説明

半導体デバイスの製造方法、半導体デバイス及び基板処理装置

【課題】レンズの反射を抑制することが可能な酸化膜を低温下で形成する。
【解決手段】基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率より大きく、レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を形成する下層酸化膜形成工程と、下層酸化膜の上に、第1原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率より大きく、下層酸化膜の屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を形成する上層酸化膜形成工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造方法、半導体デバイス及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の半導体デバイスには、例えば半導体デバイスが備える受光素子に光を集める微小なレンズが使用されてきた。CMOSイメージセンサの高集積化に伴い、より微小なレンズで充分な入射光を取り込むことができるよう、レンズの集光効率の向上が図られてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レンズの集光効率を向上させるには、例えばレンズの表面での入射光の反射を抑えればよい。反射は、光が通過する媒体、つまり、空気(低屈折率)とレンズ(高屈折率)との屈折率差が大きいほど起こり易いため、両者の間の屈折率を持つ材料からなる膜、例えば酸化膜をレンズの上に形成し、屈折率差を緩和することで、反射を抑制することができる。係る酸化膜は、例えば基板に形成されたレンズの上に、所定元素を含む原料及び酸化剤を用いて形成されてきた。
【0004】
しかしながら、屈折率は酸化膜の種類によって一様に定まり、所定の屈折率を有する酸化膜をレンズの上に設けただけでは、各媒体間の屈折率差が充分緩和されず、反射を充分に抑制することができない場合があった。つまり、空気により近い低屈折率の酸化膜を選択すればレンズとの界面での反射抑制が困難となり、レンズにより近い高屈折率の酸化膜では空気との界面での反射抑制が困難となる。また、レンズ材料として例えば樹脂材を用いた場合、樹脂材に熱変性等を生じさせないほどの低温下では、原料と酸化剤との間で充分な反応性が得られず、酸化膜を形成することが困難であった。
【0005】
そこで本発明の目的は、レンズの反射を抑制することが可能な酸化膜を低温下で形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を形成する下層酸化膜形成工程と、前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を形成する上層酸化膜形成工程と、を有する半導体デバイスの製造方法が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、レンズと、前記レンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて形成された下層酸化膜と、前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて形成された上層酸化膜と、を備え、前記下層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有し、前記上層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する半導体デバイスが提供される。
【0008】
本発明のさらに他の態様によれば、レンズが形成された基板を収容する処理室と、前記基板を加熱する加熱部と、前記処理室内に第1元素を含む第1原料を供給する第1原料供
給部と、前記処理室内に第2元素を含む第2原料を供給する第2原料供給部と、
前記処理室内に酸化剤を供給する酸化剤供給部と、前記処理室内に触媒を供給する触媒供給部と、前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、前記第1原料、前記第2原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を前記レンズの上に形成させ、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を前記下層酸化膜の上に形成させるよう、前記加熱部、前記第1原料供給部、前記第2原料供給部、前記酸化剤供給部、前記触媒供給部および前記排気部を制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る半導体デバイスの製造方法、半導体デバイス及び基板処理装置によれば、レンズの反射を抑制することが可能な酸化膜を低温下で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る処理炉の構成図であって、特に処理室部分を断面図で示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る処理炉の構成図であって、特に処理室部分を図2のA−A断面で示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る基板処理工程を例示するフロー図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る基板処理工程のガス供給タイミング図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る基板処理工程の触媒反応の説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る基板処理工程を例示するフロー図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る基板処理工程のガス供給タイミング図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る基板処理工程の触媒反応の説明図である。
【図10】参考例及び第1実施形態に係る半導体デバイスが備えるレンズの屈折率を示す模式図である。
【図11】従来例及び参考例に係る半導体デバイスが備えるレンズの屈折率を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<発明者が得た知見>
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が得た知見について説明する。
【0012】
上述のようなCMOSイメージセンサ等の半導体デバイスは、例えば光を電気信号に変換する受光素子や、電気信号を処理する配線等を基板上に形成して製造される。受光素子の上方には、例えば微小なレンズ(マイクロレンズ)が設けられ、受光素子に光を集めるよう構成されている。
【0013】
図11(a)に示す従来の半導体デバイスでは、例えばフォトレジストからなるレンズとしてのレジストレンズ10に当たった入射光5は、一部は受光素子としてのフォトダイオード30に到達するが(屈折光7a)、一部は反射されてしまう(反射光6a)。光が通過する空気(屈折率:1.0)とレジストレンズ10(屈折率:1.6)との屈折率差は大きく、反射も起き易い。このため、従来の半導体デバイスではレジストレンズ10の集光効率が不十分となり、ノイズ比率の大きい微弱な電気信号しか得られない場合があった。
【0014】
図11(b)に示す参考例に係る半導体デバイスには、反射抑制の一手法として、例えばレジストレンズ10の上にSiO膜20が形成されている。空気及びレジストレンズ1
0の間の屈折率を有するSiO膜20(屈折率:1.45)により、上記屈折率差が緩和され、各膜表面での反射(反射光6a、6b)は多少なりとも抑制される。
【0015】
しかしながら、酸化膜の屈折率はSiO膜20等の酸化膜の種類によって一様に定まり、所定の酸化膜単独では、反射を充分に抑制することは困難であった。酸化膜の種類を適宜選定するなどして屈折率を調整し、各膜表面での反射をそれぞれ抑えようとしても、より空気に近い屈折率の酸化膜を形成するとレジストレンズ10表面での反射抑制が困難となり、よりレジストレンズ10に近い屈折率の酸化膜を形成すると空気との界面での反射抑制が困難となる。
【0016】
また、参考例に係る半導体デバイスには、成膜時の温度に係る課題もあった。酸化膜は、例えば基板が収容された処理室内に原料と酸化剤とを供給し、原料と酸化剤との反応により基板のレンズ上に形成される。しかし、上記のように、レンズがフォトレジスト等の樹脂材からなる場合、樹脂材が熱変性を受けないような温度、例えば200℃以下の低温では、原料と酸化剤との反応が充分進まず、酸化膜の形成が困難であった。
【0017】
そこで本発明者等は、上記課題を解決する手段について鋭意研究を行った。その結果、酸化膜を形成する際に、酸化膜の屈折率を厚さ方向に変化させることで反射を抑制できるとの知見を得た。また、触媒を供給したりプラズマを用いたりすることで、低温下であっても酸化膜を形成できるとの知見を得た。本発明は、発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
【0018】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置について、その構成を以下に説明する。
【0019】
(1)基板処理装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る基板処理装置101の斜透視図である。図1に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は筐体111を備えている。基板としてのウエハ200を筐体111内外へ搬送するには、複数のウエハ200を収納するウエハキャリア(基板収納容器)としてのカセット110が使用される。筐体111の正面には、カセット110を筐体111内外へ搬送する開口であるカセット搬入搬出口(基板収納容器搬入搬出口、図示せず)が設けられている。カセット搬入搬出口の筐体111内側には、カセットステージ(基板収納容器受渡し台)114が設けられている。カセット110は、図示しない工場内搬送装置によってカセットステージ114上に載置され、また、カセットステージ114上から筐体111外へ搬出されるように構成されている。
【0020】
