説明

薄膜トランジスタ、表示装置、および電子機器

【課題】酸化物半導体層の還元および酸素欠陥による劣化を防止でき、これにより長期に安定した特性を維持可能な薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【解決手段】非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7と、この酸化物半導体層7に接して設けられたソース電極9sおよびドレイン電極9dとを備えている。そして特に、ソース電極9sおよびドレイン電極9dが、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されている。また、酸化物半導体層7は、酸化物材料からなる絶縁ゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質酸化物からなる半導体層を用いた薄膜トランジスタ、この薄膜トランジスタを備えた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置のような薄型の表示装置を駆動させるための薄膜トランジスタの活性層として、In、Zn、Ga、Oを用いた非晶質酸化物からなる半導体層(以下、酸化物半導体層と記す)の適用が検討されている。酸化物半導体層は、蒸着法やスパッタリング法によって室温で成膜されるため、プラスチック基板上への成膜が可能である。またこの薄膜トランジスタにおいては、酸化物半導体層に接して設けられるソース電極/ドレイン電極として、Au/Ti、Pt/Ti、Zinc Gallium Oxideが用いられており、良好なトランジスタ特性が得られるとしている(下記特許文献1、非特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−173580号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】K.Nomura,H.Ohta,A.Takagi,T.Kamiya,M.Hirano, and H.Hosono、「Nature(London)」、(2004年)、Vol.432、p.488〜p.492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、酸化物半導体層を構成する非晶質酸化物は、水素や窒素などによって還元され易い。このような非晶質酸化物の還元は、酸化物半導体層の劣化による薄膜トランジスタの閾値電圧のバラツキや電流(Ids)−電圧(Vds)特性の変動など、トランジスタ特性の劣化を引き起す要因となる。
【0006】
そこで本発明は、酸化物半導体層の還元による劣化を防止でき、これにより長期に安定した特性を維持可能な薄膜トランジスタを提供すること、さらにこの薄膜トランジスタを用いることで長期信頼性に優れた表示装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の薄膜トランジスタは、非晶質酸化物からなる半導体層と、この半導体層に接して設けられたソース電極およびドレイン電極とを備えている。そして特に、ソース電極およびドレイン電極が、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されていることを特徴としている。
【0008】
また本発明は、このような構成の薄膜トランジスタに接続する画素電極を備えた表示装置、さらにはこの薄膜トランジスタを備えた電子機器でもある。
【0009】
上述した本発明構成の薄膜トランジスタによれば、ソース電極およびドレイン電極を構成するイリジウムまたは酸化イリジウムは、水素や窒素などの還元性の原子や分子、さらには酸素の拡散防止効果を有している。このため、ソース電極およびドレイン電極を介して、非晶質酸化物からなる半導体層に水素や窒素などの還元性の原子や分子が拡散供給されることが防止されると共に、非晶質酸化物からなる半導体層から酸素が拡散脱離することが防止される。これにより、非晶質酸化物からなる半導体層の還元による劣化および酸素欠陥による劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、非晶質酸化物からなる半導体層の還元による劣化および酸素欠陥による劣化を抑制できるため、薄膜トランジスタの特性を長期に安定化させることが可能である。また、この薄膜トランジスタを用いた表示装置および電子機器の長期信頼性を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態のボトムゲート型の薄膜トランジスタの断面構成図である。
【図2】第1実施形態の薄膜トランジスタの製造工程図である。
【図3】第1実施形態の変形例の薄膜トランジスタの断面構成図である。
【図4】第2実施形態のトップムゲート型の薄膜トランジスタの断面構成図である。
【図5】第2実施形態の薄膜トランジスタの製造工程図である。
【図6】第3実施形態の液晶表示装置の断面構成図である。
【図7】液晶表示装置の回路構成の一例を示す図である。
【図8】第4実施形態の液晶表示装置の断面構成図である。
【図9】第5実施形態の有機EL表示装置の断面構成図である。
【図10】有機EL表示装置の回路構成の一例を示す図である。
【図11】第6実施形態の有機EL表示装置の断面構成図である。
【図12】本発明の表示装置を用いたテレビを示す斜視図である。
【図13】本発明の表示装置を用いたデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図14】本発明の表示装置を用いたノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図15】本発明の表示装置を用いたビデオカメラを示す斜視図である。
【図16】本発明の表示装置を用いた携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す斜視図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた除隊での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて、次に示す順に実施の形態を説明する。
1.第1実施形態(ボトムゲート型の薄膜トランジスタ)
2.第2実施形態(トップゲート型の薄膜トランジスタ)
3.第3実施形態(ボトムゲート型の薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置の例)
4.第4実施形態(トップゲート型の薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置の例)
5.第5実施形態(ボトムゲート型の薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置の例)
6.第6実施形態(トップゲート型の薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置の例)
7.第7実施形態(電子機器の例)
【0013】
≪1.第1実施形態≫
<薄膜トランジスタの構成>
図1には、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1の断面構成図を示す。この図に示す薄膜トランジスタTr1は、非晶質酸化物からなる半導体層(酸化物半導体層)を活性層として用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタTr1であり、次のように構成されている。
【0014】
すなわち基板1上には、ゲート電極3がパターン形成されており、これを覆う状態で酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5が設けられている。このゲート絶縁膜5上には、ゲート電極3上に重ねて非晶質酸化物からなる半導体層(以下、酸化物半導体層)7が設けられている。さらに、酸化物半導体層7が設けられたゲート絶縁膜5上には、ゲート電極3を挟んで対向する位置に、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9dが設けられている。またさらに、酸化物半導体層7と、ソース電極9sおよびドレイン電極9dとが設けられたゲート絶縁膜5上は、酸化物材料を用いて構成された絶縁膜11で覆われている。
