説明

半導体集積回路

【課題】PLL(Phase Locked Loop)回路を搭載した半導体集積回路において、当該PLL回路の発振安定待ちの時間を有効利用する。
【解決手段】実動作準備期間中に、PLL回路50の帰還ループを遮断した状態で位相比較器51の参照クロック入力部Fpと帰還クロック入力部Frとの双方に基準クロック100を供給して、位相比較器51における位相差の検出不感帯が小さくなるように当該位相比較器51内のリセット信号の遅延を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック生成回路を備えた半導体集積回路に関し、特にPLL(Phase Locked Loop)回路を搭載した半導体集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロプロセッサやマイクロコントローラなどの計算機システムには、高速動作を行うために中央処理装置の一部に外部周波数の逓倍機能を実現するため、逓倍クロック生成回路として機能するPLL回路が設けられている。また、最近のマイクロプロセッサでは、外部バスと半導体集積回路内とのクロックの位相を高精度に保つことが求められる。
【0003】
従来、電源投入後にPLL回路が安定するまでの時間をタイマによって計数し、ある時間までPLL回路から中央処理装置へのクロック供給を停止しておき、タイマがオーバーフローしたら逓倍クロック供給を開始する方法がある。
【0004】
さて、PLL回路中の位相比較器では、入力される2つの信号の位相差と出力される電圧との関係には線形性があることが望ましい。ところが実際には、微小な位相差を検出することができず位相差の不感帯が存在したり、感度が高すぎるために不連続点が存在する場合がある。
【0005】
位相比較器の入出力特性には、リセット回路における遅延時間の長さが大きな影響を及ぼすことが既に判っている。言い換えると、位相比較器の入出力特性を改善するためには、リセット回路における遅延時間の適正化が必要となる。ところが、第1の従来技術に係る位相比較器では、リセット回路が1つの4入力NAND回路により構成されているため遅延時間が適正値よりも短くなり、不感帯を持つ入出力特性を示してしまう(特許文献1参照)。
【0006】
リセット回路の遅延時間を適正化するために既に様々な改良がなされている。第2の従来技術によると、4入力NAND回路を構成するトランジスタのチャネル幅を狭くすることによりリセット信号の出力を遅延させている(特許文献2参照)。また、第3の従来技術によると、リセット信号の出力を遅延させる手段としてコンデンサを複数個使用している(特許文献3参照)。
【特許文献1】米国特許第3,610,954号明細書
【特許文献2】特開昭63−119318号公報
【特許文献3】米国特許第4,378,509号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、第1の従来技術に係る位相比較器では、リセット回路が1つの4入力NAND回路により構成されているため遅延時間が適正値よりも短くなり、不感帯を持つ入出力特性を示してしまう。第2の従来技術の場合、トランジスタのゲート幅がμm以下になった昨今では、チャネル幅のばらつき等による歩留まりの悪化は必至である。また、第3の従来技術の場合、コンデンサがチップ面積を大きくしてしまう。
【0008】
また、チャージポンプ回路にも入出力特性を悪化させる要因がある。電流型チャージポンプ回路を用いた場合、2つの信号に位相差がないにもかかわらず位相比較器の出力電圧が変化してしまうことがある。これは、すなわち、同相のクロックを入力しているにもかかわらず、位相差を誤検出してしまい、高精度なPLL回路が実現できないことになる。
【0009】
また、クロックドライバは、各機能ブロックへゼロスキューの同期したクロックを供給できるように設計されているが、温度依存や、プロセスばらつきなどにより、各チップによっては、スキューばらつきが生じる。
【0010】
また、各機能ブロック内では、ダイナミック回路や、メモリなど、クロック同期で2相のクロックを使用する回路では、レーシングが生じないように事前に遅延をつけ安定動作できるように設計されているが、プロセスばらつきなどにより2相クロックのマージンが削減され、誤動作が起こる。
【0011】
また、低消費電力化のために一連の動作の途中で処理が不必要になったとき、それ以後の動作を止める機能を持つ機能ブロックがあるが、動作周波数、プロセスばらつきによって、動作が完全に止まらず、誤動作を生じる。
【0012】
しかも、これらの課題を解決するための調整回路を設けるにしても、PLL回路が安定するまで待って調整回路の動作を開始していたのでは、時間の無駄である。
【0013】
本発明の目的は、クロック生成回路がシステムクロック信号を供給する前の時間、特にPLL回路の発振安定待ちの時間を有効利用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、基準クロック信号からシステムクロック信号を生成するクロック生成回路を備えた半導体集積回路において、クロック生成回路がシステムクロック信号を供給する前に、基準クロック信号を用いて当該半導体集積回路内の特定回路部分を調整することとしたものである。特にPLL回路を備えた半導体集積回路では、当該PLL回路が安定発振をする前に、基準クロック信号を用いて特定回路部分が調整される。
【0015】
具体的には、PLL回路の帰還ループを遮断した状態で位相比較器の参照クロック入力部と帰還クロック入力部との双方に基準クロック信号を供給して、位相比較器における位相差の検出不感帯が小さくなるように当該位相比較器内のリセット信号の遅延を調整する。
【0016】
PLL回路内の電流型チャージポンプ回路に基準電圧を供給するためのバンドギャップリファレンス回路の場合には、PLL回路の帰還ループを遮断した状態で当該PLL回路内の位相比較器の参照クロック入力部と帰還クロック入力部とのいずれか一方に基準クロック信号を供給して、バンドギャップリファレンス回路が発振を起こさないように当該バンドギャップリファレンス回路の位相補償量を調整する。
【0017】
PLL回路内の電流型チャージポンプ回路の場合には、PLL回路の帰還ループを遮断した状態で当該PLL回路内の位相比較器の参照クロック入力部と帰還クロック入力部とのいずれか一方に基準クロック信号を供給して、電流型チャージポンプ回路の電流駆動能力を調整する。
【0018】
システムクロック信号を複数の機能ブロックへ分配するためのクロック分配回路の場合には、当該クロック分配回路の出力クロックスキューを削減するように当該クロック分配回路内の複数のクロックドライバ間のスキューを調整する。
【0019】
ワード線とセンスアンプとを有するメモリ回路や、互いにシリアルに接続された2段以上のダイナミック回路のような、システムクロック信号に同期して動作するデータ保持回路の場合には、当該データ保持回路の内部動作におけるレーシング調整を行う。
【0020】
キャッシュ回路のような消費電力低減機能を有する機能回路の場合には、基準クロック信号とPLL回路の帰還クロック信号とに基づいて当該PLL回路の周波数引き込み完了後の位相微調整期間に入ったことを検出したとき、当該PLL回路の発振クロック信号の周波数に応じて機能回路内のいずれの部分の動作を停止させるかを調整する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基準クロック信号からシステムクロック信号を生成するクロック生成回路を備えた半導体集積回路において、クロック生成回路がシステムクロック信号を供給する前に、基準クロック信号を用いて当該半導体集積回路内の特定回路部分を調整することとしたので、当該クロック生成回路の準備期間を有効利用しつつ半導体集積回路の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る半導体集積回路の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
〈実施の形態1〉
