説明

アントラニル酸誘導体およびHM74A受容体のアクチベーターとしてのその使用

式(I)


[式中、R1、R2およびZは明細書中に定義されるとおりである]
で示される治療上活性なアントラニル酸誘導体、該誘導体を調製する方法、該活性化合物を含む医薬処方、および治療、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患もしくは該受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用が開示される。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アントラニル酸誘導体である治療上活性な化合物、該誘導体の製法、該活性化合物を含む医薬処方、および治療、特にHM74A受容体の不十分な活性化(under-activation)が一因となる疾患、またはHM74A受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用に関する。
【0002】
異常脂質血症(dyslipidaemia)は、異常型リポ蛋白質プロフィールを有する個体について記述するのに使用される一般的な用語である。臨床上、異常脂質血症を患い、したがって心血管疾患の危険性がある患者の治療に使用される化合物の主要なクラスは、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸である。ニコチン酸(ナイアシン、ビタミンBの1種)は、過去40年以上もの間、様々な形態の異常脂質血症患者に臨床的に使用されてきた。ニコチン酸の作用の主要な様式は、ホルモン感受性トリグリセリドリパーゼ(HSL)の阻害を介し、それにより、血漿中の非エステル化脂肪酸(NEFA)を低下させ、次いで、肝臓の脂肪代謝を変えてLDLおよびVLDL(低密度リポ蛋白質および超低密度リポ蛋白質)の排出を低減させる。VLDLレベルの低減は、コレステロールエステル転移蛋白質(CETP)活性を低下させて、HDL(高密度リポ蛋白質)レベルの増加をもたらし、これが観察される心血管改善の原因であると考えられる。このように、ニコチン酸は、非常に望ましい形にリポ蛋白質プロフィールを変え;VLDLおよびLDLレベルを下げる一方、HDLレベルを上昇させる。ニコチン酸は、また、いくつかの試験において、疾患を緩和させる効果、粥状動脈硬化病変の進行を遅らせ退縮を進めること、および心血管事象発生数を低減させることも認められている。
【0003】
ニコチン酸治療で認められるHSL阻害には、細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)の低減が介在し、cAMPの低減は、G蛋白質が介在するアデニリルシクラーゼの阻害によって引き起こされる。最近、G蛋白質が結合した受容体HM74およびHM74Aがニコチン酸の受容体であると同定されている(PCT特許出願国際公開公報第02/84298号;Wise et. al. J Biol Chem. 2003 278(11)9869-9874)。ヒトHM74AのDNA配列は、Genbankで、受入番号AY148884で閲覧できる。他の二つの論文もこの知見を支持している(Tunaru et. al. Nature Medicine 2003(3)352-255およびSoga et. al. Biochem Biophys Res Commun. 2003 303(1)364-369)が、これらの論文では命名法が若干違っている。Tunaruの論文でヒトHM74としているのは、実際にはHM74Aであり、Sogaの論文のHM74bは、HM74Aである。HM74Aおよび/またはHM74発現のためにトランスフェクトされた細胞は、ニコチン酸への曝露後にGG蛋白質介在応答を発現する能力を獲得する。HM74Aの相同体(m−PUMA−G)を持たないマウスにおいては、ニコチン酸は血漿中のNEFAレベルを下げることができない。
【0004】
いくつかのアントラニル酸誘導体が従来技術において合成され、開示されている。例えば、米国特許第5,075,313号およびYU, Melvin J. et. al. J. Med. Chem. 1992, vol.35, 2534-2542はどちらも、CNSおよび胃腸疾患において有用な3−アリール−4(3H)キナゾリノンCCKアンタゴニストに関し、ある特定のアントラニル酸誘導体をその合成中間体として開示する。
【0005】
本発明者らは、今回、ニコチン酸受容体HM74Aの選択的アゴニストであり、したがって、該受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患の治療、予防および抑制に有益である、一群のアントラニル酸誘導体を提供する。
【0006】
発明の概要
本発明は、治療上活性なアントラニル酸誘導体およびこれら誘導体の治療における使用、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患の治療、特に、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患などの異常脂質血症(dislipidaemia)または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の疾患の治療における使用を提供する。したがって、該化合物は、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害、および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管の適応症の治療剤としても好ましい。該化合物は、下記にさらに記載するように、炎症性疾患または症状の治療にも有用でありうる。
【0007】
本明細書に記載する中間体、処方、方法およびプロセスにより本発明のさらなる態様が形成される。
【0008】
発明の詳細な記載
本発明の一の態様によると、発明者らは、式(I)
【化1】

[式中;
は、水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表し;
但し、RがH、Zが−(CH−、nが2または3である場合、Rはインドール−3−イル以外である]
で示される化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体を提供する。
【0009】
該化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患の治療、特に、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患などの異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の疾患の治療において有用である。したがって、該化合物は、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害、および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管の適応症の治療剤として好ましい。
【0010】
ある具体例において、R基は、水素、フッ素またはメチル(例えば、水素)である。
【0011】
ある具体例において、Zは、−(CH−、−(CHO−または−CH=CH−(CH−を表す。
【0012】
本発明の特定の具体例において、nは、2または3(例えば2)を表す。
本発明のある特定の化合物において、mは0または1を表す。
特定の具体例において、pは1を表す。
は、本発明のある具体例において、水素またはメチルを表す。
【0013】
は、本明細書に定義される場合、ビアリール、ヘテロ−ビアリール、縮合アリール−シクロアルキル、縮合ヘテロアリール−シクロアルキル、縮合アリール−複素環または縮合ヘテロアリール−複合環系を表しうる。Rがヘテロ原子を含むある具体例において、1〜3個のヘテロ原子が存在する。R環系は、環炭素原子またはヘテロ原子(存在する場合)のいずれかを介してZリンカー基に結合しうる。
【0014】
基が10員環系である本発明のある化合物において、これは、ナフチルであってもよく、または1または2個のヘテロ原子を有していてもよい。2個のヘテロ原子が存在する場合、特定の具体例は、その両方を縮合環系の同じ環に有するであろう。特定の具体例において、10員環系におけるヘテロ原子は、窒素原子である。ある具体例において、10員のR基は、
【化2】

からなる群から選択される。
【0015】
基が10員環系である場合、これは非置換であってもよい。Rが置換された10員環系である具体例において、該置換基は、C−Cアルキル(例えば、メチル)、−C(O)Me、=OおよびC−Cアルコキシ(例えば、メトキシ)から選択される。
【0016】
基が9員環系である場合、これは、S、OまたはNから選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてもよい縮合アリール−シクロアルキル、例えば、
【化3】

であってもよく、またはS、OまたはNから選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてもよい9員の縮合アリールもしくはヘテロアリール系であってもよい。R基がヘテロ原子を含有する9員環系である特定の具体例において、これらは、縮合環系の5員環に配置されうる。1以上のヘテロ原子が存在する特定の具体例において、例えば、ベンゾイミダゾール誘導体のように、そのどれもが同じであってもよいが、異成分からなるヘテロアリール系もまた包含される。ある具体例において、9員のR基は、
【化4】

