説明

保護者管理システム

【課題】通信に係わる構成を複雑化することなく、被保護者の迷子・離脱防止を図る。
【解決手段】保護者管理システム1は、保護者P1とともに所定の移動可能領域を移動可能な移動局タグT1と、被保護者P2,P3とともに移動可能な移動局タグT2,T3と、リーダアンテナ12を備えた固定局リーダR1〜4とを有し、移動局タグT1〜T3から送信され固定局リーダR1〜4で受信した電波信号に基づき、移動局タグTの位置検出を行い、その位置検出結果に基づき、移動局タグT1と移動局タグT2,T3との間の距離を検出し、検出された距離が、所定の警報距離以上であるか否かを判定し、判定が満たされた場合、対応する警報指示信号を生成し出力する。移動局タグT1は、警報指示信号に応じて、対応する警報表示を行うとともに移動局タグTの位置を地図上において表示する表示部DPを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護者が子供、老人、病人等の被保護者を管理するための保護者管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば迷子になった子供(被保護者)を親(保護者)が探すための位置検出システムとして、例えば特許文献1記載のものが知られている。この従来技術では、グローバルポジショニングシステム(GPS)を用いて、被保護者の位置と保護者の位置とを検出する。そして、その検出結果に基づき、捜索者である保護者から見てどの方向にどれだけ離れた場所に被保護者がいるかを算出し、表示手段に表示して保護者に知らせるようになっている。
【特許文献1】特開平10−104331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、まず、保護者側の受信局に設けた測位手段と被保護者側の受信局に設けた測位手段とが、それぞれGPS衛星からの情報を受信して自らの位置を演算する(第1の測位手段と第2測位手段)。その後、それら2つの測位手段が、自ら演算した自己の位置情報をさらにサーバ等(相対位置算出手段)へ送信し、そのサーバにおいて2つの受信局間の距離を求める必要がある。すなわち、受信局において、GPS衛星との通信とサーバ側との通信の2種類の通信に対応した構成が必要となるため、通信に係わる構成が二つのシステムを持つことになり、複雑化するという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、通信に係わる構成を複雑化することなく、被保護者の迷子・離脱防止を一つのシステムで図れる保護者管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を送受信する第1アンテナ手段を備え、保護者とともに所定の移動可能領域を移動可能な第1移動局と、前記第1移動局に予め関連づけられ、情報を記憶する記憶部と情報を送受信する第2アンテナ手段とを備え、前記保護者に保護される被保護者とともに所定の移動可能領域を移動可能な少なくとも1つの第2移動局と、前記第1移動局及び前記第2移動局に対し無線通信により情報送受信を行う第3アンテナ手段を備え、既知の位置に固定的に配置された基地局とを有し、前記保護者が前記被保護者を管理するための保護者管理システムであって、前記第1移動局及び前記第2移動局の前記第1アンテナ手段及び第2アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局及び前記第2移動局の位置検出を行う位置検出手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記第1移動局と前記第2移動局との間の距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段で検出された距離が、所定の警報距離以上であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定が満たされた場合、対応する警報指示信号を生成し出力する警報生成手段とを有し、前記第1移動局は、前記警報生成手段から出力された前記警報指示信号に応じて前記基地局の前記第3アンテナ手段から送信され、前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に含まれる、前記位置検出手段の検出結果及び地図情報に基づき、対応する警報表示を行うとともに前記第1移動局及び前記第2移動局の位置を地図上において表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0006】
本願第1発明は、保護者と被保護者からなるグループを対象とし、第1移動局は保護者とともに移動し、第2移動局は被保護者とともに移動する。第1移動局及び第2移動局の位置は位置検出手段でともに検出され、それら第1移動局と第2移動局との間の距離は、距離検出手段で検出される。ここで、被保護者が保護者から遠くに離れると、第2移動局と第1移動局との距離が大きくなるため、距離検出手段で検出される距離が大きくなる。そして、この距離が所定の警報距離以上となると、判定手段の判定が満たされ、これに対応して警報生成手段が警報指示信号を出力する。これにより、保護者側の第1移動局に設けた表示手段に、対応する警報表示が行われ、また地図上に第1移動局及び第2移動局の位置が併せて表示される。
【0007】
以上のようにして、被保護者と保護者との距離が大きくなると、自動的に第1移動局で警報表示が行われ、保護者の注意を喚起することができる。これにより、親子連れにおける迷子防止、集団からのメンバー離脱防止、等を効果的に図ることができる。また子供が迷子になったとき、集団からメンバーが離脱したときにも、警報表示によって保護者が直ちにそのことを認識できるので、被保護者を直ちに捜索する等、迅速な対応をとることができる。また、保護者は、被保護者の位置を地図上で明確に確認することができる。さらに、保護者が、自分の位置から被保護者の位置までの距離やアクセス経路等を地図上で推測することも可能である。
【0008】
またこのとき、GPS方式に比べ、通信に係わる構成を簡素化できる効果もある。すなわち、GPS方式を適用した場合を考えると、保護者側の受信局や被保護者側の受信局が、GPS衛星からの情報を受信することでそれぞれ自らの位置を演算することとなる。したがって、上記と同様の表示を行おうとする場合には、上記2つの受信局それぞれが、自ら演算した自己の位置情報をさらにサーバ等へ送信し、そのサーバにおいて2つの受信局間の距離を求める必要がある。すなわち、受信局において、GPS衛星との通信とサーバ側との通信の2種類の通信に対応した構成が必要となる。これに対し、本願第1発明においては、第1及び第2移動局は、基地局側との通信にのみ対応する構成で足りる。したがって、通信に係わる構成を簡素化できる。
【0009】
第2発明は、上記第1発明において、前記第2移動局の前記第1移動局への装着時に、当該第2移動局及び第1移動局の組関係を登録する登録手段を有することを特徴とする。
【0010】
これにより、使用されない装着時において、第1移動局と第2移動局との関連づけを確実に行うことができる。
【0011】
第3発明は、上記第2発明において、入力信号に応じて前記警報距離を可変に設定する警報距離設定手段を有し、前記判定手段は、前記距離検出手段で検出された距離が、前記警報距離設定手段で設定された前記警報距離以上であるか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
これにより、行動場所(被保護者の位置)、混雑度合い、被保護者の属性、その他各種の用途等に応じ、警報発生を行うための距離の設定を変化可能となる。この結果、多種多様な利用態様や状況に応じて適切な設定を行うことができ、さらに利便性が向上する。
【0013】
第4発明は、上記第3発明において、前記警報距離設定手段は、前記入力信号としての、前記位置検出手段で検出された前記第2移動局の位置情報に応じて、前記警報距離を可変に設定することを特徴とする。
【0014】
これにより、被保護者の存在する位置の環境(比較的目を離しても安全な場所か、目を離すと危険な場所か、迷子になりやすい場所か、等)に応じ、自動的に適切な警報距離に切り替え可能となる。この結果、さらに利便性が向上する。
【0015】
第5発明は、上記第4発明において、前記警報距離設定手段は、前記第2移動局の位置が予め定められた所定の領域内にある場合には、前記警報距離を短く設定し、前記第2移動局の位置が予め定められた所定の領域外にある場合には、前記警報距離を長く設定することを特徴とする。
【0016】
保護者が目を離すと危険な場所や、被保護者が迷子になりやすい場所等を所定の領域に設定することで、そのような領域に被保護者が存在しているときには、自動的に警報距離を短めに設定する。この結果、第1移動局において通常よりも早めに警報表示がなされることとなるので、被保護者に対し保護者の目が届きやすくなり、安全性が向上する。
【0017】
第6発明は、上記第3発明において、前記第2移動局の前記第2アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第2移動局の記憶部に記憶された、当該第2移動局に対応する前記被保護者の属性情報を取得する属性情報取得手段を有し、前記警報距離設定手段は、前記入力信号としての、前記属性情報取得手段で取得された前記被保護者の属性情報に応じて、前記警報距離を可変に設定することを特徴とする。
【0018】
これにより、被保護者の属性(比較的目を離しても安全な年齢か、目を離すと危ない年齢か、足の弱い老人か、等)に応じ、自動的に適切な警報距離に切り替え可能となる。この結果、さらに利便性が向上する。
【0019】
第7発明は、上記第3発明において、前記第1移動局は、前記保護者が所定の設定入力を可能な操作手段を備えており、前記第1移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局の操作手段に対する前記保護者の操作に対応した操作情報を取得する操作情報取得手段を設け、前記警報距離設定手段は、前記入力信号としての、前記操作情報取得手段で取得された前記操作情報に応じて、前記警報距離を可変に設定することを特徴とする。
【0020】
これにより、第1移動局の操作手段を介した保護者の操作に基づき、警報距離が設定される。したがって、保護者及び被保護者の存在する位置の環境(比較的目を離しても安全な場所か、目を離すと危険な場所か、迷子になりやすい場所か、等)、あるいは、被保護者の属性(比較的目を離しても安全な年齢か、目を離すと危ない年齢か、足の弱い老人か、等)等を見極めて保護者が対応する操作を行うことで、保護者の意思を確実に反映した適切な警報距離を設定することができる。この結果、さらに利便性が向上する。
【0021】
第8発明は、上記第7発明において、前記操作情報取得手段は、前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力した距離値情報を取得し、前記警報距離設定手段は、前記警報距離を、前記操作情報取得手段で取得した前記距離値情報に対応して設定することを特徴とする。
【0022】
これにより、警報距離を、保護者が入力した値そのものにダイレクトに設定することができる。したがって、保護者の考える警報距離の値を直接確実に反映させることができる。
【0023】
第9発明は、上記第7発明において、前記操作情報の内容と、これに対応して設定すべき警報距離の値との相関を記憶する相関記憶手段を有し、前記警報距離設定手段は、前記操作情報取得手段で取得された前記操作情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定することを特徴とする。
【0024】
