説明

プラズマ処理装置

【課題】処理室内の試料台の結露を抑制し信頼性を向上させる。
【解決手段】真空容器内部に配置されガスが供給されてプラズマが形成される処理室200と、前記処理室内に配置されウエハが載置される前記略円筒形の試料台250と、前記試料台の下方で前記ガスが排気される開口204と、前記試料台内部に配置され熱交換媒体が流れる媒体用通路304と、前記処理室内で水平方向に前記試料台を支持する梁216と、前記試料台内の前記通路の下方に配置され内部が大気圧にされた円筒形の空間214と、前記空間の内側壁と前記真空容器外とを連通する連結路309と、この連結路内に配置された前記熱交換媒体用管路と、前記空間内に配置された中央側のウエハ用ピンの駆動機構308及びこの外周側で複数の前記媒体用管路の前記試料台との接続部を覆う複数の金属製ブロックとの間から高温のガスを供給し前記連結路を通り前記空間内のガスが外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内部の処理室で形成したプラズマを用いて半導体ウエハ等の基板状の試料を処理するプラズマ処理装置に係り、処理室内に配置されその上面に試料が載せられる試料台の温度を調節しつつ試料を処理するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ等試料を加工する半導体製造装置にはより高い精度と信頼性が求められている。このような課題を実現するために従来より、試料を載せて保持する処理室内の試料台の温度を所望のものに調節しつつ処理することが行われている。
【0003】
例えば、試料台を構成する金属等の熱伝導性の高い部材の内部に水等の熱交換媒体を通流させる通路を配置し、この通路と管路等で連結された温度調節装置により温度が所定の値に調節された冷媒を試料台内部に供給,排出させて循環させることが一般的に行われている。このような技術は、温度調節装置の温度の設定を処理に適したものに高精度に調節することで、試料台及びその上部に載せられて保持された半導体ウエハ等の試料の温度を所期のものとすることで、試料の処理の精度を高くしようとするものである。
【0004】
一方、近年の半導体デバイスの高集積化を実現するため多くの種類の材料が半導体デバイスに用いられつつある。半導体製造装置は、このような多くの種類の材料で構成された半導体ウエハ上の薄膜を適切に処理することが求められており、これに対応するため上記の熱交換媒体の循環による温度の調節の範囲は広くなってきている。これまでよりも低い温度で試料を処理するためにより低温に調節された熱交換媒体を試料台内部を循環させることが考えられている。
【0005】
このような技術の例としては、特開平10−64985号公報(特許文献1)に開示のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−64985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術におていは、次の点について十分に考慮されていなかった。このため問題が生じていた。
【0008】
すなわち、半導体ウエハ等の基板状の試料を装置が配置された室内(一般的にプラズマエッチング処理装置等の半導体製造装置はクリーンルーム等の温度や湿度が調節されるとともに塵埃の数が制限された室内部に配置されており室内は25度前後の所謂常温域の温度に調節されている)の温度より低温で処理するため、試料台内に室内の温度より低温の熱交換媒体を通流させて試料台を冷却している。この際に試料台近傍またはこれを内部に含む真空容器の周囲の近傍に存在する雰囲気の温度が露点以下に低下した結果、冷媒を供給する通路や試料台に結露が生じる虞がある。例えば、雰囲気の温度より低温の冷媒を通流させる場合に雰囲気に露出した供給側の冷媒の通路を構成する管路には結露が生じる虞がある。
【0009】
このような結露による水滴は、管路の腐食やたれや飛散によって周囲の装置,機器の腐食,短絡等の誤動作を生起させる虞がある。特に、低温にされる箇所が半導体製造装置の真空容器の内部に配置されて外部からの作業が困難である場合には、腐食,誤動作の頻度が高くなってしまい信頼性を損なってしまうという問題があった。上記従来技術ではこのような問題点について考慮されていなかった。
【0010】
本発明の目的は、真空容器内部の処理室内部に配置された試料台の結露を抑制し信頼性を向上させたプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、真空容器内部に配置され減圧されたその内側に処理用のガスが供給されてプラズマが形成される略円筒形の処理室と、前記処理室内でその周囲のこの処理室内の側壁面との間に空間をあけて配置されその上面に処理対象の試料が載置される前記略円筒形の試料台と、前記処理室の下部で前記試料台の下方に配置され前記ガスが排気される開口と、前記試料台内部にら旋または同心円状に配置されこの試料台の温度を調節する熱交換媒体が流れる媒体用通路と、前記試料台と前記処理室の内側側壁との間で水平方向に配置され前記試料台を前記処理室内に支持する支柱と、前記試料台の内部で前記通路の下方に配置され内部が大気圧にされた円筒形の空間と、前記支柱内部に配置され前記空間の内側壁と大気圧にされた前記真空容器外の空間とを連通する連結路と、この連結路内に配置され前記通路と連結され内部を前記熱交換媒体が流れる複数の媒体用管路と、前記空間内部の中央部に配置され前記ウエハを前記試料台の上面上で上下に移動するための複数のピンを駆動する駆動機構と、前記空間内部であって前記駆動機構の外周側に配置され複数の前記媒体用管路の前記試料台との接続部を覆う複数の金属製のブロックと、前記連結路内部を通り前記空間内部の前記複数のブロック及び前記駆動機構の間に開口を有して所定の温度に加熱されたガスが通流するガス供給路とを備え、前記連結路を通り前記空間内のガスが前記真空容器外部に排出されるプラズマ処理装置により達成される。
【0012】
