説明

Fc受容体調節化合物および組成物

本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、p電子に富む基で置換されたアリール環の形態のコア親油性基を含む化合物を提供する。本発明はさらに、そのような化合物を用いてFc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法を提供する。(a)FcγRIIa構造の溝に適合する構造特性を有する化合物を提供または設計する段階と、(b)Fc受容体上の活性の調節について化合物をスクリーニングする段階とを含むFc受容体活性を調節する化合物を得る方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なクラスのFc受容体調節化合物に関する。より詳細には、本発明は、製薬上許容できる担体と組み合わされたFc受容体調節化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、外来生物によって誘発されると、外来生物の破壊を促進する、抗体として知られている分子を含む一連の分子を生成することによって応答する。自己免疫疾患は、免疫系が外来物と体内の健常組織とを識別できないことによって特徴づけられる一群の疾患である。その場合、免疫系は、骨および関節(慢性関節リウマチ)、血小板(免疫性血小板減少性紫斑病および血管/結合組織(全身性紅斑性狼瘡)を含む健常または正常組織に対する抗体を生成させる。
【0003】
自己免疫疾患の誘因は完全には理解されていないが、健常組織に対する重度の損傷を抑制または停止させる治療法が開発されてきた。
【0004】
自己免疫疾患罹患者によって産生される抗体は健常組織に結合して、「免疫複合体」の形成をもたらす。これらの免疫複合体は、炎症性白血球の表面上のFc受容体(FcR)と呼ばれている受容体に結合する。免疫複合体がFcRに結合すると、白血球は活性化されて、サイトカインとして知られている一連の化学物質を血液系内に放出する。これらの化学物質は組織および関節を破壊し、免疫応答も増大させ、その結果、健常組織に対する攻撃が継続する。
【0005】
慢性関節リウマチに対する療法などの伝統的な療法は、メトトレキサートなどの細胞毒性の薬剤の使用を含む。メトトレキサートは、すべての分裂性細胞を非特異的に死滅させて、抗体を産生する細胞を除去する。メトトレキサートの重大な副作用は、免疫系の細胞を非特異的に死滅させて患者を免疫抑制状態にすることである。より最近、組織/関節の破壊をもたらす天然に産生される化学物質を阻害するいくつかの新製品が市場に出された。これらの製品の一部の制約は、それらが、放出される多くの炎症性化学物質のうちの1つだけを標的にすることである。例えば、エンブレル(Enbrel)およびレミカド(Remicade)は腫瘍壊死因子α(TNF)の作用を阻害し、一方、キネレット(Kineret)はインターロイキン-1を阻害する。
【0006】
上の議論は主として慢性関節リウマチに関するものであるが、本発明の範囲はそのようには限定されず、その範囲は免疫性血小板減少性紫斑病、全身性紅斑性狼瘡およびクローン病などの他の自己免疫疾患に及ぶことは、当業者なら理解されるであろう。
【0007】
Fc受容体は、炎症過程における上流にあり、理論的にはこの受容体の引き金が引かれることを予防すれば、組織損傷化学物質の多くの放出が阻止されるので、薬剤開発の有用な標的である。
【0008】
FcRは、免疫グロブリン(Ig)のFc部分に対して特異的である高度に関連性のある受容体のファミリーからなる。受容体は、免疫グロブリンクラスのそれぞれについて定義され、したがって、それらが結合するIgのクラスによって定義される(例えば、Fcガンマ受容体(FcγR)はガンマ免疫グロブリン(IgG)に結合し、Fcイプシロン受容体(FcεR)はイプシロン免疫グロブリン(IgE)に結合し、Fcアルファ受容体(FcαR)はアルファ免疫グロブリン(IgA)に結合する)。FcγR受容体については、3つのサブファミリーメンバーが定義された。すなわち、IgGに対して高い親和力を有する受容体であるFcγRI、免疫複合体の凝集体に結合するIgGの低い親和力を有する受容体であるFcγRIIおよび免疫複合体に結合する低い親和力を有する受容体であるFcγRIIIである。近年、例えば、FcγRIIaの同定などの、これらの受容体のさらなる差別化が達成された。
【0009】
これらの受容体は、構造的に高度に関連性があるが、異なる機能を果たす。FcγRIIの免疫複合体との相互作用および疾患との関連性の点からその構造と機能は興味深いものである。
【0010】
FcγRは、ほとんどの造血細胞上に発現し、IgGの結合により免疫系の恒常性および感染に対する宿主防護に重要な役割を果たす。FcγRIIは、本質的にIgG免疫複合体のみに結合し、例えば、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、血小板およびBリンパ球を含む様々な細胞型上に発現する。FcγRIIは、抗体依存性細胞媒介細胞毒性、免疫複合体のクリアランス、炎症メディエーターの放出および抗体産生の調節を含む様々な免疫および炎症反応に関与する。FcγRへのIgGの結合により、FcγRの調節を必要とする疾患適応症になる可能性がある。例えば、血小板減少性紫斑病は、血小板のFcγR依存性IgG免疫複合体活性化に起因する血小板損傷またはFcγR+食細胞によるそれらの破壊に関係する。さらに、慢性関節リウマチおよび全身性紅斑性狼瘡を含む様々な炎症性疾患がIgG免疫複合体に関係する。
【0011】
FcγRは細胞の表面に存在する。本質的に、それらは、溝を定めるように会合する2つの事実上同じ構造の二量体である。これらの二量体の構造は、国際公開WO99/40117号パンフレットに開示されている。凝集抗体のFc部分がこの溝に結合するので、溝における結合を妨害するように設計された化合物は抗体/受容体結合を阻害する可能性がある。
【0012】
潜在的に適切な化合物は、ランダムスクリーニングならびにFc受容体を調節するための合理的な薬剤設計から得られる。薬剤設計は、化合物を結合させることを意図する部位の構造に少なくとも一部は依存する。米国特許第6355683号明細書は、X線結晶学的解析に基づいてFcγRIIa結合領域の結合領域の構造を仮定した。関連する結合部位(すなわち、溝)は、リシンおよびヒスチジン残基を含むリップを有し、適切なモジュレータにおける水素結合および/または酸性基との相互作用の標的である。溝の壁は、フェニルアラニンベンゼン環を含み、疎水性相互作用、特にπ-π相互作用の標的であると思われる。溝の「床」は、Phe121、Thr152、Leu159およびSer161ならびにAsn154、Lys117(骨格カルボニル)およびThr119を含む。これらのタンパク質は、配列して、モジュレータまたはリガンドと強い水素結合および/またはファンデルワールス相互作用することができるポケットを形成する。
【0013】
FcRは様々な生物学的メカニズムに関与するので、FcγRへの免疫グロブリンの結合に影響を及ぼすのに適切と確認された化合物がFcRの他の生物学的機能に有害な影響を及ぼさないことが重要である。例えば、米国特許第6355683号明細書は、Fc受容体への免疫グロブリンの結合を調節する特定のクラスの芳香族、環状およびアミノ酸種を開示している。
【0014】
FcRへの免疫グロブリンの結合に影響を及ぼす何百もの化学種が特定されたが、それらの結合親和力および薬剤処方への使用の適合性は多様である。したがって、Fc受容体への免疫グロブリンの結合の調節のための医薬組成物に用いることができる可能性のある新規の化学種を特定することが継続的に必要である。
【特許文献1】国際公開WO99/40117号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6355683号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
新しい群またはクラスの化合物がFc受容体調節化合物としての活性を有し、医薬組成物に用いることができることを今回発見した。これらの化合物は、π電子に富む基で置換され、好ましくは非局在化π電子系を有するコア親油性基を一般的に有する。これらの化合物は、π電子系を有する少なくとも1つの酸性基を一般的に含む。
【0016】
第1の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式Iを有する化合物を提供する。
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R6はH、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜4アルキル、SH、CNから選択され、
R8はOR9、NR9R10から選択され、
R9、R10はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2H、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR11から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R11はH、C1〜4アルキルから選択される。]
【0019】
第2の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IIを有する化合物を提供する。
【0020】
【化2】

【0021】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R11、R12はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、ハロゲン、OC1〜4アルキルから選択される。]
【0022】
第3の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IIIを有する化合物を提供する。
【0023】
【化3】

【0024】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜4アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜4アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜4アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜4アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択される。]
【0025】
第4の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IVを有する化合物を提供する。
【0026】
【化4】

【0027】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択される。]
【0028】
第5の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、π電子に富む基で置換されたアリール環の形態のコア親油性基を含む化合物を提供する。
【0029】
第6の態様において、本発明は、本発明の上記第1から第5の態様による1つまたは複数の化合物ならびに製薬上許容できる希釈剤を含む、動物におけるFc受容体活性を調節するのに適する医薬組成物を提供する。
【0030】
第7の態様において、本発明は、本発明の上記第6の態様による医薬組成物による治療を必要とする対象に投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0031】
第8の態様において、本発明は、
(a)FcγRIIa構造の溝に適合する構造特性を有する化合物を提供または設計する段階と、
(b)Fc受容体上の活性の調節についてそれらの化合物をスクリーニングする段階とを含む
Fc受容体活性を調節する化合物を得る方法を提供する。
【0032】
第9の態様において、本発明は、本発明の上記第8の態様による方法によって得られるFc受容体活性を調節する化合物を提供する。
【0033】
第10の態様において、本発明は、治療を必要とする対象に本発明の第9の態様によるFc受容体活性を調節する化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0034】
第11の態様において、本発明は、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患の治療または療法における本発明の第6の態様による組成物の使用を提供する。
【0035】
第12の態様において、本発明は、自己免疫疾患の治療用の医薬品の製造における第1から第5の態様による化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
新しい群またはクラスの化合物がFc受容体調節化合物としての活性を有し、医薬組成物に用いることができることを今回発見した。これらの化合物は、π電子に富む基で置換され、好ましくは非局在化π電子系を有するコア親油性基を一般的に有する。これらの化合物は、π電子系を有する少なくとも1つの酸性基を一般的に含む。
【0037】
第1の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式Iを有する化合物を提供する。
【0038】
【化5】

【0039】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R6はH、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜4アルキル、SH、CNから選択され、
R8はOR9、NR9R10から選択され、
R9、R10はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2H、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR11から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R11はH、C1〜4アルキルから選択される。]
【0040】
好ましい実施形態においては、
R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にH、OH、OC1〜4アルキル、OC1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキル、ハロゲンから選択され、
R6はH、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜4アルキル、SH、CNから選択され、
R8はOH、NR9R10から選択され、
R9、R10はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2Hから選択される。
【0041】
第2の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IIを有する化合物を提供する。
【0042】
【化6】

