説明

カレントミラー回路、電流生成回路及び発光装置

【課題】負荷に供給する電流を精度よく出力する。
【解決手段】ゲート電極とドレイン電極が短絡されている第1トランジスタTr1と、第1トランジスタTr1のゲート電極に、ゲート電極が接続された第2トランジスタTr2と、を備えるカレントミラー回路10において、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2は、絶縁膜12を介してゲート電極1の上部に設けられてチャネル領域が形成される半導体膜2と、半導体膜2上のチャネル領域を覆う領域に設けられる保護膜3と、半導体膜2のチャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられるとともに保護膜3の一部に重なって設けられソース電極6及びドレイン電極7とをそれぞれ有するとともに、少なくとも第2トランジスタTr2は、ソース電極6の保護膜3に対するチャネル長方向への重なり長がドレイン電極7の保護膜3に対する重なり長より長い構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレントミラー回路、電流生成回路及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL(Electro Luminescence)素子を用いた発光装置であるELディスプレイ装置が知られている。ELディスプレイ装置には複数のEL素子が備えられており、各EL素子に供給する電流を制御するアクティブマトリクス方式によって、ELディスプレイ装置は様々な画像や映像を表示する。
そして、ELディスプレイ装置をアクティブマトリクス駆動する際に、各EL素子の発光階調を調整するための駆動電流を各EL素子に対して供給する回路として、カレントミラー回路を含んだ電流生成回路が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−233347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電流生成回路におけるカレントミラー回路においてはトランジスタを飽和領域で動作させるように構成されているが、電界効果型トランジスタ(薄膜トランジスタ)をカレントミラー回路に用いた場合、基板浮遊効果などのために閾値電圧が低下するなどして、トランジスタの電圧−電流特性が良好な飽和特性を示さなくなることがある。
トランジスタの飽和特性が良好でないと、その回路において基準電流(入力電流)に対する駆動電流(出力電流)の電流値が設計値からずれてしまい、適正な駆動電流が所定の負荷であるEL素子に供給されないために、EL素子を所望の輝度で発光させることができず、ELディスプレイ装置の表示画質の劣化を招いてしまうことがある。
【0005】
本発明は、負荷に供給する電流を精度よく出力できる、カレントミラー回路、電流生成回路及び発光装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様は、カレントミラー回路であって、
カレントミラー回路を構成する、入力側トランジスタと出力側トランジスタとを有し、
前記入力側トランジスタは入力用電流路を有し、該入力用電流路の一端側に入力電流が供給されて該入力電流が前記入力用電流路に流れ、
前記出力側トランジスタは出力用電流路を有し、該出力用電流路に出力電流が流れ、該出力用電流路の一端側から前記出力電流を出力し、
前記入力用電流路の他端側と前記出力用電流路の他端側とは接続され、
前記出力側トランジスタは、前記出力用電流路を構成する第1チャネル領域が形成される第1半導体膜と、前記第1半導体膜上の前記第1チャネル領域を挟む一対の端部に、互いに離間して設けられ、前記出力用電流路の前記一端側をなす第1ドレイン電極及び前記出力用電流路の前記他端側をなす第1ソース電極と、を有し、
前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は、それぞれ、前記第1チャネル領域の一部に重なる、第1ドレイン側重なり領域と第1ソース側重なり領域とを有し、前記第1ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第1ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長いことを特徴とする。
好ましくは、前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値である。
好ましくは、前記チャネル長は8〜10μmであり、前記第1ドレイン側重なり領域における前記重なり長は2μm以下であり、前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は3〜5μmである。
好ましくは、前記出力側トランジスタは、前記第1半導体膜上に設けられて、該第1半導体膜の前記第1チャネル領域上を覆う第1保護膜を有し、前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は前記第1保護膜上の一部に重なって、前記第1チャネル領域の一部に重なるように設けられている。
好ましくは、前記入力側トランジスタは、前記入力用電流路を構成する第2チャネル領域が形成される第2半導体膜と、前記第2半導体膜上の前記第2チャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、前記入力用電流路の前記一端側をなす第2ドレイン電極及び前記入力用電流路の前記他端側をなす第2ソース電極と、を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は、それぞれ、前記第2チャネル領域の一部に重なる、第2ドレイン側重なり領域と第2ソース側重なり領域とを有して設けられ、前記第2ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第2ドレイン電極の前記第2ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長い構造を有する。
好ましくは、前記第2ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第2チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値である。
好ましくは、前記入力側トランジスタは、前記第2半導体膜上に設けられて、該第2半導体膜の前記第2チャネル領域上を覆う第2保護膜を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は前記第2保護膜上の一部に重なって、前記第2チャネル領域の一部に重なるように設けられている。
【0007】
また、本発明の他の態様は、電流生成回路であって、
カレントミラー回路を構成する、入力側トランジスタと互いにトランジスタサイズが異なる複数の階調トランジスタとを有し、前記入力用トランジスタは入力用電流路を有し、該入力用電流路の一端側に基準電流が供給されて該基準電流が前記入力用電流路に流れ、前記複数の階調トランジスタの各々は出力用電流路を有し、該出力用電流路に、前記基準電流と前記階調トランジスタのトランジスタサイズに応じた電流値の階調電流が流れて、該出力用電流路の一端側から前記階調電流を出力し、前記入力用電流路の他端側と前記出力用電流路の他端側とが接続されたカレントミラー回路部と、
前記複数の階調トランジスタから表示データの階調値に応じた前記階調トランジスタを選択して、選択した前記階調トランジスタの前記出力用電流路に流れる前記階調電流を合成した合成階調電流を負荷駆動電流として生成して出力するスイッチ回路部と、
を備え、
前記複数の階調トランジスタの各々は、前記出力用電流路を構成する第1チャネル領域が形成される第1半導体膜と、前記第1半導体膜上の前記第1チャネル領域を挟む一対の端部に、互いに離間して設けられ、前記出力用電流路の一端側をなす第1ドレイン電極及び前記出力用電流路の他端側をなす第1ソース電極と、を有し、
