説明

半導体装置と論理回路およびその製造方法

【課題】インパクトイオン化MISFETに関して、微細素子において二つの入力によりAND型論理素子動作することを可能とし、素子バラツキを低減することを可能とし、消費電力を低減することを可能とする半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電型または真性である半導体領域の表面上に形成された二つの独立した第一および第二のゲート電極への両者への入力により反転層が形成された場合に、インパクトイオン化によるスイッチング動作が可能となることを特徴とする、半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置と論理回路およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電離衝突(インパクトイオン化)によるキャリア(電子および正孔)のアバランシェ増倍の原理を用いた半導体素子として、インパクトイオン化MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field−Effect Transistor)が提案及び研究されている。インパクトイオン化MISFETでは、アバランシェ増倍が発生すると電流が急激に増加する特性が、オン−オフ特性を急峻化させるために利用されている。インパクトイオン化MISFETは、MISFETに代わる半導体スイッチ素子として応用されることが期待されている。
【0003】
図1A及び図1Bは、インパクトイオン化MISFET100の一例を示す断面図である。図1Aには、オフ状態における様子が描かれている。図1Bには、オン状態における様子が描かれている。図1Aに示されるように、このインパクトイオン化MISFETは、不純物濃度の低いp型シリコン基板101、ドレイン領域102(高濃度n型)、ソース領域103(高濃度p型)、ゲート酸化膜104、及びゲート電極105を備えている。なお、これら以外にも、インパクトイオン化MISFET100は、素子分離領域、層間絶縁膜、配線群などを備えているが、図示は省略される。ここで、ドレイン領域102とソース領域103の間の領域には、その上にゲート電極105が形成されていない領域107が存在している。
【0004】
ドレイン領域102には、ドレイン電圧VDが印加される。ソース領域103には、ソース電圧VSが印加される。ドレイン電圧VDは、ソース電圧VSよりも十分に高いものとする。
【0005】
図1Aに示されるように、オフ時には、ゲート電極105に電圧が印加されず、ゲート絶縁膜104の下の領域にチャネルは形成されない。ドレイン−ソース間の電圧差VDSが十分に大きい場合、電圧は、ドレイン領域102とソース領域103間のp型シリコン基板101に加わり、p型シリコン基板101は完全に空乏化される。このときのドレイン電流は、P−I−N接合の逆バイアス状態における逆方向飽和電流となり、ほとんど流れない。
【0006】
一方、電圧差VDSを十分に高い値に維持した上で、ゲート電極105に十分に高い電圧を印加したとする。この場合、図1Bに示されるように、ゲート電極105の下の領域において、p型シリコン基板101の表面付近に反転層が形成され、チャネル108が形成される。これによって、p型シリコン基板101に形成された空乏層の実効的な幅が狭くなり、空乏層内の電界強度が強くなる。その結果、ソース領域103から空乏層に注入された電子110がインパクトイオン化する。電子110のインパクトイオン化は、空乏層中において連鎖的に発生(アバランシェ増倍)し、ドレイン電流が急激に増加する。
【0007】
ドレイン−ソース間の電圧差VDSは、チャネル108が形成されていないときにはインパクトイオン化を発生させないが、チャネル108が形成された場合にはインパクトイオン化が発生するような範囲に設定される。以降、チャネル108が形成された状態で、インパクトイオン化を発生させるために必要なドレイン−ソース間電圧VDSが、ドレインしきい値電圧と記載される。また、チャネル108を形成するために必要なゲート電圧が、ゲートしきい値電圧と記載される。また、以下の説明において、チャネル108が形成されるようなゲート電圧が、オン電圧と記載される。
【0008】
インパクトイオン化MISFETでは、ゲートしきい値電圧を境として、ドレイン電流の大きさが急激に変化する。従って、スイッチング特性を高めることができる。
【0009】
上述のようなインパクトイオン化MISFETは、例えば、非特許文献1に記載されている。尚、非特許文献1に記載された半導体装置では、P型シリコン基板101に代えてSOI基板が用いられている。しかし、図1A及び図1Bに示されたインパクトイオン化MISFETと非特許文献1に記載された半導体装置との間で、動作原理に違いはない。
【0010】
他の関連技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、基板領域と、基板領域に形成され不純物を有する第1および第2の不純物領域と、基板領域の第1及び第2の不純物領域に挟まれたチャネル領域の上に絶縁膜を介して形成された第1および第2のゲート導電層と、第1のゲート導電層に電気的に接続された第1のゲート配線層と、第2のゲート導電層に電気的に接続された第2のゲート配線層とを含むことを特徴とする半導体装置が開示されている。また、この公報には、半導体装置を、単体で論理素子として用いる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−296680号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】K. Gopalakrishnan et al., “I−MOS: A Novel Semiconductor Device with a Subthreshold Slope lower than kT/q”, IEDM Technical Digest, pp. 289−292, December 2002. 説明ページ・行・図面:p.290, Device Structure and Physicsの章, Fig. 2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、インパクトイオン化MISFETを用いて、論理回路を形成することを考えた。本発明者らは、論理回路として、基本的な論理機能を有するAND型論理回路に着目した。そして、本発明者らは、インパクトイオン化MISFETを2つ用いて、AND型論理回路を実現することを考えた。
【0014】
図2は、本発明者らが考えたAND型論理回路を示す概略図である。このAND型論理回路は、第1のインパクトイオン化MISFET100−1、及び第2のインパクトイオン化MISFET100−2を備えている。各インパクトイオン化MISFETの構成は、図1A及び図1Bに示したインパクトイオン化MISFET100と同じである。第1のインパクトイオン化MISFET100−1においては、ゲート電極105が第1入力端111に接続されている。第2のインパクトイオン化MISFET100−2においては、ゲート電極106が第2入力端112に接続されている。第1のインパクトイオン化MISFET100−1のソース領域103−1は、第2のインパクトイオン化MISFET100−2のドレイン領域102−2と同電位になるように接続されている。
【0015】
図2に示されるAND型論理回路では、第1インパクトイオン化MISFET100−1及び第2インパクトイオン化MISFET100−2の両方がオン状態の場合にのみ、ドレイン領域102−1とソース領域103−2との間に電流が流れる。すなわち、第1入力端111及び第2入力端112の双方にオン電圧が供給された場合に、電流が流れる。従って、AND型の論理機能が実現される。
【0016】
しかしながら、図2に示されるAND型論理回路では、AND型の論理機能を実現するために、2つのインパクトイオン化MISFET100を用いる必要がある。そのため、回路面積が増大してしまう、という問題点がある。また、ドレイン領域102−1とソース領域103−2との間に、ドレインしきい値電圧(単体のインパクトイオン化MISFETでインパクトイオン化が発生する電圧差)の2倍以上の電圧差を設けなければならない。そのため、電源回路を構成するオーバーヘッドにより、回路面積が増大してしまう、という問題点がある。また、消費電力も増大してしまう、という問題点もある。
【0017】
尚、既述の特許文献1には、半導体装置を、単体で論理素子として用いる点が記載されているが、半導体装置としてインパクトイオン化MISFETを用いる点については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一形態に係る半導体装置は、第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極とを具備する。前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接して設けられた、チャネル形成領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方と前記チャネル形成領域とを隔てるように設けられた、チャネル非形成領域とを備える。前記チャネル形成領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第1ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1チャネル形成領域と、前記第1チャネル形成領域を前記チャネル非形成領域から隔てるように設けられ、前記第2ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2チャネル形成領域とを備える。前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義された場合に、前記チャネル非形成領域における前記第1方向に沿う長さは、前記第1チャネル形成領域及び前記第2チャネル形成領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている。
