説明

不揮発性記憶装置の製造方法

【課題】本発明は、不揮発性記憶装置の表面に形成された壁体間に残留する液体の表面張力の影響を抑制することができるとともに、ガルバニック腐食を抑制することができる不揮発性記憶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の状態と第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記憶層を有する不揮発性記憶装置の製造方法であって、壁体が形成された基体の表面に水よりも表面張力が小さくかつ水と実質的に相溶性のない液体を供給し、前記基体の洗浄を行う工程を有すること、を特徴とする不揮発性記憶装置の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタを用いたNAND型の不揮発性記憶装置においては、装置の微細化に伴ういわゆる短チャネル効果の影響により、デバイス動作が困難となってきている。「短チャネル効果」とは、装置の微細化によってソース部とドレイン部との距離が近くなることによって生じる現象であり、例えば、ソースとドレインとの間に生じるリーク電流の増加などがある。そのため、トランジスタを用いた記憶装置に代わる記憶装置が求められている。その一つとして、遷移金属絶縁膜などに電界パルスを印加すると物質の抵抗が変化するという特性を利用した不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ、ReRAM)が検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この様な不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ、ReRAM)の製造プロセスにおいては、発生する有機物汚染や無機物汚染を除去して表面を清浄に保つために洗浄が行われている。そして、このような洗浄においては、不揮発性記憶装置の表面に純水などの洗浄液を供給して付着した有機物などを除去するようにしている。
また、乾燥効果を高め、水滴残り、ウォーターマーク(水跡)を低減させるためにイソプロピルアルコールなどのアルコールを乾燥時に被洗浄面に供給する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示をされているような技術においては、不揮発性記憶装置の表面に形成された微細な壁体間(例えば、トレンチ内など)に残留する洗浄液の表面張力の影響が考慮されておらず、この表面張力により微細な壁体が変形、破壊されるおそれがあった。
また、ガルバニック腐食(Galvanic Corrosion)に関する考慮もされておらず、配線などが腐食されたり、微細な壁体の形状や寸法の精度が悪化したりするおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−149170号公報
【特許文献2】特開2000−3897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不揮発性記憶装置の表面に形成された壁体間に残留する液体の表面張力の影響を抑制することができるとともに、ガルバニック腐食を抑制することができる不揮発性記憶装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、第1の状態と第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記憶層を有する不揮発性記憶装置の製造方法であって、壁体が形成された基体の表面に水よりも表面張力が小さくかつ水と実質的に相溶性のない液体を供給し、前記基体の洗浄を行う工程を有すること、を特徴とする不揮発性記憶装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不揮発性記憶装置の表面に形成された壁体間に残留する液体の表面張力の影響を抑制することができるとともに、ガルバニック腐食を抑制することができる不揮発性記憶装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ)の模式図である。
【図2】不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ)の模式断面図である。
【図3】本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法について例示をするためのフローチャートである。
【図4】壁体間に残留する液体の表面張力の影響を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法の一例として、抵抗変化型メモリ(ReRAM)の製造方法を例に挙げて説明をする。
図1、図2は、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法によって製造される不揮発性記憶装置の一例を例示するための模式図である。
