説明

レーザパターニングされた金属ゲートを備えるMOSトランジスタ及びそれを形成するための方法

【課題】 レーザパターニングされた金属ゲートを有するMOSトランジスタ、及びその製造方法。
【解決手段】 本方法は概して、誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成することであって、その誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的機能性基板上にある、形成すること;金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングすること;及び、金属ゲートに隣接する場所にある無機半導体内にソース端子及びドレイン端子を形成することを含む。そのトランジスタは概して、電気的機能性基板と;電気的機能性基板の少なくとも一部の上にある誘電体薄膜と;誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされた金属ゲートと;金属ゲートに隣接する、ドープされた無機半導体層を含むソース端子及びドレイン端子とを備える。本発明は、1つ又は複数の従来のフォトリソグラフィ工程をなくすことにより、信頼性がある電気的特性を有するMOS薄膜トランジスタを迅速に、効率的に、及び/又は低コストで提供する点で好都合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ及びそれを形成する方法の分野に関する。より具体的には、本発明の実施の形態は、レーザパターニングされた金属ゲートを有するMOS薄膜トランジスタ構造、並びにそれらを製造及び/又は生産するための方法に関する。
【0002】
本特許出願は、2005年3月18日に出願の米国仮特許出願第60/663,296号(代理人整理番号第IDR0212号)の利益を主張し、2005年3月18日に出願の「MOS Transistor with Self-Aligned Source and Drain, and Method for Making the Same」という名称の米国特許出願第11/084,448号(代理人整理番号第IDR0211)に関連する場合があり、それらの特許出願はいずれも、その全体を参照することにより本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
ポリシリコンに基づくGHz薄膜トランジスタ(TFT)を構築することの実現性、及びそのようなTFTの特性を測定するための技術が当該技術分野において知られている。高解像度リソグラフィを、レーザ再結晶化及び金属誘起横方向再結晶化を含む、移動度を向上させる再結晶化技法と組み合わせて、2.4GHz未満で動作することができるpチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの両方を実現することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低コスト又はコスト効率の良い、そのようなTFTを形成するための製造加工技術が依然として必要とされている。本発明は、GHz TFTへのそのような要求を満たすために設計された、レーザパターニングされた金属ゲートの技術を利用した、電子デバイス(詳細には、MOSトランジスタ構造)及びそれを形成するための工程に関し、それは、電子デバイス内にパターニングされた金属構造を形成するための低コストで、且つ高スループットの工程を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の複数の実施の形態が、レーザパターニングされた金属ゲートを有する、MOSトランジスタのような電子デバイス、及びそれを形成する方法に関連する。その方法は包括的には、誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成するステップであって、その誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的機能性基板上にある、形成するステップと、金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングするステップと、金属ゲートに概ね隣接する場所にある無機半導体内にソース端子及びドレイン端子を形成するステップとを含む。そのMOSトランジスタは包括的には、(a)ゲート制御によって伝導を行うことができる電気的機能性基板(たとえば、TFTでは、半導体薄膜)と、(b)電気的機能性基板の一部の上にある誘電体薄膜と、(c)誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされた金属ゲートと、(4)金属ゲートに概ね隣接する、基板上又は基板内にある(高濃度に)ドープされた無機半導体層を含むソース端子及びドレイン端子とを備える。
【0006】
本発明は、信頼性があり、市販できる条件を満たしている電気的特性(たとえば、入力キャパシタンス、スイッチング速度、オン/オフ比、実効キャリア移動度、閾値電圧[V]等)を有するMOS薄膜トランジスタ(MOS TFT)を形成するための低コストの方法を提供する点で好都合である。レーザによって画定される(そして特にレーザによって描画される)ゲート導体構造を有するトランジスタが、(1)より従来的な半導体処理によって生成されるものに類似の結果を、従来のMOS半導体処理技術よりもはるかに低コストで、且つはるかに高いスループット(数週間ないし数ヶ月ではなく、概ね数時間ないし数日)で提供し、(2)従来のグラフィックアート印刷技術(たとえばインクジェット)に比べて高い解像度のパターニング能力、及び同程度又はそれ以上のスループットを提供する。また、レーザによって画定されるゲート導体構造及び無機半導体構造を有するトランジスタが、概して、レーザパターニングされたゲート導体構造を有する有機電子デバイスに比べて高い性能(たとえば、改善された電気的特性)を提供する。たとえば、本発明によれば、10μm(ミクロン)未満のゲートライン幅を有する印刷無機電気デバイスを形成できるようになるのに対して、従来のグラフィックアート印刷技術を利用する印刷デバイス内のライン幅は一般的には10μm(ミクロン)よりも広い。本発明は、ゲート金属パターンが任意のデジタルデータソースから連続して生成されるように、デジタル形式で実施することができ、結果として、「マスクを用いることなく」、容易にカスタム化可能で、且つ/又は局所的に位置合わせ可能であり、フレキシブル基板及び/又は大きな歪みを受ける基板(ポリマーシート又は金属箔等)を利用することができる。さらに、本発明は非接触印刷技術を用いて実施することができ(それにより、グラビア印刷、オフセット印刷等の接触印刷方法の使用に起因する欠陥の影響を減らすか、又はなくすことができる)、また本発明によれば、〜20μmまでの焦点深度が可能になる。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下の発明を実施するための最良の形態から容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ここで、本発明の好ましい実施形態が詳しく参照されることになり、その複数の例が添付の図面に例示される。本発明は好ましい実施形態に関して説明されることになるが、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図していないことは理解されよう。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神及び範囲内に含まれる可能性がある代替形態、変更形態及び等価形態を網羅することを意図している。さらに、本発明の以下に記載される詳細な説明では、本発明を完全に理解してもらうために、数多くの具体的な詳細が述べられる。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細を用いることなく実施できることは、当業者には容易に明らかになるであろう。他の事例では、本発明の態様を不必要に曖昧にしないように、既知の方法、手順、構成要素及び回路が詳細には説明されていない。
【0008】
便宜上、且つ簡単にするために、用語「〜に結合される」、「〜に接続される」及び「〜と繋がっている」(並びにその変形)は、その文脈において他に明確な指示がなければ、直接的又は間接的な結合、接続及び繋がりを意味する。これらの用語は、その文脈において他に明確な指示がなければ、本明細書では概ね入れ替えて用いることができ、1つのそのような用語が用いられる如何なる場合においても、その用語は他の用語を含む。本開示では、用語「堆積する」(及びその文法的な変形)は、全面堆積、コーティング及び印刷を含む、全ての堆積形態を含むことを意図している。さらに、或る特定の材料に関して、「概ね〜から含む」という言い回しは、意図的に添加されるドーパントを除外しないので、それにより、ドーパントが添加される材料(又はそのような材料から形成される素子又は構造)に、或る特定の所望の(及び意図的に全く異なる)物理的及び/又は電気的特性を与えることができる。用語「(環状)シラン」は、概ね(1)シリコン及び/又はゲルマニウム、並びに(2)水素から構成され、且つ1つ又は複数の環状環を含むことができる化合物又は化合物の混合物を指している。用語「複素(環式)シラン」は、概ね(1)シリコン及び/又はゲルマニウム、(2)水素、並びに(3)従来の炭化水素、シラン又はゲルマン置換基によって置換されることができるB、P、As又はSbのようなドーパント原子から構成され、且つ1つ又は複数の周期的な環を含むことができる化合物又は化合物の混合物を指している。また、或る構造及び特徴部の「主面」は、その構造又は特徴部の最も長い軸によって少なくとも部分的に画定される表面である(たとえば、その構造が円形であり、その厚みよりも大きな半径を有する場合には、その径方向の表面(複数可)がその構造の主面である。しかしながら、その構造が正方形、長方形又は長円形である場合、その構造の主面は通常、2つの最も長い軸[一般的には長さ及び幅]によって画定される表面である)。
【0009】
本発明は、概して、(1)誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成するステップであって、その誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的機能性基板上にある、形成するステップと、(2)金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングするステップと、(3)金属ゲートに概ね隣接する場所にある無機半導体内にソース端子及びドレイン端子を形成するステップとを含む、MOSトランジスタを形成する方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、(a)電気的機能性基板と、(b)その基板の一部の上にある誘電体薄膜と、(c)誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされた金属ゲートと、(d)金属ゲートに概ね隣接する、電気的機能性基板上又は当該基板内にある、(高濃度に)ドープされた無機半導体層を含むソース端子及びドレイン端子とを備える、電気デバイスに関する。