これにより、保護者が所定の操作情報を入力すると、その操作情報に対応した警報距離が相関に基づき取得され、適切な警報距離が自動的に設定される。
【0025】
第10発明は、上記第9発明において、前記操作情報取得手段は、前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力した被保護者の属性情報を取得し、前記警報距離設定手段は、前記操作情報取得手段で取得された前記属性情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定することを特徴とする。
【0026】
これにより、保護者が、例えば「老人」「幼稚園児」「小学生」等の年齢、「男性」「女性」の性別、「病人」「健康体」の健康状況といった被保護者の属性情報を入力すると、その属性情報に対応した警報距離が相関に基づき取得され、適切な警報距離が自動的に設定される。保護者は、被保護者がどのような属性であるかを入力するだけで警報距離が最適化され、警報距離の値をいちいち手動設定する必要がない。したがって、保護者の操作負担を低減することができ、利便性を向上することができる。
【0027】
第11発明は、上記第9発明において、前記操作情報取得手段は、前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力したモード選択情報を取得し、前記警報距離設定手段は、前記操作情報取得手段で取得された前記モード選択情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定することを特徴とする。
【0028】
これにより、保護者が、例えば「ロングモード」「ショートモード」、あるいは「通常モード」「用心モード」「のびのびモード」といったモードを選択入力すると、そのモード選択情報に対応した警報距離が相関に基づき取得され、適切な警報距離が自動的に設定される。保護者は、モードを選択入力するだけで警報距離が最適化され、警報距離の値をいちいち手動設定する必要がない。したがって、保護者の操作負担を低減することができ、利便性を向上することができる。
【0029】
第12発明は、上記第3乃至第11発明のいずれかにおいて、前記位置検出手段の検出結果と、前記地図情報とに応じて、複数の前記第2移動局へのアクセス順序に係わる所定の規則性に基づき、前記第1移動局から複数の前記第2移動局のそれぞれへ順次アクセスするための経路情報を生成して出力する経路情報生成手段を有し、前記第1移動局の前記表示手段は、前記経路情報生成手段から出力された前記経路情報に応じて前記基地局の前記第3アンテナ手段から送信され、前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局から出発し前記所定の規則性に沿って各第2移動局へ順番に到着するような経路表示を行うことを特徴とする。
【0030】
これにより、第1移動局の表示手段において警報表示がなされた場合に、保護者は、表示手段に表示された経路に従い、複数の被保護者それぞれに対し迷うことなく迅速かつ円滑に被保護者を捜索し、アクセスすることができる。
【0031】
第13発明は、上記第12発明において、前記経路情報生成手段は、前記第1移動局から複数の前記第2移動局のすべてへアクセスする全行程の道のりが最小となるように、前記経路情報を生成して出力することを特徴とする。
【0032】
これにより、保護者が複数の被保護者の捜索を行う場合に、表示手段に表示された経路に従い、最小限の道のりで各保護者にアクセスすることができる。
【0033】
第14発明は、上記第12発明において、前記経路情報生成手段は、複数の前記第2移動局のうち、それぞれに付された優先順位が高い第2移動局ほど早い順番で前記第1移動局からアクセスするように、経路情報を生成して出力することを特徴とする。
【0034】
これにより、例えば、一人の被保護者が老人や幼稚園児であった場合に、小学生や中学生よりも先の順番で到達できるように、あるいは、女性の被保護者は男性の被保護者よりも先に保護者が到達できるように、あるいは、病人の被保護者は健康体の被保護者よりも先に到達できるような表示を行う。この結果、先に捜索して保護すべき被保護者に対しなるべく早くアクセスすることができるので、さらに利便性を向上できる。
【0035】
第15発明は、上記第2乃至第14発明のいずれかにおいて、前記第1移動局は、装着された状態の前記第2移動局に対し充電する充電手段を備えることを特徴とする。
【0036】
これにより、不使用時には、第2移動局を第1移動局に装着することで自動的に第2移動局への充電が行われる(第1移動局が、第2移動局の充電器としての機能を兼ねる)。この結果、第2移動局を別途充電器に設置する等の必要がなくなり、利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、通信に係わる構成を複雑化することなく、被保護者の迷子・離脱防止を一つのシステムで図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0039】
(A)移動局の測位に関わる基本構成
図1は、本発明の保護者管理システムの一実施形態の全体構成を概略的に示す説明図である。
【0040】
図1において、この例では、本実施形態の保護者管理システム1を、建造物のフロア(この例ではショッピングセンター、デパート、スーパー等の販売店の1フロア;所定の移動可能領域)全体に適用した場合を示している。フロアには、エスカレータESと、適宜に配列された商品陳列用の陳列棚ST1〜ST17とが設けられている。また、このフロアとは別に、管理担当の操作者(図示せず、以下管理者という)用の管理室ZSが設けられている(フロア内に管理室を設けてもよい)。
【0041】
本実施形態の保護者管理システム1は、保護者(この例では親)P1の使用するカートCAに設けた移動局タグT1(第1移動局)と、被保護者P2が所持する名札(バッチ)形状の移動局タグT2(第2移動局)と、フロアの適宜の箇所にそれぞれ設置された複数(図示の例では4つ)の固定局リーダ(基地局)R1,R2,R3,R4と、管理室ZS内に設置されて上記各固定局リーダR1〜R4と通信ネットワークNWを介して接続されている管理サーバSとを有している。なお、以下適宜、移動局タグT1,T2等(後述するように他の被保護者P3に係わる移動局タグT3がある場合はこれを含む)を総称して単に「移動局タグT」、固定局リーダR1〜R4を総称して単に「固定局リーダR」、保護者P1及び被保護者P2(後述するように他の被保護者P3がある場合はこれを含む)を総称して「保護者・被保護者P」のように称する。なお、図1では、一例として保護者P1、被保護者P2を1人ずつ示してある。
【0042】
各固定局リーダRは、フロアの例えば壁面に設置され、協働してフロア内の全域を通信範囲としている。そして、保護者・被保護者Pとともに移動する移動局タグTに対し無線通信を介した情報送受信を行い、その結果によってフロア内の保護者・被保護者Pの位置を管理サーバSにて検出できるようになっている。
【0043】
また、各固定局リーダRは、移動局タグT(特に被保護者P2等に係る移動局タグT2)に予め記憶された、対応する被保護者・被保護者Pの属性情報(性別情報や年齢情報等。後述)を取得することができる。
【0044】
管理サーバSは、当該フロアの地図情報を記憶している。すなわち、上記フロアには例えば平面座標系が設定され、予めフロアが占有する座標領域、各固定局リーダR1,R2,R3,R4の設置位置、エスカレータESの配置位置及び占有領域、陳列棚ST1,ST2,ST3,ST4,ST5,ST6,ST7,ST8,ST9,ST10,ST11,ST12,ST13,ST14,ST15,ST16,ST17の配置位置及び占有領域が、図1に示すような地図情報として管理サーバSに記憶されている。
【0045】
また、管理サーバSは、各固定局リーダRにそれぞれ検出させた移動局タグTまでの距離に基づく、移動局タグTのフロア内存在位置(つまり保護者P1及び被保護者P2の存在位置)の検出を行う。また、管理サーバSは、上記保護者P1及び被保護者P2の存在位置の検出結果と上記地図情報とに応じて、保護者Pに係わる移動局タグT1から被保護者P2に係わる移動局タグT2までの距離を算出し、その算出距離に基づき、移動局タグT1において保護者P1に対する警報表示を行わせる(詳しくは後述する)。
【0046】
図2は、本実施形態の保護者管理システム1の機能的構成を表す機能ブロック図である。なお、図示の煩雑を回避するために固定局リーダは1つのみ示す。
【0047】
図2において、保護者管理システム1は、前述したように、保護者P1に係わる移動局タグT1と、被保護者P2に係わる移動局タグT2,T3(移動局タグT3については後述の変形例参照。以下同様)と、それら移動局タグT1,T2,T3と無線通信を行う上記固定局リーダR1〜R4と、これら固定局リーダR1〜R4に適宜の通信ネットワークNWでそれぞれ接続された上記管理サーバSとを有している。
【0048】
例えば管理室の管理者(操作者)が管理サーバSを操作することにより、通信ネットワークNWを介し管理サーバSから各固定局リーダRへと制御信号が出力され、各固定局リーダRでの検出結果を含む信号が管理サーバSへと出力される。
【0049】
固定局リーダRは、リーダ本体部11と、リーダアンテナ(第3アンテナ手段)12とを有している。
【0050】
リーダ本体部11は、無線部16と、RSSI部17と、ネットワーク通信制御部18と、時計部19Aと、到来時間検出部19と、制御部20とを有する。
【0051】
無線部16は、電波信号を送受信するための変調、復調、増幅などの無線機能を実行する。RSSI部17は、受信信号の信号強度を検出する。
【0052】
ネットワーク通信制御部18は、上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSとの制御信号及び情報信号の授受の制御を行う。時計部19Aは、現在時刻(時刻情報)を出力する機能を備えている。なお、本実施形態では、通信ネットワークNWにケーブル等を使用した有線ネットワークを想定しているが、これに限らず、無線ネットワークを用いてもよい。
【0053】
制御部20は、上記無線部16、RSSI部17、ネットワーク通信制御部18、到来時間検出部19、及び時計部19Aを含む固定局リーダR全体の動作を制御する。すなわち、制御部20は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。具体的には、制御部20は、管理サーバSからの位置検出処理の実行命令の入力を受け付け、リーダアンテナ12を介した無線通信により移動局タグT1〜T3の検出処理を行い、その検出結果を上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSへ出力する。また、制御部20は、移動局タグT1と移動局タグT2,T3との距離に応じて管理サーバSが指示する、保護者P1への警報情報、フロアの地図情報、移動局タグTの位置情報等を、リーダアンテナ12を介した無線通信により保護者P1に係わる移動局タグT1へ送信し、対応する表示を行わせる。さらに制御部20は、移動局タグTに記憶された保護者・被保護者Pに関わる属性情報の取得処理の実行命令の入力を管理サーバSから受け付け、リーダアンテナ12を介した無線通信により移動局タグT1〜T3から情報取得処理を行い、その取得した情報(属性情報)を上記通信ネットワークNWを介して管理サーバSへ出力する機能も備えている(後述の変形例等を参照)。
【0054】
リーダアンテナ12は、制御部20から高周波電力が供給されると、対応する電波信号を生成して送信する。逆に、リーダアンテナ12が、電波信号を受信すると、その受信された電波信号が制御部20へと出力される。
【0055】
