説明

ガス放出孔部材を一体焼結したシャワープレートおよびその製造方法

【課題】プラズマの逆流防止のためにシャワープレートの縦孔内に配置されるガス放出孔部材(セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体)が隙間無く一体的に焼結結合され、シャワープレートの使用時に縦孔から脱落することがなく、また各縦孔からのガス放出量のバラツキがなく、プラズマの逆流の発生をより完全に防止でき、効率の良いプラズマ励起が可能なシャワープレートを提供すること。
【解決手段】プラズマ処理装置の処理室102に配置され、処理室102にプラズマを発生させるためにプラズマ励起用ガスを放出するシャワープレート105において、プラズマ励起用ガスの放出経路となる多数個の縦孔105内に、孔径が20μm乃至70μmのガス放出孔を複数個有するセラミックス部材、および/または最大気孔径が75μm以下のガス流通方向に連通した気孔を有する多孔質ガス流通体を一体的に焼結結合して配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置、とくにマイクロ波プラズマ処理装置に使用するシャワープレートおよびその製造方法、並びにそのシャワープレートを用いたプラズマ処理装置、プラズマ処理方法および電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理工程およびプラズマ処理装置は、近年のいわゆるディープサブミクロン素子あるいはディープサブクォーターミクロン素子と呼ばれる0.1μm、あるいはそれ以下のゲート長を有する超微細化半導体装置の製造や、液晶表示装置を含む高解像度平面表示装置の製造にとって、不可欠の技術である。
【0003】
半導体装置や液晶表示装置の製造に使われるプラズマ処理装置としては、従来より様々なプラズマの励起方式が使われているが、とくに平行平板型高周波励起プラズマ処理装置あるいは誘導結合型プラズマ処理装置が一般的である。しかしこれら従来のプラズマ処理装置は、プラズマ形成が不均一であり、電子密度の高い領域が限定されているため大きな処理速度、すなわちスループットで被処理基板全面にわたり均一なプロセスを行うのが困難である問題点を有している。この問題は、とくに大径の基板を処理する場合に深刻になる。しかもこれら従来のプラズマ処理装置では、電子温度が高いため被処理基板上に形成される半導体素子にダメージが生じ、また処理室壁のスパッタリングによる金属汚染が大きいなど、いくつかの本質的な問題を有している。このため、従来のプラズマ処理装置では、半導体装置や液晶表示装置のさらなる微細化およびさらなる生産性の向上に対する厳しい要求を満たすことが困難になりつつある。
【0004】
これに対して、従来より直流磁場を用いずにマイクロ波電界により励起された高密度プラズマを使うマイクロ波プラズマ処理装置が提案されている。例えば、均一なマイクロ波を発生するように配列された多数のスロットを有する平面状のアンテナ(ラジアルラインスロットアンテナ)から処理室内にマイクロ波を放射し、このマイクロ波電界により処理室内のガスを電離してプラズマを励起させる構成のプラズマ処理装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。このような手法で励起されたマイクロ波プラズマではアンテナ直下の広い領域にわたって高いプラズマ密度を実現でき、短時間で均一なプラズマ処理を行うことが可能である。しかもかかる手法で形成されたマイクロ波プラズマではマイクロ波によりプラズマを励起するため電子温度が低く、被処理基板のダメージや金属汚染を回避することができる。さらに大面積基板上にも均一なプラズマを容易に励起できるため、大口径半導体基板を使った半導体装置の製造工程や大型液晶表示装置の製造にも容易に対応できる。
【0005】
これらのプラズマ処理装置においては、通常、処理室内にプラズマ励起用ガスを均一に供給するために、ガス放出孔として複数の縦孔を備えたシャワープレートが使用されている。しかし、シャワープレートの使用によって、シャワープレート直下に形成されたプラズマがシャワープレートの縦孔に逆流することがある。縦孔にプラズマが逆流すると、異常放電やガスの堆積が発生し、プラズマを励起するためのマイクロ波の伝送効率や歩留まりの劣化が発生してしまうという問題がある。
【0006】
このプラズマの縦孔への逆流を防止するための手段として、シャワープレートの構造の改良が多く提案されている。
【0007】
例えば、特許文献2には、縦孔先端のガス放出孔の孔径をシャワープレートの直下に形成されるプラズマのシース厚の2倍より小さくすることが有効であることが開示されている。しかし、ガス放出孔の孔径を小さくするだけでは、プラズマの逆流を防止する手段としては不十分である。とくに、ダメージを低減し処理速度を高める目的のために、プラズマ密度を従来の1012cm−3程度から1013cm−3程度に高めようとすると、プラズマの逆流が顕著となり、ガス放出孔の孔径の制御だけではプラズマの逆流を防止することはできない。また、微細な孔径のガス放出孔をシャワープレート本体に孔加工により形成することは困難であり、加工性の問題もある。
【0008】
また、特許文献3には、通気性の多孔質セラミックス焼結体からなるシャワープレートを使用することも提案されている。これは、多孔質セラミックス焼結体を構成する多数の気孔の壁によりプラズマの逆流を防止しようとするものである。
【0009】