【0010】
本発明は、その種々の態様において、例示的な実施形態に関して以下にさらに詳細に説明されるであろう。
【0011】
[MOSトランジスタを形成するための例示的な方法]
一態様では、本発明は、(1)誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成するステップであって、その誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的に機能する基板上にある、形成するステップと、(2)金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングするステップと、(3)金属ゲートに概ね隣接する場所にある無機半導体内にソース端子及びドレイン端子を形成するステップとを含む、MOSトランジスタ(好ましくはMOS TFT)を形成する方法に関する。好ましい実施形態では、その方法はさらに、基板上に液相半導体(たとえば、IVA族元素)前駆物質を堆積し、その後、その液相半導体前駆物質を硬化させて、(オプションで)アニールし、無機半導体及び/又はソース端子及びドレイン端子を形成することを含む。一実施態様では、液相半導体前駆物質堆積ステップは、TFTのために適した基板上に半導体前駆物質インクを印刷することを含む。全面堆積、フォトリソグラフィ及びエッチングではなく、液相インクを印刷することにより、(i)処理ステップの数、(ii)製造工程にかかる時間、(iii)回路、チップ、ディスプレイ素子、感光素子、又はその上に本発明のMOSトランジスタを有する他の装置を製造するコスト、及び/又は(iv)従来技術であれば、労働集約的で、比較的コストがかかるマスク変更を伴うことになっていた、パターニングされたシリコン層のパターンを変更又は部分変更するのに一般的に要することになる設定時間が節約される。したがって、本発明の方法は、従来のMOS半導体製造技術よりも高いスループットで、MOSトランジスタのような、高速で、信頼性のある電子デバイスを製造するためのコスト効率の良い方法を提供する。
【0012】
GHz周波数で動作することができるTFTは、(1)狭いチャネル幅、(2)その間がわずかに重なるだけでゲートに自動位置合わせされるソース端子及びドレイン端子、及び(3)高いキャリア移動度を必要とする場合がある。レーザ(たとえば、最新のオフセット又はグラビア印刷において用いられる従来のコンピュータ・トゥ・プレート[CTP]印刷ツールであり、その1つ又は複数の能力をフラットベッド/プレート印刷のために変更又は最適化することができ[たとえば、自動焦点及び多層位置合わせ/重ね合わせ能力をフラットベッド/プレート印刷用に最適化し、それゆえオフセット又はグラビア印刷のために最適化されたものから変更することができる]、それを用いて、金属箔又は金属円筒上にあるレジスト内にパターンを形成し、基板上にインクを印刷するために後に紙又は別の基板に押し付けられるインクウエルを形成することができる)を用いて、約5ミクロン幅の比較的狭いトランジスタゲートを描画することができ、レジストマスク及びウエットアンダーカットエッチングを用いて2ミクロン未満の幅を得ることができる。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、「液相シリコン」インク配合物と、活性エリアをエキシマレーザで露光することとを組み合わせて用いることにより、自動位置合わせされたソース端子及びドレイン端子を生成することができる。金属誘起又は加熱炉結晶化及び/又はエキシマレーザからのエネルギーによって、改善されたキャリア移動度(たとえば、ドーパント活性化に起因する)を与えることができる。エキシマレーザを用いる1つの利点は、極めて限られた場所において非常に高い温度を生成できることであり、その能力は、回路、チップ、素子、装置又は下層の薄膜及び/又は基板内の他の場所に、熱による大きな悪影響を及ぼすことなく、パターニングされた薄膜内の半導体ドーパントを活性化するのに非常に有用である。
【0014】
本発明による薄膜トランジスタを形成するための例示的な工程フローは以下のステップを含む。
・低濃度にドープされたシランを堆積して、アモルファスSi薄膜を形成するステップ。
・(オプションで)金属シード層を堆積するステップ。
・(オプションで)アモルファスSiを脱水素化するステップ。
・低濃度にドープされるか、又はドープされないアモルファスSiを結晶化するステップ(たとえば、エキシマレーザ処理、又は加熱炉処理による)。
・ゲート酸化膜を堆積するか、成長させるか、それ以外の方法で形成するステップ。
・ゲート金属を描画するか、又はそれ以外の方法でパターニングするステップ。
・ゲートをマスクとして用いて、ゲート酸化膜をエッチングするステップ。
・薄い、高濃度にドープされたシラン(又は固体ドーパント源)を堆積するか、又はドーパントを注入するステップ。
・高濃度にドープされたエリアにおいてドーパントを活性化及び/又は拡散するステップ(たとえば、エキシマレーザ処理による)。
・(環状)シランが用いられる場合には、ゲート側壁から、照射されない(結晶化、活性化又は他の作用が不十分である)ドープされたアモルファスシリコンを選択的にウエットエッチングするステップ(たとえば図4を参照)。
・金属クロスオーバ(たとえば、第2段の金属)が(オプションで)必要とされる場合には、誘電体を描画するステップ。
・ソース及びドレインコンタクト金属を描画するステップ。
・パッシベーション(たとえば酸化物又は窒化物)を堆積するステップ。
・従来のアニールステップ。
・水素化ステップ(オプション)。
・検査ステップ(オプション)
【0015】
本発明の工程を組み合わせて、pチャネル及びnチャネルの両方のトランジスタを形成することができる。一例では、それぞれP及びBの発生源を用いる従来のイオン注入を、従来のマスク及びエッチング技法と組み合わせて用いて、高性能のpチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタが形成される。上記のドープされたシラン堆積ステップのうちの1つ又は複数において、異なるドーパントタイプを含むシラン組成物を用いることができることがさらに好ましい。たとえば、異なるドーパントタイプ及び濃度を含む異なるインクを、基板の異なるエリア内に印刷することができる。本発明のMOSトランジスタを製造するための第1の例示的な方法が、図1〜図5を参照して以下に説明される。
【0016】
[ゲート金属層の形成]
ここで図1を参照すると、MOS TFTデバイス前駆物質の断面図が示されており、その方法は、ゲート誘電体層14上にあるゲート金属層20をレーザパターニングするステップを含むことができる。ゲート誘電体層14そのものは、低濃度にドープされた(電気的に活性の)ポリシリコン層12上にあり、そのポリシリコン層12は基板10上にコーティング、又はそれ以外の方法で形成され、(電気的に)不活性のシリコン含有領域18によって画定することができる。種々の実施形態において、ゲート金属層20は、誘電体層14上に金属又は金属含有材料を全面堆積するか、又は金属前駆物質を印刷し、その後、金属ゲートを「レーザパターニングする」ことによって形成することができる。本明細書において想定されるように、レーザパターニングは、(i)(CTP/デジタル印刷プレート化学作用において用いられるのに類似の)サーマルレジストに照射すること、(ii)その中にUV、可視光又はIR染料をさらに含む従来のレジスト材料に照射すること、及び、(iii)誘電体層14上に堆積される金属前駆物質インク(すなわち、溶媒内に金属前駆物質を含む組成物)に直に照射するか、又は「レーザ描画」し、その後(オプションで)、パターニングされたインク層を現像及び/又はアニールすることを含む。
【0017】
一実施形態では、全面堆積は、当該技術分野において知られているような、たとえば、蒸着、物理気相成長、スパッタリング又は化学気相成長を含むことができる。別法では、全面堆積は、金属ナノ粒子(それは不動態化することができる)及び溶媒を含むナノ粒子インクをスピンコーティングし、ナノ粒子インクを硬化させることを含むことができる(たとえば、関連する部分が、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,878,184号を参照されたい)。そのような方法によって堆積することができる金属は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナ、銅、亜鉛、銀、金等の元素金属;アルミニウム−銅合金、アルミニウム−シリコン合金、アルミニウム−銅−シリコン合金、チタン−タングステン合金、アルミニウム−チタン合金等の、そのような元素から成る従来の合金;及び元素金属の窒化物及びケイ化物のような導電性金属化合物(たとえば、窒化チタン、ケイ化チタン、窒化タンタル、ケイ化コバルト、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化プラチナ等)を含む。他の実施形態では、全面堆積するステップは、金属含有材料を含むインクをスピンコーティングすることを含むことができ、その金属含有材料は、先に開示された金属のうちの1つ又は複数の金属から成る金属ナノ粒子及び/又は有機金属前駆物質を含むことができ、且つ/又は、その方法はさらに、レーザパターニングするステップの前に、金属、有機金属前駆物質(複数可)及び/又は金属ナノ粒子を硬化させるか、又はアニールするステップを含むことができる。
【0018】
或る特定の実施形態では、レーザパターニングは、全面堆積された金属含有層上にレジスト材料を堆積するサブステップと、レジスト材料の一部に、(i)所定の幅及び/又は(ii)レジストによって(又はレジスト内にある吸収性染料によって)吸収される所定の波長又は波長帯を有するレーザからの光ビームを選択的に照射するサブステップと、選択的に照射されたレジストを現像剤で現像し、形成される構造(この場合には、ゲート金属20である;これらのステップはポジ及びネガ両方のレジストに当てはまることに留意されたい)に対応するパターンを残すサブステップと、所望の、又は所定のパターンに対応しない、全面堆積された材料の部分を除去するサブステップ(通常ドライ又はウエットエッチングによる)と、残りのレジスト材料を除去するサブステップとを含むことができる。その光は赤外(IR)帯内の波長を有し(ただし、それはスペクトルの紫外[UV]及び/又は可視光帯内の波長又は波長帯を含むこともできる)、レジスト(又は染料)はその光の波長及び波長帯を吸収し、且つ/又はその光の波長及び波長帯に対して感光性があり、その光ビームはレジストの所望の、又は所定の部分に合焦するか、又は誘導されることが好ましい。
【0019】
