説明

基板の製造装置及び製造方法

【課題】基板を洗浄する処理液の使用量を低減可能な基板の製造装置及び製造方法を提供すること。
【解決手段】基板100の製造装置1は、基板100を処理液で洗浄することで、基板100のSi層102に形成された酸化膜105の一部を除去する予備洗浄処理手段13と、予備洗浄処理手段13による基板100の洗浄で残存した酸化膜105を除去する本洗浄処理手段14と、本洗浄処理手段14に未使用の処理液を供給するとともに、本洗浄処理手段14で使用された処理液を予備洗浄処理手段13に供給する供給手段19と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の洗浄を行う基板の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体装置等に用いられる基板(半導体ウェハ)として、例えばシリコンウェハやガラス基板上にSi薄膜等のSi層が形成されたものが知られている。また、このような基板は、半導体装置だけでなく、液晶パネルや薄膜シリコン型太陽電池等にも使用されている。
【0003】
基板は、Si層が外気に曝されると、Si層の表面に酸化膜が形成される。また、基板は、パーティクルや金属不純物等の汚染物質がその表面に付着(吸着)し、基板の信頼性や歩留まりの低下となる。
【0004】
このため、基板の表面から酸化膜や汚染物質を除去する工程として、その表面を希フッ酸(HF)等により洗浄する洗浄工程が、基板の製造方法に設けられている。このような基板の洗浄として、例えば、搬送手段によりローディングされた基板にシャワーやアクアナイフを用いてHFを噴射し、基板表面の酸化膜及び汚染物質を除去する。その後、リンス液で、基板表面のHFを除去するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
基板表面の酸化膜や汚染物質を除去したHFは、除去した酸化膜や汚染物質等のイオンが含有することで汚染される。このため、汚染したHFを用いて基板表面を洗浄すると、洗浄後の基板表面(Si層)にイオンが付着する等、基板を汚染する虞があり、基板の信頼性の低下等となる。このため、基板の洗浄には、新品のHFが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した基板の製造装置及び製造方法では、以下の問題があった。即ち、上述した基板の洗浄には、新品のHF等の処理液が大量に必要である。また、これら処理液は、基板の面積が大になると、それに伴って洗浄に使用する処理液も増大する。
【0008】
しかし、新品の処理液を用いると、材料コストが高く、また、使用した処理液の処分(廃棄)する場合には、大量の処理液の排液を廃棄するため、廃棄コストが高い。即ち、基板の製造コストが高くなる。また、使用する処理液が増大すると、排液量も多くなることから、処理液の廃棄コストだけでなく、環境負荷も大きくなる、という問題がある。
【0009】
そこで本発明は、基板を洗浄する処理液の使用量を低減可能な基板の製造装置及び製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の基板の製造装置及び製造方法は、次のように構成されている。
【0011】
本発明の一態様として、前記基板が有するSi層に形成された酸化膜を処理液で除去する基板の製造装置であって、少なくとも前記基板の前記Si層を前記処理液で洗浄し、前記酸化膜の一部を除去する予備洗浄処理手段と、前記予備洗浄処理手段の二次側に設けられ、前記基板を前記処理液で洗浄し、前記予備洗浄処理手段で残存した前記酸化膜を除去する本洗浄処理手段と、未使用の前記処理液を前記本洗浄処理手段に供給するとともに、前記本洗浄処理手段で洗浄に用いられた前記処理液を前記予備洗浄処理手段に供給する供給手段と、を備えることを特徴とする基板の製造装置が提供される。
【0012】
本発明の一態様として、基板が有するSi層に形成された酸化膜を処理液で除去する基板の製造方法であって、前記基板を前記処理液で洗浄する予備洗浄処理手段により少なくとも前記基板の前記Si層を洗浄し、前記酸化膜の一部を除去する工程と、前記基板を前記処理液で洗浄する本洗浄処理手段により前記基板を洗浄し、前記予備洗浄処理手段での洗浄で残存した前記酸化膜を除去する工程と、未使用の前記処理液を前記本洗浄処理手段に供給する工程と、前記本洗浄処理手段で前記基板の洗浄に用いられた前記処理液を前記予備洗浄処理手段に供給する工程と、を備えることを特徴とする基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の洗浄に用いる処理液の使用量を低減し、製造コストを低減することが可能な基板の製造装置及び製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板の製造装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同基板の一例を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板100の製造装置1を、図1,2を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る製造装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は同製造装置1により処理される基板100の一例を示す説明図、である。なお、図1中、Dは搬送手段18による基板100の搬送方向を、Fは洗浄液の流れをそれぞれ示している。
【0016】
基板100の製造装置1は、例えば、液晶ディスプレイの製造装置の一である。製造装置1は、液晶ディスプレイの製造方法の工程の一である基板100の酸化膜105及び基板100の汚染物質を除去する洗浄処理が可能に形成されている。
【0017】
図1に示すように、製造装置1は、ローディング手段11と、プリウェット手段12と、予備洗浄処理手段13と、本洗浄処理手段14と、リンス処理手段15と、乾燥処理手段16と、アンローディング手段17と、を備えている。