[式中、Rは水素、メチル、COHまたはCOMeを表す]
からなる群から選択される。
【0017】
基が上記の環系を包含する9員環系である場合、これは非置換であってもよい。Rが置換9員環系である具体例において、1以上の置換基は、C−Cアルキル(例えば、メチル);−C(O)Me;=O;C−Cアルコキシ(例えば、メトキシ);COH;およびCOMeから選択される。
【0018】
ある具体例において、
リンカー基Zが−(CH−である場合、nは2または3、より特別には2であり;
Zが−CH=CH−(CH−である場合、mは0または1、より特別には0(この場合、Zは−CH=CH−である)であり;および
Zが−(CHO−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−または−(CHNRSO−である場合、pは1である。
【0019】
本発明は、特定の具体例のあらゆる組み合わせを包含し、本明細書中に上記される特定の置換基の全ての組み合わせを網羅すると理解されるべきである。
【0020】
本明細書およびそれに付随する特許請求の範囲を通して、用語の「含む」および「包含する」ならびに「含んでいる」、「含んだ」、「包含して」および「包含した」等の変形は包括的に解釈すべきである。すなわち、これらの用語は、文脈上許される限り、特に列挙されていない他の要素または整数が包含されることを意味するためのものである。
【0021】
本明細書で使用する際、用語の「ハロゲン」または「ハロ」はフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0022】
本明細書で使用する際、用語の「アルキル基」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、特定数の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素鎖を意味する。例えば、C−Cアルキル基は、最低1個最高3個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐した炭化水素鎖を意味する。本明細書で使用する際のアルキル基の例には、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n−プロピル基、i−プロピル基などが包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書で使用する際、用語の「アルコキシ基」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、アルキルエーテル残基を意味し、用語の「アルキル基」は上記定義の通りである。本明細書で使用する際のアルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基などが包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書で使用する際、用語の「ビアリール」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、2つの原子を共通で有する2つの芳香環を含有する基を意味する。本明細書で使用する際、縮合ビアリールの例は、限定するものではないが、ナフチルおよびインジルを包含する。該ビアリール基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書で使用する際、用語の「ヘテロ−ビアリール」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有するビアリール基を意味する。本明細書で使用する際、ヘテロ−ビアリールの例は、限定するものではないが、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、インドリジン、インドールおよびベンゾチオフェン基を包含する。該ヘテロ−ビアリール基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0026】
本明細書で使用する際、用語の「縮合アリール−シクロアルキル」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、2つの原子を共通で有する1つの芳香環と1つの脂環式環を含有する基を意味する。本明細書で使用する際、縮合アリール−シクロアルキルの例は、限定するものではないが、
【化5】

