説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】強誘電体キャパシタを覆う絶縁膜内に形成されて、その強誘電体キャパシタの電極に接続される導電性プラグをコンタクトホール内に埋め込む際に、工程増を抑制しながら、コンタクトホールの下への水素の浸入を防止する構造を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】絶縁膜20内であってキャパシタ上部電極18の上に形成されたコンタクトホール20e内に埋め込まれる導電性プラグ21eとして、アルミニウム膜32を有する複数層31〜34の構造を採用し、これにより、タングステン膜34をコンタクトホール20e内に充填する際に、水素がコンタクトホール20eの下の強誘電体キャパシタ17aに侵入することをアルミニウム膜32によって防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、強誘電体キャパシタを覆う絶縁膜内に形成されてその強誘電体キャパシタの電極に接続される導電性プラグを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性記憶素子であるDRAM(Dynamic Random Access memory)、SRAM、不揮発性記憶素子であるFLASHメモリが種々の分野で使用されている。
【0003】
一方、DRAMが持つ高速で低電圧動作という性質と、FLASHメモリが持つ不揮発性という性質の双方を兼ね備えたメモリとしてFeRAM(Ferro-electric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PRAM(phase change Random Access Memory)等が有望視され研究開発がすすみ、一部については量産化がされている。
【0004】
それらのうちFeRAMは、強誘電体層を下部電極と上部電極により挟んだ構造の強誘電体キャパシタを基板上に有し、強誘電体材料が持つ分極電荷量と電圧の関係におけるヒステリシス特性を利用して情報を書き込み、読み出しする素子である。
【0005】
強誘電体メモリにおいて使用される強誘電体膜は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)等の酸化金属絶縁材から構成されるが、水素や水の存在する高温の環境下におかれると電気特性が劣化するという問題がある。これは水素や水によって強誘電体膜が還元されて、強誘電性を失うことに起因する。
【0006】
水素や水は外部からの浸入もあるが、最も気をつけなければならないのは強誘電体メモリ製造プロセス中におけるものである。そのプロセスにおいて、例えば、層間絶縁膜を気相成長(CVD)法で形成する際には水素を多量に使用する場合があるし、また、原料の分解によって水素が発生しうる。更に成膜後の層間絶縁膜における残留水素や水分が強誘電体膜に悪影響を与えることもある。
【0007】
これらの問題を解決するために、水素や水分の強誘電体キャパシタへの浸入を抑制する保護膜を使用する場合がある。
【0008】
下記の特許文献1においては、強誘電体キャパシタを水素の進入から保護するために、強誘電体キャパシタ表面をAl23,Alxy,AlN,WN,SrRuO3、IrOx、ZrOx、RuOx、SrOx、ReOx、OsOx、MgOxのいずれかから構成される水素バリア膜で覆う構造が記載されている。
【0009】
特許文献2においても、強誘電体キャパシタを水素の進入から保護するために、キャパシタ表面をAl23、TiO2、ZrO2、Ta53及びCeO2のいずれかから構成されるブロッキング膜で覆う構造が記載されている。さらに、強誘電体キャパシタに接続されるコンタクト金属を形成後にも同様の材料からなる保護膜によりコンタクト金属を覆うことにより、コンタクトホール上部からの水素の浸入に対しても保護効果を高めることが記載されている。
【0010】
さらに、特許文献3においては、強誘電体キャパシタを覆う2層の層間絶縁膜のうち強誘電体キャパシタに近い層間絶縁膜には水分量の少ない膜を使用し、かつ、強誘電体キャパシタを水素の浸入から保護するために、強誘電体キャパシタ上方の第1の配線層と同層に強誘電体キャパシタを覆うようにバリア膜を形成する方法を提示している。バリア膜としては、チタン膜、酸化チタン膜、タンタル膜、酸化タンタル膜、アルミナ膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化チタンアルミニウム膜、及び、チタンとアルミニウムとの合金膜のうちの少なくとも1つの膜を選ぶことができる。
【0011】
しかしながら、これらの方式は強誘電体キャパシタの上方および側方からの水素および水分の浸入に対しては有効であるが、強誘電体キャパシタ上に形成されたコンタクトホールからの水素、水分の浸入に対しては効果をなさない。
【0012】
現在、強誘電体メモリの微細化に伴い、コンタクトホール径も微細化し、コンタクトホール内での導電材の穴埋めについてはスパッタ方式ではなくCVD方式を取るようになっている。各種のコンタクトホールのうち強誘電体キャパシタ上部電極上のコンタクトホール部にはタングステン(W)やポリシリコンを埋め込むことが多い。しかしながら、CVD法においては成膜に多量の水素を使用したり、原料の分解過程で水素が発生したりする。
【0013】
しかし、前述の特許文献1〜3に記載の構造では、コンタクトホール内での成膜中の水素により発生する強誘電体キャパシタの劣化についての対策については何らの記載もない。
【0014】
これに対して、コンタクトホールに浸入する水素から強誘電体キャパシタを保護することが特許文献4,特許文献5に記載されている。
【0015】
特許文献4には、コンタクトホール部からの水素浸入耐性を確保するため、コンタクトホールの下にTiN、TaN等の導電性の窒化物を100オングストローム以上の厚さに成膜する構造について開示されている。
【0016】
また、特許文献5においては、強誘電体キャパシタを覆うように、水素の拡散を防止する第1の水素バリア層を形成し、その上にスペーサ絶縁膜を形成した後に、強誘電体キャパシタの上部電極が露出するまで層間絶縁膜及び第1の水素バリア層を化学機械研磨(CMP)し、これにより露出された上部電極と第1の水素バリア層に接する導電性の第2の水素バリア層を層間絶縁膜上に形成する方法が提示されている。
【0017】
この中で、第1の水素バリア層としてSiN、SiON、Al23、TiAlO、TaAlO、TiSiO及びTaSiOからなる群より選択された少なくとも1つの材料が用いられ、第2の水素バリア層としてTiAlN、TiAl、TaAlN、TaAl、TiSiN、TaSiN、Ti及びTaからなる群より選択された少なくとも1つの材料が用いられている。
【0018】
この方法であれば、コンタクトホール部は水素浸入耐性のある膜で覆われているため、コンタクトメタル形成時の水素雰囲気においても強誘電体の劣化が起こることは防止される。
【特許文献1】特開2001−36026号公報
【特許文献2】特開2002−100742号公報
【特許文献3】WO02/056382号公報
【特許文献4】特許第3098474号公報
