説明

半導体装置

【課題】 樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置を提供する。
【解決手段】 1stTEOS膜4と2ndTEOS膜6という層間絶縁膜の間にクラック検査用の薄膜抵抗膜5を備える。このような構成によれば、薄膜抵抗膜5の抵抗値を調べることにより、半導体装置の製造プロセス中の様々な段階においてクラック検査を行うことができる。したがって、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置とすることができる。このため、製造された半導体装置の一部のみに対してクラック検査を行う場合だけでなく、全数検査を行うような場合にも対応することが可能となり、半導体装置の品質保証の観点からも有効な構造とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間絶縁膜などに生じるクラックを検出することが可能な半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造において、ワイヤボンディングやパッケージ組み付けおよび耐久試験などにより層間絶縁膜などにクラックが発生していないか検査が行われている。具体的には、クラックの発生を検査するために、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させるなど、半導体素子が形成されたチップの表面を露出させることで、直接クラックが発生しているか否かを視認する方法が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして、半導体素子が形成されたチップの表面を露出させる手法では、クラックの確認のために膨大な手間と時間が必要になってしまう。また、結局、半導体装置を破壊してクラック検査を行うものであるため、製造された半導体装置すべてについてクラック検出を行うことができず、半導体装置の品質保証という面で万全ではないという問題がある。
【0004】
なお、このような問題にを解決したいという要望は半導体製造分野において高く、例えば、特開2004−53326号公報においても、同様の要望が示されている。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1層間絶縁膜(4、25)と第2層間絶縁膜(6、27)との間に、薄膜抵抗膜(5、26)を形成すると共に、この薄膜抵抗膜(5、26)に対して所定電圧を印加するための第1パッド(10a)と、薄膜抵抗膜(5、26)をGNDに接続するための第2パッド(10b)とを形成し、第1パッド(10a)および第2パッド(10b)を介して、薄膜抵抗膜(5、26)に電流を流せるように構成し、第1層間絶縁膜(4、25)もしくは第2層間絶縁膜(6、27)にクラックが発生したときに、薄膜抵抗膜(5、26)の少なくとも一部が破損し、薄膜抵抗膜(5、26)に流れる電流の電流値が変化するように構成することを特徴としている。
【0007】
このように、第1層間絶縁膜(4、25)と第2層間絶縁膜(6、27)の間にクラック検査用の薄膜抵抗膜(5、26)を備えた構成としている。このため、第1パッド(10a)と第2パッド(10b)を通じて薄膜抵抗膜(5、26)に電流を流し、薄膜抵抗膜(5、26)の抵抗値を調べることにより、半導体装置の製造プロセス中の様々な段階においてクラック検査を行うことができる。
【0008】
したがって、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置とすることができる。このため、製造された半導体装置の一部のみに対してクラック検査を行う場合だけでなく、全数検査を行うような場合にも対応することが可能となり、半導体装置の品質保証の観点からも有効な構造とすることができる。
【0009】
具体的には、請求項4に示されるように、薄膜抵抗膜(5、26)に流れる電流の電流値と、第1パッド(10a)から印加する所定電圧とに基づいて薄膜抵抗膜(5、26)の抵抗値を求め、その抵抗値の変化から、クラックが発生したことを求めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、層間絶縁膜(4、6、25、27)の内部において、多層構造として薄膜抵抗膜(5、26)を形成することを特徴としている。
【0011】
このように、薄膜抵抗膜(5、26)を多層構造とすることも可能である。そして、このように多層構造とする場合において、各層の薄膜抵抗膜(5、26)それぞれに独立して電流が流せる構成とするすることで、クラックの深さを検出することも可能である。
【0012】