1つの代替形態では、サーマルレジストを用いて、ゲート金属をマスクできることが好都合である。レーザからの比較的細いレーザビームをサーマルレジストに照射することにより(たとえば、2〜5μm幅、又はそのような幅の構造を画定するように含むマスクに、より拡散性の高い光を通すことにより)、レジストが加熱され、そのレジストがポジ作用であるか、ネガ作用であるかに応じて、それぞれレジストの照射された(描画された)部分又は照射されない(描画されない)部分を除去するために用いられる従来の現像剤への溶解性が変化する。そのようなレジストは、クレオ(Creo)社(カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バーナビー)から広く市販されている。好ましいサーマルレジストは、Graviti Thermal Resist(クレオ)及びAmerican Dye Sources Thermolakシリーズを含む。そのレジストは、その中に赤外(IR)光吸収染料を有する従来の(フォト)レジスト材料を含むこともできる。好ましい(フォト)レジスト材料は、AZ1518(AZエレクトロニックマテリアルズ社)及びSPR220(シプレイ社(Shipley))を含み、好ましい赤外(IR)光吸収染料は、American Dye Source 815EI、830AT、830WS及び832WS、Avecia Projet 830NP及び830LDI、Epolin Epolight 4148、2184、4121、4113、3063及び4149、HW Sands SDA5303及びSDA4554を含む。現像後に、(所定の)ゲートパターン以外の金属材料(又は金属前駆物質)は、ウエットエッチング又はドライエッチングによって除去することができる。ドライエッチングを用いて実現できる幅よりも、さらに狭いゲート及び/又はトランジスタチャネル幅を与えるために、ウエットエッチングによってレジストをアンダーカットすることが好ましい場合もある。
【0020】
さらに別の実施形態では、ゲート金属層は、「レーザ描画」又は「レーザ直接描画」によって画定することができる。ゲート金属をレーザ描画する場合、金属ナノ粒子インクのような金属前駆物質インクが、先に説明されたように、全面堆積又は印刷され(しかし、硬化しない)、その後、レーザを照射(レーザで描画)することができる(たとえば、約2〜10μm幅の光学照射ビームを生成することによるか、又はそのような幅の構造を画定するように含むマスクの中にレーザ照射を通すことによる;その光は、金属前駆物質、ナノ粒子又はインク内の他の材料によって吸収されるIR、可視光又はUV波長又は波長帯を有する)。その光は金属前駆物質を加熱し(そして、その後、硬化させ、架橋し、又は溶解し)、堆積されたインクの照射されない(描画されない)部分は現像剤において除去することができる(多くの場合に、現像剤は前駆物質インクにおいて用いられる溶媒に類似の、又は同じ溶媒を含む)。ゲート金属のレーザ直接描画(たとえば、その関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される、2003年11月24日に出願の米国特許出願第10/722,255号[代理人整理番号第KOV−015]に開示されるような、導電性金属ワイヤ又は薄膜を形成するための手順に概ね従う)は、コスト及び製造時のスループットを考慮する場合に一般的に好ましい。別法では、金属前駆物質インクは、1つ又は複数の光画定可能な金属含有種を含むことができ、その金属含有種がUV、可視光又はIR照射を吸収することにより、後に用いられる現像剤におけるその溶解性を変更するだけの十分な変化(たとえば、金属ナノ粒子を包囲する配位子殻の1つ又は複数の成分における化学反応)が直接的に、又は間接的に引き起こされる。
【0021】
こうして、「レーザ(直接)描画」では、照射によって金属前駆物質が硬化し、架橋し、且つ/又は溶解するときに、金属前駆物質インクの照射されない部分は溶媒又は溶媒混合物で現像されて、インクの照射された部分に悪影響を及ぼすことなく、照射されないインクを選択的に除去又は溶解することができる。別法では、光分解又は熱によって溶解性の変化が引き起こされるレジストが用いられるとき、照射されない(ネガ)エリア又は照射された(ポジ)エリアのいずれかを現像することができる。照射後に電気的特性及び溶解性が大きく変化する金属前駆物質(いわゆる、「照射によってパターニング可能な機能材料」)を含むインクが、それぞれ2003年11月24日及び2003年12月31日に出願の同時係属の米国特許第10/722,255号及び第10/749,876号(それぞれ代理人整理番号第KOV−015号及び第KOV−012号)において開示されており、それらの特許出願の関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。酸化、還元又は不活性雰囲気内で、1分〜60分間、100℃〜300℃の温度において追加のアニールステップを(現像後に)実施することは、金属の抵抗率、スペクトル線プロファイル及び/又はモルフォロジを改善し、下層の誘電体への金属の接着性を改善し、且つ/又はパターニングされた金属ゲート内の不純物の量を低減するのに好都合であろう。適当な不活性雰囲気は、窒素及び希ガス(たとえば、He、Ne、Ar、Kr及び/又はXe)のような1つ又は複数の酸素を含まない不活性ガスを含むことができる。適当な還元雰囲気は、オプションで先に記載されたような1つ又は複数の酸素を含まない不活性(たとえばキャリア)ガスとともに、フォーミングガス、アンモニア、メタン、シラン、ホスフィン、水素、ボラン等を含むことができる。
【0022】
こうして、本発明の方法の種々の実施形態において、金属含有材料は、金属ナノ粒子及び/又は1つ又は複数の有機金属化合物を含み、そのどれもが照射に対して敏感に反応することができ、またその金属含有材料は(たとえば、インクを形成するために)さらに溶媒を含むことができる。金属含有材料が金属ナノ粒子を含む場合、レーザ描画ステップは、金属ナノ粒子を硬化させるか、互いに結合させるか、又は溶解させるほど十分に金属ナノ粒子に照射することを含むことができる。金属含有材料が、光画定可能な金属含有種(たとえば、光画定可能な金属ナノ粒子又は光画定可能な有機金属化合物)を含む場合、レーザ描画ステップは、後に用いられる現像剤内でその溶解性を変化させるほど十分に、光画定可能金属含有種に照射することを含むことができる。好ましい実施形態では、光画定可能な金属含有種は、その種への配位子結合を有する金属ナノ粒子を含み、それらの配位子は、光反応基、すなわち光化学的に生成された種と反応し、一次の光反応後、すなわち光化学的に生成された種との反応後に、現像剤内の金属含有材料の溶解性を大きく変化させる特性基を含む。そのような実施形態では、その方法はさらに、描画されない金属含有材料を(たとえば、現像剤で)除去するステップを含むことができるが、場合によっては、描画されない材料(或いは別法では、ポジレジスト配合物内の照射された、又は描画されたエリア)は相対的に絶縁性であることもあるので、必ずしも除去される必要はない。
【0023】
一変形形態では、金属含有材料は上記のように照射されることができるが、その溶解性の変化は熱によって開始されるか、又は引き起こされる。そのような実施形態では、熱は染料、ナノ粒子、或いは開始剤内又は放射を吸収する金属含有種に結合される配位子内にある「熱反応基」によって生成することができる。言い換えると、そのような実施形態におけるレーザパターニングは、金属ゲートパターンを画定するように成される材料の部分(レジスト、或いはその中にUV、可視光又はIR染料及び/又は他の熱反応材料を有する金属含有材料等)に照射し、それにより照射された材料を加熱し、その溶解性を変化させて、さらに(オプションでは)照射された材料を現像及び/又はアニールすることを含むことができる。こうして、金属含有材料はさらに、1つ又は複数の感光性又は熱反応性開始剤を含むことができる。一実施形態では、照射及び加熱は概ね同時に行われる。そのような場合には、染料が照射ステップ中に光を吸収し、吸収された光を熱エネルギーに変換して、その熱エネルギーによって、熱反応性材料が反応して、ゲート金属画定材料の溶解性を変化させる。別法では、照射及び加熱は別個のステップにおいて実行することができる。たとえば、金属含有材料内の反応種のレーザ照射が、金属含有材料内に1つのパターンを生成することができ、その後、後続の加熱(たとえば、ホットプレート上、或いはオーブン又は加熱炉内)が行われて、その材料の溶解性を変化させる。
【0024】
たとえば、ビニル基(たとえば、端部にある;いわゆる「ω−オレフィン」)を支持する配位子を有する金属ナノ粒子をインクに配合することができ、さらに従来のラジカル開始剤(たとえばAIBN)及び界面活性剤がさらに含まれる。そのインクを堆積し、ナノ粒子を金属に直にレーザ変換する場合よりも著しく低い電力でレーザ照射することができ、吸収された熱が、界面活性剤内のビニル基のラジカル重合を開始する。そのようなビニル基含有配位子、ラジカル開始剤及び界面活性剤を有する適当なナノ粒子、並びに(1)ラジカルに基づく、熱的に架橋可能な特性基を有する他の配位子、及び/又は(2)そのようなナノ粒子、開始剤及び界面活性剤を用いて調製することができるインク配合物が、2003年12月31日に出願の同時係属の米国特許出願第10/749,876号(代理人整理番号第KOV−012号)に開示されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。
【0025】
別法では、金属含有インクは、基本的には任意の従来の印刷技術によって、誘電体層14上に印刷することができる。たとえば、印刷は、インクジェット印刷(「インクジェット吐出」)、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソグラフ(フレキソ印刷)、スプレーコーティング、スリットコーティング、押出しコーティング、メニスカスコーティング、マイクロスポッティング、ペンコーティング、ステンシリング、スタンピング、シリンジディスペンシング及び/又はポンプディスペンシングを実施して、金属含有インクを誘電体層14上に所定のパターンで印刷することを含むことができる。そのインクは、金属前駆物質及び溶媒を含むか、又は概ね金属前駆物質及び溶媒から構成することができる。印刷(或いは印刷又はレーザ描画された導体又は半導体前駆物質上への[選択的な]めっき)に概ね適合する金属前駆物質は、チタン、銅、銀、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、金、パラジウム、プラチナ、亜鉛、鉄等、又はそれらの合金のような金属から成り、好ましくは銀又は金(或いはその合金)から成る有機金属化合物或いはナノ粒子(たとえばナノ結晶)を含むことができる。そのようなナノ粒子又はナノ結晶は従来どおりに不動態化する(たとえば、1つ又は複数の界面活性剤を用いる)ことも、不動態化しないこともできる。めっきは、一例では、金属のナノ粒子又は有機金属化合物を用いて、金属(たとえばPd)のシード層をレーザ描画し、その後、レーザ描画された金属層上にバルク導体(たとえば、Co、Ni、Cu等)又は半導体(たとえば、Si及び/又はGe)を選択的に堆積すること(たとえば、無電解めっき又は電気めっきによる)を含むことができる。別法では、そのインクは、従来の結合剤の中に1つ又は複数のそのような金属又はその合金の粉末を含む従来のペーストを含むか、又は概ねそのペーストから構成することができる。
【0026】
