説明

車輌用位置推定装置、車輌用位置推定方法、および車輌用位置推定プログラム

【課題】GPS、自律センサ、マップマッチングなどの従来型自車位置特定手段が有効に機能しない状況において、自車位置を一定の誤差以下の精度で特定可能な自車輌位置推定装置等を提供すること。
【解決手段】車車間通信手段101が現在位置の特定された周辺車輌からの現在位置情報を取得し、自車輌位置補正手段102が該現在位置情報を自車輌位置として記憶するように構成した。これにより、従来型の自車輌位置特定手段が有効に機能していない状況においても車車間通信電波の最大到達距離以下の精度で自車輌位置を特定し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムにおける車輌位置推定装置等に係り、特に自車輌が搭載する測位手段による車輌位置推定が困難な場合に有効に機能する車輌位置推定装置、車輌用位置推定方法、および車輌用位置推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、交通通信制御システムにおける車輌位置の推定装置としては、以下の手法のものが知られている。
(A)全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)による情報に基づくもの(特許文献1)。
(B)マップマッチングによるもの(特許文献2)。
(C)3Dジャイロのような自律センサによるもの(特許文献3)。
【0003】
この内、(A)の全世界測位システム(GPS)による情報に基づいて自車輌の位置を決定する公知技術(特許文献1)では、GPSによる測位を行うとともに、FM多重されているDGPS用誤差信号を受信して現在位置を補正する装置が開示されている。この場合、DGPS(高精度全世界測位システム)では、ある程度以上の数の衛星から信号を受信すると、高精度に自車位置を算出することができるように構成されている。
【0004】
又、マップマッチングによって自車輌の位置を決定する公知技術(特許文献2)では、GPSにより算出した自車輌位置と道路マップと比較し、GPSにより算出した自車輌位置が道路上に対応しなければ、想定範囲内に存在する道路を検索し、この検索した道路上にて自車輌位置を修正する方法のものが開示されている。
更に、3Dジャイロのような自律センサによって自車輌の位置を決定する公知技術(特許文献3)では、GPSによる測位と自律センサによる測位を行い、それぞれから得られる測位情報に信頼度係数を掛け合わせて現在位置とする車輌位置測位方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−304509号
【特許文献2】特開2003−97959号
【特許文献3】特許第3194907号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記三つの自車位置推定技術が全て有効に機能しなくなる場合がある。即ち、(1)近くのビルなどにより測位に十分な数のGPS信号が受信できない状況で、(2)地図データに記されている道路以外を走行し、(3)自律センサによる測位が困難になるようなハンドル操作を行うといった状況などが、それである。この種の代表的な例としては、都市部における立体駐車場が挙げられる。
【0006】
このような状況に陥った場合、駐車場内ではあまり不便はないが、駐車場から退場した場合に大きな問題が発生する。即ち、自車輌位置の精度が悪くなった状態で駐車場から退場すると、実際とは全く異なる道路上に自車輌が存在するものと判断され、その後もマップマッチングによって実際とは異なる道路上を走行しているかのようにドライバーに情報が通知されてしまうという事態が発生する。
【0007】
かかる場合、駐車場退場後の道路上では、多少の数のGPS信号を受信できる。しかしながら、測位に十分な信号を受信できないとマップマッチングによる測位結果が優先されるので、多くの場合、位置情報の復旧には時間を要するのが実情である。
一方、駐車場には入退場せずに、駐車場出口が接続している道路上を単に走行している車輌は、自車輌位置を特定できている可能性が高い。このことは、周辺の車輌では現在位置の把握ができているにもかかわらず、自車輌にあっては、現在位置を正確に把握できていないという状況が発生する。
【0008】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、周辺の車輌は位置が把握できているにもかかわらず、自車輌が自車輌位置を把握できていない状況にあって、自車輌位置が正しく把握することを可能とした車輌用位置推定装置、車輌用位置推定方法および車輌用位置推定プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる車輌用位置推定装置では、車輌用ナビゲーションシステムにおける車輌位置推定装置であって、周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報を受信可能な車車間通信手段と、この車車間通信手段が受信した位置情報を自車輌の現在位置情報として記憶する自車輌位置補正手段とを有することを特徴とする(請求項1)。
このため、これによると、車車間通信手段を介して得られる周辺車輌の位置を自車輌位置補正手段で自車の車輌位置として記憶し保持するようにしたので、一定の誤差範囲で自車位置を有効に且つ効率良く特定し且つこれを保持することができる。
【0010】
ここで、前述した車車間通信手段は、複数台の周辺車輌から位置を示す複数の情報を受信した場合には、受信した電波の内、強度が最大のものを選択する受信電波選択機能を備えた構成としてもよい(請求項2)。
これにより、受信電波選択機能が有効に作用して周辺車輌からは雑音の影響の少ない比較的鮮明な高感度の位置情報を得ることができ、装置の信頼性をより一層高めることができる。
【0011】
又、前述した自車輌位置補正手段に、自車輌の位置が把握できているか否かを判断する自車輌位置推定状況判断手段を併設する。そして、前述した自車輌位置補正手段は、前記自車輌位置推定状況判断手段によって自車輌の位置が把握できていないと判定された場合に前記車車間通信によって得られた位置情報を自車輌位置として記憶するように構成してもよい(請求項3)。
このため、これによると、GPS、自律センサ、又はマップマッチングの各手法によるいずれかの自車位置特定装置が機能しない場合に前述した自車輌位置補正手段が作動するようにしたので、装置全体の省エネルギー化を図ることができるという利点がある。
【0012】
又、前述した自車輌位置補正手段に、予め装備したセンサによって自車輌の周辺に存在する周辺車輌を情報発信車輌として検知して当該自車輌との相対位置関係を抽出する周辺車輌特定手段を併設する。そして、前述した自車輌位置補正手段は、前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記抽出された情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶するように構成してもよい(請求項4)。
【0013】
このようにすると、周辺車輌特定手段で得られる自車輌との相対位置関係に基づいて自車輌の位置情報を修正(補正)するようにしたので、自車輌の位置情報の精度をより一層高めることができる。
【0014】
ここで、上述した周辺車輌特定手段は、前記センサを距離センサとすると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えた構成としてもよい(請求項5)。
また、この周辺車輌特定手段については、前記センサを画像センサとすると共に当該画像センサによって得られる位置情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えた構成としてもよい(請求項6)。
【0015】
更に、前述した周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、この特定した情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とする(請求項7)。
このため、これによると、複数の周辺車輌の位置情報に基づいて自車の位置を推定することが可能であることから、当該自車の現在位置の精度を更に高めることができる。
【0016】
ここで、前述した周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての距離センサによって得られる距離情報に基づいて求める相対位置特定機能を備えた構成としてもよい(請求項8)。
