基板検査装置、基板検査方法及び該基板検査装置の調整方法
【課題】貼り合わせた2つの基板層のいずれかに検査光の透過しない部分があっても、貼り合わせ界面に発生し得る微小空洞を検査することのできる基板検査装置を提供することである。
【解決手段】基板100の表面に対して斜めに入射するように検査光を帯状に照射する光源ユニット30と、前記検査光により前記基板の表面に形成される帯状照明領域を挟んで光源ユニット30と逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ20とを有し、照明ユニット30及びラインセンサカメラ20と基板100とが相対移動している際にラインセンサカメラ20から出力される映像信号に基づいて基板画像情報を生成し、基板画像情報に基づいて基板100の第1基板層101と第2基板層102との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する構成となる。
【解決手段】基板100の表面に対して斜めに入射するように検査光を帯状に照射する光源ユニット30と、前記検査光により前記基板の表面に形成される帯状照明領域を挟んで光源ユニット30と逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ20とを有し、照明ユニット30及びラインセンサカメラ20と基板100とが相対移動している際にラインセンサカメラ20から出力される映像信号に基づいて基板画像情報を生成し、基板画像情報に基づいて基板100の第1基板層101と第2基板層102との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する構成となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、2枚のウェーハを貼り合わせてなる半導体ウェーハ等の基板における貼り合わせ界面での微小空洞(ボイド)の有無やその微小空洞の位置、大きさ、形状等についての検査を行う基板検査装置、基板検査方法及びその基板検査装置における光学系の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚のウェーハ(基板層)を貼り合わせてなる半導体ウェーハ(接着ウェーハ)における貼り合わせ界面の未接着欠陥(ボイド)を検出するための欠陥検査装置が提案されている(特許文献1参照)。この欠陥検査装置では、半導体ウェーハ(接着ウェーハ)の一方の面に垂直に入射するように赤外線光(検査光)が照射され、当該半導体ウェーハの他方の面を赤外線TVカメラが撮影している。半導体ウェーハ内のウェーハ貼り合わせ界面に特に欠陥がなければ、一方の面から入射した赤外線光は半導体ウェーハを透過して他方の面からそのまま出るが、前記ウェーハ貼り合わせ界面に未接着欠陥の部分(微小空洞)があると、その未接着欠陥の部分で赤外線光が反射してその部分での透過赤外線光の強度が低下する。そのため、赤外線TVカメラにて得られる撮影映像において、未接着部分に対応した部分が正常に接着された部分に対応した部分に比べて暗く表われ、それらを区別することができる。そこで、前記撮影画像から半導体ウェーハの所定領域にある暗部分を抽出し、その暗部分のサイズ等に基づいて未接着欠陥とすべき暗部分を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−139237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の検査装置では、赤外線光を半導体ウェーハに照射して透過させる必要があるため、貼り合わせる2枚のウェーハのいずれかに金属製の配線や遮光膜等の赤外線光の透過しない部分が存在する半導体ウェーハの検査を行うことができない。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情に鑑みてなされたもので、貼り合わせた2つの基板層のいずれかに検査光の透過しない部分があっても、その検査光を用いて基板における貼り合わせ界面に発生し得る微小空洞を検査することのできる基板検査装置及び基板検査方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明の実施形態は、そのような基板検査装置における光学系の調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る基板検査装置は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する照明ユニットと、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと、前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを、前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、前記ラインセンサカメラからの映像信号を処理する画像処理ユニットとを有し、該画像処理ユニットは、前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する構成となる。
【0008】
また、本発明の実施の形態に係る基板検査方法は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査方法であって、照明ユニットが前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する状態で、前記基板と、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ及び当該照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる基板走査ステップと、前記基板と前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラとの相対移動がなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成ステップと、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成ステップとを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、照明ユニットからの検査光が基板の表面に斜めに入射するように帯状に照射された状態において、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと当該光源ユニットとの位置関係が維持されつつ、そのラインカメラセンサ及び照明ユニットと前記基板とが相対移動する際にラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて基板画像情報が生成される。基板を透過する検査光を用いることにより、ラインセンサカメラは、第1基板層と第2基板層との界面での反射光を受光することができる。この場合、ラインセンサカメラからの映像信号に基づいて生成される前記基板画像情報は、前記第1基板層と前記第2基板層との界面に係る画像を表し得る。この基板画像情報に基づいて前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報が生成される。
【0010】
更に、本発明の実施の形態に係る基板検査装置は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を帯状に照射する照明ユニットと、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側に所定の位置関係で並んで配置されるラインセンサカメラ及びエリアセンサカメラと、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かして、当該ラインセンサカメラ及び当該エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構と、前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記光源ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラそれぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットと、表示ユニットとを有し、前記画像処理ユニットは、前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて前記表示ユニットに画像を表示させるエリア画像表示制御手段と、前記照明ユニット及び前記カメラ調整機構により前記基板の前記帯状照明領域と所定の位置関係となるように調整された前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する構成となる。
【0011】
このような構成により、検査光が基板の表面に斜めに入射するように帯状に照射された状態において、エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて表示ユニットに表示される画像を確認しつつ、当該エリアセンサカメラと所定の位置関係にあるラインセンサカメラを、カメラ調整機構によって、前記基板の前記帯状照明領域との相対的な位置関係が所定の位置関係、例えば、当該帯状照明領域から更に基板内を斜めに進んで第1基板層と第2基板層との界面で反射する検査光をラインセンサカメラにて受光することのできる位置関係となるように調整することができる。そして、その位置関係が維持された前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットと前記基板とが相対移動する際にラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて基板画像情報が生成される。ラインセンサカメラが前述したように前記基板の第1基板層と第2基板層との界面で反射される検査光が入射するよう調整されていれば、前記基板画像情報は、前記第1基板層と前記第2基板層との界面に係る画像を表し得る。この基板画像情報に基づいて前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報が生成される。
【0012】
また、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の調整方法は、前記基板検査装置の調整方法であって、前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいた画像を表示ユニットに表示させながら、前記基板に形成される帯状照明領域の映像が前記表示ユニットの画面上の所定位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かして、当該エリアセンサカメラ及び当該ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するエリアセンサカメラ調整ステップと、前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じになるように、前記カメラ調整機構によって前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かすラインセンサカメラ調整ステップとを有する構成となる。
【0013】
このような構成により、エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて表示ユニットに表示される画像を確認しつつ、ラインセンサカメラと基板に形成される帯状照明領域との相対的な位置関係を所定の位置関係、例えば、当該帯状照明領域から更に基板内を斜めに進んで第1基板層と第2基板層との界面で反射する検査光をラインセンサカメラにて受光することのできる位置関係となるように調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板検査装置及び基板検査方法によれば、検査光を第1基板層と第2基板層の双方を透過させることなく、検査光が基板の表面に斜めに入射されて、該検査光の基板での反射光を受光するラインセンサカメラからの映像信号に基づいて第1基板層と第2基板層との界面の状態を表し得る基板画像情報が生成され、その基板画像情報に基づいて検査結果情報が生成されるので、貼り合わせた基板層(第1基板層及び第2基板層)のいずれかに検査光の透過しない部分があっても、その検査光を用いて基板における貼り合わせ界面に発生し得る微小空洞を検査することができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係る基板検査装置の調整方法によれば、エリアセンサカメラでの撮影画像を確認しながらラインセンサカメラの基板に形成される帯状照明領域との相対的な位置関係を調整することができるので、第1基板層と第2基板層との界面の状態を表し得る基板画像情報を生成できるようにラインセンサカメラの位置や姿勢を容易に調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の実施の形態に係る検査装置の基本的な構成においてエリアセンサカメラと照明ユニットとが相対する関係となる状態を示す平面図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基本的な構成においてラインセンサカメラと照明ユニットとが相対する関係となる状態を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基本的な構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板検査装置における処理系の基本構成を示すブロック図である。
【図4】基板検査装置におけるエリアセンサカメラとラインセンサカメラの調整手順(その1)を示すフローチャートである。
【図5】基板検査装置におけるエリアセンサカメラとラインセンサカメラの調整手順(その2)を示すフローチャートである。
【図6】照明ユニットの具体的構成及びその照明ユニットにより基板内の界面に形成される帯状照明領域(その1)を示す図である。
【図7】照明ユニットの具体的構成及びその照明ユニットにより基板内の界面に形成される帯状照明領域(その2)を示す図である。
【図8A】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第1の例(適正な場合)を示す図である。