前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は、それぞれ、前記第1チャネル領域の一部に重なる、第1ドレイン側重なり領域と第1ソース側重なり領域とを有し、前記第1ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第1ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長いことを特徴とする。
好ましくは、前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第1チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値である。
好ましくは、前記複数の階調トランジスタの各々は、前記第1半導体膜上に設けられて、該第1半導体膜の前記第1チャネル領域上を覆う第1保護膜を有し、前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は前記第1保護膜上の一部に重なって、前記第1チャネル領域の一部に重なるように設けられている。
好ましくは、前記入力側トランジスタは、前記入力用電流路を構成する第2チャネル領域が形成される第2半導体膜と、前記第2半導体膜上の前記第2チャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、前記入力用電流路の一端側をなす第2ドレイン電極及び前記入力用電流路の他端側をなす第2ソース電極と、を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は、それぞれ、前記第2チャネル領域の一部に重なる、第2ドレイン側重なり領域と第2ソース側重なり領域とを有して設けられ、前記第2ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第2ドレイン側重なり領域電極における重なり長より長い。
好ましくは、前記第2ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第2チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値である。
好ましくは、前記入力側トランジスタは、前記第2半導体膜上に設けられて、該第2半導体膜の前記第2チャネル領域上を覆う第2保護膜を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は前記第2保護膜上の一部に重なって、前記第2チャネル領域の一部に重なるように設けられている。
そして、このような電流生成回路と、その電流生成回路より出力される負荷駆動電流により駆動される発光素子を有する複数の画素が配設された発光パネルとを備える発光装置は好適に機能する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、負荷に供給する電流を精度よく出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る、nチャネル型の薄膜トランジスタを用いたカレントミラー回路の一例を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカレントミラー回路に用いるnチャネル型の薄膜トランジスタの構造を示す説明図である。
【図3】薄膜トランジスタの飽和特性を説明するためのドレイン−ソース間電圧・ドレイン−ソース間電流特性曲線である。
【図4】従来の薄膜トランジスタの構造を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、pチャネル型の薄膜トランジスタを用いたカレントミラー回路の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカレントミラー回路に用いるpチャネル型の薄膜トランジスタの構造を示す説明図である。
【図7】ELディスプレイの内部構成を示す説明図である。
【図8】ELディスプレイの1画素に相当する画素回路を示す回路図である。
【図9】nチャネル型の薄膜トランジスタを用いた電流生成回路を示す回路図である。
【図10】pチャネル型の薄膜トランジスタを用いた電流生成回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
(カレントミラー回路)
図1は、本実施形態におけるnチャネル型の薄膜トランジスタを用いたカレントミラー回路の一例を示した回路図であり、図2は、本実施形態のカレントミラー回路に用いるnチャネル型の薄膜トランジスタの構造を示す断面図である。
【0012】
カレントミラー回路10は、図1に示すように、第1トランジスタ(入力側トランジスタ)Tr1と、第2トランジスタ(出力側トランジスタ)Tr2と、電流源CS1と、を備えている。第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2はnチャネル型の薄膜トランジスタである。
このカレントミラー回路10において、第1トランジスタTr1のゲート電極(g)に、第2トランジスタTr2のゲート電極(g)が接続されている。第1トランジスタTr1のソース電極(s)と第2トランジスタTr2のソース電極(s)とは接地電位Vgndに設定されて、接地されている。また、第1トランジスタTr1のゲート電極(g)とドレイン電極(d)が短絡されている。第1トランジスタTr1のドレイン電極(d)には第1電圧(+V1)が印加されるとともに、電流源CS1から入力電流I1が、第1トランジスタTr1側に引き込む方向に供給される。また、第2トランジスタTr2のドレイン電極(d)には第2電圧(+V2)が印加され、第2トランジスタTr2のドレイン電極(d)から出力電流I2が、第2トランジスタTr2に引き込む方向に出力される。
【0013】
具体的に、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2は、図2に示すように、ゲート電極1(g)と、第1絶縁膜12を介してゲート電極1(g)の上部に設けられて、チャネル領域が形成される真性な半導体膜2と、半導体膜2のチャネル領域を覆う保護膜3と、半導体膜2のチャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、保護膜3に一部が重なるソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)と、ソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)を覆う第2絶縁膜13等をそれぞれ有している。
なお、第1絶縁膜12と、第2絶縁膜13と、保護膜3とは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物を含有する絶縁膜である。また、ゲート電極1(g)、ソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)は、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜、及びAlTiNd合金膜の中から選択された材料で形成された電極である。
【0014】
ゲート電極1(g)は、基板11上に設けられており、ゲート電極1(g)を覆うように基板11の上面に第1絶縁膜12が成膜されている。この第1絶縁膜12の上であってゲート電極1(g)の上方に真性な半導体膜2が設けられている。この半導体膜2の略中央側に保護膜3が設けられている。
半導体膜2の一端部の上には、不純物半導体膜4が一部保護膜3に重なるようにして形成されており、その不純物半導体膜4の上にソース電極6(s)が設けられている。また、半導体膜2の他端部の上には、不純物半導体膜5が一部保護膜3に重なるようにして形成されており、その不純物半導体膜5の上にドレイン電極7(d)が設けられている。なお、不純物半導体膜4,5はn型不純物(ドナー型の不純物)を含むn型半導体である。