を包含する。該縮合アリール−シクロアルキル基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0027】
本明細書で使用する際、用語の「縮合ヘテロアリール−シクロアルキル」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、縮合アリール−シクロアルキル基であって、そのアリール環が1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有するものを意味する。該縮合ヘテロアリール−シクロアルキル基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0028】
本明細書で使用する際、用語の「縮合アリール−複素環」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、縮合アリール−シクロアルキル基であって、その脂環式環が1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有するものを意味する。本明細書で使用する際、縮合アリール−複素環の例は、限定するものではないが、ベンゾジオキソラン、インドリンを包含する。該縮合アリール−複素環基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0029】
本明細書で使用する際、用語の「縮合ヘテロアリール−複素環」(基としてあるいは基の一部として使用する際)は、1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有する縮合アリール−シクロアルキル基であって、該ヘテロ原子が2つの環で共有する原子として存在するか、または各環に存在している基を意味する。該縮合ヘテロアリール−複素環基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0030】
本明細書で使用する際、用語の「生理学上機能的な誘導体」は、本発明の化合物のすべての医薬上許容される誘導体、例えば本発明の化合物のエステルまたはアミドを意味し、ヒト等の哺乳類に投与した際、式(I)の化合物または活性代謝物またはその残渣を(直接的または間接的に)提供できる式(I)の化合物の医薬上許容される塩、エステル、またはかかるエステルの塩がすべて含まれる。当業者ならば、式(I)の化合物の官能基のいずれかを修飾して生理学上機能的な誘導体を提供できること、さらに式(I)の化合物を1箇所以上で修飾できることがわかるはずである。
【0031】
本明細書で使用する際、患者に投与するための医薬処方に含まれうる材料(有効成分または賦形剤)に関して使用される用語の「医薬上許容される」は、該材料が該医薬処方内の他のすべての材料に適合し、該医薬処方のレシピエントにとって有害でないという意味で許容されることを意味する。
【0032】
本明細書で使用する際、用語の「溶媒和物」は、溶質(本発明においては、式(I)の化合物、その塩、または生理学上機能的な誘導体)と溶媒により形成された様々な化学量比の複合体を意味する。本発明の目的のためのかかる溶媒は、溶質の生物学的活性と干渉してはならない。好適な溶媒の例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれる。使用する溶媒は医薬上許容される溶媒であることが好ましい。好適な医薬上許容される溶媒の例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。使用する溶媒が水であることが最も好ましく、この場合、溶媒和物は対象溶質の水和物と呼ばれる。
【0033】
製薬学的用途においては、上記の「塩または溶媒和物」が医薬上許容される塩または溶媒和物であることは明らかである。しかし、他の塩または溶媒和物も、例えば、式(I)の化合物の調製、または式(I)の化合物の医薬上許容される塩または溶媒和物の調製において有用である。
【0034】
医薬上許容される塩には、Berge, BighleyおよびMonkhouse, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載の塩が含まれる。好適な医薬上許容される塩には、無機酸または有機酸、好ましくは無機酸の付加により形成される酸付加塩が含まれる。好適な酸付加塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が含まれる。医薬上許容される塩の他の代表的な例には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸、および硝酸から形成される塩が含まれる。好適な医薬上許容される塩には、水酸化アルカリ金属等のアルカリ金属塩基の付加から形成されるアルカリ金属塩も含まれる。好適なアルカリ金属塩の例はナトリウム塩である。
【0035】
本発明の化合物は、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患などの異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の多くの疾患の症状の治療および改善において治療的有益性を有する可能性がある。したがって、該化合物は、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害、および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管の適応症の治療剤としても好ましい。一つまたは複数のこれらの疾患の治療における式(I)の化合物の使用は、本発明のさらなる態様である。
【0036】
さらに、HM74およびHM74A受容体が炎症に関与していることも認められている。炎症は、外傷に対する一連の血管性、細胞性、および神経性の応答を表す。炎症は、単球、好中球、および顆粒球等の炎症性細胞の組織への移動であると特徴づけることができる。これは、通常、内皮性障壁機能の低下および組織内浮腫と関連する。炎症は、疾患に関して、典型的には慢性炎症と呼ばれ、一生続くこともある。このような慢性炎症は、病徴によって慢性炎症であることがわかる。したがって、抗炎症療法の目的は、この慢性炎症を低減させ、治癒および組織修復への生理学的プロセスを進行させることである。
【0037】
かくして、本発明のさらなる態様は、関節の炎症性疾患または症状、特に関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、骨関節炎、人工関節不全)、または胃腸管の炎症性疾患または症状(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、ならびに他の炎症性の腸および胃腸管の疾患、胃炎、さらには感染による粘膜炎症、非ステロイド抗炎症薬投与による腸疾患)、肺の炎症性疾患または症状(例えば、成人呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、または慢性閉塞性肺疾患)、心臓の炎症性疾患または症状(例えば、心筋炎)、神経組織の炎症性疾患または症状(例えば、多発性硬化症)、膵臓の炎症性疾患または症状(例えば、糖尿病およびそれらの合併症に伴う炎症)、腎臓の炎症性疾患または症状(例えば、糸球体腎炎)、皮膚の炎症性疾患または症状(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、熱傷)、眼の炎症性疾患または症状(例えば、緑内障)、さらには移植器官の炎症性疾患または症状(例えば、拒絶反応)、多臓器疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、敗血症)、ウイルスまたは細菌感染の炎症性後遺症、および粥状動脈硬化に伴う炎症性症状、および例えば脳内または虚血性心疾患における、低酸素症または虚血性障害(再灌流ありまたは無し)後の炎症性症状の治療における、前記の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用にある。
【0038】
式(I)の化合物は、特に、炎症、ならびに粥状動脈硬化、動脈硬化症、高トリグリセリド血症および混合型異常脂質血症を包含する含む心血管疾患または症状の治療および予防に有用である。
【0039】
したがって、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患などの異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用も提供される。該化合物は、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害、および卒中、さらには2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満症に関連する心血管の適応症の治療における使用にも提供される。
【0040】
ニコチン酸は、著しい副作用プロフィールを有し、おそらくこれは、ニコチン酸が高レベル(1日のグラム量)で投与されるためである。最も一般的な副作用は、強度の皮膚発赤である。本発明の化合物は、好ましくは、ニコチン酸に比べて副作用が少ない。HM74Aは、ニコチン酸に対する高親和性受容体であると同定されているが、HM74は、ニコチン酸に対して親和性が低い受容体である。本発明の化合物は、HM74Aに対し選択的であり、それにより、本発明の化合物がHM74に対してよりもHM74Aに対して高い親和性を示すことが意味される。
【0041】
式(I)の化合物がHM74Aを活性化する能力は、例えば、以下のin vitroアッセイおよびin vivoアッセイで示すことができる。
【0042】
In−vitro試験
一過性のトランスフェクションのために、HEK293T細胞(SV40の大型T抗原を安定的に発現しているHEK293細胞)を10%ウシ胎仔血清および2mMグルタミンを含むDMEM中で維持した。細胞を90mm培養皿に播種し、トランスフェクションを行う前に60〜80%の集密度(18〜24時間)まで増殖させた。ヒトHM74A(GenBankTM(登録商標)、受入番号AY148884)を哺乳類発現ベクター(pcDNA3;Invitrogen)中にサブクローニングし、リポフェクタミン(Lipofectamine)試薬を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションのために、9μgのDNAを30μlのリポフェクタミン試薬と0.6mlのOpti−MEM(Life Technologies Inc.)中で混合し、室温で30分間インキュベートした後、1.6mlのOpti−MEMを加えた。細胞を該リポフェクタミン/DNA混合物に5時間曝露し、次いで、DMEM中における6mlの20%(v/v)ウシ胎仔血清を加えた。細胞はトランスフェクションの48時間後に回収した。百日咳毒素処理を50ngml−1で培地に加え、16時間保つことによって行った。すべての一過性トランスフェクション研究には、受容体と共にGi/o G蛋白質、Go1αの同時トランスフェクションも含まれていた。
【0043】
安定した細胞系統産生のため、上記の方法を用いて、6ウェル皿に播種され、集密度30%まで増殖させたCHO−K1細胞をトランスフェクトした。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清および2mMグルタミンを含むDMEM F−12 HAM培地中で維持した。トランスフェクションの48時間後に、抗生物質耐性細胞選別のため、培地に400μg/mlのジェネティシン(Geneticin)(G418, Gibco)を加えた。HM74Aを安定に発現しているクローナルCHO−K1細胞系統は、ニコチン酸添加後、[35S]−GTPγS結合測定によって確認された。
【0044】
P2膜調製:
細胞膜を含むP2顆粒画分は、回収後に−80℃で凍結した細胞ペーストから調製した。操作はすべて4℃で行った。細胞ペレットを1mlの10mM Tris−HClおよび0.1mM EDTA、pH7.5(緩衝液A)中に再懸濁し、Ultra Turraxで20秒間均一化し、続いて、25ゲージのニードル中を通過させた(5回)。細胞溶解液を微小遠心分離機中、1,000gで10分間遠心分離して核をペレット化し、破壊されなかった細胞およびP2顆粒画分を16,000gで30分間微小遠心分離によって回収した。P2顆粒画分は、緩衝液A中に再懸濁し、使用時まで−80℃で保存した。
【0045】
35S]−GTPγS結合:
アッセイは、以前に記載されたとおり(Wieland, T.およびJakobs, K.H.(1994)Methods Enzymol. 237, 3-13)96ウェルフォーマット中、または適合させたプロトコルに従い384ウェルフォーマット中のいずれかで室温にて行った。
【0046】
96ウェルフォーマット:
簡単に言うと、膜(1点当たり10μg)を、サポニン(10mg/l)を加えたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl2、pH7.4)中で0.083mg/mlに希釈し、10μM GDPと共にプレインキュベートした。様々な濃度のニコチン酸または関連分子を加え、次いで、[35S]−GTPγS(1170Ci/mmol, Amersham)を0.3nM(合計容積100μl)で加えて、室温で30分間結合させた。0.6mM GTPを包含させて非特異的結合を測定した。25μlアッセイ緩衝液中におけるコムギ胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)(0.5mg)を加え、攪拌しながら全体を室温で30分間インキュベートした。プレートを1500gで5分間遠心分離し、Wallac1450microbeta Triluxシンチレーションカウンターにおけるシンチレーションカウンティングによって、結合した[35S]−GTPγSを測定した。
【0047】
384ウェルフォーマット:
簡単に言うと、標準または試験化合物の希釈液を調製し、容量10μlで384ウェルプレートに加えた。膜(HM74AまたはHM74)を、サポニン(60μg/ml)、Leadseeker WGAビーズ(Amersham、250μg/ウェル)および10μM GDPを加えたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl2、pH7.4)中で希釈し、その結果、各ウェルに加えられた20μl容量が5μgの膜を含むようにした。[35S]−GTPγS(1170Ci/mmol, Amersham)をアッセイ緩衝液で希釈(1:1500)し、20μlを各ウェルに加えた。放射性リガンドの添加後、プレートを密閉し、パルススピンし、室温で4時間インキュベートした。インキュベーション終了時、Leadseeker機(VIEWLUX PLUS;Perkin-Elmer)でプレートを解読して特異的結合レベルを決定した。
【0048】
式(I)の化合物を合成し(下記の合成例参照)、1以上の上記のアッセイにおいて試験した。化合物のEC50は、5.0またはそれ以上で、効力は、30%またはそれ以上である。
【0049】
In−vivo試験
HM74Aアゴニストは、試験の少なくとも12時間前から絶食した雄のSpague−Dawleyラット(200〜250グラム)で試験する。化合物は、静脈内投与(5ml/kg)または強制経口投与(10ml/kg)される。血液サンプル(0.3mlを尾部静脈採血)を投与前および投与後に3回採取する(投与後15分〜8時間まで)。各血液サンプルをヘパリンチューブ(Becton Dickinson Microtainer, PST LH)に移し、遠心分離(10,000gで5分間)して、血漿サンプルを得る。血漿サンプルは、市販のキット(Randox)を用いて非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルについてアッセイする。投与前のレベルと比較した投与後の血漿中NEFAレベルの阻害を、HM74Aアゴニスト活性の代わりに用いる。
【0050】
本発明の化合物がニコチン酸に伴う発赤応答を示すか否かを決定するために、本発明の化合物を麻酔したモルモットに投与する。ニコチン酸を陽性対照として使用する。雄のDunkin Hartleyモルモット(300〜800g)を12時間前から絶食させ、塩酸ケタミン(Vetalar、40mg/kg、筋肉注射)、キシラジン(Rompun、8mg/kg、筋肉注射)およびペントバルビタール・ナトリウム(Sagatal、30mg/kg、皮肉注射)の混合物で麻酔する。麻酔後、気管切開を行い、モルモットを外気で人工呼吸させる(10−12mL/kg、60呼気/分)。頸静脈および頸動脈にカニューレを挿入し、試験化合物を静脈内投与し、動脈から血液を採取する。赤外線温度プローブ(Extech Instruments)を左の耳の端から3〜5mmの所に取付ける。体温測定は、試験化合物またはニコチン酸投与の5分前から試験化合物またはニコチン酸投与後40分まで毎分行い、記録する。データはPsionコンピュータが自動的に集めた後、データ解析のためにエクセルスプレッドシートに移される。化合物の投与前ならびに投与後に頻繁に、血液サンプル(0.3ml)を頸動脈カニューレを通して採取し、リチウムヘパリンを含有するMicrotainer(BD)チューブに移す。血液ローラー上でサンプルを完全に混合し、次いで、氷上で保管した後、1200gで5分間遠心分離する。
【0051】
上記のように、式(I)の化合物は、ヒトまたは動物の医療において、特にHM74Aのアクチベーターとして、異常脂質血症および高リポ蛋白質血症の管理において、有用である。
【0052】
したがって、本発明のさらなる態様として、ヒトまたは動物の医療に使用するための、特に、異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満症に関連する心血管の適応症の治療において使用するための式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体が提供される。
【0053】
本明細書における治療に対する言及が予防、再発予防および症状の抑制ならびに確立された病態の治療にまで及ぶことは、明らかであろう。
【0054】
本発明の別の態様によると、異常脂質血症および高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害の治療のための医薬の製造における、式(Ia)
【化6】