まず、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法によって製造される不揮発性記憶装置の一例について、図1、図2を参照しつつ例示をする。
【0011】
図1は、不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ)の模式図である。なお、図1(a)は、不揮発性記憶装置1の模式斜視図であり、図1(b)は、不揮発性記憶装置1の模式回路図である。
図2は、不揮発性記憶装置(抵抗変化型メモリ)の模式断面図である。図2(a)は、不揮発性記憶装置1を第1の方向(X軸方向)から見た模式断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
なお、1つの第1の配線20と1つの第2の配線50とが交叉する領域に設けられた1つの記憶部40が1つの記憶用単位要素であり、これを「メモリセル」という。
また、図1、図2は、メモリセルの層が一層の場合であるがこれに限定されるわけではない。メモリセルの層が積層されるようにして複数設けられていてもよい。
【0012】
図1(a)に示すように、不揮発性記憶装置1は、基板10と、基板10の主面上に設けられ、第1の方向(X軸方向)に延在する第1の配線20(ビット線BL)と、第1の方向と非平行な(交叉する)第2の方向(Y軸方向)に延在する第2の配線50(ワード線WL)と、第1の配線20と第2の配線50との間に挟持され、第1の配線20と第2の配線50とを介して供給される電流により、第1の状態と第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記憶層44と、を備えている。また、第1の配線20と記憶層44との間に、これらによって挟持されるようにして設けられた整流素子30を備えている。ここで、「主面」とは、第1の配線20、整流素子30、記憶層44などが積層する方向(図1において、Z軸方向;上下方向)に対して垂直な面(図1において、XY面)をいう。
【0013】
また、図2に示すように、記憶層44のZ軸方向両側に、記憶層44を挟持する電極層42、46を備えていてもよい。ここで、記憶層44と、電極層42、46とを併せて「記憶部40」と呼ぶことにする。また、第1の配線20と整流素子30との間に、バリア層32を備えていてもよい。
配線L(第1の配線20及び第2の配線50)には、導電性を有する材料を用いることができる。また、さらに耐熱性をも有する材料とすることができる。例えば、導電性と耐熱性とを有する材料として、タングステン(W)を用いることができる。
【0014】
また、図1、図2に示すように、記憶層44(記憶部40)と第2の配線50との間には、製造工程(平坦化工程)で必要となるストッパ層52を設けるようにすることができる。この場合、例えば、平坦化工程においてCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法を用いる場合には、ストッパ層52をCMPストッパ層とすることができる。ただし、ストッパ層52は、必ずしも必要ではなく必要に応じて設けるようにすればよい。例えば、電極層46の厚さを充分厚くして、電極層46にストッパ層の機能を付与すれば、ストッパ層52を設ける必要はない。
【0015】
ここで、ストッパ層52と第2の配線50とを同じ材料で形成すれば、両者が一体化して第2の配線としての機能を担うことになる。このような場合の第2の配線を、「第2の配線54」と呼ぶことにする。そのため、第2の配線54は、各メモリセルにおいて記憶層44側に突出した突出部(ストッパ層52)を有することになる。
【0016】
整流素子30は、整流特性を有し、記憶層44に印加される電圧の極性に方向性を与えるために設けられる。整流素子30には、例えば、PN接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーダイオード等を用いることができる。
図1では、整流素子30が、ビット線BLと電極層42との間に設けられている場合を例示したが、整流素子30は、ワード線WLと電極層46との間に設けられていてもよい。また、整流素子30は、ビット線BLとワード線WLとが対向する領域以外の領域に設けられていてもよい。
第1の配線20と整流素子30との間には、これらの間における元素の拡散などを抑制するためにバリア層32を設けるようにすることができる。
【0017】
次に、記憶部40について、図2を参照しつつ例示をする。
図2に示すように、記憶部40は、記憶層44と、記憶層44をZ軸方向(上下方向)から挟持する電極層42、46とを有している。
電極層42、46は、記憶層44が電気的接続を得やすいように、必要に応じて設けられる。また、電極層42、46は、例えば、記憶層44とZ軸方向(上下方向)の構成要素との間における元素の拡散などを抑制するためのバリア層としての機能をも有していてもよい。
【0018】
また、消去(リセット)動作において記憶層44の加熱を効率よく行うために、記憶層44の陰極側(ここでは、ワード線WL側)に、ヒータ層(抵抗率が約10−5Ωcm以上の材料)を設けてもよい。この場合、ヒータ層とワード線WLとの間にバリア層を設けるようにすることができる。
