説明

制御信号発生回路およびそれを用いた半導体装置

【課題】半導体装置の制御に好適な制御信号発生回路を提供する。
【解決手段】ジョンソンカウンタ31は、フリップフロップFF1〜FF4およびゲート回路41〜44を含み、順次入力されるスタート信号ST1〜ST4に応答してそれぞれ制御信号C1〜C4を「H」レベルにした後、順次入力されるストップ信号SP1〜SP4に応答してそれぞれ制御信号C1〜C4を「L」レベルにする。したがって、多数のフリップフロップを用いることなく、所望の時間間隔で制御信号C1〜C4を順次「H」レベルにし、順次「L」レベルにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は制御信号発生回路およびそれを用いた半導体装置に関し、特に、制御信号を発生する制御信号発生回路と、その制御信号発生回路を備えた半導体装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリを内蔵したマイクロコンピュータにおいては、製品全体の性能を示す書換時間はほぼフラッシュメモリの書換動作時間で決まっている。マイクロコンピュータ内部のマルチタスク処理などによって書換時間の短縮化を図ることは可能であるが、フラッシュメモリ自体のプログラムおよび消去動作の高速化が製品性能アップを目指す上では必須の条件となる。
【0003】
フラッシュメモリの1種にMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型がある(たとえば特許文献1参照)。MONOS型メモリセルでは、チャネルとゲートの間のゲート絶縁膜が酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜の積層体で構成される。メモリセルにデータをプログラムする場合は、ホットエレクトロン注入により、窒化シリコン膜に電子を注入してメモリセルのしきい値電圧を高くする。また、メモリセルのデータを消去する場合は、ホットホール注入により、窒化シリコン膜から電子を引き抜いてメモリセルのしきい値電圧を低くする。
【0004】
具体的には、メモリセルのデータのプログラムは、メモリセルに正の高電圧を印加してメモリセルのしきい値電圧を高めるプログラムパルス印加動作と、メモリセルにプログラムベリファイ電圧を印加してプログラムが終了したか否かを判定するプログラムベリファイ動作とを繰り返すことにより行なわれる。また、メモリセルのデータの消去は、メモリセルに負の高電圧を印加してメモリセルのしきい値電圧を低くする消去パルス印加動作と、メモリセルに消去ベリファイ電圧を印加して消去が終了したか否かを判定する消去ベリファイ動作とを繰り返すことにより行なわれる。このためフラッシュメモリには、正の高電圧や負の高電圧を発生する内部電圧発生回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−353159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のフラッシュメモリでは、プログラムパルス印加動作およびプルグラムベリファイ動作の各々が開始される度に内部電圧発生回路をセットアップし、各動作が終了する度に内部電圧発生回路をリセットしていたので、内部電圧発生回路のセットアップおよびリセットに時間がかかり、プログラム時間が長くなるという問題があった。
【0007】
また、消去パルス印加動作および消去ベリファイ動作の各々が開始される度に内部電圧発生回路をセットアップし、各動作が終了する度に内部電圧発生回路をリセットしていたので、内部電圧発生回路のセットアップおよびリセットに時間がかかり、消去時間が長くなるという問題があった。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、半導体装置の制御に好適な制御信号発生回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一実施の形態の制御信号発生回路は、順次入力される第1〜第N(ただし、Nは2以上の整数である)のスタート信号に応答してそれぞれ第1〜第Nの制御信号を活性化レベルにした後、順次入力される第1〜第Nのストップ信号に応答してそれぞれ第1〜第Nの制御信号を非活性化レベルにする制御信号発生回路であって、第1〜第Nのフリップフロップと、第1〜第Nのゲート回路とを備える。第1〜第Nのフリップフロップは、それぞれ第1〜第Nの制御信号に対応して設けられ、各々が、クロック信号の各パルスに応答して入力信号を取り込み、取り込んだ信号を対応の制御信号として出力し、予めリセットされて非活性化レベルの信号を出力する。第1のゲート回路は、第1のスタート信号に応答して第Nのフリップフロップの出力信号の反転信号を第1のフリップフロップに入力させるとともに第1の制御信号を第1のフリップフロップに入力させ、第1のストップ信号に応答して第1のフリップフロップの入力信号を非活性化レベルにする。第2〜第Nのゲート回路は、それぞれ第2〜第Nのフリップフロップに対応して設けられ、それぞれ第2〜第Nのスタート信号に応答して前段のフリップフロップの出力信号を対応のフリップフロップに入力させるとともに対応のフリップフロップの出力信号を対応のフリップフロップに入力させ、それぞれ第2〜第Nのストップ信号に応答して対応のフリップフロップの入力信号を非活性化レベルにする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一実施の形態による制御信号発生回路では、ジョンソンカウンタを使用して第1〜第Nの制御信号を発生するので、多数のフリップフロップを用いることなく、所望の時間間隔で第1〜第Nの制御信号を順次活性化レベルにし、順次非活性化レベルにすることができる。したがって、レイアウト面積の縮小化と、半導体装置の動作速度の高速化を図ることができ、半導体装置の制御に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施の形態によるマイクロコンピュータの要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示した制御レジスタの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示したフラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示したメモリブロックの構成を示す回路図である。
【図5】図4に示したメモリセルの記憶動作を示す図である。
【図6】図3に示した電源制御回路の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示したカウンタ制御回路の構成を示すブロック図である。
【図8】図6に示したジョンソンカウンタの構成を示す回路ブロック図である。
【図9】図9に示したジョンソンカウンタの動作を示すタイムチャートである。
【図10】図9に示したジョンソンカウンタの効果を説明するためのブロック図である。
【図11】図3に示した電源回路の構成を示すブロック図である。
【図12】図11に示した正昇圧回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図13】図11に示した降圧回路51の構成を示す回路ブロック図である。
【図14】図11に示した負昇圧回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図15】図11に示した降圧回路55の構成を示す回路ブロック図である。
