説明

基板処理装置

【課題】処理室から搬出される基板保持具から基板を搬送する搬送機構の電装部が高温になるのを抑制することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、ウエハを保持するボートと、このボートに保持されたウエハを処理する処理室と、この処理室からボートが搬出される移載室と、この移載室に設けられ、ボートに保持されたウエハを搬送するウエハ搬送機構と、を有し、ウエハ搬送機構は、ウエハを搬送するウエハ移載装置を昇降させる昇降部に動力を伝える動力部と、この動力部の電気的回路を形成する電装部と、この電装部を冷却する冷却装置と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置には、IC(Integrated Circuit)の製造において、基板に絶縁膜や金属膜、半導体膜等のCVD(Chemical Vapor Deposition)膜を形成したり不純物を拡散したりする工程に用いられるものがある。
【0003】
この種の基板処理装置には、複数枚の基板を保持したボートをバッチ処理する処理室と、このボートへ基板を移載する移載室と、これら処理室と移載室との間でボートを昇降させるボートエレベータを備えたものがある。
【0004】
引用文献1には、ウエハを処理する処理室と、ウエハを保持して処理室に搬入するボートと、ボートが処理室への搬入出工程時に待機する待機室と、待機室に窒素ガスを循環させる循環路と、循環路に窒素ガスを供給する供給管と、循環路から窒素ガスを排出する排出管とを備えた半導体製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−119888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、処理室から搬出される基板保持具から基板を搬送する搬送機構の電装部が高温になるのを抑制することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、基板を保持する基板保持具と、前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、前記保持具に前記基板を搬入出する第一の搬送機構及び前記基板保持具を前記処理室へ搬送する第二の搬送機構のうち少なくともいずれかを有する移載室と、前記移載室が少なくともいずれかを有する前記第一の搬送機構及び前記第二の搬送機構に設けられた動力部と、前記動力部を制御する電気的回路を形成する電装部と、前記電装部を冷却する冷却装置と、
を有する基板処理装置にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移載室に設けられた搬送機構の電装部が高温になるのを抑制することができる基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に用いられる基板処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる基板処理装置の側面透視図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる処理炉の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に用いられる基板処理装置を構成する各部の制御構成のブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る昇降駆動部の概略図である。
【図6】第2実施形態に係る昇降駆動部の概略図である。
【図7】第3実施形態に係る昇降駆動部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の斜視図を示す。図2は、基板処理装置10の側面透視図を示す。
【0011】
基板処理装置10は、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体装置の製造装置として構成される。基板処理装置10は、例えば、基板としてのウエハ2に酸化処理や拡散処理、CVD処理等を行う縦型の装置である。
【0012】
基板処理装置10は、主要部が配置される筺体12を有する。基板処理装置10には、例えばシリコン(Si)からなるウエハ2を収納する基板収容器としてのFOUP(以下、ポッド4という)が、ウエハキャリアとして使用される。
【0013】
筺体12の正面壁12aには、ポッド搬入搬出口14が筺体12の内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口14は、フロントシャッタ16によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口14の正面前方側には、ロードポート18が設置されている。ロードポート18は、ポッド4が載置され、載置されたポッド4の位置合わせを行うように構成されている。ポッド4は、工程内搬送装置(非図示)とロードポート18との間で授受される。
【0014】
筺体12内の前後方向の略中央上部には、回転式ポッド棚20が設置されている。回転式ポッド棚20は、垂直に立設され水平面内で間欠回転される支柱22と、この支柱22に例えば上下3段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板24とを備えている。棚板24はそれぞれ、ポッド4を複数個載置した状態で保持するように構成されている。