【0015】
これにより、酸化物半導体層7は、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9d、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われた構成となっている。以下、各構成要素の詳細を、基板1側から順に説明する。
【0016】
基板1は、表面側の絶縁性が保たれた構成であれば良く、ガラス基板、プラスチック基板、金属箔基板を絶縁膜で覆った基板などが用いられる。以上のような基板1は、表面が水素の拡散防止用の窒化酸化シリコン膜で覆われていることが好ましい。特にプラスチック基板および金属箔基板を絶縁膜で覆った基板であれば、フレキシブルに屈曲させることができる。
【0017】
ガラス基板としては、無アルカリガラス基板が用いられる。プラスチック基板としては、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリオレフィン(PO)、ポリピロメリットイミド(PPI)、ポリ-p-フェニレンテレフタラミド(Kevlar)などが用いられる。耐熱性の点では、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリオレフィン(PO)、ポリピロメリットイミド(PPI)、ポリ-p-フェニレンテレフタラミド(Kevlar)が好ましい。また、金属箔基板としては、例えばステンレス基板が用いられる。
【0018】
ゲート電極3は、特に材料が制限されることはなく、プロセス適合性を有しかつ導電性の良好な材料を用いて構成される。一例としてはCu(100nm)/Ti(10nm)の積層構造、あるいはMo(100nm)/Ti(10nm)の積層構造、さらにはAl(100nm)/Ti(10nm)の積層構造が用いられる。
【0019】
ゲート絶縁膜5は、酸化物材料を用いて構成されることとする。特に好ましい酸化物材料としては、酸素供給能力を有する酸化物材料が好適に用いられる。このような酸化物材料として、例えば、Y23、Al23、Ta25、HfO2、MgO、ZrO2、Nb25、Sm23、Eu23、Ga23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、SiO2が例示される。またゲート絶縁膜5は、酸化物材料以外の他の絶縁性材料からなる膜(例えば窒化膜)との積層構造であっても良い。ゲート絶縁膜5が積層構造である場合には、酸化物半導体層7と接する側の界面層が、これらの酸化物材料を用いて構成されていることとする。
【0020】
酸化物半導体層7は、非晶質酸化物からなり、典型的にはIn、Zn、Ga、Oからなる非晶質酸化物からなる層が用いられる。またこの他にも、Al、Ga、In、Zn、Mg、Ca、Sn、Sbのうち少なくとも一つを含有する非晶質酸化物で構成されていても良い。さらに、非晶質酸化物内の酸素を安定化させることを目的として、原子組成で0.5〜10atoms%の組成範囲でMg、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Irを、1種類以上含んでいても良い。
【0021】
このような酸化物半導体層7を用いた薄膜トランジスタTr1においては、酸素以外の材料の組成比を制御することにより、閾値電圧を再現性良く制御することが可能である。例えば、非晶質InZnO薄膜からなる酸化物半導体層7であれば、原子組成比をIn/Zn=1.0〜3.0の範囲で制御することで、閾値電圧を2〜10Vの範囲で再現性良く制御することが可能である。また、非晶質InGaZnO薄膜からなる酸化物半導体層7であれば、原子組成比をIn/Ga=0.5〜1.5、In/Zn=0.5〜2.5、Ga/Zn=1.0〜2.0の範囲で制御することで、閾値電圧を2〜10Vの範囲で再現性良く制御することが可能である。またソース−ドレイン間電流(Ids)は1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示す。
【0022】
ソース電極9sおよびドレイン電極9dは、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されている。これらのソース電極9sおよびドレイン電極9dは積層構造であっても良く、特に酸化物半導体層7と接する部分がイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなる層で構成されていることが重要である。この場合、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなる層に積層させて、導電性の良好な材料からなる層を設けることが好ましい。
【0023】
このようなソース電極9sおよびドレイン電極9dの層構造は、例えば上層から順にCu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)/IrO2(30nm)の積層構造が例示される。また、他の例として上層から順にCu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)の積層構造が例示される。これらの構造において、Ir層の膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましい。
【0024】
絶縁膜11は、ゲート絶縁膜5と同様の酸化物材料を用いて構成されることとする。特に好ましい酸化物材料としては、ゲート絶縁膜5を構成する酸化物材料と同様に、酸素供給能力を有する酸化物材料が用いられる。このような酸化物材料は、例えば、Y23、Al23、Ta25、HfO2、MgO、ZrO2、Nb25、Sm23、Eu23、Ga23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、SiO2が好適に用いられる。また絶縁膜11は、酸化物材料以外の他の絶縁性材料からなる膜(例えば窒化膜)との積層構造であっても良い。絶縁膜11が積層構造である場合には、酸化物半導体層7と接する側の界面層が、これらの酸化物材料を用いて構成されていることとする。
【0025】
以上のような構成の薄膜トランジスタTr1では、ソース電極9sおよびドレイン電極9dを構成するイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)は、水素や窒素などの還元性の原子や分子、さらには酸素の拡散防止効果を有している。このため、ソース電極9sおよびドレイン電極9dを介して、酸化物半導体層7に水素や窒素などの還元性の原子や分子が拡散供給されることが防止されると共に、酸化物半導体層7から酸素が拡散脱離することが防止される。また、酸化物半導体層7は、このようなソース電極9sおよびドレイン電極9dが接する部分以外は、酸化物材料からなる絶縁膜5および絶縁膜11で覆われている。このため、これらの絶縁膜5,11からの酸素の拡散脱離も防止される。そして、以降のプロセスにおいて発生する水素や窒素などの還元性の原子や分子拡散、さらには酸素の拡散脱離を防止できる。
【0026】
この結果、酸化物半導体層7の還元による劣化および酸素欠陥による劣化を抑制でき。薄膜トランジスタTr1の特性を長期に安定化させることが可能である。
【0027】
さらに、ソース電極9sおよびドレイン電極9dを構成するイリジウム(Ir)および酸化イリジウム(IrO2)は、AuやPuと比較して、酸化物半導体層7を構成する非晶質酸化物との密着性が良好である。このため、これらの界面での内部応力による膜剥がれを防止することも可能になり、この点においても信頼性の向上を図ることが可能である。
【0028】