【0019】
次に、記憶層44について例示をする。
後述するように、不揮発性記憶装置1は、第1の配線20と第2の配線50とに与える電位の組合せによって、各記憶部40に印加される電圧を変化させることができる。そして、その時の記憶部40の特性(例えば、抵抗値)によって、情報を記憶(書き込み)したり消去したりすることができる。そのため、記憶層44は、印加される電圧によって特性が変化するものとされている。記憶層44としては、例えば、抵抗値が可逆的に遷移可能な可変抵抗層や、印加される電圧によって結晶状態と非晶質状態との間で可逆的に遷移可能な相変化層などを例示することができる。
【0020】
また、記憶層44の材料としては、例えば、金属酸化物を例示することができる。この場合、例えば、クロム(Cr)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、トリウム(Tr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、あるいは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までのいわゆる希土類元素などの酸化物などとすることができる。
また、酸化アルミニウム(Al)、酸化銅(CuO)、酸化シリコン(SiO)等とすることもできる。
【0021】
また、複合酸化物とすることもできる。この場合、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ビスマス酸化鉄(BiFeO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、バナジウム酸ナトリウム(NaVO)、バナジウム酸鉄(FeVO)、チタン酸バナジウム(TiVO)、クロム酸バナジウム(CrVO)、バナジウム酸ニッケル(NiVO)、バナジウム酸マグネシウム(MgVO)、バナジウム酸カルシウム(CaVO)、バナジウム酸ランタン(LaVO)、モリブデン酸バナジウム(VMoO)、モリブデン酸バナジウム(VMoO)、バナジウム酸リチウム(LiV)、珪酸マグネシウム(MgSiO)、珪酸マグネシウム(MgSiO)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、マグネシウム酸鉛(PbMgO)、ニオブ酸鉛(PbNbO)、ホウ酸バリウム(BaB)、クロム酸ランタン(LaCrO)、チタン酸リチウム(LiTi)、銅酸ランタン(LaCuO)、チタン酸亜鉛(ZnTiO)、タングステン酸カルシウム(CaWO)等とすることができる。
【0022】
また、カルコゲナイド系の可変抵抗材料とすることもできる。カルコゲナイドとは、Se、Te等の16族元素を含む化合物の総称であり、16族元素がカルコゲンと呼ばれることに由来する。このカルコゲナイド系材料は、電圧を印加することによって結晶状態と非晶質状態との間で可逆的に遷移可能な可変抵抗材料の一種である。
また、窒素をドープした非晶質の炭素(ta−C:N ; nitrogen doped tetrahedral amorphous carbon)とすることもできる。
また、各メモリセルの間には、図2に示すように素子間絶縁層70が設けられている。
【0023】
また、メモリセルの位置を基準として配線L(第1の配線20及び第2の配線50;ビット線BL及びワード線WL)の延在方向外側には、図示しないコンタクトプラグが設けられている。コンタクトプラグは、データの記憶(書き込み)及び読み出しを行うための読み出し/記憶回路(書き込み回路)等の周辺回路と接続されている(図示せず)。記憶部40には、コンタクトプラグ及び配線Lを通じて電流が流され、これにより記憶部40の記憶(書き込み)や消去等の各種動作を行うことが可能となる。
この様に、ビット線BLとワード線WLとが交叉する部分に記憶部40が設けられた不揮発性記憶装置1は、いわゆるクロスポイント型不揮発性記憶装置(メモリ)と呼ばれている。
【0024】
また、メモリセルの層が一層からなる不揮発性記憶装置とすることもできるが、記憶容量の大容量化を図るためにメモリセルをZ軸方向(上下方向)に積層させることもできる。この場合、例えば、層間絶縁膜を設けて第2の配線50(ワード線WL)が各層毎に設けられるようにすることができる。また、例えば、第2の配線50(ワード線WL)が共有されるように積層させることもできる。なお、積層数は特に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0025】
次に、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法について例示をする。
図3は、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の製造方法について例示をするためのフローチャートである。
図4は、壁体間に残留する液体の表面張力の影響を例示するための模式断面図である。