カセット110は、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、工場内搬送装置によって、カセットステージ114上に載置されるように構成されている。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に向けて90°回転させてカセット110内のウエハ200を水平姿勢とさせ、カセット110のウエハ出し入れ口を筐体111内の後方に向かせることが可能なように構成されている。
【0021】
筐体111内を前後方向でみた略中央部には、カセット棚(基板収納容器載置棚)105が設置されている。カセット棚105は、複数段、複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105には、後述するウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。また、カセットステージ114の上方には、予備カセット棚107が設けられ、予備のカセット110を保管するように構成されている。
【0022】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置(基板収納容器搬送装置)118が設けられている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収納容器昇降機構)118aと、カセット110を保持したまま水平移動可能な搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収納容器搬送機構)118bと、を備えている。これらカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114、移載棚123を除くカセット棚105の所定位置、予備カセット棚107、移載棚123の間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0023】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構(基板移載機構)125が設けられている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bと、を備えている。なお、ウエハ移載装置125aは、ウエハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作により、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして後述するボート(基板保持具)217へ装填(ウエハチャージ)したり、ウエハ200をボート217から脱装(ウエハディスチャージ)して移載棚123上のカセット110内へ収納したりするように構成されている。
【0024】
筐体111の後部上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部には開口が設けられ、かかる開口は炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。なお、処理炉202の構成については後述する。
【0025】
処理炉202の下方には、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からボート(基板保持具)217へ装填・脱装する空間である移載室124が設けられている。移載室124内には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬入搬出させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が設けられている。アーム128上には、ボート217を垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115によりボート217が上昇したときに処理炉202の下端部を気密に閉塞する炉口蓋体としてのシールキャップ219が水平姿勢で設けられている。
【0026】
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、25枚から125枚程度)のウエハ200を、水平姿勢で、かつその中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に保持するように構成されている。
【0027】
カセット棚105の上方には、供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット134aが設けられている。クリーンユニット134aは、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0028】
また、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびボートエレベータ115の反対側、筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するよう供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。クリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置125a、ボート217を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部に排気されるように構成されている。
【0029】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置101の動作について説明する。
【0030】
まず、カセット110が、工場内搬送装置によってカセット搬入搬出口(図示せず)から搬入され、ウエハ200が垂直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、筐体111の後方に向けて90°回転させられる。その結果、カセット110内のウエハ200は水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口は筐体111内の後方を向く。
【0031】
次に、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105(移載棚123を除く)ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107から移載棚123に移載されるか、もしくは直接、移載棚123に搬送される。
【0032】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって、ウエハ出し入れ口を通じてカセット110からピックアップされ、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作によって移載室124の後方にあるボート217に装填(ウエハチャージ)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載機構125は、カセット110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0033】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、ウエハ200群を保持したボート217が処理炉202内へ搬入(ボートローディング)される。ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。かかる処理については後述する。処理後は、ウエハ200およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で筐体111の外部へ搬出される。
【0034】
(3)処理炉の構成
続いて、本実施形態に係る処理炉202の構成について、主に図2および図3を参照しながら説明する。図2は、図1に示す基板処理装置101の処理炉202の構成図であって、特に処理室201部分を断面図で示してある。また図3は、図2の処理室201部分のA−A断面図である。
【0035】
(処理室)
本実施形態に係る処理炉202は、バッチ式縦形ホットウォール型の処理炉として構成されている。処理炉202は、反応管203とマニホールド209とを備えている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、例えばSUS等の金属材料から構成され、上端及び下端が開放された円筒形状に形成されている。反応管203は、マニホールド209により下端側から縦向きに支持されている。反応管203とマニホールド209とは、同心円状に配置されている。反応管203とマニホールド209との間には、封止部材としてのOリング220が設けられている。マニホールド209の下端は、上述したボートエレベータ115が上昇した際に、シールキャップ219により気密に封止されるように構成されている。マニホールド209の下端とシールキャップ219との間には、処理室201内を気密に封止する封止部材としてのOリング220bが設けられている。
【0036】
反応管203及びマニホールド209の内部には、基板としてのウエハ200が収容される処理室201が形成されている。処理室201内には、基板保持具としてのボート217が下方から挿入されるように構成されている。反応管203及びマニホールド209
の内径は、ウエハ200を装填したボート217の最大外形よりも大きくなるように構成されている。
【0037】
ボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる断熱部材218が設けられており、後述するヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるよう構成されている。なお、断熱部材218は、石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これらを水平姿勢で多段に支持する断熱板ホルダとにより構成してもよい。
【0038】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばSUS等の金属材料からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0039】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能なように構成されている。