又、前述した周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての画像センサによって得られる距離情報に基づいて求める相対位置特定機能を備えた構成としてもよい(請求項9)。
【0017】
更に、前述した車車間通信手段が複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正手段は、前記車車間通信手段が受信した位置を示す複数の情報の中から1つを選出して情報発信車輌からの位置情報とすると共に、当該選出した位置情報を当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正しこれを自車輌の位置として記憶することを特徴とする(請求項10)。
このため、これによると、複数の周辺車輌があっても単一の周辺車輌の場合と同様にその位置情報を取得し且つ補正することができ、迅速に位置情報の処理が可能となるという利点がある。
【0018】
ここで、前述した車車間通信手段が複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正手段は、前記車車間通信手段が受信した位置を示す情報の中から複数を選出してこれらを情報発信車輌からの位置情報とすると共に、当該選出した情報発信車輌からの位置情報を、複数の前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶するように構成してもよい(請求項11)。
【0019】
又、前述した車車間通信手段は周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報と該周辺車輌の属性を示す情報とを受信する周辺車輌情報受信機能を備え、前述した周辺車輌特定手段が、前記周辺車輌の位置を示す位置情報と当該各周辺車輌の属性を示す属性情報とを発信した車輌を,予め別に装備した撮像手段によって取得した画像中から前記情報発信車輌の属性に一致する車輌を見い出すことにより特定する発信車輌特定機能を備えた構成としてもよい(請求項15)。
このため、これによると、撮像手段により取得した画像中から前記情報発信車輌の属性に一致する車輌を見い出すようにしたので、周辺車輌の位置の確認が容易となり、このため、自車輌の位置をより正確に特定することができる、という利点がある。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明にかかる車輌用位置推定方法では、周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報を受信する車車間通信工程と、前記車車間通信工程が受信した位置情報を自車の車輌位置として記憶する自車輌位置補正工程とを有することを特徴とする(請求項16)。
このため、これによると、車車間通信工程で得られる周辺車輌の位置を自車輌位置補正工程で自車の車輌位置として記憶し保持するようにしたので、一定の誤差範囲で自車位置を確実に特定し保持することができる。
【0021】
ここで、前述した車車間通信工程では、複数台の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合に、受信した電波の内、最大強度の電波を選択するようにしてもよい(請求項17)。これにより、周辺車輌からは雑音による影響の少ない比較的鮮明な位置情報を得ることができる。
又、前述した自車輌位置補正工程の実行に先立って、前記自車輌の位置が把握できているか否かを判断する自車輌位置推定状況判断工程を設定し、前記自車輌位置補正工程では、前記自車輌位置推定状況判断工程によって自車輌の位置が把握できていないと判定された場合にのみ前記車車間通信によって得られた情報を自車輌位置として記憶するようにしてもよい(請求項18)。
このようにすると、装置全体の省エネルギー化を図ることができる。
【0022】
更に、前述した自車輌位置補正工程の実行に先立って、センサによって自車輌の周辺に存在する周辺車輌を情報発信車輌として検知し自車輌との相対位置関係を抽出する周辺車輌特定工程を設け、前記自車輌位置補正工程では、前記情報発信車輌から受信した位置情報を前記周辺車輌特定工程で抽出した前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正しこれを自車輌の位置情報として記憶するように構成してもよい(請求項19)。
【0023】
ここで、前述した周辺車輌特定工程では、前記センサとして距離センサを用いると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求めるようにしてもよい(請求項20)。
また、前述した周辺車輌特定工程では、前記センサとして画像センサを用いると共に当該画像センサによって得られる画像情報に基づいて前記相対位置関係を求めるようにしてもよい(請求項21)。
【0024】
更に、前述した周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、この特定した情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係を求めるように構成してもよい(請求項22)。
このようにすると、複数の周辺車輌の位置情報に基づいて自車の位置を推定することが可能であることから、当該自車の現在位置の精度を更に高めることができる。
【0025】
ここで、前述した周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を、前記センサとしての距離センサを用いて得られる距離情報に基づいて求めるようにしてもよい(請求項23)。
また、前述した周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を、前記センサとしての画像センサを用いて得られる画像情報に基づいて求めるようにしてもよい(請求項24)。
【0026】
更に、前述した車車間通信工程で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正工程では、前記車車間通信工程が受信した位置を示す情報の中から1つを選出して情報発信車輌からの情報とすると共に、前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶するようにしてもよい(請求項25)。 このようにすると、複数の周辺車輌があっても単一の周辺車輌の場合と同様にその位置情報を取得し且つ補正することができ、迅速に位置情報の処理が可能となるという利点がある。
【0027】
又、前述した車車間通信工程で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正工程では、前記車車間通信工程が受信した位置を示す情報の中から複数を選出して情報発信車輌からの情報とすると共に、複数の前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置として記憶するようにしてもよい(請求項26)。
【0028】
ここで、前述した自車輌位置推定状況判断工程では、GPSの信号を一定時間受信できなかった時にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしてもよい(請求項27)。又、この自車輌位置推定状況判断工程は、一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしてもよい(請求項28)。
更に、前述した自車輌位置推定状況判断工程では、GPS信号を一定時間受信できておらず且つ一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしてもよい(請求項29)。
【0029】
又、前述した車車間通信工程では、周辺車輌が発信する当該周辺車輌の位置を示す情報と該周辺車輌の属性を示す情報とを受信すると共に、前記周辺車輌特定工程では、前記周辺車輌の位置情報と属性情報とを発信した情報発信車輌を、予め装備した撮像手段によって取得した画像中から前記属性に一致した車輌を見い出してこれを位置情報および属性情報を発信した周辺車輌として特定するように構成してもよい(請求項30)。
このようにすると、属性情報に基づいて情報発信車輌を特定することから当該情報発信車輌を高精度に且つ迅速に特定することができ、位置情報の補正精度を高めることができる。
【0030】
