説明

車両の制御装置

【課題】車両周辺を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、該画像処理手段における画像処理に基づいて作動する制御システムの作動制御を行う車両の制御装置において、画像処理手段の処理負担を増加させることなく、複数の制御システムの作動を効率よく制御する。
【解決手段】上記制御システムを低速時に作動する低速度領域性制御システムと高速時に作動する高速度領域制御システムとで構成するとともに、低速時(ステップSA1でNOのとき)には、低速度領域制御システムを作動させるとともに、上記画像処理手段による高速度領域制御システムのための画像処理を停止する一方、高速時(ステップSA1でYESの場合)には、高速度領域制御システムを作動させるとともに、上記画像処理手段による低速度領域制御システムのための画像処理を停止するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された撮像手段により撮像された画像データに基づいて作動する複数の制御システムの作動制御を行う車両の制御装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載された撮像用カメラ(撮像手段)により撮像された画像データに対し所定の画像処理を行う画像処理装置(画像処理手段)を備え且つ該画像処理装置による画像処理(画像認識等)に基づいて作動する制御システムとして、例えば上記画像処理装置にて歩行者が認識されたときに、該歩行者の位置や車両からの距離に応じて上記車両の乗員(ドライバ)に対して警報を行う歩行者保護システムは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この歩行者保護システムの他にも、特許文献2に示すように上記画像処理装置にて先行車両を認識したときに、該先行車両との車間距離が目標車間距離に一致するように車両の車速を制御する車両制御システム(クルーズ走行制御システム)や、特許文献3に示すように上記画像処理装置にて道路上の白線等を認識することで走行レーンに対する車両の走行位置を識別して、車両が走行レーンから逸脱しそうなときに乗員(ドライバ)に対して警報を行うシステム(レーンキープシステム)等が知られている。
【特許文献1】特開2006−178652号公報
【特許文献2】特開2003−67896号公報
【特許文献3】特開2002−352396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歩行者の保護を図りつつ、車両の安全性向上や乗員の運転負担の軽減を図るために、例えば上記歩行者保護システム、上記クルーズ走行制御システム、及び上記レーンキープシステムの三つのシステムを一台の車両に搭載することが考えられる。
【0005】
この場合、各制御システム(歩行者保護システム、クルーズ走行制御システム、レーンキープシステム)のそれぞれが認識すべき認識対象(歩行者、先行車両、白線)を確実に撮像するために、該各制御システムごとに該各認識対象を最も撮像し易い箇所に撮像用カメラを設けることが望ましく、また上記画像処理装置の処理負担を低減するためにも、各制御システムごとに画像処理装置を設けることが望ましい。
【0006】
しかし、このように各制御システムごとに撮像用カメラ及び画像処理装置を設けるようにした場合、車両に搭載される制御システムが増加するのに比例して、撮像用カメラ及び画像処理装置を増設する必要があり、この結果、その設置スペースの増大やコスト増加といった問題を招く。
【0007】
従って、上述のように、一台の車両に複数の制御システムを備えた場合には、各制御システム間で一つの撮像用カメラ及び画像処理装置を兼用して使用することが望ましい。
【0008】
しかしながら、このように撮像用カメラを兼用した場合、上述のように各制御システムごとに撮像用カメラを設けるようにした場合に比べて、各認識対象を的確に捉える(撮像する)ことができずに、該撮像用カメラによる上記認識対象の撮像精度が低下し、このため、画像データ内から上記認識対象を抽出して識別するために上記画像処理装置において複雑な画像処理(認識処理)が要求されることとなり、該画像処理装置の処理負担が増大するという問題がある。
【0009】
また、一つの画像処理装置で、各認識対象を認識するための異なる画像処理を同時に並行して行う必要があり、その結果、該画像処理装置における処理負担が増大して上記各制御システムの作動に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両に搭載されて該車両周辺を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、該画像処理手段における画像処理に基づいて作動する複数の制御システムの作動制御を行う車両の制御装置に対して、その構成及び制御方向に工夫を凝らすことで、スペース効率の悪化及びコスト増加を防止しつつ、且つ画像処理手段の処理負担を増加させることなく、上記複数の制御システムの作動を効率よく制御しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、画像処理手段における画像処理に基づいて作動する制御システムを、低速時に作動する低速度領域制御システムと、高速時に作動する高速度領域制御システムとで構成するとともに、上記低速度領域システムが作動しているときには、上記高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする一方、上記高速度領域システムが作動しているときには、上記低速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにした。
【0012】
具体的には、請求項1の発明では、車両に搭載されて該車両周辺を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、該画像処理手段における画像処理に基づいて作動する複数の制御システムの作動制御を行う車両の制御装置を対象とする。
【0013】
そして、上記車両の車速を検知する車速検知手段を備え、上記複数の制御システムは、上記車速検知手段により検知された車速が第一所定速度未満のときに作動する低速度領域制御システムと、上記車速が上記第一所定速度以上に設定された第二所定速度以上のときに作動する高速度領域制御システムとを含んでおり、上記画像処理手段は、上記車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする一方、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されている。
【0014】
上記の構成により、上記車速検知手段により検知された車速が、上記第一所定速度未満のとき(以下、低速時と呼ぶ)には、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行して該低速度領域制御システムを作動させることができる。また、この低速度領域制御システムのための画像処理が実行されているときには、上記高速度領域制御システムのための画像処理は停止される。従って、高速度領域制御システムのための画像処理を停止しない場合に比べて、上記低速度領域制御システムの作動時における上記画像処理手段の処理負担を軽減させることができる。この結果、該低速度領域制御システムを効率よく確実に作動させることが可能となる。一方、上記車速検知手段により検知された車速が、上記第二所定速度以上のとき(以下、高速時と呼ぶ)、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行して該高速度領域制御システムを作動させることができる。また、この高速度領域制御システムのための画像処理が実行されているときには、上記低速度領域制御システムのための画像処理は停止される。従って、低速度領域制御システムのための画像処理を停止しない場合に比べて、上記高速度領域制御システムの作動時における上記画像処理手段の処理負担を軽減させることができ、この結果、該高速度領域制御システムを効率よく確実に作動させることが可能となる。
【0015】
上記撮像手段は、例えばCCDカメラやCMOSカメラ等で構成され、上記画像処理手段は、CPUやメモリ等のハードウェアと、該ハードウェアと協働して画像処理を実行する画像処理ソフト(ソフトウェア)とからなる画像処理装置で構成される。この場合に、上述のように車速に応じて不必要な画像処理を停止することで、CPUやメモリ等の処理負担を軽減させてハードウェア資源の有効利用を図ることができる。従って、処理能力向上のためのハードウェア資源の増設等を抑制して、スペース効率の悪化を防止することができるとともに製造コストの低減を図ることができる。