【特許文献5】特開2005−57103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献4に記載のように、コンタクトホールの下にTiN、TaN等の導電性の窒化物を100オングストローム以上の厚さに成膜する構造構成を採用しても、TiNやTaNの水素侵入耐性自体がそれほど強くないことから有効な手段とはいえない。
【0020】
また、特許文献5に記載の構造や方法を採った場合、酸素を透過しにくい材料から第2の水素バリア層が構成されるために、強誘電体結晶回復のための熱処理は第2の水素バリア層を形成した後は一切行えないことに加えて、第1の水素バリア膜形成からコンタクトホール形成までの間に、強誘電体キャパシタを覆う層間絶縁膜の形成、強誘電体上部電極を露出させるCMP、第2の水素バリア膜の形成、第2の水素バリア膜のマスクのパターニング、第2の水素バリア膜のエッチングと5工程が増加してしまう。
【0021】
本発明の目的は、コンタクトホール内を導電材で埋め込む際に、工程増を抑制しながら、コンタクトホールの下への水素の浸入を防止する構造を有する半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するための本発明に係る半導体装置に従えば、強誘電体キャパシタのキャパシタ上部電極の上に形成されたコンタクトホール内に埋め込まれる導電性プラグとして、アルミニウム膜を有する複数層の構造を採用している。
【0023】
導電性プラグは、例えば、コンタクトホールの内壁面及び底面に沿って形成される第1のグルー膜と、少なくともコンタクトホールの底部で第1のグルー膜上に形成されるアルミニウム膜と、コンタクトホール内でアルミニウム膜を覆う第2のグルー膜と、第1及び第2のグルー膜上に形成されてコンタクトホール内を埋め込むタングステン等の導電膜とから構成される。
【0024】
第1、第2のグルー膜として、窒化チタン膜が用いられる。また、アルミニウム膜と第1のグルー膜の間にチタン膜を形成してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンタクトホール内にタングステン等の導電膜を充填する前に、コンタクトホール内の少なくとも底部にアルミニウム膜を形成する構造を採用している。
【0026】
これにより、例えばCVD法により導電膜を成長する際に発生する水素のキャパシタ上部電極への浸透がアルミニウム膜により遮られるので、キャパシタ上部電極の下の金属酸化物強誘電体膜の還元が生じにくくなり、工程の増加を抑制して強誘電体キャパシタの劣化を防止できる。
【0027】
コンタクトホールの内壁面及び底面に沿って形成される第1のグルー膜とその上のアルミニウム膜の間にチタン膜を形成すると、アルミニウム膜成長時のアルミニウムの移動性が向上して膜の平坦性が良くなる。しかも、チタン膜は水素バリア性が良いため、金属酸化物強誘電体膜の還元による劣化がさらに防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体記憶装置の形成工程を示す断面図である。
【0029】
まず、図1(a) に示す断面構造を形成するまでの工程を説明する。
【0030】
図1(a)において、p型又はn型のシリコン(半導体)基板1の表面には、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法によって素子分離絶縁膜2が形成される。なお、素子分離絶縁膜2として、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造を採用してもよい。
【0031】
続いて、シリコン基板1のメモリセル領域Aと周辺回路領域Bにおける所定の活性領域(トランジスタ形成領域)にp型不純物とn型不純物を選択して導入することにより、メモリセル領域Aの活性領域に第1のウェル3aを形成し、周辺回路領域Bの活性領域には第2、第3のウェル3b、3cを形成する。なお、第3のウェル3cは、キャパシタQ0の下部電極として機能する。
【0032】
その後、シリコン基板1の表面を熱酸化して、第1、第2のウェル3a、3bの各表面上でゲート絶縁膜4a、4bとして使用され、且つ第3のウェル3c上でキャパシタQ0の容量誘電体膜4cとなるシリコン酸化膜を形成する。
【0033】
次に、素子分離絶縁膜2、ゲート絶縁膜4a、4b及び容量誘電体膜4cの上に、導電膜として多結晶又は非晶質のシリコン膜とタングステンシリサイド膜を順に形成する。さらに、その導電膜の上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜のいずれか、あるいはそれらの二層構造からなる絶縁膜6を形成する。そして、絶縁膜6からシリコン膜までをフォトリソグラフィー法により所定の形状にパターニングして、第1のウェル3aの上に間隔をおいて2つのゲート電極5aを形成し、第2のウェル3bの上方にゲート電極5bを形成し、さらに、第3のウェル3cの上方にキャパシタQ0の上部配線5cを形成する。ゲート電極5a、5bと上部配線5cの上面は絶縁膜6に覆われている。
【0034】
なお、第1のウェル3a上における一方のゲート電極5aは一部が省略して描かれている。
【0035】
メモリセル領域Aでは、第1のウェル3a上方に形成された2つのゲート電極5aはほぼ平行に間隔をおいて形成され、これらのゲート電極5aは素子分離絶縁膜2の上に延在してワード線となる。
【0036】
このようにして、メモリセル領域Aの第1のウェル3aの上にゲート絶縁膜4aを介して形成された2つのゲート電極5aの両側のシリコン基板1には、第1のウェル3aとは逆導電型の不純物がイオン注入され、第1、第2のMOSトランジスタT,Tのソース/ドレインとなる第1、第2の不純物拡散領域7a,7b及び第3のn型不純物拡散領域(不図示)が形成される。第1のウェル3aの中央に位置する第1の不純物拡散領域7aは、その上方でビット線に電気的に接続され、また、第1のウェル3aの両側寄りに位置する第2の不純物拡散領域7bと第3の不純物拡散領域(不図示)は後述する強誘電体キャパシタに電気的に接続される。
【0037】
続いて、周辺回路領域Bにおける第2のウェル3bのうち、ゲート電極5bの両側のシリコン基板1には、第2のウェル3bとは逆導電型の不純物がイオン注入されて、第3のMOSトランジスタTのソース/ドレインとなる第4、第5の不純物拡散領域8a,8bが形成されている。
【0038】
その後に、シリコン基板1、素子分離絶縁膜2及びゲート電極5a,5bの上に絶縁膜を形成する。そして、絶縁膜をエッチバックすることにより、ゲート電極5a,5bの両側部分に側壁絶縁膜9として残す。その絶縁膜として、例えばCVD法により形成される酸化シリコン(SiO)を使用する。
【0039】
さらに、第1のウェル3a上方の2つのゲート電極5a及び側壁絶縁膜9をマスクにして、第1、第2の不純物拡散領域7a,7b及び第3の不純物拡散領域(不図示)に不純物をイオン注入することにより、それらの不純物拡散領域7a,7bをLDD構造にする。また、第2のウェル3b上のゲート電極5c及び側壁絶縁膜6をマスクにして第4、第5の不純物拡散領域8a,8bに不純物をイオン注入することによりそれらの不純物拡散領域8a,8bをLDD構造にする。
