説明

ホームセキュリティーシステム

【課題】 警備会社によらずとも各個人が携帯電話により自らの家庭で異常状態が発生している旨の通報を受け、携帯電話の画像表示装置により自らの家庭の状況を把握することができる、低コストのホームセキュリティーシステムを提供することである。
【解決手段】 ユーザーにより監視されることが望まれた対象を含む空間内の所定の場所に設置された、異常検知センサおよび監視カメラからなる異常状態認識手段と、該異常状態認識手段に接続され、かつ動画像を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に異常状態を伝達するためのホームセキュリティーボックスとからなるホームセキュリティーシステムであって、前記異常検知センサが異常状態を認識した場合に、ユーザーの携帯電話に対してコールすると共に異常状態が発生した旨のメッセージを送信し、該コールおよびメッセージを受信したユーザーが、携帯電話の画像表示装置において前記監視されるべき対象の状況を把握することができることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホームセキュリティーシステムに関する。さらに詳しくは、監視されるべき対象の監視中に異常状態が発生したときに、ユーザーの携帯電話にコールして異常状態の発生を伝達し、異常状態の発生を伝達されたユーザーは携帯電話の画像表示装置から監視されるべき対象の状況(たとえば、火災の発生状況、窓ガラスが破られた状況)を把握することができるホームセキュリティーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】図3に示されるように、従来の家庭用セキュリティーシステムは、ユーザーの家屋内の適所に災の発生に伴う室温の異常上昇や煙の発生を検知する火災検知センサ、都市ガスやプロパンガスの漏洩に伴うガス濃度の上昇を検知するガス漏洩検知センサ、強盗などの家屋への侵入を検知する赤外線センサなどの異常検知センサ11、12、13が設置されている。
【0003】該異常検知センサ11、12、13は専用端末21として機能するパーソナルコンピューに接続されており、異常検知センサ11、12、13が測定した実測温度、実測ガス濃度などの実測値と、正常な温度範囲、ガス濃度範囲などの設定値との比較演算処理がなされる。
【0004】専用端末21は、RS232Cなどの端子を介してNTTの回線網31に接続されている。
【0005】一方、ユーザーとホームセキュリティーの委託契約をしている警備会社の中央監視システム41は、NTTの回線網31と接続されており、委託契約先の各家庭に設置された異常検知センサ11、12、13の正常/異常を常時監視している。
【0006】中央監視システム41は、NTTの回線網31を介して警察署や消防署51とも接続されていて、委託契約先の家庭に設置された異常検知センサが異常状態を検知しているとの警備会社の中央監視システム41からの通報により警察署および/または消防署は当該委託先の家庭に出動する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の家庭用セキュリティーシステムの場合、ホームセキュリティーに関する警備会社との委託契約料が高額であり、一般家庭では警備会社によるセキュリティーサービスを受けることができないという問題がある。
【0008】また、従来の家庭用セキュリティーシステムの場合、異常状態の検知が異常検知センサのみに依存されているため、実際には異常状態が発生していなくても、異常検知センサの誤作動により異常状態が発生していると認識される虞があるという問題がある。
【0009】さらに、近年高齢化が進展し、ひとり暮らしの老人世帯や、寝たきりの老人を抱えた家庭が増加の一途をたどっている。
【0010】ひとり暮しの老人や、家族が外出中の寝たきりまたは歩行が困難な老人は、たとえば、郵便局の局員が郵便物を配達するために来訪したり、宅配業者のサービスマンが荷物を配達するために来訪したり、宅配業者のサービスマンが荷物を配達するために来訪したり、訪問看護などによる介護サービスのために看護婦やボランティアが来訪したときに、応対ができなかったり、来訪者の確認を充分にできないため、不審者の侵入を許してしまうという問題があるが、このような問題を解決しうる安価で確実なセキュリティーシステムがない。
【0011】本発明は、従来の家庭用セキュリティーシステムの問題点を解消し、警備会社によらずとも各個人が携帯電話により自らの家庭で異常状態が発生している旨の通報を受け、携帯電話の画像表示装置により自らの家庭の状況を把握することができる、低コストのホームセキュリティーシステムを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様であるホームセキュリティーシステムは、ユーザーにより監視されることが望まれた対象を含む空間内の所定の場所に設置された、異常検知センサおよび監視カメラからなる異常状態認識手段と、該異常状態認識手段に接続され、かつ動画像を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に異常状態を伝達するためのホームセキュリティーボックスとからなるホームセキュリティーシステムであって、前記異常検知センサが異常状態を認識した場合に、ユーザーの携帯電話に対してコールすると共に異常状態が発生した旨のメッセージを送信し、該コールおよびメッセージを受信したユーザーが、携帯電話の画像表示装置において前記ユーザーにより監視されることが望まれた対象の状況を把握することができることを特徴としている。