【0018】
なお、基板100は、例えば液晶ディスプレイに用いられる半導体ウェハである。なお、基板100は、例えば半導体デバイスや太陽電池等の他の装置に用いられる基板であってもよい。また、基板100は、図2に示すように、例えば、ガラス基板101と、ガラス基板101上にプラズマCVD法等で成形されたSi薄膜であるSi層102と、を備えている。なお、Si層102は、外気に曝されることで、その表面に、酸化膜105が形成される。また、このSi層102は、例えば、ポリシリコンやアモルファスシリコン等のSi系の薄膜である。
【0019】
製造装置1は、ローディング手段11から各処理手段12〜16を介してアンローディング手段17まで、順次基板100を搬送させる搬送手段18を備えている。また、製造装置1は、処理液を供給する供給手段19を備えている。
【0020】
ローディング手段11は、所謂ローダー装置であって、例えば、マガジンラック内に収納された複数の基板100を自動的に搬送手段18へ1枚ずつ送出可能に形成されている。なお、ローディング手段11による搬送手段18への基板100の送出において、ローディング手段11は、搬送手段18の上面に基板100のSi層102が上向きとなるようにローダー可能に形成されている。なお、ローディング手段11は、他の構成であってもよい。
【0021】
プリウェット手段12は、噴射手段21と、第1液切手段22と、第1処理槽23と、を備えている。プリウェット手段12は、第1処理槽23内に搬送手段18が挿通され、この搬送手段18による基板100の搬送方向Dに沿って噴射手段21及び第1液切手段22が順次配置される。また、プリウェット手段12は、搬送方向Dに対して、ローディング手段11の二次側であって、予備洗浄処理手段13の一次側に配置される。
【0022】
噴射手段21は、搬送手段18により搬送された基板100に処理水、ここでは例えばオゾン水を噴射可能に形成されている。噴射手段21は、搬送手段18に搬送された基板100の少なくともSi層102にオゾン水を噴射可能に形成されている。具体的には、噴射手段21は、オゾン水を噴射するシャワーであって、Si層102の表面を濡らすとともに、汚染物質を除去する予備洗浄が可能に形成されている。また、噴射手段21は、オゾン水を供給する供給手段に接続されている。なお、噴射手段21は、予備洗浄を行わずに、純水等でSi層102の表面を濡らす構成であってもよい。
【0023】
第1液切手段22は、少なくともSi層102に付着するオゾン水を少なくとも液切可能に形成されている。具体的には、第1液切手段22は、搬送手段18により搬送された基板100のガラス基板101及びSi層102の表面のオゾン水を除去する液切用のエアカーテンである。このエアカーテンは、搬送手段18を挟んで2箇所に設けられ、基板100のガラス基板101及びSi層102へとそれぞれエアを噴射可能に一対設けられている。
【0024】
第1液切手段22は、基板100の搬送方向Dに対して、噴射手段21の二次側に配置されている。第1液切手段22は、Si層102のオゾン水を完全に除去しない。即ち、第1液切手段22は、Si層102の表面を完全に乾かさず、Si層102の表面が若干濡れた湿潤状態を維持可能に形成されている。
【0025】
第1処理槽23は、噴射手段21により噴射されたオゾン水及び液切手段22により基板100から除去されたオゾン水を、第1処理槽23外への漏洩を防止可能に形成されている。また、第1処理槽23は、その内部に挿通させた搬送手段18により、ローディング手段11(一次側)から搬送された基板100を予備洗浄処理手段13(二次側)へ通過させることが可能に形成されている。
【0026】
予備洗浄処理手段13は、第1予備洗浄処理手段31と、第2予備洗浄処理手段32と、第2処理槽33と、第2液切手段34と、を備えている。予備洗浄処理手段13は、第2処理槽33内に、搬送手段18が挿通され、搬送手段18の搬送方向Dに沿って第1予備洗浄処理手段31、第2予備洗浄処理手段32及び第2液切手段34が順次配置される。また、予備洗浄処理手段13は、搬送方向Dに対して、本洗浄処理手段14の一次側に配置される。
【0027】
第1予備洗浄処理手段31は、基板100の一方の主面を洗浄する複数の第1シャワー35と、基板100の他方の主面を洗浄する複数の第2シャワー36と、を備えている。なお、第1予備洗浄処理手段31は、第1シャワー35及び第2シャワー36が供給手段19に接続されている。
【0028】
第1シャワー35は、基板100のSi層102の表面、具体的にはSi層102の酸化膜105に供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。第2シャワー36は、基板100のガラス基板101の表面に、供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。
【0029】
第2予備洗浄処理手段32は、第1予備洗浄処理手段31の二次側に配置されている。第2予備洗浄処理手段32は、基板100の一方の主面を洗浄する複数の第3シャワー37と、基板100の他方の主面を洗浄する複数の第4シャワー38と、を備えている。なお、第2予備洗浄処理手段32は、第3シャワー37及び第4シャワー38が供給手段19に接続されている。
【0030】
第3シャワー37は、Si層102の表面、具体的にはSi層102の酸化膜105に供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。第4シャワー38は、ガラス基板101の表面に、供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。
【0031】
第2処理槽33は、第1〜第4シャワー35〜38を収納可能に形成されている。また、第2処理槽33は、第1予備洗浄処理手段31と第2予備洗浄処理手段32とを仕切る仕切壁39を有している。
【0032】