こうして、本発明の方法における金属含有材料層形成ステップは、誘電体薄膜上に金属含有インクを印刷することを含むことができる。そのような工程では、その方法はさらに、金属含有インクをレーザパターニングすること、硬化させること及び/又はアニールすることを含むことができる。レーザ照射前に、金属含有インクが誘電体薄膜上に印刷される場合には、使用又は消費される金属又は金属前駆物質の量は著しく削減される。金属含有インクが最初に印刷され、その後、レーザパターニングされる場合には、印刷及びレーザパターニングの組み合わせが、使用又は消費される金属又は金属前駆物質の量を著しく削減するが、それでも(グラフィックアート印刷技術に対して)レーザパターニングの高い解像度が提供される。印刷して、その後、レーザ描画する(たとえば、インクからの金属又は金属前駆物質に直に照射する)場合、本明細書において説明される他の利点に加えて、(全面堆積し、その後、レーザ描画する場合と比べて)レジスト堆積及び除去ステップが避けられる。
【0027】
印刷されるにしても、全面堆積されるにしても、金属含有インクは、従来の、及び/又は他の既知の工程によって乾燥させることができる。たとえば、金属前駆物質インクは、溶媒及び/又は結合剤を除去ための実効的な温度及び時間において、その上に印刷された金属前駆物質インクを含む基板10を加熱することにより乾燥させることができる。印刷されたインクから溶媒を除去するのに適した温度は、約80℃〜約150℃の範囲にすることができ、すなわち、その中の任意の温度範囲(たとえば、約100℃〜120℃)を用いることができる。そのような温度において、印刷されたインクから溶媒を除去するのに適した時間は、約10秒〜約10分の範囲にすることができ、すなわち、その中の任意の時間範囲(たとえば、約30秒〜約5分、又は約1分〜3分等)を用いることができる。そのような加熱は、従来のホットプレート上で、或いは従来の加熱炉又はオーブン内で、オプションでは不活性雰囲気(上記)内で行うことができる。
【0028】
また、印刷されるにしても、全面堆積されるにしても、インクからの乾燥した金属含有材料はさらに、その電気的特性及び/又は物理的特性(たとえば、導電率、モルフォロジ、エレクトロマイグレーション及び/又はエッチング耐性、応力及び/又は表面ひずみ等)、及び/又は下層のゲート酸化膜へのその接着性を改善するだけの十分な温度及び時間においてアニールすることができる。金属含有インクが全体的に(全面)堆積又は印刷されるとき、全体としてアニールが行われ、金属薄膜が形成され、その金属薄膜上には、後にレーザパターニングするためにレジストが堆積される。また、金属前駆物質インクをレーザ直接描画する結果として、金属及び/又は金属前駆物質がパターニングされるとき、全体としてアニールが実行されて、導電率、接着性等が改善された金属層が形成される。そのようなアニール処理は、既に溶解している金属ナノ粒子をアニールすることか、又はパターニングされた金属前駆物質層をパターニングされた金属に変換することのいずれかを含むことができる。適当な温度は概ね約100℃〜約300℃の範囲にあり、すなわちその中に入る任意の温度範囲(たとえば、約150℃〜約250℃)が用いられる。アニールするのに適した時間は、約1分〜約2時間、好ましくは約10分〜約1時間の範囲にすることができ、すなわちその中に入る任意の時間範囲(たとえば、約10分〜約30分)を用いることができる。アニール処理は、従来の加熱炉又はオーブン内で、オプションでは不活性又は還元雰囲気(上記)内で行うことができる。こうして、本発明の方法はさらに、レーザパターニングされた金属ゲートを、その電気的特性、物理的特性及び/又は接着性を改善できるほど十分にアニールするステップを含むことができる。
【0029】
[下層のトランジスタチャネル層の形成]
本発明の方法はさらに、誘電体層14を形成するステップ、及び/又はトランジスタチャネル(好ましくは半導体)層12を形成するステップを含むことができる。一実施態様では、半導体層12は、ゲート金属20を全面堆積するために用いられるのに類似の技法によるが、全面堆積するための従来の半導体(又は半導体前駆物質)を用いて形成することができる。当該技術分野において知られているように、従来の全面堆積は、化学気相成長(CVD)、低圧CVD、スパッタリング又は他の物理気相成長(PVD)技法、スピンコーティング、スプレーコーティング等を含むことができる。そのような全面堆積は、シラン(たとえばSiH)及び/又はゲルマン(たとえばGeH)のCVDを含むことが好ましい。全面堆積された半導体層12は、たとえば、従来のイオン注入、又は本明細書に記載される他のドーピング技法(及びオプションでは、後続のアニール処理)によって、低濃度にドープされることができる。その後、有効なトランジスタ領域(たとえば、上に重なるソース、ドレイン及びゲート32、34及び36の最も外側の縁によって概ね画定される半導体層12のエリア;たとえば、図6を参照されたい)を、従来のフォトリソグラフィ及びエッチングによって画定することができる。用語「IVA族半導体」は、主にシリコン及び/又はゲルマニウムを含む半導体を指している。
【0030】
別法では、半導体(トランジスタチャネル)層12は、同時にインク/基板に照射しながら、ドープされた、又はドープされていない半導体インクで基板10を印刷又はコーティングすることによって形成することができる。一実施態様では、その工程は、スピンコーティングステップの大部分にわたって紫外光をインクに照射しながら、半導体前駆物質を含むインクを基板10上にスピンコーティングすることを含む。この技法(後の実施態様では、「UVスピンコーティング」として知られている場合もある)は、2004年2月27日に出願の同時係属の米国特許出願第10/789,274号(代理人整理番号第IDR0080号)にさらに詳細に説明されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。別の実施態様では、印刷(それは、同時に、又は直後にUV照射を含むことができる)は、有効なトランジスタ領域に対応する基板上の場所に、ドープされた、又はドープされていない半導体インクをインクジェット又はグラビア印刷すること、フレキソ印刷すること、スクリーン印刷すること、或いはオフセット印刷すること(或いは基板10の選択されたエリア内に材料を堆積するための他の堆積技法)を含む。いずれの場合でも、半導体層12は、概ね同時に照射しながら堆積した後に、概ねアモルファスのモルフォロジを有し、さらに処理する前に、概ね結晶化される(たとえば、加熱又はレーザ照射による;たとえば、その関連する部分が、参照することにより本明細書に援用される、いずれも2004年9月24日に出願された米国特許出願第10/950,373号及び第10/949,013号[代理人整理番号第IDR0301及びIDR0302]を参照されたい)。多くの場合に、そのような結晶化は、ドーパントの少なくとも或る量も活性化するであろう。
【0031】
こうして、1つの事例では、印刷される領域(全体として、レーザ照射される少なくとも部分的に多結晶性の領域12と、存在する場合には、照射されていない領域(複数可)18とを含む)は、(部分的に)多結晶性の領域12と必ずしも同じ範囲ではない。一般的に、印刷される領域は、多結晶性(そして、電気的に活性であることが好ましい)薄膜12を形成する、照射される領域よりも広い。したがって、薄膜12に概ね隣接して、或るアモルファスの(及び/又は電気的に不活性の)薄膜領域18が存在する場合がある。しかしながら、(半導体層12の全面堆積又は印刷の)いずれの場合でも、フォトリソグラフィマスク/パターニング及びエッチングを用いて、有効な半導体領域(「島状部」)を画定することができる。この実施形態では、印刷は、比較的大きな領域(一例では、約5mm)内にシランインクをインクジェット吐出し、その後、さらに高い解像度のパターンを得るために従来のフォトリソグラフィを用いることを含むことができる(すなわち、フォトリソグラフィによってパターニングされる領域は、対応する印刷される領域よりも小さな面積を有する)。
【0032】
好ましい実施形態では、半導体層12は、低濃度にドープされたシリコン(たとえば、約1016〜約5×1018原子/cmのドーパント濃度を有するシリコン)を含む。「UVスピンコーティング」又は「VUインクジェット吐出」工程を用いて低濃度にドープされたシリコン層12を配設する複数の組成物(たとえばインク配合物)が、その関連する部分が、参照することにより本明細書に援用される、いずれも2004年9月24日に出願された同時係属の米国特許出願第10/950,373号及び第10/949,013号[代理人整理番号第IDR0301及びIDR0302]にさらに詳細に記載される。別法では、半導体層12(たとえばシリコン)は、イオン注入、イオンシャワー、スピン・オン・ドーパント等の1つ又は複数の従来の技法によって、低濃度にドープすることもできる。
【0033】
誘電体層14は、従来の、又は高誘電率の誘電体材料(たとえば、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ホウ素ケイ酸ガラス[BSG]、燐ガラス[PSG]、ホウ素燐ケイ酸ガラス[BPSG]、フルオロケイ酸ガラス[FSG]、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等)の従来の堆積(たとえば、上記のような全面堆積)によって、又は半導体層12/18内の元素(複数可)の酸化物の従来の熱ウエット又はドライ成長(たとえば、熱二酸化シリコン)によって形成することができる。別法では、誘電体層14の全面堆積又は印刷は、半導体層12/18を、化学的な誘電体材料前駆物質及び/又は誘電体材料の粒子を含む液相インク組成物でコーティングすることを含むことができる。たとえば、誘電体材料又は誘電体前駆物質を含むインク(「誘電体インク」)は、半導体層12/18上に、スピンコーティング、インクジェット吐出、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ディップコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、押出しコーティング、又はメニスカスコーティングすることができる。別法では、誘電体インクは、半導体層12上のトランジスタ有効領域に対応するパターンで印刷又はレーザ描画することができる。印刷可能及び/又はUV描画可能な誘電体インクは、2003年12月31日に出願の同時係属の米国特許出願第10/749,876号(代理人整理番号第KOV−012号)に開示されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。
【0034】
[ゲート誘電体層のエッチング]
本発明のさらに別の態様では、本発明の方法は、ゲート誘電体層14の露出した(すなわち、ゲート金属20によって覆われていない)部分をエッチングすることを含むことができる。そのようなエッチングは、ゲート金属20及び半導体層12に対してゲート誘電体層14を選択的にエッチングするエッチャント又はエッチャント混合物を用いる、従来のウエット又はドライエッチングを含むことができる。一般的に用いられる金属(アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、銀、金、プラチナ、パラジウム、ニッケル、コバルト等)及び既知の半導体材料(シリコン及びシリコン−ゲルマニウム等)に対して、二酸化シリコン、PSG、BPSG及び酸化アルミニウムのような誘電体を選択的にエッチングするウエット及びドライエッチャント並びにエッチャント混合物(及びウエット、ドライいずれにしても、そのような選択性エッチングのための条件)はよく知られており、且つ/又は日常的な実験を用いて既知のエッチャントから決定することができる。