さらにまた、前記冷媒用管路がその接続部において前記空間の内側壁の開口からこの空間の天井面に接続されるものであって、前記ブロックが前記空間の天井面または底面と平行な平面及びこの平面に直角に配置された側面とを備えたことにより達成される。
【0013】
さらにまた、前記試料台が前記処理室と同心に配置され複数の前記支柱で支持され、前記複数の媒体用管路の少なくとも一つ及び前記ガス供給路の各々が前記複数の支柱の各々の内部に配置された連結路内に配置されたことにより達成される。
【0014】
さらにまた、前記試料台が前記処理室と同心に配置され3以上の前記支柱で支持され、前記複数の媒体用管路及び前記ガス供給路の各々が前記複数の支柱の各々の内部に配置された連結路内に配置されたことにより達成される。
【0015】
さらにまた、前記試料台の中心部及びその外周側の各々に異なる温度に調節された熱交換媒体が通流する第1及び第2の媒体用通路と、これら第1及び第2の媒体用通路の各々に連結され異なる前記支柱内部の前記連結路各々の内部に配置された第1及び第2の媒体用管路と、これら第1,第2の媒体用管路各々の接続部を覆って配置される第1及び第2の金属製のブロックとを備え、前記ガス供給路からの前記ガスが前記第1及び第2の金属製のブロックとの間に供給されるプラズマ処理装置により達成される。
【0016】
さらにまた、前記複数の支柱が前記処理室と同心にされた前記試料台の周囲にその上下方向の中心軸について軸対称に配置されたことにより達成される。
【0017】
さらにまた、前記試料台内部でその中心の周囲に配置された前記複数のピンと、これら複数のピンの各々の下部と連結され前記試料台の中心から外周側に延在する複数の腕部及びこれら腕部と連結されて前記空間の天井面とこれら腕部との間で上下方向に伸縮するアクチュエータとを備えた前記駆動機構と、前記複数のピンの周囲に配置されて前記空間の天井面と連結され内外を気密に封止する伸縮可能なベローズとを備えたことにより達成される。
【0018】
このようなプラズマ処理装置において、大気圧にされた空間に加熱され或いは除湿された低い水分のガスを供給することにより、大気圧にされた空間の結露を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す実施例の真空処理ユニットの上方の容器部を拡大してその主要部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図3】図2に示す実施例の試料台及びその周囲の構成の概略を拡大して示す縦断面図である。
【図4】図3に示す実施例の真空容器及び試料台の構成の概略を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
以下、図1乃至図4を用いて本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は、本発明のプラズマ処理装置の実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。この図において、真空処理装置100は、図上下方側である前方側に大気ブロック110、図上上方側である後方側に真空ブロック111を備え、これらが大気ブロック110の背面において接続され連結されている。
【0023】
大気ブロック110は、大気圧下において半導体ウエハ等の基板上の試料が取り扱われる箇所であり、装置前面に位置して水平方向に並列に配置されてその上に試料収納カセットが載せられる複数のカセット台101と、これらのカセット台101がその前方側に連結または取り付けられるおよそ直方体形状を備えた大気側試料搬送室102とを備えている。この大気側試料搬送室102は、内部に試料が大気圧下で搬送される空間を有し、この空間内に試料を搬送する手段である搬送用ロボットが配置されている。
【0024】
大気ブロック110の大気側試料搬送室102の背面側には真空ブロック111が配置されている。真空ブロック111を構成するロック室103および104は、大気側試料搬送室102の背面に接続されて連結されている。ロック室103及び104は、その図上下方側の後方部において真空側試料搬送室105と連結されている。
【0025】
真空側試料搬送室105は、平面形状が多角形状(本実施例では六角形)を有した真空容器により構成され、その各辺に対応する複数の側壁面が上記ロック室103及び104並びに複数の真空処理ユニット106,107が接続され連結されている。大気ブロック110の大気側試料搬送室102の背面にロック室103,104が連結されることで、真空ブロック111の複数の真空処理ユニット106,107が大気ブロック110の大気側試料搬送室102及び試料収納カセットと連結されている。
【0026】
ロック室103,104は、図示しない真空排気装置と連結されており、内部の室の圧力を各々大気圧と真空側試料搬送室105内部の高い真空度の圧力との間で調節可能にされている。また、これらの前後部には、ロック室と一体に、その内部を開閉して開放、気密に閉塞するためのゲートバルブが備え付けられている。さらに、ロック室103,104の内部の圧力が調節される室内には、試料がその上面上方に載せられる図示しない試料台が配置されており、試料がその上方に載せられ保持された状態で圧力が変更される構成を備えている。なお、本実施例では、ロック室103,104は真空処理ユニット106または107による処理前の試料を格納するロード側または処理後の試料を格納するアンロード側のいずれの場合の試料も内部に格納可能に構成されている。
【0027】
さらに、真空側試料搬送室105の内部の搬送室と真空処理ユニット106,107との間には、これらの間を連通する試料の搬送用の通路を開放,気密に閉塞するゲートバルブが配置されている(図示せず)。これらのゲートバルブは試料の搬送時には開放し、試料の処理時には真空処理ユニット106,107内部と搬送室内部との間を閉塞し、真空処理ユニット106,107内の処理室を気密に封止する。
【0028】
