説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供する。
【解決手段】銅ダマシン配線プロセスのバリアメタル膜のタンタル系積層膜に関し、スパッタリング成膜チャンバ内のシールド内面に、比較的薄い窒化タンタル膜およびタンタル膜が交互に成膜されるが、この連続成膜プロセスを断続的に繰り返すと、膜の内部応力により剥がれて、異物やパーティクルの原因となる。この異物やパーティクルの防止のため、繰り返し、成膜するに際して、所定の間隔を置いて、厚い膜厚を有する異物防止用タンタル膜をチャンバの実質的な内壁に成膜する工程を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるメタルスパッタリング成膜技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開平11−269644号公報(特許文献1)には、メタル膜等のスパッタリング成膜前に、別チャンバで自然酸化膜等を除去するためのスパッタリングエッチをするに際して、同別チャンバの内壁に予めアルミニウム等の応力の小さい金属膜等をスパッタリング成膜しておくことによって、酸化シリコン系パーティクル等の落下を低減する技術が開示されている。
【0003】
日本特開2000−331989号公報(特許文献2)には、酸化シリコン膜のドライエッチング装置において、チャンバ内壁を一様に酸化シリコン膜でカバーすることによって、不均等に付着した酸化シリコン系パーティクル等の落下を低減する技術が開示されている。
【0004】
日本特開平4−286112号公報(特許文献3)には、TiNのスパッタリング成膜装置において、チャンバ内のシールド内面に、予め被処理ウエハに成膜するTiN膜と反対の応力を有するTiN膜を成膜しておくことによって、パーティクル等の落下を低減する技術が開示されている。
【0005】
日本特開2007−311461号公報(特許文献4)には、同一チャンバ内でTi膜およびTiN膜を連続的にスパッタリング成膜するに際して、Ti膜中への残留窒素の影響を低減するため、Ti膜の成膜前に、シャッタ上にTi膜をスパッタリング成膜する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−269644号公報
【特許文献2】特開2000−331989号公報
【特許文献3】特開平4−286112号公報
【特許文献4】特開2007−311461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
銅ダマシン配線プロセスにおいては、バリアメタル膜として、たとえば下層の窒化タンタル膜および上層のタンタル膜からなるタンタル系積層膜が使用される。このタンタル系積層膜の形成は、通常、量産プロセスにおいては、同一のスパッタリング成膜チャンバ内で連続的に行われる。
【0008】
この連続成膜プロセスについて、本願発明者等が検討したところによると、以下のような問題があることが明らかとなった。すなわち、連続成膜プロセスを多数のウエハに対して、断続的に繰り返すと、スパッタリング成膜チャンバ内のシールド内面(実質的なチャンバの内面)に、比較的薄いタンタル膜および窒化タンタル膜が交互に成膜される結果、このウエハ処理時付着膜の厚さが千ナノメートルから数千ナノメートルのオーダとなる。このように、ウエハ処理時付着膜の膜厚(ウエハ処理時付着トータル膜厚)が厚くなると、膜の内部応力により剥がれて、異物やパーティクルの原因となる。異物やパーティクルは、配線不良の原因となる。なお、タンタル膜および窒化タンタル膜は、何れも同一方向の応力(圧縮応力)を有する膜であるため、積層膜の内部応力が増大し、剥がれが生じるものと考えられる。
【0009】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0010】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0011】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0013】
すなわち、本願の一つの発明は、多数のウエハに対して、窒化タンタル膜およびタンタル膜をスパッタリング成膜チャンバ内において、繰り返し、成膜するに際して、所定の間隔を置いて、ウエハに対して一度に形成するタンタル膜厚よりも十分に厚い膜厚を有する異物防止用タンタル膜を前記チャンバの実質的な内壁に成膜する工程を設けるものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0015】
すなわち、多数のウエハに対して、窒化タンタル膜およびタンタル膜をスパッタリング成膜チャンバ内において、繰り返し、成膜するに際して、所定の間隔を置いて、ウエハに対して一度に形成するタンタル膜厚よりも十分に厚い膜厚を有する異物防止用タンタル膜を前記チャンバの実質的な内壁に成膜する工程を設けることにより、ウエハ処理時付着膜の表面を比較的ヤング率の小さい厚膜で被覆することとなるため、異物やパーティクルを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の対象デバイスにおけるアルミニウム系パッド上のパッド開口完成時点でのデバイス断面構造図である。
【図2】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(トレンチ&ビア形成完了時点)である。
【図3】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(Ta形成完了時点)である。
【図4】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅シード形成完了時点)である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅メッキ完了時点)である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(メタルCMP完了時点)である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスに使用するマルチチャンバ型製造装置の上面模式図である。
【図8】図7のマルチチャンバ型製造装置内のタンタルおよび窒化タンタル等のスパッタリングチャンバの模式断面図(ウエハ等への成膜時)である。
【図9】図7のマルチチャンバ型製造装置内のタンタルおよび窒化タンタル等のスパッタリングチャンバの模式断面図(ウエハ等の導入又は排出時)である。
【図10】図8のシールド部拡大領域R1の部分拡大断面図である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを量産に適用した場合の処理手順を説明するためのプロセスブロックフロー図である。
【図12】厚膜金属膜(内壁被覆膜)であるタンタル膜の膜厚とタンタルおよび窒化タンタルのスパッタリング成膜完了製品の平均異物数(ウエハ当たり)をプロットしたデータプロット図である。
【図13】厚膜金属膜(内壁被覆膜)の堆積処理の直前のウエハ処理時付着トータル膜厚(当該内壁被覆膜体積処理と一つ前の内壁被覆膜体積処理間)とタンタルおよび窒化タンタルのスパッタリング成膜完了製品の平均異物数(ウエハ当たり)をプロットしたデータプロット図である。
【図14】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(トレンチ&ビア形成完了時点)である。
【図15】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(Ta形成完了時点)である。
【図16】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(孔底エッチ完了時点)である。
