説明

露光装置、露光方法及びデバイス製造方法

【課題】スケール部材を用いる計測誤差の発生を抑制し、露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、露光光で物体を露光する。露光装置は、物体を保持して所定面内を移動可能で且つ、格子を含むスケール部材が配置される移動体と、所定面内における移動体の位置情報を計測する計測システムと、移動体に保持された物体の表面の位置情報を検出する検出システムとを備えている。検出システムが、スケール部材の表面の異物を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、露光方法及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、露光光で物体を露光する露光装置が使用される。露光装置は、物体を保持して移動する基板ステージ等の移動体を備え、その移動体の位置情報を計測システムで計測しながら、物体を露光光で露光する。下記特許文献には、エンコーダシステムを用いて移動体の位置情報を計測する技術の一例が開示されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0227309号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エンコーダシステムは、スケール部材に光を照射し、そのスケール部材を介した光を検出する。このようなエンコーダシステムを用いる場合において、スケール部材上に異物が存在すると、その異物により計測誤差が発生し、移動体の位置情報を精確に計測できなくなる可能性がある。その結果、移動体の移動性能が低下し、露光不良が発生したり、不良デバイスが発生したりする可能性がある。
【0004】
本発明の態様は、スケール部材を用いる計測誤差の発生を抑制し、露光不良の発生を抑制できる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従えば、露光光で物体を露光する露光装置であって、物体を保持して所定面内を移動可能で且つ、格子を含むスケール部材が配置される移動体と、所定面内における移動体の位置情報を計測する計測システムと、移動体に保持された物体の表面の位置情報を検出する検出システムと、を備え、検出システムが、スケール部材の表面の異物を検出する露光装置が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様に従えば、物体を露光光で露光する露光装置であって、物体を保持して所定面内を移動可能で且つ、格子を含むスケール部材が配置される移動体と、少なくとも露光のための移動を含む第1動作を移動体が実行中に、スケール部材の表面の第1領域の異物を検出可能な検出システムと、第1動作以外の第2動作中に、検出システムが第1領域以外の第2領域を検出するように、検出システムと移動体との位置関係を調整する調整装置と、を備えた露光装置が提供される。
【0007】
本発明の第3の態様に従えば、第1、第2の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様に従えば、物体を露光光で露光する露光方法であって、所定面内を移動可能な移動体で物体を保持することと、物体の表面の位置情報を検出システムで検出することと、検出された位置情報を用いて物体を露光することと、移動体に配置されるスケール部材の表面の異物を、検出システムで検出することと、を含む露光方法が提供される。
【0009】
本発明の第5の態様に従えば、物体を露光光で露光する露光方法であって、所定面内を移動可能な移動体で物体を保持することと、少なくとも露光のための移動体の移動を含む第1動作中に、移動体に配置されるスケール部材の表面の第1領域の異物を検出することと、第1動作以外の第2動作中に、第1領域以外の第2領域の異物を検出することと、を含む露光方法が提供される。
【0010】
本発明の第6の態様に従えば、第4、第5の態様の露光方法を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY及びθZ方向とする。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図、図2は、第1実施形態に係る露光装置EXの制御システムの一例を示す図である。本実施形態においては、露光装置EXが、例えば米国特許第6897963号明細書及び欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ1と、基板Pを保持せずに、露光に関する所定の計測を実行可能な計測部材等を搭載して移動可能な計測ステージ2とを備えた露光装置である場合を例にして説明する。
【0014】
また、本実施形態においては、露光装置EXが、例えば米国特許出願公開第2005/0280791号明細書及び米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているような、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である場合を例にして説明する。
【0015】
図1及び図2において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ1と、基板Pを保持せずに、露光に関する所定の計測を実行可能な計測部材等を搭載して移動可能な計測ステージ2と、マスクステージ3を移動する第1駆動システム4と、基板ステージ1及び計測ステージ2を移動する第2駆動システム5と、基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれを移動可能に支持するガイド面6を有するベース部材(定盤)7と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、基板Pを搬送する搬送システム8と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置9と、制御装置9に接続され、露光に関する各種情報を記憶可能な記憶装置10とを備えている。
【0016】
また、露光装置EXは、露光光ELの光路の少なくとも一部を液体LQで満たすように液浸空間LSを形成可能な液浸部材11を備えている。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
【0017】
また、露光装置EXは、マスクステージ3、基板ステージ1及び計測ステージ2の位置情報を計測する干渉計システム12と、基板ステージ1に保持された基板Pの表面の位置情報を検出する検出システム(フォーカス・レベリング検出システム)13と、基板ステージ1の位置情報を計測するエンコーダシステム14と、基板Pの位置情報を計測するアライメントシステム15とを備えている。
【0018】
干渉計システム12は、マスクステージ3の位置情報を計測する第1干渉計ユニット12Aと、基板ステージ1及び計測ステージ2の位置情報を計測する第2干渉計ユニット12Bとを含む。検出システム13は、検出光を射出する照射装置13Aと、照射装置13Aに対して所定の位置関係で配置され、検出光を受光可能な受光装置13Bとを含む。エンコーダシステム14は、Y軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するYリニアエンコーダ14A、14C、14E、14Fと、X軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するXリニアエンコーダ14B、14Dとを含む。アライメントシステム15は、プライマリアライメントシステム15Aと、セカンダリアライメントシステム15Bとを含む。
【0019】
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pにおいて、感光膜と別の各種の膜が形成されてもよい。例えば、基板Pにおいて、感光膜上に保護膜(トップコート膜)が形成されてもよい。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクを含む。透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型等の位相シフトマスクも含む。本実施形態においては、マスクMとして透過型マスクを用いる。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
【0020】
照明系ILは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書等に開示されるような、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系及びブラインド機構等を含み、所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
【0021】
マスクステージ3は、マスクMを保持するマスク保持部3Hを有する。マスク保持部3Hは、マスクMを着脱可能である。本実施形態において、マスク保持部3Hは、マスクMの下面(パターン形成面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。第1駆動システム4は、リニアモータ等のアクチュエータを含む。マスクステージ3は、第1駆動システム4の作動により、マスクMを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、マスクステージ3は、マスク保持部3HでマスクMを保持した状態で、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
【0022】
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影光学系PLは、基板Pと対向可能な終端光学素子16を有する。終端光学素子16は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い光学素子である。終端光学素子16は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面(下面)16Uを有する。終端光学素子16の下面16Uから射出された露光光ELは、基板Pに照射される。
【0023】
投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒PKで保持される。図示していないが、鏡筒PKは、防振機構を介して3本の支柱で支持されるフレーム部材(鏡筒定盤)に搭載される。なお、例えば国際公開第2006/038952号パンフレットに開示されているように、投影光学系PLの鏡筒PKが、投影光学系PLの上方に配置される支持部材に吊り下げられてもよい。
【0024】
本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸とほぼ平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
【0025】
基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれは、ベース部材7のガイド面6上を移動可能である。本実施形態においては、ガイド面6は、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ1は、基板Pを保持して、ガイド面6に沿って、XY平面内を移動可能である。計測ステージ2は、基板ステージ1と独立して、ガイド面6に沿って、XY平面内を移動可能である。基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれは、終端光学素子16の下面16Uと対向する位置に移動可能である。終端光学素子16の下面16Uと対向する位置は、終端光学素子16の下面16Uから射出される露光光ELの照射位置EPを含む。以下の説明において、終端光学素子16の下面16Uと対向する露光光ELの照射位置EPを適宜、露光位置EP、と称する。
【0026】
基板ステージ1は、基板Pを保持する基板保持部1Hを有する。基板保持部1Hは、基板Pを着脱可能である。本実施形態において、基板保持部1Hは、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第2駆動システム5は、リニアモータ等のアクチュエータを含む。基板ステージ1は、第2駆動システム5の作動により、基板Pを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ1は、基板保持部1Hで基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0027】
基板ステージ1は、基板保持部1Hの周囲に配置された上面17を有する。本実施形態において、基板ステージ1の上面17は、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ1は、凹部を有する。基板保持部1Hは、凹部の内側に配置される。本実施形態において、基板ステージ1の上面17と、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面とが、ほぼ同一平面内に配置される(面一となる)。すなわち、基板ステージ1は、その上面17と、基板Pの表面とがほぼ同一平面内に配置されるように(面一になるように)、基板保持部1Hで基板Pを保持する。
【0028】
計測ステージ2は、基板Pを保持せずに、露光に関する所定の計測を実行可能な計測器及び計測部材(光学部品)を搭載する。計測ステージ2は、第2駆動システム5の作動により、XY平面内を移動可能である。本実施形態においては、計測ステージ2は、計測器の少なくとも一部及び計測部材を搭載した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0029】
計測ステージ2は、計測部材の周囲に配置された上面18を有する。本実施形態において、計測ステージ2の上面18は、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。本実施形態においては、制御装置9は、第2駆動システム5を作動して、基板ステージ1の上面17と、計測ステージ2の上面18とがほぼ同一平面内に配置されるように(面一になるように)、基板ステージ1と計測ステージ2との位置関係を調整することができる。
【0030】
搬送システム8は、基板Pを搬送可能である。本実施形態において、搬送システム8は、露光前の基板Pを基板保持部1Hに搬入(ロード)可能な搬送部材8Aと、露光後の基板Pを基板保持部1Hから搬出(アンロード)可能な搬送部材8Bとを備えている。なお、搬送システム8は、1つの搬送部材を用いて、基板Pを基板保持部1Hにロードするとともに、基板Pを基板保持部1Hからアンロードしてもよい。
【0031】
制御装置9は、基板Pを基板保持部1Hにロードするとき、基板ステージ1を、露光位置EPと異なる第1基板交換位置(ローディングポジション)CP1に移動する。また、制御装置9は、基板Pを基板保持部1Hからアンロードするとき、基板ステージ1を、露光位置EPと異なる第2基板交換位置(アンローディングポジション)CP2に移動する。本実施形態において、第1基板交換位置CP1と第2基板交換位置CP2とは異なる。なお、第1基板交換位置CP1と第2基板交換位置CP2とが同じでもよい。
【0032】
基板ステージ1は、露光位置EP及び第1、第2基板交換位置CP1、CP2を含むガイド面6の所定領域内を移動可能である。搬送システム8は、第1基板交換位置CP1に移動した基板ステージ1の基板保持部1Hに対して、基板Pの搬入動作(ローディング動作)を実行可能であり、第2基板交換位置CP2に移動した基板ステージ1の基板保持部1Hから、基板Pの搬出動作(アンローディング動作)を実行可能である。制御装置9は、搬送システム8を用いて、第1、第2基板交換位置CP1、CP2に移動した基板ステージ1(基板保持部1H)より、露光後の基板Pを搬出するアンローディング動作、及び次に露光されるべき露光前の基板Pを基板ステージ1(基板保持部1H)にロードするローディング動作を含む基板交換処理を実行可能である。
【0033】
液浸部材11は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液体LQで液浸空間LSを形成可能である。本実施形態において、液浸部材11は、終端光学素子16の近傍に配置されている。液浸部材11は、露光位置EPに配置される物体と対向可能な下面11Uを有する。本実施形態において、液浸部材11は、終端光学素子16と、露光位置EPに配置された物体との間の露光光ELの光路を液体LQで満たすように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSは、終端光学素子16の下面16Uと、露光位置EPに配置された物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子16及び液浸部材11と、その終端光学素子16及び液浸部材11と対向する物体との間に保持される液体LQによって形成される。
【0034】
終端光学素子16及び液浸部材11と対向可能な物体は、終端光学素子16の射出側(投影光学系PLの像面側)で移動可能な物体を含む。本実施形態においては、終端光学素子16の射出側で移動可能な物体は、基板ステージ1及び計測ステージ2の少なくとも一方を含む。また、物体は、基板ステージ1に保持されている基板Pを含む。また、物体は、計測ステージ2に搭載されている各種の計測部材(光学部品)を含む。
【0035】
例えば、終端光学素子16及び液浸部材11は、露光位置EPに配置された基板ステージ1の上面17及び基板Pの表面との間に液体LQを保持して、液体LQで液浸空間LSを形成可能である。また、終端光学素子16及び液浸部材11は、露光位置EPに配置された計測ステージ2の上面18との間に液体LQを保持して、液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
【0036】
基板Pの露光時には、基板ステージ1に保持された基板Pが、終端光学素子16及び液浸部材11と対向するように、露光位置EPに配置される。少なくとも基板Pの露光時には、終端光学素子16の下面16Uから射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、終端光学素子16及び液浸部材11と基板Pとの間に液体LQが保持され、液浸空間LSが形成される。
【0037】
本実施形態においては、投影光学系PLの投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)は、液浸部材11の下面11Uと基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
【0038】
また、計測ステージ2を用いる計測時には、計測ステージ2に搭載された計測部材が、終端光学素子16及び液浸部材11と対向するように、露光位置EPに配置される。計測部材を用いる計測時には、終端光学素子16の下面16Uから射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、終端光学素子16及び液浸部材11と計測部材との間に液体LQが保持され、液浸空間LSが形成される。
【0039】
図3は、終端光学素子16、液浸部材11及び露光位置EPに配置された基板ステージ1の近傍を示す断面図である。液浸部材11は、環状の部材である。液浸部材11は、終端光学素子16の周囲に配置されている。液浸部材11は、終端光学素子16の下面16Uと対向する位置に開口11Kを有する。液浸部材11は、液体LQを供給可能な供給口19と、液体LQを回収可能な回収口20とを備えている。
【0040】
供給口19は、液浸空間LSを形成するために、露光光ELの光路に液体LQを供給可能である。供給口19は、露光光ELの光路の近傍において、その光路と対向する液浸部材11の所定位置に配置されている。また、露光装置EXは、液体供給装置21を備えている。液体供給装置21は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。供給口19と液体供給装置21とは、流路22を介して接続されている。流路22は、液浸部材11の内部に形成された供給流路、及びその供給流路と液体供給装置21とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置21から送出された液体LQは、流路22を介して供給口19に供給される。供給口19は、液体供給装置21からの液体LQを露光光ELの光路に供給する。また、本実施形態においては、液体供給装置21は、バルブ機構及びマスフローコントローラ等を含む液体供給量調整装置を含む。液体供給装置21は、液体供給量調整装置を用いて、供給口19に供給される単位時間当たりの液体供給量を調整可能である。
