説明

道路地図更新システムおよびその道路地図更新システムに用いる車両側装置

【課題】道路地図データをより有用な内容に逐次更新することができる道路地図更新システム用の車両側装置を提供する。
【解決手段】新規道路判定手段112により、走行中の道路が新規道路であるか否かを判定して、新規道路である場合の走行軌跡と、新規道路を走行中に車載カメラ14によって撮像した車両周囲の画像とを地図管理装置へ送信する。地図管理装置は、走行軌跡から新規道路の形状を決定することができる。また、画像を解析することにより、新規道路のより詳細な情報および新規道路の周辺にどのような施設が存在するかも決定することができる。これら画像解析から得られる情報も含めてセンタ側道路地図データを更新しているので、センタ側道路地図データがより有用なものとなる。また、画像データを送信するのは、その画像データが天候情報に基づいて地図更新に使用可能と判定できた場合に限られるので、データを送信する回数が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図更新システムおよびその道路地図更新システムに用いる車両側装置に関し、特に、車載ナビゲーション装置に用いる道路地図を更新するのに好適な道路地図更新システムおよび車両側装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路地図はできるだけ最新の道路状況を反映したものに随時更新されることが望まれる。ところが、最新の道路状況を反映した道路地図を作成するには、新たに作成された道路およびその周辺の状況を確認する必要があることから、航空写真撮影や現地調査が必要である。しかし、航空写真撮影や現地調査を頻繁に行うのはコスト増を招いてしまうので、頻度には一定の制限が生じる。
【0003】
そこで、車両に搭載されたナビゲーション装置を利用して道路地図データを更新する道路地図更新システムが提案されている。たとえば特許文献1に記載のシステムがそれである。特許文献1のシステムでは、車両の走行軌跡を検出しており、ナビゲーション装置が記憶している道路地図情報にて特定されるいずれの道路もその走行軌跡に該当しない場合には、その走行軌跡を含む道路地図更新用情報を情報センタに送信している。情報センタでは、その道路地図更新用情報を受信して、その道路地図更新用情報に基づいて道路地図情報を更新している。そして、更新した道路地図情報をナビゲーション装置に対して配信している。
【特許文献1】特開2002−54934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、ナビゲーション装置から送信されるのは、車両の走行軌跡およびその走行軌跡を構成する地点データの検出時刻あるいは検出時間間隔だけである。そのため、情報センタにおいて更新できる道路地図情報の内容は、新規道路の形状と道路幅員に限られていた。
【0005】
しかしながら、道路地図情報をより有用なものとするためには、たとえば車線数など、新規道路の形状および道路幅員以外の道路に関する情報を更新後の道路地図情報に含める必要があり、さらに、道路周辺の施設についても道路地図情報に含める必要がある。
【0006】
また、特許文献1のシステムでは、道路幅員については、走行軌跡を構成する地点データの検出時刻あるいは検出時間間隔から走行速度を計算して、その走行速度に基づいて決定しているので、精度が不十分なこともあった。
【0007】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、道路地図データをより有用な内容に逐次更新することができる道路地図更新システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両に搭載され、走行軌跡を作成して送信する車両側装置と、センタ側道路地図データを更新可能に記憶する地図データ管理サーバを有し、前記車両側装置から送信される走行軌跡を受信して前記センタ側道路地図データを更新する地図管理装置とを備えている道路地図更新システムであって、
前記車両側装置は、道路地図データを記憶する車載記憶装置と、車両の現在位置を逐次検出する位置検出器と、その位置検出器によって検出された現在位置に基づいて、前記車両の走行中の道路が、前記車載記憶装置に記憶されている道路地図データに含まれるいずれの道路でもない新規道路であるか否かを逐次判定する新規道路判定手段と、前記車両の周囲を撮像する車載カメラとを備え、前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像される画像が、天候情報に基づいて前記センタ側道路地図データの更新に使用可能であると判定できたことに基づいて、前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像された車両周辺の画像を前記地図管理装置へ送信することを特徴とする。
【0009】
このように、車両側装置は、新規道路判定手段において、車両の走行中の道路が新規道路であるか否かを判定して、新規道路である場合の走行軌跡と、その新規道路を走行中に車載カメラによって撮像した車両周囲の画像とを地図管理装置へ送信している。上記走行軌跡は新規道路の形状を表しているので、走行軌跡を受信した地図管理装置は、受信した走行軌跡に基づいて新規道路の形状を決定することができる。加えて、新規道路と判定されているときに車載カメラによって撮像された車両周辺の画像も受信しているので、その画像を解析することにより、新規道路のより詳細な情報が決定できるとともに、新規道路の周辺にどのような施設が存在するかも決定することができる。これら画像解析から得られる情報も含めてセンタ側道路地図データを更新すれば、センタ側道路地図データがより有用なものとなる。
【0010】