[式中:
は水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表す]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用が提供される。特に、該式(Ia)の化合物の使用は、糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満症に関連する心血管の適応症の治療のための医薬の製造において提供される。
【0055】
式(Ia)のある具体例において、R基は水素、フッ素またはメチル(例えば、水素)である。
ある特定の具体例において、Zは−(CH−;−(CHO−または−CH=CH−(CH−を表す。
本発明の特定の好ましい具体例において、nは2または3(例えば、2)を表す。
本発明のある化合物において、mは0または1を表す。
特定の具体例において、pは1を表す。
は、本発明の特定の具体例において、水素またはメチルを表す。
【0056】
は、本明細書に定義される場合、ビアリール、ヘテロ−ビアリール、縮合アリール−シクロアルキル、縮合ヘテロアリール−シクロアルキル、縮合アリール−複素環または縮合ヘテロアリール−複合環系を表しうる。Rがヘテロ原子を含むある具体例において、1〜3個のヘテロ原子が存在する。R環系は、環炭素原子またはヘテロ原子(存在する場合)のいずれかを介してZリンカー基に結合しうる。
【0057】
基が10員環系である本発明のある化合物において、これは、ナフチルであってもよく、または1又は2個のヘテロ原子を有していてもよい。2個のヘテロ原子が存在する場合、特定の具体例は、その両方を縮合環系の同じ環に有するであろう。特定の具体例において、10員環系におけるヘテロ原子は、窒素原子である。ある具体例において、10員のR基は、
【化7】

からなる群から選択される。
【0058】
基が10員環系である場合、これは非置換であってもよい。Rが置換された10員環系である具体例において、該置換基は、C−Cアルキル(例えば、メチル)、−C(O)Me、=OおよびC−Cアルコキシ(例えば、メトキシ)から選択される。
【0059】
基が9員環系である場合、これは、S、OまたはNから選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてもよい縮合アリール−シクロアルキル、例えば、
【化8】

であってもよく、またはS、OまたはNから選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてもよい9員の縮合アリールもしくはヘテロアリール系であってもよい。R基がヘテロ原子を含有する9員環系である特定の具体例において、これらは、縮合環系の5員環に配置されうる。1以上のヘテロ原子が存在する特定の具体例において、例えば、ベンゾイミダゾール誘導体のように、そのどれもが同じであってもよいが、異成分からなるヘテロアリール系もまた包含される。ある具体例において、9員のR基は、
【化9】