【0016】
尚、本明細書において制御システムが作動している状態とは、上記画像処理手段における画像処理を受けて、該制御システムを構成する構成要素全てが互いに協働して所定の動作を達成可能な状態にあることをいうものとする。
【0017】
一方、低速度領域制御システムとしては、例えば車両の事故防止や歩行者保護等の観点から、低速時に作動したときにはその有効性を発揮する反面、高速時に作動したとしてもその有効性に乏しい制御システムを採用するとともに、高速度領域制御システムとしては、高速時に作動したときにはその有効性を発揮する反面、低速時に作動したとしてもその有効性に乏しい制御システムを採用するようにすればよい。こうすることで、有効性に乏しい制御システムを不必要に作動させて、上記画像処理手段における処理負担が増大するのを防止することができるとともに、車両の事故防止や歩行者保護を図ることができる。
【0018】
ここで、上記第一所定速度は、例えば上記低速度領域制御システムがその有効性を発揮する上限速度とすればよく、上記第二所定速度は、上記高速度領域制御システムがその有効性を発揮する下限速度とすればよい。
【0019】
また、上記第一所定速度と第二所定速度とを等しくなるようにすれば、全速度領域において上記低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムのいずれか一方を確実に作動させることが可能となる。
【0020】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記複数の制御システムは、上記車両の全速度領域にて作動する全速度領域制御システムを更に含み、上記画像処理手段は、上記車速検知手段により検知された車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする一方、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されている。
【0021】
このことにより、低速から高速までの全速度領域において上記全速度領域制御システムが作動する。ここで、上記全速度領域制御システムとしては、例えば車両の事故防止や歩行者保護等の観点から、車速に関係なく全速度領域で有効性を発揮するような制御システムを採用するようにすればよい。こうすることで、上記画像処理手段における処理負担が増加する嫌いはあるものの、より一層確実に車両の事故防止や歩行者保護を図ることができる。
【0022】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記第二所定速度は上記第一所定速度よりも高く設定されており、上記画像処理手段は、上記車速検知手段により検知された車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにし、上記車速が上記第一所定速度以上であって上記二所定速度未満のときには、上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システム及び上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにし、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されている。
【0023】
このことにより、上記車速が第一所定速度以上であって第二所定速度未満(以下、中間速度領域と呼ぶ)のときには、低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムのための画像処理が停止され、このため該中間速度領域における上記画像処理手段の処理負担を軽減することができる。従って、例えば車両の事故防止や歩行者保護の観点から上記中間速度領域にて特に効力を発揮するような制御システムを新たに搭載する等したとしても、該中間速度領域において上記画像処理手段における処理負担が、高速時や低速時に比べて著しく増加することもない。従って、多彩な制御システムを車両に搭載して、車両の事故防止や歩行者保護を図ることが可能となる。
【0024】
請求項4の発明では、請求項1乃至3のいずれか一項の発明において、上記高速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、走行レーン上に設けられた白線を検知するとともに、上記車両を走行レーンから逸脱しないように制御するレーンキープシステムと、上記画像データを基に上記車両の先行車両を検知するとともに、該車両を該先行車両に追従させるクルーズ走行制御システムとの少なくとも一方を備えているものとする。
【0025】
このことにより、高速時にはレーンキープシステムを作動させて車両が走行レーンから逸脱するのを確実に防止することができる。
【0026】
請求項5の発明では、請求項1乃至4のいずれか一項の発明において、上記低速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両周辺に存在する歩行者を検知するとともに該車両への該歩行者の衝突を検知したときに、該衝突により該歩行者に加わる衝撃を緩和する衝撃緩和手段を有する歩行者保護システムと、上記画像データを基に、上記車両の先行車両の発進及び停止を検知するとともに、該先行車両の停止を検知したときには該車両を停止させる一方、該先行車両の発進を検知したときには該車両を発進させる車両発進停止制御システムとの少なくとも一方を含むものとする。
【0027】
このことにより、低速時に上記低速度領域制御システムが作動することによって、上記歩行者保護システム及び車両発進停止制御システムの少なくとも一方を確実に作動させることができる。そして、上記低速時において、歩行者保護システムが作動している場合には、車両に歩行者が衝突したとしても、上記衝撃緩和手段により該歩行者に加わる衝撃を緩和して該歩行者を保護することが可能となる。具体的には、例えば衝撃緩和手段として、歩行者との衝突を検知したときにボンネットフードをリフトアップさせるリフトアップ装置を採用することができる。
【0028】
また、高速道路上を走行する際等の高速時に比べて、一般道を走行する低速時の方が歩行者との衝突の可能性が高く、従って該低速時に歩行者保護システムを作動させるようにしたことで歩行者を確実に保護することが可能となる。
【0029】
また、上記車両発進停止制御システムの作動により、低速時において先行車両の発進、停止に追従して上記車両を発進、停止させることができる。
【0030】
請求項6の発明では、請求項2乃至5のいずれか一項の発明において、上記全速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両前方の障害物を検知するとともに、該障害物と上記車両との衝突を予知したときに、該車両の乗員が着用しているシートベルトを所定量巻き取ることで該乗員を拘束して保護するプリクラッシュセーフティシステムと、上記画像データを基に上記車両の対向車を検知するとともに、該対向車を検知したときに上記車両のヘッドライトを減光するヘッドライト配向システムとの少なくとも一方を含むものとする。
【0031】
このことにより、車速に関係なく全速度領域においてプリクラッシュセーフティシステム及びヘッドライト配光システムを作動させることができる。
【0032】
従って、上記プリクラッシュセーフティシステムの作動により、障害物との衝突が予知されたときには、該障害物との衝突前にシートベルトを所定量巻き取って乗員を拘束することで、該衝突時に乗員に加わる衝撃を確実に低減することが可能となる。
【0033】