ここで、上記車輌用位置推定方法にかかる各発明にあっては、構成要素である各工程の実行内容(各種情報処理部分)をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい(請求項31乃至45)。
このようにしても、前述した本発明の目的を有効に達成することができ、一定の誤差範囲で自車の車輌位置を効果的に特定することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、GPS、自律センサ、又はマップマッチングの各手法による自車位置特定装置のいづれもが有効に機能していない状況下にあっても、又、これらの各装置を装備していない場合であっても、周辺の車輌から車車間通信によってその現在位置情報を取得し且つ当該周辺車輌の現在位置情報を自車位置として格納し保持するようにしたので、一定の誤差範囲で自車位置を有効に特定することができるという従来にない優れた車輌用位置推定装置、位置推定方法、および位置推定プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1乃至図2に、本発明の第1の実施形態にかかる車輌用位置推定装置を示す。この図1乃至図2に示す車輌用位置推定装置は、自車輌と周辺の車輌との直接通信をする車車間通信手段101と、該車車間通信101によって獲得した自車輌の位置補正を行う自車輌位置補正手段102とを備えて成る。
【0033】
この場合、この車輌用位置推定装置を装備した車輌は、多くの場合、GPS,自律センサ,又はマップマッチングの各手法による自車位置特定装置の少なくとも何れか一つを備えている。本実施形態では、これら他の自車位置特定装置何れかを備えた車輌に、本実施形態における車輌用位置推定装置を装備した場合について説明する。
【0034】
前述した車車間通信手段101は、自車輌と周辺車輌との間で直接通信を行うもので、携帯電話のように基地局を経由することなく、アドホックに通信が可能なシステムを個性可能なものとなっている。この場合、通信する情報は周辺車輌の現在位置情報である。
車同士のアドホックな通信手段としては、例えば「IEEE802.11b」や「UWB(Ultra Wide Band:超広帯域通信システム)」がある。
【0035】
車車間通信手段101の具体的構成の一例について図1を参照しつつ説明する。
この図1に示す車車間通信手段101は、無線アンテナ11A、電波強度測定部11、データ受信部12、並びに通信制御部13を備えて成る。前記無線アンテナ11Aで受信した電波の強度は、前記電波強度測定部11で測定される。データ受信部12では、電波信号を復調し、データに変換する。この時、電波強度測定部11で測定した電波強度データも同時に受け取る。前記データ受信部12では、受信データである周辺車輌の現在位置情報と、電波強度データの双方を自車輌位置補正手段102に出力する。
【0036】
自車輌位置補正手段102は、車車間通信手段101から入力された周辺車輌の現在位置情報に基づいて自車輌の現在位置を補正する機能を備えている。
この自車輌位置補正手段102は、図1に示すように、データ格納部21、データ送信部22ならびにデータ処理制御部23を備えてなる。データ格納部21では、前記車車間通信手段101から入力したデータを格納し、該データを本実施形態における装置(車輌用位置推定装置)以外の装置に提供するインターフェースを備えている。これらの動作は、全てデータ処理制御部23でコントロールされるようになっている。
このデータ処理制御部23も、本装置(車輌用位置推定装置)以外の外部装置との情報授受を可能とするインターフェースを備えている。
【0037】
ここで、上述した自車輌位置補正手段102の動作例を、図2(B)のフローチャートを用いて詳細に説明する。
今、電源ACCがオン(S111)になった時点でタイマーをセットする(S112)。このタイマーは、前述したデータ処理制御部23内に予め装備されている。
次に、周辺車輌から、その車輌の車輌位置情報を含む電波を受信する(S113:車車間通信工程)。この時、受信された電波強度Iを電波強度測定部11で計測する。計測された電波強度が予め設定しておいた閾値Ish以上であるか否かを判定する(S114)。
【0038】
ここで、計測された電波強度が閾値Ish以上の場合は、更にACCオン時に設定したタイマーT1が予め設定しておいた閾値時間以内であれば(S115)、前記の受信電波による車輌位置情報を自車位置として設定する(S116,S118)。
一方、ある時間Tsh以内に、予め設定しておいた電波強度の閾値Ish以上の信号を受信しなかった場合(S117,S118)には、位置情報を記憶しない。
尚、この実施形態では、周辺車輌の車輌位置情報を受信しているが、その他、周辺車輌が有するDGPS用の補正信号情報でもよい。
【0039】
次に、上記第1実施形態の全体的な動作を、図2(A)に基づいて説明する。
この図2(A)は、この第1実施形態における車輌位置推定装置が行う処理過程の一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、車車間通信手段101は周辺の車輌が発信した車輌位置情報を受信する(ステップS001:車車間通信工程)。そして、自車輌位置補正手段102は、車車間通信手段101が受信した車輌位置情報を自車輌の現在位置として記憶する(ステップS002:自車輌位置補正工程)。具体例として、例えばステップS001で取得した車輌位置情報が(緯度I、経度K)であるとすると、ステップS002では(緯度I、経度K)の地点を自車輌位置として記憶する。具体的には、予め備えている自車輌位置にかかる情報に代えて当該車車間通信手段101が受信した車輌位置情報を自車輌の補正された位置情報として取込む。
又、ステップS001で取得した車輌位置情報は、本来、電波を送信した側の周辺車輌の現在位置を示すが、無線電波の最大到達距離をd(m)とすると、誤差d(m)以下の精度で自車輌位置にかかる位置情報としてこれを特定することができる。
【0041】
以上のように、自車輌が従来の自車輌位置特定手段によって自車輌の位置を特定できない場合でも、現在位置を特定している近隣車輌から車車間通信によって現在位置情報を取得し、これを自車輌の位置とすることにより、車車間通信電波の最大到達距離を最大誤差とした精度で、自車位置を特定することができる。
【0042】
尚、上記実施例ではGPS、3Dジャイロ、マップマッチングなど測位方法を用いないことを前提として、実施形態を説明したが、これらの測位方法を搭載したものに本実施形態にかかる車輌位置推定装置を装備してもよい。
この場合は、ステップS001により位置情報が取得できた場合のみ、次のステップS002を実行する。そして、周辺車輌からの電波が受信できていない場合には、ステップS002で記憶した自車位置を初期値として自律センサ(自車輌が備えているセンサ)による自車輌位置の修正を時々刻々と実施すればよい。
【0043】
また、この第1の実施形態では、車輌位置情報として周辺車輌の緯度経度の座標を受信する場合を示したが、位置情報としては、これに加えて走行している道路の名称や、走行している道路の方向を含んでもよい。道路の方向としては「南から北へ」といった表現や、北方を0度、東方を90度、南方を180度などで表した場合の車輌の進行方向を角度で表現してもよい。
【0044】
更に、この第1の実施形態にあっては、車車間通信手段101が周辺車輌から発信された車輌位置情報を受信するように構成されている(S001)が、このとき、周辺の車輌より受信した電波が予め設定した一定の強度以下であった場合には、それを使わなくてもよい。一方、一定強度以上の複数の電波を受信した場合には、最大強度のものから得られる車輌位置情報のみを用いるようにしてもよい。
【0045】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態を図3乃至図4に基づいて説明する。
ここで、前述した第1実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0046】
まず、図3において、本第2実施形態にかかる車輌位置推定装置は、自車輌と周辺の車輌との直接通信をする車車間通信手段101と、この車車間通信101によって獲得した自車輌の位置補正を行う自車輌位置補正手段102とを備えている。そして、この自車輌位置補正手段102には、当該自車輌が装備しているGPS,自律センサ,又はマップマッチング等による従来型の車輌位置測定システム(測位システム)が正常に作動しているか否か判断する自車位置推定状況判断手段103が併設されている。
【0047】