【0040】
反応管203の外周には反応管203と同心円状の円筒形状に、加熱部としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。なお、ヒータ207は、ガスを熱で活性化させる活性化機構としても機能する。
【0041】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、後述するノズル400a、400b、400c、400dと同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0042】
主に、反応管203、マニホールド209及びシールキャップ219により処理室201が構成され、ヒータ207、反応管203、マニホールド209及びシールキャップ219により処理炉202が構成される。
【0043】
(ノズル)
処理室201内における反応管203の下部には、第1ノズル400a、第2ノズル400b、第3ノズル400c及び第4ノズル400dが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。各ノズル400a、400b、400c、400dは、L字型のロングノズルとして構成されている。
【0044】
具体的には、各ノズル400a、400b、400c、400dは、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。各ノ
ズル400a、400b、400c、400dの側面にはガスを供給するガス供給孔401a、401b、401c、401dが、それぞれ設けられている。ガス供給孔401a、401b、401c、401dは、反応管203の中心を向くように開口している。これらのガス供給孔401a、401b、401c、401dは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0045】
なお、各ノズル400a、400b、400c、400dは、図3に示すように、例えばウエハ200を挟んで温度センサ263と対向する位置にそれぞれ設けられている。ただし図2においては、各ノズル400a、400b、400c、400dの構造をそれぞれ示すため、便宜上、第3ノズル400c、第4ノズル400d及びそれらに付随する後述のガス供給管410c、410d等を、紙面右側の第1ノズル400a及び第2ノズル400bと対向する位置に図示した。
【0046】
(第1原料供給部)
第1ノズル400aの上流端(下部)には、第1元素としてのシリコン(Si)を含む第1原料としてのSi含有ガス、例えばヘキサクロロジシラン(HCD:SiCl)ガスを供給する第1原料供給管410aの下流端が接続されている。第1原料供給管410aには、上流側から順に、常温で液状である液体原料としてのHCDを供給する図示しないHCD供給源、流量制御器(流量制御部)としての液体マスフローコントローラ411a、開閉弁としてのバルブ412a、気化器415a、開閉弁としてのバルブ413aが設けられている。
【0047】
気化器415aには、気化器415a内で生成されたHCDガスとともに処理室201内へと供給される窒素(N)ガス等のキャリアガスを供給するキャリアガス供給管420aの下流端が接続されている。キャリアガス供給管420aには、上流側から順に図示しないキャリアガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ421a、開閉弁としてのバルブ422aが設けられている。バルブ412aを開け、液体マスフローコントローラ411aにより流量制御された液状のHCDが気化器415a内に供給されると、気化器415aは供給されたHCDを加熱してHCDの気化ガスを発生させることが可能なように構成されている。気化器415a内でHCDガスが生成された状態で、バルブ422aを開け、マスフローコントローラ421aにより流量制御されたキャリアガスを気化器415a内に供給し、さらにバルブ413aを開けることにより、HCDガスをキャリアガスとともに処理室201内に供給可能なように構成されている。
【0048】
第1原料供給管410aのバルブ413aの下流側には、Nガス等のパージガスを供給するパージガス供給管430aの下流端が接続されている。パージガス供給管430aには、上流側から順に図示しないパージガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ431a、開閉弁としてのバルブ432aが設けられている。バルブ432aを開けることにより、マスフローコントローラ431aにより流量制御しながら、パージガス供給源から処理室201内にパージガスを供給可能なように構成されている。例えばHCDガスの供給終了後、処理室201内を排気しながらパージガスを供給することで、処理室201内に残留したHCDガス等を排除することができる。
【0049】
主に、第1原料供給管410a、HCD供給源、液体マスフローコントローラ411a、バルブ412a、気化器415a、バルブ413a、キャリアガス供給管420a、キャリアガス供給源、マスフローコントローラ421a、バルブ422a、第1ノズル400a、ガス供給孔401aにより、処理室201内に第1原料を供給する第1原料供給部が構成される。
【0050】
(第2原料供給部)
第2ノズル400bの上流端(下部)には、第2元素としてのチタン(Ti)を含む第2原料としてのTi含有ガス、例えばテトラクロロチタン(TiCl)ガスを供給する第2原料供給管410bの下流端が接続されている。第2原料供給管410bには、上流側から順に、常温で液状である液体原料としてのTiClを供給する図示しないTiCl供給源、流量制御器(流量制御部)としての液体マスフローコントローラ411b、開閉弁としてのバルブ412b、気化器415b、開閉弁としてのバルブ413bが設けられている。
【0051】
気化器415bには、気化器415b内で生成されたTiClガスとともに処理室201内へと供給されるNガス等のキャリアガスを供給するキャリアガス供給管420bの下流端が接続されている。キャリアガス供給管420bには、上流側から順に図示しないキャリアガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ421b、開閉弁としてのバルブ422bが設けられている。上記第1原料の場合と同様、各部の操作により、気化器415b内で生成されたTiClガスをキャリアガスとともに処理室201内に供給可能なように構成されている。
【0052】
第2原料供給管410bのバルブ413bの下流側には、Nガス等のパージガスを供給するパージガス供給管430bの下流端が接続されている。パージガス供給管430bには、上流側から順に図示しないパージガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ431b、開閉弁としてのバルブ432bが設けられている。上記パージガスの場合と同様、各部の操作により、処理室201内にパージガスを供給可能なように構成され、よって、処理室201内に残留したTiClガス等を排除することができる。
【0053】
主に、第2原料供給管410b、TiCl供給源、液体マスフローコントローラ411b、バルブ412b、気化器415b、バルブ413b、キャリアガス供給管420b、キャリアガス供給源、マスフローコントローラ421b、バルブ422b、第2ノズル400b、ガス供給孔401bにより、処理室201内に第2原料を供給する第2原料供給部が構成される。
【0054】
(酸化剤供給部)
第3ノズル400cの上流端(下部)には、酸化剤としての酸素(O)含有ガス、例えば水蒸気(HOガス)を供給する酸化剤供給管410cの下流端が接続されている。酸化剤供給管410cには、上流側から順に、HOガスを供給する図示しないHOガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ411c、開閉弁としてのバルブ412cが設けられている。なお、HOガスの供給に際し、図示しないパイロジェニック炉に、酸素(O)ガスと水素(H)ガスとを供給してHOガスを生成する構成としてもよい。
【0055】
バルブ412cの下流側には、Nガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給管420cの下流端が接続されている。不活性ガス供給管420cには、上流側から順に図示しない不活性ガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ421c、開閉弁としてのバルブ422cが設けられている。バルブ412c、422cを開けることで、マスフローコントローラ412cにより流量制御されたHOガスを、マスフローコントローラ422cにより流量制御されたキャリアガスとしての不活性ガスとともに処理室201内に供給可能なように構成されている。
【0056】
また、バルブ412cを閉じた状態でバルブ422cを開け、マスフローコントローラ
421cにより流量制御しながら、パージガスとしての不活性ガスを処理室201内に供給することで、処理室201内に残留したHOガス等を排除することができる。なお、上記の第1原料や第2原料の場合と同様、パージガスを供給するパージガス供給管等を、キャリアガスを供給する不活性ガス供給管420c等とは別に設けてもよい。
【0057】
主に、酸化剤供給管410c、HOガス供給源、マスフローコントローラ411c、バルブ412c、不活性ガス供給管420c、不活性ガス供給源、マスフローコントローラ421c、バルブ422c、第3ノズル400c、ガス供給孔401cにより、処理室201内に酸化剤を供給する酸化剤供給部が構成される。
【0058】
(触媒供給部)
第4ノズル400dの上流端(下部)には、触媒としての、例えばアンモニア(NH)ガスを供給する触媒供給管410dの下流端が接続されている。触媒供給管410dには、上流側から順に、NHガスを供給する図示しないNHガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ411d、開閉弁としてのバルブ412dが設けられている。
【0059】
バルブ412dの下流側には、Nガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給管420dの下流端が接続されている。不活性ガス供給管420dには、上流側から順に図示しない不活性ガス供給源、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ421d、開閉弁としてのバルブ422dが設けられている。上記酸化剤の場合と同様、各部の操作により、NHガスをキャリアガスとしての不活性ガスとともに処理室201内に供給可能なように構成されている。