【0019】
本発明の他の一形態に係るに係る半導体装置は、第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第3ゲート電極とを具備する。前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有する。前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、しきい値電圧以上のゲート電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極である。前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義される。前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義される。前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている。
【0020】
本発明に係るAND型論理回路は、上述の他の一形態に係る半導体装置である、第1の半導体装置と、他の一形態に係る半導体装置である、第2の半導体装置とを具備する。前記第1の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第1入力信号が供給される第1入力信号供給端に接続されている。前記第2の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第2入力信号が供給される第2入力信号供給端に接続されている。前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている。
【0021】
本発明に係るOR型論理回路は、上述の他の一形態に係る半導体装置である、第1の半導体装置と、他の一形態に係る半導体装置である、第2の半導体装置とを具備する。前記第1の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第1入力信号が供給される第1入力信号供給端に接続されている。前記第2の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第2入力信号が供給される第2入力信号供給端に接続されている。前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第2導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている。前記第1の半導体装置における前記第1導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている。
【0022】
本発明に係るNOT型論理回路は、上述の他の一形態に係る半導体装置である、第1の半導体装置と、他の一形態に係る半導体装置である、第2の半導体装置とを具備する。前記第1の半導体装置における、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極と、前記第2の半導体装置における、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極とは、入力信号が供給される入力信号供給端に接続されている。前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている。
【0023】
本発明に係る半導体装置の製造方法の一形態は、第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第3ゲート電極と、を具備し、前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有し、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、しきい値電圧以上のゲート電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極であり、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義され、前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義され、前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法である。この半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ゲート絶縁膜を介して、前記第1ゲート電極を形成する工程と、前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の一方の側部に、前記第2ゲート電極を形成するための第2ゲート電極材料層を形成する工程と、前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の他方の側部に、前記第3ゲート電極を形成するための第3ゲート電極材料層を形成する工程と、前記半導体基板上に設定される前記第1導電型不純物領域の形成予定領域、及び前記第2ゲート電極材料層が露出し、前記第3ゲート電極材料層が被覆されるように、第1のレジストマスクを形成する工程と、前記第1のレジストマスクをマスクとしてイオン注入を行い、前記第1導電型不純物領域及び前記第2ゲート電極及を形成する工程と、前記半導体基板上に設定される前記第2導電型不純物領域の形成予定領域、及び前記第3ゲート電極材料層が露出し、前記第2ゲート電極材料層が被覆されるように、第2のレジストマスクを形成する工程と、前記第2のレジストマスクをマスクとしてイオン注入を行ない、前記第2導電型不純物領域及び前記第3ゲート電極を形成する工程とを具備する。前記第1のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第1のレジストマスクを形成する工程を有している。前記第2のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第2のレジストマスクを形成する工程を有している。
【0024】
本発明に係る半導体装置の製造方法の他の一形態は、第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第3ゲート電極と、を具備し、前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にしきい値電圧以上のゲート電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有し、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、しきい値電圧以上のゲート電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極であり、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義され、前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義され、前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法である。この半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ゲート絶縁膜を介して、前記第1ゲート電極を形成する工程と、前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の一方の側部に、前記第2ゲート電極を形成するための第2ゲート電極材料層を形成する工程と、前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の他方の側部に、前記第3ゲート電極を形成するための第3ゲート電極材料層を形成する工程と、前記第2ゲート電極材料層が露出し、前記第3ゲート電極材料層が被覆されるように、第1のレジストマスクを形成する工程と、前記第1のレジストマスクをマスクとして、前記第2ゲート電極材料層上に第1金属膜を形成する工程と、前記第2ゲート電極材料層と前記第1金属膜とを熱処理することにより、前記第2ゲート電極を形成する工程と、前記第3ゲート電極材料層が露出し、前記第2ゲート電極材料層が被覆されるように、第2のレジストマスクを形成する工程と、前記第2のレジストマスクをマスクとして、前記第3ゲート電極材料層上に第2金属膜を形成する工程と、前記第3ゲート電極材料層と前記第2金属膜とを熱処理することにより、前記第3ゲート電極を形成する工程とを具備する。前記第1のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第1のレジストマスクを形成する工程を有している。前記第2のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第2のレジストマスクを形成する工程を有している。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、回路面積を抑制し、消費電力を低減できる、半導体装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】インパクトイオン化MISFETの一例を示す断面図である。