【図17】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(追加Ta膜形成完了時点)である。
【図18】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅シード形成完了時点)である。
【図19】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅メッキ完了時点)である。
【図20】本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(メタルCMP完了時点)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0018】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する窒化タンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有する第1のタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第2の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有する第2のタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程。
【0019】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【0020】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【0021】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【0022】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の膜厚と前記第2の膜厚の和は、5nm以上、30nm未満である。
【0023】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が500nmを超えた後に実行される。
【0024】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、150nm以上、350nm未満である。
【0025】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が800nmを超える以前に実行される。
【0026】
9.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハを第1のチャンバに導入する工程;
(b)前記第1のチャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する窒化タンタル膜を、成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記被処理ウエハを前記第1のチャンバから取り出し、第2のチャンバに導入する工程;
(d)前記第2のチャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有するルテニウム膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(e)前記被処理ウエハを前記第2のチャンバ外に排出する工程;
(f)前記工程(a)から(e)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記第1のチャンバ内において、前記第1のチャンバの内壁に、前記第1の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有するタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(h)前記工程(a)から(g)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程。
【0027】
10.前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【0028】
11.前記9または10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【0029】
12.前記9から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【0030】
13.前記9から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の膜厚は、5nm以上、20nm未満である。
【0031】
14.前記9から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が500nmを超えた後に実行される。
【0032】
15.前記9から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、150nm以上、350nm未満である。
【0033】
16.前記9から15項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が800nmを超える以前に実行される。
【0034】
17.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する第1の金属の窒化物を主要な成分とする第1のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有し、前記第1の金属を主要な成分とする第2のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第2の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有する第1の金属を主要な成分とする内壁被覆膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程、
ここで、前記第1のバリアメタル膜および前記内壁被覆膜は、ともに、圧縮応力を有する。
【0035】
18.前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【0036】
19.前記17または18項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【0037】
20.前記17から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【0038】
21.前記17から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の膜厚と前記第2の膜厚の和は、5nm以上、30nm未満である。
【0039】
22.前記17から21項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が500nmを超えた後に実行される。
【0040】
23.前記17から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、150nm以上、350nm未満である。
【0041】
24.前記17から23項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が800nmを超える以前に実行される。
【0042】
25.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のタンタル膜のヤング率は、前記窒化タンタル膜のそれよりも低い。
【0043】
