先行車追従制御装置
【課題】先行車追従制御が行われており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作が行われても、車両の停止保持を継続する。
【解決手段】先行車追従制御が行われている時に、車両が停止すると、EPKB11によって車両の停止保持制御を行う。この状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、EPKB11による車両の停止保持を継続した状態で、先行車追従制御だけを終了する。
【解決手段】先行車追従制御が行われている時に、車両が停止すると、EPKB11によって車両の停止保持制御を行う。この状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、EPKB11による車両の停止保持を継続した状態で、先行車追従制御だけを終了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車に追従して走行する先行車追従制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先行車との車間距離を一定の距離に保つ先行車追従制御装置において、車両の走行中には、油圧ブレーキを用い、車両が停止すると、電動パーキングブレーキに切り換えて、車両の停止を保持する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−9914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置において、車両の停止保持が行われている状態で、ドライバが先行車追従制御を終了する操作を行った場合に、電動パーキングブレーキを解除してしまうと、ドライバが先行車追従制御を終了する操作を無意識的に行った場合でも、車両が発進してしまうのは、好ましくないという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による先行車追従制御装置は、先行車に追従して自動走行するための制御を行うとともに、車両の停止時には、車両の停止を保持する制御を行うものであって、停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が作動している状態で車両の停止保持制御が行われている時に、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了するので、ドライバが無意識的に先行車追従制御を終了する操作を行った場合でも、車両の発進を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図である。この車両は、車間距離センサ1と、制御装置2と、エンジン3と、自動変速機4と、スロットルアクチュエータ5と、ブレーキアクチュエータ6と、車速センサ7と、油圧ブレーキ8と、ディファレンシャル9と、操作スイッチ10と、電動パーキングブレーキ11(以下、EPKB11)と、電動パーキングブレーキスイッチ12(以下、EPKBスイッチ12)と、電動パーキングブレーキコントローラ13(以下、EPKBコントローラ13)と、電動パーキングブレーキアクチュエータ14(以下、EPKBアクチュエータ14)と、ブレーキセンサ15と、アクセルセンサ16とを備える。
【0008】
車間距離センサ1は、レーダ装置を備えており、車両前方にレーザ光を送出することによって、先行車を検出するとともに、検出した先行車までの車間距離を検出する。車速センサ7は、車両の速度を検出する。制御装置2は、車間距離センサ1により検出される車間距離、および、車速センサ7によって検出される自車両の速度に基づいて、自車両が先行車両に追従して自動走行するための先行車追従制御を行う。すなわち、予め設定されている車速を上限として、自車両と先行車両との車間距離が一定距離に保たれるように、スロットルアクチュエータ5およびブレーキアクチュエータ6を制御する。
【0009】
スロットルアクチュエータ5は、制御装置2からの指令に基づいて、図示しないスロットルバルブの開閉を制御することによって、車両の加減速を制御する。ブレーキアクチュエータ6は、制御装置2からの指令に基づいて、各車輪に設けられている油圧ブレーキ8の制動力を制御する。油圧ブレーキ8は、ブレーキアクチュエータ6による制御によって作動するとともに、ドライバがブレーキペダル(不図示)を操作することによって作動する。
【0010】
EPKB11は、左右の後輪に取り付けられており、図示しない摩擦材をブレーキディスクに押し付けることによって、車輪をロックする。EPKBスイッチ12は、EPKB11の作動/解除を行うためのスイッチであり、ドライバによって操作される。EPKBアクチュエータ14は、ドライバによるEPKBスイッチ12の操作、または、EPKBコントローラ13からの指令に基づいて、EPKB11の作動/解除を行う。EPKBアクチュエータ14は、例えば、電動モータであり、図示しないブレーキワイヤを巻き取ることによって、EPKB11を作動、すなわち、図示しない摩擦材をブレーキディスクに押し付ける。
【0011】
ブレーキセンサ15は、図示しないブレーキペダルがドライバによって操作されたことを検出する。アクセルセンサ16は、図示しないアクセルペダルが操作されたことを検出する。
【0012】
図2は、先行車追従制御の各種操作を行うための操作スイッチ10の詳細な構成を示す図である。この操作スイッチ10は、ステアリング上のドライバが操作しやすい位置に設けられている。メインスイッチ21は、先行車追従制御システムのオン/オフを行うためのスイッチである。リジューム/アクセラレートスイッチ22は、先行車追従制御が行われている時に、速度を上昇させるためのスイッチであり、セット/コーストスイッチ23は、先行車追従制御が行われている時に、速度を減少させるためのスイッチである。セット/コーストスイッチ23は、また、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンの状態の時に、先行車追従制御を開始するためのスイッチでもある。
【0013】
キャンセルスイッチ24は、先行車追従制御が行われている場合に、先行車追従制御を解除するためのスイッチである。車間設定スイッチ25は、先行車までの車間距離(目標車間距離)を変更するためのスイッチである。
【0014】
図3は、先行車追従制御に関する各制御状態の遷移図である。状態31は、操作スイッチ10のメインスイッチ21がオフの状態、すなわち、先行車追従制御システムがオフの状態である。この状態から、メインスイッチ21が押されると、状態32に移行する。状態32は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御(ACC)が開始されていない作動待機状態である。この状態でメインスイッチ21が押されると、先行車追従制御システムがオフとなり、状態31に移行する。また、先行車追従制御システムに異常が発生したことが検知された場合も、状態32から状態31に移行する。
【0015】
状態33は、先行車追従制御が行われている状態である。状態32から状態33に移行するためには、車速が10km/h〜100km/hであって、ドライバが図示しないブレーキペダルの操作を行っておらず、かつ、セット/コーストスイッチ23が操作されるという3つの条件が成立することが必要である。逆に、先行車追従制御が行われている状態33から状態32に移行するためには、以下の(a)〜(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立することが必要である。
(a)ドライバがブレーキペダルの操作を行う
(b)キャンセルスイッチ24が操作される
(c)自動変速機4のシフト位置がドライブ(D)以外の位置に動かされる
(d)ワイパが所定回数以上、連続して作動する
すなわち、(a)〜(d)は、先行車追従制御を終了(解除)するための操作であり、ドライバが(a)〜(d)のいずれかの操作を行うと、先行車追従制御の待機状態である状態32に移行する。なお、ドライバによるブレーキペダルの操作の有無は、ブレーキセンサ15によって検知されて、制御装置2に入力される。
【0016】
状態34は、先行車追従制御が行われており、かつ、車両の停止を保持する停止保持制御が行われている状態である。先行車追従制御が行われている状態33において、先行車に追従して、自車両が減速をして停止すると、状態34に移行する。先行車追従制御が行われている状態33では、制御装置2は、車両の減速が必要と判断すると、ブレーキアクチュエータ6によって、油圧ブレーキ8を作動させる。その後、先行車が停止したことに伴って、自車両を停止させると、制御装置2は、車両の停止状態を保持するためのブレーキを、油圧ブレーキ8から、EPKB11に切り換える。すなわち、車両が停止すると、制御装置2は、ブレーキアクチュエータ6による油圧ブレーキの作動を解除させるとともに、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の作動命令を出す。この命令を受けたEPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14を作動させて、EPKB11を作動させる。EPKB11によって車両を停止保持させる制御を、ここでは、停止保持制御と呼ぶ。
【0017】
EPKB11が作動している状態34において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する。すなわち、この先行車追従制御システムでは、先行車が発進しても、先行車追従制御による車両の発進を行わずに、ドライバによる所定の発進操作が行われた場合、すなわち、アクセルセンサ16によって、アクセルペダルが操作されたことが検知されると、車両を発進させる。なお、所定の発進操作は、アクセルペダルの操作以外にも、例えば、図2のセット/コーストスイッチ23の操作であってもよく、ドライバの発進意図が明確となれば、他の任意のスイッチでもよい。
【0018】
先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34において、上述した(a)〜(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立すると、状態35に移行する。状態35は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御が開始されていない待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態である。
【0019】
すなわち、第1の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバが先行車追従制御を終了(解除)するための操作を行うと、停止保持制御は継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、ドライバが意図せずに、ブレーキペダルを踏んでしまったり、キャンセルスイッチ24を押してしまった場合でも、EPKB11が作動したままとなっているので、車両の不用意な発進を防止することができる。
【0020】
状態35から状態34に移行するためには、次の(e)〜(h)の4つの条件が全て成立することが必要である。
(e)車両が停止している(車速が0である)
(f)EPKB11が作動している
(g)ドライバがブレーキ操作を行っていない
(h)セット/コーストスイッチ23が操作される
【0021】