しかし、この常温・常圧で焼結された一般的な多孔質セラミックス焼結体からなるシャワープレートは、その気孔径が数μmから数十μm程度の大きさまでバラツキが大きく、さらに最大結晶粒子径が20μm程度と大きくて組織が均一でないため、表面平坦性が悪く、また、プラズマに接する面を多孔質セラミックス焼結体とすると、実効表面積が増えてしまい、プラズマの電子・イオンの再結合が増加してしまい、プラズマ励起の電力効率が悪いという問題点がある。ここで、上記特許文献3には、シャワープレート全体を多孔質セラミックス焼結体で構成する代わりに、緻密なアルミナからなるシャワープレートにガス放出用の開口部を形成し、この開口部に常温・常圧で焼結された一般的な多孔質セラミックス焼結体を装着し、この多孔質セラミックス焼結体を介してガスを放出する構造も開示されている。しかし、この構造においても、常温・常圧で焼結された一般的な多孔質セラミックス焼結体を使用するので、表面平坦性の悪さから発生する上記の問題点は解消されない。
【0010】
また、本願出願人は、先に、特許文献4において、シャワープレートの構造面からではなくガス放出孔の直径寸法の調整によるプラズマの逆流を防止するための手段を提案した。すなわち、ガス放出孔の直径寸法を0.1〜0.3mm未満とし、しかも、その直径寸法公差を±0.002mm以内の精度とすることにより、プラズマの逆流を防止するとともに、ガスの放出量のバラツキをなくしたものである。
【0011】
ところが、このシャワープレートを、プラズマ密度を1013cm−3に高めた条件で実際にマイクロ波プラズマ処理装置で使用したところ、図10に示すように、シャワープレート本体400とカバープレート401との間に形成されたプラズマ励起用ガスを充填する空間402とそれに連通する縦孔403にプラズマが逆流したためと思われる薄茶色の変色部分が見られた。
【0012】
以上の問題を解決するために、本願出願人は、先に、特許文献5〜7において、プラズマ励起用ガスの放出経路となるシャワープレートの縦孔内に、ガス放出孔を複数個有するセラミックス部材あるいはガス流通方向に連通した気孔を有する多孔質ガス流通体を装着することを提案した。
【0013】
これらの特許文献5〜7で提案したシャワープレートによれば、プラズマ密度を1013cm−3に高めた条件化でもプラズマ逆流を防止できるようになった。
【0014】
しかし、このシャワープレートをマイクロ波プラズマ処理装置で繰り返し使用したところ、シャワープレートの縦孔内に装着したセラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体の一部または全部がシャワープレートの縦孔から脱落するという問題が生じることがあった。これは、シャワープレートの使用時に発生する熱応力あるいは熱歪みにより、シャワープレートの縦孔とセラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体との間の密着性が低下したことによるものと思われる。
【特許文献1】特開平9−63793号公報
【特許文献2】特開2005−33167号公報
【特許文献3】特開2004−39972号公報
【特許文献4】特願2005−120256号
【特許文献5】特願2006−163357号
【特許文献6】特願2006−198762号
【特許文献7】特願2006−198754号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、本願出願人が先に特許文献5〜7で提案した技術の改良に係るもので、その課題は、プラズマの逆流防止のためにシャワープレートの縦孔内に配置されるガス放出孔部材(セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体)が隙間無く一体的に焼結結合され、シャワープレートの使用時に縦孔から脱落することがなく、また各縦孔からのガス放出量のバラツキがなく、プラズマの逆流の発生をより完全に防止でき、効率の良いプラズマ励起が可能なシャワープレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体をシャワープレートの縦孔内に焼結結合させることによって上記課題を解決するものである。また本発明では、セラミックス部材に設けるガス放出孔の孔径を20μm乃至70μmとし、好ましくはガス放出孔の長さと孔径とのアスペクト比(長さ/孔径)が20以上とし、さらに多孔質ガス流通体の最大気孔径を75μm以下とし、しかもガス流通経路における隘路の気孔径を10μm以下とすることで、プラズマの逆流の発生をより完全に防止できるようにする。
【0017】
すなわち、本発明のシャワープレートは、プラズマ処理装置に配置され、前記装置内にプラズマを発生させるためにプラズマ励起用ガスを放出するシャワープレートにおいて、プラズマ励起用ガスの放出経路となる多数個の縦孔内に、孔径が20μm乃至70μmのガス放出孔を複数個有するセラミックス部材、および/または最大気孔径が75μm以下のガス流通方向に連通した気孔を有する多孔質ガス流通体が一体的に焼結結合されていることを特徴とするものである。
【0018】
このように、セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体をシャワープレートの縦孔内に、ガス流通経路となるような隙間が無いように一体的に焼結結合させることで、セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体がシャワープレートの縦孔に確実に固定され、シャワープレートの使用時に熱応力あるいは熱歪みが発生したとしても脱落することはなく、さらには各縦孔からのガス放出量をバラツキ無く一定量にすることができる。また、セラミックス部材に設けるガス放出孔の孔径を20μm乃至70μm、多孔質ガス流通体の最大気孔径を75μm以下で、しかもガス流通経路における隘路の気孔径を10μm以下とすることで、プラズマの逆流の発生をより完全に防止できる。