26.前記9から16項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記タンタル膜のヤング率は、前記窒化タンタル膜のそれよりも低い。
【0044】
27.前記17から24項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記内壁被覆膜のヤング率は、前記第1のバリアメタル膜のそれよりも低い。
【0045】
28.前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のバリアメタル膜は、前記第1のバリアメタル膜および前記内壁被覆膜と同様に、圧縮応力を有する。
【0046】
29.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する第1のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有する第2のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第1の膜厚と前記第2の膜厚のトータル膜厚よりも厚い第3の膜厚を有する内壁被覆膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程、
ここで、前記第1のバリアメタル膜および前記第2のバリアメタル膜は、ともに、圧縮応力を有する膜であって、
前記内壁被覆膜は、前記第1のバリアメタル膜または前記第2のバリアメタル膜の内の一方の膜と同じ膜である。
【0047】
30.前記29項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記内壁被覆膜は、前記第1のバリアメタル膜または前記第2のバリアメタル膜の内、ヤング率が低い方の膜と同じ膜である。
【0048】
〔本願における記載形式基本的用語用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0049】
更に、本願において、「半導体装置」または「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)単体、および、それらを中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。なお、上述したMetalは、金属に限定されるものではなく、導電性を有する材質(例えば、ポリシリコンなど)をも含むものである。
【0050】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリメタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクトホール形成、タングステンプラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナルパッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハレベルパッケージプロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。FEOL工程の内、ゲート電極パターニング工程、コンタクトホール形成工程等は、特に微細な加工が要求される微細加工工程である。一方、BEOL工程においては、ビアおよびトレンチ形成工程、特に、比較的下層のローカル配線(たとえば4層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM3あたりまで、10層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM5あたりまでの微細埋め込み配線)等において、特に微細加工が要求される。なお、「MN(通常N=1から15程度)」で、下から第N層配線を表す。M1は第1層配線であり、M3は第3層配線である。
【0051】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。
【0052】
また、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。これは「銅配線」(銅系配線等も同じ)、「タンタル膜」、「窒化タンタル膜」、「ルテニウム膜」等についても同様である。
【0053】
同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノクラスタリングシリカ(Nano-Clustering Silica:NCS)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0054】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0055】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0056】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0057】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0058】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0059】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0060】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0061】
1.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の対象デバイスにおけるアルミニウム系パッド上のパッド開口完成時点でのデバイス断面構造の説明(主に図1)
図1は本願発明の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法による65nmテクノロジノードのデバイスの断面構造の一例を示すデバイス断面図(パッド開口完成時点)である。図1に基づいて、本願の実施形態の半導体集積回路装置のデバイス構造の概要を説明する。
【0062】
図1に示すように、たとえば、STI(Shallow Trench Isolation)型の素子分離フィールド絶縁膜2で分離されたP型単結晶シリコン基板1のデバイス面上には、PチャネルMOSFETまたはNチャネルMOSFETのゲート電極8が形成されている。それらの上には、エッチストップ膜である窒化シリコンライナー膜4(たとえば約30nm)が形成されている。その上には、窒化シリコンライナー膜4よりもずっと厚く、下層の熱CVD法によるオゾンTEOS酸化シリコン膜(たとえば約200nm)および上層のプラズマTEOS酸化シリコン膜(たとえば約270nm)等からなるプリメタル(Premetal)層間絶縁膜5が形成されている。また、これらのプリメタル絶縁膜を貫通して、タングステンプラグ3が形成されている。
【0063】
その上の第1配線層M1は、下層のSiCN膜(たとえば約50nm)等の絶縁性バリア膜14および主層間絶縁膜であるプラズマシリコン酸化膜15(たとえば約150nm)等およびそれらに形成された配線溝に埋め込まれた銅配線13等から構成されている。
【0064】
その上の第2配線層から第6配線層M2,M3,M4,M5,M6は、相互にほぼ同様の構造をしている。各層は、下層のSiCO膜(たとえば約30nm)/SiCN膜(たとえば約30nm)等からなる複合絶縁性バリア膜(ライナー膜)24、34,44、54,64、および上層のほとんどの領域を占める主層間絶縁膜25,35,45,55,65等から構成されている。この主層間絶縁膜25,35,45,55,65は、下層よりカーボンドープ酸化シリコン膜、すなわち、SiOC膜(たとえば約350nm)とキャップ膜であるプラズマTEOSシリコン酸化膜(たとえば約80nm)等からなる。これらの層間絶縁膜を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線23,33,43,53,63が形成されている。
