説明

半導体装置

【課題】 DCBLストレスによるオフ耐圧性能を向上させた高耐圧LDMOSを提供する。
【解決手段】 半導体基板に形成され、トレンチにより素子分離され、ソース領域がドレイン領域で挟まれたMOSトランジスタであり、ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がP型ドリフト層上を通過するように前記トレンチ外に引き出されている高耐圧LDMOS。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、200V〜600Vの高耐圧を有するLDMOS(Lateral Diffused MOS)トランジスタ(横方向拡散MOSトランジスタ、以下単にLDMOSともいう)の信頼性向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、民生機器及び産業用ドライバIC等において、その用途により様々な耐圧を有したデバイスのニーズがあり、特に電圧200〜600Vに対応したデバイスのニーズが高まっている。このようなパワーデバイスにおいては、その信頼度試験の過程によって100℃以上の高温下でゲート電極・ドレイン電極・ソース電極の各電極間に各用途に応じた高電圧ストレス(200〜600V)を長時間維持して信頼性を損なわないことが課題となる。
【0003】
SOI基板に作成した従来の高耐圧PチャネルLDMOSのデバイス構造の断面図を図1に示す。また、高耐圧PチャネルLDMOSの構成について説明する。
【0004】
半導体基板は、N型基板を用いるか、あるいはP型基板にN型ウエル拡散層1を形成し、N型ウエル拡散層1の一部領域の表面に素子分離用のフィールド酸化膜(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)2を形成する。ドレイン領域に電界緩和及びオン抵抗低減を目的としてP型バッファ層6を設ける。N型不純物をイオン注入し、その後高温熱処理によって不純物を拡散させPチャネル7を形成する。フィールド酸化膜2上にポリシリコンによるゲート電極4を形成し、フィールド酸化膜2をゲート酸化膜として機能させる。フィールド酸化膜2をマスクにしてP型不純物を導入し、自己整合的にソース領域及びドレイン領域にP型高濃度拡散層10を形成する。また、ソース領域の一部にウエル給電用としてN型不純物を導入し、N型高濃度拡散層9を形成する。
【0005】
さらに、P型(ドレイン)高濃度拡散層10とゲート電極4の間に電界緩和用のP型低濃度拡散層11を形成する。高抵抗のN型ウエル拡散層1には、高耐圧PチャネルLDMOSを囲むように、誘電体分離のためのトレンチアイソレーション8が形成されている。トレンチアイソレーション8は、N型ウエル拡散層1下のSOI基板の埋め込み酸化膜3に達している。通常、P型低濃度拡散層11はN型ウェル拡散層1より濃度の高い不純物拡散層であり、LDMOSのオン抵抗低減及び耐圧向上が期待できる。
【0006】
フィールド酸化膜2上にゲート電極4を形成し、各ゲート電極、ソース領域、ドレイン領域にコンタクト電極33を形成し、さらに第1メタル層ゲート、ソース、ドレイン配線12〜14を形成、続いて第2メタル層ゲート、ソース、ドレイン配線15〜17を形成する。
【0007】
ここで、図1に示した断面図の平面図を図3に示す。従来の高耐圧PチャネルLDMOSでは、ドレイン領域から第1メタル層ドレイン配線24を引き出し、更に第2メタル層ドレイン配線21で引き出す。同様に、ソース領域からは第1メタル層ソース配線26を引き出し、更に第2メタル層ソース配線22で引き出す。ゲート領域からは第1メタル層ゲート配線25を引き出し、更に第2メタル層ゲート配線23でトレンチアイソレーション27外に引き出している。その際、第2メタル層ゲート配線23はP型ドリフト層28上を通過せずに、N型ウエル拡散層34を跨ぐように配設されている。
【0008】
その結果、メタル層ゲート配線とN型ウエル拡散層1間に200〜600Vの高電位が発生し、ストレス試験後のLDMOSのオフ耐圧が劣化するという問題があった。
【0009】
特許文献1は、トレンチ分離された高耐圧PMOSに関し、ドレイン領域上にゲート引き出し線が配置された従来例の記載、ドレイン領域はコンタクトのP+領域と低濃度のP型のオフセット領域から成る実施例の記載があるが、実施例ではゲート配線の下にはソース配線が設けられており、高耐圧PMOSにおいて、引き出し線を低濃度の注入層(ドレイン領域と同一導電型)上に配置したものではない。
【0010】
特許文献2は、トレンチ分離された高耐圧PMOSに関し、高電位が印加される電極配線と低電位が印加される電極配線が交差しない配線の実施例があるが、高耐圧PMOSにおいて、引き出し線を低濃度の注入層(ドレイン領域と同一導電型)上に配置したものではない。