管理サーバSは、CPU(中央演算装置)21と、メモリ22と、操作部23と、表示部24と、大容量記憶装置25と、ネットワーク通信制御部26とを備えている。
【0056】
メモリ22は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部23には、管理者からの指示や情報が入力される。表示部24では、各種情報やメッセージを表示される。大容量記憶装置25は、ハードディスク装置からなり、前述したフロアの地図情報、保護者・被保護者Pの属性情報(移動局タグTに予め記憶されていない場合)等の各種情報を記憶するデータベースとして機能する。ネットワーク通信制御部26は、上記通信ネットワークNWを介し各固定局リーダR1〜R4との制御信号及び情報信号の授受の制御を行う。
【0057】
移動局タグT1〜T3のうち、保護者に係わる移動局タグT1は、IC回路部31(記憶部)と、タグアンテナ(第1アンテナ手段)32と、表示部DP(表示手段)と、操作部36(操作手段)と、コネクタ部37とを有している。
【0058】
IC回路部31は、電波信号を送受信するための変調、復調、増幅などの無線機能を実現する無線部33と、この無線部33を含む移動局タグT全体の動作を制御する制御部34と、蓄電及び給電機能を備えた電源部39とを有する(時計部35については後述)。
【0059】
操作部36は、移動局タグT1の使用者(すなわち被保護者P1)が各種の設定や選択等、所定の操作入力(詳細は後述)を行うためのものである。コネクタ部37は、移動局タグT2,T3が移動局タグT1に着脱可能に装着されたとき(後述の図5参照)に、電源部39に蓄電した電力を移動局タグT2,T3に対し給電するためのものである。なお、コネクタ部37と電源部39とが、各請求項記載の充電手段を構成する。
【0060】
表示部DPは、前述した保護者P1への警報情報、フロアの地図情報、移動局タグT1,T2,T3の位置情報等を、表示して報知するためのものである(後述の図11等を参照)。
【0061】
なお、前述したように、この移動局タグT1は、カートCAに設けられる(後述の図4参照)。
【0062】
一方、被保護者に係わる移動局タグT2,T3は、上記移動局タグT1と同様の機能及び構成である、IC回路部31(記憶部)及びタグアンテナ(第2アンテナ手段)32と、コネクタ部40とを有している。
【0063】
コネクタ部40は、移動局タグT2,T3が上記移動局タグT1に装着されたとき(後述の図5参照)に、上記コネクタ部37に導通して電力の給電を受ける。この供給された電力は、制御部34を介し電源部39へ供給されて、蓄電される。
【0064】
なお、例えば図3に示すように、移動局タグT2,T3は、カードの形でポケットに入れたり、あるいはペンダント形状で首からぶら下げたり等の適宜の手法で、個別の被保護者P2,P3により所持されている。
【0065】
また、この例で用いる移動局タグT1,T2,T3は、上述したように内部の電源部39からの電力により駆動するアクティブタグである。この結果、移動局タグT1,T2,T3は、比較的弱い電波信号でも受信可能となっている。
【0066】
なお、上記移動局タグT1,T2,T3は、その識別情報(タグID)同士が、互いに予め関連づけられており(タグIDの上何桁が共通、タグIDが連番である等)、それらが保護者P1及び被保護者P2からなるグループにより用いられるのに便利なようになっている。
【0067】
図4は、上記保護者Pが用いる上記カートCAの外観構造を表す斜視図である。図4において、カートCAは、例えば金属や樹脂により略フレーム状に構成された下部枠体42及び上部枠体41と、カートCAを自在に走行可能とするために下部枠体42の下部に4つ配置された車輪43と、買い物かごを設置するために上部枠体41の前方側に設けられたかご支持部44と、上部枠体41の頂部に設けられ、操作者である保護者P1が手で把持するための把持部46と、把持部46の前方側において略水平に上記上部枠体41に設けられたタグ支持部45とを有している。移動局タグT1は、前述の表示部DPが上面となるように、上記タグ支持部45の上部に略水平に配設されている。
【0068】
図5は、上記移動局タグT1の詳細構造を表す上面図である。図5に示すように、移動局タグT1は、筐体38の上面部に(この例では略長方形状のLED等からなる)上記表示部DPが設けられ、その右下部に上記操作部36が設けられている。また、筐体38の前方側(図5中上側)には、上記移動局タグT2,T3をそれぞれ着脱可能に装着するための2個の凹部CV,CVが設けられている。
【0069】
凹部CVに移動局タグT2(又は移動局タグT3)を挿入して装着すると、移動局タグT1の凹部CV内に設けられた上記コネクタ部37が、移動局タグT2(又は移動局タグT3)の上記コネクタ部40と連結して導通する。これにより、移動局タグT1の電源部39に予め蓄電されていた電力が、コネクタ部37、コネクタ部40を介して移動局タグT2(又は移動局タグT3)の電源部39へ供給され、蓄電される。このように移動局タグT1が充電器の機能を兼ねることにより、移動局タグT2等を充電するための充電器を別途設置する必要がなく、利便性を向上できる。
【0070】
なお、上記のようにして移動局タグT2(又は移動局タグT3)が移動局タグT1の凹部CVに装着されたとき、上記充電のみならず、移動局タグT1と移動局タグT2(及び移動局タグT3)とを1つのグループとして認識して登録するようにしてもよい。具体的には、例えば、移動局タグT2(又は移動局タグT3)のIC回路部31内に記憶した識別情報(タグID)が上記コネクタ部37,40の導通によって移動局タグT1の制御部34で取得される。そして、当該移動局タグT1の識別情報(タグID)とともに1つのグループ情報として移動局タグT1のIC回路部31内に認識され記憶される。同様のグループ情報を移動局タグT2(又は移動局タグT3)のIC回路部31にも記憶してもよい。あるいは上記のようなグループ化しての認識・記憶に代え、充電時において相手方(例えば移動局タグT1から見て移動局タグT2、移動局タグT2から見て移動局タグT1)の識別情報のみを各IC回路部31に記憶するようにしてもよい。いずれの場合も、各移動局タグT1,T2等で実行する上記IC回路部31への記憶処理が、各請求項記載の登録手段を構成する。
【0071】
(B)移動局の位置検出の手法原理
図6は、本実施形態の保護者管理システム1において移動局タグTの位置を検出する方法の原理を説明する図である。なお、図6中においては、図示の煩雑を避けるために3つの固定局リーダR1〜R3によって一つの移動局タグTの位置を検出する例を示している。
【0072】
図6において、保護者・被保護者Pが所持する移動局タグTは上述したように平面座標系が設定されているフロア内を自由な座標位置に移動できるのに対し、3つの固定局リーダR1〜R3は同じフロア内でそれぞれ既知の設置位置に固定的に配置されている。そして各固定局リーダR1〜R3は通信ネットワークNWを介して一つの管理サーバSに情報を送受可能に接続されている。
【0073】
この構成において、各固定局リーダR1〜R3での移動局タグTからの電波信号の受信時刻差に基づき、管理サーバSは、各固定局リーダR1〜R3から移動局タグTまでの距離をそれぞれ測定検出する。つまり、各固定局リーダR1〜R3の少なくとも1つが移動局タグTに対し所定の送信要求信号を送信し、それに対応して移動局タグTが電波信号(距離検出用の電波信号)を各固定局リーダR1〜R3に向けて送信する。このとき、移動局タグTが距離検出用の電波信号が送信してから固定局リーダRにおいて受信されるまでの時間(到来時間)は、固定局リーダRと移動局タグTとの空間的な距離に比例する。各固定局リーダRから移動局タグTまでの距離が異なる場合には、上記到来時間は、各固定局リーダRごとに異なる値となって時間差が生じる。管理サーバSは、その時間差に基づいて各固定局リーダRと移動局タグTとの間の距離を算出することができる。
【0074】
そして以上のようにして、各固定局リーダR1〜R3と移動局タグTとの間のそれぞれの距離が算出された後、管理サーバSはこれら距離と対応する各固定局リーダR1〜R3の既知の設置位置座標に基づいて、移動局タグTの位置を算出する。
【0075】
具体的には、例えば座標(x1,y1)に位置する第1固定局リーダR1と座標(x,y)に位置する移動局タグTとの距離をr1、座標(x2,y2)に位置する第2固定局リーダR2と移動局タグTとの距離をr2、座標(x3,y3)に位置する第3固定局リーダR3と移動局タグTとの距離をr3とする。また、固定局リーダR1〜R3の時計部19Aがそれぞれ有する時刻のずれに基づく誤差sとする。そして、第1固定局リーダR1、第2固定局リーダR2、第3固定局リーダR3それぞれにおいて、移動局タグTから時刻T0で送信された距離検出用の電波信号を受信した受信時刻をT1,T2,T3とする。
【0076】
以上のような条件においては、図6において、
r1+s=√{(x−x1)+(y−y1)} ・・(1A)
r2+s=√{(x−x2)+(y−y2)} ・・(1B)
r3+s=√{(x−x3)+(y−y3)} ・・(1C)
が成り立つ。
【0077】
すると、式(1A)から式(1B)を減じることで、
|r1-r2|=c×|T1-T2| …(1D)
また、式(1A)から式(1C)を減じることで、
|r1-r3|=c×|T1-T3| …(1E)
で表される関係が成り立つ。なお、cは電波速度(=光速:約3.0×108[m/s])である。
【0078】
このとき、(受信時刻T1,T2,T3は測定値として既知であり)変数はr1,r2,r3の3つのみであるから、上記(1D)(1E)の2つの式を例えばニュートンラプソン法などにより解くことにより、移動局タグTの位置のx,y座標(x,y)を特定することができる。なお、本実施形態のように4つの固定局リーダR1〜R4を設けることで、さらに精度のよい位置検出を行うことができる。また詳細な説明を省略するが移動局タグT1が送信する電波を各固定局リーダRが受信して該受信電波の強度により位置検出する方法によってもよい。
【0079】
なお、上記の例では、各固定局リーダR1〜R3は電波信号の受信時刻を検出し管理サーバSに送信するのみであり、測位処理(固定局リーダR1〜R3から移動局タグTまでの距離の算出)は管理サーバSが行うが、これに限られない。すなわち、各固定局リーダR1〜R3の制御部20同士でお互いの受信時刻情報の送受信を行い、各固定局リーダR1〜R3が移動局タグTまでの距離の算出まで行って(=位置検出手段としての機能)、その算出結果(距離データ)を管理サーバSへ送信するようにしてもよい。あるいは移動局タグT1から移動局タグT2までの距離の検出まで各固定局リーダR1〜R3が行ったり(=後述する距離検出手段としての機能)、さらにその距離が所定のアラーム境界距離に達したかどうかの判定まで各固定局リーダR1〜R3で行う(=後述する判定手段としての機能)ようにすることも考えられる。いずれにしても、管理サーバSでは、それら各固定局リーダR1〜R3からの検出結果や判定結果等を集計してその後の処理を行う。
【0080】
(C)保護者の目が届かなくなるときの危険性
例えば図7において、保護者P1は陳列棚ST1と陳列棚ST2との間に位置しており、被保護者P2も陳列棚ST1及び陳列棚ST2の近傍に位置しており、保護者P1と被保護者P2との距離は比較的近い。このため、保護者P1が被保護者P2側(図7中右側)を向いていれば、被保護者P2を容易に視認できるため、目を離したすきに被保護者P2が保護者P1からはぐれてしまう可能性は低い(比較的安全である)。
【0081】
これに対し、図8のように被保護者P2が陳列棚ST4近くに位置しているような場合は、保護者P1から被保護者P2までの距離が比較的遠くなる。この場合、保護者P1が被保護者P2側(図8中右側)を向いたとしても、距離が遠かったり、陳列棚ST4等が視界を遮ったり等により、保護者P1が被保護者P2を容易には視認できなくなる。このため、目を離したすきに被保護者P2が保護者P1からはぐれてしまい、図9に示すように、保護者P1がいずれの方向を向いても被保護者P2が見つからなくなる(見失う)おそれがある。