【0041】
回収口20は、液浸部材11の下面11Uと対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口20は、露光光ELの光路の周囲に配置されている。回収口20は、物体の表面と対向する液浸部材11の所定位置に配置されている。回収口20には、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の多孔部材23が配置されている。なお、回収口20に、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。本実施形態において、液浸部材11の下面11Uの少なくとも一部が、多孔部材23の下面で構成される。また、露光装置EXは、液体LQを回収可能な液体回収装置24を備えている。液体回収装置24は、真空システムを含み、液体LQを吸引して回収可能である。回収口20と液体回収装置24とは、流路25を介して接続されている。流路25は、液浸部材11の内部に形成された回収流路、及びその回収流路と液体回収装置24とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口20から回収された液体LQは、流路25を介して、液体回収装置24に回収される。また、本実施形態においては、液体回収装置24は、バルブ機構及びマスフローコントローラ等を含む液体回収量調整装置を含む。液体回収装置24は、液体回収量調整装置を用いて、回収口20より回収される単位時間当たりの液体回収量を調整可能である。
【0042】
本実施形態においては、制御装置9は、供給口19を用いる液体供給動作と並行して、回収口20を用いる液体回収動作を実行することによって、終端光学素子16及び液浸部材11と、終端光学素子16及び液浸部材11と対向する物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
【0043】
基板ステージ1は、基板Pを着脱可能な基板保持部1Hを備えている。本実施形態において、基板保持部1Hは、所謂、ピンチャック機構を含む。基板保持部1Hは、基板Pの裏面と対向し、基板Pの裏面を保持する。基板ステージ1の上面17は、基板保持部1Hの周囲に配置されている。基板保持部1Hは、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。本実施形態においては、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面と基板ステージ1の上面17とは、ほぼ平行である。また、本実施形態においては、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面と基板ステージ1の上面17とは、ほぼ同一平面内に配置されている(ほぼ面一である)。
【0044】
本実施形態においては、基板ステージ1は、基板保持部1Hに保持された基板Pの周囲に配置されるプレート部材Tを有する。本実施形態において、基板ステージ1は、プレート部材Tを着脱可能である。本実施形態において、基板ステージ1は、プレート部材Tを着脱可能なプレート部材保持部1Tを備えている。本実施形態において、プレート部材保持部1Tは、所謂、ピンチャック機構を含む。プレート部材保持部1Tは、基板保持部1Hの周囲に配置されている。プレート部材保持部1Tは、プレート部材Tの下面と対向し、プレート部材Tの下面を保持する。
【0045】
プレート部材Tは、基板Pを配置可能な開口THを有する。プレート部材保持部1Tに保持されたプレート部材Tは、基板保持部1Hに保持された基板Pの周囲に配置される。本実施形態において、プレート部材保持部1Tに保持されたプレート部材Tの開口THの内面と、基板保持部1Hに保持された基板Pの外面とは、所定のギャップを介して対向するように配置される。プレート部材保持部1Tは、プレート部材Tの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態においては、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面と、プレート部材保持部1Tに保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ平行である。また、本実施形態においては、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面と、プレート部材保持部1Tに保持されたプレート部材Tの上面とは、ほぼ同一平面内に配置されている(ほぼ面一である)。
【0046】
すなわち、本実施形態においては、基板ステージ1の上面17は、プレート部材保持部1Tに保持されたプレート部材Tの上面を含む。
【0047】
図4は、基板ステージ1及び計測ステージ2を上方から見た平面図である。図4に示すように、本実施形態において、XY平面内におけるプレート部材Tの外形(輪郭)は、矩形である。基板Pを配置可能なプレート部材Tの開口THは、円形である。
【0048】
本実施形態において、プレート部材Tは、低熱膨張率の材料で形成されている。プレート部材Tは、例えば、光学ガラス部材又はセラミックス部材(ショット社のゼロデュア(商品名)、AlあるいはTiC等)で形成されている。プレート部材Tの上面は、液体LQに対して撥液性である。本実施形態において、プレート部材Tの上面は、撥液性処理されている。本実施形態においては、プレート部材Tの上面に、フッ素を含む材料の膜が形成されており、液体LQに対して撥液性である。膜を形成する材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でもよい。
【0049】
本実施形態においては、プレート部材Tは、開口THを有する第1プレートT1と、第1プレートT1の周囲に配置される第2プレートT2とを含む。XY平面内における第1プレートT1の外形(輪郭)は、矩形であり、第2プレートT2の外形(輪郭)は、矩形である。また、第1プレートT1が配置される第2プレートT2の開口は、矩形である。第2プレートT2の開口は、第1プレートT1の外形と同じ形状である。
【0050】
本実施形態においては、基板ステージ1に、格子RGを含むスケール部材が配置される。スケール部材は、基板保持部1Hの周囲に配置される。本実施形態において、スケール部材は、基板ステージ1の上面17の少なくとも一部を形成する。本実施形態においては、第2プレートT2が、格子RGを含むスケール部材として機能する。以下の説明において、第2プレートT2を適宜、スケール部材T2、と称する。
【0051】
本実施形態において、スケール部材T2の上面は、液体LQに対して撥液性である。スケール部材T2の上面は、基板保持部1Hに保持された基板Pの表面とほぼ面一となる。基板ステージ1は、スケール部材T2の上面と基板Pの表面とがほぼ同一平面内に配置されるように、基板Pを保持する。基板ステージ1の第1プレートT1は、その上面がスケール部材T2の上面及び基板Pの表面とほぼ同一平面内となる。
【0052】
スケール部材T2は、Y軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するためのYスケール26、27と、X軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するためのXスケール28、29とを含む。Yスケール26は、開口THに対して−X側に配置され、Yスケール27は、開口THに対して+X側に配置されている。Xスケール28は、開口THに対して−Y側に配置され、Xスケール29は、開口THに対して+Y側に配置されている。
【0053】
Yスケール26、27のそれぞれは、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)RGを含む。すなわち、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。
【0054】
Xスケール28、29のそれぞれは、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)RGを含む。すなわち、Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。
【0055】
本実施形態において、格子RGは、回折格子である。すなわち、本実施形態において、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする回折格子RGを有し、Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする回折格子RGを有する。
【0056】
また、本実施形態においては、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。
【0057】
なお、図示の便宜上、図4において、回折格子RGのピッチは、実際のピッチに比べて格段に大きく示されている。その他の図においても同様である。
【0058】
図3等に示すように、スケール部材T2は、貼り合わされた2枚の板状部材30A、30Bを含む。板状部材30Aは、板状部材30Bの上側(+Z側)に配置されている。回折格子RGは、下側の板状部材30Bの上面(+Z側の面)に設けられている。上側の板状部材30Aは、下側の板状部材30Bの上面を覆う。すなわち、上側の板状部材30Aは、下側の板状部材30Bの上面に配置されている回折格子RGを覆う。これにより、回折格子RGの劣化、損傷等が抑制される。
【0059】
プレート部材Tの上面17は、開口THの周囲に配置される第1撥液領域17Aと、第1撥液領域17Aの周囲に配置される第2撥液領域17Bとを含む。第1撥液領域17Aの外形(輪郭)は、矩形である。第2撥液領域17Bの外形(輪郭)は、矩形である。本実施形態において、第1プレートT1の上面が、第1撥液領域17Aであり、スケール部材(第2プレート)T2の上面が、第2撥液領域17Bである。第1撥液領域17Aは、例えば基板Pの露光動作時、基板Pの表面からはみ出す液浸空間(液浸領域)LSの液体LQと接触する。
【0060】
基板Pの露光動作において、第1プレートT1には、露光光ELが照射される可能性が高い。例えば、基板Pの周縁のショット領域(所謂、エッジショット領域)の露光時に、その基板Pの周囲に配置されている第1プレートT1の上面(第1撥液領域17A)にも、露光光ELが照射される。一方、スケール部材T2には、露光光ELが照射される可能性は低い。本実施形態においては、第1プレートT1及びスケール部材T2それぞれに対する露光光ELの照射量を考慮して、第1プレートT1の上面に形成される膜の材料と、スケール部材T2の上面に形成される膜の材料とが異なる。本実施形態においては、第1プレートT1の上面に形成される膜のほうが、スケール部材T2の上面に形成される膜より、露光光ELに対する耐性が高い。一般に、ガラス部材には、露光光EL(真空紫外光)に対する耐性が高い膜を形成することが困難である可能性が高い。すなわち、例えば第1プレートT1をガラス部材で形成する場合、その第1プレートT1に露光光ELに対する耐性が高い膜を形成することが困難である可能性が高くなる。したがって、本実施形態のように、第1プレートT1と、その周囲のスケール部材T2との2つの部分に分離することは有効である。
【0061】
なお、これに限らず、同一のプレートの上面に、露光光ELに対する耐性が異なる2種類の膜を形成して、第1撥液領域17Aと第2撥液領域17Bとを形成することができる。また、第1撥液領域17Aの膜の種類と、第2撥液領域17Bの膜の種類とが同一でも良い。例えば、同一のプレートに1つの撥液領域を形成するだけでも良い。また、本実施形態において、プレート部材Tの上面の少なくとも一部が基板Pの表面と面一でなくてもよい。すなわち、基板Pの表面とプレート部材Tの上面の少なくとも一部とが異なる高さでもよい。また、本実施形態では、プレート部材Tは、第1プレートT1とスケール部材T2を組み合わせたものであるが、単一のプレートでも良い。あるいは、3以上のプレートを組み合わせてもよい。
【0062】
図4に示すように、本実施形態において、第1プレートT1の−Y側のエッジに、長方形の切欠きが形成されている。切欠きは、X軸方向に関して、第1プレートT1のほぼ中央に形成されている。第1プレートT1の切欠きと、スケール部材T2とで形成される長方形の空間の内側(切欠きの内側)に、計測プレート31が配置されている。X軸方向に関して計測プレート31のほぼ中央に、基準マークFMが配置されている。また、X軸方向に関して基準マークFMの+X側及び−X側のそれぞれに、空間像を計測するためのスリット状の計測用パターン(スリットパターン)SLが形成されている。スリットパターンSLは、計測プレート31に形成されている。スリットパターンSLは、空間像計測装置32の一部を構成する。空間像を計測するための一対のスリットパターンSLは、基準マークFMの中心に関して対称に配置されている。スリットパターンSLは、例えば、X軸方向とY軸方向とに沿った辺を有するL字状のスリットパターン、あるいはX軸方向及びY軸方向のそれぞれに延びる2つの直線状のスリットパターンである。
【0063】
空間像計測装置32は、スリットパターンSLと、スリットパターンSLを介した光が入射する光学系と、光学系を介した光を受光する受光素子とを含む。本実施形態において、空間像計測装置32の光学系の少なくとも一部が、基板ステージ1の内部に配置されている。
【0064】
次に、干渉計システム12について説明する。干渉計システム12は、XY平面内におけるマスクステージ3、基板ステージ1及び計測ステージ2のそれぞれの位置情報を計測する。干渉計システム12は、XY平面内におけるマスクステージ3の位置情報を計測する第1干渉計ユニット12Aと、XY平面内における基板ステージ1及び計測ステージ2それぞれの位置情報を計測する第2干渉計ユニット12Bとを備えている。
【0065】
図1に示すように、第1干渉計ユニット12Aは、レーザ干渉計33を備えている。第1干渉計ユニット12Aは、レーザ干渉計33によりマスクステージ3の計測面3Rに計測光を照射し、その計測面3Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関するマスクステージ3(マスクM)の位置情報を計測する。
【0066】
図1及び図4に示すように、第2干渉計ユニット12Bは、レーザ干渉計34、35、36、37を備えている。第2干渉計ユニット12Bは、レーザ干渉計34、36により基板ステージ1の計測面1RY、1RXに計測光を照射し、その計測面1RY、1RXを介した計測光を用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関する基板ステージ1(基板P)の位置情報を計測する。また、第2干渉計ユニット12Bは、レーザ干渉計35、37により計測ステージ2の計測面2RY、2RXに計測光を照射し、その計測面2RY、2RXを介した計測光を用いて、X軸、Y軸及びθZ方向に関する計測ステージ2の位置情報を計測する。
【0067】
レーザ干渉計34は、基板ステージ1の計測面1RYに計測光を照射する。計測面1RYは、基板ステージ1の+Y側の端面に配置され、Y軸に垂直な反射面を含む。レーザ干渉計36は、基板ステージ1の計測面1RXに計測光を照射する。計測面1RXは、基板ステージ1の+X側の端面に配置され、X軸に垂直な反射面を含む。第2干渉計ユニット12Bは、レーザ干渉計34、36により、計測面1RY、1RXのそれぞれに計測光を照射し、その計測面1RY、1RXで反射した計測光を受光して、基準位置に対する各計測面1RY、1RXの位置(変位)、すなわちXY平面内(X軸、Y軸及びθZ方向)における基板ステージ1の位置情報を計測する。また、本実施形態においては、レーザ干渉計34、36はそれぞれ、光軸を複数有する多軸干渉計を含む。レーザ干渉計34、36の計測値は、制御装置9に出力される。制御装置9は、レーザ干渉計34、36の計測結果に基づいて、X軸、Y軸、θX、θY及びθZ方向の5つの方向に関する基板ステージ1の位置情報を求めることができる。
【0068】
レーザ干渉計35は、計測ステージ2の計測面2RYに計測光を照射する。計測面2RYは、計測ステージ2の−Y側の端面に配置され、Y軸に垂直な反射面を含む。レーザ干渉計37は、計測ステージ2の計測面2RXに計測光を照射する。計測面2RXは、計測ステージ2の+X側の端面に配置され、X軸に垂直な反射面を含む。第2干渉計ユニット12Bは、レーザ干渉計35、37により、計測面2RY、2RXのそれぞれに計測光を照射し、その計測面2RY、2RXで反射した計測光を受光して、基準位置に対する各計測面2RY、2RXの位置(変位)、すなわちXY平面内(X軸、Y軸及びθZ方向)における計測ステージ2の位置情報を計測する。また、本実施形態においては、レーザ干渉計25、26はそれぞれ、光軸を複数有する多軸干渉計を含む。レーザ干渉計35、37の計測値は、制御装置9に出力される。制御装置9は、レーザ干渉計35、37の計測結果に基づいて、X軸、Y軸、θX、θY及びθZ方向の5つの方向に関する計測ステージ2の位置情報を求めることができる。
【0069】
次に、図1、図2及び図4を参照して、計測ステージ2について説明する。計測ステージ2は、露光に関する各種計測を行うための複数の計測器及び計測部材(光学部品)を備えている。計測ステージ2の上面18の所定位置には、露光光ELを透過可能な開口パターンが形成された第1計測部材38が設けられている。第1計測部材38は、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書に開示されているような、投影光学系PLによる空間像を計測可能な空間像計測システム39の一部を構成する。第1計測部材38には、投影光学系PLの結像特性を計測するために投影光学系PLからの露光光ELが照射される。空間像計測システム39は、第1計測部材38と、第1計測部材38の開口パターンを介した露光光ELを受光する受光素子とを備えている。制御装置9は、第1計測部材38に露光光ELを照射し、その第1計測部材38の開口パターンを介した露光光ELを受光素子で受光して、投影光学系PLの結像特性の計測を実行する。
【0070】
また、計測ステージ2の上面18の所定位置には、露光光ELを透過可能な透過パターンが形成された第2計測部材40が設けられている。第2計測部材40は、例えば欧州特許第1079223号明細書に開示されているような、投影光学系PLの波面収差を計測可能な波面収差計測システム41の一部を構成する。第2計測部材40には、投影光学系PLの波面収差を計測するために投影光学系PLからの露光光ELが照射される。波面収差計測システム41は、第2計測部材40と、第2計測部材40の開口パターンを介した露光光ELを受光する受光素子とを備えている。制御装置9は、第2計測部材40に露光光ELを照射し、その第2計測部材40の開口パターンを介した露光光ELを受光素子で受光して、投影光学系PLの波面収差の計測を実行する。
【0071】
また、計測ステージ2の上面18の所定位置には、露光光ELを透過可能な透過パターンが形成された第3計測部材42が設けられている。第3計測部材42は、例えば米国特許第4465368号明細書に開示されているような、露光光ELの照度むらを計測可能な照度むら計測システム43の一部を構成する。第3計測部材42には、投影光学系PLの像面側に照射される露光光ELの照度むらを計測するために投影光学系PLからの露光光ELが照射される。照度むら計測システム43は、第3計測部材42と、第3計測部材42の開口パターンを介した露光光ELを受光する受光素子とを備えている。制御装置9は、第3計測部材42に露光光ELを照射し、その第3計測部材42の開口パターンを介した露光光ELを受光素子で受光して、露光光ELの照度むらの計測を実行する。
【0072】
本実施形態においては、第1計測部材38の上面と、第2計測部材40の上面と、第3計測部材42の上面と、それら各計測部材38、40、42の上面の周囲に配置される計測ステージ2の上面18とは、ほぼ同一平面内(XY平面内)に配置される(ほぼ面一である)。
【0073】
本実施形態においては、空間像計測システム39、波面収差システム41、及び照度むら計測システム43のそれぞれは、投影光学系PL及び液体LQを介して露光光ELを受光する。
【0074】
なお、例えば第3計測部材42が、例えば米国特許第6721039号明細書に開示されているような投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測するための計測システム、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号明細書等に開示されているような照射量計測システム(照度計測システム)等、露光光ELの露光エネルギーに関する情報を計測する計測システムの一部を構成するものであってもよい。
