説明

作業用車両の走行駆動装置

【課題】制御の安定性を図りつつ燃費の改善を有効に図り得る作業用車両の走行駆動装置を提供する。
【解決手段】走行駆動装置は、エンジンと、油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で連通してなる油圧駆動装置と、アクセル操作量入力装置と、エンジン調速制御用のカバナと、ブレーキ操作量入力装置と、エンジンの出力軸に連結された発電・電動機と、蓄電装置と、走行負荷トルク推定手段50と、制御手段とを備える。制御手段は、車両の減速時でかつ蓄電装置の蓄電量が所定値以下の場合に車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生し、回生電力を蓄電装置に蓄電するように制御を行い(S12)、車両の発進・加速時でかつ蓄電装置の蓄電量が所定値以上の場合に蓄電装置の電力により発電・電動機を電動機として動作させ、その際の目標トルクを走行負荷トルク推定手段により推定された走行負荷トルクを越えない値に設定するように制御を行う(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールクレーンやホイールローダなどの作業用車両の走行駆動装置に関し、特に、HSTと呼ばれる油圧駆動装置を備えたものに係わる。
【背景技術】
【0002】
従来、ホイールクレーンなどの作業用車両の走行駆動装置として、いわゆるHSTと呼ばれる油圧駆動装置を備えたものは知られている。このHSTは、動力源としてのエンジンにより駆動される油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で連通したものであり、動力が油圧配管を介して伝達されるため、エンジンのレイアウト上の自由度が非常に高く、作業用車両の走行駆動装置として好適である反面、油圧ポンプ及び油圧モータでの動力損失や配管の圧損などが大きく、一般に燃費が悪いという問題がある。
【0003】
そこで、従来のHSTの利点を生かしつつ燃費を改善するために、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンの出力軸にHSTの油圧ポンプと同軸で連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、アクセル操作手段(アクセルペダル)の非操作時又は操作量の減少時、つまり車両の減速時に車両の減速エネルギーをHSTを介して回生し、上記発電・電動機を発電機として動作させ、発生した電力を上記蓄電装置に蓄電するように制御を行い、アクセル操作手段の操作時にこの蓄電装置に蓄電した電力により上記発電・電動機を電動機として動作させ、エンジンと発電・電動機の両方の動力でエンジンの出力軸の回転数をアクセル操作手段が設定する目標回転数にまで上げるように制御を行う制御手段とを備えたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−264903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記提案のものでは、制御手段によりエンジンと発電・電動機の両方の動力でエンジンの出力軸の回転数を目標回転数にまで上げるように制御を行う場合、エンジンの回転数が低速回転数となるようにエンジンに供給される燃料噴射量を制御するとともに、発電・電動機を電動機として動作させる際の回転数を目標回転数にまで上げるように制御するが、エンジンと発電・電動機とは同軸上に配置され、両者の回転数は同一であることから、両者の回転数をそれぞれ異なる目標回転数になるように制御することは本質的に困難であり、両者の回転制御が干渉し、制御が不安定になる虞がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、上述したエンジンと発電・電動機の両方で走行駆動を行う場合の制御を適切に行うことにより、制御の安定性を図りつつ燃費の改善を有効に図り得る作業用車両の走行駆動装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、作業用車両の走行駆動装置として、車両に搭載されたエンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で連通してなる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の油圧モータの動力により駆動される車軸と、運転者が操作するアクセル操作量入力装置と、このアクセル操作量入力装置によって入力されたアクセル操作量に応じて上記エンジンの調速制御を行うカバナと、運転者が操作するブレーキ操作量入力装置とを備えることを前提とする。