そして、ドレイン電極7(d)とソース電極6(s)との間にオン電流が流れるとき、半導体膜2の保護膜3に対応する領域にチャネルが形成され、ドレイン電極7(d)及びソース電極6(s)は不純物半導体膜4、5及び保護膜3を介して半導体膜2に形成されるチャネルに重なるように設けられている。ここで、ドレイン電極7(d)の、保護膜3上に設けられて半導体膜2のチャネルに重なる領域は本発明のドレイン側重なり領域に対応し、ソース電極6(s)の、保護膜3上に設けられて半導体膜2のチャネルに重なる領域は本発明のソース側重なり領域に対応する。また、ゲート電極1(g)は本発明の制御電極に対応し、チャネル領域は本発明の電流路に対応し、チャネル領域のドレイン電極7(d)側が本発明の電流路の一端側に対応し、チャネル領域のソース電極6(s)が本発明の電流路の他端側に対応する。
本実施形態においては、特に、図2に示すように、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2における少なくとも第2トランジスタTr2が、ソース電極6(s)とドレイン電極7(d)のうち、入力電流が供給される側又は出力電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsが、ドレイン電極7(d)の保護膜3への重なり長Ldより長く形成された構造を有している。これにより、トランジスタの飽和特性を向上させている。
詳しく後述する。ここで、ソース電極6(s)の保護膜3への重なり長Lsは、半導体膜2のチャネル領域におけるチャネル長Lの1/3〜1/2程度であることが好ましい。すなわち、例えば、チャネル長Lを8〜10μm、ドレイン電極7(d)の重なり長Ldを2μm程度としたとき、ソース電極6(s)の重なり長Lsを3〜5μm程度にする。具体的には、チャネル長Lを8μm程度としたとき、ドレイン電極7(d)の重なり長Ldを2μm程度、ソース電極6(s)の重なり長Lsを3μm程度とし、チャネル長Lを9μm程度としたとき、ドレイン電極7(d)の重なり長Ldを2μm程度、ソース電極6(s)の重なり長Lsを3〜4μm程度とし、チャネル長Lを10μm程度としたとき、ドレイン電極7(d)の重なり長Ldを2μm程度、ソース電極6(s)の重なり長Lsを3〜5μm程度とする。
ここで、上記の値の根拠について説明する。2μm程度に設定されるドレイン電極7(d)の重なり長Ldの値は、フォトリソグラフィー技術によりドレイン電極パターンを加工する際に見込まれる誤差範囲に基づいて設定されている値である。また、保護膜3上において対向して配置されるソース電極6(s)とドレイン電極7(d)とが確実に短絡されないようにするために、両者の間隔はフォトリソグラフィー技術による加工の分解能以上の3μm以上の値にする必要がある。一方、飽和特性を向上させるという観点では、ソース電極6(s)の重なり長Lsはできるだけ長い方がよい。しかしながら、ソース電極6(s)の重なり長Lsを長くするにはチャネル長Lを増加させることが必要になるが、チャネル長Lが増加するとオン電流が減少することになり、且つ、トランジスタの外形寸法も増加する。このため、ソース電極6(s)の重なり長Lsをむやみに長くすることはできない。このようなことから、例えばチャネル長Lを8〜10μm、ドレイン電極7(d)の重なり長Ldを2μmとしたとき、ソース電極6(s)の重なり長Lsを3〜5μm程度に設定するとした。
【0015】
そして、図1に示すように、このカレントミラー回路10の第1トランジスタTr1に電流源CS1より入力電流I1を流すと、第1トランジスタTr1のゲート電極(g)とドレイン電極(d)は短絡しているので、第1トランジスタTr1のゲート−ソース電圧Vg1とドレイン−ソース電圧Vd1が等しくなる。これにより第1トランジスタTr1は飽和領域で動作し、入力電流I1の電流値を変化させたときに、例えば図3に示す動作曲線SP1に沿って動作する。
また、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2のゲート電極(g)は接続されているうえ、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2のソース電極(s)はどちらも接地されているので、第2トランジスタTr2のゲート−ソース電圧Vg2は、Vg1と等しくなる。ここで、第2トランジスタTr2は、ドレイン−ソース間電圧Vd2(=V2)を変化させたとき、例えば図3に示す動作曲線SP2に沿って動作する。
こうした回路において、第2トランジスタTr2に印加するドレイン−ソース電圧Vd2(=V2)を充分にVd1より大きくし(図3においては、Vd2=8Vとした場合を示す)、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とが飽和領域において良好な飽和特性を有して、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とが同じトランジスタサイズ(チャネル長及びチャネル幅)を有しているとき、第2トランジスタTr2に流れる出力電流I2の電流値は、入力電流I1の電流値とほぼ等しくなる。
すなわち、カレントミラー回路10において、第1トランジスタTr1のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れる入力電流I1と、第2トランジスタTr2のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れる出力電流I2とがほぼ等しい電流値となる。
そして、このカレントミラー回路10は、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とが同じトランジスタサイズを有しているとき、第1トランジスタTr1に流す入力電流I1とほぼ等しい電流値の出力電流I2を、第2トランジスタTr2を通じて所定の負荷に供給することができ、例えば第1トランジスタTr1に対して第2トランジスタTr2のチャネル幅が2倍であるとき、入力電流I1のほぼ2倍の電流値を有する出力電流I2を負荷に供給することができる。
【0016】
特に、少なくとも第2トランジスタTr2は、図2に示すように、ソース電極とドレイン電極のうち、電流が供給される側又は電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側のソース電極6(s)の方がドレイン電極7(d)よりも保護膜3への重なり長が長く形成されている。これによって、第2トランジスタTr2のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れるオン電流が抑制されて、第2トランジスタTr2のトランジスタの飽和特性が向上しているので、出力電流I2を精度よく流すことができる。
つまり、第2トランジスタTr2におけるソース電極6(s)側の重なり長Lsによるチャネルへの重なり部分は、チャネルに対して負の電圧を印加する、チャネルを減少させる方向に作用するバックゲートとして機能して、のオン電流を抑制して、減少させる。これによって、図3の動作曲線SP2に示すように、トランジスタの飽和領域でのオン電流のドレイン電圧に対する増加が減少して、飽和特性が向上し、第2トランジスタTr2に流れる出力電流I2を、入力電流I1とほぼ等しくすることができるのである。ここで、第1トランジスタTr1も、第2トランジスタTr2と同様に、ソース電極6(s)の方がドレイン電極7(d)よりも保護膜3への重なり長が長く形成されていて、飽和特性が向上していることが好ましいが、第1トランジスタTr1においては、入力電流I1の電流値が一定値に固定されて、その動作曲線SP1上の動作点が固定されているため、その良好な飽和特性を有することは必須ではない。そして、第2トランジスタTr2のトランジスタサイズを適当な値に設定することで、出力電流I2の電流値が入力電流I1の電流値とほぼ等しくなるようにすることができる。
【0017】
これに対し、従来の薄膜トランジスタTrは、図4に示すように、保護膜3に重なるソース電極6とドレイン電極7の重なり長が同じ程度に設定されている。このため、ソース電極6側のチャネルへの重なりによるバックゲート効果の影響は少なく、オン電流が抑制されることがないので、例えば図3の動作曲線SP2’に示すように、トランジスタの飽和領域における特性が良好でなく、飽和領域でのオン電流のドレイン電圧に対する増加率が比較的大きい。