【0043】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R11、R12はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、ハロゲン、OC1〜4アルキルから選択される。]
【0044】
好ましい実施形態においては、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、OC1〜4アルキル、CO2H、CNから選択され、
R11、R12はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択される。
【0045】
第3の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IIIを有する化合物を提供する。
【0046】
【化7】

【0047】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜4アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜4アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜4アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜4アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、R18、R19は上で定義されたとおりである。]
【0048】
好ましい実施形態においては、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、OH、OC1〜4アルキル、C1〜4アルキルから選択され、
R7はH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2Hから選択される。
【0049】
第4の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、下記一般式IVを有する化合物を提供する。
【0050】
【化8】

【0051】
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく、
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択される。]
【0052】
好ましい実施形態においては、
R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、OC1〜4アルキル、C1〜4アルキルから選択され、
R5はH、Cl、OC1〜4アルキル、OC1〜4アルキルアリール、OC3〜6シクロアルキルから選択され、
R6はCO2H、CONR7R8から選択され、
R7、R8はそれぞれ独立にH、5-テトラゾールから選択される。
【0053】
上の記述において、以下のことが理解されるであろう。
C1〜4アルキルは、非置換または任意に置換された直線状または分枝アルキル鎖を意味する。
アリールは、非置換または任意に置換されたフェニルまたはナフチルを意味する。
ヘテロアリールは、O、N、Sから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む非置換または任意に置換された5または6員ヘテロ芳香環を意味する。
シクロアルキルは、任意に置換された3〜8員飽和環を意味する。
シクロヘテロアルキルは、O、S、NR24(R24はH、C1〜4アルキル、アリール、ヘテロアリールである)から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、任意に置換された3〜8員飽和環を意味する。
【0054】
第5の態様において、本発明は、Fc受容体に結合し、Fc受容体活性を調節することができ、π電子に富む基で置換されたアリール環の形態のコア親油性基を含む化合物を提供する。
【0055】
好ましくは、アリール環上の置換基は、π結合および/またはπ電子を有するヘテロ原子を含むか、もしくはそれにより置換された炭素鎖を有する5または6員環系を含む。好ましくは、置換アリール環は、
【0056】
【化9】

【0057】
およびその塩から選択される。
[式中、
R1は基-COOH、-COOCH3、-NO2、-OCH3、-OH、-CN、ハロゲン化物および水素から選択され、
R2は基-NO2、-COOH、ハロゲン化物および水素から選択され、
Xは基-S(O)Ar(COOH)、-S(CH2)3CN、-C(O)CH2SAr(COOH)、
-C(O)CH2SCH2C(O)Ar(COOH)、-NHC(O)NHAr(COOH)、
-NHC(O)NH[CNC(COOH)NNH]、
-CH2NCHAr(COOH)、-CH2SAr(COOH)、-NHCH2Ar(COOH)、
-NCHAr(COOH)、-NCHAr(COOH)、-(CH(O)CH)C(O)Ar(COOH)、-(CH)2C(O)(C4H4N)、-CH2C(SH)COOH、-CH2OC(O)NH(CH2)2〜5COOH、-CH2OC(O)NH[CH2C(O)NH]2-CH2COOH、
-CH2OC(O)NH[CH2C(O)NH]2-CH(CH3)COOH、
-CH2OC(O)NH(CH2)3COOH、-CH2NHC(O)NH(CH2)3〜5COOH、-CH2NHC(O)(CH2)2〜3COOH、-CH2CH2O-Ar[(CH)CHC(O)OH]、
-NHC(O)NH(CH2)3〜5COOH、-NHNCHAr(COOH)ならびに
環系-C(O)Ar(COOH)-、-S(O)C(COOH)C(Cl)-、-SC(COOH)C(Cl)-、
-SC(COOH)C(OC6H11)-、-SC[C(O)NH-(CN4H)]C[OCH(CH3)2]-および-C(O)Ar(COOH)(NO2)-から選択される。]
【0058】
上記芳香族化合物は、例えば、
【0059】
【化10】

【0060】
またはその塩から選択される置換アリール環(Ar)であってよく、式中、
Xが基-S(O)Ar(m-COOH)[032]、-S(CH2)3CN[239]、-C(O)CH2SAr(m-COOH)[217]、-C(O)CH2SCH2C(O)Ar(m-COOH)[292]、-NHC(O)NHAr(m-COOH)[192]、-NHC(O)NH[CNC(COOH)NNH][219]、-CH2NCHAr(m-COOH)[200]、-CH2SAr(m-COOH)[255]、-NHCH2Ar(m-COOH)[100]、-NCHAr(m-COOH)[076]、-NCHAr(p-COOH)[081]または-(CH(O)CH)C(O)Ar(m-COOH)[027]から選択される場合、R1はアリール環上の3位に位置する-COOHであり、かつR2は水素であり;
Xが環系-C(O)Ar(m-COOH)-[001]を含む場合、R1はアリール環上の3位に位置する-COOHであり、かつR2は水素であり;
Xが環系-S(O)C(COOH)C(Cl)-[044]または-SC(COOH)C(Cl)-[026]を含む場合、R1はアリール環上の6位に位置する-NO2であり、かつR2は水素であり;
Xが環系-SC(COOH)C(OC6H11)-[276]を含む場合、R1はアリール環上の5位に位置する-OCH3であり、かつR2は水素であり;
Xが環系-SC[C(O)NH-(CN4H)]C[OCH(CH3)2]-[090]を含む場合、R1はアリール環上の7位に位置する-OCH3であり、かつR2は水素であり;
Xが環系-C(O)Ar(m-COOH)(m-NO2)-[261]である場合、R1およびR2はアリール環上の3および5位に位置する-NO2であり;
Xが縮合へテロ原子縮合環系-SC[C(O)NH(CN4H)]C[OCH(CH3)2]-[092]である場合、R1はアリール環上の5位に位置する-OCH3であり、かつR2はアリール環上の4位に位置する-NO2であり;
Xが-(CH)2C(O)(C4H4N)[238]である場合、R1はアリール環上の2位に位置する-COOHであり、かつR2は水素であり;
Xが-C(O)(CH)2Ar[237]である場合、R1はアリール環上の4位に位置するCOOHであり、かつR2は水素であり;
Xが-CH2C(SH)COOH[297]である場合、R1はアリール環上の2位に位置する-OHであり、かつR2は水素であり、
Xが-C(O)CH2S-Ar(m-COOH)[216][294]である場合、R1はアリール環上の3位に位置する-CNまたはHであり、かつR2は水素であり;
Xが-CH2OC(O)NH(CH2)2〜5COOH[197、233、336、355]、-CH2OC(O)NH[CH2C(O)NH]2-CH2COOH[234]、-CH2OC(O)NH[CH2C(O)NH]3CH(CH3)COOH[235]、-[CH2OC(O)NH]2CH2COOH[236]、-CH2NHC(O)NH(CH2)3〜5COOH[337〜339]、-CH2NHC(O)(CH2)2〜3COOH[343、344]、-CH2O-Ar[(p-CH)CHC(O)OH[299]および-CH2NCHAr(m-COOH)[331]を含む群から選択される場合、R1およびR2はともに水素であり;
Xが基-NHC(O)NH(CH2)3〜5COOH[340、341、342]から選択される場合、R1はアリール環上の3位に位置する-COOCH3であり、かつR2は水素であり;
Xが基-NCHAr(m-COOH)[114]から選択される場合、R1およびR2はアリール環上の3および5位に位置する-COOHであり;
Xが基-NHNCHAr(m-COOH)[080]から選択される場合、R1およびR2はアリール環上の3および5位に位置する-Clである。
【0061】
本明細書で用いる場合、角括弧内の数は表1に示す化合物に対応している。
【0062】
本明細書で用いた番号付けは、IUPAC命名法規則にできる限り忠実に従った。特にXがアリール環上の1つの位置に存在しているとき、アリール環上の位置の番号は以下のとおりである。
【0063】
【化11】

【0064】
例えば、化合物[153]、[032]、[294]、[297]、[197]、[216]、[238]、[237]、[152]、[239]、[217]、[299]、[292]および[113]はこの番号付けスキームに従う。
【0065】
Xが縮合へテロ原子環系(Yは窒素または硫黄)であるとき、アリール環上の番号付けは以下のとおりである。
【0066】
【化12】