【図1B】インパクトイオン化MISFETの一例を示す断面図である。
【図2】AND型論理回路を示す概略図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図4】半導体装置の動作を概略的に示す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図6】半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図7】変形例1に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図8】変形例2に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図9】変形例3に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図10】変形例4に係る半導体装置を概略的に示す断面図である。
【図11】AND型論理回路を概略的に示す断面図である。
【図12】OR型論理回路を概略的に示す断面図である。
【図13】NOT型論理回路を概略的に示す断面図である。
【図14A】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14B】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14C】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14D】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14E】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14F】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14G】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14H】半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る半導体装置10(インパクトイオン化MISFET)を概略的に示す断面図である。この半導体装置10は、半導体基板11、第1導電型不純物領域12、第2導電型不純物領域13、ゲート絶縁膜14、第1ゲート電極15、及び第2ゲート電極16を備えている。本実施形態では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であるものとする。
【0029】
半導体基板11としては、第2導電型の不純物が低濃度でドープされた基板、又は、真性の半導体基板が用いられる。本実施形態では、半導体装置として、p型の不純物が低濃度でドープされたp型シリコン基板が用いられるものとする。
【0030】
第1導電型不純物領域12及び第2導電型不純物領域13は、半導体基板11の表層部に設けられている。第1導電型不純物領域12は、第1導電型(n型)の不純物が高濃度でドープされた領域である。第2導電型不純物領域13は、第2導電型(p型)の不純物が高濃度でドープされた領域である。半導体基板11として不純物濃度が低い第2導電型の半導体基板が用いられる場合、第2導電型不純物領域13における不純物濃度の方が、半導体基板11の不純物濃度よりも高い。
【0031】
第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13とは、離隔している。第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間は、半導体基板11の半導体領域によって占められていることになる。第1導電型不純物領域12には、ドレイン電圧VDが印加される。また、第2導電型不純物領域13には、ソース電圧VSが印加される。
【0032】
以下の説明において、第1導電型不純物領域12から第2導電型不純物領域13に向かう方向が、第1方向として記載される。また、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間の領域が、中間領域25として記載される。
【0033】
ゲート絶縁膜14は、中間領域25上に、設けられている。ゲート絶縁膜14は、中間領域25上の一部に設けられていてもよく、中間領域25上の全体に設けられていてもよい。
【0034】
第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、ゲート絶縁膜14上に設けられている。第1ゲート電極15と第2ゲート電極16とは、第1方向に沿って並んでいる。第1方向において、第1ゲート電極15と第2ゲート電極16との間には、図示しない絶縁膜などが介在している。第1ゲート電極15は第1入力端23に接続されており、第2ゲート電極16は第2入力端24に接続されている。
【0035】
第1ゲート電極15は、第1入力端23からオン電圧が印加された場合に、中間領域25における一部の領域に反転層を形成させる。第1ゲート電極15によって反転層が形成される領域が、第1領域19として記載される。同様に、第2ゲート電極16は、第2入力端24からオン電圧が印加された場合に、中間領域25における一部の領域に反転層を形成させる。第2ゲート電極16によって反転層が形成される領域が、第2領域20として記載される。第2ゲート電極16は、第2領域20が第1導電型不純物領域12と隣接する位置に形成されるように、設けられている。また、第1ゲート電極15は、第1領域19が第2領域20に隣接する位置に形成されるように、設けられている。
【0036】
第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、中間領域25の全体に対応して設けられているわけではない。第1ゲート電極15の第1方向側においては、中間領域25上にゲート電極が存在していない。その結果、中間領域25においては、反転層が形成されることの無い領域が形成されている。反転層が形成されることの無い領域が、以下、チャネル非形成領域17と記載される。一方、第1領域19と第2領域20とを含む領域は、以下、チャネル形成領域22と記載される。
【0037】
上述の半導体装置10において、チャネル非形成領域17の第1方向に沿う長さは、オン時にインパクトイオン化現象が発生するような長さに設定されている。また、ドレイン電圧VD−ソース電圧VSの電圧差VDSは、オン時にチャネル非形成領域17でインパクトイオン化現象が発生するように、設定されている。以下にこの点について、詳述する。
【0038】
図4は、オン時の半導体装置10の動作を概略的に示す断面図である。オン時には、オン電圧が、第1ゲート電極15に印加される。本実施形態では、オン電圧として、ゲートしきい値電圧以上の正電圧が、第1ゲート電極15に印加される。また、第2ゲート電極16にも、オン電圧が印加される。これにより、チャネル形成領域22の全体に、反転層が形成される。その結果、チャネル形成領域22には、ドレイン電圧VDが印加される。そのため、半導体基板11に形成された空乏層の第1方向に沿う実効的な幅が、チャネル非形成領域17における第1方向に沿う長さになる。
【0039】
ここで、電圧差VDSが十分に大きく、チャネル非形成領域17の第1方向に沿う長さが十分に短い場合、第2導電型高濃度不純物領域13からチャネル非形成領域17に注入された電子がインパクトイオン化する。このインパクトイオン化は、チャネル非形成領域17の中で連鎖的に発生(アバランシェ増倍)する。従って、電圧差VDSがドレインしきい値電圧を越えると、ドレイン電流は急増する。
【0040】
上述の現象を利用し、電圧差VDSは、ドレインしきい値電圧以上の値に設定される。また、電圧差VDSがあまりにも大きすぎると、チャネル形成領域22に反転層が形成されていない場合にもインパクトイオン化が発生する可能性がある。従って、電圧差VDSは、チャネル形成領域22の一部に反転層が形成されていないときにはインパクトイオン化が発生しないような値に設定される。同様に、チャネル非形成領域17の第1方向に沿う長さは、オン時にインパクトイオン化現象が発生し、チャネル形成領域22の一部に反転層が形成されていないときにはインパクトイオン化が発生しないような値に設定される。
【0041】
上述のような構成を採用することにより、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16の双方にオン電圧が印加された場合に、オン状態になり、ドレイン電流が流れることになる。一方、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16の少なくとも一方にオン電圧が印加されていない場合には、チャネル非形成領域17においてインパクトイオン化が発生することがなく、ドレイン電流は流れない。すなわち、本実施形態に係る半導体装置10により、第1入力端23及び第2入力端24に入力される電圧のレベルにより出力が制御される、AND型の論理機能が実現される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体装置10によれば、一つのインパクトイオン化MISFETを用いて、AND型の論理機能を実現することができる。AND型の論理機能を実現するために複数のインパクトイオン化MISFETを用いる必要が無いので、半導体装置10を微細化することが可能である。