また上記薄膜トランジスタTr1は、上述したように酸化物半導体層7を構成する非晶質酸化物材料の組成比を制御することにより、閾値電圧が2〜10Vの範囲で再現性良好に制御され、ソース−ドレイン間電流(Ids)は1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示す。したがって、第3実施形態以降に示すように、液晶表示装置や有機EL表示装置の駆動用トランジスタとして最適であり、これらの表示装置を長期的に高い安定性で精密に行うことができる。
【0029】
<薄膜トランジスタの製造方法>
第1実施形態の薄膜トランジスタTr1の製造方法を、図2の断面工程図に基づいて詳細に説明する。
【0030】
先ず、図2(1)に示すように、表面が絶縁性の基板1を用意する。この基板1は、例えば、厚さ1mmの無アルカリガラス基板、プラスチック基板、またはステンレス基板上に、水素の拡散防止用の酸化窒化シリコン膜を300nmの膜厚で成膜してなる。酸化窒化シリコン膜の成膜は、プラズマCVD法またはスパッタリング法など、成膜方法が限定されることはない。
【0031】
次に、基板1上に、ゲート電極3をパターン形成する。この際、Cu(100nm)/Ti(10nm)、またはMo(100nm)/Ti(10nm)の積層膜を、Ti層から順にスパッタリング法によって成膜する。その後、ホトリソグラフィー法によって、積層膜上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして積層膜をパターンエッチングすることによりゲート電極3を得る。積層膜のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0032】
次に図2(2)に示すように、ゲート電極3が形成された基板1上に、上述した酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5を成膜する。ゲート絶縁膜5の成膜法が限定されることはなく、プラズマCVD法、スパッタリング法、または原子層気相成長法(Atomic Layer Deposition:ALD)等が適用される。
【0033】
例えば酸化物材料として酸化アルミニウムからなるゲート絶縁膜5を成膜する場合であれば、プラズマCVD法、スパッタリング法等によって100nmの膜厚で成膜し、ALD法によって30nmの膜厚で成膜する。
【0034】
ゲート絶縁膜5の成膜をALD法によって行う場合、基板1としてガラス基板および金属箔基板等の耐熱性の良好な材料基板を用いていれば、150〜350℃に保持した基板1に、各原子を含有する原料ガスを交互に供給することで、酸化物材料からなるゲート絶縁膜5を成膜する。この際に用いる原料ガスは、酸化物材料毎に以下のようである。
【0035】
Al23:Al(CH33、H2
HfO2:Hf[N(CH3)2]4、H2
23:Y(CpCH33、2O:(Cp=cyclopentadienyl)
Ta25:Ta(OC255、H2
MgO:Mg(thd)2、O3:(thd=2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionate)
ZrO2:ZrCp2Cl2、O3
Nb25:Nb(OEt)5、H2
CeO2:Ce(thd)4、O3
Nd23:Nd(thd)3、O3
Sm23:Sm(thd)3、O3
Eu23:Eu(thd)3、O3
Ga23:Ga(acac)3、O3:(acac=acetylacetonate)
Dy23:Dy(thd)3、O3
Ho23:Ho(thd)3、O3
Er23:Er(thd)3、O3
Tm23:Tm(thd)3、O3
SiO2:SiCl22、H2
【0036】
またゲート絶縁膜5の成膜をALD法によって行う場合であって、基板1としてプラスチック基板などの耐熱性がやや小さい材料基板を用いていれば、基板1を加熱しないかまたは低温で加熱した状態で、各原子を含有する原料ガスを交互に供給することで、酸化物材料からなるゲート絶縁膜5を成膜する。この際に用いる原料ガスは、酸化物材料毎に以下のようである。
【0037】
Al23:Al(CH33、O3を10重量%以上含む酸素ガス
HfO2:Hf[N(CH3)2]4、O3を10重量%以上含む酸素ガス
23:Y(CpCH33、3を10重量%以上含む酸素ガス:(Cp=cyclopentadienyl)
Ta25:Ta(OC255、O3を10重量%以上含む酸素ガス
MgO:Mg(thd)2、O3:(thd=2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionate) ZrO2:ZrCp2Cl2、O3
Nb25:Nb(OEt)5、H2
CeO2:Ce(thd)4、O3
Nd23:Nd(thd)3、O3
Sm23:Sm(thd)3、O3
Eu23:Eu(thd)3、O3
Ga23:Ga(acac)3、O3:(acac=acetylacetonate)
Dy23:Dy(thd)3、O3
Ho23:Ho(thd)3、O3
Er23:Er(thd)3、O3
Tm23:Tm(thd)3、O3
SiO2:SiCl22、H2
【0038】
尚、ゲート絶縁膜5として、積層膜を用いる場合であれば、最上層を構成する膜として上述した酸化物材料からなる膜を成膜すれば良い。
【0039】
次に、図2(3)に示すように、酸化物材料を用いたゲート絶縁膜5上に、Al、Ga、In、Zn、Mg、Ca、Sn、Sbのうち少なくとも一つを含有する非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7をパターン形成する。この場合、先ず非晶質酸化物からなる膜を成膜する。非晶質酸化物からなる膜の成膜は、例えば次のように行う。
【0040】
一例として、非晶質InZnO薄膜を成膜する場合であれば、原子組成比でIn/Zn=1.0〜3.0の範囲となるようにスパッタリングターゲット組成と成膜条件を最適化したスパッタリング法を行う。これにより、膜厚50nmの非晶質InZnO薄膜を成膜する。この時の成膜条件は、アルゴンおよび酸素の混合ガス圧が0.1〜10Paで、酸素分圧が1〜10%の範囲に収まることが望ましい。この非晶質InZnO薄膜には、膜内の酸素を安定化させるために、原子組成で0.5〜10atoms%の組成範囲でMg、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Irの何れかを1種類以上含ませても良い。
【0041】
また他の例として、非晶質InGaZnO薄膜を成膜する場合であれば、原子組成比でIn/Ga=0.5〜1.5、In/Zn=0.5〜2.5、Ga/Zn=1.0〜2.0の範囲となるように、スパッタリングターゲットの原子組成と成膜条件を最適化したスパッタリング法を行う。これにより、膜厚80nmの非晶質InGaZnO薄膜を成膜する。この時の成膜条件は、アルゴンおよび酸素の混合ガス圧が0.1〜10Paで、酸素分圧が1〜20%の範囲に収まることが望ましい。この非晶質InGaZnO膜には、膜内の酸素を安定化させるために、原子組成で0.5〜10atoms%の組成範囲でMg、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Irの何れかを1種類以上含ませても良い。
【0042】
以上のようにして非晶質酸化物からなる膜を成膜した後には、リソグラフィー法によって非晶質酸化物からなる膜上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして非晶質酸化物からなる膜をパターンエッチングする。これにより、非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7をパターン形成する。非晶質酸化物からなる膜のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0043】
図2(4)に示すように、酸化物半導体層7が形成されたゲート絶縁膜5上に、ソース電極9sおよびドレイン電極9dをパターン形成する。ここでは先ず、酸化物半導体層7に接する部分が、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなる電極形成層を成膜する。このような電極形成層の成膜は、例えば次のように行う。