図1は本発明に係る半導体集積回路の一例であり、PLL回路内蔵の半導体集積回路の構成例を示すブロック図である。図1において、50はPLL回路であり、位相比較器51、ループフィルタ52、電圧制御発振器53、及びプログラマブル分周器54により構成されている。位相比較器51は、FpとFrの入力ポートを持っており、2つのポートに入力される信号の位相を比較する回路であり、基準クロック100がFpに入力されている。位相比較器51の出力51aはループフィルタ52に接続されており、ループフィルタ52の出力52aは電圧制御発振器53に接続され、電圧制御発振器53がその入力電圧を周波数に変換する。電圧制御発振器53から出力されるクロック信号はプログラマブル分周器54に接続される。スイッチ回路55は、帰還制御信号3で制御され、帰還制御信号3が“H”のとき、位相比較器51のFrは、プログラマブル分周器54に接続され、帰還制御信号3が“L”のとき、位相比較器51のFrは、基準クロック信号Fpに接続される。このスイッチ回路55の例では、6、7はN型MOS(Metal Oxide Silicon)トランジスタであり、5、8はP型MOSトランジスタであり、5と6、また7と8でトランスファゲートを構成している。4は、インバータである。また、ループフィルタ52の出力52aは、リセット制御電圧発生回路1に入力され、リセット制御電圧発生回路1は、PLL回路50の動作を可能にするPLLオン(ON)信号56をリセット信号にし、基準クロック100を使用して同期動作し、ループフィルタ出力52aのリップルを検知し、リップルが生じた場合、初期の電圧よりも低い電圧を発生し、これをリセット制御電圧2として出力し、位相比較器51に入力される。また、リップルが検知されない場合、リセット制御電圧2は、初期の電圧よりも高い電圧を発生する。
【0024】
図2は、PLL回路50の位相比較器51の一例であり、30はデジタル位相比較器、40はチャージポンプ回路である。デジタル位相比較器30は、リセット回路31、第1のフリップフロップ32、第2のフリップフロップ33、第1の3入力NAND回路34、第2の3入力NAND回路35、第1のインバータ36、第1の2入力NAND回路37、第2のインバータ38、及び第2の2入力NAND回路39により構成される。基準クロック信号Fpは第1のインバータ36を介して第1のNAND回路37に入力される一方、参照クロック信号Frは第2のインバータ38を介して第2のNAND回路39に入力される。第1のNAND回路37の出力信号は第1のフリップフロップ32及び第1の3入力NAND回路34に入力され、第2のNAND回路39の出力信号は第2のフリップフロップ33及び第2の3入力NAND回路35に入力される。第1のフリップフロップ32の出力信号は第1の3入力NAND回路34に入力され、第2のフリップフロップ33の出力信号は第2の3入力NAND回路35に入力される。リセット回路31は、第1のフリップフロップ32及び第2のフリップフロップ33の出力信号と第1のNAND回路37及び第2のNAND回路39の出力信号とを入力とする4入力NAND回路31aからなり、その出力信号は、トランスファゲート31bのソースに接続され、ドレインが第1のフリップフロップ32及び第2のフリップフロップ33にリセット信号として入力されるとともに第1の3入力NAND回路34及び第2の3入力NAND回路35に入力される。トランスファゲート31bのN型MOSトランジスタのゲートは、図1のリセット制御電圧2に接続されている。トランスファゲート31bのP型MOSトランジスタのゲートは接地されている。リセット制御電圧2の電位が高くなればトランスファゲート31bの出力はより早く変化し、リセット制御電圧2の電位が低くなればトランスファゲート31bの出力はより遅く変化する。
【0025】
第1の3入力NAND回路34からは、通常は“H”であり、基準クロック信号Fpの位相が参照クロック信号Frより進んでいる間“L”となる第1の位相差検出信号Puが出力される。第2の3入力NAND回路35からは、通常は“H”であり、基準クロック信号Fpの位相が参照クロック信号Frより遅れている間“L”となる第2の位相差検出信号Pdが出力される。チャージポンプ回路40は、P型MOSトランジスタ41、N型MOSトランジスタ42及びインバータ43により構成される。P型MOSトランジスタ41のソースは電源に接続されており、ドレインはN型MOSトランジスタ42のドレインと接続されている。また、N型MOSトランジスタ42のソースは接地されている。P型MOSトランジスタ41のゲートには第1の3入力NAND回路34から出力される第1の位相差検出信号Puが入力される一方、N型MOSトランジスタ42のゲートには第2の3入力NAND回路35から出力される第2の位相差検出信号Pdがインバータ43により反転されて入力される。P型MOSトランジスタ41のドレイン(N型MOSトランジスタ42のドレイン)が、出力端子51aに接続されている。
【0026】
第1の位相差検出信号Puが“L”のとき、P型MOSトランジスタ41が導通状態となるのでP型MOSトランジスタ41のドレインの電位(出力51aの電位)は上昇する。また、第2の位相差検出信号Pdが“L”のとき、インバータ43の出力信号が“H”となりN型MOSトランジスタ42が導通状態となるのでN型MOSトランジスタ42のドレインの電位(出力51aの電位)は低下する。すなわち、出力51aの電位は、基準クロック信号Fpの位相が参照クロック信号Frよりも進んでいるときは上昇し、遅れているときは低下することになる。
【0027】
リセット制御電圧発生回路1の一例を図3に示す。リセット制御電圧発生回路1は、ループフィルタ出力52aのリップルを検出するリップル検知回路210と、リップル検知回路210でリップルが検出されたときに、加算される加算(incremental)カウンタ230と、リップル検知回路210でリップルが検出されないときに、加算される加算カウンタ240と、基準クロック100のクロック3周期内にリップルが検出されない状態が、最初と3番目にあり、2番目のみリップルが検出された状態になったとき、帰還制御信号3を“H”にし、かつ、リップル検知回路210、加算カウンタ230,240のクロックをオフするリップル除去完了回路220と、加算カウンタ230が加算されれば、リセット制御電圧2を下げ、加算カウンタ240が加算されれば、リセット制御電圧2を上げるリセット制御電圧出力回路250とからなる。
【0028】
リップル検知回路210は、P型MOSトランジスタ211,212,213と、N型MOSトランジスタ214と、クロック218が“L”の期間中にデータを保持するラッチ回路219とからなり、リップル除去完了回路220により生成されたクロック229でダイナミック回路として動作する。電圧216の電位は、所望の電圧値にP型MOSトランジスタ211,212で生成されている。電圧216の電位よりもN型MOSトランジスタ214のしきい値だけ高い電圧がループフィルタ52から生成されると、リップル検知回路210の出力信号215は、“H”から“L”に変化する。リップルが検出されないときは、出力信号215は“H”のままである。
【0029】
加算カウンタ230,240は、EXOR回路(イクスクルーシブオア回路:入力が不一致のときに出力が“H”となる回路)232,236,242,245と、AND回路233,237,241,244とからなる半加算器(HA)と、リセット付きフリップフロップ234,235,243,246とで構成されている。図3中の259は、下位HA232,233とリセット付きフリップフロップ234とで構成された1ビット加算レジスタを表しており、インバータ231を介してリップル検知回路210の出力215を受け取る。フリップフロップ234,235,243,246のクロックは、リップル除去完了回路220から生成されたクロック218が入力され、リセットは、PLLON信号56が入力される。
【0030】
リップル除去完了回路220は、リセット付きフリップフロップ221,222と、EXOR回路223,227と、3入力AND回路224と、インバータ226と、AND回路225と、バッファ228とからなり、フリップフロップ221のデータ入力は、リップル検知回路210の出力信号215であり、フリップフロップ222のデータ入力は、221のQ出力である。フリップフロップ221,222の出力はEXOR回路223に入力され、フリップフロップ221の出力とリップル検知回路210の出力信号215は、EXOR回路227に入力される。EXOR回路223,227の出力とリップル検知回路210の出力信号215とは3入力AND回路224に入力され、3入力AND回路224の出力は、インバータ226に入力され、かつ帰還制御信号3に接続される。インバータ226の出力と基準クロック100は、AND回路225に入力され、AND回路225の出力は、クロック229に使用され、かつバッファ228に接続される。バッファ228の出力は、クロック218に使用される。フリップフロップ221,222のクロックはクロック218を使用し、リセットはPLLON信号56を使用する。