【0082】
(D)警報の発報
本実施形態は、上記のように距離の増大により保護者P1の目が届きにくくなることに鑑み、保護者P1と被保護者P2との距離が、しきい値であるアラーム境界距離(警報距離)に達した場合には、対応する警報(アラーム)を移動局タグT1の表示部DPで発報表示するとともに、当該被保護者P2の位置(移動局タグT2の位置)を地図表示するものである。
【0083】
図10は、上記アラーム境界距離の一例を表した図である。図10において、保護者P1から上記アラーム境界距離を半径とする円(アラーム境界線)を点線により示している。被保護者P2がこのアラーム境界線の円内(円上を含まない)に位置している場合は、保護者P1と被保護者P2との距離が上記アラーム境界距離未満であるため、移動局タグT1の表示部DPにおける警報発報は行わない(図7中(ア)の場合)。これに対し、被保護者P2がアラーム境界線の円上又は円外に位置している場合は、保護者P1と被保護者P2との距離が上記アラーム境界距離以上であるため、移動局タグT1の表示部DPにおいて警報発報を行う(図7中(イ)の場合)。本発明の実施例では、保護者P1のアラーム境界距離と被保護者P2の位置を判断している。
【0084】
図11は、上記警報発報時(移動局タグT2が図10中(イ)の場合)における、移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図である。図11に示すように、表示部DPの大部分(この例では全領域のうち約下4分の3部分)にわたって、図7等に示すフロアの地図が表示されている。そして、その地図上に、保護者P1の位置に対応した移動局タグT1の位置(図中「現在位置」で表示)と、被保護者P2の位置に対応した移動局タグT2の位置(図中「お子様位置」で表示)とを示している。そして、表示部DPの残りの上部(この例では全領域のうち約上4分の1部分)に、警報メッセージAL(「お子様が遠くに離れました!」)を表示している。
【0085】
(E)制御シーケンス
図12は、管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1(図中「保護者局」で示す)、移動局タグT2(図中「被保護者局」で示す)の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。図12において、基本的に図中上側から下側に向かっての時系列変化で各手順を表している。上述したように、管理サーバSと固定局リーダR1〜R4との間は通信ネットワークNWを介した信号の送受である。また、固定局リーダR1〜R4と移動局タグT1,T2との間は、無線通信を介した信号の送受となっている。
【0086】
まず最初に、ステップSS10において、管理サーバSのCPU21がネットワーク通信制御部26を介し、各固定局リーダR1〜R4(あるいは特定の1つの固定局リーダRでもよい)に対し、移動局タグT1,T2への距離検出用の電波送信要求を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR10で、各固定局リーダR1〜R4(又は特定の1つの固定局リーダR)の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグT1,T2に向けて電波送信要求信号を送信する。
【0087】
そして、この送信要求信号を受信した移動局タグT1の無線部33が、ステップSP10においてタグアンテナ32を介し対応する距離検出用の電波信号を送信し、同様に移動局タグT2の無線部33が、ステップSC10においてタグアンテナ32を介し対応する距離検出用の電波信号を送信する。各固定局リーダR1〜R4の無線部16は、ステップSR20で、リーダアンテナ12を介しそれぞれの距離検出用の電波信号を受信する。そして、到来時間検出部19がそのときの受信時刻情報を検出し、制御部20がその受信時刻情報をネットワーク通信制御部18を介して管理サーバSに出力する。
【0088】
そして管理サーバSのCPU21が、ステップSS20において、各固定局リーダR1〜R4から入力した受信時刻の差(=到来時間の差)に基づき、移動局タグT1,T2との間の距離を算出する。その後、次のステップSS30で、管理サーバSのCPU21は、上記ステップSS20で算出した距離に基づき、移動局タグT1,T2の位置座標を、図6を用いて上述した手法により算出する(=位置検出手段)。
【0089】
なお、上記ステップSP10及びステップSC10では、固定局リーダR1〜R4(又は特定の固定局リーダR)からの送信要求に応じて距離検出用の電波信号を移動局タグTから送信するようにしたが、これに限られない。すなわち、移動局タグTが一定時間間隔で自発的に電波信号を発信し続け、各固定局リーダRがその発信し続ける電波信号を受信し、これに基づき管理サーバSで距離検出を行うようにしてもよい。
【0090】
次にステップSS40で、管理サーバSのCPU21は、上記ステップSS30で算出した移動局タグT1,T2それぞれの位置座標と、予め大容量記憶装置25に記憶している当該フロアの地図情報に基づき、移動局タグT1から移動局タグT2までの距離(言い換えれば保護者P1から被保護者P2までの距離)を算出する(距離検出手段)。
【0091】
その後、ステップSS50において、上記ステップSS40での検出結果に基づき、移動局タグT1と移動局タグT2との間の距離が、予め定められた上記アラーム境界距離に達したかどうかを判定する(判定手段)。移動局タグT1と移動局タグT2との間の距離がアラーム境界距離未満であればステップSS50の判定が満たされず、(保護者P1が被保護者P2を見失う危険があるほどは離れていないとみなして)このフローを終了する。移動局タグT1と移動局タグT2との間の距離がアラーム境界距離以上であればステップSS50の判定が満たされ、ステップSS210へ移る。
【0092】
ステップSS210では、管理サーバSのCPU21が、ネットワーク通信制御部26を介し、固定局リーダR1〜R4に対し、上記地図情報と、上記ステップSS30で検出した移動局タグT1及び移動局タグT2の位置情報と、所定のアラーム指示とを送信するように、指示信号を出力する(警報生成手段)。固定局リーダR1〜R4ではステップSR40で上記指示信号の入力の有無を検査しており、指示信号が検出された場合には、ステップSR50で、対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16がリーダアンテナ12を介し保護者P1に係る移動局タグT1に向けて、上記地図情報、移動局タグT1,T2の位置情報、及びアラーム指示を送信する。
【0093】
保護者P1に係る移動局タグT1では、ステップSP20で上記送信信号の有無を検査しており、タグアンテナ32を介し無線部33での上記地図情報・位置情報・アラーム指示の受信が検出された場合には、ステップSP30で、移動局タグT1の制御部34が上記受信した地図情報、移動局タグT1,T2の位置情報、及びアラーム指示に対応した表示信号を生成して表示部DPに出力し、地図上への移動局タグT1,T2の位置表示と、上記警報メッセージALの表示とを行わせ、このフローを終了する。このフローを適宜繰り返すことにより移動局タグT1の位置を監視し、アラーム境界距離以上に離れた場合に速やかに位置情報・アラームが表示されるように構成されている。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の保護者管理システム1においては、移動局タグTから距離検出用の電波信号が送信されると、その電波信号が固定局リーダR1〜R4の無線部16にて受信され、このときの電波信号の受信時刻が到来時間検出部19で検出される。これにより、管理サーバSが、固定局リーダR1〜R4の受信時刻差情報に基づき移動局タグT1,T2の位置検出を行う(ステップSS20)。その後、管理サーバSが保護者P1に係わる移動局タグT1から被保護者P2に係わる移動局タグT2までの距離を算出し(ステップSS40)、その距離が所定のアラーム境界距離に達したかどうかを判定する(ステップSS50)。そして、アラーム境界距離に達したら、保護者P1に係る移動局タグT1の表示部DPに、対応する警報メッセージALの表示と、移動局タグT1,T2との位置表示が行われる。
【0095】
以上のようにして、保護者P1のアラーム境界距離よりも被保護者P2の位置が遠くなると、自動的に移動局タグT1で警報メッセージALの表示が行われ、保護者P1の注意を喚起することができる。これにより、例えば親子連れ(親が保護者P1で子供が被保護者P2)における迷子防止、あるいはその他の集団(引率の先生が保護者P1で生徒が被保護者P2等)からのメンバー離脱防止、等を効果的に図ることができる。また子供が迷子になったとき、集団からメンバーが離脱したときにも、警報メッセージALの表示によって保護者P1が直ちにそのことを認識できるので、被保護者P2を直ちに捜索する等、迅速な対応をとることができる。このとき、保護者P1は、被保護者P2の位置を表示部DPにおいて地図上で明確に確認することができる。さらに、保護者P1が、自分の位置から被保護者P2の位置までの距離やアクセス経路等を地図上で推測することも可能である。
【0096】
またこのとき、GPS方式に比べ、通信に係わる構成を簡素化できる効果もある。すなわち、仮にGPS方式で保護者P1と被保護者P2の位置検出を行った場合、保護者P1側の受信局や被保護者P2側の受信局が、GPS衛星からの情報を受信することでそれぞれ自らの位置を演算することとなる。したがって、上記と同様の警報表示を行おうとする場合には、上記2つの受信局それぞれが、自ら演算した自己の位置情報をさらにサーバ等へ送信し、そのサーバにおいて2つの受信局間の距離を求める必要がある。すなわち、受信局において、GPS衛星との通信とサーバ側との通信の2種類の通信に対応した構成が必要となる。これに対し、本実施形態においては、上述したように、移動局タグT1及び移動局タグT2は、ともに、固定局リーダR側との通信にのみ対応する構成で足りる。したがって、通信に係わる構成を簡素化することができる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0098】
(a−1)アラーム境界距離の設定を保護者が手動で行う場合
上記実施形態においては、アラーム境界距離が予め固定的に設定されていたが、本変形例においては、このアラーム境界距離を操作者である保護者P1が手動で設定するものである。
【0099】
図13は、この変形例における管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図であり、上記実施形態の図12に対応する図である。図12と同等の部分には同一の符号を付している。
【0100】
図13では、ステップSS40とステップSS50との間に、新たにアラーム境界距離の設定に係わる、ステップSS42、ステップSR22、ステップSP100、ステップSP22、ステップSR27が設けられている点が図12と異なる。
【0101】
すなわち、ステップSS40が終了すると、ステップSS42において、管理サーバSのCPU21がネットワーク通信制御部26を介し、各固定局リーダR1〜R4(あるいは特定の1つの固定局リーダRでもよい)に対し、移動局タグT1へのアラーム境界距離設定要求を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR22で、各固定局リーダR1〜R4(又は特定の1つの固定局リーダR)の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグT1に向けてアラーム境界距離設定要求信号を送信する。