【0013】本発明の第2の態様であるホームセキュリティーボックスは、電源装置と、監視カメラに接続され、ユーザーが携帯電話からの遠隔操作により走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、該監視カメラにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、ユーザーに伝達すべき異常状態の発生のメッセージの入出力を制御するメッセージ入出力制御部と、異常検知センサ、メッセージ入出力制御部およびカメラ制御部に接続され、異常状態発生時にユーザーの携帯電話をコールし、ユーザーからの指示情報を受け取って所定のメッセージを送信したり、監視カメラによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とを備えていることを特徴としている。
【0014】本発明の第3の態様であるホームセキュリティーシステムは、玄関の適所に設置されたインターフォンおよび電子ロックと、該インターフォンの押しボタンを来訪者が押すことによって動作する監視カメラと、該インターフォンおよび監視カメラに接続され、該インターフォンの押しボタンが押されることによってユーザーの携帯電話がコールされると共に監視カメラが動作され、該監視カメラによって受像された来訪者の動画像とインターフォンによって収音された来訪者の音声を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に伝達するためのホームセキュリティーボックスとからなるホームセキュリティーシステムであって、ユーザーが、携帯電話により前記電子ロックの施錠と解除とを遠隔操作できることを特徴としている。
【0015】本発明の第4の態様であるホームセキュリティーボックスは、電源装置と、インターフォンおよび監視カメラに接続され、来訪者によって該インターフォンの押しボタンが押されることによって動作し、かつユーザーの携帯電話からの遠隔操作により走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、該監視カメラにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、前記インターフォンによって収音された音声を変調し、符号化する音声信号変換部と、前記インターフォンおよびカメラ制御部に接続され、インターフォンの押しボタンが来訪者によって押されたときにユーザーの携帯電話をコールし、監視カメラによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部、音声信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とを備えてなることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】添付図面を用いて本発明のホームセキュリティーシステムを詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の一実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステムの一例を示す説明図、図2は本発明の他の実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステムの一例を示す説明図である。
【0018】実施の形態1本実施の形態のホームセキュリティーシステム1は、ユーザーにより監視されることが望まれた対象(すなわち、官公庁、会社、一般家庭の家屋の扉、窓など外部から侵入される虞がある場所、金庫など貴重品の保管場所、火災の発生源となりうるボイラなどの給湯設備、ストーブ、天火などの調理器具など)が設置された部屋や区画といった空間内に設置された異常検知センサ2aおよび監視カメラ2bからなる異常状態認識手段2と、異常状態認識手段2に接続され、かつ動画像を伝送することができる携帯電話回線網3を介してユーザーの携帯電話5に異常状態を伝達するためのホームセキュリティーボックス4とから構成されている。
【0019】異常検知センサ2aとしては、たとえば外部からの不審者の侵入を検知する防犯用のセンサとして従来より知られた赤外線センサ、火災による急激な温度変化を電気抵抗の変化としてとらえる方式、ダイアフラムや管内の圧力変化としてとらえる方式、煙の発生を透過光変化としてとらえる方式などを用いた従来より知られた火災感知器を採用することができる。