【0031】
リセット制御電圧出力回路250は、P型MOSトランジスタ256,255,254の並列接続と、N型MOSトランジスタ251,252,253の並列接続とで構成されている。P型MOSトランジスタ256,255,254及び、N型MOSトランジスタ251,252,253のゲート長は、4倍、2倍、1倍の構成をとり、256のゲートはフリップフロップ234の出力238に接続され、255のゲートはフリップフロップ235の出力239に接続されており、251のゲートは、フリップフロップ243の出力をインバータ247で反転させた出力信号249に接続され、252のゲートは、フリップフロップ246の出力をインバータ248で反転させた出力信号257に接続されている。
【0032】
図4は、図1、図2及び図3の各信号のタイミングチャートである。図4は、横軸が時間であり、縦軸は帰還制御信号3、位相比較器51の2つの入力ポートFp,Fr、ループフィルタ52の出力52a、リップル検知回路出力215、クロック(clockb)218、2ビットのレジスタ内状態221,222、加算カウンタ230を構成するフリップフロップ234,235の内部状態、加算カウンタ240を構成するフリップフロップ243,246の内部状態を2進法で表現したもの、リセット制御電圧2である。
【0033】
図4を用いて本実施の形態1を構成する図1、図2及び図3の動作の説明を行う。PLL回路50は、電源投入前、PLLON信号56が“L”であり、リセット制御電圧発生回路1内のフリップフロップ221,222,234,235,243,246内の値は“L”である。電源投入後、PLLON信号56が“H”となり、最初、帰還制御信号3が“L”のとき、帰還ループは切られており、位相比較器51のFrには、Fpと同相で同周期の基準クロック100が入力される。本来、同相のクロックが位相比較器51に入力された場合、ループフィルタ出力52aには、リップルが生じないのが理想である。しかし、この例の場合、位相比較器51のリセット遅延時間が、プロセスばらつきなどで、所望の時間より早かった場合を考える。基準クロック100の第1周期目、ループフィルタ出力52aにリップルが生じる。すると、リップル検知回路210の出力信号215は、“L”となり、加算カウンタ230の下位HAに“H”が入力され、フリップフロップ234,235の内部状態は、01となる。これにより、リセット制御電圧出力回路250のP型MOSトランジスタ256のゲートは、“H”となり、P型MOSトランジスタ256は、カットオフされる。P型MOSトランジスタ256,255、254は並列に接続されているので、オン抵抗は高くなり、リセット制御電圧2の電位を下げる。これが図2のトランスファゲート31bのゲート電極に伝達され、その遅延が増える。その結果、基準クロック100の第2周期目、デジタル位相比較器30のリセット出力は遅延が大きくなる。第2周期目では、まだ、ループフィルタ52の出力にリップルが生じており、リセット制御電圧出力回路250は、リセット制御電圧2の電位を更に下げる。更に、デジタル位相比較器30のリセット出力は遅延が大きくなり、第3周期目では、ループフィルタ52の出力にリップルがなくなっている。リップルがなくなった時点でリセット制御電圧発生回路1の加算レジスタ240に“H”が入力される。そして、リセット制御電圧発生回路1は、リセット制御電圧2の電位を上げる。第4周期目では、デジタル位相比較器30のリセット出力は、遅延が第3周期目より小さくなり、再びリップルが生じる。デジタル位相比較器30のリセット出力は遅延が大きくなり、第5周期目では、ループフィルタ52の出力にリップルがなくなっている。リップルがなくなった時点でリセット制御電圧発生回路1のリップル除去完了回路220のAND回路224の出力、すなわち帰還制御信号3は“H”となる。内部クロック229は停止し、リセット制御電圧2の電位を保持する。そして、第6周期目では、PLL回路50は、スイッチ回路55によって帰還ループを接続し、通常のPLL発振安定状態まで動作させる。これによって、デジタル位相比較器30のデバイスの初期ばらつき、温度変動に対して、高精度な位相比較が実現可能となる。
【0034】
なお、図2において、3入力NAND回路34,35のスイッチング電圧のばらつきによりPu,Pdが同時に出力される可能性があるが、トランスファゲート31bと3入力NAND回路34,35との間にバッファを入れて出力波形を急峻にすることで緩和することも可能である。また、望ましくは3入力NAND回路34とP型MOSトランジスタ41との間の遅延時間と、3入力NAND回路35とN型MOSトランジスタ42との間の遅延時間はトランジスタサイズの調整やバッファの追加により均一となるよう構成した方がよい。図2中のトランスファゲート31bにおいて、N型MOSトランジスタのゲート電圧だけでなく、P型MOSトランジスタのゲート電圧をも制御することとしてもよい。
【0035】
図2に示したデジタル位相比較器30は一例であり、リセット機能を持つシーケンシャルロジックで構成される位相比較器であれば、どのようなタイプでも、同様の手法でリセット遅延を可変にできる。
【0036】
〈実施の形態2〉
図5は本発明に係る半導体集積回路の一例である。図5の半導体集積回路は、PLL回路500、基準電圧回路600に更に、PLL回路500のチャージポンプ回路の出力をリップル検知回路900に接続し、リップル検知回路900の出力は、リップルが検知されると加算される2ビットの加算カウンタ910に接続され、この加算カウンタ910の出力バスは、制御入力eが“H”のとき、En626にそれぞれ容量920,921が接続され、“L”のとき、遮断されるスイッチ回路930の制御信号に接続されている。これら容量920と921は、基準電圧回路600内の容量630の値Cの1/4,1/2に設定されている。リップル検知回路900は、実施の形態1で説明した回路210であり、加算カウンタ910も同様である。
【0037】
図6は、本発明に係るPLL回路500の一例である。図6において、500はPLL回路であり、位相比較器51、ループフィルタ52、電圧制御発振器53、及びプログラマブル分周器54により構成されている。位相比較器51の出力はループフィルタ52に接続されており、ループフィルタ52の出力52aは電圧制御発振器53に接続され、電圧制御発振器53はその入力電圧を周波数に変換する。電圧制御発振器53から出力されるクロック信号はプログラマブル分周器54に接続される。スイッチ回路55は、帰還制御信号3で制御され、帰還制御信号3が“H”のとき、位相比較器51のFrはプログラマブル分周器54に接続され、帰還制御信号3が“L”のとき、位相比較器51のFrは切り替え回路510に接続される。切り替え回路510は、入力切換制御信号540によって、入力切換制御信号540が“H”のときのみに基準クロック100を位相比較器51のFrに入力し、“L”のとき、位相比較器51のFrを接地に固定する。この切り替え回路510の例では、515、518はN型MOSトランジスタであり、516、517はP型MOSトランジスタであり、515と516、また517と518でトランスファゲートを構成している。514は、インバータである。一方、位相比較器51の基準クロックFpは、切り替え回路501に接続されている。切り替え回路501は、入力切換制御信号540によって、入力切換制御信号540が“L”のときのみに基準クロック100を位相比較器51のFpに入力し、“H”のとき、位相比較器51のFpを接地に固定する。この切り替え回路501の例では、505、508はN型MOSトランジスタであり、506、507はP型MOSトランジスタであり、505と506、また507と508でトランスファゲートを構成している。504は、インバータである。また、図6では、位相比較器51をデジタル位相比較器30と電流型チャージポンプ回路520とに分離している。電流型チャージポンプ回路520は、P型MOSトランジスタ521,523、N型MOSトランジスタ524,522、インバータ525によって構成され、P型MOSトランジスタ521は、ソースが電源に接続され、ゲートが基準電圧回路600の出力端子Ep651に接続され、ドレインは、P型MOSトランジスタ523のソースに接続されている。また、P型MOSトランジスタ523のゲートは、デジタル位相比較器30のPuに接続されている。N型MOSトランジスタ522は、ソースが接地に接続され、ゲートが基準電圧回路600の出力端子En626に接続され、ドレインは、N型MOSトランジスタ524のソースに接続されている。また、N型MOSトランジスタ524のゲートは、デジタル位相比較器30のPdにインバータ525を介して接続されている。P型MOSトランジスタ523とN型MOSトランジスタ524のドレイン同士が接続され、チャージポンプ出力(電流モニタ)526、ループフィルタ52に接続されている。電流型チャージポンプ回路520は、En626、Ep651に所望の電圧を基準電圧回路600から得ることにより、ループフィルタ52に、Puが“L”のとき、電流をチャージし、Pdが“L”のとき、電流をディスチャージする機能を持つ。