[式中、Rは水素、メチル、COHまたはCOMeを表す]
からなる群から選択される。
【0060】
基が上記の環系を包含する9員環系である場合、これは非置換であってもよい。Rが置換9員環系である具体例において、1以上の置換基は、C−Cアルキル(例えば、メチル);−C(O)Me;=O;C−Cアルコキシ(例えば、メトキシ);COH;およびCOMeから選択される。
【0061】
ある具体例において、
リンカー基Zが−(CH−である場合、nは2または3、より特別には2であり;
Zが−CH=CH−(CH−である場合、mは0または1、より特別には0(この場合、Zは−CH=CH−である)であり;および
Zが−(CHO−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−または−(CHNRSO−である場合、pは1である。
【0062】
本発明の該態様は、医薬の製造における式(I)または式(Ia)の化合物の使用に関し、特定の具体例のあらゆる組み合わせを包含し、本明細書中に上記される式(I)または式(Ia)の化合物の特定の置換基の全ての組み合わせを網羅すると理解されるべきである。
【0063】
さらに、本発明は、関節の炎症性疾患または症状、特に関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、骨関節炎、人工関節不全)、または胃腸管の炎症性疾患または症状(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、ならびに他の炎症性の腸および胃腸管の疾患、胃炎、さらには感染による粘膜炎症、非ステロイド抗炎症薬投与による腸疾患)、肺の炎症性疾患または症状(例えば、成人呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、または慢性閉塞性肺疾患)、心臓の炎症性疾患または症状(例えば、心筋炎)、神経組織の炎症性疾患または症状(例えば、多発性硬化症)、膵臓の炎症性疾患または症状(例えば、糖尿病およびそれらの合併症に伴う炎症)、腎臓の炎症性疾患または症状(例えば、糸球体腎炎)、皮膚の炎症性疾患または症状(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、熱傷)、眼の炎症性疾患または症状(例えば、緑内障)、さらには移植器官の炎症性疾患または症状(例えば、拒絶反応)、多臓器疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、敗血症)、ウイルスまたは細菌感染の炎症性後遺症、および粥状動脈硬化に伴う炎症性症状、および例えば脳内または虚血性心疾患における、低酸素症または虚血性障害(再灌流ありまたは無し)後の炎症性症状の治療のための医薬の製造における、式(Ia)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0064】
さらなるまたは別の態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患を有するヒトまたは動物対象を治療するための方法であって、式(Ia)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を該ヒトまたは動物対象に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0065】
また、本発明の該態様は、医薬の製造における式(I)または式(Ia)の化合物の使用に関し、特定の具体例のあらゆる組み合わせを包含し、本明細書中に上記される式(I)または式(Ia)の化合物の特定の置換基の全ての組み合わせを網羅すると理解されるべきである。
【0066】
より具体的には、本発明は、異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満症の治療のための方法であって、式(Ia)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量をヒトまたは動物対象に投与することを特徴とする方法を提供する。したがって、これらの化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害および卒中の治療のための方法であって、式(Ia)の化合物の有効量をヒトまたは動物対象に投与することを特徴とする方法においても好ましい。
【0067】
所望の生物学的効果を達成するために必要なHM74Aモジュレーターの量は、当然ながら、例えば、投与方式およびレシピエントの正確な臨床的状態といった多くの因子に依存する。一般に、1日量は、0.1mg〜1g/kgの範囲であり、典型的には0.1〜100mg/kgである。静脈内投与量は、例えば、0.01mg〜0.1g/kgまでの範囲であり、典型的には0.01mg〜10mg/kgまでであって、好都合には、1分あたり0.1μg〜1mgの注入として投与されうる。この目的に好適な注入液体は、、例えば、1mLあたり0.01μg〜0.1mgを含有しうる。単位投与量は、例えば、0.01μg〜1gのHM74Aモジュレーターを含有しうる。したがって、注射用アンプルには、例えば、0.01μg〜0.1gが含まれ、経口投与可能な単位用量処方、例えば、錠剤またはカプセル等には、例えば、0.1mg〜1gが含有されうる。本発明の化合物を上記投与量範囲で投与する場合、毒物学的効果がまったく示されない/予想されない。
【0068】
本発明の化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患の治療において、化合物そのものとして使用してもよいが、好ましくは、許容される担体と共に医薬処方の形態において提供される。該担体は、もちろん、該処方の他の材料と適合するという意味で許容されなければならず、レシピエントにとって有害であってはならない。担体は、固体または液体、あるいはその両方であってもよく、好ましくは、単位用量処方、例えば、錠剤として、HM74Aモジュレーターと共に処方され、該処方は、0.05重量%〜95重量%のHM74Aモジュレーターを含有しうる。
【0069】
処方には、経口投与、直腸投与、局所投与、バッカル投与(例えば、舌下投与)、および非経口投与(例えば、皮下投与、筋肉投与、皮内投与、または静脈内投与)に適したものが含まれる。
【0070】
本発明によると、材料を混合することを含むかかる医薬組成物の調製法も提供される。
【0071】
経口投与に適した処方は、それぞれが所定量のHM74Aモジュレーターを含有するカプセル、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤などの分離した単位において;粉末または顆粒として;水性または非水性液体中における溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提供されうる。一般に、該処方は、活性なHM74Aモジュレーターを液体または微粉砕された固体担体、あるいはその両方と共に均一かつ完全に混合し、次いで、必要に応じ、製品を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、所望により1以上の付加材料と共に、HM74Aモジュレーターの粉末または顆粒を圧縮または成形することによって調製されうる。圧縮成形錠剤は、適当な機械において、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または界面活性剤/分散剤と混合した粉末または顆粒等の易流動性の化合物を圧縮することによって調製されうる。成形錠剤は、適当な機械において、不活性な液体希釈剤で湿潤化した粉末状化合物を成形することによって調製されうる。
【0072】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、澱粉の粘液、またはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、乳糖、微結晶セルロース、砂糖、トウモロコシの澱粉、リン酸カルシウム、またはソルビトール;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモの澱粉、クロスカメローズ・ナトリウム、または澱粉グリコール酸ナトリウム;あるいはラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤といった通常の賦形剤を含んでいてもよい。錠剤は、当該分野でよく知られた方法で被覆してもよい。経口液状製剤は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシルの形状であってもよく、あるいは使用前に水または他の好適なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供されてもよい。このような液状製剤は、懸濁化剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウム・ゲル、または水素化食用油脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を包含しうる)、例えば、扁桃油、分別ココナツ油、油性エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;あるいは保存料、例えば、−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸といった通常の添加剤を含んでいてもよい。該製剤は、また、緩衝塩、風味剤、着色剤および/または甘味料(例えば、マンニトール)を適宜含有していてもよい。
【0073】
バッカル(舌下)投与に適した処方には、風味付けした基剤、通常は蔗糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中にHM74Aモジュレーターを含むロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたは蔗糖およびアラビアゴム等の不活性基剤中にHM74Aモジュレーターを含むパスティール(pastille)がある。
【0074】
非経口投与に適した本発明の処方は、好都合には、HM74Aモジュレーターの滅菌した水性調製物、好ましくは予定されたレシピエントの血液と等張性の水性調製物を含む。これらの調製物は、好ましくは静脈内投与されるが、皮下注射、筋肉注射または皮内注射で投与を行ってもよい。かかる調製物は、好都合には、HM74Aモジュレーターを水と混合し、得られた溶液を滅菌し、血液と等張性にすることによって調製されうる。本発明の注射可能な組成物は、一般に、0.1%w/w〜5%w/wのHM74Aモジュレーターを含有する。
【0075】
かくして、本発明の化合物を含む非経口投与に適した本発明の処方は、ボーラス注射または連続的注入による非経口投与用に調製してもよく、単位投与形態、例えば、アンプル、バイアル、少量輸液または事前に詰めたシリンジとして、あるいは保存料を加えた複数回投与用容器において提供してもよい。該組成物は、水性または非水性ビヒクル中の溶液、懸濁液、またはエマルジョン等の形を取ってもよく、抗酸化剤、緩衝剤、抗菌剤および/または毒性調節剤等の処方剤を含有していてもよい。別法として、活性材料は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、滅菌し、発熱物質を含まない水で復元するための粉末形態であってもよい。乾燥した固体製剤は、滅菌した粉末を無菌状態で個々の滅菌容器に詰めることによって、または滅菌した溶液を無菌状態で各容器に詰め、凍結乾燥することによって調製されうる。
【0076】
直腸投与に適した処方は、単位用量の坐剤として提供されることが好ましい。坐剤は、HM74Aモジュレーターを1種または複数種の通常の固体担体、例えば、カカオ脂またはグリセリドと混合し、次いで、得られた混合物を成形することによって調製されうる。
【0077】
皮膚に対する局所適用に適した処方は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形を取ることが好ましい。使用できる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの2種またはそれ以上の組合せが含まれる。一般に、HM74Aモジュレーターは、この組成物に0.1%w/w〜15%w/wの濃度、例えば、0.5%w/w〜2%w/wの濃度で配合される。
【0078】
本明細書で使用する際、局所投与には、吹入および吸入による投与も含まれる。局所投与用の様々な製剤の例には、軟膏、クリーム、ローション、粉末、ペッサリー、スプレー、エアロゾル、カプセル、あるいは吸入器または吹入器で使用するためのカートリッジまたは滴剤(例えば、眼または鼻用滴剤)が含まれる。
【0079】
軟膏およびクリームは、例えば、水性または油性の基剤に、好適な粘稠化剤および/またはゲル化剤および/または溶剤を加えて処方されうる。したがって、このような基剤は、例えば、水および/または油、例えば、流動パラフィンまたは植物油、例えば、落花生油またはひまし油、または溶剤、例えば、ポリエチレングリコールを包含しうる。使用可能な粘稠化剤には、軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、微結晶ワックス、および蜜蝋が含まれうる。
【0080】
ローションは、水性または油性の基剤で処方され得、一般に、1種または複数種の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤または粘稠化剤も含有するであろう。
【0081】
外用の粉末は、いずれかの好適な粉末基剤、例えば、タルク、乳糖または澱粉を付加して処方されうる。滴剤は、1種または複数種の分散剤、可溶化剤または懸濁化剤も含む水性または非水性基剤で処方されうる。
【0082】
スプレー組成物は、例えば、水性溶液または懸濁液として、あるいは加圧パックから供給されるエアロゾルとして、好適なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して処方されうる。
【0083】
吸入器または吹入器で使用するための、例えばゼラチン製の、カプセルおよびカートリッジは、本発明の化合物と乳糖または澱粉等の好適な粉末基剤とを混合した粉末を含むように処方されうる。
【0084】
本発明の医薬組成物は、他の治療剤と組み合わせて、例えば、他の種類の異常脂質血症薬(例えば、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂、またはニコチン酸)と組み合わせて使用してもよい。
【0085】
本発明の化合物は、一つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて、例えば、他の種類の異常脂質血症薬、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A還元酵素阻害剤(スタチン)またはフィブラートまたは胆汁酸結合樹脂またはニコチン酸と組み合わせて使用してもよい。したがって、本発明は、さらなる態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が一因となる疾患または該受容体の活性化が有益である疾患の治療におけるこのような組合せの使用、ならびに異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症または肥満の組合せ療法のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用を提供する。
【0086】
本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物は、いずれかの好都合な経路により、連続的にまたは同時に投与してもよい。
【0087】
上記の組合せは、好都合なことに、医薬処方の形態での使用のために提供されてもよく、したがって、最適には医薬上許容される担体または賦形剤と共に、上記の組合せを含んでなる医薬処方は、本発明のさらなる態様を形成する。このような組合せの個々の成分は、別個または組み合わせた医薬処方において、連続的にまたは同時に投与されうる。
【0088】
同一処方内で組み合わせる場合、二つの成分は安定で、かつ、互いに適合性で、かつ、処方の他の成分とも適合しなければならず、投与できるように処方されうることは、明らかであろう。別々に処方する場合、それらは、好都合には、当該分野においてかかる化合物に関して知られているように、いずれかの好都合な処方において提供すればよい。
【0089】
同一の疾患に対して活性な第二の治療剤と組み合わせる場合、各成分の用量は、単独で使用する場合とは異なっていてもよい。好適な用量は、当業者によって容易に認められるであろう。
【0090】
このように、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物と、他の治療上活性な薬剤とを含む組合せを提供する。
【0091】
好都合なことに、該組合せは、医薬処方の形で使用するために提供されてもよく、かくして、上記組合せと医薬上許容される担体を含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を示す。
【0092】
式(I)の化合物は、有用な活性持続時間を有する。
【0093】
式(I)の化合物およびその塩および溶媒和物は、本発明のさらなる態様を構成する下記の方法によって調製されうる。
【0094】
略称
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
DMSO ジメチルスルホキシド
HBTU o−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
CDI カルボニルジイミダゾール
PyHOTs ピリジニウムトシラート
【0095】
方法A
本発明の化合物を調製するための方法をスキーム(a):
【化10】