このような真空処理装置100において、カセット台101上に接地されて大気側試料搬送室102と連結された試料収納カセットに収納された試料は、大気側試料搬送室102内に格納された搬送用ロボットにより1枚ずつロック室103または104内に運ばれる。試料が大気圧状態であるロック室103または104内部の収納室内に収納され試料台上に載せられた後、大気側試料搬送室102側のゲートバルブが閉じられてロック室103または104内部が減圧される。
【0029】
ロック室103または104の内部が真空側試料搬送室105内部と同等の真空度の圧力になった後、真空側試料搬送室105側のゲートバルブが開放され、試料は真空側試料搬送室105に格納された搬送用ロボットにより取り出されて、真空処理ユニット106,107のいずれかに搬送されて当該ユニットにおいてその表面に処理が施される。この処理の終了の後、再び搬送用ロボットにより真空側試料搬送室105を介して別の処理ユニットまたはロック室103或いは104のいずれかに搬送される。
【0030】
試料が搬送されたロック室103または104の内部は上記真空の状態であり、処理終了後の試料が収納された後、これに備え付けられたゲートバルブが閉められて密閉され、内部が加圧されて大気圧まで昇圧される。大気側試料搬送室102内部と同等の圧力となったことが確認された後、大気側試料搬送室102側のゲートバルブが開放され内部の搬送用ロボットにより元のカセットの元の位置へ戻される。
【0031】
次に、真空処理ユニットの構成について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示す実施例に係る真空処理ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【0032】
特に、本図は、真空処理ユニット106の一つであるエッチング処理ユニットの構成を示している。なお、本実施例では、試料を処理する処理ユニットとして106,107それぞれ2つずつを有し、真空処理ユニット106は、真空側試料搬送室105の後方側の側壁面の隣り合う2つの各々と連結されたエッチング用の処理ユニットである。一方、真空処理ユニット107は、真空側試料搬送室105の前方から見た左右側の側壁面の向かい合う2つの各々と連結された灰化処理(アッシング)用の処理ユニットである。
【0033】
また、真空処理ユニット106は、大きく上下に分けて、上方に真空容器及び電界または磁界の発生装置と排気装置とを備えた処理容器部と、下方にこの処理容器部に電力やガス,冷却用冷媒等の流体の供給を調節する制御装置を収納した直方体形状を有するベッド部とを備えて構成されている。
【0034】
図2は、図1に示す実施例の真空処理ユニット106の上方の容器部を拡大してその主要部の構成の概略を示している。本図において、容器部を構成する真空容器210の内部には処理室200が配置され、その上部に処理室200内に電波を供給して電界を供給する管路である導波管201が、下部にはウエハ等の被処理対象である基板状の試料がその上面に載置される試料台250が備えられている。
【0035】
真空容器210は、その上部には供給された電波によりプラズマが形成される処理室200の上部である放電室の外周を囲んで略円筒形状を備えた側壁211及びこの側壁211の下方に配置された下部容器212を有している。また、これら側壁211と下部容器212とは試料台250の外周側を空間を挟み囲んで配置されている。また、これらの間の空間は、下部容器下方でこれと連結された排気ポンプを含む排気装置203の動作により、処理室200内のガスやプラズマ,反応生成物が下方に移動して下部容器212下部に配置された開口部から排気される空間となっている。
【0036】
処理室200の試料台250の上方には処理室200の天井面を構成する円板状の形状を有するシャワープレート205が、試料台250の上面と対向して配置されている。シャワープレート205の上方で共振室215との間には側壁211の上端部に対して、これと連結して処理室200内外を気密に封止して取り付けられた石英等誘電体部材製の円板形状の窓部材205aが配置されている。
【0037】
側壁211の上方の処理室200の上方には、内部に供給された電波が共振されて特定のモードとなる円筒形状の共振室215が配置されており、この共振室の上部には内部を電波が伝幡されてくる断面矩形または(楕)円形の導波管201が連結されて配置されており、その上端部にはマイクロ波等の高周波を形成して発信するマグネトロン221等の電波形成手段が配置されている。共振室215の底部には、側壁211の上端部に対してこれと連結して処理室200内外を気密に封止して取り付けられた石英等誘電体部材製の円板形状の窓部材205aが配置されており、共振室215で共振された電波が窓部材205aを介して処理室200内に導入される。
【0038】
処理室200外周を囲む側壁211及び共振室215の上、外側には、たとえば電磁コイルとヨークよりなる磁場形成装置202が、これらを囲んで設置されている。また、処理室200内に磁場形成装置202から供給される磁場と導波管201から共振室215,窓部材205aを介して供給される電界とにより処理室200内にプラズマが形成される。
【0039】
シャワープレート205と窓部材205aとの間には隙間が形成されて空間が配置されており、図示しないガス供給手段から複数の種類の物質の混合体である処理用ガスが、所定の流量及び混合比をもって供給されてこの空間内部が満たされる。シャワープレート205の試料台250の試料が載せられる上面の上方でこれに並行に対向する箇所には、上記空間と連通した微小な口径を有する複数の貫通孔が配置され、空間を満たした処理用ガスは試料の処理中にこの貫通孔から処理室200内の試料台250上方の空間に進入してこれに供給される。一方、真空容器210下部の開口204下方でこの開口204と排気装置203の排気ポンプの入口との間には、複数の回転可能で連通を開閉可能なフラップを有する真空排気弁が配置されており、処理中または試料の搬送中等の内部が大気開放されておらず真空圧が保持されている間では、真空排気弁と排気ポンプとの協調した動作により処理室200内の圧力が制御される。