【0011】
特許文献3は、ゲート電極とメタル配線層を交互に配置し、電界集中を避けて高耐圧を実現した実施例があるが、高耐圧PMOSにおいて、引き出し線を低濃度の注入層(ドレイン領域と同一導電型)上に配置したものではない。
【0012】
特許文献4は、フローティング状態の複数のプレート電極を形成し、寄生容量による電圧分担を利用した実施例があるが、引き出し線を低濃度の注入層(ドレイン領域と同一導電型)上に配置したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−074518号公報
【特許文献2】特開2007−027358号公報
【特許文献3】特開2005−251903号公報
【特許文献4】特開2003−068872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
高耐圧ドライバICは、その回路動作上、駆動素子に対して高電圧を長時間維持する状態で使用され得る。主なストレス条件として、100℃以上の高温下においてソース電極、ドレイン電極間が等電位で、ゲート電極に200〜600V以上の高電位がかかった状態(チャネルがオンした状態)を長時間維持する高温バイアス試験が行われる(以上のような高温バイアス試験をON−DCBLストレスと称する)。
【0015】
図4は、ソース電極31及びドレイン電極32に200〜600Vの高電圧を印加し、ゲート電極が0V(GND)のゲートオープン状態となったON−DCBLストレス状態を表している。図3に示すような従来のゲート配線の配設において、高耐圧PチャネルLDMOSは、メタル層ゲート配線がN型ウエル拡散層1上を通過してトレンチ外に引き出すように配設されており、上記ON‐DCBLストレスによってオフ耐圧のリーク特性が劣化する問題があった。
【0016】
本発明は、係る問題を考慮してなされたもので、その目的は、DCBLストレスによるオフ耐圧性能を向上させた高耐圧LDMOSを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る高耐圧LDMOSは、半導体基板に形成され、トレンチにより素子分離され、ソース領域がドレイン領域で挟まれたLDMOSデバイスであり、そのメタル層ゲート配線がP型ドリフト層上を通過するようにトレンチ外に引き出されていることを特徴とする。
【0018】
ここで、半導体基板はSOI基板である事が好ましい。SOI基板によって、より高耐圧を実現することができる。
【0019】
第1の発明の特徴は、(1)パワー半導体素子とロジック回路素子が同一シリコン基板上に搭載された半導体装置であって、前記パワー半導体素子として用いられるMOSトランジスタは、素子分離用のトレンチに囲まれ、半導体基板内に形成されたチャネル拡散層と、前記チャネル拡散層内に形成されたソース高濃度拡散層と、前記チャネル拡散層とは間隔を持って形成されたドレイン高濃度拡散層と、前記ソース高濃度拡散層と前記ドレイン高濃度拡散層の間に形成されたフィールド酸化膜を有し、
前記ドレイン高濃度拡散層とは間隔をもって、フィールド酸化膜上に形成されたゲート電極と、前記ドレイン高濃度拡散層側の前記ゲート電極の側面下に前記チャネル拡散層とは間隔をもって形成された電界緩和用のフィールド酸化膜を有し、
前記ドレイン高濃度拡散層と前記ゲート電極の間に電界緩和用のドレイン低濃度拡散層を有し、
前記ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線が、前記素子分離用のトレンチ外に、かぎ型状、矩形状または湾曲に曲がって引き出されている半導体装置にある。
(2)(1)において、前記メタル層ゲート配線が、ドレイン低濃度拡散層上に引き出されていることが好ましい。前記ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がドレイン低濃度拡散層上を通過することにより、シリコン界面の電界が緩和され、より高い電圧に耐えることができる。
(3)(1)において、前記メタル層ゲート配線が、かぎ型状、矩形状に前記トレンチ外に引き出されており、最も長いメタル層ゲート配線部分がドレイン低濃度拡散層上に引き出されていることが好ましい。配線引き出しの形態によらず、前記ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がドレイン低濃度拡散層上を通過する割合を増大させることで、シリコン界面の電界が緩和され、より高い電圧に耐えることができる。
(4)(1)において、前記LDMOSトランジスタは、ソース側に形成された薄膜の熱酸化膜をゲート酸化膜として用いていることが好ましい。フィールド酸化膜ではなく薄膜熱酸化膜をゲート酸化膜に用いることで、不純物が少なく信頼度の高いLDMOSを形成することが可能である。