【図8B】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第2の例(不適正な場合)を示す図である。
【図8C】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第3の例(不適正な場合)を示す図である。
【図8D】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第4の例(不適正な場合)を示す図である。
【図9】光学系の調整例を示す図である。
【図10】光学系の他の調整例を示す図である。
【図11】処理ユニットにおける検査に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第1基板層と第2基板層との界面に生じ得るボイドの形状モデルを示す図である。
【図13】ラインセンサカメラにて得られた基板画像の例を示す図である。
【図14】図13に示す画像における部分Aを拡大して示す図である。
【図15】図14に示す画像の背景除去後の画像を示す図である。
【図16】図15に示す画像おける部分Bを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
本発明の実施の一形態に係る基板検査装置は、図1A、図1B及び図2に示すように構成されている。この基板検査装置は、回路パターンの形成された第2ウェーハ層102(パターンウェーハ:第2基板層)の当該回路パターンの形成された面に第1ウェーハ層101(ベアウェーハ:第1基板層)を貼り合わせてなるSi(シリコン)製の半導体ウェーハ100(基板)を検査対象としており(図2参照)、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じ得る微小空洞(貼り合わせが完全でなく空洞となった微小な部分で、以下、ボイドという)についての検査を行う。
【0019】
図1A、図1B及び図2において、この基板検査装置は、エリアセンサカメラ10、ラインセンサカメラ20、照明ユニット30、搬送機構40、スライド機構50、カメラ移動機構51及び回転機構52を有している。搬送機構40(移動機構)は、検査対象となる半導体ウェーハ100を乗せて所定の速度にて直線移動し、また、その直線移動の方向Aとは直交する方向Bにステップ状に移動可能となっている。照明ユニット30は、搬送機構40によって移動する半導体ウェーハ100の上方に配置され、半導体ウェーハ100の表面に対して斜めに入射するように所定波長、検査対象であるSi製の半導体ウェーハ100を透過可能な例えば、波長1070nm等の赤外線帯の検査光を帯状に照射する。光源ユニット30から照射される検査光の半導体ウェーハ100の表面への入射角度(表面の法線に対する検査光の角度)は、所定の角度、例えば、20°〜30°の範囲に設定される。そして、照明ユニット30から照射される検査光によって、例えば半導体ウェーハ100の表面に、当該半導体ウェーハ100の移動方向Aを横切る方向に延びる帯状照明領域Epj(後述する図6乃至図8D参照)が形成され、照明ユニット30の光軸に沿って半導体ウェーハ100内部に検査光が導かれる。
【0020】
エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、照明ユニット30から照射される検査光により半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjを挟んで当該照明ユニット30と逆側に並んで配置されている。また、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の各々を構成している光学機器(レンズ等)は、エリアセンサカメラ10で調整された光学条件を基にラインセンサカメラ20の光学条件を容易に調整することができる様、同じものが用いられている。ラインセンサカメラ20は、半導体ウェーハ100の移動方向Aを横切る方向、具体的には、前記移動方向Aに直交する方向Bに撮影ライン(受光素子の配列)が延びるようにセットされている。そして、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の相互の位置関係は、半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjを撮影することのできる関係として予め固定的に決められているものであれば特に限定されない。この例の場合、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、例えば、照明ユニット30から斜めに照射される検査光の半導体ウェーハ100での反射光を受光可能な角度にて傾けられ、それらの撮影方向が同一となり、更に、エリアセンサカメラ10の撮影中心とラインセンサカメラ20の撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに沿って並んで配置されている。
【0021】
スライド機構50、カメラ移動機構51及び回転機構52は、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を一体的に動かして、それらの位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構として機能する。スライド機構50は、上述したような相対的な位置関係にて配置されるエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bにスライド移動させる。カメラ移動機構51は、図2に示すように、スライド機構50とともにエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20をそれらの撮影方向D及びそれに直交する方向Sそれぞれ独立的に移動させる。回転機構52は、カメラ移動機構51及びスライド機構50とともにエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bと平行に延びる軸を中心に回動させる。これら、スライド機構50による方向Bのスライド移動、カメラ移動機構51による撮影方向D及びそれに直交する方向Sの移動、及び回転機構52による前記方向Bに平行な軸を中心にした回動によって、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の半導体ウェーハ100に形成される前記帯状照明領域Epjとの相対的な位置及び姿勢が調整可能となる。
【0022】
前述したような構造の基板検査装置では、搬送機構40により半導体ウェーハ100が方向Aに移動することにより、固定的な位置関係にあるラインセンサカメラ20と照明ユニット30とがそれらの位置関係を維持しつつ半導体ウェーハ100に対してその表面に平行に、かつ、半導体ウェーハ100の移動方向(A方向)と逆方向に相対移動する。それにより、ラインセンサカメラ20による半導体ウェーハ100の四分の一の領域の光学的走査がなされる。そして、搬送機構40が前記方向Aと直交する方向Bにステップ状に移動することにより、半導体ウェーハ100のラインセンサカメラ20による光学的走査の領域(4領域のいずれかに)が切換えられ、半導体ウェーハ100全体のラインセンサカメラ20による光学的走査が可能になる。
【0023】
基板検査装置の処理系は、図3に示すように構成される。
【0024】
図3において、処理ユニット60は、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20それぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットとして機能する。エリアセンサカメラ10からの映像信号を入力する処理ユニット60は、その映像信号に基づいてエリアセンサカメラ10の撮影画像を表示ユニット61に表示させる。また、処理ユニット60は、搬送機構40による半導体ウェーハ100の移動に同期して当該半導体ウェーハ100を光学的走査するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の画像を表すウェーハ画像情報(基板画像情報)を生成し、そのウェーハ画像情報に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じ得るボイドについての検査結果情報を生成する。処理ユニット60には操作ユニット62及び表示ユニット61が接続されており、処理ユニット60は、操作ユニット62の操作に応じた各種指示に係る情報を取得するとともに、前述したエリアセンサカメラ10の撮影画像をはじめ、検査結果情報等各種情報を表示ユニット61に表示させる。
【0025】
照明ユニット30から照射される検査光(赤外線光)は、半導体ウェーハ100の表面で反射するとともにその一部が内部に進んで第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面で反射し得る。この基板検査装置では、検査光である赤外線光は可視光ではないため、作業者が直接検査光を目視して調整することが出来ないので、表示ユニット61に表示させた撮影画像を基に調整が行われ、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面で反射された検査光をラインセンサカメラ20がより効率的に受光できるようにラインセンサカメラ20の位置及び姿勢を調整することができる。このラインセンサカメラ20の調整は、ラインセンサカメラ20と固定的な位置関係となるエリアセンサカメラ10の位置調整(エリアセンサカメラ調整ステップ)と、ラインセンサカメラ20の位置調整(ラインセンサカメラ調整ステップ)とによってなされる。その調整は、具体的に、図4及び図5に示す手順に従ってなされる。なお、照明ユニット30は、前述したように検査光の半導体ウェーハ100の表面に対する入射角度が所定の角度(例えば、20°〜30°の範囲)となるように予めセットされており、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20も、照明ユニット30からの検査光の半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面)での反射光を受光することができるようにその姿勢(図2における傾き角θ)が予め調整されるとともに、照明ユニット30との相対的な位置関係(図2におけるS方向及びD方向)が予めある程度調整されている。
【0026】
エリアセンサカメラ10のラインセンサカメラ20との一体的な位置調整(エリアセンサカメラ調整ステップ)は図4及び図5に示す手順に従ってなされる。
【0027】
図4において、撮影画像が適正に得られるようにエリアセンサカメラ10のゲイン及び露光時間が調整され(S11)、半導体ウェーハ100の表面が適正に照明されるように照明ユニット30の焦点距離が調整される(S12)。操作ユニット62の操作に従った処理ユニット60の制御のもとエリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて撮影画像が表示ユニット61に表示される。この状態で、作業者は、表示ユニット61に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、操作ユニット62を操作して搬送機構40を動作させ、また、カメラ移動機構51及びスライド機構50を用いたエリアセンサカメラ10の位置(図2におけるS方向及びD方向の位置)の調整、照明ユニット30の焦点距離、照度、照明範囲の調整、及びエリアセンサカメラ10のレンズ条件の調整を次のような手順で行う(S13〜S20)。
【0028】
まず、表示ユニット61に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、半導体ウェーハ100をエリアセンサカメラ10にて撮影される位置まで移動させる(S13)。この状態で、カメラ移動機構51及び回転機構52を操作して、照明ユニット30からの検査光により半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Epjの映像が表示ユニット61の画面の所定の位置、例えば、中央部になるようにエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)の位置(図2に示すS方向及びD方向)及び姿勢(回転角θ)の調整がなされる(S14)。これにより、エリアセンサカメラ100の撮影中心が帯状照明領域Epjの中心部に位置するようになると共に、照明ユニット30からの検査光が半導体ウェーハ100の表面で正反射し、その検査光を最も強く受光できる位置に、エリアセンサカメラ10が調整される(図9参照)。即ち、エリアセンサカメラ100が照明ユニット30からの検査光が半導体ウェーハ100の表面で正反射する光軸上に位置付けられる。そして、表示ユニット61の画面に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、エリアセンサカメラ10のレンズ条件(例えば、レンズの絞り値を表す値であるf値や、レンズの焦点距離の逆数を表す値であるD値等)を調整し、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)が写り込むように調整される(S15)。その後、表示ユニット61の画面に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、照明ユニット30から照射される光により第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に帯状照明領域Epjが形成され、界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)がより鮮明に写り込むように、照明ユニット30が再調整される(焦点距離、照度、照射範囲等)(S16)。
【0029】