この内、車車間通信手段101および自車輌位置補正手段102の具体的構成は、上述した図1で説明したものと同様となっている。
一方、この自車輌位置補正手段102に併設された自車位置推定状況判断手段103は、GPS,自律センサ,又はマップマッチングなどによる従来型の測位システムが有効に機能している状態か否かを調べて車輌位置の確からしさを検証する機能を有すると共に、他車輌から位置情報を取得した方がよいか否かの判断結果を自車輌位置補正手段102に出力する状況判断機能を備えている。
【0048】
ここで、この自車位置推定状況判断手段103の具体的構成の一例について図3(B)に基づいて説明する。
この図3(B)に示す自車位置推定状況判断手段103は、自律センサである車速センサ31、ハンドル切り角センサ32、加速度センサ33を初め、車輌回転角計算部34、GPSロスト検出部35、DGPS受信検出部36、位置推定精度劣化判定部37、並びに全体制御部38を備えて成る。符号37はFM受信部を、符号37AはFM受信部37のアンテナを、それぞれ示す。また、符号38はGPS受信部を、符号38AはGPS受信部38のアンテナを、それぞれ示す。
【0049】
この場合、自車輌位置を推定するための原データ(基本となるデータ)としては、GPSの信号やDGPSの信号などの外部からの信号情報と、加速度センサ,車速センサ,ハンドル切り角センサ等の自車輌に搭載している自律センサ30からの情報に基づいて車輌の回転角を計算して得られる回転角部からの出力情報との二種類が用いられる。そして、位置推定精度劣化判定部37は、後述するように自車輌の位置推定が信頼できるかを判定し(図4(B)参照)、その結果で、ある信頼できるか否かの判定結果を前述した自車輌位置補正手段102に出力する。
【0050】
ここで、上記自車位置推定状況判断手段103の動作の一例を、図4(B)のフローチャートを用いて説明する。
まず、位置推定精度劣化判定部37におけるGPSによる自車輌位置推定精度が劣化しているか否かが判定される。GPSによる自車輌位置の推定精度が劣化しているか否かの判断は、GPS衛星からの受信状況、即ち、捕捉した衛星の位置や個数によって判断されるようになっている。例えば、GPS衛星からの信号を一個も受信出来ない場合は劣化と判断し、又2個の場合も3次元精度が確保できないので劣化と判断されるようになっている(S211)。
【0051】
続いて、前述した自律センサからの情報を用いて、自車輌の回転角度が計算される(S212)。GPS精度が劣化していると判定されてから、自車輌の回転角を前記自律センサを用いて計算する。この場合、例えば回転角が予め設定しておいた閾値Rshを越えた場合に(S213)、自車輌の位置推定精度が劣化していると判定する(S214)。
そして、この自車輌の位置推定精度が劣化していると判定された場合には、周辺車輌の位置情報を受信すると共にこれを自車輌の位置情報に設定する。
【0052】
尚、この第2実施形態では、周辺車輌の車輌位置情報を受信しているが、前述した第1実施形態の場合と同様に、周辺車輌が有するDGPS用の補正信号情報を受信してもよい。
【0053】
次に、上記第2実施形態における装置全体の動作を図4(A)に基づいて説明する。
まず、前述した自車輌位置推定状況判断手段103は、GPS,自律センサ,又はマップマッチングなどによる従来型の車輌位置推定装置が有効に機能している状態か否かを調べて車輌位置の現時点における確からしさを検証し、周辺車輌から位置情報を取得した方がよいか否かの判断を行い、その結果を自車輌位置補正手段102に出力する(ステップS201:自車輌位置推定状況判断工程)。
【0054】
ここで、この自車輌位置推定状況判断工程で成される車輌位置の現時点における確からしさを検証は、本実施例ではGPSの信号を一定時間受信できなかった時にのみ自車位置が把握できていないと判断するように予め設定されている。
この場合、GPSの信号受信のタイミング判断とは別に、一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしてもよい。 或いは、GPS信号を一定時間受信できず且つ一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしてもよい。
【0055】
続いて、自車輌位置補正手段102は、自車輌位置推定状況判断手段103が周辺車輌から位置情報を取得した方がよいと判断したか否か(自車輌の位置が把握されているのか否か)をチェックする(ステップS202)。そして、周辺車輌から位置情報を取得した方がよいと判断した場合(自車輌の位置が把握されていないと判断された場合)には、車車間通信手段101が取得した周辺車輌からの現在位置情報ステップS203)を自車輌位置として記憶する(ステップS204:自車輌位置補正工程)。
【0056】
一方、周辺車輌からの情報取得が必要ないと判断された場合には、再びステップS701を実行する。ここで、車車間通信手段101は、自車輌位置補正手段102から位置情報取得要求があった場合のみ車車間通信を行う。この位置情報取得要求時のみ車車間通信を行うことによって、車車間通信量を低減でき、車車間通信手段への負荷を低減することができ、装置全体の耐久性向上および電源の省エネルギー化を図ることができる。
ここで、本第2実施形態において、位置情報を発信する周辺車輌は、該周辺車輌に搭載された自車位置推定状況判断手段103によって車輌位置が把握できていると判断できた場合にのみ車車間通信によって情報を発信してよい。そうすることによって、不確かな情報を周辺に伝搬させることを防止することができる。
【0057】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施形態を図5乃至図6に基づいて説明する。
この第3実施形態にかかる車輌位置推定装置は、図5(A)に示すように、自車輌と周辺の車輌との直接通信をする車車間通信手段101と、この車車間通信101によって獲得した自車輌の位置の補正を行う自車輌位置補正手段102とを備え、更に、自車位置推定状況判断手段103、および周辺車輌特定手段104を新たに備えて成る。
この内、車車間通信手段101、および自車位置推定状況判断手段103は、前述した第2の実施形態と同一のものが使用されている。
【0058】
前述した周辺車輌特定手段104は、自車輌に予め搭載されたセンサを用いて周辺に存在する車輌を検知し、その相対位置関係を抽出する機能を備えている。
この車輌の検知および相対位置関係の抽出には、例えば1台の撮像装置をセンサとして用いる場合では、文献「エッジペア特徴空間射影法を用いた車輌検知技術の開発」、ViEW2005ビジョン技術の実利用ワークショップ講演予稿集:pp.160〜165((社)精密工学会)などに記載の技術にかかる撮像装置を使用してもよい。
又、二台のカメラを使ってステレオ視を行う方法としては、文献「自動車前方監視用のステレオ画像認識装置の開発」、信学技報、PRMU2001−90、pp.37〜42((社)電子情報通信学会)などが知られている。
【0059】
更に、相対位置関係の抽出に際しては、前記のような撮像デバイスによるもの以外の測距センサを用いてもよい。例えば、ミリ波センサ、レーザーセンサ、超音波センサ等の距離センサ、およびこれに対応する必要な処理装置を用いて相互間の距離を測定することにより、自車輌と周辺に存在する車輌との相対位置関係を求めることができる。
【0060】
ここで、前述した自車輌位置補正手段102は、前述したように、自車輌位置推定状況判断手段103が周辺車輌から位置情報を取得した方がよいと判断した場合に、車車間通信手段101から取得した周辺車輌の位置情報を(周辺車輌特定手段104が抽出した相対位置情報で補正した値)を自車輌の位置として記憶する機能を備えている。
【0061】
次に、上記第3の実施形態の全体的な動作を、図6(B)に基づいて説明する。
まず、自車輌位置推定状況判断手段103は、GPS,自律センサ,マップマッチングなどによる従来型の車輌位置推定装置が有効に機能している状態か否かを調べ、車輌位置の確からしさを検証し、周辺車輌から位置情報を取得した方がよいか否か(自車輌位置が把握されているか否か)の判断結果を自車輌位置補正手段102に出力する(ステップS301)。
【0062】