【図16】図11に示したディストリビュータの構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示したスイッチの構成を示す回路図である。
【図18】図17に示したスイッチの動作を示すタイムチャートである。
【図19】図17に示したスイッチの効果を説明するためのタイムチャートである。
【図20】図11に示した電源回路の動作を示す図である。
【図21】図1〜図20で示したフラッシュメモリのプログラム動作を示すフローチャートである。
【図22】図1〜図20で示したフラッシュメモリの消去動作を示すフローチャートである。
【図23】図1〜図20で示したフラッシュメモリの効果を説明するためのタイムチャートである。
【図24】図1〜図20で示したフラッシュメモリの効果を説明するための他のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、この発明の一実施の形態によるマイクロコンピュータ1の要部を示すブロック図である。図1において、このマイクロコンピュータ1は、CPU2、制御レジスタ3、およびフラッシュメモリ4を備える。CPU2は、フラッシュメモリ4を制御するための制御信号CNTを制御レジスタ3に書込む。制御レジスタ3は、その制御信号CNTを保持するとともに、フラッシュメモリ4に与える。フラッシュメモリ4は、制御レジスタ3から与えられた制御信号CNTに従って、プログラム、消去、読出などの動作を行なう。
【0013】
制御レジスタ3は、図2に示すように、8つの副レジスタ3a〜3hを含み、副レジスタ3a〜3hには制御信号CNTに含まれる8つの信号PAGE,EPACT,DIS,φEV,φPV,PPACT,φE,φPがそれぞれ保持される。
【0014】
ページ選択信号PAGEが“0”(「L」レベル)の場合は128バイトのメモリセルのプログラムを行なう128プログラム状態の選択が指示され、“1”(「H」レベル)の場合は8バイト(1ページ)のメモリセルのプログラムを行なうページプログラム状態の選択が指示される。消去電源プリセット信号EPACTが“0”の場合は電源プリセットモード(チャージポンプ活性)が解除され、“1”の場合は電源プリセットモードへの遷移が指示される。
【0015】
データイン信号DISが“0”の場合はデータ転送禁止状態への遷移が指示され、“1”の場合はデータ転送許可状態への遷移が指示される。消去ベリファイ信号φEVが“0”の場合は消去ベリファイモードが解除され、“1”の場合は消去ベリファイモードへの遷移が指示される。プログラムベリファイ信号φPVが“0”の場合はプログラムベリファイモードが解除され、“1”の場合はプログラムベリファイモードへの遷移が指示される。
【0016】
プログラム電源プリセット信号PPACTが“0”の場合は電源プリセットモード(チャージポンプ活性)が解除され、“1”の場合は電源プリセットモードへの遷移が指示される。消去パルス印加信号φEが“0”の場合は消去パルス印加モードが解除され、“1”の場合は消去パルス印加モードへの遷移が指示される。プログラムパルス印加信号φPが“0”の場合はプログラムパルス印加モードが解除され、“1”の場合はプログラムパルス印加モードへの遷移が指示される。
【0017】
図3は、フラッシュメモリ4の全体構成を示すブロック図である。図3において、フラッシュメモリ4は、メモリアレイMA、ロジック制御回路10、電源制御回路11、電源回路12、アドレスバッファ13、Xデコーダ14、Yデコーダ15、センスアンプ16、およびデータ入出力バッファ17を備える。
【0018】
メモリアレイMAは、複数のメモリブロックMBを含む。各メモリブロックMBは、図4(a)に示すように、複数行複数列に配置された複数のメモリセルMCと、各行に対応して設けられたメモリゲート線MGLおよびコントロールゲート線CGLと、各隣接する2つの行に対応して設けられたソース線SLと、各列に対応して設けられたビット線BLとを含む。
【0019】
メモリセルMCは、図4(b)に示すように、P型シリコン基板20の表面上に絶縁層(図示せず)を介してコントロールゲート21を形成し、その側壁に酸化シリコン膜(図示せず)、窒化シリコン膜22、酸化シリコン膜(図示せず)からなるONO膜と、サイドウォール構造のメモリゲート23とを形成し、ゲート21,23の両側にN型不純物を注入してソース24およびドレイン25を形成したものである。
【0020】
各メモリゲート線MGLは、対応の行の各メモリセルMCのメモリゲート23に接続される。各コントロールゲート線CGLは、対応の行の各メモリセルMCのコントロールゲートCGに接続される。各ソース線SLは、対応の行の各メモリセルMCのソース24に接続される。各ビット線BLは、対応の列の各メモリセルMCのドレイン25に接続される。メモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、およびソース線SLはXデコーダ14によって駆動され、ビット線BLはYデコーダ15およびセンスアンプ16によって駆動される。
【0021】
各メモリセルMCには固有のアドレスが割り当てられ、各メモリセルMCはしきい値電圧のレベル変化によって1ビットのデータを記憶する。図5(a)〜(c)は、メモリセルMCの記憶動作を示す図である。
【0022】
プログラムパルス印加動作時は、図5(a)に示すように、メモリゲート23に6.4〜11Vの間の選択された電圧が印加され、コントロールゲート21には1.0Vが印加され、ソース24には3.2〜7.0Vの間の選択された電圧が印加され、ドレイン25には0.8Vが印加される。これにより、ソースサイド注入(SSI:Source Side Injection)方式により、ホットエレクトロンが窒化シリコン膜22に注入されてメモリセルMCのしきい値電圧が高くなる。プログラムパルス印加動作は、メモリセルMCのしきい値電圧が所定のプログラムベリファイ電圧よりも高くなるまで繰り返し行なわれる。プログラムされたメモリセルMCには、データ“0”と“1”のうちのたとえば“0”が記憶される。なお、メモリゲート23の電圧は、メモリセルMCのしきい値電圧が高くなり難い場合に正側に高いレベルに設定される。また、ソース24の電圧は、絶縁破壊が生じないように、メモリゲート23の電圧に応じて設定される。
【0023】
消去パルス印加動作時は、図5(b)に示すように、メモリゲート23に−3.3〜−8Vの間の選択された電圧が印加され、コントロールゲート21には0Vが印加され、ソース24には3.2〜7.0Vが印加され、ドレイン25はOPEN状態にされる。これにより、バンド間トンネル(BTBT:Band To Band Tunneling)方式により、ホットホールが窒化シリコン膜22に注入されてメモリセルMCのしきい値電圧が低くなる。消去パルス印加動作は、メモリセルMCのしきい値電圧が所定の消去ベリファイ電圧よりも低くなるまで繰り返し行なわれる。消去されたメモリセルMCには、データ“0”と“1”のうちのたとえば“1”が記憶される。なお、メモリゲート23の電圧は、メモリセルMCのしきい値電圧が低くなり難い場合に負側に高いレベルに設定される。また、ソース24の電圧は、絶縁破壊が生じないように、メモリゲート23の電圧に応じて設定される。
【0024】