【0067】
例えば、化合物[044]、[026]、[276]、[090]および[092]はこの番号付けスキームに従う。
【0068】
好ましい実施形態において、本化合物は化合物[197]、[216]、[217]、[238]、[239]、[261]、[294]、[297]および[299]から選択される。より好ましくは、本化合物は[197]および[294]から選択される。
【0069】
第6の態様において、本発明は、本発明の第1から第5の態様による1つまたは複数の化合物ならびに製薬上許容できる希釈剤を含む、動物におけるFc受容体活性を調節するのに適する医薬組成物を提供する。
【0070】
第7の態様において、本発明は、治療を必要とする対象に本発明の第6の態様による医薬組成物を投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0071】
第8の態様において、本発明は、
(a)FcγRIIa構造の溝に適合する構造特性を有する化合物を提供または設計する段階と、
(b)Fc受容体上の活性の調節について化合物をスクリーニングする段階とを含む、
Fc受容体活性を調節する化合物を得る方法を提供する。
【0072】
好ましい形態において、段階(a)は化合物を1つまたは複数の置換基で官能化することを含む。
【0073】
好ましくは、本化合物を、熱凝集ヒト免疫グロブリンGを免疫複合体として用い、FcγRIIa依存性血小板活性化アッセイおよび/または血小板を活性化する凝集アッセイによりスクリーニングする。本化合物は、FcγRIIaトランスジェニック動物におけるコラーゲン関節炎モデルにおいて試験することができる。そのようなモデルは、例えば、Arthron Ltd.の名称における「自己免疫疾患のトランスジェニック動物モデル(Transgenic Animal Model for Autoimmune Disease)」と題する国際特許出願PCT/AU03/00718に開示されている。
【0074】
所望ならば、本化合物は、ELISAベースシステムにおけるリガンドへのFc受容体の阻害を測定することによりスクリーニングすることができる。例えば、受容体がFcγ受容体である場合、用いるリガンドを熱凝集IgG(HAGG)または単量体IgGなどから選択することができる。
【0075】
第9の態様において、本発明は、本発明の第8の態様による方法によって得られるFc受容体活性を調節する化合物を提供する。
【0076】
第10の態様において、本発明は、治療を必要とする対象に本発明の第9の態様によるFc受容体活性を調節する化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【0077】
第11の態様において、本発明は、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患の治療または療法における本発明の第6の態様による組成物の使用を提供する。
【0078】
第12の態様において、本発明は、自己免疫疾患の治療用の医薬品の製造における第1から第5の態様による化合物の使用を提供する。
【0079】
一般的に、自己免疫疾患は、抗体の凝集体の生成、あるいは個体の正常組織に損傷をもたらす内因性または外因性抗原と抗体との接触による免疫複合体の生成を伴う。
【0080】
本発明の特に好ましい実施形態において、上で特定した化合物によるFc受容体の調節を用いて、抗体の凝集体が生成する、あるいは内因性または外因性抗原と抗体との接触により免疫複合体が生成する疾患を治療する。上で特定した化合物によるFc受容体の調節は、患者におけるIgG媒介組織損傷を低減し、IgE媒介応答を低減しかつ/または炎症を低減するためにも用いることができる。
【0081】
本発明は、Fc受容体と免疫グロブリンとの相互作用を調節することができる様々な化合物を提供する。理論に拘束されることを望むことなく、これらの化合物は2つのFcγRIIタンパク質の間の溝または二量体化界面に干渉し、それにより、FcRタンパク質の1つまたは両方による細胞シグナル変換に影響を及ぼすと考えられている。特に、FcγRIIのペプチド残基117〜131および150〜164はFcγRIIa二量体の界面領域を構成すると考えられ、本発明の化合物はこれらの領域を模擬または結合し、良好な結合モジュレータとしての活性を有する可能性がある。
【0082】
特に、また再び理論に拘束されることを望むことなく、本発明の化合物は溝の壁との強いπ-π相互作用および/または水素結合をもたらし、一方、水素結合および/または酸性基は溝のリップおよび床のアミノ酸残基と相互作用すると考えられる。
【0083】
本発明の化合物は、コンピュータモデリングまたは「ドッキング」により示されるように、受容体の他の領域にも結合する可能性がある。例えば、いくつかの化合物は、Fcγ受容体のFGループ、またはTrp90もしくはTrp113などのトリプトファン残基の周りの領域に結合する可能性がある。
【0084】
本発明の範囲は関連化合物の異性体およびその混合物を含むことを理解すべきである。さらに、キラル中心を有する本発明の化合物をエナンチオ選択的に合成することができ、あるいはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を調製し、分離することができる。ジアステレオマーの分割は、当技術分野で知られている方法により行うことができる。本発明の化合物がシスまたはトランス配置を有していてよいオレフィン部分を含む場合、主生成物としてシスまたはトランスオレフィンを選択的に生成するように化合物を合成することができる。あるいは、オレフィン部分を含む化合物をシスおよびトランスオレフィンの混合物として生成させ、公知の方法により分離することができる。
【0085】
本発明の化合物は、塩基性官能基が存在する場合には酸との塩を、酸性官能基が存在する場合には塩基との塩を形成することができる。そのようなすべての塩は、新規の化合物の単離および/または精製に有用である。特に有用なものは、製薬上許容できる、酸および塩基との塩である。適切な酸としては、例えば、製薬上許容できる塩酸、シュウ酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸などがある。医薬品用の塩基性塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩などがある。
【0086】
(選択)
本発明の化合物は、以下のプロトコールに従って選択することが好ましい。
(a)構造特性に基づいて、FcγRIIa構造の溝に適合する可能性がある潜在的に適切な化合物を設計する。設計過程の一部は、1つまたは複数の置換基で化合物を官能化することにより化合物を修飾することである。
(b)(a)で特定された化合物をin vitroスクリーニングプログラムに供し、以下のように最良の活性を有する化合物を特定する。
(i)in vitroでの阻害活性の評価
表1の化合物を、FcγRIIa依存性血小板活性化アッセイおよび/または熱凝集ヒト免疫グロブリンGを免疫複合体として用い、血小板を活性化する凝集アッセイでスクリーニングした。次いで、この過程を阻害する化合物を特異性について試験した。これらの細胞上で発現する唯一のFc受容体がFcγRIIaであるので、血小板を標的に用いたことに留意されたい。さらに、血小板は阻害することが非常に困難であり、したがって、これにより妥当な効力を有する化合物を特定する助けとなる。
FcγRIIaとのIgG相互作用の阻害を検出するために、化合物をELISA阻害アッセイによってスクリーニングしてもよい。
(ii)in vitroでの阻害物質の特異性の評価
化合物を他の血小板活性化経路に対する活性について試験した。これらは主としてアラキドン酸および/またはADPによって誘導されるので、これらの化合物の一部をコラーゲンおよび/またはトロンビン誘導性血小板活性化を阻害する能力についても試験した。
(iii)in vitro効力の評価
次に、特異的な阻害性化合物を血小板活性化アッセイにおいてアッセイした。
(iv)in vivo効力の評価
最良の活性を示した化合物をFcγRIIaトランスジェニック動物におけるコラーゲン-関節炎モデルにおいて試験した。
【0087】
表2に最も有望な活性を示した化合物を示す。
【0088】
好ましくは、本発明の化合物は、FcαR、FcεR、FcγRおよびその混合物からなる群から、より好ましくはFcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIb、FcγRIIcおよびその混合物からなる群から選択されるFc受容体、最も好ましくはFcγRIIa受容体を調節する。本発明の化合物は、抗体の凝集体が生成し、また、内因性または外因性抗原と抗体との接触により免疫複合体が産生されるあらゆる疾患の治療または診断を含む様々な用途に用いることができる。本発明の化合物が適用可能な治療および診断の具体例としては、免疫複合体病;慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、免疫性血小板減少症、好中球減少症、溶血性貧血を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患;結節性多発動脈炎、全身性血管炎を含むがこれらに限定されない血管炎;異種移植片拒絶反応;ならびにデング熱ウイルスによるデング出血熱などのフラビウイルス感染症および麻疹ウイルス感染症を含むがこれらに限定されない、ウイルスのFcR取込みが感染を促進する感染性疾患などである。本発明の化合物は、IgG媒介性組織損傷を低減し、炎症を低減するのにも用いることができる。
【0089】
本発明の化合物は、FcR機能を増大させることにより、白血球機能を増大させることもできる。これらの機能としては、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性、貪食作用、炎症性サイトカインの放出などがある。FcR機能の増大のための治療および診断の具体例としては、正常抗体を産生させて病原体を除去する感染、ならびに天然または組換え抗体を癌および感染などの治療に用いることができ、例えば、抗体治療の効果を増大するために、抗体を本発明の化合物とともに投与することができるFcR機能を必要とするあらゆる疾患などである。
【0090】
本発明の化合物は、所望の生理学的効果を達成するために患者に投与することができる。好ましくは患者は動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトである。化合物は、選択された投与経路、すなわち、経口または非経口投与に適合する様々な形態で投与することができる。非経口投与は、次の経路、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、関節滑液嚢内、経皮、眼、舌下および頬を含む経上皮、眼、皮膚、眼球、直腸ならびに吸入剤およびエアゾールによる経鼻吸入を含む局所、腹腔内および経直腸全身投与経路による投与を含む。
【0091】
活性化合物は、例えば、不活性希釈剤または同化性可食担体とともに経口投与することができ、あるいは硬質または軟質外皮ゼラチンカプセルに封入することができ、あるいは錠剤に圧縮することができ、あるいは食餌の食物と直接混合することができる。経口治療投与の場合、活性化合物は賦形剤と混合し、経口錠、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤などの形態で用いることができる。
【0092】
そのような組成物および製剤は、治療上有効な量の活性化合物を含むことができる。
【0093】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは次のものを含んでいてもよい。トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、ゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含むことができ;さらに、ショ糖、ラクトース、サッカリンなどの甘味剤、あるいはペパーミント、冬緑油、チェリー着香料などの着香料を添加することができる。単位剤形がカプセル剤である場合、上のタイプの物質に加えて、液体担体を含んでいてよい。他の様々な物質が剤皮として、あるいは投与単位の物理的形態を改良するために存在していてよい。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤をセラック、砂糖または両方により被覆することができる。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーやオレンジ着香料などの着香料を含んでいてよい。もちろん、単位剤形を調製する際に用いるあらゆる物質が製薬上純粋で、用いる量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は徐放性製剤および調合剤に混入することができる。
【0094】
活性化合物は、非経口的に投与することもできる。遊離塩基または製薬上許容できる塩としての活性化合物の液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水を用いて調製することができる。分散剤もグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物ならびに油を用いて調製することができる。通常の貯蔵および使用条件下では、これらの製剤は微生物の生育を妨げる保存剤を含む。
【0095】
注射剤としての使用に適する剤形は、滅菌水剤または分散剤および滅菌注射用水剤または分散剤の即時調製用滅菌散剤などである。すべての場合に、剤形は、無菌性でなければならず、容易な注射器操作可能性がある程度に流動性でなければならない。剤形は、製造および貯蔵条件下で安定であることができ、細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、その適切な混合物および植物油を含む分散媒の溶媒であってよい。適切な流動性は、例えば、界面活性剤を用いることによって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロルブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、砂糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましいであろう。モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅延させる物質による注射用組成物の吸収の遅延。
【0096】
滅菌注射用液剤は、必要に応じて他の様々な成分を含む適切な溶媒に必要な量の活性化合物を混入した後、ろ過滅菌することによって調製する。一般的に、分散剤は、ベースとなる分散媒および他の必要な成分を含む滅菌賦形剤に様々な滅菌済み有効成分を混入して調製する。滅菌注射用液剤の調製用の滅菌散剤の場合、好ましい乾燥技術により、有効成分とその以前にろ過滅菌した液剤の所望の追加の成分とを含む散剤が得られる。
【0097】
本発明の治療用化合物は、哺乳類に、単独で、またはその割合が化合物の溶解度および化学的性質、選択される投与経路ならびに標準製薬規範によって決定される上記などの製薬上許容できる担体と組み合わせて、投与することができる。化合物はメトトレキサート、エンブレル(Enbrel)、ラミカード(Ramicade)、キナレット(Kinaret)などの他の薬剤と併用投与してもよい。
【0098】
本発明のさらなる態様、利点および新規の特徴は、以下の非限定的な実施例および図面の検討により当業者には明らかになるであろう。
【0099】
〔実施例〕
本発明の化合物は、以下のようにin vitroおよびin vivo活性に基づいて選択した。
【0100】
(i)in vitroアッセイ
本発明の化合物は、熱凝集IgGによるヒト血小板の活性化を測定する迅速FACSスクリーニングアッセイで最初にスクリーニングした。血小板は、ただ1つのタイプのFcγ受容体、すなわちFcγRIIaを有し、したがって、ヒト血小板を用いることにより、他のFcγ受容体の交絡作用を除去することができる。さらに、血小板は一連の刺激に対して非常に感受性が高く、速やかに活性化する。活性化は、様々な刺激への曝露後の血小板膜上のタンパク質であるP-セレクチンの出現により測定される。刺激は、IgGならびに特異性対照としてのコラーゲンまたはトロンビンを用いた熱凝集であった。
【0101】
具体的には、このアッセイでは洗浄済み血小板と、FcγRIIaを活性化し、架橋する免疫複合体(アゴニスト)としての熱凝集IgG(HAGG)を用いる。これは予備的スクリーニングであるので、単一濃度の小分子阻害物質を血小板に加え(最終濃度500μg/ml)、30分間インキュベートする。次いで、熱凝集IgG(HAGG)(40μg/ml)を血小板に加え、30分間インキュベートする。洗浄の前にパラホルムアルデヒドを血小板に加え、30分間放置する。抗P-セレクチン(FITC結合)および抗CD41(PE結合)を加え、血小板活性化のマーカーであるP-セレクチンおよびすべての生血小板により発現するCD41の発現を検出するために、血小板をFACSによりスクリーニングする。化合物[153]および[154]についてFACSを用いて得られた用量反応結果を図1(a)に示す。
【0102】
次いで、血小板活性化を阻害した化合物を第2のより包括的な血小板凝集アッセイを用いてスクリーニングする。このアッセイを用いて、薬剤化合物が活性化だけでなく、そのような活性化に続く凝集も予防することができることを確認する。凝集過程は阻害することが極めて困難であり、既知の最も強力な生物学的細胞活性化システムの1つである。この過程を阻害することができる化合物は、in vivo試験(下で述べる)の好ましい候補であった。
【0103】
本発明の化合物の特異性は、トロンビン、ADP、アラキドン酸およびコラーゲンを含む他の血小板刺激物質の阻害の試験により確認した。特異性アッセイは、HAGG(FcγRIIa)活性化と血小板の強力な刺激物質であるアラキドン酸、ADPおよび/またはトロンビンによる関連性のない活性化に対する小分子阻害物質の効果を比較するものである。このアッセイでは、小分子阻害物質が血小板を死滅させなかったことも示す。
【0104】
400μlの洗浄済み血小板を一連の濃度の小分子阻害物質の存在下でインキュベートする。次いで、アゴニスト、例えば、HAGG(200μg/ml)を加え、他の著者ら(Ozaki Y.、1998、Sysmex Journal International、第8巻、15頁、Gratacap M.P.ら、Blood、第96巻、3439頁およびGross B.S.ら、(1999)Blood、第94巻、4166頁)により記載されたように凝集測定計で凝集を測定する。
【0105】
in vitro試験に進むように選択された化合物は、これらのアッセイに基づいてFcγRIIaに対する特異性を有さなければならず、血小板活性化の他のメカニズムを阻害する化合物は、in vitro試験に進まなかった。このアッセイにおける化合物[153]の成績を、薬剤処理後のアラキドン酸による刺激に反応する血小板の機能を示す図1(b)に示す。
【0106】
要約すると、試験した各化合物について、上で詳述したように活性を血小板活性化および/または血小板凝集の阻害の関数として測定した。特異性は、アラキドン酸誘導性活性化(およびトロンビンに対する効果を試験しない場合にはコラーゲンまたはADP誘導性活性化)に対する効果を伴わない、免疫複合体誘導性血小板活性化の特異的阻害と定義される。
【0107】
化合物はまた、ELISA阻害アッセイを用いてスクリーニングした。FcγRIIaに遺伝学的に融合させたヒト血清アルブミン(HSA-FcγRIIa)を5μg/mlの濃度でELISAプレートに結合させた。小分子阻害物質を5μg/mlの開始濃度から濃度を調節し、受容体の存在下でインキュベートした。次いで、ヒトIgG複合体(0.2μg/ml)をプレートに加え、小分子阻害物質によるIgG結合の阻害の程度をHRP標識抗ヒト抗体を用いて測定した。
【0108】
上のアッセイに加えて、他の細胞を用いるアッセイも用いることができる。例えば、Ca2+動員またはサイトカイン産生などのFc受容体モジュレーションに依存する事象を測定するアッセイを用いることができる。
【0109】
(ii)in vivo試験
臨床試験の前に、遺伝子工学により処理したマウスを用いて本発明の化合物とヒト型のFcγRIIaとの相互作用を試験した。用いたマウスは、マウスがその炎症性白血球および血小板の表面上にヒト受容体を産生するように、そのDNAに遺伝学的に挿入されたヒト型のFcγRIIaを有する。具体的には、用いたマウスは、生理学的レベルで血小板、好中球およびマクロファージ上にFcγRIIaトランスジーンを発現するC57BL/6/SJL、H-2b近交系マウスであった。マウスの関節炎の重症度は、FcγRIIaトランスジェニックマウスのほうが当該受容体を発現しない正常対照マウスより著しく大きかった。
【0110】
コラーゲン誘発性関節炎を、本発明の化合物の選択のin vivo活性を試験するための適切なモデルとして選択した。マウスをコラーゲンで免疫化し、21日後に化合物の1つの初回投与量を投与して追加抗原刺激を行った。コラーゲンを用いた関節炎の誘発は、十分に記述された方法(Campbell、Bendeleら、1997、Ann.Rheum.Dis.、第56巻6号、364〜8頁)に従って行った。10mM酢酸に溶解した2mg/ml タイプIIニワトリコラーゲンを等量の完全フロイントアジュバントと混合して乳濁液を形成させる。100μlの乳濁液を尾の基部に皮内注射した。同じ投与量を準備し、21日後に一次部位の近位に投与した。
【0111】
上記のコラーゲンによる免疫化の21日後にそれぞれ開始した以下の4種の投与計画を試験した。
‐ 投与計画1:3日ごとに7.5mgを1回ずつ合計4回投与
‐ 投与計画2:7.5mgを初回投与した後、1日当たり1mgを毎日14日間投与
‐ 投与計画3:1日当たり1.0mgを毎日1回14日間投与
‐ 投与計画4:1日当たり0.3mgを毎日1回14日間投与
【0112】
対照として、未処置トランスジェニックマウスをコラーゲンによる免疫化の23〜25日後に検査した。
【0113】
標準関節炎採点システム指数を用いて治療期間(最長60日間)中の疾患の重症度を測定した。マウスは、最初のコラーゲン注射後14〜36日目に週3回検査した。関節炎の重症度は、各肢について腫れ、発赤および関節機能に基づき0〜3のスケールを基準として評価した。各マウスごとのスコア(関節炎指数)を以下に従って4つの肢の合計として計算した。
スコア0=正常
スコア1=軽度の腫れ/発赤
スコア2=重度の腫れおよび発赤
スコア3=関節機能不全を伴う重度の腫れおよび発赤
【0114】
コラーゲン誘発性関節炎の発現を効果的に阻害することができる化合物[153]の最少有効量を決定するために用量反応試験を行った。図2(a)は、PBSを用いた治療と比較した化合物[153]によるFcγRIIaトランスジェニックマウスの治療における時間(日単位)に対する関節炎指数のグラフである。マウスは、上記の投与計画1〜4に従って化合物[153]を用いて12週齢から14週齢まで試験した。PBS投与計画と比較して、すべての投与計画で好結果が得られ、投与計画1が投与計画1、2または3より比較的有効性が高かった。図2(b)〜2(e)に図2(a)に示した個々の投与計画のそれぞれを誤差バーを追加して示す。
【0115】
図3は、化合物[153]による対照(非トランスジェニック)マウスの治療における時間(日単位)に対する関節炎指数のグラフである。マウスは、上記の投与計画3および4に従って化合物[153]を用いて12週齢から14週齢まで試験した。グラフからわかるように、化合物は非トランスジェニックマウスにおいて作用の特異性を意味する有意な効果を有さない。この方法で治療したマウスは、治療の中止時に、より重度の関節炎を発現することはない。
【0116】
図4は、本発明の9種の化合物、すなわち[216]、[217]、[261]、[292]、[294]、[297]、[299]、[153]および[197]に関する化合物濃度(mM)に対するIgG誘導性血小板活性化の阻害率のグラフである。化合物の濃度を調節し、活性化の尺度としてのp-セレクチン発現の凝集IgG誘導を妨げる能力について評価した。
【0117】
図5は、本発明の3種の化合物、すなわち[113]、[152]および[153]に関する化合物濃度(mM)に対する血小板活性化の阻害率のグラフである。
【0118】
図6は、本発明の4種の化合物、すなわち[238]、[239]、[197]および[153]に関する化合物濃度(mM)に対する血小板活性化の阻害率のグラフである。
【0119】
in vitro用量反応を示す図4〜6は大部分、全選択プログラムを終えてin vivo試験の準備が整ったと思われる段階にあった化合物ばかりである。
【0120】
〔調製実施例〕
本発明による化合物の調製の以下の実施例に関して本発明をさらに例示する。
【0121】
[3-イソプロポキシ-7-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB 090)の調製]
【0122】
(a) 3‐クロロ‐5‐メトキシ‐1‐ベンゾ[b]チオフェン‐2‐カルボニルクロライドおよび3‐クロロ‐7‐メトキシ‐1‐ベンゾ[b]チオフェン‐2‐カルボキシレート
【0123】
【化13】