【0019】
本発明で使用するセラミックス部材および多孔質ガス流通体は、誘電損失が5×10−3乃至1×10−5の範囲の低誘電損失のセラミックス材料で構成することが好ましい。例えば、高純度アルミナおよび微量の粒成長抑制剤やYおよびムライト等を配合したアルミナ系セラミックス材料、あるいはAlとYとの成分からなる材料、またはAlとYとの化合物であるガーネット成分を含む材料、さらにはAlN、SiO、ムライト、Si、SiAlON等が挙げられる。
【0020】
また本発明では、セラミックス部材のガス放出孔の長さと孔径とのアスペクト比(長さ/孔径)は20以上とすることが好ましい。図9は、ガス放出孔のアスペクト比とプラズマの逆流の関係を示す説明図である。プラズマ処理装置の処理室内の圧力が低くなると平均自由行程が長くなり、プラズマを構成する電子が直線的に進む距離が長くなる。このように、電子が直線的に進むと仮定すると、図9に示すプラズマの進入可能角度θは、ガス放出孔Aのアスペクト比によって一義的に決まる。すなわち、ガス放出孔Aのアスペクト比を大きくすればプラズマの進入可能角度θが小さくなり、プラズマの逆流を防止することができる。そして、ガス放出孔Aのアスペクト比を20以上とすることにより、プラズマ密度を1013cm−3程度に高めたとしてもプラズマの逆流を劇的に止めることが可能となる。
【0021】
また本発明では、最大気孔径が75μm以下からなる多孔質セラミックス部材の連通する気孔によって形成されたガス流通経路における隘路の気孔径は10μm以下とすることが好ましい。このように隘路の気孔径を10μm以下とすることで、プラズマ密度を1013cm−3程度に高めたとしてもプラズマの逆流を劇的に止めることが可能となる。すなわち、この多孔質ガス流通体においては、連通した気孔によりガスの流通性は確保されているものの、そのガス流通経路はジグザグ状に曲折し、しかも10μm以下の隘路が介在している。これに対して、プラズマを構成する電子やイオンは直進性を有しているので、プラズマが多孔質ガス流通体に逆流してきたとしても、大部分が気孔の壁に衝突し、さらには気孔の10μm以下の隘路部でプラズマのすべてが衝突し、それ以上の逆流が阻止される。
【0022】
本発明のシャワープレートは、上述のとおりセラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体をシャワープレートの縦孔内に一体的に焼結結合したものであるが、この本発明のシャワープレートは、セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体を、シャワープレートの焼結前の段階でシャワープレートの縦孔内に装着して、その後同時に焼結することによって製造することができる。具体的には、セラミックス部材および多孔質ガス流通体については、その原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体または焼結体の段階で、シャワープレートについては、その原料粉末を成型して縦孔を加工形成したグリーン体、その脱脂体または仮焼結体の段階で、セラミックス部材および多孔質ガス流通体をシャワープレートの縦孔の少なくとも先端部に装着し、その後同時に焼結する。この場合、シャワープレートの縦孔の内径とこの縦孔に装着する各部材の外径との同時焼結後の寸法がほとんど同じか、縦孔の内径の方がわずかに小さくなるように、成型条件あるいはその後の脱脂、仮焼結および焼結の条件等を調整する。このように、セラミックス部材および多孔質ガス流通体を、シャワープレートの焼結前の段階で装着して、その後同時に焼結することで、セラミックス部材および多孔質ガス流通体をシャワープレートの縦孔に隙間無く一体的に確実に固定することが可能となる。
【0023】
そして、この本発明のシャワープレートを用いて、プラズマ励起用ガスをプラズマ処理装置内に供給し、供給されたプラズマ励起用ガスをマイクロ波で励起してプラズマを発生させ、該プラズマを用いて酸化、窒化、酸窒化、CVD、エッチング、プラズマ照射等を基板に処理することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プラズマの逆流防止のためにシャワープレートの縦孔内に配置されるセラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体が隙間無く一体的に焼結結合しているため、各縦孔からのガス放出量のバラツキが無く、また、シャワープレートの使用時にその縦孔から脱落することがなくなり、シャワープレートのプラズマ励起用ガスの放出経路となる縦孔にプラズマが逆流することを確実に防止でき、シャワープレート内部での異常放電やガスの堆積の発生を抑えることができるので、プラズマを励起するためのマイクロ波の伝送効率や歩留まりの劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0026】
図1に、本発明の第一実施例を示す。図1を参照すると、マイクロ波プラズマ処理装置が示されている。図示されたマイクロ波プラズマ処理装置は複数の排気ポート101を介して排気される処理室102を有し、処理室102中には被処理基板103を保持する保持台104が配置されている。処理室102を均一に排気するため、処理室102は保持台104の周囲にリング状の空間を規定しており、複数の排気ポート101は空間に連通するように等間隔で、すなわち、被処理基板103に対して軸対称に配列されている。この排気ポート101の配列により、処理室102を排気ポート101より均一に排気することができる。