【0040】
試料の処理の際には、マグネトロン221とマッチングボックス222及びこれに連結された導波管201を介し高周波が供給され、導波管201を伝わって処理室200内に高周波の電界が導入される。また、同時に磁場形成装置202によって形成される磁場が処理室内200に供給され、これらの相互作用により処理ガスの物質の原子,分子を励起してプラズマが形成される。搬送され試料台250上面に載せられた処理対象の基板状の試料であるウエハは、試料台250上方の処理室200内に形成されたこのプラズマを用いて、試料台250に図示しないRFバイアス電源207から高周波電力が供給されつつエッチング処理が施される。
【0041】
試料台250及びその内部の詳細やウエハの処理の流れについては、図3も参照しつつ説明する。図3は、図2に示す実施例の試料台250及びその周囲の構成の概略を拡大して示す縦断面図である。なお、本図においては、導波管201や共振室215,磁場形成装置202や側壁211の周囲の構成は略して示してあり、試料台250に供給される熱交換媒体用の経路等は模式的に示してある。
【0042】
試料台250は略円筒形状を有しており、同様に円筒形状を備えた処理室200の上部及び下部とその中心軸同士を合わせた、所謂同心状に配置されている。また、円筒形状の試料台250の下方には、円形の開口204が配置され、この開口204と試料台250及び処理室200とが同心状に配置されている。また、試料台250と処理室200の内壁面との間には空間が配置されており、シャワープレート205から処理室200に導入された処理用のガスや形成されたプラズマ内の粒子,ウエハの処理中に形成された生成物等がこの空間を通り試料台250下方の開口204から処理室200外に排気される。
【0043】
この空間には、試料台250の外側壁と処理室200の内側壁との間で水平方向に延在しこれらを連結する支持梁216が複数本(本例では4本)配置されており、本実施例では試料台250の中心を通る上下方向の軸、つまり、処理室200の中心軸について軸対称に配置されている。また、本実施例の真空処理ユニット106の処理容器は、真空容器210の外壁を構成する側壁211,下部容器212の内部に、試料台250の外周を囲む円筒形状を備えた内側容器217が配置されている。内側容器217は支持梁216の上下に配置された上方の上部部材217aと下方の下部部材217bとの2つの部材により構成されており、上部部材217aがプラズマと面し、下部部材217bは底部中央部に開口204と連通した円形の開口部を備えている。
【0044】
この内側容器217(217a,217b)の内壁面が、支持梁216同士を水平方向に連結するリング状部材の円筒形の内壁面と共に、試料台250の中心と開口204の中心とに付いて同心に配置されて上方に配置された側壁211の内側の処理室200に面する壁面と共に処理室200の内壁面を構成する。この構成により、試料台250上方の処理室200内の空間から試料台250周囲を流れるガスやプラズマ等の流れが軸対称となって、ウエハの処理がその周方向に均一化される。
【0045】
本実施例では、このように処理室200を囲んで内壁面を構成する内側容器217及びこの外側に配置された真空容器210とを備えており、真空側試料搬送室105内を搬送されたウエハはこれらの各々を貫通して配置された各々のゲートの内側を搬送される。これらのゲート各々は、内側容器217と真空容器210(下部容器212)との間に配置されたゲートバルブ218及び真空側試料搬送室105内であって真空側試料搬送室105の側壁に配置されたゲート220の内側に配置されたゲートバルブ219とにより開閉され、閉塞時には気密にそのゲートが封止される。
【0046】
また、試料台250はその内部に円板形状を備えた高い熱伝達性を備えた金属製の円板である基材301と、この円形状の上面上方にこれを覆って配置されたアルミナやイットリアを主成分とする混合材料からなる誘電体製の誘電体膜305と、誘電体膜305内部に配置され図示しないフィルター回路を介して直流電源206と電気的に接続された膜状の電極307とを備えている。また、誘電体膜305が覆ってウエハが載せられる円形状の載置面の外周部と基材301の側壁とをプラズマから電気的絶縁を確保するため、またプラズマによってスパッタ及びエッチングされて消耗するのを保護する目的で、載置面外周部上面と基材301側壁外周にはこれらを覆ってセラミック製カバー303が設置されている。
【0047】
また、試料台250を構成する基材301内部には、同心円状またはら旋状に流路304a,bが配置されて、各々真空容器210外部に設置された温調ユニット209a,bによって温度または流量(速度)が調節された熱交換媒体が導入され、基材301ひいては試料台250の温度が所望の温度となるように調節されている。基材301をウエハは、試料台250上面に載せられた状態で処理中にプラズマからの入熱を受けるが、試料台250の温度を調節することで、これに載せられたウエハの温度が調節される。
【0048】
ウエハと試料台250または基材301との間の熱伝導を向上するために、誘電体膜255の上面には熱伝達性を有するガス例えばHeガスのガス源213とガス導入調節装置を介して連通された開口306が複数配置されており、ウエハが載置面上に載せられた状態でHeガスが開口306からウエハ裏面と誘電体膜305との間の空間に供給される。このHeガスにより、ウエハに供給される熱が誘電体膜305、そして基材301を伝熱してウエハが冷却される。
【0049】
基材301の下方には絶縁部材を介して金属製の板部材が配置され、これにより処理室200内部と外部とが気密に封止されて区画されている。特に、本実施例の試料台250は、処理室200内部の空間で中間の高さに支持梁216によって支持されており、謂わば中空に保持されている。一方、試料台250の内部には、ウエハの受け渡しのためのピンの駆動手段や真空容器210外から導入される熱交換媒体やHeガスの導入経路と試料台250との接続部等が配置されこれらが収納された収納空間214が配置されている。