照明ユニット30が複数の赤外線LEDと反射鏡(楕円ミラー)で構成される場合、図6及び図7に示すように、複数の赤外線LEDから照射された赤外線は反射鏡(楕円ミラー)により反射集光され、その光により、例えば半導体ウェーハ100内の界面にはその移動方向Aを横切る方向に延びる帯状照明領域Epjが形成される。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置が適正でないと、帯状照明領域Epjは、図6に示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aに広がってボケた状態(複数の赤外光LEDから照射される赤外線光が、反射鏡により帯状照明領域Epjに十分に集光していない状態)となり、照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置が適正であると、帯状照明領域Epjは、図7に示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられた鮮明な状態(複数の赤外光LEDから照射される赤外線光が、反射鏡により帯状照明領域Epjに十分に集光している状態)となる。更に、具体的には、照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置及び姿勢が適正であると、図8Aに示すように、帯状照明領域Epjは、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられた鮮明な状態となり、その中心線Lcの部分が最大の照度分布となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性は保たれているが、半導体ウェーハ100内の界面までの距離が適正でない場合、図8Bに示すように、帯状照明領域Epjは、半導体ウェーハ100の移動方向Aに広がってボケた状態となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性が保たれていない場合、図8Cに示すように、帯状照明領域Epjは、一方から他方に向けて徐々に広がった状態となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性は保たれているが、エリアセンサカメラ10との平行性が保たれていない場合、帯状照明領域Epjは、図8Dに示すように、広がりが抑えられた鮮明な状態ではあるが、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに対して傾いた状態となる。
【0030】
上記照明ユニット30の調整(S16)により、照度の調整とともに、表示ユニット61の画面に表示される半導体ウェーハ100内の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に帯状照明領域Epjが、図8Aに示すように形成されるよう照明ユニット30の位置及び姿勢が調整される。
【0031】
次に、表示ユニット61の画面にエリアセンサカメラ10による撮影画像を表示させつつ、カメラ移動機構51を操作して、エリアセンサカメラ10を、ラインセンサカメラ20とともに、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけ移動(オフセット移動)させる(S17)。このオフセット移動(S17)の詳細については、後述する。そして、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)がより写り込むように、エリアセンサカメラ10のレンズ条件(例えば、f値、D値等)の再調整がなされる(S18)。以後、半導体ウェーハ100の撮影位置を変えて(S19)、上述したのと同様の手順(S15〜S16)にて撮影位置を変えても(例えば、ラインセンサカメラ20での走査終了位置)同様に、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像が写り込むように、エリアセンサカメラ10及び照明ユニット30の再調整がなされる(S20)。
【0032】
このようなエリアセンサカメラ10及び光源ユニット30の調整により、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面には、図8Aに示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられて鮮明な状態となり、その中心線Lcの部分が前記界面での反射光の最大の照度分布となって、その移動方向Aに直交する方向Bに延びる帯状照明領域Epjが形成される。そして、エリアセンサカメラ10の撮影中心が、半導体ウェーハ100の表面で形成された帯状照明領域Epjの中心線Lc(半導体ウェーハ100の表面で正反射した検査光の照度分布が最大の帯状部分)から、光源ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置に設定(オフセット移動)された状態となる。
【0033】
上述したエリアセンサカメラ10の位置及び姿勢の調整は、ラインセンサカメラ20と一体となってなされるため、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjとの位置関係は、エリアセンサカメラ10と前記帯状照明領域Epjとの位置関係に対して、当該ラインセンサカメラ20とエリアセンサカメラ10との相対的な位置関係の分だけずれている。この場合、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、それらの撮影方向が同一となり、更に、エリアセンサカメラ10の撮影中心とラインセンサカメラ20の撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに沿って並んで配置されているので、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100の帯状照明領域Epjとの位置関係は、エリアセンサカメラ20と当該帯状照明領域Epjとの位置関係に対して、ラインセンサカメラ20の撮影ラインの中心とエリアセンサカメラ10の撮影中心との距離分だけ当該帯状照明領域Epjの延びる方向Bにずれている。
【0034】
上記のようにしてエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)及び照明ユニット30の調整(図4に示す手順)が終了すると、図5に示す手順に従ってラインセンサカメラ20の調整がなされる(ラインセンサカメラ調整ステップ)。
【0035】
図5において、スライド機構50を操作して、ラインセンサカメラ20及びエリアセンサカメラ10を、ラインセンサカメラ20とエリアセンサカメラ10との相対的な位置関係の分だけスライド移動させる(S21)。これにより、ラインセンサカメラ20の撮影ラインの中心(撮影軸)が前述したように位置及び姿勢の調整されたエリアセンサカメラ10の撮影中心(撮影軸)の位置になる。この状態で、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100内の界面に形成された帯状照明領域Epjとの関係は、前述したように調整した際のエリアセンサカメラ10と当該帯状照明領域Epjとの関係と同じになる。即ち、ラインセンサカメラ20の撮影ラインが、半導体ウェーハ100の表面に形成された帯状照明領域Epjの中心線Lc(最大照度の帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置に設定(オフセット移動)された状態となる。
【0036】
その後、ラインセンサカメラ20のレンズ条件(例えば、f値、D値等)がエリアセンサカメラ10のものと同じになるように設定され(S22)、ラインセンサカメラ20のゲイン及び露光時間の調整がなされる(S23)。そのゲイン及び露光時間の調整されたラインセンサカメラ20について、更に、レンズ条件の再調整がなされる(S24)。そして、ラインセンサカメラ20の位置調整及びレンズ条件の設定が終了すると、操作ユニット62を用いて搬送機構40による半導体ウェーハ100の搬送速度が設定される(S25)。
【0037】
上記のようにしてラインセンサカメラ20についての調整が終了した状態で、処理ユニット60の制御のもと、搬送機構40が前記設定された搬送速度をもって半導体ウェーハ100を搬送し、それにより方向Aに移動する半導体ウェーハ100が、照明ユニット30との相対的な位置関係が保持されたラインセンサカメラ20によって光学的に走査される(ラインセンサカメラ20による撮影)。その過程で、ラインセンサカメラ20から出力される映像信号が処理ユニット60に供給される。そして、処理ユニット60は、ラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の画像を表すウェーハ画像情報を生成する。なお、前述したように半導体ウェーハ100が4分割して走査されるので、各走査にて得られたウェーハ画像情報を合成して半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の全体を表すウェーハ画像情報が生成される。
【0038】
ラインセンサカメラ20の撮影ライン(エリアセンサカメラ10の撮影中心)が、半導体ウェーハ100の表面に形成された帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずらした位置に設定(オフセット移動)されるのは、次のような理由からである。
【0039】
照明ユニット30から半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面に斜めに入射する検査光(赤外線光)は、その光軸で表すと、図9に示すように、半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面で反射する成分(図9における実線参照)及び第1ウェーハ層101を透過して第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射して第1ウェーハ層101の表面から出射する成分(図9における破線参照)を含んでいる。検査光が半導体ウェーハ100に斜めに入射し、第1ウェーハ層101が厚さを有していることから、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射する成分は、半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面で反射する成分より、照明ユニット30から遠ざかる方向にずれる。そこで、半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20の位置が、上述した図4及び図5に示す手順に従って、図9に示すように、ラインセンサカメラ20の撮影ライン(エリアセンサカメラ10の撮影中心)が、半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離Δだけずれるように調整される。これにより、照明ユニット30との相対的な位置関係が維持されつつ半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20には、常に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射する成分がより多く含まれるようになる。即ち、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射される検査光のうち、最も強く反射する成分をラインセンサカメラ20がより効率的に受光することができるようになる。なお、例えば、検査光の入射角度が20°であって、第1ウェーハ層101(Si層)の屈折率が3.5で、その厚さが750μmの場合、ラインセンサカメラ20の撮影ラインは、半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Ebjの中心線Lcの部分(照度分布が最大の帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に140〜150μmだけずらした位置に設定(オフセット移動)される。
【0040】
上述したように、ラインセンサカメラ20が、半導体ウェーハ100における第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射光をより多く受光することのできる位置に調整されるので、ラインセンサカメラ20から出力される映像信号に基づいて処理ユニット60によって生成されるウェーハ画像情報は、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbの状態を表す情報をより多く含み得る。従って、後述するように、処理ユニット60は、そのウェーハ画像情報に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに生じ得るボイドについての精度の良い検査結果情報を生成することができるようになる。
【0041】
また、エリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて表示ユニット61に表示される撮影画像を確認しつつ、ラインセンサカメラ20の位置や姿勢の調整がなされるので、ラインセンサカメラ20から出力される影像信号に基づいた画像だけで、照明ユニット30及びラインセンサカメラ20の位置や姿勢を調整するときのように、その調整の都度、半導体ウェーハ100をラインセンサカメラ20によって走査してウェーハ画像情報を生成しなければならないことが無くなり、ラインセンサカメラ20による撮影の調整時間が短縮される。また、作業者が直接目視することができない赤外光を検査光として用いても、エリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて表示ユニット61に表示される撮影画像を見ながら調整できるので、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjとの相対的な位置関係を、当該帯状照明領域Epjから更に半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)を斜めに進んで第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射する検査光をラインセンサカメラ20にて受光することのできる位置関係となるように容易に調整することができる。
【0042】
また、この検査装置では、エリアセンサカメラ10でも第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)が写り込むように調整されているが(S15、S16)、エリアセンサカメラ10の撮影画像では、その画角が広い為、半導体ウェーハ100の表面で反射する成分と界面で反射する成分を選択的に抽出して受光することには適していない。一方、ラインセンサカメラ20は、エリアセンサカメラ10に比べその画角が極端に狭いため、上述のようにずらした位置(オフセット移動)に設定することで、表面で反射する成分に対して界面で反射する成分が支配的になり、効率的に界面からの反射光を受光することができる。その為、撮影画像の調整時は、上述したように、その利便性からエリアセンサカメラ10による画像を用いて調整を行い、界面撮影によるウェーハ画像情報を生成するときは、オフセット移動されたラインセンサカメラ20によって影像信号を取得するようにしている。