【0043】
また、本実施形態に係る半導体装置10において、電圧差VDSは、チャネル非形成領域17でインパクトイオン化が発生するような電圧差であればよい。既述の図2に示したAND型論理回路のように、電圧差VDSとして大きな電圧差を用いる必要がない。従って、動作電圧を低減することができ、消費電力を低減することが可能である。
【0044】
ついで、半導体装置10を構成する材料などについて説明する。
【0045】
本実施形態では、半導体基板11として、シリコン基板が用いられる場合について説明した。但し、半導体基板11は、シリコン基板に限定されるものではなく、表層部に半導体領域が形成されている基板であれば、他の基板が用いられてもよい。例えば、半導体基板11として、ゲルマニウム基板が用いられてもよい。ゲルマニウムは、シリコンよりもバンドギャップが低い。従って、ゲルマニウム基板が用いられる場合には、チャネル非形成領域17においてインパクトイオン化が発生しやすくなる。そのため、ドレインしきい値電圧を小さくすることができる。また、ドレインしきい値電圧は、チャネル非形成領域17における第1方向に沿う長さにも依存する。この長さが短いほど、電界が強まるので、ドレインしきい値電圧が低くなる。半導体基板11としてゲルマニウム基板を用いた場合、チャネル非形成領域17における第1方向に沿う長さを50nm以下に設定すれば、ドレインしきい値電圧を1V以下とすることが可能である。
【0046】
ゲート絶縁膜14を形成する材料は、特に限定されない。ゲート絶縁膜14としては、例えば、シリコン酸化膜、及び高誘電率絶縁膜等を用いることが可能である。高誘電率絶縁膜としては、例えば、金属酸化物、金属シリケート、及び、金属酸化物もしくは金属シリケートに窒素が導入された絶縁膜、等を用いることができる。高誘電率絶縁膜に含まれる金属としては、Hf、及びZrが好ましい。
【0047】
ゲート絶縁膜14の膜厚は、例えば、酸化膜換算膜厚として2nm以下である。このような膜厚である場合、各ゲート電極のしきい値電圧を2V以下にすることができる。
【0048】
第1ゲート電極15および第2ゲート電極16の材料としては、特に限定されない。第1ゲート電極15および第2ゲート電極16としては、例えば、不純物が高濃度でドープされたポリシリコン電極、及び金属ゲート電極等を用いることが可能である。
【0049】
尚、本実施形態では、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である場合について説明した。但し、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合についても、本実施形態で説明したのと同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0050】
また、図3に示した半導体装置10において、チャネル非形成領域17上には、例えばシリコン酸化膜等の絶縁膜が形成されている。また、図3及び図4では図示しないが、この半導体装置10は、素子分離領域、層間絶縁膜、及び各電極等に接続される配線群などを備えている。但し、本発明の主旨と直接には関係しないので、それらについての説明は省略する。
【0051】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。
【0052】
図5は、本実施形態に係る半導体装置30を概略的に示す断面図である。本実施形態では、第1の実施形態に対して、第3ゲート電極37が追加されている。その他の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
図5に示されるように、ゲート絶縁膜14は、中間領域25上の全体に設けられている。そして、第3ゲート電極37は、ゲート絶縁膜14上に設けられている。第1ゲート電極15、第2ゲート電極16、及び第3ゲート電極16は、第1方向に沿って並んでいる。第1ゲート電極15は、第2ゲート電極16と第3ゲート電極37との間に設けられている。第2ゲート電極16は第1導電型不純物領域12側に設けられており、第3ゲート電極37は第2導電型不純物領域13側に設けられている。
【0054】
第1の実施形態と同様に、第1ゲート電極15は、第1入力端23に接続されている。第2ゲート電極16は、第2入力端24に接続されている。一方、第3ゲート電極37は、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16とは異なり、周囲から絶縁されている。
【0055】
オン時において、第1ゲート電極15は、中間領域25の一部の領域に反転層を形成する。第1ゲート電極15により反転層が形成される領域が、第1領域26と記載される。オン時において、第2ゲート電極16は、中間領域25の他の一部の領域に反転層を形成する。第2ゲート電極16により反転層が形成される領域が、第2領域27と記載される。第2ゲート電極16は、第2領域27が第1導電型不純物領域12に隣接する位置に形成されるように、配置されている。第1ゲート電極15は、第1領域26が第2領域27の第1方向側に隣接する位置に形成されるように、配置されている。第1領域26及び第2領域27は、オン時に反転層が形成されるチャネル形成領域22として機能する。
【0056】
一方、第3ゲート電極37は、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16とは異なり、周囲から絶縁されている。すなわち、第3ゲート電極37は、電源もしくは他の論理回路とは接続されていない。ここで、第1領域26と第2導電型不純物領域13との間の領域が、第3領域28と記載される。第3ゲート電極37は、仮にオン電圧が印加された場合に、第3領域28に反転層を形成させるように構成されている。しかし、第3ゲート電極37は、周囲から絶縁されているため、実際には第3領域28に反転層が形成されることはない。すなわち、第3ゲート電極37は、オン電圧が印加されることのないダミーゲート電極として機能する。
【0057】
第3領域28は、チャネル非形成領域17として作用する。すなわち、第3領域28の第1方向に沿う長さは、オン時にインパクトイオン化現象が発生し、オフ時にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている。
【0058】
続いて、本実施形態に係る半導体装置30の動作方法について説明する。
【0059】
図6は、オン時における半導体装置30を概略的に示す断面図である。オン時には、第1入力端23から第1ゲート電極15にオン電圧が供給される。また、第2入力端24から第2ゲート電極16にオン電圧が供給される。これにより、第1領域26及び第2領域27に、反転層が形成される。その結果、第1の実施形態と同様に、第2導電型不純物領域13から第3領域28に注入された電子21がインパクトイオン化する。そのため、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間が実質的に導通する。
【0060】
一方、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16のうちの少なくとも一方にオン電圧が印加されていない場合には、第1領域26及び第2領域27の少なくとも一方において反転層が形成されない。そのため、第3領域28にてインパクトイオン化現象が発生せず、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間は導通しない。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のような構成を採用することによっても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
(変形例1)
続いて、本実施形態の変形例1について説明する。図7は、本変形例に係る半導体装置30を概略的に示す断面図である。本変形例では、第3ゲート電極37が、周囲から絶縁されているのではなく、一定電圧端31に接続されている。第3ゲート電極37には、一定電圧端31から、第3領域28におけるキャリア密度を制御するための制御電圧が印加される。
【0063】
本変形例のような構成を採用することにより、第3領域28におけるキャリア密度を制御することができ、短チャネル効果が起こることを防止できる。これにより、半導体装置30をより安定的に動作させることが可能になる。
【0064】
(変形例2)
続いて、本実施形態の変形例2について説明する。図8は、本変形例に係る半導体装置30を概略的に示す断面図である。本変形例では、第3ゲート電極37に第3入力端29が接続されており、第2ゲート電極16がダミーゲートとして機能する。また、第1導電型不純物領域12にソース電圧VSが印加され、第2導電型不純物領域13にドレイン電圧VDが印加される。ここで、ドレイン電圧VDはソース電圧VSよりも低く、負電圧である。その他の点については、図5に示した半導体装置30と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