また、車両側装置が画像を地図管理装置へ送信するのは、その画像が天候情報に基づいてセンタ側道路地図データの更新に使用可能と判定できた場合に限られるので、車両側装置にとって、データ量の大きい画像データを送信する回数が減少する利点があるとともに、地図管理装置にとっても、データ量が大きいにもかかわらず、センタ側道路地図データの更新に利用できない不要な画像を受信して保存しておく必要がないという利点がある。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1の道路地図更新システムにおいて、前記車両側装置は、前記新規道路判定手段によって、前記車両の走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、新規道路の位置およびその新規道路を走行した時間を含む新道走行情報を送信する新道走行情報送信手段と、前記新規道路判定手段によって、走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、前記車載カメラによる撮像を開始する撮像制御手段とを備え、
前記地図管理装置は、前記新道走行情報を受信して、その新道走行情報に基づいて前記車両が前記新規道路を走行しているときの前記車両周辺の天候情報を取得する天候情報取得手段と、その取得した天候情報に基づいて、前記車両側装置の車載カメラによって撮像される画像が前記センタ側道路地図データの更新に使用可能かどうかを決定する使用可否判定手段と、その使用可否判定手段によって画像が使用可能であると判定されたことに基づいて、前記車両側装置へ画像要求信号を送信する要求信号送信手段とを備え、
前記車両側装置は、前記画像要求信号を受信したことに基づいて前記画像が使用可能であると決定して、前記地図管理装置へ前記画像を送信することを特徴とする。
【0012】
このように、車両側装置からの情報を受信し、地図管理装置において新規道路を走行中の車両付近の天候情報を取得して、車両の車載カメラによって撮像される画像が地図更新に使用可能であるか否かを判断してもよい。
【0013】
上記請求項2記載のように、地図管理装置において天候情報に基づいて画像が使用可能かどうかを判断して、使用可能である場合に車両側装置に画像要求信号を送信する場合、請求項3のようにして、地図管理サーバに記憶されているセンタ側道路地図データの更新に必要な画像のみを要求するようにしてもよい。
【0014】
その請求項3記載の発明は、請求項2の道路地図更新システムにおいて、前記車両側装置は、前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときの前記車両の走行軌跡を、前記位置検出器によって逐次検出される車両の現在位置に基づいて作成する走行軌跡作成手段を備え、且つ、その走行軌跡作成手段によって作成された走行軌跡を前記画像に先立って送信するようになっており、前記地図管理装置は、車両側装置から送信される走行軌跡が示す道路が前記地図データ管理サーバに記憶されているセンタ側道路地図データにない更新必要道路であるか否かを判定する更新道路判定手段をさらに備え、前記要求信号送信手段は、前記使用可否判定手段によって画像が使用可能であると判定され、且つ、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定されたことに基づいて、前記画像要求信号を送信することを特徴とする。このようにすれば、データ量の大きい画像データを送受信する回数を一層減らすことができる。
【0015】
ここで、地図管理装置におけるセンタ側道路地図データの更新は、1組の走行軌跡および画像データから行ってもよいが、更新後のセンタ側道路地図データをより信頼性のあるものとするために、同一の新規道路についての複数のデータを用いてセンタ側道路地図データの更新を行ってもよい。なお、センタ側道路地図データの更新は、装置が自動で行うようになっていてもよいし、人が行ってもよい。上記のように、同一の新規道路についての複数のデータを用いてセンタ側道路地図データの更新を行う場合、請求項4のようにすることが好ましい。
【0016】
その請求項4記載の発明は、請求項3の道路地図更新システムにおいて、前記要求信号送信手段は、同一の新規道路に関して、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定された回数が予め複数に設定された更新回数となったことに基づいて、前記画像要求信号を送信することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、地図管理装置にとっては、画像データの数がセンタ側道路地図データを更新するのに必要な数となるまで画像データを蓄積しておく必要がなくなる利点がある。
【0018】
また、請求項5のようにすることがさらに好ましい。その請求項5記載の発明は、請求項4の道路地図更新システムにおいて、前記要求信号送信手段は、同一の新規道路に関して、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定された回数が前記更新回数となった場合に、同一の新規道路に関して前記車両側装置から送信される更新回数分の前記新道走行情報にそれぞれ対応する更新回数分の画像のうち鮮明度が最も良好な1つまたは複数の画像を最適画像として決定し、その最適画像を撮像した前記車両側装置へ前記画像要求信号を送信することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、センタ側道路地図データの更新に最適な画像だけが車両側装置から地図管理装置へ送信されるので、一層、画像の送受信回数を少なくすることができる。
【0020】
また、請求項6記載のように、天候情報を車両側装置が取得して、車両側装置において画像の使用可否を判断してもよい。その請求項6記載の発明は、請求項1の道路地図更新システムにおいて、前記車両側装置は、前記新規道路判定手段によって、走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、現在位置の天候情報を取得する天候情報取得手段と、その天候情報取得手段によって取得された天候情報に基づいて、前記車載カメラが前記センタ側道路地図データの更新に使用可能なほどに鮮明な画像を撮像可能か否かを判断する画像判断手段と、その画像判断手段によって鮮明な画像が撮像可能と判断された場合には前記車載カメラによる撮像を開始するが、鮮明な画像が撮像可能と判断されない場合には前記車載カメラによる撮像を開始しない撮像制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0021】
このように、車両側装置において天候情報を取得して、その取得した天候情報に基づいて、車載カメラによって撮像される画像の使用可否を判断してもよく、また、撮像制御手段により、鮮明な画像が撮像可能と判断された場合に撮像を開始するようにしているので、地図更新に使用できない余計な画像を撮像しなくてよいという利点がある。