【0035】
ゲート誘電体層14の露出した部分、及びゲート誘電体14のゲート金属20の周辺下にある部分(いわゆる、「アンダーカット」領域)を、従来のウエットエッチングによって除去して、図2に示されるような、ゲート誘電体16を形成することができる。たとえば、ゲート誘電体層14が概ね二酸化シリコン(すなわち、シリコン原子に対して、2〜4原子%の従来のホウ素、燐及び/又はフッ素ドーパント原子でドープされることができるSiO)から成るとき、半導体層12は概ねn−ドープシリコンから成り、ゲート金属20は概ね、銀又は金から成ることができ、ウエットエッチャントは、当該技術分野において知られているような、従来のアンモニア緩衝水性HF(たとえば、水性NHF)を含むか、或いは概ねそれから含む。
【0036】
[(高濃度に)ドープされた層の形成]
ソース及びドレイン層(たとえば、図4の構造32及び34を参照されたい)を形成する本発明の方法のステップは、従来どおりに、及び/又はその関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される2005年3月18日に出願の同時係属の米国特許出願第11/084,448号(代理人整理番号第IDR0211号)において説明されるように構成することができる。ここで図3を参照すると、米国特許出願第11/084,448号(代理人整理番号第IDR0211号)において説明されるように、半導体層30を、好ましくは、その関連する部分が、参照することにより本明細書に援用される2004年2月27日に出願の同時係属の米国特許出願第10/789,274号(代理人整理番号第IDR0080号)において説明されるように、少なくとも部分的に、且つ/又は概ね同時の(UV)照射とともに、印刷又はコーティングすることにより、ゲート金属20上、及び半導体層12の露出した部分の上に堆積することができる。
【0037】
半導体層30は、その関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される、それぞれ2004年9月24日、2004年9月24日、及び2004年10月1日に出願され、それぞれ「Heterocyclic Semiconductor Precursor Compounds, Compositions Containing the Same, and Methods of Making Such Compounds and Compositions」、「Methods of Forming a Doped Semiconductor Thin Film, Doped Semiconductor Thin Film Structures, Doped Silane Compositions, and Methods of Making Such Compositions」及び「Dopant Group-Substituted Semiconductor Precursor Compounds, Compositions Containing the Sane, and Methods of Making Such Compounds and Compositions」というタイトルの同時係属の米国特許出願第10/950,373号、第10/949,013号及び第10/956,714号(代理人整理番号第IDR0301号、第IDR0302号及び第IDR0303号)に開示されるような、ドープされた半導体インク配合物を含むことが好ましい。そのような配合物は、(1)IVA族原子源、(2)ドーパント源及びオプションで、IVA族原子源及びドーパント源が溶解することができる溶媒を含むことができる。IVA族原子源及びドーパント源は、単一の化学種(ヘテロ[環状]シラン等)又は複数の化学種([環状]シラン及び有機ホスフィン、シリルホスフィン、有機ボラン又はシリルボラン等)を含むか、又は概ねそれから構成することができる。一実施態様では、IVA族原子源及びドーパント源は、室温(たとえば、約15℃〜約30℃)において液体である。
【0038】
化学式(AHの代表的な環状シラン化合物及びそれらを調製するための例示的な方法が、2004年2月27日に出願の同時係属の特許出願第10/789,317号(代理人整理番号第IDR0020)にさらに詳細に記載されており、その特許出願の関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。代表的なヘテロ(環状)シラン化合物、それを調製するための例示的な方法、及び前駆物質インク及び活性薄膜内のドーパントレベルを決定し、且つ/又は制御するための技法が、それぞれ2004年9月24日、2004年9月24日、及び2004年10月1日に出願の同時係属の米国特許出願第10/950,373号、第10/949,013号及び第10/956,714号(代理人整理番号第IDR0301号、第IDR0302号及び第IDR0303号)にさらに詳細に記載されており、それらの特許出願の関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。
【0039】
いつもとは限らないが、通常、液相半導体インクはさらに溶媒、好ましくはシクロアルカンを含む。したがって、IVA族元素源(Si又はドープされたSiへのシラン系前駆物質等)を含むか、概ねそれから含むインクを用いるとき、半導体層30を形成することはさらに、堆積後に液相前駆物質インクを乾燥させることを含むことができる。その関連する部分がそれぞれ、参照することによって本明細書に援用される、それぞれ2003年7月8日、2004年2月27日及び2004年2月27日に出願の同時係属の米国特許出願第10/616,147号、第10/789,317号及び第10/789,274号(それぞれ代理人整理番号第KOV−004号、第IDR0020号及び第IDR0080号)を参照されたい。
【0040】
堆積(そして一般的には、少なくとも或る程度まで乾燥させた)後に、半導体層30は、同時係属の米国特許出願第10/789,274号(代理人整理番号第IDR0080号、2004年2月27日に出願されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される)に記載されるように、加熱することによって硬化し、アモルファス水素化シリコン(a−Si:H)層が形成される。半導体層30が、(環状)シラン及び/又はヘテロ(環状)シランを起源とするか、又はそれから形成されるとき、硬化/加熱ステップは、揮発性炭素含有種のような望ましくない前駆物質/インク成分又は副生成物を除去することができるか、又はa−Si:H層の水素含有物を還元することができる(それは、半導体薄膜形成後に、レーザ結晶化が用いられることになる場合に特に好都合である)。半導体層30がヘテロ(環状)シランを起源とするか、又はそれから形成されるとき、硬化/加熱ステップは、ヘテロ(環状)シラン内のドーパントの一部も活性化することができる。
【0041】
また、半導体層30は、金属ゲート20及び半導体層12上に直に、液体半導体前駆物質インクを局所的に印刷することにより堆積することもできる(たとえば、その関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される、2004年9月24日に出願の米国特許出願第10/949,013号[代理人整理番号第IDR0302]を参照されたい)。MOS TFT構造を形成するためのこの後者の手法は、(i)半導体前駆物質材料の効率的な使用、及び(ii)半導体堆積及びパターニングを組み合わせて1つの印刷ステップにすることによって、コスト効率を高めることができる。
【0042】
[自動位置合わせされるソース端子及びドレイン端子の形成]
ここで図4に示され、米国特許出願第11/084,448号(代理人整理番号第IDR0211号)に説明されるように、a−Si:H層30に、マスク25を通して、好ましくはエキシマレーザからの光を照射して、UV光を吸収するように配置又は含む、a−Si:H層30の少なくとも一部32及び34のモルフォロジを変更(たとえば結晶化)することができる。さらに、そのような照射は、a−Si:H層30の照射された部分の中にあるドーパントの或る量又は全てを活性化することもできる。半導体層部分32及び34は概ね、TFTのソース領域及びドレイン領域に対応する。したがって、部分32及び34は高濃度にドープされることが好ましい(たとえば、それらの部分は、約1019〜約1021原子/cmのドーパント濃度を含む)。高濃度にドープされた材料を提供するインク配合物は、その関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される、2004年9月24日に出願の同時係属の米国特許出願第10/950,373号(代理人整理番号第IDR0301)にさらに詳細に記載されており、そのようなドープされたインク配合物から形成される薄膜を硬化させて、それに照射することによって、そのような高濃度にドープされた半導体の層を形成するための工程は、その関連する部分が、参照することによって本明細書に援用される、2004年9月24日に出願の同時係属の米国特許出願第第10/949,013号(代理人整理番号第IDR0302)にさらに詳細に記載される。
【0043】
ゲート金属層20上に示される、ドープされた層部分36は概ね、ドープされた層部分32及び34の材料と同じドープされた材料を含む。しかしながら、ゲート金属の厚みによっては、ドープされた層部分36は、ドープされた材料を結晶化するほど、且つ/又はその中にあるドーパントの或る量又は任意の量を電気的に活性化するほどレーザによって十分に加熱されない場合もある。結果として、ドープされた層部分36は、a−Si:H材料30の照射されない(たとえばアモルファス)部分を選択的且つ実効的に除去する任意の後続のステップにおいて除去することができる。別法では、又はそれに加えて、さらにゲート金属20内の金属及びレーザ結晶化条件に或る程度基づいて、ドープされた層部分36内の原子は、ゲート金属20内の金属原子と反応して、金属ケイ化物を形成する場合もある。いずれにしても、それが存在する限り、ドープされた層部分36は一般的には、電気的機能性を持つとは考えられない、すなわち、少なくとも、ゲート金属20の電気的特性を変更するか、又はそれに影響を及ぼすか、或いは層20をゲートとして使用することを妨げるだけの十分な電気的な機能性はないものと考えられる。
【0044】
a−Si:H層30の照射されない部分30a及び30b(たとえば、ゲート金属20の側壁上にあるスペーサ30a及び30b)は、(a−Si:H層30のマスクされた部分30c及び30dとともに)選択的に除去することができる。たとえば、レーザ照射が半導体層部分32及び34を結晶化するとき、照射されないa−Si:H部分30a及び30bを、ゲート金属20、ゲート酸化物16及び結晶化された半導体領域32及び34に対して選択的にエッチングすることができる。マスクされた部分30c及び30dも、アモルファス半導体領域(複数可)18の露出した部分とともに、そのような選択性エッチングステップにおいて除去することができる。当該技術分野において知られているように、そのような結果(たとえば、多結晶性シリコンを著しく除去することなく、水素化アモルファスシリコンを選択的に除去すること)を達成するために、従来の半導体処理において何年にもわたって、装飾ウエットエッチングが用いられてきた。しかしながら、除去されるにしても、保持されるにしても、a−Si:H層30の照射されない部分30a及び30bは(ゲート半導体層36とともに)、ソース/ドレインコンタクト層32及び34をゲート金属20と、少しだけオフセットして自動的に位置合わせするための有用な役割を果たす。通常、このオフセットは、a−Si:H層30の厚みと概ね同じである。