また、ヘッドライト配光システムの作動により、対向車が存在しない状況においては、例えばヘッドライトをハイビームにした状態で走行して乗員の前方視界を十分に確保することができる一方、対向車が存在する場合には、ヘッドライトをロービームに切換える等して減光することで、該対向車の乗員視界を妨げないようにすることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明の車両の制御装置によると、低速時には低速度領域制御システムを作動させて高速度領域制御システムのための画像処理を停止させる一方、高速時には高速度領域制御システムを作動させて低速度領域制御システムのための画像処理を停止させるようにしたことで、スペース効率の悪化及びコスト増加を防止しつつ、且つ画像処理手段の処理負担を増加させることなく、複数の制御システムの作動を効率よく制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置A(図2参照)が搭載された車両C(自動車)を示す。1はフロントバンパー、2は該フロントバンパーの表面近傍に配設された衝突検知センサ、3はエンジンルーム上方の開口部を覆うボンネットフード、4は車両前端部の車幅方向両端部に配設されたヘッドライト、5は車室ルーフの前端部における車幅方向略中央部に設けられたルームミラー、6は該ルームミラーの前側に設けられた車両周辺監視カメラ、7は乗員M(ドライバ)が着座する運転シート、8はシートベルト、9は該シートベルト8を巻き取って該シートベルト8に所定の張力を付与することで乗員を拘束するプリテンショナである。
【0037】
この車両Cは、上記車両周辺監視カメラ6により撮像された画像データを基に作動する制御システムを備えている。この制御システムは、車速が第一設定速度V1(40km/h)未満のとき(低速時)に作動する低速度領域制御システムと、該車速が第二設定速度V2(40km/h)以上のとき(高速時)に作動する高速度領域制御システムとで構成されている。本実施形態においては第一設定速度V1と第二設定速度V2とは等しい速度に設定されており、以下の説明では、特に断らない限りこの設定された速度のことを単に設定速度V(図3参照)と呼ぶ。尚、車両周辺監視カメラ6は、CCDカメラからなっていて、撮像した画像データを後述するコントロールユニット20に出力するように構成されている。そして、該車両周辺監視カメラ6は、車両に搭載されて該車両周辺を撮像する撮像手段を構成することとなる。
【0038】
上記低速度領域制御システムは、車両Cに衝突した歩行者を保護するための歩行者保護システムと、信号待ち等による停止と発進とが繰り返される一般道での走行において車速を自動的に制御して乗員Mの運転操作負担を低減する車両発進停止制御システムとしてのSTOP&GOシステムとからなる。
【0039】
具体的には、上記歩行者保護システムは、衝突検知センサ2からの出力信号及び車両周辺監視カメラ6からの画像データに基づいて歩行者との衝突を検知するとともに、歩行者との衝突を検知したときにはボンネットフード3をリフトアップさせて該歩行者を保護するシステムである。尚、上記衝突検知センサ2は、フロントバンパー1が障害物に接触して変形したときに、その変形度合いに応じた大きさの接触信号を後述のコントロールユニット20(図2参照)に送信するようになっている。
【0040】
上記STOP&GOシステムは、車両周辺監視カメラ6からの画像データを基に先行車を認識可能になっていて、先行車を認識したときには該先行車との車間距離を一定に保つように車速を制御する一方、先行車が存在しないときには車速を所定の速度に制御するACC(Adaptive Cruise Control)機能を有している。従って、ストップ&GOシステムが作動している状態において、走行中の先行車が存在するときには、車両Cを該先行車に対して一定の車間距離を空けて追従走行させることができるとともに、該先行車が停止したときには、該車両Cを該先行車から一定の車間距離を空けて停止させることができる。よって、信号待ち等で停止している先行車への追突等を確実に防止することが可能となる。ここで、先行車の認識は、比較的車間距離の近い先行車も認識することができるように、車両平面視で進行方向に対して士60°の範囲内で行われる。また、上記先行車が存在するときの車間距離、及び先行車が存在しないときの車速は、図示しないインストルメントパネルに設けられた入力装置から乗員Mが手動で入力することにより設定される。
【0041】
一方、上記高速度領域制御システムは、高速走行が持続する高速道路上等において車速を自動的に制御して乗員Mの運転操作負担を低減するオートクルーズシステム(クルーズ走行制御システム)と、車両Cが走行レーンから逸脱するのを防止するためのレーンキープシステムとを備えている。
【0042】
具体的には、上記オートクルーズシステムは、上記STOP&GOシステムと同様に、ACC機能を有している。そして、該オートクルーズシステムが作動している状態において、走行中の先行車が存在するときには、該先行車の車速が変化したとしても乗員Mがブレーキ操作やアクセル操作を行うことなく車両Cを該先行車に追従走行させることができる。従って、乗員Mの運転操作負担を低減させることができるとともに、走行中の先行車への追突を確実に防止することが可能となる。ここで、先行車の認識については、上記STOP&GOシステムと異なり、車両平面視で進行方向に対して士20°の範囲内で行われる。すなわち、該オートクルーズシステムは、STOP&GOシステムに比べて遠方の先行車両(車間距離の離れた先行車両)を認識対象としている。
【0043】
上記レーンキープシステムは、車両周辺監視カメラ6からの画像データを基に、走行レーンに対する車両Cの走行位置を認識するとともに、車両Cが走行レーンから逸脱しそうなときには警報を鳴らしてその旨を乗員Mに知らせるシステムである。
【0044】
そして、上記低速度領域制御システム(歩行者保護システム及びSTOP&GOシステム)及び高速度領域制御システム(オートクルーズシステム及びレーンキープシステム)の作動は、コントロールユニット20(図2)により制御されている。
【0045】
このコントロールユニット20には、車速センサ21(車速検知手段に相当)及び車両周辺監視カメラ6から各情報が入力されるようになっており、該コントロールユニット20は、該車速センサ21により検知された車速が上記設定速度V未満のときには、上記低速度領域制御システム(歩行者保護システム及びSTOP&GOシステム)を作動させる一方、上記車速が上記設定速度V以上のときには、高速度領域制御システム(オートクルーズシステム及びレーンキープシステム)を作動させて、必要に応じて後述するボンネットリフト装置14、警告装置15、ブレーキ操作装置16、及びアクセル操作装置17に対して駆動信号を出力するように構成されている。
【0046】
上記コントロールユニット20は、車速センサ21からの出力信号を基に車速が上記設定速度V以上であるか設定速度V未満であるかを判定する判定回路10と、該判定回路10における判定を受けて、車両周辺監視カメラ6からの画像データに対して画像処理(認識処理)を行う画像処理部11と、該判定回路10における判定を受けて、車両周辺監視カメラ6からの画像データに基づいて上記低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムの動作を制御する主制御部とからなる。
【0047】
上記画像処理部11は、CPUやメモリ等のハードウェア資源により構成されていて、該ハードウェア資源と協働して上記画像データに対して所定の演算又は加工を実行することで画像認識を行う複数の認識ソフト(ソフトウェア)を備えている。具体的には、該画像処理部11は、該認識ソフトとして、車両周辺(本実施形態においては主に前方)の歩行者を認識するための歩行者認識ソフト11aと、低速時に先行車両の認識を行う低速時先行車認識ソフト11bと、高速道路等に走行レーンの両側縁に設けられた白線を認識するための白線認識ソフト11cと、高速時に先行者の認識を行う高速時先行車認識ソフト11dとを備えている。
【0048】
歩行者認識ソフト11aは、上記車両周辺監視カメラ6により撮像された画像データの各画素を走査して読み込むとともに、該画像データ内に、予め用意された歩行者のテンプレート画像と同じパターンの画像が存在するか否かを判定して(パターンマッチング)歩行者を認識する。
【0049】
上記白線認識ソフトは、上記画像データの各画素を走査して読み込むとともに、白線と推定される所定の輝度値以上の画素が走行方向に所定数以上並んでいるときには、該走行方向に並ぶ画素群を白線として認識する。
【0050】
上記低速時先行車認識ソフト11b及び高速時先行車認識ソフト11dは共に、上記歩行者認識ソフト11aと同様に、パターンマッチングにより判定を行う。すなわち、該各先行者認識ソフトは、予め自動車の後部画像(自動車を後方から見た画像)に対応するテンプレート画像を記憶しておくとともに、上記画像データ内に該テンプレート画像と同じパターンの画像が存在するか否かを判定して先行車を認識する。ここで、上記低速時先行車認識ソフト11bによる先行車の認識は、車両平面視で車両進行方向に対して士60°の範囲に対応する画像データに対して行われるのに対し、高速時先行車認識ソフト11dによる先行車の認識は士20°の範囲に対応する画像データに対して行われる、