[式中、Rは、上記のとおりの−Z−R−を表す]
に示す。
【0096】
したがって、本発明によると、式(I)の化合物を調製するための方法は、
(i)アントラニル酸(2−アミノ−安息香酸)のアミン基とカルボン酸由来の活性化アシル基転移試薬との間にアミドを形成させ、
(ii)所望または必要な場合、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩の形態に変換してもよく、またはその逆であってもよく、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩の形態に変換する
ことを特徴とする。
【0097】
方法Aによる方法の具体的な例を、CDIを用いるアントラニル酸とカルボン酸のアミドカップリングを含むスキーム(a−i):
【化11】

に示す。
【0098】
方法B
Zが−(CHO−を示し、pが1である上記の式(I)または式(Ia)の化合物の調製方法をスキーム(b)に示す。
【化12】

[式中、Arは、上記のとおりのRを示し、
a)アントラニル酸のエステル(O−保護アントラニル酸)のアセチル化によるアミド結合形成;
b)得られる2−[(クロロアセチル)アミノ]安息香酸メチルを用いる芳香族アルコールのアルキル化;
c)水酸化リチウムを用いるメチルエステルの加水分解(脱保護)]
【0099】
したがって、本発明によると、式(I)の化合物を調製するための方法は:
(i)2−[(クロロアセチル)アミノ]安息香酸メチルを用いる芳香族アルコールのアルキル化
(ii)水酸化リチウムを用いるメチルエステルの加水分解
(iii)所望または必要な場合、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩の形態に変換してもよく、またはその逆であってもよく、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩の形態に変換する
ことを特徴とする。
【0100】
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【0101】
合成例:
A. 方法Aを用いた化合物の合成例

実施例1:2−(3−ナフタレン−1−イル−プロパノイルアミノ)−安息香酸
【化13】

3−ナフタレン−1−イル−プロピオン酸(20mgs,0.1mmol)をアセトニトリル(1ml)中に溶解した。HBTU(38mgs,0.1mmol)を加え、混合物を30分間攪拌した。次いで、2−アミノ−安息香酸(14mgs,0.1mmol)を加え、次いで、トリエチルアミン(0.1ml)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌した後、水(0.1ml)を加え、減圧下で蒸発させた。分取HPLCを用いて、標題化合物を単離した。δ(400MHz, DMSO-d6) 2.81 (2H, t), 3.43 (2H, t), 7.16 (1H, t), 7.43 (2H, d), 7.52-7.58 (3H, m), 7.75-7.82 (1H, m), 7.92-7.98 (2H, m), 8.14 (1H, d), 8.48 (1H, d), 11.24 (1H, br.s), 13.45 (1H, br.s); m/z 318.5 [M-H+]
精製に用いたHPLC条件:実行時間8分。溶媒:MeCN中における0.1%TFAおよび水中における0.1%TFA。MeCNは、5分かけて10%から95%へ直線的に上げた。95%で1分維持した。30秒かけて10%に直線的に下げた。次に注入する前に、1.5分間10%で平衡化した。
【0102】
実施例2〜23は、実施例1に示すとおりに調製された。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0103】
実施例2:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.00 (2H, m), 2.45 (2H, t), 2.75 (2H, t), 6.96 (1H, t), 7.05 (1H, t), 7.11-7.15 (2H, m), 7.32 (2H, d), 7.51-7.57 (2H, m), 7.96 (1H, d), 8.50 (1H, d), 10.75 (1H, br.s),11.20 (1H, br.s);m/z 321.21 [M-H+]
【0104】
実施例4:
δ(400MHz, DMSO-d6) 6.09 (2H, s), 6.75 (1H, d), 6.96 (1H, d), 7.16-7.22 (2H, m), 7.44 (1H, s), 7.58 (1H, t), 8.00 (1H, d), 8.61 (1H, d), 11.34 (1H, br.s), 13.35 (1H, br.s); m/z 310.27 [M-H+]
【0105】
実施例5:
δ(400MHz, DMSO-d6) 7.08 (1H, d), 7.23 (1H, t), 7.66 (1H, t), 7.82 (1H, t), 7.94 (1H, t), 8.03 (1H, d), 8.24 (1H, d), 8.29 (1H, s), 8.31 (1H, d), 8.62 (1H, d), 8.96 (1H, s), 9.40 (1H, s), 11.45 (1H, br.s); m/z 319.19 [M+H+]
【0106】
実施例6:
δ(400MHz, DMSO-d6) 1.88 (2H, m), 2.37 (2H, t), 2.56 (2H, t), 5.95 (2H, s), 6.66 (1H, d), 6.81 (2H, m), 7.13 (1H, t), 7.57 (1H, t), 7.96 (1H, d), 8.47 (1H, d), 11.10 (1H, s), 13.74 (1H, br.s); m/z 325.68 [M-H+]
【0107】
実施例7:
δ(400MHz, DMSO-d6) 3.98 (2H, d), 7.60 (3H, m), 7.92-8.03 (6H, m), 8.50 (1H, s), 8.97 (1H, t); m/z 347.33 [M-H+]
【0108】
実施例10:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.97 (3H, s), 4.33 (2H, s), 7.16 (1H, t), 7.60 (1H, t), 7.70 (1H, m), 7.79 (1H, t), 8.01(1H, d), 8.34 (1H, d),8.43 (1H, d), 8.55 (2H, t), 9.05 (1H, m); m/z 398.14 [M-H+]
【0109】
実施例11:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.34 (3H, s), 2.60 (2H, t), 3.03 (2H, t), 3.62 (3H, s), 6.94 (1H, t), 7.04 (1H, t), 7.10(1H, t), 7.32 (1H, d), 7.48 (1H, d), 7.57 (1H, t), 7.95 (1H, d), 8.50 (1H, d), 11.15 (1H, br.s), 13.41 (1H, br.s); m/z 335.10 [M-H+]
【0110】
実施例12:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.59 (2H, t), 3.38 (2H, t), 3.91 (3H, s), 7.15 (1H, t), 7.35 (1H, t), 7.43 (1H, d), 7.50 (1H, t), 7.59 (1H, t), 7.85 (2H, m), 7.97 (1H, d), 8.02 (1H, d), 8.50 (1H, d), 11.20 (1H, br.s), 13.45 (1H, br.s); m/z 348.07 [M-H+]
【0111】
実施例13:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.86 (2H, t), 3.19 (2H, t), 7.14 (1H, t), 7.36-7.44 (2H, m), 7.49 (1H, s), 7.58 (1H, t), 7.87 (1H, d), 7.97 (2H, d), 8.48 (1H, d), 11.25 (1H, br.s), 13.55 (1H, br.s); m/z 324.12 [M-H+]
【0112】
実施例14:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.90 (2H, t), 4.27 (2H, t), 6.60 (1H, d), 7.15 (1H, t), 7.36-7.44 (2H, m), 7.48-7.52 (2H, m), 7.68 (1H, t), 7.95 (1H, d), 8.22 (1H, d), 8.41 (1H, d), 11.08 (1H, br.s); m/z 335.32 [M-H+]
【0113】
実施例15:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.91 (2H, t), 3.79 (3H, s), 4.46 (2H, t), 6.31 (1H, d), 6.65 (1H, dd), 7.07 (1H, d), 7.15 (1H, t), 7.22 (1H, d), 7.37 (1H, d), 7.58 (1H, t), 7.94 (1H, d), 8.43 (1H, d), 11.08 (1H, br.s), 13.53 (1H,br.s); m/z 339.29 [M+H+]
【0114】
実施例16:
δ(250MHz, DMSO-d6) 2.93 (2H, t), 4.51 (2H, t), 6.41 (1H, d), 7.01 (1H, t), 7.10-7.17 (2H, m), 7.38 (1H, d), 7.54 (3H, m), 7.94 (1H, dd), 8.40 (1H, d), 11.05 (1H, br.s), 13.52 (1H, br.s); m/z 309.28 [M+H+]
【0115】
実施例18:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.21 (3H, s), 2.88 (2H, t), 4.43 (2H, t), 6.99 (1H, t), 7.12 (3H, m), 7.45 (2H, m), 7.56 (1H, t), 7.94 (1H, dd), 8.40 (1H, d), 11.19 (1H, br.s); m/z 323.15 [M+H+]
【0116】
実施例19:
δ(400MHz, DMSO-d6) 1.13 (3H, t), 2.60 (4H, m), 2.90 (2H, t), 5.95 (2H, s), 6.68 (2H, m), 7.13 (1H, t), 7.58 (1H, t), 7.97 (1H, d), 8.48 (1H, d), 11.12 (1H, br.s); m/z 339.83 [M-H+]
【0117】
実施例21:
δ(400MHz, DMSO-d6) 2.36 (3H, s), 2.74 (2H, t), 3.03 (2H, t), 6.89 (1H, d), 7.08 (1H, s), 7.15 (1H, t), 7.20 (1H, d), 7.31 (1H, s), 7.59 (1H, t), 7.97 (1H, d), 8.51 (1H, d), 10.61 (1H, br.s), 11.24 (1H, br.s); m/z 321.69 [M-H+]
【0118】
実施例2〜23の調製のための酸中間体は、既知化合物であり、市販のものを用いるか、または発表された手法によって合成される。但し、下記のものを除く。
【0119】
実施例10のための酸:[メチル−(キノリン−8−スルホニル)−アミノ]−酢酸:
【化14】