【0026】
まず、壁体間に残留する液体の表面張力の影響、マランゴニ力やガルバニック腐食の発生などについて例示をする。
図4(a)に示すように、製造プロセスの過程においてトレンチなどの壁体が形成された基体を洗浄液で洗浄する際には、液体2(洗浄液)により基体の表面が覆われ、表面に形成されている壁体1a、1b同士の間(例えば、トレンチ内)も液体2により満たされる。なおここで、壁体1a、1bは、壁状のものでもよく、円柱状あるいは角柱状などの棒状のものでもよい。
【0027】
そして、図4(b)に示すように、洗浄処理後に行われる乾燥において、基体の表面から液体2が除去され、壁体1a、1bの上面が大気中に露出すると、壁体1a、1b同士の間に残留する液体2の表面張力により壁体1a、1bを側方から押す作用力Fが働くようになる。
【0028】
この場合、壁体1a、1bの強度が充分に強ければ作用力Fの影響は少ないが、基体の材質、微細化の程度(集積度)、アスペクト比などによっては作用力Fの発生を抑制する必要性が生じる。例えば、デザインルールが30nm(ナノメートル)以下になると作用力Fの影響が無視できなくなる。
【0029】
そのような場合においては、図4(c)に示すように、壁体1a、1bが湾曲するようにして変形するおそれがある。そして、壁体1a、1bの変形が発生すると、その先端部Cにおいて接触が生じたり、基部Bにおいて破断や亀裂が生じたりするおそれがある。
【0030】
また、壁体1a、1bの形状が対称形でない場合には、表面張力により発生する作用力Fが不均一となり、壁体1a、1bの変形が発生しやすくなる。例えば、図4(d)に示す場合においては、壁体1a、1b同士の間に残留する液体2の量が異なり、表面張力により発生する作用力F1、F2の大きさ、作用する位置が異なるものとなる。すなわち、図4(d)に示すように、作用力F1の方が作用力F2よりも大きく、また、その作用する位置も作用力F1の方がより先端側となる。そのため、作用力F1により発生する曲げモーメントが大きくなるので、図4(e)に示すような向きの変形が発生しやすくなる。
【0031】
この表面張力による影響を知るために、表面に30nmデザインルールによるパターンが形成されたウェーハ(基体)の純水によるスピン洗浄(回転数;500rpm程度、洗浄時間;60秒程度)と、スピン乾燥(回転数;2500rpm程度、洗浄時間;60秒程度)とを行い、洗浄前と洗浄後のパターンをKLA社製のパターン検査装置により比較検査した。その結果、パターンの12箇所において変形が確認された。
【0032】
本発明者は検討の結果、液体表面を活性化させる物質を添加すれば、液体の表面張力を抑制することができるので、壁体の変形などを抑制することができるとの知見を得た。
液体表面を活性化させる物質としては、例えば、界面活性剤や、アルコール、フラン、ケトン等の極性溶剤、または、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の数nm〜1μm程度の微小粒子を例示することができる。
【0033】
この場合、水よりも表面張力の小さい液体2(洗浄液)とすれば、壁体の変形などを抑制することができる。また、微細な壁体間にも液体2(洗浄液)が入り込みやすくなるので、洗浄能力を向上させることもできる。
水よりも表面張力の小さい液体2(洗浄液)としては、例えば、イソプロピルアルコールがある。しかしながら、基体の表面に水が存在する場合にイソプロピルアルコールを供給するとマランゴニ力が発生するおそれがある。「マランゴニ力」とは、表面張力の小さい側の液体(イソプロピルアルコール)が大きい側の液体(水)に引き寄せられることで発生する力をいう。そして、マランゴニ力が発生すると前述した表面張力の場合と同様に壁体の変形などが生ずるおそれがある。この場合、基体の表面に積極的に純水などを供給しなくても、水と相溶性のあるイソプロピルアルコールの場合は、大気中の水分を取り込むことによりマランゴニ力を発生させるおそれがある。すなわち、水よりも表面張力の小さい液体であっても水と相溶性のあるものはマランゴニ力を発生し得るので好ましくない。また、水と相溶性のあるものは水溶液としなくても大気中の水分を取り込むおそれがあるので、乾燥後にウォーターマーク(水跡)が形成されるおそれもある。
【0034】
そして、液体2(洗浄液)に水が含まれることになると、後述するガルバニック腐食が発生しやすくなるおそれがある。例えば、液体2(洗浄液)に含まれた水に製造プロセス中のガス成分や基体の表面に存在する物質が溶融すると、液体2(洗浄液)の電気伝導度が高くなるおそれがある。そのため、腐食電流が流れやすくなり、ガルバニック腐食(Galvanic Corrosion)が発生しやすくなるおそれがある。
【0035】
前述したように、不揮発性記憶装置1は、金属、シリコン、金属酸化物、複合酸化物などの多種の材料からなる積層体である。そして、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)などの金属が層状に積層されている。そのため、液体2(洗浄液)に電気伝導性があると腐食電流が流れガルバニック腐食(Galvanic Corrosion)が発生するおそれがある。この場合、特に近年の微細化された不揮発性記憶装置1においては、僅かなガルバニック腐食が発生しても不揮発性記憶装置1の特性が著しく低下してしまうおそれがある。