そして、上記エンジンの出力軸に上記油圧駆動装置の油圧ポンプと同軸で連結され又は動力分配装置を介して連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、車両の走行負荷トルクを推定する走行負荷トルク推定手段と、車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいは上記ブレーキ操作量入力装置によりブレーキ操作を行った場合であり、かつ上記蓄電装置の蓄電量が所定値以下の場合に車両の減速エネルギーを上記油圧駆動装置を介して回生し、上記発電・電動機を発電機として動作させ回生した減速エネルギーにより発電し、この発電した電力を上記蓄電装置に蓄電するように制御を行い、車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を増加しかつ上記蓄電装置の蓄電量が所定値以上の場合にこの蓄電装置の電力により上記発電・電動機を電動機として動作させ、その際の目標トルクを上記走行負荷トルク推定手段により推定された走行負荷トルクを越えない値に設定するように制御を行う制御手段とを備える構成にする。
【0008】
この構成では、車両の走行中に運転者が減速操作をした場合、つまりアクセルペダルなどのアクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、又はブレーキペダルなどのブレーキ操作量入力装置によりブレーキ操作を行った場合であり、かつ蓄電装置の蓄電量が所定値以下の場合には、制御手段の制御の下に、車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生し、発電・電動機を発電機として動作させ回生した減速エネルギーにより発電し、この発電した電力を蓄電装置に蓄電する。
【0009】
一方、車両の発進時や走行中に運転者がアクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を増加しかつ蓄電装置の蓄電量が所定値以上の場合には、制御手段の制御の下に、蓄電装置の電力により発電・電動機を電動機として動作させることにより、エンジンのトルクが発電・電動機の駆動トルクによりアシストされる。この結果、エンジンの消費燃料が低下し、燃費が向上することになる。
【0010】
しかも、この場合、エンジン及び発電・電動機の回転数は、共にガバナによるエンジンの調速制御によって制御され、発電・電動機の駆動トルクは、制御手段によって、走行負荷トルクを超えない値に設定された目標トルクになるように制御されるため、エンジンのトルクは、走行負荷トルクから発電・電動機の駆動トルクを減じたトルクに自動的にバランスする。このため、従来提案のものの如くエンジンの制御と発電・電動機の制御とが干渉することはなく、制御が安定かつ確実に行われる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の作業用車両の走行駆動装置において、上記走行負荷トルク推定手段の好ましい具体的な形態を提供するものである。すなわち、走行負荷トルク推定手段は、油圧駆動装置の油圧ポンプの吸入側と吐出側の差圧を圧力センサで測定し、その測定値に基づいて車両の走行負荷トルクを推定するように設ける構成にする。この構成では、油圧ポンプの差圧を圧力センサで測定するだけで走行負荷トルクを比較的簡単にかつ正確に推定することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の作業用車両の走行駆動装置において、上記制御手段による回生ブレーキ制御の好ましい形態を提供するものである。すなわち、制御手段は、車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生するに当たり、車両の走行状態に応じて、発電・電動機を発電機として動作させる際の目標トルクを増加させ、あるいは油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加又は油圧ポンプの容量を減少させることで回生ブレーキ力を増加させるように設ける構成にする。この構成では、車両の走行中に運転者が減速操作をしかつ蓄電装置の蓄電量が所定値以下の場合に車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生するに当たり、制御手段の制御によって、車両の走行状態に応じて、例えばブレーキ入力時にはブレーキ非入力時に比べて、あるいはブレーキ操作量や車速などの増加に応じて、発電・電動機を発電機として動作させる際の目標トルクを増加させ、あるいは油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加又は油圧ポンプの容量を減少させることで回生ブレーキ力が増加するため、効率的に動力回生を行うことができるとともに、車両の走行状態ないし運転者の操作に応じて回生ブレーキ力を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明における作業用車両の走行駆動装置によれば、走行中の減速時に車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生し、発電・電動機を発電機として動作させ回生した電力を蓄電装置に蓄電する一方、発進・加速時に蓄電装置の電力により発電・電動機を電動機として動作させることにより、エンジンのトルクを発電・電動機の駆動トルクによりアシストさせることができるので、エンジンの消費燃料を低下させ、燃費の向上を図ることができる。しかも、エンジンの制御と発電・電動機の制御とが干渉することはなく、制御の安定性ないし信頼性の向上を図ることができる。