【0102】
そして、このアラーム境界距離設定要求信号を無線部33を介し受信した移動局タグT1の制御部34が、ステップSP100においてアラーム境界距離設定処理を実行し、アラーム境界距離を設定する。
【0103】
その後、移動局タグT1が、ステップSP22においてタグアンテナ32を介し上記アラーム境界距離の設定結果を送信する。各固定局リーダR1〜R4(又は特定の1つの固定局リーダR)の無線部16は、ステップSR27で、リーダアンテナ12を介し上記アラーム境界距離の設定結果を受信する。そして、制御部20がその受信したアラーム境界距離の設定結果をネットワーク通信制御部18を介して管理サーバSに出力し、管理サーバSがその入力された設定結果に沿ってアラーム境界距離を設定する(警報距離設定手段)。
【0104】
その後のステップSS50以降は、図12と同様であるので説明を省略する。
【0105】
図14は、上記図13において保護者P1に係わる移動局タグT1が実行するステップSP100の詳細手順を表すフローチャートである。図14において、まずステップSP105において、制御部34が、表示信号を生成して表示部DPに出力し、アラーム境界距離の指示入力を保護者P1に対し促す所定の表示(図示省略)を行わせる。
【0106】
そして、ステップSP110に移り、上記ステップSP105の表示に対応して、保護者P1が操作部36によりアラーム境界距離の値(例えば「5m」「10m」等)を指示し、その指示値に対応した操作信号(操作情報、入力信号)が入力されたかどうかを判定する(操作情報取得手段)。保護者P1が指示入力するまで判定が満たされずループ待機し、指示入力があったら判定が満たされてステップSP115に移る。
【0107】
ステップSP115では、ステップSP110で入力した保護者P1の指示値を、アラーム境界距離に設定する。
【0108】
その後、ステップSP120において、上記ステップSP115で入力したアラーム境界距離の値が、予め設定された適正範囲(例えば1m〜50m等)内にあるかどうかを判定する。適正範囲外であればステップSP120の判定が満たされずステップSP105に戻って同様の手順を繰り返す。適正範囲内であればステップSP120の判定が満たされ、このフローを終了する。
【0109】
図15は、本変形例において、警報発報時の移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11に対応する図である。図示のように、本変形例では、上記保護者P1が設定したアラーム境界距離の値が、表示部DPの左下に別途設けた副表示部DPaに表示される(この例では5mの設定)ようになっている。
【0110】
本変形例においては、移動局タグT1の操作部36を介した保護者P1の操作に基づき、アラーム境界距離が設定される。したがって、保護者P1及び被保護者P2の存在する位置の環境(比較的目を離しても安全な場所か、目を離すと危険な場所か、迷子になりやすい場所か、等)、あるいは、被保護者P2の属性(比較的目を離しても安全な年齢か、目を離すと危ない年齢か、足の弱い老人か、等)等を見極めて保護者P1が対応する操作を行うことで、保護者P1の意思をダイレクトに確実に反映した適切なアラーム境界距離を設定することができる。そして、保護者P1のアラーム境界距離よりも被保護者P2の位置が遠くなると警報メッセージALの表示が行われる。この結果、さらに利便性が向上する。
【0111】
(a−2)被保護者の属性を保護者が手動入力してアラーム境界距離を設定する場合
すなわち、本変形例では上記(a−1)の変形例のように保護者P1が距離を直接入力するのに代え、被保護者P2の属性(この例では年齢や世代等)を入力し、それに応じて移動局タグT1側に予め用意したテーブルによってアラーム境界距離を設定するようにしたものである。
【0112】
図16は、相関記憶手段としての移動局タグT1のIC回路部31に予め相関として設定された、被保護者P2の属性とアラーム境界距離との対応を表すテーブルを示す図である。
【0113】
この例では、被保護者P2の年齢が小さいほどアラーム境界距離が近くなるように、3歳までが2m、幼稚園児では5m、小学校低学年では10m、小学校高学年では20mに設定されている。
【0114】
本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンスは、上記図13に示したものと同様であり、移動局タグT1が実行するステップSP100におけるアラーム境界距離設定の詳細手順の内容が異なるだけである。
【0115】
図17は、本変形例における上記図13のステップSP100の詳細手順を表すフローチャートである。図17において、まずステップSP110において、移動局タグT1の制御部34が、表示信号を生成して表示部DPに出力し、被保護者P2の属性に関する指示入力を保護者P1に対し促す所定の表示(図示省略)を行わせる。
【0116】
そして、ステップSP140に移り、上記ステップSP110の表示に対応して、保護者P1が操作部36により被保護者P2の属性(例えば「小学校低学年」「幼稚園」等)を指示し、その指示値に対応した操作信号(操作情報、入力信号)が入力されたかどうかを判定する(操作情報取得手段)。なお、予め設定した項目から保護者P1に選択入力させるようにしてもよい。保護者P1が指示入力するまで判定が満たされずステップSP110に戻って同様の手順を繰り返し、指示入力があったら判定が満たされてステップSP150に移る。
【0117】
ステップSP150では、ステップSP140で保護者P1が入力した被保護者P2の属性に基づき、上記図16に示した相関を参照して、アラーム境界距離を設定する。そして、このフローを終了する。
【0118】
図18は、本変形例において、警報発報時の移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11等に対応する図である。図示のように、本変形例では、上記保護者P1が設定した被保護者P2の属性が、表示部DPの左下に別途設けた副表示部DPbに表示される(この例では「小学校低学年」)ようになっている。なお、そのほかにも、被保護者P2の属性の区分として、「老人」「成人」等の別の年齢区分や、年齢、「男性」「女性」の性別、「病人」「健康体」の健康状況といった区分で入力(又は選択)可能としてもよい。
【0119】
本変形例においては、移動局タグT1の操作部36を介し、保護者P1が、被保護者P2の属性情報を入力すると、その属性情報に対応したアラーム境界距離が上記相関に基づき取得され、適切なアラーム境界距離が自動的に設定される。この結果、被保護者P2がどのような属性であるかを入力するだけでアラーム境界距離が最適化されるので、保護者P1はアラーム境界距離の値をいちいち手動設定する必要がない。したがって、保護者P1の操作負担を低減することができ、利便性を向上することができる。
【0120】
なお、上記は被保護者P2の属性とアラーム境界距離との相関を予め用意しておき、保護者P1が被保護者P2の属性を入力することでアラーム境界距離を自動設定するようにしたが、これに限られない。すなわち、アラーム境界距離に関するモード設定をいくつか用意し、各モードとアラーム境界距離との相関を予め用意しておき、保護者P1がモードを選択することでアラーム境界距離を自動設定するようにしてもよい。
【0121】
この場合、保護者P1が、例えば「ロングモード」「ショートモード」、あるいは「通常モード」「用心モード」「のびのびモード」といったモードを選択入力すると、そのモード選択情報に対応したアラーム境界距離が相関に基づき取得され、適切なアラーム境界距離が自動的に設定される。操作部36を介しモードを選択入力するだけでアラーム境界距離が最適化されるので、保護者P1がアラーム境界距離の値をいちいち手動設定する必要がない。したがって、上記同様、保護者P1の操作負担を低減することができ、利便性を向上することができる。
【0122】
(b−1)被保護者の位置により管理サーバがアラーム境界距離を自動変更する場合
上記(a−2)の変形例では、被保護者P2の属性に応じて移動局タグT1においてアラーム境界距離を可変に設定した。これに対し、本変形例では、被保護者P2の位置に応じて、例えば危険度が高い所定の要注意領域に位置する場合には、管理サーバSがアラーム境界距離をそれ以外の場合よりも小さくするものである。
【0123】
図19は、本変形例における上記アラーム境界距離の可変設定の一例を表した図であり、上記実施形態の図10に対応する図である。図19において、図10と同様、保護者P1から上記アラーム境界距離を半径とする円(アラーム境界線)を点線により示している。この例では、エスカレータESの近傍に上記要注意領域D(所定の領域)を設定している。そして、被保護者P2が要注意領域D外に位置する図中(i)や(i′)の場合には、通常の値の(例えば5mの)アラーム境界距離(i)とする一方、被保護者P2が要注意領域D内に位置する図中(ii)の場合には、(要注意であるとして)通常よりも短い(例えば3mの)アラーム境界距離(ii)に自動変更する。
【0124】
すなわち、被保護者P2が要注意領域D外に位置する通常時には例えば5mのアラーム境界距離(i)が適用され、例えば被保護者P2が保護者P1より6m離れた図中(i)の場合には警報発報が行われるが4m離れた図中(i′)の場合には警報発報は行われない。
【0125】
これに対して、被保護者P2が要注意領域D内に位置する場合には例えば3mのアラーム境界距離(ii)が適用されるため、上記(i′)の場合と同じように保護者P1から4mだけ被保護者P2が離れた図中(ii)の場合であっても、警報が発報されるのである。
【0126】
図20は、本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図であり、上記図12に対応する図である。図12と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0127】
図20では、ステップSS40とステップSS50との間に、アラーム境界距離設定手順であるステップSS100を設けた点が異なる。ステップSS40で保護者P1に係る移動局タグT1から被保護者P2に係る移動局タグT2までの距離を算出した後、ステップSS100に移る。ステップSS100では、ステップSS30での位置検出結果に応じて、被保護者P2が要注意領域D内に位置するかどうかに応じて、アラーム境界距離を可変に設定する(詳細は後述の図21参照)。
【0128】
ステップSS100の後、ステップSS50以降は図12と同様であるので説明を省略する。
【0129】
図21は、本変形例における上記図20のステップSS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【0130】
図21において、まずステップSS150で、上記ステップSS30で検出した移動局タグT2の位置情報(この位置検出時の各リーダRからの位置検出信号が各請求項記載の入力信号に相当する)に基づき、移動局タグT2の位置(被保護者P2の位置)が上記要注意領域D内であるかどうかを判定する。なお、要注意領域Dの配置情報は例えば予め管理サーバSが記憶しているようにすればよい(保護者P1により移動局タグT1の操作部36を介し設定可能としてもよい)。
【0131】
被保護者P2の位置が要注意領域D外である場合にはステップSS150の判定が満たされずステップSS155に移り、アラーム境界距離を通常の値(上記の例では5m)に設定する。被保護者P2の位置が要注意領域D内である場合にはステップSS150の判定が満たされてステップSS160に移り、アラーム境界距離を通常の値よりも短く(上記の例では3m)設定する。これらステップSS155及びステップSS160が、各請求項記載の警報距離設定手段を構成する。ステップSS155又はステップSS160が完了したら、このフローを終了する。