【0060】
また、パージガスとしての不活性ガスを処理室201内に供給することで、処理室201内に残留したNHガス等を排除することができる。なお、上記の第1原料や第2原料の場合と同様、パージガスを供給するパージガス供給管等を、キャリアガスを供給する不活性ガス供給管420d等とは別に設けてもよい。
【0061】
主に、触媒供給管410d、NHガス供給源、マスフローコントローラ411d、バルブ412d、不活性ガス供給管420d、不活性ガス供給源、マスフローコントローラ421d、バルブ422d、第4ノズル400d、ガス供給孔401dにより、処理室201内に触媒を供給する触媒供給部が構成される。
【0062】
(排気部)
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気するガス排気管231が設けられている。ガス排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気するように構成されている。APCバルブ243は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。
【0063】
なお、ガス排気管231は、図3に示すように、例えば第1ノズル400a及び温度センサ263の間の反応管203の下部側壁に設けられている。ただし図2においては、ガス排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245の構造をそれぞれ示すため、便宜上、ガス排気管231を含む上記構成を紙面右側の第1ノズル400a及び第2ノズル400bと対向する位置に図示した。
【0064】
主に、ガス排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により、排気部が構成される。
【0065】
(制御部)
制御部としてのコントローラ280は、液体マスフローコントローラ411a、411b、411c、マスフローコントローラ421a、431a、421b、431b、421c、431c、411d、421d、バルブ412a、413a、422a、432a、412b、413b、422b、432b、412c、413c、422c、432c、412d、422d、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。コントローラ280により、液体マスフローコントローラ411a、411b、411c及びマスフローコントローラ421a、431a、421b、431b、421c、431c、411d、421dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ412a、413a、422a、432a、412b、413b、422b、432b、412c、413c、422c、432c、412d、422dの開閉動作、APCバルブ243の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節動作、ボートエレベータ115の昇降動作等の制御が行われる。
【0066】
(4)基板処理工程
続いて、本実施形態に係る基板処理工程について説明する。本実施形態に係る基板処理工程は、例えばCMOSイメージセンサ等の半導体デバイスの製造工程の一工程として、上述の処理炉202により実施され、後に詳述する図10(b)に示すように、レジストレンズ10の上に、高屈折率のシリコンチタン酸化(SiTiO)膜21と、低屈折率のシリコン酸化(SiO)膜20とがこの順に形成される。なお、SiO膜はSiOを含む任意の組成比を持つシリコン酸化膜である。
【0067】
成膜方法として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法では、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガスを同時に供給し、また、ALD(Atomic Layer Deposition)法では、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガスを交互に供給する。そして、ガス供給時のガス供給流量、ガス供給時間、プラズマパワーなどの供給条件を制御することによりシリコン酸化膜(SiO膜)等を形成する。
【0068】
これらの成膜法では、例えばチタン窒化(SiN)膜を形成する場合は、膜の組成比が化学量論組成であるN/Si≒1.33となるようにすることを目的とし、SiO膜を形成する場合は、膜の組成比が化学量論組成であるO/Si≒2となるようにすることを目的として、供給条件を制御する。
【0069】
一方、形成する膜の組成比が化学量論組成とは異なる所定の組成比となるようにすることを目的として、供給条件を制御することも可能である。つまり、形成する膜を構成する複数の元素のうち少なくとも一つの元素が他の元素よりも化学量論組成に対し過剰となるようにすることを目的として、供給条件を制御することもできる。このように、形成する膜を構成する複数の元素の比率(膜の組成比)を制御しつつ成膜を行うことも可能である。
【0070】
なお、「金属膜」という用語は、金属原子を含む導電性の物質で構成される膜を意味しており、これには金属単体で構成される導電性の金属単体膜の他、導電性の金属窒化膜、導電性の金属酸化膜、導電性の金属酸窒化膜、導電性の金属複合膜、導電性の金属合金膜、導電性の金属シリサイド膜等も含まれる。例えば、チタン窒化膜は導電性の金属窒化膜
である。
【0071】
以下に、本実施形態に係る基板処理工程について、主に図4および図5を用いて詳述する。図4は、処理炉202により実施される基板処理工程のフロー図である。また、図5は、本実施形態に係る各ガスの供給を交互に繰り返す際のそれぞれのガス供給タイミングを例示するタイミングチャート図である。以下の説明において、図2に示す処理炉202を構成する各部の動作は、コントローラ280により制御される。
【0072】
(基板搬入工程S101)
まず、予めレジストレンズ10が形成された複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。そして、複数枚のウエハ200を保持したボート217を、ボートエレベータ115によって持ち上げて処理室201内に搬入(ボートローディング)する。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。基板搬入工程S101においては、パージガス供給管430a、430bのバルブ432a、432b、及び不活性ガス供給管420c、420dのバルブ422c、422dを開けて、処理室201内にNガス等のパージガスを供給し続けることが好ましい。
【0073】
(減圧工程S102、昇温工程S103)
続いて、バルブ432a、432b、422c、422dを閉じ、処理室201内を真空ポンプ246により排気する。このとき、APCバルブ243の開度を調整することにより、処理室201内を所定圧力とする。また、ウエハ200が所望の温度、例えば室温以上200℃以下、より好ましくは室温以上150℃以下であって、例えば100℃となるように、ヒータ207によって処理室201内の温度を制御する。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合をフィードバック制御する。そして、回転機構267によりボート217を回転させ、ウエハ200の回転を開始する。
【0074】
(下層酸化膜形成工程S104a〜S106)
続いて、図4のS104a〜S106の工程を実施して、ウエハ200に形成されたレジストレンズ10の上に、下層酸化膜(高屈折率酸化膜)としてのSiTiO膜21を形成する(図10(b)参照)。下層酸化膜形成工程S104a〜S106は、S104a〜S104dを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する(S104e)第1サイクル工程と、S105a〜S105dを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する(S105e)第2サイクル工程と、を有する。この第1サイクル工程S104a〜S104eと第2サイクル工程S105a〜S105eとを1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施する(S106)ことによりSiTiO膜21を形成する。なお、SiTiO膜21は、任意の組成比を持つSiとTiとの複合酸化膜である。以下、第1サイクル工程S104a〜S104e及び第2サイクル工程S105a〜S105eについて詳述する。
【0075】
(第1原料及び触媒供給工程S104a)
第1サイクル工程S104a〜S104eにおける第1原料及び触媒供給工程S104aでは、処理室201内に第1原料としてのHCDガス及び触媒としてのNHガスを供給する。
【0076】
具体的には、まず、HCDガスの供給開始に先駆けて、予め気化器415a内でHCDガスの生成を行う。つまり、バルブ412aを開け、液体マスフローコントローラ411aにより流量制御しながら、液状のHCDを気化器415a内に供給し、HCDガスの生成を行う。HCDガスを供給するにあたっては、バルブ422aを開け、マスフローコン
トローラ421aにより流量制御しながら、キャリアガスを気化器415a内に供給する。さらに、バルブ413aを開け、生成されたHCDガスをキャリアガスとともに処理室201内に供給する。
【0077】
また、バルブ412d、422dを開け、マスフローコントローラ411d、421dによりそれぞれ流量制御しながら、NHガスをキャリアガスとしての不活性ガスとともに処理室201内に供給する。
【0078】
HCDガス及びNHガスを処理室201内に供給する際には、APCバルブ243の開度を調整して処理室201内を所定の圧力、例えば10Torrとする。HCDガス及びNHガスの流量比は、例えばHCDガスの流量(sccm)/NHガスの流量(sccm)の比にして0.01以上100以下、より好ましくは0.05以上10以下とする。HCDガス及びNHガスの供給時間は、例えば1秒以上100秒以下、より好ましくは5秒以上30秒以下とする。所定時間が経過したら、バルブ412a、413a、422a、412dを閉じ、HCDガス及びNHガスの処理室201内への供給を停止する。なお、バルブ422dは開けたままとしておく。
