中エンジントルク制御及び油圧制御をすべき状態と判断する。そして、処理164,処理165でそれぞれ燃料カット制御及び1〜2速へ変速時の目標油圧を検索し出力する。次に、処理166でギア比grが変速中制御終了時期定数k11になったかどうかを判断する。Yes の場合は、処理167でFlg12 に0をセットする。以下、処理168から処理
182では、前記フローと同様の制御により変速中エンジン制御及び油圧制御が可能となる。
【0023】
図18はクラッチ締結油圧高効率制御の制御フローチャートである。まず、処理183でタービン回転数Nt,車速Vsp,変速比i(n),1速フラグFlg1,2速フラグFlg2 及び3速フラグFlg3 を読み込む。処理184では、現在の変速比が1速かどうかを判断する。Yes の場合は、処理185に進み、車速Vspから求まる換算タービン回転数Noを
Vsp・i(1)より演算する。処理186から処理190では、2速,3速及び4速のそれぞれの換算タービン回転数を演算する。そして、処理191で実際のタービン回転数
Ntと前記換算タービン回転数Noの偏差ΔNを演算する。処理192では、補正目標油圧ΔPLを前記ΔNの関数(PID制御)により求め、処理193で出力する。これにより、変速機内クラッチが滑るぎりぎりの油圧制御が可能となり、最高効率の油圧による燃費低減が図れる。
【0024】
図19は減速時燃料カット制御の制御フローチャートである。これは、前述の燃費低減のための変速線演算により得られた減速時に、燃料カット制御を併用し更なる燃費低減を図るものである。まず、処理194で、エンジン回転数Ne,スロットル開度θ,基本燃料噴射量Tp及びエンジン水温等で変化する燃料噴射量演算のための変数k30を読み込む。処理195では、上記スロットル開度θが0、つまり減速状態かどうかを判断する。Noの場合は、処理196,処理197でそれぞれ燃料カット係数Fuelを1,減速時燃料カット可能回転数かどうかのフラグFlgFC を0にする。そして、処理198に進み燃料噴射量TiをFuel・k30・Tpにより求め、処理199で出力する。処理195でYes の場合は、処理200で上記FlgFC が1かどうかを判断する。Noの場合は、処理201に進みNeが、例えば、2000rpm よりも大きいかどうかを判断する。大きい場合は、処理
202で上記Fuelに0、処理203で上記FlgFC に1をセットする。そして、処理198に進む。処理200で既に上記FlgFC が1の場合は、処理204に進み、Neが1500
rpm 以下かどうかを判断する。これは、燃料カット終了エンジン回転数の判定であり、エンジンストールを考慮して決定される。
【0025】
図20は図19のタイムチャートである。スロットル開度全閉を検出し、エンジン回転数が2000rpm 以上のため、Fuel信号が0になっている。更に、燃料カットの影響でエンジン回転数が急激に低下し、その後1500rpm でFuel信号が1になり燃料カットが中止されている。
【0026】
図21から図29で心地良い運転モードの制御機能を説明する。図21はファジー推論による変速点制御の制御フローチャート、図22は車速に対しドライバが感じるメンバーシップ関数、図23はファジールールから求まる道路状態判定結果、図24は道路状態に応じた変速線変更例である。図21において、まず、処理205でスロットル開度θ,車速Vsp,ハンドル角α及び道路勾配βを読み込む。上記βは、式(4)から求めることができる。
【0027】
β=(To−TL−K100・W・dVsp/dt)/k200 …(4)
To:駆動軸トルク、TL :平坦路走行抵抗、W:車両慣性重量、
K100,k200:定数
ここで、Toはトルクコンバータを用いた演算方式,トルクセンサ方式等により求めることができる。また、加速度センサを用いる場合は、式(5)から求めることができる。
【0028】
β=sin1(Gs−dVsp/dt)/g …(5)
g:重力加速度、Gs:前後加速度センサ信号
処理206では、Vspの微分により前後加速度Gを演算する。処理207から211では、メンバーシップ関数M(n)をそれぞれVsp,G,α,β及びθの関数g(n)により求める。これらは、図22のようなメンバーシップ関数を用いる。処理212では、図23に示した道路状態のファジールールを用いて、現在の走行環境を判定する。もし、車速が小,道路勾配が正大(登り且つ大),ハンドル角が大,スロットル開度が中の場合は、処理214が実行され屈曲路登坂モードの変速線が選択される。処理215から217においても同様の走行環境判定が実行される。これら以外の場合は、処理213の平坦路モード、いわゆる通常のノーマル変速線制御が実行される。処理218では、前記変速線選択で実行された変速線をVspとθの関数h1(図24のテーブル検索) により求め、変速比i(n)を演算する。そして、処理219で変速比i(n)を出力し、処理220で出力された変速比の変数、例えばn=3の時は上記フラグFlg3 を1にセットする。図24において、平坦路モードのアップシフト線が実線,ダウンシフト線が破線である。例えば、ファジールールにより屈曲路登坂モードが選択された場合は、図24矢印→の薄線のように変更され、コーナー走行時のビジィーシフトを回避する。また、高速登坂モードが選択された場合は、上向の矢印が示す実線のように変更され、高速時のビジィーシフトを回避する。