【0027】
処理室102の上部には、保持台104上の被処理基板103に対応する位置に、処理室102の外壁の一部として、直径が408mm、比誘電率が9.8で、かつ低マイクロ波誘電損失(誘電損失が1×10−4以下)である誘電体のアルミナからなり、多数(230個)の開口部、すなわち縦孔105が形成された板状のシャワープレート106が、シール用のOリング107を介して取り付けられている。さらに、処理室102には、シャワープレート106の上面側、すなわち、シャワープレート106に対して保持台104とは反対側に、アルミナからなるカバープレート108が、別のシール用のOリング109を介して取り付けられている。
【0028】
図2は、シャワープレート106とカバープレート108の配置を示す斜視模式図である。図1および図2を参照すると、シャワープレート106上面と、カバープレート108との間には、プラズマ励起用ガス供給ポート110から、シャワープレート106内に開けられた連通するガス供給孔111を介して供給されたプラズマ励起用ガスを充填する空間112が形成されている。換言すると、カバープレート108において、カバープレート108のシャワープレート106側の面の、縦孔105およびガス供給孔111に対応する位置にそれぞれが繋がるように溝が設けられ、シャワープレート106とカバープレート108の間に空間112が形成される。すなわち、縦孔105は空間112に連通するように配置されている。
【0029】
図3に、縦孔105の詳細を示す。縦孔105の長さは8〜21mm程度、直径は3mm以下(好ましくは1mm以下)であり、その先端部に、高さ2〜6mm程度の円柱状でガス流通方向に連通した気孔を有する多孔質セラミックス焼結体114が焼結結合されている。多孔質セラミックス焼結体はアルミナ系材料からなり、連通した気孔によって形成されたガス流通経路における隘路の気孔径が10μm以下、誘電損失が5×10−3乃至1×10−5の範囲、平均結晶粒子径が10μm以下、気孔率が20〜75%、平均気孔径が10μm以下、最大気孔径が75μm以下、曲げ強さが30MPa以上のものを用いた例を示している。
【0030】
この多孔質セラミックス焼結体114を焼結結合したシャワープレート106の製造例を以下に示す。
【0031】
(製造例1)
平均粉末粒子径が0.6μmで純度が99.99%のAl粉末に3質量%のワックスを配合して得た平均粒子径70μmの噴霧造粒粉体を78〜147MPaの各種圧力でプレス成型した後、外径、厚み、横孔および縦孔等を所定寸法に成形加工したシャワープレート用グリーン体を準備した。
【0032】
一方、多孔質セラミックス焼結体については、前記噴霧造粒粉体を粉体の状態で800℃で焼成して仮焼結粉体を得た後、前記シャワープレート用のAl粉末を3質量%添加混合してプレス成型して得たグリーン体を得、これを所定形状に加工した粉末成形体と、これを450℃で焼成した脱脂体と、1000℃で焼成した仮焼結体と、1450℃で焼成した焼結体を準備した。
【0033】
なお、前記シャワープレート用グリーン体は、プレス成型圧力によって焼結収縮率が異なり、因みに78Mpaの場合は焼結収縮率が19%で、147MPaの場合は16.2%である。また、多孔質セラミックス焼結体用材料は、気孔率や気孔径を設定変更する毎に焼結収縮率が変化し、またプレス成型圧力によっても焼結収縮率が変化するので、多孔質セラミックス焼結体の特性設定毎にあらかじめ焼結収縮率を調べ焼結収縮後の寸法を測定しておく。
【0034】
上述したシャワープレート用グリーン体の焼結収縮率から、縦孔の焼結後の内径寸法を計算しておき、この内径寸法よりも焼結後の外径寸法が同等乃至最大50μm大きい多孔質セラミックス焼結体の粉末成形体、脱脂体、仮焼結体または焼結体を縦孔に装着した後、同時に焼結した。これにより、相互間に焼結結合力が生じるので強固な装着固定が確保される。
【0035】
同時焼結後の多孔質セラミックス焼結体の連通した気孔によって形成されたガス流通経路における隘路の気孔径は2μm、誘電損失は2.5×10−4、平均結晶粒子径は1.5μm、最大結晶粒子径は3μm、気孔率は40%、平均気孔径は3μm、最大気孔径は5μm、曲げ強さは300MPaであった。
【0036】
(製造例2)
前記製造例1と同じシャワープレート用グリーン体を450℃で焼成して脱脂体を得た。なお、この脱脂体の焼結収縮率はグリーン体のそれと同一である。
【0037】
また、シャワープレート用グリーン体を600〜1000℃で焼成(仮焼結)して仮焼結体を得た。仮焼結体の場合は、仮焼結段階で若干の焼結収縮が発生するので、仮焼結体を本焼結する際の残余の焼結収縮率は仮焼結温度が高くなる程小さくなる。
【0038】
一方、前記製造例1と同じ製法で得た多孔質セラミックス焼結体用材料は、噴霧造粒粉体を仮焼結した粉体を使用しているので、シャワープレート用グリーン体より焼結収縮率が若干小さくなるが、シャワープレートの焼結温度と同温度における外径寸法を実測しておくか、または収縮率から外径寸法を計算しておくことにより、シャワープレート用グリーン体の縦孔の外径寸法を設計することができる。
【0039】
この製造例でも前記製造例1と同様に、シャワープレート用材料と、その縦孔に装着した多孔質セラミックス焼結体用材料とを同時に焼結することにより、相互間に焼結結合力が生じるので強固な装着固定が確保される。
【0040】
ここで、プラズマに接している物体表面に形成されるシースの厚みdは次式で与えられる。