読出動作時は、図5(c)に示すように、メモリゲート23およびソース24に0Vが印加され、コントロールゲート21およびドレイン25に1.5Vが印加され、ドレイン25とソース24の間に流れる電流Idがしきい値電流よりも大きいか否かが判定される。電流Idがしきい値電流よりも大きい場合は、メモリセルMCのしきい値電圧が低いのでメモリセルMCの記憶データは“1”であると判定される。逆に、電流Idがしきい値電流よりも小さい場合は、メモリセルMCのしきい値電圧が高いのでメモリセルMCの記憶データは“0”であると判定される。
【0025】
図3に戻って、ロジック制御回路10は、制御レジスタ3からの制御信号CNTに従ってフラッシュメモリ4全体を制御する。電源制御回路11は、ロジック制御回路10からの内部制御信号に従って電源回路12を制御する。電源回路12は、電源制御回路11によって制御され、図5(a)〜(c)で示した種々の内部電圧(6.4〜11V,3.2〜7.0Vなど)を生成し、それらの内部電圧をXデコーダ14、Yデコーダ15、センスアンプ16などに分配する。
【0026】
アドレスバッファ13は、外部から与えられたアドレス信号ADDに含まれるXアドレス信号およびYアドレス信号をそれぞれXデコーダ14およびYデコーダ15に与える。Xデコーダ14は、アドレスバッファ13から与えられたXアドレス信号に従って、各メモリブロックMBのメモリゲート線MGL、コントロールゲート線CGL、ソース線SLなどに、電源回路12から与えられた内部電圧を与える。Yデコーダ15は、アドレスバッファ13から与えられたYアドレス信号に従って、複数のメモリブロックMBのうちのいずれかのメモリブロックMBと、そのメモリブロックMBのうちのいずれかのビット線BLを選択し、選択したビット線BLとセンスアンプ16とを接続する。
【0027】
センスアンプ16は、Yデコーダ15およびビット線BLを介してメモリセルMCのデータのプログラムおよび読出を行なう。データ入出力バッファ17は、外部とセンスアンプ16との間で、書込データ信号DIおよび読出データ信号DOの授受を行なう。
【0028】
図6は、電源制御回路11の構成を示すブロック図である。図6において、電源制御回路11は、カウンタ制御回路30、ジョンソンカウンタ31、電源制御信号生成回路32、電源チューン用レジスタ33、および電源設定値生成回路34を備える。
【0029】
カウンタ制御回路30は、図7に示すように、カウンタ35,36と、4つのデコーダ37と、4つのデコーダ38とを含む。カウンタ35は、シーケンス活性化信号φAが活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられたことに応じて活性化され、クロック信号CLKのパルス数をカウントし、そのカウント値を示す複数ビットのカウント信号φCO1を出力する。カウンタ36は、シーケンス活性化信号φAが非活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられたことに応じて活性化され、クロック信号CLKのパルス数をカウントし、そのカウント値を示す複数ビットのカウント信号φCO2を出力する。
【0030】
4つのデコーダ37は、それぞれスタート信号ST1〜ST4に対応して設けられている。各デコーダ37には、予め固有のカウント値が割り当てられている。各デコーダ37は、カウンタ35からのカウント信号φCO1が予め割り当てられたカウント値になったことに応じて、対応のスタート信号STを所定時間だけ「H」レベルにする。スタート信号ST1〜ST4は、所定時間ずつ順次「H」レベルにされる。
【0031】
4つのデコーダ38は、それぞれストップ信号SP1〜SP4に対応して設けられている。各デコーダ38には、予め固有のカウント値が割り当てられている。各デコーダ38は、カウンタ36からのカウント信号φCO2が予め割り当てられたカウント値になったことに応じて、対応のストップ信号SPを所定時間だけ「H」レベルにする。ストップ信号SP1〜SP4は、所定時間ずつ順次「H」レベルにされる。
【0032】
ジョンソンカウンタ31は、図8に示すように、4つのフリップフロップFF1〜FF4と、4つのゲート回路41〜44とを含む。フリップフロップFF1〜FF4は、リセット信号RESが「L」レベルにされたことに応じてリセットされ、それらの出力信号C1〜C4は「L」レベルになる。また、フリップフロップFF1〜FF4の各々は、クロック信号CLKが「H」レベルに立ち上げられたことに応じて入力信号を保持および出力する。ゲート回路41〜44の出力信号はそれぞれフリップフロップFF1〜FF4の入力端子に入力され、フリップフロップFF1〜FF3の出力信号C1〜C3はそれぞれゲート回路42〜44に入力され、フリップフロップFF4の出力信号C4の反転信号はゲート回路41に入力される。スタート信号ST1〜ST4はそれぞれゲート回路41〜44に入力され、ストップ信号SP1〜SP4はそれぞれゲート回路41〜44に入力される。
【0033】
図9は、カウンタ制御回路30およびジョンソンカウンタ31の動作を示すタイムチャートである。初期状態では、図7のカウンタ35,36は非活性化されており、スタート信号ST1〜ST4およびストップ信号SP1〜SP4は全て「L」レベルにされている。また、図8のフリップフロップFF1〜FF4はリセットされており、それらの出力信号C1〜C4は全て「L」レベルにされている。
【0034】
図9において、ある時刻t0にシーケンス活性化信号φAが活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられると、図7のカウンタ35が活性化される。所定時間経過後の時刻t1にスタート信号ST1が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C4の反転信号がフリップフロップFF1に取り込まれ、信号C1は「H」レベルに立ち上げられる。信号C1はゲート回路41を介してフリップフロップFF1の入力端子に帰還されているので、スタート信号ST1が「L」レベルにされた後も信号C1は「H」レベルに維持される。
【0035】
以下同様に、時刻t1から所定時間経過後の時刻t2にスタート信号ST2が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C1がフリップフロップFF2に取り込まれ、信号C2は「H」レベルに立ち上げられる。時刻t2から所定時間経過後の時刻t3にスタート信号ST3が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C2がフリップフロップFF3に取り込まれ、信号C3は「H」レベルに立ち上げられる。時刻t3から所定時間経過後の時刻t4にスタート信号ST4が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C3がフリップフロップFF4に取り込まれ、信号C4は「H」レベルに立ち上げられる。
【0036】
また、時刻t4から所定時間経過後の時刻t10にシーケンス活性化信号φAが非活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられると、図7のカウンタ36が活性化される。所定時間経過後の時刻t11にストップ信号SP1が所定時間だけ「H」レベルにされると、ゲート回路41の出力信号が「L」レベルになってフリップフロップFF1に取り込まれ、信号C1は「L」レベルに立ち下げられる。信号C1はゲート回路41を介してフリップフロップFF1の入力端子に帰還されているので、ストップ信号SP1が「L」レベルにされた後も信号C1は「L」レベルに維持される。
【0037】