【0029】
図25は等間隔変速の変速線テーブル、図25実行時の駆動軸トルク特性である。図
25には、図26のように例えば、発進から1〜2速への変速と1〜2速への変速から2〜3速まで変速までの時間が等間隔aとなるような変速線が記憶されており、燃費よりも心地良い運転性を重視する。また、駆動軸トルクの大きさと等間隔の関係は、比例としたほうがより良い。
【0030】
図27はアップシフト時トルク制御の制御フローチャートである。まず、処理221でタービン回転数Nt,エンジン回転数Ne,変速比i(n),1〜2速への変速中フラグFlg12 ,2〜3速への変速中フラグFlg23 及び3〜4速へ変速中フラグFlg34 を読み込む。処理222では、現在の変速が1〜2速かどうかを判断する。Yes の場合は、図8に示すように1〜2速へ変速中であり、処理223に進み1〜2速への変速に見合うある一定量j1(i(1)) を差引き、目標エンジントルクTeのセットする。この時のTeは、点火時期,燃料量及び空気量で異なるため、それぞれの制御項目に応じてそれぞれのテーブルを検索し出力される。処理224では、Flg12=1 と同時に駆動軸トルク推定のためのトルク伝達比tdをi(1)の関数p1 により求める。処理225から処理230では、2〜3速,3〜4速の変速におけるTe,tdを演算する。そして、処理231で変速比i(n)毎の目標駆動軸トルクTtarを関数j4(テーブル検索等) により演算する。処理232では、タービントルクTtを式(6)により演算する。
【0031】
Tt=c・t・Ne2 …(6)
c:ポンプ容量係数、t:トルク比
処理233では、実際の駆動軸トルクToを上記演算したタービントルクTt及びトルク伝達比tdを用いて推定する。処理234では、前記駆動軸トルクToと目標駆動軸トルクTtarの偏差ΔTを演算する。処理235では、補正目標油圧ΔPLを前記ΔTの関数(PID制御)により求め、処理236で出力する。また、処理237でエンジントルク低減量Teを出力する。これにより、変速中トルクフィードバックの油圧制御が可能となり、変速中のショック低減が図れる。
【0032】
図28はダウンシフト時トルク制御の制御フローチャート、図29は図28実行時のタイムチャートである。ここでは、スロットル開度制御、いわゆる電子制御スロットルを用いた場合の制御例である。まず、処理238でアクセル開度θa,タービン回転数Nt,エンジン回転数Ne,車速Vsp,2〜1速へ変速中フラグFlg21 ,3〜2速へ変速中フラグFlg32 及び4〜3速へ変速中フラグFlg43 を読み込む。処理239では、現在の変速が2〜1速かどうかを判断する。Yes の場合は、図9に示すように2〜1速へ変速中であり、処理240に進み2〜1速へ変速、現在のθa及びVspに見合う目標駆動軸トルクTtar を関数q1(テーブル検索等) を用いて演算する。処理250では、Flg21=1と同時に駆動軸トルク推定のためのトルク伝達比tdをi(2)の関数p1 により求める。処理251から処理256では、3〜2速,4〜3速へ変速におけるTtar,tdを演算する。そして、処理257では、タービントルクTtをアップシフトと同様に式(6)により演算する。処理258では、実際の駆動軸トルクToを上記演算したTt及びtdを用いて推定する。処理259では、上記駆動軸トルクToと目標駆動軸トルクTtarの偏差
ΔTを演算する。処理260では、補正スロットル開度Δθを上記偏差ΔTの関数(PID制御)により求める。そして、処理261で目標スロットル開度θtar を通常の目標スロットル開度演算(r1(θa,Ne))に上記偏差Δθを加えることにより求め、処理262で出力する。これにより、図29に示す破線の従来制御に対しトルクフィードバックスロットル制御では、変速前後のトルク段差がなく滑らかなダウンシフトが可能となる。
【0033】
図30はエンジンブレーキ時フェールセイフの制御フローチャートである。まず、処理263で従動輪速Vf,駆動輪速Vr,スロットル開度θ及びエンジン回転数Neを読み込む。処理264では、スリップ率Sを式(7)により演算する。
【0034】
S=(Vf−Vr)/Vf …(7)
処理265では、θ=0且つNe≧1500rpm かどうかを判断する。ここでは、減速時のエンジンブレーキ制御中かどうかの判断をする。Yes の場合は、処理266に進みスリップ率Sが0.3 以上かどうかを判断する。つまり、ここでは、エンジンブレーキ制御実行中の路面摩擦係数が小さいかどうかを判断し、安全な運転状態かどうかを判定している。Yes の場合、つまりエンジンブレーキ制御により駆動輪がロック状態に近くなると判断した場合は、前述のスポーツ運転を禁止、あるいは強制的にシフトアップし車両の安全性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例。
【図2】図1の詳細ブロック図。
【図3】システム構成図。
【図4】運転モード設定時の制御フローチャート。
【図5】運転モード実行時の制御フローチャート。
【図6】変速点制御の制御フローチャート。
【図7】変速点制御に用いる変速線。
【図8】アップシフト時制御の制御フローチャート。
【図9】ダウンシフト時制御の制御フローチャート。
【図10】アップシフト時のタイムチャート。
【図11】ダウンシフト時のタイムチャート。