【0065】
その上の第7配線層から第8配線層M7,M8は、相互にほぼ同様の構造をしている。各層は、下層のSiCN膜(たとえば約70nm)等の絶縁性バリア膜74,84および上層の主層間絶縁膜75,85等から構成されている。この主層間絶縁膜75,85は、下層よりプラズマTEOSシリコン酸化膜(たとえば約250nm)、FSG膜(たとえば約300nm)、およびキャップ膜であるUSG膜(たとえば約200nm)等からなる。これらの層間絶縁膜を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線73,83が形成されている。
【0066】
その上の第9配線層から第10配線層M9,M10は、相互にほぼ同様の構造をしている。各層は下層の層間と上層の層内に分かれている。層間絶縁膜は、下層のSiCN膜(たとえば約70nm)等の絶縁性バリア膜94b,104bおよび上層の主層間絶縁膜等から構成されている。主層間絶縁膜は下層のFSG膜95b,105b(たとえば約800nm)及び上層のキャップ膜であるUSG膜96b,106b(たとえば約100nm)等から構成されている。また、層内絶縁膜は、下層のSiCN膜(たとえば約50nm)等の絶縁性バリア膜94a,104aおよび上層の主層間絶縁膜等から構成されている。主層内絶縁膜は下層のFSG膜95a,105a(たとえば約1200nm)及び上層のキャップ膜であるUSG膜96a,106a(たとえば約100nm)等から構成されている。これらの層間絶縁膜および層内絶縁膜等を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線93,103が形成されている。
【0067】
その上の最上層配線層(パッド層)APは、下層のSiCN膜114(たとえば約100nm)等の絶縁性バリア膜、中間のUSG膜117(たとえば約900nm)等の主層間絶縁膜、および、最外部のプラズマSiN119(たとえば約600nm)等のファイナルパッシベーション膜等から構成されている。また、これらの層間絶縁膜を貫通して、タングステンプラグ113が設けられており、USG膜117上にはアルミニウム系のボンディングパッド118(たとえば約1000nm)が設けられている。このアルミニウム系のボンディングパッド118とタングステンプラグ113には、必要に応じて、下層のチタン接着層151(たとえば約10nm)および上層の窒化チタンバリアメタル層152(たとえば約30nm)が設けられている。また、ボンディングパッド118上には、窒化チタン層153(たとえば約70nm)が形成されており、この膜とプラズマSiN119に開口が形成され、ボンディングパッド開口163となっている。
【0068】
なお、アルミニウム系のボンディングパッド118の代わりに、銅系のボンディングパッドにしてもよい。
【0069】
2.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスの説明(主に図2から図6)
このセクションでは、セクション1の図1の第3配線層M3(銅ダマシン配線層または埋め込み配線層)を例にとり、配線埋め込みプロセスを説明するが、他の銅ダマシン配線層または埋め込み配線層への同様に適用できることは言うまでもない。
【0070】
図2は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(トレンチ&ビア形成完了時点)である。図3は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(Ta形成完了時点)である。図4は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅シード形成完了時点)である。図5は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅メッキ完了時点)である。図6は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(メタルCMP完了時点)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを説明する。
【0071】
まず、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により、絶縁性バリア膜34および主層間絶縁膜35を堆積する。次に、図2に示すように、主層間絶縁膜35および絶縁性バリア膜34に、たとえば、ビアファースト法等により、下層のCu膜23cに達するビアおよびトレンチ11を形成する。ここで、第3配線層M3の下方には、第2配線層M2があり、主層間絶縁膜25内に埋め込まれたTaN膜23a、Ta膜23b、Cu膜23c等を有する。
【0072】
次に、図3に示すように、ウエハの上面1aおよびビアおよびトレンチ11の内面のほぼ全面に、タンタルターゲットを用いた反応性スパッタリング成膜により、たとえば膜厚5nm程度(第1の膜厚)の窒化タンタル膜33a(TaN膜)を形成する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:15キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):600ワット程度、アルゴン流量:5sccm程度、窒素流量:30sccm程度、処理圧力:0.16パスカル程度、処理時間:5秒程度を例示することができる。
【0073】
続いて、窒化タンタル膜33a上に、タンタルターゲットを用いたスパッタリング成膜により、たとえば膜厚10nm程度(第2の膜厚)のタンタル膜33b(Ta膜)を形成する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:15キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):200ワット程度、アルゴン流量:5sccm程度、処理圧力:0.06パスカル程度、処理時間:15秒程度を例示することができる。なお、タンタル膜33bの代わりに、同程度の厚さのルテニウム膜をスパッタリング成膜等(CVD等も可能である。)してもよい。ルテニウム膜は、銅との結晶整合性および密着性に優れている。なお、第1のバリアメタル膜は、銅拡散バリア性を有する(層間絶縁膜との相性がよい膜であることが望ましい)第1の金属の窒化物を主要な成分として含むものであれば、窒化タンタル膜に限定されない。また、第2のバリアメタル膜は、タンタル膜やルテニウム膜に限らず、銅拡散バリア性を有する(銅との相性がよい膜であることが望ましい)前記第1の金属またはその他の金属を主要な成分として含むものであればよい。
【0074】
次に、図4に示すように、銅ターゲットを用いたスパッタリング成膜により、銅シード膜33s(Cu膜)を形成する。
【0075】
次に、図5に示すように、電気メッキにより、ウエハの上面1aを覆い、ビアおよびトレンチ11を埋め込むように、銅膜33c(Cu膜)を形成する。
【0076】
次に、図6に示すように、化学機械研摩等により表面を平坦化して、不要な銅膜33c、タンタル膜33b、窒化タンタル膜33aを除去する。これにより、第3配線層M3が完成する。更に、以上の工程をほぼ同様に繰り返すことにより、図1に示すような多層配線構造を形成する。
【0077】
3.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスに使用する製造装置等の説明(主に図7から図9)
処理経路としては、セクション2(図3)およびセクション5(図15から図17)のTa/TaNバリアメタルプロセスでは、破線で示す経路を使用し、Ru/TaNバリアメタルプロセスでは、一点鎖線で示す経路を使用する。以下に説明するのは、セクション2については、図15から図18までであり、セクション5については、図3から図4までである。