すなわち、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行する。この操作は、先行車追従制御が行われていない状態32から、先行車追従制御が行われる状態33に移行するための操作(先行車追従制御を開始するための操作)と同じ操作である。
【0022】
先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作するか、または、EPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が解除されて、状態32に移行する。また、状態32において、車両が停止して(車速が0)、ドライバがEPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が作動して、車両の停止保持制御が行われる状態35に移行する。
【0023】
先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオフになると、状態36に移行する。また、状態35において、先行車追従制御システムに異常が発生した場合、および、エンジン3の停止操作が行われた場合も、状態36に移行する。状態36は、先行車追従制御システムがオフになっているが、EPKB11が作動しており、車両の停止保持制御が行われている状態である。すなわち、先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、先行車追従制御を終了するための操作(メインスイッチ21のオフ操作またはエンジン3の停止操作)がドライバによって行われた場合には、EPKB11による停止保持制御は継続した状態で、先行車追従制御を終了する。
【0024】
状態36において、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンになると、状態35に移行する。また、状態36において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作するか、または、EPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が解除されて、状態31に移行する。状態31において、車両が停止して(車速が0)、ドライバがEPKB操作スイッチ12を操作すると、EPKB11が作動して、車両の停止保持制御が行われる状態36に移行する。
【0025】
先行車追従制御が行われている状態33において、ドライバがメインスイッチ21のオフ操作、または、エンジン3の停止操作を行うと、先行車追従制御を終了して、状態31に移行する。また、先行車追従制御システムに異常が発生した場合も、状態33から状態31に移行する。
【0026】
先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態34において、ドライバがメインスイッチ21のオフ操作、または、エンジン3の停止操作を行うと、先行車追従制御を終了して、状態36に移行する。すなわち、先行車追従制御が作動しており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態34において、先行車追従制御を終了するための操作(メインスイッチ21のオフ操作またはエンジン3の停止操作)がドライバによって行われると、EPKB11による停止保持制御は継続したまま、先行車追従制御だけを終了する。また、先行車追従制御システムに異常が発生した場合も、状態34から状態36に移行する。
【0027】
図4は、先行車追従制御が行われている状態33において、第1の実施の形態における先行車追従制御装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、車速センサ7によって検出される自車両の速度を取得して、ステップS20に進む。
【0028】
ステップS20では、車間距離センサ1によって検出される先行車までの車間距離を取得して、ステップS30に進む。ステップS30では、ステップS10で取得した車速、および、ステップS20で取得した車間距離に基づいて、先行車に追従して走行するための自車両の目標車速を算出する。目標車速は、既知の方法を用いて算出することができる。目標車速を算出すると、ステップS40に進む。
【0029】
ステップS40では、車速センサ7により検出された車速に基づいて、自車両の速度が0になったか否か、すなわち、自車両が停止したか否かを判定する。自車速が0であると判定するとステップS50に進む。ステップS50では、ステップS30で算出した目標車速が0であるか否かを判定する。目標車速が0であると判定するとステップS70に進み、0ではないと判定すると、ステップS60に進む。
【0030】
ステップS60では、図示しないアクセルペダルが踏まれたか否かを判定する。先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバがアクセルペダルを踏むことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。一方、アクセルペダルが踏まれていないと判定すると、ステップS70に進む。
【0031】
ステップS70では、車両の停止保持制御を行うために、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の作動命令を出すとともに、ブレーキアクチュエータ6に対して、油圧ブレーキ8を解除する指令を出す。この命令を受けたEPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14を制御することによって、EPKB11を作動させる。すなわち、車両の停止を保持するためのブレーキを油圧ブレーキ8からEPKB11に切り換える。上述したように、先行車追従制御は解除せず、作動させたままとする。これにより、図3の状態33から、状態34に移行する。
【0032】
ステップS70に続くステップS80では、EPKB11を解除する操作が行われたか否かを判定する。車両の停止保持制御が行われている状態でも、ドライバがEPKBスイッチ12を押すと、EPKB11が解除される。EPKB11を解除する操作が行われたと判定すると、ステップS90に進み、解除操作が行われていないと判定すると、車両の停止保持制御を継続して行う。
【0033】
ステップS90では、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の解除命令を出すとともに、ブレーキアクチュエータ6に対して、油圧ブレーキ8の作動指令を出す。ブレーキアクチュエータ6に出力する制動指令値は、車両を停止させるのに十分な値とする。EPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14に対して、EPKB11を解除させるための指令を出すが、EPKB11の解除時に、制動力を減少させる時間を、通常の解除時より遅くする。通常の解除時とは、状態34において、ドライバがEPKBスイッチ12を押すことにより、EPKB11を解除する時以外のEPKB解除時であり、例えば、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11が作動している状態(状態35または36)において、ドライバがアクセルペダルやEPKBスイッチ12を操作した時や、状態34において、ドライバがアクセルペダルやセット/コーストスイッチ23を操作する時などである。
【0034】
図5は、ステップS90において、EPKB11を解除させる際のEPKB11の制動力の変化、および、通常のEPKB11の解除時のEPKB11の制動力の変化をそれぞれ示す図である。図5の実線がステップS90で行われる制御時の変化を示しており、点線が通常解除時の変化を示している。ステップS90では、EPKB11による車両停止保持制御から、油圧ブレーキ8による車両停止制御へと切り換えるが、図5に示すように、通常のEPKB11の解除時よりも、制動力の減少を遅らせることにより、EPKB11から油圧ブレーキ8への切り換えを行っている間でも、車両の停止を確実に保持することができる。ステップS90の処理を行うと、ステップS10に戻る。
【0035】
なお、油圧ブレーキ8による車両停止保持制御は、ブレーキアクチュエータ6に長時間、電流を流し続けることを防ぐため、所定の時間だけ行うようにする。すなわち、所定の時間が経過すると、油圧ブレーキ8による車両停止保持制御から、EPKB11による車両停止保持制御に切り換えるようにする。なお、EPKB11による停止保持制御が行われている場合には、停止保持制御が行われていることをドライバに知らせるための表示等を行うことが好ましい。
【0036】
一方、ステップS40において、自車両の速度が0ではないと判定すると、ステップS100に進む。ステップS100では、ステップS30で算出した目標車速および現在の自車両の速度に基づいて、車両の加減速を行うためのスロットルアクチュエータ指令値を算出する。ここでは、車速が目標車速より低い場合に、車両を加速させるための指令値を正の値として算出し、車速が目標車速より高い場合に、車両を減速させるための指令値を負の値として算出する。スロットルアクチュエータ5への指令値を算出すると、ステップS110に進む。
【0037】
ステップS110では、ステップS100で算出したスロットルアクチュエータ指令値が正の値であるか否かを判定する。指令値が正の値であると判定するとステップS140に進む。ステップS140では、ステップS100で算出した指令値をスロットルアクチュエータ5に出力する。この指令値に基づいて、スロットルアクチュエータ5がスロットルバルブ(不図示)の開度を制御することにより、車両が加速して、車両の速度を目標車速に到達させることができる。
【0038】
一方、ステップS110において、指令値が負の値であると判定すると、ステップS120に進む。ステップS120では、スロットルアクチュエータ5に対して、指令値0の指令を出力して、ステップS130に進む。ステップS130では、油圧ブレーキ8を作動させるための目標制動液圧を算出するとともに、算出した目標制動液圧に基づいた指令値をブレーキアクチュエータ6に出力する。この指令値に基づいて、ブレーキアクチュエータ6が油圧ブレーキ8を作動させることにより、車両が減速して、車両の速度を目標車速に一致させることができる。ステップS130またはS140の処理を行うと、ステップS10に戻る。
【0039】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われている時に、先行車に追従して自車両が停止すると、車両の減速時に用いられる油圧ブレーキ8から、車両の停止を保持するためのEPKB11に切り換えて、車両の停止を保持し、車両が停止している状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、EPKB11による車両の停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、先行車追従制御が行われていて、車両が自動的に停止している状態で、ドライバが誤って、先行車追従制御を終了する操作を行ってしまっても、車両の停止状態を維持することができ、車両の不用意な発進を防ぐことができる。例えば、ドライバが意図せずに、キャンセルスイッチ24を押したり、ブレーキペダルを踏むなどの操作を行った場合でも、EPKB11による車両の停止保持制御は継続したまま、先行車追従制御だけを解除することができる。また、メインスイッチ21をオフにしたり、エンジン3を停止させる操作が行われた場合でも、EPKB11による車両の停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御だけを終了するので、例えば、車両が坂道で停止している場合でも、車両の不用意な発進を防ぐことができる。