【0079】
上記のように、処理室201内に供給されたHCDガス及びNHガスは、ウエハ200上を通過してガス排気管231から排気される。ウエハ200上を通過する際、HCDガスはウエハ200上のレジストレンズ10の表面、或いはレジストレンズ10の上にHCD分子(又はその分解物)が吸着してできたSi含有層等の表面に化学吸着し、Si含有層を形成する。
【0080】
NHガスは、HCDガスの化学吸着によるSi含有層の形成を促進させる。すなわち、図6(a)に示すように、例えばレジストレンズ10やSi含有層等の表面が有するOH結合に、触媒としてのNHガスが作用してOH間の結合力を弱める。結合力の弱まった水素(H)とHCDガスの塩素(Cl)とが反応することで塩化水素(HCl)ガスが脱離し、Clを失ったHCD分子(ハロゲン化物)がレジストレンズ10等の表面に化学吸着する。NHガスがOH間の結合力を弱めるのは、NH分子中の孤立電子対を有するN原子が、Hを引きつける作用を持つためである。NHガスは、Hを引きつける力の指標となる酸解離定数(以下、pKaとも呼ぶ)が約9.2と大きく、Hを引きつける力が比較的強い。
【0081】
(排気工程S104b)
上述のように、所定時間が経過してHCDガス及びNHガスの供給を停止した後、APCバルブ243を開けて処理室201内の雰囲気を排気し、残留しているHCDガスやNHガス、反応後の分解物(排ガス)等を排除する。また、開放されたままのバルブ422dに加えてバルブ432aを開け、マスフローコントローラ431a、421dにより流量制御しながら、パージガスを処理室201内に供給する。このとき、さらにバルブ432b、422cを開け、パージガス供給管430bや不活性ガス供給管420cからもパージガスを供給してもよい。これにより、処理室201内から残留ガスを排除する効果をさらに高めることができる。所定時間経過後、バルブ432a、422dを閉じて排気工程S104bを終了する。
【0082】
(酸化剤及び触媒供給工程S104c)
処理室201内の残留ガスを除去した後、処理室201内に酸化剤としてのHOガス及び触媒としてのNHガスを供給する。つまり、バルブ412c、422cを開け、マスフローコントローラ411c、421cによりそれぞれ流量制御しながら、HOガスをキャリアガスとしての不活性ガスとともに処理室201内に供給する。また、上述の第1原料及び触媒供給工程S104aと同様の手順で、NHガスをキャリアガスとしての
不活性ガスとともに処理室201内に供給する。
【0083】
Oガス及びNHガスを処理室201内に供給する際には、処理室201内の圧力を例えば10Torrとする。また、例えばHOガスの流量(sccm)/NHガスの流量(sccm)の比を、0.01以上100以下、より好ましくは0.05以上10以下とする。このとき、HOガス及びNHガスの質量パーセント濃度が同程度であるとより好ましい。ガスの供給時間は、例えば1秒以上100秒以下、より好ましくは5秒以上30秒以下とする。所定時間が経過したら、バルブ412c、412dを閉じ、HOガス及びNHガスの処理室201内への供給を停止する。なお、バルブ422c、422dは開けたままとしておく。
【0084】
上記のように、処理室201内に供給されたHOガス及びNHガスは、ウエハ200上を通過してガス排気管231から排気される。ウエハ200上を通過する際、HOガスはレジストレンズ10の上に形成されたSi含有層等と表面反応し、Si含有層等が酸化されてSiO層へと変化する。なお、SiO層はSiOを含む任意の組成比を持つシリコン酸化層である。
【0085】
NHガスは、HOガスのSi含有層との表面反応を促進させる。すなわち、図6(b)に示すように、HOガスの有するOH結合に触媒としてのNHガスが作用し、OH間の結合力を弱める。結合力の弱まったHと、レジストレンズ10の上のSi含有層等が有するClとが反応することで、塩化水素(HCl)ガスが脱離し、Hを失ったHOガスのOが、Clが脱離したSiに付加する。
【0086】
(排気工程S104d)
Oガス及びNHガスの供給停止後、APCバルブ243を開けて処理室201内の雰囲気を排気し、残留しているHOガスやNHガス、反応後の分解物(排ガス)等を排除する。また、開放されたままとなっているバルブ422c、422dを介し、マスフローコントローラ421c、421dにより流量制御しながら、パージガスとしての不活性ガスを処理室201内に供給する。このとき、他のパージガス供給管を用いてもよい。所定時間経過後、バルブ422c、422dを閉じて排気工程S104dを終了する。
【0087】
(所定回数実施工程S104e)
上記S104a〜S104dを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200のレジストレンズ10の上に所定膜厚、例えば2.0Åから10000ÅのSiO層を形成する。図5に、上述のサイクルをp回実施する例を示す。図5の横軸は経過時間を示し、縦軸は各ガスの供給タイミングを示している。以上により、第1サイクル工程S104a〜S104eを終了する。
【0088】
上述のように、第1原料及び触媒供給工程S104aと、酸化剤及び触媒供給工程S104cとのそれぞれにおいてNHガスを触媒として用いることで、低温下であってもHCDガスの化学吸着を促進し、また、HOガスの表面反応を促進することができる。このように、低温下でSiO層を形成することで、レジストレンズ10の熱変性が抑制され、レジストレンズ10の不良発生を低減することができる。
【0089】
(第2原料及び触媒供給工程S105a)
第2サイクル工程S105a〜S105eにおける第2原料及び触媒供給工程S105aでは、処理室201内に第2原料としてのTiClガス及び触媒としてのNHガスを供給する。
【0090】
具体的には、まず、TiClガスの供給開始に先駆けて、予め気化器415b内でT
iClガスの生成を行う。つまり、バルブ412bを開け、液体マスフローコントローラ411bにより流量制御しながら、液状のTiClを気化器415b内に供給し、TiClガスの生成を行う。TiClガスを供給するにあたっては、バルブ422bを開け、マスフローコントローラ421bにより流量制御しながら、キャリアガスを気化器415b内に供給する。さらに、バルブ413bを開け、生成されたTiClガスをキャリアガスとともに処理室201内に供給する。また、上述の第1原料及び触媒供給工程S104aと同様の手順で、NHガスをキャリアガスとしての不活性ガスとともに処理室201内に供給する。
【0091】
TiClガス及びNHガスを処理室201内に供給する際の圧力、ガスの供給量・供給時間等は、例えば上述の第1原料及び触媒供給工程104aと同様とすることができる。所定時間が経過したら、バルブ412b、413b、422b、412dを閉じ、TiClガス及びNHガスの処理室201内への供給を停止する。なお、バルブ422dは開けたままとしておく。
【0092】
上述の第1原料及び触媒供給工程104aと同様に、NHガスによってTiClガスの化学吸着が促進され、SiO層の表面、或いはすでに形成されているTi含有層等の表面に、Ti含有層が形成される。
【0093】
(排気工程S105b)
TiClガス及びNHガスの供給停止後、APCバルブ243を開けて処理室201内の雰囲気を排気し、残留しているTiClガスやNHガス、反応後の分解物(排ガス)等を排除する。また、開放されたままのバルブ422dに加えてバルブ432bを開け、マスフローコントローラ431b、421dにより流量制御しながら、パージガスを処理室201内に供給する。このとき、他のパージガス供給管等を用いてもよい。所定時間経過後、バルブ432b、422dを閉じて排気工程S105bを終了する。
【0094】
(酸化剤及び触媒供給工程S105c)
上述の酸化剤及び触媒供給工程104cと同様の手順・処理条件で、処理室201内にHOガス及びNHガスを供給する。上述の酸化剤及び触媒供給工程S104cと同様の反応により、Ti含有層等が酸化されてTiO層へと変化する。なお、TiO層はTiOを含む任意の組成比を持つ金属酸化層としてのチタン酸化層である。
【0095】
(排気工程S105d)
上述の排気工程S104dと同様の手順で、処理室201内の雰囲気を排気し、残留しているHOガス等を排除する。また、パージガスを処理室201内に供給する。
【0096】
(所定回数実施工程S105e)
上記S105a〜S105dを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200のSiO層の上に所定膜厚、例えば2.0Åから10000ÅのTiO層を形成する。図5に、上述のサイクルをq回実施する例を示す。以上により、第2サイクル工程S105a〜S105eを終了する。
【0097】
上述のように、TiClガス等を用いてTiO層を形成する場合にも、第2原料及び触媒供給工程S105aと、酸化剤及び触媒供給工程S105cとのそれぞれにおいてNHガスを触媒として用いることで、低温下であってもTiClガスの化学吸着を促進し、また、HOガスの表面反応を促進することができる。このように、低温下でTiO層を形成することで、レジストレンズ10の熱変性が抑制され、レジストレンズ10の不良発生を低減することができる。
【0098】
(所定回数実施工程S106)
所定回数実施工程S106では、上述の第1サイクル工程S104a〜S104eと第2サイクル工程S105a〜S105eとを1セットとしてこのセットを所定の組合せ(例えば、それぞれp回とq回)で所定回数実施することにより、ウエハ200のレジストレンズ10の上に所定膜厚、例えば50Åから20000ÅのSiTiO膜21を形成する(図10(b)参照)。
【0099】
屈折率が1.45のSiO層に比べてTiO層の屈折率は2.2と大きく、上述のように、SiO層とTiO層とを積層してSiTiO膜21を形成することで、例えばSiO膜を単独で形成する場合よりも、レジストレンズ10により近い高い屈折率が得られる。また、SiO層に対するTiO層の積層比率を任意の比率とすることで、所定の屈折率を有するSiTiO膜21を形成することができる。積層比率は上記の組合せ、つまり、各サイクル工程の実施回数によって調整することができる。例えば第1サイクル工程S104a〜S104eの実施回数3回(p=3)に対し、第2サイクル工程S105a〜S105eの実施回数を2回(q=2)とすると、屈折率が1.55のSiTiO膜21が得られる。また、p=3に対してq=1とすると、屈折率は1.50となる。SiTiO膜21の屈折率は、空気の屈折率より大きく、レジストレンズ10の屈折率より小さい範囲内で選択する。
【0100】