【0014】
特に、請求項2に係る発明では、発電・電動機の制御に利用する走行負荷トルクを、油圧ポンプの差圧を圧力センサで測定するだけで比較的簡単にかつ正確に推定することができるので、実施化を図る上で有利なものである。
【0015】
また、請求項3に係る発明では、車両の減速エネルギーを回生するに当たり、車両の走行状態に応じて、発電・電動機を発電機として動作させる際の目標トルクを増加させ、あるいは油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加又は油圧ポンプの容量を減少させることで回生ブレーキ力が増加するため、効率的に動力回生を行うことができるとともに、車両の走行状態ないし運転者の操作に応じて回生ブレーキ力を調整することができ、良好な減速フィーリングを得ることができるという効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る作業用車両の走行駆動装置の構成図である。
【図2】図2はコントローラの制御内容を示すフローチャート図である。
【図3】図3はエンジン回転数とエンジン負荷トルクとの関係を示す特性図である。
【図4】図4は油圧ポンプの差圧と容量との関係を示す特性図である。
【図5】図5はエンジンの負荷トルクと燃費率との関係を示す特性図である。
【図6】図6はエンジン回転数とエンジン負荷トルクとの関係から電動機のトルク目標値を設定する方法を説明するための説明図である。
【図7】図7は油圧ポンプの差圧と電動機のトルク目標値との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る作業用車両の走行駆動装置の全体構成を示し、1は車両に搭載されたエンジン、2はエンジン1の出力軸に連結されたパワーデバイダであって、このパワーデバイダ2は、動力分配装置として、エンジン1の出力を油圧駆動装置10の油圧ポンプ11と発電機及び電動機として機能する発電・電動機30とに分配するものである。
【0019】
上記油圧駆動装置10は、エンジン1の出力により駆動される可変容量型の油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11の吐出圧油により駆動される可変容量型の油圧モータ12とを有し、この両者11,12を一対の配管13a,13bからなる閉回路13で接続したいわゆるHST(hydrostatic transmission)と呼ばれる構成になっている。油圧ポンプ11は、エンジン1によって回転駆動され、吐出された圧油は、車両の前進時には閉回路13の一方の配管13aを通して油圧モータ12を正転駆動し、戻り油は、閉回路13の他方の配管13bを通して油圧ポンプ11に戻る。一方、車両の後退時には油圧ポンプ11の吐出方向を反転させ、閉回路13の配管13bより吐出した圧油を油圧モータ12に送り、油圧モータ12を逆転駆動し、戻り油は、配管13aを通して油圧ポンプ11に戻るようになっている。
【0020】
上記閉回路13内の圧力は、一対の安全弁としての高圧リリーフ弁14a,14bにより所定値以下に設定されている。また、油圧ポンプ11にはチャージポンプ15が付設され、このチャージポンプ15から吐出された圧油は低圧リリーフ弁16により最低設定圧を確保しており、閉回路13内の圧力が最低設定圧以下になった場合、チェック弁17a,17bから圧油を閉回路13内に送り込むことで閉回路13内の圧力を最低設定圧以上に確保し、閉回路13内でのキャビテーションの発生を防止するようになっている。
【0021】
上記油圧駆動装置(HST)10の出力部である油圧モータ12の回転動力(出力)は、差動装置20を介して左右の車軸21a,21b及び車輪22a,22bに伝達され、この車軸21a,21b及び車輪22a,22bを回転駆動するようになっている。各車輪22a,22bにはブレーキ力を負荷するブレーキ装置23a,23bが設けられている。
【0022】
一方、上記発電・電動機30にはコンバータ31及びインバータ32を介して蓄電装置としてのバッテリ33が電力を蓄電及び放電可能に接続されている。コンバータ31は、発電・電動機30が発電機として動作するときその発電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ33に供給する回路であり、インバータ32は、発電・電動機30が電動機として動作するときバッテリ33に蓄電された直流電力を交流電力に変換して発電・電動機30に供給する回路である。
【0023】
さらに、40は走行駆動装置の制御手段としてのコントローラ、41は運転者が操作するアクセル操作量入力装置としてのアクセルペダル装置であり、このアクセルペダル装置41の信号は、コントローラ40を介して、エンジン1に装備されたガバナ42に入力するようになっており、このガバナ42は、アクセル操作量(ペダル踏み込み量)に応じてエンジン1の調速制御を行うものである。43は運転者が操作するブレーキ操作量入力装置としてのブレーキペダル装置であり、このブレーキペダル装置43の信号は、コントローラ40に入力するとともに、上記ブレーキ装置23a,23bに入力するようになっており、ブレーキ装置23a,13bは、ブレーキ操作量(ペダル踏み込み量)に応じて車輪22a,22bにブレーキ力を負荷するようになっている。