【0075】
なお、本実施形態において、例えば、終端光学素子16及び液浸部材11の状態を観察可能な撮像装置(観察カメラ)が計測ステージ2に配置されていてもよい。
【0076】
本実施形態においては、計測ステージ2の+Y側の側面に、基準部材44が配置されている。本実施形態において、基準部材44は、X軸方向に長い直方体であり、フィデュシャルバー(FDバー)、あるいはコンフィデンシャルバー(CDバー)とも呼ばれる。基準部材44は、フルキネマティックマウント構造によって、計測ステージ2にキネマティックに支持されている。
【0077】
基準部材44は、原器(計測基準)として機能する。基準部材44は、例えば低熱膨張率の光学ガラス部材又はセラミックス部材で形成される。本実施形態において、基準部材44は、例えばショット社のゼロデュア(商品名)によって形成されている。基準部材44の上面(表面、+Z側の面)の平坦度は高く、基準平面として機能することができる。基準部材44の+X側の端部の近傍及び−X側の端部の近傍のそれぞれには、Y軸方向を周期方向とする基準格子45が形成されている。基準格子45は、回折格子を含む。基準格子45のそれぞれは、X軸方向に関して、所定距離を隔てて配置されている。基準格子45は、X軸方向に関する基準部材44の中心に関して対称に配置されている。また、図4に示すように、基準部材44の上面には、複数の基準マークAMが形成されている。
【0078】
また、本実施形態においては、基準部材44の上面及び計測ステージ2の上面18は、液体LQに対して撥液性である。本実施形態において、基準部材44の上面及び計測ステージ2の上面18には、例えばフッ素を含む材料の膜が形成されている。また、計測部材38、40、42の上面も、液体LQに対して撥液性である。
【0079】
次に、図5を参照して、アライメントシステム15について説明する。図5は、アライメントシステム15、検出システム13及びエンコーダシステム14の近傍を示す平面図である。なお、図5においては、計測ステージの図示が省略されている。
【0080】
アライメントシステム15は、基板Pの位置情報を検出するプライマリアライメントシステム15Aと、セカンダリアライメントシステム15Bとを備えている。プライマリアライメントシステム15Aは、Y軸と平行で、投影光学系PLの光軸AXを通る直線LV上に検出中心(検出基準)を有する。本実施形態において、プライマリアライメントシステム15Aの検出中心は、投影光学系PLの光軸AXに対して+Y側に配置されている。プライマリアライメントシステム15Aの検出中心と投影光学系PLの光軸AXとは、所定距離離れている。プライマリアライメントシステム15Aは、支持部材46に支持されている。
【0081】
本実施形態において、セカンダリアライメントシステム15Bは、4つのセカンダリアライメントシステム15Ba、15Bb、15Bc、15Bdを含む。プライマリアライメントシステム15Aに対して、+X側に、セカンダリアライメントシステム15Ba、15Bbが配置され、−X側に、セカンダリアライメントシステム15Bc、15Bdが配置されている。セカンダリアライメントシステム15Ba、15Bbの検出中心(検出基準)と、セカンダリアライメントシステム15Bc、15Bdの検出中心(検出基準)とは、直線LVに関してほぼ対称に配置されている。セカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのそれぞれは、回転中心Oを中心として、XY平面内において回転可能である。セカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdが回転することによって、それら各セカンダリアライメントシステム15Ba〜15BdのX軸方向に関する位置が調整される。
【0082】
本実施形態において、プライマリアライメントシステム15A及び4つのセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのそれぞれは、例えば米国特許5493403号明細書に開示されているような、基板P上の感光膜を感光させないブロードバンドな検出光を対象マーク(基板P上のアライメントマーク等)に照射し、その対象マークからの反射光によって受光面に結像された対象マークの像と指標(各アライメントシステム内に設けられた指標板上の指標マーク)の像とをCCD等の撮像素子を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することでマークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントシステムを採用する。プライマリアライメントシステム15A及び4つのセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdそれぞれの撮像信号は、制御装置9に出力される。
【0083】
次に、エンコーダシステム14について、図5を参照して説明する。本実施形態において、エンコーダシステム14は、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測可能である。エンコーダシステム14は、Y軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するYリニアエンコーダ14A、14Cと、X軸方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測するXリニアエンコーダ14B、14Dとを備えている。
【0084】
Yリニアエンコーダ14Aは、スケール部材T2と対向可能なヘッドユニット47Aを備えている。Xリニアエンコーダ14Bは、スケール部材T2と対向可能なヘッドユニット47Bを備えている。Yリニアエンコーダ14Cは、スケール部材T2と対向可能なヘッドユニット47Cを備えている。Xリニアエンコーダ14Dは、スケール部材T2と対向可能なヘッドユニット47Dを備えている。4つのヘッドユニット47A〜47Dは、液浸部材11を囲むように配置されている。
【0085】
ヘッドユニット47Aは、投影光学系PLの−X側に配置されている。ヘッドユニット47Cは、投影光学系PLの+X側に配置されている。ヘッドユニット47A、47Cのそれぞれは、X軸方向に長い。ヘッドユニット47Aとヘッドユニット47Cとは、投影光学系PLの光軸AXに関して対称に配置されている。XY平面内において、投影光学系PLの光軸AXとヘッドユニット47Aとの距離と、投影光学系PLの光軸AXとヘッドユニット47Cとはほぼ同じである。
【0086】
ヘッドユニット47Bは、投影光学系PLの−Y側に配置されている。ヘッドユニット47Dは、投影光学系PLの+Y側に配置されている。ヘッドユニット47B、47Dのそれぞれは、Y軸方向に長い。ヘッドユニット47Bとヘッドユニット47Dとは、投影光学系PLの光軸AXに関して対称に配置されている。XY平面内において、投影光学系PLの光軸AXとヘッドユニット47Bとの距離と、投影光学系PLの光軸AXとヘッドユニット47Dとはほぼ同じである。
【0087】
ヘッドユニット47Aは、X軸方向に沿って配置された複数(本実施形態では6個)のYヘッド48を備えている。ヘッドユニット47AのYヘッド48は、投影光学系PLの光軸AXを通り、X軸と平行な直線LH上に所定間隔で配置されている。
【0088】
ヘッドユニット47Cは、X軸方向に沿って配置された複数(本実施形態では6個)のYヘッド48を備えている。ヘッドユニット47CのYヘッド48は、投影光学系PLの光軸AXを通り、X軸と平行な直線LH上に所定間隔で配置されている。
【0089】
ヘッドユニット47A、47CのYヘッド48のそれぞれは、スケール部材T2と対向可能である。
【0090】
ヘッドユニット47Aは、スケール部材T2のYスケール26を用いて、基板ステージ1のY軸方向の位置を計測する。ヘッドユニット47Aは、複数(6個)のYヘッド48を有し、所謂、多眼(6眼)のYリニアエンコーダ14Aを構成する。
【0091】
ヘッドユニット47Cは、スケール部材T2のYスケール27を用いて、基板ステージ1のY軸方向の位置を計測する。ヘッドユニット47Cは、複数(6個)のYヘッド48を有し、所謂、多眼(6眼)のYリニアエンコーダ14Cを構成する。
【0092】
ヘッドユニット47Aにおいて、隣接するYヘッド48(Yヘッド48の計測光)のX軸方向に関する間隔は、Yスケール26、27のX軸方向の幅(回折格子RGの長さ)より小さい。同様に、ヘッドユニット47Cにおいて、隣接するYヘッド48(Yヘッド48の計測光)のX軸方向に関する間隔は、Yスケール26、27のX軸方向の幅(回折格子RGの長さ)より小さい。
【0093】
ヘッドユニット47Bは、Y軸方向に沿って配置された複数(本実施形態では7個)のXヘッド49を備えている。ヘッドユニット47BのXヘッド49は、投影光学系PLの光軸AXを通り、Y軸と平行な直線LV上に所定間隔で配置されている。
【0094】
ヘッドユニット47Dは、Y軸方向に沿って配置された複数(本実施形態では11個)のXヘッド49を備えている。ヘッドユニット47DのXヘッド49は、投影光学系PLの光軸AXを通り、Y軸と平行な直線LV上に所定間隔で配置されている。
【0095】
ヘッドユニット47B、47DのXヘッド49のそれぞれは、スケール部材T2と対向可能である。
【0096】
なお、図5においては、ヘッドユニット47Dの複数のXヘッド49のうち、プライマリアライメントシステム15Aと重なるXヘッド49の一部の図示が省略されている。
【0097】
ヘッドユニット47Bは、スケール部材T2のXスケール28を用いて、基板ステージ1のX軸方向の位置を計測する。ヘッドユニット47Bは、複数(7個)のXヘッド49を有し、所謂、多眼(7眼)のXリニアエンコーダ14Bを構成する。
【0098】
ヘッドユニット47Dは、スケール部材T2のXスケール29を用いて、基板ステージ1のX軸方向の位置を計測する。ヘッドユニット47Dは、複数(11個)のXヘッド49を有し、所謂、多眼(11眼)のXリニアエンコーダ14Dを構成する。
【0099】
ヘッドユニット47Bにおいて、隣接するXヘッド49(Xヘッド49の計測光)のY軸方向に関する間隔は、Xスケール28、29のY軸方向の幅(回折格子RGの長さ)より小さい。同様に、ヘッドユニット47Dにおいて、隣接するXヘッド49(Xヘッド49の計測光)のY軸方向に関する間隔は、Xスケール28、29のY軸方向の幅(回折格子RGの長さ)より小さい。
【0100】
また、エンコーダシステム14は、セカンダリアライメントシステム15Baの+X側に配置されたYヘッド48Aを含むYリニアエンコーダ14Eと、セカンダリアライメントシステム15Bdの−X側に配置されたYヘッド48Bを含むYリニアエンコーダ14Fとを備えている。Yヘッド48A及びYヘッド48Bのそれぞれは、スケール部材T2と対向可能である。
【0101】
Yヘッド48A、48Bのそれぞれは、プライマリアライメントシステム15Aの検出中心を通るX軸に平行な直線上に配置される。Yヘッド48AとYヘッド48Bとは、プライマリアライメントシステム15Aの検出中心に対してほぼ対称に配置される。Yヘッド48AとYヘッド48Bとの間隔は、基準部材44の一対の基準格子45間の間隔にほぼ等しい。
【0102】
図5に示すように、基板ステージ1に保持されている基板Pの中心が直線LV上に配置されているとき、Yヘッド48AとYスケール27とが対向し、Yヘッド48BとYスケール26とが対向する。エンコーダシステム14は、Yヘッド48A、48Bを用いて、Y軸及びθZ方向に関する基板ステージ1の位置情報を計測可能である。
【0103】
また、本実施形態においては、基準部材44の一対の基準格子45と、Yヘッド48A、48Bとがそれぞれ対向し、Yヘッド48A、48Bは、基準格子45を計測して、基準部材44のY軸方向の位置を計測可能である。
【0104】
上述した6つのリニアエンコーダ14A〜14Fの計測値は、制御装置9に出力される。制御装置9は、リニアエンコーダ14A〜14Dの計測値に基づいて、XY平面内における基板ステージ1の位置を制御するとともに、リニアエンコーダ14E、14Fの計測値に基づいて、θZ方向に関する基準部材44の位置を制御する。
【0105】
本実施形態において、各リニアエンコーダ14A〜14Fは、投影光学系PLを支持するフレーム部材に支持されている。各リニアエンコーダ14A〜14Fのそれぞれは、支持部材を介してフレーム部材に吊り下げられている。各リニアエンコーダ14A〜14Fは、基板ステージ1及び計測ステージ2の上方に配置される。
【0106】
図6は、Yリニアエンコーダ14Aが備えるYヘッド48の一例を示す構成図である。図6には、Yエンコーダ14AのYヘッド48とYスケール26とが対向している状態が示されている。ここで、Yリニアエンコーダ14AのYヘッド48の構成と、Yリニアエンコーダ14CのYヘッド48、Xリニアエンコーダ14B、14DのXヘッド49、Yリニアエンコーダ14E、14FのYヘッド48A、48Bの構成とは、ほぼ同じである。以下、図6(A)を用いて、Yリニアエンコーダ14AのYヘッド48について説明し、他のエンコーダ14B〜14Fのヘッドについての説明は省略する。
【0107】
Yヘッド48は、計測光を射出する照射装置50と、計測光が通過する光学系51と、Yスケール26を介した計測光を受光する受光装置52とを備えている。
【0108】
照射装置50は、計測光(レーザ光)LBを発生する光源50Aと、光源50Aから射出される計測光LBが入射可能な位置に配置されたレンズ系50Bとを含む。光源50Aは、例えば半導体レーザを含む。照射装置50は、Y軸及びZ軸のそれぞれに対して45度傾斜した方向に計測光LBを射出する、
【0109】
光学系51は、偏光ビームスプリッタ53と、一対の反射ミラー54A、54Bと、レンズ55A、55Bと、λ/4板56A、56Bと、反射ミラー57A、57Bとを備えている。本実施形態において、偏光ビームスプリッタ53は、その偏光分離面がXZ平面とほぼ平行である
【0110】
受光装置52は、偏光子(検光子)及び光検出器等を含む。受光装置52は、受光した光に応じた信号を制御装置9に出力する。
【0111】
Yリニアエンコーダ14Aにおいて、光源50Aから射出された計測光LBは、レンズ系50Bを介して、偏光ビームスプリッタ53に入射し、偏光分離される。偏光ビームスプリッタ53は、入射した計測光LBを、P偏光成分を主成分とする計測光LB1と、S偏光成分を主成分とする計測光LB2とに分離する。
【0112】
偏光ビームスプリッタ53の偏光分離面を透過した計測光LB1は、反射ミラー54Aを介して、Yスケール26に配置された回折格子RGに到達する。偏光ビームスプリッタ53の偏光分離面で反射した計測光LB2は、反射ミラー54Bを介して、回折格子RGに到達する。
【0113】
計測光LB1、LB2の照射によって、回折格子RGは、回折光を生成する。回折光学素子RGで発生した所定次数の回折光(例えば1次回折光)のそれぞれは、レンズ55A、55Bを介して、λ/4板56A、56Bに入射する。λ/4板56A、56Bは、入射した光を、円偏光に変換する。λ/4板56A、56Bで円偏光に変換された光は、反射ミラー57A、58Bに入射し、その反射ミラー57A、58Bで反射して、再び、λ/4板56A、56Bに入射する。λ/4板56A、56Bに入射した光は、そのλ/4板56A、56Bを介して、Yスケール26に配置された回折格子RGに照射される。回折格子RGを介した光は、偏光ビームスプリッタ53に到達する。本実施形態においては、反射ミラー57A、57Bで反射した光は、往路と同じ光路を逆方向に辿って、偏光ビームスプリッタ53に到達する。
【0114】
偏光ビームスプリッタ53に到達した2つの計測光はそれぞれ、その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、先に偏光ビームスプリッタ53を透過した計測光LB1の1次回折光は、偏光ビームスプリッタ53で反射して、受光装置52に入射する。また、とともに、先に偏光ビームスプリッタ53で反射した計測光LB2の1次回折光は、偏光ビームスプリッタ53を透過して、計測光LB1の1次回折光と同軸に合成されて、受光装置52に入射する。
【0115】
そして、受光装置52に入射した2つの1次回折光は、受光装置52の内部で、検光子によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。
【0116】
本実施形態においては、例えばYリニアエンコーダ14Aにおいて、干渉させる2つの光の光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響をほとんど無視できる。そして、Yスケール26(基板ステージ1)が計測方向(この場合、Y軸方向)に移動すると、2つの光のそれぞれの位相が変化して、干渉光の強度が変化する。干渉光の強度変化は、受光装置52によって検出される。Yリニアエンコーダ14Aは、その強度変化に応じた位置情報を、計測値として出力する。
【0117】
次に、図1、図2、図5及び図7を参照して、検出システム13について説明する。図7は、検出システム13を示す側面図である。
【0118】
検出システム13は、基板ステージ1に保持された基板Pの表面の位置情報、基板ステージ1の上面17(プレート部材Tの上面)の位置情報、及び計測ステージ2の上面18の位置情報を検出する。以下の説明において、検出システム13によって検出される、XY平面とほぼ平行な、基板ステージ1に保持された基板Pの表面、基板ステージ1の上面17(第1プレートT1及びスケール部材T2を含むプレート部材Tの上面)、及び計測ステージ2の上面18のそれぞれを適宜、被検面、と称する。
【0119】
検出システム13は、Z軸、θX及びθY方向に関する被検面の位置情報を検出する。検出システム13は、例えば米国特許第5448332号明細書等に開示されているような、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含む。
【0120】
検出システム13は、被検面内(XY平面内)の複数の検出点Kijに検出光LUを照射し、それら各検出点KijでZ軸方向に関する被検面の位置情報を検出する。検出システム13は、XY平面内の複数の検出点Kijのそれぞれに対して、Z軸方向と傾斜した方向から検出光LUを照射する照射装置13Aと、検出点Kijを介した検出光LUを受光可能な受光装置13Bとを備えている。
【0121】
照射装置13Aは、被検面の複数の検出点Kijのそれぞれに対して、被検面の上方から検出光LUを照射する。照射装置13Aは、基板Pの感光膜に対して非感光性の検出光LUを射出する。受光装置13Bは、照射装置13Aより射出され、被検面で反射した検出光LUを受光可能である。照射装置13Aは、検出光LUを射出する射出部13Sを複数備える。照射装置13Aは、複数の射出部13Sのそれぞれより検出光LUを射出して、被検面に複数の検出光(光束)LUを照射する。
【0122】
本実施形態において、検出システム13の複数の検出点Kijは、被検面内においてX軸方向に沿って所定間隔で配置される。照射装置13Aは、XY平面内においてX軸方向に沿って設定された複数の検出点Kijのそれぞれに検出光LUを照射可能である。本実施形態においては、検出点Kijは、X軸方向に沿って一列に配置される。検出光LUが照射される複数の検出点Kijは、図5に示すように、X軸方向に長い検出領域AFの内側に配置される。検出領域AFは、照射装置13Aと受光装置13Bとの間に配置される。本実施形態において、X軸方向に関する検出領域AFの大きさ(長さ)は、基板Pの直径とほぼ同じである。
【0123】
なお、複数の検出点Kijが、XY平面内においてマトリクス状に配置されてもよい。例えば、X軸方向に沿って配置される複数の検出点Kijが、Y軸方向に2つ(2列)配置されてもよい。もちろん、Y軸方向に3つ以上配置されてもよい。すなわち、XY平面内において、複数の検出点Kijを、i行j列(i、jは任意の自然数)で配置することができる。なお、X軸方向に沿って配置される複数の検出点KijをY軸方向に2つ(2列)以上配置する場合、異なる列間において、X軸方向の位置を異ならせることが好ましい。
【0124】
図5に示すように、本実施形態においては、エンコーダシステム14のヘッドユニット47Cの+X側の端の+Y側に照射装置13Aが配置され、ヘッドユニット47Aの−X側の端の+Y側に受光装置13Bが配置されている。
【0125】