以下同様に、時刻t11から所定時間経過後の時刻t12にストップ信号SP2が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C1がフリップフロップFF2に取り込まれ、信号C2は「L」レベルに立ち下げられる。時刻t12から所定時間経過後の時刻t13にストップ信号SP3が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C2がフリップフロップFF3に取り込まれ、信号C3は「L」レベルに立ち下げられる。時刻t13から所定時間経過後の時刻t14にストップ信号SP4が所定時間だけ「H」レベルにされると、信号C3がフリップフロップFF4に取り込まれ、信号C4は「L」レベルに立ち下げられる。
【0038】
図6に戻って、ジョンソンカウンタ31の出力信号C1〜C4は、電源制御信号生成回路32および電源設定値生成回路34に与えられる。電源制御信号生成回路32は、ジョンソンカウンタ31からの信号C1〜C4に基づいて電源制御信号を生成し、その電源制御信号によって電源回路12内の電源やディストリビュータを制御する。これにより、たとえば以下のシーケンスが実行される。信号φAとC1の立ち上がりエッジの間の期間T1では、モードがセットされる。信号C1とC2の立ち上がりエッジの間の期間T2では、ロジックおよびディストリビュータがセットされる。信号C2とC3の立ち上がりエッジの間の期間T3では、第1電源がセットされる。信号C3とC4の立ち上がりエッジの間の期間T4では、第2電源がセットされる。
【0039】
信号C4の立ち上がりエッジと信号φAの立下りエッジの間の期間T10では、サブシーケンスが実行される。信号φAと信号C1の立ち下がりエッジの間の期間T11では、第1電源のリセットが行なわれる。信号C1と信号C2の立ち下がりエッジの間の期間T12では、第2電源のリセットが行なわれる。信号C2と信号C3の立ち下がりエッジの間の期間T13では、ディストリビュータのリセットが行なわれる。信号C3と信号C4の立ち下がりエッジの間の期間T14では、モードのリセットが行なわれる。
【0040】
電源チューン用レジスタ33には、各モードの各期間で用いられる電源設定値が格納されている。電源設定値生成回路34は、ジョンソンカウンタ31の出力信号C1〜C4に従って電源設定値を電源チューン用レジスタ33から読出し、読み出した電源設定値を電源回路12に与える。電源回路12内の電源は、電源設定値に応じたレベルの電圧を発生する。
【0041】
なお、ジョンソンカウンタ31を使用せずに、図10に示すように、単に4つのフリップフロップFF11〜FF14を直列接続したカウンタを使用して信号C1〜C4を生成する場合、図9で示した期間T1〜T4,T11〜T14はクロック信号CLKの一周期に等しくなり、一定になる。上述の例では、電源のセットには5μs程度の比較的長い期間が必要であるが、ロジックおよびディストリビュータのセットは100ns程度の比較的短い期間で終了する。このような場合でも、期間T1〜T4,T11〜T14の各々を電源のセットに必要な比較的長い期間に揃える必要がある。これでは、ロジックおよびディストリビュータのセットを行なう期間においては無駄な待ち時間が長くなり、プログラムなどの動作が遅くなる。
【0042】
また、クロック信号CLKの周期をロジックおよびディストリビュータのセットに必要な100nsとし、50個のフリップフロップFFを直列接続して50×100ns=5μsの期間を設定する方法もある。しかし、この方法では、多数のフリップフロップFFが必要となり、レイアウト面積が大きくなってしまう。
【0043】
これに対して本実施の形態では、ジョンソンカウンタ31を使用するので、多数のフリップフロップFFを用いることなく、期間T1〜T4,T11〜T14の各々を必要最小限の時間に設定でき、プログラムなどの動作の迅速化を図ることができる。
【0044】
図11は、電源回路12の構成を示すブロック図である。図11において、電源回路12は、正昇圧回路50,52〜54、降圧回路51,55、負昇圧回路56、およびディストリビュータ57を含む。正昇圧回路50,52〜54は、正の内部電圧V0,V2〜V4を発生する。降圧回路51は、内部電圧V0を降圧して内部電圧V1を発生する。負昇圧回路56は、負の内部電圧V6を発生する。降圧回路55は、内部電圧V6を降圧して内部電圧V5を発生する。ディストリビュータ57は、内部電圧V0〜V6、電源電圧VCC,VDD、および接地電圧VSSを受け、それらを図3のXデコーダ14、Yデコーダ15、センスアンプ16などを介してメモリセルMCに選択的に与える。なお、図11では、図面の簡単化のため、Xデコーダ14、Yデコーダ15、センスアンプ16などは省略されている。
【0045】
正昇圧回路50は、図12に示すように、正チャージポンプ回路60、ディバイダ61、基準電圧発生回路62、コンパレータ63、ドライバ64、充電回路65、および放電回路66を含む。正チャージポンプ回路60は、ドライバ64からのクロック信号によって駆動され、クロック信号に同期して所定量の正電荷を電源ノードN60に出力する。ディバイダ61は、電源設定値φVS0に応じた分圧比で電源ノードN60の電圧V0を分圧する。基準電圧発生回路62は、基準電圧VR0を発生する。
【0046】
コンパレータ63は、電源制御信号RA0によって活性化され、ディバイダ61の出力電圧VD0と基準電圧VR0との高低を比較し、ディバイダ61の出力電圧VD0が基準電圧VR0よりも低い場合は「H」レベルの信号を出力し、ディバイダ61の出力電圧VD0が基準電圧VR0よりも高い場合は「L」レベルの信号を出力する。ドライバ64は、コンパレータ63から「H」レベルの信号が出力されている場合はクロック信号を出力して正チャージポンプ回路60を駆動させ、コンパレータ63から「L」レベルの信号が出力されている場合はクロック信号の出力を停止して正チャージポンプ回路60を停止させる。充電回路65は、電源制御信号CG0に応答して、電源電圧VDDのラインから電源ノードN60に所定の電流を流入させ、電源ノードN60を電源電圧VDDにリセットする。放電回路66は、電源制御信号DS0に応答して、電源ノードN60から接地電圧VSSのラインに所定の電流を流出させ、電源ノードN60の電圧を低下させる。
【0047】
したがって、電源制御回路11で生成した電源制御信号PA0および電源設定値φVS0を正昇圧回路50に与えることにより、所望のタイミングで所望のレベルの内部電圧V0を生成することができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号CG0を正昇圧回路50に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V0を電源電圧VDDにリセットすることができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号DS0を正昇圧回路50に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V0を低下させることができる。
【0048】
正昇圧回路52,53は、正昇圧回路50と同様の構成であり、それぞれ、電源制御信号に応答して電源設定値に応じたレベルの内部電圧V2,V3を発生し、電源制御信号に応答して内部電圧V2,V3を電源電圧VDDにリセットし、電源制御信号に応答して内部電圧V2,V3を低下させる。正昇圧回路54は、正昇圧回路50と同様の構成であり、電源制御信号に応答して電源設定値に応じたレベルの内部電圧V4を発生し、電源制御信号に応答して内部電圧V4をVCC−Vthにリセットし、電源制御信号に応答して内部電圧V4を低下させる。