【0024】
上記コントローラ40には、上述の如きアクセルペダル装置41及びブレーキペダル装置43の信号の外に、前後進切替スイッチ44の信号、バッテリ33の蓄電量の信号、及び油圧ポンプ11の吸入側と吐出側の差圧を測定する一対の圧力センサ45a,45bの信号などが入力するようになっている。コントローラ40は、前後進切替スイッチ44の信号に従って、油圧ポンプ11の圧油吐出方向を切り替えるとともに、発電・電動機30の動作をコンバータ31及びインバータ32を介して制御するようになっている。
【0025】
次に、上記コントローラ40による制御のうち、発電・電動機30の動作制御を、図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0026】
図2において、スタートした後、先ず、ステップS1でアクセルペダル装置41の信号に基づいて車両の走行中にアクセル操作量が増加しているか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS2でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてその蓄電量が設定値1以上であるか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS3でHST10の走行負荷トルクを推定し、ステップS4でこの推定したHST10の走行負荷トルクに走行用ステアリングポンプやエアコンなどの補機(図示せず)の駆動に必要な補機トルクを加算して車両の走行負荷トルクを算出する。ステップS3,S4により、車両の走行負荷トルクを推定する走行負荷トルク推定手段50が構成されている。
【0027】
続いて、ステップS5で電動機トルクの目標値を上記走行負荷トルクを越えない値に設定し、その後、ステップS6で発電・電動機30を電動機として動作させ、その際の電動機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。
【0028】
一方、上記ステップS1の判定がNOのとき、つまり車両の走行中に運転者がアクセル操作量を増加していないとき、換言すれば運転者がアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとしたとき、あるいは運転者がブレーキ操作を行ったときには、ステップS8でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてその蓄電量が設定値2以下であるか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS9で車両の走行状態ないし減速条件により回生ブレーキ力を設定し、ステップS10でこの設定した回生ブレーキ力に応じてHST10の油圧モータ12の容量を増加させるように制御し、又は油圧ポンプ11の容量を減少させるように制御する。それと同時に、ステップS11で発電機トルクの目標値を設定し、ステップS12で発電・電動機30を発電機として動作させ、その際の発電機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。
【0029】
上記ステップS2又はS8の判定がNOのときには、ステップS7で発電・電動機30は動作なしにし、リターンする。
【0030】
次に、上記ステップS3〜S6の制御内容を詳細に説明するに、予め、エンジン1の回転数制御及び油圧ポンプ11の制御を説明した後、HST走行負荷トルクの推定、走行負荷トルクの算出、電動機トルクの目標値設定の順で説明する。
【0031】
(エンジンの回転数制御)
エンジン1は、ガバナ42によりアクセル操作量に応じて調速制御される。このガバナ42によるエンジン1の調速制御では、図3に示すように、アクセル操作量が大の場合は実線A上で、アクセル操作量が中の場合は一点鎖線B上で、アクセル操作量が小の場合は破線C上でそれぞれエンジン回転数Nが変化するように制御される。エンジン回転数Nは、エンジン負荷トルクTとの関係によって決まり、例えばアクセル操作量が大の場合、図3中に示すように、エンジン負荷トルクTがTe1であればエンジン回転数NはNe1に、エンジン負荷トルクTがTe2であればエンジン回転数NはNe2になり、エンジン負荷トルクTがTe2からTe1へと増加すると、通常、エンジン回転数NはNe2からNe1へと若干低下する。尚、ガバナ42の制御特性によってはNe1とNe2を同一回転数とするいわゆるアイソクロナス制御を行う場合もある。
【0032】
ここで、発電・電動機30がエンジン1と同軸上に設置される場合には発電・電動機30の回転数は、エンジン1の回転数と一致するため、上記ガバナ42によるエンジン1の調速制御によって制御される回転数と一致する。また、本実施形態の如く発電・電動機30がエンジン1とパワーデバイダ2を介して連結される場合にはパワーデバイダ2の減速比がかかるが、結果的に発電・電動機30の回転数がガバナ42によるエンジン1の調速制御によって制御されることは、上記の場合と同様である。