【0044】
一例として、電極形成層の成膜は、Cu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)/IrO2(30nm)の積層膜を、IrO2層から順にスパッタリング法を適用して行う。IrO2の成膜においては、アルゴン、酸素の混合ガス圧が0.1〜10Paで、酸素分圧が1〜20%の範囲に収まること条件であることが望ましい。尚、Irの膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましい。
【0045】
また他の例として、電極形成層の成膜は、Cu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)の積層膜を、Ir層から順にスパッタ法を適用して行う。尚、Irの膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましい。
【0046】
このように電極形成層を成膜した後には、リソグラフィー法によって電極形成層上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして電極形成層をパターンエッチングする。これにより、酸化物半導体層7に接する最下層がイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなるソース電極9sおよびドレイン電極9dをパターン形成する。電極形成層のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0047】
その後は、図1に示したように、ソース電極9sおよびドレイン電極9dが形成されたゲート絶縁膜5上に、上述した酸化物材料を用いて構成された絶縁膜11を成膜する。この絶縁膜11を構成する酸化物材料からなる膜の成膜は、上述したゲート絶縁膜5の成膜と同様に行われ、絶縁膜11の成膜法が限定されることはなく、プラズマCVD法、スパッタリング法、またはALD法等が適用される。
【0048】
尚、絶縁膜11として、積層膜を用いる場合であれば、酸化物半導体層7に接する最下層を構成する膜として上述した酸化物材料からなる膜を成膜すれば良い。
【0049】
また以上のように絶縁膜11を成膜した後には、5〜30重量%のオゾンを含む酸素雰囲気中での酸化処理を行うことにより、酸化物半導体層7およびゲート絶縁膜5の酸素欠陥を除去する。ここでは、基板1としてガラス基板および金属箔基板等の耐熱性の良好な材料基板を用いていれば、150℃〜450℃の温度範囲で1時間程度の酸化処理を行う。一方、基板1としてプラスチック基板などの耐熱性がやや小さい材料基板を用いていれば、50〜100℃の温度範囲で1時間程度の酸化処理を行う。
【0050】
以上により、図1を用いて説明したように、液晶表示装置や有機EL表示装置の駆動用として最適であって、トランジスタ特性の長期安定化が図られた薄膜トランジスタTr1を得ることができる。
【0051】
<第1実施形態の変形例>
図3に示す薄膜トランジスタTr1’は、第1実施形態で説明したボトムゲート型の薄膜トランジスタの変形例である。図3に示す変形例の薄膜トランジスタTr1’が、図1の薄膜トランジスタTr1と異なるところは、酸化物半導体層7を覆う絶縁膜11と、ソース電極9sおよびドレイン電極9dとの積層順であり、他の構成は同様である。このため同様の構成要素には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0052】
すなわち、基板1上には、ゲート電極3がパターン形成されており、これを覆う状態で酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5が設けられている。このゲート絶縁膜5上には、ゲート電極3上に重ねて非晶質酸化物からなる半導体層(以下、酸化物半導体層)7が設けられている。そしてこの酸化物半導体層7を覆う状態で、酸化物材料を用いて構成された絶縁膜11が設けられている。この絶縁膜11には、ゲート電極3の両脇において酸化物半導体層7に達する2ヶ所の開口部11aが設けられている。このような絶縁膜11上には、開口部11aにおいて酸化物半導体層7に接する状態で、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9dが設けられている。
【0053】
以上により、酸化物半導体層7は、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9d、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われた構成となっている。
【0054】
ここで、ゲート絶縁膜5および絶縁膜11は、少なくとも酸化物半導体層7に接する側の界面層が酸化物材料で構成されていれば積層構造であっても単層構造であっても良いことは第1実施形態と同様である。また、ソース電極9sおよびドレイン電極9dは、酸化物半導体層7と接する部分がイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)からなる層で構成され、さらに導電性の良好な材料を積層させることが好ましいことも、第1実施形態と同様である。
【0055】
以上のような構成の薄膜トランジスタTr1’であっても、酸化物半導体層7が、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9d、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われた構成となっている。このため、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、酸化物半導体層7への水素や窒素などの還元性の原子や分子拡散、さらには酸化物半導体層7からの酸素の拡散脱離を防止できるため、薄膜トランジスタTr1’の特性を長期に安定化させることが可能である。また、イリジウム(Ir)や酸化イリジウム(IrO2)を用いたソース電極9sおよびドレイン電極9dと、酸化物半導体層7を構成する非晶質酸化物との密着性が良好であるため、内部応力による膜剥がれを防止することも可能である。
【0056】
尚、このような変形例の薄膜トランジスタTr1’の製造は、第1実施形態の製造手順を変更すれば良い。つまり、酸化物半導体層7をパターン形成した後に絶縁膜11を成膜し、絶縁膜11に開口部11aを設ける工程を追加で行った後、ソース電極9sおよびドレイン電極9dのパターン形成を行えば良い。各工程の詳細は、第1実施形態で説明したと同様である。また追加した絶縁膜11に開口部11aを設ける工程は、リソグラフィー法によって形成したレジストパターンをマスクに絶縁膜11をエッチングすれば良い。
【0057】
≪2.第2実施形態≫
<薄膜トランジスタの構成>
図4には、第2実施形態の薄膜トランジスタTr2の断面構成図を示す。この図に示す薄膜トランジスタTr2は、非晶質酸化物からなる半導体層(酸化物半導体層)を活性層として用いたトップゲート型の薄膜トランジスタTr2であり、次のように構成されている。尚、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
すなわち基板1上には、酸化物材料を用いて構成された絶縁膜11が設けられている。絶縁膜11上には、イリジウム(Ir)や酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9dが設けられ、さらにソース電極9s−ドレイン電極9d間にわたって非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7が設けられている。またこれらを覆う状態で、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5が設けられ、この上部におけるソース電極9s−ドレイン電極9d間にゲート電極3が設けられている。
【0059】