また、上記任意の組合せを保ったまま、第1サイクル工程S104a〜S104eと第2サイクル工程S105a〜S105eとを1セットとしてこのセットの実施回数を増減させることで、所定の屈折率を保ったままSiTiO膜21の膜厚を制御することが可能である。なお、第1サイクル工程S104a〜S104eと第2サイクル工程S105a〜S105eとの実施順は任意であり、下層酸化膜形成工程S104a〜S106を、どちらの工程から開始してもよく、また、どちらの工程で終了してもよい。例えば、第2サイクル工程S105a〜S105eから開始し、再び第2サイクル工程S105a〜S105eで終了することも可能である。
【0101】
(上層酸化膜形成工程S107a〜S107e)
続いて、S107a〜S107dを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施して(S107e)、ウエハ200のSiTiO膜21の上に上層酸化膜(低屈折率酸化膜)としてのSiO膜20を形成する(図10(b)参照)。S107a〜S107dの各工程は、上述のS104a〜S104dの各工程と同様の手順・処理条件で行う。これを所定回数実施することにより、SiTiO膜21の上に所定膜厚、例えば50Åから10000ÅのSiO膜20を形成する。このとき、SiO膜20の屈折率は、空気の屈折率より大きく、SiTiO膜21の屈折率より小さい範囲内となっている。図5に、上述のサイクルをr回実施する例を示す。
【0102】
このように、本実施形態においては、比較的屈折率の大きいSiTiO膜21の上に比較的屈折率の小さいSiO膜20を形成し、レジストレンズ10から空気側へと厚さ方向に段階的に屈折率を減少させている。これによって、SiO膜20のみを形成する場合に比べ、各媒体間の屈折率差がより緩和され、反射を一層抑制することができる。
【0103】
(降温工程S108、常圧復帰工程S109)
所望の膜厚のSiTiO膜21及びSiO膜20が成膜されたら、ヒータ207への電力供給を停止し、ボート217およびウエハ200を所定の温度にまで降下させる。温度を降下させる間、バルブ432a、432b、422c、422dを開放したまま維持し、図示しないパージガス供給源から処理室201内にパージガスの供給を継続する。これにより、処理室201内をパージガスで置換すると共に、処理室201内の圧力を常圧に復帰させる。
【0104】
(基板搬出工程S110)
ウエハ200が所定の温度にまで降下し、処理室201内が常圧に復帰したら、上述の手順とは逆の手順により、成膜後のウエハ200を処理室201内から搬出する。なお、ボート217を搬出するときには、バルブ432a、432b、422c、422dを開け、処理室201内にパージガスを供給し続けることが好ましい。以上により、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0105】
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示すひとつまたは複数の効果を奏する。
【0106】
(a)本実施形態によれば、ウエハ200に形成されたレジストレンズ10の上に、SiTiO膜21とSiO膜20とをこの順に形成する。このとき、SiTiO膜21の屈折率は、空気の屈折率より大きく、レジストレンズ10の屈折率より小さい範囲内となるよう制御され、SiO膜20の屈折率は、空気の屈折率より大きく、SiTiO膜21の屈折率より小さい範囲内となっている。
【0107】
このように、酸化膜の形成時に屈折率を変更可能とし、レジストレンズ10から空気側へと厚さ方向に段階的に屈折率を減少させることで、各媒体間での屈折率差を緩和してレジストレンズ10の反射を抑制することができ、集光効率を向上させることができる。図10(b)に、屈折率が緩和され、各膜表面での反射(反射光6a、6b、6c)がそれぞれ抑制された様子を示す。
【0108】
(b)また、本実施形態によれば、SiO膜20と、より大きい屈折率を有するSiTi
O膜21とを組み合わせている。これによって、比較的屈折率の小さいSiO膜20のみを形成する場合に比べ、横から入射する光であってもフォトダイオード30に取り込みやすくなり、より広い角度からの集光が可能となる。
【0109】
図10(a)に示す、SiO膜20のみが形成された参考例に係る半導体デバイスでは、SiO膜20の屈折率が小さく、広い角度からの集光が困難となってしまう場合があった。つまり、入射光5のSiO膜20中での屈折が浅いため(屈折光7b)、横から入る光ほどフォトダイオード30から逸れてしまっていた。
【0110】
しかしながら、本実施形態では、より屈折率の大きいSiTiO膜21をSiO膜20
と組み合わせているので、図10(b)に示すように、より広い角度からの入射光5をフォトダイオード30に到達させることができ(屈折光7a)、集光効率が向上する。
【0111】
(c)また、本実施形態によれば、第1サイクルS104a〜S104eと第2サイクルS105a〜S105eとを1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施する(S106)ことによりSiTiO膜21を形成する。これによって、SiO層に対するTiO層の積層比率を調整し、所定の屈折率を有するSiTiO膜21を得ることができる。
【0112】
(d)また、本実施形態によれば、第1サイクルS104a〜S104eと第2サイクルS105a〜S105eとを1セットとしてこのセットの実施回数を増減させることで、SiTiO膜21の膜厚を制御することができる。このとき、上記所定の組合せを維持しておけば、SiTiO膜21の屈折率を所定値に維持することができる。
【0113】
(e)また、本実施形態によれば、触媒としてのNHガスを用いてSiTiO膜21及びSiO膜20を形成する。また、このときのウエハ200の加熱温度は200℃以下、
より好ましくは150℃以下となっている。触媒の使用により、係る低温下であってもHCDガス、TiClガスの化学吸着をそれぞれ促進し、また、HOガスの表面反応を促進することができる。つまり、SiTiO膜21やSiO膜20等の酸化膜のみを主に形成するため、触媒を用いた低温下での成膜が可能となる。よって、レジストレンズ10の熱変性を抑制することができ、レジストレンズ10の不良を低減して特性を向上させることができる。
【0114】
(f)また、本実施形態によれば、SiTiO膜21とSiO膜20とを同一の処理室201内で連続的に形成している。これによって、途中工程で別の処理炉にウエハ200を搬送するなどの手間が省ける。また、途中工程でウエハ200が大気に晒されることがないので、より高品質の酸化膜を形成することができる。
【0115】
なお、本実施形態では、触媒としてNHガスを用いる例について説明したが、触媒はアンモニアに限らず、ピリジン等他のものであっても適用可能である。
【0116】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る基板処理工程について、以下に説明する。二段階で(段階的に)屈折率を変化させる上述の実施形態とは異なり、本実施形態に係る基板処理工程では、レジストレンズ10と接する面から反対側の空気と接する面に向かって屈折率が厚さ方向に徐々に小さくなるようSiTiO膜を形成し、SiO膜20の形成は行わない。また、本実施形態では、触媒としてピリジン(CN)ガスを用いる例について説明する。
【0117】
(1)基板処理工程
以下に、本実施形態に係る基板処理工程について、主に図7および図8を用いて詳述する。本実施形態に係る基板処理工程も、図2及び図3の処理炉202を用いて実施され、各部の動作はコントローラ280により制御される。ただし、ピリジンは常温で液状であるので、本実施形態においては触媒供給管410dも、気化器(図示せず)等の構成を備えるものとする。
【0118】
(基板搬入工程S201〜昇温工程S203)
図7に示す、基板搬入工程S201、減圧工程S202、昇温工程S203の各工程は、上述の実施形態の対応する各工程S101〜S103と同様の手順にて行う。
【0119】
(積層酸化膜形成工程S204a〜S206)
続いて、図7のS204a〜S206の工程を実施して、ウエハ200に形成されたレジストレンズ10の上に、積層酸化膜としてのSiTiO膜を形成する。積層酸化膜形成工程S204a〜S206では、第1サイクル工程S204a〜S204eと第2サイクル工程S205a〜S205eとを1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施する(S206)ことによりSiTiO膜を形成する。
【0120】
(第1サイクル工程S204a〜S204e)
上述の実施形態に係る第1サイクル工程S104a〜S104eと同様の手順・処理条件で、第1サイクル工程S204a〜S204eを実施する。このとき、触媒としてピリジンガスを用いる。ピリジンガスは、NHガスと同様、ピリジン分子中のN原子が孤立電子対を有しており、Hを引きつける作用を持つ(pKa=5.7)。したがって、図7(a)、(b)に示すように、レジストレンズ10やSi含有層等の表面、或いはHOガスが有するOH結合の結合力を弱めて、HCDガスの化学吸着を促進し、また、HOガスの表面反応を促進する。
【0121】
上記により、ウエハ200のレジストレンズ10の上に所定膜厚、例えば2.0Åから1000ÅのSiO層が形成される。図8に、上述のサイクルをm回実施する例を示す。
【0122】
(第2サイクル工程S205a〜S205e)
上述の実施形態に係る第2サイクル工程S105a〜S105eと同様の手順・処理条件で、第2サイクル工程S205a〜S205eを実施する。触媒には、ピリジンガスを用いる。これにより、ウエハ200のSiO層の上に所定膜厚、例えば2.0Åから1000ÅのTiO層が形成される。図8に、上述のサイクルをn回実施する例を示す。
【0123】
(所定回数実施工程S206)
所定回数実施工程S206では、上述の第1サイクル工程S204a〜S204eと第2サイクル工程S205a〜S205eとを1セットとしてこのセットを所定の組合せ(例えば、それぞれm回とn回)で所定回数実施することにより、ウエハ200のレジストレンズ10の上に所定膜厚、例えば2.0Åから2000ÅのSiTiO膜を形成する。
【0124】