【0049】
降圧回路51は、図13に示すように、PチャネルMOSトランジスタ70、NチャネルMOSトランジスタ71、基準電圧発生回路72、コンパレータ73、充電回路74、および放電回路75を含む。PチャネルMOSトランジスタ70は、電源ノードN60と電源ノードN70の間に接続され、そのゲートは電源制御信号RA1aを受ける。信号RA1aが活性化レベルの「L」レベルにされるとPチャネルMOSトランジスタ70が導通し、電源ノードN60から電源ノードN70に電流が供給される。NチャネルMOSトランジスタ71は、電源ノードN70と接地電圧VSSのラインとの間に接続され、そのゲートはコンパレータ73の出力信号を受ける。
【0050】
基準電圧発生回路72は、電源設定値φVS1に応じたレベルの基準電圧VR1を発生する。コンパレータ73は、電源制御信号RA1bによって活性化され、電源ノードN70の電圧V1と基準電圧VR1との高低を比較し、電源ノードN70の電圧V1が基準電圧VR1よりも高い場合は「H」レベルの信号を出力してトランジスタ71を導通させ、電源ノードN70の電圧V1が基準電圧VR1よりも低い場合は「L」レベルの信号を出力してトランジスタ71を非導通にする。したがって、V1=VR1となる。充電回路74は、電源制御信号CG1に応答して、電源電圧VDDのラインから電源ノードN70に所定の電流を流入させ、電源ノードN70の電圧を電源電圧VDDにリセットする。放電回路75は、電源制御信号DS1に応答して電源ノードN70から接地電圧VSSのラインに所定の電流を流出させる。
【0051】
したがって、電源制御回路11で生成した電源制御信号RA1a,RA1bおよび電源設定値φVS1を降圧回路51に与えることにより、所望のタイミングで所望のレベルの内部電圧V1を生成することができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号CG1を降圧回路51に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V1を電源電圧VDDにリセットすることができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号DS1を降圧回路51に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V1を低下させることができる。
【0052】
負昇圧回路56は、図14に示すように、負チャージポンプ回路80、ディバイダ81、基準電圧発生回路82、コンパレータ83、ドライバ84、充電回路85、および放電回路86を含む。負チャージポンプ回路80は、ドライバ84からのクロック信号によって駆動され、クロック信号に同期して所定量の負電荷を電源ノードN80に出力する。ディバイダ81は、電源設定値φVS6に応じた分圧比で、電源電圧VDDと電源ノードN80の電圧V6との差の電圧を分圧する。基準電圧発生回路62は、基準電圧VR6を発生する。
【0053】
コンパレータ83は、電源制御信号RA6によって活性化され、ディバイダ81の出力電圧VD6と基準電圧VR6との高低を比較し、ディバイダ81の出力電圧VD6が基準電圧VR6よりも高い場合は「H」レベルの信号を出力し、ディバイダ81の出力電圧VD6が基準電圧VR6よりも低い場合は「L」レベルの信号を出力する。ドライバ84は、コンパレータ83から「H」レベルの信号が出力されている場合はクロック信号を出力して負チャージポンプ回路80を駆動させ、コンパレータ83から「L」レベルの信号が出力されている場合はクロック信号の出力を停止して負チャージポンプ回路80を停止させる。充電回路85は、電源制御信号CG6に応答して、電源電圧VDDのラインから電源ノードN80に所定の電流を流入させ、電源ノードN80の電圧V6を上昇させる。放電回路86は、電源制御信号DS6に応答して電源ノードN80から接地電圧VSSのラインに所定の電流を流出させ、電源ノードN80の電圧V6を接地電圧VSSにリセットする。
【0054】
したがって、電源制御回路11で生成した電源制御信号PA6および電源設定値φVS6を負昇圧回路56に与えることにより、所望のタイミングで所望のレベルの内部電圧V6を生成することができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号CG6を負昇圧回路56に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V6を上昇させることができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号DS6を負昇圧回路56に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V6を接地電圧VSSにリセットすることができる。
【0055】
降圧回路55は、図15に示すように、NチャネルMOSトランジスタ90、PチャネルMOSトランジスタ91、基準電圧発生回路92、コンパレータ93、充電回路94、および放電回路95を含む。NチャネルMOSトランジスタ90は、電源ノードN90と電源ノードN80の間に接続され、そのゲートは電源制御信号RA5aを受ける。信号RA5aが活性化レベルの「H」レベルにされるとNチャネルMOSトランジスタ90が導通し、電源ノードN90から電源ノードN80に電流が流出する。PチャネルMOSトランジスタ91は、電源電圧VDDのラインと電源ノードN90との間に接続され、そのゲートはコンパレータ93の出力信号を受ける。
【0056】
基準電圧発生回路92は、電源設定値φVS5に応じたレベルの基準電圧VR5を発生する。コンパレータ93は、電源制御信号RA5bによって活性化され、電源ノードN90の電圧V5と基準電圧VR5との高低を比較し、電源ノードN90の電圧V5が基準電圧VR5よりも低い場合は「L」レベルの信号を出力してトランジスタ91を導通させ、電源ノードN90の電圧V5が基準電圧VR5よりも高い場合は「H」レベルの信号を出力してトランジスタ91を非導通にする。したがって、V5=VR5となる。充電回路94は、電源制御信号CG5に応答して電源電圧VDDのラインから電源ノードN90に所定の電流を供給し、電源ノードN90の電圧V5を上昇させる。放電回路95は、電源制御信号DS5に応答して電源ノードN90から接地電圧VSSのラインに所定の電流を流出させ、電源ノードN90の電圧V5を接地電圧VSSにリセットする。
【0057】
したがって、電源制御回路11で生成した電源制御信号RA5a,RA5bおよび電源設定値φVS5を降圧回路55に与えることにより、所望のタイミングで所望のレベルの内部電圧V5を生成することができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号CG5を降圧回路55に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V5を上昇させることができる。また、電源制御回路11で生成した電源制御信号DS5を降圧回路55に与えることにより、所望のタイミングで内部電圧V5を接地電圧VSSリセットすることができる。
【0058】
ディストリビュータ57は、図16に示すように、複数のスイッチ100を含む。各スイッチ100は、電源電圧VCC,VDD、内部電圧V1〜V5、および接地電圧VSSのうちの予め割り当てられた複数の電圧を受け、電源制御信号に従って、それらの複数の電圧のうちのいずれかの電圧を出力する。