本変形例においては、第1ゲート電極15にオン電圧が印加された場合、第1領域26に反転層が形成される。第3ゲート電極37にオン電圧が印加された場合、第3領域28に反転層が形成される。尚、後述のように、本変形例では、オン電圧として負電圧が用いられる。本変形例においては、第1領域26及び第3領域28がチャネル形成領域22として機能する。一方、第2領域27は、既述の実施形態におけるチャネル非形成領域17として機能する。すなわち、第1方向に沿う第2領域27の長さは、チャネル形成領域22に反転層が形成された場合にインパクトイオン化が発生するような長さに設定されている。
【0066】
続いて、本変形例に係る半導体装置30の動作方法について説明する。本変形例では、キャリアとして、電子ではなく正孔(ホール)が用いられる。すなわち、図5に示した半導体装置30はn型のインパクトイオン化MISFETとして動作するのに対し、本変形例に係る半導体装置30は、p型のインパクトイオン化MISFETとして動作する。
【0067】
第1ゲート電極15及び第3ゲート電極37の双方にオン電圧が印加された場合について説明する。ここで、本変形例では、ゲートしきい値電圧は負電圧である。すなわち、オン電圧は、ゲートしきい値電圧以下の負電圧である。この場合、第1領域26及び第3領域28に、反転層が形成される。例えば、ゲート絶縁膜14の酸化膜換算膜厚が2nm以下の場合、−2V以下の電圧が第1ゲート電極15及び第3ゲート電極37に印加されると、反転層が形成される。ここで、ドレイン−ソース間の電圧差(VDS)がある程度高ければ(ドレインしきい値電圧以上の電圧差)であれば、半導体基板11に形成された空乏層の第1方向に沿う実効的な長さが十分に短くなる。その結果、空乏層内の電界強度が十分に強くなる。これにより、第1導電型不純物領域12から第2領域27に注入された正孔(ホール)42がインパクトイオン化する。正孔42のインパクトイオン化は、第2領域27の中で連鎖的に発生(アバランシェ増倍)し、ドレイン電流が急激に増加する。
【0068】
一方、第1ゲート電極15及び第3ゲート電極37の少なくとも一方にオン電圧が印加されていない場合には、第1領域26及び第3領域28の少なくとも一方には反転層が形成されない。そのため、第2領域27においてインパクトイオン化が発生することはなく、ドレイン電流は流れない。
【0069】
従って、ドレイン−ソース間電圧VDSを、チャネル形成領域22(第1領域26及び第3領域28)の全体に反転層が形成されていないときには第2領域27においてインパクトイオン化が発生せず、チャネル形成領域22の全体に反転層が形成された場合に第2領域27においてインパクトイオン化が発生するような範囲に設定すれば、半導体装置30をp型のインパクトイオン化MISFETとして動作させることができる。
【0070】
(変形例3)
続いて、変形例3について説明する。図9は、本変形例に係る半導体装置30を概略的に示す断面図である。本変形例においては、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16が入力端41に共通に接続されている。すなわち、第1ゲート電極15と第2ゲート電極16とは短絡されている。その他の点については、図5に示した半導体装置と同様の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
本変形例では、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16に入力端41からオン電圧が印加された場合に、第1領域26及び第2領域27に反転層が形成される。その結果、第3領域28にてインパクトイオン化が発生し、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間が導通する。
【0072】
すなわち、本実施形態では、入力端41に印加される電圧のレベルによって、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間が導通するか否かが切り替えられる。従って、半導体装置30を、単一入力型のスイッチング素子として動作させることができる。
【0073】
(変形例4)
続いて、変形例4について説明する。図10は、本変形例に係る半導体装置30を概略的に示す断面図である。本変形例においては、第2ゲート電極16が周囲から絶縁されている。第1ゲート電極15及び第3ゲート電極37が、入力端43に共通に接続されている。すなわち、第1ゲート電極15と第3ゲート電極37とは短絡されている。その他の点については、変形例2(図8参照)と同様の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0074】
本変形例においては、入力端43からオン電圧が各ゲート電極(15、37)に印加されると、第1領域26及び第3領域28に反転層が形成される。尚、変形例2と同様に、本変形例におけるオン電圧は、負電圧である。その結果、第2領域27において、正孔がインパクトイオン化し、第1導電型不純物領域12と第2導電型不純物領域13との間が導通する。従って、本変形例のような構成を採用することによっても、半導体装置30を、単一入力型のスイッチング素子として動作させることができる。
【0075】
以上、第2の実施形態及びその変形例1乃至4について説明した。第2の実施形態及びその変形例1乃至4では、第2ゲート電極及び第3ゲート電極のいずれかが、ダミーゲート電極として機能する場合について説明した。但し、第1ゲート電極がダミーゲート電極として機能するように、半導体装置30が構成されていてもよい。すなわち、第2領域27及び第3領域28の双方に反転層が形成された場合に、第1領域26においてインパクトイオン化が発生するように、第1領域26の第1方向に沿う長さが設定されていてもよい。
【0076】
ここで、本実施形態に係る半導体装置30を用いれば、同一の基本構造を用いて、異なる機能が実現される。すなわち、第1領域26、第2領域27、及び第3領域28それぞれについて、第1方向に沿う長さが、他の2つの領域に反転層が形成された場合にインパクトイオン化が発生し、他の2つの領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化が発生しないような長さに設定される。このような構造を採用すれば、各ゲート電極、第1導電型不純物領域12、及び第2導電型不純物領域13に接続される配線を適宜選択することにより、半導体装置30が実現する機能を所望する機能にすることができる。このことは、素子特性のばらつきを低減する観点から非常に好ましい。所望する機能を実現するための回路を製造する場合、同一の基本構造を複数形成した後、各基本構造が所望する機能を実現するように、各基本構造に接続される配線を形成すればよい。仮に、異なる機能を実現するために異なる基本構造を用いる場合には、製造ばらつき等により、異なる基本構造間で特性がばらつき易い。これに対して、本実施形態では、基本構造が1種類で済むので、素子特性のばらつきを著しく低減することが可能である。
【0077】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態で説明した半導体装置30を複数(2つ)用いた、論理回路について説明する。
【0078】
<AND型論理回路>
まず、AND型論理回路について説明する。図11は、本実施形態に係るAND型論理回路1を概略的に示す断面図である。図11に示されるように、このAND型論理回路1は、第1の半導体装置30−1と、第2の半導体装置30−2とを備えている。各半導体装置30の構成は、第2の実施形態の変形例3(図9参照)と同様であるものとする。
【0079】
第1の半導体装置30−1においては、第1ゲート電極15−1及び第2ゲート電極16−1が、入力端44に共通に接続されている。また、第3ゲート電極37−1は、周囲から絶縁されている。また、第1導電型不純物領域12−1には、ドレイン電圧VDが印加される。
【0080】
第2の半導体装置30−2においては、第1ゲート電極15−2及び第2ゲート電極16−2が、入力端45に共通に接続されている。また、第3ゲート電極37−2は、周囲から絶縁されている。第2導電型不純物領域13−2には、ソース電圧VSが印加される。
【0081】
第1の半導体装置30−1の第2導電型不純物領域13−1は、第2の半導体装置30−2の第1導電型不純物領域12−2と同電位になるように接続されている。
【0082】
尚、ドレイン電圧VDとしては、ソース電圧VSよりも高い電圧が用いられる。ドレイン電圧VDとソース電圧VSとの間の電圧差VDSは、ドレインしきい値電圧(単体の半導体装置30でインパクトイオン化が発生する電圧差)以上に設定される。
【0083】
本実施形態に係るAND論理回路1では、入力端44及び入力端45の双方にオン電圧が印加された場合に、第1の半導体装置30−1及び第2の半導体装置30の双方がオン状態になる。その結果、第1導電型不純物領域12−1と第2導電型不純物領域13−2との間が導通する。一方、入力端44及び入力端45の少なくとも一方にオン電圧が印加されていない場合には、どちらかの半導体装置がオフ状態となり、第1導電型不純物領域12−1と第2導電型不純物領域13−2との間は導通しない。このように、第2の実施形態に係る半導体装置30を複数用いることによって、AND型論理回路が実現される。
【0084】
<OR型論理回路>
続いて、第OR型論理回路について説明する。
【0085】
図12は、本実施形態に係るOR型論理回路2を概略的に示す断面図である。図12に示されるように、このOR型論理回路2は、第1の半導体装置30−1と、第2の半導体装置30−2とを備えている。各半導体装置30の構成は、第2の実施形態の変形例3(図9参照)と同様であるものとする。
【0086】
第1の半導体装置30−1においては、第1ゲート電極15−1及び第2ゲート電極16−1が、入力端46に共通に接続されている。また、第3ゲート電極37−1は、周囲から絶縁されている。また、第1導電型不純物領域12−1には、ドレイン電圧VDが印加される。