【0040】
また、第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、所定の操作が行われると、EPKB11による停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を開始または作動待機状態にするようにした。これにより、車両の停止保持制御が行われている状態でも、先行車追従制御を開始または作動待機状態にすることができる。また、所定の操作を、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御を開始または作動待機状態にするための操作と同一の操作としたので、停止保持制御が行われている状態でも、容易に先行車追従制御を開始することができ、ドライバにとって利便性が高い。
【0041】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、EPKB11を解除する操作がドライバによって行われると、EPKB11を解除するとともに、油圧ブレーキ8を作動させる。これにより、ドライバが誤って、EPKBスイッチ12を押してしまった場合でも、車両の停止を保持することができる。また、EPKB11を解除して、油圧ブレーキ8を作動させる際に、EPKB11の制動力の減少速度を、通常のEPKB11の解除時の減少速度より遅くしたので、車両の停止を確実に保持することができる。
【0042】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバがアクセルペダルや、セット/コーストスイッチ23等を操作した場合に、EPKB11を解除した。すなわち、先行車追従制御よりも停止保持制御を優先して行うようにして、先行車が発進した場合でも、ドライバによる発進意図が明確にならない限り、停止保持制御を行うようにしたので、ドライバの意図に応じた制御を行うことができる。
【0043】
−第2の実施の形態−
図6は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図であり、図1に示す第1の実施の形態における先行車追従制御装置の構成図に対して、ディスプレイ20およびスピーカ30が追加されている。ディスプレイ20は、車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた表示を行う。スピーカ30も車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた音を出力する。
【0044】
第2の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御に関する各制御状態(図3参照)のうち、車両が現在どの状態にあるのかをドライバが認識できるような表示を行う。具体的には、先行車追従制御に関する各制御状態のうち、先行車追従制御が行われている状態33(図3参照)、先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34、先行車追従制御が作動待機中である状態32、および、先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態35の各状態が識別できるような表示を行う。
【0045】
図7は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS200の処理を開始する。ステップS200では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動中である(状態33)ことを示す表示を行う。図8は、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例である。
【0046】
ステップS200に続くステップS210では、停止保持制御が開始されたか否かを判定する。上述したように、先行車追従制御中に、先行車に追従して自車両が停止すると、EPKB11が作動して、停止保持制御が行われる。停止保持制御が開始されていないと判定すると、ステップS200で待機して、先行車追従制御が作動中であることを示す表示(図8参照)を継続して行う。一方、停止保持制御が開始されたと判定すると、ステップS220に進む。
【0047】
ステップS220では、図3に示す状態33から状態34に移行したこと、すなわち、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が開始されたことをドライバに報知するための音をスピーカ30から出力する。例えば、「ピッ!」という音を出力することによって、停止保持制御が開始されたことをドライバに知らせる。
【0048】
ステップS220に続くステップS230では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中である(状態34)ことを示す表示を行う。図9は、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例である。図9に示す表示例では、「SET」という文字とともに、ボタンを押し下げる様子を示す絵を表示している。この表示例では、セット/コーストスイッチ23を押すことにより、停止保持制御を解除して先行車追従制御による加速(発進)ができることを視覚的に分かるような表示をしている。すなわち、ドライバは、ディスプレイ20の表示が図8に示す表示から図9に示す表示に切り替わったことを確認することにより、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動したことを認識することができ、また、図9に示す表示を確認することにより、セット/コーストスイッチ23を押せば、停止保持制御を解除することができることを認識することができる。
【0049】
ステップS230に続くステップS240では、先行車追従制御を作動待機状態とするための操作が行なわれたか否か、すなわち、上述した(a)〜(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したか否かを判定する。(a)〜(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したと判定すると、ステップS250に進む。ステップS250では、停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御を待機状態とする。これにより、図3に示す状態34から状態35に移行する。この時、ディスプレイ20の表示を、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示に切り換える。図10は、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例である。なお、図3に示す状態32であることを示す表示も図10に示す表示と同様である。
【0050】
一方、ステップS240において、上述した(a)〜(d)のいずれの条件も成立していないと判定すると、ステップS260に進む。ステップS260では、メインスイッチ21のオフ操作が行われたか否かを判定する。メインスイッチ21のオフ操作が行われたと判定すると、ステップS270に進む。ステップ270では、停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御を終了する。これにより、図3に示す状態34から状態36に移行する。この時、ディスプレイ20の表示を、先行車追従制御システムがオフしたことを示す表示に切り換える。
【0051】
一方、ステップS260において、メインスイッチ21のオフ操作が行われていないと判定すると、ステップS230に戻る。
【0052】
第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、停止保持制御が作動中であることを示す表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御による自動走行が行われている状態から、車両の停止を保持する状態に移行したことを視認することができる。逆に、停止保持制御が作動中であることを示す表示が無ければ、先行車追従制御が継続して行われていると判断することができる。
【0053】
また、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、停止保持制御が行われている状態で先行車追従制御が終了すると、先行車追従制御が作動していない旨の表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御が作動していないことを視認することができる。
【0054】
さらに、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示するので、ドライバは、車両を発進させるために必要な操作方法を容易に認識することができる。特に、車両を発進させるために必要な操作方法を文字、記号や絵のうちの少なくとも1つで表示することにより、ドライバは、迅速かつ容易に操作方法を認識することができる。
【0055】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはない。上述した第1および第2の実施の形態では、先行車追従制御の作動時に車両が停止すると、油圧ブレーキ8から、EPKB11に切り換えて、車両の停止を保持するようにしたが、他のシステムによって、車両の停止を保持するようにしてもよい。油圧ブレーキ8は、ブレーキペダルの踏み込みによりブレーキ圧液を押し出すマスタシリンダ(不図示)と、マスタシリンダからの液圧によりブレーキをかけるホイールシリンダ(不図示)とを備えた構成となっているが、例えば、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に、電磁弁を設けて、車両の停止時に、電磁弁を閉じて、ブレーキ圧液を閉じこめることにより、車両の停止を保持する自動停止保持装置を利用することもできる。
【0056】
図11は、自動停止保持装置を備えた車両の構成図である。図1に示す構成に対して、EPKB11、EPKBスイッチ12、EPKBコントローラ13およびEPKBアクチュエータ14の代わりに、自動停止保持装置51および自動停止保持スイッチ52を備えている。自動停止保持装置51は、上述したような構成を備えた車両の停止を保持する装置であり、自動停止保持スイッチ52は、自動停止保持装置51が作動可能な状態/作動不可能な状態に切り換えるためのスイッチである。EPKB11による停止保持制御の場合と同様に、自動停止保持装置51が作動可能な状態であり、かつ、先行車追従制御が行われている状態で、車両が停止すると、自動停止保持装置51が作動して、車両の停止が保持される。
【0057】
自動停止保持装置51を用いた構成でも、車両の停止保持をEPKB11の代わりに、自動停止保持装置51が行うだけで、一実施の形態における先行車追従制御が行う処理と同じ処理を行うことができる。例えば、先行車追従制御が行われており、かつ、自動停止保持装置51による停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、自動停止保持装置51による車両の停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、ドライバが誤って、先行車追従制御を終了する操作を行ってしまっても、車両の停止状態を維持することができる。