【数1】

【0041】
ここで、Vはプラズマと物体の電位差(単位はV)、Tは電子温度(単位はeV)であり、λは次式で与えられるデバイ長である。
【数2】

【0042】
ここで、εは真空の透磁率、kはボルツマン定数、nはプラズマの電子密度である。
【0043】
表1に示すとおり、プラズマの電子密度が上昇するとデバイ長は減少するため、プラズマの逆流を防ぐという観点からは、多孔質セラミックス焼結体114の孔径はより小さいことが望ましいといえる。具体的には、平均気孔径の大きさは、プラズマのシース厚の2倍以下、望ましくはシース厚以下であることが好ましい。また、本発明における多孔質セラミックス焼結体114の気孔すなわちガス流通経路の隘路は10μm以下であり、1013cm−3の高密度プラズマのシース厚である10μmと同程度以下である。このようにすることによって、1013cm−3の高密度プラズマに対しても、本シャワープレートを用いることができる。
【表1】

【0044】
次に、図1を参照してプラズマ励起用ガスの処理室への導入方法を示す。ガス導入ポート110より導入されたプラズマ励起用ガスは、ガス供給孔111および空間112を経由して縦孔105へ導入され、その先端部分に焼結結合された多孔質セラミックス焼結体114から処理室102へ放出される。
【0045】
シャワープレート106の上面を覆うカバープレート108の上面には、マイクロ波を放射するための、スリットが多数開いたラジアルラインスロットアンテナのスロット板116、マイクロ波を径方向に伝播させるための遅波板117、およびマイクロ波をアンテナヘ導入するための同軸導波管118が設置されている。また、遅波板117は、スロット板116と金属板119により挟みこまれている。金属板119には冷却用流路120が設けられている。
【0046】
このような構成において、スロット板116から放射されたマイクロ波により、シャワープレート106から供給されたプラズマ励起用ガスを電離させることで、シャワープレート106の直下数ミリメートルの領域で高密度プラズマが生成される。生成されたプラズマは拡散により被処理基板103へ到達する。シャワープレート106からは、プラズマ励起用ガスのほかに、積極的にラジカルを生成させるガスとして、酸素ガスやアンモニアガスを導入してもよい。
【0047】
図示されたプラズマ処理装置では、処理室102中、シャワープレート106と被処理基板103との間にアルミニウムやステンレス等の導体からなる下段シャワープレート121が配置されている。この下段シャワープレート121は、プロセスガス供給ポート122から供給されるプロセスガスを処理室102内の被処理基板103へ導入するための複数のガス流路121aを備え、プロセスガスはガス流路121aの被処理基板103に対応する面に形成された多数のノズル121bにより、下段シャワープレート121と被処理基板103との間の空間に放出される。ここでプロセスガスとしては、Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition(PECVD)プロセスの場合、シリコン系の薄膜形成を行う場合はシランガスやジシランガス、低誘電率膜を形成する場合はCガスが導入される。またプロセスガスとして有機金属ガスを導入したCVDも可能である。また、Reactive Ion Etching(RIE)プロセスの場合、シリコン酸化膜エッチングの場合はCガスと酸素ガス、金属膜やシリコンのエッチングの場合は塩素ガスやHBrガスが導入される。エッチングする際にイオンエネルギーが必要な場合には前記保持台104内部に設置された電極にRF電源123をコンデンサを介して接続して、RF電力を印加することで自己バイアス電圧を被処理基板103上に発生させる。流すプロセスガスのガス種は上記に限定されることなく、プロセスにより流すガス、圧力を設定する。
【0048】
下段シャワープレート121には、隣接するガス流路121aどうしの間に、下段シャワープレート121の上部でマイクロ波により励起されたプラズマを被処理基板103と下段シャワープレート121との間の空間に拡散により効率よく通過させるような大きさの開口部121cが形成されている。
【0049】
また、高密度プラズマに晒されることでシャワープレート106へ流れ込む熱流は、スロット板116、遅波板117、および金属板119を介して冷却用流路120に流されている水等の冷媒により排熱される。
【0050】
以上の構成を有するプラズマ処理装置において上述したシャワープレート106を使用することによって、その縦孔105に焼結結合された多孔質セラミックス焼結体114は使用時に脱落することはなく、これによってガス導入側にプラズマが逆流することを確実に防止でき、シャワープレート105内部での異常放電やガスの堆積の発生を抑えることができるので、プラズマを励起するためのマイクロ波の伝送効率や歩留まりの劣化を防止することができるようになった。
【0051】
また、被処理基板103へ均一にプラズマ励起用ガス供給を行ない、さらに下段シャワープレート121からノズル121bを介してプロセスガスを被処理基板103へ放出するようにした結果、下段シャワープレート121に設けられたノズル121bから被処理基板103へ向かうプロセスガスの流れが均一に形成され、プロセスガスがシャワープレート106の上部へ戻る成分が少なくなった。結果として、高密度プラズマに晒されることによる過剰解離によるプロセスガス分子の分解が減少し、かつプロセスガスが堆積性ガスであってもシャワープレート106への堆積によるマイクロ波導入効率の劣化などが起こりづらくなったため、クリーニング時間の短縮とプロセス安定性と再現性を高めて生産性を向上させるとともに、高品質な基板処理が可能となった。