【0124】
3-メトシキケイ皮酸(5.0mg、28.06mmol)を無水DMF(2.15mL)、クロロベンゼン(40.0mL)およびピリジン(230.0mL)に溶解した。この溶液に塩化チオニル(10.5mL)を室温で1滴ずつ加えた。反応混合物を加熱して24時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で留去した。t-BuOCH3およびTHF/ヘキサンから残留物を再結晶させる試みは不成功であった。残留物をTHFに溶解し、ろ過し、減圧下で蒸発し、黄色固体を得た。これをさらに精製せずに次の段階に用いた。
【0125】
(b) イソプロピル3‐イソプロポキシ‐7‐メトキシ‐1‐ベンゾ[b]チオフェン‐2‐カルボキシレート
【0126】
【化14】

【0127】
3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリドと3-クロロ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリドとの粗混合物(7.32g、28.06mmol)をTHF(30.0mL)およびイソプロパノール(30.0mL)に溶解し、反応混合物を加熱し5時間還流した。次いで反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。T.L.C.(ジクロロメタン/ヘキサン)(3/7)は、2つの成分を示し、これらをカラムクロマトグラフィーを用い(ジクロロメタン/ヘキサン)(3/7)で溶出させて分離して、白色粉末としての(483.0mg、6.0%)の所望のイソプロピル3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(これはヘキサンからの再結晶によりさらに精製した)および(1.39g、17.0%)のイソプロピル3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレートを得た。
【0128】
(c)イソプロピル3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0129】
【化15】