続いて、自車輌位置補正手段102は、前述した自車輌位置推定状況判断手段103が周辺車輌から位置情報を取得した方がよい(自車輌位置が把握されていない)と判断したか否かをチェックする(ステップS302)。そして、周辺車輌から位置情報を取得した方がよいと判断がなされた場合には、車車間通信手段101が周辺車輌から現在位置情報を取込む(ステップS303)と共に、前述した自車輌位置補正手段102は、予め装備されたセンサとしての撮像手段(画像センサ)によって得た画像中から周辺車輌とその相対位置関係を検出し(周辺車輌特定工程)、周辺車輌から得た現在位置情報を前記相対位置情報に基づいて補正し、自車輌位置として記憶する(ステップS305:自車輌位置補正工程)。
この場合、上記センサとして距離センサを用いると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求めるようにしてもよい。
【0063】
ここで、相対位置情報による周辺車輌情報の具体的な補正の例を説明する。
今、周辺車輌から、その存在位置「北緯 H1度、東経 T1度」、進行方向「北向き」との情報を受信したとする。更に、周辺車輌特定手段104が抽出した周辺車輌の自車輌に対する相対位置が「北にH2度、西にT2度」とすると、自車輌位置補正手段102は「北緯H1−H2度、東経T1+T2度」を自車輌の存在位置として記憶する。
また、相対位置関係が自車輌の車載カメラを中心とした座標系で示される場合には、自車輌カメラの光軸向き,内部パラメータ,および地球の半径、等の情報を用いて上記情報が算出される。
【0064】
このように、上述した実施形態によれば、周辺車輌の位置情報に基づいてより詳細に自車輌の位置を特定することが可能となる。
【0065】
〔周辺車輌が複数の場合の処理(その1)〕
次に、上記各実施形態においては、周辺車輌として1台の車輌のみが検出された場合について説明したが、車車間通信手段101が受信した周辺車輌の位置情報は一つであるにもかかわらず、周辺車輌特定手段104が複数の車輌を検出した場合の処理について説明する。
【0066】
この場合は車車間通信手段101によって、周辺車輌の位置情報だけでなく周辺車輌の属性情報も、受信する。ここで、属性情報とは、車輌登録番号,車種,車体色,外観画像などを指す。
【0067】
周辺車輌特定手段104は、受信した属性情報に合致する車輌を画像中から検知する。車輌登録番号の認識方法としては、例えば特願2005−023428の「文字読取り装置、文字読取り方法及び該文字読取り装置に用いられる文字読取り制御プログラム」に記載の方法を利用することができる。
外観画像としては、例えば図6(A)に示すような、周辺車輌自体を様々な方向から見た場合の画像をまとめたもの等が挙げられる。これらの手法によって情報を発信した車輌が特定された(周辺車輌特定工程)後は、周辺車輌が1台しか検出されなかった場合と同様に処理を行うことができる。
【0068】
前述した周辺車輌特定手段104は、図5(B)に示すように、車輌属性格納部41、画像センサ42、画像格納部43、車輌属性検索部44、相対位置計算部45、ならびに制御部46を備えて成る。
この場合、車車間通信手段101によって通信した周辺車輌から、その現在位置の情報と共にその車輌の属性に関する情報を同時に受信し、車輌属性格納部41に格納する。車輌属性としては、前述したように、車輌登録番号,車種,車体色,および外観画像などを指す。
【0069】
続いて、画像センサ42を使って、自車輌の周囲を撮像し画像格納部43に蓄積する。画像センサ42は可視光カメラでも赤外カメラでよい。車輌属性検索部(属性一致車輌特定部)44においては、前記画像格納部の画像中から前記車輌属性格納部41内の属性情報に合致する車輌を抽出する。そして、車輌が抽出されたならば、当該車輌の自車輌に対する相対位置を相対位置計算部45で計算する(周辺車輌特定工程)。続いて、その相対位置計算結果を自車輌位置補正手段102に送る。そして、情報発信にかかる車輌が特定された後は、自車輌位置補正手段102が動作し、周辺車輌が1台しか検出されなかった場合と同様に処理される。符号46は動作制御部を示す。この動作制御部46によって上記各構成部分の動作が制御されるようになっている。
【0070】
〔周辺車輌が複数の場合の処理(その2)〕
次に、複数台の車輌が周辺に存在し且つ車車間通信手段101が複数の車輌から位置情報を受信した場合の処理について、図7乃至図10に基づいて詳細に説明する。
【0071】
図7に、自車輌1407の周辺に複数台の周辺車輌1401,1402,1403が存在し、それらから位置情報1401a,1402a,1403aを受信した状況を示す。この場合の前記周辺車輌特定手段104の動作の一例を図8に示す。
この図8で、まず、車車間通信手段101で複数の周辺車輌から複数の位置情報1401a,1402a,1403aを受信した場合(ステップS501:周辺車輌特定工程)、周辺車輌特定手段104が位置情報1401a〜1403aの中からもっとも有用と考えられる車輌からの周辺情報を1つ選択し(ステップS502)、この情報しか受信しなかったものとして処理を行う(ステップS503)。
この場合、有用な情報の選択方法としては、上記各実施形態では、複数の周辺車輌を検知した場合に最も受信強度の強いもの、最も早い時刻に受信した車輌が選択され、基準車輌として設定される。そして、この特定された情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係が、前述した第2実施形態における周辺車輌が一個の場合と同様に、距離センサ又は画像センサを用いて得られる情報に基づいて算定されるようになっている。
【0072】
また、図9に、上述した周辺車輌特定手段104の他の動作例を示す。
この図9に示す動作例は、まず、車車間通信手段101で複数の周辺車輌からの位置情報1401a,1402a,1403aを受信した場合(ステップS601)、周辺車輌特定手段104が、位置情報1401a〜1403aの中から有用と考えられる情報を複数選択した場合の例を示す。この複数の情報を選択する場合(ステップS602)には、各情報に対して、当該情報を発信した周辺車輌を特定して相対位置関係を抽出する(ステップS603:周辺車輌特定工程)。
図10に、各情報に基づいて算出した自車輌推定位置1701〜1703を示す。この図10にあって、符号1704は、前述した複数の各情報の信頼性によって重み付け平均して得た最終的な自車輌の修正された現在位置を示す(ステップS1604)。この場合、信頼性が不明な場合は等しく重み付けし修正すればよい。
【0073】
ここで、上述した事例では、自車輌推定位置1701〜1703を重み付け平均して最終的自車輌位置1704を得たが、最小自乗近似などによって最終的な自車輌位置を求めてもよい。
【0074】
そして、このように、複数の車輌から受信した情報を用いて自車輌位置を推定することによって、1台の車輌からの情報を用いる場合に比べ、さまざまな要因に基づく位置の誤差が平均化され、これにより、より正確な位置が得られる。
【0075】
ここで、上述した各実施形態における動作説明に際して実行された各工程については、その実行内容である情報処理内容をプログラム化し、それらをコンピュータに実行させるように構成しても良い。
【0076】
以上のように、上述した各実施形態にあっては、GPS、自律センサ、又はマップマッチングの各手法による自車位置特定装置のいづれもが有効に機能していない状況下にあっても、又、これらの各装置を装備していない場合であっても、周辺の車輌から車車間通信によってその現在位置情報を取得し且つ当該周辺車輌の現在位置情報を自車位置として格納し保持するようにしたので、一定の誤差範囲で自車位置を有効に特定することができる。
【0077】
また、自車輌位置が特定できていない時のみ車車間通信を行うようすることによって、周辺車輌の現在位置情報を取得する回数を減らことができ、これによって通信手段101に対する負荷を低減できるという効果を有する。
更に、周辺車輌特定手段104を更に別に設けることにより、より高精度に自車位置を推定することができる。その理由は、周辺車輌から受信した周辺車輌の現在位置情報を、該情報発信した車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて補正することにより、自車の現在位置を計算することができるからである。
【0078】
又、周辺車輌の中から該情報発信した車輌を特定し且つ周辺車輌から受信した周辺車輌の現在位置情報を該情報発信した車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて補正するようにするようにし、又、情報発信した車輌が複数ある場合には、各車輌から得た情報を総合して自車輌位置を推定することができるため、前述した周辺車輌が複数台存在する場合でもあっても、高精度に自車輌位置を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロックである。