仕切壁39は、例えば、第2処理槽33を2つの処理室に区画するとともに、搬送手段18を挿通可能に形成されている。仕切壁39は、第1、第2シャワー35,36から噴射される処理液が第2予備洗浄処理手段32へ、第3、第4シャワー37,38から噴射される処理液が第1予備洗浄処理手段31へ、それぞれ飛散することを防止可能に形成されている。
【0033】
なお、第2処理槽33は、第1、第2シャワー35、36から噴射された処理液が、第3、第4シャワー37、38から噴射された処理液と混合しなければ、仕切壁39を有さなくてもよい。また、第2処理槽33は、仕切壁39で区切るのではなく、第1予備洗浄処理手段31及び第2予備洗浄処理手段32にそれぞれ処理槽を設ける構成であってもよい。
【0034】
第2液切手段34は、搬送手段18により搬送された基板100に付着した処理液を除去する液切用のエアカーテンである。第2液切手段34は、第3、4シャワー37、38の二次側に配置されている。なお、第2液切手段34は、基板100の表面から完全に処理液を除去せずに、基板100の表面に若干処理液が付着した状態に液切可能であればよい。
【0035】
本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41と、第5シャワー42と、第3液切手段43と、第3処理槽44と、を備えている。本洗浄処理手段14は、第3処理槽44内に搬送手段18が挿通され、搬送手段18を挟んでアクアナイフ41及び第5シャワー42が配置される。また、本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41及び第5シャワー42の二次側に、第3液切手段43が配置される。本洗浄処理手段14は、予備洗浄処理手段13の二次側であって、リンス処理手段15の一次側に配置される。本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41及び第5シャワー42に供給手段19が接続されている。
【0036】
アクアナイフ41は、基板100の一方の主面を洗浄可能に形成されている。アクアナイフ41は、Si層102の表面、具体的には、Si層102の表面に残存する酸化膜105に供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。また、アクアナイフ41は、少なくとも、搬送方向D及び搬送方向Dとは反対方向の2方向から基板100に処理液を噴射可能に、第3処理槽44に2箇所設けられている。
【0037】
第5シャワー42は、基板100の他方の主面を洗浄可能に形成されている。第5シャワー42は、基板100のガラス基板101の表面に、供給手段19から供給された処理液を噴射可能に形成されている。なお、第5シャワー42は、複数設けられ、搬送される基板100のガラス基板101に、第3液切手段43まで、処理液を噴射可能に形成されている。
【0038】
第3液切手段43は、搬送手段18により搬送された基板100に付着した処理液を除去する液切用のエアカーテンである。第3液切手段43は、アクアナイフ41及び第5シャワー42の二次側に配置されている。なお、第3液切手段43は、基板100の表面から完全に処理液を除去せずに、基板100の表面に若干処理液が付着した状態に液切可能であればよい。
【0039】
第3処理槽44は、アクアナイフ41及び第5シャワー42をその内部に収納可能に形成されている。また、第3処理槽44は、搬送手段18の一部がその内部に挿通可能に形成されている。
【0040】
リンス処理手段15は、リンスシャワー46と、第4処理槽47と、を備えている。リンス処理手段15は、第4処理槽47内に搬送手段18が挿通され、搬送手段18を挟んで複数のリンスシャワー46が配置される。また、リンス処理手段15は、本洗浄処理手段14の二次側であって、乾燥処理手段16の一次側に配置される。
【0041】
リンスシャワー46は、搬送手段18により搬送された基板100に、リンス液を噴射可能に形成されている。具体的には、リンスシャワー46は、基板100の一方の主面と他方の主面、即ち、基板100の全面にリンス液を噴射可能に複数設けられている。リンスシャワー46は、リンス液供給手段(不図示)に接続され、このリンス液供給手段からリンス液が所定量供給されることで基板100にリンス液を噴射可能に形成されている。
【0042】
第4処理槽47は、複数のリンスシャワー46を収納可能に形成されている。また、第4処理槽47は、搬送手段18の一部がその内部に挿通可能に形成されている。
【0043】
乾燥処理手段16は、供給ノズル51と、エアナイフ52と、第5処理槽53と、を備えている。乾燥処理手段16は、第5処理槽53内に搬送手段18が挿通され、基板100のSi層102と対向可能に供給ノズル51が、供給ノズル51の二次側であって、搬送手段18を挟んで設けられたエアナイフ52が配置される。また、乾燥処理手段16は、リンス処理手段15の二次側であって、アンローディング手段17の一次側に配置される。
【0044】
供給ノズル51は、例えば、Si層102上を純水により濡らすことが可能に形成されている。具体的には、供給ノズル51は、パイプ状のノズルヘッドに複数の孔が設けられており、この孔から基板100に純水を滴下させるか又は噴霧することで、Si層102上を湿潤させる。
【0045】
エアナイフ52は、基板100のSi層102及びガラス基板101の表面にエアを噴射可能に形成されている。エアナイフ52、基板100上に付着するリンス液及び純水を完全に除去可能に形成されている。
【0046】
アンローディング手段17は、所謂アンローダー装置であって、例えば、搬送手段18により搬送された基板を、マガジンラック内に自動的収納可能に形成されている。なお、アンローディング手段17は、他の構成であってもよい。
【0047】