【0040】
これにより、第1及び第2の不純物拡散領域7a,7bとゲート電極5aを有する第1のMOSトランジスタTと、第2のn型不純物拡散領域7bと第3のn型不純物拡散領域(不図示)とゲート電極5aを有する第2のMOSトランジスタTとが形成され、さらに、第4及び第5の不純物拡散領域8a,8bとゲート電極5bを有する第3のMOSトランジスタTが形成される。
【0041】
この後に、第1、第2及び第3のMOSトランジスタT、T、T及びキャパシタQ0を覆うカバー膜10をシリコン基板1上にプラズマCVD法により形成する。カバー膜10として例えば酸窒化シリコン(SiON)膜を形成する。
【0042】
次に、TEOS(テトラエトキシシラン)ガスを用いるプラズマCVD法により、酸化シリコン(SiO)膜を成長し、この酸化シリコン膜を第1の層間絶縁膜11として使用する。
【0043】
続いて、第1の層間絶縁膜11の緻密化処理として、常圧の酸素雰囲気中で第1の層間絶縁膜11を650℃の温度で10分間熱処理する。その後に、第1の層間絶縁膜11の上面を化学機械研磨(CMP)法により研磨して平坦化する。
【0044】
次に、フォトレジストとエッチングを用いるフォトリソグラフィー法により、第1の層間絶縁膜11とその下のカバー膜10をパターニングして第1〜第5の不純物拡散領域7a,7b,8a,8bの上にコンタクトホールを形成する。さらに、それぞれのコンタクトホール内面と第1の層間絶縁膜11上面に、グルー(密着)膜としてチタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜をスパッタ法により順に形成する。さらに、六フッ化タングステン(WF6)をソースガスに用いてCVD法によってタングステン(W)膜をTiN膜上に成長して第1〜第5の不純物拡散領域7a,7b,8a,8b上のコンタクトホール内を完全に埋め込む。
【0045】
続いて、W膜、TiN及びTi膜をCMP法により第1の層間絶縁膜11の上面上から除去する。そして、第1〜第5の不純物拡散領域7a,7b,8a,8b上の各コンタクトホール内に残されたW膜、TiN膜及びTi膜はそれぞれ一層目の第1導電性プラグ12a〜12dとして使用される。
【0046】
その後に、図1(b)に示すように、第1層間絶縁膜11上と一層目の導電性プラグ12a〜12d上に、窒化酸化シリコン(SiON)よりなる酸化防止絶縁膜13とSiO2よりなる下地絶縁膜14をそれぞれ100nm程度の厚さでプラズマCVD法により順に形成する。そのSiO2膜の成長時にはTEOSがソースガスとして用いられる。酸化防止絶縁膜13は、後のアニール等による熱処理の際に一層目の導電性プラグ12a〜12dが異常酸化してコンタクト不良を起こさないようにするために形成される。
【0047】
次に、図1(c)に示すように、下地絶縁膜14上に、密着層15としてアルミナ(AlO)膜をスパッタにより形成する。その後、急速加熱処理により650℃の酸素雰囲気中でアルミナ膜を酸化する。密着膜15は、後述する下部電極と下地絶縁膜14の密着性を向上させるために形成される。
【0048】
続いて、密着膜15上に、下部電極層16としてプラチナ(Pt)膜を50〜300nm、例えば150nmの厚さに形成する。
【0049】
その後に、図2(a)に示すように、下部電極層16上に、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜となるPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O)からなる強誘電体膜17をスパッタ法によりアモルファス状態で形成する。続いて強誘電体膜17に結晶化の急速加熱処理、例えば575℃、1.25%のO雰囲気中で90秒の熱処理を行う。
【0050】
続いて、強誘電体キャパシタの上部電極の下部層として第1の酸化イリジウム(IrO)膜18aをスパッタ法により例えば25〜300nmの厚さとなるように強誘電体膜17上に形成する。さらに、急速加熱処理、例えば700℃、1%のO雰囲気中で20秒の熱処理を行うことにより、第1のIrO膜18aの形成により受けた強誘電体膜17のダメージを元の状態に回復させる。その後に、上部電極の上部層として第2のIrO膜18bを第1のIrO膜18a上に形成する。
【0051】
なお、強誘電体層17の形成方法は、その他に、MOD(metal organic deposition)溶液を用いたスピンオン法、MOCVD(有機金属CVD)法、ゾル・ゲル溶液使用のスピンオン法などがある。また、強誘電体層17の材料としては、その他に、PZTにランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)の少なくとも1つの元素を含む他のPZT系材料や、SrBiTa、SrBi(Ta,Nb)等のビスマス層状構造化合物、その他の金属酸化物強誘電体を採用してもよい。
【0052】
次に、強誘電体キャパシタQ1の上部電極のパターン形状を有するレジストパターン(不図示)を第2のIrO2膜18b上に形成し、このレジストパターンをマスクにして第1、第2のIrO膜18a,18bをエッチングする。この結果、第1、第2のIrO膜18a,18bからなるキャパシタ上部電極18が形成される。
【0053】
続いて、そのレジストパターンを除去し、強誘電体キャパシタの容量絶縁膜のパターン形状を有する別のレジストパターン(図示せず)を新たに形成し、このレジストパターンをマスクとして強誘電体膜17をエッチングする。この結果、強誘電体膜17から強誘電体キャパシタQ1の容量絶縁膜17aが得られる。パターニングされた強誘電体膜17は、キャパシタ上部電極18よりも広がった形状を有し、例えばワード線の延在方向に広い形状となっている。
【0054】
その後、そのレジストパターンを除去し、強誘電体キャパシタQ1の下部電極のパターン形状を有するさらに別のレジストパターン(図示せず)を新たに形成し、このレジストパターンをマスクとして下部電極層16及び密着膜15をエッチングする。パターニングされた下部電極層16はキャパシタ下部電極16aとなり、容量絶縁膜17aの下からはみ出してワード線延在方向にストライプ状に延び、さらに容量絶縁膜17a及びキャパシタ上部電極18に覆われないコンタクト領域を有している。
【0055】
以上のようなパターニングによって、1つのキャパシタ上部電極18とその下の容量絶縁膜17a及び下部電極16aから1つの強誘電体キャパシタQ1が構成される。
【0056】
次に、図2(c)に示すように、強誘電体キャパシタQ1及び密着膜15と下地絶縁膜14の上にキャパシタ保護絶縁膜19としてアルミナ膜を約20〜50nm程度の厚さとなるようにスパッタにより形成する。なお、キャパシタ保護絶縁膜19としては、アルミナ膜の他、PZT、窒化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜などを用いてもよい。
【0057】
続いて、レジストマスク(不図示)を用いてキャパシタ保護絶縁膜19をエッチングすることにより、複数の強誘電体キャパシタQ1を覆う領域を除いて除去する。これにより、下地間絶縁膜14が露出される。
【0058】