このように、回転式ポッド棚20は、複数個のポッド4を保管するように構成されている。
【0015】
筺体12内のロードポート18と回転式ポッド棚20との間には、ポッド搬送装置30が設置されている。ポッド搬送装置30は、ポッド4を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ30aと、ポッド4を支持するポッド搬送機構30bとで構成されている。
ポッド搬送装置30は、ポッドエレベータ30aとポッド搬送機構30bとの連続動作により、ロードポート18、回転式ポッド棚20、及び後述するポッドオープナ36これらの間で、ポッド4を搬送するように構成されている。
【0016】
筺体12内の前後方向の略中央下部には、副筺体32が後端にわたって構築されている。
副筺体32の正面壁32aには、ウエハ2をこの副筺体32内外に搬入搬出するウエハ搬入搬出口34が、例えば垂直方向に上下2段に並べて開設されている。ウエハ搬入搬出口34にはそれぞれ、ポッドオープナ36が設置されている。
【0017】
ポッドオープナ36は、ポッド4を載置する載置台38と、ポッド4のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構40とを備えている。ポッドオープナ36は、載置台38に設置されたポッド4のキャップをキャップ着脱機構40によって着脱することにより、ポッド4のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0018】
副筺体32は、ポッド搬送装置30や回転式ポッド棚20が設置された空間から流体的に隔絶された移載室42を構成する。
【0019】
移載室42内の前側領域には、第一の搬送機構であるウエハ移載機構50が設置されている。ウエハ移載機構50は、ウエハ2を水平方向で回転あるいは直動可能なウエハ移載装置52と、このウエハ移載装置52を昇降させる昇降部54と、この昇降部54を駆動させる昇降駆動部56とにより構成される。昇降駆動部56は、昇降部54の上部に配置されている。
ウエハ移載機構50は、ウエハ移載装置52のツイーザ58をウエハ2の載置部として、基板保持具であるボート60にウエハ2を装填(チャージング)、あるいはこのボート60からウエハ2を脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0020】
ボート60は、複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜125枚程度)のウエハ2をその中心を揃えて垂直方向に整列した状態で、水平に保持するように構成されている。
【0021】
ポッド搬送装置30やポッドオープナ36、ウエハ移載機構50等には、搬送制御部62(図4参照)が電気的に接続されており、この搬送制御部62は、これらが所望の動作をするよう所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0022】
移載室42の昇降部54と対向する反対側には、クリーンユニット64が設置されている。クリーンユニット64は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。
クリーンユニット64とウエハ移載装置52との間には、ウエハ2の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置66が設置されている。
【0023】
クリーンユニット64から吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置52、ノッチ合わせ装置66を通り、移載室43の対向する側に配置された昇降部54や昇降駆動部56、後述するボートエレベータ74等に流通された後、ダクト(非図示)に吸い込まれ筺体12の外部に排気される。あるいは、クリーンユニット64から吹き出されたクリーンエアは、ダクトに排気される替わりに、クリーンユニット64の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット64によって移載室42内に吹き出されるように構成されている。
【0024】
移載室42内の後側領域上方には、処理炉70が設けられている。処理炉70の下端部は、炉口シャッタ72により開閉されるように構成されている。
処理炉70の下方には、第二の搬送機構であるボートエレベータ74が設置されている。
【0025】
ボートエレベータ74のアームには、炉口蓋体としてのシールキャップ76が水平方向に据え付けられている。シールキャップ76は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。
シールキャップ76は、ボート60を垂直に支持し、処理炉70の下端部を閉塞可能なように構成されている。シールキャップ76がボートエレベータ74によって垂直方向に昇降されることで、ボート60が昇降する構成となっている。
このように、移載室42は、ボート60にウエハ2を移載する室を構成するとともに、処理炉70からボート60が搬入出される搬入出室を構成する。
【0026】
次に、処理炉70の詳細について説明する。
【0027】
図3は、処理炉70の概略構成図であり、縦断面図を示す。