搬送手段18は、例えば、基板搬送用のローラコンベア等であって、各処理手段12〜17において、基板100の両方の主面が処理可能に形成されている。なお、搬送手段18は、各処理手段12〜17での基板100の処理と並行して、基板100を搬送可能に形成されている。このため、搬送手段18は、各処理手段12〜17において、基板100の適正な処理がなされるように、搬送速度が設定されている。
【0048】
供給手段19は、第1供給手段61と、第2供給手段62と、第3供給手段63と、を備えている。なお、この供給手段19は、予備洗浄処理手段13及び本洗浄処理手段14に、処理液を供給可能に形成されている。また、供給手段19は、供給手段19により供給した処理液を排液として排出するドレン手段64を備えている。
【0049】
なお、予備洗浄処理手段13及び本洗浄処理手段14で用いられる処理液は、Si層102の酸化膜105及び基板100に付着したパーティクル等の汚染物質を除去可能な希フッ酸やフッ酸に添加物が含まれるもの等が用いられる。なお、以下、処理液(HF)として説明する。
【0050】
1供給手段61は、第1回収管65と、所謂バファータンクである第1貯留タンク66と、第1供給ポンプ67と、第1供給管68と、を備えている。
【0051】
第1回収管65は、第2処理槽33の仕切壁39で仕切られた第2予備洗浄処理手段32側の底面と、第1貯留タンク66とに接続されている。この第1回収管65は、第2予備洗浄処理手段32で使用された処理液(HF)を第1貯留タンク66に回収可能に形成されている。
【0052】
第1貯留タンク66は、第1回収管65と接続され、その内部に、第1回収管65により回収された処理液を一時的に貯留可能に形成されている。なお、第1貯留タンク66は、処理液と化学反応等が起こらない、即ち、処理液に対して安定した材質で形成されている。
【0053】
第1供給ポンプ67は、その吸込側に第1貯留タンク66と接続され、吐出側に第1供給管68が接続されている。第1供給ポンプ67は、駆動することで、第1貯留タンク66内に貯留する処理液を増圧し、第1供給管68に吐出可能に形成されている。第1供給管68は、第1供給ポンプ67の吐出側に接続されるとともに、第1シャワー35、第2シャワー36及び第4シャワー38に接続されている。
【0054】
第2供給手段62は、第2回収管71と、第2貯留タンク72と、第2供給ポンプ73と、イオン除去フィルタ74と、第2供給管75と、を備えている。
【0055】
第2回収管71は、第3処理槽44の底面と、第2貯留タンク72とに接続されている。この第2回収管71は、本洗浄処理手段14で使用された処理液(HF)を第2貯留タンク72に回収可能に形成されている。
【0056】
第2貯留タンク72は、第2回収管71と接続され、その内部に、第2回収管71により回収された処理液を一時的に貯留可能に形成されている。なお、第2貯留タンク72は、第1貯留タンク66と、略同一構成に形成されている。
【0057】
第2供給ポンプ73は、その吸込側に第2貯留タンク72と接続され、吐出側にイオン除去フィルタ74及び第2供給管75が接続されている。第2供給ポンプ73は、駆動することで、第2貯留タンク72内に貯留する処理液を増圧し、イオン除去フィルタ74を介して第2供給管75に吐出可能に形成されている。
【0058】
イオン除去フィルタ74は、第2供給ポンプ73により増圧されて吐出された処理液に含有されるパーティクルやイオン等の汚染物質を極力除去可能に形成されている。第2供給管75は、第2供給ポンプ73の吐出側に接続されるとともに、第3シャワー37に接続されている。
【0059】
第3供給手段63は、接続管81と、第3貯留タンク82と、第3供給ポンプ83と、第3供給管84と、を備えている。
【0060】
接続管81は、例えば、工場等に設けられた処理液の新液の供給源等に接続されている。この接続管81は、新しい処理液(HF)を第3貯留タンク82に貯留可能に形成されている。
【0061】
第3貯留タンク82は、接続管81と接続され、その内部に、接続管81により供給された新品の処理液(HF)を一時的に貯留可能に形成されている。なお、第3貯留タンク82は、第1、第2貯留タンク66,72と、略同一構成に形成されている。
【0062】
第3供給ポンプ83は、その吸込側に第3貯留タンク82と接続され、吐出側に第3供給管84が接続されている。第3供給ポンプ83は、駆動することで、第3貯留タンク82内に貯留する処理液を増圧し、第3供給管84に吐出可能に形成されている。第3供給管84は、アクアナイフ41及び第5シャワー42に接続されている。
【0063】
ドレン手段64は、第2処理槽33の仕切壁39で仕切られた第1予備洗浄処理手段31側の底面に接続された排液管86と、この排液管86に接続された排液タンク87と、を備えている。排液管86は、第1予備洗浄処理手段31で使用された処理液を排液タンク87に回収させる。
【0064】
このような供給手段19は、図1の処理液の流れFに示すように、第3供給手段63により未使用の処理液(HF)を本洗浄処理手段14に供給する。また、供給手段19は、本洗浄処理手段14で使用された処理液(HF)を第2供給手段62により、第2予備洗浄処理手段32の第3シャワー37へ供給する。さらに、供給手段19は、第2予備洗浄処理手段32で使用された処理液(HF)を、第1供給手段61により、第1予備洗浄処理手段31及び第2予備洗浄処理手段32の第4シャワー38へと供給する。
【0065】
このように、供給手段19は、二次側の洗浄処理手段である本洗浄処理手段14から、一次側の洗浄処理手段第1予備洗浄処理手段31まで、各処理手段13,14で使用した処理液(HF)を供給可能に形成されている。また、供給手段19は、処理液(HF)を複数回使用後、ドレン手段64により使用済みの処理液(HF)を、排液タンク87に回収させることが可能に形成されている。
【0066】
このように構成された基板100の製造装置1は、基板100を洗浄するとともに、基板100のSi層102の表面に形成された酸化膜105を、予備洗浄処理手段13及び本洗浄処理手段14により除去することが可能となる。以下、製造装置1を用いた基板100の製造方法の一である、基板100の汚染物質の除去及びSi層102の酸化膜105の除去を行う基板100の洗浄処理について図1、2を用いて説明する。