【0020】また、監視カメラ2bとしては、たとえばビデオカメラのほか、CCDカメラやスキャナなどのイメージセンサを採用することができる。ビデオカメラとしてはデジタル式のものを採用すると、ホームセキュリティーシステムにA−D変換装置を採用しないですむので好ましい。
【0021】本実施の形態のホームセキュリティーシステム1のばあい、動画像を伝送し得る携帯電話回線網3として、たとえばNTTドコモのW−CDMA (Code Divided Multiple Access) などのいわゆる次世代携帯電話システムを採用することができる。
【0022】本実施の形態のホームセキュリティーシステムに適用されるホームセキュリティーボックス4は、電源装置と、監視カメラ2bに接続され、ユーザーが携帯電話5からの遠隔操作により走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、監視カメラ2bにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、ユーザーに伝達すべき異常状態の発生のメッセージ(たとえば、「火災が発生した」、「不審者が侵入した」、「ガス漏れが発生した」など)の入出力を制御するメッセージ入出力制御部と、前記異常検知センサ2a、メッセージ入出力制御部およびカメラ制御部に接続され、異常状態発生時にユーザーの携帯電話5をコールし、ユーザーからの指示情報を受け取って所定のメッセージを送信したり、監視カメラによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とから構成される。
【0023】なお、前記メッセージ入出力制御部については、本実施の形態にかかわるホームセキュリティーボックス自身が備えている必要はなく、たとえば通常のパーソナルコンピュータと接続することもできる。このようにパーソナルコンピュータと接続すれば、システム全体の構成がコンパクトになり、故障発生の可能性が引くなるとともにコストが低減するという利点がある。
【0024】叙上のように構成された本実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステムは、前記異常検知センサが異常状態を認識すると、ユーザーの携帯電話5に対してコールすると共に、たとえば「火災が発生した」、「不審者が家屋に侵入した」、「ガス漏れが発生した」など、異常状態が発生した旨のメッセージをユーザーの携帯電話に送信し、ユーザーからの指示(具体的には、携帯電話5のキー操作による指示)により、該コールおよびメッセージを受信したユーザーが、携帯電話の画像表示装置から、たとえば自宅で発生した火災の状況や、金庫が破られた状況などの現場の把握することができる。
【0025】実施の形態2本実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステム1は、家屋の玄関の適所に設置されたインターフォン6および電子ロック7と、インターフォン6の押しボタンを来訪者が押すことによって動作する監視カメラと2bと、インターフォン6および監視カメラ2bに接続され、インターフォン6の押しボタン6aが押されることによってユーザーの携帯電話5がコールされると共に監視カメラ2bが動作され、監視カメラ2bによって受像された来訪者の動画像とインターフォン6によって収音された来訪者の音声を伝送し得る携帯電話回線網3を介してユーザーの携帯電話5に伝達するためのホームセキュリティーボックス4とから構成されている。
【0026】ユーザーは、携帯電話5のキーを操作することにより電子ロック7の施錠と解除とを遠隔操作できる。
【0027】本実施の形態のホームセキュリティーシステム1に採用されるホームセキュリティーボックス4は、電源装置と、インターフォン6および監視カメラ2bに接続され、来訪者によって該インターフォン6の押しボタン6aが押されることによって動作し、かつユーザーの携帯電話5のキーを操作(遠隔操作)することにより走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、該監視カメラ2bにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、前記インターフォン6によって収音された音声を変調し、符号化する音声信号変換部と、前記インターフォン6およびカメラ制御部に接続され、インターフォン6の押しボタン6aが来訪者によって押されたときにユーザーの携帯電話をコールし、監視カメラ2bによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部、音声信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とを備えている。
【0028】
【発明の効果】本発明の請求項1にかかわるホームセキュリティーシステムによれば、異常検知センサおよび監視カメラからなる異常状態認識手段と、該異常状態認識手段に接続され、かつ動画像を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に異常状態を伝達するためのホームセキュリティーボックスを備えているので、警備会社によらずとも各個人が携帯電話により自らの家庭で異常状態が発生している旨の通報を受け、携帯電話の画像表示装置により自らの家庭の状況を把握することができる、低コストのホームセキュリティーシステムを提供することができる。