処理炉70は、加熱機構としてのヒータ82を有する。ヒータ82は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース84に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0028】
ヒータ82の内側には、このヒータ82と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ86が配設されている。プロセスチューブ86は、内部反応管としてのインナーチューブ88と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ90とから構成されている。
【0029】
インナーチューブ88は、例えば石英(SiO2)あるいは炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。
インナーチューブ88の筒中空部には、ウエハ2が処理される処理室92が形成されている。処理室92は、ウエハ2をボート60によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
アウターチューブ90は、例えば石英あるいは炭化シリコン等の耐熱性材料からなる。アウターチューブ90は、内径がインナーチューブ88の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ88と同心円状に設けられている。
【0030】
アウターチューブ90の下方には、このアウターチューブ90と同心円状にマニホールド94が配設されている。マニホールド94は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド94は、インナーチューブ88とアウターチューブ90に係合しており、これらを支持するように設けられている。
【0031】
マニホールド94とアウターチューブ90との間には、シール部材としてのOリング96aが設けられている。
マニホールド94がヒータベース84に支持されることにより、プロセスチューブ86は垂直に据え付けられた状態となる。
プロセスチューブ86とマニホールド94により反応容器が形成される。
【0032】
マニホールド94の下方に、このマニホールド94の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ76が配設される。シールキャップ76は、マニホールド94の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ76の上面には、マニホールド94の下端と当接するシール部材としてのOリング96bが設けられる。
【0033】
シールキャップ76には、ガス導入部としてのノズル102が処理室92内に連通するように接続されており、このノズル102には、ガス供給管104が接続されている。
ガス供給管104のノズル102との接続側と反対側である上流側には、処理ガス供給源(非図示)や不活性ガス供給源(非図示)が、開閉弁であるバルブ106、及び処理室92に供給するガスのガス流量を測定するマスフローコントローラ(MFC)108を介して接続されている。
MFC108は、配管の詰まりや、センサ類の劣化等により生じる基準値の変化(基準値シフト)に対応するために、基準値を補正する機能(基準値補正機能)を備えている。
【0034】
バルブ106及びMFC108にはガス流量制御部110(図4参照)が電気的に接続されており、このガス流量制御部110は、供給するガスの流量が所望の量となるようにこれらバルブ106及びMFC108を所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0035】
マニホールド94には、処理室92内の雰囲気を排気する排気管112が設けられている。排気管112は、インナーチューブ88とアウターチューブ90との隙間によって形成される筒状空間114の下端部に配置されており、この筒状空間114に連通している。
【0036】
筒状空間114には、処理室92の温度を検出する温度検出器としての温度センサ120が設置されている。
ヒータ82及び温度センサ120には、温度制御部122(図4参照)が接続されている。温度制御部122は、処理室92内が所望の温度となるように、温度センサ120により検出された測定結果に基づいてヒータ82を所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0037】
排気管112のマニホールド94の接続側と反対側である下流側には、圧力検出器としての圧力センサ130と、排気量を調節することで圧力を調整する圧力調整装置132とを介して、真空ポンプ等の真空排気装置134が接続されている。
【0038】
圧力センサ130及び圧力調整装置132には、圧力制御部136(図4参照)が電気的に接続されている。圧力制御部136は、処理室92内が所望の圧力となるように、圧力センサ130により検出された測定結果に基づいて真空排気装置134を所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0039】
シールキャップ76の処理室92と反対側(図3において下側)には、ボート60を回転させる回転機構140が設置されている。回転機構140の回転軸142は、シールキャップ76を貫通してボート60に接続されており、このボート60を回転させることでウエハ2を回転させるように構成されている。
ボート60は、ボートエレベータ74がシールキャップ76を昇降させる動作に伴い処理室92に対し搬入搬出される。