【0045】
(ドープされた)a−Si:Hは、結果として層が約5〜20nm(約50〜200オングストローム)の厚み(好ましくは、約7〜15nm(約70〜150オングストローム)厚であり、一例では、約10nm(約100オングストローム)厚)になるだけの十分な厚みまで堆積することができる。2つ以上のドープされた、及び/又はドープされていないa−Si:H層を用いることにより、或る特定の厚み及び/又は薄膜モルフォロジが得ることができ、且つ/又は最適化することができるのであれば、多数の層を堆積することもできる。堆積される層30の厚みと、ゲート金属層20のための金属の選択との間のバランスを考慮することができる。たとえば、ドープされた層30は、ゲート金属が熱くなりすぎて、電気的な故障を引き起こす(たとえば、再結晶化するか、又は周囲の構造からの化学種と反応する、髭又は隆起を形成する、或いは溶解し始める)可能性があるドーパント活性化中に十分な放射を吸収することができる。(1)後に電気的な故障を引き起こすことなく、シランからの熱を吸収することができる材料(タングステン、コバルト等を含む、当業者に知られているような金属)からゲートを形成することにより、又は(2)光の吸収によって生成される全熱量を低減するほど十分に薄い層30を形成することのいずれかにより、この現象を補償することができる。この後者の場合、ソース/ドレイン領域内のドープされたシリコン及び/又はゲルマニウムは、それでも、その中にあるドーパント原子を活性するだけの十分な放射/エネルギーを吸収することになるが、そのゲートは反射性の金属(Al等)から形成することもでき、その場合には、ドープされたシリコンからの大量の熱エネルギー(又はドープされたシラン/シリコンを通過する場合がある放射)を吸収することなく、その上にあるドープされたシラン/シリコンから熱を散逸させることになるので、熱に関連する機械的又は電気的な故障の可能性が下がるであろう。
【0046】
別法では、半導体層部分32及び34に類似のソース端子及びドレイン端子は、Si及び/又はGe(xは一般的に1〜4[たとえば1又は2]の整数であり、y=2n+2である)のようなシラン半導体前駆物質材料の従来の化学気相成長(CVD;たとえば、プラズマCVD)によって形成することができる。たとえば、従来のイオン注入、イオンシャワーによって、又は従来のスピン・オン・ドーパントを用いることによって、ドーパントを従来どおりに半導体層12に添加して、その中に従来のチャネル領域及び/又はソース/ドレイン端子を形成することができる。たとえば、本発明の方法はさらに、半導体層12上にドープされたスピン・オン・ガラス(SOG)を堆積すること、又は従来どおりに(たとえば、POClを用いる)半導体層12内へのイオン注入及び/又はイオンシャワーを実施して、その後、従来のアニールステップを実施して、ドーパントイオンを拡散及び/又は活性化することを含むことができる。半導体層部分32及び34(ソース及びドレインコンタクト部分)と同様に、ドーパントの内の或る量又は全てを、従来の硬化及び/又はアニールによって、又は米国特許出願第10/949,013号(代理人整理番号第IDR0302)に記載されるように、活性化することができる。そのようなドーピングはおそらく、ゲート材料20にもイオンを導入することになるが、そのようなゲートドーピングは、ゲートの電気的特性に大きな影響を及ぼすとは思われない。
【0047】
[トランジスタ端子導体の形成及びデバイスの不動態化]
図5に示されるように、照射されない半導体前駆物質部分30a、30b、30c及び30dを除去した後に、本発明の方法はさらに、(1)TFTの少なくともソース端子及びドレイン端子32及び34に導体42及び44を形成するステップ、及び/又は(2)導体42及び44並びにゲート(たとえば、ゲート金属層20及び/又はゲート半導体層36)を不動態化する(たとえば、それらの上にパッシベーション層50を形成する)ステップとを含むことができる。それらが露出する限り、ソース端子及びドレイン端子32及び34、半導体層12並びに基板10の一部も不動態化することができる。導体42及び44(並びにオプションで、ゲート20と接触している導体46;たとえば、図6及び図7を参照されたい)は、ゲート金属20のために先に説明された方法のうちの任意の方法によって形成することができる。しかしながら、(ドープされた)半導体(シリコン等)と或る特定の金属(アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、コバルト、プラチナ等)との間の既知の化学反応によって、導体(たとえば、42、44及び46)とドープされた半導体(たとえば、ソース、ドレイン及びゲート層32、34及び36)との間に既知の障壁材料(窒化チタン等)を介在させることができる。別法では、導体42及び44(並びにオプションで、導体46)は、概ね、ソース/ドレイン端子薄膜32及び34と検出できるほどの反応をしない金属(たとえばAu、Ag)或いは金属−シリコン化合物又は合金(たとえば、ケイ化プラチナ、ケイ化パラジウム、ケイ化コバルト、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、その中に約1原子%のSiを有するAl等)から構成することができるか、又はそれらの材料から成る最下層を含むことができる。
【0048】
図7は、図5に示される断面図に直交する、ゲート20の長軸に沿った図5の例示的なTFTの断面を示す。図7の構造は基本的には図5及び図6と同じであるが、電気的に活性の薄膜層16に隣接する特定エリア又は部分18a〜bが存在する場合があり、ゲート半導体層36が示される(ただし、それは多くの実施形態において存在しない場合もある)。図7の例示的なTFTでは、不活性部分18bは、活性エリア12をゲート導体46から絶縁することができるとともに、ゲート金属20のための機械的な支持を与えることができる(ゲート金属20は、別の状況では、その中に1つの段を有することができ、結果として、ゲート金属20内に相対的に薄く、且つ/又は高い応力の領域を生成することができる)。不活性半導体薄膜部分18a及び18bは、ゲート金属層20によって覆われ、それゆえ露出しない、すなわち上記の選択性エッチングステップによって概ね除去されない。
【0049】
別法では、そして図8にさらに明らかに示されるように、ゲート36/20と電気的に接続されている導体は、コンタクト62及び配線金属64を含むことができる。そのような構造を形成するための方法(及びそのような構造のために適した材料)は当該技術分野において知られている。コンタクト62及び配線金属64は一体の構造にすることができる(すなわち、それらは同じ処理ステップの結果として形成される)か、又はそれらは個別の構造にする(すなわち、異なるが、概ね連続した処理ステップにおいて形成する)ことができる。コンタクト62は、最初に誘電体層50の中にコンタクトホールを形成し(たとえば、誘電体層50上にレジスト材料を堆積し、パターニングして、その後、誘電体層50の露出した表面をエッチングすることによる)、その中に金属又は導体を堆積し、さらに、コンタクトホールの外側にある領域から金属又は導体を除去することにより、個別の構造として形成することができる。コンタクト62及び配線金属64は、(i)その中にコンタクトホールを有する誘電体層50上に金属又は導体を従来どおりに全面堆積し、その後、従来どおりにフォトリソグラフィ及びエッチングを実施し、(ii)その中にコンタクトホールを有する誘電体層50上に金属前駆物質インクを印刷することによって、又は(iii)「デュアルダマシーン」手法(図8には示されない)によって、一体の構造として形成することができ、デュアルダマシーン手法では、配線金属64に対応するパターンで、誘電体層50の途中までトレンチがエッチングされ(誘電体層50は、その中に既にコンタクトホールが形成されていることが好ましい)、その後、金属又は導体が誘電体層50上に全面堆積(又は印刷)され、コンタクトホール及びトレンチの外側にある領域内の金属又は導体が除去される。
【0050】
再び図5を参照すると、導体42及び44を形成した後に、本発明の方法はさらに、TFTを含むデバイスを不動態化するステップ(たとえば、導線性構造42及び44、ゲート金属20/半導体層36、及びそれらが露出している限り、ソース端子及びドレイン端子32及び34、半導体層12及び基板10の一部の上に、パッシベーション又は誘電体層50を形成するステップ)を含むことができる。パッシベーション層50は、デバイスの劣化又は故障を引き起こす可能性がある水、酸素及び/又は他の化学種が侵入するのを概ね阻止又は防止し、特に後続の処理中に、デバイスの機械的な支持を高めることができる。パッシベーション層50は、ポリシロキサンのような1つ又は複数の無機障壁層;シリコン及び/又はアルミニウムの窒化物、酸化物及び/又は酸窒化物;及び/又はパリレン、フッ素化有機ポリマー又は他の障壁材料のような1つ又は複数の有機障壁層で、デバイスの上側表面を従来どおりにコーティングすることによって形成することができる。
【0051】
図8に示されるように、デバイスが2つの金属層を含むとき、そのデバイス上に第2の誘電体又はパッシベーション層70が形成される。この場合には、第1の誘電体層50は、「層間誘電体」と見なすことができ、第2の誘電体層70は、パッシベーション層として用いることができる。この実施形態では、第1の誘電体層50は、パッシベーション層70よりも低い応力を有する材料を含むことができる。たとえば、第1の誘電体層50は、SiO(たとえばCVD TEOS)、USG、FSG、BPSG等の酸化物を含むことができ、パッシベーション層70は、窒化シリコン或いは酸窒化シリコンを含むことができる。また、パッシベーション層70は、第1の誘電体層50よりも、わずかに厚くすることができる。
【0052】
[例示的なMOSトランジスタ]
本発明の一態様は、(a)電気的機能性基板(たとえば、無機半導体を含む)と、(b)電気的機能性基板の少なくとも一部の上にある誘電体薄膜と、(c)誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされた金属ゲートと、(d)ゲートに隣接(又は概ね隣接)する基板上にある、ドープされた無機半導体層を含むソース端子及びドレイン端子とを含む、電子デバイスに関連する。一実施形態では、ソース端子及びドレイン端子はそれぞれ、金属ゲートに最も近い縁が金属ゲートの縁と概ね位置合わせされる。一般的に、電子デバイスはさらに、(i)ソース端子及びドレイン端子にそれぞれ電気的に接続される1つ又は複数の第1の導体と、(ii)ゲート金属層に電気的に接続される第2の導体とを備える。
【0053】