【0036】
ここで、前述した界面活性剤としては、陽イオン(カチオン)系界面活性剤、陰イオン(アニオン)系界面活性剤、非イオン(ノニオン)系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤などを例示することができる。
この場合、表面張力、マランゴニ力、ガルバニック腐食の抑制を考慮すると、例えば、陰イオン(アニオン)系界面活性剤としては、カルボキシル基、スルホ基、硫酸基を有し、解離して陰イオンとなるアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩などとすることが好ましい。また、陽イオン(カチオン)系界面活性剤としては、解離して陽イオンとなるアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミン化合物などとすることが好ましい。また、非イオン(ノニオン)系界面活性剤としては、アルキルベタイン、イミダゾニウムベタインなどとすることが好ましい。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルベタイン型(例えば、商品名サーフロンS-131(旭硝子社製))、パーフルオロアルキルカルボン酸型(例えば、商品名サーフロンS-113、121(旭硝子社製))などとすることが好ましい。
【0037】
なお、界面活性剤の種類としては特に限定はないが、非イオン(ノニオン)系界面活性剤は他の用途のための添加剤を含む場合にも併用することができるので好ましい。
また、洗浄後の乾燥において界面活性剤が揮発除去できるものとすれば、界面活性剤が残留することで生じる影響を抑制することができる。そのためには、界面活性剤の分子量が低分子量であることが好ましい。
また、界面活性剤が残留する場合においては、加熱やオゾンなどによる分解、除去が容易であることが好ましい。そのためには、低分子量であるか、または、主鎖に二重結合などを有し低分子量のものに分解容易であるものが好ましい。
【0038】
一方、水よりも表面張力が小さく、かつ水と実質的に相溶性のない液体自体を洗浄液として用いるようにしても、表面張力の影響やマランゴニ力の発生を抑制することができる。また、大気中からの水分の取り込みをも抑制することができるので、ガルバニック腐食の発生を抑制することもできる。また、ウォーターマーク(水跡)の形成を抑制することができる。また、大気中からの水分の取り込みがあったとしても比較的容易に水を分離することができるので再利用が容易となる。また、微細な壁体間にも液体2(洗浄液)が入り込みやすくなるので、洗浄能力を向上させることもできる。
水よりも表面張力が小さく、かつ水と実質的に相溶性のない液体としては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボンなどのようなフッ素系液体、ペンタン、ヘキサン(Hexane)CH3CH2CH2CH2CH2CH3、のような直鎖ハイドロカーボンとその誘導体、ベンゼン(Benzene)C6H6、トルエン(Toluene)C6H5CH3のような芳香族ハイドロカーボンとその誘導体、ジエチルエーテル(Diethyl ether)、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、 THF)、などの極性の小さいエーテル、クロロホルム(Chloroform)CHCl3、塩化メチレン(Methylene chloride)CH2Cl2、などハロゲン系の溶剤、酢酸エチル(Ethyl acetate)CH3C(=O)OCH2CH3など極性の小さいエステルなどを例示することができる。
【0039】
この場合、電気伝導度が低い(電気絶縁性が高い)ものの方が腐食電流を少なくすることができるのでガルバニック腐食を抑制することができる。また、洗浄液として用いるためには、洗浄能力、再利用性(環境負荷の低減)、化学的な安定性、安全性などを考慮する必要がある。そして、環境負荷の低減のためには洗浄能力が高いとともに再利用性が高いことも重要である。ここで、再利用性を考慮する場合には、溶解している金属不純物(金属イオン)の分離、除去が容易であること、水との分離が容易であること、蒸気が重く回収が容易であることなどを考慮する必要がある。
【0040】
以上のことを考慮すると、フッ素系液体を洗浄液として用いることが好ましい。ここで、フッ素系液体の具体例を例示するものとすれば、ハイドロフルオロカーボンとしては三井デュポンフロロケミカル社製のバートレル(登録商標)、ハイドロフルオロエーテルとしては3M社製のノベック(商品名)、パーフルオロカーボンとしては3M社製のフロリナート(商品名)、ハイドロクロロフルオロカーボンとしては旭硝子社製のアサヒクリン(登録商標)などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、これらを適宜混合させて用いることもでき、少なくとも1種以上のものを用いればよい。また、前述した界面活性剤などを適宜添加することもできる。