[メチル−(キノリン−8−スルホニル)−アミノ]−酢酸は、市販の(キノリン−8−スルホニルアミノ)−酢酸から、DMF中における過剰のヨウ化メチルを用いるメチル化、次いで、2N水酸化ナトリウムのメタノール性溶液(1:1混合物)を用いるメチルエステルの加水分解によって調製された。
【0120】
実施例21のための酸:3−イソキノリン−4−イル−プロピオン酸
【化15】

3−イソキノリン−4−イル−プロピオン酸は、既知化合物3−イソキノリン−4−イル−プロピオン酸tert−ブチルエステル(Jonczyk et al, J. Chem. Res. Synop., 1998, (5), 262-3)から、標準条件下(DCM中における20%TFA、4時間)での脱保護によって調製された。
【0121】
実施例24:2−{[3−(2−ナフタレニル)プロパノイル]アミノ}安息香酸
【化16】

3−(2−ナフタレニル)プロパン酸(150mg,0.75mmol,1当量)および1,1−カルボニルジイミダゾール(146mg,0.9mmol,1.2当量)を窒素下、無水THF(4ml)中で勢い良く攪拌した。1時間後、アントラニル酸(161mg,1.17mmol,1.3当量)およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(543mg,2.16mmol,2.4当量)を加え、混合物を窒素下で還流した。18時間後、混合物を室温に冷却した後、セライトでろ過し、減圧下で蒸発させた。3−95%MeCN:水で溶出するSPE(C18,20g)による精製により、標題化合物を白色固体として得た(80mg,33%)。δH (400 MHz, d6-DMSO) 2.83 (2H, t, J=7.5Hz), 3.12 (2H, t, J=7.5Hz), 7.13 (1H, app t, J=7.5Hz), 7.43-7.49 (3H, m), 7.57 (1H, app t, J=8.0Hz), 7.76 (1H, br s), 7.82-7.87 (3H, m), 7.96 (1H, dd, J=8.0 and 1.6Hz), 8.48 (1H, d, J=8.5Hz), 11.18 (1H, s), 13.61 (1H, br s); m/z 320.2 [MH+]
【0122】
実施例25:2−{[3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレニル)プロパノイル]アミノ}安息香酸
【化17】

3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレニル)プロパン酸(100mg,0.49mmol,1当量)およびアントラニル酸(88mg,0.64mmol,1.3当量)を用いて、実施例24のように調製した。3−95%MeCN:水で溶出するSPE(C18,5g)による精製により、標題化合物を黄褐色の油として得た(45mg,28%)。δ(400 MHz, DMSO- d6) 1.60-1.72 (2H, m), 1.73-1.89 (3H, m), 2.00-2.10 (1H, m), 2.40-2.52 (2H, m), 2.65-2.85 (3H, m), 7.00-7.18 (4H, m), 7.21 (1H, d, J=7.5Hz), 7.57 (1H, t, J=8.0Hz), 7.97 (1H, d, J=8.0Hz), 8.48 (1H, d, J=8.0Hz), 11.18 (1H, s), 13.60 (1H, v br s); m/z 324.2 [MH+]
【0123】
B. 方法Bを用いた化合物の合成例
方法Bを実施するための一般化された方法は、下記のとおりである。
【化18】

ポリスチレンに担持された1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン[Fluka AG,2%1,4−ジビニルベンゼンで架橋されている,負荷量2.6mmol/g]をアセトニトリル中におけるAr−OHの溶液で処理する。1時間後、混合物を2−[(クロロアセチル)アミノ]安息香酸メチル(Journal of Heterocyclic Chemistry 1989, 26(6), 1807-1810)のアセトニトリル中溶液で処理し、次いで、約45℃で約18時間加熱する。冷却した混合物をろ過し、残渣をさらにアセトニトリルで洗浄する。ろ液および洗浄液を合わせ、蒸発乾固し、残渣を、メタノール、水およびTHFの混合物中における水酸化リチウムの溶液で処理する。混合物を攪拌し、約45℃に約2時間加熱し、次いで、室温で18時間攪拌する。混合物を2M水性塩酸の添加によって約pH4に酸性化し、沈殿した生成物をろ過し、乾燥させて、標題化合物を得る。
【0124】
下記の化合物実施例26〜34もまた、方法Aを用いて調製された。
【化19】