(5)(4)において、前記ゲート酸化膜の厚さは、100nm以下であることが好ましい。ゲート酸化膜を100nm以下にすることで、Vthが低いLDMOSを形成することが可能である。
(6)(1)において、前記メタル層ゲート配線が、前記ドレイン低濃度拡散層上を通過して前記トレンチ外に引き出されていることが好ましい。前記ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がドレイン低濃度拡散層上を通過することにより、シリコン界面の電界が緩和され、かつ、トレンチ外に引き出すことでそれ以上電界の影響を受けなくなるため、高い耐圧を実現できる。
(7)(1)〜(5)において、前記LDMOSトランジスタは、SOI基板上に形成され、かつ前記トレンチで分離されていることが好ましい。前記SOI基板BOX及び前記トレンチにより電圧分担され、より高い耐圧を実現できる。
第2の発明の特徴は、
(8)半導体基板上に形成され、トレンチにより素子分離され、ソース領域がドレイン領域で挟まれたMOSトランジスタであり、ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がP型ドリフト層上を通過するように前記トレンチ外に引き出されている高耐圧LDMOSにある。ドレイン領域がソース領域よりも外周にある場合、デバイスの使用上ドレイン領域とトレンチ外で高電位差が生まれるため、電界緩和に対してより大きな効果を得ることができる。
(9)(8)において、前記メタル層ゲート配線が、P型ドリフト層上に引き出されていることが好ましい。
(10)(8)において、前記メタル層ゲート配線が、かぎ型状、矩形状に前記トレンチ外に引き出されており、最も長いメタル層ゲート配線部分がP型ドリフト層上に引き出されていることが好ましい。
(11)(8)において、前記MOSトランジスタは、前記ソース領域側に形成された薄膜の熱酸化膜をゲート酸化膜として用いていることが好ましい。
(12)(11)において、前記ゲート酸化膜の厚さは、100nm以下であることが好ましい。
(13)(8)において、前記メタル層ゲート配線が、前記P型ドリフト層上を通過して前記トレンチ外に引き出されていることが好ましい。
(14)(8)において、前記MOSトランジスタは、SOI基板上に形成され、かつ前記トレンチで分離されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、ゲート配線がP型ドリフト層上を通過するように配設しており、図4に示すようにON‐DCBLストレス時にはゲート電極に200〜600V、ソース電極・ドレイン電極には0Vが印加されるため、メタル層ゲート配線とSOI基板間に高電界が生じる。しかし、メタル層ゲート配線下のP型ドリフト層が空乏化することで電界が緩和されるため、これによりON−DCBLストレスによるオフ耐圧性能の劣化を抑制した高耐圧PチャネルLDMOSを実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、200〜600Vの高耐圧LDMOSにおいて、高電界ストレスによるLDMOSの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の高圧PチャネルLDMOSの構造断面図である。
【図2】本発明によるメタル層ゲート配線を示す平面図である。
【図3】従来のメタル層ゲート配線を示す平面図である。
【図4】ON−DCBLストレス試験の模式図である。
【図5】従来の高圧NチャネルLDMOSの構造断面図である。
【図6】かぎ形に配設されたメタル層ゲート配線を示す平面図である。
【図7】矩形に配設されたメタル層ゲート配線を示す平面図である。
【図8】湾曲に配設されたメタル層ゲート配線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明では、高耐圧PチャネルLDMOSトランジスタの例で説明するが、当該構造におけるすべての極性を逆にすることで得られるN導電型MOSトランジスタについても同様である。本発明において、半導体基板とは、MOSトランジスタのチャネル反転領域を形成する濃度層を指し、シリコンウエハの基板だけでなく、エピタキシャル成長した層、イオン打ち込みで形成された拡散層を含む一般的にMOSトランジスタのウエルと呼ばれる領域を指す。
【実施例1】
【0024】
従来の高耐圧PチャネルLDMOSのデバイス構造の断面図を図1に示す。また、高耐圧PチャネルLDMOSの構成について詳細に説明する。半導体基板は、N型基板を用いるか、あるいはP型基板にN型ウエル拡散層1を形成し、N型ウエル拡散層1の一部領域の表面に素子分離用のフィールド酸化膜2を形成する。ウエハは、バルクウエハもしくは埋め込み酸化膜3(BOX:Buried Oxiside)を有したSOIウエハを用いる場合がある。