請求項3に記載の発明では、薄膜抵抗膜(5、26)は、上面形状が複数のラインを有するストライプ形状で構成されていると共に、複数のラインの両端部が第1パッド(10a)と第2パッド(10b)の位置でまとめられ、クラックが発生した場合に、複数のラインの一部が断線するようになっていることを特徴としている。
【0013】
このように、薄膜抵抗膜(5、26)をストライプ状として構成することができる。このような構成とすれば、断線したラインの数を求めることで、クラックの長さを求めることが可能となる。
【0014】
なお、薄膜抵抗膜(5、26)は、請求項5に示されるように、基板(1、13)のうち半導体素子が形成された領域の少なくとも一部とオーバラップするように形成されても良いし、請求項6に示されるように、金属配線(23、24)の上部に配置されても良いし、また、請求項7に示されるように、ワイヤボンディング部の下部に配置されても良い。さらに、薄膜抵抗膜(5、26)は、請求項8に示されるように、基板(1、13)を構成するチップの角部に形成されても良い。
【0015】
請求項9に記載の発明では、薄膜抵抗膜(5、26)は、膜厚が50nm以下かつ5nm以上とされていることを特徴としている。
【0016】
このように、薄膜抵抗膜(5、26)の膜厚を50nm以下とすれば、層間絶縁膜絶縁膜の平坦性に影響を与えないようにすることができる。
【0017】
このような薄膜抵抗膜(5、26)は、例えば、請求項10に示されるように、Al、AlSi、AlSiCu、PolySi、Ti、TiN、Wsi、TiSi、Cr、CrSi、Cu、Ni、Co、Auのいずれかによって構成される。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した半導体装置のチップ部分の断面図を図1に示すと共に、半導体装置に備えられるクラック検出用のパターンを上面から見たときのレイアウト構成を図2に示す。なお、図1は、図2におけるA−A断面に相当する断面図である。以下、これらの図を参照して本実施形態の半導体装置について説明する。
【0021】
図1に示されるように、シリコン基板1の上に、フィールド酸化膜2、BPSG膜3、1stTEOS膜4が順に積層されたのち、この1stTEOS膜4の表面に薄膜抵抗膜5が形成されている。そして、この薄膜抵抗膜5を覆うように2ndTEOS膜6が形成されたのち、さらにこの2ndTEOS膜6の表面が保護膜7で覆われた構成となっている。
【0022】
このような構造は、すなわち、半導体素子(図示せず)が形成されたシリコン基板1の上部に形成される配線パターン(図示せず)等を形成したのち、その上層に薄膜抵抗膜5を形成したものである。
【0023】
図2に示されるように、薄膜抵抗膜5は、複数本のラインを有するストライプ形状となっており、両端部において1つずつにまとめられ、各端部が所定電圧Vが印加されるパッド10aとGNDに接続されるパッド10bに電気的に接続された構成となっている。
【0024】
薄膜抵抗膜5は、シリコン基板1における各チップごとに少なくとも1つ設けられ、ダイシングによってチップ単位に分割されても、各チップに少なくとも1つ薄膜抵抗膜5が配置されるようになっている。
【0025】
この薄膜抵抗膜5は、層間絶縁膜に相当する1stTEOS膜4と2ndTEOS膜6との間に配置されるため、チップ内のどのような場所にも配置可能である。例えば、薄膜抵抗膜5を、半導体素子が形成された領域の少なくとも一部とオーバラップするように形成しても良いし、Al配線層などのような金属配線の上部、ワイヤボンディング部の下部、チップ角部等に配置しても良い。また、これらのうちのいずれか複数箇所に配置しても構わない。もちろん、薄膜抵抗膜5は、チップ内のほぼ全域に形成されるようにするのが好ましいが、必ずしも全域にある必要はない。
【0026】
また、薄膜抵抗膜5を構成する各ラインの線幅は、例えば1μmとされ、薄膜抵抗膜5の膜厚は、層間絶縁膜の平坦性に影響を与えない程度、例えば50nm以下かつ5nm以上とされている。薄膜抵抗膜5の材質としては、抵抗材料であればどのようなものを用いても良いが、例えばAl、AlSi、AlSiCu、PolySi、Ti、TiN、Wsi、TiSi、Cr、Cu、Ni、Co、Auなどを用いることができる。
【0027】
なお、ここでは、チップをモールドしたときの樹脂パッケージや樹脂パッケージから引き出されるターミナルに関しては図示しないが、実際には、図1に示したチップが樹脂パッケージにて封止され、樹脂パケージから引き出されたターミナルを通じてチップ内に形成された半導体素子や薄膜抵抗膜5と電気的な接続が行えるようになっている。
【0028】