本実施形態において、検出システム13の検出領域AFは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。検出システム13は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、被検面の位置情報を検出する。換言すれば、検出システム13は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される被検面の位置情報を検出する。
【0126】
本実施形態において、検出領域AFは、Y軸方向に関して、液浸部材11(終端光学素子16)とアライメントシステム15の検出領域との間に配置される。本実施形態においては、検出システム13を用いる検出動作の少なくとも一部と並行して、アライメントシステム15を用いる検出動作を実行することができる。
【0127】
本実施形態において、検出システム13は、Z軸方向に関する被検面の位置情報を高さ情報Zijとして検出する。検出システム13は、XY平面内の複数の検出点Kijに検出光LUを照射し、各検出点KijにおけるZ軸方向に関する被検面の位置情報を高さ情報Zijとして検出する。検出システム13は、被検面の複数の検出点Kijのそれぞれに検出光LUを照射して、それら複数の検出点Kijのそれぞれにおける被検面のZ軸方向(高さ方向)の位置に対応した高さ情報Zijを検出する。
【0128】
検出システム13(受光装置13B)の受光結果は、制御装置9に出力される。制御装置9は、検出システム13の出力に基づいて、被検面のZ軸方向(高さ方向)、及び傾斜方向(θX、及びθY方向)に関する位置情報を検出可能である。すなわち、制御装置9は、複数の検出点Kijのそれぞれに関する高さ情報Zijに基づいて、被検面のZ軸方向(高さ方向)、及び傾斜方向(θX、及びθY方向)に関する位置情報(面位置情報)を取得可能である。
【0129】
また、制御装置9は、受光装置13Bから出力された高さ情報Zijを用いて、所定の基準面Zo(例えば、投影光学系PLの像面、最良結像面)に対する、各検出点Kijのそれぞれにおける被検面の高さ方向の位置情報を取得する。
【0130】
例えば、複数の検出点Kijのうち、所定の検出点における被検面が基準面Zoに配置されている場合(あるいは、被検面が基準面Zoに対して所定の位置関係の場合)、検出システム13は、所定状態(例えば零レベル状態)の高さ情報Zijを出力する。換言すれば、被検面と基準面Zoとが合致しているときに(あるいは、被検面と基準面Zoとが所定の位置関係のときに)、受光装置13Bから所定状態の高さ情報Zijが出力されるように、検出システム13の状態が調整(キャリブレーション)されている。また、検出システム13から出力される各計測点Kijでの高さ情報Zijは、基準面Zoと検出点KijでのZ軸方向(高さ方向)での位置との差に比例するように変化する。なお、検出システム13のキャリブレーションは、例えば空間像計測システム39を用いて実行することができ、そのキャリブレーションの方法の一例が、例えば米国特許出願公開2002/0041377号明細書に開示されている。
【0131】
制御装置9は、各検出点Kijのそれぞれに関する高さ情報Zijに基づいて、各検出点Kijのそれぞれにおける基準面Zoに対する高さ方向(Z軸方向)の位置を求めることができる。換言すれば、制御装置9は、各検出点Kijのそれぞれの高さ方向の位置と基準面Zoの位置関係とを求めることができる。
【0132】
また、制御装置9は、各検出点Kijのそれぞれに関する高さ情報Zijに基づいて、基準面Zoを基準とした、被検面の形状(近似平面、凹凸情報)を求めることができる。
【0133】
本実施形態においては、例えば基板Pの表面の位置情報を検出するとき、制御装置9は、エンコーダシステム14及び干渉計システム12(第2干渉計ユニット12B)の少なくとも一方を用いて、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、基板ステージ1をXY平面内において移動しながら、検出システム13の照射装置13Aより、基板保持部1Hに保持されている基板Pに検出光LUを照射する。
【0134】
上述したように、本実施形態においては、X軸方向に関する検出領域AFの大きさ(長さ)は、基板Pの直径とほぼ同じである。したがって、制御装置9は、Y軸方向に関して、検出領域AFに対して基板Pを1回移動するだけで、基板Pの表面のほぼ全域に検出光LUを照射することができる。基板Pの表面の複数の検出点Kijのそれぞれに照射された検出光LUは、基板Pの表面で反射して、受光装置13Bに受光される。受光装置13Bは、複数の検出点Kijのそれぞれにおける基板Pの表面の高さ方向の位置に対応した高さ情報Zijに応じた検出信号を制御装置9に出力する。制御装置9は、検出システム13(受光装置13B)より出力された検出信号に基づいて、基板Pの表面のほぼ全域において、その基板Pの表面の位置情報を求めることができる。
【0135】
図5において、基板ステージ1は、終端光学素子16から射出される露光光ELが照射される露光位置EPと、基板ステージ1上への基板Pのロードが行われる第1基板交換位置(ローディングポジション)CP1と、基板ステージ1上の基板Pのアンロードが行われる第2基板交換位置(アンローディングポジション)CP2とを移動可能である。本実施形態においては、第1基板交換位置CP1と、第2基板交換位置CP2とは、直線LVに関して対称である。
【0136】
本実施形態において、検出システム13は、基板保持部1Hに保持され、露光位置EPに移動(配置)される前の基板P(露光前の基板P)の表面の位置情報を、第1基板交換位置(ローディングポジション)CP1と露光位置EPとの間において検出する。すなわち、本実施形態においては、検出システム13は、基板Pに露光光ELが照射される前に(基板Pの露光処理が開始される前に)、その基板Pの表面の位置情報を予め取得する。
【0137】
また、検出システム13は、スケール部材T2の上面を含む、プレート部材Tの上面の異物を検出することができる。例えば、検出システム13は、Z軸方向に関するスケール部材T2の上面の位置情報を高さ情報Zijとして検出し、その高さ情報Zijに基づいて、スケール部材T2の上面の異物を検出する。
【0138】
検出システム13は、スケール部材T2の上面で高さ情報Zijが異常な位置(検出点Kij)に、異物が存在すると判断する。
【0139】
本実施形態においては、検出システム13を用いて検出される、スケール部材T2の上面の複数の検出点Kijのそれぞれにおける高さ情報Zijの少なくとも一つが異常であるか否かが判断され、その判断結果に基づいて、スケール部材T2の上面に異物が存在するか否かが判断される。
【0140】
高さ情報Zijの異常は、例えば基準面Zo(基準高さ情報Zr)に対する高さ情報Zij(基準面Zoと高さ情報ZijとのZ軸方向に関する差)が、予め定められている許容値以上である状態を含む。基準面Zoに対する高さ情報Zijが許容値未満である場合、スケール部材T2の上面には、異物が存在しないと判断する。
【0141】
スケール部材T2の上面に異物が存在する場合、その異物が存在する部分に対応する検出点Kijにおける高さ情報Zijは、異物が存在しない場合に対して異なる値となる。また、スケール部材T2の上面に異物が存在し、その異物の大きさ(高さ方向に関する大きさ)が予め定められた許容値以上である場合、その異物が存在する部分に対応する検出点Kijにおける高さ情報Zijは、異常となる。
【0142】
本実施形態においては、制御装置9は、エンコーダシステム14及び干渉計システム12の少なくとも一方を用いて、基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1をXY平面内で移動しながら、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の複数の検出点Kijのそれぞれにおけるスケール部材T2の上面の高さ情報Zijを検出する。また、本実施形態においては、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)によって規定される座標系内でのスケール部材T2の上面における各検出点Kijの位置情報(照射装置13Aの各射出部13Sから射出される検出光LUの位置情報)は既知である。したがって、制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)によって規定される座標系内での各検出点Kijの位置情報を求めることができる。したがって、制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)によって規定される座標系内での、高さ情報Zijが異常な検出点Kijの位置情報、すなわち異物の位置情報を求めることができる。
【0143】
スケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面に付着する可能性がある異物として、例えば露光装置EXが配置されている空間を浮遊するパーティクルが挙げられる。また、本実施形態においては、液体LQを介して基板Pが露光され、プレート部材Tの上面に付着する可能性がある異物として、液体LQ(液体LQの滴)が挙げられる。また、プレート部材Tの上面に付着する可能性がある異物として、基板Pから発生する物質の一部である可能性がある。例えば、基板Pから感光膜の一部、あるいは保護膜(トップコート膜)の一部が分離し、プレート部材Tの上面に付着する可能性がある。また、液浸空間LSの液体LQと基板Pとが接触することによって、感光膜及び保護膜等、基板Pの物質の一部が液浸空間LSの液体LQに溶出し、その溶出した物質を含む液体LQの液浸空間(液浸領域)LSがプレート部材T上に位置し、その液浸空間(液浸領域)LSの液体LQとプレート部材Tとが接触することによって、プレート部材Tの上面に、溶出した物質に起因する異物が付着する可能性もある。
【0144】
本実施形態においては、スケール部材T2の上面が初期状態において、検出システム13によって、複数の検出点Kijのそれぞれにおけるスケール部材T2の上面の高さ情報(基準高さ情報)Zrが検出される。その初期状態でのスケール部材13の上面に関する高さ情報(基準高さ情報)Zrは、記憶装置10に記憶される。
【0145】
ここで、スケール部材T2の上面の初期状態は、スケール部材T2の上面に異物が存在しない状態を含む。例えば、スケール部材T2の上面の初期状態は、スケール部材T2のクリーニング後の状態を含む。また、スケール部材T2の上面の初期状態は、スケール部材T2上に液体LQの液浸空間(液浸領域)LSが位置する前の状態を含む。
【0146】
検出システム13は、記憶装置10に記憶された、初期状態でのスケール部材T2の上面の高さ情報に基づいて、異物を検出する。制御装置9は、検出システム13の検出結果(高さ情報Zij)と、記憶装置10に記憶された高さ情報(基準高さ情報)Zrとに基づいて、異物を検出する。すなわち、制御装置9は、検出システム13の検出結果(高さ情報Zij)と、記憶装置10に記憶された高さ情報(基準高さ情報)Zrとを比較し、記憶装置10に記憶されている基準高さ情報Zrに対する、検出システム13で検出された高さ情報Zij(基準高さ情報Zrと高さ情報ZijとのZ軸方向に関する差)が、予め定められている許容値以上である場合、スケール部材T2の上面の検出点Kijに対応する位置に、異物が存在すると判断する。
【0147】
次に、上述した構成を有する露光装置EXの動作の一例について、図8のフローチャート、及び図9〜図13の模式図を参照して説明する。なお、図示の便宜上、図9〜図13において、エンコーダシステム14及びアライメントシステム15の図示を省略する。
【0148】
本実施形態においては、基板Pの露光動作を含む露光シーケンスSAと、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を含む異物処理シーケンスSBとを含む。
【0149】
露光シーケンスSAにおいては、例えばローディング動作、アライメント動作、基板Pの露光動作及びアンローディング動作等が実行される。本実施形態においては、制御装置9は、基板Pのアライメント動作及び露光動作において、干渉計システム12(第1干渉計ユニット12A)の計測結果に基づいて、第1駆動システム4を作動し、マスク保持部3Hに保持されているマスクMの位置制御を行う。また、本実施形態においては、制御装置9は、基板Pのアライメント動作及び露光動作において、エンコーダシステム14の計測結果及び検出システム13の検出結果に基づいて、第2駆動システム5を作動し、基板保持部1Hに保持されている基板Pの位置制御を行う。エンコーダシステム14は、少なくとも基板Pのアライメント動作及び露光動作において、スケール部材T2を用いて、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測する。
【0150】
また、本実施形態においては、第2干渉計ユニット12Bのレーザ干渉計34、36の計測値は、エンコーダシステム14の計測値の長期的変動(例えばスケール部材の経時的な変形)を補正(較正)する場合等に補助的に用いられる。
【0151】
また、ローディング動作及びアンローディング動作を含む基板交換処理のために、基板ステージ1が第1,第2基板交換位置CP1、CP2付近に移動した際、制御装置9は、レーザ干渉計34を用いて、基板ステージ1のY軸方向に関する位置情報を計測し、その計測結果に基づいて、基板ステージ1の位置制御を行う。また、制御装置9は、例えばローディング動作とアライメント動作との間、及び/又は露光動作とアンローディング動作との間における基板ステージ1の位置情報を、第2干渉計ユニット12Bによって計測し、その計測結果に基づいて、基板ステージ1の位置制御を行う。
【0152】
また、本実施形態においては、基板Pのアライメント動作及び露光動作のために基板ステージ1が移動する範囲において、Xスケール28、29と、ヘッドユニット47B、47D(Xヘッド49)とがそれぞれ対向し、Yスケール26、27と、ヘッドユニット47A,47C(Yヘッド48)とがそれぞれ対向する。また、基板Pのアライメント動作及び露光動作のために基板ステージ1が移動する範囲において、Yスケール26、27と、Yヘッド48A、48Bとが対向可能である。したがって、制御装置9は、基板Pのアライメント動作及び露光動作のための基板ステージ1の移動範囲(有効ストローク範囲)において、リニアエンコーダ14A、14B、14C、14Dの少なくとも3つの計測値に基づいて、XY平面内(X軸、Y軸及びθZ方向)における基板ステージ1の位置情報を求めることができる。また、制御装置9は、その位置情報に基づいて、第2駆動システム5を作動することによって、XY平面内における基板ステージ1の位置制御を精度良く実行できる。リニアエンコーダ14A〜14Dの計測値が受ける空気揺らぎの影響は、レーザ干渉計に比べて十分に小さいので、空気揺らぎに対する計測値の短期安定性は、エンコーダシステムのほうが干渉計システムに比べて良好である。
【0153】
まず、露光シーケンスSAについて説明する。なお、露光シーケンスSAにおいては、前提として、プライマリアライメントシステム15Aのベースライン計測動作、及びセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのベースライン計測動作が、既に実行されている。プライマリアライメントシステム15Aのベースラインは、投影光学系PLの投影位置とプライマリアライメントシステム15Aの検出基準(検出中心)との位置関係(距離)である。セカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのベースラインは、プライマリアライメントシステム15Aの検出基準(検出中心)に対する各セカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdの検出基準(検出中心)の相対位置である。プライマリアライメントシステム15Aのベースラインは、例えば、基準マークFMがプライマリアライメントシステム15Aの検出領域(視野)内に配置された状態で、基準マークFMを計測するとともに、基準マークFMが投影光学系PLの投影領域PRに配置された状態で、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書等に開示される方法と同様に、一対のスリットパターンSLを用いるスリットスキャン方式の空間像計測動作によって、一対の計測マークの空間像をそれぞれ計測し、それぞれの検出結果及び計測結果に基づいて算出する。また、セカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのベースラインは、例えば、事前に、ロット先頭の基板P(プロセス基板)上の特定のアライメントマークをプライマリアライメントシステム15A及びセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのそれぞれで検出し、その検出結果とその検出時のエンコーダ14A〜14Dの計測値とに基づいて算出する。なお、制御装置9は、セカンダリアライメントシステム15Ba〜15BdのX軸方向の位置を、アライメントショット領域の配置に合わせて事前に調整している。
【0154】
例えば、制御装置9は、図9に示すように、終端光学素子16及び液浸部材11と対向する位置に計測ステージ2を配置して、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、基板ステージ1を、第1基板交換位置CP1へ移動する。なお、基板ステージ1に露光後の基板Pが保持されている場合には、制御装置9は、基板ステージ1を第2基板交換位置CP2へ移動して、搬送システム8を用いて、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ1から、露光後の基板Pのアンロードを実行した後、基板ステージ1を第1基板交換位置CP1へ移動する。制御装置9は、搬送システム8を用いて、第1基板交換位置CP1に配置された基板ステージ1に、露光前の基板Pをロードする(ステップSA1)。
【0155】
また、基板ステージ1が第1基板交換位置CP1へ移動しているとき、必要に応じて、制御装置9は、計測ステージ2を用いる計測動作を実行する。例えば、制御装置9は、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2の第1計測部材38との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、第1計測部材38に露光光ELを照射する。上述のように、第1計測部材38は、空間像計測システム39の一部を構成し、空間像計測システム39は、第1計測部材38に照射された露光光ELに基づいて、投影光学系PLの結像特性を求めることができる。また、制御装置9は、波面収差計測システム41を用いる計測動作、及び照度むら計測システム43を用いる計測動作の少なくとも一方を、必要に応じて実行する。制御装置9は、計測ステージ2を用いる計測動作の結果に基づいて、投影光学系PLの光学特性等を調整することができる。
【0156】
基板ステージ1に基板Pがロードされた後、制御装置9は、第2駆動システム5を作動して、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ向けて、基板ステージ1の移動を開始する(ステップSA2)。
【0157】
本実施形態において、アライメントシステム15の検出領域が、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間に配置されている。本実施形態においては、制御装置9は、アライメントシステム15を用いて、基板Pの露光動作前に、その基板Pに設けられているアライメントマークを検出する(ステップSA3)。
【0158】
基板Pには、露光対象領域であるショット領域が、例えばマトリクス状に複数設けられている。アライメントマークは、各ショット領域に対応するように基板P上に設けられている。制御装置9は、基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動する途中において、アライメントシステム15を用いて、基板Pに設けられたアライメントマークを検出する。アライメントシステム15は、基板ステージ1に保持されている露光前の基板P上のアライメントマークを、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間において検出する。
【0159】
制御装置9は、アライメントシステム15の検出領域に対して基板ステージ1に保持されている基板Pを移動して、基板Pに設けられたアライメントマークを検出する。本実施形態においては、アライメントシステム15(15A、15Ba〜15Bd)は、複数の検出領域を有しており、基板Pに設けられた複数のアライメントマークをほぼ同時に検出することができる。