【0052】
図4は、縦孔105の他の構成例を示す。図4において、(a)は断面図、(b)、(c)は底面図である。この例では、縦孔105にセラミックス部材113が焼結結合されている。セラミックス部材113は、アルミナ系セラミックスからなり、外径が3.0mm、全長が8mmである。そして、セラミックス部材113の内部には直径0.05mm×長さ8mmのガス放出孔113aが設けられている。すなわち、ガス放出孔113aのアスペクト比(長さ/孔径)は8/0.05=160である。ガス放出孔113aの個数はとくに限定されない。図4(b)、(c)には7〜3個の例を示しているが、より好ましくは個数をできる限り多くしてガス放出速度を遅くするのがよい。なお、この例のようにガス放出孔113aの直径を0.05mm程度まで小さくした場合は、セラミックス部材113の外径は1mm程度まで小さくすることもできる。
【0053】
また、ガス流通孔113aの長さは、電子が散乱されるまでの平均距離である平均自由行程より長くすることが好ましい。表2に、電子の平均自由行程を示す。平均自由行程は圧力に反比例し、0.1Torrの時に4mmとなっている。実際にはガス流通孔113aのガス導入側は圧力が高いので平均自由行程は4mmよりも短くなるが、本実施例においては、ガス放出孔113aの長さを8mmとして、平均自由行程よりも長い値としている。
【表2】

【0054】
なお、図4に示した縦孔105においては、そのガス導入側の角部に、マイクロ波の電界が集中してプラズマ励起用ガスに着火してプラズマが自己発生するのを防止するために、面取り加工115が施されている。この面取り加工は、C面取り、より好ましくはR面取り加工とし、C面取り後にその角部をR面取り加工することもできる。
【0055】
この図4に示すようにセラミックス部材113を焼結結合したシャワープレート106は、前記製造例1および2と同様の方法によって製造できる。その製造例を以下に示す。
【0056】
(製造例3)
セラミックス部材については、まず、平均粒子径が0.6μmで純度が99.99%のAl粉末に、セルロース系の押出成型用バインダーを4%と適量の水を加えた混練体を準備し、内径が16mmの金型ノズル内に80μmのピンを24本配設した押出用金型で押出成型体を得た。
【0057】
前記押出成型体を乾燥後、この乾燥体と450℃の脱脂工程を経た脱脂体とを1500℃の温度で焼結した結果、乾燥体および脱脂体のいずれもが、外径寸法が1.0mmでガス放出孔の孔径が50μmのセラミックス部材となり、金型寸法からの収縮率は37.5%であることが判明した。
【0058】
一方、噴霧造粒粉体の成型圧力を147MPaに設定した以外は前記製造例1で作製したのと全く同じシャワープレート用グリーン体を準備し、縦孔の寸法が内径1.16mm、1.135mmおよび1.19mmからなる3種類の成形体を作製した。
【0059】
このシャワープレート用グリーン体の焼結収縮率は16.2%であるので、前記成形体における縦孔の内径はそれぞれ0.972mm、0.951mmおよび0.997mmになった。そして、前記の外径寸法が1mmでガス放出孔の孔径が50μmのセラミックス部材をシャワープレート用グリーン体の縦孔内に装着して同時焼結を行うことにより、縦孔の内径がセラミックス部材を締付ける応力は、直径寸法差でそれぞれ0.028mm、0.049mmおよび0.003mmとなる。
【0060】
この締付け応力となる直径寸法差は、大きい方から0.049mm(約50μm)、0.028mm(約30μm)および0.003mm(3μm)であり、直径寸法差が約50μmおよび30μmの場合は、セラミックス部材が圧縮されて圧壊したり縦孔が押し広げられて割れ現象が発生するのではないかと思われるが、それらの現象は発生せず、直径寸法差は同時焼結する際の高温時点で相互のわずかな熱可塑性および結晶粒界の滑り現象によって吸収されたものと推定される。
【0061】
また、縦孔内面とセラミックス部材外面との接合面は、一体的に焼結結合されているので部分的に2μm程度の隙間は存在するものの、プラズマ励起用ガスの流通経路となるような隙間が無く、結晶粒子が接合境界を形成することなく接合境界を跨いで結晶粒子が連続して存在する均質な結晶構造を有するシャワープレートが得られた。
【0062】
(製造例4)
前記1500℃で焼結したセラミックス部材の代わりに、1100℃で仮焼結したセラミックス部材を用いた。その外径は1.15mmとなり、縦孔の内径を1.19mmに成形加工したシャワープレート用グリーン体に装着して同時焼結を行った。この製造例によっても、製造例3と同様の効果が有られた。
【0063】
(製造例5)
製造例3で用いたセラミックス部材の押出成型体は焼結収縮率が大きいので、押出成型体の段階では外径寸法がシャワープレート用グリーン体に成形加工した縦孔の内径寸法よりも大きいため、縦孔内に装着することができないことになる。
【0064】
しかしながら、製造例3で用いた押出成型用バインダーを2%にして解膠剤を0.5%配合すれば、混練体の水分量を少なくすることが可能となる。また、プランジャー式の押出成型圧力を1.5ton/cmで作製したセラミックス部材の焼結収縮率は金型寸法に対して28%であったが、押出成型体を乾燥した時点で金型寸法に対して10%収縮して外径寸法が1.15mmの乾燥体が得られた。すなわち、この乾燥体の焼結収縮率は18%となり、製造例1で用いた78MPaで成型したシャワープレート用クリーン体の焼結収縮率19%よりも小さい結果が得られた。したがって、シャワープレート用グリーン体の縦孔に、セラミックス部材を焼成前の押出成型体(粉末成形体)の段階で装着して同時焼結することは可能で、当然のことながら、押出成型体(粉末成形体)の脱脂体、仮焼結体および焼結体をシャワープレート用グリーン体の縦孔に装着して同時焼結することも可能である。