続いて、上記のような薄膜抵抗膜5が備えられた半導体装置の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に示される半導体装置の製造工程のフローチャートを示したものである。
【0029】
まず、シリコン基板1に対して、半導体素子を形成するためのプロセスおよび上述したフィールド酸化膜2、BPSG膜3、1stTEOS膜4、薄膜抵抗膜5、2ndTEOS膜6、保護膜7を形成するためのプロセス、つまりウェハ工程を実行する。
【0030】
具体的には、まず、半導体素子を周知のプロセスによって形成する。このとき、半導体素子を形成するプロセス中において、フィールド酸化膜2が形成されることになる。そして、BPSG膜3を成膜したのち、半導体素子における所定の拡散層と電気的な接続を図るべく、BPSG膜3にコンタクトホールを形成したのち、図示しないがBPSG膜3の表面に1stAl配線層などを成膜してパターニングする。
【0031】
続いて、BPSG膜3の表面に1stTEOS膜4を成膜したのち、1stTEOS膜4の表面に抵抗材料を成膜し、それをパターニングして薄膜抵抗膜5を形成する。次に、薄膜抵抗膜5および1stTEOS膜4の表面に2ndTEOS膜6を成膜したのち、1stTEOS膜4および2ndTEOS膜6に対して図示しないビアホールを形成する。そして、図示しないが2ndTEOS膜6の表面に2ndAl配線層などを成膜してパターニングする。この後、2ndAl配線層および2ndTEOS膜6の表面に保護膜7を形成したのち、各種パッドを配置する場所において保護膜7を開口させることで、保護膜7から各種パッドを露出させる。
【0032】
このようにして図1に示される半導体装置が製造される。なお、上記の半導体素子としては様々なものが考えられるが、その製造プロセスに関しては周知のものであるため、ここでは省略する。
【0033】
次に、ウェハ工程が完了したのち、初期抵抗測定を行う。具体的には、パッド10aから所定電圧Vを印加することで薄膜抵抗膜5に電流が流れるようにする。そして、このときの電流値と所定電圧Vとから薄膜抵抗膜5の抵抗値を求める。
【0034】
このとき、まだ層間絶縁膜に相当する1stTEOS膜4や2ndTEOS膜6にクラックが発生するような工程をあまり経ていないため、薄膜抵抗膜5が断線などしていないと想定される。したがって、このときの抵抗値を初期抵抗値とする。
【0035】
続いて、ダイシングカット工程、ワイヤボンディング工程、樹脂パッケージでモールドする半導体装置の組み付け工程を行うことで、モールドされた半導体装置を完成させる。そして、この工程が完了した後、2回目の抵抗測定を行う。このときの測定方法に関しては上記と同様であるが、パッド10a、10bがモールドによって樹脂パッケージに覆われてしまう場合には、パッド10a、10bに電気的に接続されるターミナルを樹脂から引き出しておき、この引き出したターミナルを通じて所定電圧Vの印加およびGNDへの接続が行われるようにする。
【0036】
このとき、層間絶縁膜に相当する1stTEOS膜4や2ndTEOS膜6にクラックが発生するような工程、つまりダイシングカット工程やワイヤボンディング工程、樹脂モールドによる半導体装置の組み付け工程などを経ているため、1stTEOS膜4や2ndTEOS膜6にクラックが発生している可能性がある。
【0037】
例えば、図1中に点線で示したようなクラックが発生した場合、そのクラックにより、薄膜抵抗膜5の複数本のラインの一部が断線もしくは部分的に破損することになる。このため、薄膜抵抗膜5の抵抗値が変化し、薄膜抵抗膜5に流れる電流の電流値が変化する。このときの薄膜抵抗膜5の抵抗値を2回目の抵抗値とし、初期抵抗値と2回目の抵抗値との差ΔRを求める。この差ΔRの大きさから、クラックが発生しているか否か、さらにはクラックが発生していた場合にその数を求めることができる。
【0038】
具体的には、薄膜抵抗膜5を構成するラインのうち断線したものの数と抵抗値との関係が図4のように表されることから、抵抗値が求まれば、断線したものの数を求めることが可能となる。これに基づいて、クラックの発生数を求めることが可能となる。
【0039】
次に、完成した半導体装置に対して、所定温度まで加熱したのち、所定温度まで冷ますということを1サイクルとして、それを所定の回数繰り返す冷熱耐久試験を行う。この工程が完了した後、3回目の抵抗測定を行う。このときの測定方法に関しては、2回目の抵抗測定と同様である。
【0040】
そして、このときにも、層間絶縁膜に相当する1stTEOS膜4や2ndTEOS膜6にクラックが発生するような工程、つまり冷熱耐久試験が行われていることから、1stTEOS膜4や2ndTEOS膜6にクラックが発生している可能性がある。したがって、このときの薄膜抵抗膜5の抵抗値を求めて3回目の抵抗値とし、初期抵抗値と3回目の抵抗値との差ΔR’および、2回目の抵抗値と3回目の抵抗値との差ΔR’’を求める。このときの差ΔR’、ΔR’’の大きさから、クラックが発生しているか否か、さらにはクラックが発生していた場合にその数を求めることができる。