【0022】
また、前述の新規道路判定手段によって、走行中の道路が車両の車載記憶装置に記憶されている道路地図データに含まれていない新規道路であるか否かを判定することができる場合、請求項7のようにして、その道路地図データを更新することができるか否かを判断するようにすることが好ましい。
【0023】
その請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の道路地図更新システムにおいて、前記車両側装置は、前記新規道路判定手段によって新規道路であると判定されてから新規道路でないと判定されるまでを1回として、予め設定された更新単位エリア毎に新規道路走行回数を計数する新規道路計数手段と、その新規道路計数手段によって計数された新規道路走行回数が予め設定された確認数となったことに基づいて、前記地図管理装置へ前記センタ側道路地図データにおける前記確認数となった前記更新単位エリアの更新情報を問い合わせる問い合わせ信号を送信する問い合わせ手段とを備え、
前記地図管理装置は、前記車両側装置からの前記問い合わせ信号を受信した場合に、前記地図データ管理サーバに記憶されている前記センタ側道路地図データの更新単位エリア毎の更新情報のうち、前記問い合わせ信号によって定まる更新単位エリアの更新情報を表すサーバ側更新情報を前記車両側装置に送信する更新情報送信手段を備え、
前記車両側装置は、さらに、前記地図管理装置から送信されるサーバ側更新情報を受信して、その受信したサーバ側更新情報と、前記車載記憶装置に記憶されている道路地図データの更新情報とを比較して、サーバ側更新情報の方が新しい場合には、前記ユーザに道路地図データの更新が可能であることを意味するメッセージを所定の出力手段から出力させるメッセージ出力制御手段を備えていることを特徴とする。
【0024】
従来は、走行中の道路が車載道路地図データにない新規道路であることが分かったとしても、その車載道路地図データよりも新しい地図データがあり、車載道路地図データを更新することができる状態かどうかを容易に知ることができなかった。また、仮に車載道路地図データを更新することができる状態であることが分かったので、車載道路地図データを更新したとしても、自分がほとんど走行しないエリアについてのみデータが更新されており、更新する価値がなかったと後悔することもあった。
【0025】
しかし、請求項7では、新規道路計数手段により、車両が新規道路を走行した回数を計数しており、新規道路走行回数が予め設定された確認数になったことに基づいて、地図管理装置へセンタ側道路地図データの更新情報を問い合わせ、車載記憶装置に記憶されている道路地図データの更新情報よりもセンタ側道路地図データの更新情報の方が新しい場合には、ユーザに道路地図データの更新が可能であることを意味するメッセージを出力しているので、その道路地図データを更新することができることを容易に知ることができる。しかも、更新単位エリア毎に新規道路走行回数を計数しており、更新単位エリア別に更新情報を問い合わせているので、価値のない道路地図データの更新を防止できる。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項1の道路地図更新システムに用いる車両側装置であり、その構成は、請求項1の道路地図更新システムにおける車両側装置に係る構成と同じであり、また、作用効果は、請求項1の道路地図更新システムにおける車両側装置に係る作用効果と同一である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の道路地図更新システムの車両側装置としての機能を有する車載ナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。そして、図2は、本発明の道路地図更新システムの地図管理装置200の構成を示すブロック図である。まず、図1の車載ナビゲーションシステム10の構成を説明する。
【0028】
図1の車載ナビゲーションシステム10は、位置検出器12と、車載カメラ14と、通信手段16と、ナビゲーション装置100とを備えて構成されている。
【0029】
位置検出器12は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ、車両の走行距離を検出する距離センサ、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機を有している。そして、それらを互いに補完しつつ車両の現在位置を検出する。なお、上述したうちの一部で位置検出器12を構成してもよいが、十分な位置検出精度を得るためにはGPS受信機を有することが好ましい。また、更に別のセンサ等を備えてもよい。
【0030】
車載カメラすなわち撮像手段14は、走行中の道路を含む車両前方の所定範囲を撮像できるように、車両の所定位置に取り付けられている。
【0031】
通信手段16は、外部と無線通信するための装置であり、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介してVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センサと接続可能であり、また、公衆通信回線網にも接続可能である。VICSセンサは、VICSセンタから提供される道路交通情報、気象情報、日付情報、施設情報、広告情報を受信するものであるので、通信手段16は、VICSセンサを介してこれらの情報を受信することができる。
【0032】
ナビゲーション装置100は、表示器102、タッチパネル104、ハードディスク106と、これらを制御する制御装置110を備えている。また、図示していないが、これら以外にも、スピーカ、マイク、メカニカルスイッチなどを備えている。
【0033】
出力手段である表示器102は、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成され、所定の地図表示領域には車両周辺の道路地図が表示される。また、その他に、現在時刻、渋滞情報や、種々のメッセージも表示される。
【0034】
タッチパネル104は入力手段として機能するものであり、表示器102の表示面に貼り付けられており、ユーザが種々の操作指示を制御装置110に対して行う際に操作される。