【0132】
図22は、本変形例において、警報発報時(上記図19の(ii)の場合に相当)の移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11等に対応する図である。前述したように、本変形例では、保護者P1から被保護者P2が大きくは離れていないが、エスカレータES近傍の要注意領域D内に位置しているためアラーム境界距離の円外となり、警報メッセージALが表示されている。
【0133】
本変形例においては、被保護者P2が、要注意領域D(例えば保護者P1が目を離すと危険な場所、被保護者P2が迷子になりやすい場所等。この例ではエスカレータ近傍)に位置する場合、自動的にアラーム境界距離を短く切り替える。この結果、移動局タグT1で通常よりも早めに警報表示がなされることとなるので、被保護者P2に対し保護者P1の目が届きやすくなり、頻繁に警報表示がなされることなく、危険性が高まった場合のみ速やかに警報表示がなされるので利便性を損なうことなく安全性が向上する。
【0134】
(b−2)アラーム境界距離を被保護者の属性により自動変更する場合
上記(b−1)の変形例では、被保護者P2が要注意領域に位置するかどうかに応じてアラーム境界距離を可変に設定した。これに対し、本変形例では、被保護者P2の属性情報を移動局タグT2から取得し、その属性に応じてアラーム境界距離を可変に設定するものである。
【0135】
図23(a)及び図23(b)は、本変形例における移動局タグT2のIC回路部31の記憶情報の一例を概念的に表した説明図である。図23(a)の例は被保護者P2が5歳の男児である場合であり、IC回路部31には、識別情報(タグID)と、属性情報を構成する性別情報(男性)及び年齢情報(5歳)とが記憶されている。図23(b)の例は被保護者P2が8歳の女児である場合であり、IC回路部31には、識別情報(タグID)と、属性情報を構成する性別情報(女性)及び年齢情報(8歳)とが記憶されている。
【0136】
図24は、本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図であり、上記図12や図13に対応する図である。図12と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0137】
図24において、このシーケンスでは、ステップSS40とステップSS50との間に、上記属性情報の取得に係わるステップSS60、ステップSR30、ステップSC20、ステップSR40の手順と、取得した属性情報を用いたアラーム境界距離の設定に係わるステップSS150の手順とを新たに設けている。
【0138】
すなわち、ステップSS40において、すべての被保護者P2に係わる移動局タグT2と保護者P1に係わる移動局タグT1との距離を算出したら、ステップSS60に移る。ステップSS60では、管理サーバSのCPU21が、ネットワーク通信制御部26を介し、固定局リーダR1〜R4に対し、移動局タグT2への(対応する被保護者P2の)属性情報送信要求を送信するよう指示信号を出力する。これにより、ステップSR30で、対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16がリーダアンテナ12を介し移動局タグT2に向けて属性情報送信要求信号を送信する。
【0139】
そして、この送信要求信号をそれぞれ受信した移動局タグT2の無線部33が、ステップSC20において、タグアンテナ32を介し、対応する被保護者P2の属性情報を送信する。対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16は、リーダアンテナ12を介しそれぞれ属性情報を受信する。そして、ステップSR40で、制御部20がその属性情報をネットワーク通信制御部18を介して管理サーバSに出力し、管理サーバSはその属性情報を取得する(属性情報取得手段)。なお、このように各移動局タグT1〜T3に属性情報を記憶するのに限られない。すなわち、別途のデータベースに、各移動局タグT2の識別情報(タグID;属性情報に対応する情報)と対応する被保護者P2の属性情報とを関連づけて格納しておくようにしてもよい。この場合、ステップSC20では属性情報でなくタグIDを送信してこれをリーダR1〜R4で受信し、ステップSR40ではタグIDを管理サーバSに出力し、管理サーバSでは当該タグIDをキーとしてデータベースを検索し、対応する属性情報を取得する(属性情報取得手段)。
【0140】
なお、上記ステップSC20では、固定局リーダR1〜R4からの送信要求に応じて属性情報を移動局タグT2から送信するようにしたが、これに限られない。すなわち、移動局タグT2が一定時間間隔で自発的に属性情報を発信し続け、固定局リーダR1〜R4がその発信し続ける電波信号を受信し、これに基づき管理サーバSで対応する処理を行うようにしてもよい。また、移動局タグT1の属性情報についても同様にして併せて取得するようにしてもよい。また、属性情報はタグIDと関連づけられて管理サーバSが保持するようにしても良いのはもちろんである。
【0141】
その後、ステップSS150に移り、上記のようにして取得した属性情報(各請求項記載の入力信号に相当する)に基づき、予め用意した属性情報とアラーム境界距離との相関(例えば管理サーバSのメモリ22に予め記憶されている)を参照して、対応するアラーム境界距離を設定する。このとき参照する相関は、例えば上記(a−2)の変形例で図16に示したものと同等のものを用いればよい。
【0142】
その後のステップSS50以降は、図12と同様であるので説明を省略する。
【0143】
本変形例においては、被保護者P2の属性に応じ、自動的に適切なアラーム境界距離を切り替えることができるので、利便性が向上する。なお、被保護者P2の属性の区分は、図16に示したものには限られず、前述と同様、「老人」「成人」等の別の年齢区分や、年齢、「男性」「女性」の性別、「病人」「健康体」の健康状況といった区分としてもよい。
【0144】
(c−1)被保護者位置までのナビゲーション表示を行う場合
すなわち、保護者P1に対し、被保護者P2の位置までのナビゲーションを行う場合である。図25は、本変形例において上記警報発報時(移動局タグT2が図10中(イ)の場合)における、移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11に対応する図である。
【0145】
図25に示すように、本変形例では、移動局タグT1の表示部DPにおいて、保護者P1の位置(移動局タグT1の位置)から被保護者P2の位置(移動局タグT2の位置)までのアクセス経路を、矢印ARを用いて地図上に表示している。
【0146】
図26は、本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図であり、上記図12や図13等に対応する図である。図12と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0147】
図26において、このシーケンスでは、ステップSS50の後に新たにステップSS300を新たに設けるとともに、図12における上記ステップSS210、ステップSR40、ステップSR50、ステップSP20、ステップSP30に代えてそれぞれに対応するステップSS210′、ステップSR40′、ステップSR50′、ステップSP20′、ステップSP30′を設けている。
【0148】
すなわち、上記ステップSS50において、ステップSS40で算出した距離がアラーム境界距離以上であって判定が満たされたら、ステップSS300に移る。ステップSS300では、ナビゲーションの上記アクセス経路、すなわち保護者P1の位置から被保護者P2の位置までの経路設定処理を行う(詳細は後述の図27を参照)。その後、ステップSS210′に移る。
【0149】
ステップSS210′では、管理サーバSのCPU21が、前述のステップSS210と同様、固定局リーダR1〜R4に対し、ネットワーク通信制御部26を介し指示信号を出力する。このとき、上記ステップSS210と同様の地図情報、移動局タグT1及び移動局タグT2の位置情報、及び所定のアラーム指示に加え、上記ステップSS300で設定(作成)したアクセス経路情報をも送信するように、指示信号を出力する(警報生成手段)。固定局リーダR1〜R4では上記ステップSR40に対応したステップSR40′で上記指示信号の入力の有無を検査しており、指示信号が検出された場合には、ステップSR50に対応したステップSR50′で、対応する固定局リーダR1〜R4の無線部16がリーダアンテナ12を介し保護者P1に係る移動局タグT1に向けて、上記地図情報、移動局タグT1,T2の位置情報、アラーム指示、及びアクセス経路情報を送信する。
【0150】
保護者P1に係る移動局タグT1では、上記ステップSP20に対応したステップSP20′で上記送信信号の有無を検査しており、タグアンテナ32を介し無線部33での上記地図情報・位置情報・アラーム指示・アクセス経路情報の受信が検出された場合には、ステップSP30に対応したステップSP30′で、移動局タグT1の制御部34が上記受信した地図情報、移動局タグT1,T2の位置情報、アラーム指示、及びアクセス経路情報に対応した表示信号を生成して表示部DPに出力し、地図上への移動局タグT1,T2の位置表示と、地図上での移動局タグT1から移動局タグT2までの経路表示と、上記警報メッセージALの表示とを行わせ、このフローを終了する。
【0151】
図27は、上記ステップSS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【0152】
図27において、ステップSS310で、上記ステップSS30での位置検出結果と、地図情報(エスカレータESや陳列棚ST1〜ST17の配置位置や占有領域情報を含む)とに基づき、移動局タグT1から移動局タグT2までに想定できるすべての経路を構築する。
【0153】
その後、ステップSS320で、上記ステップSS310で構築したすべての経路の中から、距離が最短であるものを選択し、このフローを終了する。詳細な説明は省略するが、最短経路探索には周知のウォーシャル・フロイド法、ダイクストラ法やA*(エースター)探索等の他に遺伝的アルゴリズムなどの手法が用いられて最短の経路が探索されるのである。
【0154】
本変形例においては、保護者P1が被保護者P2を捜索するときに、表示部DPでのナビゲーション表示を用いて円滑かつ迅速に被保護者P2へアクセスすることができ、さらに利便性が向上する。
【0155】
(c−2)複数の被保護者を年齢が小さい順にアクセスするようなナビゲーション表示を行う場合
すなわち、本変形例は、1人の保護者P1が複数人の被保護者(この例では、移動局タグT2を所持した被保護者P2と、移動局タグT3を所持した被保護者P3の2人)の管理を行う場合である。そして、2人の被保護者P2,P3を捜索するためにアクセスするとき、所定の規則性(この例では年齢が小さい者から順番に)でアクセスするためのナビゲーション表示を行う。
【0156】
図28は、本変形例において上記警報発報時における、移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11等に対応する図である。
【0157】
図28において、前述したように、本変形例では、移動局タグT2を所持した被保護者P2(「お子様位置(1)」で表示)に加え、移動局タグT3を所持した被保護者P3(「お子様位置(2)」で表示)が存在し、移動局タグT1の表示部DPにおいて、それぞれ表示している。
【0158】