【0125】
【表2】

【0126】
実施例26
2−{[(2−ナフタレニルオキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 4.87(s, 2H), 7.20(t, 1H, J=7.8Hz), 7.357.41(m, 2H), 7.457.51(m, 2H), 7.64(dd, 1H, J=1.5, 7.0Hz), 7.83(d, 1H, J=8.3Hz), 7.87(d, 1H, J=8.0Hz), 7.92(d, 1H, J=8.8Hz), 8.03(dd, 1H, J=1.5, 7.8Hz), 8.73(d, 1H, J=8.3Hz), 12.31(s, 1H), δH13に1つの交換可能なプロトンは認められなかった。
【0127】
実施例27
2−{[(1H−インドール−5−イルオキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 4.69 (s, 2H), 6.33-6.38 (m, 1H), 6.94 (dd, 1H, J=2.5, 8.6Hz), 7.17-7.20 (m, 3H), 7.31-7.34 (m, 2H), (dt, 1H, J=1.5, 7.3Hz), 8.02 (dd, 1H, J=1.5 および 7.8Hz), 8.73 (d, 1H, J=8.1Hz), 11.00 (s, 1H), 12.28 (s, 1H).
【0128】
実施例28
2−{[(7−キノリニルオキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 4.93 (s, 2H), 7.18 (t, 1H, J=7.1Hz), 7.40-7.51 (m, 3H), 7.62 (dt, 1H, J=1.5, 8.6Hz), 7.98 (d, 1H, J=8.8Hz), 8.03 (dd, 1H, J=1.5, 7.8Hz), 8.31 (dd, 1H, J=1.5, 8.3Hz), 8.71 (d, 1H, J=8.1Hz), 8.84 (dd, 1H, J=1.7, 4.3Hz), 12.46 (br s, 1H), δH13に1つの交換可能なプロトンは認められなかった。
【0129】
実施例29
2−{[(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニルオキシ)アセチル]アミノ}安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 1.75-1.96 (m, 4H), 2.69-2.87 (m, 2H), 2.88-2.96 (m, 2H), 4.67 (s, 2H), 6.92-6.99 (m, 2H), 7.09-7.16 (m, 2H), 7.41 (t, 1H, J= 8.4Hz), 8.13 (d, 1H, J=8.4Hz), 8.68 (d, 1H, J=8.4Hz), δH13に両方の交換可能なプロトンは認められなかった。
【0130】
実施例30
2−({[(3−エチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 1.33 (t, 3H, J=7.5Hz), 2.96 (q, 2H, J=7.5Hz), 4.82 (s, 2H), 7.11 (t, 1H, J=7.5Hz), 7.17 (dd, 1H, J=1.5, 8.5Hz), 7.37 (d, 1H, J=1.8Hz), 7.49 (t, 1H, J=6.5Hz), 7.82 (d, 1H, J=8.8Hz), 8.01 (d, 1H, J=7.8Hz), 8.63 (d, 1H, J=8.5Hz), δH13に両方の交換可能なプロトンは認められなかった。
【0131】
実施例31
2−({[(3−プロピル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 0.96 (t, 3H, J=7.5Hz), 1.78 (m, 2H), 2.92 (t, 2H, J=7.5Hz), 4.86 (s, 2H), 7.15-7.19 (m, 2H), 7.39 (d, 1H, J= 2.0Hz), 7.59 (t, 1H, J=8.0Hz), 7.84 (d, 1H, J=8.5Hz), 8.03 (d, 1H, J=7.8Hz), 8.68 (d, 1H, J=8.3Hz), 12.41-12.83 (br s,1H), δH13に1つの交換可能なプロトンは認められなかった。
【0132】
実施例32
2−({[(2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)オキシ]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO) 1.24 (s, 6H), 1.72 (t, 2H, J=6.5Hz), 2.71 (t, 2H, J=6.5Hz), 4.59 (s, 2H), 6.65-6.67 (m, 1H), 6.81-6.84 (m, 2H), 7.14 (t, 1H, J=7.5Hz), 7.55 (t, 1H, J=7.3Hz), 8.02 (dd, 1H, J=1.3, 7.8Hz), 8.67 (d, 1H, J=8.3Hz), 12.65-12.82 (br s, 1H), δH13に1つの交換可能なプロトンは認められなかった。
【0133】
実施例33
2−({[(1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル)オキシ]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δH (400MHz, d6-DMSO), 2.19(s, 3H), 3.19(t, 2H, J=8.3Hz), 4.10(t, 2H, J=8.3Hz), 4.59 (2, 2H), 6.90(d, 1H, J=9.1Hz), 7.04-7.11(m, 2H), 7.37(t, 1H, J=7.6Hz), 7.98-8.07(m, 2H), 8.57(d, 1H, J=8.3Hz), δH13に両方の交換可能なプロトンは認められなかった。
【0134】
本明細書に引用した、限定するものではないが、特許および特許出願を包含する全ての出版物は、あたかも個々の出版物が特別かつ個別に、出典明示によりその全体が示されているかのように本明細書の一部とされることが示されたかの如く、出典明示により本明細書の一部とされる。
【0135】
本明細書および請求項がその一部をなす本出願は、これ以降のすべての出願に対する優先権の基礎として用いることができる。これ以降の出願の請求項は、本明細書に記載した、特性または特性の組合せを対象とすることができる。それらは、製品、組成物、方法、または使用に関するものとなり、本出願の実施例および請求項を含むことができるが、それに限定されるものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中;
は、水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表し;
但し、RがH、Zが−(CH−、nが2または3である場合、Rはインドール−3−イル以外である]
で示される化合物、およびその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物。
【請求項2】
が水素、フッ素またはメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが−(CHO−または−(CH−である、請求項1ないし3のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項5】
Zが−(CH−を表し、nが2、3または4から選択される整数を表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Zが−(CH−であって、nが2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Zが−(CHO−であって、nが1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
が10員の二環式環系である請求項1ないし7のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項9】
がナフチルである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が1または2つのヘテロ原子を有する10員環系である請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
が1または2つの窒素ヘテロ原子を含む請求項10に記載の化合物。
【請求項12】

【化2】

からなる群から選択される請求項9、10または11のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項13】
がC1−2アルキル、−C(O)Me、=OおよびC1−3アルコキシから選択される1以上の基で置換される、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
がメチルおよびメトキシから選択される1以上の基で置換される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が縮合アリール−シクロアルキル、縮合アリールおよび縮合ヘテロアリール系からなる群から選択される9員環系である請求項1〜7のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項16】
がS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む請求項15に記載の化合物。
【請求項17】

【化3】

[式中、Rは水素、メチル、COHまたはCOMeを表す]
からなる群から選択される請求項15または16に記載の化合物。
【請求項18】
がC1−3アルキル、−C(O)Me、=O、C1−3アルコキシ、COHおよびCOMeから選択される1以上の基で置換される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がメチルまたはメトキシで置換される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
ヒトまたは動物の医療に使用するための請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項21】
異常脂質血症および高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害の治療、または炎症性疾患もしくは症状の治療に使用するための請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項22】
異常脂質血症および高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、または炎症性疾患もしくは症状の治療のための医薬の製造における請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
異常脂質血症および高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、または炎症性疾患もしくは症状の治療に使用するための式(Ia)
【化4】

[式中:
は水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表す]
で示される化合物、およびその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物。
【請求項24】
糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管の適応症の治療において使用するための請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
異常脂質血症および高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、または炎症性疾患もしくは症状の治療のための医薬の製造における、式(Ia)
【化5】

[式中:
は水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表す]
で示される化合物、およびその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物の使用。
【請求項26】
障害が、糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、粥状動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管障害および卒中、ならびに2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症および肥満に関連する心血管の適応症から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
HM74A受容体の不十分な活性化が一因となるか、または該受容体の活性化が有益である疾患を有するヒトまたは動物対象を治療する方法であって、式(Ia)
【化6】

[式中:
は水素、ハロゲンまたはC−Cアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−および−O−から選択されるリンカー基を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表す]
で示される化合物、およびその医薬上許容される塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物の有効量を該ヒトまたは動物対象に投与することを特徴とする方法。
【請求項28】
異常脂質血症または高リポ蛋白質血症を包含する脂質代謝の障害、または炎症性疾患もしくは症状を有するヒトまたは動物対象を治療する方法であって、式(Ia)
【化7】

[式中:
は水素、ハロゲンまたはC−Cのアルキル基を表し;
は、独立してS、OおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい9または10員の飽和、部分不飽和または不飽和の二環式環系を表し;
Zは、−(CH−;−CH=CH−(CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−および−O−から選択されるリンカー単位を表し;
nは、2、3および4から選択される整数を表し;
mは、0、1および2から選択される整数を表し;
pは、1および2から選択される整数を表し;
は、水素またはC−Cアルキル基を表す]
で示される化合物、およびその医薬上許容される塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物の有効量を該ヒトまたは動物対象に投与することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物を、1以上の生理学上許容される希釈剤、賦形剤または担体との混合状態で含む医薬処方。
【請求項30】
請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物を1以上の別の治療上活性な薬剤と共に含む、別々のまたは合わせた医薬処方において、一緒にまたは別々に、連続してまたは同時に投与するための組合せ。
【請求項31】
請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物と共に、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸からなる群から選択されるさらなる活性成分、および1以上の生理学上許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬処方。
【請求項32】
i. 2−[(クロロアセチル)アミノ]安息香酸メチルを用いて芳香族アルコールをアルキル化し、
ii. 水酸化リチウムを用いてメチルエステルを加水分解し、
iii. さらに、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩の形態に変換してもよく、またはその逆であってもよく、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩の形態に変換してもよい
ことを含む、請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物の調製方法。
【請求項33】
i. アントラニル酸(2−アミノ−安息香酸)のアミン基とカルボン酸由来の活性化アシル基転移試薬との間にアミドを形成させ、
ii. さらに、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩の形態に変換してもよく、またはその逆であってもよく、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩の形態に変換してもよい
ことを含む、請求項1ないし19のいずれか一つに記載の化合物の調製方法。


【公表番号】特表2007−502263(P2007−502263A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523060(P2006−523060)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003516
【国際公開番号】WO2005/016867
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】