一方、上記主制御部13は、上記画像処理部11と同様にCPU等のハードウェア資源により構成されていて、該ハードウェア資源と協働して各システムの動作を制御する複数の制御ソフトを有している。具体的には、該主制御部13は、該制御用ソフトとして、上記低速度領域制御システムに含まれる各システムの動作を制御する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13b、並びに、上記高速度領域制御システムに含まれる各システムの動作を制御するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを有している。
【0051】
そして、上記歩行者保護システム制御用ソフト13aは、歩行者保護システムが作動している場合において、歩行者認識ソフト11aにより車両Cの前部に衝突した障害物が歩行者であると認識され、且つ衝突時に衝突検知センサ2から出力された接触信号の時間に対する変化パターン(波形)が、予め決められた波形と同じか又はそれに近いときには、上記障害物を歩行者であると判定して、主制御部13からボンネットリフト装置14に対して駆動信号を出力することで該ボンネットフード3をリフトアップさせるよう該システム全体を制御する。尚、ボンネットリフト装置14は、例えばガスを供給することで膨張するインフレータ等で構成される。こうして、上記歩行者認識ソフト11a、衝突検知センサ2、歩行者保護システム制御用ソフト13a、及びボンネットリフト装置14は、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両Cへの歩行者の衝突を検知したときに該衝突により該歩行者に加わる衝撃を緩和する衝撃緩和手段を構成することとなる。
【0052】
上記STOP&GOシステム制御用ソフト13bは、STOP&GOシステムが作動している場合において、低速時先行車認識ソフト11bにより先行車が認識されたときには、該先行車との車間距離を推定(算出)するとともに、ブレーキ操作装置16及びアクセル操作装置17に対して駆動信号を出力して車速を制御することで、該先行車との車間距離が目標車間距離に等しくなるように該システム全体を制御する。
【0053】
上記オートクルーズシステム制御用ソフト13dは、オートクルーズシステムが作動している場合において、高速時先行車認識ソフト11dにより先行車が認識されたときには、STOP&GOシステム制御用ソフト13bと同様に、先行車との車間距離を推定(算出)するとともに、ブレーキ操作装置16及びアクセル操作装置17に対して駆動信号を出力して車速を制御することで、先行車との車間距離が一定になるようシステム全体を制御する。
【0054】
上記レーンキープシステム制御用ソフト13cは、レーンキープシステムが作動している場合に、白線認識ソフト11cにより認識された白線情報を基に、走行レーンに対する車両Cの走行位置を推定(算出)するとともに、該車両Cが走行レーンから逸脱しそうなときには、警告装置15に対して駆動信号を出力して警報を鳴らすことで乗員Mに対して警告を行うよう該システム全体を制御する。具体的には、該警告装置15は、例えば車両Cに搭載されたオーディオ機器のスピーカー等で構成することができる。
【0055】
そして、上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記設定速度V未満であると判定されたときには、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11bを実行する一方、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11dを実行しないように構成されている。
【0056】
また、上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記設定速度V以上であると判定されたときには、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11dを実行する一方、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11bを実行しないように構成されている。
【0057】
こうして、上記画像処理部11は、上記車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする一方、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする画像処理手段を構成することとなる。
【0058】
一方、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記設定速度V未満であると判定されたときには、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13bを実行する一方、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを実行しないように構成されている。
【0059】
また、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記設定速度V以上であると判定されたときには、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを実行する一方、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13bを実行しないように構成されている。
【0060】
従って、車速が上記設定速度V未満のときには、歩行者認識ソフト11aによる歩行者の認識、及び低速時先行車認識ソフト11bによる先行車の認識が実行されるとともに、該歩行者認識を基にした歩行者保護システム、及び該先行車の認識を基にしたSTOP&GOシステムが作動する一方、車速が設定速度V以上のときには、白線認識ソフト11cによる白線認識、及び高速時先行車認識ソフト11dによる先行車の認識が行われるとともに、該白線認識を基にしたレーンキープシステム、及び該先行車の認識を基にしたオートクルーズシステムが作動する(図3参照)。
【0061】
次に、上記コントロールユニット20における制御システム(低速度領域制御システム及び高速度領域制御システム)の作動制御処理について図4のフローチャートを基に説明する。
【0062】
先ず、ステップSA1では、車速が設定速度V以上か否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップSA2に進み、NOの場合にはステップSA3に進む。
【0063】
ステップSA2では、高速度領域制御システム(レーンキープシステム及びオートクルーズシステム)を作動させるとともに、低速度領域制御システム(歩行者保護システム及びSTOP&GOシステム)のための画像処理を行わないようにする。
【0064】
ステップSA3では、低速度領域制御システム(歩行者保護システム及びSTOP&GOシステム)を作動させるとともに、高速度領域制御システム(レーンキープシステム及びオートクルーズシステム)のための画像処理を行わないようにする。
【0065】
以上の如く上記実施形態1では、コントロールユニット20は、車速が設定速度V未満のとき(ステップSA1でNOのとき)には、画像処理部11にて低速度領域制御システムのための画像処理(歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11b)を実行して低速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理(白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11d)を実行しないようにする一方、車速が設定速度V以上のとき(ステップSA1でNOのとき)には、画像処理部11にて高速度領域制御システムのための画像処理(白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11d)を実行して高速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システム(歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11b)のための画像処理を行わないように構成されている。