【0043】
前述した例では、エリアセンサカメラ10の撮影中心(ラインセンサカメラ20の撮影ライン)を、半導体ウェーハ100の表面での帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から離れる方向に所定距離Δだけずらした位置に設定(オフセット移動)させたが(図4のS17、図9参照)、これに限られない。図10に示すように、光源ユニット30をエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)から遠ざかる方向に所定距離Δだけずらすようにしてもよい。この場合であっても、ラインセンサカメラ20の撮影ラインが、半導体ウェーハ100の表面での帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から離れる方向に所定距離Δだけずらした状態になる。
【0044】
前述したように調整された照明ユニット30との相対的な位置関係を保持しつつ半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20から出力される映像信号を入力する処理ユニット60は、図11に示す手順に従って、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbにて発生し得るボイドについての検査に係る処理を実行する。
【0045】
図11において、処理ユニット60は、半導体ウェーハ100を4分割して走査するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の画像を表すウェーハ画像情報を生成する(S31)。ラインセンサカメラ20は、前述したように、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射光を効率的に受光するように位置調整がなされているので、前記ウェーハ画像情報にて表される画像IMは、図13に示すように、また、図13に示すその部分画像IM1を拡大して図14に示すように、第2ウェーハ層102の第1ウェーハ層101との接合面に形成されている回路パターンの画像を含む。処理ユニット60は、前記ウェーハ画像情報に対して回路パターン等の背景部分を除去するための処理を施す(S32)。これにより、図14の画像IM1の部分画像IM2を拡大して図15に示すように、処理済みのウェーハ画像は、回路パターン等の背景部分が除去されたものとなる。処理ユニット60は、この回路パターン等の背景部分の除去されたウェーハ画像(図15参照)を表すウェーハ画像情報に基づいてウェーハ画像に含まれるボイドに対応した部分(ボイド部分)を検出する(S33)。
【0046】
なお、暗い環状の干渉縞は、画像処理により明暗が反転し、図15及び図16において、明るい(白い)リングとして現れている。また、逆に、明るい環状の干渉縞は、画像処理により明暗が反転し、図15及び図16において、暗い(黒い)リングとして現れている。
【0047】
処理ユニット60には、ウェーハ画像に含まれ得るボイド部分として、例えば、図16に示すような干渉縞の表れた環状画像部分Bd1や、面状(円状)画像部分Bd2をはじめ線状画像部分、点状画像部分等の非環状画像部分が予め登録されている。処理ユニット60は、得られたウェーハ画像からボイド部分として登録されている画像部分(環状画像部分、面状画像部分等)と同種の画像部分を抽出することにより、ボイド部分の検出を行う。
【0048】
ウェーハ画像からボイド部分を検出すると、処理ユニット60は、その抽出されたボイド部分に環状画像部分Bd1があるか否かを判定する(S34)。この環状画像部分Bd1の干渉縞は、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに生じたボイドによって発生し、ボイドの第1ウェーハ層101側の面で反射した光と第2ウェーハ層102側の面で反射した光とが干渉することによって、明暗の縞が現れていると考えられる(ニュートンリングに類似した縞模様)。環状画像部分Bd1があると(S34でYES)、処理ユニット60は、その環状画像部分Bd1の形状及び干渉縞(ニュートンリングの理論)を利用して次のようにそのボイド部分に対応するボイドの曲率半径Rを算出する。
【0049】
図12に示すように、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに形成されるボイドBdが球の一部としてモデル化される。図12において、
v:ボイドの半径
r:暗線リングLNR(暗い環状の干渉縞)の半径
h:ボイドの厚さ
s:界面Sbからの曲率半径の中心Oまでの距離
と定義される。ボイドの半径v及び暗線リングLNRの半径rは、ウェーハ画像からボイド部分として抽出された環状画像部分Bd1(図16参照)から、計測される。なお、この実施の形態では、ボイドの半径vは抽出された環状画像部分Bd1の干渉縞の一番外側の暗線リングの半径を計測することによって得られる。
【0050】
ボイドの厚さhは、
【数1】
で表される。干渉縞の暗線の条件から、mを整数とすると、
【数2】
となる。ここで、dは、図12におけるAC間の距離であり、環状画像部分Bd1から検出された暗線リングLNRが発生している部分のボイドの厚みである。
また、三角形△AOBから、
【数3】
となり、三角形△COD及び数3から、
【数4】
となる。
d2≪r、Rから、d2=0として、数4から、
【数5】
【数6】
となる。
数2、数3及び数6から、
【数7】
となる。
m番目の暗線の半径をrmとすると、数7より、
【数8】
となる。同様に、m+n番目の暗線の半径をrm+nとすると、
【数9】
となる。数9の右辺を展開し、数8を代入して
【数10】
【数11】
そして、横軸をn、縦軸をr2としたグラフを描いたときの直線の傾きをbとすると、数11より、
【数12】
となる。最小2乗法で、その直線の傾きbを求め、数12より曲率半径Rは、
【数13】
【数14】
から、求められる。
【0051】
上記のようにしてボイドの曲率半径Rが演算されると(S35)、処理ユニット60は、ステップS33で抽出されたボイド部分から対象とする1つを選択して(S36)、その選択されたボイド部分から、対応するボイドのサイズ(2方向の長さ、径、面積等)が測定されるとともにその厚さhが求められる(S37)。ボイドの厚さhは、上記数1に従って測定されるボイド部分の半径vと前述したように求められた曲率半径R(数14参照)から演算される。なお、この例では、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じる全てのボイドは、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層10との貼り合わせの条件が均一であるから、同じ曲率半径Rとなると仮定している。そして、処理ユニット60は、抽出された全てのボイド部分についての処理が終了したか否かを判定しつつ(S38)、各ボイド部分に対して前述したのと同様の処理(S36〜S37)を実行する。これにより、ウェーハ画像から抽出された全てのボイド部分から対応するボイドの平面的なサイズ及びその厚さhが得られる。
【0052】
なお、線状画像部分として表れる等、半径vを得ることができないボイド部分については、厚さhは求められず、平面的なサイズだけが測定される。また、ウェーハ画像からボイド部分として環状画像部分が抽出されない場合(S34でNO)、その半導体ウェーハ100についてはボイドの曲率半径Rが算出されない。このため、ボイドの厚さhについても演算されない。この場合、平面的なサイズ(2方向の長さ、半径等)だけが求められるが、統計的数値からボイドの曲率半径Rを取得し、ボイドの厚さhを演算してもよい。また、ステップS34での処理においてウェーハ画像から複数の環状画像部分が抽出された場合、複数の環状画像部分のそれぞれから前述した手順にて曲率半径Rを演算し、得られた複数の曲率半径Rの平均値を用いてボイドの厚さhを演算することもできる。
【0053】
処理ユニット60は、ウェーハ画像から抽出された全てのボイド部分についての処理が終了すると(S38でYES)、ウェーハ画像から抽出された各ボイドのウェーハ画像上での位置とともに、上述したように測定及び演算した各ボイドの平面的なサイズ及び厚さhに基づいて、ボイドについての所定形式(表形式、グラフ形式等)の検査結果情報を生成する(S39)。例えば、ボイドの個数、各ボイドの位置、各ボイドの平面的なサイズ、各ボイドの厚さhが、表形式等で表される検査結果情報として生成される。そして、処理ユニット60は、その検査結果情報を表示ユニット61に表示させる。
【0054】
上述したような基板検査装置によれば、検査光を第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102の双方を透過させることなく、検査光が半導体ウェーハ100の表面に斜めに入射されて、その検査光の半導体ウェーハ100での反射光を受光するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbの状態を表し得るウェーハ画像情報が生成され、そのウェーハ画像情報に基づいて検査結果情報が生成されるので、半導体ウェーハ100の第2ウェーハ層102に検査光の透過しない部分(回路パターン等)があっても、その検査光を用いて半導体ウェーハ100における貼り合わせ界面Sbに発生し得るボイドについて検査することができるようになる。また、各ボイドの厚さhについての情報も検査結果情報として得られるので、その検査結果情報を、例えば、ボイドに至って第2ウェーハ層102の表面の回路パターンを露出させてしまうことのないように第1ウェーハ層101の表面を研磨する際の指標とすることができる。
【0055】
上述した実施の形態では、半導体ウェーハ100を相対的な位置関係が維持されたラインセンサカメラ20と照明ユニット30に対して移動させるようにしたが、それらラインセンサカメラ20と光学ユニット30を半導体ウェーハ100に対して移動させるようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態は、半導体ウェーハ100を対象とした基板検査装置であったが、本発明は、これに限定されず、2つの基板層が貼り合わせてなる基板であれば適用が可能で、例えばタッチパネル式の液晶表示パネルのような透光領域を有したセンサパネルとカバーガラスとを貼り合わせてなる基板等を検査対象とすることができる。
また、この場合、照明ユニットとして可視光を用いることも可能である。
【0057】
上述した実施例では、干渉縞の一番外側の暗線リングをボイドの径として計測している。ところが、その一番外側の暗線リングよりもさらに外側には、界面Sbに生じたボイドの第1ウェーハ層101側の面で反射した光と第2ウェーハ層102側の面で反射した光との干渉による明暗の縞として現れない、つまり暗線リングとして現れていない空間があると考えられる。つまり、実際のボイドとしての微小空洞はその一番外側の暗線リングの径よりも大きいことが考えられる。
【0058】
そこで、前述した基板検査装置で検査すべき基板を超音波空洞検査(SAT)でも検査し、前記基板検査装置で計測されたボイドの径との相関関係を予め求めておく。そして、得られた相関関係を表す相関係数を用いて前記基板検査装置で得たボイドの径を必要に応じて補正することにより(例えば、得られたボイドの径に前記相関係数を乗ずることにより)、より正確なボイドの径を求めることができる。そして、このようにして求めたボイドの径に基づいてボイドの厚さを求めることで、より正確なボイドの厚さを得ることができる。
【0059】
なお、超音波空洞検査でのボイドの径の測定は、対象物を液中に浸漬しなければならないこと(例えば、特開平9−229912参照)や、測定に時間が掛かる等、制約が多いので、超音波空洞検査はインラインの測定には向いていない。
【0060】
また、前記基板検査装置により求めたボイドの厚さや、上述した超音波空洞検査(SAT)との相関関係に基づいて求めたボイドの厚さと、それを指標にして行った第1ウェーハ層101の表面の研磨情報(研磨厚)との相関関係を求めることにより、より正確にボイドの厚さを求めることができる。即ち、実際に前記基板検査装置で求めたボイドの厚さの指標に基づいて第1ウェーハ層101の表面の研磨を行い、その研磨の結果(その指標でボイドが第1ウェーハ層の表面から露出したか、しなかったか)をフィードバックすることで、理論値と実測値(実際にボイドの厚さを実測するのではなく、ボイドが露出した際の研磨厚よって実際のボイドの厚さが想定できる)との相関関係を求め、それによってボイドの厚さ及び指標の精度を上げてゆくことができる。
【符号の説明】
【0061】
10 エリアセンサカメラ
20 ラインセンサカメラ
30 照明ユニット
40 搬送機構
50 スライド機構
51 カメラ移動機構
52 回転機構
60 処理ユニット
61 表示ユニット