【0130】
イソプロパノール(2.0mL)を水素化ナトリウムの懸濁液(60%分散体、110.0mg、2.75mmol)に加え、反応混合物を室温で90分間攪拌した。イソプロピル3-クロロ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(400.0mg、1.4mmol)を無水THF(2.0mL)に溶解し、その溶液を水素化ナトリウム懸濁液に加え、得られた反応混合物を加熱して17時間還流した。反応混合物を冷却し、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残留物をヘキサンと水とに分配した。水相をヘキサンで抽出し、合わせたヘキサン抽出物を乾燥し、ろ過し、減圧下で留去させて、所望のイソプロピル3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(433.0mg、99.9%)を粘性のある黄色油状物として得た。M.S.m/z 308(M)+
【0131】
(d) 3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸
【0132】
【化16】

【0133】
イソプロピル3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(433.3mg、1.4mmol)をメタノール(3.0mL)に溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液(7.0mL)を加え、反応混合物を加熱して7時間還流した。反応混合物を冷却し、次いで水(30.0mL)に注ぎ、水性反応混合物を濃塩酸で酸性化し、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン相を乾燥し、ろ過し、減圧下で留去して、灰色がかった白色残留物を得、これをメタノール/水から再結晶して、所望の3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(99.9mg、36.1%)を微細白色結晶として得た。M.S.m/z 260(M-1)+
【0134】
(e) 3-イソプロポキシ-7-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB 090)
【0135】
【化17】

【0136】
3-イソプロポキシ-7-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(70.0mg、0.26mmol)を無水THF(2.0mL)に溶解し、CDI(55.0mg、0.34mmol)を加え、反応混合物を加熱して75分間還流した。反応混合物を冷却し、5-アミノテトラゾール(25.0mg、0.3mmol)を加え、反応混合物を加熱して一夜還流した。反応混合物を冷却し、次いで水(30.0mL)に注いだ。水性反応混合物を濃塩酸で酸性化し、沈殿を生成させ、ろ過により収集し、水で十分に洗浄し、乾燥し、メタノール/水から再結晶して所望の3-イソプロポキシ-7-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB 090)(74.3mg、85.0%)を黄色針状物として得た。M.S.m/z 332(M-1)+
【0137】
[3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾル-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB-092)の調製]
【0138】
(a) 3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリド
【0139】
【化18】

【0140】
3-メトキシケイ皮酸(5.0g、28.0mmol)を無水ピリジン(230.0mL)および無水N,N-ジメチルホルムアミド(2.15mL)に加え、次いで無水クロロベンゼン(40.0mL)および塩化チオニル(10.5mL、0.14mol)を1滴ずつ加え、反応混合物を加熱して24時間還流した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で留去した。t-BuOCH3および(THF/ヘキサン)から残留物を再結晶させる試みは不成功であった。したがって、残留物をTHFに再溶解し、ろ過し、THFを減圧下で蒸発して、所望の3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリド(7.0g、97.0%)を黄色固体として得た。M.S.m/z 260(M)+1H NMR(CDCl3)δ3.73(3H,s,OCH3)、3.93(3H,s,OCH3)、6.9(1H,m,ArH)、7.05(1H,s,ArH)、7.6(1H,m,ArH)。
【0141】
(b) イソプロピル3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0142】
【化19】

【0143】
3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリド(7.32g、28.1mmol)を無水THFの溶液(30.0mL)に溶解し、イソプロパノール(30.0mL)を加え、反応混合物を加熱して5時間還流した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発して残留物を得、これをカラムクロマトグラフィーを用い(ジクロロメタン/ヘキサン)(3/7)で溶出させて精製して、所望のイソプロピル3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(1.39g、17.0%)を白色粉末として得た。融点=76〜80℃、M.S.m/z 285(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ1.33(6H,d,CH(CH3)2。J=6.24Hz)、3.85(3H,s,OCH3)、5.21(1H,m,CH(CH3)2,J=6.24Hz)、7.09(1H,dd,ArH,J=2.49,8.85Hz)、7.26(1H,d,ArH,J=2.46Hz)、7.59(1H d,ArH,J=8.85Hz)。
【0144】
(c) イソプロピル3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0145】
【化20】

【0146】
水素化ナトリウム(60%分散物)(600.0mg、4.0mmol)を無水THF(2.0mL)に懸濁し、窒素雰囲気中室温で2分間攪拌した。無水THF(2.0mL)に溶解したイソプロパノール(350.0mL、4.6mmol)の溶液をTHF中水素化ナトリウムに徐々に加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌し、次いで無水THF(3.0mL)中のイソプロピル3-クロロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(600.0mg、2.1mmol)の溶液を徐々に加えた。得られた反応混合物を加熱して17時間還流した。反応混合物を冷却し、THFを減圧下で留去し、残りの残留物をヘキサンと水とに分配した。水相をヘキサンで抽出し、ヘキサン相を乾燥し、ろ過し、減圧下で留去して、所望のイソプロピル3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレートを粘性のある黄色油状物として得た。M.S.m/z 309(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ1.24(6H,d,2×CH3,J=3.84Hz)、2.1(6H,s,2×CH3,J=6.9Hz)、3.89(3H,s,OCH3)、7.05(1H,ArH,J=11.1Hz)。
【0147】
(d) 3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸
【0148】
【化21】

【0149】
イソプロピル3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(649.0mg、2.1mmol)をメタノール(2.5mL)に溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液(7.0mL)を加え、反応混合物を加熱して7時間還流した。反応混合物を冷却し、反応混合物を水に注いだ。次いで水溶液をジクロロメタンで抽出し、水相を酸性化し、さらにジクロロメタンで抽出した。酸性化した水相のジクロロメタン抽出物を合わせ、乾燥し、ろ過し、減圧下で留去して、残留物を得、これをアセトニトリルから再結晶して、所望の3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(148.0g、25.0%)を淡黄色の綿毛状結晶として得た。融点=76〜80℃、M.S.m/z 284(M)+1H NMR(CDCl3)δ3.85(3H,s,OCH3)、7.09(1H,dd,ArH,J=2.49,8.85Hz)、7.26(1H,d,ArH,J=2.46Hz)、7.59(1H,d,ArH,J=8.85Hz)。実測値C,54.53、H,4.58%、C13H13ClO3SはC,54.93、H,4.53%。H.P.L.C.保持時間=5.37分。10分間の直線勾配。10B/90Dから90B/10D(B=90% CH3CN/10% H2O)、(D=0.1N NH4OAc(pH=4))。
【0150】
(e) 3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸
【0151】
【化22】

【0152】
3-イソプロポキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(200.0mg、0.75mmol)を酢酸(5.0mL)および濃硝酸(1.0mL)に加え、反応混合物を氷浴中0〜5℃で66分間攪拌した。黄色溶液を水(75.0mL)に注ぎ、黄色沈殿物をろ過により収集し、水で十分に洗浄し、乾燥して黄色粉末を得、これを(ジクロロメタン/ヘキサン)から再結晶して所望の3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(129.0mg、55.0%)を黄色結晶として得た。融点=197〜200℃、M.S.m/z 312(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ1.32(6H,d,CH(CH3)2,J=6.09Hz)、3.99(3H,s,CH3)、5.02(1H,m,CH(CH3)2,J=6.12Hz)、7.32(1H,d,ArH,J=9.0Hz)、7.81(1H,d,ArH,J=8.97Hz)。実測値C,50.13、H,4.17、N,4.42%、C13H13NO6SはC,50.16、H,4.21、N,4.5%。H.P.L.C.保持時間=6.39分。10B/90Dから90B/10D(B=90% CH3CN/10% H2O)、(D=0.1N NH4OAc(pH=4))。
【0153】
(f) 3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB-092)
【0154】
【化23】

【0155】
3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(100.0mg、0.32mmol)を無水THF(2.0mL)に溶解し、CDI(62.0mg、0.38mmol)を加え、反応混合物を加熱し90分間還流した。反応混合物を冷却し、5-アミノテトラゾール(30.0mg、0.35mmol)を加え、反応混合物を加熱してさらに4時間還流した。反応混合物を冷却し、生成した黄色沈殿物をろ過により収集し、水で十分に洗浄し、乾燥して所望の3-イソプロポキシ-4-ニトロ-5-メトキシ-N-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド(VIB-092) (50.0mg、41.0%)を黄色粉末として得た。融点=236〜238℃、M.S.m/z 378(M+1)+1H NMR(DMSO-d6)δ1.15(6H,d,CH(CH3)2,J=6.06Hz)、3.97(3H,s,OCH3)、4.5(1H,m,CH(CH3)2,J=6.03Hz)、7.64(1H,d,ArH,J=9.12Hz)、8.25(1H,d,ArH,J=9.09Hz)。実測値C 55.62、H 5.09、N,4.94%、C13H15NO4SはC,55.5、H,5.37、N,4.98%。実測値(M+1)+。=282.08002 C13H15NO4Sは(M+1)+=282.08000。
【0156】
[3-(2-ヒドロキシフェニル)ブテン-2-カルボン酸(VIB297)の調製]
【0157】
(a) 5-(-メチル-3-ヒドロキシベンジリジン)ロダニン
【0158】
【化24】

【0159】
ロダニン(2.0g、15.0mmol)をベンゼン(13.0mL)中の酢酸アンモニウム(120.0mg)および氷酢酸(360.0mL)の攪拌溶液に加えた。反応混合物を攪拌し5分間煮沸した。次いで、3-ヒドロキシアセトフェノン(2.0g、145.7mmol)を反応混合物に加え、フラスコをDean Starkトラップに接続した。次いで反応混合物を加熱して一夜還流し、室温に冷却した。その後、黄色沈殿が生成した。沈殿物をろ過により収集し、水で洗浄し、(メタノール/水)から再結晶により精製して、所望の生成物(2.17g、59.0%)を黄色粉末として得た。融点=201〜202℃、M.S.m/s 252(M+1)+1H NMR(DMSO)δ2.51(6H,d,CH(CH3)2,J=6.18Hz)、3.40(3H,s,OCH3)、3.88(3H,s,SO2CH3)、4.94(1H,五重線,CH(CH3)2,J=6.18Hz)、7.12〜7.16(2H,m,2×ArH)、7.66(1H,d,ArH,J=5.61Hz)、9.98(1H,s,NH)。
【0160】
(b) 3-(2-ヒドロキシフェニル)ブテン-2-カルボン酸(VIB-297)
【0161】
【化25】