【0025】
ドレイン側ゲート電極4端からドレイン領域までのフィールド酸化膜2下にかけて、電界緩和及びオン抵抗低減を目的としてP型低濃度拡散層11を設ける。更に、ドレイン領域に電界緩和のためP型バッファ層6を設ける。次に、ソース領域からゲート電極4にかけてN形不純物をイオン注入し、その後、1000℃以上の高温熱処理によって不純物を拡散させてPチャネル7を形成する。更に、ゲート電極4となるゲートポリシリコンとハードマスクとなるゲートキャップ酸化膜5を成膜する。次に、リソグラフィープロセスによってレジストをパターニングし、ゲートキャップ酸化膜5のみをドライエッチングによって加工する。その後、レジストを除去した後、ゲートキャップ酸化膜5をハードマスクとしてゲートポリシリコンを加工する。ゲートキャップ酸化膜を用いることにより、フィールド酸化膜2上にポリシリコンによるゲート電極4を形成し、フィールド酸化膜2をゲート酸化膜として機能させる。更に、フィールド酸化膜2をマスクにしてP型不純物を導入し、自己整合的にソース領域及びドレイン領域にP型高濃度拡散層10を形成する。次に、ソース領域にN型高濃度拡散層9を形成する。これは、さきに形成したPチャネル7の給電をとるためのものである。
【0026】
拡散工程を形成後、配線工程として、前述ゲート電極4に第1ビア電極33を形成、更に、その上に第1メタル層ゲート配線12を形成する。次に、前述第1メタル層ゲート配線12上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ゲート配線15を形成する。
【0027】
同様にして、前述ソース領域のP型高濃度層10上に第1ビア電極33を形成し、更に、その上に第1メタル層ソース配線13を形成する。次に、前述第1メタル層ソース配線13上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ソース配線16を形成する。続いて、前述ドレイン領域のP型高濃度層10上に第1ビア電極を形成し、更に、その上に第1メタル層ドレイン配線14を形成する。次に、前述第1メタル層ドレイン配線14上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ドレイン配線17を形成する。
【0028】
図2に上記図1の配線レイアウトの平面図を示す。また図2について説明する。図2中第2メタル層ドレイン配線21は図1中の第2メタル層ドレイン配線17に対応する。同様にして、図2中の第2メタル層ソース配線22は図1中の第2メタル層ソース配線16に対応する。図2中の第2メタル層ゲート配線23は図1中の第2メタル層ゲート配線15に対応する。図2中の第1メタル層ドレイン配線24は図1中の第1メタル層ドレイン配線12に対応する。図2中の第1メタル層ソース配線21は図1中の第1メタル層ソース配線14に対応する。図2中の第1メタル層ゲート配線25は図1中の第1メタル層ゲート配線12に対応する。図2中の第1メタル層ソース配線26は図1中の第1メタル層ソース配線13に対応する。図2中のトレンチアイソレーション27は図1中のトレンチアイソレーション8に対応する。図2中のP型ドリフト層28は図1中のP型低濃度拡散層11に対応する。図2中のN型ウエル拡散層35は図1中のN型ウエル拡散層1に対応する。
【0029】
本実施例では、図2に示す様に、ゲート電極から引き出された第2メタル層ゲート配線23がP型ドリフト層28上を通過するように配設され、トレンチ外に引き出されている。
【0030】
従って、図4に示すようにON‐DCBLストレス時にはゲート電極に200〜600V、ソース電極・ドレイン電極には0Vが印加されるため、メタル層ゲート配線とSOI基板間に高電界が生じる。しかし、メタル層ゲート配線下のP型ドリフト層が空乏化することで電界が緩和されるため、これによりON−DCBLストレスによるオフ耐圧性能の劣化を抑制した高耐圧PチャネルLDMOSを実現できる。
【実施例2】
【0031】
また、別の実施形態として、メタル層ゲート配線がその平面上を故意に曲折してかぎ形、矩形状に配設され、トレンチ外に引き出される場合で、かつ直線距離の最も長い配線部がP型ドリフト層上を通過するように配設されている場合においても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0032】
また、別の実施形態として、メタル層ゲート配線層が複数層形成されている場合で、そのいずれかのゲート配線が実施形態1と同様に配設されている場合も実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0033】