【0058】
また、先行車追従制御が作動しており、かつ、自動停止保持装置51による車両の停止保持制御が行われている状態で、ドライバが自動停止保持スイッチ52を押すことにより、停止保持制御が解除されると、自動停止保持装置51による停止保持制御を解除するとともに、ブレーキアクチュエータ6に指令を出して、油圧ブレーキ8を作動させる。すなわち、ブレーキ圧液を閉じこめるための電磁弁(不図示)を開いて、停止保持制御を解除するとともに、ブレーキアクチュエータ6によって、油圧ブレーキ8を作動させる。
【0059】
車両の停止保持制御は、上述したEPKB11や、自動停止保持装置51以外の装置を用いるようにしてもよい。ただし、自動停止保持制御が作動している状態での油圧ブレーキ8による車両停止保持制御は、ブレーキアクチュエータ6に長時間、電流を流し続けることになるため、ブレーキアクチュエータ6の耐久スペックを過度のものにする必要がある。従って、ブレーキアクチュエータ以外のシステムを用いて、停止保持制御を行うことが好ましい。なお、EPKB11および自動停止保持装置51の両方を備えるようにして、状況に応じて、EPKB11および自動停止保持装置51を使い分けるようにしてもよい。
【0060】
先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34から、停止保持制御が作動しており、かつ、先行車追従制御が作動待機状態である状態35に移行するためには、先の(a)〜(d)のいずれか1つの条件が成立した時としたが、(a)〜(d)以外の他の条件を追加するようにしてもよい。
【0061】
第2の実施の形態では、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例を図8に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例を図9に、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例を図10にそれぞれ示したが、表示方法は、図示したものに限定されることはなく、現在の制御状態が認識できるものであればよい。
【0062】
図12は、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す他の表示例である。図12に示す表示例では、エクスクラメーションマーク(!)を表示することによって、停止保持制御が作動中であることを示している。ドライバは、普段の運転操作時に、EPKB11が作動すると、エクスクラメーションマークがディスプレイ20に表示され、車両を発進させるために、アクセルペダルを踏み込むと、エクスクラメーションマークが消えることを知っている。すなわち、エクスクラメーションマークを表示することによって、「アクセルペダルを踏み込めば、車両が発進して、先行車追従制御を開始させることができる」ことを間接的にドライバに知らせることができる。
【0063】
上述した第1および第2の実施の形態では、先行車追従制御が行われている状態33において、先行車に追従して、自車両が減速をして停止すると、状態34に移行した。しかし、自車両が完全に停止する前に、停止保持制御を開始するようにしてもよい。例えば、先行車の減速に伴い、自車両の速度が5km/h以下になると、停止動作に入ると判断して停止保持制御を開始してもよい。この場合、自車両の速度が5km/h以下になると、ディスプレイ20の表示を図8に示す表示から図9に示す表示に切り換えるとともに、先行車が再び加速しても追従せずに、停止動作を行ってからEPKB11に切り換える。
【0064】
特許請求の範囲の構成要素と第1および第2の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、制御装置2が先行車追従制御終了判定手段、制御手段、解除操作判定手段、および、ブレーキ切り換え手段を、ディスプレイ20が表示手段を、スピーカ30が報知手段をそれぞれ構成する。また、請求項に記載の第1のブレーキは、実施の形態に記載の油圧ブレーキ8に対応し、第2のブレーキは、EPKB11または自動停止保持装置51に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図
【図2】操作スイッチの詳細な構成を示す図
【図3】先行車追従制御に関する各制御状態の遷移図
【図4】先行車追従制御が行われている状態において、一実施の形態における先行車追従制御装置により行われる処理内容を示すフローチャート
【図5】EPKBを解除させる際の制動力の変化、および、通常のEPKBの解除時の制動力の変化をそれぞれ示す図
【図6】第2の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図
【図7】第2の実施の形態における先行車追従制御装置によって行われる処理内容を示すフローチャート
【図8】停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例
【図9】先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例
【図10】先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例
【図11】EPKBの代わりに、自動停止保持装置を備えた車両の主要構成図
【図12】先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す他の表示例
【符号の説明】
【0066】
1…車間距離センサ、2…制御装置、3…エンジン、4…自動変速機、5…スロットルアクチュエータ、6…ブレーキアクチュエータ、7…車速センサ、8…油圧ブレーキ、9…ディファレンシャル、10…操作スイッチ、11…電動パーキングブレーキ、12…電動パーキングブレーキスイッチ、13…電動パーキングブレーキコントローラ、14…電動パーキングブレーキアクチュエータ、15…ブレーキセンサ、16…アクセルセンサ、20…ディスプレイ、30…スピーカ、51…自動停止保持装置、52…自動停止保持スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車に追従して走行する先行車追従制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先行車との車間距離を一定の距離に保つ先行車追従制御装置において、車両の走行中には、油圧ブレーキを用い、車両が停止すると、電動パーキングブレーキに切り換えて、車両の停止を保持する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−9914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置において、車両の停止保持が行われている状態で、ドライバが先行車追従制御を終了する操作を行った場合に、電動パーキングブレーキを解除してしまうと、ドライバが先行車追従制御を終了する操作を無意識的に行った場合でも、車両が発進してしまうのは、好ましくないという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による先行車追従制御装置は、先行車に追従して自動走行するための制御を行うとともに、車両の停止時には、車両の停止を保持する制御を行うものであって、停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が作動している状態で車両の停止保持制御が行われている時に、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了するので、ドライバが無意識的に先行車追従制御を終了する操作を行った場合でも、車両の発進を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図である。この車両は、車間距離センサ1と、制御装置2と、エンジン3と、自動変速機4と、スロットルアクチュエータ5と、ブレーキアクチュエータ6と、車速センサ7と、油圧ブレーキ8と、ディファレンシャル9と、操作スイッチ10と、電動パーキングブレーキ11(以下、EPKB11)と、電動パーキングブレーキスイッチ12(以下、EPKBスイッチ12)と、電動パーキングブレーキコントローラ13(以下、EPKBコントローラ13)と、電動パーキングブレーキアクチュエータ14(以下、EPKBアクチュエータ14)と、ブレーキセンサ15と、アクセルセンサ16とを備える。
【0008】
車間距離センサ1は、レーダ装置を備えており、車両前方にレーザ光を送出することによって、先行車を検出するとともに、検出した先行車までの車間距離を検出する。車速センサ7は、車両の速度を検出する。制御装置2は、車間距離センサ1により検出される車間距離、および、車速センサ7によって検出される自車両の速度に基づいて、自車両が先行車両に追従して自動走行するための先行車追従制御を行う。すなわち、予め設定されている車速を上限として、自車両と先行車両との車間距離が一定距離に保たれるように、スロットルアクチュエータ5およびブレーキアクチュエータ6を制御する。
【0009】
スロットルアクチュエータ5は、制御装置2からの指令に基づいて、図示しないスロットルバルブの開閉を制御することによって、車両の加減速を制御する。ブレーキアクチュエータ6は、制御装置2からの指令に基づいて、各車輪に設けられている油圧ブレーキ8の制動力を制御する。油圧ブレーキ8は、ブレーキアクチュエータ6による制御によって作動するとともに、ドライバがブレーキペダル(不図示)を操作することによって作動する。
【0010】
EPKB11は、左右の後輪に取り付けられており、図示しない摩擦材をブレーキディスクに押し付けることによって、車輪をロックする。EPKBスイッチ12は、EPKB11の作動/解除を行うためのスイッチであり、ドライバによって操作される。EPKBアクチュエータ14は、ドライバによるEPKBスイッチ12の操作、または、EPKBコントローラ13からの指令に基づいて、EPKB11の作動/解除を行う。EPKBアクチュエータ14は、例えば、電動モータであり、図示しないブレーキワイヤを巻き取ることによって、EPKB11を作動、すなわち、図示しない摩擦材をブレーキディスクに押し付ける。
【0011】
ブレーキセンサ15は、図示しないブレーキペダルがドライバによって操作されたことを検出する。アクセルセンサ16は、図示しないアクセルペダルが操作されたことを検出する。
【0012】
図2は、先行車追従制御の各種操作を行うための操作スイッチ10の詳細な構成を示す図である。この操作スイッチ10は、ステアリング上のドライバが操作しやすい位置に設けられている。メインスイッチ21は、先行車追従制御システムのオン/オフを行うためのスイッチである。リジューム/アクセラレートスイッチ22は、先行車追従制御が行われている時に、速度を上昇させるためのスイッチであり、セット/コーストスイッチ23は、先行車追従制御が行われている時に、速度を減少させるためのスイッチである。セット/コーストスイッチ23は、また、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンの状態の時に、先行車追従制御を開始するためのスイッチでもある。