【0162】
5-(-メチル-3-ヒドロキシベンジリジン)ロダニン(300.0mg、1.2mmol)をメタノール(20.0mL)中の水酸化カリウム(340.0mg、6.0mmol)の攪拌溶液に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷酢酸で徐々に酸性化した。黄色沈殿物をろ過により収集し、プロパノールから再結晶して精製して所望の生成物(VIB 297) (241.0mg、97.9%)を黄色結晶として得た。M.S.m/s 211(M+1)+1H NMR(DMSO)δ2.51(6H,d,CH(CH3)2,J=6.18Hz)、3.4(3H,s,OCH3)、3.88(3H,s,SO2CH3)、4.94(1H,五重線,CH(CH3)2,J=6.18Hz)、7.12〜7.16(2H,m,2×ArH)、7.66(1H,d,ArH,J=5.61Hz)、9.98(1H,s,NH)。
【0163】
[3-シクロヘキシルオキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(VIB-276)の調製]
【0164】
【化26】

【0165】
シクロヘキシル3-シクロヘキシルオキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(3.0g、7.72mmol)をメタノール(60.0mL)および水(15.0mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(8.0g、0.2mol)を加え、反応混合物を加熱して17.0時間還流した。無色綿毛状固体が沈殿した。反応混合物を冷却し、沈殿物をろ過により収集し、次いで1N塩酸水溶液(50.0mL)を加えて攪拌し、得られた固体をろ過により収集し、メタノール/水から再結晶により精製して、所望の3-シクロヘキシルオキシ-5-メトキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(2.3g、97.2%)を小白色結晶として得た。融点=176〜177℃、M.S.m/z 307(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ1.26〜1.40(6H,m,3×CH)、1.61〜1.73(3H,m,3×CH)、1.84〜1.88(2H,m,2×CH)、2.11〜2.15(2H,m,2×CH)、3.91(3H,s,OCH3)、4.56(1H,m,CH(CH3)2,J=4.08Hz)、7.16(1H,dd,ArH,J=2.49,8.85Hz)、7.26(1H,m,ArH)、7.65(1H,d,ArH,J=5.01Hz)。実測値C 62.62、H 5.98%。C16H18O4SはC 62.72、H 5.92%。H.P.L.C.保持時間=6.56分。20分間(10% B/90% D)から(90% B/10% D)(B=90% CH3CN 10% H2O)(D=0.1N NH4OAc(pH=4))。
【0166】
[3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-S-オキソ-2-カルボン酸(VIB-044)の調製]
【0167】
【化27】

【0168】
30%過酸化水素水(9.2mL、81.0mmol)を酢酸(19.3mL)に溶解した3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(500.0mg、1.94mmol)に加え、反応混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、水相をジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン相を食塩水、水および飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。次いで、ジクロロメタン相を乾燥し、ろ過し、減圧下で留去して、灰色がかった白色固体を得、これをカラムクロマトグラフィーにより(酢酸エチル/ヘキサン/酢酸)(40/40/10)で溶出させて精製して、所望の3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-S-オキソ-2-カルボン酸を得た。
【0169】
[3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(V.I.B-026)の調製]
【0170】
(a) メチル3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0171】
【化28】

【0172】
4-ニトロケイ皮酸(10.0g、52.0mmol)を無水DMF(4.0mL)に溶解し、クロロベンゼン(70.0mL)および無水ピリジン(410.0mL)を加えた。この反応混合物に塩化チオニル(19.0mL、260.0mmol)を室温で30分にわたり1滴ずつ加えた。反応混合物を加熱して24時間還流した。約3時間後に沈殿が生成し、反応混合物が徐々に褐色になった。反応混合物を室温に、次いで、氷中で0℃に冷却した。沈殿物をろ過により収集し、ジエチルエーテルで十分に洗浄し、乾燥して、所望の3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリド(6.0g、44.0%)を得た。3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボニルクロリド(6.0g、22.0mmol)を無水THF(180.0mL)に懸濁し、メタノール(120.0mL)を1時間にわたって1滴ずつ加え、緑色をおびた懸濁液を6時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、残留物を迅速シリカろ過に供し、ジクロロメタンで溶出した。黄色の溶出液を減圧下で留去し、黄色残留物を酢酸エチルから再結晶して精製し、所望のメチル3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(5.2g、37.0%)を暗黄色/緑色柱状結晶として得た。融点=216〜217℃、M.S.m/z 271(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ4.0(3H,s,OCH3)、8.12(1H,d,ArH,J=8.94Hz)、8.35(1H,dd,ArH,J=1.92,8.91Hz)、8.78(1H,d,ArH,J=1.89Hz)。実測値C,44.18、H,2.19、N,5.19%、C10H6ClNO4SはC,44.28、H,2.21、N,5.17%。
【0173】
(b) 3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(V.I.B-026)
【0174】
【化29】

【0175】
メチル3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(46.2mg、0.17mmol)をエタノール(2.0mL)に溶解し、2N NaOH水溶液(0.5mL)を加えた。反応混合物を加熱して1.0時間還流し、次いで、室温に冷却し、室温で48時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去して、白色残留物を得、これを水に溶解し、酸性化し、酢酸エチルで抽出し、乾燥し、減圧下で溶媒留去して、所望の3-クロロ-6-ニトロ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(30.0mg、68.7%)を白色粉末として得た。M.S.m/z 255.71(M-1)+1H NMR(300.13,d6-DMSO)δ8.14(1H,m,ArH)、8.35(1H,m,ArH)、9.20(1H,m,ArH)。
【0176】
[3-[(3-カルボキシフェニル)スルフィニル]ベンゼンカルボン酸(V.I.B-032)の調製]
【0177】
(a) 3-[(カルボキシフェニル)スルファニル]ベンゼンカルボン酸(V.I.B-006)
【0178】
【化30】

【0179】
無水DMF(100.0mL)に溶解した3-ヨード安息香酸(24.8g、100.0mmol)の溶液に炭酸カリウム(6.9g、50.0mmol)を加えた。反応混合物を100℃に5分間加熱し、硫化ナトリウム(4.3g、55.0mmol)およびヨウ化銅(1.9g、10.0mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下で加熱して12時間還流した。次いで、水(500.0mL)を加え、反応混合物を活性炭とともに沸騰するまで加熱した。炭素を熱いうちに過剰の6N HCl(50.0mL)中にろ別した。室温への冷却時に沈殿が生成したので、ろ過により収集し、水で洗浄して、所望の3-[(カルボキシフェニル)スルファニル]ベンゼンカルボン酸(GM71/7) (5.36g、19.5%)を灰色がかった白色粉末として得た。M.S.m/z 272.73(M-1)+1H NMR(300.13,d6-DMSO)7.32〜7.63(4H,m,4×ArH)、7.84〜7.99(4H,m,4×ArH)。
【0180】
(b) 3-[(3-カルボキシフェニル)スルフィニル]ベンゼンカルボン酸(V.I.B-032)
【0181】
【化31】

【0182】
水性ピリジン((1/1)5.84mL)中の3-[(カルボキシフェニル)スルファニル]ベンゼンカルボン酸(GM71/7、VIB-006)(1.0g、3.65mmol)の攪拌氷冷溶液に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.43g、3.8mmol)を0〜10℃の温度を維持するように少しずつ徐々に加えた。添加が完了したとき、反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、未反応のPTABを40%NaHSO3(3.65mL)で分解した。次いで氷水(14.6mL)を加え、反応混合物を2N H2SO4で酸性化した。固体が沈殿し、所望の3-[(3-カルボキシフェニル)スルフィニル]ベンゼンカルボン酸(GM71/21、VIB-032) (833.0mg、78.7%)が白色粉末として得られた。M.S.m/z 288.70(M-1)+1H NMR(300.13,d6-DMSO)7.67(2H,t,2×ArH,J=7.8Hz)、7.99(4H,m,4×ArH)、8.23(2H,m,2×ArH)。1H NMR(300.13,d6-DMSO)38.8、132.2、133.1、133.4、139.5。実測値C,53.97、H,3.22%、C14H10O5S .1.0 H2OはC,54.49、H,3.24%。
【0183】
(参考文献:Rabai J.、Kapovits I.、Tanacs BおよびTamas J.、Synthesis、1990、847〜849頁)
【0184】
[3-(2-オキソフェニルエチルスルファニル)安息香酸(VIB-294)の調製]
【0185】
【化32】

【0186】
エタノール中ブロモアセトフェノン(250mg、1.16mmole)および無水K2CO3(694mg、5.02mmole)に193.6mg(1.25mmole)の3-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。塩基性水溶液を酢酸エチルで抽出して、未反応ブロモアセトフェノンを除去した。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、乾燥し、溶媒留去し、残留物をクロロホルム:メタノール95:5を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。画分の蒸発により黄色粉末を得た(380mg)。M.S.m/s 271(M-1)+1H NMR(DMSO)δ4.75(2H,s,-CH2-)、7.39〜7.7(4H,m,4×ArH)、7.75(1H,d,ArH,J=5.61Hz)、7.86(1H,s,ArH)、8.02(3H,d,ArH)。
【0187】
[3-[2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチルスルファニル]安息香酸(VIB 216)の調製]
【0188】
【化33】

【0189】
3-アセチルベンゾニトリル(2.5g、0.017mole)を酢酸(50ml)に溶解し、次いで、酢酸(12.5ml)中の液体臭素(3gm、0.0187mole)を2時間にわたり1滴ずつ加えた。反応混合物を一夜攪拌した。酢酸を留去して、淡黄褐色固体(3.63gm)を得た。これをさらに精製せずに次の段階に用いた。
【0190】
エタノール中のブロモアセチルベンゾニトリル(300mg、1.34mmole)および無水K2CO3(740mg、5.35mmole)、210mg(1.36mmole)の3-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。塩基性水溶液を酢酸エチルで抽出して、未反応ブロモアセチルベンゾニトリルを除去した。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、乾燥し、溶媒留去して、残留物をクロロホルム、続いてクロロホルム:メタノール(99:1)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。高Rf黄色画分の蒸発により黄色固体(130mg)を得た。M.S.m/s 296(M-1)+1H NMR(DMSO)δ4.31(2H,s,-CH2-)、7.25〜8.25(8H,m,8×ArH)。
【0191】
2-[3-オキソ-3-(1H-ピロール-2-イル)プロペニル]安息香酸(VIB 238)
【0192】
【化34】

【0193】
1gm(6.7mmole)2-カルボキシベンズアルデヒドおよび2-アセチルインドール(726.8mg、6.7mmole)を無水エタノール(16ml)に溶解し、NaOH(25%、16ml)を加え、一夜攪拌した。反応混合物を水に加え、酢酸エチルで抽出して未反応の2-アセチルインドールを除去した。水溶液を酸性化し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を水で洗浄し、乾燥し、溶媒留去してカルコン(1.28gm)を得た。
【0194】
[3-(3-シアノプロピルスルファニル)安息香酸(VIB 239)の調製]
【0195】
【化35】