【0041】
このようにして、半導体装置の製造プロセス中に層間絶縁膜などのクラック検査を行うことが可能となる。そして、クラックが発生しているか否か、さらにはクラックが発生していた場合にその数を求めることが可能となる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に示す構造の半導体装置によれば、1stTEOS膜4と2ndTEOS膜6という層間絶縁膜の間にクラック検査用の薄膜抵抗膜5が備えられている。そして、薄膜抵抗膜5の抵抗値を調べることにより、半導体装置の製造プロセス中の様々な段階においてクラック検査を行うことができる。
【0043】
したがって、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置とすることができる。このため、製造された半導体装置の一部のみに対してクラック検査を行う場合だけでなく、全数検査を行うような場合にも対応することが可能となり、半導体装置の品質保証の観点からも有効な構造とすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態の半導体装置の断面構成を示したものであり、図6は、本実施形態の半導体装置のレイアウト構成を示した図である。なお、図5は、図6におけるB−B’断面に相当する断面図である。以下、これらの図を参照して本実施形態の半導体装置について説明する。
【0045】
図5に示すように、本実施形態の半導体装置は、LDMOSを備えたものである。
【0046】
+型シリコン基板11の上にN−型層12を構成したものが基板13として用いられ、この基板13に対してLDMOSが形成されている。
【0047】
-型層12の表面にはLOCOS酸化膜14が形成されている。N-型層12の表層部には、このLOCOS酸化膜14と接するように、高濃度とされたn+型ドレイン領域15が形成されている。そして、このn+型ドレイン領域15を囲むようにn型領域16が形成されている。このn型領域16はLOCOS酸化膜14の下部にまで入り込んでおり、N+型ドレイン領域15を中心としてN+型ドレイン領域15に近づくほど濃度が濃くなるように構成されている。
【0048】
また、n型基板1の表層部には、p型ベース領域17が形成されている。このp型領域17は、LOCOS酸化膜14の端部近傍で終端している。
【0049】
このp型ベース領域17の表層部には、LOCOS酸化膜14から離間するようにN+型ソース領域18が形成されている。さらに、p型ベース領域17の表層部には、N+型ソース領域18と接するようにP+型コンタクト領域19が形成されている。このP+型コンタクト領域19は、N+型ソース領域18を挟んでN+型ドレイン領域15の反対側に配置され、N+型ソース領域18の下方まで達する構成となっている。
【0050】
+型ソース領域18とN+型ドレイン領域15の間に挟まれたp型ベース領域17の表面上にはゲート絶縁膜20が配置されており、このゲート絶縁膜20上にゲート電極21が備えられている。このような構成により、ゲート電極21の下部に位置するP+型ベース領域17の表層部をチャネル領域にすると共に、基板13をn型ドリフト領域として、MOS動作を行うようになっている。
【0051】
また、ゲート電極21を覆うようにBPSG膜22が配置され、このBPSG膜22上に1stAlソース電極層23及び1stAlドレイン電極層24がパターニングされている。そして、BPSG膜22に形成されたコンタクトホールを介して、1stAlソース電極層23はN+型ソース領域18及びP+型コンタクト領域19と接続され、1stAlドレイン電極層24はN+型ドレイン領域15と接続されている。
【0052】
これら1stAlソース電極層23および1stAlドレイン電極層24を覆うように1stTEOS膜25が配置され、この1stTEOS膜25の表面に薄膜抵抗膜26が形成されている。そして、薄膜抵抗膜26および1stTEOS膜25の表面に2ndTEOS膜27が形成されていると共に、2ndAlソース電極層28および2ndAlドレイン電極層29(図6参照)が形成されている。
【0053】
そして、2ndAlソース電極層28および2ndAlドレイン電極層29の表面には、保護膜30が形成されている。
【0054】
このような構成の半導体装置では、図6に示されるように、N+型ドレイン領域15とN+型ソース領域18とがマトリクス状に配置され、それらが紙面縦方向および紙面横方向において交互に配置されたレイアウトとされている。