【0038】
図7に、図5で使用されている基準電圧回路600を示す。基準電圧回路600は、バンドギャップ生成回路610と、オペアンプ620と、P型MOSトランジスタ650と、N型MOSトランジスタ640と、容量630とからなる。バンドギャップ生成回路610は、P型MOSトランジスタ619、抵抗素子612,613,614、ダイオード615,616からなり、抵抗素子612,613は同じ値の抵抗であり、ここではRオームの値を持つ。また、抵抗素子614は、rオームの値を持つ。ダイオード616は、n個のダイオードの並列接続からなり、各ダイオードはダイオード615と同等である。
【0039】
オペアンプ620は、P型MOSトランジスタ625,624,623と、N型MOSトランジスタ621,622からなる。基準電圧回路600は、負帰還回路であり、オペアンプ620で、ノード617と618の電圧を比較し、同電位になるように、P型MOSトランジスタ619に流れる電流を調整する。つまり、617の電圧をV2、613の電流をI2、618の電圧をV1、612の電流をI1とすると、
V1=V2 …(1)
I1・R=I2・R …(2)
I1=I2 …(3)
I1=Is・(exp(V1/(n・Vt))−1) …(4)
が成り立つ。ここで、
Vt=kT/q …(5)
I2=12・Is・(exp(Vd/(n・Vt))−1) …(6)
であり、qは電子の電荷量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。抵抗614とダイオード616との接点の電圧をVdとすると、
V1=r・I2+Vd …(7)
n・Vt・log(I1/Is+1)=R・I1+n・Vt・log(I1/(12・Is)+1) …(8)
である。したがって、
I1/Is>>1より
n・Vt・(log(I1/Is)−log(I1/(12・Is)))=R・I1 …(9)
(n・Vt・log12)/R=I1 …(10)
が成り立つ。つまり、I1は、kT/qに比例し、Rの温度特性に反比例する。容量630は、基準電圧回路600の負帰還の位相補償をするためにある。
【0040】
図8は、図5中のスイッチ回路930の構成例を示している。
【0041】
図9は、図6、図7の動作を説明するタイミングチャートであり、横軸は、時間であり、縦軸は、帰還制御信号3、入力切換信号540、デジタル位相比較器30のFpとFr、チャージポンプ出力526それぞれの電圧値と、チャージポンプ出力526の電流値である。PLL回路500が動作する前に帰還制御信号3は、“L”にし、帰還ループを遮断する。そして、入力切換制御信号540を“L”にすることにより、デジタル位相比較器30のFpは基準クロック100が入力され、Frは“L”に固定される。クロック3周期までは、電流型チャージポンプ回路520の出力電圧が上昇し、常に電流を供給する。この電流又は電圧をモニタすることにより、位相比較器51及び基準電圧回路600が正常に動作しているかを検出することができる。
【0042】
具体的には、基準電圧回路600の容量630が適正な容量でなく小さく製造され、この基準電圧回路600の帰還系のループに位相余裕度がなく、この基準電圧回路600が発振している場合、En626、Ep651の電圧は常に振幅している。このとき、電流型チャージポンプ回路520は、電圧振幅に応じた電流を供給する。この場合、チャージポンプ出力526の電圧をモニタすると、リップルが発生している。このリップルをリップル検知回路900で検知し、加算カウンタ910でカウントし、リップルが発生しないように容量を増やすことにより、基準電圧回路600は、安定動作する。上記の例では、容量630が適正な値でないと仮定したが、基準電圧回路600が発振している場合、いずれも上記構成の回路で、発振から安定動作へ実現可能である。
【0043】
〈実施の形態3〉
図10は本発明に係る半導体集積回路の一例である。図10のPLL回路800は、図6とほぼ同じであるが、電流型チャージポンプ回路801の部分のみが異なる。図10の電流型チャージポンプ回路801は、図6の電流型チャージポンプ回路520とほぼ同じであるが、P型MOSトランジスタ807,802の接続点804にP型MOSトランジスタ806,805のドレインが接続されている。P型MOSトランジスタ806,805は、それぞれゲート長がP型MOSトランジスタ807の2倍、4倍のサイズであり、各々のゲートは、2ビットのレジスタ回路出力バス840の各々のビット信号808,809で制御され、“H”のときEp651に接続、“L”のとき、電源に接続されるスイッチ回路820に接続されている。また、N型MOSトランジスタ803,812の接続点810にN型MOSトランジスタ813,814のドレインが接続されている。N型MOSトランジスタ813,814は、それぞれゲート長がN型MOSトランジスタ812の2倍、4倍のサイズであり、各々のゲートは、2ビットのレジスタ回路出力バス850の各々のビット信号815,816で制御され、“H”のときEn626に接続され、“L”のとき、接地に接続されるスイッチ回路830に接続されている。レジスタ回路出力バス840,850の各々のビットは、チャージポンプ出力811から、電圧微分回路860、オペアンプ861,863及び加算カウンタ862,864により生成される。Vref1は上限電圧、Vref2は下限電圧である。ただし、チャージポンプ出力811からレジスタ回路出力バス840,850の各々のビットの生成を、当該半導体集積回路の外部に設けたテスタで行うこととしてもよい。
【0044】
図11は図10中のスイッチ回路820の構成例を、図12は図10中のスイッチ回路830の構成例をそれぞれ示している。
【0045】
図13は、図10の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は、時間であり、縦軸は、帰還制御信号3、入力切換信号540、デジタル位相比較器30のFpとFr、チャージポンプ出力811それぞれの電圧値と、チャージポンプ出力811の電流値である。図13では、電流型チャージポンプ回路の電流源である、P型MOSトランジスタ807の特性が劣化した場合を考える。PLL回路が動作する前に帰還制御信号3を“L”にし、帰還ループを遮断する。そして、入力切換制御信号540を“L”にすることにより、デジタル位相比較器30のFpは、基準クロック100が入力され、Frは“L”に固定される。クロック3周期までは、電流型チャージポンプ回路801の電圧811は上昇し、常に電流を供給する。ただし、1周期目では電流型チャージポンプ回路801の電流値が適正な電流値より少ない。そこで、レジスタ出力840をシフトさせ、00を01にすることにより、第2周期目では、この電流型チャージポンプ回路801の電流値が適正な値となる。また、第4周期目では、入力切換制御信号540を“H”にすることにより、デジタル位相比較器30のFrは、基準クロック100が入力され、Fpは“L”に固定される。電流型チャージポンプ回路801の電圧811は減少し、常に電流をディスチャージする。第4周期目で既に適正な電流値となっているため、レジスタ出力850は、そのまま00を維持している。このように、このチャージポンプ電流をモニタし、加算カウンタ862,864によりチャージポンプ回路の電流源を調節することによって適正な電流値を得ることができ、プロセスばらつきなどの微妙な電流ばらつきを削減することが可能である。なお、本例は、P型MOSトランジスタのみ説明したが、N型MOSトランジスタの劣化、すなわちディスチャージにおいても同様な手法でよい。
【0046】
〈実施の形態4〉