【0050】
この収納空間214は、試料台250の基材301下方に配置された少なくとも1つの円筒形状を備えた空間であって、本実施例ではその円筒の中心軸は試料台250の中心軸と同心にされている。さらに、収納空間214は支持梁216内部に配置されこれを貫通するダクト309を介して真空容器210外部と連通されており、その内部が雰囲気圧と同じか僅かに高い圧力にされている。収納空間214は試料台250周囲の処理室200内の空間と気密に区画されることが必要であるため、後述のようにベローズ,Oリング等のシール手段によって内外を気密に封止されている。
【0051】
各支持梁216はその内部に各々のダクト309を備えており、これらダクト309の一端は収納空間214の円筒形状の側壁に配置された開口に連通し、この開口を通り熱交換媒体やHeガスが通流する管やRFバイアス電源207からの高周波電力が供給される配線が収納空間214の天井面を構成する金属製の板部材を介して基材301内の流路304a,bや誘電体膜305内の電極307に連結され又は接続されている。ダクト309の他端は各支持梁216の外周端と接続されこれをつり下げて支持する上下方向に延びた支柱310の内部の空間と連結されている。ダクト309内部の熱交換媒体やHe管等はこの支柱310内の空間を通りその上端から、さらに真空容器210外側まで延びている。
【0052】
さらに、金属製の板部材下方には、後述の通りアクチュエータ及びこれと接続されるとともにその端部に上下方向に延在する棒状のプッシャピン311複数個(本実施例では3個)が連結されたアームを有するプッシャピン311の駆動機構308が収納空間の中央部に配置されている。プッシャピン311は、試料台250を構成する基材301,誘電体膜305及び上記絶縁部材,板部材を貫通した貫通路内部にこの通路の軸方向とその軸が並行になるように配置されているとともに、ウエハに不均一な外力を付加して割れ、損傷等を生起しないように、ウエハの中心と同心となるように配置された試料台250の中心軸について軸対称の位置に、且つ、ウエハの半径の60%から80%の位置に配置されている。
【0053】
アクチュエータを含む駆動機構308が駆動する上下の方向は、上記軸と平行または実質的にそれと見倣せる程度に平行に配置され、アクチュエータの動作によりアームに連結されたプッシャピン311が連動して上下に移動される。このような動作は、後述の通り、処理前後処理室200内のウエハの受け渡しに際して実施される。
【0054】
なお、本実施例の試料台250では、収納空間214の底面は円形の底板302の外周部においてOリング等の封止手段により処理室200特に試料台250下方で開口204上方の空間との間が封止されている。この底板302は、装置内部を大気開放した場合等メンテナンス時に作業者により取り外し可能であり、この際に収納空間214内部の部材,構造を作業者が取り扱うことが可能である。
【0055】
このような真空処理ユニット106に対して、所定の処理を施される対象のウエハは、ロック室103または104から搬送用ロボット上に載せられて取り出され、施す処理を実施する真空処理ユニット(例えば106)内部の処理室200内へ搬入される。次に、ウエハがロボットに載せられた状態で試料台250の載置面上方に達した位置でロボットの動作が停止されてウエハが載置面上方で保持される。
【0056】
駆動機構308の駆動機構が駆動され、プッシャピン311が上方に移動し、その上端部が誘電体膜305の開口から上方に上昇させる。さらに、ウエハの裏面と当接してウエハを上端部に載せてロボットから上方に持ち上げるまでプッシャピン311の上部をロボット上方に上昇させ所定の上端位置にてこれを保持する。この状態が維持されてロボットが処理室200外部へ退避した後、アクチュエータの動作によりプッシャピン311が下方に移動してウエハ裏面が載置面と接してから更に下方に通路内を下端位置まで移動する。
【0057】
次に、処理室200外に設置された直流電源206とフィルター回路を介して直流電圧を電極307に印加して、載置面上に載置されるウエハを誘電体膜305を介して静電気により吸着して保持する。尚、本実施例では、電極307は、各々異なる極性にされる複数個の膜から構成された、所謂双極型の構成を備えている。また、ロボットが真空処理ユニット106外部に移動したことが確認された後、処理室200と真空側試料搬送室105との間のゲートバルブ218が閉塞されて内外が気密に封止される。
【0058】
この状態で、処理室200外に設置されたガス源213からガス供給量を調整するガス導入調節弁(図示せず)及び誘電体膜305上面に配置された開口306を介してウエハ裏面と誘電体膜305上面とで構成されるこれらの間の空間にHeガスを供給してウエハの熱を誘電体膜305及び基材301に伝達して冷却する。基材301内部には温調ユニット209a,bによって予め定められた温度となるように調節された熱交換媒体が試料台250の中心側に配置された流路304a及び外周側に配置された304bを通流している。特に、本実施例ではウエハ及び試料台250の温度を所期の温度分布(温度プロファイル)となるように冷却するために温調ユニット209a,b各々で異なる温度に調節された冷媒が各々独立した流路304a,bに供給されて循環されている。
【0059】
処理室200内部にシャワープレート205の貫通孔から処理用ガスが供給されつつ、排気装置203の真空排気弁312,排気ポンプである真空ポンプ313の動作により処理室200内部が排気されて所定の圧力となるように調節される。さらに、導波管201から共振室215,窓部材205aを介して供給される電界及び磁場形成装置202から供給される磁界により、処理用ガスがプラズマ化されプラズマがウエハ上方の処理室200内に形成される。さらに、処理室200外に設置されたRFバイアス電源207からマッチングボックス(図示せず)を介して試料台250を構成する基材301に高周波電力が印加され、ウエハ上面上方に形成されたRFバイアスによるバイアス電位とプラズマ電位との電位差によりプラズマ中のイオンをウエハ上に引き込みエッチング反応をアシストしつつ処理が開始される。