このようにトランジスタの飽和特性が良好でないと、第1トランジスタTr1に流れる入力電流I1’と、第2トランジスタTr2に流れる出力電流I2’との差が大きくなってしまい、I1=I2とした設計値通りの出力電流I2が流れない不具合が生じてしまう。
【0018】
以上のように、本実施形態においては、カレントミラー回路10を構成するnチャネル型の第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2のうちの少なくとも第2トランジスタTr2におけるソース電極とドレイン電極のうち、電流が供給される側又は電流を出力する側でなく、接地電位に設定された側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極7(d)における重なり長Ldよりも長く形成することによって、第2トランジスタTr2のトランジスタの飽和特性を向上させることができて、カレントミラー回路10によって入力電流I1に対して出力電流I2を精度よく流して、その出力電流I2を所定の負荷に供給することができる。
なお、更に、第1トランジスタTr1も、第2トランジスタTr2と同様に、ソース電極6(s)の保護膜3へのチャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極7(d)における重なり長Ldよりも長く形成した構造を有していてもよい。
【0019】
次に、pチャネル型の薄膜トランジスタを用いたカレントミラー回路について説明する。なお、カレントミラー回路10と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0020】
図5は、本実施形態におけるpチャネル型の薄膜トランジスタを用いたカレントミラー回路の一例を示した回路図である。
【0021】
カレントミラー回路20は、図5に示すように、第1トランジスタTr3と、第2トランジスタTr4とを備えている。第1トランジスタTr3と第2トランジスタTr4は、pチャネル型の薄膜トランジスタである。
このカレントミラー回路20において、第1トランジスタTr3のゲート電極(g)に、第2トランジスタTr4のゲート電極(g)が接続されている。第1トランジスタTr3のソース電極(s)と第2トランジスタTr4のソース電極(s)とは接地電位Vgndに設定されて、接地されている。また、第1トランジスタTr3のゲート電極(g)とドレイン電極(d)が短絡されている。第1トランジスタTr3のドレイン電極(d)には第1電圧(−V3)が印加されるとともに、電流源CS2から入力電流I1が、第1トランジスタTr3から押し出す方向に供給される。また、第2トランジスタTr4のドレイン電極(d)には第2電圧(−V4)が印加され、第2トランジスタTr4のドレイン電極(d)から出力電流I2が、第2トランジスタTr4から押し出す方向に出力される。
【0022】
具体的に、第1トランジスタTr3と第2トランジスタTr4は、図6に示すように、第1絶縁膜12を介してゲート電極1(g)の上部に設けられた真性な半導体膜2と、半導体膜2のチャネル領域を覆う保護膜3と、半導体膜2のチャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、保護膜3に一部が重なるソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)と、ソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)を覆う第2絶縁膜13等をそれぞれ有している。
そして、半導体膜2の一端部の上には、不純物半導体膜4が一部保護膜3に重なるようにして形成されており、その不純物半導体膜4の上にソース電極6(s)が設けられている。また、半導体膜2の他端部の上には、不純物半導体膜5が一部保護膜3に重なるようにして形成されており、その不純物半導体膜5の上にドレイン電極7(d)が設けられている。なお、不純物半導体膜4,5はp型不純物(アクセプター型の不純物)を含むp型半導体である。そして、第1トランジスタTr3及び第2トランジスタTr4においても、ドレイン電極7(d)とソース電極6(s)との間にオン電流が流れるとき、半導体膜2の保護膜3に対応する領域にチャネルが形成され、ドレイン電極7(d)及びソース電極6(s)は不純物半導体膜4、5及び保護膜3を介して半導体膜2に形成されるチャネルに重なるように設けられている。
特に、図2と同様に、図6に示すように、第1トランジスタTr3及び第2トランジスタTr4における少なくとも第2トランジスタTr4が、ソース電極6(s)とドレイン電極7(d)のうち、入力電流が供給される側又は出力電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsが、ドレイン電極7(d)の保護膜3への重なり長Ldより長く形成された構成を有している。これにより、少なくとも第2トランジスタTr4のトランジスタの飽和特性を向上させている。ここで、ソース電極6(s)の保護膜3への重なり長Lsは、半導体膜2のチャネル領域におけるチャネル長Lの1/3から1/2程度であることが好ましい。
【0023】
このようなカレントミラー回路20において、第1トランジスタTr3のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れる入力電流I1と、第2トランジスタTr4のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れる出力電流I2とがほぼ等しくなる。
こうして、カレントミラー回路20は、第1トランジスタTr3と第2トランジスタTr4とが同じトランジスタサイズを有しているとき、第1トランジスタTr3に流す入力電流I1とほぼ等しい電流値の出力電流I2を、第2トランジスタTr4を通じて所定の負荷に供給することができ、例えば第1トランジスタTr3に対して第2トランジスタTr4のチャネル幅が2倍であるとき、入力電流I1のほぼ2倍の電流値を有する出力電流I2を負荷に供給することができる。
【0024】
特に、少なくとも第2トランジスタTr4は、図6に示すように、ソース電極とドレイン電極のうち、電流が供給される側又は電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側のソース電極6(s)の方がドレイン電極7(d)よりも保護膜3への重なり長が長く形成されていることによって、第1トランジスタTr3と第2トランジスタTr4のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れるオン電流が抑制されて、第1トランジスタTr3と第2トランジスタTr4のトランジスタの飽和特性が向上しているので(図3参照)、出力電流I2を精度よく流すことができる。
【0025】
以上のように、カレントミラー回路20を構成するトランジスタが薄膜トランジスタであっても、pチャネル型の第2トランジスタTr4におけるソース電極とドレイン電極のうち、電流が供給される側又は電流を出力する側でなく、接地電位に設定された側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極7(d)における重なり長Ldよりも長く形成することによって、少なくとも第2トランジスタTr4のトランジスタの飽和特性を向上させることができて、カレントミラー回路20によって入力電流I1に対して出力電流I2を精度よく流して、その出力電流I2を所定の負荷に供給することができる。
なお、更に、第1トランジスタTr3も、第2トランジスタTr4と同様に、ソース電極6(s)の保護膜3へのチャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極7(d)における重なり長Ldよりも長く形成した構造を有していてもよい。
また、上記において、第1トランジスタTr1、Tr3及び第2トランジスタTr2、Tr4は、ゲート電極上に半導体膜が設けられ、半導体膜上にドレイン電極及びソース電極が設けられるボトムゲート構造を有するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、半導体膜の上部にゲート電極が設けられるトップゲート構造を有するものであってもよい。