【0067】
先ず、ローディング工程として、製造装置1は、製造装置1の一次側から供給され、マガジンラック等に複数収納された基板100を、ローディング手段11により、搬送手段18に一枚ずつ載置させる。
【0068】
なお、搬送手段18は、ローディング手段11により搬送手段18上にローディングされた基板100を、所定の送り速度により、各処理手段12〜17へ搬送させる。また、搬送手段18は、各処理手段12〜17での基板100の処理中であっても、所定の送り速度で基板100を搬送させる。
【0069】
次に、プリウェット工程として、プリウェット手段12は、基板100を湿潤させるとともに、基板100の表面の汚染物質の一部を除去する。具体的に説明すると、先ず、基板100は、搬送手段18によりローディング手段11から第1処理槽23内に搬送される。
【0070】
プリウェット手段12は、噴射手段21からオゾン水を噴射することで、噴射手段21の下方に搬送された基板100のSi層102をオゾン水により濡らし、湿潤させる。また、プリウェット手段12は、噴射手段21から噴射するオゾン水により、Si層102上を洗浄し、Si層102上に付着したパーティクル等の汚染物質を除去する。
【0071】
基板100は、オゾン水をその上面に噴射されながら、搬送手段18により搬送方向Dへと搬送される。このため、所定時間が経過すると、基板100は、噴射手段21から第1液切手段22へと移動することとなる。
【0072】
プリウェット手段12は、第1液切手段22により基板100にエアを噴射することで、基板100のSi層102及びガラス基板101に付着したオゾン水の一部を除去する。なお、第1液切手段22は、Si層102の表面を湿潤させた状態を維持する程度にのみオゾン水を除去する。このため、基板100は、Si層102の表面が湿潤した状態で、搬送手段18により次工程へ搬送される。
【0073】
次に、予備洗浄工程として、予備洗浄処理手段13の第1予備洗浄処理手段31及び第2予備洗浄処理手段32により順次基板100が予備洗浄され、基板100に付着した汚染物質及びSi層102上に形成された酸化膜105の一部が除去される。
【0074】
具体的に説明すると、先ず、搬送手段18により、プリウェット工程が終了した基板100が、第2処理槽33内の第1予備洗浄処理手段31側から第2処理槽33内に搬送される。予備洗浄処理手段13は、第1予備洗浄処理手段31の第1シャワー35及び第2シャワー36から、処理液(HF)を噴射させる。なお、第1シャワー35及び第2シャワー36から噴射される処理液(HF)は、第2予備洗浄処理手段32で使用され、第1貯留タンク66に貯留された処理液(HF)を、第1供給ポンプ67により所定の圧力に増圧されたHFである。
【0075】
予備洗浄処理手段13は、第1、第2シャワー35,36から噴射した処理液(HF)により、ガラス基板101及びSi層102の汚染物質を除去するとともに、Si層102の酸化膜105の一部を除去する。なお、予備洗浄処理手段13は、第1予備洗浄処理手段31により、Si層102の酸化膜105の全部を除去せず、その一部、例えば、図2に示す酸化膜105aのように、酸化膜105の厚みの1/3程度を除去する。
【0076】
ここで、酸化膜105の除去は、処理液の濃度、処理液の量、及び、処理液による処理時間により、その除去量が変化する。このため、必要に応じて、搬送手段18の送り速度を変化させる。なお、酸化膜105の除去量は適宜設定してよいが、本洗浄処理手段14での処理時に、少なくともSi層102はその表面を覆う酸化膜105を有するように、搬送手段18の送り速度を調整する。
【0077】
次に、予備洗浄処理手段13は、第2予備洗浄処理手段32の第3シャワー37及び第4シャワー38から処理液を噴射させる。なお、第3シャワー37から噴射される処理液(HF)は、本洗浄処理手段14で使用され、第2貯留タンク72に貯留された処理液を、第2供給ポンプ73で所定の圧力に増圧されるとともに、イオン除去フィルタ74により、処理液中の汚染物質を除去された処理液(HF)である。また第4シャワー38から噴射される処理液(HF)は、第2予備洗浄処理手段32で使用され、第1貯留タンク66に貯留された処理液(HF)を、第1供給ポンプ67により所定の圧力に増圧されたHFである。
【0078】
予備洗浄処理手段13は、第3、第4シャワー37,38から噴射した処理液(HF)により、ガラス基板101及びSi層102の汚染物質を除去するとともに、Si層102の酸化膜105の一部を除去する。なお、予備洗浄処理手段13は、第2予備洗浄処理手段32により、Si層102の酸化膜105の全部を除去せず、その一部、例えば、図2に示す酸化膜105bのように、酸化膜105の厚みの1/3程度を除去する。なお、酸化膜105の除去は、上述した第1予備洗浄処理手段31と同様に、酸化膜105の除去量により、適宜、搬送手段18の送り速度が設定されている。
【0079】
なお、このように、予備洗浄処理手段13は、予備洗浄工程として、第1、第2予備洗浄処理手段31,32により、順次、Si層102の酸化膜105の一部(115a、115b)を除去し、酸化膜105の厚みを薄くする。
【0080】
酸化膜105を一部除去後、予備洗浄処理手段13は、第2液切手段34の下方に搬送手段18により搬送された基板100に、第2液切手段34によりエアを噴射し、基板100に付着した処理液(HF)を除去する。基板100は、第2液切手段34により付着した処理液(HF)が除去されるとともに、搬送手段18により次工程へ搬送される。
【0081】
次に、本洗浄工程として、本洗浄処理手段14により、基板100が本洗浄され、基板100に付着した汚染物質及びSi層102上に形成された酸化膜105が除去される。
【0082】