そして、この例では、「お子様位置(1)」に表示された被保護者P2のほうが、「お子様位置(2)」に表示された被保護者P3よりも年齢が小さく、この結果、保護者P1の位置(移動局タグT1の位置)から、まず被保護者P2の位置(移動局タグT2の位置)までアクセスし、その後さらに被保護者P3の位置(移動局タグT3の位置)までアクセスするような経路が、矢印ARを用いて地図上に表示される。
【0159】
このような年齢が小さいほどアクセス順番が早くなるような優先順位をつけるために、本変形例では、被保護者P2,P3の属性情報に応じた属性係数を用いる。図29は、その属性係数設定の一例を表すテーブルを示す図である。
【0160】
図29において、この例では、属性係数が小さいほど優先順位が高くなるように、3歳までが属性係数1、幼稚園児では属性係数2、小学校低学年では属性係数3、小学校高学年では属性係数4に設定されている。
【0161】
このような属性係数は、以下のようにして管理サーバSで取得される。上記(a−2)の変形例のように移動局タグT1の操作部36を介し保護者P1が各移動局タグT2,T3(言い換えれば被保護者P2,P3)に対応した属性を指示入力し、対応する属性情報が移動局タグT1から上記距離検出用電波信号とともに固定局リーダRへ送信され(フローチャートの図示は省略)、さらに固定局リーダRで受信した属性情報が管理サーバSへ入力され、管理サーバSのメモリ22等に記憶した上記テーブルを用いて対応する属性係数が取得される。
【0162】
なお、属性係数の取得は上記には限られず、上記(b−2)の変形例のように、移動局タグT2,T3に記憶された属性情報(性別情報や年齢情報)をリーダR1〜R4により読み取り、さらに管理サーバSでそれら属性情報を取得し、上記テーブルを用いて対応する属性係数を取得するようにしてもよい。あるいは、属性係数そのものを移動局タグT2,T3に記憶させておいてもよい。
【0163】
本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2,T3の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンスは、上記図26に示したものと基本的にほぼ同様(但し被保護者P3に係わる移動局タグT3が加わる)であり、ステップSS300におけるナビゲーション経路設定処理の詳細手順の内容が異なるだけである。
【0164】
図30は、本変形例における上記図26のステップSS300の詳細手順を表すフローチャートである。図30において、まずステップSS330において、順番をカウントするための演算子Nを1に初期化する。
【0165】
その後、ステップSS340に移り、前述のようにして属性情報に基づき算出した属性係数(1〜4)がN番目に小さい移動局タグT2(又はT3)までの、移動局タグT1からのアクセス経路を構築する。なお、このステップSS340と、前述の図26のステップSS210′とが、各請求項記載の経路情報生成手段を構成する。
【0166】
そして、ステップSS350において、被保護者P2,P3に係るすべての移動局タグT2,T3までのアクセス経路の構築が済んだかどうかを判定する。保護者P1に係る移動局タグT1を起点として被保護者P2に係るすべての移動局タグT2,T3を順にアクセスする経路が構築されていれば判定が満たされ、このフローを終了する。まだアクセス経路が構築されていない移動局タグT2(又はT3)が残っていれば判定が満たされず、ステップSS340に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0167】
本変形例においては、保護者P1は、表示部DPに表示された(経路を表す)矢印ARに従い、被保護者P2,P3それぞれに対し迷うことなく迅速かつ円滑に捜索し、アクセスすることができる。また、捜索の優先順位が高い被保護者(この例では年齢が小さい被保護者P2)を先の順番でアクセスするような表示を行う。この結果、先に捜索して保護すべき被保護者に対しなるべく早くアクセスすることができるので、さらに利便性を向上できる。なお、アクセスの優先順位づけのための属性の区分としては、上記以外にも、老人、中学生等の区分を設けてもよい。さらに、女性の被保護者は男性の被保護者よりも先の順番としたり、病人の被保護者は健康体の被保護者よりも先の順番とするようにしてもよい。
【0168】
(c−3)要注意領域にいる被保護者から順にアクセスするようなナビゲーション表示を行う場合
上記(c−2)では、複数の被保護者にアクセスするための経路設定を行うときの規則性として、年齢の小さい被保護者P2を優先して先の順番でアクセスするようなアクセス経路の設定をした。これに対し、本変形例では、要注意領域D(この例では前述と同様のエスカレータESの近傍領域)にいる被保護者P2を優先して先の順番でアクセスするためのナビゲーション表示を行う。なお、本変形例では、アクセス順番に関する優先順位をつけるために、上記属性係数を(別の態様で設定することで)利用している(後述)。
【0169】
図31は、本変形例において上記警報発報時における、移動局タグT1の表示部DPでの表示例を表す図であり、上記図11等に対応する図である。
【0170】
図31において、前述したように、本変形例では、移動局タグT2を所持した被保護者P2(「お子様位置(1)」で表示)と、移動局タグT3を所持した被保護者P3(「お子様位置(2)」で表示)とのうち、「お子様位置(2)」に表示された被保護者P3のほうが、エスカレータES近くの要注意領域Dに位置している。この結果、保護者P1の位置(移動局タグT1の位置)から、まず被保護者P3の位置(移動局タグT3の位置)までアクセスし、その後さらに被保護者P2の位置(移動局タグT2の位置)までアクセスするような経路が、矢印ARを用いて地図上に表示される。
【0171】
本変形例において管理サーバS、固定局リーダR1〜R4、移動局タグT1、移動局タグT2,T3の間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンスは、上記図26に示したものと基本的にほぼ同様(但し被保護者P3に係わる移動局タグT3が加わる)であり、ステップSS300におけるナビゲーション経路設定処理の詳細手順の内容が異なるだけである。
【0172】
図32は、本変形例における上記図26のステップSS300の詳細手順を表すフローチャートであり、上記図30に対応する図である。図30と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0173】
図32において、まずステップSS370において、前述の図21のステップSS150と同様、上記ステップSS30で検出した移動局タグT2,T3の位置情報に基づき、移動局タグT2又はT3の位置(被保護者P2又はP3の位置)が上記要注意領域D内であるかどうかを判定する。
【0174】
被保護者P2(又はP3)の位置が要注意領域D外である場合にはステップSS370の判定が満たされずステップSS380に移り、属性係数を通常の値(この例では2)に設定する。被保護者P2の位置が要注意領域D内である場合にはステップSS370の判定が満たされてステップSS390に移り、属性係数を通常の値よりも小さく(上記の例では1)設定する。ステップSS380又はステップSS390が完了したら、次のステップSS330に移る。
【0175】
以降、ステップSS330〜ステップSS360は上記図30と同様である。すなわち、ステップSS330で演算子Nを1に初期化した後、ステップSS340で属性係数(ここでは1又は2)がN番目に小さい移動局タグT2(又はT3)までのアクセス経路を構築する。なお、このステップSS340と、前述の図26のステップSS210′とが、各請求項記載の経路情報生成手段を構成する。 そして、ステップSS350においてすべての移動局タグT2,T3までのアクセス経路の構築が済んだかどうかを判定し、アクセス経路が構築されていない移動局タグT2(又はT3)が残っていれば判定が満たされず、ステップSS340に戻り同様の手順を繰り返す。前述のように要注意領域D内に存在する移動局タグTは要注意領域D外の移動局タグTよりも属性係数が小さくなっていることから、必ず優先的に先の順番となるようなアクセス経路が構築されることとなる。
【0176】
本変形例においても、上記(c−2)の変形例と同様、保護者P1は、表示部DPに表示された(経路を表す)矢印ARに従い、被保護者P2,P3それぞれに対し迷うことなく迅速かつ円滑に捜索し、アクセスすることができる。また、捜索の優先順位が高い被保護者(この例では要注意領域Dに存在する被保護者P2)を先の順番でアクセスするような表示を行う。この結果、先に捜索して保護すべき被保護者に対しなるべく早くアクセスすることができるので、さらに利便性を向上できる。
【0177】
なお、複数の被保護者P2,P3に対するさらに他の観点の経路構築手法として、保護者P1から全被保護者P2,P3へアクセス終わるまでの全行程の距離が、最も小さくなるような経路設定を行うようにしてもよい。この場合、保護者P1にとって捜索の道のりが最短となることから、身体的な労力負担を低減することができる。
【0178】
なお、以上においては、1人の被保護者P2(又は複数人の保護者P2,P3)に対し一人の保護者P1のみが対応づけられる場合を例にとって説明したが、これ限られない。すなわち、複数の保護者が存在する場合にも本発明は適用できる。この場合は、各保護者に係わる移動局タグに関し上記アラーム境界距離をそれぞれ設定して、これよりも被保護者が遠くになったときに各移動局タグにアラーム表示を行うようにすればよい。
【0179】
さらにこれを応用し、2名の保護者がいる場合に、各保護者の位置情報と被保護者の位置情報とを勘案し、アラームの有無を決定するようにすることもできる。すなわち例えば、アラーム境界距離を超えていても被保護者が2名の保護者の間に位置している場合(細長い通路を細長く延びて親子で歩いている場合等)には、アラーム表示を行わない等が可能となる。逆に、保護者が1名の場合には、被保護者の位置検出を行わず、保護者と被保護者との距離だけを測るようにすることも考えられる。この場合、その測定した距離がアラーム境界距離を超えるかだけに応じ、アラーム表示を行えばよい(被保護者の位置は関係なくなる)。
【0180】
なお、以上は、本発明を販売店のフロアに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、他の建造物に対して適用してもよい。また、適用対象をもっと大きく拡大し、一つの行政区分全体やその他広大な土地(テーマパークや博覧会会場等を含む)に対して適用してもよい。このような場合、前述の要注意領域Dは、例えば駅の周辺領域(人が多いため迷子等になりやすい)や、遊具の近傍領域(近づくと危険が高い)等に設定することができる。
【0181】
また、以上では地図情報は管理サーバSにて予め記憶している場合を例にとって説明しているが、管理サーバSがさらにシステム外部の適宜のサーバ(いわゆるwebサーバ等)に適宜アクセスして取得するようにしてもよい。
【0182】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0183】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明の保護者管理システムの一実施形態の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】保護者管理システムの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】被保護者用の移動局タグの所持態様を表す説明図である。
【図4】保護者が用いるカートの外観構造を表す斜視図である。
【図5】保護者用移動局タグの詳細構造を表す上面図である。