図14は本発明に係る半導体集積回路の一例を示す。400は、本発明に係る半導体集積回路である。480は、クロック分配回路であり、バイパス制御信号473でPLL回路50へ入力される基準クロック100と、PLL回路50から逓倍されたクロックとを切り替えるスイッチ回路420に接続されている。クロック分配回路480は、機能ブロックA、B及びCへクロック線430,431,432でクロックを分配する。各クロック線431,432のドライバ485a,485bは、各々制御レジスタ回路490の出力バス441,442,443,444でドライバの強度を増減する機能を持っており、各々のクロック線430,431,432は、立ち上がりエッジを検出する位相比較器410に接続されており、一方の位相比較器460は、クロック線430,431の位相差を検出して、一方の制御レジスタ回路440へアップ信号461及びダウン信号462を供給する。他方の位相比較器470は、クロック線431,432の位相差を検出して、他方の制御レジスタ回路450へアップ信号471及びダウン信号472を供給する。463は、一方の制御レジスタ回路440から他方の制御レジスタ回路450に与えられる比較完了信号である。
【0047】
図15は、位相比較器410の一例であり、入力ポートFp,Fr、インバータ411,412、2入力NAND回路413,414,415,416、出力ポートUp,Dnで構成されている。Fpから基準クロックが入力され、インバータ411とNAND回路413に入力される。また、NAND回路413は、インバータ411の出力も入力される。Frから比較対象クロックが入力され、インバータ412とNAND回路414に入力される。また、NAND回路414は、インバータ412の出力も入力される。2入力NAND回路415,416はR−Sラッチ回路になっており、各NAND回路413,414の出力の立ち下がりエッジを検出し、Fpの立ち上がりエッジより、Frの立ち上がりエッジが遅れている場合、Up出力がその位相差遅延分、“H”になる。また、Fpの立ち上がりエッジより、Frの立ち上がりエッジが進んでいる場合、Dn出力がその位相差遅延分、“L”になる。
【0048】
図16は、スイッチ回路420の一例であり、制御信号ポートeと、2入力ポートi1,i2と、出力ポートoと、インバータ424と、P型MOSトランジスタ425,428と、N型MOSトランジスタ426,427とからなり、e入力ポートが“H”のとき、i2がoに出力され、“L”のとき、i1がoに出力される。
【0049】
図17は、制御レジスタ回路490の一例である。制御レジスタ回路490は、比較完了検出回路300と、加算レジスタ493,494と、入力ポートR,CK,Up,Dnと、出力ポートEo,Uo,Doとからなる。入力ポートRのリセット信号492は、比較完了検出回路300と加算レジスタ493,494の入力ポートRとに接続され、入力ポートCKは、比較完了検出回路300に入力され、入力ポートUpは、ダイナミック回路499を介し、加算レジスタ493のinと、比較完了検出回路300の入力ポートDinに入力される。入力ポートDnは、インバータ487とダイナミック回路488を介し、加算レジスタ494のinと比較完了検出回路300の入力ポートDin2とに接続される。ダイナミック回路488において、485はN型MOSトランジスタ、486はP型MOSトランジスタである。出力ポートEoは、比較完了検出回路300のout1に接続され、出力ポートUoは、加算レジスタ493の出力ポートO1,O2に接続され、出力ポートDoは、加算レジスタ494の出力ポートO1,O2に接続されている。加算レジスタ493,494は、HAとリセット付きフリップフロップとからなる1ビットの加算レジスタ496をシリアルに接続された構成となっており、1ビットの加算レジスタ496は、入力ポートin,CK,Rと、出力ポートO2,O1とを持つ。CKにはクロック491が入力され、Rにはリセット信号492が入力される。出力ポートO1は、フリップフロップの出力であり、O2は、キャリー信号である。
【0050】
比較完了検出回路300は、実施の形態1で示したリップル除去完了回路220とよく似た回路であり、図18に一例を示す。図18の比較完了検出回路300は、リセット付きフリップフロップ303,304,305,306、EXOR回路312,313、4入力AND回路311、AND回路314,318、OR回路315、インバータ317等からなる。制御レジスタ回路490の入力信号である、Up信号とDn信号が基準クロックの2周期以内で状態が変化しないか、又は3周期以内にUp信号とDn信号が互い違いに変化したとき、比較完了信号(Eo)をout1から出力し、制御レジスタ回路490の内部で使用されるクロック(clocka,clockb)489,491を停止させ、それぞれの加算レジスタ493,494の内容を保持する。
【0051】
図19は、図14、図15、図17を説明するタイミングチャートであり、横軸は、時間であり、縦軸は各々の信号の電圧値であり、バイパス制御信号473、基準クロック100、機能ブロックAへの供給クロック信号線430、機能ブロックBへの供給クロック信号線431、機能ブロックCへの供給クロック信号線432、位相比較器460の出力ポートUp,Dn、位相比較器470の出力ポートUp,Dn、制御レジスタ回路440の出力バス、制御レジスタ回路450の出力バスの信号線である。この例では、機能ブロックBへの供給クロック信号線431の立ち上がりエッジが、機能ブロックAの供給クロック信号線430の立ち上がりエッジより遅く、更に、機能ブロックCへの供給クロック信号線432の立ち上がりエッジが、機能ブロックBの供給クロック信号線431の立ち上がりエッジより遅い例を示している。最初、PLL回路が安定動作を始めるとき、PLLON信号56が“L”から“H”になり、各制御レジスタ回路440,450のリセット信号は解除される。バイパス制御信号473は“L”であり、PLL回路50は内部で帰還ループ制御を行い安定動作の準備を始めている。
【0052】
基準クロック100は、クロック分配回路480に供給され、クロック信号線430,431のクロックの位相差を位相比較器460が検出する。第1周期目では、430より431のクロックの立ち上がりエッジが遅いので、位相比較器460のUp出力が“H”となる。これにより、制御レジスタ回路440の加算レジスタ493の1ビット目Uo[0]が“H”となり、クロック線431のドライバ485aを強化する。第2周期目では、クロック線430,431の位相差がなくなり、位相比較器460のUp出力は“L”のままとなり、Dn出力は“H”のままとなり、第3周期でも、同様にクロック線430,431の位相差がなく、位相差のなくなったクロック分配が可能となる。そして、制御レジスタ回路440は比較完了信号463を出力し、制御レジスタ回路450のリセットが解除される。次に、位相比較器470で、クロック線432,431の位相差を比較し始める。第4周期目では、位相比較器470のUp出力が“H”となる。これにより、制御レジスタ回路450の加算レジスタ493の1ビット目Uo[0]が“H”となり、クロック線432のドライバ485bを強化する。第5周期目では、位相比較器470のDn出力が“L”となり、制御レジスタ回路450の加算レジスタ494の1ビット目Do[0]が“H”となり(不図示)、クロック線432のドライバ485bの能力を減少させる。第6周期目では、位相比較器470のUp出力が再び“H”となる。クロック線432,431の位相差はこれ以上縮められないため、制御レジスタ回路450は比較完了信号463を出力し、第7周期目にバイパス制御信号473が“H”となり、PLL回路50の出力信号がクロック分配回路480から各機能ブロックへ供給される。
【0053】
このように、PLL回路50が安定動作をする前に事前に、クロック分配回路480のクロックドライバ485a,485bの強度を調整することにより、各機能ブロックへのクロックスキューが削減可能になり、半導体集積回路400のクロック位相を高精度に調整することが可能となる。
【0054】
〈実施の形態5〉