【0013】
キャンセルスイッチ24は、先行車追従制御が行われている場合に、先行車追従制御を解除するためのスイッチである。車間設定スイッチ25は、先行車までの車間距離(目標車間距離)を変更するためのスイッチである。
【0014】
図3は、先行車追従制御に関する各制御状態の遷移図である。状態31は、操作スイッチ10のメインスイッチ21がオフの状態、すなわち、先行車追従制御システムがオフの状態である。この状態から、メインスイッチ21が押されると、状態32に移行する。状態32は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御(ACC)が開始されていない作動待機状態である。この状態でメインスイッチ21が押されると、先行車追従制御システムがオフとなり、状態31に移行する。また、先行車追従制御システムに異常が発生したことが検知された場合も、状態32から状態31に移行する。
【0015】
状態33は、先行車追従制御が行われている状態である。状態32から状態33に移行するためには、車速が10km/h〜100km/hであって、ドライバが図示しないブレーキペダルの操作を行っておらず、かつ、セット/コーストスイッチ23が操作されるという3つの条件が成立することが必要である。逆に、先行車追従制御が行われている状態33から状態32に移行するためには、以下の(a)〜(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立することが必要である。
(a)ドライバがブレーキペダルの操作を行う
(b)キャンセルスイッチ24が操作される
(c)自動変速機4のシフト位置がドライブ(D)以外の位置に動かされる
(d)ワイパが所定回数以上、連続して作動する
すなわち、(a)〜(d)は、先行車追従制御を終了(解除)するための操作であり、ドライバが(a)〜(d)のいずれかの操作を行うと、先行車追従制御の待機状態である状態32に移行する。なお、ドライバによるブレーキペダルの操作の有無は、ブレーキセンサ15によって検知されて、制御装置2に入力される。
【0016】
状態34は、先行車追従制御が行われており、かつ、車両の停止を保持する停止保持制御が行われている状態である。先行車追従制御が行われている状態33において、先行車に追従して、自車両が減速をして停止すると、状態34に移行する。先行車追従制御が行われている状態33では、制御装置2は、車両の減速が必要と判断すると、ブレーキアクチュエータ6によって、油圧ブレーキ8を作動させる。その後、先行車が停止したことに伴って、自車両を停止させると、制御装置2は、車両の停止状態を保持するためのブレーキを、油圧ブレーキ8から、EPKB11に切り換える。すなわち、車両が停止すると、制御装置2は、ブレーキアクチュエータ6による油圧ブレーキの作動を解除させるとともに、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の作動命令を出す。この命令を受けたEPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14を作動させて、EPKB11を作動させる。EPKB11によって車両を停止保持させる制御を、ここでは、停止保持制御と呼ぶ。
【0017】
EPKB11が作動している状態34において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する。すなわち、この先行車追従制御システムでは、先行車が発進しても、先行車追従制御による車両の発進を行わずに、ドライバによる所定の発進操作が行われた場合、すなわち、アクセルセンサ16によって、アクセルペダルが操作されたことが検知されると、車両を発進させる。なお、所定の発進操作は、アクセルペダルの操作以外にも、例えば、図2のセット/コーストスイッチ23の操作であってもよく、ドライバの発進意図が明確となれば、他の任意のスイッチでもよい。
【0018】
先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34において、上述した(a)〜(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立すると、状態35に移行する。状態35は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御が開始されていない待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態である。
【0019】
すなわち、第1の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバが先行車追従制御を終了(解除)するための操作を行うと、停止保持制御は継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、ドライバが意図せずに、ブレーキペダルを踏んでしまったり、キャンセルスイッチ24を押してしまった場合でも、EPKB11が作動したままとなっているので、車両の不用意な発進を防止することができる。
【0020】
状態35から状態34に移行するためには、次の(e)〜(h)の4つの条件が全て成立することが必要である。
(e)車両が停止している(車速が0である)
(f)EPKB11が作動している
(g)ドライバがブレーキ操作を行っていない
(h)セット/コーストスイッチ23が操作される
【0021】
すなわち、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行する。この操作は、先行車追従制御が行われていない状態32から、先行車追従制御が行われる状態33に移行するための操作(先行車追従制御を開始するための操作)と同じ操作である。
【0022】
先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作するか、または、EPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が解除されて、状態32に移行する。また、状態32において、車両が停止して(車速が0)、ドライバがEPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が作動して、車両の停止保持制御が行われる状態35に移行する。
【0023】
先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオフになると、状態36に移行する。また、状態35において、先行車追従制御システムに異常が発生した場合、および、エンジン3の停止操作が行われた場合も、状態36に移行する。状態36は、先行車追従制御システムがオフになっているが、EPKB11が作動しており、車両の停止保持制御が行われている状態である。すなわち、先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、先行車追従制御を終了するための操作(メインスイッチ21のオフ操作またはエンジン3の停止操作)がドライバによって行われた場合には、EPKB11による停止保持制御は継続した状態で、先行車追従制御を終了する。
【0024】
状態36において、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンになると、状態35に移行する。また、状態36において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作するか、または、EPKBスイッチ12を操作すると、EPKB11が解除されて、状態31に移行する。状態31において、車両が停止して(車速が0)、ドライバがEPKB操作スイッチ12を操作すると、EPKB11が作動して、車両の停止保持制御が行われる状態36に移行する。
【0025】
先行車追従制御が行われている状態33において、ドライバがメインスイッチ21のオフ操作、または、エンジン3の停止操作を行うと、先行車追従制御を終了して、状態31に移行する。また、先行車追従制御システムに異常が発生した場合も、状態33から状態31に移行する。
【0026】
先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態34において、ドライバがメインスイッチ21のオフ操作、または、エンジン3の停止操作を行うと、先行車追従制御を終了して、状態36に移行する。すなわち、先行車追従制御が作動しており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態34において、先行車追従制御を終了するための操作(メインスイッチ21のオフ操作またはエンジン3の停止操作)がドライバによって行われると、EPKB11による停止保持制御は継続したまま、先行車追従制御だけを終了する。また、先行車追従制御システムに異常が発生した場合も、状態34から状態36に移行する。
【0027】
図4は、先行車追従制御が行われている状態33において、第1の実施の形態における先行車追従制御装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、車速センサ7によって検出される自車両の速度を取得して、ステップS20に進む。
【0028】
ステップS20では、車間距離センサ1によって検出される先行車までの車間距離を取得して、ステップS30に進む。ステップS30では、ステップS10で取得した車速、および、ステップS20で取得した車間距離に基づいて、先行車に追従して走行するための自車両の目標車速を算出する。目標車速は、既知の方法を用いて算出することができる。目標車速を算出すると、ステップS40に進む。
【0029】
ステップS40では、車速センサ7により検出された車速に基づいて、自車両の速度が0になったか否か、すなわち、自車両が停止したか否かを判定する。自車速が0であると判定するとステップS50に進む。ステップS50では、ステップS30で算出した目標車速が0であるか否かを判定する。目標車速が0であると判定するとステップS70に進み、0ではないと判定すると、ステップS60に進む。
【0030】
ステップS60では、図示しないアクセルペダルが踏まれたか否かを判定する。先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバがアクセルペダルを踏むことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。一方、アクセルペダルが踏まれていないと判定すると、ステップS70に進む。
【0031】
ステップS70では、車両の停止保持制御を行うために、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の作動命令を出すとともに、ブレーキアクチュエータ6に対して、油圧ブレーキ8を解除する指令を出す。この命令を受けたEPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14を制御することによって、EPKB11を作動させる。すなわち、車両の停止を保持するためのブレーキを油圧ブレーキ8からEPKB11に切り換える。上述したように、先行車追従制御は解除せず、作動させたままとする。これにより、図3の状態33から、状態34に移行する。
【0032】