【0035】
ハードディスク106は車載記憶装置として機能するものであり、道路地図データが記憶されている。この道路地図データは、道路データ、背景データ、文字データおよび施設データなどのデータからなるものである。道路データには、道路を示すリンクデータとノードデータが含まれる。このリンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)を含んでおり、さらに、一部のリンクデータには、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、制限速度等の情報が含まれている。一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類等の情報を含んでいる。
【0036】
上記道路地図データと、位置検出器12によって逐次検出される現在位置とに基づいて、車両がどの道路を走行しているかが決定されるが、車両が道路地図データにない道路を走行中であると判定された場合には新規道路データが作成される。この新規道路データもハードディスク106に記憶される。新規道路データには、画像データ、新道走行情報データ、走行軌跡、新規道路走行回数Nなどが含まれる。なお、新規道路データに含まれる各データの内容については後述する。
【0037】
制御装置110は、通常のコンピュータであり、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置110が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。CPUがその所定の演算処理を実行することにより、制御装置110は図1に示す種々の手段として機能する。すなわち、制御装置110は、新規道路判定手段112、撮像制御手段114、走行軌跡作成手段116、新道走行情報送信手段118、新規道路計数手段120、問い合わせ手段122、メッセージ出力手段124、および地図更新手段126としての機能を有する。
【0038】
上記各手段について、図3および図4のフローチャートに従って説明する。まず、図3から説明する。なお、図3に示す処理は、アクセサリスイッチがオンされたことに基づいて開始する。
【0039】
ステップS10では、位置検出器12からの信号に基づいて車両の現在位置がハードディスク106に記憶されている道路地図データにおいてどこに位置するかを検出する。さらに、前回検出した位置と今回検出した現在位置とに基づいて、ノードを通過したか否かを判定して、ノードを通過したと判定できる場合には、そのノードを記憶する。
【0040】
続くステップS20では、ステップS10で逐次検出される位置を所定数用いて車両の走行軌跡を決定し、その走行軌跡を道路地図データに含まれているいずれかの道路に合致させる、所謂マップマッチング処理を実行した上で、マッチング外れ状態であるか否かを判定する。このマッチング外れ状態とは、そのマップマッチング処理を実行したにもかかわらず走行軌跡をいずれの道路にも合致させることができない状態であり、たとえば、走行軌跡を数十度程度に設定された基準旋回角度以上回転させなければならない場合には、マッチング外れと判定される。
【0041】
ステップS20が否定判定である場合、すなわち、走行軌跡を道路地図データのいずれかの道路にマッチングさせることができる場合には、ステップS10に戻り、現在位置検出を継続する。
【0042】
ステップS20が肯定判定となるのは道路地図データにない新規道路を走行している場合であり、この場合にはステップS30へ進む。ステップS30では、車載カメラ14をオンさせて車両周辺の画像の撮像を開始させる。なお、撮像した画像データは、ハードディスク106の新規道路データ記憶領域に逐次記憶する。
【0043】
続くステップS40は走行軌跡作成手段116としての処理であり、位置検出器12からの信号に基づいて車両の現在位置を検出する。なお、この現在位置は、マッチング外れ時を基準とする相対的な現在位置、または、GPS受信機からの信号に基づく絶対座標位置(緯度、経度)である。そして、その検出した現在位置に基づいて、マッチング外れと判定されてからの走行軌跡を作成してハードディスク106の新規道路データ記憶領域に記憶する。
【0044】
続くステップS50では、ステップS40で作成した走行軌跡のうち最新の部分を用いて前述のマップマッチング処理を実行する。そして、マッチングしたか否かを判定する。このステップS50は、車両が新規道路から道路地図データにある既知の道路に復帰したか否かを判定する処理であり、前述のステップS10乃至S20とこのステップS50が新規道路判定手段112としての処理である。
【0045】
上記ステップS50が否定判定である場合には、ステップS40へ処理を戻す。一方、肯定判定である場合にはステップS55へ進んで、車載カメラ14をオフにして車両周辺の画像の撮像を終了させる。このステップS55および前述のステップS40が撮像制御手段114に相当する処理である。
【0046】
続くステップS60は新道走行情報送信手段118としての処理である。ハードディスク106の新規道路データ記憶領域には、ステップS20でマッチング外れと判定されたときの時刻、ステップS50で再びマッチングしたと判定されたときの時刻、ステップS20でマッチング外れと判定される直前のノード、およびステップS50で再びマッチングしたと判定されたときの最初のノードが新道走行情報として記憶されている。ステップS60では、この新道走行情報を、車両ID、ステップS40で作成した走行軌跡、および画像有無信号とともに新規道路データとして通信手段16から地図管理装置200へ送信する。
【0047】
なお、図1の車載ナビゲーションシステム10は車載カメラ14を備えているので、上記画像有無信号は画像有りを示す信号となるが、本発明に係る道路地図更新システムは、そのシステムを構成する複数の車両側装置(車載ナビゲーションシステム10)のうちの一部が車載カメラ14を備えていなくてもよい。そのため、上記画像有無信号によって画像の有無を示しているのである。一部の車両側装置が車載カメラ14が備えていなくてもよいのは、車載カメラ14が備えられていなくても走行軌跡を作成することはでき、その走行軌跡を地図管理装置200のセンタ側道路地図データの更新に用いることができるからである。