ここで、本実施形態においては、SiO層に対するTiO層の積層比率を徐々に低下させていくことで、レジストレンズ10と接する面から反対側の空気と接する面に向かって屈折率が厚さ方向に徐々に小さくなるようにSiTiO膜を形成する。具体的には、第1サイクル工程S204a〜S204eの実施回数に対する第2サイクル工程S205a〜S205eの実施回数、つまり、mの値に対するnの値を徐々に減らしていきながら、第1サイクル工程S204a〜S204eと第2サイクル工程S205a〜S205eとを1セットとしてこのセットを所定回数実施する。このとき、SiTiO膜の屈折率は、空気の屈折率以上レジストレンズ10の屈折率以下の範囲内で変化させる。
【0125】
なお、第1サイクル工程S204a〜S204eと第2サイクル工程S205a〜S205eとの実施順は任意であり、例えば積層酸化膜形成工程S204a〜S206を、第2サイクル工程S205a〜S205eから開始し、第1サイクル工程S204a〜S204eで終了することも可能である。
【0126】
このように、本実施形態においては、レジストレンズ10から空気側へと屈折率を厚さ方向に徐々に減少させていくことができ、各媒体間の屈折率差が緩和されてレジストレンズ10の反射を抑制することができる。
【0127】
(降温工程S208〜基板搬出工程S210)
降温工程S208、常圧復帰工程S209、基板搬出工程S210の各工程は、上述の実施形態の対応する各工程S108〜S110と同様の手順にて行う。以上により、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0128】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0129】
(a)また、本実施形態によれば、レジストレンズ10と接する面から反対側の空気と接する面に向かって屈折率が厚さ方向に徐々に小さくなるようにSiTiO膜を形成する。これによって、各媒体間の屈折率差が一層緩和され、レジストレンズ10の反射を抑制することができる。
【0130】
(b)また、本実施形態によれば、触媒としてのピリジンを用いてSiTiO膜を形成する。これによって、パーティクルが低減される。
【0131】
上述のように、NHガスを触媒として用いると、NHガスをHCDガスと同時に供
給することにより、一部、NHガスとHCDガスとの反応が起こり、反応副生成物としてNHClが生じてパーティクルの原因となる場合がある(図6(a)参照)。
【0132】
しかしながら、本実施形態では、酸解離定数pKaがNHガスよりも小さく、Cl等の17族元素との反応性の低いピリジン(pKa=5.7)ガスを触媒として用いることで、反応副生成物の生成を抑え、パーティクルを低減することができる。
【0133】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る基板処理工程について、以下に説明する。本実施形態に係る基板処理工程では、触媒の替わりにプラズマを用いることで、酸化剤としてのHOガスを活性化して反応性を高める点が、上述の実施形態とは異なる。
【0134】
本実施形態に係る基板処理工程の実施にあたっては、図2及び図3に示す構成に加え、プラズマを発生させる機構を有する処理炉を使用する。主な構成としては、反応管203の内壁に設けられるガス分散空間としてのバッファ室、バッファ室内に設けられる一対の棒状電極、棒状電極に整合器を介して接続される高周波電源等(いずれも、図示せず)である。バッファ室内に配置され、酸化剤供給管410cの下流端が接続された第3ノズル400cから、酸化剤としてのHOガスがバッファ室内に供給され、高周波電源から整合器を介して棒状電極に高周波電力が印加されることにより、HOガスがプラズマ化された状態で処理室201内へと供給されるように構成されている。
【0135】
本実施形態に係る基板処理工程は、上記構成を備える処理炉を用い、以下のように実施する。すなわち、上述の実施形態に係る第1原料及び触媒供給工程S104a、S107a、S204aや、第2原料及び触媒供給工程S105a、S205aに相当する工程においては、第1原料、第2原料のプラズマ化は行わず、上述の実施形態と同様、触媒により各原料の化学吸着を促進させる。そして、各原料及び触媒供給工程に呼応して行う酸化剤供給工程においては、触媒の供給は行わず、HOガスをプラズマ化した状態で処理室201内へと供給してHOガスによる表面反応を促進させる。
【0136】
このように、本実施形態においては、HOガスをプラズマ化して処理室201内へと供給することで、触媒を用いなくとも低温下でHOガスによる表面反応を促進することができる。
【0137】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0138】
例えば、上述の実施形態においては、レンズ材料としてフォトレジストを用いることとしたが、フォトレジストのような感光性樹脂の他にも、熱や光に対して可塑性又は硬化性を有する樹脂等を用いることができる。具体的な材質としては、アクリル系やフェノール系、スチレン系等がある。アクリル系樹脂であれば、屈折率は1.5である。これら樹脂材は、所定波長の光、例えば可視光を透過させる透明樹脂であることが好ましい。また、例えばガラスや石英(SiO)等の無機材料をレンズ材料に用いることも可能である。
【0139】
また、上述の実施形態においては、酸化剤の供給を、第1原料又は第2原料の供給と交互に行うこととしたが、複合酸化膜を形成する際は、第1原料の供給及び第2原料の供給を交互に所定回数実施する間に、所定の間隔で酸化剤を供給してもよい。
【0140】
また、第1原料としてのSi含有ガスには、HCDガス以外にも、ジクロロシラン(DCS:SiHCl)ガスや、トリクロロシラン(SiHCl)ガスやテトラクロロ
シラン(SiCl)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl)ガス等のようなシリコン系塩化物や、その他、フッ化物、臭化物、ヨウ化物のガスを用いることもできる。また、第1元素はSi以外の元素でもよく、或いは複数の元素を含んでいてもよい。
【0141】
また、第2原料としてのTi含有ガスには、TiClガス以外にも、各種チタン系塩化物や、フッ化物、臭化物、ヨウ化物のガスを使用できる。また、第2元素としては、Ti以外にも、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)等、上記Si等の第1元素との複合酸化膜としたときに、上記所定の屈折率が得られるものであれば使用することができる。例えば、HfO層、ZrO層の屈折率は、それぞれ2.3及び2.2である。第2元素も、複数の元素を含んでいてもよい。
【0142】
また、酸化剤としてのO含有ガスには、HOガス以外にも、過酸化水素(H)ガス、水素(H)ガスとオゾン(O)ガスとの混合ガス、水素(H)ガスと酸素(O)ガスとの混合ガスプラズマ等を用いることも可能である。上述の実施形態のように触媒を用いる場合には、以上のような、分子中に電気陰性度の異なる原子を含んだ電気的に偏りを持つガスであれば、酸化剤として使用することができる。電気的に偏りのないOガスやOガス等であっても、第3実施形態のようにプラズマを用いる場合には使用することができる。
【0143】
また、触媒には、NHガスやピリジンガス以外にも、トリメチルアミン(N(CH、pKa=9.8)ガスやメチルアミン(HN(CH)、pKa=10.6)ガス、トリエチルアミン(N(C))、pKa=10.7)ガス等の比較的pKaが高いものや、ピリジンガスと同様、Nが結合した複素環、例えばアミノピリジン(CN−NH、pKa=6.9)、ピコリン(CN(CH)、pKa=6.1)、ピペラジン(C10、pKa=5.7)、ルチジン(CN(CH、pKa=7.0)等の比較的pKaが低いものを使用することができる。
【0144】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様を付記する。
【0145】
本発明の一態様は、
基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を形成する下層酸化膜形成工程と、
前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を形成する上層酸化膜形成工程と、を有する
半導体デバイスの製造方法である。
【0146】
好ましくは、
前記基板の加熱温度を室温以上200℃以下とする。
【0147】
より好ましくは、
前記基板の加熱温度を室温以上150℃以下とする。
【0148】
好ましくは、
前記第1元素には、少なくともシリコンを含み、
前記第2元素には、少なくともチタン、ハフニウム、ジルコニウムのいずれかを含む。
【0149】
好ましくは、
レンズは、透明樹脂を主材料とする。
【0150】
好ましくは、
前記下層酸化膜形成工程では、
前記基板が収容される処理室内に前記第1原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する第1サイクル工程と、
前記基板が収容される処理室内に前記第2原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する第2サイクル工程と、を1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施することにより前記下層酸化膜を形成し、
前記上層酸化膜形成工程では、
前記基板が収容される処理室内に前記第1原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施することにより前記上層酸化膜を形成する。
【0151】
本発明の他の態様は、
レンズと、
前記レンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて形成された下層酸化膜と、
前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて形成された上層酸化膜と、を備え、
前記下層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有し、
前記上層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する
半導体デバイスである。
【0152】
本発明のさらに他の態様は、
レンズが形成された基板を収容する処理室と、
前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室内に第1元素を含む第1原料を供給する第1原料供給部と、
前記処理室内に第2元素を含む第2原料を供給する第2原料供給部と、
前記処理室内に酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