具体的に説明すると、搬送手段18により、予備洗浄処理工程が終了した基板100が第3処理槽44内に搬送される。本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41及び第5シャワー42から、処理液(HF)を噴射させる。なお、アクアナイフ41及び第5シャワー42から噴射される処理液(HF)は、接続管81から供給され、第3貯留タンク82に貯留された未使用の処理液(HF)を、第3供給ポンプ83により所定の圧力に増圧されたものである。
【0083】
本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41及び第5シャワー42から噴射した未使用の処理液(HF)により、ガラス基板101及びSi層102の汚染物質を除去するとともに、Si層102表面に残存する酸化膜105を除去する。なお、本洗浄処理手段14は、アクアナイフ41により噴射する処理液(HF)により、Si層102の酸化膜105の全部、ここでは、残存する酸化膜105cを除去する。ここで、酸化膜105の除去は、処理液(HF)の濃度、処理液(HF)の量、及び、処理液(HF)による処理時間により、その除去量が変化するため、酸化膜105を完全に除去可能に、必要に応じて搬送手段18の送り速度を変化させる。
【0084】
酸化膜105を除去後、本洗浄処理手段14は、第3液切手段43の下方に搬送された基板100に、第3液切手段43によりエアを噴射し、基板100に付着した処理液(HF)を除去する。基板100は、第3液切手段43により、付着した処理液(HF)が除去されるとともに、搬送手段18により次工程へ搬送される。
【0085】
次に、リンス処理工程として、リンス処理手段15により基板100にリンス液(純水)が噴射され、基板100に付着した処理液が完全に除去される。
【0086】
具体的に説明すると、搬送手段18により、本洗浄処理工程が終了した基板100が第4処理槽47内に搬送される。リンス処理手段15は、リンスシャワーからリンス液を噴射し、基板100に付着・残存する処理液(HF)及び汚染物質を完全に除去する。これにより、リンス処理工程が終了する。なお、基板100のリンス処理に要する時間は適宜設定可能であり、必要に応じて、搬送手段18の送り速度を変化させる。リンス処理が終了した基板100は、搬送手段18により次工程へ搬送される。
【0087】
次に、乾燥工程として、乾燥処理手段16により、基板100に付着したリンス液をエアナイフ52により飛散させ、基板100に付着したリンス液が完全に除去され、乾燥される。
【0088】
具体的に説明すると、搬送手段18により、リンス処理工程が終了した基板100が、第5処理槽53内に搬送される。乾燥処理手段16は、先ず、第5処理槽53に搬送された基板100に、供給ノズル51から、純水を滴下又は噴射し、基板100上、特に、Si層102表面を湿潤させる。乾燥処理手段16は、Si層102表面を湿潤させることで、エアナイフ52までの基板100の搬送により、ウォーターマークが発生することを防止する。
【0089】
次に、乾燥処理手段16は、エアナイフ52により基板100にエアを噴射し、基板100に付着したリンス液及び純水を完全に除去させる。これにより、乾燥処理が終了する。
【0090】
なお、洗浄処理が終了した基板100は、搬送手段18によりアンローディング手段17に搬送され、マガジンラック内に順次収納される。なお、マガジンラック内に所定枚数の基板100が収納されたら、半導体装置の製造工程の次工程に搬送される。
【0091】
基板100は、これらの工程により、汚染物質及びSi層102の酸化膜105が除去され、洗浄処理が終了することとなる。
【0092】
なお、搬送手段18による基板100の所定の搬送速度については、酸化膜105の厚さとの処理液(HF)のエッチングレートで変化させればよい。また、酸化膜105の厚さの管理としては、膜厚を一定とすることで、酸化膜105の膜厚の管理が容易となる。
【0093】
例えば、Si層102成形後に、所定の時間が経過すると、Si層102の表面に形成される酸化膜105の膜厚はある厚さ以上は形成されにくくなり、その膜厚が略一定となる。このため、基板100は、Si層102を形成後、所定の時間経過させることで、その表面の酸化膜105を管理することができる。また、基板100をローディング手段11により、ローディングする前に、Si層102にオゾン水を付着させて、Si層102を強制的に酸化処理し、酸化膜を形成して管理してもよい。
【0094】
また、処理液(HF)のエッチングレートは、複数回使用する程度では、殆ど変化がない。このため、新品の処理液のエッチングレートと、複数回使用された処理液のエッチングレートとは、殆ど同一であり、差がない。
【0095】
このため、本洗浄処理手段14で使用される処理液と、予備洗浄処理手段13の第1予備洗浄処理手段31及び第2予備洗浄処理手段32で用いられる使用された処理液とは、そのエッチングレートが略同一である。このようなことから、第1予備洗浄処理手段31、第2予備洗浄処理手段32及び本洗浄処理手段14において、搬送手段18による次工程又は液切までの搬送距離が略同一であって、除去する酸化膜105を、図2に示すように、略1/3ずつ除去するのであれば、各処理での搬送速度は同一であればよい。
【0096】
このように構成された基板100の製造装置1によれば、基板100に付着・形成された汚染物質及び酸化膜105を処理した処理液(HF)を用いても、確実に基板100を洗浄することが可能となる。また、使用した処理液(HF)をさらに前工程で使用することで、処理液(HF)の使用量が低減することとなり、安価に基板100の洗浄処理が可能となる。
【0097】
詳しく説明すると、先ず、供給手段19は、本洗浄処理手段14に、第3供給手段63により、新品の処理液(HF)を供給する。これにより、本洗浄処理手段14は、残存するSi層102の酸化膜105c、及び、基板100に付着する汚染物質を未使用の処理液(HF)で除去することが可能となる。本洗浄処理手段14で未使用の処理液(HF)により処理された基板100には、酸化膜105及び汚染物質が残存することがない。
【0098】