【0160】
本実施形態においては、制御装置9は、基板P上の複数のショット領域のうち、一部のショット領域(例えば、8〜16個程度)をアライメントショット領域として選択し、その選択されたショット領域に対応するアライメントマークを、アライメントシステム15(15A、15Ba〜15Bd)を用いて検出する。そして、制御装置9は、例えば米国特許第4780617号明細書等にされているような、検出されたアライメントマークの位置情報を統計演算して基板P上の各ショット領域の位置情報(配列座標)を算出する、所謂、EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)処理を実行する(ステップSA4)。
【0161】
これにより、制御装置9は、XY平面内における基板Pの各ショット領域の位置情報を求めることができる。また、制御装置9は、EGA処理によって、基板Pのスケーリング、ローテーションなどに関する情報を求めることもできる。
【0162】
また、本実施形態において、検出システム13の検出領域AFが、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間に配置されている。本実施形態においては、制御装置9は、検出システム13を用いて、基板Pの露光動作前に、その基板Pの表面の位置情報を検出する(ステップSA5)。
【0163】
制御装置9は、基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動する途中において、検出システム13を用いて、基板Pの表面の位置情報を検出する。検出システム13は、基板ステージ1に保持されている露光前の基板Pの表面の位置情報を、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間において検出する。
【0164】
制御装置9は、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1に保持されている基板Pを移動して、基板Pの表面の位置情報を検出する。本実施形態において、制御装置9は、検出システム13を用いて、基板Pの露光動作前に、その基板Pの表面の位置情報を予め取得する。
【0165】
制御装置9は、検出システムを用いて検出した、各検出点Kijのそれぞれにおける高さ情報Zijに基づいて、基準面Zoを基準とした、基板Pの表面の形状(近似平面、凹凸情報)を求める(ステップSA6)。
【0166】
制御装置9は、基板Pの露光動作を実行するために、終端光学素子16及び液浸部材11と基板Pの表面との間に液体LQで液浸空間LSを形成する。
【0167】
本実施形態においては、例えば米国特許出願公開第2006/0023186号明細書、米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているように、制御装置9は、基板ステージ1及び計測ステージ2の少なくとも一方が終端光学素子16及び液浸部材11との間で液体LQを保持可能な空間を形成し続けるように、図10に示すように、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18(基準部材44の上面)とを接近又は接触させた状態で、基板ステージ1の上面17及び計測ステージ2の上面18の少なくとも一方と終端光学素子16の下面16U及び液浸部材11の下面11Uとを対向させつつ、終端光学素子16及び液浸部材11に対して、基板ステージ1と計測ステージ2とをXY方向に同期移動させる。これにより、制御装置9は、液体LQの漏出を抑制しつつ、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18との間で液体LQの液浸空間LSを移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とで液体LQの液浸空間LSを移動するとき、制御装置9は、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とがほぼ同じ高さ(面一)となるように、第2駆動システム5を作動して、基板ステージ1と計測ステージ2との位置関係を調整する。
【0168】
以下の説明において、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とで液体LQの液浸空間LSを移動するために、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とを接近又は接触させた状態で、基板ステージ1の上面17及び計測ステージ2の上面18の少なくとも一方と終端光学素子16の下面16U及び液浸部材11の下面11Uとを対向させつつ、終端光学素子16及び液浸部材11に対して、基板ステージ1と計測ステージ2とをXY方向に同期移動させる動作を適宜、スクラムスイープ動作、と称する。
【0169】
スクラムスイープ動作後、図11に示すように、終端光学素子16及び液浸部材11と基板Pの表面とが対向し、終端光学素子16及び液浸部材11と基板Pの表面との間に液体LQで液浸空間LSが形成される。
【0170】
制御装置9は、ステップSA4において求めた、基板Pのショット領域の位置情報と、ステップSA6において求めた、基板Pの近似平面とに基づいて、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pのショット領域との位置関係、及び投影光学系PLの像面と基板Pの表面との位置関係を調整しつつ、基板Pの複数のショット領域を、液浸空間LSの液体LQを介して順次露光する(ステップSA7)。
【0171】
本実施形態においては、少なくとも基板Pの露光動作中において、基板ステージ1の位置情報がエンコーダシステム14によって計測される。制御装置9は、エンコーダシステム14及びスケール部材T2を用いて、XY平面内での第1基板ステージ1の位置情報を計測して、基板Pを露光する。
【0172】
制御装置9は、エンコーダシステム14の計測値に基づいて、XY平面内における基板ステージ1の位置を制御しながら、基板Pの複数のショット領域を順次露光する。また、制御装置9は、基板Pの露光動作前に予め導出されている基板Pの近似平面に基づいて、投影光学系PLの像面と基板Pの表面との位置関係を調整しながら、基板Pを露光する。
【0173】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。
【0174】
なお、制御装置9は、基板Pの露光中、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とを接近又は接触させた状態で、基板ステージ1と計測ステージ2とをXY方向に同期移動させることができる。
【0175】
基板Pの露光が終了した後、制御装置9は、基板ステージ1の上面17から計測ステージ2の上面18へ液体LQの液浸空間LSを移動するために、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とを接近又は接触させた状態で、スクラムスイープ動作を実行する。スクラムスイープ動作終了後、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2の上面18との間に液体LQの液浸空間LSが形成される。
【0176】
制御装置9は、露光後の基板Pを基板ステージ1からアンロードするために、第2駆動システム5を作動して、露光位置EXから第2基板交換位置CP2へ向けて基板ステージ1の移動を開始する。制御装置9は、基板ステージ1を第2基板交換位置CP2へ移動して、搬送システム8を用いて、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ1から、露光後の基板Pのアンロードを実行する(ステップSA8)。その後、制御装置9は、基板ステージ1を第1基板交換位置CP1へ移動して、その基板ステージ1に対して、搬送システム8を用いて、露光前の基板Pをロードする。
【0177】
本実施形態において、制御装置9は、液浸空間LSが計測ステージ2上に配置された後、その計測ステージ2の一部を構成する基準部材44の基準マークAMを用いて、プライマリアライメントシステム15Aの検出中心に対する、セカンダリアライメントシステム15の検出中心の相対的な位置関係(ベースライン)を計測する。制御装置9は、Yヘッド48A、48Bを用いて、基準部材44上の一対の基準格子45を計測する。制御装置9は、Yヘッド48A、48Bの計測値に基づいて、θZ方向に関する基準部材44の位置を調整する。また、制御装置9は、プライマリアライメントシステム15Aを用いて、基準部材44上の基準マークAMを計測し、その計測値に基づいて、例えば第2干渉計ユニット12Bの計測値を用いて、X軸及びY軸方向に関する基準部材44の位置を調整する。
【0178】
そして、この状態で、制御装置9は、4つのセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdを用いて、それぞれのセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdの視野内にある基準部材44上の基準マークAMを同時に計測して、4つのセカンダリアライメントシステム15Ba〜15Bdのベースラインをそれぞれ求める。
【0179】
また、制御装置9は、基板ステージ1が基板交換処理を実行している間、第2駆動システム5を制御して、スクラムスイープ動作を実行するための最適位置(最適スクラム位置)へ、計測ステージ2を移動する。
【0180】
以下、露光シーケンスSAにおいて、上述と同様の処理が繰り返される。すなわち、制御装置9は、第2駆動システム5を作動して、第1基板交換位置CP1から露光位置EPに向けて基板ステージ1を移動する。アライメントシステム15は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中に、基板Pに設けられているアライメントマークを検出する。また、検出システム13は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中に、基板Pの表面の位置情報を検出する。その後、制御装置9は、基板Pを保持した基板ステージ1を露光位置EPに移動して、基板Pの露光を実行する。
【0181】
次に、異物処理シーケンスSBについて説明する。異物処理シーケンスSBは、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の異物を検出する動作を含む。本実施形態においては、少なくとも基板Pの露光動作が行われていない所定の期間に異物処理シーケンスSBが実行される。本実施形態においては、異物処理シーケンスSBは、ローディング動作、アライメント動作、基板Pの露光動作及びアンローディング動作が行われていない期間、すなわち露光装置EXがアイドル状態の期間に、異物処理シーケンスSBが実行される。
【0182】
基板Pの露光動作が行われていない所定の期間に異物処理シーケンスSBが実行されるように、所定のタイミングで、異物処理シーケンスSBの実行が指令される。制御装置9は、基板Pの露光動作が行われていない所定の期間において、検出システム13を用いる、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を開始する(ステップSB1)。
【0183】
制御装置9は、エンコーダシステム14及び干渉計システム12の少なくとも一方を用いて、基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1をXY平面内で移動しながら、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の異物を検出する。制御装置9は、検出システム13の検出結果と、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)の計測結果とに基づいて、XY平面内でのスケール部材T2の異物の位置を求める。
【0184】
本実施形態においては、検出システム13は、基板Pの露光動作が行われていない期間中にスケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されているので、スケール部材T2の上面の異物の有無、及び異物の位置を良好に検出できる。
【0185】
図12は、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面の異物を検出している状態を示す図である。図12に示すように、制御装置9は、基板Pの露光動作が行われていない所定の期間において、プレート部材Tの上面の異物を検出するために、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1をXY平面内で移動する。本実施形態においては、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とを接近又は接触させた状態で、基板ステージ1の上面17及び計測ステージ2の上面18の少なくとも一方と終端光学素子16の下面16U及び液浸部材11の下面11Uとを対向させつつ、基板ステージ1と計測ステージ2とをXY方向に同期移動させる。これにより、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1を移動させることができる。すなわち、液浸空間LSを形成した状態で、XY平面内において、検出領域AFに対して、基板ステージ1を大きく移動させることができ、基板ステージ1の上面(プレート部材Tの上面)17のほぼ全域についての異物の有無を検出することができる。
【0186】
本実施形態においては、異物の検出動作中、基板保持部1Hに基板Pが保持される。なお、異物の検出動作中、基板保持部1Hにダミー基板が保持されてもよい。ダミー基板は、露光用の基板Pとは別の、異物を放出しにくい高い清浄度を有する(クリーンな)部材である。ダミー基板は、基板Pとほぼ同じ外形である。基板保持部1Hは、ダミー基板を保持可能である。基板保持部1Hで基板P又はダミー基板を保持することによって、異物の検出動作中において、基板P又はダミー基板で、基板保持部1Hを保護することができる。なお、基板保持部1Hで基板P又はダミー基板等の部材を保持しない状態で、異物の検出動作を実行することもできる。
【0187】
本実施形態においては、制御装置9は、少なくとも、スクラムスイープ動作中及び基板Pの露光動作中に液浸空間LSの液体LQと接触したスケール部材T2の上面の所定領域の異物の有無を検出する。
【0188】
例えば基板Pのエッジショット領域を露光するとき、液浸空間LSの液体LQが基板Pの表面より外側にはみ出て、スケール部材T2と接触する可能性がある。スケール部材T2に対して露光光ELが照射される可能性は低いものの、XY平面内における液浸空間(液浸領域)LSの大きさは、露光光ELの照射領域である投影領域PRより大きいので、スケール部材T2に液体LQが接触する可能性がある。また、本実施形態においては、スクラムスイープ動作を実行して、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18との間で液体LQの液浸空間LSを移動することによって、スケール部材T2の上面の一部の領域が、液浸空間LSの液体LQと接触する。以下の説明において、スクラムスイープ動作中及び基板Pの露光動作中に液浸空間LSの液体LQと接触するプレート部材Tの上面の一部の領域を適宜、接液領域CA、と称する。
【0189】
図13は、接液領域CAを説明するための模式図である。図13に示すように、本実施形態においては、基板Pの露光動作(液浸露光動作)によって、プレート部材Tの上面のうち、基板Pの周囲の輪帯状の領域CA1が、液浸空間LSの液体LQと接触する可能性がある。また、スクラムスイープ動作において、計測ステージ2の上面18と接近又は接触する基板ステージ1の上面17の−Y側の一部の領域CA2が、液浸空間LSの液体LQと接触する可能性がある。すなわち、本実施形態において、露光シーケンスSAにより生成される接液領域CAは、領域CA1及び領域CA2を含む。
【0190】
上述のように、プレート部材Tの上面に付着する可能性がある異物として、液体LQ(液体LQの滴)が挙げられる。液浸空間LSの液体LQと接触する接液領域CAには、例えば液浸空間LSの液体LQが残留したり、液体LQに溶出した基板Pの物質の一部が付着したりする可能性が高い。
【0191】
検出システム13を用いて、第1プレートT1の上面及びスケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面のうち、異物が存在する可能性が高い接液領域CAの異物の検出動作を重点的に実行することによって、効率良く且つ精度良く、異物を検出することができる。
【0192】
また、制御装置9は、検出システム13を用いて、プレート部材Tの上面の接液領域CAの異物の検出動作を実行するとともに、接液領域CA以外の非接液領域NCAについても異物の検出動作を実行する。液浸空間LSの液体LQと接触しない非接液領域NCAにも、例えば液浸空間LSの液体LQの一部が飛散して付着したり、露光装置EXが置かれている環境を浮遊するパーティクルが付着したりして、異物が存在する可能性がある。制御装置9は、検出システム13を用いて、プレート部材Tの上面の非接液領域NCAの異物の有無を検出することもできる。
【0193】
本実施形態においては、制御装置9は、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1をXY平面内で移動して、接液領域CA及び非接液領域NCAの両方を含む、プレート部材Tの上面のぼぼ全域について、異物の検出動作を実行する。
【0194】
制御装置9は、検出システム13の検出結果に基づいて、プレート部材Tの上面のうち、スケール部材T2の上面に異物が存在するか否かを判断する(ステップSB2)。
【0195】
ステップSB2において、スケール部材T2の上面に異物が存在しないと判断した場合、制御装置9は、例えば露光シーケンスSAの実行(再開)等、所定の処理を実行する。
【0196】
一方、ステップSB2において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、その異物を除去する動作を実行する。本実施形態においては、制御装置9は、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面の異物を除去する。以下の説明において、異物を除去する動作を適宜、クリーニング動作、と称する。
【0197】
図14は、スケール部材T2のクリーニング動作の一例を示す図である。図14に示すように、制御装置9は、液浸部材11と、スケール部材T2の上面の異物が存在する領域とを対向させた状態で、供給口19を用いる液体供給動作と並行して、回収口20を用いる液体回収動作を実行する。上述のように、制御装置9は、XY平面内での、スケール部材T2(プレート部材T)の上面における異物の位置を求めることができる。供給口19を用いる液体供給動作と回収口20を用いる液体回収動作とによって発生する液体LQの流れによって、スケール部材T2の上面に存在する異物を、スケール部材T2の上面から離すことができる。スケール部材T2の上面から離れた異物は、液体LQとともに、回収口20より回収される。このように、本実施形態においては、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面をクリーニングする。本実施形態においては、液浸部材11は、異物を除去可能なクリーニング装置として機能する。
【0198】
なお、ここでは、スケール部材T2の上面に異物が存在するか否かを判断し、スケール部材T2に異物が存在すると判断した場合、液浸部材11を用いるクリーニング動作を実行しているが、検出システム13の検出結果に基づいて、第1プレートT1の上面に異物が存在すると判断した場合、その第1プレートT1の異物を除去する動作を実行することができる。
【0199】
以上説明したように、本実施形態によれば、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の異物を検出することができる。したがって、例えば、スケール部材T2に異物が存在するにもかかわらず、そのスケール部材T2を用いる計測動作を実行してしまうことを抑制することができる。また、その検出結果に基づいて、例えば液浸部材11を用いて異物を除去する動作を実行する等、適切な処置を講ずることができる。これにより、スケール部材T2を用いて基板ステージ1の位置情報を計測する際、異物に起因する計測誤差の発生を抑制することができる。また、スケール部材T2の上面の異物を検出した場合、その異物の除去動作を実行せずに、その異物を考慮して、スケール部材T2を用いる基板ステージ1の位置計測、及び基板ステージ1の移動制御を実行することができる。このように、本実施形態においては、異物の影響を抑制した状態で、基板ステージ1の位置計測、及び基板ステージ1の位置制御を実行することができる。したがって、基板ステージ1の移動性能の低下を抑制できる。したがって、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