【0066】
これにより、上記画像処理部11においては常に、低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムのうちの一方の制御システムのための画像処理が実行される。すなわち、低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムの両制御システムのための画像処理が同時に並行して実行されることはない。従って、該画像処理部11を構成するCPUやメモリ等のハードウェア資源の処理負担を軽減して該ハードウェア資源を有効に利用することができる。よって、画像処理部11の処理能力を向上させるためにハードウェア資源を増設したりすることなく、一つの車両Cに低速度領域制御システム(歩行者保護システム、STOP&GOシステム)及び高速度領域制御システム(オートクルーズシステム及びレーンキープシステム)を搭載してその作動制御を行うことができる。
【0067】
また、オートクルーズシステムの先行車認識のために実行される高速時先行車認識ソフト11dは、STOP&GOシステムのための先行車認識のために実行される低速時先行車認識ソフト11bに比べて対象とする画像データ範囲が狭く、従って該オートクルーズシステムとSTOP&GOシステムとで認識ソフトを共通化した場合に比べて高速度領域制御システムのための画像処理負担を軽減することができる。
【0068】
また、上記実施形態1では、低速度領域制御システムとして歩行者保護システムが採用されている。該歩行者保護システムは、ボンネットフード3上への歩行者の二次衝突から該歩行者を保護するためのシステムであり、従って低速時に比べて該二次衝突の可能性が低い高速時において該システムを作動させたとしても有効性に欠ける面がある。しかしながら、上述のように、該歩行者保護システムを車速が設定速度V未満のときに作動する低速度領域制御システムとして採用したことで、該歩行者保護システムを高速時に不必要に作動させるのを防止することができ、これにより高速時における画像処理部11の処理負担を軽減することが可能となる。
【0069】
また、上記実施形態1では、高速度領域制御システムとしてレーンキープシステムが採用されている。該レーンキープシステムは、高速走行が続く高速道路上等おいて一つの(同一の)走行レーンを長時間走行する際等に、単調な運転操作が続くことによる操作ミス等を防止することができる点で有効となる反面、車線変更等を頻繁に繰り返す一般道での低速走行時においては、車線変更の度に警告装置15が作動する等して乗員Mの運転の邪魔になる場合がある。しかしながら、上述のように、該レーンキープシステムを車速が設定速度V以上のときに作動する高速度領域制御システムとして採用したことで、レーンキープシステムを低速時に不必要に作動させるのを防止することができ、これにより低速時における画像処理部11の処理負担を軽減することが可能となる。
【0070】
(実施形態2)
図6は本発明の実施形態2を示し、コントロールユニット20により作動制御を行う制御システムの構成及び作動制御処理を実施形態1とは異ならせたものである。すなわち、本実施形態では、上記制御システムとして、上記低速度領域制御システム及び上記高速度領域制御システムの他に、低速から高速までの全速度で作動する全速度領域制御システムが付加されている。そして、車速が上記設定速度Vよりも低いときには低速度領域制御システム及び全速度領域制御システムが作動し、車速が上記設定速度V以上のときには高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムが作動するようになっている。尚、低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムの構成は、以下の実施形態において実施形態1と同様であるものとする。
【0071】
具体的には、上記全速度領域制御システムは、障害物と衝突しそうなことを予知してシートベルト8(図1参照)を所定量巻き取ることで乗員Mを拘束して保護するプリクラッシュセーフティシステムと、対向車及び先行車が存在しない場合にはヘッドライト4をハイビームとする一方、対向車及び先行車(以下、対向車及び先行車を含めて前方車両と呼ぶ)が存在する場合には該ヘッドライト4をロービームへと切換えるヘッドライト配光システムとからなる。
【0072】
そして、上記全速度領域制御システム(プリクラッシュセーフティシステム、ヘッドライト配光システム)、並びに、上記低速度領域制御システム(歩行者保護システム及びSTOP&GOシステム)及び高速度領域制御システム(オートクルーズシステム及びレーンキープシステム)の作動は、コントロールユニット20(図5参照)により制御されている。
【0073】
本実施形態2に係るコントロールユニット20は、車速が設定速度V未満のときには、全速度領域制御システム及び低速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理を停止する一方、車速が設定速度V以上のときには、全速度領域制御システム及び高速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システムのための画像処理を停止するように構成されている。
【0074】
具体的には、コントロールユニット20の画像処理部11は、上記低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムに対応する認識ソフト11a乃至11dの他に、上記全速度領域制御システムに対応する認識ソフトとして障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fを更に備えている。
【0075】
上記障害物認識ソフト11eは、車両周辺監視カメラ6により撮像された画像データの各画素を走査して読み込むとともに、所定の大きさ(所定の画素数)以上の対象物が、車両Cの前方領域に対応する画像データ内に存在するか否かを判定することにより、該車両前方の障害物を検知する。
【0076】
上記前方車両認識ソフト11fは、予め自動車の前部画像(自動車を前方から見た画像)に対応するテンプレート画像と自動車の後部画像に対応するテンプレート画像とを記憶しておくとともに、上記画像データ内にこれらのテンプレート画像にマッチングする画像データが存在するか否かの判定を行うことで前方車両を認識する。
【0077】
一方、コントロールユニット20の主制御部13は、上記低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムに対応する制御用ソフトの他に、上記全速度領域制御システムに対応する制御用ソフトとして、プリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fを更に備えている。
【0078】
上記プリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13eは、該システム作動時において上記障害物認識ソフト11eにより歩行者との衝突が予知されたときには、主制御部13からプリテンショナー駆動装置18に対して駆動信号を出力するように該システム全体を制御する。プリテンショナー駆動装置18は、駆動信号を受けたときに、プリテンショナー9によりシートベルト8を所定長さだけ巻き取って、乗員Mをシートベルト8でもって拘束するように構成されている。尚、この所定長さは車速に応じて予め設定されている。
【0079】
上記ヘッドライト配光システム制御用ソフト13fは、ヘッドライト配光システム作動時において上記前方車両認識ソフト11fにより前方車両が認識されたときには、主制御部13からヘッドライト切換え装置19に対して駆動信号を出力するように該システム全体を制御する。尚ヘッドライト4は、通常状態においてはハイビーム設定とされており、上記ヘッドライト切換え装置19は、上記駆動信号を受けたときにはハイブーム用の電気回路への電圧供給を遮断してロービーム用の電気回路に電力供給を行うように構成されている。
【0080】
そして、上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記設定速度V未満であると判定されたときには、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11b、並びに全速度領域制御システムに対応する障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fを実行する一方、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11dを実行しないように構成されている。
