説明

制御された気孔を形成するための材料及び方法

【課題】基材の内部に空隙を形成するための方法を提供する。
【解決手段】基材を用意する工程;少なくとも1つの犠牲材料前駆体の堆積によって犠牲材料を堆積する工程;複合層を堆積する工程;該複合層中のポロゲン材料を除去して多孔質層を形成する工程;及び積層基材を除去媒体と接触させて前記犠牲材料を実質的に除去し、前記基材の内部に空隙を与える工程を含み、前記少なくとも1つの犠牲材料前駆体が、有機ポロゲン、シリコン、極性溶媒に可溶な金属酸化物、及びそれらの混合物からなる群より選択される方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マイクロエレクトロニクス産業でもナノテクノロジー産業でも、製造の補助剤として作用することができるが、製造が完了したときに容易に除去することができる材料を堆積できることが望ましい。ナノテクノロジーの分野におけるその一例は、シリコンカンチレバー構造体の製造を助けるのに用いられる製造補助剤としてのSiO2の利用である。製造が完了すると、SiO2はHF水溶液中でのエッチングによってシリコンに影響を及ぼすことなく除去することができる。しかしながら、水性溶媒を用いてSiO2を除去すると、例えば、カンチレバーの製造において水を乾燥する際に起こる毛管作用のために小構造体の崩壊が生じる場合がある。また、XeF2によるSiO2に対するシリコンの選択的エッチングを、XeF2が拡散できる薄い有機膜でシリコンを覆うことによりこの製造に関して利用できることが報告されている。
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業における犠牲材料の利用の一例は、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)に気孔を導入して多孔質OSGを作製するための犠牲有機材料の使用である。空気の誘電率は1.0であり、一方でOSG材料の誘電率は一般に2.7よりも大きいため、このような気孔を生成することで材料の誘電率が効果的に減少する。マイクロエレクトロニクスの製造における誘電率の下限は、1.0の実効誘電率を示す空隙を取り込むことによって達成される。犠牲有機層の使用は、これを実現するための1つの有望な方法である。
【0003】
空隙は、半導体基材の内部に種々の異なる方法において形成することができる。デバイスの内部に空隙を形成するための1つの方法は、共形性の低い材料を堆積することによるものであり、隆起した表面の間に空間がある基材の上部にこのような材料が堆積されると、それらの表面の間に空隙又は気孔が形成される。これに関連して、図1に示されるように、一対の相互接続ラインの間の空間が共形性の低い誘電体材料で部分的に満たされると、空隙がその空間内に形成される。共形性の低い誘電体材料は、例えば、化学気相成長又は他の手段によって堆積することができる。しかしながら、このプロセスは、銅の集積において用いられる現在のデュアルダマシンプロセスには適用できない場合がある。例えば、特許文献1を参照されたい。
【0004】
特許文献2〜8は、犠牲材料がスピンオンガラス又は高いHFエッチ速度を有する化学気相成長酸化物含有材料から構成され、当該犠牲材料が開口を形成した架橋層によって覆われる方法を開示している。次いで、スピンオン材料は、緩衝HFによってこの開口を通して除去される。この技術については図2を参照されたい。
【0005】
特許文献9〜17は、犠牲材料が1つ又は複数の開口を有する架橋層で覆われた有機ポリマーであり、当該犠牲材料が不活性環境下での熱アニール又は分子酸素(O2)などの酸化剤によるポリマーの「燃焼」によって除去される方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,057,226号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0149085号明細書
【特許文献3】米国特許第6,472,719号明細書
【特許文献4】米国特許第6,211,057号明細書
【特許文献5】米国特許第6,297,125号明細書
【特許文献6】米国特許第6,268,277号明細書
【特許文献7】米国特許第6,238,987号明細書
【特許文献8】米国特許第6,228,763号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0099951号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0094821号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/1016888号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2002/002563号明細書
【特許文献13】米国特許第6,316,347号明細書
【特許文献14】米国特許第6,329,279号明細書
【特許文献15】米国特許第6,498,070号明細書
【特許文献16】米国特許第6,713,835号明細書
【特許文献17】米国特許第6,720,655号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、基材の内部に空隙を形成するための方法である。本発明の1つの実施態様では、本方法は、基材を用意する工程;該基材上に少なくとも1つの有機前駆体を用いて犠牲層を堆積する工程;該犠牲層におけるのと同じ少なくとも1つの有機前駆体であるポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又はOSG前駆体を用いて前記基材上に複合材料層を堆積する工程;及び前記犠牲層と前記複合材料層を有する基材にエネルギーを適用し、該犠牲層を除去して空隙を与えかつ前記ポロゲンを除去して多孔質層を形成する工程を含む。
【0008】
本発明の別の実施態様では、本方法は、基材を用意する工程;シリコンを含む犠牲層を堆積する工程;ポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;前記犠牲層と前記複合層を有する基材にエネルギーを適用して前記ポロゲンを除去し多孔質層を形成する工程;及び前記犠牲層と前記多孔質層を有する基材を、該多孔質層を介して拡散し前記犠牲層を選択的に除去して空隙を形成することができる減圧下でフッ素含有試薬と接触させる工程を含む。
【0009】
本発明のさらに別の実施態様では、本方法は、基材を用意する工程;金属前駆体を用いて極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層を堆積する工程;ポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;前記犠牲層と前記複合層を有する基材にエネルギーを適用して前記ポロゲンを除去し多孔質層を形成する工程;及び前記犠牲層と前記多孔質層を有する基材を、該多孔質層を介して拡散することができる極性溶媒と接触させ、前記犠牲層を除去して空隙を形成する工程を含む。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様では、本方法は、基材を用意する工程;金属前駆体を用いて極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層を堆積する工程;前記犠牲層におけるのと同じ極性溶媒に可溶な金属酸化物であるポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;前記犠牲層と前記複合層を有する基材を極性溶媒と接触させ、前記ポロゲンを除去して多孔質層を形成し、前記犠牲層を除去して空隙を形成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術の不十分な段差被覆によって形成される空隙の断面図を示す。
【図2】従来技術の架橋層における開口を通して材料を除去することにより形成される空隙構造の断面図を示す。
【図3】適用されるエネルギーを用いて気孔空間の犠牲材料を除去する本発明の構造を形成するための方法の進行工程を示す断面図である。
【図4】選択的なエッチング試薬、BrF3を用いて気孔空間のシリコン犠牲材料を除去する本発明の別の方法及び実施態様の進行工程を示す断面図である。
【図5】水などの極性溶媒を用いて気孔空間のGeO2犠牲材料を除去する本発明のさらに別の方法及び実施態様の進行工程を示す断面図である。
【図6】デュアルダマシン銅金属相互接続スキームを形成する1つの可能なルートを示す。
【図7】シングルダマシン銅金属相互接続スキームを形成する1つの可能なルートを示す。
【図8】デュアルダマシン銅金属相互接続スキームを形成する別の可能なルートを示す。
【図9A】本発明によって製造された気孔空間を有する実際の構造の走査電子顕微鏡画像である。
【図9B】本発明によって製造された気孔空間を有する実際の構造の走査電子顕微鏡画像である。
【図9C】本発明によって製造された気孔空間を有する実際の構造の走査電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電子デバイスの寸法が減少し続けるにつれ、ますます低い誘電率を有する層間絶縁膜(ILD)材料が必要とされている。過去12年間に、誘電体材料は、SiO2からFSG、OSG、そして今や2.0という低い誘電率を有する多孔質OSGへと推移してきた。2.0という低い誘電率を達成するためには、OSG膜に25%以上の多孔度を組み入れることが必要である。OSG膜に組み入れられる多孔度の量が大きくなるにつれ、誘電率が低下するだけでなく、機械的性質も大きく低下してしまう。
【0013】
例えば、誘電率が2.9の高密度OSG膜は機械硬度が約3.0GPaであるのに対し、我々のPDEMS(商標)技術(例えば、その参照により本明細書に含まれる米国特許第6,583,048号明細書及び同第6,846,515号明細書を参照)では、約25%の多孔度を有する多孔質OSG材料は、誘電率が2.2であるが、機械硬度はわずか0.8GPaである。この傾向をさらに低い誘電率へ外挿すると、誘電率が1.9よりも低い材料は機械硬度が0.3GPaよりも小さくなるであろう。我々が観測した別の傾向は、多孔度のパーセントが増加すると、それに対応して相互接続の経路長さが増加するということである。陽電子消滅寿命分光法(PALS)によって測定される相互接続の経路長さは、ポジトロニウム元素が壁に接触することなく移動できる最大距離の尺度であるか、又は接続した気孔の最長の連なりの尺度である。この連結性は、原子層堆積(ALD)の事項、並びにレジスト現像液、レジスト剥離液及びCMPスラリーなどの湿式プロセスとの相互作用に関して重要であると考えられる。それゆえ、kが約1.9よりも低いある点から、ILDが機械抵抗又はバリア抵抗としての役目をほとんど果たすことがなくなり、高度に多孔質のOSG膜と空隙の差が減少し始めると考えられる。
【0014】
これまで、空隙の製造は、3つの主な手段、即ち、(i)空隙として大きなキーホール構造となる極めて非共形性のSiO2堆積の使用、(ii)スピンオンプロセス又はCVDによって堆積される熱的に不安定なポリマー材料の使用、(iii)O2プラズマを用いた下地膜の反応性イオンエッチング又はHFを用いたウェットエッチングによる空隙の等方性エッチングに集中してきた。
【0015】
本発明は、空隙又は気孔空間構造を製造するための3つの代わりとなるアプローチを記載するものである。3つのルートはすべて、多孔質のOSG又はSiO2層を介して拡散する液体又は気体の能力を利用している。この層の多孔度は、0.1〜99体積%、より一般的には10〜50体積%の多孔度であることができる。第1のアプローチは、有機犠牲材料を利用して空隙を形成する。これは、例として、多孔質OSG膜を作製するために開発された特許されたPDEMS(商標)を用いる多孔質誘電体層の延長である。このアプローチでは、犠牲層と複合層プロセスにおいてOSGと共堆積されるポロゲンとが同じ有機前駆体から形成される。このように、1つの有機材料が犠牲層のためと多孔質OSGを生成するための両方で利用できる。第2のアプローチでは、第1のアプローチと同様、シリコンから構成される犠牲材料上に多孔質のキャッピング層を用いる。このアプローチでは、犠牲層がパターニングの前又は後に複合層で覆われ、ポロゲンを除去して多孔質のSiO2又はOSG層を得た後、二次加工品をSiO2又はOSGに対してシリコンを選択的にエッチングする気体、例えば、XeF2又はBrF3にさらし、その気体が多孔質のSiO2又はOSG層を通って拡散し、下のシリコン構造を除去して気孔を残すことができる。第3の方法は、極性溶媒(即ち、水)に可溶な犠牲無機材料、例えば、GeO2又はB23を用いる。このアプローチでは、犠牲層はパターニングの前又は後に複合層で覆われ、ポロゲンを除去して多孔質のSiO2又はOSG層を得た後、二次加工品を水又は他のこのような極性溶媒にさらし、溶媒が多孔質のSiO2又はOSG層を通って拡散し、可溶な無機材料(即ち、GeO2又はB23)を除去して気孔を残すことができる。水又は極性溶媒に界面活性剤を加えて多孔質層を介した拡散を促進することは、特に多孔質層が疎水性のOSG物質である場合に有利であろう。
【0016】
以下は、本発明で使用するのに適したシリカ系前駆体の限定的でない例である。以下に続く化学式及び本明細書を通してすべての化学式において、「独立して」という語は、対象のR基が、異なる上付き文字を有する他のR基に関して独立して選択されるだけでなく、同じR基の任意の付加的な種に関しても独立して選択されるということを意味すると解されるべきである。例えば、式R1n(OR24-nSiにおいて、nが2又は3であるとき、2つ又は3つのR1基が互いに又はR2と同一である必要はない。
【0017】
1n(OR23-nSi(式中、R1は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3である)
例:ジエトキシメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン
【0018】
1n(OR23-nSi−O−SiR3m(OR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR4は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,3−ジメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン
【0019】
1n(OR23-nSi−SiR3m(OR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR4は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジシラン
【0020】
1n(O(O)CR24-nSi(式中、R1は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3である)