【図12】トルクコンバータを用いた場合の燃費変速点演算方式。
【図13】ロックアップを用いた場合の燃費変速点演算方式。
【図14】(a)はトルクコンバータ特性図。(b)は逆ポンプ容量係数の特性図。
【図15】燃料消費量の特性図。
【図16】ロックアップ運転域の比較図。
【図17】変速時燃料カット制御の制御フローチャート。
【図18】クラッチ締結油圧高効率制御の制御フローチャート。
【図19】減速時燃料カット制御の制御フローチャート。
【図20】図19のタイムチャート。
【図21】ファジー推論による変速点制御の制御フローチャート。
【図22】車速に対しドライバが感じるメンバーシップ関数。
【図23】ファジールールから求まる道路状態判定結果。
【図24】道路状態に応じた変速線変更例。
【図25】等間隔変速の変速線テーブル。
【図26】図25実行時の駆動軸トルク特性。
【図27】アップシフト時トルク制御の制御フローチャート。
【図28】ダウンシフト時トルク制御の制御フローチャート。
【図29】図28実行時のタイムチャート。
【図30】エンジンブレーキ時フェールセイフの制御フローチャート。
【符号の説明】
【0036】
1…制御用センサ、2…ドライバ意図把握手段、3…運転モード選択手段、4…制御機能選択手段、5…制御用アクチュエータ、6…制御量演算手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
ドライバが意図する運転状態を把握するドライバ意図把握手段と、該ドライバ意図把握手段より選択される運転モード選択手段と、該運転モード選択手段で選択された一つの運転モードの中から少なくとも二つの制御機能を選択する制御機能選択手段と、該制御機能選択手段の出力信号と前記制御用センサからの出力信号に基づいて制御用アクチュエータを制御する信号を出力する制御量演算手段とを備えたことを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項2】
請求項1において、制御機能選択手段は、少なくとも変速線制御及び変速ショック制御を行うことを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項3】
請求項1において、制御機能選択手段は、減速時エンジンブレーキ制御が実行された場合、車両のスリップ率を検出し、前記スリップ率の値が限界値を超えた時、エンジンブレーキ制御を中止させる手段を備えていることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項4】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
前記制御用センサで検出した情報と、ドライバ意図把握手段が運転モード選択手段から選択した運転モードの少なくとも二つの制御機能の情報とを制御量演算手段に入力することにより該制御量演算手段が制御用アクチュエータ内の機器を選択するようにすることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項5】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算しその出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
該制御量演算手段は従動輪速度と、駆動輪速度と、スロットルバルブ開度と、エンジン回転数とを読み込むことによりエンジンブレーキ制御中の路面摩擦係数が小さいかどうかを判断することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項6】
請求項1において、ドライバ意図把握手段は、スイッチ,カードあるいは音声を用いることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項7】
請求項1において、運転モード選択手段は、少なくとも二つの運転モードを有することを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項8】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
ドライバ意図把握手段がドライバの意図する運転状態を把握することにより、運転モード選択手段が該ドライバ意図把握手段より選択され、制御機能選択手段が前記運転モード選択手段で選択された一つの運転モードの中から少なくとも二つの制御機能を選択し、制御量演算手段が該制御機能選択手段の出力信号と前記制御用センサからの出力信号とに基づいて制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御方法。
【請求項9】
請求項8において、制御機能選択手段は、少なくとも変速線制御と変速ショック制御をする方法を備えたことを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項10】
請求項8において、制御機能選択手段は、減速時エンジンブレーキ制御が実行された場合に、車両のスリップ率を検出し、前記スリップ率の値が限界値を超えた時、エンジンブレーキ制御を中止することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項11】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