【0087】
第2の半導体装置30−2においては、第1ゲート電極15−2及び第2ゲート電極16−2が、入力端47に共通に接続されている。また、第3ゲート電極37−2は、周囲から絶縁されている。第2導電型不純物領域13−2には、ソース電圧VSが印加される。
【0088】
第1の半導体装置30−1の第1導電型不純物領域12−1は、第2の半導体装置30−2の第1導電型不純物領域12−2と同電位になるように接続されている。第1の半導体装置30−1の第2導電型不純物領域13−1は、第2の半導体装置30−2の第2導電型不純物領域13−2と同電位になるように接続されている。
【0089】
尚、ドレイン電圧VDとしては、ソース電圧VSよりも高い電圧が用いられる。ドレイン電圧VDとソース電圧VSとの間の電圧差VDSは、ドレインしきい値電圧(単体の半導体装置30でインパクトイオン化が発生する電圧差)以上に設定される。
【0090】
本実施形態に係るOR型論理回路2では、入力端46及び入力端47の少なくとも一方にオン電圧が印加された場合に、第1の半導体装置30−1及び第2の半導体装置30の少なくとも一方がオン状態になる。その結果、第1導電型不純物領域12−1と第2導電型不純物領域13−2との間が導通する。一方、入力端46及び入力端47のどちらにもオン電圧が印加されていない場合には、オフ状態となり、第1導電型不純物領域12−1と第2導電型不純物領域13−2との間は導通しない。このように、第2の実施形態に係る半導体装置30を複数用いることによって、OR型論理回路が実現される。
【0091】
<NOT型論理回路>
続いて、NOT型論理回路について説明する。
【0092】
図13は、本実施形態に係るNOT型論理回路3を概略的に示す断面図である。図13に示されるように、このNOT型論理回路3は、第1の半導体装置30−1と、第2の半導体装置30−2とを備えている。第1の半導体装置30−1としては、第2の実施形態における変形例3(図9参照)と同様のものが用いられる。第2の半導体装置30−2としては、第2の実施形態における変形例4(図10参照)と同様のものが用いられる。
【0093】
第1の半導体装置30−1に含まれる第1ゲート電極15−1及び第2ゲート電極16−1、及び第2の半導体装置30−2に含まれる第1ゲート電極15−2及び第3ゲート電極37−2は、入力端48に共通に接続されている。第1の半導体装置30−1における第3ゲート電極37−1、及び第2の半導体装置30−2における第2ゲート電極16−2は、それぞれ、周囲から絶縁されている。また、第1の半導体装置30−1における第1導電型不純物領域12−1には、ソース電圧VSが印加される。第2の半導体装置30−2における第2導電型不純物領域13−2には、ドレイン電圧VDが印加される。
【0094】
第1の半導体装置30−1の第2導電型不純物領域13−1は、第2の半導体装置30−2の第1導電型不純物領域12−2と同電位になるように接続されている。第2導電型不純物領域13−1及び第1導電型不純物領域12−2は、出力端に接続されている。
【0095】
ドレイン電圧VDとソース電圧VSとの間の電圧差VDSは、ドレインしきい値電圧(単体の半導体装置30でインパクトイオン化が発生する電圧差)以上に設定される。ドレイン電圧としてハイレベルに対応する電圧が用いられ、ソース電圧VSとしてローレベルに対応する電圧が用いられる。
【0096】
本実施形態に係るNOT型論理回路3では、入力端48に第1の半導体装置30−1にとってのオン電圧(正電圧)が供給された場合、第1の半導体装置30−1は、オン状態になる。しかし、この場合、第2の半導体装置30−2はオフ状態になる。その結果、出力端の電圧レベルはソース電圧VS(ローレベル)になる。一方、入力端48に第2の半導体装置30−2にとってのオン電圧(負電圧)が供給された場合、第2の半導体装置30−2はオン状態になるが、第1の半導体状態はオフ状態になる。その結果、出力端からは、ドレイン電圧VD(ハイレベル)が出力される。このように、第2の実施形態に係る半導体装置30を複数用いることによって、NOT型論理回路3が実現される。
【0097】
以上、本実施系形態に係る論理回路として、AND型論理回路、OR型論理回路、及びNOT型論理回路について説明した。ここで重要なのは、単一構造を用いて大規模集積回路の基本ゲートが全て構成可能である点である。インパクトイオン化MISFETでは、ゲート電極が存在しない領域(インパクトイオン化が発生する領域)の幅が素子特性に大きな影響を及ぼす。このようなインパクトイオン化MISFETにおいて、同一構造で基本ゲートが構成できることは実用上大きな意味がある。例えば、同一構造をアレー上に並べることにより特性のバラツキを抑制し、且つ、必要な論理回路に従って配線を作りこむことにより、所望する機能を実現することができる。
【0098】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態で説明した半導体装置30の製造方法の一例を説明する。
【0099】
図14A乃至図14Hは、半導体装置30の製造方法を示す工程断面図である。
【0100】
まず、図14Aに示されるように、半導体基板11としてp型シリコン基板を用意し、半導体基板11上に、ゲート絶縁膜14、第1ゲート電極材料53、及びハードマスク54を形成する。具体的には、まず、半導体基板11の主面上に、ゲート絶縁膜14を形成する。ゲート絶縁膜14の膜厚としては、その材料にも依存するが、酸化膜厚換算で0.8〜5nm程度が適当である。更に、ゲート絶縁膜14上に、第1ゲート電極15として用いる第1ゲート電極材料53を形成する。第1ゲート電極材料53としては、例えば、高濃度の不純物がドープされたポリシリコン(DOPOSやポリシリコンを形成後にイオン注入したもの)、及び金属材料などを用いることができる。第1ゲート電極材料53としては、ポリシリコンと金属材料とが組み合わされた材料が用いられてもよい。第1ゲート電極材料53は、例えば、10〜100nm程度の膜厚で、形成される。更に、ゲート電極材料53上に、第1ゲート電極材料53を加工するためのハードマスク54が形成される。ハードマスク54の材料としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、それらの積層物等が用いられる。ハードマスク54の膜厚としては、20〜100nm程度が適当である。更に、ハードマスク54上にフォトレジストを形成する。そして、フォトリソグラフィにより、フォトレジストに第1ゲート電極15に対応する形状のパターンを形成する。このパターンを用いて、ハードマスク54を第1ゲート電極15に対応する形状に加工する。ハードマスク54は、例えば、ドライエッチング及びウェットエッチング等により、加工することができる。これにより、図14Aに示した構造が得られる。
【0101】
次いで、図14Bに示されるように、ハードマスク54をマスクとして、第1ゲート電極材料53を加工し、第1ゲート電極15を形成する。第1ゲート電極材料53は、例えば、ドライエッチングなどにより加工される。ゲート電極材料53の種類により、ウェットエッチング等が用いられてもよい。
【0102】
次に、図14Cに示されるように、ハードマスク54および第1ゲート電極15の側面に、側壁膜55を形成する。側壁膜55としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜が好適に用いられる。側壁膜の膜厚は、例えば、5〜15nm程度が適当である。側壁膜55は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の手法によって絶縁膜を堆積させた後、ドライエッチングによりエッチバックすることで、形成される。
【0103】
次いで、図14Dに示されるように、第1ゲート電極15の両側に、第2ゲート電極用材料51及び第3ゲート電極用材料52を形成する。具体的には、ゲート電極形成用の膜を、例えばCVD法等を用いて成膜する。各ゲート電極形成用の膜としては、例えば、ノンドープポリシリコン膜が用いられる。また、その膜厚は、30〜100nm程度が適当である。成膜後、膜をドライエッチングによりエッチバックする。これにより、第2ゲート電極用材料51及び第3ゲート電極用材料52が得られる。更に、第1ゲート電極15、第2ゲート電極用材料51、及び第3ゲート電極用材料52をマスクとして、DHF処理等を行い、ゲート絶縁膜14を加工する。これにより、ゲート絶縁膜14のうち、被覆された部分だけが残される。以上の工程により、図14Dに示した構造が得られる。
【0104】
次に、図14Eに示されるように、第3ゲート電極用材料52にイオン注入が行なわれ、第3ゲート電極37が形成される。具体的には、まず、第1導電型不純物領域12となる予定の領域及び第2ゲート電極用材料51が被覆され、且つ、第3ゲート電極用材料52及び第2導電型不純物領域13となる予定の領域が露出するように、イオン注入マスク56を形成する。イオン注入マスク56は、例えば、フォトレジストをパターニングすることにより、形成できる。ここで、イオン注入マスク56の端部は、第1ゲート電極15上にあればよい。従って、イオン注入マスク56の寸法精度として高い精度が要求されることはない。次いで、イオン注入マスク56をマスクとして、第2導電型不純物領域13となる予定の領域及び第3ゲート電極用材料52に、第2導電型の不純物(例えば、ボロンなど)をイオン注入する。これにより、第2導電型不純物領域13が形成される。また、第3ゲート電極37が形成される。その後、イオン注入マスク56は除去される。