【0065】
なお、補足すれば、前述したようにシャワープレートの各種成型圧力毎の焼結収縮率を把握しておき、また、セラミックス部材の各種混練体や成型圧力毎の焼結収縮率を把握しておくことにより、シャワープレート用グリーン体、その脱脂体または仮焼結体の縦孔に、セラミックス部材の押出成型体(粉末成形体)、その脱脂体、仮焼結体または焼結体を装着して同時焼結することが可能となる。これによって、セラミックス部材とシャワープレートの縦孔とが一体的に焼結結合された隙間のないシャワープレートを得ることができる。
【0066】
また、高温の1500で焼結したセラミックス部材を、相対密度が96%になるように仮焼結したシャワープレートの縦孔に装着して温度1400℃、圧力1500kg/cmでHIP処理装置で同時焼結した場合も、隙間の無い一体焼結体が得られた。
【0067】
なおまた、製造例1乃至5ではいずれも高純度のアルミナ系セラミックス材料を用いたが、誘電損失が5×10−3乃至1×10−5の範囲の低誘電損失セラミックス材料であれば、微量の粒成長抑制剤やYおよびムライト等を配合したアルミナ系セラミックス材料、あるいはAlとYとの成分からなる材料、またはAlとYとの化合物であるガーネット成分を含む材料、さらにはAlN、SiO、ムライト、Si、SiAlON等のセラミックス材料を用いることができる。
【0068】
さらに、シャワープレート用のセラミックス材料とガス放出孔部材(多孔質セラミックス焼結体およびセラミックス部材)用のセラミックス材料との組合せについては特に限定しないが、できれば同じ材料成分系のセラミックス材料とすることが好ましい。
【0069】
さらにまた、縦孔内にガス放出孔部材を装着(挿入)して一体焼結する際に、ガス放出孔部材の外面に同一材料成分の微粉末を塗布して接着剤と同様の作用効果を発揮させることも可能で、各製造例で得られたのと同様の結果が得られた。
【0070】
図5は、縦孔105のさらに他の構成例を示す。
【0071】
図5(a)では、プラズマの逆流を防止する2重安全対策のために、多孔質ガスセラミックス焼結体114のガス導入側に、さらにセラミックス部材113を配置し、これらをシャワープレート106の縦孔105に焼結結合している。また、図5(b)では、多孔質セラミックス焼結体114のガス導入側に、さらに別の多孔質セラミックス焼結体114aを配置し、これらをシャワープレート106の縦孔105に焼結結合している。この場合、プラズマ励起用ガスの圧損を小さくするために、ガス導入側の多孔質セラミックス焼結体114aとしては、ガス放出側の多孔質セラミックス焼結114よりも気孔率および気孔径が大きいものを使用する(例えば平均気孔径:10〜30μm、気孔率:50〜75%)。
【0072】
なお、以上の実施例において、縦孔105の個数、直径および長さ、セラミックス部材113に開けられるガス放出孔113aの個数、直径および長さ等は、本実施例の数値に限られることは無い。
【実施例2】
【0073】
図6に、本発明の第二実施例を示す。図6を参照すると、マイクロ波プラズマ処理装置が示されている。第一実施例と重複する部分は同一の符号を付し説明を省略する。
【0074】
本実施例においては、処理室102の上部には、保持台104上の被処理基板103に対応する位置に、処理室102の外壁の一部として、比誘電率が9.8で、かつ低マイクロ波誘電損失(誘電損失が9×10−4以下)である誘電体のアルミナからなるシャワープレート200が、シール用のOリング107を介して取り付けられている。また、処理室102を構成する壁面201において、シャワープレート200の側面に対応する位置に、2本のシール用のOリング202とシャワープレート200の側面とにより囲まれたリング状空間203が設けられている。リング状空間203はプラズマ励起用ガスを導入するガス導入ポート110と連通している。
【0075】
一方、シャワープレート200の側面には横方向に直径1mmの多数の横孔204がシャワープレート200の中心方向に向かって開けられている。同時に、この横孔204と連通するように多数(230個)の縦孔205が処理室102へ連通して開けられている。
【0076】
図7は、シャワープレート200の上面からみた横孔204と縦孔205の配置を示す。図8は、横孔204と縦孔205の配置を示す斜視模式図である。
【0077】
このような構成のシャワープレート200においても、先の第一実施例と同様に、その縦孔205内に、セラミックス部材あるいは多孔質ガス流通体を焼結結合により設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のシャワープレートは、マイクロ波プラズマ処理装置のほか、平行平板型高周波励起プラズマ処理装置、誘導結合型プラズマ処理装置等、各種のプラズマ処理装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第一実施例を示す。
【図2】図1に示したシャワープレートの横孔と縦孔の配置を示す。
【図3】図1に示したシャワープレートの縦孔の詳細を示す。
【図4】縦孔の他の構成例を示す。
【図5】縦孔のさらに他の構成例を示す。
【図6】本発明の第二実施例を示す。
【図7】図6に示したシャワープレートの上面からみた横孔と縦孔の配置を示す。
【図8】図6に示したシャワープレートとカバープレートの配置を示す。