【0048】
また、上記車両IDは、地図管理装置200が通信対象のナビゲーション装置100を特定するために必要な識別情報である。地図管理装置200は、上記新道走行情報、走行軌跡および上記新道走行情報から定まる天候情報に基づいて、画像を要求するか否かを決定するようになっており、画像を要求する場合には画像要求信号が地図管理装置200から送信されてくる。上記新道走行情報を送信してから所定時間内に上記画像要求信号が送信されてきた場合には、図示しないステップにおいてハードディスク106の新規道路データ記憶領域に記憶してある画像データを地図管理装置200へ送信する。一方、所定時間内に画像要求信号が送信されてこない場合には、図示しないステップにおいて上記画像データおよび走行軌跡を削除する。
【0049】
続くステップS70は新規道路計数手段120としての処理であり、上記新道走行情報に含まれる2つのノードを始点および終点とする新規道路に対する新規道路走行回数Nを1増加させる。なお、この新規道路走行回数Nもハードディスク106の新規道路データ記憶領域に記憶されている。
【0050】
続くステップS80では、上記ステップS70で新規道路走行回数Nを増加させた新規道路について、新規道路走行回数Nが予め設定された確認数以上となったか否かを判定する。この判定が否定判定である場合にはステップS10へ戻る。
【0051】
一方、ステップS80が肯定判定である場合には、ステップS90の地図更新制御処理を実行する。図4はこの地図更新制御処理を詳しく示すフローチャートである。
【0052】
ステップS91では、確認数以上となった新規道路走行回数Nに対応する新規道路が含まれる更新単位エリアを、ステップS60で送信した走行情報に含まれるノードに基づいて特定し、特定した更新単位エリアの更新情報を問い合わせる問い合わせ信号を通信手段16から地図管理装置200へ送信させる。なお、このステップS91と図3のステップS80が問い合わせ手段122に相当する処理である。
【0053】
地図管理装置200では、問い合わせ信号を受信すると、地図管理装置200のハードディスク212に記憶されているセンタ側道路地図データの更新情報のうち、問い合わせ信号に含まれている更新単位エリアについての更新情報を返信する。
【0054】
ステップS92では、地図管理装置200から返信されてきた更新情報と、ハードディスク106の道路地図データにおいて地図管理装置200から返信されてきた更新情報に対応する更新単位エリアの更新情報とを比較して、ハードディスク106の道路地図データが更新可能か否かを判定する。前者の更新情報と後者の更新情報とが同一であれば更新不能と判定して図4の処理を終了する。一方、前者の更新情報が後者の更新情報よりも新しい場合には更新可能と判定して、ステップS93へ進む。
【0055】
ステップS93はメッセージ出力制御手段124としての処理であり、道路地図データの更新が可能であることを意味するメッセージを表示器102に出力させる。
【0056】
そして、ステップS94では、ユーザがタッチパネル104を操作したことにより、更新指示があったか否かを判定する。このステップS94が否定判定である場合には、そのまま図4の処理を終了する。
【0057】
一方、肯定判定である場合には、地図更新手段126に相当する処理であるステップS95を実行する。このステップS95では、地図管理装置200に該当する更新単位エリアの道路地図データを要求する信号を送信し、地図管理装置200から、その更新単位エリアの最新の道路地図データを取得する。そして、ハードディスク106の道路地図データのうち、上記エリアの道路地図データを取得したデータに上書きする。
【0058】
次に、地図管理装置200の構成を説明する。図2に示すように、地図管理装置200は、入力手段202、出力手段204、通信手段206、地図データ管理サーバ210を備えている。
【0059】
入力手段202は、たとえばキーボードであり、ユーザが地図データ管理サーバ210に種々の指令を入力するためのものである。出力手段204は、たとえばディスプレイである。通信手段206は、外部と無線通信するための装置であり、ナビゲーション装置100の通信手段206と相互に情報の送受信が可能である。
【0060】
地図データ管理サーバ210は、ハードディスク212と制御装置220とを備えている。ハードディスク212には、センタ側道路地図データと、そのセンタ側道路地図データの更新に用いる未更新データとが記憶されている。未更新データには、更新必要判定回数、車両ID、天候情報、新道走行情報、走行軌跡、および画像データが含まれる。これら未更新データに含まれる情報等については後述する。
【0061】
制御装置220はコンピュータであり、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置220が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。CPUがその所定の演算処理を実行することにより、制御装置220は図2に示す種々の手段として機能する。すなわち、制御装置220は、地図データ管理手段222、更新情報送信手段224、更新道路判定手段226、天候情報取得手段228、使用可否判定手段230、要求信号送信手段232、および新道生成手段234としての機能を有する。
【0062】
地図データ管理手段222は、ハードディスク212に記憶されているセンタ側道路地図データを管理する手段であり、センタ側道路地図データの更新許可をしたり、センタ側道路地図データを通信手段206から車載ナビゲーションシステム10へ送信させたりする。なお、全体地図道路データの更新・送信は、更新単位エリア毎に可能となっている。
【0063】
更新情報送信手段224は、車載ナビゲーションシステム10からの前述の問い合わせ信号を受信した場合に、センタ側道路地図データの更新情報のうち、問い合わせ信号に含まれている更新単位エリアの更新情報を返信する。
【0064】
その他の手段226乃至234については図5に示すフローチャートに従って説明する。この図5のフローチャート所定周期で繰り返し実行するようになっている。
【0065】