【0078】
図7は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスに使用するマルチチャンバ型製造装置の上面模式図である。図8は図7のマルチチャンバ型製造装置内のタンタルおよび窒化タンタル等のスパッタリングチャンバの模式断面図(ウエハ等への成膜時)である。図9は図7のマルチチャンバ型製造装置内のタンタルおよび窒化タンタル等のスパッタリングチャンバの模式断面図(ウエハ等の導入又は排出時)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスに使用する製造装置の動作等の概要を説明する。
【0079】
まず、図2(セクション5の場合は図14)に示すように、ビアおよびトレンチ11の形成が完了した被処理ウエハ1は、フープ203(気密ウエハ搬送容器)に収容され、マルチチャンバウエハ処理装置201のロードポート202に設置される。被処理ウエハ1は搬送ロボット206によって、ダウンフロー機構205を有する清浄前室204およびロードロック室207を通して、真空搬送室208に搬入される。この真空搬送室208から、被処理ウエハ1はデガスチャンバ209に搬入され、真空ベーク処理(デガス処理)が施される。続いて、被処理ウエハ1は真空搬送室208を介して、前処理チャンバ211に移送され、前処理が施される。ここでの前処理とは下層のCu膜23cの露出する表面に滞在するCuO等の不純物をArイオンを用いた物理的なスパッタエッチやH2ラジカルによる還元反応を用いた除去等の処理をいう。次に、被処理ウエハ1は真空搬送室208を介して、Ta&TaN成膜チャンバ212に移送され、バリアメタル膜のスパッタリング成膜処理(セクション5の場合はスパッタエッチ処理およびタンタル膜の再スパッタ成膜処理を含む)が実行される。次に、被処理ウエハ1は真空搬送室208を介して、銅シード成膜チャンバ214に移送され、銅シード膜33sがスパッタリング成膜によって形成される。なお、Ru/TaNバリアメタルプロセスでは、この前に、被処理ウエハ1は真空搬送室208を介して、ルテニウム成膜チャンバ232に移送され、スパッタリング成膜等によって、ルテニウムバリア膜が形成される。
【0080】
銅シード膜33sが形成されると、被処理ウエハ1は真空搬送室208、ロードロック室207、および清浄前室204を介してフープ203に戻される。その後、メッキ装置へ移送され、そこで、図5(図19)に示すように、銅の電気メッキ処理が施される。
【0081】
次に、図7に示すTa&TaN成膜チャンバ212(またはTaN成膜チャンバ)の構造を説明する。まず、ウエハ上成膜時(または内壁被覆膜形成時)について説明する。図8に示すように、ウエハステージ215(下部電極)上には、被処理ウエハ1またはシャッタディスク216(ウエハ状金属板)が設置されるようになっている。シャッタディスク216は、たとえば、ステンレス製のウエハと同一形状の円板状部材で、被処理ウエハ1を設置しないで、成膜処理を実行する際に、ウエハステージ215への膜形成を防止するために、ウエハステージ215上に設置される。Ta&TaN成膜チャンバの外壁212内部には、それに沿うように、チャンバ外壁212へのスパッタ膜の付着を防止するためのシールド218(主要部はアルミおよびステンレスのほぼ円筒形状の筒状部材で通常接地されている)が設けられている。チャンバ外壁212の上端部には、真空シール部222を介して、上部電極219が設けられており、その下面には、タンタルターゲット221が取り付けられている。上部電極219には、上部電極バイアス用直流電源224が接続されており、上部マグネット223とともに、アルゴンプラズマ228等を励起するのに使用される。一方、下部電極215には下部電極バイアス用高周波電源217(13.56MHz)が接続されており、下部マグネット227とともに、スパッタ粒子がウエハ面内に均一に引き込まれるように作用している。更に、中間的位置にあるのは、スパッタリングエッチ用励起コイル225(コイル状電極)には、スパッタリングエッチ用等高周波&直流電源226が接続されており、これによる高周波電力は、主にスパッタリングエッチ時のウエハ近傍でのアルゴンプラズマ励起に使用されており、直流電力の方は、主に補助的なスパッタ成膜作用に利用されている。
【0082】
次に、ウエハ1またはシャッタディスク216のチャンバ212への導入およびチャンバ212からの排出に関して説明する。図9に示すように、ウエハ1等の挿入、取り出し時には、ウエハステージ215がシールドの一部とともに、ウエハ1等への成膜時よりも下方に降下した状態となる。この状態で、ウエハ1は、ウエハステージ215と真空搬送室208間を(ウエハ導入&取り出しゲート220を介して)移送され、シャッタディスク216の方は、ウエハステージ215とシャッタディスク棚229間を移送されるようになっている。
【0083】
4.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを量産に適用した場合の処理手順等の説明(主に図10から図13)
このセクションでは、セクション2の図3で説明したバリアメタル膜成膜工程について詳しく説明する。
【0084】
図10は図8のシールド部拡大領域R1の部分拡大断面図である。図11は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを量産に適用した場合の処理手順を説明するためのプロセスブロックフロー図である。図12は厚膜金属膜(内壁被覆膜)であるタンタル膜の膜厚とタンタルおよび窒化タンタルのスパッタリング成膜完了製品の平均異物数(ウエハ当たり)をプロットしたデータプロット図である。図13は厚膜金属膜(内壁被覆膜)の堆積処理の直前のウエハ処理時付着トータル膜厚(当該内壁被覆膜体積処理と一つ前の内壁被覆膜体積処理間)とタンタルおよび窒化タンタルのスパッタリング成膜完了製品の平均異物数(ウエハ当たり)をプロットしたデータプロット図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを量産に適用した場合の処理手順等を説明する。
【0085】
異物の発生を低減できる量産におけるバリアメタル成膜等プロセス(セクション2の図3に対応する)が図11のように進行する。すなわち、図8および図9に示すように、被処理ウエハ1(図2のビアおよびトレンチ形成ステップが完了したウエハ)がウエハ導入&取り出しゲート220を通して、Ta&TaN成膜チャンバ212内のウエハステージ215上に、そのデバイス面1aを上に向けた状態で導入および設置される(図11のウエハ導入ステップ301)。
【0086】
次に、そのままの状態で(すなわち、同一チャンバの同一ステージ上での処理を意味する。以下同じ)窒化タンタル膜成膜ステップ302(図11)を実行する。続いて、そのままの状態でタンタル膜成膜ステップ303(図11)を実行する。その後、図9に示すように、被処理ウエハ1をTa&TaN成膜チャンバ212外へ搬出する(図11のウエハ排出ステップ304)。その後、ウエハ1は、銅シード膜形成(図4)のため移送される。
【0087】
なお、セクション5のプロセスの場合は、図11に一点鎖線で示すように、窒化タンタル膜成膜ステップ303とウエハ排出ステップ304の間に、孔底エッチステップ324(図16)およびタンタル膜再成膜ステップ325(図17)が挿入される。
【0088】
このウエハ導入ステップ301からウエハ排出ステップ304が、バリアメタル成膜等プロセスの下位処理リサイクル311を構成する。量産工程においては、この下位処理リサイクル311が繰り返される。そして、図11に示すように、予め定められたタイミングで、シールド218(図8から図10)への厚膜タンタル成膜ステップ305が実行される。この厚膜タンタル成膜ステップ305と下位処理リサイクル311で上位処理リサイクル312を構成している。