【0040】
回転機構140及びボートエレベータ74には、駆動制御部144(図4参照)が電気的に接続されており、駆動制御部144は、所望の動作をするようこれら回転機構140及びボートエレベータ74を所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0041】
ボート60の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板148が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、ヒータ82からの熱がマニホールド94側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0042】
図4は、基板処理装置10を構成する各部の制御構成のブロック図を示す。
搬送制御部62、ガス流量制御部110、温度制御部122、圧力制御部136、駆動制御部144、後述する流入側圧力制御部238、流出側圧力制御部248は、操作部及び入出力部を構成し基板処理装置10全体を制御する主制御部160に電気的に接続されている。
搬送制御部62、ガス流量制御部110、温度制御部122、圧力制御部136、駆動制御部144、流入側圧力制御部238、流出側圧力制御部248、及び主制御部160は、コントローラ162として構成されている。
【0043】
次に、基板処理装置10の動作について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作は、コントローラ162により制御される。
【0044】
ポッド4が工程内搬送装置によってロードポート18に供給されると、ポッド搬入搬出口14がフロントシャッタ16によって開放される。ロードポート18の上のポッド4は、ポッド搬送装置30によって筐体12の内部へポッド搬入搬出口14から搬入される。
【0045】
筐体12内に搬入されたポッド4は、ポッド搬送装置30によって回転式ポッド棚20の指定された棚板24へ受け渡され一時的に保管された後、この棚板24からポッドオープナ36に搬送されて載置台38に移載される。あるいは、筐体12内に搬入されたポッド4は、棚板24を経由することなく直接、ポッドオープナ36に搬送されて載置台38に移載される。
【0046】
この際、副筺体32に設けられたウエハ搬入搬出口34は、キャップ着脱機構40によって閉じられており、移載室42には、クリーンエアが流通され充満されている。
例えば、移載室42には、クリーンエアとして窒素(N2)やアルゴン(Ar)等の不活性ガスが充満しており、この移載室42内の酸素濃度が、筐体12の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも低くなるように(20 ppm以下程度)設定されている。
【0047】
載置台38に載置されたポッド4は、その開口側端面がウエハ搬入搬出口34の開口縁辺部に押し付けられるとともに、キャップ着脱機構40によってこのポッド4のキャップが取り外されウエハ出し入れ口が開放される。
【0048】
ポッド4のウエハ出し入れ口が開放されると、ウエハ2は、このポッド4からウエハ移載装置52のツイーザ58によってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされる。そして、ウエハ2は、ノッチ合わせ装置66によって周方向の位置を整合された後、移載室42の後方にあるボート60に装填(チャージング)される。
ウエハ移載装置52は、ボート60にウエハ2を受け渡した後、ポッド4に戻り次のウエハ2をボート60に装填する。
【0049】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ36におけるウエハ2のボート60への装填作業と並行して、他方のポッドオープナ36には、他のポッド4がポッド搬送装置30によって回転式ポッド棚20から搬送され、この他方のポッドオープナ36においてこの他のポッド4の開放作業が行われる。
【0050】
所定枚数のウエハ2がボート60に装填されると、炉口シャッタ72が開き、処理炉70の下端部が開放される。続いて、複数枚のウエハ2を保持したボート60が、シールキャップ76がボートエレベータ74によって上昇されることにより、処理炉70内へ搬入(ローディング)される。そして、シールキャップ76は、Oリング96bを介してマニホールド94の下端をシールした状態となる。
【0051】
ウエハ2を処理室92内に搬送した後、このウエハ2に所定の処理を行う。
【0052】
処理室92は、この処理室92内が所望の圧力(真空度)となるように真空排気装置134によって真空排気される。この際、処理室92内の圧力は圧力センサ130で測定され、この測定された圧力に基づいて圧力調整装置132が、フィードバック制御される。
【0053】
また、処理室92は、この処理室92内が所望の温度となるようにヒータ82によって加熱される。この際、処理室92内が所望の温度分布となるように温度センサ120が検出した温度情報に基づきヒータ82への通電具合がフィードバック制御される。
【0054】
ウエハ2は、回転機構140によりボート60が回転されるのに伴い、回転した状態となる。
【0055】
処理室92内に所定の処理ガスが供給される。処理ガスは、処理ガス供給源から供給され、MFC108にて所望の流量となるように制御され、ガス供給管104を流通してノズル102から処理室92内に導入される。