【0055】
また、N+型ドレイン領域15に対して電気的に接続される1stAlドレイン電極層24とN+型ソース領域18に対して電気的に接続される1stAlソース電極層25とが、ストライプ上にレイアウトされている。そして、1stAlドレイン電極層24のうちN+型ドレイン領域15と接続される各ラインと、1stAlソース電極層25のうちN+型ソース領域18と接続される各ラインとが交互に並べられた状態とされている。
【0056】
また、1stAlドレイン電極層24を構成する各ラインは、ビアホール31を介して、2ndAlドレイン電極層29に電気的に接続され、1stAlソース電極層25を構成する各ラインは、ビアホール32を介して、2ndAlソース電極層28に電気的に接続されている。
【0057】
そして、薄膜抵抗層26は、1stAlドレイン電極層24や1stAlソース電極層25を構成する各ラインと平行な複数のラインと、これら各ラインの各端部を繋ぐ部分とによって構成された一本の長いラインで構成され、2ndAlドレイン電極層29や2ndAlソース電極層28の下方位置に配置された構成となっている。
【0058】
以上のようなLDMOSを備える半導体装置に関しても、1stTEOS膜25と2ndTEOS膜27という層間絶縁膜の間にクラック検査用の薄膜抵抗膜26が備えられている。したがって、第1実施形態と同様に、薄膜抵抗膜26の抵抗値を調べることにより、半導体装置の製造プロセス中の様々な段階においてクラック検査を行うことができる。
【0059】
これにより、樹脂パッケージを分解したり、ワイヤ線を剥離させたりして破壊しなくてもクラック検査を行える構造の半導体装置とすることができる。このため、製造された半導体装置の一部のみに対してクラック検査を行う場合だけでなく、全数検査を行うような場合にも対応することが可能となり、半導体装置の品質保証の観点からも有効な構造とすることができる。
【0060】
(他の実施形態)
上記実施形態では、薄膜抵抗膜5、6をストライプ状としたが、必ずしもストライプ状とする必要はない。例えば、これらを幅の広いベタパターンとして形成しても構わない。つまり、クラックが発生した場合に、抵抗値が変化するようなパターンであれば、どのようなパターンであっても構わない。
【0061】
また、上記実施形態では、薄膜抵抗膜5、26をクラック検査のためのみに使用するものとして説明したが、それ以外の用途、例えば、半導体装置と共に集積回路を構成する抵抗として用いるものとしても構わない。例えば、入出力保護抵抗素子として薄膜抵抗膜5、26を使用することが可能である。
【0062】
また、上記各実施形態では1stTEOS膜4、25と2ndTEOS膜6、27との間に薄膜抵抗膜5、26を1層のみで構成した場合について説明したが、これらを多層化しても構わない。そして、多層化した薄膜抵抗膜を繋げることで多層化抵抗としても良いが、それぞれの層を別々の抵抗として、各抵抗それぞれに独立して電流が流せる構成とすれば、どこの層でクラックが発生したか、つまりクラックの深さを検出することも可能である。
【0063】
さらに、ここでは半導体素子が形成されたチップを樹脂パッケージによってモールドする場合について説明したが、必ずしもモールドするものばかりでなく、ワーヤーボンディングせずにチップから直接基板へ電極を取り出すフリップチップやCSP等の半導体装置に対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置のチップ部分の断面構成を示す図である。
【図2】図1に示す半導体装置に備えられる薄膜抵抗膜および薄膜抵抗膜が接続されるパッドのレイアウト構成を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態における半導体装置の製造工程のフローチャートである。
【図4】薄膜抵抗膜を構成するラインのうち断線したものの数と抵抗値との関係を示したグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態における半導体装置のチップ部分の断面構成を示す図である。
【図6】図4に示す半導体装置の薄膜抵抗膜等のレイアウト構成を示した図である。
【符号の説明】
【0065】
1…シリコン基板、4…1stTEOS膜、5…薄膜抵抗膜、
6…2ndTEOS膜、7…保護膜、10a、10b…パッド、13…基板、
15…N+型ドレイン領域、18…N+型ソース領域、
23…1stAlソース電極層、24…1stAlドレイン電極層、
25…1stTEOS膜、26…薄膜抵抗膜、27…2ndTEOS膜、