【0059】
図17は、スイッチ100の構成を例示する回路図である。図17において、スイッチ100は、3つのPチャネルMOSトランジスタ101〜103を含む。トランジスタ101〜103のソースはそれぞれ電圧VDD,V1,V3を受け、それらのゲートはそれぞれ電源制御信号φS1〜φS3を受け、それらのドレインはともに出力ノードN100に接続される。信号φS1〜φS3のうちのいずれか1つの信号(たとえばφS1)が選択的に活性化レベルの「L」レベルにされると、その信号φS1に対応するトランジスタ101が導通し、電源電圧VDDが出力ノードN100に出力される。
【0060】
電圧を切り換える場合は、全トランジスタ101〜103を一旦非導通にする。図18では、電圧V2から電圧V3に切り換える場合が示されている。最初は信号φS1〜φS3のうちの信号φS2のみが「L」レベルにされている。これにより、トランジスタ101〜103のうちのトランジスタ102のみが導通し、出力ノードN100の電圧VOはVO=V1となっている。次に、信号φS2が「H」レベルに立ち上げられ、全トランジスタ101〜103が非導通にされる。所定時間Toff経過後に信号φS3が「L」レベルに立ち下げられ、トランジスタ103が導通し、VO=V3となる。
【0061】
なお、図19に示すように、信号φS2を「H」レベルに立ち上げると同時に信号φS3を「L」レベルに立ち下げると、2つのトランジスタ102,103が同時に導通する期間Tonができる。この期間Tonでは、図11の降圧回路51の出力ノードと正昇圧回路53の出力ノードが短絡され、電圧V1,V3が大きく変化してしまう。この場合は、トランジスタ102,103の切換時間は短くなるが、電圧V1,V3を所定値に復帰させて安定化させるために長い時間が必要となり、動作時間の短縮化を図ることはできない。
【0062】
図20は、各モードにおける図11の電圧V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdを示す図である。プログラムパルス印加モードPPでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ6.4〜11,6.4〜11,3.2〜7.0,3.0〜4.7,5.5,VSS,VSS,3.2〜7.0,6.4〜11,1.0,0.8(V)となる。プログラムベリファイモードPVでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ8.0,1.2〜5.6,6.5,3.0,5.5,VSS,VSS,VSS,1.2〜5.6,VSS,VDD(V)となる。
【0063】
プログラムパルス印加モードPPおよびプログラムベリファイモードPVの一方のモードから他方のモードに遷移するとき、プログラムホームポジションモードPHPで待機する。プログラムホームポジションモードPHPでは、PPとPVのいずれのモードにも迅速に遷移できるように、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ8.0,5.6,3.2〜7.0,3.0,5.5,VSS,VSS,VSS,5.6,VSS,VDD(V)とされる。
【0064】
なお、従来は、PPおよびPVの各々が開始する度に電源回路をセットアップし、PPおよびPVの各々が終了する度に電源回路をリセットしていたので、電源回路のセットアップおよびリセットに時間がかかり、プログラム動作が遅かった。これに対して本実施の形態では、PP,PVが終了してもリセットせずに、PHPで待機するので、電源のセットアップおよびリセットの時間が削除され、プログラム動作の迅速化が図られる。
【0065】
また、消去パルス印加モードEPでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ11.0,11.0,3.2〜7.0,2.0〜4.7,5.5,−3.3〜−8.0,−3.3〜−8.0,3.2〜7.0,−3.3〜−8.0,VSS,OPEN(V)となる。消去ベリファイモードEVでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ8.0,5.6,6.5,2.0,5.5,−4.8〜1.2,−6.0,VSS,−4.8〜1.2,VDD,VDD(V)となる。
【0066】
消去パルス印加モードEPおよび消去ベリファイモードEVの一方のモードから他方のモードに遷移するとき、消去ホームポジションモードEHPで待機する。消去ホームポジションモードEHPでは、EPとEVのいずれのモードにも迅速に遷移できるように、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,Vdはそれぞれ8.0,5.6,3.2〜7.0,3.0,5.5,−3.3,−3.3,VSS,VSS,VSS,VDD(V)とされる。
【0067】
なお、従来は、EPおよびEVの各々が開始する度に電源回路をセットアップし、EPおよびEVの各々が終了する度に電源回路をリセットしていたので、電源回路のセットアップおよびリセットに時間がかかり、消去動作が遅かった。これに対して本実施の形態では、EPおよびEVの各々が終了してもリセットせずに、EHPで待機するので、電源のセットアップおよびリセットの時間が削除され、消去動作の迅速化が図られる。
【0068】
また、読出モードREADでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,VdはそれぞれVDD,VDD,VDD,VDD,5.5,VSS,VSS,VSS,VSS,VDD,VDD(V)となる。スタンバイモードSTBYでは、V0〜V6,Vs,Vmg,Vcg,VdはそれぞれVDD,VDD,VDD,VDD,VCC−Vth,VSS,VSS,VSS,VSS,VDD,VDD(V)となる。なお、V0〜V6のうちでメモリセルMCに印加されない電圧(たとえばV4)は、ディストリビュータ57などのスイッチング素子の制御などに用いられる。
【0069】
図21は、プログラム動作時のシーケンスを示すフローチャートである。ステップS1において書込データの入力が開始され、ステップS2において書込データの入力が完了する。これにより、選択されたメモリセルMC群のうちのどのメモリセルMCにデータを書き込むかが決定される。
【0070】
ステップS3において、図2で示したプログラム電源プリセット信号PPACTが活性化レベルの「H」レベルにセットされると、ステップS4において電源回路12のセットアップが行なわれる。すなわち、図6の電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が生成され、図11の正昇圧回路50,52〜54および降圧回路51が活性化されるとともにディストリビュータ57の経路がセットされ、電源回路12は図20で示したプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生する。このホームポジションモードPHPに遷移することで初めてプログラムパルス印加モードPPおよびプログラムベリファイモードPVが実施可能な状態になる。信号PPACTが活性化レベルにされていないのに、信号φP,φPVを活性化レベルにすることはマスク論理で不可能にされている。したがって、この論理で必ずモードの順序が守られることとなる。
【0071】