導入されたガスは、処理室92内を上昇しインナーチューブ88の上端開口から筒状空間114に流出して排気管112から排気される。ガスは処理室92内を通過する際にウエハ2の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウエハ2の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0056】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガスが、不活性ガス供給源から供給され、処理室92内が不活性ガスに置換されるとともに、この処理室92内の圧力が常圧に復帰される。
【0057】
ボートエレベータ74によりシールキャップ76が下降されて、マニホールド94の下端が開口される。次いで、処理済のウエハ2がボート60に保持された状態でマニホールド94の下端からプロセスチューブ86の外部に搬出(ボートアンローディング)される。
その後、処理済のウエハ2は、ボート60から取出される(ウエハディスチャージ)。
【0058】
基板処理装置10の処理炉70においてウエハ2を処理する際の処理条件として、例えば窒化珪素(Si3N4)膜を成膜する場合、処理温度:600 〜 700 ℃、処理圧力:20 〜 40 Pa、ガス種:ジクロロシラン(SiH2Cl2)、アンモニア(NH3)、ガス供給流量:0 〜 99.999 slmが例示される。
それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハに処理がなされる。
【0059】
次に、ウエハ移載機構50の昇降駆動部56の詳細について説明する。
図5は、昇降駆動部56の概略図であって、図5(a)は、昇降駆動部56の斜視図を示し、図5(b)は、昇降駆動部56の側断面図を示す。
【0060】
昇降駆動部56は、昇降部54に伝達する動力を発生するモータ等の動力部212と、この動力部212に電気的な指示を伝達する電気的回路を形成する電装部214と、この電装部214を冷却する冷却装置216と、電装部214と外部の空間とを遮断する蓋部218とにより構成される。
【0061】
冷却装置216は筒状に形成された冷却本体部216aを有し、この冷却本体部216aの側壁216bの上部には第1の結合部220a、下部には第2の結合部220bが形成されている。
冷却本体部216aは、分割部216cで分割できるように構成されている。このため、冷却装置216は、電装部214等の配線に干渉することなく、動力部212等に対し装着自在となる。
【0062】
冷却本体部216aは、第1の結合部220aが蓋部218の結合受け218aと結合し、第2の結合部220bが動力部212の結合受け212aと結合するようにして配置されている。
【0063】
このように、本実施形態において電装部214は、動力部212、冷却装置216、及び蓋部218により囲まれた空間である収容室230内に配置されている。
なお、本実施形態においては、冷却本体部216aと蓋部218とを一体として形成するようにしてもよい。
【0064】
冷却装置216には、ガス流入部232及びガス流出部234が設けられている。
ガス流入部232は、ガス流入源(非図示)から冷却本体部216aの内側(収容室230)にN2やAr等の不活性ガスを流入する流入部236と、この流入部236側の圧力を制御する流入側圧力制御部238(図4参照)とにより構成される。
ガス流出部234は、ガス排出部(非図示)に冷却本体部216aの内側(収容室230)の不活性ガスを流出する流出部246と、この流出部246側の圧力を制御する流出側圧力制御部248(図4参照)とにより構成される。
【0065】
このため、流入部236側を大気圧とし、流出部246側を流出側圧力制御部248によって大気圧より小さい圧力(負圧)とするとことで、流入部236を介してガス流入源から不活性ガスが収容室230内に流入される。そして、収容室230内に流入したガスは、流出部246を介してガス流出源に排出される。
【0066】
これにより、収容室230内に配置された電装部214が空冷される。すなわち、電装部214に熱を起因とした不具合(クラック等)が生じることが抑制される。
流出側を負圧として収容室230にガスを流入するようにすることで、例えば、冷却本体部216a等に損傷があった場合でも、流入部236から流入されたガスの収容室230から外部(移載室42等)への漏洩が抑制される。
【0067】
収容室230には、常時、流入部236からガスを流入するようにしてもよい。また、特に電装部214が熱に晒されるボート60の処理室92からの搬出時の時機に合わせて、収容室230内にガスを流入するようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態においては、流入部236側を大気圧とし、流出部246側を負圧とする場合について説明したが、これに限らず、流入部236側を流入側圧力制御部238によって大気圧よりも大きい圧力(正圧)とし、流出部246側を大気圧としてガスを収容室230内に流入するようにしてもよい。
これにより、電装部214に向けて強制的に不活性ガスが送出され、本構成を有さない場合と比較して、効率的に電装部214が冷却される。
【0069】
上記実施形態においては、ウエハ移載機構50に昇降駆動部56が設けられている場合について説明したが、これに限らず、昇降駆動部56は、移載室42内に設けられたボートエレベータ74を駆動させる駆動部として適用することもできる。