【0089】
図10を用いて以上の点を説明する。図10は、上位処理リサイクル312を繰り返した状態の図8のシールド部拡大領域R1の模式的断面拡大図である。シールド218の内面には、量産適用前の初期堆積膜9(初期Ta膜)が、たとえば10000nm程度堆積されている。これは、ターゲット表面の酸化層の除去及び放電安定化の為に設けられる。次に、左に行くと、ウエハ1の繰り返し堆積(窒化タンタル膜およびタンタル膜)の際に、堆積されたプロセス中堆積膜6(ウエハ処理時付着膜)がある。更に、左に行くと、厚膜タンタル成膜ステップ305で堆積された厚膜金属膜7(内壁被覆膜、異物防止用タンタル膜)がある。そして、左に移動するに従って、プロセス中堆積膜6と厚膜金属膜7が交互に繰り返されているのがわかる。
【0090】
ここで、厚膜金属膜7の膜厚、すなわち、厚膜金属膜厚TPは、たとえば300nm程度である。一方、厚膜金属膜7の成膜直前のプロセス中堆積膜6の膜厚、すなわちウエハ処理時付着トータル膜厚TQは、たとえば750nm程度である。
【0091】
すなわち、前記予め定められたタイミングは、たとえば、ウエハ処理時付着トータル膜厚TQが300nm程度ということになる。このシールド218の内面への厚膜タンタル成膜ステップ305は、たとえば、以下のように実行する。図9のように、ウエハ1がステージ215上にない状態で、シャッタディスク棚229からシャッタディスク216(ウエハ状金属板)を図8に示すように、ステージ215上に移動させる。これにより、ステージ215上への不所望なメタルの堆積が防止できる。この状態で、厚膜タンタル成膜ステップ305を実行する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:40キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):オフ状態、アルゴン流量:15sccm程度、処理圧力:0.12パスカル程度、処理時間:140秒程度を例示することができる。
【0092】
次に、厚膜金属膜厚TPおよび厚膜金属膜7の成膜直前のウエハ処理時付着トータル膜厚TQの好適な範囲を図12および図13を用いて考察する。図12(直前のウエハ処理時付着トータル膜厚TQ=750nm)に示すように、厚膜金属膜厚TP(横軸)と窒化タンタル膜およびタンタル膜の成膜完了時点のウエハ当たりの平均異物数(縦軸)の関係から、厚膜金属膜厚TPは、100nm程度以上、望ましくは150nm程度以上が好適な範囲と考えられる。上限は、装置の稼働率の問題であり、常識的に500nm程度未満、望ましくは350nm程度未満が好適な範囲と考えられる。このように、ウエハ上に堆積するタンタル膜よりも十分に厚いタンタル膜(内壁被覆膜、異物防止用タンタル膜)を付けると、異物が減少するのは、窒化タンタル膜よりもタンタル膜の方が、ヤング率が低いので、間に薄いタンタル膜を含み多層に積み重なった窒化タンタル膜内の応力が厚いタンタル膜(内壁被覆膜、異物防止用タンタル膜)内に分散されるためと考えられる。
【0093】
一方、シールドへの厚膜タンタル成膜ステップ305の実行直前のウエハ処理時付着トータル膜厚TQの方は、図13により定めることができる。すなわち、図13にプロットされているように、窒化タンタル膜およびタンタル膜の成膜完了時点のウエハ当たりの平均異物数(縦軸)は、ウエハ処理時付着トータル膜厚TQ(横軸)が600から750nmの辺りから徐々に上昇をはじめ、1000nmの辺りから右側では急激に上昇しているように見える。厚膜タンタル成膜ステップ305は、その実行直前のウエハ処理時付着トータル膜厚TQが、1000nmを越える以前、望ましくは、800nmを越える以前に実行するのが好適である。なお、下限は装置の稼働率の問題であり、常識的に300nm程度以上、望ましくは500nm程度以上が好適な範囲と考えられる。すなわち、厚膜タンタル成膜ステップ305は、その実行直前のウエハ処理時付着トータル膜厚TQが、300nmを超えた以降、望ましくは500nmを超えた以降に実行するのが好適である。
【0094】
通常、ウエハ1に対して1度に成膜する窒化タンタル膜およびタンタル膜の膜厚の和は、5nm以上で30nm未満であり(窒化タンタル膜およびルテニウム膜の膜厚の和は5nm以上で20nm未満であり)、750nmという厚さは、ウエハ処理枚数にして、25枚から150枚程度(25枚を1ロットとすると、1ロットから6ロット)にあたる。
【0095】
5.本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスの説明(主に図14から図20)
このセクションの配線埋め込みプロセスは、基本的にセクション2のものと同様であるが、セクション2の図3(Ta成膜ステップ)と図4(銅シード成膜ステップ)の間に、図16(ビア底スパッタエッチングステップ)および図17(ビア底追加Ta成膜ステップ)の各ステップが挿入されている点が特徴となっている。このような孔底エッチプロセスは、孔底のバリアメタルと下層配線の接触面積が大きいので、SM(Stress Migration)やEM(Electromigration)に起因する不良を防止するのに有効である。また、これらのプロセスは、通常、セクション2のプロセスよりの微細なデバイスに適用する場合が多いので、異物の低減は特に重要である。
【0096】
図14は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(トレンチ&ビア形成完了時点)である。図15は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(Ta形成完了時点)である。図16は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(孔底エッチ完了時点)である。図17は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(追加Ta膜形成完了時点)である。図18は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅シード形成完了時点)である。図19は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(銅メッキ完了時点)である。図20は本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスのデバイス断面フロー図(メタルCMP完了時点)である。これらに基づいて、本願の他の実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における配線埋め込みプロセスを説明する。
【0097】
セクション2と同様に、まず、CVD等により、絶縁性バリア膜34および主層間絶縁膜35を堆積する。次に、図14に示すように、主層間絶縁膜35および絶縁性バリア膜34に、たとえば、ビアファースト法等により、下層のCu膜23cに達するビアおよびトレンチ11を形成する。ここで、第3配線層M3の下方には、第2配線層M2があり、主層間絶縁膜25内に埋め込まれたTaN膜23a、Ta膜23b、Cu膜23c等を有する。
【0098】
次に、図15に示すように、ウエハの上面1aおよびビアおよびトレンチ11の内面のほぼ全面に、タンタルターゲットを用いた反応性スパッタリング成膜により、たとえば膜厚5nm程度の窒化タンタル膜33a(TaN膜)を形成する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:20キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):600ワット程度、アルゴン流量:5sccm程度、窒素流量:30sccm程度、処理圧力:0.16パスカル程度、処理時間:5秒程度を例示することができる。
【0099】