これにより、第1実施形態と同様に、酸化物半導体層7は、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9d、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われた構成となっている。
【0060】
ここで、絶縁膜11およびゲート絶縁膜5は、少なくとも酸化物半導体層7に接する側の界面層が酸化物材料で構成されていれば積層構造であっても単層構造であっても良いことは第1実施形態と同様である。これらの絶縁膜11およびゲート絶縁膜5に用いられる酸化物材料は、第1実施形態で説明したと同様のY23、Al23、Ta25、HfO2、MgO、ZrO2、Nb25、Sm23、Eu23、Ga23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、SiO2が好適に用いられる。
【0061】
また、ソース電極9sおよびドレイン電極9dは、酸化物半導体層7と接する部分がイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)からなる層で構成され、さらに導電性の良好な材料を積層させることが好ましいことも、第1実施形態と同様である。このようなソース電極9aおよびドレイン電極9dの構造例は、第1実施形態と同様であり、例えば下層から順にCu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)/IrO2(30nm)の積層構造が例示される。また、他の例として下層から順にCu(100nm)/Ti(10nm)/Ir(50nm)の積層構造が例示される。これらの構造において、Ir層の膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましいことも第1実施形態と同様である。
【0062】
以上のような構成の薄膜トランジスタTr2であっても、酸化物半導体層7が、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)を用いて構成されたソース電極9sおよびドレイン電極9d、酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5および絶縁膜11で覆われた構成となっている。このため、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、酸化物半導体層7への水素や窒素などの還元性の原子や分子拡散、さらには酸化物半導体層7からの酸素の拡散脱離を防止できるため、薄膜トランジスタTr2の特性を長期に安定化させることが可能である。また、イリジウム(Ir)や酸化イリジウム(IrO2)を用いたソース電極9sおよびドレイン電極9dと、酸化物半導体層7を構成する非晶質酸化物との密着性が良好であるため、内部応力による膜剥がれを防止することも可能である。
【0063】
<薄膜トランジスタの製造方法>
第2実施形態の薄膜トランジスタTr2の製造方法を、図5の断面工程図に基づいて詳細に説明する。
【0064】
先ず、図5(1)に示すように、表面が絶縁性の基板1を用意する。この基板1は、例えば第1実施形態と同様であり、厚さ1mmの無アルカリガラス基板、プラスチック基板、またはステンレス基板上に、水素の拡散防止用の酸化窒化シリコン膜を300nmの膜厚で成膜してなる。酸化窒化シリコン膜の成膜は、プラズマCVD法またはスパッタリング法など、成膜方法が限定されることはない。
【0065】
次に、この基板1上に、上述した酸化物材料を用いて構成された絶縁膜11を成膜する。この絶縁膜11を構成する酸化物材料からなる膜の成膜は、第1実施形態と同様であって成膜法が限定されることはなく、プラズマCVD法、スパッタリング法、またはALD法等が適用される。一例として、酸化アルミニウムからなる絶縁膜11を膜厚100nmで成膜する。尚、絶縁膜11として、積層膜を用いる場合であれば、最上層を構成する膜として上述した酸化物材料からなる膜を成膜すれば良い。
【0066】
次に図5(2)に示すように、絶縁膜11上に、ソース電極9sおよびドレイン電極9dをパターン形成する。ここでは先ず、酸化物半導体層7に接する部分が、イリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなる電極形成層を成膜する。このような電極形成層の成膜は、例えば次のように行う。
【0067】
一例として、電極形成層の成膜は、Ir(100nm)/Ti(10nm)の積層膜を、Ti層から順にスパッタリング法を適用して行う。尚、Irの膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましい。
【0068】
また他の例として、電極形成層の成膜は、IrO2(30nm)/Ir(100nm)/Ti(10nm)の積層膜を、Ti層から順にスパッタ法を適用して行う。尚、Irの膜厚は酸素の拡散を防止するために5nm以上であることが望ましい。
【0069】
このように電極形成層を成膜した後には、リソグラフィー法によって電極形成層上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして電極形成層をパターンエッチングする。これにより、最上層がイリジウム(Ir)または酸化イリジウム(IrO2)の少なくとも一方からなるソース電極9sおよびドレイン電極9dをパターン形成する。電極形成層のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0070】
その後、図5(3)に示すように、Al、Ga、In、Zn、Mg、Ca、Sn、Sbのうち少なくとも一つを含有する非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7をパターン形成する。この場合、先ず非晶質酸化物からなる膜を成膜する。非晶質酸化物からなる膜の成膜は、第1実施形態と同様である。
【0071】
例えば非晶質InZnO薄膜を成膜する場合であれば、原子組成比でIn/Zn=1.0〜3.0の範囲となるようにスパッタリングターゲット組成と成膜条件を最適化したスパッタリング法を行い、膜厚50nmの非晶質InZnO薄膜を成膜する。また、例えば非晶質InGaZnO薄膜を成膜する場合であれば、原子組成比でIn/Ga=0.5〜1.5、In/Zn=0.5〜2.5、Ga/Zn=1.0〜2.0の範囲となるように、スパッタリングターゲットの原子組成と成膜条件を最適化したスパッタリング法を行い、膜厚80nmの非晶質InGaZnO薄膜を成膜する。尚、これらの非晶質InZnO薄膜または非晶質InGaZnO膜には、膜内の酸素を安定化させるために、原子組成で0.5〜10atoms%の組成範囲でMg、Y、Hf、Zr、Ta、Nb、Irの何れかを1種類以上含ませても良い。
【0072】
以上のようにして非晶質酸化物からなる膜を成膜した後には、リソグラフィー法によって非晶質酸化物からなる膜上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして非晶質酸化物からなる膜をパターンエッチングする。これにより、非晶質酸化物からなる酸化物半導体層7をパターン形成する。非晶質酸化物からなる膜のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0073】
その後、図5(4)に示すように、ソース電極9sおよびドレイン電極9d、さらには酸化物半導体層7が形成された絶縁膜11上に、上述した酸化物材料を用いて構成されたゲート絶縁膜5を成膜する。このゲート絶縁膜5を構成する酸化物材料からなる膜の成膜は、第1実施形態と同様に行われ、ゲート絶縁膜5の成膜法が限定されることはなく、プラズマCVD法、スパッタリング法、またはALD法等が適用される。
【0074】
尚、ゲート絶縁膜5として、積層膜を用いる場合であれば、酸化物半導体層7に接する最下層を構成する膜として上述した酸化物材料からなる膜を成膜すれば良い。
【0075】