ステップS70に続くステップS80では、EPKB11を解除する操作が行われたか否かを判定する。車両の停止保持制御が行われている状態でも、ドライバがEPKBスイッチ12を押すと、EPKB11が解除される。EPKB11を解除する操作が行われたと判定すると、ステップS90に進み、解除操作が行われていないと判定すると、車両の停止保持制御を継続して行う。
【0033】
ステップS90では、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の解除命令を出すとともに、ブレーキアクチュエータ6に対して、油圧ブレーキ8の作動指令を出す。ブレーキアクチュエータ6に出力する制動指令値は、車両を停止させるのに十分な値とする。EPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14に対して、EPKB11を解除させるための指令を出すが、EPKB11の解除時に、制動力を減少させる時間を、通常の解除時より遅くする。通常の解除時とは、状態34において、ドライバがEPKBスイッチ12を押すことにより、EPKB11を解除する時以外のEPKB解除時であり、例えば、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11が作動している状態(状態35または36)において、ドライバがアクセルペダルやEPKBスイッチ12を操作した時や、状態34において、ドライバがアクセルペダルやセット/コーストスイッチ23を操作する時などである。
【0034】
図5は、ステップS90において、EPKB11を解除させる際のEPKB11の制動力の変化、および、通常のEPKB11の解除時のEPKB11の制動力の変化をそれぞれ示す図である。図5の実線がステップS90で行われる制御時の変化を示しており、点線が通常解除時の変化を示している。ステップS90では、EPKB11による車両停止保持制御から、油圧ブレーキ8による車両停止制御へと切り換えるが、図5に示すように、通常のEPKB11の解除時よりも、制動力の減少を遅らせることにより、EPKB11から油圧ブレーキ8への切り換えを行っている間でも、車両の停止を確実に保持することができる。ステップS90の処理を行うと、ステップS10に戻る。
【0035】
なお、油圧ブレーキ8による車両停止保持制御は、ブレーキアクチュエータ6に長時間、電流を流し続けることを防ぐため、所定の時間だけ行うようにする。すなわち、所定の時間が経過すると、油圧ブレーキ8による車両停止保持制御から、EPKB11による車両停止保持制御に切り換えるようにする。なお、EPKB11による停止保持制御が行われている場合には、停止保持制御が行われていることをドライバに知らせるための表示等を行うことが好ましい。
【0036】
一方、ステップS40において、自車両の速度が0ではないと判定すると、ステップS100に進む。ステップS100では、ステップS30で算出した目標車速および現在の自車両の速度に基づいて、車両の加減速を行うためのスロットルアクチュエータ指令値を算出する。ここでは、車速が目標車速より低い場合に、車両を加速させるための指令値を正の値として算出し、車速が目標車速より高い場合に、車両を減速させるための指令値を負の値として算出する。スロットルアクチュエータ5への指令値を算出すると、ステップS110に進む。
【0037】
ステップS110では、ステップS100で算出したスロットルアクチュエータ指令値が正の値であるか否かを判定する。指令値が正の値であると判定するとステップS140に進む。ステップS140では、ステップS100で算出した指令値をスロットルアクチュエータ5に出力する。この指令値に基づいて、スロットルアクチュエータ5がスロットルバルブ(不図示)の開度を制御することにより、車両が加速して、車両の速度を目標車速に到達させることができる。
【0038】
一方、ステップS110において、指令値が負の値であると判定すると、ステップS120に進む。ステップS120では、スロットルアクチュエータ5に対して、指令値0の指令を出力して、ステップS130に進む。ステップS130では、油圧ブレーキ8を作動させるための目標制動液圧を算出するとともに、算出した目標制動液圧に基づいた指令値をブレーキアクチュエータ6に出力する。この指令値に基づいて、ブレーキアクチュエータ6が油圧ブレーキ8を作動させることにより、車両が減速して、車両の速度を目標車速に一致させることができる。ステップS130またはS140の処理を行うと、ステップS10に戻る。
【0039】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われている時に、先行車に追従して自車両が停止すると、車両の減速時に用いられる油圧ブレーキ8から、車両の停止を保持するためのEPKB11に切り換えて、車両の停止を保持し、車両が停止している状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、EPKB11による車両の停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、先行車追従制御が行われていて、車両が自動的に停止している状態で、ドライバが誤って、先行車追従制御を終了する操作を行ってしまっても、車両の停止状態を維持することができ、車両の不用意な発進を防ぐことができる。例えば、ドライバが意図せずに、キャンセルスイッチ24を押したり、ブレーキペダルを踏むなどの操作を行った場合でも、EPKB11による車両の停止保持制御は継続したまま、先行車追従制御だけを解除することができる。また、メインスイッチ21をオフにしたり、エンジン3を停止させる操作が行われた場合でも、EPKB11による車両の停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御だけを終了するので、例えば、車両が坂道で停止している場合でも、車両の不用意な発進を防ぐことができる。
【0040】
また、第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、所定の操作が行われると、EPKB11による停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を開始または作動待機状態にするようにした。これにより、車両の停止保持制御が行われている状態でも、先行車追従制御を開始または作動待機状態にすることができる。また、所定の操作を、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御を開始または作動待機状態にするための操作と同一の操作としたので、停止保持制御が行われている状態でも、容易に先行車追従制御を開始することができ、ドライバにとって利便性が高い。
【0041】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、EPKB11を解除する操作がドライバによって行われると、EPKB11を解除するとともに、油圧ブレーキ8を作動させる。これにより、ドライバが誤って、EPKBスイッチ12を押してしまった場合でも、車両の停止を保持することができる。また、EPKB11を解除して、油圧ブレーキ8を作動させる際に、EPKB11の制動力の減少速度を、通常のEPKB11の解除時の減少速度より遅くしたので、車両の停止を確実に保持することができる。
【0042】
第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバがアクセルペダルや、セット/コーストスイッチ23等を操作した場合に、EPKB11を解除した。すなわち、先行車追従制御よりも停止保持制御を優先して行うようにして、先行車が発進した場合でも、ドライバによる発進意図が明確にならない限り、停止保持制御を行うようにしたので、ドライバの意図に応じた制御を行うことができる。
【0043】
−第2の実施の形態−
図6は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図であり、図1に示す第1の実施の形態における先行車追従制御装置の構成図に対して、ディスプレイ20およびスピーカ30が追加されている。ディスプレイ20は、車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた表示を行う。スピーカ30も車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた音を出力する。
【0044】
第2の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御に関する各制御状態(図3参照)のうち、車両が現在どの状態にあるのかをドライバが認識できるような表示を行う。具体的には、先行車追従制御に関する各制御状態のうち、先行車追従制御が行われている状態33(図3参照)、先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34、先行車追従制御が作動待機中である状態32、および、先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態35の各状態が識別できるような表示を行う。
【0045】
図7は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS200の処理を開始する。ステップS200では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動中である(状態33)ことを示す表示を行う。図8は、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例である。
【0046】
ステップS200に続くステップS210では、停止保持制御が開始されたか否かを判定する。上述したように、先行車追従制御中に、先行車に追従して自車両が停止すると、EPKB11が作動して、停止保持制御が行われる。停止保持制御が開始されていないと判定すると、ステップS200で待機して、先行車追従制御が作動中であることを示す表示(図8参照)を継続して行う。一方、停止保持制御が開始されたと判定すると、ステップS220に進む。
【0047】
ステップS220では、図3に示す状態33から状態34に移行したこと、すなわち、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が開始されたことをドライバに報知するための音をスピーカ30から出力する。例えば、「ピッ!」という音を出力することによって、停止保持制御が開始されたことをドライバに知らせる。
【0048】
ステップS220に続くステップS230では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中である(状態34)ことを示す表示を行う。図9は、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例である。図9に示す表示例では、「SET」という文字とともに、ボタンを押し下げる様子を示す絵を表示している。この表示例では、セット/コーストスイッチ23を押すことにより、停止保持制御を解除して先行車追従制御による加速(発進)ができることを視覚的に分かるような表示をしている。すなわち、ドライバは、ディスプレイ20の表示が図8に示す表示から図9に示す表示に切り替わったことを確認することにより、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動したことを認識することができ、また、図9に示す表示を確認することにより、セット/コーストスイッチ23を押せば、停止保持制御を解除することができることを認識することができる。