例:ジメチルジアセトキシシラン
【0021】
1n(O(O)CR23-nSi−O−SiR3m(O(O)CR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR4は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,3−ジメチル−1,3−ジアセトキシジシロキサン
【0022】
1n(O(O)CR23-nSi−SiR3m(O(O)CR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR4は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラアセトキシジシラン
【0023】
1n(O(O)CR23-nSi−O−SiR3m(OR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R4は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,3−ジメチル−1−アセトキシ−3−エトキシジシロキサン
【0024】
1n(O(O)CR23-nSi−SiR3m(OR43-m(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R4は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3である)
例:1,2−ジメチル−1−アセトキシ−2−エトキシジシラン
【0025】
1n(OR2p(O(O)CR44-(n+p)(式中、R1は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R4は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、pは1〜3である)
例:メチルアセトキシ−t−ブトキシシラン
【0026】
1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−O−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR6は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R4及びR5は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3、pは1〜3、qは1〜3である)
例:1,3−ジメチル−1,3−ジアセトキシ−1,3−ジエトキシジシロキサン
【0027】
1n(OR2p(O(O)CR43-n-pSi−SiR3m(O(O)CR5q(OR63-m-q(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R2及びR6は独立してC1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、R4及びR5は独立してH、C1〜C6の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、nは1〜3、mは1〜3、pは1〜3、qは1〜3である)
例:1,2−ジメチル−1,2−ジアセトキシ−1,2−ジエトキシジシラン
【0028】
化学式(OSiR13xの環状シロキサン(式中、R1及びR3は独立してH、C1〜C4の直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されたものでもよく、xは2〜8の任意の整数であることができる)
例:1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン
【0029】
SiO2又はOSGに関して使用できる他の前駆体は、例えば、TEOS、トリエトキシシラン、ジ−tert−ブトキシシラン、シラン、ジシラン、ジ−tert−ブトキシジアセトキシシランなどである。
【0030】
本発明は、気孔空間製造の犠牲層として使用するための、エレクトロニクス製造産業において公知の複数の従来法のいずれかによって堆積される犠牲材料の利用に向けられる。この層は、マイクロエレクトロニクス産業では空隙構造の製造において特に有用であり、またナノテクノロジー製造では構造体を「剥離する」又は気孔空間を製造するのに特に有用である。
【0031】
1つ又は複数の空隙構造を含む半導体基材及びそれを形成するための方法が本明細書に記載される。1つの実施態様では、1つ又は複数の空隙は、層状基材内の導線間のスペースの少なくとも一部の中に形成される。本明細書で用いられる「導線」という語は、一般に、金属線、トレース、ワイヤ、相互接続線、信号経路、又は基材内で電気回路を結合若しくは相互接続するための信号経路を与える信号媒体を指す。構造はマルチレベルに容易に拡張可能であり、シングル又はデュアルダマシン処理と適合する。幾つかの実施態様では、誘電体層は、固体材料であることができるか、あるいはまた、多孔質であることができるか及び/又は気孔、空洞若しくは空隙を含むことができる。
【0032】
[第1の実施態様:有機物の不安定な犠牲材料]
この実施態様では、犠牲有機層を用いて気孔空間を生成する。犠牲層の堆積と、複合層、例えば、PDEMS(商標)層におけるポロゲンとしての使用の両方に少なくとも1つの同じ有機前駆体を用いることで、デバイスに勾配を設けることができる。同じ前駆体が犠牲層の有機前駆体としても有機ポロゲン前駆体としても使用され、PECVDプロセスは、最初、少なくとも1つの有機前駆体のみを用い、続いて、追加の少なくとも1つのOSG前駆体を流して実施することができるので、犠牲層と多孔質層の間で継ぎ目のない勾配を形成することができる。米国特許第6,583,048号明細書、同第6,846,515号明細書、同第6,054,206号明細書、同第6,054,379号明細書、同第6,171,945号明細書、及び国際公開第99/41423号パンフレットは、本発明の有機ケイ酸塩膜を形成するのに使用できる幾つかの典型的なCVD法を提供している。
【0033】
理論に縛られるものではないが、複合層におけるポロゲンと犠牲層の両方を堆積するのに用いられる有機前駆体の性質には幾つかの望ましい属性がある。有機前駆体は反応チャンバーに気体の形態で供給できなければならないので、有機前駆体は50℃以上の温度で測定可能な蒸気圧を有することが望ましい。有機前駆体は100℃以上の温度で顕著な蒸気圧をもたない材料を形成するようチャンバーにおいて反応することが望ましく、より好ましくは、ポロゲンが反応して形成される材料が200℃よりも高い温度で認められるほどの蒸気圧をもたないことが望ましい。
【0034】
有機分子における不飽和度数は、分子内の多重結合の数又は環式構造の数として規定される。したがって、分子における1つの二重結合又は単純環式構造は不飽和度が1であり、三重結合又は環式構造における二重結合は不飽和度が2である。有機前駆体の不飽和度数は堆積反応に影響し、不飽和度数が高いほど一般に堆積速度が高くなる。しかしながら、理論によって限定されるものではないが、不飽和度のより高い有機前駆体から堆積した材料は完全に除去することがより困難であることが一般に観測され、それゆえ、堆積と除去の間でバランスを見出さなければならない。
【0035】
場合によっては、分子内にヘテロ原子(例えば、酸素、窒素又は硫黄)を有することが有利な場合があり、ポロゲン又は犠牲材料の堆積を促進することができる。プラズマ環境では、ヘテロ原子が電子捕獲断面積を増大させ、したがって気相中の中性ラジカルの数を増加させると考えられる。堆積は中性ラジカルの反応に基づくと考えられるので、中性ラジカルの数のこの増加は堆積効率を向上させる。
【0036】
以下は、本発明の有機前駆体として使用するのに適した材料の限定的でない例である。
【0037】
1)一般式Cn2nの環式炭化水素(式中、n=4〜14であり、環式構造中の炭素数は4〜10であり、環式構造上に複数の単純又は分枝炭化水素が置換されていることがある)
例としては、シクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1−メチル−4−(1−メチルエチル)シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロオクタンなどが挙げられる。
【0038】
2)一般式Cn(2n+2)-2yの直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の炭化水素(式中、n=2〜20であり、y=0〜nである)
例としては、エチレン、プロピレン、アセチレン、ネオヘキサン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−2,3−ブタジエン、置換ジエンなどが挙げられる。
【0039】
3)一般式Cn2n-2xの単又は複不飽和の環式炭化水素(式中、xは分子中の不飽和部位の数であり、n=4〜14であり、環式構造中の炭素数は4〜10であり、環式構造上に複数の単純又は分枝炭化水素が置換されていることがある)。不飽和は、環内に位置するか又は環式構造への炭化水素置換基の1つに位置することができる。
例としては、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、シクロヘキセン、ビニル−シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキセン、α−テルピネン、ピネン、リモネン、ビニル−シクロヘキセンなどが挙げられる。
【0040】
4)一般式Cn2n-2の二環式炭化水素(式中、n=4〜14であり、二環式構造中の炭素数は4〜12であり、環式構造上に複数の単純又は分枝炭化水素が置換されていることがある)
例としては、ノルボルナン、スピロ−ノナン、デカヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0041】
5)一般式Cn2n-(2+2x)の複不飽和の二環式炭化水素(式中、xは分子中の不飽和部位の数であり、n=4〜14であり、二環式構造中の炭素数は4〜12であり、環式構造上に複数の単純又は分枝炭化水素が置換されていることがある)。不飽和は、環内に位置するか又は環式構造への炭化水素置換基の1つに位置することができる。
例としては、カンフェン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0042】
6)一般式Cn2n-4の三環式炭化水素(式中、n=4〜14であり、三環式構造中の炭素数は4〜12であり、環式構造上に複数の単純又は分枝炭化水素が置換されていることがある)
例としては、アダマンタンが挙げられる。
【0043】
7)1つ又は複数のアルコール基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(OH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のアルコール基の数であって1〜4であり、アルコール官能性は環外及び/又は環内にあることができる)。例:プロパノール(n=3、x=0、y=0、z=1)、エチレングリコール(n=2、x=0、y=0、z=2)、ヘキサノール(n=6、x=0、y=0、z=1)、シクロペンタノール(n=5、x=1、y=0、z=1)、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール(n=6、x=0、y=2、z=2)、クレゾール(n=7、x=1、y=3、z=1)及びレゾルシノール(n=6、x=1、y=3、z=2)など。
【0044】
8)1つ又は複数のエーテル基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2yzを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のエーテル結合の数であって1〜4であり、1つ又は複数のエーテル結合は環外及び/又は環内にあることができる)。例:ジエチルエーテル(n=4、x=0、y=0、z=1)、2−メチル−テトラヒドロフラン(n=5、x=1、y=0、z=1)、2,3−ベンゾフラン(n=8、x=2、y=4、z=1)、エチレングリコールジビニルエーテル(n=6、x=0、y=2、z=2)、シネオール(オイカリプトール)(n=10、x=2、y=0、z=1)など。
【0045】
9)1つ又は複数のエポキシド基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のエポキシド基の数であって1〜4であり、エポキシド基は環状環又は直鎖に結合することができる)。例:1,2−エポキシ−3−メチルブタン(n=5、x=0、y=0、z=1)、1,2−エポキシ−5−ヘキセン(n=5、x=0、y=1、z=1)、シクロヘキセンオキシド(n=6、x=1、y=0、z=1)、9−オキサビシクロ[6.1.0]ノン−4−エン(n=8、x=1、y=1、z=1)など。
【0046】
10)1つ又は複数のアルデヒド基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のアルデヒド基の数であって1〜4である)。例:シクロペンタンカルボキシアルデヒド(n=5、x=1、y=0、z=1)など。
【0047】
11)1つ又は複数のケトン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のアルデヒド基の数であって1〜4であり、1つ又は複数のケトン基は環外及び/又は環内にあることができる)。例:3,4−ヘキサンジオン(n=6、x=0、y=0、z=2)、シクロペンタノン(n=5、x=1、y=0、z=1)、メシチルオキシド(n=6、x=0、y=1、z=1)など。
【0048】
12)1つ又は複数のカルボン酸基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-3z(OOH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のカルボン酸基の数であって1〜4である)。例:シクロペンタンカルボン酸(n=6、y=1、x=0、z=1)など。
【0049】
13)偶数のカルボン酸基を含有し、酸性官能性が脱水されて環状無水物基を形成し、一般式Cn2n+2-2x-2y-6z(O3zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中の無水物基の数であって1又は2である)。例:無水マレイン酸(n=2、x=0、y=1、z=1)など。
【0050】
14)エステル基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(O2zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であり、不飽和結合はエステルのカルボニル基と共役ではなく、zは該構造体中の無水物基の数であって1又は2である)。