このため、本洗浄処理手段14よりも前工程、本実施の形態では、予備洗浄処理手段13において、本洗浄処理手段14で使用した処理液(HF)を用いて、酸化膜105の一部(105a、105b)及び基板100に付着する汚染物質を除去することが可能となる。
【0099】
なお、本洗浄処理手段14及び第2予備洗浄処理手段32で使用した処理液(HF)中に、除去したイオン等の汚染物質が含まれており、予備洗浄処理手段13において、基板100にこれら汚染物質が付着しても、本洗浄処理手段14において、新品の処理液(HF)で基板100を洗浄することで、汚染物質は除去される。
【0100】
即ち、本洗浄処理手段14に搬送される基板100には、Si層102上に酸化膜105cが残存する状態で搬送されてくる。このため予備洗浄処理手段13で酸化膜105a、105bの除去時に使用した処理液(HF)に含有されたイオン等の汚染物質が基板100に付着しても、酸化膜105c及びガラス基板101上に付着することとなる。このため、本洗浄処理手段14で新品の処理液(HF)を用いて酸化膜105cを除去するとともに、ガラス基板101を洗浄すれば、Si層102に汚染物質が残存することがなく、確実に酸化膜105c及び汚染物質を除去することが可能となる。
【0101】
このように、酸化膜105は、予備洗浄処理手段13による一部除去後に、残存する酸化膜105を新品の処理液(HF)により除去することで、基板100の汚染を防止するとともに、確実に洗浄することが可能となる。これにより、製造装置100により製造する基板1の歩留まりが向上することとなる。
【0102】
また、予備洗浄処理手段13では、本洗浄処理手段14及び第2予備洗浄処理手段32で使用した処理液(HF)を使用し、新品の処理液(HF)は、本洗浄処理手段14でのみ使用するため、新品の処理液(HF)の使用量を低減することが可能となる。これにより、排液量も低減することが可能となり、環境負荷を低減させることが可能となる。
【0103】
また、第2供給手段62にイオン除去フィルタ74を設けることで、本洗浄処理手段14に搬送される基板100のSi層102の酸化膜105cに、極力、汚染物質が付着しないようにする。これにより、確実に、Si層102に汚染物質が付着することを防止可能となり、基板100の洗浄の信頼性をさらに向上することも可能となる。
【0104】
なお、本実施の形態では、ガラス基板101にSi層102が設けられた基板100を用いている。このため、第2予備洗浄処理手段32においては、第4シャワー38からガラス基板101に噴射する処理液(HF)は、第2予備洗浄処理手段32で使用した処理液(HF)を使用する。即ち、ガラス基板101の洗浄は、ガラス基板101に付着するパーティクル等の除去であるため、処理液(HF)中に含有するイオン等が付着してもデバイス特性に大きな影響はない。また、仮に、ガラス基板101に汚染物質が付着しても、上述したように、本洗浄処理手段14において、未使用の処理液(HF)を用いてガラス基板101が洗浄される。
【0105】
このような理由から、第2予備洗浄処理手段32においては、第2供給手段62により供給された処理液(HF)をSi層102の酸化膜105に噴射すればよい。なお、基板100に、Si層のみで形成されたものを用いる際には、第2予備洗浄処理手段32においては、その両面にイオン除去フィルタ74を通過した処理液(HF)を噴射することが望ましい。
【0106】
また、本洗浄処理手段14において、Si層102にアクアナイフ41を用いて処理液を噴射することで、確実に酸化膜105を除去するとともに、Si層102上に汚染物質が溜まることを防止可能となるとともに、外気に触れることがなくなり、酸化膜105が成長することを防止できる。
【0107】
これは、シャワーはアクアナイフ41よりもその噴射量が少なく、また、その吐出圧力も少ない。さらに、シャワーはアクアナイフ41に比べ噴射する処理液の方向制御も難しい。また、酸化膜105は、親水性の性質を有するのに対し、Si層102は疎水性の性質を有する。
【0108】
このため、本洗浄処理手段14においてシャワーにて酸化膜105を除去すると、酸化膜105が除去された箇所が処理液(HF)を疎水し、処理液(HF)がはじかれてしまい、このはじかれてドーム状又はだまとなった処理液(HF)に汚染物質が溜まることがある。また、酸化膜105を部分的に除去する虞や、Si層102上に酸化膜が新たに形成される虞もある。
【0109】
しかし、アクアナイフ41により、処理液(HF)を噴射することで、確実にSi層102上を処理液(HF)で覆うことが可能となり、確実に酸化膜105及び汚染物質を除去し、さらに、酸化膜105の成長も防止可能となる。また、アクアナイフ41は、噴射する処理液(HF)の方向制御も容易であるため、確実に基板100上を洗浄することができる。
【0110】
また、プリウェット手段12は、予備洗浄処理手段13に搬送する基板100の、少なくともSi層102表面を湿潤させる。これにより、直接Si層102表面上に、処理液(HF)を噴射するよりも、その表面を湿潤させることで、予備洗浄処理時の処理液がはじくことを極力防止することが可能となる。また、Si層102表面に付着するパーティクル等の汚染物質を低減させることが可能となり、次工程以降の、汚染物質の除去に必要な時間を低減させることが可能となる。
【0111】
上述したように本実施の形態に係る基板100の製造装置1によれば、本洗浄処理手段14に搬送される基板100のSi層102に、酸化膜105の一部を残存させ、この残存する酸化膜105cを新品の処理液(HF)で除去することで、Si層102に汚染物質を付着させることなく、確実に酸化膜105を除去し、基板100の洗浄を行なうことが可能となる。
【0112】
また、予備洗浄処理手段13においては、使用した処理液(HF)を再利用することで、処理液(HF)の使用量を低減することが可能となる。このため、処理液のコストの低減となることから、基板100の製造コストを低減するとともに、環境負荷の低減が可能となる。
【0113】