【0060】
処理の終了後、プラズマ及びRFバイアスが停止され、電極307への直流電圧の供給が停止され、静電気力が低減,除去される。この状態で再度アクチュエータが駆動されてプッシャピン311を通路内を上昇させてその上端部をウエハの裏面に当接させ、さらに誘電体膜305上方に移動させてウエハを試料台250上方に持ち上げてプッシャピン311の上端位置まで移動させる。
【0061】
その後、処理室200と真空側試料搬送室105との間のゲートバルブ218が開放されてロボットが処理室200内のウエハ下方まで移動して停止後、アクチュエータの動作によりプッシャピン311がロボット下方に移動して、ウエハをロボットに受け渡す。ロボットが処理室200外部へ退避することで、ウエハが処理室200外に搬出される。この後、ウエハは、別の真空処理ユニットまたはロック室103或いは104の何れかにロボットにより搬送され、ウエハが搬出された処理室200には別の非処理用のウエハがロボットにより搬入される。
【0062】
さらに、本実施例では熱交換媒体は雰囲気の温度よりも低い温度に調節されて供給されており、このためダクト309内部を通り収納空間214内部で試料台250と接続される熱交換媒体の管路、特にその接続部が結露してしまい漏電や腐食といった問題が生起する虞が有る。そこで、本実施例のプラズマ処理装置では、真空容器210の外側に配置された加熱器208により加熱されたガス(雰囲気)をダクト309内を介して収納空間214内部に供給するとともに収納空間214内部のガスを真空容器210外に排出する構成を備えている。
【0063】
加熱器は雰囲気をその温度よりも高い温度に加熱して吹き出す装置であり、高温の雰囲気はダクト309内部に挿入されて配置された小径のチューブを介して収納空間214内部に吹き出され、一方で収納空間214内のガスは高温の雰囲気に押し出される形でダクト309を介して真空容器210外部に排出される。これにより収納空間214内部での結露とこれによる悪影響が生起することが低減される。
【0064】
図4は、図3に示す実施例の真空容器210及び試料台250の構成の概略を示す横断面図である。本図は、図3において支持梁216の上下方向の中間高さの位置の断面を示している。
【0065】
本図に示すように、本実施例の真空容器210の下部容器212の内側のおよそ矩形状の空間の内側に円筒形状の内壁面を備えた内側容器217及び支持梁216同士を連結するリング状部材401が配置されて、これらが処理室200及びその内壁を構成している。リング状部材401の内側には軸対称に配置された4本の支持梁216に連結された試料台250が真空容器250と同心に配置されている。
【0066】
試料台250の内部の基材301下方の金属製の板部材下方に円筒形状の収納空間214が配置されており、中央部にプッシャピン311の駆動機構308が配置されている。一方、その外周側に各支持梁216内部を介して試料台250と連結されるガス源213からのHeガスの接続部である継ぎ手402,RFバイアス電源207からの高周波電力の接続部である継ぎ手403,温調ユニット209a,bからの冷媒の各々の接続部である継ぎ手404,405が配置されている。
【0067】
本実施例の真空処理ユニット106の下部容器212内の断面略矩形状の空間は各々の角部に支柱310が配置されており、真空容器210の外径をできるだけ小さくする作用を奏している。図上試料台250の右側(真空側搬送室105側)に配置された2つの支持梁216は各々支柱310に連結されており、ダクト309内に配置された冷媒管406,407は各支柱310内部のダクトを通して、真空容器210の真空側搬送室105側の2つの角部において外部の冷媒管と連結されている。なお、本図では冷媒管406,407は単一の管として示されているが、各々を通流する冷媒は各温調ユニット209a,bと流路304a,bとの間で各々循環するものであって、各管路は流路304a,bへの供給側とこれらからの排出側の少なくとも2つの通路を備えている。
【0068】
図上左側の2つの支持梁216内部のダクト309内には、Heガスが通流するHe用配管408,高周波電力が供給されるケーブル409が配置されている。冷媒管406,407,He用配管408,ケーブル409は、各ダクト309の収納空間214の円筒形状の内側壁に配置された開口において各継ぎ手402,403,404,405によって上方に曲げられて収容空間214の天井面を構成する金属製の板部材の底面に接続される。各継ぎ手402,403,404,405は収納空間214の内側壁にボルト等の手段により締結されて固定されている。
【0069】
特に、冷媒管406,407の継ぎ手404,405は外壁が平面で構成された金属製のブロックであり、各々が収納空間214の内側壁面から中央側に突出するように配置されており、その上面において中央側の流路304a,外周側の流路304bに連結するパイプと接続されている。さらに、これら2つのブロックである継ぎ手404,405はその底面が収納空間214の底面と適切な隙間を空けて平行に配置された平面で構成され、側面はこの底面と垂直な面で構成され、さらに上面は収納空間214の天井面と適切な隙間を空けて平行に配置された平面で構成されており、断面が矩形状を備えたブロックとなっている。また、その高さはこれらが配置された収納空間214の外周部における高さとほぼ同一か僅かに小さい値にされ収納空間214を高さ方向についてほぼ占有するように構成されている。
【0070】
また、収納空間214の中央部には上記の通り、プッシャピン311の駆動機構308が配置されている。3本のプッシャピン311は収納空間214(試料台250)の中心について軸対称に配置されて、その下端がY字形状の板部材で構成されたアーム410の上端と連結されて接続されている。さらに、各プッシャピン311には、その周囲を円形に囲み内外を気密に封止する金属製のベローズ411が配置されている。