【0051】
15)エステル基と該エステル基のカルボニルと共役である少なくとも1つの不飽和結合とからなるアクリレート官能性を含有し、かつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(O2zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって1以上であり、不飽和結合の少なくとも1つはエステルのカルボニル基と共役であり、zは該構造体中のエステル基の数であって1又は2である)。例:エチルメタクリレート(n=6、x=0、y=1、z=1)など。
【0052】
16)エーテルとカルボニル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2w-2x-2y(O)y(O)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、wは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、xは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、yはケトン及び/又はアルデヒドであることができる該構造体中のカルボニル基の数であり、zは該構造体中のエーテル基の数であって1又は2であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができる)。例:エトキシメタクロレイン(n=6、w=0、x=1、y=1、z=1)など。
【0053】
17)エーテルとアルコール官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2w-2x-y(OH)y(O)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、wは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、xは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、yは該構造体中のアルコール基の数であり、zは該構造体中のエーテル基の数であって1又は2であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができる)。例:3−ヒドロキシテトラヒドロフランなど。
【0054】
18)アルコール、エーテル、カルボニル、及びカルボン酸から選択された官能基の任意の組み合わせを含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2y-3z(OH)w(O)x(O)y(OOH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは該構造体中のアルコール基の数であって0〜4であり、xは該構造体中のエーテル基の数であって0〜4であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができ、yはケトン及び/又はアルデヒドであることができる該構造体中のカルボニル基の数であって0〜3であり、zは該構造体中のカルボン酸基の数であって0〜2である)。
【0055】
19)1つ又は複数の第一アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(NH2zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のアミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる)。例:シクロペンチルアミン(n=5、x=1、y=0、z=1)など。
【0056】
20)1つ又は複数の第二アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(NH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中の第二アミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる)。例:ジイソプロピルアミン(n=6、x=0、y=0、z=1)、ピペリジン(n=5、x=1、y=0、z=1)、ピリド(pyride)(n=5、x=1、y=3、z=1)など。
【0057】
21)1つ又は複数の第三アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-3z(N)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中の第三アミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる)。例:トリエチルアミン(n=6、x=0、y=0、z=1)、N−メチルピロリジン(n=5、x=1、y=0、z=1)、N−メチルピロール(n=5、x=1、y=2、z=1)など。
【0058】
22)1つ又は複数のニトロ基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(NO2zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のニトロ基の数であって1〜4であり、ニトロ官能性は環外及び/又は環内にあることができる)。例:ニトロシクロペンタン(n=5、x=1、y=0、z=1)、ニトロベンゼン(n=6、x=1、y=3、z=1)など。
【0059】
23)アミンとエーテル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-z(NH2w(NH)x(N)y(OH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のアルコール基の数であって1〜4であり、アルコール及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる)。例:2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール(n=4、u=0、v=0、w=1、x=1、y=0、z=1)、N−メチルモルホリン(n=5、u=1、v=0、w=0、x=0、y=1、z=1)など。
【0060】
24)アミンとアルコール官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-z(NH2w(NH)x(N)y(OH)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のエーテル基の数であって1〜4であり、エーテル及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる)。例:テトラヒドロフルフリルアミン(n=5、u=1、v=0、w=1、x=0、y=0、z=1)など。
【0061】
25)アミンとカルボニル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-2z(NH2w(NH)x(N)y(O)zを有する炭化水素構造体(式中、n=1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のカルボニル基の数であって1〜4であり、カルボニル基は1つ又は複数のアルデヒド及び/又はケトンであることができ、カルボニル及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる)。例:N,N−ジエチルホルムアミド(n=5、u=0、v=0、w=0、x=0、y=1、z=1)、(ジメチルアミン)アセトン(n=5、u=0、v=0、w=0、x=0、y=1、z=1)、N−メチルピロリジノン(n=5、u=1、v=1、w=0、x=0、y=1、z=1)など。
【0062】
この技術は、少なくとも1つの同じ有機前駆体を用いて犠牲層と複合層におけるポロゲンの両方を堆積することに関し、図3A〜H及び例4において説明される。図3Aには、裸のシリコンウェハが示されるが、これはマイクロエレクトロニクス又はナノテクノロジーデバイスの製造における任意の工程であってよい。最初の工程は、図3Bに示されるように、少なくとも1つの有機前駆体を利用したPECVDによる犠牲層の堆積である。この犠牲層の上部にハードマスクが堆積されるが、これはフォトレジストと犠牲層に対して優れたエッチ選択性を有する任意の材料であることができ、図3Cでは、DEMSとリモネンから堆積された複合膜がハードマスクとして使用されそして描かれている。図3Dに示される次の工程はパターン転写層の適用であり、これは、幾つかの種々の技術、例えば、フォトレジストの適用、露光及び現像、又はナノインプリント転写、又は場合により用途に応じたインクジェット技術によって達成することができる。図3Eは、ハードマスクがエッチングによって除去された後の構造を示している。これは、例えば、RIE又はウェットエッチによって行うことができる。次に、図3Fに示されるように、例えば、O2 RIEによってパターンが犠牲層上に転写される。この工程では、ハードマスク上のパターン転写材料を完全に除去し、犠牲層がエッチングされたときに犠牲層に負の影響を及ぼすことがある灰化工程の必要性を制限するように、エッチ速度及びパターン転写材料(即ち、フォトレジスト)の厚さを設計することが有利な場合がある。犠牲層がパターニングされた後、次いで、図3Gに示されるように、この特徴の上にPDEMS(商標)の複合層が犠牲層を堆積するのに使用したのと同じ少なくとも1つの有機前駆体を利用してPECVDにより堆積され、犠牲層の能力が多孔質OSG層によって確保される。最後に、幾つかある方法のいずれかによってポロゲンと犠牲層が除去される。図3Hには、熱アニーリング技術が記載されている。
【0063】
膜の断面をSEMで測定し、犠牲有機材料が多孔質OSG層を通してどの程度除去されるかを決定した。図9Aは、犠牲材料を除去して多孔質のOSG網目構造に「トンネル」を残すための熱アニーリング後のSEM写真を示す。
【0064】
[第2の実施態様:選択的にエッチングされるシリコンの犠牲材料]
フッ素を含有する選択的なエッチングガス(例えば、XeF2又はBrF3)は、気相において、二酸化ケイ素に対しシリコンを選択的にエッチングすることが知られている。例えば、LopezらのMicro Total Analysis Systems 2002,Proceedings of the μTAS 2002 Symposium,6th,Nara Japan,Nov.3−7,2002(2002),2 934−936を参照されたい。このエッチ選択性は、XeF2、BrF3などを使用することで単結晶シリコン、ポリシリコン又はアモルファスシリコンの化学反応性が向上することに起因している。この種の製造の一例は、シリコン上のSiO2にポリシリコンの層を堆積し、次いでポリシリコン上にSiO2の第2層をコーティングすることによりカンチレバーを形成するものであり、上部SiO2層とポリシリコン層の両方をパターニング及びエッチングした後、XeF2を用いてポリシリコン層を選択的にエッチングすることによりカンチレバーを剥離することができる。この例では、XeF2がSiO2カンチレバーの下で拡散するにつれ、ポリシリコンが縁から内側へエッチングされる。
【0065】
本発明のこの第2の実施態様では、フッ素を含有する選択的なエッチングガスは、構造を開口して上部層を回って下地層をエッチングする必要なく(即ち、側方への拡散の必要なく)、ポリシリコン又はアモルファスシリコンの層上に形成された多孔質ケイ酸塩又は多孔質OSGキャッピング層を通って拡散し、下地のポリシリコン又はアモルファスシリコンをエッチングする。このように、シリコン層は、エッチガスを拡散させるための経路を開口する必要なしに除去することができる。
【0066】
この技術の可能性のある利用例としては、半導体製造における空隙の形成、気体又は液体の供給のためのトンネルの形成、例えば、マイクロキャピラリーの製造による薬剤供給での利用、又は先進的な光ファイバーケーブルの製造における中空コアの形成がある。シリコンを除去する前に多孔質SiO2又は多孔質OSG及びシリコンの多層を構成できることで、マイクロキャピラリーの相互接続層を製造することが可能となり、マイクロチップの回路と同様、特にチップ上の化学に関して相互作用するであろう。
【0067】
図4A〜Iは、気孔の形成のための経路の例を示す。このプロセスでは、シリコンウェハ(図4A)が酸素環境下で熱的に酸化されてSiO2層が形成される。この層は選択的なフッ素エッチングガスがシリコンウェハ自体と反応するのを防ぐのに必要であり(図4B)、シリコン以外の層が下層に用いられる場合、この工程は必要ない。このSiO2上にポリシリコンの層を、例えば、高温の熱CVDによってシランから堆積させることができる(図4C)。図4Dに示される次の工程はパターン転写層の適用であり、これは、幾つかの種々の技術、例えば、フォトレジストの適用、露光及び現像、又はナノインプリント転写、又は場合により用途に応じたインクジェット技術によって達成することができる。図4Eは、シリコン層がエッチングされた後の構造を示している。これは、例えばRIEによって又は例えばCl2若しくはHBrを用いて行うことができる。次に、パターン転写材料(即ち、フォトレジスト)が灰化工程で除去される。灰化工程では、幾つかの異なるプロセス、即ち、O2反応性イオンエッチング工程、O2下流灰化、還元灰化、例えば、H2又はNH3下流灰化、又はUV補助灰化などを用いることができる。次いで、図4Gに示されるように、これらのラインに複合シリカ又はOSGがコーティングされる。この複合層を形成するのに幾つかのプロセスを用いることができる。例えば、参照により本明細書に含まれる米国特許第6,365,266号明細書;同第6,592,980号明細書;同第6,818,289号明細書;及び同第6,942,918号明細書に記載されるスピンコーターとMeso−ELK製品(ペンシルバニア州、アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社)を用いるか;又は米国特許第6,583,048号明細書及び同第6,846,515号明細書に記載されるPDEM(商標)プロセス(ペンシルバニア州、アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社)においてPECVDによって堆積される。次いで、図4Hに示されるように、多孔質シリカ又は多孔質OSGを形成するのに使用したポロゲンがアニール工程で除去される。このアニール工程は、幾つかのプロセスが可能であり、例えば、不活性雰囲気下での熱アニーリング、酸化雰囲気下での熱アニーリング、真空下での熱アニーリング、O2プラズマなどの反応性イオン、大気圧又は減圧下でのUVアニーリングなどである。次いで、図4Iに示されるように、これらの試料は、10Torr室温である期間にわたってBrF3にさらされる。
【0068】