【0081】
また、上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記設定速度V以上であると判定されたときには、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11d、並びに全速度領域制御システムに対応する障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fを実行する一方、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11bを実行しないように構成されている。
【0082】
一方、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記設定速度V未満であると判定されたときには、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13b、並びに全速度領域制御システムに対応するプリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fを実行する一方、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを実行しないように構成されている。
【0083】
また、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記設定速度V以上であると判定されたときには、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13d、並びに全速度領域制御システムに対応するプリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fを実行する一方、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13bを実行しないように構成されている。
【0084】
従って、車速が上記設定速度V未満のときには、低速度領域制御システムのための歩行者認識ソフト11aによる歩行者の認識、及び低速時先行車認識ソフト11bによる先行車の認識が実行され、これに伴って該歩行者認識を基にした歩行者保護システム、及び該先行車の認識を基にしたSTOP&GOシステムが作動し、更に全速度領域制御システムのための障害物認識ソフト11eによる障害物の認識、及び前方車両認識ソフト11fによる前方車両の認識が実行され、これに伴って該障害物の認識を基にしたプリクラッシュセーフティシステム、及び該前方車両の認識を基にしたヘッドライト配光システムが作動する(図6参照)。
【0085】
一方、車速が設定速度V以上のときには、高速度領域制御システムのための白線認識ソフト11cによる白線認識、及び高速時先行車認識ソフト11dによる先行車の認識が行われ、これに伴って該白線認識を基にしたレーンキープシステム、及び該先行車の認識を基にしたオートクルーズシステムが作動し、更に全速度領域制御システムのための障害物認識ソフト11eによる障害物の認識、及び前方車両認識ソフト11fによる前方車両の認識が実行され、これに伴って該障害物の認識を基にしたプリクラッシュセーフティシステム、及び前方車両の認識を基にしたヘッドライト配光システムが作動する(図6参照)。
【0086】
次に、本発明の実施形態2に係るコントロールユニット20における制御システム(低速度領域制御システム、高速度領域制御システム及び全速度領域制御システム)の作動制御処理について図7のフローチャートを基に説明する。
【0087】
ステップSB1では、車速が上記設定速度V以上か否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップSB2に進み、NOの場合にはステップSB3に進む。
【0088】
ステップSB2では、高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする。
【0089】
ステップSB3では、低速度領域制御システム及び全速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする。
【0090】
以上の如く上記実施形態2では、コントロールユニット20は、車速が設定速度V未満のとき(ステップSB1でNOのとき)には、画像処理部11にて低速度領域制御システムのための画像処理(歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11b)及び全速度領域制御システムのための画像処理(障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11f)を実行して該低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理(白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11d)を実行しないようにする一方、車速が設定速度V以上のとき(ステップSA1でYESのとき)には、画像処理部11にて上記高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムのための画像処理を実行して該高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムを作動させるとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を行わないように構成されている。これにより上記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
また更に、上記実施形態1では、全速度領域で作動する全速度領域制御システム(プリクラッシュセーフティシステム及びヘッドライト配光システム)が車両Cに搭載されている。従って、画像処理部11における画像処理負担が増加する嫌いはあるものの、該全速度領域制御システムを付加することにより多彩な制御を実行することができる。具体的には、プリクラッシュセーフティシステムの作動により、車両Cに障害物が衝突しそうなときにはシートベルト8を所定量巻き取って乗員Mを拘束することで該乗員に加わる衝撃を緩和することができる。また、ヘッドライト配光システムの作動により、前方車両が存在しないときにはヘッドライト4をハイビーム設定にして乗員Mの前方視界を確保することができる一方、前方車両が存在するときにはヘッドライト4をロービーム設定にする(減光する)ことで前方車両の乗員の視界を妨げるのを防止することができる。
【0092】
(実施形態3)
図8は本発明の実施形態3を示し、コントロールユニット20による制御システムの作動制御処理を実施形態2とは異ならせたものである。尚、全速度領域制御システムの構成及びコントロールユニット20の構成は実施形態2と同様であるものとする。すなわち、本実施形態では、上記第二設定速度V2は上記第一設定速度V1よりも高く設定されており、車速が第一設定速度V1(本実施形態では40km/hに設定されている)未満のときには、低速度領域制御システム及び全速度領域制御システムが作動し、上記第二設定速度V2(本実施形態においては60km/hに設定されている)以上のときには、高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムが作動し、該第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満のときには、全速度領域制御システムのみが作動するようになっている(図8参照)。
【0093】
上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記第一設定速度V1よりも低いと判定されたときには、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11b、並びに全速度領域制御システムに対応する障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fを実行する一方、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11dを実行しないように構成されている。