図20は本発明に係る半導体集積回路の一例である。基準クロック100で動作するPLL回路50と、PLL回路50の出力に接続されたクロック供給回路60と、バイパス制御信号703で基準クロック100とクロック供給回路60の出力とを切り替えるスイッチ回路420と、スイッチ回路420の出力で同期するSRAM(Static Random Access Memory)回路700を備えている。SRAM回路700は、入力ポートにアドレス741、出力ポートにSRAMデータ出力763とバイパス制御信号703とを持つ。また、SRAM回路700は、アドレス741に応じてアドレス信号線742を駆動するアドレス駆動回路740、メモリセルアレイ730とロウデコーダアレイ720からなるメモリアクセス回路710、メモリセルアレイ730のそれぞれのビット線対711をプリチャージするプリチャージアレイ、ビット線対711の電圧を増幅するセンスアンプアレイ760、センスアンプアレイ760の出力761と基準電圧とを比較する比較器770、比較器770の出力771の状態を基準クロック100で同期して格納する加減算(incremental/decremental)レジスタ750、加減算レジスタ750の出力状態で、センスアンプアレイ760の活性化信号781の遅延時間を制御するセンスアンプ活性化信号生成回路780からなっている。スイッチ回路420の出力は、バッファ701及びバッファ出力信号線702を介してメモリアクセス回路710に与えられるとともに、センスアンプ活性化信号生成回路780を介してセンスアンプアレイ760に与えられる。782、783、784、785は各々センスアンプ活性化信号生成回路780における遅延回路(インバータ)である。センスアンプアレイ760の出力762は、出力回路アレイを介してSRAMデータ出力763となる。
【0055】
図21は、メモリアクセス回路710の一例である。メモリアクセス回路710は、ダミーメモリセル731をN列持つダミーメモリセルアレイと、バイパス制御信号703が不活性化されているときは、クロックに同期して、ダミーワード線723を常時活性化するロウデコーダ721(図22)と、N列M行のメモリセル732からなるメモリセルアレイ730と、バイパス制御信号703が活性化されているときは、クロックに同期して、アドレス741の状態でそれぞれのワード線724を活性化するロウデコーダ722(図23)をM個持っている。図22及び図23において、725はAND回路、726はデコード回路、727はインバータである。
【0056】
ダミーメモリセル731は、図24に示したような回路であり、ワード線(WD)723が活性化するとビット線対(BL,BLB)712にメモリセル内のビット情報“0”を伝達する機能を持っている。
【0057】
通常のメモリセル732は、図25に示したような回路であり、ワード線(WD)724が活性化するとビット線対(BL,BLB)712にメモリセル内のビット情報を伝達する機能を持っている。
【0058】
図26は、センスアンプアレイ760の1ビット分を構成するセンスアンプ回路764である。図26のセンスアンプ回路764は、N型MOSトランジスタ746,747,779と、P型MOSトランジスタ765,766,777,778と、センスアンプ出力線749とを有している。
【0059】
図27は、比較器770の一例であり、センスアンプアレイ760から、ダミーメモリセルアレイの1列目、N/2列目、N列目に接続されたセンスアンプ回路764の出力oと接地信号(期待値)とをEXOR回路772,773,774で比較し、3入力AND回路775にEXOR回路772,773,774の出力を入力し、クロック758に同期動作するラッチ219から比較器出力信号771を得る。
【0060】
図28は、加減算レジスタ750の一例である。加減算レジスタ750は、インバータ741と、位相比較完了回路200と、2ビット構成の加減算レジスタ回路743と、入力ポートR,CK,Upと、出力ポートEo,Uoとからなる。入力ポートRのリセット信号759は、位相比較完了回路200と加減算レジスタ回路743の入力ポートRとに接続され、入力ポートCKは、位相比較完了回路200に入力され、比較器出力信号771を受け取る入力ポートUpは、加減算レジスタ回路743のinと、位相比較完了回路200のDinとに入力される。位相比較完了回路200の出力クロック(clockb)758は、加減算レジスタ回路743のクロック入力ポートに接続される。1ビット論理回路753は、AND回路756,754と、インバータ742とから構成される。752は、1ビット構成の加減算レジスタ回路であり、1ビット論理回路753と、リセット付きフリップフロップ757とから構成される。743は2ビット構成の加減算レジスタ回路であり、752がシリアルに接続されており、出力バスUo751は、ここでは、下位ビットを反転したものと、上位ビットとで構成されている。
【0061】
図29は図20を説明するタイミングチャートである。横軸は、時間であり、縦軸は、それぞれの信号の電圧値であり、それぞれの信号は、バイパス制御信号703、基準クロック100、ダミーワード線723、ビット線対711、比較器出力771、センスアンプ活性化信号781、加減算レジスタ750の出力バス751である。PLL回路50が動作を始める信号、つまりPLLON信号56が“H”になると、加減算レジスタ750内のフリップフロップ757のリセットは解除される。最初、バイパス制御信号703は“L”であるので、基準クロック100がSRAM回路700に直接接続される。そして、ダミーワード線723が立ち上がり、ダミーメモリセル731のビット線対712にダミーメモリセル731の内部ビット情報“0”が伝達され、ビット線対711の電圧に差が生じる、また、センスアンプ活性化信号781が活性化される。比較器770でその比較を行い、この例では、第1周期目で比較結果が異なるため、加算され、加減算レジスタ750の出力バス751は、01を出力する。これにより、センスアンプ活性化信号781のドライバの遅延が加算され、第2周期目で正常動作が可能となる。
【0062】
第3周期目でも正常動作が行われ、位相比較完了回路200から、バイパス制御信号703が“H”になり、加減算レジスタ750の内部内容は保持され、クロック供給回路60からのクロックがSRAM回路700に供給される。
【0063】
上記のように、センスアンプ活性化信号781とワード線とのレーシングエラーをPLL回路50が安定動作する前に除去することができ、高精度なSRAM回路700及び半導体集積回路が可能となる。
【0064】
〈実施の形態6〉
図30は、本発明に係る半導体集積回路の一例である。図30のデータ保持回路70は、2段のダイナミック回路92,93がシリアルに接続されてなる回路81と、バイパス制御信号90で基準クロック100とクロック供給回路60の出力とを切り替えるスイッチ回路420とを備えている。1段目のダイナミック回路92は、N型MOSトランジスタ71,72,73,74と、P型MOSトランジスタ75とからなり、スイッチ回路420からクロック85を与えられる。バイパス制御信号90が不活性化されているときは、1段目のダイナミック回路92において、クロック85に同期してN型MOSトランジスタ74がオン・オフし、N型MOSトランジスタ71,72,73が常時オフしている。バイパス制御信号90が活性化されているときは、それぞれ、N型MOSトランジスタ71,72,73のゲートは通常のデータ線87,88,89に接続される。1段目のダイナミック回路92の出力ノード94に接続された2段目のダイナミック回路93は、N型MOSトランジスタ77,78と、P型MOSトランジスタ76と、インバータ79とからなり、遅延調整回路84からクロック91を与えられる。2段目のダイナミック回路93の出力82は比較器80にて期待値と比較され、クロック758に同期して動作するラッチ219に保持された比較器出力83が制御レジスタ(加減算レジスタ)750へ供給される。そして、この制御レジスタ750の出力バス86により、2段目のダイナミック回路93に与えられるクロック91については、遅延調整回路84中のドライバの強度を増大できるようになっている。
【0065】
図31は、図30を説明するタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は各々の信号の電圧値であり、バイパス制御信号90、基準クロック100、初段のダイナミック回路のクロック信号85、2段目のダイナミック回路のクロック信号91、ダイナミック回路出力信号82、比較器の出力信号83、加減算レジスタ750の出力86である。PLLON信号56が“H”になると、加減算レジスタ750は、リセットが解除される。そして、バイパス制御信号90が“L”であるので、1段目のダイナミック回路のクロック85は、直接基準クロック100に接続されている。また、バイパス制御信号90が“L”であるので、N型MOSトランジスタ74はオン・オフし、N型MOSトランジスタ71,72,73はオフする。第1周期目のクロックでは、ダイナミック回路出力82は、“H”を出力している。本来ならば、“L”であるべきである。比較回路80は“H”を出力し、レジスタ出力86は、01から10に変化する。これにより、第2のダイナミック回路のクロック91の遅延が増大する。第2周期では、ダイナミック回路出力82が“L”になり、通常の動作が可能となる。そして、第3周期目では、またミスをし、第4周期目でヒットする。そして、加減算レジスタ750は、バイパス制御信号90を“H”にし、レジスタ内部情報を保持し、ダイナミック回路81は、クロック供給回路60の出力に直接接続される。