【0196】
エタノール(10ml)中の3-メルカプト安息香酸(250mg、1.62mmole)の溶液に無水炭酸カリウム(896mg、6.48mmole)を、続いてブロモブチロニトリル(239.97mg、1.62mmole)を加えた。反応混合物を一夜還流した。エタノールを留去し、水を加えた。塩基性溶液を酢酸エチルで抽出した。水層を酸性化し、得られた沈殿物をろ過し、乾燥して196mgの生成物を得た。M.S.m/s 220(M-1)+1H NMR(DMSO)δ1.79(2H,m,-CH2-)、2.37(2H,t,-CH2-)、3.02(2H,t,CH2)、7.56(1H,d,1×ArH)、7.74(1H,d,1×ArH)、7.83(1H,bs,1H,1×ArH)。
【0197】
[3-[2-オキソ-2-(3-カルボキシフェニル)エチルスルファニル]安息香酸(VIB 217)の調製]
【0198】
【化36】

【0199】
上記ニトリル(VIB 216)(100mg、0.316mmole)を酢酸(3ml)、濃硫酸(1ml)および水(1ml)に溶解し、混合物を一夜還流した。一夜で沈殿が生成した。混合物を水に加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出液を水で洗浄し、乾燥し、溶媒留去して生成物(50mg)を得た。M.S.m/s 314(M-2)+1H NMR(DMSO)δ4.57(2H,s,-CH2-)、7.3〜8.6(8H,m,8×ArH)。
【0200】
[1-(3-カルボキシフェニル)-2-[2-(3-カルボキシフェニル)-2-オキソエチルスルファニル]エタノン(VIB 292)の調製]
【0201】
【化37】

【0202】
DMF(5ml)中の硫化ナトリウム(100mg、1.28mmole)の懸濁液に、DMF(2ml)中の3-ブロモアセチルベンゾニトリル(500mg、2.23mmole)を加え、混合物を一夜攪拌した。DMFを留去し、残留物に水を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出し、抽出物を水で洗浄し、乾燥し、溶媒留去して褐色油状物を得た。これを精製せずに次の段階に用いた。
【0203】
上記ジニトリル(440mg)を酢酸(6ml)、濃硫酸(2ml)および水(2ml)に溶解し、一夜還流した。沈殿が生成した。混合物を水に加え、褐色固体をろ過し、乾燥して生成物(200mg)を得た。M.S.m/s 356(M-2)+1H NMR(DMSO)δ4.24(4H,s,2×-CH2-)、7.2〜8.6(8H,m,8×ArH)。
【0204】
[4-[(2-オキソ-2-フェニルエチル)チオ]安息香酸(VIB-384)の調製]
【0205】
【化38】

【0206】
エタノール(20ml)中でブロモアセトフェノン(322.8mg、1.62mmole)および無水K2CO3(896mg、6.48mmole)に250mg(1.62mmole)の4-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。塩基性水溶液を酢酸エチルで抽出して、未反応のブロモアセトフェノンを除去した。水層を酸性化して沈殿物を得た。これをろ過し、乾燥した(356mg)。m/z 271(M-1)+ 1H NMR(DMSO)δ4.75(2H,s,-CH2-)、7.35〜7.72(5H,m,5×ArH)、7.82(2H,d,2×ArH)、8.05(2H,d,2×ArH)。
【0207】
[4-{[2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル]チオ}安息香酸(VIB 385)の調製]
【0208】
【化39】

【0209】
エタノール(20ml)中で3-シアノブロモアセトフェノン(363.3mg、1.62mmole)および無水K2CO3(896mg、6.48mmole)に250mg(1.62mmole)の4-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。塩基性水溶液を酢酸エチルで抽出して、未反応のブロモアセトフェノンを除去した。水層を酸性化して沈殿物を得た。これをろ過し、乾燥した(377mg)。この固体をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3:CH3OH 99:1〜95:5)によりさらに精製した。均一な画分をプールし、溶媒留去して生成物(110mg)を得た。m/z 296(M-1)+ 1HNMR(DMSO)δ4.9(2H,s,-CH2-)、7.44(2H,d,2×ArH)、7.63(1H,d,ArH)、7.76(1H,t,ArH)、7.83(2H,d,2×ArH)、7.93(1H,d,ArH)、8.13(1H,d,ArH)、8.29(1H,d,ArH)、8.54(1H,d,ArH)。
【0210】
[2-{[2-(4-カルボキシフェニル)-2-オキソエチル]チオ}安息香酸(VIB 410)の調製]
【0211】
【化40】

【0212】
エタノール(20ml)中のブロモアセトフェノン(394.09mg、1.62mmole)および無水K2CO3(896mg、6.48mmole)に250mg(1.62mmol)の2-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。水層を酸性化して沈殿物を得た。これをろ過し、乾燥した(487mg)。m/z 315(M-1)+ 1HNMR(DMSO)δ4.75(s,2H,-CH2-)、7.22(1H,t,ArH)、7.47(2H,t,2×ArH)、7.87(1H,d,ArH)、8.06(2H,d,2×ArH)、8.15(2H,d,2×ArH)。
【0213】
[2-{[2-(3-シアノフェニル)-2-オキソエチル]チオ}安息香酸(VIB 411)の調製]
【0214】
【化41】

【0215】
エタノール(20ml)中の3-シアノブロモアセトフェノン(250mg、1.11mmole)および無水K2CO3(617mg、4.46mmole)に172mg(1.11mmole)の2-メルカプト安息香酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。塩基性水溶液を酢酸エチルで抽出して、未反応のブロモアセトフェノンを除去した。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、洗浄し、乾燥し、溶媒留去して固体(290mg)を得た。m/z 296(M-1)+ 1HNMR(DMSO)δ4.75(2H,s,-CH2-)、7.22(1H,t,ArH)、7.49(2H,t,2×ArH)、7.74(1H,t,ArH)、7.88(1H,d,ArH)、8.12(1H,d,ArH)、8.3(1H,d,ArH)、8.54(1H,s,ArH)。
【0216】
[2-{[2-(3-カルボキシフェニル)-2-オキソエチル]チオ}安息香酸(VIB 412)の調製]
【0217】
【化42】

【0218】
エタノール(20ml)中の3-カルボキシブロモアセトフェノン(250mg、1.03mmole)および無水K2CO3(568.6mg、4.11mmole)に158.6mg(1.03mmole)の2-メルカプトコハク酸を加え、混合物を一夜還流した。溶媒を留去し、固体残留物に水を加えた。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出し、洗浄し、乾燥し、溶媒留去して固体(250mg)を得た。m/z 315(M-1)+ 1HNMR(DMSO)δ4.75(2H,s,-CH2-)、7.22(2H,t,2×ArH)、7.48(2H,t,2×ArH)、7.67,1H,t,ArH)、7.87(1H,d,ArH)、8.2(1H,d,ArH)、8.3(1H,d,ArH)、8.53(1H,s,ArH)。
【0219】
[4-[(2E)-3-フェニルプロパ-2-エノイル]安息香酸(VIB 237)の調製]
【0220】
【化43】

【0221】
無水エタノール(4ml)中の4-カルボキシアセトフェノン(250mg、1.52mmole)およびベンズアルデヒド(161.6mg、1.52mmole)の混合物に、NaOH(25%w/v、4ml)を加え、室温で2日間攪拌した。水を加え、混合物をpH4に酸性化した。沈殿物をろ過し、乾燥し、メタノールで再結晶して生成物(98mg)を得た。m/z 251(M-1)+ 1HNMR(DMSO)δ7.4〜7.92(7H,m,ArH &=CH)、8.09(2H,d,2×ArH)、8.19(2H,d,2×ArH)。
【0222】
[3-(3-ヒドロキシフェニル)-2-メルカプトブタ-2-エノイルアミノ]酢酸(VIB-383)
【0223】
【化44】

【0224】
5-(-メチル-3-ヒドロキシベンジリジン)ロダニン酢酸(100.0mg、0.33mmol)をメタノール(10.0mL)中の水酸化カリウム(90.7mg、1.62mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を飽和塩化ナトリウム(100.0mL)に注ぎ、得られた水溶液を氷酢酸で酸性化した。黄色沈殿物が生成した。これをろ過により収集し、乾燥して所望の3-(2-ヒドロキシフェニル)ブテン-2-カルボン酸の粗サンプルを黄色固体として得た。これをn-プロパノールからの再結晶により精製して所望の3-(2-ヒドロキシフェニル)ブテン-2-カルボン酸(253.6mg、100.0%)を黄色粉末として得た。M.S.m/z 266(M-1)+1H NMR(300.13MHz,CD3OD)δ1.12(3H,s,CH3)、2.2(2H,s,CH2)、5.78(3H,m,3×ArH)。
【0225】
5-(-メチル-3-ヒドロキシベンジリジン)ロダニン-3-酢酸(VIB-374)
【0226】
【化45】

【0227】
ロダニン-3-酢酸(2.81g、14.7mmol)を無水ベンゼン(30.0mL)中の酢酸アンモニウム(120.0mg)および氷酢酸(360.0L)の攪拌溶液に加えた。反応混合物を攪拌し5分間沸騰させた。次いで3-ヒドロキシアセトフェノン(2.0g、14.7mmol)を反応混合物に加え、フラスコをDean Starkトラップに接続した。反応混合物を加熱して一夜還流し、室温に冷却し、その後、溶媒を減圧下で留去して橙色/赤色ゴム状物を得た。これをカラムクロマトグラフィーにより(クロロホルム/メタノール/酢酸)(95/5/10滴)で溶出させて精製して、所望の5-(-メチル-3-ヒドロキシベンジリジン)ロダニン-3-酢酸を粘性のある赤色油状物として得た。M.S.m/z 307(M-2)+1H NMR(DMSO-d6)δ1.9(3H,s,CH3)、2.7(2H,s,CH2)、6.85(2H,m,2×ArH)、7.28(1H,m,ArH)、8.28(1H,s,OH)。
【0228】
4-フェネチルオキシケイ皮酸(VIB-299)
【0229】
【化46】

【0230】
1N水酸化ナトリウム水溶液(6.0mL、12.0mmol)をエタノール(10.0mL)中の4-ヒドロキシケイ皮酸(536.0mg、3.2mmol)の溶液に加えた。次いで2-ブロモエチルベンゼン(575.0mg、3.1mmol)を反応混合物に加え、得られた反応混合物を室温で一夜攪拌した。溶媒を減圧下で留去して白色残留物を得た。これを水に溶解した。次いで、水相を濃塩酸で酸性化して白色沈殿を生成させ、ろ過により分離し、水で洗浄し、乾燥して所望の4-フェネチルオキシケイ皮酸(544.0mg、66.8%)を白色粉末として得た。1H NMR(300MHz,DMSO)δ3.82(3H,s,OCH3)、4.78(2H,s,CH2)、6.92(2H,d,2×ArH,J=7.5Hz)、7.16(2H,d,2×ArH,J=7.5Hz)、7.52〜7.60(1H,m,ArH)、7.62〜7.72(1H,m,ArH)、7.98(1H,m,ArH)。
【0231】
[3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(VIB 333)の調製]
【0232】
(a) メチル3-ヒドロキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0233】
【化47】