次に、図3(a)に示すように、キャパシタ保護絶縁膜19及び下地絶縁膜14の上に、第2の層間絶縁膜20として酸化シリコン膜を約1μmの厚さに形成する。この酸化シリコン膜は、例えばTEOSを用いてCVD法により形成される。続いて、第2の層間層間絶縁膜20の上面をCMP法により平坦化する。この例では、CMP後の第2の層間絶縁膜20の残り膜厚は、メモリセル領域Aの強誘電体キャパシタQ1の上で約300nm程度とする。
【0059】
続いて、ビア形成用のレジストパターン(不図示)を第2の層間絶縁膜20上に形成し、第2層間絶縁膜20、下地絶縁膜14及び酸化防止絶縁膜13をパターニングすることにより、図3(b)に示すように、第1〜第4の不純物拡散領域7a,7b,8a,8b上の一層目の導電性プラグ12a〜12dの上にそれぞれ第1〜第4のビアホール20a〜20dを形成すると同時に、強誘電体キャパシタQ1のキャパシタ上部電極18の上面と下部電極16の上面のコンタクト領域にそれぞれ第1、第2のコンタクトホール20e,20fを形成する。
【0060】
この後に、図4(a)に示すように、第1〜第4のビアホール12a〜12d内に二層目の第1〜第4の導電性プラグ21a〜21dを形成するとともに、第1、第2のコンタクトホール20e,20f内に二層目の第5、第6の導電性プラグ21e,21fを形成する。
【0061】
第1〜第6の導電性プラグ21a〜21fのうち、少なくとも強誘電体キャパシタQ1の上の導電性プラグ21e,21fは例えば図5、図6に示すような方法で形成される。
【0062】
まず、図5(a)に示すように、第2の層間絶縁膜20のうちキャパシタ上部電極18上と下部電極16a上にそれぞれ開口されたコンタクトホール20e,20f等の内部の自然酸化膜の除去、及びレジスト残の除去、エッチング残の除去を目的としてRFスパッタ処理を行う。RFスパッタ処理は、減圧雰囲気中にアルゴンガスを導入して行われる。
【0063】
引き続き、図5(b)に示すように、第5、第6のコンタクトホール20e,20fの内壁面及び底面と第2の層間絶縁膜20上面の上に沿って、グルー膜として1層目のTiN膜31を成膜する。ここでTiN膜31はコンタクトホール20e,30f内でカバレッジ良く埋め込みを行うため、SIP(Self-Ionized Plasma)方式スパッタ、SIP−EnCore(Enhanced Coverage by Re-sputtering) 方式スパッタを利用するのが好ましい。そのようなスパッタの条件として、例えば、Tiターゲットを使用してアルゴン(Ar)ガス及び窒素(N2)ガスをスパッタ雰囲気中に導入し、基板温度を例えば200℃に設定する。
【0064】
SIP方式スパッタは、電子閉じこめ能力が強い磁場分布上に高いDC電圧を印可することにより、高密度プラズマで高いイオン化密度を実現する。この場合、基板側への高周波バイアスを印可することによってコンタクトホールでの良好なカバレッジ、低オーバーハングの特性が得られる。
【0065】
SIP−EnCore方式スパッタは、膜を一度形成した後に同一チャンバ内でアルゴンイオンによるリスパッタを連続的に行うもので、コンタクトホール内の底における膜の厚さを制御できる。
【0066】
TiN膜31の膜厚は、厚いほど良いが、あまり厚いと高抵抗化してしまうこと、後の工程で形成されW膜の埋込み形状が悪化すること、および自身にクラックが発生してしまうこと等々を考慮して、50nm程度が望ましい。
【0067】
続いて、図5(c)に示すように一層目のTiN膜31上にアルミニウム(Al)膜32を成膜する。Al膜32の成膜においてもSIP方式スパッタ、SIP−EnCore方式スパッタが使用される。そのようなスパッタの条件として、例えば、Alターゲットを使用し、Arガスをスパッタ雰囲気中に導入し、基板温度を例えば200℃に設定する。
【0068】
Al膜32の膜厚も厚いほど良いが、あまり厚いと後の工程で、コンタクトホール20e,20fでのW膜の埋め込み形状が悪化するため、50nm程度が望ましい。
【0069】
次に、図6(a)に示すように、Al膜32上にグルー膜として二層目のTiN膜33を成膜する。この成膜時では、既にH2バリア膜として機能するAl膜32がコンタクトホール20e,30f内及び第2の層間絶縁膜20上に成膜されているため、成膜方法は自由度が高くなり、SIP方式、SIP−EnCore方式等のスパッタ法だけでなく、或いはCVD法のいずれの方式も使用することができる。
【0070】
ただし、コンタクトホール20e,20fの内壁面及び底面は全てがAl膜32で覆われているので、カバレッジの良いTiN膜33の成膜方法を選択する必要がある。
TiN膜33の膜厚は、厚いほど良いが、あまり厚いと高抵抗化してしまうこと、後の工程でW埋め込み形状が悪化すること、及び自身にクラックが発生してしまうこと等々を考慮して、50nm程度が望ましい。
【0071】
これらの膜31〜33は、図7に示すような複数のプロセスチャンバ41〜46を有するENDURA(登録商標)のようなマルチチャンバ装置40を利用して、シリコン基板1及びその上に膜を大気に曝すことなくプロセスチャンバ41〜46を変えてTiN膜31、Al膜32、TiN膜33を順に成膜するのが望ましい。
【0072】
しかし、それらの膜31〜33の形成は、マルチチャンバ装置40を使用することに限られるものではなく、1工程毎に別の装置で成膜を行っても良い。その選択は装置取り回しの状況によって変更することができる。
【0073】
なお、図7において、複数のプロセスチャンバ41〜46に囲まれた搬送チャンバ47、バッファチャンバ48内にはロボット49、50が配置され、また、バッファチャンバ48の近傍にはロードロック51、52が配置され、さらに、バッファチャンバ48と搬送チャンバ47の間には予備クリーンチャンバ53が配置されている。また、ロードロック51,52とこれに最も近いプロセスチャンバ41,42の間には、オリエンター/デガス用チャンバ54,55が配置されている。
【0074】
次に、図6(b)に示すように、WF6を使用してCVD法によりW膜34を成膜して、これにより第5、第6のコンタクトホール20e,20fを完全に埋め込む。
【0075】
その後に、第2の層間絶縁膜20の上面からCMP法によりW膜34、TiN膜33、Al膜32及びTiN膜31を除去する。これにより、図6(c)に示すように、コンタクトホール20e、20f内に残されたW膜34、TiN膜33、Al膜32及びTiN膜31は、二層目の第5、第6の導電性プラグ21e,21fとなる。
【0076】
これら第5、第6の導電性プラグ21e,21fの形成と同時に、図4(a)に示すように、不純物拡散領域7a,7b、8a,8bの上方の第1〜第4のコンタクトホール20a〜20d内に形成されたW膜34、TiN膜33、Al膜32及びTiN膜31もその中に残る。それらは、二層目の第1〜第4の導電性プラグ21a〜21dとして使用される。
【0077】
その後に、第2の間絶縁膜20上と第1〜第6の導電性プラグ21a〜21f上に金属膜を形成する。金属膜として、第2の層間絶縁膜20上で例えば膜厚150nmのTiN膜と膜厚500nmのアルミニウム膜と膜厚5nmのTi膜と膜厚100nmのTiN 膜を順に形成する。
【0078】