【0066】
以上のようにして、1段目のダイナミック回路92の出力ノード94の電位が確定した後に2段目のダイナミック回路93が活性化されるように、クロック91の遅延を調整するのである。これにより、シリアル接続されたダイナミック回路81の2相クロックのレーシングエラーが、PLL回路が安定するまでに除去でき、高精度な半導体集積回路が実現可能となる。
【0067】
なお、上記実施の形態4〜6において、PLL回路50に代えて他の種類のクロック生成回路を採用する場合には、当該クロック生成回路がシステムクロック信号を供給する前に、基準クロック100を用いて各実施形態中の対応部分の調整が実行される。
【0068】
〈実施の形態7〉
図32は、本発明に係る半導体集積回路の一例である。1000は半導体集積回路である。1010は、ブロックリセット信号が解除されると、クロックで同期するキャッシュ回路であり、タグ部1020とデータ部1040からなる。タグ部1020は、SRAM回路1025と比較回路1030からなり、下位アドレスで、タグ内の上位アドレスを格納しているSRAM回路1025から上位アドレスを読み出し、外部ブロックからきた上位アドレスとを比較回路1030で比較する。データ部1040は、下位アドレスで内部メモリ内をアクセスし、タグ部1020のヒット信号1031を受け、ヒット信号1031がヒットを示すときに、データを出力したり、書き込む機能を持っている。また、データ部1040は、センスアンプ、出力回路を備えており、センスアンプの活性化信号1043と出力活性化信号1044にヒット信号1031を受けて動作するか、常時クロックに同期して動作するかをレジスタ信号1052によって制御する回路1041を持っている。また、半導体集積回路1000は、ブロックリセット信号が解除されると、クロック61で同期する機能ブロックCを備えており、内部のキャッシュのデータ部1040からの出力データをクロック61で取り込み、期待値と比較する比較回路1060を備えている。比較回路1060は、クロック1周期の内部内容を保持する機能も持っている。制御レジスタ1050は、クロック62で同期し、位相微調整期間伝達信号1071で内部レジスタのリセットを解除し、内部レジスタは、インクリメンタルカウンタになっており、比較回路1060の出力信号1061が“L”のとき、クロックに同期して動作し、“H”になると停止する。そして、停止信号(Eo)1051を出力する。
【0069】
また半導体集積回路1000は、PLL回路50が引き込み期間から、位相微調整期間になった時点で、位相微調整期間になった状態を伝達する機能を持つ位相微調整期間伝達回路1070を持っている。図33は位相微調整期間伝達回路1070の一例であり、基準クロックで同期する4分周器1072と、4ビットの加算レジスタ及びOR回路1073と、フリップフロップ1074とからなり、加算レジスタ回路1073の上位2ビットのどちらかが“H”のとき、1071に“H”を出力することによって、位相微調整期間になったことを伝達する回路である。なお、加算レジスタ回路1073を構成する各ビットの加算レジスタ259は、各々図3中に示した内部構成を持つ。
【0070】
位相微調整期間伝達信号1071は、データ部1040内の制御レジスタ1050のリセットを解除する。また、キャッシュ回路1010は、ブロックリセット信号が“L”で、位相微調整期間伝達信号1071が“H”のときのみ、ダミーのメモリセルをアクセスし、比較回路1030は、毎サイクルごとにヒットし、データ部1040では、ダミーメモリセルのアクセスと読み出しが、毎サイクル行われる。ダミーメモリセルについては、前述した図24のような機能をもった回路である。
【0071】
図34は、図32中のスイッチ回路1042の構成例を示している。
【0072】
図35は、図32を説明するタイミングチャートである。横軸は、時間であり、縦軸は、各々の信号線の電圧である。各々の信号線は、ブロックリセット信号、位相微調整期間伝達信号1071、PLL帰還信号Fr、タグヒット信号1031、キャッシュデータ部ダミーワード線723、センスアンプ活性化信号1043、出力活性化信号1044、比較回路出力信号1061である。PLL回路50が立ち上がり、発振安定するまでは、ブロックリセット信号は“L”であり、各機能ブロックのデータアクセスは行われても、無効である。PLL回路50が位相微調整期間になると位相微調整期間伝達信号1071が“H”になり、キャッシュ回路1010に供給される。
【0073】
比較回路1060は、常時、クロック61に同期し、タグ部1020のメモリアクセス分遅延したクロックを出力する。
【0074】
データ部1040のダミーワード線723は、位相微調整期間のみ常時動作する。第1周期目のレジスタ出力1052は、センスアンプ活性化信号1043がタグヒット信号1031によって動作し、出力活性化信号1044は、クロック62のみが同期して動作する。この例では、比較回路1060はミスし、タグヒット信号1031によって生成されるセンスアンプ活性化信号1043では、正常なデータを出力することが不可能であることを検知する。そして第2周期では、制御レジスタ1050の出力を01から10に変化させる。
【0075】
センスアンプ活性化信号1043はクロック61に同期し、出力活性化信号1044がタグヒット信号1031を受けて動作する。しかし、第3周期目で比較回路1060がヒットし、今度は、タグヒット信号1031によって生成される出力活性化信号1044で正常なデータを出力することが可能であることを検知する。そして、制御レジスタ1050はその内容を保持する。
【0076】
以上のようにして、通常動作時にタグ部1020がキャッシュミスを示すときにデータ部1040内のセンスアンプ又は出力回路のいずれの動作を停止させるかを、PLL回路50の発振クロック周波数が確定した時点で当該周波数に応じて決定するのである。具体的には、クロック周波数が低い場合にはセンスアンプの動作を止めることとし、高い場合にはセンスアンプの動作を許して出力回路の動作を止めることとする。これにより、クロックの周波数、デバイス条件、温度依存に応じて、低消費電力化のため、無効なデータをクロックの1サイクルの途中で停止させる際、最適な論理部で停止することができる。すなわち、効率的に低消費電力化できる半導体集積回路を実現できる。
【0077】
なお、上記各実施形態において、基準クロック100は、当該半導体集積回路の内部発振回路から供給されてもよいし、当該半導体集積回路の外部から供給されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図2】図1中の位相比較器の構成を示す回路図である。
【図3】図1中のリセット制御電圧回路の構成を示す回路図である。
【図4】図1の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図6】図5中のPLL回路の構成を示す回路図である。
【図7】図5中の基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図8】図5中のスイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図9】図5の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図11】図10中のスイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図12】図10中の他のスイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図13】図10の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図15】図14中の位相比較器の構成を示す回路図である。
【図16】図14中のスイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図17】図14中のレジスタ制御回路の構成を示すブロック図である。
【図18】図17中のリップル検知完了回路の構成を示す回路図である。
【図19】図14の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図21】図20中のメモリアクセス回路の構成を示すブロック図である。