特定の実施形態(たとえば、MOS TFTのような薄膜トランジスタ[TFT])では、電気的機能性基板は、電気的に不活性の基板と、その上にある電気的に活性の層(低濃度にドープされた半導体又はトランジスタチャネル層)とを備える。そのような実施形態では、ドープされた半導体層は、概ねトランジスタチャネルとして機能する、電気的に活性の多結晶性半導体層を備える。通常、そのデバイスはMOS TFTを含むが、その技術は、レーザパターニングされる金属ゲートから恩恵を受けることができる、水平方向において異なる場所にあるか、又は異なる材料から形成されるか、又は異なる基板上に製造される(たとえば、金属箔又はシート上に製造される、EAS又はRFIDタグ)複数の領域又は端子を有する、他のタイプのトランジスタにも適用することができる。また、以下に説明されるように、本発明のMOS TFTは、他の種類の電子デバイスを形成するように構成することもできる。
【0054】
一般的に、ソース端子及びドレイン端子の半導体材料は、(i)IVA族元素、GaAsのようなIII−V化合物半導体、或いはZnO又はZnSのようなII−VI(又はカルコゲニド化合物)半導体、及び(ii)ドーパント元素を含む。その半導体は、Si及び/又はGeと、B、P、As及びSbから成るグループから選択されるドーパントとを含むことが好ましい。ソース端子及びドレイン端子が、ドープされたシランインクから形成される場合、ドーパントは、半導体層の概ね厚み全体にわたって概ね均一である濃度プロファイル(たとえば、半導体層厚の関数としてのドーパント濃度)を有する。そのような半導体薄膜及びそれを形成するための方法が、2004年9月24日に出願の同時係属の米国特許出願第第10/949,013号(代理人整理番号第IDR0302号)に開示されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。種々の実施形態において、ソース端子及びドレイン端子は、概ね、高濃度にドープされたポリシリコンから構成され、且つ/又はソース端子及びドレイン端子32及び34を形成する材料内のドーパントは、ソース端子及びドレイン端子薄膜32及び34の概ね厚み全体にわたって概ね均一に分布する(たとえば、図4を参照されたい)。
【0055】
別の実施形態では、ソース/ドレイン端子32及び34と、低濃度にドープされた半導体層12との間の境界は、ゲート誘電体層16と半導体層12との間の境界と概ね同一平面上にある。結果として、本発明のMOS TFTは、隆起した、又は高くされたソース/ドレイン構成を有することができる。別法では、その上にソース/ドレイン端子32及び34が形成される半導体層12の薄い上側部分がエッチングされて、窪んだソース/ドレイン端子を形成することができる。
【0056】
図5は、本発明による第1の例示的な電子デバイスの断面を示しており、TFTが本発明の方法の例示的な実施形態によって形成される。本発明の方法に関して先に説明されたように、図5の例示的な電子デバイスは、電気的に不活性の基板10と、その上にある半導体層12(低濃度にドープされることができ、1つにはTFTチャネルとして機能することができる)と、半導体層12上にあるゲート誘電体層16と、ゲート誘電体層16上にあるゲート金属層20及びゲート金属層20上にあるゲート半導体層36を含むゲートと、半導体層12上にあるソース端子及びドレイン端子32及び34と、ソース端子及びドレイン端子32及び34上にある導体42及び44と、デバイス全体の上にあるパッシベーション層50とを備える。先に述べられたように、ゲートに最も近いソース端子及びドレイン端子32及び34の縁は、ゲート半導体層36の長さに沿った(すなわち、図5が示される紙面に垂直な)ゲート半導体層36の最も外側の縁と自動位置合わせされる。ゲート半導体層36が除去又は消耗される場合でも、ゲート金属層20に最も近いソース/ドレイン端子薄膜32及び34の縁は依然として、ゲート金属層20の最も近い縁と位置合わせされるが、(本明細書において説明されるように)わずかにオフセットがある。
【0057】
図5に示される実施形態では、ゲート半導体層36の幅は、ゲート金属層20の幅よりも広く(デバイス内にゲート半導体層36が存在する限り)、ゲート金属層20の幅は、ゲート誘電体層16の幅よりも広い。ゲート半導体層36の(又はそのような層に対応する金属ケイ化物の)幅は、概ねゲート半導体層36の厚みの約2倍だけ、ゲート金属層20の幅よりも広い。種々の実施形態において、ゲート金属20は少なくとも0.1μm(ミクロン)、0.5μm(ミクロン)、1μm(ミクロン)又は2μm(ミクロン)の幅を有する。一実施態様では、最小ゲート幅は約5μm(ミクロン)である。ゲート金属20は、約1μm〜約1000μm、すなわちその中の任意の値範囲(たとえば約2μm〜約200μm、又は約5μm〜約100μm等)の長さと、約50nm〜約10,000nm、すなわちその中の任意の値範囲(たとえば、約100〜約5000nm、又は約200〜約2000nm等)の厚みとを有することができる。ソース端子及びドレイン端子32及び34(並びに、存在する場合には、ゲート半導体層36)は、10〜1000nm、すなわちその中の任意の値範囲(たとえば、10、20、又は25nm(100、200又は250オングストローム)〜1,000、100又は50nm(10,000、1000又は500オングストローム))の厚みを有することができる。ソース端子及びドレイン端子32及び34は、上記のように形成される、高濃度にドープされた半導体材料から成る1つ又は複数の層を備えることができ、それらの層は同じ又は異なるドーパント及びドーピングレベルを有することができる。
【0058】
本発明の電子デバイスはさらに、(i)ソース端子及びドレイン端子にそれぞれ電気的に接続される1つ又は複数の第1の導体(たとえば図5の42及び44)、及び/又は(ii)ゲートに電気的に接続される第2の導体(たとえば、図6及び図7の46、又は図8の導体64及びバイア/コンタクト62)を備えることができる。1つの一般的な実施形態では、ソース端子及びドレイン端子32及び34並びにゲートはそれぞれ、それと電気的に接触している固有の導体を有する。それらの導体は、本発明の方法に関して先に説明された導電性材料及び/又は障壁材料から成る1つ又は複数の層を含むか、概ねそれらの層から構成することができる。また、図6及び図8に示されるように、ゲートと電気的に接触している導体46は、ゲートの「ランディングパッド」領域38と物理的に接触することができる。ランディングパッド38は一般的に、ゲート金属20の幅の少なくとも約1.25、1.33又は1.5倍から、ゲート金属20の幅の約2、3又は4倍までの幅を有する。ランディングパッド38も、ソース端子及びドレイン端子32及び34から、限られた、且つ/又は予め決定された距離だけ離隔して配置することができる。
【0059】
別法では、導体42、44及び46(及び一実施態様では、ゲートと電気的に接続されている導体)のうちの1つ又は複数を、導電性コンタクトを通して、トランジスタ端子(たとえば、ゲート金属層20及び/又はゲート半導体層36)と電気的に接続することができる。図8は、ゲートの長さに沿った、この別の構造の例示的な実施形態の断面を示す。最初に、ゲートランディングパッド38上の場所において、エッチングによって、その中に穴を形成し、その後、その穴の中に導電性材料(本明細書に記載される材料の中から選択される)を堆積することにより、誘電体層50内にコンタクト62を形成することができる。その後、従来の技法によって穴の外側にあるエリアから余分な導電性材料を除去して、コンタクト62を形成することができる。その後、導体を形成するための本明細書に記載される技法のうちの任意の技法によって、コンタクト62と電気的に接触している導体64が形成され、その上に、パッシベーション層70が形成される。
【0060】
ソース/ドレイン端子又はゲート端子のうちの1つと接続されている導体は、それらの導体のうちの別の導体にも接続されることができるか、それと連続していることができる。たとえば、ダイオードで含むトランジスタでは、1つの導体が、1つのソース/ドレイン端子及びゲートと電気的に繋がっていることができる。キャパシタで含むトランジスタでは、1つの導体が、両方のソース/ドレイン端子と電気的に繋がっていることができる。別法では、ソース/ドレイン端子上に薄い誘電体層を形成することができ、その上に、下層のソース/ドレイン端子に容量性結合される導体を形成することができる。
【0061】
図5、図7及び図8に示されるように、本発明の電子デバイスはさらに、導体(複数可)及びゲート上に誘電体及び/又はパッシベーション層を備えることができる。図5及び図7は、トランジスタデバイス上にある単一のパッシベーション層50を示す。図8は、第1の下層の誘電体層50(「層間誘電体」)と、第2の上層の誘電体パッシベーション層70とを示す。2つの誘電体層はそれぞれ、単一の基板上にある電子デバイスの種々の端子を互いに(直接的又は間接的に)相互接続するように含む導体のパターン上に堆積することができる。先に説明されたように、コンタクト(たとえば、図8のコンタクト62)が、下側金属層(たとえば、図5の導体42及び44を含む)を、上側金属層(たとえば、図8の導体64を含む層)とを電気的に結合することができる。
【0062】
本発明の電子デバイス内のゲート誘電体薄膜16は、本発明の方法に関して先に記載されたゲート誘電体薄膜16のための材料のうちの任意のものを含むことができる。ゲート誘電体薄膜16は、それがウエットエッチングされるときに、ゲート金属層20の対応する寸法よりもわずかに小さい幅及び長さを有することができるが、2つの層16及び20は、ゲート誘電体薄膜16がドライエッチングされるときには、概ね同じ幅及び長さを有するであろう。ゲート誘電体薄膜16は、20オングストローム〜400オングストローム、すなわちその中の任意の値範囲(たとえば、3〜30nm(30〜300オングストローム)、又は5〜20nm(50〜200オングストローム)等)の厚みを有することができる。別法では、さらに厚みのあるゲート誘電体層(たとえば、50〜200nm(500〜2000オングストローム)の範囲内にあり、一実施態様では、約150nm(約1500オングストローム))を、二酸化シリコン又は酸化アルミニウムよりも誘電率が高い材料とともに用いることができる。一実施形態では、ゲート誘電体薄膜16は、主として、ソース端子及びドレイン端子32及び34がゲート金属層20に電気的に接触する可能性を最小限に抑えるために、高濃度にドープされたソース端子及びドレイン端子32及び34の厚みよりも厚くされる。しかしながら、高速のトランジスタを達成するためには、一般的には、薄いゲート誘電体薄膜16が好ましい。
【0063】
本発明の電子デバイス内の電気的機能性基板は、その上に絶縁体層を有する単結晶シリコンウェーハ又は金属箔、或いはその上に電気的に活性の層を有する、プラスチックシート又はガラス板のような電気的に反応しない、又は不活性の基板のような、機械的支持構造を備えることができる。上記のように、一実施形態では、電気的に活性の層は半導体(トランジスタチャネル)層12を含み、それは、低濃度にドープされることができる(たとえば、約1016〜約5×1018原子/cmのドーパント濃度を有する)。ソース/ドレイン端子32及び34並びにゲート半導体層36の高濃度にドープされた半導体と同様に、低濃度にドープされた半導体層12は、半導体層の概ね厚み全体にわたって概ね均一である濃度プロファイル(たとえば、半導体層厚の関数としてのドーパント濃度)を有することができる。