本発明によって意図される空隙を形成するためのシリコンの他の選択的エッチング剤としては、HF、希ガスのハロゲン化物、ハロゲン間化合物、例えば、IF5、BrCl3、IF7及びClF3が挙げられる。
【0069】
SiO2又はOSGに比べたシリコンに対するBrF3とXeF2のエッチング選択性は温度依存的であり、低い温度ほど高い選択性が得られる。
【0070】
図9Bは、構造体をBrF3にさらして犠牲シリコン材料を除去し、多孔質OSG網目構造の「トンネル」を残した後のSEM写真を示す。
【0071】
理論に縛られるものではないが、シリコンを所定の位置に備えた半導体デバイス全体を製造し、次いでウェハをダイシングした後、チップを選択的なフッ素含有エッチングガスにさらしてシリコンを除去し、空隙を選択的に生成することが可能である。これは、機械的な完全性の低い材料に関して主要な課題であるパッケージングの際に、機械的な完全性という点で有利であろう。
【0072】
液体又は気体のチャンネルを有するデバイスの製造で使用する場合、ポリシリコン又はアモルファスシリコン層をあるパターンにエッチングしてウェハに沿った所与の地点で化学物質を混合することが可能になると考えられる。多層チャンネルを可能にすることで、単一チップ上で分子の多段合成を行うことが可能となる。所望の構造の多孔質シリカ又はOSG及びポリシリコン又はアモルファスシリコン層が製造されると、シリコンをエッチングにより除去して開放チャンネルを残すために、デバイスが選択的なフッ素含有エッチングガスにさらされる。必要に応じて、多孔質シリカ又はOSG層の孔を充填し、一方のチャンネルから別のチャンネルへ多孔質層を介して気体又は液体が拡散するのを防止することが有利な場合がある。これを行う1つの方法は、重合可能な有機種、例えば、活性化させると重合して孔を効果的に埋めることができる液体で孔を充填することである。このプロセスは、孔内部の液体をチャンネルの材料よりも揮発しにくくする毛管効果によって促進される。
【0073】
中空コアの光ファイバーケーブルの製造は、屈折率(RI)が空気(RI=1)と多孔質シリカ又はOSG(RI=1.2〜1.46)との間で大きな差があるために有利である。この差のために、通常の固体コアの光ファイバーケーブルと比較してより大きな信号密度が可能となり、信号損失が減少する。中空コアの光ファイバーケーブルを製造するために、まずポリシリコン又はアモルファスシリコンの細いストランドを形成し、次いでこれを複合シリカ又はOSG層でコーティングし、続いてアニーリング工程においてポロゲンを除去することが考えられる。次いで、選択的なフッ素含有エッチングガスを用いてシリコンのコアをエッチングにより除去することができる。次いで、機械強度を与えるために、この中空コアのファイバーを別の任意の層でさらにコーティングすることが有利な場合がある。
【0074】
[第3の実施態様:極性溶媒中で溶媒和された犠牲材料]
多孔質ケイ酸塩層と水溶性金属酸化物、例えば、酸化ゲルマニウム(GeO2)を使用して構造体を製造するもまた本発明の実施態様として意図される。GeO2は水溶性酸化物材料であり、GeO2は任意の幾つかの技術、例えば、容易に入手可能な前駆体材料から化学気相成長又はPECVDにより又は予備酸化物を用いたスピンオン技術により堆積し、続いてアニール工程を行うことができることが知られている。水溶性金属酸化物の形成のための前駆体の例としては、テトラメチルゲルマン、ゲルマン、テトラメトキシゲルマニウム及びテトラエトキシゲルマニウムからなる群より選択されるゲルマニウム(Ge)系前駆体、及びトリメチルボロン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン及びジボランからなる群より選択されるボロン(B)系前駆体などの材料があるがそれらに限定されない。同時に、SiO2及びOSG膜は水溶性ではないが、それらを介した水の拡散は可能であり、したがって、例えば、多孔質ケイ酸塩又は多孔質OSG層で覆われたGeO2の溶解が可能になる。
【0075】
本発明は、水溶性金属酸化物上に多孔質ケイ酸塩のコーティングを使用し、水がこの多孔質層を通って拡散し下地の水溶性金属酸化物層をエッチングすることを、構造体をエッチングして下地層の縁を露出させる必要なしに可能にすることをさらに提案する。
【0076】
この技術の可能性のある利用例としては、半導体製造における空隙の形成、気体又は液体の供給のためのトンネルの形成、例えば、薬剤供給での利用、又は先進的な光ファイバーケーブルの製造における中空コアの形成がある。
【0077】
図5A〜Iは、気孔空間の形成のための経路の例を示す。このプロセスでは、シリコンウェハは、水溶性金属酸化物、例えば、GeO2の層でコーティングされる(図5A)。この水溶性金属酸化物層の上にバリア層、例えば、SiO2層を、例えば、PECVDプロセスを用いて堆積することができる(図5B)。この場合、このバリア層は、水溶性金属酸化物がレジストパターンを現像するためのフォトリソグラフィーの際に水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液によって溶解するのを防止するのに用いられる(図5C)。インクジェット又はインプリントリソグラフィーなどの他のパターン転写技術が用いられる場合には、このバリア層は必要でない場合がある。図5Dは、水溶性金属酸化物がエッチングされた後の構造を示している。これは、例えば、RIEによって又はCF4、C46、C48などを含む幾つかのフッ化炭素のいずれかを用いて行うことができる。次に、図5Fに示されるように、パターン転写材料(即ち、フォトレジスト)が灰化工程で除去される。灰化工程では、幾つかの異なるプロセス、即ち、O2反応性イオンエッチング工程、O2下流灰化、還元灰化、例えば、H2又はNH3下流灰化、又はUV補助灰化などを用いることができる。次いで、図5Gに示されるように、これらのラインに複合シリカ又はOSG層がコーティングされる。この複合層を形成するのに幾つかのプロセスを用いることができる。例えば、米国特許第6,365,266号明細書;同第6,592,980号明細書;同第6,818,289号明細書;及び同第6,942,918号明細書に記載されるスピンコーターとMeso−ELK製品(ペンシルバニア州、アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社)を用いるか;又は米国特許第6,583,048号明細書及び同第6,846,515号明細書に記載されるPDEMプロセス(ペンシルバニア州、アレンタウンのエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社)においてPECVDによって堆積される。次いで、図5Hに示されるように、複合シリカ又は多孔質OSGを形成するのに使用したポロゲンがアニール工程で除去される。このアニール工程は、幾つかのプロセスが可能であり、例えば、不活性雰囲気下での熱アニーリング、酸化雰囲気下での熱アニーリング、真空下での熱アニーリング、O2プラズマなどの反応性イオンエッチング、大気圧又は減圧下でのUVアニーリングなどである。次いで、図5Iに示されるように、これらの試料は、10Torr室温である期間にわたってBrF3にさらされる。
【0078】
図9Cは、水でGeO2の一部を溶解して犠牲水溶性金属酸化物を除去し、多孔質OSG網目構造の「トンネル」を残した後のSEM写真を示す。
【0079】
空隙製造で使用する場合、その形態は、GeO2を犠牲層として使用した以外は、純粋なポロゲンを犠牲層として使用した場合と同様である。実際、半導体デバイス全体を製造した後に空隙を製造することが可能であり、これは、機械的な完全性の低い材料に関して主要な課題であるパッケージングの際に、機械的な完全性という点で幾らか有利であろう。
【0080】
液体又は気体のチャンネルで使用する場合、GeO2層をあるパターンにエッチングしてウェハに沿った所与の地点で化学物質を混合することが可能になると考えられる。多層チャンネルを可能にすることで、単一チップ上で分子の多段合成を行うことが可能となる。所望の構造の多孔質シリカ又はOSG及びGeO2層が製造されると、GeO2をエッチングにより除去して開放チャンネルを残すためにデバイスが水にさらされる。必要に応じて、多孔質シリカ又はOSG層の孔を充填し、一方のチャンネルから別のチャンネルへ多孔質層を介して気体又は液体が拡散するのを防止することが有利な場合がある。これを行う1つの方法は、重合可能な有機種、例えば、活性化させると重合して孔を効果的に埋めることができる液体で孔を充填することである。このプロセスは、孔内部の液体をチャンネルの材料よりも揮発しにくくする毛管効果によって促進される。
【0081】
中空コアの光ファイバーケーブルの製造は、屈折率(RI)が空気(RI=1)と多孔質シリカ又はOSG(RI=1.2〜1.4)との間で大きな差があるために有利である。この差のために、通常の固体コアの光ファイバーケーブルと比較してより大きな信号密度が可能となり、信号損失が減少する。中空コアの光ファイバーケーブルを製造するために、まずGeO2の細いストランドを形成し、次いでこれを多孔質シリカ又はOSG層でコーティングすることが考えられる。次いで、水を用いてシリコンのコアを溶解することができる。次いで、機械強度を与えるために、この中空コアのファイバーを別の層でさらにコーティングすることが有利な場合がある。
【0082】
水溶性金属酸化物としてGe2Oの代わりにB23を使用することができる。水の代わりに種々の極性溶媒、例えば、アルコール、エーテル、ヘテロ原子含有分子、エステル、ケトン、アルデヒド及びこのような溶媒の混合物を使用することができる。
【0083】
無機ポロゲンの溶解によって多孔質層を形成するためにSiO2及び/又はOSGとともにGe2O及び/又はB23を共堆積することも可能である。このように、デバイス製造は、Ge2O及び/又はB23を水中で溶解することにより完了することができる。
【0084】
[堆積方法]
先に記載したとおり、犠牲材料と複合層は、種々の異なる方法を用いて前駆体の組成物又は混合物から基材の少なくとも一部の上に堆積される。これらの方法は、単独で又は組み合わせて使用することができる。有機ケイ酸塩膜を形成するのに使用できるプロセスの例としては、熱化学気相成長、プラズマ化学気相成長(「PECVD」)、高密度PECVD、光アシストCVD、プラズマ光アシストCVD(「PPECVD」)、低温化学気相成長、化学アシスト気相成長、熱フィラメント化学気相成長(aka iCVD又はcat−CVD)、光開始化学気相成長、液体ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの堆積、又は輸送重合(「TP」)が挙げられる。幾つかの好ましい実施態様においては、堆積は、100〜425℃、好ましくは200〜425℃、より好ましくは200〜350℃の温度で行われる。本発明において用いられる化学試薬は「気体状」と記載されることがあるが、化学試薬は気体として直接反応器に送ることができるか、気化された液体、昇華された固体として送ることができるか及び/又は不活性のキャリヤーガスによって反応器に運ぶことができると解される。
【0085】
本発明の幾つかの実施態様では、犠牲材料及び複合材料はプラズマ化学気相成長プロセスによって形成される。簡単に言うと、PECVDプロセスでは、化学試薬は、減圧チャンバーなどの反応チャンバーに流され、プラズマエネルギーにより化学試薬にエネルギーが与えられ、基材の少なくとも一部の上に膜が形成される。これらの実施態様においては、基材の層は、犠牲層を形成するための少なくとも1つのプラズマ重合可能な有機材料と、複合層を形成するための少なくとも1つのシリカ含有前駆体、例えば、有機シラン又は有機シロキサンとを含む混合物ガスの共堆積あるいは逐次堆積により形成することができる。幾つかの実施態様においては、試薬に適用されるプラズマエネルギーは、0.02〜7W/cm2、より好ましくは0.3〜3W/cm2であることができる。各試薬の流量は10〜5000sccmであることができる。本発明のPECVDプロセスに関する堆積の際の減圧チャンバーの圧力値は、0.01〜600torr、より好ましくは1〜10torrであることができる。しかしながら、プラズマエネルギー、流量及び圧力などのプロセスパラメータは、基材の表面積、PECVDプロセスにおいて用いられる設備などの多数の因子に応じて変更することができると解される。
【0086】
1つ又は複数の化学物質に加えて、追加の材料を、堆積反応の前、その間及び/又はその後に減圧チャンバーに装填することができる。このような材料としては、例えば、不活性ガス(例えば、より低揮発性の前駆体のためのキャリヤーガスとして使用できるか及び/又は堆積されたままの材料の硬化を促進してより安定な最終膜を提供できるHe、Ar、N2、Kr、Xeなど)及び反応性物質、例えば、気体状又は液体の有機物質、NH3、H2、CO2、CO、O2又はN2Oが挙げられる。CO2が好ましいキャリヤーガスである。
【0087】
エネルギーを気体状試薬に適用し、気体の反応を誘発して基材上に膜を形成させる。このようなエネルギーは、例えば、熱、熱フィラメント、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、及びリモートプラズマ法によって与えることができる。二次RF周波数源を用いて基材表面におけるプラズマ特性を改質することができる。好ましくは、膜はプラズマ化学気相成長によって形成される。容量結合プラズマを13.56MHzの周波数で発生させることが特に好ましい。プラズマ電力は、基材の表面積に基づいて好ましくは0.02〜7W/cm2、より好ましくは0.3〜3W/cm2である。イオン化エネルギーが低くプラズマの電子温度を低下させ、さらに1つ又は複数のOSG前駆体の分解が起こりにくいキャリヤーガスを用いることが有利な場合がある。このタイプの低イオン化ガスの例としては、CO2、NH3、CO、CH4、Ar、Xe及びKrが挙げられる。
【0088】
各気体状試薬の流量は、単一の200mmウェハ当たり、好ましくは10〜5000sccm、より好ましくは30〜1000sccmである。個々の流量は、膜において所望量の構造形成物質と孔形成物質を提供するよう選択される。必要とされる実際の流量は、ウェハのサイズやチャンバーの形状に左右される場合があり、200mmのウェハ又は単一のウェハチャンバーに決して限定はされない。幾つかの実施態様では、膜は、少なくとも50nm/分の堆積速度で堆積することができる。
【0089】
堆積時の減圧チャンバーの圧力は、好ましくは0.01〜600torr、より好ましくは1〜15torrである。
【0090】
膜は0.002〜10μmの厚さに堆積させることが好ましいが、厚さは必要に応じて変えることができる。パターニングされていない表面に堆積されたブランケット膜は、優れた均一性を有し、妥当なエッジ除外で以って基材全体で1標準偏差に関し厚さの変動が2%未満である。ここでは、例えば、基材の最も外側の縁5mmが均一性の統計計算に含まれない。
【0091】