【0200】
また、本実施形態によれば、計測値の短期安定性が良好なエンコーダシステム14によって、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測するので、空気揺らぎなどの影響を抑制しつつ、高精度に計測できる。
【0201】
なお、本実施形態においては、露光シーケンスSAとは別に、異物処理のための専用のシーケンス(異物処理シーケンス)SBを設けているが、制御装置9は、例えば露光シーケンス中SAに、異物の検出動作を実行できる。例えば、複数の基板Pを順次露光する場合において、基板ステージ1に対する基板Pの交換毎のインターバル期間毎に、すなわち、基板Pを1枚露光する毎に、検出システム13を用いる異物の検出動作を実行することができる。また、異物の検出動作のタイミングとしては、基板Pを1枚露光する毎に限られず、所定枚数の基板Pを露光する毎、所定時間経過する毎等、所定間隔毎に実行することもできる。
【0202】
また、制御装置9に対して操作信号を入力可能な入力装置を制御装置9に接続し、例えば作業者が入力装置により操作信号を入力したときに、異物処理シーケンスが実行されてもよい。なお、入力装置は、例えばキーボード、タッチパネル、操作ボタン等を含む。
【0203】
また、異物処理シーケンスが所定間隔毎に複数回実行される場合、例えば第n回目の異物処理シーケンスSBにおいては、スケール部材T2の上面の第1の領域に対する異物検出動作を実行し、第n+1回目の異物処理シーケンスにおいては、スケール部材T2の上面の第2の領域に対する異物検出動作を実行してもよい。
【0204】
なお、本実施形態において、基板Pの露光動作が行われていない期間において、検出システム13を用いて、計測ステージ2の上面18の異物を検出することができる。また、検出システム13の検出結果に基づいて、計測ステージ2の上面18に対するクリーニング動作を実行することができる。計測ステージ2の上面の異物を検出し、その検出結果に基づいてクリーニング動作を実行することによって、計測ステージ2を用いる計測動作を精度良く実行できる。
【0205】
また、本実施形態において、基板Pの露光動作が行われていない期間において、検出システム13を用いて、基準格子45を含む基準部材44の上面の異物を検出することができる。また、検出システム13の検出結果に基づいて、基準部材44のクリーニング動作を実行することができる。基準部材44の上面の異物を検出し、その検出結果に基づいてクリーニング動作を実行することによって、基準部材44を用いる計測動作、アライメントシステム15の調整動作等を良好に実行できる。
【0206】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0207】
第2実施形態の特徴的な部分は、基板Pの露光動作を含む露光シーケンス中に、スケール部材T2(プレート部材T)の上面の異物の検出動作を実行する点にある。例えば、図15に示すように、投影光学系PLの投影領域PRに、基板ステージ1に保持されている基板Pの表面の少なくとも一部が配置されるとき、検出システム13の検出領域AFに、スケール部材T2の上面の少なくとも一部が配置される可能性がある。その場合、検出システム13は、基板Pの露光動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。すなわち、投影光学系PLの投影領域PRと検出システム13の検出領域AFとの位置関係によって、検出システム13は、基板Pの露光動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。同様に、例えばアライメントシステム15の検出領域と検出システム13の検出領域AFとの位置関係によって、検出システム13は、基板Pに設けられたアライメントマークの検出動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。すなわち、検出システム13が、基板Pのアライメント動作及び露光動作のための移動を含む動作を基板ステージ1が実行中に、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている場合、その検出システム13を用いて、基板Pのアライメント動作及び露光動作と並行して、異物の検出動作を実行することができる。同様に、検出システム13が配置される位置を調整(最適化)することによって、検出システム13は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中、及び露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動を含む動作中の少なくとも一方において、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行することができる。
【0208】
図16は、第2実施形態に係る露光装置EXの動作の一例を示すフローチャートである。例えば制御装置9は、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2との間に液体LQで液浸空間LSを形成した状態で、基板ステージ1を、第1基板交換位置CP1へ移動する。制御装置9は、搬送システム8を用いて、第1基板交換位置CP1に配置された基板ステージ1に、露光前の基板Pをロードする(ステップSC1)。
【0209】
基板ステージ1に基板Pがロードされた後、制御装置9は、第2駆動システム5を作動して、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ向けて、基板ステージ1の移動を開始する(ステップSC2)。
【0210】
本実施形態において、制御装置9は、基板Pの露光動作前に、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の少なくとも一部について、異物の検出動作を実行することができる。本実施形態において、検出システム13は、基板Pの露光動作前にスケール部材T2の上面の異物の検出動作を開始可能な位置に配置されているので、基板Pの露光動作前に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を開始することができる。検出システム13の検出領域AFは、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間に配置されており、検出システム13は、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間において、スケール部材T2の上面の異物を検出することができる。
【0211】
本実施形態において、制御装置9は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中に、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の異物を検出可能である。本実施形態において、検出システム13は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの移動を含む動作を基板ステージ1が実行中に、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている。検出システム13は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。検出システム13の検出領域AFは、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間に配置されており、検出システム13は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動を含む動作中に、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間において、スケール部材T2の上面の異物を検出する。
【0212】
制御装置9は、基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPに移動する間において、検出システム13と基板ステージ1とを相対移動して、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、スケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、検出システム13の検出結果とエンコーダシステム14(又は干渉計システム12)の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることができる。
【0213】
上述の第1実施形態と同様、アライメントシステム15の検出領域が、第1基板交換位置CP1と露光位置EPとの間に配置されている。制御装置9は、アライメントシステム15を用いて、基板Pの露光動作前に、その基板Pに設けられているアライメントマークを検出する(ステップSC3)。
【0214】
本実施形態において、検出システム13は、基板Pの露光動作前における、アライメントシステム15を用いる基板Pに設けられたアライメントマークの検出動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。本実施形態において、検出システム13は、基板Pに設けられたアライメントマークの検出のための移動を含む動作を基板ステージ1が実行中に、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている。本実施形態において、検出システム13の検出領域AFが、アライメントシステム15の検出領域と露光位置EPとの間に配置されており、検出システム13は、基板Pの露光動作前に、アライメントシステム15を用いる基板P上のアライメントマークの検出動作と並行して、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。
【0215】
制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、スケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、検出システム13の検出結果とエンコーダシステム14(又は干渉計システム12)の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることできる。
【0216】
制御装置9は、検出されたアライメントマークの位置情報を用いて、EGA処理を実行する(ステップSC4)。
【0217】
また、制御装置9は、基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動する途中において、検出システム13を用いて、基板Pの露光動作前に、その基板Pの表面の位置情報を検出する(ステップSC5)。
【0218】
制御装置9は、検出システム13を用いて検出した、各検出点Kijのそれぞれにおける高さ情報Zijに基づいて、基準面Zoを基準とした、基板Pの表面の形状(近似平面、凹凸情報)を求める(ステップSC6)。
【0219】
制御装置9は、基板Pの露光動作を実行するために、スクラムスイープ動作を実行して、終端光学素子16及び液浸部材11と基板Pの表面との間に液体LQで液浸空間LSを形成する。
【0220】
本実施形態においては、基板Pの露光動作前のスクラムスイープ動作においても、スケール部材T2の上面の少なくとも一部が、検出システム13の検出領域AFに配置される。検出システム13は、基板Pの露光動作前のスクラムスイープ動作においても、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行することができる。
【0221】
スクラムスイープ動作後、制御装置9は、ステップSC4において求めた、基板Pのショット領域の位置情報と、ステップSC6において求めた、基板Pの近似平面とに基づいて、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pのショット領域との位置関係、及び投影光学系PLの像面と基板Pの表面との位置関係を調整しつつ、基板Pの複数のショット領域を、液浸空間LSの液体LQを介して順次露光する(ステップSC7)。
【0222】
少なくとも基板Pの露光動作中において、基板ステージ1の位置情報がエンコーダシステム14によって計測される。制御装置9は、エンコーダシステム14及びスケール部材T2を用いて、XY平面内での第1基板ステージ1の位置情報を計測して、基板Pを露光する。
【0223】
制御装置9は、エンコーダシステム14の計測値に基づいて、XY平面内における基板ステージ1の位置を制御しながら、基板Pの複数のショット領域を順次露光する。また、制御装置9は、基板Pの露光動作前に予め導出されている基板Pの近似平面に基づいて、投影光学系PLの像面と基板Pの表面との位置関係を調整しながら、基板Pを露光する。
【0224】
制御装置9は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動(スキャン移動)するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pの複数のショット領域を順次露光する。また、複数のショット領域のうち、あるショット領域の露光後、次のショット領域を露光開始位置へ移動するために、制御装置9は、基板ステージ1を所定方向へ移動(ステッピング移動)する。ステッピング移動は、Y軸方向に関する移動に限られず、X軸方向に関する移動、及びXY平面内においてX軸(又はY軸)対して傾斜方向に関する移動を含む。
【0225】
本実施形態において、検出システム13は、基板Pの露光動作中(ショット領域の露光のためのスキャン移動中、及びショット領域の露光間におけるステッピング移動中を含む)に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。本実施形態において、検出システム13は、基板Pの露光のための移動(スキャン移動、ステッピング移動を含む)を含む動作を基板ステージ1が実行中に、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている。本実施形態において、投影光学系PLの投影領域PRに、基板ステージ1に保持されている基板Pの表面の少なくとも一部が配置されているとき、検出システム13の検出領域AFに、スケール部材T2の上面の少なくとも一部が配置されるように、投影光学系PLと検出システム13とが所定の位置関係で配置されている。検出システム13は、基板Pの露光動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。
【0226】
基板Pの露光動作中、投影光学系PLの投影領域PRに対する基板PのXY方向への移動(スキャン移動、ステッピング移動を含む)に伴って、スケール部材T2の上面も、検出システム13の検出領域AFに対してXY方向に移動する。これにより、検出システム13は、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の領域の異物を検出することができる。
【0227】
基板Pの露光動作中においても、制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、検出システム13の検出結果とエンコーダシステム14の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることができる。
【0228】
基板Pの露光が終了した後、制御装置9は、基板ステージ1の上面17から計測ステージ2の上面18へ液体LQの液浸空間LSを移動するために、基板ステージ1の上面17と計測ステージ2の上面18とを接近又は接触させた状態で、スクラムスイープ動作を実行する。スクラムスイープ動作終了後、終端光学素子16及び液浸部材11と計測ステージ2の上面18との間に液体LQの液浸空間LSが形成される。
【0229】
本実施形態においては、基板Pの露光動作後のスクラムスイープ動作においても、スケール部材T2の上面の少なくとも一部が、検出システム13の検出領域AFに配置される。検出システム13は、基板Pの露光動作後のスクラムスイープ動作においても、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行することができる。
【0230】
制御装置9は、露光後の基板Pを基板ステージ1からアンロードするために、第2駆動システム5を作動して、露光位置EXから第2基板交換位置CP2へ向けて基板ステージ1の移動を開始する(ステップSC8)。
【0231】
本実施形態において、制御装置9は、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動を含む動作中に、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の異物を検出可能である。本実施形態において、検出システム13は、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への移動を含む動作を基板ステージ1が実行中に、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている。検出システム13は、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動を含む動作中に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行することができる。検出システム13の検出領域AFは、露光位置EPと第2基板交換位置CP2との間に配置されており、検出システム13は、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動を含む動作中に、露光位置EPと第2基板交換位置CP2との間において、スケール部材T2の上面の異物を検出する。
【0232】
制御装置9は、基板ステージ1が露光位置EPから第2基板交換位置CP2に移動する間において、検出システム13と基板ステージ1とを相対移動して、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、エンコーダシステム14(又は干渉計システム12)で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、スケール部材T2の上面を含むプレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行する。制御装置9は、検出システム13の検出結果とエンコーダシステム14(又は干渉計システム12)の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることができる。
【0233】
このように、本実施形態において、制御装置9は、基板Pの露光動作後に、検出システム13を用いて、スケール部材T2の上面の少なくとも一部について、異物の検出動作を実行することができる。本実施形態において、検出システム13は、基板Pの露光動作後にスケール部材T2の上面の異物の検出動作を開始可能な位置に配置されているので、基板Pの露光動作後に、スケール部材T2の上面の少なくとも一部の異物の検出動作を開始することができる。本実施形態において、検出システム13の検出領域AFは、露光位置EPと第2基板交換位置CP2との間に配置されており、検出システム13は、露光位置EP第2基板交換位置CP2との間において、スケール部材T2の上面の異物を検出することができる。
【0234】
制御装置9は、基板ステージ1を第2基板交換位置CP2へ移動して、搬送システム8を用いて、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ1から、露光後の基板Pのアンロードを実行する(ステップSC9)。その後、制御装置9は、基板ステージ1を第1基板交換位置CP1へ移動して、その基板ステージ1に対して、搬送システム8を用いて、露光前の基板Pをロードする。以下、上述と同様の処理が繰り返される。
【0235】