【0071】
ベローズ411はその上端で収納空間214の天井面を構成する金属製の板部材と気密に接続され下端がアーム410の状面と気密に接続されている。各々の箇所でシールされることで、プッシャピン311が上下する貫通孔を介して処理室200内部と連通し減圧される内側とダクト309を介して真空容器210外部と連通して雰囲気圧(またはこれより僅かに高圧)にされる外部との間を気密に仕切っている。また、ベローズ411は、アクチュエータ412の動作によりプッシャピン311及びアーム410の上下の移動に伴って伸縮可能に蛇腹形状を備えている。
【0072】
また、収納空間214の中心にはアーム410と連結され上下方向に伸縮してアーム410を上下に移動させるアクチュエータ412が配置されている。アクチュエータ412は四角柱の形状を有しアーム410の上面と収納空間214の天井面とに連結されて天井面ひいては基材301,誘電体膜305に対してアーム410,プッシャピン311を上下に移動させる。さらに、アクチュエータ412の図上上下方向に隣り合って円柱形状のリニアガイド413が配置されている。これは径の異なる円柱により同軸,同心のシリンダ及びピストンを構成し、一方がアーム410に他方が収納空間214の天井面と連結されている。これらはアクチュエータ412の動作に伴って軸に沿って伸縮することで、プッシャピン311の上下方向の移動のぶれを低減して貫通孔内の壁面との接触,擦れの発生を抑制している。
【0073】
このような駆動機構308は収納空間214の天井面である金属製の板状部材の下面に連結されて上下に伸縮する。最大限に伸張した状態(プッシャピン311を貫通孔内に完全に収納した下端位置)において収納空間214の底面に近接している。さらに、本実施例では、これらプッシャピン311は試料台250の中心を通る図上左右方向の破線について図上上下方向に対称に配置されている。左右方向の破線は、図上矢印で示すウエハの搬送方向に平行であって、プッシャピン311はウエハの搬送方向に対称に配置されている。このような配置の真空側搬送室105側(ゲート220側)のプッシャピン311及び各ベローズ411は、ゲート220側に対称に配置されていると共に、軸対称に配置された支持梁216もゲート220軸(ウエハ搬送方向)に対称に配置されている。
【0074】
このような配置では、各ダクト309及び内部の冷媒管406,407が配置される方向はその処理室200中央側が真空側搬送室105側(ゲート220側)のプッシャピン311同士の間の内側に向かっていることになる。さらに、継ぎ手404のブロックは中央側の流路304aと冷媒管406とを連結するものであるが、これらプッシャピン311同士の間に向かって突出して配置されている。このために、継ぎ手404,405同士の間には収納空間214の円筒形の内側壁及び継ぎ手404,405の上下方向に延びる平面によって囲まれ規定された空間が生じる。
【0075】
本実施例では、図上左上側のHe用配管408が配置されたダクト309内部から収納空間214の外周部を通り継ぎ手404,405同士の間の空間まで延びて開口を有するチューブ414を備えている。このチューブ414のダクト309側の他端は、支柱310内部を通って真空容器210外部に配置された加熱器208に連結されている。上述のように、加熱器208により加熱されて所定の流速で供給された雰囲気は、チューブ414内部をダクト309を介して収納空間214の冷媒用の継ぎ手404,405のブロック同士の間の空間に配置されたチューブ414の開口から収納空間214の空間に供給される。
【0076】
冷媒より或いは継ぎ手404,405の表面温度より高温の吹き出された雰囲気は、継ぎ手405のブロックの側壁に衝突し跳ね返されて他方の継ぎ手405の側壁に衝突する。このようなガスの流れは、上記の通り継ぎ手404,405のブロックの配置,形状によって効率的に実現されるるとともに、継ぎ手404,405を加熱することで結露を抑制している。また、継ぎ手404のブロックは、継ぎ手405に面した側壁、特に収納空間214の側壁またはダクト309の開口の冷媒管406の端部の近傍の側壁の表面に凹みを備えた形状を備えており、この凹みに反射されて流入する雰囲気ガスを誘導することで、より結露しやすい箇所の表面と高温のガスとを効率的に接触させて熱伝達を行わせている。
【0077】
さらには、継ぎ手404,405同士で挟まれた空間の試料台250(収納空間214)の中央側は、両者の間に間隔が生じているものの収納空間214の中央部に配置されたプッシャピン311の駆動機構が配置されている。本実施例の駆動機構308は、板状の部材であるアーム410と収納空間214の天井面との間に柱状のベローズ411,アクチュエータ412,リニアガイド413が隣接して配置されている。
【0078】
このため、継ぎ手404,405の間の空間に導入された雰囲気ガスは、これらの間の間隙から中央側に向かう場合に障害物が多くコンダクタンスが低い流れとなることから、一部の雰囲気ガスは継ぎ手404,405のブロックの側壁と駆動機構308のベローズ411との間の間隔を通して流れ出ることになる。すなわち、雰囲気ガスはベローズ411に対向して面した継ぎ手404,405のブロックの側壁面上を流れることになり、継ぎ手404,405の加熱がより効率的に行われる。また、継ぎ手404,405はブロックの上下にも隙間が生じるように配置されており、継ぎ手404,405の間に供給された雰囲気ガスはこの隙間を通しても収納空間214の空間に流出することで、ブロックを加熱している。
【0079】