【0094】
また、上記画像処理部11は、判定回路10にて車速が上記第二設定速度V2以上であると判定されたときには、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び高速時先行車認識ソフト11d、並びに全速度領域制御システムに対応する障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fを実行する一方、低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11bを実行しないように構成されている。
【0095】
また、上記画像処理部11は、該画像処理部のCPU(図示省略)にて判定回路10にて車速が第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満であると判定されたときには、全速度領域制御システムに対応する障害物認識ソフト11e及び前方車両認識ソフト11fのみを実行する一方、高速度領域制御システムに対応する白線認識ソフト11c及び前方車両認識ソフト11f、並びに低速度領域制御システムに対応する歩行者認識ソフト11a及び低速時先行車認識ソフト11bを実行しないように構成されている。
【0096】
一方、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記第一設定速度V1未満であると判定されたときには、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13b、並びに全速度領域制御システムに対応するプリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fを実行する一方、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを実行しないように構成されている。
【0097】
また、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記第二設定速度V2以上であると判定されたときには、上記高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13d、並びに全速度領域制御システムに対応するプリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fを実行する一方、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13bを実行しないように構成されている。
【0098】
また、上記主制御部13は、判定回路10にて車速が上記第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満であると判定されたときには、全速度領域制御システムに対応するプリクラッシュセーフティシステム制御用ソフト13e及びヘッドライト配光システム制御用ソフト13fのみを実行する一方、上記低速度領域制御システムに対応する歩行者保護システム制御用ソフト13a及びSTOP&GOシステム制御用ソフト13b、並びに高速度領域制御システムに対応するレーンキープシステム制御用ソフト13c及びオートクルーズシステム制御用ソフト13dを実行しないように構成されている。
【0099】
従って、車速が上記第一設定速度V1未満のときには、低速度領域制御システムのための歩行者認識ソフト11aによる歩行者の認識、及び低速時先行車認識ソフト11bによる先行車の認識が実行され、これに伴って該歩行者認識を基にした歩行者保護システム、及び該先行車の認識を基にしたSTOP&GOシステムが作動し、更に全速度領域制御システムのための障害物認識ソフト11eによる障害物の認識、及び前方車両認識ソフト11fによる前方車両の認識が実行され、これに伴って該障害物の認識を基にしたプリクラッシュセーフティシステム、及び前方車両の認識を基にしたヘッドライト配光システムが作動する(図8参照)。
【0100】
一方、車速が第二設定速度V2以上のときには、高速度領域制御システムのための白線認識ソフト11cによる白線認識、及び高速時先行車認識ソフト11dによる先行車の認識が行われ、これに伴って該白線認識を基にしたレーンキープシステム、及び該先行車の認識を基にしたオートクルーズシステムが作動し、更に全速度領域制御システムのための障害物認識ソフト11eによる障害物の認識、及び前方車両認識ソフト11fによる前方車両の認識が実行され、これに伴って該障害物の認識を基にしたプリクラッシュセーフティシステム、及び前方車両の認識を基にしたヘッドライト配光システムが作動する(図8参照)。
【0101】
また、車速が第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満のときには、全速度領域制御システムのための障害物認識ソフト11eによる障害物の認識、及び前方車両認識ソフト11fによる前方車両認識のみが実行され、これに伴って該障害物の認識を基にしたプリクラッシュセーフティシステム、及び先行車と対向車との認識を基にしたヘッドライト配光システムが作動する(図8参照)。
【0102】
次に、本発明の実施形態3に係るコントロールユニット20における上記制御システムの作動制御処理について図9のフローチャートを基に説明する。
【0103】
ステップSC1では、車速が第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満であるか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップSC4に進み、NOの場合にはステップSC2に進む。
【0104】
ステップSC2では、車速が第一設定速度V1よりも大きいか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップSC5に進み、NOの場合にはステップSC3に進む。
【0105】
ステップSC3では、全速度領域制御システム及び低速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする。
【0106】
ステップSC1でYESの場合に進むステップSC4では、全速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システム及び高速行き制御システムのための画像処理を行わないようにする。
【0107】
ステップSC2でYESの場合に進むステップSC5では、全速度領域制御システム及び高速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする。
【0108】
以上の如く上記実施形態3では、コントロールユニット20は、車速が第一設定速度V1未満のとき(ステップSC2でNOのとき)には、画像処理部11にて低速度領域制御システム及び全速度領域制御システムのための画像処理を実行して該低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムを作動させるとともに、高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにする一方、車速が第二設定速度V2以上のとき(ステップSC2でYESのとき)には、画像処理部11にて高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムのための画像処理を実行して該高速度領域制御システム及び全速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システムのための画像処理を行わないように構成されている。これにより、上記実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。
【0109】
また、上記実施形態3では、コントロールユニット20は、車速が第一設定速度V1以上であって第二設定速度V2未満(以下、中間速度領域と呼ぶ)のとき(ステップSC1でYESのとき)には、画像処理部11にて全速度領域制御システムのための画像処理を実行して該全速度領域制御システムを作動させるとともに、低速度領域制御システム及び高速度領域制御システムのための画像処理を行わないように構成されている。これにより、上記中間速度領域における該画像処理部11の画像処理負担を軽減することが可能となる。従って、例えば該中間速度領域において作動する中間速度領域制御システムを付加することにより更に多彩な制御を実現することができる。