【0033】
(油圧ポンプの制御)
HST10の油圧ポンプ11の容量qは、図4に示すように、ガバナ42により制御されるエンジン回転数Nに応じて制御され、エンジン回転数Nが高い場合は実線D上で、エンジン回転数Nが中の場合は一点鎖線E上で、エンジン回転数Nが低い場合は破線F上でそれぞれポンプ差圧Pが増大するに従って減少するように制御される。尚、油圧ポンプ11の容量qはハード的に最大値qpmaxがあるため、エンジン回転数Nが高く、かつポンプ差圧PがP以下では油圧ポンプ11の容量qにqpmaxに固定される。また、ポンプ差圧Pに応じたポンプ容量qの制御としては、圧力センサ45a,45bにより油圧ポンプ11の吸入側と吐出側の差圧Pを検出して電気的に油圧ポンプ11の容量制御を行っても良いし、油圧ポンプ11の容量制御用のサーボピストンをポンプ差圧Pによって直接駆動することで油圧制御により油圧ポンプ11の容量制御を行っても良い。
【0034】
一般に、HST10におけるポンプ差圧Pは、走行負荷が大きい場合、例えば加速や登坂などの場合に増大し、走行負荷が小さい場合、例えば定常走行や降坂などの場合に減少する。図4において、圧力Pは走行負荷が高い場合の例であり、この時エンジン回転数Nが高い場合は実線D上の圧力Pに相当するポンプ容量qp1となるように油圧ポンプ11の容量が制御される。また、圧力Pは走行負荷が小さい場合の例であり、この時エンジン回転数Nが高い場合は実線D上の圧力Pに相当するポンプ容量qp2となるように油圧ポンプ11の容量が制御される。
【0035】
(HST走行負荷トルクの推定)
HST10の油圧ポンプ11に作用するHST走行負荷トルクThstは、下記の式(1)により求められる。
【0036】
hst=(N×P×q)/(2×π×ηmp) (1)
但し、Nはパワーデバイダ2の減速比、ηmpは油圧ポンプ11の機械効率である。
【0037】
この式(1)から分かるように、走行負荷が大きく、油圧ポンプ11の差圧Pが大きいとHST走行負荷トルクThstが増加するが、エンジン1の最大トルクを越えるとエンストを起こす問題がある。このため、上述した油圧ポンプ11の容量制御を行うこと、特に走行負荷が大きく油圧ポンプ11の差圧Pが大きい場合にポンプ容量qを下げるように油圧ポンプ11の容量制御を行うことにより、走行負荷が大きく油圧ポンプ11の差圧Pが大きい場合のHST走行負荷トルクの増加を防ぎ、エンストの発生を回避する。
【0038】
(走行負荷トルクの算出)
エンジン1と発電・電動機30の両方に作用する走行負荷トルクTは、下記の式(2)により求められる。
【0039】
=Thst+T (2)
但し、Tは走行用ステアリングポンプやエアコンなどの補機トルクである。
【0040】
上記式(1)及び式(2)から分かるように、走行負荷トルクTは、HST走行負荷トルクThstを求め、これに補機トルクTを加算することにより求められる。HST走行負荷トルクThstを求めるには、ポンプ差圧Pを圧力センサ45a,45bにより検出するとともに、図4に示すポンプ差圧Pとポンプ容量qの関係よりポンプ容量qを求めるか、あるいはポンプ傾転角センサなどによりポンプ容量qを求め、これにより求めたポンプ差圧P及びポンプ容量qと式(1)を用いることで、HST走行負荷トルクThstを求めることができる。補機トルクTは、エンジン回転数の関数として表すことができるので、エンジン回転数と補機トルクとの関係を予め制御マップに組み込んでおけば算出できる。
【0041】
ここで、走行負荷トルクTには、実際上はタイヤ転がり抵抗、車体空気抵抗、加速に伴う慣性力、道路勾配に伴う車体自重、HST10や車軸21a,21bなどで構成されるパワートレーンのロスなどが含まれる。車体空気抵抗は車両速度により、慣性力は車両加速度によりそれぞれ決まるため、これらの要素をそれぞれ道路勾配、車両速度、車両加速度から推定し、それを基に、車体空気抵抗及び慣性力を含めた走行負荷トルクTを推定しても良い。車両加速度は加速度センサにより推定するか、アクセル操作の増加量から推定しても良い。また、油圧ポンプ11の軸など出力軸のトルクを測定し、走行負荷トルクを求めても良い。さらに、エンジン燃料噴射量からエンジン1の出力トルクを推定するとともに、発電・電動機30のトルクを加算することで動力源トルクを求め、走行負荷トルクを推定しても良い。
【0042】
(電動機トルクの目標値設定)
電動機トルクの目標値Tmrは、下記の式(3)によって定められる。
【0043】
mr<(TとTmmaxの低位選択値) (3)
【0044】
mmaxは発電・電動機30の電動機としての機器の最大容量によって決まる最大トルクである。電動機トルクの目標値Tmrは、式(3)のようにTとTmmaxの低位選択値以下であれば任意に設定できるが、電動機トルクの目標値Tmrが小さいと、減速時に運動エネルギーを回生した電力を発進・加速走行時に消費しきれないので、回生した電力を発進・加速走行中に十分に消費しきれるような値に設定することが好ましい。また、例えばバッテリ33の蓄電量が低下するに従って電動機トルクの目標値Tmrが小さくなるように設定しても良い。