上述した気相成長法と同様に、幾つかの実施態様では、スピンオン技術を用いた複合膜、例えば、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズのMeso−ELK(商標)膜、例えば、米国特許第7,122,880号明細書に従って堆積される膜を適用することが可能である。
【0092】
これらの膜は、混合物を用いたスピンオン技術によって一般に形成される。混合物は、少なくとも1つのシリカ源と少なくとも1つのポロゲンとを一般に含む。混合物は、水、1つ又は複数の溶媒、触媒、及び/又はイオン添加剤など、しかしそれらに限定されない他の成分をさらに含むことができる。
【0093】
先に記載したように、混合物は少なくとも1つのシリカ源を含む。「シリカ源」とは、本明細書で用いられる場合には、ケイ素(Si)と酸素(O)を有し、場合によりH、B、C、P若しくはハライド原子のような他の元素、及びアルキル基若しくはアリール基のような有機基など、しかしそれらに限定されない付加的な置換基を有する化合物である。「アルキル」という語は、本明細書で用いられる場合には、1〜24個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜5個の炭素原子を含有する直鎖、分枝又は環状のアルキル基を含む。この語はまた、ハロアルキル、アルカリール又はアラルキルなどの他の基に含有されるアルキル部分にも適用する。さらに「アルキル」という語は、例えば、カルボニル官能基で置換されたアルキル部分にも適用する。「アリール」という語は、本明細書で用いられる場合には、芳香族の特徴を有する6〜12員の炭素環に適用する。「アリール」という語はまた置換されたアリール部分にも適用する。シリカ源は、多数のSi−O結合を有するが、さらにSi−O−Si架橋、Si−R−Si架橋、Si−C結合、Si−H結合、Si−F結合、又はC−H結合を含むことができる材料を含むことができる。少なくとも1つのシリカ源は、誘電体材料に最低限のSi−OH結合を与えることが好ましい。
【0094】
本発明の膜を形成するのに用いられる混合物はポロゲンをさらに含む。「ポロゲン」とは、本明細書で用いられる場合には、得られた膜中に気孔体積を生成するのに用いられる試薬である。本発明の複合材料において使用するのに好適なポロゲンとしては、不安定な有機基、溶媒、分解性ポリマー、界面活性剤、デンドリマー、高分枝ポリマー、ポリオキシアルキレン化合物、有機高分子、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適なポロゲンのなおさらなる例としては、係属中の特許出願の代理人管理番号06274P2号に記載されているポロゲンが挙げられ、この特許出願は本発明の譲受人に譲渡されている。
【0095】
本発明の幾つかの実施態様においては、ポロゲンは不安定な有機基を含むことができる。幾つかの不安定な有機基が反応混合物中に存在する場合、この不安定な有機基は、硬化工程の際、気体状生成物に転化するのに十分な酸素を含有することができる。不安定な有機基を含有する化合物の幾つかの例は、米国特許第6,171,945号明細書で開示されている化合物を含み、この特許はその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0096】
本発明の幾つかの実施態様においては、ポロゲンは溶媒であることができる。この点について、溶媒は、マトリックス材料の架橋の少なくとも一部の間に一般に存在する。孔の形成を助けるのに典型的に用いられる溶媒は、比較的より高い沸点、即ち、175℃を超える沸点、好ましくは200℃を超える沸点を有する。本発明の混合物中でポロゲンとして使用するのに好適な溶媒としては、例えば、米国特許第6,231,989号明細書で与えられている溶媒が挙げられる。
【0097】
幾つかの実施態様においては、ポロゲンは、Zhengらの「Synthesis of Mesoporous Silica Materials with Hydroxyacetic Acid Derivatives as Templates via a Sol−Gel Process」,J.Inorg.Organomet.Polymers,10,103−113(2000)の参考文献に記載されているような小分子であることができる。
【0098】
ポロゲンはまた分解性ポリマーであることもできる。分解性ポリマーは、放射線分解性又はより好ましくは熱分解性であることができる。「ポリマー」という語は、本明細書で用いられる場合には、別段の記載がない限りオリゴマー及び/又はコポリマーという語も包含する。放射線分解性ポリマーは、放射線、例えば、紫外線、X線、電子ビーム等にさらすことによって分解するポリマーである。熱分解性ポリマーは、シリカ源材料の縮合温度に近い温度で熱分解し、架橋の少なくとも一部の間存在している。このようなポリマーは、ガラス化反応の型取りを促進でき、細孔サイズを制御かつ画定でき、及び処理の適切な時点でマトリックスから分解及び拡散できるものである。これらのポリマーの例として、ブロックコポリマー、即ち、ジブロック、トリブロック及びマルチブロックコポリマー;スターブロックコポリマー;ラジアルジブロックコポリマー;グラフトジブロックコポリマー;共グラフトコポリマー;デンドリグラフトコポリマー;テーパーブロックコポリマー;及びそれらアーキテクチャーの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。分解性ポリマーのさらなる例は、米国特許第6,204,202号明細書に見出され、この特許はその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0099】
ポロゲンは、高分枝ポリマー又はデンドリマーポリマーであることができる。高分枝ポリマー及びデンドリマーポリマーは一般に、低い溶液及び溶融体粘度、表面の官能性による高い化学反応性、並びにより高い分子量のときでさえ改善された溶解性を有する。好適な分解性高分枝ポリマー及びデンドリマーのうち幾つかの限定的でない例は、その参照により全体として本明細書に含まれる「Comprehensive Polymer Science」,2nd Supplement,Aggarwal,71−132頁(1996)で与えられている。
【0100】
膜形成混合物中のポロゲンはまた、ポリオキシアルキレンの非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンコポリマー、ポリオキシアルキレンオリゴマー、又はそれらの組み合わせなどのポリアルキレン化合物であることもできる。このようなものの例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びそれらのコポリマーなど、C2〜C6のアルキル部分を含むポリアルキレンオキシドである。
【0101】
本発明のポロゲンはまた界面活性剤を含むこともできる。その後除去される界面活性剤の添加により多孔性が導入されるシリカのゾル−ゲル系膜については、界面活性剤の量を変えることで多孔性を変化させることができる。典型的な界面活性剤は、同時に親水性と疎水性の両方であることができることを意味する両親媒性の性質を示す。両親媒性の界面活性剤は、水に強い親和性を有する1つ又は複数の親水性の頭部基と、親油性でかつ水をはじく長い疎水性の末端を有する。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性であることができる。界面活性剤のさらなる分類には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤がある。
【0102】
膜がスピンオンアプローチによって形成される実施態様においては、混合物は、特に少なくとも1つのシリカ源と、ポロゲンと、触媒と、イオン添加剤と、水とを含む。幾つかの好ましい実施態様では、混合物は、溶媒と界面活性剤とをさらに含む。要約すると、基材上に混合物を分配し、溶媒と水を蒸発させることで膜を形成することができる。界面活性剤及び残留溶媒は、一般に被覆された基材を1つ又は複数の温度に複合膜を生成するのに十分な時間硬化することによって除去される。
【0103】
次いで、被覆基材は、多孔質SiO2又はOSG膜を形成するためにさらに加熱又は硬化される。具体的な温度及び時間は、混合物中の成分、基材及び所望の孔容積に応じて変化する。幾つかの実施態様においては、硬化工程は、制御された勾配又は浸漬よりはむしろ2つ以上の温度で行われる。典型的に300℃未満の第1の温度は、混合物から水及び/又は溶媒を除去し、さらに架橋反応するためのものであることができる。第2の温度は、ポロゲンを除去するためのものであり、実質的にしかし必ずしも完全にではないが、材料を架橋するためのものである。
【0104】
[有機ポロゲンと犠牲材料の除去]
有機ポロゲン及び犠牲材料は、熱アニーリング、化学処理、現場又はリモートプラズマ処理、電子ビーム処理、光硬化及び/又はマイクロ波処理を含むことができる硬化工程によって除去される。他の現場又は堆積後処理は、残っている多孔質SiO2又は多孔質OSGの材料特性、例えば、硬さ、(収縮、大気暴露、エッチング、ウェットエッチングなどに対する)安定性、完全性、均一性及び付着力を向上させるのに使用することができる。このような処理は、ポロゲンの除去に用いられるのと同じか又は異なる手段によってポロゲンの除去前、その間及び/又はその後に適用することができる。したがって、本明細書で用いられる「後処理」という語は、エネルギー(例えば、熱、プラズマ、光子、電子、マイクロ波など)又は化学物質によって膜を処理してポロゲンを除去し、膜を安定化し及び/又は材料特性を向上させることを表す。
【0105】
後処理が実施される条件は大きく変えることができる。例えば、後処理は、高圧下又は真空環境下で実施することができる。
【0106】
アニーリングは次の条件下で実施される。
【0107】
環境は、不活性(例えば、窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば、酸素、空気、希釈酸素環境、酸素富化環境、オゾン、一酸化二窒素など)又は還元性(希釈又は濃縮水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖又は分枝、芳香族)など)であることができる。圧力は、好ましくは約1Torr〜約1000Torrである。しかしながら、真空環境もまた、熱アニーリング及び他の任意の後処理手段に関して可能である。温度は200〜500℃が好ましく、温度ランプ速度は0.1〜100℃/分である。合計のアニーリング時間は、0.01分〜12時間が好ましい。
【0108】
不安定な基の選択的除去及びOSG膜の可能性のある化学改質のためのプラズマ処理は、次の条件下で実施される。
【0109】
環境は、不活性(窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば、酸素、空気、希釈酸素環境、酸素富化環境、オゾン、一酸化二窒素など)又は還元性(例えば、希釈又は濃縮水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖又は分枝、芳香族)など)であることができる。プラズマ電力は0〜5000Wが好ましい。温度は周囲温度から500℃が好ましい。圧力は10mtorrから大気圧が好ましい。合計の硬化時間は0.01分〜12時間が好ましい。
【0110】
UV曝露によるポロゲン及び犠牲有機材料の除去は、次の条件下で実施される。
【0111】
環境は、不活性(例えば、窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば、酸素、空気、希釈酸素環境、酸素富化環境、オゾン、一酸化二窒素など)又は還元性(例えば、希釈又は濃縮炭化水素、水素など)であることができる。温度は周囲温度から500℃が好ましい。電力は0〜5000Wが好ましい。波長はIR、可視、UV又は深UV(波長<200nm)が好ましい。合計の硬化時間は0.01分〜12時間が好ましい。
【0112】
マイクロ波曝露によるポロゲン及び犠牲有機材料の除去は、次の条件下で実施される。
【0113】
環境は、不活性(例えば、窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば、酸素、空気、希釈酸素環境、酸素富化環境、オゾン、一酸化二窒素など)又は還元性(例えば、希釈又は濃縮炭化水素、水素など)であることができる。温度は周囲温度から500℃が好ましい。電力及び波長は、具体的な結合に対して変化し調整できる。合計の硬化時間は0.01分〜12時間が好ましい。
【0114】
電子ビーム曝露によるポロゲン及び犠牲有機材料の除去は、次の条件下で実施される。
【0115】
環境は、真空、不活性(例えば、窒素、CO2、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)など)、酸化性(例えば、酸素、空気、希釈酸素環境、酸素富化環境、オゾン、一酸化二窒素など)又は還元性(例えば、希釈又は濃縮炭化水素、水素など)であることができる。温度は周囲温度から500℃が好ましい。電子密度及びエネルギーは、具体的な結合に対して変化し調整できる。合計の硬化時間は0.001分〜12時間が好ましく、連続であってもよいし又はパルスであってもよい。電子ビームの一般的な使用に関する更なる指導は、S.Chattopadhyayら,Journal of Materials Science,36(2001)4323−4330;G.Klosterら,Proceedings of IITC,June 3−5,2002,SF,CA;並びに米国特許第6,207,555号明細書、同第6,204,201号明細書及び同第6,132,814号明細書などの刊行物において利用できる。電子ビーム処理の使用により、ポロゲンの除去及びマトリックス中の結合形性プロセスによる膜の機械的性質の向上を可能とすることができる。
【0116】
本発明の膜はまた、無機フッ素(例えば、Si−F)の形態で含有することができる。フッ素は、存在する場合、好ましくは0.5〜7原子%の量で含まれる。
【0117】
膜は、化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングに適合しており、種々の材料、例えば、シリコン、SiO2、Si34、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、ホウ窒化物、反射防止コーティング、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質有機材料、多孔質無機材料、金属、例えば、銅及びアルミニウム、並びにTiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、WN又はW(C)Nなど、しかしそれらに限定されない拡散バリア層に付着させることができる。膜は、通常の引張試験、例えば、ASTM D3359−95aのテープ引張試験に十分に合格するように、上記材料の少なくとも1つに付着できることが好ましい。試料は、膜の除去が認められない場合に試験に合格したとみなされる。