ステップS5においてプログラム信号φPが活性化レベルの「H」レベルにされると、ステップS6において書込設定が行なわれる。すなわち、図6の電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したプログラムパルス印加モードPPの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12はプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生しているので、プログラムパルス印加モードPPの電圧を短時間で発生することができる。
【0072】
ステップS7において書込すなわちプログラムパルスの印加が終了すると、ステップS8においてプログラム信号φPが非活性化レベルの「L」レベルにされる。信号φPが「L」レベルにされると、ステップS9において放電が実行される。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生する。このとき、従来のように電源回路12をスタンバイ状態にリセットしないので、放電時間が短くて済む。
【0073】
ステップS10においてプログラムベリファイ信号φPVが活性化レベルの「H」レベルにされると、ステップS11においてベリファイ設定が行なわれる。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したプログラムベリファイモードPVの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12はプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生しているので、プログラムベリファイモードPVの電圧を短時間で発生することができる。
【0074】
ステップS12においてプログラムベリファイが終了すると、ステップS13においてプログラムベリファイ信号φPVが非活性化レベルの「L」レベルにされる。信号φPVが「L」レベルにされると、ステップS14において放電が実行される。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生する。このとき、従来のように電源回路12をスタンバイモードSTBYにリセットしないので、放電時間が短くて済む。
【0075】
ステップS15においてメモリセルMCのしきい値電圧が目標値に到達してプログラムが終了したか否かを判定し、プログラムが終了していない場合はステップS5に戻り、プログラムが終了している場合はステップS16に進む。
【0076】
ステップS16においてプログラム電源プリセット信号PPACTが非活性化レベルの「L」レベルにされると、ステップS17において電源のリセットが行なわれる。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したスタンバイモードSTBYの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12はプログラムホームポジションモードPHPの電圧を発生しているので、短時間で放電することができる。
【0077】
図22は、消去動作時のシーケンスを示すフローチャートである。ステップS21において、図2で示した消去電源プリセット信号EPACTが活性化レベルの「H」レベルにセットされると、ステップS21において電源回路12のセットアップが行なわれる。すなわち、図6の電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が生成され、図11の正昇圧回路50,52〜54、降圧回路51,55、および負昇圧回路56が活性化されるとともにディストリビュータ57の経路がセットされ、電源回路12は図20で示した消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生する。このホームポジションモードEHPに遷移することで初めて消去パルス印加モードEPおよび消去ベリファイモードEVが実施可能な状態になる。信号EPACTが活性化レベルにされていないのに、信号φE,φEVを活性化レベルにすることはマスク論理で不可能にされている。したがって、この論理で必ずモードの順序が守られることとなる。
【0078】
ステップS23において消去信号φEが活性化レベルの「H」レベルにされると、ステップS24において消去設定が行なわれる。すなわち、図6の電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示した消去パルス印加モードEPの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12は消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生しているので、消去パルス印加モードEPの電圧を短時間で発生することができる。
【0079】
ステップS25において消去パルスの印加が終了すると、ステップS26において消去信号φEが非活性化レベルの「L」レベルにされる。信号φEが「L」レベルにされると、ステップS27において充電が実行される。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示した消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生する。このとき、従来のように電源回路12をスタンバイモードSTBYにリセットしないので、充電時間が短くて済む。
【0080】
ステップS28において消去ベリファイ信号φEVが活性化レベルの「H」レベルにされると、ステップS29においてベリファイ設定が行なわれる。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示した消去ベリファイモードEVの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12は消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生しているので、消去ベリファイモードEVの電圧を短時間で発生することができる。
【0081】
ステップS30において消去ベリファイが終了すると、ステップS31において消去ベリファイ信号φEVが非活性化レベルの「L」レベルにされる。信号φEVが「L」レベルにされると、ステップS32において充電が実行される。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示した消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生する。このとき、従来のように電源回路12をスタンバイモードSTBYにリセットしないので、充電時間が短くて済む。
【0082】
ステップS33においてメモリセルMCのしきい値電圧が目標値に到達して消去が終了したか否かを判定し、消去が終了していない場合はステップS23に戻り、消去が終了している場合はステップS34に進む。
【0083】
ステップS34において消去電源プリセット信号EPACTが非活性化レベルの「L」レベルにされると、ステップS35において電源のリセットが行なわれる。すなわち、電源制御回路11によって電源設定値および電源制御信号が再度生成され、電源回路12は図20で示したスタンバイモードSTBYの電圧を発生する。このとき、既に電源回路12は消去ホームポジションモードEHPの電圧を発生しているので、短時間で充電することができる。