【0045】
また、一般にエンジン1の燃費率(単位時間、単位出力当たりの燃料の消費量)は、図5に示すように、エンジン負荷トルクTが低下しエンジン負荷率が低下すると、特に負荷率の低い領域で急激に燃費率が高くなり、悪化する傾向がある。エンジン負荷トルクTは、走行負荷トルクTから電動機トルクTを減じた値となるため、電動機トルクTを大きくし過ぎると、エンジン燃費率が悪化してしまい、燃費の改善効果が損なわれる。従って、エンジン負荷トルクT(=T−T)がエンジン燃費率が悪化するトルクTemin以下とならないように設定することが好ましい。
【0046】
図6(a)は、発電・電動機30が動作していない状態において、ポンプ差圧が走行負荷の高い状態であるPの場合に相当するエンジン負荷トルクTe1と、走行負荷の低い状態であるPの場合に相当するエンジン負荷トルクTe2のときの、アクセル操作量が大でのトルクとエンジン回転数を示している。この場合、発電・電動機30が動作していないので、エンジン負荷トルクTは走行負荷トルクTに一致し、PとTe1、PとTe2の関係はそれぞれ上記式(1)、式(2)の関係に従う。
【0047】
これに対し、図6(b)は、走行負荷が高く、ポンプ差圧がP、走行負荷トルクがTl1の場合で、かつバッテリ33の蓄電量が設定値以上の場合に、発電・電動機30を電動機として動作させた場合を示している。電動機トルクは、上述の如く目標トルクTmr1となるように制御される。同様に、図6(c)は走行負荷が低く、ポンプ差圧がP、走行負荷トルクがTl2の場合であり、電動機トルクは、Tl2を超えない目標トルクTmr2となるように制御される。
【0048】
従って、以上のような制御によれば、図6(b)に示すように、エンジン負荷トルクTは、発電・電動機30が動作しない場合のトルクTe1から、発電・電動機30を電動機として動作させ、そのトルク目標値Tmr1で制御した場合Te1−Tmr1に低下する。このエンジン負荷トルクTの低下に伴いエンジン動力が低下するため、エンジン1の消費燃料を低下させることができ、燃費の向上を図ることができる。
【0049】
また、仮に電動機トルクTmr1が走行負荷トルクTl1を上回った場合を考えると、エンジン負荷トルクTl1−Tmr1がマイナスになる。この場合、エンジン1はガバナ42による調速制御の領域を外れ、ガバナ42は燃料噴射をカットするよう制御するため、エンジン1は自身での駆動力がなくなり、電動機として動作する発電・電動機30により外部駆動される状態となる。この場合、発電・電動機30の電動機トルクが増加するに従って、エンジン1の回転数はガバナ42による調速制御の領域を更に逸脱し、エンジン1が過回転の状態になる。これに対し、本実施形態の上述した制御によれば、発電・電動機30の電動機トルクは、走行負荷トルクを上回らないように制御されるため、エンジン1の回転数がガバナ42による調速制御の領域から逸脱することはなく、エンジン1が過回転の状態になることを防止することができる。
【0050】
さらに、本実施形態の上述した制御によれば、運転者がアクセル操作量を増加し、かつバッテリ33の蓄電量が設定値以上の場合には発電・電動機30が電動機として動作するが、エンジン1及び発電・電動機30の回転数は、カバナ42によるエンジン1の調速制御によって制御され、エンジン1及び発電・電動機30のトルクは、コントローラ40による発電・電動機30のトルク制御によって制御される。このため、従来提案のものの如くエンジン1の制御と発電・電動機30の制御とが干渉することはなく、制御を安定かつ確実に行うことができる。
【0051】
次に、上記の式(1)〜(3)による電動機トルクの目標値設定をより簡易に行うため、車両の走行負荷トルクを推定する走行負荷トルク推定手段50の別の態様について、図7を参照しながら説明する。
【0052】
すなわち、例えば図7(a)に示すようなポンプ差圧Pとエンジン回転数とから電動機トルクの目標値Tmrを設定するための制御マップを予め作成し記憶しておき、ポンプ差圧P及びエンジン回転数の測定値より直ちに電動機トルクの目標値Tmrを設定してトルク制御を行うことが好ましい。ここで、エンジン回転数が高い場合、図4を用いて既に説明したように、ポンプ差圧P以下ではポンプ容量qはqpmaxであり、ポンプ差圧P以上ではポンプ差圧Pが増加するに従って、ポンプ容量qが減少する。このポンプ容量qの減少の仕方は、一般にポンプ回転数が一定であれば、ポンプ容量qとポンプ差圧Pの積が一定になるようにポンプ容量qを減少させる方法が採られる場合が多い。その場合、上記の式(1)から分かるように、ポンプ差圧PがP以上では、ポンプ容量qとポンプ差圧Pの積が一定であればHST走行負荷トルクThstは一定となる。一方、ポンプ差圧PがP以下では、ポンプ容量qがqpmaxで一定となるため、式(1)により、HST走行負荷トルクThstは、ポンプ差圧Pの増加に応じて増加する。以上のことから、エンジン回転数が高い場合には、図7(a)に実線Hで示すように、ポンプ差圧PがP以下では電動機トルクの目標値Tmrを差圧Pに応じて増加させ、ポンプ差圧PがP以上では一定とすると、電動機トルクの目標値Tmrは、HST走行負荷トルクThstの増加に応じて増加することになり、マッチングが良くなる。エンジン回転数が低い場合には、エンジントルクが減少するため、電動機トルクの目標値Tmrもそれに応じて減少させる必要がある。このため、電動機トルクの目標値Tmrは、エンジン回転数が中の場合一点鎖線Iで、エンジン回転数が低い場合破線Jでそれぞれ示すようなものになる。尚、エンジン回転数の代わりにアクセル操作量を用いた場合でも、上述のようにエンジン回転数はアクセル操作量に応じてガバナ42により制御されているため、同様な効果が得られる。