62 操作ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、2枚のウェーハを貼り合わせてなる半導体ウェーハ等の基板における貼り合わせ界面での微小空洞(ボイド)の有無やその微小空洞の位置、大きさ、形状等についての検査を行う基板検査装置、基板検査方法及びその基板検査装置における光学系の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚のウェーハ(基板層)を貼り合わせてなる半導体ウェーハ(接着ウェーハ)における貼り合わせ界面の未接着欠陥(ボイド)を検出するための欠陥検査装置が提案されている(特許文献1参照)。この欠陥検査装置では、半導体ウェーハ(接着ウェーハ)の一方の面に垂直に入射するように赤外線光(検査光)が照射され、当該半導体ウェーハの他方の面を赤外線TVカメラが撮影している。半導体ウェーハ内のウェーハ貼り合わせ界面に特に欠陥がなければ、一方の面から入射した赤外線光は半導体ウェーハを透過して他方の面からそのまま出るが、前記ウェーハ貼り合わせ界面に未接着欠陥の部分(微小空洞)があると、その未接着欠陥の部分で赤外線光が反射してその部分での透過赤外線光の強度が低下する。そのため、赤外線TVカメラにて得られる撮影映像において、未接着部分に対応した部分が正常に接着された部分に対応した部分に比べて暗く表われ、それらを区別することができる。そこで、前記撮影画像から半導体ウェーハの所定領域にある暗部分を抽出し、その暗部分のサイズ等に基づいて未接着欠陥とすべき暗部分を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−139237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の検査装置では、赤外線光を半導体ウェーハに照射して透過させる必要があるため、貼り合わせる2枚のウェーハのいずれかに金属製の配線や遮光膜等の赤外線光の透過しない部分が存在する半導体ウェーハの検査を行うことができない。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情に鑑みてなされたもので、貼り合わせた2つの基板層のいずれかに検査光の透過しない部分があっても、その検査光を用いて基板における貼り合わせ界面に発生し得る微小空洞を検査することのできる基板検査装置及び基板検査方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明の実施形態は、そのような基板検査装置における光学系の調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る基板検査装置は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する照明ユニットと、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと、前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを、前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、前記ラインセンサカメラからの映像信号を処理する画像処理ユニットとを有し、該画像処理ユニットは、前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する構成となる。
【0008】
また、本発明の実施の形態に係る基板検査方法は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査方法であって、照明ユニットが前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する状態で、前記基板と、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ及び当該照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる基板走査ステップと、前記基板と前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラとの相対移動がなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成ステップと、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成ステップとを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、照明ユニットからの検査光が基板の表面に斜めに入射するように帯状に照射された状態において、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと当該光源ユニットとの位置関係が維持されつつ、そのラインカメラセンサ及び照明ユニットと前記基板とが相対移動する際にラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて基板画像情報が生成される。基板を透過する検査光を用いることにより、ラインセンサカメラは、第1基板層と第2基板層との界面での反射光を受光することができる。この場合、ラインセンサカメラからの映像信号に基づいて生成される前記基板画像情報は、前記第1基板層と前記第2基板層との界面に係る画像を表し得る。この基板画像情報に基づいて前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報が生成される。
【0010】
更に、本発明の実施の形態に係る基板検査装置は、第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を帯状に照射する照明ユニットと、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側に所定の位置関係で並んで配置されるラインセンサカメラ及びエリアセンサカメラと、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かして、当該ラインセンサカメラ及び当該エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構と、前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記光源ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラそれぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットと、表示ユニットとを有し、前記画像処理ユニットは、前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて前記表示ユニットに画像を表示させるエリア画像表示制御手段と、前記照明ユニット及び前記カメラ調整機構により前記基板の前記帯状照明領域と所定の位置関係となるように調整された前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する構成となる。
【0011】
このような構成により、検査光が基板の表面に斜めに入射するように帯状に照射された状態において、エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて表示ユニットに表示される画像を確認しつつ、当該エリアセンサカメラと所定の位置関係にあるラインセンサカメラを、カメラ調整機構によって、前記基板の前記帯状照明領域との相対的な位置関係が所定の位置関係、例えば、当該帯状照明領域から更に基板内を斜めに進んで第1基板層と第2基板層との界面で反射する検査光をラインセンサカメラにて受光することのできる位置関係となるように調整することができる。そして、その位置関係が維持された前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットと前記基板とが相対移動する際にラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて基板画像情報が生成される。ラインセンサカメラが前述したように前記基板の第1基板層と第2基板層との界面で反射される検査光が入射するよう調整されていれば、前記基板画像情報は、前記第1基板層と前記第2基板層との界面に係る画像を表し得る。この基板画像情報に基づいて前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報が生成される。
【0012】
また、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の調整方法は、前記基板検査装置の調整方法であって、前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいた画像を表示ユニットに表示させながら、前記基板に形成される帯状照明領域の映像が前記表示ユニットの画面上の所定位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かして、当該エリアセンサカメラ及び当該ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するエリアセンサカメラ調整ステップと、前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じになるように、前記カメラ調整機構によって前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かすラインセンサカメラ調整ステップとを有する構成となる。
【0013】
このような構成により、エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて表示ユニットに表示される画像を確認しつつ、ラインセンサカメラと基板に形成される帯状照明領域との相対的な位置関係を所定の位置関係、例えば、当該帯状照明領域から更に基板内を斜めに進んで第1基板層と第2基板層との界面で反射する検査光をラインセンサカメラにて受光することのできる位置関係となるように調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板検査装置及び基板検査方法によれば、検査光を第1基板層と第2基板層の双方を透過させることなく、検査光が基板の表面に斜めに入射されて、該検査光の基板での反射光を受光するラインセンサカメラからの映像信号に基づいて第1基板層と第2基板層との界面の状態を表し得る基板画像情報が生成され、その基板画像情報に基づいて検査結果情報が生成されるので、貼り合わせた基板層(第1基板層及び第2基板層)のいずれかに検査光の透過しない部分があっても、その検査光を用いて基板における貼り合わせ界面に発生し得る微小空洞を検査することができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係る基板検査装置の調整方法によれば、エリアセンサカメラでの撮影画像を確認しながらラインセンサカメラの基板に形成される帯状照明領域との相対的な位置関係を調整することができるので、第1基板層と第2基板層との界面の状態を表し得る基板画像情報を生成できるようにラインセンサカメラの位置や姿勢を容易に調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の実施の形態に係る検査装置の基本的な構成においてエリアセンサカメラと照明ユニットとが相対する関係となる状態を示す平面図である。
【図1B】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基本的な構成においてラインセンサカメラと照明ユニットとが相対する関係となる状態を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基本的な構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板検査装置における処理系の基本構成を示すブロック図である。
【図4】基板検査装置におけるエリアセンサカメラとラインセンサカメラの調整手順(その1)を示すフローチャートである。
【図5】基板検査装置におけるエリアセンサカメラとラインセンサカメラの調整手順(その2)を示すフローチャートである。
【図6】照明ユニットの具体的構成及びその照明ユニットにより基板内の界面に形成される帯状照明領域(その1)を示す図である。
【図7】照明ユニットの具体的構成及びその照明ユニットにより基板内の界面に形成される帯状照明領域(その2)を示す図である。
【図8A】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第1の例(適正な場合)を示す図である。
【図8B】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第2の例(不適正な場合)を示す図である。
【図8C】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第3の例(不適正な場合)を示す図である。
【図8D】基板内の界面に形成される帯状照明領域の第4の例(不適正な場合)を示す図である。
【図9】光学系の調整例を示す図である。
【図10】光学系の他の調整例を示す図である。
【図11】処理ユニットにおける検査に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第1基板層と第2基板層との界面に生じ得るボイドの形状モデルを示す図である。
【図13】ラインセンサカメラにて得られた基板画像の例を示す図である。
【図14】図13に示す画像における部分Aを拡大して示す図である。
【図15】図14に示す画像の背景除去後の画像を示す図である。
【図16】図15に示す画像おける部分Bを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
本発明の実施の一形態に係る基板検査装置は、図1A、図1B及び図2に示すように構成されている。この基板検査装置は、回路パターンの形成された第2ウェーハ層102(パターンウェーハ:第2基板層)の当該回路パターンの形成された面に第1ウェーハ層101(ベアウェーハ:第1基板層)を貼り合わせてなるSi(シリコン)製の半導体ウェーハ100(基板)を検査対象としており(図2参照)、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じ得る微小空洞(貼り合わせが完全でなく空洞となった微小な部分で、以下、ボイドという)についての検査を行う。
【0019】
図1A、図1B及び図2において、この基板検査装置は、エリアセンサカメラ10、ラインセンサカメラ20、照明ユニット30、搬送機構40、スライド機構50、カメラ移動機構51及び回転機構52を有している。搬送機構40(移動機構)は、検査対象となる半導体ウェーハ100を乗せて所定の速度にて直線移動し、また、その直線移動の方向Aとは直交する方向Bにステップ状に移動可能となっている。照明ユニット30は、搬送機構40によって移動する半導体ウェーハ100の上方に配置され、半導体ウェーハ100の表面に対して斜めに入射するように所定波長、検査対象であるSi製の半導体ウェーハ100を透過可能な例えば、波長1070nm等の赤外線帯の検査光を帯状に照射する。光源ユニット30から照射される検査光の半導体ウェーハ100の表面への入射角度(表面の法線に対する検査光の角度)は、所定の角度、例えば、20°〜30°の範囲に設定される。そして、照明ユニット30から照射される検査光によって、例えば半導体ウェーハ100の表面に、当該半導体ウェーハ100の移動方向Aを横切る方向に延びる帯状照明領域Epj(後述する図6乃至図8D参照)が形成され、照明ユニット30の光軸に沿って半導体ウェーハ100内部に検査光が導かれる。
【0020】
エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、照明ユニット30から照射される検査光により半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjを挟んで当該照明ユニット30と逆側に並んで配置されている。また、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の各々を構成している光学機器(レンズ等)は、エリアセンサカメラ10で調整された光学条件を基にラインセンサカメラ20の光学条件を容易に調整することができる様、同じものが用いられている。ラインセンサカメラ20は、半導体ウェーハ100の移動方向Aを横切る方向、具体的には、前記移動方向Aに直交する方向Bに撮影ライン(受光素子の配列)が延びるようにセットされている。そして、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の相互の位置関係は、半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjを撮影することのできる関係として予め固定的に決められているものであれば特に限定されない。この例の場合、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、例えば、照明ユニット30から斜めに照射される検査光の半導体ウェーハ100での反射光を受光可能な角度にて傾けられ、それらの撮影方向が同一となり、更に、エリアセンサカメラ10の撮影中心とラインセンサカメラ20の撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに沿って並んで配置されている。
【0021】
スライド機構50、カメラ移動機構51及び回転機構52は、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を一体的に動かして、それらの位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構として機能する。スライド機構50は、上述したような相対的な位置関係にて配置されるエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bにスライド移動させる。カメラ移動機構51は、図2に示すように、スライド機構50とともにエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20をそれらの撮影方向D及びそれに直交する方向Sそれぞれ独立的に移動させる。回転機構52は、カメラ移動機構51及びスライド機構50とともにエリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20を半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bと平行に延びる軸を中心に回動させる。これら、スライド機構50による方向Bのスライド移動、カメラ移動機構51による撮影方向D及びそれに直交する方向Sの移動、及び回転機構52による前記方向Bに平行な軸を中心にした回動によって、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20の半導体ウェーハ100に形成される前記帯状照明領域Epjとの相対的な位置及び姿勢が調整可能となる。
【0022】
前述したような構造の基板検査装置では、搬送機構40により半導体ウェーハ100が方向Aに移動することにより、固定的な位置関係にあるラインセンサカメラ20と照明ユニット30とがそれらの位置関係を維持しつつ半導体ウェーハ100に対してその表面に平行に、かつ、半導体ウェーハ100の移動方向(A方向)と逆方向に相対移動する。それにより、ラインセンサカメラ20による半導体ウェーハ100の四分の一の領域の光学的走査がなされる。そして、搬送機構40が前記方向Aと直交する方向Bにステップ状に移動することにより、半導体ウェーハ100のラインセンサカメラ20による光学的走査の領域(4領域のいずれかに)が切換えられ、半導体ウェーハ100全体のラインセンサカメラ20による光学的走査が可能になる。
【0023】
基板検査装置の処理系は、図3に示すように構成される。
【0024】
図3において、処理ユニット60は、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20それぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットとして機能する。エリアセンサカメラ10からの映像信号を入力する処理ユニット60は、その映像信号に基づいてエリアセンサカメラ10の撮影画像を表示ユニット61に表示させる。また、処理ユニット60は、搬送機構40による半導体ウェーハ100の移動に同期して当該半導体ウェーハ100を光学的走査するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の画像を表すウェーハ画像情報(基板画像情報)を生成し、そのウェーハ画像情報に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じ得るボイドについての検査結果情報を生成する。処理ユニット60には操作ユニット62及び表示ユニット61が接続されており、処理ユニット60は、操作ユニット62の操作に応じた各種指示に係る情報を取得するとともに、前述したエリアセンサカメラ10の撮影画像をはじめ、検査結果情報等各種情報を表示ユニット61に表示させる。
【0025】
照明ユニット30から照射される検査光(赤外線光)は、半導体ウェーハ100の表面で反射するとともにその一部が内部に進んで第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面で反射し得る。この基板検査装置では、検査光である赤外線光は可視光ではないため、作業者が直接検査光を目視して調整することが出来ないので、表示ユニット61に表示させた撮影画像を基に調整が行われ、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面で反射された検査光をラインセンサカメラ20がより効率的に受光できるようにラインセンサカメラ20の位置及び姿勢を調整することができる。このラインセンサカメラ20の調整は、ラインセンサカメラ20と固定的な位置関係となるエリアセンサカメラ10の位置調整(エリアセンサカメラ調整ステップ)と、ラインセンサカメラ20の位置調整(ラインセンサカメラ調整ステップ)とによってなされる。その調整は、具体的に、図4及び図5に示す手順に従ってなされる。なお、照明ユニット30は、前述したように検査光の半導体ウェーハ100の表面に対する入射角度が所定の角度(例えば、20°〜30°の範囲)となるように予めセットされており、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20も、照明ユニット30からの検査光の半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面)での反射光を受光することができるようにその姿勢(図2における傾き角θ)が予め調整されるとともに、照明ユニット30との相対的な位置関係(図2におけるS方向及びD方向)が予めある程度調整されている。
【0026】
エリアセンサカメラ10のラインセンサカメラ20との一体的な位置調整(エリアセンサカメラ調整ステップ)は図4及び図5に示す手順に従ってなされる。
【0027】
図4において、撮影画像が適正に得られるようにエリアセンサカメラ10のゲイン及び露光時間が調整され(S11)、半導体ウェーハ100の表面が適正に照明されるように照明ユニット30の焦点距離が調整される(S12)。操作ユニット62の操作に従った処理ユニット60の制御のもとエリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて撮影画像が表示ユニット61に表示される。この状態で、作業者は、表示ユニット61に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、操作ユニット62を操作して搬送機構40を動作させ、また、カメラ移動機構51及びスライド機構50を用いたエリアセンサカメラ10の位置(図2におけるS方向及びD方向の位置)の調整、照明ユニット30の焦点距離、照度、照明範囲の調整、及びエリアセンサカメラ10のレンズ条件の調整を次のような手順で行う(S13〜S20)。
【0028】
まず、表示ユニット61に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、半導体ウェーハ100をエリアセンサカメラ10にて撮影される位置まで移動させる(S13)。この状態で、カメラ移動機構51及び回転機構52を操作して、照明ユニット30からの検査光により半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Epjの映像が表示ユニット61の画面の所定の位置、例えば、中央部になるようにエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)の位置(図2に示すS方向及びD方向)及び姿勢(回転角θ)の調整がなされる(S14)。これにより、エリアセンサカメラ100の撮影中心が帯状照明領域Epjの中心部に位置するようになると共に、照明ユニット30からの検査光が半導体ウェーハ100の表面で正反射し、その検査光を最も強く受光できる位置に、エリアセンサカメラ10が調整される(図9参照)。即ち、エリアセンサカメラ100が照明ユニット30からの検査光が半導体ウェーハ100の表面で正反射する光軸上に位置付けられる。そして、表示ユニット61の画面に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、エリアセンサカメラ10のレンズ条件(例えば、レンズの絞り値を表す値であるf値や、レンズの焦点距離の逆数を表す値であるD値等)を調整し、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)が写り込むように調整される(S15)。その後、表示ユニット61の画面に表示されるエリアセンサカメラ10による撮影画像を見ながら、照明ユニット30から照射される光により第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に帯状照明領域Epjが形成され、界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)がより鮮明に写り込むように、照明ユニット30が再調整される(焦点距離、照度、照射範囲等)(S16)。
【0029】
照明ユニット30が複数の赤外線LEDと反射鏡(楕円ミラー)で構成される場合、図6及び図7に示すように、複数の赤外線LEDから照射された赤外線は反射鏡(楕円ミラー)により反射集光され、その光により、例えば半導体ウェーハ100内の界面にはその移動方向Aを横切る方向に延びる帯状照明領域Epjが形成される。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置が適正でないと、帯状照明領域Epjは、図6に示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aに広がってボケた状態(複数の赤外光LEDから照射される赤外線光が、反射鏡により帯状照明領域Epjに十分に集光していない状態)となり、照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置が適正であると、帯状照明領域Epjは、図7に示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられた鮮明な状態(複数の赤外光LEDから照射される赤外線光が、反射鏡により帯状照明領域Epjに十分に集光している状態)となる。更に、具体的には、照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する位置及び姿勢が適正であると、図8Aに示すように、帯状照明領域Epjは、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられた鮮明な状態となり、その中心線Lcの部分が最大の照度分布となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性は保たれているが、半導体ウェーハ100内の界面までの距離が適正でない場合、図8Bに示すように、帯状照明領域Epjは、半導体ウェーハ100の移動方向Aに広がってボケた状態となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性が保たれていない場合、図8Cに示すように、帯状照明領域Epjは、一方から他方に向けて徐々に広がった状態となる。照明ユニット30の半導体ウェーハ100内の界面に対する平行性は保たれているが、エリアセンサカメラ10との平行性が保たれていない場合、帯状照明領域Epjは、図8Dに示すように、広がりが抑えられた鮮明な状態ではあるが、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに対して傾いた状態となる。
【0030】
上記照明ユニット30の調整(S16)により、照度の調整とともに、表示ユニット61の画面に表示される半導体ウェーハ100内の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に帯状照明領域Epjが、図8Aに示すように形成されるよう照明ユニット30の位置及び姿勢が調整される。
【0031】
次に、表示ユニット61の画面にエリアセンサカメラ10による撮影画像を表示させつつ、カメラ移動機構51を操作して、エリアセンサカメラ10を、ラインセンサカメラ20とともに、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけ移動(オフセット移動)させる(S17)。このオフセット移動(S17)の詳細については、後述する。そして、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)がより写り込むように、エリアセンサカメラ10のレンズ条件(例えば、f値、D値等)の再調整がなされる(S18)。以後、半導体ウェーハ100の撮影位置を変えて(S19)、上述したのと同様の手順(S15〜S16)にて撮影位置を変えても(例えば、ラインセンサカメラ20での走査終了位置)同様に、表示ユニット61の画面に表示される撮影画像に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像が写り込むように、エリアセンサカメラ10及び照明ユニット30の再調整がなされる(S20)。