【0041】
次に図3に戻って、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置1(抵抗変化型メモリ、ReRAM)の製造方法について例示をする。
本実施の形態に係る不揮発性記憶装置1(抵抗変化型メモリ、ReRAM)の製造方法は、成膜・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト除去などによりウェーハ表面(基体表面)にパターン(壁体)を形成する工程、検査工程、熱処理工程、不純物導入工程、拡散工程、平坦化工程などの複数の工程を繰り返すことにより実施される。
【0042】
そして、不揮発性記憶装置1の製造においては、クリーンルーム内にウェーハが持ち込まれた時に行われる初期洗浄、酸化処理の前後において行われる洗浄、成膜処理の前後において行われる洗浄、エッチングやレジスト除去後に行われる洗浄、平坦化後に行われる洗浄など様々な工程において洗浄が行われている。そのため、これらの洗浄工程において、前述した洗浄液を用いた洗浄を行うことができる。
【0043】
この場合、パターン(壁体)の形成後に前述した洗浄液を用いた洗浄を行うものとすれば、壁体の変形や破損などを抑制することができる。また、ガルバニック腐食の発生を抑制することができるので、配線などの腐食や微細な壁体の形状や寸法の精度が悪化することを抑制することもできる。特に、デザインルールが30nm(ナノメートル)以下のものに対しては壁体の変形や破損などの抑制効果が大きい。
また、不揮発性記憶装置1(抵抗変化型メモリ、ReRAM)の洗浄においては、ガルバニック腐食が発生しやすく、デザインルールが30nm(ナノメートル)以下のような場合には、僅かなガルバニック腐食が発生しても不揮発性記憶装置1の特性が著しく低下してしまうおそれがある。
そのため、前述した洗浄液を用いた洗浄を行うものとすれば、製品の歩留まりや生産性などを大幅に向上させることができる。
【0044】
なお、前述した洗浄液を用いた洗浄を行う工程以外は、既知の技術を適用することができるのでその説明は省略する。そのため、以下においては前述した洗浄液を用いた洗浄を行う工程について例示をすることにする。また、一例として、パターン(壁体)の形成後に行う洗浄を例に挙げて説明をする。
【0045】
まず、パターンが形成されたウェーハの表面(基体の表面)に水よりも表面張力が小さく、かつ水と相溶性のない液体(以下、単に洗浄液という)を供給し、洗浄を行う(ステップS1)。すなわち、壁体が形成された基体の表面に水よりも表面張力が小さくかつ水と実質的に相溶性のない液体を供給し、基体の洗浄を行う。
【0046】
洗浄には、例えば、スピン洗浄法を用いることができる。この場合、例えば、回転数を500rpm程度、洗浄時間を60秒程度とすることができる。なお、洗浄法はスピン洗浄法に限定されるわけではなく、浸漬洗浄法など他のウェット洗浄法を適宜選択することができる。また、いわゆる枚葉方式の洗浄とすることもできるし、複数枚を一度に洗浄するいわゆるバッチ方式の洗浄とすることもできる。
【0047】
また、洗浄液に超音波振動を加えることで洗浄力を高めることもできる。その場合、超音波の周波数を700kHz〜3MHz程度とすることができる。
また、洗浄液のみを吐出するものとすることもできるし、気体と洗浄液との二流体を混合して吐出または噴霧するものとすることもできる。
【0048】
洗浄液としては、例えば、前述したフッ素系液体(例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボンなど)などを用いることができる。
【0049】
また、洗浄液に含まれる水の量が1重量%以下となるように制御されるようにすることができる。また、ウェーハの表面(基体の表面)に洗浄液を供給する際に、乾燥ガスによるパージを行うことで水の量の制御を行うようにすることができる。また、ウェーハの表面(基体の表面)に供給された洗浄液を回収し、再利用する場合に回収された洗浄液から水の除去を行うことで水の量の制御を行うようにすることができる。
なお、水の量の制御に関しては後述する。
【0050】
次に、ウェーハの表面(基体の表面)の乾燥を行う(ステップS2)。
この場合、ウェーハを回転させながら乾燥(スピン乾燥)を行うことができる。例えば、回転数を2500rpm程度として回転をさせながら乾燥を行うことができる。
また、ウェーハを回転させながら加熱を行い乾燥させることもできる。この場合、例えば、加熱温度を150℃程度、加熱時間を60秒程度、回転数を500rpm程度とすることができる。
【0051】
また、洗浄液の蒸気をウェーハ表面に供給し、乾燥させることもできる。すなわち、乾燥は、洗浄液の蒸気を用いて行われるようにすることができる。この場合、洗浄液の蒸気としては、洗浄液を加熱して得た蒸気の他、このような洗浄液の蒸気を窒素ガス等により希釈した混合ガスなどとすることもできる。なお、蒸気は過熱蒸気とすることもできる。また、これらの乾燥方法を適宜組み合わせることもできる。