【0026】
(電流生成回路、発光装置)
次に、カレントミラー回路を含む電流生成回路及び電流生成回路を備える発光装置について説明する。
本実施形態では、電流生成回路を利用して発光素子を発光させる発光装置を例に説明する。
【0027】
図7は、発光装置であるELディスプレイの内部構成を示す説明図である。
ELディスプレイ100は、図7に示すように、例えば、表示パネル101と、走査線駆動回路102と、データ線駆動回路103と、電圧供給線駆動回路104等を備えている。
【0028】
表示パネル101は、図7に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素回路110を有している。
表示パネル101には、その列方向に延在された複数のデータ線Xm(m=1〜M)と、各データ線Xmと交差して行方向に延在された複数の走査線Yn(n=1〜N)と、各データ線Xmと交差して行方向に延在された複数の電圧供給線Zn(n=1〜N)とが配設され、各画素回路には各データ線Xm、各走査線Yn及び各電圧供給線Znが接続されている。
【0029】
画素回路110は、図8に示すように、ゲート端子が走査線Yに、ソース端子が電圧供給線Zに、ドレイン端子が接点N11に各々接続されたnチャネル型トランジスタTr111と、ゲート端子が走査線Yに、ソース端子及びドレイン端子がデータ線X及び接点N12に各々接続されたnチャネル型トランジスタTr112と、ゲート端子が接点N11に、ソース端子及びドレイン端子が電圧供給線Z及び接点N12に各々接続されたnチャネル型トランジスタTr113と、接点N11と接点N12間に接続されたコンデンサCsと、アノード端子が上記画素駆動回路DCxの接点N12に接続され、カソード端子が一定電圧Vcom(例えば、接地電位Vgndに設定される)に各々接続された有機EL素子OELと、を備えている。
【0030】
この表示パネル101の周囲において各走査線Yが走査ドライバ(図示省略)を有する走査線駆動回路102に接続され、各データ線Xがデータドライバ105を有するデータ線駆動回路103に接続され、各電圧供給線Zが電圧ドライバ(図示省略)を有する電圧供給線駆動回路104に接続されており、これら駆動回路によって表示パネル101(ELディスプレイ100)がアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。
【0031】
電圧供給線駆動回路104は、適宜電圧信号を出力する電圧ドライバ(図示省略)によって、各電圧供給線Znに所定レベルの電圧を印加して、各画素回路110に駆動電流を供給可能とする。
走査線駆動回路102は、複数の走査線Ynの中の1本に選択信号を順次印加して1行分の画素回路110群を順次選択する。この選択された走査線Ynに接続されている画素回路110のスイッチトランジスタ111がオンになる。
データ線駆動回路103は、各データドライバ105により各データ線Xmをそれぞれ駆動して、走査線駆動回路102によって選択された走査線Ynに接続されている画素回路110に所定の階調に応じたレベルの電流信号を出力する。画素回路110における有機EL素子OELの駆動制御動作は書込動作期間と発光動作期間とを有し、まず、書込動作期間において、走査線駆動回路102より走査線Yに対して選択レベルの選択信号を印加するとともに、電圧供給線駆動回路104より電圧供給線Zにローレベルの電源電圧Vscを印加し、データ線駆動回路103よりデータ線Xに、電流信号として、有機EL素子OELを所定の輝度階調で発光動作させるために必要な所定の書込電流Ipixを供給する。書込電流Ipixはデータ線駆動回路103方向に引き込む方向に供給する。これにより、画素回路110のトランジスタTr111及びTr112がオン動作して、接点N11にローレベルの電源電圧Vscが印加され、トランジスタTr112を介してローレベルの電源電圧Vscよりも低電位の電圧レベルが接点N12に印加される。これにより、電圧供給線ZからトランジスタTr113、接点N12、トランジスタTr112を介して、データ線X方向に書込電流Ipixに対応した書込動作電流が流れ、コンデンサCsには、接点N11及びN12間に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。次いで、発光動作期間においては、走査線Yに対して非選択レベルの選択信号を印加するとともに、電圧供給線Zにハイレベルの電源電圧Vscを印加し、書込電流Ipixの引き込み動作を停止する。これにより、トランジスタTr111及びTr112がオフ動作して、接点N11への電源電圧Vscの印加が遮断され、コンデンサCxは、書込動作において蓄積された電荷を保持する。これによりトランジスタTr113はオン状態を維持し、電圧供給線Zにはハイレベルの電源電圧Vscが印加されているので、電圧供給線ZからトランジスタTr113、接点N12を介して、有機EL素子OELに順バイアス方向に発光駆動電流が流れ、有機EL素子OELが所定の輝度階調で発光する。
【0032】
次に、データ線駆動回路103のデータドライバ105の回路構成について説明する。
【0033】
データドライバ105は、例えば、図9に示すような、電流生成回路30を備えている。
電流生成回路30は、図9に示すように、基準電流Irefに対して、各々異なる比率の電流値を有する複数の階調電流Idsa、Idsb、Idsc、Idsdを生成するカレントミラー回路部31と、図示しない信号ラッチ部から出力される出力信号d10〜d13に基づいて、複数の階調電流Idsa〜Idsdのうち、任意の階調電流を選択する選択手段としてのスイッチ回路部32と、を備えている。
【0034】
具体的に、カレントミラー回路部31は、図9に示すように、基準電流Irefが供給される電流入力接点INiと接地電位Vgndとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、ゲート電極とドレイン電極とが接点Ngに接続されたnチャネル型の基準トランジスタ(入力側トランジスタ)Tr21と、各接点Na、Nb、Nc、Ndと接地電位Vgndとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、各ゲート電極が接点Ngに共通に接続された複数(本実施形態では4つ)の、互いにトランジスタサイズが異なる、nチャネル型の階調トランジスタTr22、Tr23、Tr24、Tr25と、を備えた構成を有している。また、接点Ngと接地電位Vgndとの間に容量C1が設けられている。
【0035】
また、スイッチ回路部32は、図9に示すように、所定の負荷である有機EL素子OELを備える画素回路110(図7参照)に接続される電流出力接点OUTiと各接点Na、Nb、Nc、Ndとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、各ゲート電極に図示しない信号ラッチ部から個別に出力される出力信号d10〜d13が印加される複数(本実施形態では4つ)のnチャネル型のトランジスタTr26、Tr27、Tr28、Tr29と、を備えた構成を有している。
【0036】
ここで、本実施形態の電流生成回路30においては、特に、カレントミラー回路部31を構成する各階調トランジスタTr22〜Tr25に流れる階調電流Idsa〜Idsdが、基準トランジスタTr21に流れる基準電流Irefに対して、各々異なる所定の比率の電流値を有するように設定されている。具体的には、各階調トランジスタTr22〜Tr25のトランジスタサイズが、各々異なる比率、例えば、各階調トランジスタTr22〜Tr25のチャネル長を一定とした場合の各チャネル幅の比(W2:W3:W4:W5)が1:2:4:8になるように形成されている。
これにより、各階調トランジスタTr22〜Tr25に流れる階調電流Idsa〜Idsdの電流値は、基準トランジスタTr21のチャネル幅をW1とすると、各々Idsa=(W2/W1)×Iref、Idsb=(W3/W1)×Iref、Idsc=(W4/W1)×Iref、Idsd=(W5/W1)×Irefに設定される。すなわち、階調トランジスタTr22〜Tr25のチャネル幅を、各々2(n=0、1、2、3、…;2=1、2、4、8、…)に設定することにより、階調電流間の電流値を2で規定される比率に設定することができる。