続いて、その金属膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることによって、図4(b)に示すように、第1のウェル3a中央の一層目の導電性プラグ12aの上方で、二層目の第1の導電性プラグ21aに接続される導電性パッド23が形成され、さらに、第2〜第6の導電性プラグ21b〜21fに接続される配線23〜27が形成される。
【0079】
導電性パッド23及び配線24〜27を形成した後に、さらに第3の層間絶縁膜を形成し、導電性プラグを形成し、さらに第3の層間絶縁膜の上にビット線などを形成するが、その詳細は省略する。
以上のように、強誘電体キャパシタQ1を覆う第2の層間絶縁膜20において、キャパシタ上部電極18の上に形成された第5のコンタクトホール20e内にタングステン等の導電材をCVD法により充填する際に、その下地膜として第5のコンタクトホール20eの内面にTiN膜31、Al膜32、TiN膜33の三層構造が形成された状態となっている。
【0080】
この場合、タングステンをCVD法により成長する際に発生する水素は、コンタクトホール20e,20f内でAl膜32によってキャパシタ上部電極18に浸入することが阻止されるので、キャパシタ上部電極18の下の強誘電体膜17の水素還元による劣化が防止される。
【0081】
また、Al膜32は、第1のコンタクトホール20e内だけでなく、第2のコンタクトホール20f、第1〜第4のビアホール20a〜20d内面と第2の層間絶縁膜20上にも形成されているので、その上にタングステン膜34を形成する際に発生する水素が第2の層間絶縁膜20に浸入することが防止される。これにより、第1〜第6の導電性プラグ21a〜21fの形成後の熱処理によって、第2の層間絶縁膜20内から強誘電体キャパシタQ1への水素の浸入が抑制される。
【0082】
また、コンタクトホール20a〜20f内にAl膜32が形成されるという本構造は、キャパシタ上部電極18上のコンタクトホール20eに特に有効な構造である。しかし、下部電極16aから容量絶縁膜17aへの水素の侵入も、キャパシタ上部電極18から浸入する量ほどでは無いが、存在する。
【0083】
しかも、キャパシタ上部電極18上の導電性プラグ21eと下部電極層16の上の導電性プラグ21fに同じ構造を用いた方が工程の簡略化ができることから、下部電極部上にもAl膜32を含む導電性プラグ21fを形成することが望ましい。
【0084】
なお、一層目の導電性プラグ12a〜12dの上に形成されるコンタクトホール20a〜20d及び導電性プラグ21a〜21dは、アスペクト比の違いから、キャパシタ上部電極18上のコンタクトホール20e及びコンタクトプラグ21eとは別な工程で形成してもよい。
【0085】
この場合、一層目の導電性プラグ12a〜12dの上に形成されるコンタクトホール20a〜20d内にAl膜は形成されなくてもよく、TiN膜を一層形成した後にタングステン膜を成長するか、又はTi膜とTiN膜を形成した後にタングステン膜を成長するからのいずれかを採用しても良い。
【0086】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図、図9、図10は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置における導電性プラグの形成工程を示す断面図である。
【0087】
本実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図8(a)においても、第1実施形態に示したと同様に、シリコン基板1にMOSトランジスタT1、T2、T3等が形成され、また、MOSトランジスタT1、T2、T3が第1の層間絶縁膜11で覆われ、さらにその上に強誘電体キャパシタQ1が形成され、強誘電体キャパシタQ1がキャパシタ保護膜19で覆われ、さらに、キャパシタ保護膜19と第1の層間絶縁膜11の上に第2の層間絶縁膜20が形成される。
【0088】
第2の層間絶縁膜20には、第1の実施形態と同様な方法によって図3(d)に示したような第1〜第6のコンタクトホール20a〜20fが形成される。そして、第1〜第6のコンタクトホール20a〜20f内には、二層目の第1〜第6の導電性プラグ29a〜29fが埋め込まれる。
【0089】
強誘電体キャパシタQ1に接続される導電性プラグ29e,20fは、例えば次のような工程により形成される。
【0090】
まず、図9(a)に示すように、第2の層間絶縁膜20のうち強キャパシタ上部電極18と下部電極16aの上にそれぞれ開口された第5、第6のコンタクトホール20e,20f内部の自然酸化膜の除去、及びレジスト残の除去、エッチング残の除去を目的として、RFスパッタ処理を行う。RFスパッタ処理は、減圧雰囲気中にアルゴンガスを導入して行われる。
【0091】
引き続き、図9(b)に示すように、第5、第6のコンタクトホール20e,20f内面と第2の層間絶縁膜20上面の上に、グルー膜として1層目のTiN膜31を成膜する。ここでTiN膜31はコンタクトホール20e,30f内でカバレッジ良く埋め込みを行うため、SIP方式スパッタ、SIP−EnCore方式スパッタを利用するのが好ましい。そのようなスパッタの条件は、第1実施形態と同様である。
【0092】
TiN膜31の膜厚は厚いほど良いがあまり厚いと高抵抗化してしまうこと、しかも後の工程で形成されW膜の埋込み形状が悪化すること、および自身にクラックが発生してしまうこと等々を考慮して、50nm程度が望ましい。
【0093】
続いて、図9(c)に示すように、コンタクトホール20e,20f内の底部において一層目のTiN膜31上にアルミニウム(Al)膜32aを成膜する。タングステン成長時のキャパシタ上部電極18への水素の浸入経路を考慮した場合、水素バリア膜たるAl膜32aの成膜は、コンタクトホール20e,20fの内側面では要求されず、少なくとも底部にあればよい。
【0094】
よって、Al膜32aの成膜については、コリメータスパッタ、ロングスロースパッタ、イオン化金属プラズマ(IMP)スパッタなどのように、金属元素の直進性が高くサイドカバレッジの悪い方式でも利用可能である。Al膜32aの膜厚は、厚いほど良いが、あまり厚いと後の工程でのタングステンの埋め込み形状が悪化するため、50nm程度が望ましい。
【0095】
コリメータスパッタは、ターゲットと基板の間にコリメート電極を配置して、基板面に垂直成分を多く持つ原子を選択的に基板に到達するものである。この場合、基板に対してターゲットの裏側にカソードが配置され、さらに、ターゲットのほぼ中央から側方に広がる磁場を発生させるマグネットがターゲットの裏側に配置されている。
【0096】
ロングスロースパッタは、基板とターゲットをロングスロー配置し、スパッタ粒子を基板面に対してほぼ垂直方向に到達させるものである。
【0097】
IMPスパッタは、スパッタされたターゲット材料がプラズマを通過する際にイオン化される構造を有し、バイアスされた基板面に実質的に垂直な方向にターゲット材料を到達させるものである。
【0098】
次に、図10(a)に示すように、グルー層として二層目のTiN膜33を一層目のTiN膜31及びAl膜32aの上に形成する。ここではすでにH2バリア膜であるAl膜32aが成膜されているため、TiN膜31の成膜方式は自由度が高く、スパッタ法、CVD法の何れの方式も使用することができる。