続いて、窒化タンタル膜33a上に、タンタルターゲットを用いたスパッタリング成膜により、たとえば膜厚10nm程度のタンタル膜33b(Ta膜)を形成する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:20キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):200ワット程度、アルゴン流量:5sccm程度、処理圧力:0.06パスカル程度、処理時間:15秒程度を例示することができる。
【0100】
次に、図16に示すように、ビア底のタンタル膜33b、窒化タンタル膜33a、および下層のCu膜23cをスパッタリングエッチする。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:500ワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):500ワット程度、コイル印加直流電力:500ワット程度、コイル印加高周波電力(たとえば2MHz):1000ワット程度、アルゴン流量:10sccm程度、処理圧力:0.15パスカル程度、処理時間:20秒程度を例示することができる。
【0101】
次に、図17に示すように、スパッタリングエッチによってエッチングされた部分へのビア底Ta膜33d(たとえば厚さ5nm程度)の再スパッタリング成膜を実行する。処理条件としては、たとえば、ウエハステージ温度:常温(室温)、上部電極印加直流電力:20キロワット程度、下部電極印加高周波電力(たとえば13.56MHz):200ワット程度、アルゴン流量:5sccm程度、処理圧力:0.06パスカル程度、処理時間:5秒程度を例示することができる。
【0102】
次に、図18に示すように、銅ターゲットを用いたスパッタリング成膜により、銅シード膜33s(Cu膜)を形成する。
【0103】
次に、図19に示すように、電気メッキにより、ウエハの上面1aを覆い、ビアおよびトレンチ11を埋め込むように、銅膜33c(Cu膜)を形成する。
【0104】
次に、図20に示すように、化学機械研摩等により表面を平坦化して、不要な銅膜33c、タンタル膜33b、窒化タンタル膜33aを除去する。これにより、第3配線層M3が完成する。更に、以上の工程をほぼ同様に繰り返すことにより、図1に示すような多層配線構造を形成する。
【0105】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0106】
例えば、前記実施の形態では、銅系ダマシン配線(シングルダマシン及びデュアルダマシン配線)を例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、銅系以外のたとえば、銀系ダマシン配線等にも適用できることは言うまでもない。
【0107】
また、前記実施の形態では、ダマシン配線(埋め込み配線)のバリアメタル膜の成膜を例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、スパッタリング成膜における異物の発生防止に広く適用できることは言うまでもない。
【0108】
更に、厚膜のタンタル膜を異物防止用内壁被覆膜として使用する例を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ウエハに対する成膜プロセス中に不可避的に堆積するプロセス中堆積膜と同一方向の応力を有し、相対的にヤング率が小さい膜であって、ウエハに対する成膜プロセスと同一のターゲットを用いてスパッタリング成膜できる膜であれば、いずれの膜であってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1 半導体基板(P型単結晶シリコン基板またはウエハ)
1a 半導体基板またはウエハの第1の主面(デバイス面)
1b 半導体基板またはウエハの第2の主面(裏面)
2 素子分離フィールド絶縁膜
3 タングステンプラグ
4 窒化シリコンライナー膜
5 プリメタル層間絶縁膜
6 プロセス中堆積膜(ウエハ処理時付着膜)
7 厚膜金属膜または第2のタンタル膜(内壁被覆膜、異物防止用タンタル膜)
8 ゲート電極
9 初期堆積膜(初期Ta膜)
11 ビアおよびトレンチ
12 トレンチ、ビア、およびビア底エッチ部
13 銅配線
14 絶縁性バリア膜
15 プラズマシリコン酸化膜
23 銅埋め込み配線
23a TaN膜
23b Ta膜
23c Cu膜
24 複合絶縁性バリア膜
25 主層間絶縁膜
33 銅埋め込み配線
33a TaN膜(第1のバリアメタル膜)
33b Ta膜(第1のタンタル膜または第2のバリアメタル膜)
33c Cu膜
33d ビア底Ta膜
33s Cuシード層
34 複合絶縁性バリア膜
35 主層間絶縁膜
43 銅埋め込み配線
44 複合絶縁性バリア膜
45 主層間絶縁膜
53 銅埋め込み配線
54 複合絶縁性バリア膜
55 主層間絶縁膜
63 銅埋め込み配線
64 複合絶縁性バリア膜
65 主層間絶縁膜
73 銅埋め込み配線
74 絶縁性バリア膜
75 主層間絶縁膜
83 銅埋め込み配線
84 絶縁性バリア膜
85 主層間絶縁膜
93 銅埋め込み配線
94a、94b 絶縁性バリア膜
95a、95b FSG膜
96a、96b USG膜
101 (パッド下の配線を含む)半導体基板、デバイスチップ、または半導体ウエハ
103 銅埋め込み配線
104a、104b 絶縁性バリア膜
105a、105b FSG膜
106a、106b USG膜
113 タングステンプラグ
114 SiCN膜
117 USG膜
118 ボンディングパッド
119 プラズマSiN(パッド上の無機ファイナルパッシベーション)
151 チタン接着層
152 窒化チタンバリアメタル層
153 窒化チタン層
163 ボンディングパッド開口(ボンディングパッド直上の絶縁膜開口)
201 マルチチャンバウエハ処理装置
202 ロードポート
203 フープ
204 清浄前室
205 ダウンフロー機構
206 搬送ロボット
207 ロードロック室
208 真空搬送室
209 デガスチャンバ
211 洗浄チャンバ
212 第1のチャンバまたはTa&TaN成膜チャンバ(チャンバ外壁)
214 銅シード成膜チャンバ
215 ウエハステージ(下部電極)
216 シャッタディスク(ウエハ状金属板)
217 下部電極バイアス用高周波電源
218 シールド
219 上部電極
220 ウエハ導入&取り出しゲート
221 Taターゲット
222 真空シール部
223 上部マグネット
224 上部電極バイアス用直流電源
225 スパッタリングエッチ用励起コイル(コイル状電極)
226 スパッタリングエッチ用等高周波&直流電源(同時に直流バイアス印加可能)
227 下部マグネット
228 プラズマ
229 シャッタディスク棚
232 ルテニウム成膜チャンバ(第2のチャンバ)
301 ウエハ導入ステップ
302 ウエハへの窒化タンタル成膜ステップ
303 ウエハへのタンタル成膜ステップ
304 ウエハ排出ステップ
305 シールドへの厚膜タンタル成膜ステップ
311 下位処理リサイクル
312 上位処理リサイクル
324 孔底エッチステップ
325 タンタル再成膜ステップ
AP 最上層配線層(パッド層)
M1 第1配線層
M2 第2配線層
M3 第3配線層
M4 第4配線層
M5 第5配線層
M6 第6配線層
M7 第7配線層
M8 第8配線層
M9 第9配線層
M10 第10配線層
R1 シールド部拡大領域
TP 厚膜金属膜厚(第3の膜厚)
TQ 直前のウエハ処理時付着トータル膜厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する窒化タンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有する第1のタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第2の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有する第2のタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【請求項4】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【請求項5】