【0118】
本発明の製品は、CVDによって堆積することができる任意の形態、例えば、コーティング、多層アセンブリ、及び必ずしも平面又は薄いとは限らない他のタイプの物体、必ずしも集積回路で用いられるとは限らない多くの物体において提供することができる。好ましくは、基材は半導体である。
【0119】
空隙構造において犠牲材料として使用するための本発明の材料に加えて、本発明は、それらの製品が製造される方法、当該製品を使用する方法、並びに当該製品を調製するのに有用な化合物及び組成物を含む。
【0120】
図6A〜Gは、本発明の半導体基材を形成するための方法の工程を示す断面図である。図6Aは、犠牲材料層(30)の上のポロゲン及びSiO2又はOSGの層(40)を示す。これらの層の下には、既に製造された空隙の相互接続レベルがあり、これは少なくとも気孔空間(10)と、多孔質シリカ又はOSG層(20)と、金属被覆層(60)と、銅金属(70)とを基材(50)の上部に含む。図6Bでは、少なくともポロゲンとシリカ又はOSGからなる上部層(40)が好ましくはフォトリソグラフィー技術によってエッチングされている。上部層(40)をパターニングした後、図6Cに示されるように、標準的なフォトリソグラフィー技術を用いてエッチングし、ビアレベルを犠牲層(30)にまですることができる。次いで、図6Dに示されるように、Ta、TaN、Ru、Ti、TiN、TiSiNの少なくとも1つを含む銅バリア層(60)が堆積される。次いで、銅(70)が、例えば、電気メッキ又は無電解メッキによって堆積され(図6E)、続いて、銅とバリアのCMPによって平面構造が形成される(図6F)。最後に、図6Gに示されるように、ポロゲンと犠牲層が除去される。
【0121】
図7A〜7Kに示されているシングルダマシン法は、金属線の間に犠牲層を形成することができる。この方法では、各層は別々に堆積及びエッチングされる。まず、図7A及び7Bにおいて、犠牲層(30)が堆積及びエッチングされる。次いで、図7Cに示されるように、Ta、TaN、Ru、Ti、TiN、TiSiNの少なくとも1つを含む銅バリア層(60)が堆積される。次いで、銅(70)が、例えば、電気メッキ又は無電解メッキによって堆積され(図7D)、続いて、銅とバリアのCMPによって平面構造が形成される(図7E)。次いで、ポロゲンを有する複合シリカ又はSOG層(40)が堆積され(図7F)そしてエッチングされる(図7G)。次いで、図7Hに示されるように、Ta、TaN、Ru、Ti、TiN、TiSiNの少なくとも1つを含む銅バリア層(60)が堆積される。次いで、銅(70)が、例えば、電気メッキ又は無電解メッキによって堆積され(図7I)、続いて、銅とバリアのCMPによって平面構造が形成される(図7J)。最後に、図7Kに示されるように、ポロゲンと犠牲材料を除去することができる。
【0122】
図8A〜Iは、デュアルダマシンアプローチを用いて金属線の間に空隙を形成する方法を図式的に示す。最初に、図8Aに示されるように、ポロゲンを有する複合シリカ又はOSG層(40)が基材(50)上に堆積される。次いで、図8Bに示されるように、ポロゲンが除去されて多孔質シリカ又はOSG層(20)が形成される。次いで、図8Cに示されるように、犠牲層(30)が多孔質層(20)の上に堆積される。次いで、犠牲層と多孔質層がフォトリソグラフィー技術を用いてエッチングされる(図8D及びE)。この工程では、特に犠牲層が有機材料である場合、犠牲層とフォトレジストの間でエッチ選択性と灰化選択性を向上させるためにハードマスクを使用することが必要な場合がある。次いで、図8Fに示されるように、Ta、TaN、Ru、Ti、TiN、TiSiNの少なくとも1つを含む銅バリア層(60)が堆積される。次いで、銅(70)が、例えば、電気メッキ又は無電解メッキによって堆積され(図8G)、続いて、銅とバリアのCMPによって平面構造が形成される(図8H)。次いで、ポロゲンを有するシリカ又はOSGの複合層(40)が上部に堆積される(図8I)。
【0123】
先の説明は、例示を意図するものであり、追加の工程及び/又は層が、説明した集積スキームを完全なものにするために必要とされる場合がある。また、幾つかの実施態様では、エッチストップ層、反射防止コーティング、SiO2ハードマスク層、TiN又は他の金属ハードマスク、ライナー、バリア層、Cu拡散層、メタルシード層、金属接着層、炭素ハードマスクなど、構造の画定及び製造を助けるための層を含むことが有利な場合がある。さらなる例としては、ハードマスク層、エッチストップバリア層、接着層、接着促進剤、応力緩衝剤、エッチ後処理、修復化学物質、ビア−ファーストのデュアルダマシンエッチのトレンチ−ファーストのための犠牲層などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0124】
本発明は、以下の例を参照してより詳細に説明されるが、本発明はそれらに限定されないと解されるべきである。
【実施例】
【0125】
例示的な膜は、Advance Energy 2000高周波発生器を備えた200mm DxZ真空チャンバーにおいて、Applied Materials Precision−5000システムを用い、種々の異なる化学前駆体及びプロセス条件からプラズマCVDプロセスによって形成した。CVDプロセスは、一般に以下の基本的な工程、即ち、初期の設定及びガス流の安定化、堆積、並びにウェハを取り出す前のチャンバーのパージ/排気を伴った。各膜の厚さ及び屈折率は、SCI Filmtek 2000 Reflectometerによって測定した。RIEエッチングは、AMATプラットホーム上で標準的なRIEエッチング手法を用いて実施した。フォトリソグラフィーは、KarlSuss MA6コンタクトステッパーを用いて365nmで実施され、標準的なTMAH現像液を用いて現像した。特徴をRIEエッチングした後、残ったフォトレジストをO2下流灰化ツールで除去した。
【0126】
適用可能な場合には、熱的な堆積後処理又はアニーリングを、4インチ直径のパージされた石英チューブを備えたApplied Test Systems社のSeries 3210環状炉において2〜4slpmの窒素流量で実施した。ランプ速度は、25から425℃まで毎分13℃であった。425℃で膜を4時間静置した。膜を100℃より低い温度まで冷却した後、それを炉から取り出した。
【0127】
[例1〜3]
[有機前駆体を用いた犠牲層の堆積]
3つの例示的な犠牲層を本明細書で説明したプラズマCVDプロセスによって基材表面に堆積した。この3つの例示的な犠牲層の堆積条件を表1に与える。
【0128】
【表1】

【0129】
[例4]
[Limo犠牲層とDEMS/Limo複合層の堆積]
犠牲層をLimo液体流量800mg/分、CO2キャリヤーガス流量200sccm、シャワーヘッド/ウェハ間隔350ミリインチ、ウェハチャック温度250℃、チャンバー圧力8Torrで360秒間により堆積し、膜厚289nm及び屈折率1.568の膜を得た。
【0130】
複合層をLimo犠牲層の上部に液体流量(20/80のDEMS/Limoモル混合)800mg/分、CO2キャリヤーガス流量220sccm、シャワーヘッド/ウェハ間隔350ミリインチ、ウェハチャック温度250℃、チャンバー圧力8Torrで60秒間により堆積し、膜厚114nm及び屈折率1.439の膜を得た。
【0131】
次いで、このウェハを500nmのShipley 1805レジストでコーティングし、KarlSuss MA6コンタクトステッパーを用いて365nm、12mW/cm2,1秒間の露光で現像した。次いで、パターンをTMAHによって現像した。
【0132】
次いで、このパターニングされたウェハを以下の順序でエッチングした。まず6秒間の高密度O2プラズマでパターンを洗浄し、続いて140nm/分のエッチ速度を有するC48/O2/Arのエッチ処方により60秒間エッチングしてハードマスクを洗浄し、続いて2回目のO2プラズマで24秒間、ハードマスク上のフォトレジストをエッチングするとともに、犠牲リモネン層をエッチングした。次いで、キャッピング複合層を液体流量(20/80のDEMS/Limoモル混合)800mg/分、CO2キャリヤーガス流量220sccm、シャワーヘッド/ウェハ間隔350ミリインチ、ウェハチャック温度250℃、チャンバー圧力8Torrで180秒間により堆積し、膜厚362nm及び屈折率1.439の膜を得た。
【0133】
次いで、この構造体を熱アニールし、ポロゲンと犠牲層を除去して空隙を形成した。この積層及び熱アニーリング後の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図9Aに示す。
【0134】
[例5]
シリコンの特徴の選択的エッチングを用いた空隙の製造を、裸のシリコンウェハを熱的に酸化してXeF2/BrF3の選択的エッチングに対するエッチストップを提供することにより始めた。熱的な酸化物の上に0.5μm厚さのポリシリコン層を、シランを用いた高温(900℃)CVDプロセスによって成長させた。アモルファスシリコンなどの他のタイプのシリコンを使用することもできる。ポリシリコンを標準的なフォトリソグラフィー技術とBCl3に基づくRIEプロセスを用いてパターニングした。ポリシリコンをエッチングした後、フォトレジストをO2プラズマで灰化し、次いでパターニングしたポリシリコンの特徴をエア・プロダクツ独自のMeso−ELK(商標)スピンオン多孔質OSGプロセスにより複合OSG層でコーティングした。次いで、積層を空気中400℃で焼成してポロゲンを除去した。試料を10TorrのBrF3に室温で1時間さらした。BrF3はMeso−ELK構造を通って拡散し、シリコンの特徴を選択的にエッチングした。BrF3を用いたシリコン層の選択的エッチングの後に形成された空隙のSEM写真を図9Bに示す。この製造プロセスではXeF2を使用することも可能である。
【0135】
[例6]
水溶性の犠牲層を用いた空隙の製造を、シリコンウェハ上に1.2μmのGeO2層を堆積することで開始した。PECVDを用いてMe4GeとO2からGeO2を堆積したが、他のゲルマニウム系前駆体、例えば、Ge(OEt)4を使用することも可能である。フォトレジストのTMAH現像の際に水分バリアとして働くように、Me4SiとO2を用いてGeO2上にSiO2層を堆積した。同様に、多くの異なるSiO2又はOSG前駆体を水分バリアに使用することが可能である。フォトレジストをパターニングして現像した後、SiO2/GeO2スタックをCF4/Ar/O2のRIEプロセスにおいてエッチングした。O2プラズマ灰化プロセスにおいてフォトレジストを除去した後、SiO2キャップは残してもよいし又はCF4/Ar/O2のRIEプロセスの時に除去してもよい。本例では、キャップはエッチングの際に除去した。次いで、パターニングしたGeO2をエア・プロダクツ独自のMeso−ELK(商標)スピンオン多孔質OSGプロセスにより複合OSG層でコーティングした。複合層を空気中400℃で焼成してポロゲンを除去した。多孔質OSGでコーティングした後、膜を水中に10分間浸漬し、その間にGeO2を溶解した。多孔質OSG層の下の部分的に溶解したGeO2犠牲層のSEM断面を図9Cに示す。このプロセスは、B23又は他の水溶性金属酸化物材料を犠牲材料として使用して同様のスキームで実施することも可能である。
【0136】
本発明の技術は、3つの異なる犠牲材料を用いて空隙構造を製造することに成功した。第1の材料は不安定な有機犠牲材料であり、これは多孔質OSG層に孔を生成するのに使用したのと同じ不安定な材料であり、この単一性によって構造の生成が可能となる。犠牲材料とポロゲンの両方に同じ材料を用いることで、両方の層で同じPECVDチャンバーを使用でき、1つのアニーリング工程を用いて空隙を生成しかつ多孔質OSGを生成して空隙生成からの副産物がそれを通って拡散する。このプロセスの別の利点は、PECVD堆積プロセスを250℃を超える温度で実施でき、スピンオンポリマーと比べて寸法的に安定な犠牲材料を可能にすることである。
【0137】
第2の犠牲材料は水溶性GeO2構造体であった。犠牲材料として無機材料を用いることで構造により高い機械強度を与え、この構造の製造においてより標準的なエッチプロセスを使用することが可能になった。空隙の製造におけるGeO2又はB23に関する1つの難点は、現像液、ストリッパー、Cu堆積及びCMPなどの湿式プロセスに対してセンシティブなことであった。GeO2/B23構造をハードマスク又はCuバリアによってこれらのプロセスから保護することができれば、GeO2/B23はその熱的な安定性と機械強度によって特有の利点を提供する。
【0138】
最後の成功した犠牲材料はシリコンであった。シリコンを使用できたのは、SiO2又はOSGに対するシリコンのXeF2又はBrF3熱エッチング選択性と、幾つかの多孔質OSG層のいずれも、例えば、PDEMS(商標)又はMeso−ELK多孔質誘電体を用いて堆積できることによる。繰り返しになるが、無機犠牲層を用いることで、製造の際に構造により高い機械強度を与え、より標準的な異方性エッチプロセスが可能になった。
【0139】
本発明は詳細にかつ本発明の具体例を参照して説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び改良を本発明において行うことができることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0140】
10 気孔空間
20 多孔質層
30 犠牲層
40 上部層
50 基材
60 銅バリア層
70 銅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基材を用意する工程;
(b)該基材上に少なくとも1つの有機前駆体を用いて犠牲層を堆積する工程;
(c)工程(b)における少なくとも1つの有機前駆体であるポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて前記基材上に複合層を堆積する工程;及び
(d)前記犠牲層と前記複合層を有する基材にエネルギーを適用し、該犠牲層を除去して空隙を与えかつ前記ポロゲンを除去して多孔質層を形成する適用工程
を含む、空隙を形成するための方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機前駆体が、
(1)環式構造及び式Cn2nを有する少なくとも1つの環式炭化水素(式中、nは4〜14であり、該環式構造中の炭素数は4〜10であり、該少なくとも1つの環式炭化水素は、任意選択で、該環式構造上に置換された複数の単純又は分枝炭化水素を含む);
(2)一般式Cn(2n+2)-2yの少なくとも1つの直鎖又は分枝の、飽和の、単又は複不飽和の炭化水素(式中、nは2〜20であり、yは0〜nである);
(3)環式構造及び式Cn2n-2xを有する少なくとも1つの単又は複不飽和の環式炭化水素(式中、xは不飽和部位の数であり、nは4〜14であり、該環式構造中の炭素数は4〜10であり、該少なくとも1つの単又は複不飽和の環式炭化水素は、任意選択で、該環式構造上に置換された複数の単純又は分枝炭化水素を含み、環内不飽和を含むか又は炭化水素置換基の1つに不飽和を含む);