【0064】
一般的な半導体層12の厚みは、約30、75又は100nm〜約200、500又は1000nmにすることができる。薄膜厚は、トランジスタの電気的特性を最適にするように選択することができる。好ましい実施形態では、半導体層12は、1つ又は複数のIVA族元素(たとえば、シリコン及び/又はゲルマニウム)、いわゆる「III−V」材料(たとえばGaAs)、II−VI(又はカルコゲニド)半導体等の低濃度にドープされた無機半導体材料を含むか、概ねそれらの材料から構成され、さらに、〜1016ないし〜5×1018原子/cmの濃度のドーパント(B、P、As又はSb等)を含む。例示的な低濃度にドープされた半導体薄膜が、2004年9月24日に出願の同時係属の米国特許出願第第10/949,013号(代理人整理番号第IDR0302号)に開示されており、その関連する部分は、参照することによって本明細書に援用される。
【0065】
適当な電気的に反応しない、又は不活性の基板は、ガラス、セラミック、誘電体及び/又はプラスチックから成るプレート、ディスク及び/又はシートを含むことができる。別法では、適当な導電性の基板は、半導体(たとえばシリコン)及び/又は金属から成るウェーハ、ディスク、シート及び/又は箔を含むことができる。基板が金属シート及び/又は金属箔を含む場合には、そのデバイスはさらに、インダクタ及び/又はキャパシタを備えることができ、その方法はさらに、金属基板からインダクタ及び/又はキャパシタを形成することを含むことができる。しかしながら、任意のそのような導電性の基板は、絶縁体上のデバイスと金属基板内に形成される構造(たとえば、EAS又はRFIDタグのための介在物、インダクタ及び/又はキャパシタの1つ又は複数の金属パッド;たとえば、それぞれ2004年7月6日、2004年7月31日及び2004年10月8日に出願された、米国特許出願第10/885,283号[代理人整理番号第IDR0121号]及び/又は米国仮特許出願第60/592,596号及び第60/617,617号[代理人整理番号第IDR0311号及び第IDR0271号]を参照されたい)との間で電気的に接触することになる場所を除く、基板とその上にある任意の電気的に活性の層又は構造(たとえば、半導体層12)との間に絶縁層を有するべきである。その基板は、シリコンウェーハ、ガラス板、セラミック板又はディスク、プラスチックシート又はディスク、金属箔、金属シート又はディスク、及びその積層又は層状の組み合わせ(その上に低濃度にドープされた半導体層12を有する電気的に不活性の基板10等)から成るグループから選択される部材を含むことが好ましく、その導電性部材は一般的に、その上に絶縁体層(たとえば、対応する酸化物の層)を有する。
【0066】
[結論/要約]
したがって、本発明は、レーザパターニングされた金属ゲートを有する電子デバイス(MOSトランジスタ等)及びその製造方法を提供する。その方法は、概して、(1)誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成することであって、その誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的機能性基板上にある、形成すること、(2)金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングすること、及び、(3)金属ゲートに概ね隣接する場所にある無機半導体内にソース端子及びドレイン端子を形成することを含む。そのデバイスは、概して、(a)半導体(たとえば薄膜)基板と、(b)電気的機能性基板の一部の上にある誘電体薄膜と、(c)誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされたゲート金属層と、(d)金属ゲートに概ね隣接する、電気的機能性基板上又は基板内にある、ドープされた層を含むソース端子及びドレイン端子とを含む。
【0067】
本発明は、信頼性があり、市販できる条件を満たしている電気的特性(たとえば、オン/オフ速度及び比、キャリア移動度、V等)を有するMOS TFTを形成するための低コストの方法を提供する点で好都合である。印刷され、且つ/又は放射によって画定される半導体構造(及びオプションで、印刷され、且つ/又は放射によって画定される導体構造)は、(1)従来の手法によって形成される構造に類似であるが、従来のMOS半導体製造技術よりもはるかに低いコスト及びはるかに高いスループット(数週間から数ヶ月ではなく、概ね数時間から数日)で結果を提供することができ、(2)従来のグラフィックアート印刷技術(たとえばインクジェット吐出)よりも高い解像度のパターニング能力及び同程度か、それ以上のスループットを提供することができる。ドライエッチングに対して、レーザパターニングされる金属ゲート層の1つ又は複数のオプションのウエットエッチングは、狭いゲート及び/又はトランジスタチャネル幅を提供することができ、誘電体材料のウエットエッチングは、高いスループット及び/又は改善されたエッチング選択性を提供することができる。
【0068】
本発明の具体的な実施形態に関するこれまでの記述は、例示し、説明するために提示されてきた。それらの実施形態は、本発明を包括的に述べることや、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に鑑みて、数多くの変更及び変形が可能であることは明らかである。それらの実施形態は、本発明の原理及び実用的な応用形態を最もわかりやすく説明し、それにより、当業者が、考えている特定の用途に相応しいように種々の変更を加えて、本発明及び種々の実施形態を最大限利用できるようにするために選択され、説明された。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれに相当する部分によって規定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の方法の1つの例示的な実施形態の1つの段階におけるMOSデバイスの断面図である。
【図2】本発明の方法の1つの例示的な実施形態の1つの段階におけるMOSデバイスの断面図である。
【図3】本発明の方法の1つの例示的な実施形態の1つの段階におけるMOSデバイスの断面図である。
【図4】本発明の方法の1つの例示的な実施形態の1つの段階におけるMOSデバイスの断面図である。
【図5】本発明の方法の1つの例示的な実施形態による、概ね完成したMOS TFTデバイスの断面図である。
【図6】最も上側にあるパッシベーション層を用いない場合の、図5のMOS TFT100の電気的に活性の構成要素の平面図である。
【図7】ゲートの長軸に沿った、図5及び図6のMOS TFTデバイスの断面図である。
【図8】ゲートの長軸に沿った、図7とは別のMOS TFTデバイスの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MOSトランジスタを形成するための方法であって、
a)誘電体薄膜上に金属含有材料の層を形成するステップであって、該誘電体薄膜は無機半導体を含む電気的機能性基板上にある、形成するステップと、
b)前記金属含有材料層から金属ゲートをレーザパターニングするステップと、
c)前記金属ゲートに概ね隣接する場所にある前記無機半導体内にソース電極及びドレイン電極を形成するステップとを含む、MOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項2】
前記金属含有材料の層を形成するステップは、前記金属含有材料を全面堆積することを含む、請求項1に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項3】
前記全面堆積するステップは、前記金属含有材料を含むインクをスピンコーティングすることを含む、請求項2に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項4】
前記金属含有材料は金属ナノ粒子を含む、請求項2に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項5】
前記レーザパターニングするステップの前に、前記金属ナノ粒子を硬化させ、且つ/又はアニールする1つ又は複数のステップをさらに含む、請求項4に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項6】
前記レーザパターニングステップの前に、前記金属含有材料層上にレジストを堆積することをさらに含む、請求項1に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項7】
前記レーザパターニングステップは、前記金属ゲートに対応する場所において前記レジストに照射することを含む、請求項6に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項8】
前記レーザパターニングステップは、前記金属ゲートに対応する場所以外の場所において、前記レジストに照射することを含む、請求項6に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項9】
前記金属含有材料は金属ナノ粒子を含み、前記レーザパターニングステップは、前記金属ナノ粒子を互いに結合するか、又は溶解するほど十分に前記金属ナノ粒子に照射することを含む、請求項1に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項10】
前記レーザパターニングされた金属ゲートの電気的特性、物理的特性及び/又は接着性を改善するほど十分に該金属ゲートをアニールするステップをさらに含む、請求項9に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項11】
前記金属含有材料は、1つ又は複数の感光性又は感熱性の開始剤を含有するインクを含む、請求項1に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項12】
前記金属含有材料層形成ステップは、前記誘電体薄膜上に金属含有インクを印刷することを含む、請求項1に記載のMOSトランジスタを形成するための方法。
【請求項13】
電子デバイスであって、
a)半導体基板と、
b)該半導体基板の少なくとも一部の上にある誘電体薄膜と、
c)該誘電体薄膜上にあるレーザパターニングされた金属ゲートと、
d)該金属ゲートに概ね隣接する前記半導体基板上又は該半導体基板内にドープされた層を含むソース端子及びドレイン端子とを備える、電子デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−261664(P2006−261664A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−64769(P2006−64769)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(504263587)コヴィオ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】