このように、確実に基板100を洗浄可能であって、処理液の使用量を低減可能、且つ、基板100の製造コストを低減可能な基板100の製造装置1及び製造方法を提供することが可能となる。
【0114】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、予備洗浄処理手段13に、第1予備洗浄処理手段31及び第2予備洗浄処理手段32を備える構成を説明したが、これに限定されない。例えば、予備洗浄処理手段13は、第2予備洗浄処理手段32だけでもよく、また、さらに、第3、第4予備洗浄処理手段を有する等、複数の予備洗浄処理が可能な構成であってもよい。
【0115】
即ち、本洗浄処理手段14に搬送される基板100のSi層102に酸化膜105が形成されており、この酸化膜105を未使用の処理液(HF)で除去する構成であれば、予備洗浄処理が1以上行われる構成であればよい。
【0116】
また、上述した例では、予備洗浄処理手段13の一次側に、基板100のSi層102を湿潤させるプリウェット手段12を有するとしたが、これに限定されない。例えば、プリウェット手段12を有さない構成であってもよい。また、プリウェット手段12は、Si層102のみを湿潤させるとしたが、ガラス基板101を湿潤させる構成であっても勿論良い。なお、洗浄効果をより得るためには、プリウェット手段12を設け、ガラス基板101及びSi層102の両方を湿潤させることが望ましい。また、プリウェット手段12は、オゾン水により基板100を湿潤させるとしたが、純水であってもよい。
【0117】
また、上述した例では、本洗浄処理手段14のガラス基板101に処理液(HF)を噴射する噴射手段として、第5シャワー42を用いた構成を説明したが、シャワーでなくアクアナイフであってもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…製造装置、11…ローディング手段、12…プリウェット手段、13…予備洗浄処理手段、14…本洗浄処理手段、15…リンス処理手段、16…乾燥処理手段、17…アンローディング手段、18…搬送手段、19…供給手段、21…噴射手段、22…第1液切手段、23…第1処理槽、31…第1予備洗浄処理手段、32…第2予備洗浄処理手段、33…第2処理槽、34…第2液切手段、35…第1シャワー、36…第2シャワー、37…第3シャワー、38…第4シャワー、39…仕切壁、41…アクアナイフ、42…第5シャワー、43…第3液切手段、44…第3処理槽、46…リンスシャワー、47…第4処理槽、51…供給ノズル、52…エアナイフ、53…第5処理槽、61…第1供給手段、62…第2供給手段、63…第3供給手段、64…ドレン手段、65…第1回収管、66…第1貯留タンク、67…第1供給ポンプ、68…第1供給管、71…第2回収管、72…第2貯留タンク、73…第2供給ポンプ、74…イオン除去フィルタ、75…第2供給管、81…第2接続管、82…第3貯留タンク、83…第3供給ポンプ、84…第3供給管、86…排液管、87…排液タンク、100…基板、101…ガラス基板、102…Si層、105…酸化膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が有するSi層に形成された酸化膜を処理液で除去する基板の製造装置であって、
少なくとも前記基板の前記Si層を前記処理液で洗浄し、前記酸化膜の一部を除去する予備洗浄処理手段と、
前記予備洗浄処理手段の二次側に設けられ、前記基板を前記処理液で洗浄し、前記予備洗浄処理手段で残存した前記酸化膜を除去する本洗浄処理手段と、
未使用の前記処理液を前記本洗浄処理手段に供給するとともに、前記本洗浄処理手段で洗浄に用いられた前記処理液を前記予備洗浄処理手段に供給する供給手段と、
を備えることを特徴とする基板の製造装置。
【請求項2】
前記予備洗浄処理手段は、2以上設けられ、
前記供給手段は、前記複数の予備洗浄処理手段に、これら予備洗浄処理手段のそれぞれの二次側の前記予備洗浄処理手段又は前記本洗浄処理手段で洗浄に用いられた前記処理液を供給することを特徴とする請求項1に記載の基板の製造装置。
【請求項3】
前記予備洗浄処理手段に搬送する前記基板の少なくともSi層表面を湿潤させるプリウェット手段と、
前記本洗浄処理手段で洗浄された前記基板をリンス液によりリンス処理するリンス処理手段と、
前記リンス処理された前記基板を乾燥させる乾燥処理手段と、
前記基板を、前記プリウェット手段、前記予備洗浄処理手段、前記本洗浄処理手段前記リンス処理手段、及び、前記乾燥処理手段に順次搬送する搬送手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板の製造装置。
【請求項4】
基板が有するSi層に形成された酸化膜を処理液で除去する基板の製造方法であって、
前記基板を前記処理液で洗浄する予備洗浄処理手段により少なくとも前記基板の前記Si層を洗浄し、前記酸化膜の一部を除去する工程と、
前記基板を前記処理液で洗浄する本洗浄処理手段により前記基板を洗浄し、前記予備洗浄処理手段での洗浄で残存した前記酸化膜を除去する工程と、
未使用の前記処理液を前記本洗浄処理手段に供給する工程と、
前記本洗浄処理手段で前記基板の洗浄に用いられた前記処理液を前記予備洗浄処理手段に供給する工程と、
を備えることを特徴とする基板の製造方法。
【請求項5】
前記基板が前記予備洗浄処理手段により洗浄される前に、少なくとも前記基板のSi層を湿潤させる工程と、
前記本洗浄処理手段で洗浄された前記基板をリンス液によりリンス処理する工程と、
前記リンス処理後に、前記基板を乾燥させる工程と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−66352(P2011−66352A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217938(P2009−217938)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】