まず、ステップS100では、車載ナビゲーションシステム10から新道走行情報および走行軌跡を受信したか否かを判定する。ステップS100が否定判定である場合には、一旦、図5の処理を終了する。一方、図3のステップS60が実行された場合にはステップS100が肯定判定となる。この場合には、受信したデータがハードディスク212の未更新データ領域に記憶される。そして、ステップS110以下を実行する。
【0066】
ステップS110は更新道路判定手段226としての処理であり、受信した新道走行情報および走行軌跡から、その走行軌跡がセンタ側道路地図データにない道路、すなわち、センタ側道路地図データを更新する必要がある更新必要道路であるか否かを判定する。この判定が否定判定である場合には、地図管理装置200にとっては、ステップS100で受信した新道走行情報および走行軌跡は不要なデータであるので、ステップS200へ進んでそれらのデータを破棄した後、図5の処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS110が肯定判定である場合には、ステップS120にて、上記更新必要道路についての判定回数を1増加させる。さらに、ステップS130において、ステップS100で受信した画像有無信号に基づいて、車載ナビゲーションシステム10が画像データを有しているか否かを判定する。このステップS130が否定判定となった場合にも、ステップS200へ進んで、ステップS100で受信したデータを破棄した後、図5の処理を終了する。なお、ステップS130を介してステップS200へ進んだ場合には、センタ側道路地図データにない道路の走行軌跡を受信しているので、その走行軌跡を破棄せずにセンタ側道路地図データの更新に用いてもよい。
【0068】
ステップS130が肯定判定となった場合には、天候情報取得手段228に相当する処理であるステップS140を実行する。そのステップS140では、通信手段206を介して外部から、ステップS100で受信した新道走行情報に基づいて定まる位置および時間の天候情報を取得して、ハードディスク212の未更新データ記憶領域に記憶する。
【0069】
続くステップS150は使用可否判定手段230に相当する処理であり、上記ステップS140で取得した天候情報が良好な天候かどうかを判定する。良好な天候とは、車載カメラ14がセンタ側道路地図データの更新に使用可能なほど鮮明な画像を撮像可能な天候を意味し、晴天が該当するが曇天を含めるようにしてもよい。また、晴天や曇天であっても、夜間、明け方、夕方であれば、ここでは天候良好と判定されない。
【0070】
上記ステップS150が否定判定である場合にも、ステップS200へ進んで、ステップS100で受信したデータを破棄した後、図5の処理を終了する。なお、この場合にも走行軌跡を破棄せずにセンタ側道路地図データの更新に用いてもよい。
【0071】
ステップS150が肯定判定となった場合には、要求信号送信手段232に相当するステップS160へ進んで、画像要求信号をステップS100で受信した車両IDによって特定される車載ナビゲーションシステム10へ送信する。そして、続くステップS170では、上記画像要求信号に応答して車載ナビゲーションシステム10から送信されてくる画像データを受信して、ハードディスク212の未更新データ記憶領域に記憶する。
【0072】
続くステップS180では、予め複数回に設定された更新回数分の画像データを受信したか否かを判定する。このステップS180が否定判定である場合には、そのまま図5の処理を一旦終了する。
【0073】
一方、肯定判定である場合には、新道生成手段234としての処理であるステップS200へ進む。ステップS200では、未更新データ記憶領域に記憶されている走行軌跡、新道走行情報から新たな道路の形状を作成してセンタ側道路地図データを更新するとともに、画像データを画像認識処理することにより、道路幅員、車線数、交差点位置、信号機、道路標識などを検出する。なお、走行軌跡に走行方向に関する情報が含まれている場合であって、未更新データ記憶領域に記憶されている同一の更新必要道路に対する走行軌跡が全て同一方向であることに基づいて、その道路が一方通行の道路であると判定してもよい。そして、検出または判定したそれらの情報に基づいてさらにセンタ側道路地図データを更新する。また、その更新した道路が含まれる更新単位エリアの更新情報も更新する。
【0074】
以上、説明した本実施形態によれば、車載ナビゲーションシステム10において、新規道路判定手段112により、車両の走行中の道路が新規道路であるか否かを判定して、新規道路である場合の走行軌跡と、その新規道路を走行中に車載カメラ14によって撮像した車両周囲の画像とを地図管理装置200へ送信している。上記走行軌跡は、新規道路の形状を表しているので、走行軌跡を受信した地図管理装置200は、受信した走行軌跡に基づいて新規道路の形状を決定することができる。加えて、新規道路と判定されているときに車載カメラ14によって撮像された車両周辺の画像も受信しているので、その画像を解析することにより、道路形状以外の新規道路のより詳細な情報が決定できるとともに、新規道路の周辺にどのような施設が存在するかも決定することができる。これら画像解析から得られる情報も含めてセンタ側道路地図データを更新しているので、センタ側道路地図データがより有用なものとなる。
【0075】
また、車載ナビゲーションシステム10が画像データを地図管理装置200へ送信するのは、その画像データが天候情報に基づいてセンタ側道路地図データの更新に使用可能と判定できた場合に限られるので、車載ナビゲーションシステム10にとって、データ量の大きい画像データを送信する回数が減少する利点があるとともに、地図管理装置200にとっても、データ量が大きいにもかかわらず、センタ側道路地図データの更新に利用できない不要な画像を受信して保存しておく必要がないという利点がある。
【0076】
また、本実施形態では、新規道路計数手段120により、車両が新規道路を走行した回数を計数しており、新規道路走行回数Nが予め設定された確認数になったことに基づいて、地図管理装置200へセンタ側道路地図データの更新情報を問い合わせ、車載ナビゲーションシステム10に記憶されている道路地図データの更新情報よりもセンタ側道路地図データの更新情報の方が新しい場合には、ユーザに道路地図データの更新が可能であることを意味するメッセージを出力しているので、その道路地図データを更新することができることを容易に知ることができる。しかも、更新単位エリア毎に新規道路走行回数Nを計数しており、更新単位エリア別に更新情報を問い合わせているので、価値のない道路地図データの更新を防止できる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0078】