【0049】
ステップS230に続くステップS240では、先行車追従制御を作動待機状態とするための操作が行なわれたか否か、すなわち、上述した(a)〜(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したか否かを判定する。(a)〜(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したと判定すると、ステップS250に進む。ステップS250では、停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御を待機状態とする。これにより、図3に示す状態34から状態35に移行する。この時、ディスプレイ20の表示を、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示に切り換える。図10は、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例である。なお、図3に示す状態32であることを示す表示も図10に示す表示と同様である。
【0050】
一方、ステップS240において、上述した(a)〜(d)のいずれの条件も成立していないと判定すると、ステップS260に進む。ステップS260では、メインスイッチ21のオフ操作が行われたか否かを判定する。メインスイッチ21のオフ操作が行われたと判定すると、ステップS270に進む。ステップ270では、停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御を終了する。これにより、図3に示す状態34から状態36に移行する。この時、ディスプレイ20の表示を、先行車追従制御システムがオフしたことを示す表示に切り換える。
【0051】
一方、ステップS260において、メインスイッチ21のオフ操作が行われていないと判定すると、ステップS230に戻る。
【0052】
第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、停止保持制御が作動中であることを示す表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御による自動走行が行われている状態から、車両の停止を保持する状態に移行したことを視認することができる。逆に、停止保持制御が作動中であることを示す表示が無ければ、先行車追従制御が継続して行われていると判断することができる。
【0053】
また、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、停止保持制御が行われている状態で先行車追従制御が終了すると、先行車追従制御が作動していない旨の表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御が作動していないことを視認することができる。
【0054】
さらに、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示するので、ドライバは、車両を発進させるために必要な操作方法を容易に認識することができる。特に、車両を発進させるために必要な操作方法を文字、記号や絵のうちの少なくとも1つで表示することにより、ドライバは、迅速かつ容易に操作方法を認識することができる。
【0055】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはない。上述した第1および第2の実施の形態では、先行車追従制御の作動時に車両が停止すると、油圧ブレーキ8から、EPKB11に切り換えて、車両の停止を保持するようにしたが、他のシステムによって、車両の停止を保持するようにしてもよい。油圧ブレーキ8は、ブレーキペダルの踏み込みによりブレーキ圧液を押し出すマスタシリンダ(不図示)と、マスタシリンダからの液圧によりブレーキをかけるホイールシリンダ(不図示)とを備えた構成となっているが、例えば、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に、電磁弁を設けて、車両の停止時に、電磁弁を閉じて、ブレーキ圧液を閉じこめることにより、車両の停止を保持する自動停止保持装置を利用することもできる。
【0056】
図11は、自動停止保持装置を備えた車両の構成図である。図1に示す構成に対して、EPKB11、EPKBスイッチ12、EPKBコントローラ13およびEPKBアクチュエータ14の代わりに、自動停止保持装置51および自動停止保持スイッチ52を備えている。自動停止保持装置51は、上述したような構成を備えた車両の停止を保持する装置であり、自動停止保持スイッチ52は、自動停止保持装置51が作動可能な状態/作動不可能な状態に切り換えるためのスイッチである。EPKB11による停止保持制御の場合と同様に、自動停止保持装置51が作動可能な状態であり、かつ、先行車追従制御が行われている状態で、車両が停止すると、自動停止保持装置51が作動して、車両の停止が保持される。
【0057】
自動停止保持装置51を用いた構成でも、車両の停止保持をEPKB11の代わりに、自動停止保持装置51が行うだけで、一実施の形態における先行車追従制御が行う処理と同じ処理を行うことができる。例えば、先行車追従制御が行われており、かつ、自動停止保持装置51による停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、自動停止保持装置51による車両の停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、ドライバが誤って、先行車追従制御を終了する操作を行ってしまっても、車両の停止状態を維持することができる。
【0058】
また、先行車追従制御が作動しており、かつ、自動停止保持装置51による車両の停止保持制御が行われている状態で、ドライバが自動停止保持スイッチ52を押すことにより、停止保持制御が解除されると、自動停止保持装置51による停止保持制御を解除するとともに、ブレーキアクチュエータ6に指令を出して、油圧ブレーキ8を作動させる。すなわち、ブレーキ圧液を閉じこめるための電磁弁(不図示)を開いて、停止保持制御を解除するとともに、ブレーキアクチュエータ6によって、油圧ブレーキ8を作動させる。
【0059】
車両の停止保持制御は、上述したEPKB11や、自動停止保持装置51以外の装置を用いるようにしてもよい。ただし、自動停止保持制御が作動している状態での油圧ブレーキ8による車両停止保持制御は、ブレーキアクチュエータ6に長時間、電流を流し続けることになるため、ブレーキアクチュエータ6の耐久スペックを過度のものにする必要がある。従って、ブレーキアクチュエータ以外のシステムを用いて、停止保持制御を行うことが好ましい。なお、EPKB11および自動停止保持装置51の両方を備えるようにして、状況に応じて、EPKB11および自動停止保持装置51を使い分けるようにしてもよい。
【0060】
先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34から、停止保持制御が作動しており、かつ、先行車追従制御が作動待機状態である状態35に移行するためには、先の(a)〜(d)のいずれか1つの条件が成立した時としたが、(a)〜(d)以外の他の条件を追加するようにしてもよい。
【0061】
第2の実施の形態では、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例を図8に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例を図9に、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例を図10にそれぞれ示したが、表示方法は、図示したものに限定されることはなく、現在の制御状態が認識できるものであればよい。
【0062】
図12は、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す他の表示例である。図12に示す表示例では、エクスクラメーションマーク(!)を表示することによって、停止保持制御が作動中であることを示している。ドライバは、普段の運転操作時に、EPKB11が作動すると、エクスクラメーションマークがディスプレイ20に表示され、車両を発進させるために、アクセルペダルを踏み込むと、エクスクラメーションマークが消えることを知っている。すなわち、エクスクラメーションマークを表示することによって、「アクセルペダルを踏み込めば、車両が発進して、先行車追従制御を開始させることができる」ことを間接的にドライバに知らせることができる。
【0063】
上述した第1および第2の実施の形態では、先行車追従制御が行われている状態33において、先行車に追従して、自車両が減速をして停止すると、状態34に移行した。しかし、自車両が完全に停止する前に、停止保持制御を開始するようにしてもよい。例えば、先行車の減速に伴い、自車両の速度が5km/h以下になると、停止動作に入ると判断して停止保持制御を開始してもよい。この場合、自車両の速度が5km/h以下になると、ディスプレイ20の表示を図8に示す表示から図9に示す表示に切り換えるとともに、先行車が再び加速しても追従せずに、停止動作を行ってからEPKB11に切り換える。
【0064】
特許請求の範囲の構成要素と第1および第2の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、制御装置2が先行車追従制御終了判定手段、制御手段、解除操作判定手段、および、ブレーキ切り換え手段を、ディスプレイ20が表示手段を、スピーカ30が報知手段をそれぞれ構成する。また、請求項に記載の第1のブレーキは、実施の形態に記載の油圧ブレーキ8に対応し、第2のブレーキは、EPKB11または自動停止保持装置51に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図
【図2】操作スイッチの詳細な構成を示す図
【図3】先行車追従制御に関する各制御状態の遷移図
【図4】先行車追従制御が行われている状態において、一実施の形態における先行車追従制御装置により行われる処理内容を示すフローチャート
【図5】EPKBを解除させる際の制動力の変化、および、通常のEPKBの解除時の制動力の変化をそれぞれ示す図
【図6】第2の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図
【図7】第2の実施の形態における先行車追従制御装置によって行われる処理内容を示すフローチャート
【図8】停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例
【図9】先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例
【図10】先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例
【図11】EPKBの代わりに、自動停止保持装置を備えた車両の主要構成図
【図12】先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す他の表示例
【符号の説明】
【0066】