【図2】図1に示す第1実施形態における動作を示す図で、図2(A)は装置全体の動作を示すフローチャート、図2(B)は図1内に開示した自車輌位置補正手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態を示す図で、図2(A)はブロック図、図2(B)は図2(A)における自車輌位置推定状況判断手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す第2実施形態における動作を示す図で、図3(A)は全体の動作を示すフローチャート、図3(B)は図2(A)内に開示した自車輌位置推定状況判断手段の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態を示す図で、図3(A)はブロック図、図3(B)は図3(A)における周辺車輌特定手段の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す第3実施形態における動作を示す図で、図6(A)は周辺車輌の外観画像(車輌属性情報)の一例を示す説明図、図6(B)は図5に示す第3実施形態の全体的な動作を示すフローチャートである。
【図7】複数の周辺車輌から情報を受信する状況を示す説明図図である。
【図8】図5に示す第3実施形態における周辺車輌特定手段の動作例(一の情報を選択)を示すフローチャートである。
【図9】図5に示す第3実施形態における周辺車輌特定手段の動作例(複数の情報を選択)を示すフローチャートである。
【図10】複数の周辺車輌からの情報に基づいて自車輌位置を推定する様子を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0080】
101 車車間通信手段
102 自車輌位置補正手段
103 自車輌位置推定状況判断手段
104 周辺車輌特定手段
1401,1402,1403 周辺車輌
1401a,1402a,1403a 車輌位置情報
1701,1702,1703 個別に推定された自車輌推定位置
1704 最終的に推定された自車輌推定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報を受信可能な車車間通信手段と、この車車間通信手段が受信した位置情報を自車輌の現在位置情報として記憶する自車輌位置補正手段とを有し、
前記自車輌位置補正手段が、予め記憶されている自車輌の位置情報に代えて前記車車間通信手段が受信した位置情報を補正情報として記憶する補正記憶機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の車輌用位置推定装置において、
前記車車間通信手段は、複数台の周辺車輌から位置を示す複数の情報を受信した場合には、受信した電波の内、強度が最大のものを選択する受信電波選択機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の車輌用位置推定装置において、
前記自車輌位置補正手段に、自車輌の位置が把握できているか否かを判断する自車輌位置推定状況判断手段を併設し、
前記自車輌位置補正手段は、前記自車輌位置推定状況判断手段によって自車輌の位置が把握できていないと判定された場合に前記車車間通信によって得られた位置情報を自車輌位置として記憶することを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の車輌用位置推定装置において、
前記自車輌位置補正手段に、予め装備したセンサによって自車輌の周辺に存在する周辺車輌を情報発信車輌として検知して当該自車輌との相対位置関係を抽出する周辺車輌特定手段を併設し、
前記自車輌位置補正手段は、前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記抽出された情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正すると共にこれを自車輌の位置情報として記憶する位置情報修正記憶機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項5】
前記請求項4に記載の車輌用位置推定装置において、
前記周辺車輌特定手段は、前記センサを距離センサとすると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項6】
前記請求項4に記載の車輌用位置推定装置において、
前記周辺車輌特定手段は、前記センサを画像センサとすると共に当該画像センサによって得られる位置情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項7】
前記請求項4乃至6の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、この特定した情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて前記相対位置関係を求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載の車輌用位置推定装置において、
前記周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての距離センサによって得られる距離情報に基づいて求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項9】
前記請求項7に記載の車輌用位置推定装置において、
前記周辺車輌特定手段は、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての画像センサによって得られる距離情報に基づいて求める相対位置特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項10】
前記請求項7乃至9の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記車車間通信手段が複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正手段は、前記車車間通信手段が受信した位置を示す複数の情報の中から1つを選出して情報発信車輌からの位置情報とすると共に、当該選出した位置情報を当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正しこれを自車輌の位置として記憶することを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項11】
前記請求項7乃至9の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記車車間通信手段が複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正手段は、前記車車間通信手段が受信した位置を示す情報の中から複数を選出してこれらを情報発信車輌からの位置情報とすると共に、当該選出した情報発信車輌からの位置情報を、複数の前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶することを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項12】
前記請求項3乃至11の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記自車輌位置推定状況判断手段は、全地球位置測位システム(GPS)の信号を一定時間受信できなかった時に自車位置が把握できていないと判断する状況判断機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項13】
前記請求項3乃至11の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記自車輌位置推定状況判断手段は、一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合に自車位置が把握できていないと判断する状況判断機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項14】