たとえば、前述の実施形態では、更新必要道路を走行した車両がその更新必要道路を走行したときの画像を有しており、且つ、天候良好と判定した場合には、その車両に対して必ず画像要求信号を送信していたが、最も天候良好と判定できる1台または複数台の車両に対してのみ画像要求信号を送信してもよい。このようにすれば、車載ナビゲーションシステム10から地図管理装置200へ送信される画像データ数を一層少なくすることができる。
【0079】
また、前述の実施形態では、地図管理装置200にて天候情報を判定していたが、それを車載ナビゲーションシステム10において行ってもよい。この場合、新規道路を走行しているが天候良好と判定できない場合には、車載カメラ14による撮像を実行しないようにすることが好ましい。このようにすれば、センタ側道路地図データの更新に使用できない余計な画像を撮像しなくてよいという利点がある。
【0080】
また、前述の実施形態では、車載ナビゲーションシステム10は無線通信により新しい道路地図データを取得して、ハードディスク106の道路地図データを更新できるようになっていたが、道路地図データの更新は必ずしもオンラインで行えるようになっている必要はない。
【0081】
また、前述の実施形態では、更新必要道路の判定回数が更新数となった場合にセンタ側道路地図データを更新していた。すなわち、道路単位の判定回数に基づいて更新するか否かを決定していた。しかし、各更新単位エリアにおける全判定回数に基づいてその更新単位エリアのデータを更新するか否かを決定してもよい。
【0082】
また、前述の実施形態では、センタ側道路地図データを車載ナビゲーションシステム10からのデータに基づいて更新するようになっていたが、このセンタ側道路地図データは、従来と同様の手法により更新するようになっていてもよい。このようになっていても、車載ナビゲーションシステムの道路地図データが更新可能かどうかを容易に知ることができるという利点は得られる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の道路地図更新システムの車両側装置としての機能を有する車載ナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の道路地図更新システムの地図管理装置200の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の制御装置110が有する手段の内容を説明するフローチャートである。
【図4】図3のステップS90の地図更新制御処理を詳しく示すフローチャートである。
【図5】図2の制御装置220が有する手段226乃至234の内容を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
10:車載ナビゲーションシステム(車両側装置)、 12:位置検出器、 14:車載カメラ、 106:ハードディスク(車載記憶装置)、 112:新規道路判定手段、 114:撮像制御手段、 116:走行軌跡作成手段、 118:新道走行情報送信手段、 120:新規道路計数手段、 122:問い合わせ手段、 124:メッセージ出力制御手段、 200:地図管理装置、 210:地図データ管理サーバ、 224:更新情報送信手段、 226:更新道路判定手段、 228:天候情報取得手段、 230:使用可否判定手段、 232:要求信号送信手段、 234:新道生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、走行軌跡を作成して送信する車両側装置と、
センタ側道路地図データを更新可能に記憶する地図データ管理サーバを有し、前記車両側装置から送信される走行軌跡を受信して前記センタ側道路地図データを更新する地図管理装置とを備えている道路地図更新システムであって、
前記車両側装置は、
道路地図データを記憶する車載記憶装置と、
車両の現在位置を逐次検出する位置検出器と、
その位置検出器によって検出された現在位置に基づいて、前記車両の走行中の道路が、前記車載記憶装置に記憶されている道路地図データに含まれるいずれの道路でもない新規道路であるか否かを逐次判定する新規道路判定手段と、
前記車両の周囲を撮像する車載カメラとを備え、
前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像される画像が、天候情報に基づいて前記センタ側道路地図データの更新に使用可能であると判定できたことに基づいて、前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像された車両周辺の画像を前記地図管理装置へ送信することを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項2】
請求項1の道路地図更新システムにおいて、
前記車両側装置は、
前記新規道路判定手段によって、前記車両の走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、新規道路の位置およびその新規道路を走行した時間を含む新道走行情報を送信する新道走行情報送信手段と、
前記新規道路判定手段によって、走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、前記車載カメラによる撮像を開始する撮像制御手段とを備え、
前記地図管理装置は、
前記新道走行情報を受信して、その新道走行情報に基づいて前記車両が前記新規道路を走行しているときの前記車両周辺の天候情報を取得する天候情報取得手段と、
その取得した天候情報に基づいて、前記車両側装置の車載カメラによって撮像される画像が前記センタ側道路地図データの更新に使用可能かどうかを決定する使用可否判定手段と、
その使用可否判定手段によって画像が使用可能であると判定されたことに基づいて、前記車両側装置へ画像要求信号を送信する要求信号送信手段とを備え、
前記車両側装置は、前記画像要求信号を受信したことに基づいて前記画像が使用可能であると決定して、前記地図管理装置へ前記画像を送信することを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項3】