前記制御用センサで検出した情報と、ドライバ意図把握手段より運転モード選択手段から意図するモードを選択し該運転モード内の少なくとも二つの制御機能の情報とを制御量演算手段に入力し該制御量演算手段が制御用アクチュエータ内の機器を選択し制御するパワートレイン制御方法。
【請求項12】
請求項8において、ドライバ意図把握手段は、スイッチ,カードあるいは音声を用いることを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項13】
請求項8において、運転モード選択手段は、少なくとも二つの運転モードを有することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードとしてスポーツ運転モードを含む自動車の制御装置であって、
前記自動車の減速状態を判断する減速状態判断手段と、
前記自動車のスリップ状態を判断するスリップ状態判断手段と、
前記減速状態判断手段が減速状態であることを判断し、かつ前記スリップ状態判断手段がスリップ状態を判断した場合は、前記スポーツ運転モードを禁止するか、または強制的にシフトアップするように自動車を制御する手段と、を有する自動車の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スポーツ運転モードは、高回転変速制御,短変速時間制御,強エンブレ制御,燃料カット制御のうち複数を含む自動車の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記減速状態判断手段は、エンジンブレーキ制御中かどうかを判断することにより減速状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記減速状態判断手段は、スロットル開度及びエンジン回転数に基づき減速状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スリップ状態判断手段は、路面摩擦係数が小さいかどうかを判断することによりスリップ状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スリップ状態判断手段は、前記自動車の駆動輪速および従動輪速に基づきスリップ状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項7】
運転モードとしてスポーツ運転モードを含む自動車の制御方法であって、
前記自動車の減速状態を判断し、かつ前記自動車のスリップ状態を判断した場合に、前記スポーツ運転モードを禁止するか、または強制的にシフトアップするように自動車を制御する自動車の制御方法。
【請求項1】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
ドライバが意図する運転状態を把握するドライバ意図把握手段と、該ドライバ意図把握手段より選択される運転モード選択手段と、該運転モード選択手段で選択された一つの運転モードの中から少なくとも二つの制御機能を選択する制御機能選択手段と、該制御機能選択手段の出力信号と前記制御用センサからの出力信号に基づいて制御用アクチュエータを制御する信号を出力する制御量演算手段とを備えたことを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項2】
請求項1において、制御機能選択手段は、少なくとも変速線制御及び変速ショック制御を行うことを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項3】
請求項1において、制御機能選択手段は、減速時エンジンブレーキ制御が実行された場合、車両のスリップ率を検出し、前記スリップ率の値が限界値を超えた時、エンジンブレーキ制御を中止させる手段を備えていることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項4】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
前記制御用センサで検出した情報と、ドライバ意図把握手段が運転モード選択手段から選択した運転モードの少なくとも二つの制御機能の情報とを制御量演算手段に入力することにより該制御量演算手段が制御用アクチュエータ内の機器を選択するようにすることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項5】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算しその出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
該制御量演算手段は従動輪速度と、駆動輪速度と、スロットルバルブ開度と、エンジン回転数とを読み込むことによりエンジンブレーキ制御中の路面摩擦係数が小さいかどうかを判断することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項6】
請求項1において、ドライバ意図把握手段は、スイッチ,カードあるいは音声を用いることを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項7】