【0037】
このように電流値が設定された各階調電流Idsa〜Idsdから、任意の階調電流を選択して合成することにより、2段階の電流値を有する合成階調電流である負荷駆動電流IDが生成され、電流出力接点OUTiから出力されることになる。
例えば、4ビットのデジタル信号が適用された出力信号d10〜d13に基づくトランジスタTr26〜Tr29のオン状態に応じて、トランジスタTr26〜Tr29にそれぞれ接続されている階調電流トランジスタTr22〜Tr25を選択し、選択された階調電流トランジスタTr22〜Tr25に流れる階調電流Idsa〜Idsdを合成する場合、2=16段階の異なる電流値を有する負荷駆動電流IDが生成されて出力される。
【0038】
このような構成を有する電流生成回路30において、図示しない信号ラッチ部から出力される出力信号d10〜d13の信号レベルに応じて、スイッチ回路部32の特定のトランジスタがオン動作(トランジスタTr26〜Tr29の何れか1つ以上がオン動作する場合のほか、全てのトランジスタTr26〜Tr29がオフ動作する場合を含む)し、オン動作したトランジスタ(Tr26〜Tr29)に接続されたカレントミラー回路部31の階調トランジスタ(Tr22〜Tr25の何れか1つ以上)に、基準トランジスタTr21に流れる基準電流Irefに対して、所定比率(a×2倍;aは基準トランジスタTr21のチャネル幅W1により規定される定数)の電流値を有する階調電流Idsa〜Idsdが流れる。そして、上述したように、電流出力接点OUTiにおいて、これらの階調電流(Idsa〜Idsd)の合成値となる電流値を有する負荷駆動電流IDが、所定の負荷側(図7に示す画素回路110、図8に示す有機EL素子OEL)から、電流出力接点OUTi、オン状態にあるトランジスタ(Tr26〜Tr29のいずれか)及び階調トランジスタ(Tr22〜Tr25のいずれか)を介して接地電位Vgndに流れる。
【0039】
従って、電流生成回路30においては、図示しない信号ラッチ部の出力信号d10〜d13に応じて、スイッチ回路部32とカレントミラー回路部31により、所定の電流値を有する負荷駆動電流IDが電流信号として生成されて、所定の負荷である有機EL素子OEL(画素回路110)に供給されることになる。
なお、この電流生成回路30では、負荷側から電流生成回路30側に電流を引き込む方向に負荷駆動電流IDが流れる。
【0040】
特に、この電流生成回路30の少なくとも各階調トランジスタTr22〜Tr25は、前述したカレントミラー回路10の第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2と同様に、第1絶縁膜12を介してゲート電極1(g)の上部に設けられた半導体膜2と、半導体膜2のチャネル領域を覆う保護膜3と、半導体膜2のチャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、保護膜3に一部が重なるソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)と、ソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)を覆う第2絶縁膜13等をそれぞれ備えた構造を有している(図2参照)。
そして、各階調トランジスタTr22〜Tr25のソース電極とドレイン電極のうち、階調電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsが、ドレイン電極7(d)の保護膜3への重なり長Ldより長く形成されている(図2参照)。
こうして少なくとも各階調トランジスタTr22〜Tr25において、電流が流れ込む側のソース電極(s)の方がドレイン電極(d)よりも保護膜への重なり長が長く形成されていることによって、少なくとも各トランジスタ(Tr22〜Tr25)のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れるオン電流が抑制されて、少なくとも各トランジスタ(Tr22〜Tr25)の飽和特性が向上しているので、基準電流Irefに応じた各比率の階調電流を精度よく流すことができ、好適な負荷駆動電流IDを有機EL素子OEL(画素回路110)に供給することができる。
【0041】
以上のように、電流生成回路30におけるnチャネル型の基準トランジスタTr21及び各階調トランジスタTr22〜Tr25のうちの少なくとも各階調トランジスタTr22〜Tr25の各々におけるソース電極とドレイン電極のうち、基準電流Irefが供給される側又は出力電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極(s)の保護膜への重なり長Lsを、ドレイン電極(d)の保護膜への重なり長Ldよりも長く形成することによって、少なくとも各トランジスタTr22〜Tr25のトランジスタの飽和特性を向上させることができ、基準電流Irefに応じた各比率の階調電流を生成して、その階調電流を合成した負荷駆動電流IDを精度よく流すことができる。
そして、精度よい負荷駆動電流IDを有機EL素子OEL(画素回路110)に供給することができ、ELディスプレイ100を良好に発光させて、画像や映像を好適に表示することが可能になる。
なお、更に、基準トランジスタTr21も、各階調トランジスタTr22〜Tr25と同様に、ソース電極(s)の保護膜へのチャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極(d)における重なり長Ldよりも長く形成した構造を有していてもよい。
【0042】
次に、pチャネル型のトランジスタを用いた電流生成回路40について説明する。
なお、ELディスプレイ100(表示パネル101、走査線駆動回路102、データ線駆動回路103、電圧供給線駆動回路104)の構成については、説明を割愛する。
【0043】
ELディスプレイ100におけるデータ線駆動回路103のデータドライバ105は、例えば、図10に示すような、電流生成回路40を備えていてもよい。
【0044】
電流生成回路40は、図10に示すように、基準電流Irefに対して、各々異なる比率の電流値を有する複数の階調電流Idsi、Idsj、Idsk、Idslを生成するカレントミラー回路部41と、図示しない信号ラッチ部から出力される出力信号d10〜d13に基づいて、複数の階調電流Idsi〜Idslのうち、任意の階調電流を選択する選択手段としてのスイッチ回路部42と、を備えている。
【0045】
具体的に、カレントミラー回路部41は、図10に示すように、電流入力接点INiと接地電位Vgndとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、ゲート電極とドレイン電極とが接点Nhに接続されたpチャネル型の基準トランジスタTr51と、各接点Ni、Nj、Nk、Nlと接地電位Vgndとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、各ゲート電極が接点Nhに共通に接続された複数(本実施形態では4つ)の、互いにトランジスタサイズが異なる、pチャネル型の階調トランジスタTr52、Tr53、Tr54、Tr55と、を備えた構成を有している。また、接点Nhと接地電位Vgndとの間に容量C1が設けられている。
【0046】
また、スイッチ回路部42は、図10に示すように、所定の負荷である有機EL素子OELを備える画素回路110(図7参照)に接続される電流出力接点OUTiと各接点Ni、Nj、Nk、Nlとの間にドレイン電極−ソース電極が接続されるとともに、各ゲート電極に図示しない信号ラッチ部から個別に出力される出力信号d10〜d13が印加される複数(本実施形態では4つ)のpチャネル型のトランジスタTr56、Tr57、Tr58、Tr59と、を備えた構成を有している。
【0047】