ステップSC2、SC3,SC7、SC8の少なくとも1つにおける異物の検出動作において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、クリーニング装置として機能する液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面をクリーニングする。
【0236】
例えば、基板Pの露光動作前のステップSC2、SC3の少なくとも一方における異物の検出動作において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面をクリーニングした後、基板ステージ1に保持されている基板Pの露光動作を開始する。
【0237】
また、例えば、基板Pの露光動作中のステップSC7における異物の検出動作において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、基板P上の全てのショット領域の露光が終了した後、その露光後の基板Pを保持した基板ステージ1を第2基板交換位置CP2へ移動する前に、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面をクリーニングすることができる。
【0238】
また、例えば、基板Pの露光動作中のステップSC7における異物の検出動作において、例えば全てのショット領域の露光が終了する前に、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、所定のショット領域に対する露光動作の終了後、その基板Pの露光動作を中断し、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面をクリーニング動作を実行した後、残りのショット領域に対する露光動作を再開することもできる。
【0239】
また、例えば、基板Pの露光動作後のステップSC8における異物の検出動作において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、露光後の基板Pをアンロードする前に、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面のクリーニング動作を実行し、そのクリーニング動作の後、基板Pのアンロードを実行することができる。
【0240】
また、基板Pの露光動作後のステップSC8における異物の検出動作において、スケール部材T2の上面に異物が存在すると判断した場合、制御装置9は、露光後の基板Pをアンロードした後、液浸部材11を用いて、スケール部材T2の上面のクリーニング動作を実行することができる。露光後の基板Pをアンロードした後、スケール部材T2の上面のクリーニング動作を実行する場合、基板保持部1Hに新たな(露光前の)基板Pを保持させてもよいし、ダミー基板を保持させてもよいし、何も保持させないようにしてもよい。
【0241】
このように、本実施形態においては、検出システム13は、基板Pのアライメント動作及び露光動作と並行して、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行できる。また、検出システム13は、基板Pの露光動作前における、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動動作と並行して、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行できる。また、検出システム13は、基板Pの露光動作後における、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動動作と並行して、スケール部材T2の上面の異物の検出動作を実行できる。
【0242】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0243】
第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。例えば第2実施形態において、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動動作、基板Pのアライメント動作及び露光動作のための基板ステージ1の移動動作、及び露光位置EPから第2基板交換位置CP2への基板ステージ1の移動動作において、プレート部材Tの上面の一部の領域である第2領域が、検出システム13の検出領域AFを通過しない状況が発生する可能性がある。
【0244】
図17は、上述のステップSC1〜SC9を含む露光シーケンスにおいて、基板ステージ1が基板Pのアライメント動作及び露光動作のための移動を含む第1動作を実行中に、検出システム13がプレート部材Tの上面を検出可能な第1領域H1の一例を説明するための模式図である。プレート部材Tの上面の第1領域H1は、基板Pのアライメント動作及び露光動作のために基板ステージ1が有効ストローク範囲を移動したときに、検出システム13が検出可能な領域を含む。有効ストローク範囲は、基板Pのアライメント動作及び露光動作のための基板ステージ1の移動範囲である。すなわち、第1領域H1は、少なくとも基板Pの露光のための有効ストローク範囲における移動を含む基板ステージ1の第1動作の実行中に、検出システム13が異物を検出できるプレート部材Tの上面の領域である。
【0245】
一方、プレート部材Tの上面の第2領域H2は、例えば基板Pのアライメント動作及び露光動作のために基板ステージ1が有効ストローク範囲を移動したときに、検出システム13が検出不可能な領域である。すなわち、第2領域H2は、少なくとも基板Pの露光のための有効ストローク範囲における移動を含む基板ステージ1の第1動作の実行中に、検出システム13が異物を検出できないプレート部材Tの上面の領域である。
【0246】
本実施形態においては、制御装置9は、基板ステージ1の第1動作以外の第2動作中に、検出システム13が第2領域H2を検出するように、第2駆動システム5を用いて、検出システム13(検出領域AF)と基板ステージ1との位置関係を調整する。
【0247】
本実施形態において、基板ステージ1の第1動作は、基板Pのアライメント動作及び露光動作のための移動動作を含む。また、本実施形態においては、基板ステージ1の第1動作は、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの移動動作を含む。一方、基板ステージ1の第2動作は、第1動作以外の動作であり、本実施形態においては、基板Pの露光動作終了後、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への移動動作を含む。
【0248】
本実施形態において、制御装置9は、検出システム13が第2領域H2を検出できるように、基板ステージ1の移動(移動軌跡)を制御する。本実施形態において、制御装置9は、基板ステージ1が第2動作中に、すなわち、基板Pの露光動作終了後、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への移動動作中に、検出システム13がプレート部材Tの上面の第2領域H2を検出できるように、換言すれば、プレート部材Tの上面の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動を制御する。本実施形態においては、第2領域H2は、直線LVに対して−X側と+X側とのそれぞれに生成される。
【0249】
本実施形態においては、制御装置9は、ローディング動作後、第1基板交換位置CP1から露光位置EPへの基板ステージ1の移動動作中、及び基板Pのアライメント動作及び露光動作のための基板ステージ1の移動動作中において、検出システム13を用いて、プレート部材Tの上面の第1領域H1の異物を検出し、基板Pの露光動作終了後、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への移動動作中において、検出システム13を用いて、プレート部材Tの上面の第2領域H2の異物を検出する。これにより、検出システム13は、露光シーケンスにおいて、プレート部材Tの上面のほぼ全域における異物の有無を検出することができる。
【0250】
本実施形態においては、複数の基板Pが順次露光され、第2動作、すなわち露光位置EPから第2基板交換位置CP2への第1基板ステージ1の移動動作が複数回実行される。また、第2領域H2は、直線LVに対して−X側と+X側とのそれぞれに生成される。制御装置9は、検出システム13で検出される第2領域H2が、露光位置EPから第2基板交換位置CP2への第1基板ステージ1の移動動作毎に異なるように、基板ステージ1の移動を制御する。
【0251】
例えば、順次露光される複数の基板Pのうち、第1の基板Pの露光後、その露光後の第1の基板Pを保持した基板ステージ1が露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動するときには、図18(A)に示すように、直線LVに対して−X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動が制御される。
【0252】
また、順次露光される複数の基板Pのうち、第1の基板Pの次の第2の基板Pの露光後、その露光後の第2の基板Pを保持した基板ステージ1が露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動するときには、図18(B)に示すように、直線LVに対して+X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動が制御される。
【0253】
以上説明したように、本実施形態によれば、スループットの低下を抑制しつつ、プレート部材Tの上面のほぼ全域において異物の有無を検出することができる。
【0254】
なお、順次露光される複数の基板Pのうち、第1の基板Pを露光するために、露光前の第1の基板Pを保持した基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動するときに、例えば直線LVに対して−X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動を制御し、第2の基板Pを露光するために、露光前の第2の基板Pを保持した基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動するときに、直線LVに対して+X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動を制御することができる。
【0255】
また、露光前の基板Pを保持した基板ステージ1が第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動するときに、例えば直線LVに対して−X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動を制御し、その基板Pの露光後、その露光後の基板Pを保持した基板ステージ1が露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動するときに、例えば直線LVに対して+X側の第2領域H2が検出システム13の検出領域AFを通過するように、基板ステージ1の移動を制御することもできる。
【0256】
なお、上述の第1〜第3実施形態において、制御装置9は、エンコーダシステム14で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行し、フォーカス・検出システム13の検出結果とエンコーダシステム14の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることとしてもよいし、干渉計システム12で、XY平面内における基板ステージ1の位置情報を計測しつつ、検出システム13の検出領域AFに対して基板ステージ1(プレート部材T)の上面を移動して、プレート部材Tの上面の少なくとも一部の異物の検出動作を実行し、フォーカス・検出システム13の検出結果と干渉計システム12の計測結果とに基づいて、XY平面内での異物の位置を求めることとしてもよい。
【0257】
なお、上述の各実施形態において、干渉計システム12(第2干渉計ユニット12B)によって計測される基板ステージ1の位置情報が、基板Pのアライメント動作及び露光動作では用いられず、主としてエンコーダシステム14のキャリブレーション動作(すなわち、計測値の較正)などに用いられるものとしたが、干渉計システム12の計測情報(すなわち、X軸、Y軸、θX、θY及びθZ方向の5つの方向の位置情報の少なくとも1つ)を、例えば基板Pのアライメント動作及び露光動作で用いてもよい。本実施形態においては、エンコーダシステム14は、X軸、Y軸及びθZ方向の3つの方向にける基板ステージ1の位置情報を計測する。そこで、基板Pのアライメント動作及び露光動作において、干渉計システム12の計測情報のうち、エンコーダシステム14による基板ステージ1の位置情報の計測方向(X軸、Y軸及びθZ方向)と異なる方向、例えばθX方向及び/又はθY方向に関する位置情報のみを用いてもよいし、その異なる方向の位置情報に加えて、エンコーダシステム14の計測方向と同じ方向(すなわち、X軸、Y軸及びθZ方向の少なくとも1つ)に関する位置情報を用いてもよい。また、干渉計システム12は、基板ステージ1のZ軸方向の位置情報を計測可能としても良い。この場合、基板Pのアライメント動作及び露光動作において、Z軸方向の位置情報を用いてもよい。
【0258】
なお、上述の各実施形態においては、液浸部材11により形成される液体LQの液浸空間LSを用いてプレート部材Tの上面をクリーニングする場合を例にして説明したが、例えば、液浸露光に用いる液体LQとは異なる液体(クリーニング用液体)を供給口19より供給し、そのクリーニング用液体で、液浸部材11とスケール部材T2との間に液浸空間を形成して、スケール部材T2をクリーニングしてもよい。クリーニング用液体として、例えば、水素ガスを水に溶解させた水素水(水素溶解水)を用いることができる。また、クリーニング用液体として、オゾンガスを水に溶解させたオゾン水(オゾン溶解水)、窒素ガスを水に溶解させた窒素水(窒素溶解水)、アルゴンガスを水に溶解させたアルゴン水(アルゴン溶解水)、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素水(二酸化炭素溶解水)等、所定のガスを水に溶解させた溶解ガス制御水を用いてもよい。また、大気圧下の溶解度以上にガスを溶解させたガス過飽和水でもよい。また、クリーニング用液体として、過酸化水素を水に添加した過酸化水素水、塩酸(次亜塩素酸)を水に添加した塩素添加水、アンモニアを水に添加したアンモニア水、コリンを溶解させたコリン水、及び硫酸を水に添加した硫酸添加水等、所定の薬液を水に添加した薬液添加水を用いてもよい。また、クリーニング用液体として、エタノール、及びメタノール等のアルコール類、エーテル類、ガンマブチロラクトン、シンナー類、界面活性剤、HFE等のフッ素系溶剤を用いてもよい。
【0259】
また、プレート部材Tの上面をクリーニングするために、露光光ELの光路を液体LQで満たすように液浸空間を形成するための液浸部材11とは別の液浸部材を設け、その液浸部材とプレート部材Tとの間に液浸空間を形成して、プレート部材Tの上面をクリーニングしてもよい。
【0260】
また、気体を噴射可能な噴射口を有する気体供給装置を露光装置EXに設け、その噴射口よりプレート部材Tの上面に向けて気体を噴射して、異物を吹き飛ばすことによっても、プレート部材Tの上面をクリーニングすることができる。また、気体を吸引可能な吸引口を有するバキューム装置を露光装置EXに設け、その吸引口を用いてプレート部材Tの上面の異物を吸引することによっても、プレート部材Tの上面をクリーニングすることができる。
【0261】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXに報知装置を設け、検出システム13の検出結果に基づいて、報知装置を作動させるようにしてもよい。すなわち、検出システム13がスケール部材T2の上面の異物を検出したとき、報知装置が、異物を検出した旨を作業者に報知する。報知装置は、例えば光、音、画像等を用いて、作業者に報知する。これにより、作業者が、露光装置EXの作動を停止して、スケール部材T2をクリーニング(メンテナンス)することができる。また、スケール部材T2を交換することもできる。
【0262】
なお、上述の各実施形態においては、スケール部材T2が、2枚の板状部材30A、30Bによって形成されていることとしたが、これに限らず、スケール部材T2を1枚の板状部材で構成し、その上面に直接回折格子を形成することとしてもよい。また、スケール部材の上面に回折格子を形成し、そのスケール部材の上面にヘッド48、48A、48B、49の計測光が透過可能な保護部材(例えば、薄膜)を設け、回折格子の損傷等を抑制してもよい。また、基板ステージ1がスケール部材T2を着脱可能とせずに、基板ステージとスケール部材とを一体としてもよい。すなわち、基板ステージ1の少なくとも一部に、回折格子を直接形成してもよい。
【0263】
なお、上述の各実施形態においては、基板ステージ1にスケール部材T2が配置され、エンコーダシステム14が、そのスケール部材T2を計測して、基板ステージ1の位置情報を計測することとしたが、基板ステージ1と同様、計測ステージ2にも、回折格子を含むスケール部材を配置することができる。エンコーダシステム14は、そのスケール部材を用いて、XY平面内における計測ステージ2の位置情報を計測することができる。制御装置9は、エンコーダシステム14の計測結果及び検出システム13の検出結果に基づいて、第2駆動システム5を作動し、計測ステージ2の位置制御を行うことができる。また、検出システム13は、計測ステージのスケール部材の異物を検出することができる。また、液浸部材11等のクリーニング装置を用いて、計測ステージのスケール部材をクリーニングすることができる。
【0264】
また、マスクステージ3にも、回折格子を含むスケール部材を配置することができる。マスクステージ3に配置されたスケール部材を計測可能なエンコーダシステムを配置することによって、そのエンコーダシステムは、マスクステージ3に配置されたスケール部材を用いて、XY平面内におけるマスクステージ3の位置情報を計測することができる。また、マスクMのパターン形成面の位置情報を計測可能な検出システムを設けることができる。そして、その検出システムを用いて、マスクステージ3に配置されたスケール部材の異物を検出することができる。
【0265】
なお、上述の各実施形態においては、移動体である基板ステージ(計測ステージ、マスクステージ)にスケール部材を配置し、そのスケール部材と対向可能な位置(基板ステージの上方)にエンコーダシステムが配置される場合を例にして説明したが、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書等に開示されているような、基板ステージにエンコーダシステムのヘッドが配置され、そのヘッドと対向可能な位置(基板ステージの上方)にスケール部材(グリッド板)が配置される露光装置にも、上述の各実施形態で説明した構成を適用することができる。すなわち、基板ステージに保持された基板の表面の位置情報を検出可能な検出システムを設け、その検出システムで、基板ステージに配置されているエンコーダシステムのヘッドの上面の異物を検出することができる。また、その検出システムの検出結果に応じて、クリーニング装置を用いて、そのエンコーダヘッドの上面をクリーニングすることができる。クリーニング装置として、上述したような、例えば液体を用いてクリーニングする液浸部材、気体を噴射可能な噴射口を有する気体供給装置、気体を吸引可能な吸引口を有するバキューム装置等を用いることができる。
【0266】
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLは、終端光学素子の射出側(像面側)の光路を液体で満たしているが、米国特許出願公開第2005/0248856号明細書に開示されているように、終端光学素子の入射側(物体面側)の光路も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
【0267】
なお、上述の各実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系、あるいは基板の表面を形成する感光膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル、セダー油等を用いることも可能である。また、液体LQとして、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英及び蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で、液体LQと接触する投影光学系PLの光学素子(終端光学素子など)を形成してもよい。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