【0053】
また、ポンプ差圧Pが低い領域では、走行負荷トルクが小さく、電動機のアシストは余り必要でないため、図7(b)に示すように、ポンプ差圧Pが低い領域では、発電・電動機30を動作させず、所定の圧力を超えてから電動機として動作させても良い。また、アクセル操作量が小さい領域は、一般に走行負荷が小さい場合が多く、このような場合にも発電・電動機30を同様に動作させず、アクセル操作量が所定値を越えてから電動機として動作させても良い。尚、図7(b)中、実線Mはエンジン回転数が高い場合を示すものであり、一点鎖線Nはエンジン回転数が中の場合を示すものである。
【0054】
尚、走行負荷トルク推定手段として上記と別の方法を用いた場合でも、同様に電動機トルクの目標値設定のための制御マップを作成し、推定した走行負荷トルクが増加するに従って電動機トルクの目標値Tmrが走行負荷トルクを越えない範囲でその目標値Tmrを設定してトルク制御をすれば同様の効果が得られる。
【0055】
次に、図2中のステップS9〜S12の制御内容及びそれによる効果について説明する。
【0056】
発電・電動機30を発電機として動作させる場合、コントローラ40は、車軸21a,21b側から入力される車両の慣性力をHST10により回生する。この回生時にはHST10の油圧モータ12は、車両の慣性力により回転駆動され、油圧ポンプとして動作し、戻り側配管13bに圧油を吐出する。油圧ポンプ11は上記油圧モータ12からの圧油を受けて油圧モータとして動作し、エンジン1及び発電・電動機30を駆動する。この時の油圧ポンプ11の回転数ωは、下記の式(4)に示すように、車速Vと油圧モータ容量q及びポンプ容量qの関数になる。
【0057】
ω=ηvp×ηvm×(V/R)×Nax×(q/q) (4)
但し、ηvpはポンプ容積効率、ηvmはモータ容積効率、Rはタイヤ半径、Naxは車軸減速比である。
【0058】
回生時にはエンジン1及び発電・電動機30は回生動力により駆動されるため、これらの回転数は、上述したアクセル操作量が増加しているときのようにガバナ42の調速制御によって回転数が決まるものではなく、油圧ポンプ11の回転数ωに対し、それぞれの減速比を乗じた回転数になる。
【0059】
また、発電・電動機30が発電機として動作する場合の回生される電力Pは、下記の式(5)のようになる。
【0060】
=η×T×ω=η×T×(N×ω) (5)
但し、Tは発電機トルク、ωは発電機回転数、ηは発電効率、Nは油圧ポンプ11と発電・電動機30との間の減速比である。
【0061】
上記の式(5)から分かるように、回生電力Pを増加させるには、発電機トルクTを増加させるか、あるいは発電機回転数ωを増加させることが良い。また、発電機回転数ωは、ポンプ回転数ωに対し油圧ポンプ11と発電・電動機30との間の減速比Nを乗じた値となるため、発電機回転数ωを増加させるにはポンプ回転数ωを増加させれば良く、そのためには、上記の式(4)から分かるように、油圧モータ12の容量qを増加させるか、あるいは油圧ポンプ11の容量qを減少させることが良い。
【0062】
以上のことから、回生電力Pを増加させるには、発電機トルクの目標値を増加させるか、油圧モータ12の容量qを増加させるか、油圧ポンプ11の容量qを減少させるように制御すれば良い。回生電力を増加させると、回生により発生する回生ブレーキ力が増加する。回生ブレーキ力の調整は、車両の減速フィーリングとの兼ね合いによって決まり、減速時の走行条件である減速条件に応じて必要な場合には、以上のような方法で回生電力を増加させ、回生ブレーキ力を増加させると良い。
【0063】
回生ブレーキ力を増加させる減速条件としては、例えば車両の走行中にアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合において、ブレーキ入力があるときはブレーキ入力がないときに比して、回生ブレーキ力を増加させるか、あるいはブレーキ操作量の増加に応じて回生ブレーキ力を増加させるか、車速が高いほど回生ブレーキ力を増加させるか、平地走行時に比して降坂時に回生ブレーキ力を増加させるか、あるいはスイッチ等によりブレーキ力増加の指令があった場合に回生ブレーキ力を増加させることとすれば良い。
【0064】
以上のことがステップS9〜S12による制御内容の意味するところである。また、このような制御によれば、回生ブレーキ力の増加が必要な場合に油圧モータ12の容量qが増加し、あるいは油圧ポンプ11の容量qが減少するとともに、発電機トルクの目標値が増加することから、発電・電動機30を発電機として動作させる場合の回生電力を効率的に増加させることができ、効率的な動力回生を行うことができるという効果を奏するばかりでなく、走行状態や運転者の操作に応じてブレーキ力を適切に調整することができ、良好な減速フィーリングが得られるという効果をも奏する。