28…2ndAlソース電極層、29…2ndAlドレイン電極層、30…保護膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が形成された基板(1、13)と、
前記基板(1、13)の上に形成された第1層間絶縁膜(4、25)と、
前記第1層間絶縁膜(4、25)の表面に形成された薄膜抵抗膜(5、26)と、
前記薄膜抵抗膜(5、26)の表面に形成された第2層間絶縁膜(6、27)と、
前記薄膜抵抗膜(5、26)に対して所定電圧を印加するための第1パッド(10a)と、
前記薄膜抵抗膜(5、26)をGNDに接続するための第2パッド(10b)とを有し、
前記第1パッド(10a)および前記第2パッド(10b)を介して、前記薄膜抵抗膜(5、26)に電流を流せるように構成され、
前記第1層間絶縁膜(4、25)もしくは前記第2層間絶縁膜(6、27)にクラックが発生したときに、前記薄膜抵抗膜(5、26)の少なくとも一部が破損し、前記薄膜抵抗膜(5、26)に流れる電流の電流値が変化するように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体素子が形成された基板(1、13)と、
前記基板(1、13)の上に形成された層間絶縁膜(4、6、25、27)と、
前記層間絶縁膜(4、6、25、27)の内部において、多層構造として形成された薄膜抵抗膜(5、26)と、
前記多層構造の薄膜抵抗膜(5、26)におけるそれぞれの層の薄膜抵抗膜に対して所定電圧を印加するための第1パッド(10a)と、
前記多層構造の薄膜抵抗膜(5、26)におけるそれぞれの層の薄膜抵抗膜をGNDに接続するための第2パッド(10b)とを有し、
前記第1パッド(10a)および前記第2パッド(10b)を介して、前記薄膜抵抗膜(5、26)に電流を流せるように構成され、
前記層間絶縁膜(4、25)もしくは前記第2層間絶縁膜(6、27)にクラックが発生したときに、前記薄膜抵抗膜(5、26)の少なくとも一部が破損し、前記薄膜抵抗膜(5、26)に流れる電流の電流値が変化するように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記薄膜抵抗膜(5、26)は、上面形状が複数のラインを有するストライプ形状で構成されていると共に、前記複数のラインの両端部が前記第1パッド(10a)と前記第2パッド(10b)の位置でまとめられ、前記クラックが発生した場合に、前記複数のラインの一部が断線するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記薄膜抵抗膜(5、26)に流れる電流の電流値と、前記第1パッド(10a)から印加する所定電圧とに基づいて求められる前記薄膜抵抗膜(5、26)の抵抗値から、前記クラックが発生したことが求められるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記薄膜抵抗膜(5、26)は、前記基板(1、13)のうち前記半導体素子が形成された領域の少なくとも一部とオーバラップするように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板(1、13)の上には、前記半導体素子と電気的な接続が行われた金属配線(23、24)が備えられており、前記薄膜抵抗膜(5、25)は、前記金属配線(23、24)の上部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板(1、13)の上には、前記半導体素子と電気的な接続が行われるワイヤボンディング部が備えられており、前記薄膜抵抗膜(5、25)は、前記ワイヤボンディング部の下部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記薄膜抵抗膜(5、26)は、前記基板(1、13)を構成するチップの角部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記薄膜抵抗膜(5、26)は、膜厚が50nm以下かつ5nm以上とされていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記薄膜抵抗膜(5、26)は、Al、AlSi、AlSiCu、PolySi、Ti、TiN、Wsi、TiSi、Cr、CrSi、Cu、Ni、Co、Auのいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−108231(P2006−108231A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290119(P2004−290119)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】