【0099】
しかも、Al膜32aは、コンタクトホール20e,20fの底部のみに成膜されているので、その底部のAl膜32aのみを二層目のTiN膜33で覆えばよいため、二層目のTiN膜33のカバレッジが悪い成膜方法でもその底部に形成できれば利用可能である。
【0100】
具体的には、二層目のTiN膜33の形成は、コリメータスパッタ、ロングスルースパッタ、IMPスパッタなどの金属元素の直進性のよい成膜方法を利用しても良いし、SIPスパッタ、SIP−EnCoreスパッタ、CVD法などのカバレッジの良い方法も選択できる。膜厚は厚いほど良いが、あまり厚いと高抵抗化してしまうこと、後の工程でタングステン等の埋め込み形状が悪化すること、およびTiN膜33にクラックが発生してしまうこと等々から50nm程度が望ましい。
【0101】
なお、これらの膜は第1実施形態で説明したように、図7に例示したマルチチャンバ装置を利用して、大気に曝すことなく成膜するのが望ましいが、1工程毎に別の装置で成膜を行っても良い。その選択は装置取り回しの状況によって変更することができる。
【0102】
次に、図10(b)に示すように、WF6ガスを使用してCVD法によりW膜34を成膜して、これによりコンタクトホール20e,20fを完全に埋め込む。
【0103】
その後に、CMP法によりW膜34、TiN膜33、Al膜32a及びTiN膜31を第2の層間絶縁膜20の上面から除去するとともに平坦化する。これにより、図10(c)に示すように、コンタクトホール20e、20f内に残されたW膜34、TiN膜33、Al膜32及びTiN膜31は、第5、第6の導電性プラグ29e,29fとなる。
【0104】
これと同時に、図8(a)に示したように、不純物拡散領域7a,7b、8a,8bの上方の第1〜第4のコンタクトホール20a〜20d内に形成されたW膜34、TiN膜33、Al膜32及びTiN膜31もその中に残る。それらは、第1〜第4の導電性プラグ29a〜29dとして使用される。
【0105】
その後に、第2の層間絶縁膜20上と第1〜第6の導電性プラグ29a〜29f上に金属膜を形成する。金属膜として、TiN膜、Al膜、Ti膜、TiN 膜を順に形成する。
【0106】
続いて、その金属膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることによって、図8(b)に示すように、第1のウェル3a中央の一層目の導電性プラグ12a上の二層目の導電性プラグ29aに接続される導電性パッド23が形成され、さらに、第2〜第6の導電性プラグ29b〜29fに接続される配線23〜27が形成される。
【0107】
導電性プラグ23及び配線24〜27を形成した後に、さらに第3の層間絶縁膜を形成し、導電性プラグを形成し、さらに第3の層間絶縁膜の上にビット線などを形成するが、その詳細は省略する。
【0108】
以上説明したように、強誘電体キャパシタQ1を覆う第2の層間絶縁膜20のうちキャパシタ上部電極18の上に形成された第1のコンタクトホール20e内にCVD法によりタングステン等の導電材を充填する際には、CVD膜の下地膜として第1のコンタクトホール20eの内面に既に一層目のTiN膜31が形成され、その底部にAl膜32aが形成され、さらにAl膜32aを覆う二層目のTiN膜33が形成された状態となっている。
【0109】
この場合、第5のコンタクトホール20e内でタングステン膜33をCVD法により成長する際に発生する水素は、Al膜32aによってキャパシタ上部電極18への浸入が阻止されるので、容量誘電体膜17aの還元による劣化が防止される。
【0110】
また、Al膜32aは、第5のコンタクトホール20e底部だけでなく、第1〜第4及び第6のコンタクトホール20a〜20d,20fの底部と第2の層間絶縁膜20上にも形成されるので、その上にタングステン膜を形成する際に発生する水素が第2の層間絶縁膜20に浸入することが抑制される。これにより、ビア用プラグ21a〜21d、コンタクトプラグ21e,21fの形成後の熱処理により第2の層間絶縁膜20内から強誘電体キャパシタQ1への水素の浸入が抑制される。
【0111】
また、コンタクトホール20a〜20f内の底部にAl膜32aが形成されるという本構造は、キャパシタ上部電極18上のコンタクトホール20eに特に有効な構造である。しかし、その周囲の下部電極層16からの水素侵入もキャパシタ上部電極18からほどでは無いが存在する。しかも、キャパシタ上部電極18上の導電性プラグ29eと下部電極層16上の導電性プラグ29fの双方に同じ構造を用いた方が工程の簡略化ができることから、Al膜32は下部電極層16上にも用いられることが望ましい。
【0112】
なお、一層目の導電性プラグ12a〜12dの上に形成される二層目のコンタクトホール20a〜20及び導電性プラグ29a〜29dは、アスペクト比の違いから、キャパシタ上部電極18上のコンタクトホール20e及び導電性プラグ29eとは別な工程で形成してもよい。この場合、一層目の導電性プラグ12a〜12dの上に形成されるコンタクトホール20a〜20d内ではAl膜が形成されなくてもよく、TiN膜を一層形成した後にタングステン膜を成長するか、又はTi膜とTiN膜を形成した後にタングステン膜を成長してもよい。
【0113】
(第3の実施の形態)
図11(a)、(b)は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置における強誘電体キャパシタを示す断面図である。
図11(a)は、第1実施形態に示したキャパシタ上部電極18、下部電極層16aの上のコンタクトホール20e,20f内に形成される一層目のTiN膜31とAl膜32の間に、Ti膜34を成膜した構造を示している。
【0114】
また、図11(b)は、第2実施形態に示したキャパシタ上部電極18、下部電極層16a上のコンタクトホール20e,20f内に形成される一層目のTiN膜31とその底部に形成されるAl膜32aの間に、Ti膜35aを形成した構造を示している。
【0115】
以上のように、TiN膜31上に成膜されたTi膜35,35aは濡れ層として働き、その上でAlの移動度を上げてコンタクトホール20e,20f内に形状良くAl膜32,32aを成膜することが可能になる。この場合、Ti膜35,35aにも水素バリア耐性があることから、コンタクトホール20e,20f内でより高い水素バリア耐性を実現することができる。
【0116】
Ti膜35,35aは、少なくともAl膜32,32aと同じ範囲に成膜される必要があり、Al膜32,32aと同じ成膜方法を採用することが望ましい。即ち、図11(a)に示した構造の場合には、Al膜32は、SIP方式、SIP−EnCore方式のスパッタ法を適用することが望ましい。また、図11(b)に示した構造の場合には、Al膜32aは、コリメータスパッタ、ロングスロースパッタ、IMPスパッタなどのように、直進性が高い成膜方法を適用することが望ましい。
【0117】
なお、Al膜32,32aは、拡散を防止するために、TiN膜に挟まれて第2の層間絶縁膜20に接触しないようにするのが好ましい。
【0118】
(第4の実施の形態)