なお、洗浄後の洗浄液を回収、再生し、これを再利用することもできる。
再生は、例えば、水の分離・除去と、固形物の分離・除去と、溶存不純物(例えば、金属イオン)の分離・除去と、を経ることにより行うことができる。
固形物の分離・除去としては、各種のフィルタを用いて行うことができる。
溶存不純物の分離・除去としては、例えば、イオン交換樹脂を備えたフィルタを用いて行うことができる。また、溶存不純物としての金属イオンを除去する場合には、繊維機材に金属イオンを捕捉可能な官能基(例えば、スルホン酸基など)を固定させたものを用いることができる。この場合、洗浄液としてフッ素系液体を用いる場合には、繊維機材や配管部材などにフッ素樹脂が含まれたものを用いるとフッ素樹脂が膨潤するおそれがあるので、フッ素樹脂を含まないものを用いるようにすることが好ましい。
なお、水の分離・除去に関しては後述する。
【0052】
ここで、洗浄液としてフッ素系液体を用いた場合の効果について例示をする。
他の液体とフッ素系液体の表面張力を比較すると、水が73mN/m、イソプロピルアルコールが21mN/mであるのに対し、フッ素系液体は14mN/mと低い。そのため、前述した表面張力による壁体の変形や破壊などを大幅に抑制することができる。
また、前述したようにフッ素系液体は水と相溶性のない液体であるためマランゴニ力の発生を抑制することができる。
また、フッ素系液体は電気伝導度が低い(電気絶縁性が高い)ので腐食電流が流れにくい。そのため、ガルバニック腐食の発生を抑制することができる。
また、フッ素系液体は表面張力が低く微細な壁体間にも入り込みやすくなるので、洗浄能力を向上させることができる。
【0053】
また、フッ素系液体は蒸発熱が低く(120kj/kg程度)迅速な乾燥を行うこともできる。また、蒸気が重く回収が容易であるため再利用を容易にすることができる。
また、フッ素系液体は適度な洗浄能力を有し、化学的にも安定しているため汚染物質の溶解による除去と、溶解させた汚染物質の分離による除去とを容易にすることができる。また、不燃性であるため安全性が高く、イソプロピルアルコールを用いる場合のような防爆仕様の設備とする必要もない。また、比重が大きいため洗浄時の物理力を高めることができ、洗浄能力を向上させることができる。
【0054】
また、洗浄液としてフッ素系液体を用いるものとすれば、ウォーターマーク(水跡)の形成を抑制することもできる。
ここで、ウォーターマーク(水跡)が形成される要因としては次のことが考えられる。すなわち、ウェーハ表面に水が存在すると、水と大気中の酸素とウェーハ表面のシリコンとが下記(1)式のように反応してHSiOが生成される。

Si+HO+O→HSiO ・・・(1)

そして、乾燥が進むと、この反応生成物(HSiO)が析出してウォーターマーク(水跡)が形成されることになる。
この場合、洗浄液としてのフッ素系液体には水が含まれていない。また、水を取り込んだとしても比較的容易に除去することができる。そのため、上記の(1)式の反応を阻害することができるので、ウォーターマーク(水跡)の形成を抑制することができる。
【0055】
また、洗浄液としてフッ素系液体を用いるものとすれば、洗浄の前工程で行われる酸素プラズマによる処理の時間を短縮することができる。
パターンの形成工程においては、塩素やフッ素などのハロゲン系ガスを含んだプロセスガスを用いたプラズマ処理が行われる。そのため、ウェーハ表面にフロロカーボン系の残渣などが残る場合がある。そこで、洗浄の前工程において酸素プラズマによる処理を行い、フロロカーボン系の残渣などを除去するようにしている。
【0056】
ここで、洗浄液としてフッ素系液体を用いるものとすれば、洗浄の際にもフロロカーボン系の残渣などを除去することができる。そのため、洗浄と合わせてフロロカーボン系の残渣などを除去することができるので、洗浄の前工程で行われる酸素プラズマによる処理の時間を短縮することができる。
【0057】
また、酸素プラズマによる処理の時間が短縮されれば、不揮発性記憶装置1が過度に酸化されるのを抑制することができる。また、酸素プラズマによる処理の際に発生するガスで処理装置のチャンバ内壁などが損傷することを抑制することもできる。
【0058】
また、洗浄液としてフッ素系液体を用いるものとすれば、乾燥時間の短縮を図ることもできる。例えば、純水などを用いて洗浄されたウェーハを乾燥させる場合には、ウェーハの表面に残留した水をイソプロピルアルコールなどで置換し、その後乾燥を行う必要がある。これに対し、洗浄液としてフッ素系液体を用いるものとすれば置換を行う必要がない。また、前述したように蒸発熱も低い。そのため、乾燥時間の短縮を図ることができる。
【0059】
次に、洗浄液に含まれる水の量の影響について例示をする。
本発明者の得た知見によれば、壁体の変形などやガルバニック腐食を抑制するためには、洗浄液に含まれる水の量を1重量%以下とすることが好ましい。