【0110】
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、全速度領域制御システムをプリクラッシュセーフティシステム及びヘッドライト配光システムで構成するとともに、低速度領域制御システムを歩行者保護システム及びSTOP&GOシステムで構成し、高速度領域制御システムをオートクルーズシステム及びレーンキープシステムで構成するようにしているが、これに限ったものではなく、例えばレーンキープシステムを全速度領域制御システムに組み込むようにする等してもよい。
【0111】
また、上記各実施形態では、歩行者保護システム制御用ソフト13aにおける歩行者との衝突の判断を、衝突検知センサ2から出力される接触信号と、車両周辺監視カメラ6からの画像データを基に歩行者認識ソフト11aにて実行された歩行者認識処理とに基づいて行うようにしているが、これに限ったものではなく、例えば上記車両周辺監視カメラ6からの画像データのみを基に行うようにしてもよい。
【0112】
また、上記各実施形態では、歩行者保護システムは、歩行者と衝突したときにボンネットフード3をリフトアップさせるように構成されているが、これに限ったものではなく、例えば車両周辺監視カメラ6からの画像データを基に、上記歩行者認識ソフト11aにより車両前方の歩行者を認識するとともに、歩行者の位置や車両Cからの距離に応じて上記警告装置15を作動させて乗員Mに対して該歩行者の存在を報知するように構成してもよい。この場合、歩行者の位置や車両Cからの距離は上記歩行者保護システム制御用ソフト13aにて判断するようにすればよい。
【0113】
また、上記各実施形態では、車両周辺監視カメラ6はCCDカメラとされているが、これに限ったものではなく、例えばCMOSカメラ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、車両に搭載されて該車両周辺を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、該画像処理手段における画像処理に基づいて作動する複数の制御システムの作動制御を行う車両の制御装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態1に係る制御装置を搭載した車両の前部を示す概略図である。
【図2】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】制御システムの作動速度領域を示す概略図である。
【図4】コントロールユニットにおける制御システムの作動制御処理を示すフローチャートである。
【図5】実施形態2を示す図2相当図である。
【図6】実施形態2を示す図3相当図である。
【図7】実施形態2を示す図4相当図である。
【図8】実施形態3を示す図3相当図である。
【図9】実施形態3を示す図4相当図である。
【符号の説明】
【0116】
A 車両の制御装置
M 乗員
C 車両
V 設定速度(第一所定速度、第二所定速度)
V1 第一設定速度(第一所定速度)
V2 第二設定速度(第二所定速度)
4 ヘッドライト
6 車両周辺監視カメラ6(撮像手段、車両の制御装置)
8 シートベルト
9 車速センサ(車速検知手段、車両の制御装置)
14 ボンネットリフト装置(衝撃緩和手段)
20 コントロールユニット(車両の制御装置)
21 画像処理部(画像処理手段、車両の制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて該車両周辺を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、該画像処理手段における画像処理に基づいて作動する複数の制御システムの作動制御を行う車両の制御装置であって、
上記車両の車速を検知する車速検知手段を備え、
上記複数の制御システムは、上記車速検知手段により検知された車速が第一所定速度未満のときに作動する低速度領域制御システムと、上記車速が上記第一所定速度以上に設定された第二所定速度以上のときに作動する高速度領域制御システムとを含んでおり、
上記画像処理手段は、上記車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする一方、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の制御装置において、
上記複数の制御システムは、上記車両の全速度領域にて作動する全速度領域制御システムを更に含み、
上記画像処理手段は、上記車速検知手段により検知された車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにする一方、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されていること特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両の制御装置において、
上記第二所定速度は上記第一所定速度よりも高く設定されており、
上記画像処理手段は、上記車速検知手段により検知された車速が上記第一所定速度未満のときには、上記低速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記高速度領域制御システムのための画像処理を行わないようにし、上記車速が上記第一所定速度以上であって上記二所定速度未満のときには、上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システム及び上記高速度領域制御システムのための画像処理を実行しないようにし、上記車速が上記第二所定速度以上のときには、上記高速度領域制御システム及び上記全速度領域制御システムのための画像処理を実行するとともに、上記低速度領域制御システムのための画像処理を実行しないように構成されていることを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の制御装置において、
上記高速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両が走行する走行レーンの両側に設けられた白線を検知するとともに、該走行レーンに対する該車両の走行位置を認識して該車両が走行レーンから逸脱するのを防止するレーンキープシステムと、上記画像データを基に上記車両の先行車両を検知するとともに、該車両を該先行車両に追従させるクルーズ走行制御システムとの少なくとも一方を含むことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の制御装置において、
上記低速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両周辺に存在する歩行者を検知するとともに、該車両への該歩行者の衝突を検知したときに該衝突により該歩行者に加わる衝撃を緩和する衝撃緩和手段を有する歩行者保護システムと、上記画像データを基に、上記車両の先行車両の発進及び停止を検知するとともに、該先行車両の停止を検知したときには該車両を停止させる一方、該先行車両の発進を検知したときには該車両を発進させる車両発進停止制御システムとの少なくとも一方を含むことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の車両の制御装置において、
上記全速度領域制御システムは、上記撮像手段により撮像された画像データを基に、上記車両前方の障害物を検知するとともに、該障害物と上記車両との衝突を予知したときに、該車両の乗員が着用しているシートベルトを所定量巻き取ることで該乗員を拘束して保護するプリクラッシュセーフティシステムと、上記画像データを基に上記車両の対向車を検知するとともに、該対向車を検知したときに該車両のヘッドライトを減光するヘッドライト配向システムとの少なくとも一方を含むことを特徴とする車両の歩行者保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−137426(P2008−137426A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323780(P2006−323780)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】