【図22】図21中のダミーロウデコーダの構成を示す回路図である。
【図23】図21中のノーマルロウデコーダの構成を示す回路図である。
【図24】図21中のダミーメモリセルの構成を示す回路図である。
【図25】図21中のノーマルメモリセルの構成を示す回路図である。
【図26】図20中のセンスアンプアレイの単位構成を示す回路図である。
【図27】図20中の比較器の構成を示す回路図である。
【図28】図20中の加減算レジスタの構成を示すブロック図である。
【図29】図20の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図30】本発明の第6の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図31】図30の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図32】本発明の第7の実施形態に係る半導体集積回路のブロック図である。
【図33】図32中の位相微調整期間検出回路の構成を示す回路図である。
【図34】図32中のスイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図35】図32の半導体集積回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 リセット制御電圧発生回路
30 デジタル位相比較器
31 リセット回路
31a 4入力NAND回路
31b トランスファゲート
40,520,801 チャージポンプ回路
50,500,800 PLL回路
51 位相比較器
55,501,510 スイッチ回路
70 データ保持回路
81 ダイナミック回路
480 クロック分配回路
600 基準電圧回路(バンドギャップリファレンス回路)
700 SRAM回路(メモリ回路)
760 センスアンプアレイ
1010 キャッシュ回路(機能回路)
1020 タグ部
1040 データ部
1070 位相微調整期間検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック信号からシステムクロック信号を生成するクロック生成回路を備えた半導体集積回路であって、
前記クロック生成回路は、
前記基準クロック信号が入力される第1の入力部と、第2の入力部とを有する位相比較器と、
前記位相比較器を介して出力されたフィードバック信号と、前記基準クロック信号及び制御信号が入力されるスイッチ回路とを備え、
前記スイッチ回路は前記制御信号による制御に応じて、前記フィードバック信号及び前記基準クロック信号のいずれかを前記位相比較器に出力し、前記位相比較器の前記第2の入力部には前記位相比較器から出力された前記フィードバック信号及び前記基準クロック信号のいずれかが入力され、前記第1の入力部及び前記第2の入力部から入力された信号に基づいて出力信号を生成することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路において、
前記クロック生成回路は、
前記位相比較器を介して出力される信号が入力されるループフィルタと、
前記ループフィルタを介して出力される信号が入力される電圧制御発振器とを更に備え、
前記フォードバック信号は前記電圧制御発振器を介して出力される信号であることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路において、
前記スイッチ回路は、前記システムクロック信号が安定発振されるまで、前記基準クロック信号を前記位相比較器に出力することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路において、
前記スイッチ回路が前記フィードバック信号を前記位相比較器に出力している間に、特定の回路部分を調整することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記特定の回路部分は前記位相比較器であり、
前記位相比較器における位相差の検出不感帯が小さくなるように前記位相比較器内のリセット信号の遅延を調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項5記載の半導体集積回路において、
前記位相比較器は前記リセット信号を伝達するためのトランスファゲートを備え、前記トランスファゲートのゲート電圧がリセット制御電圧に応じて調整されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記クロック生成回路は、前記位相比較器から出力される信号が入力される電流型チャージポンプ回路を備え、
前記特定回路部分は、前記電流型チャージポンプ回路に基準電圧を供給するためのバンドギャップリファレンス回路であり、
前記バンドギャップリファレンス回路が発振を起こさないように当該バンドギャップリファレンス回路の位相補償量を調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記クロック生成回路は、前記位相比較器から出力される信号が入力される電流型チャージポンプ回路を備え、
前記特定回路部分は前記電流型チャージポンプ回路であり、
前記電流型チャージポンプ回路の電流駆動能力を調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記特定回路部分は、前記システムクロック信号を複数の機能ブロックへ分配するためのクロック分配回路であり、
前記クロック分配回路の出力クロックスキューを削減するように当該クロック分配回路内の複数のクロックドライバ間のスキューを調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記特定回路部分は、前記システムクロック信号に同期して動作するデータ保持回路であり、
前記データ保持回路の内部動作におけるレーシング調整を行う機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10記載の半導体集積回路において、
前記データ保持回路は、ワード線とセンスアンプとを有するメモリ回路であって、前記メモリ回路で読み出しエラーが生じないように前記ワード線の活性化に対する前記センスアンプの活性化タイミングを調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10記載の半導体集積回路において、
前記データ保持回路は、互いにシリアルに接続された第1及び第2のダイナミック回路と、前記第1のダイナミック回路の入力クロック信号を遅延させて前記第2のダイナミック回路へ供給するための遅延回路とを有し、
前記基準クロック信号を前記第1のダイナミック回路及び前記遅延回路へバイパスして、前記第1のダイナミック回路の出力変化に対する前記第2のダイナミック回路の活性化タイミングを最適化するように前記遅延回路の遅延量を調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項13】
請求項4記載の半導体集積回路において、
前記特定回路部分は、発振クロック信号に同期して動作する機能回路であり、
前記機能回路の消費電力を低減するために、前記PLL回路の発振クロック信号の周波数に応じて、前記機能回路内のいずれの部分の動作を停止させるかを調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項14】
請求項13記載の半導体集積回路において、
前記機能回路は、タグ部とデータ部とを有するキャッシュ回路であり、
前記タグ部がキャッシュミスを示すときに前記データ部内のセンスアンプ又は出力回路のいずれの動作を停止させるかを調整する機能を有することを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2008−54323(P2008−54323A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218055(P2007−218055)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【分割の表示】特願2003−151943(P2003−151943)の分割
【原出願日】平成15年5月29日(2003.5.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】