上記のように収納空間214内の部材同士の隙間を通して収納空間214内を中央側へ流れた雰囲気ガスは、図上左上側のダクト309の開口からダクト309内部を通り支柱310内部を介して真空容器210外部へ排出される。このように、本実施例では継ぎ手404,405同士の間の空間から、継ぎ手404,405と中央部を挟み反対の側の支持梁216のダクト309から真空容器210外部まで加熱した雰囲気ガスを通流させる構成を備えており、この流れにより試料台250に雰囲気温度より低温の熱交換媒体を供給することにより収納容器214内に結露が生じることを抑制している。
【0080】
以上の通り、本実施例によれば、低温の熱交換媒体を試料台250に供給する場合でも結露や腐食を抑制し、動作の不良や保守,部品交換の間隔の短縮といった悪影響を抑制でき、信頼性の高いプラズマ処理装置を提供できる。
【符号の説明】
【0081】
100 真空処理装置
101 カセット台
102 大気側試料搬送室
103,104 ロック室
105 真空側試料搬送室
106 真空処理ユニット
200 処理室
201 導波管
202 磁場形成装置
203 排気装置
204,306 開口
205 シャワープレート
206 直流電源
207 RFバイアス電源
208 加熱器
209a,b 温調ユニット
210 真空容器
211 側壁
212 下部容器
213 ガス源
214 収納空間
215 共振室
216 支持梁
217 内側容器
218,219 ゲートバルブ
220 ゲート
301 基材
302 底板
303 セラミック製カバー
304a,b 流路
305 誘電体膜
307 電極
308 駆動機構
309 ダクト
310 支柱
311 プッシャピン
312 真空排気弁
313 真空ポンプ
401 リング状部材
402,403,404,405 継ぎ手
406,407 冷媒管
408 He用配管
409 ケーブル
410 アーム
411 ベローズ
412 アクチュエータ
413 リニアガイド
414 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内部に配置され減圧されたその内側に処理用のガスが供給されてプラズマが形成される略円筒形の処理室と、前記処理室内でその周囲のこの処理室内の側壁面との間に空間をあけて配置されその上面に処理対象の試料が載置される前記略円筒形の試料台と、前記処理室の下部で前記試料台の下方に配置され前記ガスが排気される開口と、前記試料台内部にら旋または同心円状に配置されこの試料台の温度を調節する熱交換媒体が流れる媒体用通路と、前記試料台と前記処理室の内側側壁との間で水平方向に配置され前記試料台を前記処理室内に支持する支柱と、前記試料台の内部で前記通路の下方に配置され内部が大気圧にされた円筒形の空間と、前記支柱内部に配置され前記空間の内側壁と大気圧にされた前記真空容器外の空間とを連通する連結路と、この連結路内に配置され前記通路と連結され内部を前記熱交換媒体が流れる複数の媒体用管路と、前記空間内部の中央部に配置され前記ウエハを前記試料台の上面上で上下に移動するための複数のピンを駆動する駆動機構と、前記空間内部であって前記駆動機構の外周側に配置され複数の前記媒体用管路の前記試料台との接続部を覆う複数の金属製のブロックと、前記連結路内部を通り前記空間内部の前記複数のブロック及び前記駆動機構の間に開口を有して所定の温度に加熱されたガスが通流するガス供給路とを備え、前記連結路を通り前記空間内のガスが前記真空容器外部に排出されるプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、前記冷媒用管路がその接続部において前記空間の内側壁の開口からこの空間の天井面に接続されるものであって、前記ブロックが前記空間の天井面または底面と平行な平面及びこの平面に直角に配置された側面とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台が前記処理室と同心に配置され複数の前記支柱で支持され、前記複数の媒体用管路の少なくとも一つ及び前記ガス供給路の各々が前記複数の支柱の各々の内部に配置された連結路内に配置されたプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台が前記処理室と同心に配置され3以上の前記支柱で支持され、前記複数の媒体用管路及び前記ガス供給路の各々が前記複数の支柱の各々の内部に配置された連結路内に配置されたプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台の中心部及びその外周側の各々に異なる温度に調節された熱交換媒体が通流する第1及び第2の媒体用通路と、これら第1及び第2の媒体用通路の各々に連結され異なる前記支柱内部の前記連結路各々の内部に配置された第1及び第2の媒体用管路と、これら第1,第2の媒体用管路各々の接続部を覆って配置される第1及び第2の金属製のブロックとを備え、前記ガス供給路からの前記ガスが前記第1及び第2の金属製のブロックとの間に供給されるプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載のプラズマ処理装置であって、前記複数の支柱が前記処理室と同心にされた前記試料台の周囲にその上下方向の中心軸について軸対称に配置されたプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台内部でその中心の周囲に配置された前記複数のピンと、これら複数のピンの各々の下部と連結され前記試料台の中心から外周側に延在する複数の腕部及びこれら腕部と連結されて前記空間の天井面とこれら腕部との間で上下方向に伸縮するアクチュエータとを備えた前記駆動機構と、前記複数のピンの周囲に配置されて前記空間の天井面と連結され内外を気密に封止する伸縮可能なベローズとを備えたプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−171286(P2010−171286A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13769(P2009−13769)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】