【0105】
次に、図14Fに示されるように、第2ゲート電極用材料51にイオン注入が行なわれ、第2ゲート電極16が形成される。具体的には、まず、第2導電型不純物領域13及び第3ゲート電極37が被覆され、且つ、第2ゲート電極用材料51及び第1導電型不純物領域12となる予定の領域が露出するように、イオン注入マスク57が形成される。イオン注入マスク57は、例えば、フォトレジストをパターニングすることにより、形成できる。ここで、イオン注入マスク57の端部は、第1ゲート電極15上にあればよい。従って、イオン注入マスク57の寸法精度として高い精度が要求されることはない。次いで、イオン注入マスク57をマスクとして、第1導電型不純物領域12となる予定の領域及び第2ゲート電極材料に、第1導電型の不純物(例えば、ヒ素、リンなど)をイオン注入する。これにより、第1導電型不純物領域12が形成される。また、第2ゲート電極16が形成される。
【0106】
なお、第1ゲート電極15はハードマスク54を上部に有するため、以上の工程ではドーピングされず、元のドーピングプロファイルが維持されている。
【0107】
その後、図14Gに示されるように、イオン注入マスク57が除去される。
【0108】
その後、図14Hに示されるように、ハードマスク54が除去される。ハードマスク54は、例えばドライエッチング等の手法を用いることにより、選択的に除去することが可能である。その後、各ゲート電極、第1導電型不純物領域、及び第2導電型不純物領域などに接続される、コンタクトホール(図示せず)が形成される。尚、ハードマスク54は、コンタクトホール形成時に除去されてもよい。
【0109】
以上説明した各工程により、半導体装置30が得られる。
【0110】
本実施形態では、3個のゲート電極を用いているため、第2ゲート電極用材料51及び第3ゲート電極用材料52を、第1ゲート電極15の両側に自己整合的に形成することができる。従って、第1の実施形態のように2個のゲート電極を用いる場合よりも、容易に各ゲート電極を形成することが可能である。
【0111】
尚、本実施形態では、ポリシリコン膜に不純物をドーピングすることにより各ゲート電極を形成する手法について説明した。但し、各ゲート電極として金属シリサイド膜を用いることも可能である。この場合には、ポリシリコン膜上に金属膜を堆積させ、熱処理を行なう。これにより、金属シリサイド層を形成することができる。その後、余分な金属を除去することによって、各ゲート電極を形成することも可能である。
【0112】
本実施形態に係る製造方法によれば、特殊な工程を必要としないので、プロセス開発および新規装置導入をすることなく、安価に本発明の第2の実施形態による半導体装置30を製造することが可能である。
【0113】
以上、本発明について、第1乃至第4の実施形態を用いて説明した。但し、本発明において明らかにされた半導体装置の概念は、本明細書において明らかにされた上述の実施形態の範囲にとどまらず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、材料及び構造を選択して実施することが可能である。例えば、本発明においては、インパクトイオン化MISFETをプレーナ構造として説明したが、これを縦型構造に置き換えることも可能である。さらに、縦型構造においては、ゲート電極はチャネルの一面だけではなく、例えば柱状に形成されたチャネルの周囲を覆う、いわゆるサラウンドゲートもしくはゲートオールアラウンド構造を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 AND型論理回路
2 OR型論理回路
3 NOT型論理回路
10 半導体装置
11 半導体基板
12 第1導電型不純物領域
13 第2導電型不純物領域
14 ゲート絶縁膜
15 第1ゲート電極
16 第2ゲート電極
17 チャネル非形成領域
19 第1領域
20 第2領域
21 電子
22 チャネル形成領域
23 第1入力端
24 第2入力端
25 中間領域
26 第1領域
27 第2領域
28 第3領域
29 第3入力端
30 半導体装置
31 一定電圧端
37 第3のゲート電極
38 チャネル領域
41 入力端
42 正孔
43 入力端
44 入力端
45 入力端
46 入力端
47 入力端
48 入力端
51 第2ゲート電極用材料
52 第3ゲート電極用材料
53 ゲート電極材料
54 ハードマスク
55 絶縁膜(側壁膜)
56 第一レジストパターン
57 第二レジストパターン
100 インパクトイオン化MISFET
101 p型シリコン基板
102 ドレイン領域
103 ソース領域
104 ゲート絶縁膜
105 ゲート電極
107 領域
108 チャネル領域
110 電子
111 第1入力端
112 第2入力端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた半導体領域と、
第1ゲート電極と、
第2ゲート電極と、
を具備し、
前記半導体領域は、
前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接して設けられた、チャネル形成領域と、
前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方と前記チャネル形成領域とを隔てるように設けられた、チャネル非形成領域とを備え、
前記チャネル形成領域は、
前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、
前記第2チャネル形成領域を前記チャネル非形成領域から隔てるように設けられ、前記第1ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを備え、
前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義された場合に、前記チャネル非形成領域における前記第1方向に沿う長さは、前記第1チャネル形成領域及び前記第2チャネル形成領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載された半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、ゲート絶縁膜を介して、前記第1領域上に配置されており、
前記第2ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜を介して、前記第2領域上に配置されている
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載された半導体装置であって、
更に、
前記ゲート絶縁膜を介して前記チャネル非形成領域上に配置された、第3ゲート電極
を具備する
半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載された半導体装置であって、
前記第3ゲート電極は、周囲から絶縁されている
半導体装置。
【請求項5】
第1導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、
第1ゲート電極と、
第2ゲート電極と、
第3ゲート電極と、
を具備し、
前記半導体領域は、
前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、
前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有し、
前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、オン電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極であり、
前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義され、
前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義され、
前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている
半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載された半導体装置であって、
前記ダミーゲート電極は、周囲から絶縁されている
半導体装置。
【請求項7】
請求項5に記載された半導体装置であって、
前記チャネル非形成領域に対応するゲート電極は、制御配線に接続されており、
前記制御配線は、短チャネル効果が起こらないように前記チャネル非形成領域におけるキャリア密度を制御する制御電圧を、前記チャネル非形成領域に対応するゲート電極に印加する
半導体装置。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置であって、
前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、別々の入力信号供給配線に接続されている
半導体装置。
【請求項9】
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置であって、
前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、配線を介して短絡されている
半導体装置。
【請求項10】
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第1の半導体装置と、
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第2の半導体装置と、