【図9】ガス放出孔のアスペクト比とプラズマの逆流の関係を示す説明図である。
【図10】従来のシャワープレートを示す。
【符号の説明】
【0080】
101 排気ポート
102 処理室
103 被処理基板
104 保持台
105 縦孔
105a 第一の縦孔
105b 第二の縦孔
106 シャワープレート
107 シール用のOリング
108 カバープレート
109 シール用のOリング
110 ガス導入ポート
111 ガス供給孔
112 空間
113 セラミックス部材
113a ガス放出孔
114 多孔質セラミックス焼結体(多孔質ガス流通体)
115 面取り加工
116 スロット板
117 遅波板
118 同軸導波管
119 金属板
120 冷却用流路
121 下段シャワープレート
121a ガス流路
121b ノズル
121c 開口部
122 プロセスガス供給ポート
123 RF電源
200 シャワープレート
201 壁面
202 シール用のOリング
203 リング状空間
204 横孔
205 縦孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置に配置され、前記装置内にプラズマを発生させるためにプラズマ励起用ガスを放出するシャワープレートにおいて、プラズマ励起用ガスの放出経路となる複数個の縦孔内に、孔径が20μm乃至70μmのガス放出孔を複数個有するセラミックス部材、および/または最大気孔径が75μm以下のガス流通方向に連通した気孔を有する多孔質ガス流通体が設けられ、前記セラミックス部材および/または前記多孔質ガス流通体が前記シャワープレートと一体的に焼結結合されているシャワープレート。
【請求項2】
前記シャワープレートがセラミックス材料からなり、かつ前記セラミックス部材および前記多孔質ガス流通体が、5×10−3乃至1×10−5の範囲の誘電損失を有するセラミックス材料から成る請求項1に記載のシャワープレート
【請求項3】
前記セラミックス部材のガス放出孔の長さと孔径とのアスペクト比(長さ/孔径)が20以上である請求項1または請求項2に記載のシャワープレート
【請求項4】
前記多孔質ガス流通体の連通する気孔によって形成されたガス流通経路における隘路の気孔径が10μm以下である請求項1または請求項2に記載のシャワープレート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワープレートを製造するシャワープレートの製造方法において、前記セラミックス部材の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体、および/または多孔質ガス流通体の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体を、シャワープレートの原料粉末を成型して縦孔を加工形成したグリーン体の縦孔内に装着後、該グリーン体と同時に焼結するシャワープレートの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワープレートを製造するシャワープレートの製造方法において、前記セラミックス部材の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体、および/または多孔質ガス流通体の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体を、シャワープレートの原料粉末を成型して縦孔を加工形成したグリーン体の脱脂体の縦孔内に装着後、該グリーン体の脱脂体と同時に焼結するシャワープレートの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワープレートを製造するシャワープレートの製造方法において、前記セラミックス部材の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体、および/または多孔質ガス流通体の原料粉末を成型して所定形状に加工した粉末成形体、その脱脂体、仮焼結体もしくは焼結体を、シャワープレートの原料粉末を成型して縦孔を加工形成したグリーン体の仮焼結体の縦孔内に装着後、該グリーン体の仮焼結体と同時に焼結するシャワープレートの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワープレートを配置したプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワープレートを用いてプラズマ励起用ガスをプラズマ処理装置内に供給し、供給されたプラズマ励起用ガスをマイクロ波で励起してプラズマを発生させ、該プラズマを用いて酸化、窒化、酸窒化、CVD、エッチング、またはプラズマ照射を基板に対して施すプラズマ処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載のプラズマ処理方法によって基板を処理する工程を含む電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−108796(P2008−108796A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287934(P2006−287934)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(392034023)北陸成型工業株式会社 (8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】