【0032】
このようなエリアセンサカメラ10及び光源ユニット30の調整により、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面には、図8Aに示すように、半導体ウェーハ100の移動方向Aへの広がりが抑えられて鮮明な状態となり、その中心線Lcの部分が前記界面での反射光の最大の照度分布となって、その移動方向Aに直交する方向Bに延びる帯状照明領域Epjが形成される。そして、エリアセンサカメラ10の撮影中心が、半導体ウェーハ100の表面で形成された帯状照明領域Epjの中心線Lc(半導体ウェーハ100の表面で正反射した検査光の照度分布が最大の帯状部分)から、光源ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置に設定(オフセット移動)された状態となる。
【0033】
上述したエリアセンサカメラ10の位置及び姿勢の調整は、ラインセンサカメラ20と一体となってなされるため、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjとの位置関係は、エリアセンサカメラ10と前記帯状照明領域Epjとの位置関係に対して、当該ラインセンサカメラ20とエリアセンサカメラ10との相対的な位置関係の分だけずれている。この場合、エリアセンサカメラ10及びラインセンサカメラ20は、それらの撮影方向が同一となり、更に、エリアセンサカメラ10の撮影中心とラインセンサカメラ20の撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて、半導体ウェーハ100の移動方向Aに直交する方向Bに沿って並んで配置されているので、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100の帯状照明領域Epjとの位置関係は、エリアセンサカメラ20と当該帯状照明領域Epjとの位置関係に対して、ラインセンサカメラ20の撮影ラインの中心とエリアセンサカメラ10の撮影中心との距離分だけ当該帯状照明領域Epjの延びる方向Bにずれている。
【0034】
上記のようにしてエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)及び照明ユニット30の調整(図4に示す手順)が終了すると、図5に示す手順に従ってラインセンサカメラ20の調整がなされる(ラインセンサカメラ調整ステップ)。
【0035】
図5において、スライド機構50を操作して、ラインセンサカメラ20及びエリアセンサカメラ10を、ラインセンサカメラ20とエリアセンサカメラ10との相対的な位置関係の分だけスライド移動させる(S21)。これにより、ラインセンサカメラ20の撮影ラインの中心(撮影軸)が前述したように位置及び姿勢の調整されたエリアセンサカメラ10の撮影中心(撮影軸)の位置になる。この状態で、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100内の界面に形成された帯状照明領域Epjとの関係は、前述したように調整した際のエリアセンサカメラ10と当該帯状照明領域Epjとの関係と同じになる。即ち、ラインセンサカメラ20の撮影ラインが、半導体ウェーハ100の表面に形成された帯状照明領域Epjの中心線Lc(最大照度の帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置に設定(オフセット移動)された状態となる。
【0036】
その後、ラインセンサカメラ20のレンズ条件(例えば、f値、D値等)がエリアセンサカメラ10のものと同じになるように設定され(S22)、ラインセンサカメラ20のゲイン及び露光時間の調整がなされる(S23)。そのゲイン及び露光時間の調整されたラインセンサカメラ20について、更に、レンズ条件の再調整がなされる(S24)。そして、ラインセンサカメラ20の位置調整及びレンズ条件の設定が終了すると、操作ユニット62を用いて搬送機構40による半導体ウェーハ100の搬送速度が設定される(S25)。
【0037】
上記のようにしてラインセンサカメラ20についての調整が終了した状態で、処理ユニット60の制御のもと、搬送機構40が前記設定された搬送速度をもって半導体ウェーハ100を搬送し、それにより方向Aに移動する半導体ウェーハ100が、照明ユニット30との相対的な位置関係が保持されたラインセンサカメラ20によって光学的に走査される(ラインセンサカメラ20による撮影)。その過程で、ラインセンサカメラ20から出力される映像信号が処理ユニット60に供給される。そして、処理ユニット60は、ラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の画像を表すウェーハ画像情報を生成する。なお、前述したように半導体ウェーハ100が4分割して走査されるので、各走査にて得られたウェーハ画像情報を合成して半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の全体を表すウェーハ画像情報が生成される。
【0038】
ラインセンサカメラ20の撮影ライン(エリアセンサカメラ10の撮影中心)が、半導体ウェーハ100の表面に形成された帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離だけずらした位置に設定(オフセット移動)されるのは、次のような理由からである。
【0039】
照明ユニット30から半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面に斜めに入射する検査光(赤外線光)は、その光軸で表すと、図9に示すように、半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面で反射する成分(図9における実線参照)及び第1ウェーハ層101を透過して第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射して第1ウェーハ層101の表面から出射する成分(図9における破線参照)を含んでいる。検査光が半導体ウェーハ100に斜めに入射し、第1ウェーハ層101が厚さを有していることから、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射する成分は、半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)の表面で反射する成分より、照明ユニット30から遠ざかる方向にずれる。そこで、半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20の位置が、上述した図4及び図5に示す手順に従って、図9に示すように、ラインセンサカメラ20の撮影ライン(エリアセンサカメラ10の撮影中心)が、半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に所定距離Δだけずれるように調整される。これにより、照明ユニット30との相対的な位置関係が維持されつつ半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20には、常に第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射する成分がより多く含まれるようになる。即ち、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射される検査光のうち、最も強く反射する成分をラインセンサカメラ20がより効率的に受光することができるようになる。なお、例えば、検査光の入射角度が20°であって、第1ウェーハ層101(Si層)の屈折率が3.5で、その厚さが750μmの場合、ラインセンサカメラ20の撮影ラインは、半導体ウェーハ100の表面に形成される帯状照明領域Ebjの中心線Lcの部分(照度分布が最大の帯状部分)から、照明ユニット30から遠ざかる方向に140〜150μmだけずらした位置に設定(オフセット移動)される。
【0040】
上述したように、ラインセンサカメラ20が、半導体ウェーハ100における第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射光をより多く受光することのできる位置に調整されるので、ラインセンサカメラ20から出力される映像信号に基づいて処理ユニット60によって生成されるウェーハ画像情報は、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbの状態を表す情報をより多く含み得る。従って、後述するように、処理ユニット60は、そのウェーハ画像情報に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに生じ得るボイドについての精度の良い検査結果情報を生成することができるようになる。
【0041】
また、エリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて表示ユニット61に表示される撮影画像を確認しつつ、ラインセンサカメラ20の位置や姿勢の調整がなされるので、ラインセンサカメラ20から出力される影像信号に基づいた画像だけで、照明ユニット30及びラインセンサカメラ20の位置や姿勢を調整するときのように、その調整の都度、半導体ウェーハ100をラインセンサカメラ20によって走査してウェーハ画像情報を生成しなければならないことが無くなり、ラインセンサカメラ20による撮影の調整時間が短縮される。また、作業者が直接目視することができない赤外光を検査光として用いても、エリアセンサカメラ10からの映像信号に基づいて表示ユニット61に表示される撮影画像を見ながら調整できるので、ラインセンサカメラ20と半導体ウェーハ100に形成される帯状照明領域Epjとの相対的な位置関係を、当該帯状照明領域Epjから更に半導体ウェーハ100(第1ウェーハ層101)を斜めに進んで第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbで反射する検査光をラインセンサカメラ20にて受光することのできる位置関係となるように容易に調整することができる。
【0042】
また、この検査装置では、エリアセンサカメラ10でも第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面の像(ボイドや第2ウェーハ層102の表面に形成されている回路パターン)が写り込むように調整されているが(S15、S16)、エリアセンサカメラ10の撮影画像では、その画角が広い為、半導体ウェーハ100の表面で反射する成分と界面で反射する成分を選択的に抽出して受光することには適していない。一方、ラインセンサカメラ20は、エリアセンサカメラ10に比べその画角が極端に狭いため、上述のようにずらした位置(オフセット移動)に設定することで、表面で反射する成分に対して界面で反射する成分が支配的になり、効率的に界面からの反射光を受光することができる。その為、撮影画像の調整時は、上述したように、その利便性からエリアセンサカメラ10による画像を用いて調整を行い、界面撮影によるウェーハ画像情報を生成するときは、オフセット移動されたラインセンサカメラ20によって影像信号を取得するようにしている。
【0043】
前述した例では、エリアセンサカメラ10の撮影中心(ラインセンサカメラ20の撮影ライン)を、半導体ウェーハ100の表面での帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から離れる方向に所定距離Δだけずらした位置に設定(オフセット移動)させたが(図4のS17、図9参照)、これに限られない。図10に示すように、光源ユニット30をエリアセンサカメラ10(ラインセンサカメラ20)から遠ざかる方向に所定距離Δだけずらすようにしてもよい。この場合であっても、ラインセンサカメラ20の撮影ラインが、半導体ウェーハ100の表面での帯状照明領域Epjの中心線Lcの部分(照度分布が最大となる帯状部分)から、照明ユニット30から離れる方向に所定距離Δだけずらした状態になる。
【0044】
前述したように調整された照明ユニット30との相対的な位置関係を保持しつつ半導体ウェーハ100を光学的に走査するラインセンサカメラ20から出力される映像信号を入力する処理ユニット60は、図11に示す手順に従って、半導体ウェーハ100の第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbにて発生し得るボイドについての検査に係る処理を実行する。
【0045】
図11において、処理ユニット60は、半導体ウェーハ100を4分割して走査するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて半導体ウェーハ100の画像を表すウェーハ画像情報を生成する(S31)。ラインセンサカメラ20は、前述したように、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbでの反射光を効率的に受光するように位置調整がなされているので、前記ウェーハ画像情報にて表される画像IMは、図13に示すように、また、図13に示すその部分画像IM1を拡大して図14に示すように、第2ウェーハ層102の第1ウェーハ層101との接合面に形成されている回路パターンの画像を含む。処理ユニット60は、前記ウェーハ画像情報に対して回路パターン等の背景部分を除去するための処理を施す(S32)。これにより、図14の画像IM1の部分画像IM2を拡大して図15に示すように、処理済みのウェーハ画像は、回路パターン等の背景部分が除去されたものとなる。処理ユニット60は、この回路パターン等の背景部分の除去されたウェーハ画像(図15参照)を表すウェーハ画像情報に基づいてウェーハ画像に含まれるボイドに対応した部分(ボイド部分)を検出する(S33)。
【0046】
なお、暗い環状の干渉縞は、画像処理により明暗が反転し、図15及び図16において、明るい(白い)リングとして現れている。また、逆に、明るい環状の干渉縞は、画像処理により明暗が反転し、図15及び図16において、暗い(黒い)リングとして現れている。
【0047】
処理ユニット60には、ウェーハ画像に含まれ得るボイド部分として、例えば、図16に示すような干渉縞の表れた環状画像部分Bd1や、面状(円状)画像部分Bd2をはじめ線状画像部分、点状画像部分等の非環状画像部分が予め登録されている。処理ユニット60は、得られたウェーハ画像からボイド部分として登録されている画像部分(環状画像部分、面状画像部分等)と同種の画像部分を抽出することにより、ボイド部分の検出を行う。
【0048】