また以上のようにゲート絶縁膜5を成膜した後には、5〜30重量%のオゾンを含む酸素雰囲気中での酸化処理を行ことにより、酸化物半導体層7およびゲート絶縁膜5の酸素欠陥を除去する。ここでは、基板1としてガラス基板および金属箔基板等の耐熱性の良好な材料基板を用いていれば、150℃〜450℃の温度範囲で1時間程度の酸化処理を行う。一方、基板1としてプラスチック基板などの耐熱性がやや小さい材料基板を用いていれば、50〜100℃の温度範囲で1時間程度の酸化処理を行う。
【0076】
その後は、図4に示したように、ゲート絶縁膜5上に、ゲート電極3をパターン形成する。この際、例えばAl(100nm)/Ti(10nm)の積層膜を、Ti層から順にスパッタリング法によって成膜する。その後、ホトリソグラフィー法によって、積層膜上にレジストパターンを形成し、これをマスクにして積層膜をパターンエッチングすることによりゲート電極3を得る。積層膜のパターンエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching)法のようなドライエッチング法であっても良いし、ウェットエッチング法であっても良い。
【0077】
以上により、図4を用いて説明したように、液晶表示装置や有機EL表示装置の駆動用として最適であって、トランジスタ特性の長期安定化が図られた薄膜トランジスタTr2を得ることができる。
【0078】
≪3.第3実施形態≫
<液晶表示装置の断面構成>
図6には、第1実施形態で説明したボトムゲート型の薄膜トランジスタTr1を用いた液晶表示装置20-1の2画素分の概略断面図を示す。この図に示す第3実施形態の液晶表示装置20-1は、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1が設けられた基板1を駆動側基板とし、この駆動側基板1と対向基板30との間に、液晶層LCを挟持してなる。
【0079】
このうち、駆動側基板1上の構成は次のようである。
【0080】
駆動側基板1上の各画素aには、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1と共に、これに接続された容量素子Csが設けられている。薄膜トランジスタTr1は、一例として図1を用いて説明した第1実施形態の薄膜トランジスタTr1を示したが、第1実施形態の変形例の薄膜トランジスタTr1’であっても良い。容量素子Csは、薄膜トランジスタTr1のゲート電極3と同一層からなる第1電極3csと、薄膜トランジスタTr1のドレイン電極9dを延設してなる第2電極9csとの間に、ゲート絶縁膜5を挟持してなる。
【0081】
以上のような薄膜トランジスタTr1および容量素子Csを覆う状態で、酸化物材料からなる絶縁膜11が設けられ、さらにこの上部に層間絶縁膜21が設けられている。この層間絶縁膜21は、例えば平坦化絶縁膜として設けられ、薄膜トランジスタTr1のドレイン電極9dに達する接続孔21aを備えている。この層間絶縁膜21上には、接続孔21aを介して容量素子Csおよび薄膜トランジスタTr1に接続された画素電極23が配列形成されている。この画素電極23は、例えば反射材料を用いて構成される。
【0082】
一方、対向基板30側の構成は次のようである。
【0083】
対向基板30は、光透過性を有する材料で構成され、かつ表面側の絶縁性が保たれていれば特に材質が限定されることはなく、プラスチック基板またはガラス基板、さらには光透過性を有する程度に薄い金属箔基板の表面に絶縁膜を設けて絶縁性とした基板が用いられる。また液晶表示装置20-1にフレキシブルな屈曲性が求められる場合には、プラスチック基板や絶縁で覆った膜金属箔基板が好適に用いられる。
【0084】
対向基板30において駆動側基板1に向かう面上には、対向電極31が設けられている。この対向電極31は、各画素に共通の共通電極であって、ITOのような光透過性を有する透明電極材料を用いて構成されている。このような対向電極31は、対向基板30上にベタ膜状に設けられていて良い。
【0085】
<液晶表示装置の回路構成>
図7は、液晶表示装置20-1の回路構成の一例を示す図である。
【0086】
この図に示すように、液晶表示装置20-1の駆動側基板1上には、表示領域1aとその周辺領域1bとが設定されている。表示領域1aには、複数の走査線41と複数の信号線43とが縦横に配線されており、それぞれの交差部に対応して1つの画素aが設けられた画素アレイ部として構成されている。また周辺領域1bには、走査線41を走査駆動する走査線駆動回路45と、輝度情報に応じた映像信号(すなわち入力信号)を信号線43に供給する信号線駆動回路47とが配置されている。
【0087】
走査線41と信号線43との各交差部には、薄膜トランジスタTrと容量素子Csとで構成された画素回路が設けられている。薄膜トランジスタTrは、ゲート電極が走査線41に、ソース電極が信号線43に接続されている。また薄膜トランジスタTrのドレイン電極が、容量素子Csの第2電極と画素電極23とに接続されている。また容量素子Csの第1電極は、コモン配線に接続されている。第3実施形態においては、この薄膜トランジスタTrが、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1(Tr1’)で構成されているところが特徴的である。
【0088】
そして、走査線駆動回路45による駆動により、薄膜トランジスタTrを介して信号線41から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持され、保持された信号量に応じた電圧が画素電極23に供給される構成となっている。これにより、画素電極23に電圧に応じて、図6に示した液晶層LCを構成する液晶分子mが傾斜して表示光の透過が制御される。
【0089】
尚、以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素回路内に容量素子を設けたり、さらに複数のトランジスタを設けて画素回路を構成しても良い。また、周辺領域1bには、画素回路の変更に応じて必要な駆動回路が追加される。
【0090】
このような構成の液晶表示装置20-1によれば、第1実施形態で説明した薄膜トランジスタTr1(Tr1’)によって画素電極23が駆動される構成である。この薄膜トランジスタTr1(Tr1’)は、閾値電圧が2〜10Vの範囲で再現性良好に制御され、ソース−ドレイン間電流(Ids)が1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示すことから、液晶表示装置20-1の駆動に最適である。またこの薄膜トランジスタTr1(Tr1’)は、第1実施形態で説明したように、トランジスタ特性の長期安定化が図られたものである。したがって、液晶表示装置20-1における表示特性の長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0091】
≪4.第4実施形態≫
<液晶表示装置の断面構成>
図8には、第2実施形態で説明したトップゲート型の薄膜トランジスタTr2を用いた液晶表示装置20-2の2画素分の概略断面図を示す。この図に示す第4実施形態の液晶表示装置20-2が、第3実施形態の液晶表示装置20-1と異なるところは、画素電極23に接続させる薄膜トランジスタを、第2実施形態の薄膜トランジスタTr2としたところにあり、他の構成は同様である。
【0092】
すなわち、駆動側基板1上の各画素aには、第2実施形態の薄膜トランジスタTr2と共に、これに接続された容量素子Csが設けられている。容量素子Csは、薄膜トランジスタTr1のゲート電極3と同一層からなる第1電極3csと、薄膜トランジスタTr1のドレイン電極9dを延設してなる第2電極9csとの間に、ゲート絶縁膜5を挟持してなる。
【0093】
以上のような薄膜トランジスタTrおよび容量素子Csを覆う状態で設けられた層間絶縁膜21およびゲート絶縁膜5には、薄膜トランジスタTr2のドレイン電極9dに達する接続孔21aが設けられている。そして、この層間絶縁膜21上には、接続孔21aを介して容量素子Csおよび薄膜トランジスタTr2に接続された画素電極23が配列形成されている。
【0094】