【0084】
図23は、図11に示した降圧回路51の出力電圧V1のプログラム動作時における時刻変化を例示するタイムチャートである。ある時刻t0にプログラム電源プリセット信号PPACTが活性化レベルの「H」レベルにされると、正昇圧回路50および降圧回路51がセットアップされ、V1がリセット電圧VDD=1.5(V)から5.6(V)に上昇する(時刻t0〜t1)。正昇圧回路50および降圧回路51はプログラムホームポジションモードPHPとなり、V1は5.6(V)に維持される(時刻t1〜t2)。
【0085】
次に時刻t2においてプログラム信号φPが活性化レベルの「H」レベルにされると、V1が6.4〜11(V)の範囲の選択された電圧(たとえば10V)に上昇する(時刻t2〜t3)。正昇圧回路50および降圧回路51はプログラムパルス印加モードPPとなり、V1はたとえば10(V)に維持される(時刻t3〜t4)。
【0086】
次いで時刻t4においてプログラム信号φPが非活性化レベルの「L」レベルにされると、V1が5.6(V)に低下する(時刻t4〜t5)。正昇圧回路50および降圧回路51はプログラムホームポジションモードPHPとなり、V1は5.6(V)に維持される(時刻t5〜t6)。
【0087】
次に時刻t6においてプログラムベリファイ信号φPVが活性化レベルの「H」レベルにされると、V1が1.2〜5.6(V)の範囲の選択された電圧(たとえば3V)に低下する(時刻t6〜t7)。正昇圧回路50および降圧回路51はプログラムベリファイモードPVとなり、V1はたとえば3(V)に維持される(時刻t7〜t8)。
【0088】
次いで時刻t8においてプログラムベリファイ信号φPVが非活性化レベルの「L」レベルにされると、V1が5.6(V)に上昇する(時刻t8〜t9)。正昇圧回路50および降圧回路51はプログラムホームポジションモードPHPとなり、V1は5.6(V)に維持される(時刻t9〜t10)。
【0089】
PPとPHPとPVが繰り返された後、プログラムホームポジションモードPHPのある時刻t11においてプログラム電源プリセット信号PPACTが非活性化レベルの「L」レベルにされると、正昇圧回路50および降圧回路51がリセットされ、V1が5.6(V)からリセット電圧VDD=1.5(V)に低下する(時刻t11〜t12)。正昇圧回路50および降圧回路51はスタンバイモードSTBYとなり、V1はリセット電圧VDD=1.5(V)に維持される(時刻t12)。
【0090】
このように各サブシーケンスを実施する前に一度ホームポジションモードPHPに戻ることで、完全なスタンバイモードSTBYへのリセット動作を必要とせず、最小限のウェイト設定で電圧レベル、経路等の切替えが可能となり、その結果効率よく電荷を使用することができるとともに、シーケンスの高速化が可能となる。また、一度ホームポジションモードPHPにセットしていることで次にどの動作が必要となっても、最小の待ち時間でシーケンスを制御することが可能となる。
【0091】
図24は、従来のフラッシュメモリのプログラム用電圧V11の時刻変化を示すタイムチャートであって、図23と対比される図である。図24において、従来のフラッシュメモリでは、ホームポジションモードPHPは設けられておらず、プログラムパルス印加モードPPおよびプログラムベリファイモードPVの各モードが行なわれる度に電源のセットアップとリセットを行なっていた。したがって、電源のセットアップとリセットに時間がかかり、プログラム動作が遅かった。消去動作についても同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 マイクロコンピュータ、2 CPU、3 制御レジスタ、3a〜3h 副レジスタ、4 フラッシュメモリ、MA メモリアレイMA、10 ロジック制御回路、11 電源制御回路、12 電源回路、13 アドレスバッファ、14 Xデコーダ、15 Yデコーダ、16 センスアンプ、17 データ入出力バッファ、MB メモリブロック、MC メモリセル、MGL メモリゲート線、CGL コントロールゲート線、SL ソース線、BL ビット線、20 P型シリコン基板、21 コントロールゲート、22 窒化シリコン膜、23 メモリゲート、24 ソース、25 ドレイン、30 カウンタ制御回路、31 ジョンソンカウンタ、32 電源制御信号生成回路、33 電源チューン用レジスタ、34 電源設定値生成回路、35,36 カウンタ、37,38 デコーダ、41〜44 ゲート回路、FF フリップフロップ、50,52〜54 正昇圧回路、51,55 降圧回路、56 負昇圧回路、57 ディストリビュータ、60 正チャージポンプ回路、61,81 ディバイダ、62,72,82,92 基準電圧発生回路、63,73,83,93 コンパレータ、64,84 ドライバ、65,74,85,94 充電回路、66,75,86,95 放電回路、70,91,101〜103 PチャネルMOSトランジスタ、71,90 NチャネルMOSトランジスタ、80 負チャージポンプ回路、100 スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次入力される第1〜第N(ただし、Nは2以上の整数である)のスタート信号に応答してそれぞれ第1〜第Nの制御信号を活性化レベルにした後、順次入力される第1〜第Nのストップ信号に応答してそれぞれ前記第1〜第Nの制御信号を非活性化レベルにする制御信号発生回路であって、
それぞれ前記第1〜第Nの制御信号に対応して設けられ、各々が、クロック信号の各パルスに応答して入力信号を取り込み、取り込んだ信号を対応の制御信号として出力し、予めリセットされて前記非活性化レベルの信号を出力する第1〜第Nのフリップフロップと、
前記第1のスタート信号に応答して前記第Nのフリップフロップの出力信号の反転信号を前記第1のフリップフロップに入力させるとともに前記第1の制御信号を前記第1のフリップフロップに入力させ、前記第1のストップ信号に応答して前記第1のフリップフロップの入力信号を前記非活性化レベルにする第1のゲート回路と、
それぞれ前記第2〜第Nのフリップフロップに対応して設けられ、それぞれ第2〜第Nのスタート信号に応答して前段のフリップフロップの出力信号を対応のフリップフロップに入力させるとともに対応のフリップフロップの出力信号を対応のフリップフロップに入力させ、それぞれ第2〜第Nのストップ信号に応答して対応のフリップフロップの入力信号を前記非活性化レベルにする第2〜第Nのゲート回路とを備える、制御信号発生回路。
【請求項2】
請求項1に記載の制御信号発生回路と、
第1〜第Nの電源回路と、
前記第1〜第Nの制御信号が前記非活性化レベルから前記活性化レベルに変化したことに応じてそれぞれ前記第1〜第Nの電源回路をセットアップし、前記第1〜第Nの制御信号が前記活性化レベルから前記非活性化レベルに変化したことに応じてそれぞれ前記第1〜第Nの電源回路をリセットする電源制御回路とを備える、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−9428(P2013−9428A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210743(P2012−210743)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2007−91782(P2007−91782)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】