図5は、N導電型MOSトランジスタの実施例を示している。断面構造は図1で述べた構造に対して全ての極性を逆にすることで得られるN導電型MOSトランジスタの実施例である。高耐圧NチャネルLDMOSの構成について詳細に説明する。
【0034】
半導体基板は、N型基板を用いるか、あるいはP型基板にN型ウエル拡散層1を形成し、N型ウエル拡散層1の一部領域の表面に素子分離用のフィールド酸化膜2を形成する。ウエハは、バルクウエハもしくは埋め込み酸化膜3(BOX)を有したSOIウエハを用いる場合がある。
【0035】
ドレイン側ゲート電極4端からドレイン領域までのフィールド酸化膜2下にかけて、電界緩和及びオン抵抗低減を目的としてN型低濃度拡散層36を設ける。更に、ドレイン領域に電界緩和のためN型バッファ層37を設ける。次にソース領域からゲート電極4にかけてP形不純物をイオン注入し、その後1000℃以上の高温熱処理によって不純物を拡散させてNチャネル38を形成する。その後、ゲート電極4となるゲートポリシリコンとハードマスクとなるゲートキャップ酸化膜5を成膜する。次に、リソグラフィープロセスによってレジストをパターニングし、ゲートキャップ酸化膜5のみをドライエッチングによって加工する。その後、レジストを除去した後、ゲートキャップ酸化膜5をハードマスクとしてゲートポリシリコンを加工する。以上のゲートキャップ酸化膜を用いることにより、フィールド酸化膜2上にポリシリコンによるゲート電極4を形成し、フィールド酸化膜2をゲート酸化膜として機能させる。その後、フィールド酸化膜2をマスクにしてP型不純物を導入し、自己整合的にソース領域及びドレイン領域にN型高濃度拡散層9を形成する。さらにソース領域にP型高濃度拡散層10を形成する。これは、さきに形成したPチャネル7の給電をとるためのものである。
【0036】
拡散工程を形成後、配線工程として、前述ゲート電極4に第1ビア電極33を形成、さらにその上に第1メタル層ゲート配線12を形成する。さらに前述第1メタル層ゲート配線12上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ゲート配線15を形成する。
【0037】
同様にして、前述ソース領域のP型高濃度層10上に第1ビア電極33を形成、さらにその上に第1メタル層ソース配線13を形成する。さらに前述第1メタル層ソース配線13上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ソース配線16を形成する。続いて、前述ドレイン領域のP型高濃度層10上に第1ビア電極を形成、更に、その上に第1メタル層ドレイン配線14を形成する。次に、前述第1メタル層ドレイン配線14上に第2ビア電極34を形成し、前述第2ビア電極34上に第2メタル層ドレイン配線17を形成する。
【0038】
従って、N導電型MOSトランジスタにおいても実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例5】
【0039】
また、別の実施形態として図6、図7の平面レイアウト図に示すように、前記メタル層ゲート配線が、かぎ型状、矩形状に前記トレンチ外に引き出されており、最も長いメタル層ゲート配線部分がドレイン低濃度拡散層上に引き出している構造を適用することも可能である。
【実施例6】
【0040】
また、別の実施形態として図8の平面レイアウト図に示すように、前記メタル層ゲート配線が、湾曲状に前記トレンチ外に引き出されている構造を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
図3に示すような従来のゲート配線の配設において、高耐圧PチャネルLDMOSは、メタル層ゲート配線がN型ウエル拡散層1上を通過してトレンチ外に引き出すように配設されており、上記ON‐DCBLストレスによってオフ耐圧のリーク特性が劣化する問題があったが、本発明によれば、DCBLストレスによるオフ耐圧性能を向上させた高耐圧LDMOSが提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1:N型ウエル拡散層
2:フィールド酸化膜
3:埋め込み酸化膜
4:ゲート電極
5:ゲートキャップ酸化膜
6:P型バッファ層
7:Pチャネル
8:トレンチアイソレーション
9:N型高濃度拡散層
10:P型高濃度拡散層
11:P型低濃度拡散層
12:第1メタル層ゲート配線
13:第1メタル層ソース配線
14:第1メタル層ドレイン配線
15:第2メタル層ゲート配線
16:第2メタル層ソース配線
17:第2メタル層ドレイン配線
21:第2メタル層ドレイン配線
22:第2メタル層ソース配線
23:第2メタル層ゲート配線
24:第1メタル層ドレイン配線
25:第1メタル層ゲート配線
26:第1メタル層ソース配線