(4)二環式構造及び式Cn2n-2を有する少なくとも1つの二環式炭化水素(式中、nは4〜14であり、該二環式構造中の炭素数は4〜12であり、該少なくとも1つの二環式炭化水素は、任意選択で、該二環式構造上に置換された複数の単純又は分枝炭化水素を含む);
(5)二環式構造及び式Cn2n-(2+2x)を有する少なくとも1つの複不飽和の二環式炭化水素(式中、xは不飽和部位の数であり、nは4〜14であり、該二環式構造中の炭素数は4〜12であり、該少なくとも1つの複不飽和の二環式炭化水素は、任意選択で、該二環式構造上に置換された複数の単純又は分枝炭化水素を含み、環内不飽和を含むか又は炭化水素置換基の1つに不飽和を含む);
(6)三環式構造及び式Cn2n-4を有する少なくとも1つの三環式炭化水素(式中、nは4〜14であり、該三環式構造中の炭素数は4〜12であり、該少なくとも1つの三環式炭化水素は、任意選択で、該環式構造上に置換された複数の単純又は分枝炭化水素を含む);
(7)1つ又は複数のアルコール基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(OH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のアルコール基の数であって1〜4であり、アルコール官能性は環外及び/又は環内にあることができる);
(8)1つ又は複数のエーテル基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2yzを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のエーテル結合の数であって1〜4であり、1つ又は複数のエーテル結合は環外及び/又は環内にあることができる);
(9)1つ又は複数のエポキシド基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のエポキシド基の数であって1〜4であり、該エポキシド基は環状環又は直鎖に結合することができる);
(10)1つ又は複数のアルデヒド基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のアルデヒド基の数であって1〜4である);
(11)1つ又は複数のケトン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2zzを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のアルデヒド基の数であって1〜4であり、1つ又は複数のケトン基は環外及び/又は環内にあることができる);
(12)1つ又は複数のカルボン酸基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-3z(OOH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中のカルボン酸基の数であって1〜4である);
(13)偶数のカルボン酸基を含有し、酸性官能性が脱水されて環状無水物基を形成し、一般式Cn2n+2-2x-2y-6z(O3zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは該構造体中の無水物基の数であって1又は2である);
(14)エステル基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(O2zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であり、不飽和結合はエステルのカルボニル基と共役ではなく、zは該構造体中の無水物基の数であって1又は2である);
(15)エステル基と該エステル基のカルボニルと共役である少なくとも1つの不飽和結合とからなるアクリレート官能性を含有し、かつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(O2zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって1以上であり、不飽和結合の少なくとも1つはエステルのカルボニル基と共役であり、zは該構造体中のエステル基の数であって1又は2である);
(16)エーテルとカルボニル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2w-2x-2y(O)y(O)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、wは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、xは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、yはケトン及び/又はアルデヒドであることができる該構造体中のカルボニル基の数であり、zは該構造体中のエーテル基の数であって1又は2であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができる);
(17)エーテルとアルコール官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2w-2x-y(OH)y(O)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、wは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、xは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、yは該構造体中のアルコール基の数であり、zは該構造体中のエーテル基の数であって1又は2であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができる);
(18)アルコール、エーテル、カルボニル、及びカルボン酸から選択された官能基の任意の組み合わせを含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2y-3z(OH)w(O)x(O)y(OOH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは該構造体中のアルコール基の数であって0〜4であり、xは該構造体中のエーテル基の数であって0〜4であり、1つ又は複数のエーテル基は環内又は環外にあることができ、yはケトン及び/又はアルデヒドであることができる該構造体中のカルボニル基の数であって0〜3であり、zは該構造体中のカルボン酸基の数であって0〜2である);
(19)1つ又は複数の第一アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(NH2zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のアミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる);
(20)1つ又は複数の第二アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-2z(NH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中の第二アミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる);
(21)1つ又は複数の第三アミン基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-3z(N)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中の第三アミン基の数であって1〜4であり、アミン官能性は環外及び/又は環内にあることができる);
(22)1つ又は複数のニトロ基を含有しかつ一般式Cn2n+2-2x-2y-z(NO2zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、xは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、yは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、zは化合物中のニトロ基の数であって1〜4であり、ニトロ官能性は環外及び/又は環内にあることができる);
(23)アミンとエーテル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-z(NH2w(NH)x(N)y(OH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のアルコール基の数であって1〜4であり、アルコール及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる);
(24)アミンとアルコール官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-z(NH2w(NH)x(N)y(OH)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のエーテル基の数であって1〜4であり、エーテル及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる);及び
(25)アミンとカルボニル官能基の両方を含有しかつ一般式Cn2n+2-2u-2v-w-2x-3y-2z(NH2w(NH)x(N)y(O)zを有する少なくとも1つの炭化水素構造体(式中、nは1〜12であり、uは該構造体中の環状環の数であって0〜4であり、vは該構造体中の不飽和結合の数であって0〜nであり、wは第一アミン基の数であり、xは第二アミン基の数であり、yは第三アミン基の数であり、1<w+x+y<4であり、zは化合物中のカルボニル基の数であって1〜4であり、カルボニル基は1つ又は複数のアルデヒド及び/又はケトンであることができ、カルボニル及び/又はアミン基は環外及び/又は環内にあることができる)
からなる群より選択される少なくとも1つの要素である、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの有機前駆体が、α−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1,3−ブタジエン、置換ジエン、デカヒドロナフタレン、1,5−シクロオクタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、シクロペンテンオキシド、及びシクロペンタノンからなる群より選択される少なくとも1つの要素である、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項4】
犠牲層、複合層、多孔質層、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される層をパターニングする工程をさらに含む、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項5】
前記犠牲層及び複合層の堆積の両方が、化学気相成長(CVD)によるものである、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項6】
前記犠牲層及び複合層の堆積の両方が、プラズマ化学気相成長(PECVD)によるものである、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項7】
前記犠牲層及び複合層が、1つの化学気相成長(CVD)工程において堆積される、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項8】
前記犠牲層及び複合層が、1つのプラズマ化学気相成長(PECVD)工程において堆積される、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項9】
前記適用工程(d)のエネルギーが、α粒子、β粒子、γ線、X線、高エネルギー電子、電子ビーム、可視光、赤外光、マイクロ波周波数、高周波、プラズマ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項10】
前記適用工程(d)のエネルギーが紫外線である、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項11】
前記適用工程(d)が、紫外線出力が0〜5000Wであり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項10に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項12】
前記適用工程(d)のエネルギーが熱エネルギーである、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項13】
前記適用工程(d)が、圧力が10mtorrから大気圧であり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項12に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項14】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項15】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項14に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項16】
多層構造を作製するために前記工程(a)〜(d)を少なくとも1回繰り返す工程をさらに含む、請求項1に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項17】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項16に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項18】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項17に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項19】
(a)基材を用意する工程;
(b)シリコンを含む犠牲層を堆積する工程;
(c)ポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;
(d)前記犠牲層と前記複合層を有する基材にエネルギーを適用して前記ポロゲンを除去し多孔質層を形成する適用工程;及び