具体的には、昇降駆動部56を、ボートエレベータ74のアームを昇降駆動させる駆動部として適用するようにしてもよい。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る昇降駆動部56の概略図であって、図6(a)は、昇降駆動部56の斜視図を示し、図6(b)は、昇降駆動部56の側断面図を示す。
【0071】
本実施形態において、昇降駆動部56は、昇降部54に伝達する動力を発生するモータ等の動力部212と、この動力部212に電気的な指示を伝達する電気的回路を形成する電装部214と、この電装部214を冷却する冷却装置302と、電装部214と外部の空間とを遮断する蓋部304とにより構成される。
【0072】
蓋部304は、電装部214の周囲を覆うようにして配置されている。すなわち、本実施形態において電装部214は、動力部212及び蓋部304により囲まれた空間である収容室230内に配置されている。
【0073】
冷却装置302は筒状に形成された冷却本体部302aを有し、この冷却本体部302aは、その側壁302b及び上壁302cの内部をガスが流通するように構成されている。冷却装置302は、冷却本体部302aが蓋部304の周囲(側面及び上面)を外側から囲むようにして設けられている。
このため、流入部236を介してガス流入源から流入したN2やAr等の不活性ガスは、冷却本体部302aの側壁302b内及び上壁302c内を通過して、流出部246を介してガス流出源に排出される。
【0074】
これにより、蓋部304を介して収容室230内が空冷され、この収容室230内に配置された電装部214が冷却される。すなわち、電装部214に熱を起因とした不具合(クラック等)が生じることが抑制される。
【0075】
冷却装置302には、結合部312が設けられており、この冷却装置302は、結合部312と、蓋部304に設けられた結合受け314とが結合することで、この蓋部304に固定されるように構成されている。結合部312及び結合受け314はそれぞれ、複数(例えば、収容室230を挟んで対向するようにして2か所)設けられている。
【0076】
結合部312は、例えばねじ(ねじ及びねじ穴)等であり、結合受け314は、例えばタップ穴等であり、結合部312のねじを結合受け314のタップ穴に挿入することにより、冷却装置302が蓋部304に固定されるようになっている。
【0077】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態に係る昇降駆動部56の概略図であって、図7(a)は、昇降駆動部56の斜視図を示し、図7(b)は、昇降駆動部56の側断面図を示す。
【0078】
本実施形態において、昇降駆動部56は、昇降部54に伝達する動力を発生するモータ等の動力部212と、この動力部212に電気的な指示を伝達する電気的回路を形成する電装部214と、この電装部214を冷却する冷却装置402と、電装部214と外部の空間とを遮断する蓋部304とにより構成される。
【0079】
蓋部304は、電装部214の周囲を覆うようにして配置されている。すなわち、本実施形態において電装部214は、動力部212及び蓋部304により囲まれた空間である収容室230内に配置されている。
【0080】
冷却装置402は孤状に形成された冷却本体部402aを有し、この冷却本体部402aは、その側壁402bの内部をガスが流通するように構成されている。冷却装置402は、この冷却本体部402aが蓋部304の処理炉70側の側面を外側から囲むようにして設けられている。
このため、流入部236を介してガス流入源から流入した不活性ガスは、冷却本体部402aの側壁402b内を通過して、流出部246を介してガス流出源に排出される。
【0081】
これにより、特に熱が伝わる処理炉70側において、蓋部304を介して収容室230内が空冷され、この収容室230内に配置された電装部214が冷却される。すなわち、電装部214に熱を起因とした不具合(クラック等)が生じることが抑制される。
【0082】
冷却装置402には、結合部412が設けられており、この冷却装置402は、結合部412と、蓋部304に設けられた結合受け414とが結合することで、この蓋部304に固定されるようになっている。結合部412及び結合受け414はそれぞれ、複数(例えば2つ)設けられている。
【0083】
結合部412は、例えばねじ(ねじ及びねじ取付部)等であり、結合受け414は、例えばタップ穴等であり、結合部412のねじを結合受け414のタップ穴に挿入することにより、冷却装置402が蓋部304に固定されるようになっている。
【0084】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0085】
本発明の一態様によれば、基板を保持する基板保持具と、前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、前記処理室から前記基板保持具が搬出される移載室と、前記移載室に設けられ、前記基板保持具に保持された基板を搬送する第一の搬送機構と、前記第一の搬送機構に設けられた動力部と、前記動力部の電気的回路を形成する電装部と、前記電装部を冷却する冷却装置と、を有する基板処理装置が提供される。
【0086】
好適には、前記冷却装置は、不活性ガスを流入する流入部と、前記流入部が流入した不活性ガスを流出する流出部と、前記流出部の圧力を制御する流出側圧力制御部と、をさらに有し、前記流出側圧力制御部は、前記流出部側の圧力が前記流入部側の圧力よりも低くなるように制御する。