図12(a)、(b)は、スタック型の強誘電体キャパシタを採用した構造を示す第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、図12(a)、(b)において、図4、図8と同じ符号は同じ要素を示している。
【0119】
例えば、図12(a)、(b)のそれぞれに示すように、第1の層間絶縁膜11で覆われたMOSトランジスタT1,T2のソース/ドレイン不純物拡散層7a,7b上に一層目の導電性プラグ12a,12bを接続した状態で、一層目の導電性プラグ12a,12bにキャパシタ下部電極16bが接続される強誘電体キャパシタQ2を第1の層間絶縁膜11上に形成し、さらに強誘電体キャパシタQ2を覆う第2の層間絶縁膜20においてキャパシタ上部電極18cの上に形成されるコンタクトホール20e内に図6(c)、図10(c)と同様なAl膜を有する構造の導電性プラグ21e、29eを形成してもよい、
【0120】
なお、上記した実施形態では、強誘電体キャパシタの上部電極としてIrO2を使用しているが、その材料はこれに限られるものではなく、たとえば、プラチナ、Ir、その他の導電材であってもよい。
【0121】
(付記1)半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成され且つ下部電極、金属酸化物強誘電体膜、上部電極を有するキャパシタと、前記キャパシタ及び前記第1の絶縁膜の上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜内に形成された第1のコンタクトホールと、前記第1のコンタクトホール内に形成されて第1のアルミニウム膜を含む複数層構造の第1の導電性プラグとを有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)前記第1のコンタクトホール内は、前記第1のアルミニウム膜を挟む第1のグルー膜と第2のグルー膜とを含み、前記第1、第2のグルー膜上に形成される導電膜により充填されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)前記第1のアルミニウム膜は、前記第1のコンタクトホールの底面に前記第1のグルー膜を介して形成されていることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4)前記第1のアルミニウム膜は、前記第1のコンタクトホールの前記底面と側壁面の内側に形成された前記第1のグルー膜の内面に沿って形成され、さらに、前記第1のコンタクトホール内で前記第2のグルー膜に覆われていることを特徴とする付記3に記載の半導体装置。
(付記5)前記第1のグルー膜は、窒化チタン膜であることを特徴とする付記2乃至付記4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記6)前記第1のアルミニウム膜と前記窒化チタン膜の間にはチタン膜が形成されていることを特徴とする付記5に記載の半導体装置。
(付記7)前記第2のグルー膜は、窒化チタン膜であることを特徴とする付記2乃至付記6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記8)前記第1のコンタクトホール内を充填する前記導電膜はタングステンであることを特徴とする付記2乃至付記7のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9)前記第1の導電性プラグの下端は、前記キャパシタの前記上部電極に接続されていることを特徴とする付記1乃至付記8のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記10)前記第2の絶縁膜内であって、前記下部電極上に形成された第2のコンタクトホールと、第2のコンタクトホール内に形成されて第2のアルミニウム膜を含む複数層構造の第2の導電性プラグとをさらに有することを特徴とする付記1乃至付記9のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記11)前記金属酸化物強誘電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛系材料、ビスマス層状構造化物のいずれかであることを特徴とする付記1乃至付記10のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記12)半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の上に、下部電極、金属酸化物強誘電体膜及び上部電極を有するキャパシタを形成する工程と、前記第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、前記キャパシタの前記上部電極の上であって前記第2の絶縁膜内に第1のコンタクトホールを形成する工程と、前記第1のコンタクトホールの底面及び内壁面に沿って第1のグルー膜を形成する工程と、前記第1のコンタクトホール内の少なくとも底部において、前記第1のグルー膜の上に第1のアルミニウム膜を形成する工程と、前記第1のアルミニウム膜の上に第2のグルー膜を形成する工程と、前記第1のコンタクトホール内を充填する第1の導電膜を前記第1、第2のグルー膜の上に形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13)前記第1のアルミニウム膜と前記第2のグルー膜は、前記第1のコンタクトホールの内壁面及び底面に沿って形成されることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)前記第1のアルミニウム膜は、SIP方式スパッタ法、SIP−EnCore方式スパッタ法のいずれかにより形成されることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)前記第1のコンタクトホールの底部に形成される前記第1のアルミニウム膜は、コリメータスパッタ、ロングスルースパッタ法、イオン化金属プラズマスパッタ法のいずれかにより形成されることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)前記第1、第2のグルー膜は窒化チタン膜であることを特徴とする付記12乃至付記15のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)前記第1のグルー膜である前記窒化チタン膜と前記第1のアルミニウム膜の間にはチタン膜が形成されていることを特徴とする付記16に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)前記第1のコンタクトホール内に充填される導電膜は、タングステンであることを特徴とする付記12乃至付記17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)前記第2の絶縁膜内において、前記下部電極上に第2のコンタクトホールを形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内に第3のグルー膜を形