(e)前記犠牲層と前記多孔質層を有する基材を、該多孔質層を介して拡散し前記犠牲層を選択的に除去して空隙を形成することができる減圧下でフッ素含有試薬と接触させる工程
を含む、空隙を形成するための方法。
【請求項20】
前記フッ素含有試薬がXeF2又はBrF3である、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項21】
前記フッ素含有試薬が、HF、希ガスのハロゲン化物、ハロゲン間化合物、ClF3、及びそれらの混合物からなる群より選択されたガスである、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項22】
前記工程(e)が、温度が150℃よりも低いときに実施される、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項23】
前記犠牲層がポリシリコン又はアモルファスシリコンを含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項24】
前記基材の基層を保護するためのエッチストップ層を形成する工程をさらに含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項25】
前記エッチストップ層が、シリコン基材を熱酸化することにより形成されるSiO2層である、請求項24に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項26】
犠牲層、複合層、多孔質層、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される層をパターニングする工程をさらに含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項27】
前記工程(b)の犠牲層の堆積が、化学気相成長によるものである、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項28】
前記工程(b)の犠牲層の堆積が、プラズマ化学気相成長(PECVD)によるものである、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項29】
前記工程(c)の複合層の堆積が、化学気相成長、スピンオンコーティング、ディップコーティング、及びミスト堆積からなる群より選択されるプロセスによるものである、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項30】
前記適用工程(d)のエネルギーが、α粒子、β粒子、γ線、X線、高エネルギー電子、電子ビーム、可視光、赤外光、マイクロ波周波数、高周波、プラズマ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項31】
前記適用工程(d)のエネルギーが紫外線である、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項32】
前記適用工程(d)が、紫外線出力が0〜5000Wであり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項31に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項33】
前記適用工程(d)のエネルギーが熱エネルギーである、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項34】
前記適用工程(d)が、圧力が10mtorrから大気圧であり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項33に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項35】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項36】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項35に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項37】
多層構造を作製するために前記工程(a)〜(e)を少なくとも1回繰り返す工程をさらに含む、請求項19に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項38】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項37に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項39】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項38に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項40】
(a)基材を用意する工程;
(b)金属前駆体を用いて極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層を堆積する工程;
(c)ポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;
(d)前記犠牲層と前記複合層を有する基材にエネルギーを適用して前記ポロゲンを除去し多孔質層を形成する適用工程;及び
(e)前記犠牲層と前記多孔質層を有する基材を、該多孔質層を介して拡散することができる極性溶媒と接触させ、前記犠牲層を除去して空隙を形成する工程
を含む、空隙を形成するための方法。
【請求項41】
前記工程(b)の極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層の堆積と、前記工程(d)の複合層の堆積が、化学気相成長、スピンオンコーティング、ディップコーティング、及びミスト堆積からなる群より選択されるプロセスによるものである、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項42】
前記極性溶媒に可溶な金属酸化物の前駆体がゲルマニウム(Ge)系前駆体又はボロン(B)系前駆体であり、かつ前記極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層がGeO2層又はB23層である、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項43】
前記ゲルマニウム(Ge)系前駆体が、テトラメチルゲルマン、ゲルマン、テトラメトキシゲルマニウム及びテトラエトキシゲルマニウムからなる群より選択され、かつ前記ボロン(B)系前駆体が、トリメチルボロン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン及びジボランからなる群より選択される、請求項42に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項44】
前記工程(e)の極性溶媒が、アルコール、エーテル、ヘテロ原子含有分子、エステル、ケトン、アルデヒド及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項45】
前記工程(e)の極性溶媒が水である、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項46】
多孔質誘電体層を介した前記極性溶媒の拡散を促進するために該極性溶媒に界面活性剤がさらに加えられる、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項47】
犠牲層、複合層、多孔質層、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される層をパターニングする工程をさらに含む、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項48】
前記適用工程(d)のエネルギーが、α粒子、β粒子、γ線、X線、高エネルギー電子、電子ビーム、紫外線、可視光、赤外光、マイクロ波周波数、高周波、熱、プラズマ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項49】
前記適用工程(d)のエネルギーが紫外線である、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項50】
前記適用工程(d)が、紫外線出力が0〜5000Wであり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項49に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項51】
前記適用工程(d)のエネルギーが熱エネルギーである、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項52】
前記適用工程(d)が、圧力が10mtorrから大気圧であり;雰囲気条件が不活性、酸化性及び還元性からなる群より選択され;温度が周囲温度から500℃であり;曝露時間が0.01分〜12時間であるときに実施される、請求項51に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項53】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項54】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項53に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項55】
多層構造を作製するために前記工程(a)〜(e)を少なくとも1回繰り返す工程をさらに含む、請求項40に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項56】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項55に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項57】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項56に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項58】
(a)基材を用意する工程;
(b)金属前駆体を用いて極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層を堆積する工程;
(c)工程(b)における極性溶媒に可溶な金属酸化物であるポロゲンと少なくとも1つのシリカ含有前駆体又は有機ケイ酸塩ガラス(OSG)前駆体を用いて複合層を堆積する工程;
(d)前記犠牲層と前記複合層を有する基材を極性溶媒と接触させ、前記ポロゲンを除去して多孔質層を形成し、前記犠牲層を除去して空隙を形成する工程
を含む、空隙を形成するための方法。
【請求項59】
前記工程(b)の極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層の堆積と、前記工程(d)の複合層の堆積が、化学気相成長、スピンオンコーティング、ディップコーティング、及びミスト堆積からなる群より選択されるプロセスによるものである、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項60】
前記極性溶媒に可溶な金属酸化物の前駆体がゲルマニウム(Ge)系前駆体又はボロン(B)系前駆体であり、かつ前記極性溶媒に可溶な金属酸化物の犠牲層がGeO2層又はB23層である、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項61】
前記ゲルマニウム(Ge)系前駆体が、テトラメチルゲルマン、ゲルマン、テトラメトキシゲルマニウム及びテトラエトキシゲルマニウムからなる群より選択され、かつ前記ボロン(B)系前駆体が、トリメチルボロン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン及びジボランからなる群より選択される、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項62】
前記工程(e)の極性溶媒が、アルコール、エーテル、ヘテロ原子含有分子、エステル、ケトン、アルデヒド及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項63】
前記工程(e)の極性溶媒が水である、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項64】
多孔質誘電体層を介した前記極性溶媒の拡散を促進するために該極性溶媒に界面活性剤がさらに加えられる、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項65】
犠牲層、複合層、多孔質層、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される層をパターニングする工程をさらに含む、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項66】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項67】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項66に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項68】
多層構造を作製するために前記工程(a)〜(e)を少なくとも1回繰り返す工程をさらに含む、請求項58に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項69】
前記多孔質層の孔を充填する充填工程をさらに含む、請求項68に記載の空隙を形成するための方法。
【請求項70】
前記充填工程が、活性化によって重合することができる重合可能な有機種で孔を充填することにより実施される、請求項69に記載の空隙を形成するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2011−233926(P2011−233926A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−168789(P2011−168789)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2007−109320(P2007−109320)の分割
【原出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】