ここで、本実施形態の電流生成回路40においては、特に、カレントミラー回路部41を構成する各階調トランジスタTr52〜Tr55に流れる階調電流Idsi〜Idslが、基準トランジスタTr51に流れる基準電流Irefに対して、各々異なる所定の比率の電流値を有するように設定されている。具体的には、各階調トランジスタTr52〜Tr55のトランジスタサイズが、各々異なる比率、例えば、各階調トランジスタTr52〜Tr55のチャネル長を一定とした場合の各チャネル幅の比(W2:W3:W4:W5)が1:2:4:8になるように形成されている。
これにより、各階調トランジスタTr52〜Tr55に流れる階調電流Idsi〜Idslの電流値は、基準トランジスタTr51のチャネル幅をW1とすると、各々Idsi=(W2/W1)×Iref、Idsj=(W3/W1)×Iref、Idsk=(W4/W1)×Iref、Idsl=(W5/W1)×Irefに設定される。すなわち、階調トランジスタTr52〜Tr55のチャネル幅を、各々2(n=0、1、2、3、…;2=1、2、4、8、…)に設定することにより、階調電流間の電流値を2で規定される比率に設定することができる。
【0048】
このように電流値が設定された各階調電流Idsi〜Idslから、任意の階調電流を選択して合成することにより、2段階の電流値を有する合成階調電流である負荷駆動電流IDが生成され、電流出力接点OUTiに供給されることになる。
例えば、4ビットのデジタル信号が適用された出力信号d10〜d13に基づくトランジスタTr56〜Tr59のオン状態に応じて、トランジスタTr56〜Tr59にそれぞれ接続されている階調電流トランジスタTr52〜Tr55を選択し、選択された階調電流トランジスタTr52〜Tr55に流れる階調電流Idsi〜Idslを合成する場合、2=16段階の異なる電流値を有する負荷駆動電流IDが生成される。
【0049】
このような構成を有する電流生成回路40において、図示しない信号ラッチ部から出力される出力信号d10〜d13の信号レベルに応じて、スイッチ回路部42の特定のトランジスタがオン動作(トランジスタTr56〜Tr59の何れか1つ以上がオン動作する場合のほか、全てのトランジスタTr56〜Tr59がオフ動作する場合を含む)し、オン動作したトランジスタ(Tr56〜Tr59)に接続されたカレントミラー回路部41の階調トランジスタ(Tr52〜Tr55の何れか1つ以上)に、基準トランジスタTr51に流れる基準電流Irefに対して、所定比率(a×2倍;aは基準トランジスタTr51のチャネル幅W1により規定される定数)の電流値を有する階調電流Idsi〜Idslが流れる。そして、上述したように、電流出力接点OUTiにおいて、これらの階調電流(Idsi〜Idsl)の合成値となる電流値を有する負荷駆動電流IDが、所定の負荷側(図7に示す画素回路110、図8に示す有機EL素子OEL)に向けて、電流出力接点OUTi、オン状態にあるトランジスタ(Tr56〜Tr59のいずれか)及び階調トランジスタ(Tr52〜Tr55のいずれか)を介して接地電位Vgndから流れる。
【0050】
従って、電流生成回路40においては、図示しない信号ラッチ部の出力信号d10〜d13に応じて、スイッチ回路部42とカレントミラー回路部41により、所定の電流値を有する負荷駆動電流IDが電流信号として生成されて、所定の負荷である有機EL素子OEL(画素回路110)に供給されることになる。
なお、この電流生成回路40では、負荷側に向け電流生成回路40側から電流を流し込む方向に負荷駆動電流IDが流れる。
【0051】
特に、この電流生成回路40の基準トランジスタTr51及び各階調トランジスタTr52〜Tr55における少なくとも各階調トランジスタTr52〜Tr55は、前述したカレントミラー回路20の第2トランジスタTr4と同様に、第1絶縁膜12を介してゲート電極1(g)の上部に設けられた半導体膜2と、半導体膜2のチャネル領域を覆う保護膜3と、半導体膜2のチャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、保護膜3に一部が重なるソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)と、ソース電極6(s)及びドレイン電極7(d)を覆う第2絶縁膜13等をそれぞれ備えた構造を有している(図6参照)。
そして、各階調トランジスタTr52〜Tr55のソース電極とドレイン電極のうち、階調電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極6(s)の保護膜3への、チャネル長方向の重なり長Lsが、ドレイン電極7(d)の保護膜3への重なり長L(d)より長く形成されている(図6参照)。
こうして少なくとも各階調トランジスタTr52〜Tr55において、電流が流れ込む側のドレイン電極(d)の方がソース電極(s)よりも保護膜への重なり長が長く形成されていることによって、各トランジスタ(Tr52〜Tr55)のドレイン電極(d)とソース電極(s)間に流れるオン電流が抑制されて、各トランジスタ(Tr51〜Tr55)の飽和特性が向上しているので、基準電流Irefに応じた各比率の階調電流を精度よく流すことができ、好適な負荷駆動電流IDを有機EL素子OEL(画素回路110)に供給することができる。
【0052】
以上のように、電流生成回路40におけるpチャネル型の基準トランジスタTr51及び各階調トランジスタTr52〜Tr55のうちの少なくとも各階調トランジスタTr52〜Tr55におけるソース電極とドレイン電極のうち、基準電流Irefが供給される側又は出力電流を出力する側でなく、接地電位に設定される側の電極であるソース電極(s)の保護膜への重なり長Lsを、ドレイン電極(d)の保護膜への重なり長Ldよりも長く形成することによって、少なくとも各トランジスタTr52〜Tr55のトランジスタの飽和特性を向上させることができ、基準電流Irefに応じた各比率の階調電流を生成して、その階調電流を合成した負荷駆動電流IDを精度よく流すことができる。
そして、精度よい負荷駆動電流IDを有機EL素子OEL(画素回路110)に供給することができ、ELディスプレイ100を良好に発光させて、画像や映像を好適に表示することが可能になる。
なお、更に、基準トランジスタTr51も、各階調トランジスタTr52〜Tr55と同様に、ソース電極(s)の保護膜へのチャネル長方向の重なり長Lsを、ドレイン電極(d)における重なり長Ldよりも長く形成した構造を有していてもよい。
【0053】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
10、20 カレントミラー回路
Tr1、Tr3 第1トランジスタ
Tr2、Tr4 第2トランジスタ
1 ゲート電極
2 半導体膜
3 保護膜
6 ソース電極
7 ドレイン電極
12 第1絶縁膜(絶縁膜)
30、40 電流生成回路
31、41 カレントミラー回路部
32、42 スイッチ回路部(選択手段)
Tr21、Tr51 基準トランジスタ
Tr22〜Tr25、Tr52〜Tr55 階調トランジスタ
100 ELディスプレイ(発光装置)
101 表示パネル
103 データ線駆動回路
105 データドライバ
110 画素回路
OEL 有機EL素子(負荷、発光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側トランジスタと出力側トランジスタとを有し、
前記入力側トランジスタは入力用電流路を有し、該入力用電流路の一端側に入力電流が供給されて該入力電流が前記入力用電流路に流れ、
前記出力側トランジスタは出力用電流路を有し、該出力用電流路に出力電流が流れ、該出力用電流路の一端側から前記出力電流を出力し、
前記入力用電流路の他端側と前記出力用電流路の他端側とは接続され、
前記出力側トランジスタは、前記出力用電流路を構成する第1チャネル領域が形成される第1半導体膜と、前記第1半導体膜上の前記第1チャネル領域を挟む一対の端部に、互いに離間して設けられ、前記出力用電流路の前記一端側をなす第1ドレイン電極及び前記出力用電流路の前記他端側をなす第1ソース電極と、を有し、