一方、対向基板30側の構成は、第3実施形態と同様であり、光透過性を有する材料で構成された対向基板30の駆動側基板1に向かう面上には、対向電極31が設けられている。この対向電極31は、各画素に共通の共通電極であって、ITOのような光透過性を有する透明電極材料を用いて構成されている。このような対向電極31は、対向基板30上にベタ膜状に設けられていて良い。
【0095】
<液晶表示装置の回路構成>
第4実施形態の液晶表示装置20-2の回路構成は、第3実施形態と同様であり、図7に示す薄膜トランジスタTrとして、第2実施形態のトップゲート型の薄膜トランジスタTr2を用いているところが特徴的である。
【0096】
このような構成の液晶表示装置20-2によれば、第2実施形態で説明した薄膜トランジスタTr2によって画素電極23が駆動される構成である。この薄膜トランジスタTr2は、閾値電圧が2〜10Vの範囲で再現性良好に制御され、ソース−ドレイン間電流(Ids)が1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示すことから、液晶表示装置20-2の駆動に最適である。またこの薄膜トランジスタTr2も、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1と同様に、トランジスタ特性の長期安定化が図られたものである。したがって、これを用いた液晶表示装置20-2における表示特性の長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0097】
≪5.第5実施形態≫
<有機EL表示装置の断面構成>
図9には、第1実施形態で説明したボトムゲート型の薄膜トランジスタTr1を用いた有機EL表示装置50-1の2画素分の概略断面図を示す。この図に示す第5実施形態の有機EL表示装置50-1は、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1が設けられた基板1を駆動側基板とし、この駆動側基板1上に有機電界発光素子(electroluminescence:EL素子)ELを設けてなる。
【0098】
駆動側基板1上の各画素aには、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1を2素子と(図面では1素子分のみを図示)、ここでの図示を省略した容量素子Csが設けられている。薄膜トランジスタTr1は、一例として図1を用いて説明した第1実施形態の薄膜トランジスタTr1を示したが、第1実施形態の変形例の薄膜トランジスタTr1’であっても良い。
【0099】
以上のような薄膜トランジスタTr1を覆う状態で、絶縁膜11が設けられ、さらにこの上部に層間絶縁膜21が設けられている。この層間絶縁膜21は、例えば平坦化絶縁膜として設けられ、薄膜トランジスタTr2のドレイン電極9dに達する接続孔21aを備えている。この層間絶縁膜21上には、接続孔21aを介して薄膜トランジスタTr1に接続された画素電極23が配列形成されている。
【0100】
この画素電極23は、例えば陽極(アノード)または陰極(カソード)として構成されていることとする。またこの有機EL表示装置50-1が駆動側基板1と反対側から表示光を放出するトップエミッション構造である場合、画素電極23は、光反射性の材料を用いて構成されていることとする。
【0101】
画素電極23の周縁は、有機電界発光素子ELを素子分離するための絶縁性パターン51で覆われている。この絶縁性パターン51は、画素電極23を広く露出させる開口窓51aを備えており、この開口窓51aが有機電界発光素子ELの画素開口となる。
【0102】
以上のような絶縁性パターン51の開口窓51a内に露出する画素電極23上を覆う状態で、有機層53が設けられている。この有機層53は、少なくとも有機発光層を備えた積層構造からなる。この有機層53を覆い、画素電極23との間に有機層53を狭持する状態で、共通電極55が設けられている。この共通電極55は、有機電界発光素子ELの有機発光層で発生させた光hを取り出す側の電極であり、光透過性を有する材料で構成されていることとする。またここでは、画素電極23が陽極として機能するものである場合、この共通電極55は、陰極として機能する材料を用いて構成されていることとする。
【0103】
そして、以上のような画素電極23と共通電極55との間に有機層53が挟持された各画素部分が、有機電界発光素子ELとして機能する部分となる。
【0104】
またここでの図示は省略したが、各有機電界発光素子ELの形成面側は、光透過性材料からなる封止樹脂で覆われ、さらにこの封止樹脂を介して光透過性材料からなる対向基板が張り合わされた状態で有機EL表示装置50-1が構成されている。
【0105】
<有機EL標示装置の回路構成>
図10は、有機EL表示装置50-1の回路構成図である。
【0106】
この図に示すように、有機EL表示装置50-1の駆動側基板1上には、表示領域1aとその周辺領域1bとが設定されている。表示領域1aには、複数の走査線41と複数の信号線43とが縦横に配線されており、それぞれの交差部に対応して1つの画素aが設けられた画素アレイ部として構成されている。また周辺領域1bには、走査線41を走査駆動する走査線駆動回路45と、輝度情報に応じた映像信号(すなわち入力信号)を信号線43に供給する信号線駆動回路47とが配置されている。
【0107】
走査線41と信号線43との各交差部に設けられる画素回路は、例えばスイッチング用の薄膜トランジスタTra、駆動用の薄膜トランジスタTrb、保持容量Cs、および有機電界発光素子ELで構成されている。そして、走査線駆動回路35による駆動により、スイッチング用の薄膜トランジスタTraを介して信号線33から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持され、保持された信号量に応じた電流が駆動用の薄膜トランジスタTrbから有機電界発光素子ELに供給され、この電流値に応じた輝度で有機電界発光素子ELが発光する。尚、駆動用の薄膜トランジスタTrbは、共通の電源供給線(Vcc)49に接続されている。
【0108】
図9の断面図は、以上のような画素回路において、駆動用の薄膜トランジスタTrbと有機電界発光素子ELとが積層された部分の断面を示している。画素回路に示した薄膜トランジスタTraは、薄膜トランジスタTrbと同一層を用いて構成されており、これらの薄膜トランジスタTra,Trbが、図1を用いて説明した第1実施形態の薄膜トランジスタTr1(Tr1’)で構成されているのである。
【0109】
尚、画素回路に示した容量素子Csは、薄膜トランジスタTr1のゲート電極−ゲート絶縁膜−ドレイン電極の層部分を積層して構成されている。さらに、画素回路に示した走査線41は、断面図のゲート電極11と同一層を用いて構成され、画素回路に示した信号線43および電源供給線49は、断面図のソース電極15sおよびドレイン電極15dと同一層を用いて構成される。
【0110】
以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素回路内に容量素子を設けたり、さらに複数のトランジスタを設けて画素回路を構成しても良い。また、周辺領域1bには、画素回路の変更に応じて必要な駆動回路が追加される。
【0111】
このような構成の有機EL表示装置50-1によれば、第1実施形態で説明した薄膜トランジスタTr1(Tr1’)によって画素電極23が駆動される構成である。この薄膜トランジスタTr1(Tr1’)は、閾値電圧が2〜10Vの範囲で再現性良好に制御され、ソース−ドレイン間電流(Ids)が1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示すことから、有機EL表示装置50-1の駆動に最適である。またこの薄膜トランジスタTr1(Tr1’)は、第1実施形態で説明したように、トランジスタ特性の長期安定化が図られたものである。したがって、有機EL表示装置50-1における表示特性の長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0112】