【図6】移動局タグの位置を検出する方法の原理を説明する図である。
【図7】保護者の目が十分に被保護者に行き届いている状態を表す説明図である。
【図8】保護者の目が十分に被保護者に行き届かない状態を表す説明図である。
【図9】保護者が被保護者を見失った状態を表す説明図である。
【図10】アラーム境界距離の一例を表した図である。
【図11】警報発報時における保護者用移動局タグの表示例を表す図である。
【図12】管理サーバ、固定局リーダ、保護者用移動局タグ、被保護者用移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図13】アラーム境界距離の設定を保護者が手動で行う変形例において、管理サーバ、固定局リーダ、保護者用移動局タグ、被保護者用移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図14】図13のステップSP100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図15】警報発報時の保護者用移動局タグの表示例を表す図である。
【図16】被保護者の属性を保護者が手動入力してアラーム境界距離を設定する変形例において、相関として設定された、被保護者の属性とアラーム境界距離との対応を表すテーブルである。
【図17】図13のステップSP100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図18】警報発報時の保護者用移動局タグの表示例を表す図である。
【図19】被保護者の位置により管理サーバがアラーム境界距離を自動変更する変形例において、アラーム境界距離の可変設定の一例を表した図である。
【図20】管理サーバ、固定局リーダ、保護者用移動局タグ、被保護者用移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図21】図20のステップSS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図22】警報発報時の保護者用移動局タグでの表示例を表す図である。
【図23】アラーム境界距離を被保護者の属性により自動変更する変形例において、移動局タグのIC回路部の記憶情報の一例を概念的に表した説明図である。
【図24】管理サーバ、固定局リーダ、保護者用移動局タグ、被保護者用移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図25】被保護者位置までのナビゲーション表示を行う変形例において、警報発報時における保護者用移動局の表示例を表す図である。
【図26】管理サーバ、固定局リーダ、保護者用移動局タグ、被保護者用移動局タグの間で送受される各種信号の送受と制御動作の一例を表すシーケンス図である。
【図27】図26のステップSS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【図28】複数の被保護者を年齢が小さい順にアクセスするようなナビゲーション表示を行う変形例において、警報発報時における、保護者用移動局タグの表示例を表す図である。
【図29】属性係数設定の一例を表すテーブルである。
【図30】図26のステップSS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【図31】警報発報時における保護者用移動局タグの表示部での表示例を表す図である。
【図32】図26のステップSS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0185】
1 保護者管理システム
12 リーダアンテナ(第3アンテナ手段)
32 タグアンテナ(第1アンテナ手段、第2アンテナ手段)
36 操作部(操作手段)
37 コネクタ部(充電手段)
39 電源部(充電手段)
DP 表示部(表示手段)
P1 保護者
R1〜4 固定局リーダ(基地局)
T1 移動局タグ(第1移動局)
T2 移動局タグ(第2移動局)
T3 移動局タグ(第3移動局)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を送受信する第1アンテナ手段を備え、保護者とともに所定の移動可能領域を移動可能な第1移動局と、
前記第1移動局に予め関連づけられ、情報を記憶する記憶部と情報を送受信する第2アンテナ手段とを備え、前記保護者に保護される被保護者とともに所定の移動可能領域を移動可能な少なくとも1つの第2移動局と、
前記第1移動局及び前記第2移動局に対し無線通信により情報送受信を行う第3アンテナ手段を備え、既知の位置に固定的に配置された基地局と
を有し、
前記保護者が前記被保護者を管理するための保護者管理システムであって、
前記第1移動局及び前記第2移動局の前記第1アンテナ手段及び第2アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局及び前記第2移動局の位置検出を行う位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記第1移動局と前記第2移動局との間の距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段で検出された距離が、所定の警報距離以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が満たされた場合、対応する警報指示信号を生成し出力する警報生成手段とを有し、
前記第1移動局は、
前記警報生成手段から出力された前記警報指示信号に応じて前記基地局の前記第3アンテナ手段から送信され、前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に含まれる、前記位置検出手段の検出結果及び地図情報に基づき、対応する警報表示を行うとともに前記第1移動局及び前記第2移動局の位置を地図上において表示する表示手段を備える
ことを特徴とする保護者管理システム。
【請求項2】
前記第2移動局の前記第1移動局への装着時に、当該第2移動局及び第1移動局の組関係を登録する登録手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の保護者管理システム。
【請求項3】
入力信号に応じて前記警報距離を可変に設定する警報距離設定手段を有し、
前記判定手段は、
前記距離検出手段で検出された距離が、前記警報距離設定手段で設定された前記警報距離以上であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2記載の保護者管理システム。
【請求項4】
前記警報距離設定手段は、
前記入力信号としての、前記位置検出手段で検出された前記第2移動局の位置情報に応じて、前記警報距離を可変に設定する
ことを特徴とする請求項3記載の保護者管理システム。
【請求項5】
前記警報距離設定手段は、
前記第2移動局の位置が予め定められた所定の領域内にある場合には、前記警報距離を短く設定し、前記第2移動局の位置が予め定められた所定の領域外にある場合には、前記警報距離を長く設定する
ことを特徴とする請求項4記載の保護者管理システム。
【請求項6】
前記第2移動局の前記第2アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第2移動局の記憶部に記憶された、当該第2移動局に対応する前記被保護者の属性情報を取得する属性情報取得手段を有し、
前記警報距離設定手段は、
前記入力信号としての、前記属性情報取得手段で取得された前記被保護者の属性情報に応じて、前記警報距離を可変に設定する
ことを特徴とする請求項3記載の保護者管理システム。
【請求項7】
前記第1移動局は、前記保護者が所定の設定入力を可能な操作手段を備えており、
前記第1移動局の前記第1アンテナ手段から送信され前記基地局の前記第3アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局の操作手段に対する前記保護者の操作に対応した操作情報を取得する操作情報取得手段を設け、
前記警報距離設定手段は、
前記入力信号としての、前記操作情報取得手段で取得された前記操作情報に応じて、前記警報距離を可変に設定する
ことを特徴とする請求項3記載の保護者管理システム。
【請求項8】
前記操作情報取得手段は、
前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力した距離値情報を取得し、
前記警報距離設定手段は、
前記警報距離を、前記操作情報取得手段で取得した前記距離値情報に対応して設定する
ことを特徴とする請求項7記載の保護者管理システム。
【請求項9】
前記操作情報の内容と、これに対応して設定すべき警報距離の値との相関を記憶する相関記憶手段を有し、
前記警報距離設定手段は、
前記操作情報取得手段で取得された前記操作情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定する
ことを特徴とする請求項7記載の保護者管理システム。
【請求項10】
前記操作情報取得手段は、
前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力した被保護者の属性情報を取得し、
前記警報距離設定手段は、
前記操作情報取得手段で取得された前記属性情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定する
ことを特徴とする請求項9記載の保護者管理システム。
【請求項11】
前記操作情報取得手段は、
前記操作情報として、前記第1移動局の操作手段で前記保護者が入力したモード選択情報を取得し、
前記警報距離設定手段は、
前記操作情報取得手段で取得された前記モード選択情報に基づき、前記相関記憶手段に記憶された前記相関に応じた、前記警報距離を設定する
ことを特徴とする請求項9記載の保護者管理システム。
【請求項12】
前記位置検出手段の検出結果と、前記地図情報とに応じて、複数の前記第2移動局へのアクセス順序に係わる所定の規則性に基づき、前記第1移動局から複数の前記第2移動局のそれぞれへ順次アクセスするための経路情報を生成して出力する経路情報生成手段を有し、
前記第1移動局の前記表示手段は、
前記経路情報生成手段から出力された前記経路情報に応じて前記基地局の前記第3アンテナ手段から送信され、前記第1アンテナ手段で受信した電波信号に基づき、前記第1移動局から出発し前記所定の規則性に沿って各第2移動局へ順番に到着するような経路表示を行うことを特徴とする請求項3乃至請求項11のいずれか1項記載の保護者管理システム。
【請求項13】
前記経路情報生成手段は、
前記第1移動局から複数の前記第2移動局のすべてへアクセスする全行程の道のりが最小となるように、前記経路情報を生成して出力する
ことを特徴とする請求項12記載の保護者管理システム。
【請求項14】
前記経路情報生成手段は、
複数の前記第2移動局のうち、それぞれに付された優先順位が高い第2移動局ほど早い順番で前記第1移動局からアクセスするように、経路情報を生成して出力する
ことを特徴とする請求項12記載の保護者管理システム。
【請求項15】
前記第1移動局は、
装着された状態の前記第2移動局に対し充電する充電手段を備える
ことを特徴とする請求項2乃至請求項14のいずれか1項記載の保護者管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−237870(P2009−237870A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82708(P2008−82708)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】