前記請求項3乃至11の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記自車輌位置推定状況判断手段は、GPS信号を一定時間受信できておらず且つ一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合に自車位置が把握できていないと判断する状況判断機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項15】
前記請求項4乃至11の何れか1項に記載の車輌用位置推定装置において、
前記車車間通信手段は周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報と該周辺車輌の属性を示す情報とを受信する周辺車輌情報受信機能を有し、
前記周辺車輌特定手段が、前記周辺車輌の位置を示す位置情報と当該各周辺車輌の属性を示す属性情報とを発信した車輌を,予め別に装備した撮像手段によって取得した画像中から前記情報発信車輌の属性に一致する車輌を見い出すことにより特定する発信車輌特定機能を備えていることを特徴とした車輌用位置推定装置。
【請求項16】
周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報を受信する車車間通信工程と、この車車間通信工程で受信した位置情報を自車の車輌位置として記憶する自車輌位置補正工程とを備え、
前記自車輌位置補正工程が、予め記憶されている自車輌の位置情報に代えて前記車車間通信手段が受信した位置情報を補正情報として記憶するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項17】
前記請求項16に記載の車輌用位置推定装置において、
前記車車間通信工程では、複数台の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合に、受信した電波の最大強度のものを選択するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項18】
前記請求項16又は17に記載の車輌用位置推定方法において、
前記自車輌位置補正工程の実行に先立って、前記自車輌の位置が把握できているか否かを判断する自車輌位置推定状況判断工程を設け、
前記自車輌位置補正工程では、前記自車輌位置推定状況判断工程によって自車輌の位置が把握できていないと判定された場合にのみ前記車車間通信によって得られた情報を自車輌位置として記憶するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項19】
前記請求項18に記載の車輌用位置推定方法において、
前記自車輌位置補正工程の実行に先立って、センサによって自車輌の周辺に存在する周辺車輌を情報発信車輌として検知し自車輌との相対位置関係を抽出する周辺車輌特定工程を設け、
前記自車輌位置補正工程では、前記情報発信車輌から受信した位置情報を前記周辺車輌特定工程で抽出した前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置として記憶することを特徴とした車輌用位置推定方法。
【請求項20】
前記請求項19に記載の車輌用位置推定方法において、
前記周辺車輌特定工程では、前記センサとして距離センサを用いると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求めるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項21】
前記請求項19に記載の車輌用位置推定方法において、
前記周辺車輌特定工程では、前記センサとして画像センサを用いると共に当該画像センサによって得られる画像情報に基づいて前記相対位置関係を求めるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項22】
前記請求項19乃至21の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、この特定した情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係を求めるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項23】
前記請求項22に記載の車輌用位置推定方法において、
前記周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を、前記センサとしての距離センサを用いて得られる距離情報に基づいて求めるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項24】
前記請求項22に記載の車輌用位置推定方法において、
前記周辺車輌特定工程では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定すると共に、当該情報発信車輌との間の相対位置関係を、前記センサとしての画像センサを用いて得られる画像情報に基づいて求めるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項25】
前記請求項22乃至24の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記車車間通信工程で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正工程では、前記車車間通信工程が受信した位置を示す情報の中から1つを選出して情報発信車輌からの情報とすると共に、前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項26】
前記請求項22乃至24の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記車車間通信工程で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信した場合、前記自車輌位置補正工程では、前記車車間通信工程が受信した位置を示す情報の中から複数を選出して情報発信車輌からの情報とすると共に、複数の前記情報発信車輌から受信した位置情報を、前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置として記憶することを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項27】
前記請求項18乃至26の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記自車輌位置推定状況判断工程では、GPSの信号を一定時間受信できなかった時にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項28】
前記請求項18乃至26の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記自車輌位置推定状況判断工程では、一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項29】
前記請求項18乃至26の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記自車輌位置推定状況判断工程では、GPS信号を一定時間受信できず且つ一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項30】
前記請求項19乃至26の何れか1項に記載の車輌用位置推定方法において、
前記車車間通信工程では、周辺車輌が発信する当該周辺車輌の位置を示す情報と該周辺車輌の属性を示す情報とを受信すると共に、
前記周辺車輌特定工程では、前記周辺車輌の位置情報と属性情報とを発信した情報発信車輌を、予め装備した撮像手段によって取得した画像中から前記属性に一致した車輌を見い出してこれを前記位置情報および属性情報を発信した周辺車輌として特定するようにしたことを特徴とする車輌用位置推定方法。
【請求項31】
周辺車輌が発信する該周辺車輌の位置を示す情報が受信された場合に当該位置情報を内容分析可能な状態に処理する車車間通信情報処理、
この受信処理された位置情報を自車輌の現在位置情報として取得し記憶する自車輌位置補正処理、
および前記自車輌位置補正処理では、予め記憶されている自車輌の位置情報に代えて前記車車間通信処理で受信処理された位置情報を補正情報として記憶処理することをその内容とし、
これらをコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項32】