【0087】
好適には、前記冷却装置は、不活性ガスを流入する流入部と、前記流入部が流入した不活性ガスを流出する流出部と、前記流入部の圧力を制御する流入側圧力制御部と、をさらに有し、前記流入側圧力制御部は、前記流入側の圧力が前記流出側の圧力よりも高くなるように制御する。
【0088】
好適には、前記流入部が流入する不活性ガスは、窒素及びアルゴンのいずれかである。
【0089】
本発明の他の態様によれば、基板を保持する基板保持具と、前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、前記処理室から前記基板保持具が搬出される移載室と、前記移載室に設けられ、前記基板保持具を搬送する第二の搬送機構と、前記第二の搬送機構に設けられた動力部と、前記動力部の電気的回路を形成する電装部と、前記電装部を冷却する冷却装置と、を有する基板処理装置が提供される。
【0090】
本発明の他の態様によれば、少なくとも1つ以上の基板が装填された基板搬送容器が搬入出するロードポートと、前記基板搬送容器を少なくとも1つ以上収納する回転式ポッド棚と、前記回転式ポッド棚に収納された基板搬送容器を少なくとも1つ以上載置するポッドオープナと、前記基板搬送容器を、前記ロードポートと前記回転式ポッド棚と前記ポッドオープナの間で基板搬送する搬送装置と、少なくとも1つ以上の基板を保持する基板保持具と、前記ポッドオープナに載置された基板搬送容器と当該基板保持具の間で基板を搬送する第一の搬送機構と、前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、前記保持具を前記処理室へ搬送する第二の搬送機構と、前記第一の搬送機構が設けられた移載室と、前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、前記移載室に設けられ、前記第二の搬送機構を動作させる動力部と、当該動力部を制御する電装部が収められている昇降駆動部と、前記昇降駆動部に設けられた流入部と、前記昇降駆動部に設けられ、バキュームラインが接続された流出部と、前記ロードポートと前記回転式ポッド棚と前記ポッドオープナと前記搬送装置と前記第一の搬送機構と前記第二の搬送機構と前記動力部と前記処理室と前記流入部と前記バキュームラインと前記電装部とを制御するコントローラと、を備える半導体製造装置が提供される。
【0091】
本発明の他の態様によれば、ロードポートが少なくとも1つ以上の基板が装填された基板搬送容器を搬入搬出する工程と、搬送装置が、前記基板搬送容器を前記ロードポートから回転式ポッド棚へ搬入搬出する工程と、前記搬送装置が、前記基板搬送容器を前記回転式ポッド棚からポッドオープナへ搬入搬出する工程と、移載室に設けられた第一の搬送機構が、前記基板を前記ポッドオープナに載置された基板搬送容器から基板保持具へ搬送する工程と、移載室に設けられた第二の搬送機構が、少なくとも1つ以上の基板が保持された前記基板保持具を処理室へ搬送する工程と、前記処理室で、前記基板保持具に保持された基板を処理する工程と、前記第二の搬送機構が、基板を前記保持具から前記基板搬送容器へ搬送する工程と昇降駆動部に設けられた電装部が動力部を制御する工程と、流入部が、前記昇降駆動部内にガスを供給する工程と、流出部が、前記昇降駆動部からガスを排出する工程と、コントローラが、前記搬送装置と前記第一の搬送機構と前記第二の搬送機構と前記ロードポートと前記回転式ポッド棚と前記ポッドオープナと前記電装部とを制御する工程と、を有する半導体製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0092】
2 ウエハ
4 ポッド
10 基板処理装置
18 ロードポート
20 回転式ポッド棚
30 ポッド搬送装置
32 副筺体
42 移載室
50 ウエハ移載機構
52 ウエハ移載装置
54 昇降部
56 昇降駆動部
60 ボート
62 搬送制御部
70 処理炉
92 処理室
110 ガス流量制御部
122 温度制御部
132 圧力調整装置
136 圧力制御部
144 駆動制御部
160 主制御部
162 コントローラ
212 動力部
214 電装部
216 冷却装置
218 蓋部
230 収容室
232 ガス流入部
234 ガス流出部
236 流入部
238 流入側圧力制御部
246 流出部
248 流出側圧力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持具と、
前記基板保持具に保持された基板を処理する処理室と、
前記保持具に前記基板を搬入出する第一の搬送機構及び前記基板保持具を前記処理室へ搬送する第二の搬送機構のうち少なくともいずれかを有する移載室と、
前記移載室が少なくともいずれかを有する前記第一の搬送機構及び前記第二の搬送機構に設けられた動力部と、
前記動力部を制御する電気的回路を形成する電装部と、
前記電装部を冷却する冷却装置と、
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−69637(P2012−69637A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211880(P2010−211880)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】