【0029】本発明の請求項3にかかわるホームセキュリティーシステムによれば、屋内に人がいなくても、屋外から来訪者に応対でき、郵便配達などのサービスを受けることができるばかりでなく、屋内の寝たきりの老人、歩行不能の老人や肢体が不自由な人が、ベッドや車椅子から来訪者の確認と、郵便物の受け取り、訪問看護のために来訪した看護婦を招じ入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステムの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態にかかわるホームセキュリティーシステムの一例を示す説明図である。
【図3】従来のセキュリティーシステムを示す説明図である。
【符号の説明】
1 ホームセキュリティーシステム
2 異常状態検知手段
2a 異常検知センサ
2b 監視カメラ
3 携帯電話回線網
4 ホームセキュリティーボックス
5 携帯電話
6 インターフォン
7 電子ロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユーザーにより監視されることが望まれた対象を含む空間内の所定の場所に設置された、異常検知センサおよび監視カメラからなる異常状態認識手段と、該異常状態認識手段に接続され、かつ動画像を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に異常状態を伝達するためのホームセキュリティーボックスとからなるホームセキュリティーシステムであって、前記異常検知センサが異常状態を認識した場合に、ユーザーの携帯電話に対してコールすると共に異常状態が発生した旨のメッセージを送信し、該コールおよびメッセージを受信したユーザーが、携帯電話の画像表示装置において前記監視されるべき対象の状況を把握することができることを特徴とするホームセキュリティーシステム。
【請求項2】 電源装置と、監視カメラに接続され、ユーザーが携帯電話からの遠隔操作により走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、該監視カメラにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、ユーザーに伝達すべき異常状態の発生のメッセージの入出力を制御するメッセージ入出力制御部と、異常検知センサと前記メッセージ入出力制御部およびカメラ制御部とに接続され、異常状態発生時にユーザーの携帯電話をコールし、ユーザーからの指示情報を受け取って所定のメッセージを送信したり、監視カメラによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とを備えてなるホームセキュリティーボックス。
【請求項3】 玄関の適所に設置されたインターフォンおよび電子ロックと、該インターフォンの押しボタンを来訪者が押すことによって動作する監視カメラと、該インターフォンおよび監視カメラに接続され、該インターフォンの押しボタンが押されることによってユーザーの携帯電話がコールされると共に監視カメラが動作され、該監視カメラによって受像された来訪者の動画像とインターフォンによって収音された来訪者の音声を伝送し得る携帯電話回線網を介してユーザーの携帯電話に伝達するためのホームセキュリティーボックスとからなるホームセキュリティーシステムであって、ユーザーが、携帯電話により前記電子ロックの施錠と解除とを遠隔操作できることを特徴とするホームセキュリティーシステム。
【請求項4】 電源装置と、インターフォンおよび監視カメラに接続され、来訪者によって該インターフォンの押しボタンが押されることによって動作し、かつユーザーの携帯電話からの遠隔操作により走査したり、クローズアップ映像を写すようにしたり、画像情報の記録/再生を制御するカメラ制御部と、該監視カメラにより得られた画像情報を変調したり符号化したりする画像信号変換部と、前記インターフォンによって収音された音声を変調し、符号化する音声信号変換部と、前記インターフォンおよびカメラ制御部に接続され、インターフォンの押しボタンが来訪者によって押されたときにユーザーの携帯電話をコールし、監視カメラによって撮影された画像データを送信したりするシステム制御部と、該カメラ制御部、画像信号変換部、音声信号変換部およびシステム制御部に接続された回線制御部とを備えてなるホームセキュリティーボックス。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】特開2001−245069(P2001−245069A)
【公開日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−56544(P2000−56544)
【出願日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(500094945)株式会社シーパス (1)
【Fターム(参考)】