27:トレンチアイソレーション
28:P型ドリフト層
29:ゲート電極
30:ゲート電極
31:ソース電極
32:ドレイン電極
33:第1ビア電極
34:第2ビア電極
35:N型ウエル拡散層
36:N型低濃度拡散層
37:N型バッファ層
38:Nチャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体素子とロジック回路素子が同一シリコン基板上に搭載された半導体装置であって、前記パワー半導体素子として用いられるMOSトランジスタは、素子分離用のトレンチに囲まれ、半導体基板内に形成されたチャネル拡散層と、前記チャネル拡散層内に形成されたソース高濃度拡散層と、前記チャネル拡散層とは間隔を持って形成されたドレイン高濃度拡散層と、前記ソース高濃度拡散層と前記ドレイン高濃度拡散層の間に形成されたフィールド酸化膜を有し、
前記ドレイン高濃度拡散層とは間隔をもって、フィールド酸化膜上に形成されたゲート電極と、前記ドレイン高濃度拡散層側の前記ゲート電極の側面下に前記チャネル拡散層とは間隔をもって形成された電界緩和用のフィールド酸化膜を有し、
前記ドレイン高濃度拡散層と前記ゲート電極の間に電界緩和用のドレイン低濃度拡散層を有し、
前記ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線が、前記素子分離用のトレンチ外に、かぎ型状、矩形状または湾曲に曲がって引き出されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記メタル層ゲート配線が、ドレイン低濃度拡散層上に引き出されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記メタル層ゲート配線が、かぎ型状、矩形状に前記トレンチ外に引き出されており、最も長いメタル層ゲート配線部分がドレイン低濃度拡散層上に引き出されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記MOSトランジスタは、ソース側に形成された薄膜の熱酸化膜をゲート酸化膜として用いていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート酸化膜の厚さは、100nm以下であることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記メタル層ゲート配線が、前記ドレイン低濃度拡散層上を通過して前記トレンチ外に引き出されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記MOSトランジスタは、SOI基板上に形成され、かつ前記トレンチで分離されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板上に形成され、トレンチにより素子分離され、ソース領域がドレイン領域で挟まれたMOSトランジスタであり、ゲート電極に接続されたメタル層ゲート配線がP型ドリフト層上を通過するように前記トレンチ外に引き出されていることを特徴とする高耐圧LDMOS。
【請求項9】
前記メタル層ゲート配線が、P型ドリフト層上に引き出されていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記メタル層ゲート配線が、かぎ型状、矩形状に前記トレンチ外に引き出されており、最も長いメタル層ゲート配線部分がP型ドリフト層上に引き出されていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項11】
前記MOSトランジスタは、前記ソース領域側に形成された薄膜の熱酸化膜をゲート酸化膜として用いていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート酸化膜の厚さは、100nm以下であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記メタル層ゲート配線が、前記P型ドリフト層上を通過して前記トレンチ外に引き出されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項14】
前記MOSトランジスタは、SOI基板上に形成され、かつ前記トレンチで分離されていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−29466(P2011−29466A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174894(P2009−174894)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】