を具備し、
前記第1の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第1入力信号が供給される第1入力信号供給端に接続されており、
前記第2の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第2入力信号が供給される第2入力信号供給端に接続されており、
前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている
AND型論理回路。
【請求項11】
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第1の半導体装置と、
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第2の半導体装置と、
を具備し、
前記第1の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第1入力信号が供給される第1入力信号供給端に接続されており、
前記第2の半導体装置において、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極は、第2入力信号が供給される第2入力信号供給端に接続されており、
前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第2導電型不純物領域と、同電位になるように接続され、
前記第1の半導体装置における前記第1導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている
OR型論理回路。
【請求項12】
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第1の半導体装置と、
請求項5乃至7の何れかに記載された半導体装置である、第2の半導体装置と、
を具備し、
前記第1の半導体装置における、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極と、前記第2の半導体装置における、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうち前記ダミーゲート電極を除く2つのゲート電極とは、入力信号が供給される入力信号供給端に接続されており、
前記第1の半導体装置における前記第2導電型不純物領域は、前記第2の半導体装置における前記第1導電型不純物領域と、同電位になるように接続されている
NOT型論理回路。
【請求項13】
第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第3ゲート電極と、を具備し、前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有し、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、オン電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極であり、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義され、前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義され、前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上に、ゲート絶縁膜を介して、前記第1ゲート電極を形成する工程と、
前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の一方の側部に、前記第2ゲート電極を形成するための第2ゲート電極材料層を形成する工程と、
前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の他方の側部に、前記第3ゲート電極を形成するための第3ゲート電極材料層を形成する工程と、
前記半導体基板上に設定される前記第1導電型不純物領域の形成予定領域、及び前記第2ゲート電極材料層が露出し、前記第3ゲート電極材料層が被覆されるように、第1のレジストマスクを形成する工程と、
前記第1のレジストマスクをマスクとしてイオン注入を行い、前記第1導電型不純物領域及び前記第2ゲート電極及を形成する工程と、
前記半導体基板上に設定される前記第2導電型不純物領域の形成予定領域、及び前記第3ゲート電極材料層が露出し、前記第2ゲート電極材料層が被覆されるように、第2のレジストマスクを形成する工程と、
前記第2のレジストマスクをマスクとしてイオン注入を行ない、前記第2導電型不純物領域及び前記第3ゲート電極を形成する工程と、
を具備し、
前記第1のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第1のレジストマスクを形成する工程を有し、
前記第2のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第2のレジストマスクを形成する工程を有している
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
第1導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域から離隔して設けられた第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と前記第2導電型不純物領域との間の領域を占めるように設けられた、第1導電型又は真性の半導体領域と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第3ゲート電極と、を具備し、前記半導体領域は、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの一方に隣接し、前記第2ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第2領域と、前記第1導電型不純物領域及び前記第2導電型不純物領域のうちの他方に隣接し、前記第3ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第3領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、前記第1ゲート電極にオン電圧が印加された場合に反転層が形成される、第1領域とを有し、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第3ゲート電極のうちの何れか一つは、オン電圧が印加されることが無い、ダミーゲート電極であり、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域のうち前記ダミーゲート電極に対応する領域が、チャネル非形成領域と定義され、前記第1導電型不純物領域から前記第2導電型不純物領域へ向かう方向が第1方向と定義され、前記チャネル非形成領域においては、前記第1方向に沿う長さが、他の2つの領域の双方に反転層が形成された場合にインパクトイオン化現象が発生し、前記第1チャネル形成領域及び第2チャネル形成領域の少なくとも一方に反転層が形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生しないような長さに設定されている半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上に、ゲート絶縁膜を介して、前記第1ゲート電極を形成する工程と、
前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の一方の側部に、前記第2ゲート電極を形成するための第2ゲート電極材料層を形成する工程と、
前記第1方向に沿う前記第1ゲート電極材料層の他方の側部に、前記第3ゲート電極を形成するための第3ゲート電極材料層を形成する工程と、
前記第2ゲート電極材料層が露出し、前記第3ゲート電極材料層が被覆されるように、第1のレジストマスクを形成する工程と、
前記第1のレジストマスクをマスクとして、前記第2ゲート電極材料層上に第1金属膜を形成する工程と、
前記第2ゲート電極材料層と前記第1金属膜とを熱処理することにより、前記第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第3ゲート電極材料層が露出し、前記第2ゲート電極材料層が被覆されるように、第2のレジストマスクを形成する工程と、
前記第2のレジストマスクをマスクとして、前記第3ゲート電極材料層上に第2金属膜を形成する工程と、
前記第3ゲート電極材料層と前記第2金属膜とを熱処理することにより、前記第3ゲート電極を形成する工程と、
を具備し、
前記第1のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第1のレジストマスクを形成する工程を有し、
前記第2のレジストマスクを形成する工程は、端部が前記第1ゲート電極上に位置するように、前記第2のレジストマスクを形成する工程を有している
半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【公開番号】特開2011−165921(P2011−165921A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27403(P2010−27403)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】