前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は、それぞれ、前記第1チャネル領域の一部に重なる、第1ドレイン側重なり領域と第1ソース側重なり領域とを有し、前記第1ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第1ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長いことを特徴とするカレントミラー回路。
【請求項2】
前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値であることを特徴とする請求項1に記載のカレントミラー回路。
【請求項3】
前記チャネル長は8〜10μmであり、前記第1ドレイン側重なり領域における前記重なり長は2μm以下であり、前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は3〜5μmであることを特徴とする請求項2に記載のカレントミラー回路。
【請求項4】
前記出力側トランジスタは、前記第1半導体膜上に設けられて、該第1半導体膜の前記第1チャネル領域上を覆う第1保護膜を有し、前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は前記第1保護膜上の一部に重なって、前記第1チャネル領域の一部に重なるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカレントミラー回路。
【請求項5】
前記入力側トランジスタは、前記入力用電流路を構成する第2チャネル領域が形成される第2半導体膜と、前記第2半導体膜上の前記第2チャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、前記入力用電流路の前記一端側をなす第2ドレイン電極及び前記入力用電流路の前記他端側をなす第2ソース電極と、を有し、
前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は、それぞれ、前記第2チャネル領域の一部に重なる、第2ドレイン側重なり領域と第2ソース側重なり領域とを有して設けられ、前記第2ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第2ドレイン電極の前記第2ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長い構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカレントミラー回路。
【請求項6】
前記第2ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第2チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値であることを特徴とする請求項5に記載のカレントミラー回路。
【請求項7】
前記入力側トランジスタは、前記第2半導体膜上に設けられて、該第2半導体膜の前記第2チャネル領域上を覆う第2保護膜を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は前記第2保護膜上の一部に重なって、前記第2チャネル領域の一部に重なるように設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のカレントミラー回路。
【請求項8】
カレントミラー回路を構成する、入力側トランジスタと互いにトランジスタサイズが異なる複数の階調トランジスタとを有し、前記入力用トランジスタは入力用電流路を有し、該入力用電流路の一端側に基準電流が供給されて該基準電流が前記入力用電流路に流れ、前記複数の階調トランジスタの各々は出力用電流路を有し、該出力用電流路に、前記基準電流と前記階調トランジスタのトランジスタサイズに応じた電流値の階調電流が流れて、該出力用電流路の一端側から前記階調電流を出力し、前記入力用電流路の他端側と前記出力用電流路の他端側とが接続されたカレントミラー回路部と、
前記複数の階調トランジスタから表示データの階調値に応じた前記階調トランジスタを選択して、選択した前記階調トランジスタの前記出力用電流路に流れる前記階調電流を合成した合成階調電流を負荷駆動電流として生成して出力するスイッチ回路部と、
を備え、
前記複数の階調トランジスタの各々は、前記出力用電流路を構成する第1チャネル領域が形成される第1半導体膜と、前記第1半導体膜上の前記第1チャネル領域を挟む一対の端部に、互いに離間して設けられ、前記出力用電流路の一端側をなす第1ドレイン電極及び前記出力用電流路の他端側をなす第1ソース電極と、を有し、
前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は、それぞれ、前記第1チャネル領域の一部に重なる、第1ドレイン側重なり領域と第1ソース側重なり領域とを有し、前記第1ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第1ドレイン側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長より長いことを特徴とする電流生成回路。
【請求項9】
前記第1ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第1チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値であることを特徴とする請求項8に記載の電流生成回路。
【請求項10】
前記複数の階調トランジスタの各々は、前記第1半導体膜上に設けられて、該第1半導体膜の前記第1チャネル領域上を覆う第1保護膜を有し、前記第1ドレイン電極及び前記第1ソース電極は前記第1保護膜上の一部に重なって、前記第1チャネル領域の一部に重なるように設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の電流生成回路。
【請求項11】
前記入力側トランジスタは、前記入力用電流路を構成する第2チャネル領域が形成される第2半導体膜と、前記第2半導体膜上の前記第2チャネル領域を挟む一対の端部に離間して設けられ、前記入力用電流路の一端側をなす第2ドレイン電極及び前記入力用電流路の他端側をなす第2ソース電極と、を有し、
前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は、それぞれ、前記第2チャネル領域の一部に重なる、第2ドレイン側重なり領域と第2ソース側重なり領域とを有して設けられ、前記第2ソース側重なり領域におけるチャネル長方向の重なり長が、前記第2ドレイン側重なり領域電極における重なり長より長いことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の電流生成回路。
【請求項12】
前記第2ソース側重なり領域における前記重なり長は、前記第2チャネル領域におけるチャネル長の1/3乃至1/2の値であることを特徴とする請求項11に記載の電流生成回路。
【請求項13】
前記入力側トランジスタは、前記第2半導体膜上に設けられて、該第2半導体膜の前記第2チャネル領域上を覆う第2保護膜を有し、前記第2ドレイン電極及び前記第2ソース電極は前記第2保護膜上の一部に重なって、前記第2チャネル領域の一部に重なるように設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の電流生成回路。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の電流生成回路と、該電流生成回路より出力される前記負荷駆動電流により駆動される、発光素子を有する複数の画素が配設された発光パネルと、を備えることを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−69616(P2012−69616A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211570(P2010−211570)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】