請求項1において、運転モード選択手段は、少なくとも二つの運転モードを有することを特徴とするパワートレイン制御装置。
【請求項8】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
ドライバ意図把握手段がドライバの意図する運転状態を把握することにより、運転モード選択手段が該ドライバ意図把握手段より選択され、制御機能選択手段が前記運転モード選択手段で選択された一つの運転モードの中から少なくとも二つの制御機能を選択し、制御量演算手段が該制御機能選択手段の出力信号と前記制御用センサからの出力信号とに基づいて制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御方法。
【請求項9】
請求項8において、制御機能選択手段は、少なくとも変速線制御と変速ショック制御をする方法を備えたことを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項10】
請求項8において、制御機能選択手段は、減速時エンジンブレーキ制御が実行された場合に、車両のスリップ率を検出し、前記スリップ率の値が限界値を超えた時、エンジンブレーキ制御を中止することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項11】
車両の運転状態に応じて出力する制御用センサの信号を制御量演算手段に入力し、該制御量演算手段が演算し、その出力信号によって制御用アクチュエータを制御するパワートレイン制御装置であって、
前記制御用センサで検出した情報と、ドライバ意図把握手段より運転モード選択手段から意図するモードを選択し該運転モード内の少なくとも二つの制御機能の情報とを制御量演算手段に入力し該制御量演算手段が制御用アクチュエータ内の機器を選択し制御するパワートレイン制御方法。
【請求項12】
請求項8において、ドライバ意図把握手段は、スイッチ,カードあるいは音声を用いることを特徴とするパワートレイン制御方法。
【請求項13】
請求項8において、運転モード選択手段は、少なくとも二つの運転モードを有することを特徴とするパワートレイン制御方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードとしてスポーツ運転モードを含む自動車の制御装置であって、
前記自動車の減速状態を判断する減速状態判断手段と、
前記自動車のスリップ状態を判断するスリップ状態判断手段と、
前記減速状態判断手段が減速状態であることを判断し、かつ前記スリップ状態判断手段がスリップ状態を判断した場合は、前記スポーツ運転モードを禁止するか、または強制的にシフトアップするように自動車を制御する手段と、を有する自動車の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スポーツ運転モードは、高回転変速制御,短変速時間制御,強エンブレ制御,燃料カット制御のうち複数を含む自動車の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記減速状態判断手段は、エンジンブレーキ制御中かどうかを判断することにより減速状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記減速状態判断手段は、スロットル開度及びエンジン回転数に基づき減速状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スリップ状態判断手段は、路面摩擦係数が小さいかどうかを判断することによりスリップ状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動車の制御装置であって、
前記スリップ状態判断手段は、前記自動車の駆動輪速および従動輪速に基づきスリップ状態を判断する自動車の制御装置。
【請求項7】
運転モードとしてスポーツ運転モードを含む自動車の制御方法であって、
前記自動車の減速状態を判断し、かつ前記自動車のスリップ状態を判断した場合に、前記スポーツ運転モードを禁止するか、または強制的にシフトアップするように自動車を制御する自動車の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2006−256611(P2006−256611A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118680(P2006−118680)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【分割の表示】特願2002−61272(P2002−61272)の分割
【原出願日】平成6年9月2日(1994.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【分割の表示】特願2002−61272(P2002−61272)の分割
【原出願日】平成6年9月2日(1994.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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