前記4項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の膜厚と前記第2の膜厚の和は、5nm以上、30nm未満である。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が500nmを超えた後に実行される。
【請求項7】
前記6項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、150nm以上、350nm未満である。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が800nmを超える以前に実行される。
【請求項9】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハを第1のチャンバに導入する工程;
(b)前記第1のチャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する窒化タンタル膜を、成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記被処理ウエハを前記第1のチャンバから取り出し、第2のチャンバに導入する工程;
(d)前記第2のチャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有するルテニウム膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(e)前記被処理ウエハを前記第2のチャンバ外に排出する工程;
(f)前記工程(a)から(e)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(g)前記工程(f)の後、前記第1のチャンバ内において、前記第1のチャンバの内壁に、前記第1の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有するタンタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(h)前記工程(a)から(g)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程。
【請求項10】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【請求項11】
前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【請求項12】
前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【請求項13】
前記12項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の膜厚は、5nm以上、20nm未満である。
【請求項14】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が500nmを超えた後に実行される。
【請求項15】
前記14項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、150nm以上、350nm未満である。
【請求項16】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(g)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が800nmを超える以前に実行される。
【請求項17】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する第1の金属の窒化物を主要な成分とする第1のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有し、前記第1の金属を主要な成分とする第2のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第2の膜厚よりも十分に厚い第3の膜厚を有する第1の金属を主要な成分とする内壁被覆膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程、
ここで、前記第1のバリアメタル膜および前記内壁被覆膜は、ともに、圧縮応力を有する。
【請求項18】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が1000nmを超える以前に実行される。
【請求項19】
前記18項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(f)は、直前のウエハ処理時付着トータル膜厚が300nmを超えた後に実行される。
【請求項20】
前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3の膜厚は、100nm以上、500nm未満である。
【請求項21】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のバリアメタル膜は、前記第1のバリアメタル膜および前記内壁被覆膜と同様に、圧縮応力を有する。
【請求項22】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)被処理ウエハをチャンバに導入する工程;
(b)前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第1の膜厚を有する第1のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記チャンバ内において、前記被処理ウエハに対して、第2の膜厚を有する第2のバリアメタル膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(d)前記被処理ウエハを前記チャンバ外に排出する工程;
(e)前記工程(a)から(d)を含む下位処理サイクルを、先行する下位処理サイクルに属する被処理ウエハと異なる複数の被処理ウエハに対して、順次、実行する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記チャンバ内において、前記チャンバの内壁に、前記第1の膜厚と前記第2の膜厚のトータル膜厚よりも厚い第3の膜厚を有する内壁被覆膜を、スパッタリングにより成膜する工程;
(g)前記工程(a)から(f)を含む上位処理サイクルを繰り返す工程、
ここで、前記第1のバリアメタル膜および前記第2のバリアメタル膜は、ともに、圧縮応力を有する膜であって、
前記内壁被覆膜は、前記第1のバリアメタル膜または前記第2のバリアメタル膜の内の一方の膜と同じ膜である。
【請求項23】
前記22項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記内壁被覆膜は、前記第1のバリアメタル膜または前記第2のバリアメタル膜の内、ヤング率が低い方の膜と同じ膜である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−119330(P2011−119330A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273240(P2009−273240)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】