【0268】
また、例えば露光光ELがFレーザ光である場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはFレーザ光を透過可能なもの、例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フッ素系オイル等のフッ素系流体を用いることができる。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。
【0269】
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLを介して照明光ELが照射される投影領域PRは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号パンフレットに開示されるように、複数の反射面を有しかつ中間像を少なくとも1回形成する光学系(反射系又は反屈系)がその一部に設けられ、かつ単一の光軸を有する、いわゆるインライン型の反射屈折系と同様に、その露光領域は光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。
【0270】
また、上述の各実施形態においては、照明領域IR及び投影領域PRは、その形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
【0271】
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間に液浸空間が形成される。
【0272】
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EXが液浸露光装置である場合を例にして説明したが、液体を介さずに基板Pを露光するドライ露光装置でもよい。
【0273】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXが、軟X線領域のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いて基板Pを露光するEUV露光装置でもよい。
【0274】
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0275】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。露光装置EXがステッパの場合においても、基板を保持するステージの位置をエンコーダで計測することにより、空気揺らぎに起因する計測誤差の発生を抑制して、ステージの位置制御を高精度に実行できる。
【0276】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0277】
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0278】
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0279】
また、本発明は、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。また、本発明は、基板ステージを1つだけ有する露光装置にも適用することができる。
【0280】
露光装置の種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0281】
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。
【0282】
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
【0283】
また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。この場合、照明系は不要となる。ここで自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。また、パターン形成装置が備える自発光型画像表示素子として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだタイプのもの等を用い、該固体光源チップを電気的に制御してパターンを形成しても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
【0284】
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0285】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0286】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図19に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。上述の実施形態のダミー基板DPを用いる動作は、基板処理ステップ204に含まれる。
【0287】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0288】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る露光装置の制御システムの一例を示す図である。
【図3】終端光学素子、液浸部材及び基板ステージの近傍を示す断面図である。
【図4】第1実施形態に係る基板ステージ及び計測ステージを示す平面図である。
【図5】第1実施形態に係るアライメントシステム、検出システム及びエンコーダシステムの近傍を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係るエンコーダシステムのヘッドの一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る検出システムの一例を示す側面図である。
【図8】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図13】第1実施形態に係る接液領域の一例を示す模式図である。
【図14】第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図15】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図16】第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図17】第3実施形態に係る第1領域及び第2領域の一例を示す模式図である。
【図18】第3実施形態に係る露光装置の動作の一例を示す図である。
【図19】マイクロデバイスの製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0289】
1…マスクステージ、2…基板ステージ、3…計測ステージ、4…第1駆動システム、5…第2駆動システム、6…ガイド面、9…制御装置、10…記憶装置、11…液浸部材、12…干渉計システム、13…検出システム、14…エンコーダシステム、15…アライメントシステム、16…終端光学素子、48…Yヘッド、49…Xヘッド、CA…接液領域、CP1…第1基板交換位置、CP2…第2基板交換位置、EL…露光光、EP…露光位置、EX…露光装置、H1…第1領域、H2…第2領域、LQ…液体、LS…液浸空間(液浸領域)、NCA…非接液領域、P…基板、PL…投影光学系、RG…回折格子、T1…第1プレート、T2…スケール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光で物体を露光する露光装置であって、
前記物体を保持して所定面内を移動可能で且つ、格子を含むスケール部材が配置される移動体と、
前記所定面内における前記移動体の位置情報を計測する計測システムと、
前記移動体に保持された物体の表面の位置情報を検出する検出システムと、を備え、
前記検出システムが、前記スケール部材の表面の異物を検出する露光装置。
【請求項2】
前記計測システムは、前記スケール部材と対向可能なヘッドを有するエンコーダシステムを含む請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記検出システムは、前記所定面内の少なくとも複数の検出点に検出光を照射し、前記各検出点で前記所定面と直交する方向に関する前記物体又は前記スケール部材の位置情報を検出する請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記検出システムは、前記所定面と直交する方向に関する前記スケール部材の表面の位置情報を高さ情報として検出し、前記高さ情報に基づいて前記異物を検出する請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項5】
前記検出システムは、前記スケール部材の表面で前記高さ情報が異常な位置に、前記異物が存在すると判断する請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記スケール部材の表面の初期状態での前記高さ情報を記憶可能な記憶装置を備え、
前記検出システムは、前記記憶された高さ情報に基づいて、前記異物を検出する請求項4又は5記載の露光装置。
【請求項7】
前記初期状態は、前記スケール部材の表面に異物が存在しない状態を含む請求項6記載の露光装置。
【請求項8】
前記初期状態は、前記スケール部材のクリーニング後の状態を含む請求項6又は7記載の露光装置。
【請求項9】
前記移動体上に液体で液浸領域が形成され、
前記初期状態は、前記スケール部材上に前記液浸領域が位置する前の状態を含む請求項6〜8のいずれか一項露光装置。
【請求項10】
前記検出システムの検出結果と前記計測システムの計測結果とに基づいて、前記所定面内での前記異物の位置を求める処理装置を備える請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
前記検出システムと前記移動体とを相対移動して、前記スケール部材の表面の異物を検出する請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記検出システムは、前記物体の露光動作前に前記異物の検出を開始する請求項1〜11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記検出システムは、前記物体の露光動作が行われていない期間に前記異物を検出する請求項1〜12のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記検出システムは、前記物体の露光動作中に前記異物を検出する請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項15】
前記検出システムは、前記物体に設けられたマークの検出動作中に前記異物を検出する請求項1〜14のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項16】
前記検出システムは、前記露光光の照射位置及び物体交換位置の一方から他方への前記移動体の移動を含む動作中に、前記異物を検出する請求項1〜15のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項17】
前記物体の表面との間に液体で液浸空間を形成する液浸部材を備え、
前記検出システムは、前記物体の露光動作中に前記液浸空間の液体と接触する前記スケール部材の表面の接液領域の異物を検出する請求項1〜16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出システムは、前記スケール部材の表面の前記接液領域以外の領域の異物も検出する請求項17記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出システムは、前記物体の露光動作前に前記スケール部材の異物の検出動作を開始可能な位置、及び/又は前記露光動作が行われていない期間中に前記スケール部材の異物の検出動作を実行可能な位置に配置される請求項1〜18のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項20】
前記検出システムは、前記露光のための移動を含む動作を前記移動体が実行中に、前記スケール部材の表面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている請求項1〜19のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項21】
前記検出システムは、前記物体に設けられたマークの検出のための移動を含む動作を前記移動体が実行中に、前記スケール部材の表面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている請求項1〜20のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項22】
前記検出システムは、前記露光光の照射位置及び物体交換位置の一方から他方への移動を含む動作を前記移動体が実行中に、前記スケール部材の表面の異物の検出動作を実行可能な位置に配置されている請求項1〜21のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項23】
前記検出システムは、少なくとも前記露光のための移動を含む前記移動体の第1動作の実行中に、前記スケール部材の表面の第1領域を検出し、
前記第1動作以外の第2動作中に、前記検出システムが前記第1領域以外の第2領域を検出するように、前記検出システムと前記移動体との位置関係を調整する調整装置を備える請求項1〜22のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項24】
物体を露光光で露光する露光装置であって、
前記物体を保持して所定面内を移動可能で且つ、格子を含むスケール部材が配置される移動体と、
少なくとも前記露光のための移動を含む第1動作を前記移動体が実行中に、前記スケール部材の表面の第1領域の異物を検出可能な検出システムと、
前記第1動作以外の第2動作中に、前記検出システムが前記第1領域以外の第2領域を検出するように、前記検出システムと前記移動体との位置関係を調整する調整装置と、を備えた露光装置。
【請求項25】
前記第2動作は、前記露光光の照射位置及び物体交換位置の一方から他方への移動を含む請求項23又は24記載の露光装置。
【請求項26】
前記第2動作が複数回実行され、前記検出システムで検出される第2領域は、前記第2動作毎に異なる請求項23〜25のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項27】
前記検出システムは、前記移動体に保持された物体の表面の位置情報を検出可能である請求項24〜26のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項28】
前記露光光を射出する光学部材と、
前記光学部材と、前記光学部材から射出される前記露光光の照射位置に配置された前記物体との間の前記露光光の光路を液体で満たすように液浸空間を形成する液浸部材と、を備えた請求項1〜27のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項29】
前記移動体は、前記スケール部材の表面と前記物体の表面とがほぼ同一平面内に配置されるように、前記物体を保持する請求項1〜28のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項30】
前記移動体は、その上面が前記スケール部材及び前記物体の表面とほぼ同一平面となる請求項29記載の露光装置。
【請求項31】
前記検出システムの検出結果に基づいて、前記スケール部材の表面の異物を除去する異物除去装置を更に備える請求項1〜30のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項32】
前記移動体と異なる別の移動体を更に備え、
前記検出システムは、前記別の移動体に配置されるスケール部材の表面の異物を検出可能である請求項1〜31のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項34】
物体を露光光で露光する露光方法であって、
所定面内を移動可能な移動体で前記物体を保持することと、
前記物体の表面の位置情報を検出システムで検出することと、
前記検出された位置情報を用いて前記物体を露光することと、
前記移動体に配置されるスケール部材の表面の異物を、前記検出システムで検出することと、を含む露光方法。
【請求項35】
前記物体の露光動作前に前記異物の検出を開始する請求項34記載の露光方法。
【請求項36】
前記物体の露光動作が行われていない期間に前記異物を検出する請求項34又は35記載の露光方法。
【請求項37】
前記物体の露光動作中に前記異物を検出する請求項34〜36のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項38】
前記物体に設けられたマークの検出動作中に前記異物を検出する請求項34〜37のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項39】
前記露光光の照射位置及び物体交換位置の一方から他方への前記移動体の移動を含む動作中に前記異物を検出する請求項34〜38のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項40】
前記物体は液体を介して露光され、前記物体の露光動作中に前記液体と接する前記スケール部材の表面の接液領域の異物を検出する請求項34〜39のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項41】
少なくとも前記露光のための移動を含む第1動作を前記移動体が実行中に、前記スケール部材の表面の第1領域を検出し、前記第1動作以外の第2動作中に、前記第1領域以外の第2領域を検出する請求項34〜40のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項42】
物体を露光光で露光する露光方法であって、
所定面内を移動可能な移動体で前記物体を保持することと、
少なくとも前記露光のための前記移動体の移動を含む第1動作中に、前記移動体に配置されるスケール部材の表面の第1領域の異物を検出することと、
前記第1動作以外の第2動作中に、前記第1領域以外の第2領域の異物を検出することと、を含む露光方法。
【請求項43】
前記第2動作は、前記露光光の照射位置及び物体交換位置の一方から他方への移動を含む請求項41又は42記載の露光方法。
【請求項44】
前記第2動作が複数回実行され、前記第2領域は、前記第2動作毎に異なる請求項41〜43のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項45】
前記移動体と異なる別の移動体に配置されるスケール部材の表面の異物を検出することを含む請求項34〜44のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項46】
前記物体は液体を介して露光され、前記異物は前記液体を含む請求項34〜45のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項47】
前記スケール部材を用いて前記所定面内での前記移動体の位置情報を計測して、前記物体を露光する請求項34〜46のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項48】
前記スケール部材と対向可能なヘッドを有するエンコーダシステムによって前記移動体の位置情報を計測する請求項47記載の露光方法。
【請求項49】
請求項34〜48のいずれか一項記載の露光方法を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−147228(P2009−147228A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325077(P2007−325077)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】