1…車間距離センサ、2…制御装置、3…エンジン、4…自動変速機、5…スロットルアクチュエータ、6…ブレーキアクチュエータ、7…車速センサ、8…油圧ブレーキ、9…ディファレンシャル、10…操作スイッチ、11…電動パーキングブレーキ、12…電動パーキングブレーキスイッチ、13…電動パーキングブレーキコントローラ、14…電動パーキングブレーキアクチュエータ、15…ブレーキセンサ、16…アクセルセンサ、20…ディスプレイ、30…スピーカ、51…自動停止保持装置、52…自動停止保持スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行車に追従して自動走行するための制御(以下、先行車追従制御と呼ぶ)を行うとともに、先行車追従制御中に車両が停止すると、車両の停止を保持する停止保持手段を作動させて停止保持制御を行う制御手段と、
前記停止保持制御中に、前記先行車追従制御を終了する操作が行われたことを判定する先行車追従制御終了判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御を終了する操作には、エンジンの停止操作も含まれることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の先行車追従制御装置において、
前記制御手段は、前記先行車追従制御が行われておらず、かつ、前記停止保持制御が行われている状態において、所定の操作が行われると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を開始することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の先行車追従制御装置において、
前記所定の操作は、前記停止保持制御が行われていない状態において、前記先行車追従制御を開始するための操作と同一であることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記制御手段は、前記停止保持制御が行われている間に先行車両が発進した場合でも、前記先行車追従制御による制御よりも、前記停止保持制御を優先して行うことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記停止保持手段は、少なくとも車両の減速時に用いられる第1のブレーキとは、ブレーキの作動方法が異なる第2のブレーキを用いて、前記停止保持制御を行い、
前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたことを判定する解除操作判定手段と、
前記解除操作判定手段によって、前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたと判定されると、前記第2のブレーキによる車両の停止保持制御を解除するとともに、前記第1のブレーキを作動させるブレーキ切り換え手段とをさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の先行車追従制御装置において、
前記ブレーキ切り換え手段は、前記第2のブレーキから前記第1のブレーキに切り換える際、前記第2のブレーキの制動力の減少速度を、通常時の減少速度より遅くすることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、
前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、電動機のトルクを利用して、制動力を得る電動パーキングブレーキであることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、
前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、前記油圧ブレーキのブレーキ圧液を閉じこめることにより、車両の停止を保持することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、前記先行車追従制御中でかつ前記停止保持制御が作動中であることを示す表示を行う表示手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記先行車追従制御が作動していないことを示す表示を行うことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記車両を発進させるために必要な操作方法を、文字、記号および絵のうちの少なくとも1つを用いて表示することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記車両を発進させるために必要な操作方法の表示を消去することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されたことを音で知らせる報知手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項16】
請求項1および請求項3〜15のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御を終了する操作は、前記先行車追従制御を作動待機状態にするための操作、または、制御システムをオフ状態にする操作を含むことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項17】
先行車に追従して自動走行する先行車追従制御を行うとともに、車両の停止時には車両の停止を保持する停止保持制御を行う先行車追従制御装置であって、前記停止保持制御が行われている状態で前記先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われたとき、前記停止保持制御を継続した状態で前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項1】
先行車に追従して自動走行するための制御(以下、先行車追従制御と呼ぶ)を行うとともに、先行車追従制御中に車両が停止すると、車両の停止を保持する停止保持手段を作動させて停止保持制御を行う制御手段と、
前記停止保持制御中に、前記先行車追従制御を終了する操作が行われたことを判定する先行車追従制御終了判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御を終了する操作には、エンジンの停止操作も含まれることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の先行車追従制御装置において、
前記制御手段は、前記先行車追従制御が行われておらず、かつ、前記停止保持制御が行われている状態において、所定の操作が行われると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を開始することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の先行車追従制御装置において、
前記所定の操作は、前記停止保持制御が行われていない状態において、前記先行車追従制御を開始するための操作と同一であることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記制御手段は、前記停止保持制御が行われている間に先行車両が発進した場合でも、前記先行車追従制御による制御よりも、前記停止保持制御を優先して行うことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記停止保持手段は、少なくとも車両の減速時に用いられる第1のブレーキとは、ブレーキの作動方法が異なる第2のブレーキを用いて、前記停止保持制御を行い、
前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたことを判定する解除操作判定手段と、
前記解除操作判定手段によって、前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたと判定されると、前記第2のブレーキによる車両の停止保持制御を解除するとともに、前記第1のブレーキを作動させるブレーキ切り換え手段とをさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の先行車追従制御装置において、
前記ブレーキ切り換え手段は、前記第2のブレーキから前記第1のブレーキに切り換える際、前記第2のブレーキの制動力の減少速度を、通常時の減少速度より遅くすることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、
前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、電動機のトルクを利用して、制動力を得る電動パーキングブレーキであることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、
前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、前記油圧ブレーキのブレーキ圧液を閉じこめることにより、車両の停止を保持することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、前記先行車追従制御中でかつ前記停止保持制御が作動中であることを示す表示を行う表示手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記先行車追従制御が作動していないことを示す表示を行うことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記車両を発進させるために必要な操作方法を、文字、記号および絵のうちの少なくとも1つを用いて表示することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の先行車追従制御装置において、
前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記車両を発進させるために必要な操作方法の表示を消去することを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されたことを音で知らせる報知手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項16】
請求項1および請求項3〜15のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、
前記先行車追従制御を終了する操作は、前記先行車追従制御を作動待機状態にするための操作、または、制御システムをオフ状態にする操作を含むことを特徴とする先行車追従制御装置。
【請求項17】
先行車に追従して自動走行する先行車追従制御を行うとともに、車両の停止時には車両の停止を保持する停止保持制御を行う先行車追従制御装置であって、前記停止保持制御が行われている状態で前記先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われたとき、前記停止保持制御を継続した状態で前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−290328(P2006−290328A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12208(P2006−12208)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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