【0234】
カリウムtert-ブトキシド(3.7g、32.9mmol)を無水THF(40.0mL)に溶解したチオサリチル酸メチル(5.0g、29.7mmol)の溶液に加えた。得られた黄色懸濁液を室温で30分間攪拌した。次いで、クロロ酢酸メチル(2.86mL、32.6mmol)を反応混合物に1滴ずつ加え、反応混合物を室温で15分間攪拌し、次いで、加熱して35分間還流した。次いで反応混合物を約40℃に冷却し、別のバッチのカリウムtert-ブトキシド(3.7g、32.9mmol)を加え、反応混合物を加熱して20時間還流した。2.5N水酸化ナトリウム水溶液(30.0mL)を加え、反応混合物を加熱して一夜還流した。反応混合物を冷却し、メタノールを減圧下で留去して白色残留物を得た。これを水に溶解し、その水溶液を濃塩酸で酸性化した。ピンク色固体が沈殿したので、ろ過により収集した。木炭を添加してメタノールから再結晶してピンク色の生成物を精製し、所望の3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(912.6mg、64.0%)を白色結晶として得た。M.S.m/z 382(M-1)+1H NMR(CDCl3)δ3.62(3H,s,OCH3)、5.19(2H,s,OCH2)、6.49(1H,m,ArH,6.7(1H,m,ArH)、6.78〜6.82(2H,m,2×ArH)、6.88〜7.15(3H,m,3×ArH)、7.62(1H,m,ArH)、10.05(1H,s,NH)。
【0235】
(b) メチル3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート
【0236】
【化48】

【0237】
炭酸カリウム(4.1g、29.6mmol)を固体として無水DMF(15.0mL)中の3-ヒドロキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(1.4g、6.7mmol)および臭化ベンジル(1.2mL、10.1mmol)の溶液に室温で加えた。反応混合物を一夜60℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ろ過し、DMFを減圧下で留去して黄色固体を得た。これをカラムクロマトグラフィーにより(酢酸エチル/ヘキサン)(1/19)で溶出して精製し白色粉末を得、これをヘキサンから再結晶してさらに精製して所望のメチル3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(2.84g、66.0%)を綿毛状の白色針状物として得た。M.S.m/z 382(M+1)+1H NMR(DMSO-d6)δ3.8(2H,s,OCH2)、3.81(3H,s,OCH3)、7.01〜7.04(2H,m,2×ArH)、7.05〜7.40(2H,m,2×ArH)、7.57〜7.67(4H,m,4×ArH)、8.81(1H,s,NH)。
【0238】
(c) 3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(VIB 333)
【0239】
【化49】

【0240】
メチル3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキシレート(1.5g、5.0mmol)をメタノール(50.0mL)に溶解し、2.5N水酸化ナトリウム水溶液(30.0mL)を加え、反応混合物を加熱して一夜還流した。反応混合物を冷却し、メタノールを減圧下で留去して白色残留物を得た。これを水に溶解し、水溶液を濃塩酸で酸性化した。ピンク色固体が沈殿したので、ろ過により収集した。木炭を添加してメタノールから再結晶してピンク色の生成物を精製し、所望の3-ベンジルオキシ-1-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(912.6mg、64.0%)を白色結晶として得た。M.S.m/z 382(M+1)+1H NMR(CDCl3)δ3.62(3H,s,OCH3)、5.19(2H,s,OCH2)、6.49(1H,m,ArH、6.7(1H,m,ArH)、6.78〜6.82(2H,m,2×ArH)、6.88〜7.15(3H,m,3×ArH)、7.62(1H,m,ArH)、10.05(1H,s,NH)。
【0241】
本明細書を通して、「含む」という語、または「含む(三人称単数現在形)」もしくは「含むこと(動名詞)」などの語尾変化した語は、記載した要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を含むことを意味するが、他の要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を除外することを意味しないと理解されよう。
【0242】
本明細書において言及したすべての刊行物は、本明細書に援用する。本明細書に含めた文書、行為、材料、装置、物品等のあらゆる議論は、単に本発明についての背景を与える目的のためのものである。これらのもののいずれか、またはすべては、本出願の各請求事項の優先日の前にオーストラリアまたは他所に存在していたので、従来技術の基礎の一部をなす、あるいは本発明に関連する分野における一般的な知識であったいうことは承認されていると解釈すべきでない。
【0243】
おおまかに述べた本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示したように本発明に対して多くの変形および/または修正を行うことができることは、当業者には理解されよう。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で例示的なものであって、限定的なものでないとみなされる。
【0244】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【表1F】

【表1G】

【0245】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】図1(a)は、FACSを用いた用量反応の関数としてのIgG誘導性血小板活性化の阻害を示す、用量レベルに対する阻害率(p-セレクチン損失)のグラフである。図1(b)は、化合物[153]による血小板凝集の阻害を時間(分単位)の関数として示すグラフである。
【図2】図2(a)は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)と比較した、4種の投与計画を用いた化合物[153]によるFcγRIIaトランスジェニックマウスの治療における時間(日単位)の関数としての関節炎指数のグラフである。図2(b)は、PBSと比較した、図2(a)の投与計画4×7.5mgについての誤差バーを付したグラフである。
【図3】図2(c)は、PBSと比較した、図2(a)の投与計画4×7.5mgについての誤差バーを付したグラフである。
【図4】図2(d)は、PBSと比較した、図2(a)の投与計画4×7.5mgについての誤差バーを付したグラフである。図2(e)は、PBSと比較した、図2(a)の投与計画4×7.5mgについての誤差バーを付したグラフである。
【図5】図3は、PBSと比較した化合物[153]による対照マウス(非トランスジェニックマウス)の治療における時間(日単位)に対する関節炎指数のグラフである。
【図6】図4は、本発明のいくつかの化合物に関する化合物濃度(mM)に対するIgG誘導性血小板活性化の阻害率のグラフである。
【図7】図5は、本発明の別の化合物に関する化合物濃度(mM)に対する血小板活性化の阻害率のグラフである。図6は、本発明の化合物VIB238、239および197に関する化合物濃度(mM)に対する血小板活性化の阻害率のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iを有する化合物。
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され;
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく;
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され;
R6はH、C1〜4アルキルから選択され;
R7はH、C1〜4アルキル、SH、CNから選択され;
R8はOR9、NR9R10から選択され;
R9、R10はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2H、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR11から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく;
R11はH、C1〜4アルキルから選択される。]
【請求項2】
R1、R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立にH、OH、OC1〜4アルキル、OC1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキル、ハロゲンから選択され;
R6がH、C1〜4アルキルから選択され;
R7がH、C1〜4アルキル、SH、CNから選択され;
R8がOH、NR9R10から選択され;
R9、R10がそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2Hから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記一般式IIを有する化合物。
【化2】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され;
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく;
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され;
R11、R12はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、ハロゲン、OC1〜4アルキルから選択される。]
【請求項4】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10がそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、OC1〜4アルキル、CO2H、CNから選択され;
R11、R12がそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
下記一般式IIIを有する化合物。
【化3】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され;
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく;
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択され;
R7はH、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜4アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜4アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜4アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜4アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され、R18、R19は上で定義されたとおりである。]
【請求項6】
R1、R2、R3、R4、R5およびR6がそれぞれ独立にH、ハロゲン、OH、OC1〜4アルキル、C1〜4アルキルから選択され;
R7がH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルCO2Hから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式V
【化4】

の化合物。
【請求項8】
(a)請求項1から7のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物と
(b)製薬上許容できる希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
治療を必要とする対象に請求項1から7のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物あるいは請求項8に記載の組成物を投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法。
【請求項10】
前記自己免疫疾患が慢性関節リウマチ、免疫性血小板減少性紫斑病、全身性紅斑性狼瘡およびクローン病からなる群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項11】
(a)FcγRIIa構造の溝に適合する構造特性を有する1つまたは複数の化合物を提供または設計する段階と、
(b)Fc受容体上の活性の調節について前記1つまたは複数の化合物をスクリーニングする段階とを含む、
Fc受容体活性を調節する化合物を得る方法。
【請求項12】
段階(a)が1つまたは複数の化合物を1つまたは複数の置換基で官能化することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物を、熱凝集ヒト免疫グロブリンGを免疫複合体として用いて血小板を活性化するFcγRIIa依存性血小板活性化アッセイおよび/または凝集アッセイによりスクリーニングする請求項11または12に記載の方法。
【請求項13】
請求項11から13のいずれか一項に記載の方法により得られるFc受容体活性を調節する化合物。
【請求項14】
治療を必要とする対象に、下記一般式IVを有する化合物を投与することを含む、Fc受容体活性に関係する自己免疫疾患を治療する方法。
【化5】

[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜6アルキル、CF3、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、OCF3、OR18、SR18、OC1〜6アルキル、OC2〜6アルキルNR18R19、Oアリール、Oヘテロアリール、Oシクロアルキル、Oシクロヘテロアルキル、OC1〜6アルキルアリール、OC1〜6アルキルヘテロアリール、OC1〜6アルキルシクロアルキル、OC1〜6シクロヘテロアルキル、CO2R18、C1〜6アルキルCO2R18、CONR18R19、C1〜6アルキルCONR18R19、NR18R19、C1〜6アルキルNR18R19、NR20C1〜6アルキルNR18R19、C1〜6アルキルNR20C1〜6アルキルNR18R19、NR18COR19、C1〜6アルキルNR18COR19、C1〜6アルキルNR20CONR18R19、NR20CONR18R19、C1〜6アルキルNR18SO2R19、NR18SO2R19から選択され;
R18、R19はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルシクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜4アルキルアリール、C1〜4アルキルヘテロアリールから選択されるか、あるいは結合して、O、S、NR21から選択される原子を任意に含む、任意に置換されている3〜8員環を形成していてもよく;
R20、R21はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキルから選択される。]
【請求項15】
R1、R2、R3、R4がそれぞれ独立にH、ハロゲン、NO2、OC1〜4アルキル、C1〜4アルキルから選択され;
R5がH、Cl、OC1〜4アルキル、OC1〜4アルキルアリール、OC3〜6シクロアルキルから選択され;
R6がCO2H、CONR7R8から選択され;
R7、R8がそれぞれ独立にH、5-テトラゾールから選択される、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−516133(P2006−516133A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562392(P2004−562392)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001734
【国際公開番号】WO2004/058747
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(504449181)アースロン・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】