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内の少なくとも底部において、前記第3のグルー膜の上に第2のアルミニウム膜を形成する工程と、前記第2のアルミニウム膜の上に第4のグルー膜を形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内を充填し且つ前記第3、第4のグルー膜の上に第2の導電膜を形成する工程と、を有することを特徴とする付記12乃至付記18のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)前記第2のアルミニウムは、前記第1のアルミニウム膜と同時に形成され、前記第3のグルー膜は第1のグルー膜と同時に形成され、第4のグルー膜は、前記第2のグルー膜と同時に形成され、前記第2の導電膜は、前記第1の導電膜と同時に形成されることを特徴とする付記19に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置におけるプラグの形成工程を示す断面図(その1)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置におけるプラグの形成工程を示す断面図(その2)である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造に用いられるマルチチャンバ装置の概要構成図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置におけるプラグの形成工程を示す断面図(その1)である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置におけるプラグの形成工程を示す断面図(その2)である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置における強誘電体キャパシタを示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 素子分離絶縁膜
3a,3b,3c ウェル
4…Pウェル、
4a,4b…ゲート絶縁膜、
5a,5b…ゲート電極、
7a,7ab,8a,8b…不純物拡散領域、
9…側壁絶縁膜、
10…カバー膜、
11…層間絶縁膜、
12a〜12d…導電性プラグ、
13…酸化防止絶縁膜、
14…下地絶縁膜、
15…密着膜、
16…下部電極層、
16a,16c…下部電極、
17…強誘電体膜、
17a,17c…容量絶縁膜、
18a、18b…酸化イリジウム膜、
18,18c…上部電極、
19…キャパシタ保護膜、
20…層間絶縁膜、
20a〜20f…コンタクトホール、
21a〜21f…導電性プラグ、23…導電性パッド、
24〜27…配線、
31…TiN膜、
32、32a…Al膜、
33…TiN膜、
34…W膜、
29a〜29f…導電性プラグ、
35,35a…Ti膜、
1,Q2…強誘電体キャパシタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され且つ下部電極、金属酸化物強誘電体膜、上部電極を有するキャパシタと、
前記キャパシタ及び前記第1の絶縁膜の上に形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜内に形成されたコンタクトホールと、
前記コンタクトホール内に形成されてアルミニウム膜を含む複数層構造の第1の導電性プラグと、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記コンタクトホール内は、前記アルミニウム膜を挟む第1のグルー膜と第2のグルー膜とを含み、前記第1、第2のグルー膜上に形成される導電膜により充填されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記アルミニウム膜は、前記コンタクトホールの底面に前記第1のグルー膜を介して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記アルミニウム膜は、前記コンタクトホールの前記底面と側壁面の内側に形成された前記第1のグルー膜の内面に沿って形成され、さらに、前記コンタクトホール内で前記第2のグルー膜に覆われていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のグルー膜は、窒化チタン膜であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アルミニウム膜と前記窒化チタン膜の間にはチタン膜が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンタクトホール内を充填する前記導電膜はタングステンであることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の上に、下部電極、金属酸化物強誘電体膜及び上部電極を有するキャパシタを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記キャパシタの前記上部電極の上であって前記第2の絶縁膜内にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホールの底面及び内壁面に沿って第1のグルー膜を形成する工程と、
前記コンタクトホール内の少なくとも底部において、前記第1のグルー膜の上にアルミニウム膜を形成する工程と、
前記アルミニウム膜の上に第2のグルー膜を形成する工程と、
前記コンタクトホール内を充填する導電膜を前記第1、第2のグルー膜の上に形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記アルミニウム膜と前記第2のグルー膜は、前記コンタクトホールの内壁面及び底面に沿って形成されることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2の絶縁膜内において、前記下部電極上に第2のコンタクトホールを形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内に第3のグルー膜を形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内の少なくとも底部において、前記第3のグルー膜の上に第2のアルミニウム膜を形成する工程と、前記第2のアルミニウム膜の上に第4のグルー膜を形成する工程と、前記第2のコンタクトホール内を充填し且つ前記第3、第4のグルー膜の上に第2の導電膜を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項8乃至請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−198813(P2008−198813A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32872(P2007−32872)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】