前記処理室内に触媒を供給する触媒供給部と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、
前記第1原料、前記第2原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を前記レンズの上に形成させ、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を前記下層酸化膜の上に形成させるよう、前記加熱部、前記第1原料供給部、前記第2原料供給部、前記酸化剤供給部、前記触媒供給部および前記排気部を制御する制御部と、を有する
基板処理装置である。
【0153】
本発明のさらに他の態様は、
基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率以上前記レンズの屈折率以下の屈折率を有する積層酸化膜を形成する積層酸化膜形成工程を有し、
前記積層酸化膜形成工程では、
前記レンズと接する面から前記レンズとは反対側の空気と接する面に向かって前記積層酸化膜中の前記屈折率が徐々に小さくなるよう前記積層酸化膜を形成する
半導体デバイスの製造方法である。
【0154】
好ましくは、
前記積層酸化膜形成工程では、
前記基板が収容される処理室内に前記第1原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルをm回実施する第1サイクル工程と、
前記基板が収容される処理室内に前記第2原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルをn回実施する第2サイクル工程と、を1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施し、mの値に対してnの値を徐々に減らすことで、前記レンズと接する面から前記レンズとは反対側の空気と接する面に向かって前記積層酸化膜中の前記屈折率が徐々に小さくなるよう前記積層酸化膜を形成する。
【0155】
本発明のさらに他の態様は、
レンズと、
前記レンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて形成された積層酸化膜と、を備え、
前記積層酸化膜は、空気の屈折率以上前記レンズの屈折率以下の屈折率を有し、前記レンズと接する面から前記レンズとは反対側の空気と接する面に向かって前記積層酸化膜中の前記屈折率が徐々に小さくなるよう構成されている
半導体デバイスである。
【0156】
本発明のさらに他の態様は、
レンズが形成された基板を収容する処理室と、
前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室内に第1元素を含む第1原料を供給する第1原料供給部と、
前記処理室内に第2元素を含む第2原料を供給する第2原料供給部と、
前記処理室内に酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
前記処理室内に触媒を供給する触媒供給部と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、
前記第1原料、前記第2原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率以上前記レンズの屈折率以下の屈折率を有する積層酸化膜を前記レンズの上に形成させるよう、前記加熱部、前記第1原料供給部、前記第2原料供給部、前記酸化剤供給部、前記触媒供給部および前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記積層酸化膜中の前記屈折率が、前記レンズと接する面から前記レンズとは反対側の空気と接する面に向かって徐々に小さくなるよう前記各部を制御する
基板処理装置である。
【0157】
本発明のさらに他の態様は、
基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料およびプラズマ化した酸化剤を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を形成する下層酸化膜形成工程と、
前記下層酸化膜の上に、前記第1原料およびプラズマ化した前記酸化剤を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を形成する上層酸化膜形成工程と、を有する
半導体デバイスの製造方法である。
【0158】
本発明のさらに他の態様は、
基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料およびプラズマ化した酸化剤を用いて空気の屈折率以上前記レンズの屈折率以下の屈折率を有する積層酸化膜を形成する積層酸化膜形成工程を有し、
前記積層酸化膜形成工程では、
前記レンズと接する面から前記レンズとは反対側の空気と接する面に向かって前記積層酸化膜中の前記屈折率が徐々に小さくなるよう前記積層酸化膜を形成する
半導体デバイスの製造方法である。
【0159】
本発明のさらに他の態様は、
レンズと、
前記レンズの上に形成され、空気の屈折率以上前記レンズの屈折率以下の屈折率を有する酸化膜と、を備え、
前記酸化膜は、
シリコン酸化層と、
少なくともチタン、ハフニウム、ジルコニウムのいずれかを含み、前記シリコン酸化層の屈折率より大きい屈折率を有する金属酸化層と、が積層されてなる
半導体デバイスである。
【0160】
好ましくは、
前記酸化膜は、
前記シリコン酸化層と前記金属酸化層との積層比率が制御されることにより、前記酸化膜の屈折率が制御可能に構成される。
【0161】
好ましくは、
前記酸化膜は、
前記シリコン酸化層に対する前記金属酸化層の積層比率が徐々に増加又は低減されることにより、前記酸化膜中の屈折率が徐々に増加又は低減可能に構成される。
【0162】
好ましくは、
前記酸化膜は、
100℃以下の温度で形成される。
【0163】
好ましくは、
前記レンズは、
受光素子の上方に設けられるCMOSイメージセンサ用レンズである。
【符号の説明】
【0164】
10 レジストレンズ(レンズ)
20 SiO膜(上層酸化膜)
21 SiTiO膜(下層酸化膜)
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
207 ヒータ(加熱部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたレンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を形成する下層酸化膜形成工程と、
前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を形成する上層酸化膜形成工程と、を有する
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記基板の加熱温度を室温以上150℃以下とする
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記下層酸化膜形成工程では、
前記基板が収容される処理室内に前記第1原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する第1サイクル工程と、
前記基板が収容される処理室内に前記第2原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施する第2サイクル工程と、を1セットとしてこのセットを所定の組合せで所定回数実施することにより前記下層酸化膜を形成し、
前記上層酸化膜形成工程では、
前記基板が収容される処理室内に前記第1原料と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、
前記処理室内に前記酸化剤と前記触媒とを供給する工程と、
前記処理室内の雰囲気を排気する工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数実施することにより前記上層酸化膜を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項4】
レンズと、
前記レンズの上に、第1元素を含む第1原料、第2元素を含む第2原料、酸化剤および触媒を用いて形成された下層酸化膜と、
前記下層酸化膜の上に、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて形成された上層酸化膜と、を備え、
前記下層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有し、
前記上層酸化膜は、空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する
ことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項5】
レンズが形成された基板を収容する処理室と、
前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室内に第1元素を含む第1原料を供給する第1原料供給部と、
前記処理室内に第2元素を含む第2原料を供給する第2原料供給部と、
前記処理室内に酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
前記処理室内に触媒を供給する触媒供給部と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、
前記第1原料、前記第2原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記レンズの屈折率より小さい屈折率を有する下層酸化膜を前記レンズの上に形成させ、前記第1原料、前記酸化剤および前記触媒を用いて空気の屈折率より大きく、前記下層酸化膜の前記屈折率より小さい屈折率を有する上層酸化膜を前記下層酸化膜の上に形成させるよう、前記加熱部、前記第1原料供給部、前記第2原料供給部、前記酸化剤供給部、前記触媒供給部および前記排気部を制御する制御部と、を有する
ことを特徴とする基板処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−114223(P2012−114223A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261571(P2010−261571)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】