前記請求項31に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記車車間通信情報処理では、複数台の周辺車輌から各位置情報が受信された場合には、当該受信された電波の内の最大強度のものを選択する電波選択処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とした車輌用位置推定プログラム。
【請求項33】
前記請求項31又は32に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記自車輌位置補正処理に先行した処理,即ち前記自車輌の位置情報が把握されているか否かを判断する自車輌位置推定状況判断処理を設け、
前記自車輌位置補正処理では、前記自車輌位置推定状況判断処理によって自車輌の位置が把握できていないと判定された場合にのみ前記車車間通信によって得られた位置情報を自車輌の位置情報として特定し記憶する処理を設け、
これらをコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項34】
前記請求項33に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記自車輌位置補正処理に先行した処理,即ち前記自車輌の周辺に存在する周辺車輌をセンサによって情報発信車輌として検知し自車輌との相対位置関係を抽出する周辺車輌特定処理を設け、
前記自車輌位置補正処理では、前記情報発信車輌から受信した位置情報を前記周辺車輌特定処理で抽出した前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置として記憶する処理を設け、
これらをコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項35】
前記請求項34に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記周辺車輌特定処理では、前記センサとして距離センサを用いると共に当該距離センサによって得られる距離情報に基づいて前記相対位置関係を求める処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項36】
前記請求項34に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記周辺車輌特定処理では、前記センサとして画像センサを用いると共に当該画像センサによって得られる画像情報に基づいて前記相対位置関係を求める処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項37】
前記請求項34至36の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記周辺車輌特定処理では、複数の周辺車輌を検知した場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定する処理、およびこの特定された情報発信車輌から受信した位置情報に基づいて当該情報発信車輌と自車輌との相対位置関係を求める処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とした車輌用位置推定プログラム。
【請求項38】
前記請求項37に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記周辺車輌特定処理では、複数の周辺車輌の情報が入力処理された場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定する処理、およびこの特定された情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての距離センサを用いて得られる距離情報に基づいて求める処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項39】
前記請求項37に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記周辺車輌特定処理では、複数の周辺車輌の情報が入力処理された場合に前記車車間通信によって位置を示す情報を発信した前記情報発信車輌を特定する処理、およびこの特定された情報発信車輌との間の相対位置関係を前記センサとしての画像センサを用いて得られる画像情報に基づいて求める処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項40】
前記請求項37乃至39の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記車車間通信処理で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信処理した場合、前記自車輌位置補正処理では、前記車車間通信処理で受信処理した複数の位置情報の中から1つを選出して情報発信車輌からの位置情報とする処理、および前記情報発信車輌から受信した位置情報を前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置情報として記憶する処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項41】
前記請求項37乃至39の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記車車間通信処理で複数の周辺車輌から位置を示す情報を受信処理した場合、前記自車輌位置補正処理では、前記車車間通信処理で受信処理した位置情報の中から複数を選出して情報発信車輌からの位置情報とする処理、および複数の前記情報発信車輌から受信した位置情報を前記情報発信車輌と自車輌との相対位置関係に基づいて修正し自車輌の位置として記憶する処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項42】
前記請求項33乃至41の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記自車輌位置推定状況判断処理では、GPSの信号を一定時間受信できなかった時にのみ自車位置が把握できていないと判断する状況判断処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項43】
前記請求項33乃至41の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記自車輌位置推定状況判断処理では、一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断する状況判断処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項44】
前記請求項33乃至41の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記自車輌位置推定状況判断処理では、GPS信号を一定時間受信できておらず且つ一定時間内に予め定めたハンドル操作を行った場合にのみ自車位置が把握できていないと判断する状況判断処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。
【請求項45】
前記請求項34乃至41の何れか1項に記載の車輌用位置推定プログラムにおいて、
前記車車間通信処理では、周辺車輌が発信する当該周辺車輌の位置を示す情報と該周辺車輌の属性を示す情報とを受信処理すると共に、
前記周辺車輌特定処理では、前記周辺車輌の位置情報と属性情報とを発信した情報発信車輌を、予め装備した撮像手段によって取得した画像中から前記属性に一致した車輌を見い出してこれを前記位置情報および属性情報を発信した周辺車輌として特定する車輌特定処理、をコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする車輌用位置推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−257763(P2009−257763A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181674(P2006−181674)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】