請求項2の道路地図更新システムにおいて、
前記車両側装置は、
前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときの前記車両の走行軌跡を、前記位置検出器によって逐次検出される車両の現在位置に基づいて作成する走行軌跡作成手段を備え、且つ、
その走行軌跡作成手段によって作成された走行軌跡を前記画像に先立って送信するようになっており、
前記地図管理装置は、
車両側装置から送信される走行軌跡が示す道路が前記地図データ管理サーバに記憶されているセンタ側道路地図データにない更新必要道路であるか否かを判定する更新道路判定手段をさらに備え、
前記要求信号送信手段は、前記使用可否判定手段によって画像が使用可能であると判定され、且つ、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定されたことに基づいて、前記画像要求信号を送信することを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項4】
請求項3の道路地図更新システムにおいて、
前記要求信号送信手段は、同一の新規道路に関して、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定された回数が予め複数に設定された更新回数となったことに基づいて、前記画像要求信号を送信することを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項5】
請求項4の道路地図更新システムにおいて、
前記要求信号送信手段は、同一の新規道路に関して、前記更新道路判定手段において更新必要道路であると判定された回数が前記更新回数となった場合に、同一の新規道路に関して前記車両側装置から送信される更新回数分の前記新道走行情報にそれぞれ対応する更新回数分の画像のうち鮮明度が最も良好な1つまたは複数の画像を最適画像として決定し、その最適画像を撮像した前記車両側装置へ前記画像要求信号を送信することを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項6】
請求項1の道路地図更新システムにおいて、
前記車両側装置は、
前記新規道路判定手段によって、走行中の道路が新規道路であると判定されたことに基づいて、現在位置の天候情報を取得する天候情報取得手段と、
その天候情報取得手段によって取得された天候情報に基づいて、前記車載カメラが前記センタ側道路地図データの更新に使用可能なほどに鮮明な画像を撮像可能か否かを判断する画像判断手段と、
その画像判断手段によって鮮明な画像が撮像可能と判断された場合には前記車載カメラによる撮像を開始するが、鮮明な画像が撮像可能と判断されない場合には前記車載カメラによる撮像を開始しない撮像制御手段と
を備えていることを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の道路地図更新システムにおいて、
前記車両側装置は、
前記新規道路判定手段によって新規道路であると判定されてから新規道路でないと判定されるまでを1回として、予め設定された更新単位エリア毎に新規道路走行回数を計数する新規道路計数手段と、
その新規道路計数手段によって計数された新規道路走行回数が予め設定された確認数となったことに基づいて、前記地図管理装置へ前記センタ側道路地図データにおける前記確認数となった前記更新単位エリアの更新情報を問い合わせる問い合わせ信号を送信する問い合わせ手段とを備え、
前記地図管理装置は、前記車両側装置からの前記問い合わせ信号を受信した場合に、前記地図データ管理サーバに記憶されている前記センタ側道路地図データの更新単位エリア毎の更新情報のうち、前記問い合わせ信号によって定まる更新単位エリアの更新情報を表すサーバ側更新情報を前記車両側装置に送信する更新情報送信手段を備え、
前記車両側装置は、さらに、前記地図管理装置から送信されるサーバ側更新情報を受信して、その受信したサーバ側更新情報と、前記車載記憶装置に記憶されている道路地図データの更新情報とを比較して、サーバ側更新情報の方が新しい場合には、前記ユーザに道路地図データの更新が可能であることを意味するメッセージを所定の出力手段から出力させるメッセージ出力制御手段を備えていることを特徴とする道路地図更新システム。
【請求項8】
車両に搭載され、走行軌跡を作成して送信する車両側装置と、
センタ側道路地図データを更新可能に記憶する地図データ管理サーバを有し、前記車両側装置から送信される走行軌跡を受信して前記センタ側道路地図データを更新する地図管理装置とを備えている道路地図更新システムに用いる前記車両側装置であって、
道路地図データを記憶する車載記憶装置と、
車両の現在位置を逐次検出する位置検出器と、
その位置検出器によって検出された現在位置に基づいて、前記車両の走行中の道路が、前記車載記憶装置に記憶されている道路地図データに含まれるいずれの道路でもない新規道路であるか否かを逐次判定する新規道路判定手段と、
その新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときの前記車両の走行軌跡を、前記位置検出器によって逐次検出される車両の現在位置に基づいて作成する走行軌跡作成手段と、
前記車両の周囲を撮像する車載カメラとを備え、
前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像される画像が、天候情報に基づいて前記センタ側道路地図データの更新に使用可能であると判定できたことに基づいて、前記新規道路判定手段において新規道路であると判定されているときに前記車載カメラによって撮像された車両周辺の画像を前記地図管理装置へ送信することを特徴とする道路地図更新システム用の車両側装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−39687(P2008−39687A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217302(P2006−217302)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】