含水量の影響を知るために、パターン(壁体)が形成されたウェーハの表面に10重量%の水を含有させた洗浄液と、1重量%の水を含有させた洗浄液とを供給し、スピン洗浄(回転数;500rpm程度、洗浄時間;60秒程度)を行った。そして、スピン乾燥(回転数;2500rpm程度、洗浄時間;60秒程度)を行い、洗浄前と洗浄後のパターンをKLA社製のパターン検査装置により比較検査した。その結果、10重量%の水を含有させた洗浄液による洗浄においては、パターンの変形とガルバニック腐食が確認された。一方、1重量%の水を含有させた洗浄液による洗浄においては、パターンの変形とガルバニック腐食が確認されなかった。
【0060】
そのため、不揮発性記憶装置1の洗浄においては、水分の制御が重要となる。
この場合、大気中から洗浄液に取り込まれる水分を抑制するようにすることが好ましい。例えば、洗浄を行う雰囲気を乾燥空気、乾燥窒素などの乾燥ガスでパージして、洗浄液に大気中の水分が取り込まれることを抑制するようにすることができる。
【0061】
また、洗浄液の再利用を行う場合には、取り込まれている水の分離・除去を行うようにすることが好ましい。
水の分離・除去としては、比重の違いを利用して水と洗浄液とを分離し、水のみを除去するものを例示することができる。例えば、前述したフッ素系液体の場合は比重が1.4程度と重いので比較的容易に水と洗浄液とを分離させることができる。
【0062】
また、沸点の違いを利用して水と洗浄液とを分離し、水のみを除去することもできる。例えば、前述したフッ素系液体の場合は沸点が60℃程度と低いので、蒸留器などを用いて比較的容易に水と洗浄液とを分離させることができる。
また、乾燥剤などを用いて水と洗浄液とを分離させることもできる。
この場合、蒸留器や乾燥剤などを用いて水と洗浄液とを分離させるようにすれば、より多くの水を除去することができる。また、これらの分離・除去方法を組み合わせるようにすることもできる。例えば、比重の違いを利用して水と洗浄液とを分離した後、より多くの水の除去が可能な蒸留器や乾燥剤などを用いて水と洗浄液とをさらに分離させるようにすることもできる。
【0063】
以上例示をしたように、フッ素系液体は水との相溶性がないので、大気中の水分が取り込まれることを抑制することができる。また、水が取り込まれたとしても比較的容易に分離させることができる。そのため、洗浄液の水分の制御が容易となる。また、洗浄プロセスの安定化が図れるとともに、製品歩留まりや生産性を向上させることができる。
【0064】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、不揮発性記憶装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
1 不揮発性記憶装置、10 基板、20 第1の配線、30 整流素子、40 記憶部、44 記憶層、50 第2の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の状態と第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記憶層を有する不揮発性記憶装置の製造方法であって、
壁体が形成された基体の表面に水よりも表面張力が小さくかつ水と実質的に相溶性のない液体を供給し、前記基体の洗浄を行う工程を有すること、を特徴とする不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項2】
前記液体に含まれる水の量が1重量%以下となるように制御すること、を特徴とする請求項1記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記基体の表面に前記液体を供給する際に、乾燥ガスによるパージを行うことで前記水の量の制御が行われること、を特徴とする請求項2記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記表面に供給された前記液体を回収し、再利用する場合に、前記回収された液体から水の除去を行うことで前記水の量の制御が行われること、を特徴とする請求項2または3に記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記液体は、フッ素系液体であること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記液体は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記液体の蒸気を用いて、前記表面の乾燥を行う工程をさらに有すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−232213(P2010−232213A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75111(P2009−75111)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】