【0065】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば上記実施形態では、エンジン1の出力軸に、動力分配装置としてのパワーデバイダ2を介して、HST10の油圧ポンプ11と並列状態に発電・電動機30を連結する場合について述べたが、本発明は、エンジン1の出力軸にHST10の油圧ポンプ11と同軸で発電・電動機30を連結する場合にも同様に適用することができ、同様な効果を奏するものである。
【0066】
また、蓄電装置としては、実施形態の如きバッテリ33に限らず、キャパシタを用いても良い。同様に、アクセル操作量入力装置及びブレーキ操作量入力装置としては、それぞれ実施形態の如きペダル式の入力装置であるアクセルペダル装置41及びブレーキペダル装置43に限らず、レバー式など他の入力装置を用いても良い。
【0067】
さらに、上記実施形態では、HST10により一軸上の左右の車軸21a,21bを駆動する場合について述べたが、本発明は、二軸以上の車軸を駆動する場合、また一軸上の2輪以上の偶数の車輪22a,22bを有する場合などにも同様に適用できるのは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン
2 パワーデバイダ(動力分配装置)
10 油圧駆動装置(HST)
11 油圧ポンプ
12 油圧モータ
13 閉回路
21a,21b 車軸
30 発電・電動機
33 バッテリ(蓄電装置)
40 コントローラ(制御手段)
41 アクセルペダル装置(アクセル操作量入力装置)
42 ガバナ
43 ブレーキペダル装置(ブレーキ操作量入力装置)
45a,45b 圧力センサ
50 走行負荷トルク推定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で連通してなる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の油圧モータの動力により駆動される車軸と、運転者が操作するアクセル操作量入力装置と、このアクセル操作量入力装置によって入力されたアクセル操作量に応じて上記エンジンの調速制御を行うカバナと、運転者が操作するブレーキ操作量入力装置とを備えた作業用車両の走行駆動装置において、
上記エンジンの出力軸に上記油圧駆動装置の油圧ポンプと同軸で連結され又は動力分配装置を介して連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、
この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、
車両の走行負荷トルクを推定する走行負荷トルク推定手段と、
車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいは上記ブレーキ操作量入力装置によりブレーキ操作を行った場合であり、かつ上記蓄電装置の蓄電量が所定値以下の場合に車両の減速エネルギーを上記油圧駆動装置を介して回生し、上記発電・電動機を発電機として動作させ回生した減速エネルギーにより発電し、この発電した電力を上記蓄電装置に蓄電するように制御を行い、車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を増加しかつ上記蓄電装置の蓄電量が所定値以上の場合にこの蓄電装置の電力により上記発電・電動機を電動機として動作させ、その際の目標トルクを上記走行負荷トルク推定手段により推定された走行負荷トルクを越えない値に設定するように制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする作業用車両の走行駆動装置。
【請求項2】
上記走行負荷トルク推定手段は、油圧駆動装置の油圧ポンプの吸入側と吐出側の差圧を圧力センサで測定し、その測定値に基づいて車両の走行負荷トルクを推定するように設けられている請求項1記載の作業用車両の走行駆動装置。
【請求項3】
上記制御手段は、車両の減速エネルギーを油圧駆動装置を介して回生するに当たり、車両の走行状態に応じて、発電・電動機を発電機として動作させる際の目標トルクを増加させ、あるいは油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加又は油圧ポンプの容量を減少させることで回生ブレーキ力を増加させるように設けられている請求項1又は2記載の作業用車両の走行駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−152009(P2011−152009A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12855(P2010−12855)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】