≪6.第6実施形態≫
<有機EL表示装置の断面構成>
図11には、第2実施形態で説明したトップゲート型の薄膜トランジスタTr2を用いた有機EL表示装置50-2の2画素分の概略断面図を示す。この図に示す第6実施形態の有機EL表示装置50-2が、第5実施形態の有機EL表示装置50-1と異なるところは、各画素aに設けた薄膜トランジスタを、第2実施形態の薄膜トランジスタTr2としたところにあり、他の構成は同様である。
【0113】
すなわち、駆動側基板1上の各画素aには、第2実施形態の薄膜トランジスタTr2と共に、これに接続された容量素子Cs(図示省略)が設けられている。
【0114】
以上のような薄膜トランジスタTr2および容量素子Csを覆う状態で設けられた層間絶縁膜21およびゲート絶縁膜5には、薄膜トランジスタTr2のドレイン電極9dに達する接続孔21aが設けられている。そして、この接続孔21aを介して薄膜トランジスタTr2に接続された画素電極23が、層間絶縁膜21上に配列形成されている。この画素電極23は、陽極(アノード)または陰極(カソード)として構成されている。
【0115】
各画素電極23の周縁は絶縁性パターン51で覆われ、絶縁性パターン51から露出する画素電極23上を覆う状態で、少なくとも有機発光層を備えた有機層53が設けられ、画素電極23との間に有機層53を狭持する状態で、共通電極55が設けられている。共通電極55は、有機電界発光素子ELの有機発光層で発生させた光hを取り出す側の電極であり光透過性を有する材料で構成され、さらに画素電極23が陽極として機能するものである場合、この共通電極55は、陰極として機能する材料を用いて構成されている。
【0116】
そして、以上のような画素電極23と共通電極55との間に有機層53が挟持された各画素部分が、有機電界発光素子ELとして機能する部分となる。
【0117】
<有機EL表示装置の回路構成>
第6実施形態の液晶表示装置50-2の回路構成は、第5実施形態と同様であり、図10に示す薄膜トランジスタTra,Trbとして、第2実施形態のトップゲート型の薄膜トランジスタTr2を用いている。
【0118】
このような構成の有機EL表示装置50-2によれば、第2実施形態で説明した薄膜トランジスタTr2によって画素電極23が駆動される構成である。この薄膜トランジスタTr2は、閾値電圧が2〜10Vの範囲で再現性良好に制御され、ソース−ドレイン間電流(Ids)が1.0×10-4〜2.0×10-3Aの値を示すことから、有機EL表示装置50-2の駆動に最適である。またこの薄膜トランジスタTr2も、第1実施形態の薄膜トランジスタTr1と同様に、トランジスタ特性の長期安定化が図られたものである。したがって、これを用いた有機EL表示装置50-2における表示特性の長期信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0119】
以上の第3実施形態〜第6実施形態においては、本発明の表示装置として液晶表示装置や有機EL表示装置を示した。しかしながら本発明の表示装置は、第1実施形態および第2実施形態の薄膜トランジスタを設けた表示装置、特にこの薄膜トランジスタによって画素電極を駆動するアクティブマトリックス型の表示装置に広く適用可能である。このような表示装置としては、例えば電気泳動型の表示装置に適用可能である。また液晶表示装置や有機EL表示装置の構成も、上述した第3実施形態〜第6実施形態の構成に限定されることはなく、第1実施形態および第2実施形態の薄膜トランジスタによって画素電極が駆動される構成に広く適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0120】
≪7.第7実施形態≫
図12〜16には、以上説明した本発明に係る表示装置を表示部として用いた電子機器の一例を示す。本発明の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、さらに電子機器内で生成した映像信号を表示するあらゆる分野の電子機器における表示部に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0121】
図12は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0122】
図13は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0123】
図14は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0124】
図15は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0125】
図16は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0126】
尚、上述した第7実施形態では、本発明の表示装置を備えた電子機器の構成を説明した。しかしながら本発明の電子機器は、第1実施形態および第2実施形態の薄膜トランジスタを設けた電子機器に広く適用可能である。例えば薄膜トランジスタと共に他の素子とで構成される半導体装置として、DRAMなどもメモリ用の半導体装置や、受光素子の駆動回路等にも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0127】
5…ゲート絶縁膜、7…酸化物半導体層(非晶質酸化物からなる半導体層)、9d…ドレイン電極、9s…ソース電極、11…絶縁膜、Tr1,Tr1’,Tr2…薄膜トランジスタ、20-1,20-2…液晶表示装置、23…画素電極、50-1,50-2…有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質酸化物からなる半導体層と、前記半導体層に接して設けられたソース電極およびドレイン電極とを備え、
前記ソース電極およびドレイン電極が、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されている
薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ソース電極およびドレイン電極は、前記半導体層と接する部分がイリジウムまたは酸化イリジウムで構成されている
請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体層は、酸化物材料からなる絶縁膜で覆われている
請求項1または2記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記酸化物材料からなる絶縁膜は、前記半導体層に接して設けられている
請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記絶縁膜の1つはゲート絶縁膜である
請求項3または4に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
非晶質酸化物からなる半導体層に接してソース電極およびドレイン電極を設けた薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタに接続された画素電極とを備え、
前記ソース電極およびドレイン電極が、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されている
表示装置。
【請求項7】
非晶質酸化物からなる半導体層に接してソース電極およびドレイン電極を設けた薄膜トランジスタを備え、
前記ソース電極およびドレイン電極が、イリジウムまたは酸化イリジウムを用いて構成されている
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−272663(P2010−272663A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122756(P2009−122756)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】