ウェーハ画像からボイド部分を検出すると、処理ユニット60は、その抽出されたボイド部分に環状画像部分Bd1があるか否かを判定する(S34)。この環状画像部分Bd1の干渉縞は、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに生じたボイドによって発生し、ボイドの第1ウェーハ層101側の面で反射した光と第2ウェーハ層102側の面で反射した光とが干渉することによって、明暗の縞が現れていると考えられる(ニュートンリングに類似した縞模様)。環状画像部分Bd1があると(S34でYES)、処理ユニット60は、その環状画像部分Bd1の形状及び干渉縞(ニュートンリングの理論)を利用して次のようにそのボイド部分に対応するボイドの曲率半径Rを算出する。
【0049】
図12に示すように、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbに形成されるボイドBdが球の一部としてモデル化される。図12において、
v:ボイドの半径
r:暗線リングLNR(暗い環状の干渉縞)の半径
h:ボイドの厚さ
s:界面Sbからの曲率半径の中心Oまでの距離
と定義される。ボイドの半径v及び暗線リングLNRの半径rは、ウェーハ画像からボイド部分として抽出された環状画像部分Bd1(図16参照)から、計測される。なお、この実施の形態では、ボイドの半径vは抽出された環状画像部分Bd1の干渉縞の一番外側の暗線リングの半径を計測することによって得られる。
【0050】
ボイドの厚さhは、
【数1】
で表される。干渉縞の暗線の条件から、mを整数とすると、
【数2】
となる。ここで、dは、図12におけるAC間の距離であり、環状画像部分Bd1から検出された暗線リングLNRが発生している部分のボイドの厚みである。
また、三角形△AOBから、
【数3】
となり、三角形△COD及び数3から、
【数4】
となる。
d2≪r、Rから、d2=0として、数4から、
【数5】
【数6】
となる。
数2、数3及び数6から、
【数7】
となる。
m番目の暗線の半径をrmとすると、数7より、
【数8】
となる。同様に、m+n番目の暗線の半径をrm+nとすると、
【数9】
となる。数9の右辺を展開し、数8を代入して
【数10】
【数11】
そして、横軸をn、縦軸をr2としたグラフを描いたときの直線の傾きをbとすると、数11より、
【数12】
となる。最小2乗法で、その直線の傾きbを求め、数12より曲率半径Rは、
【数13】
【数14】
から、求められる。
【0051】
上記のようにしてボイドの曲率半径Rが演算されると(S35)、処理ユニット60は、ステップS33で抽出されたボイド部分から対象とする1つを選択して(S36)、その選択されたボイド部分から、対応するボイドのサイズ(2方向の長さ、径、面積等)が測定されるとともにその厚さhが求められる(S37)。ボイドの厚さhは、上記数1に従って測定されるボイド部分の半径vと前述したように求められた曲率半径R(数14参照)から演算される。なお、この例では、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面に生じる全てのボイドは、第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層10との貼り合わせの条件が均一であるから、同じ曲率半径Rとなると仮定している。そして、処理ユニット60は、抽出された全てのボイド部分についての処理が終了したか否かを判定しつつ(S38)、各ボイド部分に対して前述したのと同様の処理(S36〜S37)を実行する。これにより、ウェーハ画像から抽出された全てのボイド部分から対応するボイドの平面的なサイズ及びその厚さhが得られる。
【0052】
なお、線状画像部分として表れる等、半径vを得ることができないボイド部分については、厚さhは求められず、平面的なサイズだけが測定される。また、ウェーハ画像からボイド部分として環状画像部分が抽出されない場合(S34でNO)、その半導体ウェーハ100についてはボイドの曲率半径Rが算出されない。このため、ボイドの厚さhについても演算されない。この場合、平面的なサイズ(2方向の長さ、半径等)だけが求められるが、統計的数値からボイドの曲率半径Rを取得し、ボイドの厚さhを演算してもよい。また、ステップS34での処理においてウェーハ画像から複数の環状画像部分が抽出された場合、複数の環状画像部分のそれぞれから前述した手順にて曲率半径Rを演算し、得られた複数の曲率半径Rの平均値を用いてボイドの厚さhを演算することもできる。
【0053】
処理ユニット60は、ウェーハ画像から抽出された全てのボイド部分についての処理が終了すると(S38でYES)、ウェーハ画像から抽出された各ボイドのウェーハ画像上での位置とともに、上述したように測定及び演算した各ボイドの平面的なサイズ及び厚さhに基づいて、ボイドについての所定形式(表形式、グラフ形式等)の検査結果情報を生成する(S39)。例えば、ボイドの個数、各ボイドの位置、各ボイドの平面的なサイズ、各ボイドの厚さhが、表形式等で表される検査結果情報として生成される。そして、処理ユニット60は、その検査結果情報を表示ユニット61に表示させる。
【0054】
上述したような基板検査装置によれば、検査光を第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102の双方を透過させることなく、検査光が半導体ウェーハ100の表面に斜めに入射されて、その検査光の半導体ウェーハ100での反射光を受光するラインセンサカメラ20からの映像信号に基づいて第1ウェーハ層101と第2ウェーハ層102との界面Sbの状態を表し得るウェーハ画像情報が生成され、そのウェーハ画像情報に基づいて検査結果情報が生成されるので、半導体ウェーハ100の第2ウェーハ層102に検査光の透過しない部分(回路パターン等)があっても、その検査光を用いて半導体ウェーハ100における貼り合わせ界面Sbに発生し得るボイドについて検査することができるようになる。また、各ボイドの厚さhについての情報も検査結果情報として得られるので、その検査結果情報を、例えば、ボイドに至って第2ウェーハ層102の表面の回路パターンを露出させてしまうことのないように第1ウェーハ層101の表面を研磨する際の指標とすることができる。
【0055】
上述した実施の形態では、半導体ウェーハ100を相対的な位置関係が維持されたラインセンサカメラ20と照明ユニット30に対して移動させるようにしたが、それらラインセンサカメラ20と光学ユニット30を半導体ウェーハ100に対して移動させるようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態は、半導体ウェーハ100を対象とした基板検査装置であったが、本発明は、これに限定されず、2つの基板層が貼り合わせてなる基板であれば適用が可能で、例えばタッチパネル式の液晶表示パネルのような透光領域を有したセンサパネルとカバーガラスとを貼り合わせてなる基板等を検査対象とすることができる。
また、この場合、照明ユニットとして可視光を用いることも可能である。
【0057】
上述した実施例では、干渉縞の一番外側の暗線リングをボイドの径として計測している。ところが、その一番外側の暗線リングよりもさらに外側には、界面Sbに生じたボイドの第1ウェーハ層101側の面で反射した光と第2ウェーハ層102側の面で反射した光との干渉による明暗の縞として現れない、つまり暗線リングとして現れていない空間があると考えられる。つまり、実際のボイドとしての微小空洞はその一番外側の暗線リングの径よりも大きいことが考えられる。
【0058】
そこで、前述した基板検査装置で検査すべき基板を超音波空洞検査(SAT)でも検査し、前記基板検査装置で計測されたボイドの径との相関関係を予め求めておく。そして、得られた相関関係を表す相関係数を用いて前記基板検査装置で得たボイドの径を必要に応じて補正することにより(例えば、得られたボイドの径に前記相関係数を乗ずることにより)、より正確なボイドの径を求めることができる。そして、このようにして求めたボイドの径に基づいてボイドの厚さを求めることで、より正確なボイドの厚さを得ることができる。
【0059】
なお、超音波空洞検査でのボイドの径の測定は、対象物を液中に浸漬しなければならないこと(例えば、特開平9−229912参照)や、測定に時間が掛かる等、制約が多いので、超音波空洞検査はインラインの測定には向いていない。
【0060】
また、前記基板検査装置により求めたボイドの厚さや、上述した超音波空洞検査(SAT)との相関関係に基づいて求めたボイドの厚さと、それを指標にして行った第1ウェーハ層101の表面の研磨情報(研磨厚)との相関関係を求めることにより、より正確にボイドの厚さを求めることができる。即ち、実際に前記基板検査装置で求めたボイドの厚さの指標に基づいて第1ウェーハ層101の表面の研磨を行い、その研磨の結果(その指標でボイドが第1ウェーハ層の表面から露出したか、しなかったか)をフィードバックすることで、理論値と実測値(実際にボイドの厚さを実測するのではなく、ボイドが露出した際の研磨厚よって実際のボイドの厚さが想定できる)との相関関係を求め、それによってボイドの厚さ及び指標の精度を上げてゆくことができる。
【符号の説明】
【0061】
10 エリアセンサカメラ
20 ラインセンサカメラ
30 照明ユニット
40 搬送機構
50 スライド機構
51 カメラ移動機構
52 回転機構
60 処理ユニット
61 表示ユニット
62 操作ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、
前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する照明ユニットと、
前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと、
前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、
前記ラインセンサカメラからの映像信号を処理する画像処理ユニットとを有し、
該画像処理ユニットは、
前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する基板検査装置。
【請求項2】
前記ラインセンサカメラは、当該ラインセンサカメラの撮影ラインが、前記基板に形成される帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるようにセットされた請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記ラインセンサカメラは、当該ラインセンサカメラの撮影ラインが、前記基板に形成される帯状照明領域の中心線から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるようにセットされた請求項1記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査結果情報生成手段は、前記基板画像情報に基づいて、当該基板画像情報が表す基板画像において前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じた微小空洞に対応する微小空洞部分を検出する手段を有し、
検出された前記微小空洞部分の形状に係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項1乃至3のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記検査結果情報生成手段は、前記微小空洞部分の形状に係る情報として前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する手段を有し、
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項4記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する手段は、検出された前記微小空洞部分から環状画像部分を抽出する手段を有し、
抽出された前記環状画像部分の干渉縞の形状に基づいて前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する請求項5記載の基板検査装置。
【請求項7】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査方法であって、
照明ユニットが前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する状態で、前記基板と、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ及び当該照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる基板走査ステップと、
前記基板と前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラとの相対移動がなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成ステップと、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成ステップとを有する基板検査方法。
【請求項8】
前記検査結果情報生成ステップは、前記基板画像情報に基づいて、当該基板画像情報が表す基板画像において前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じた微小空洞に対応する微小空洞部分を検出するステップを有し、
検出された前記微小空洞部分の形状に係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項7記載の基板検査方法。
【請求項9】
前記検査結果情報生成ステップは、前記微小空洞部分の形状に係る情報として前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出するステップを有し、
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項8記載の基板検査方法。
【請求項10】
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出するステップは、検出された前記微小空洞部分から環状画像部分を抽出するステップを有し、
抽出された前記環状画像部分の干渉縞の形状に基づいて前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する請求項9記載の基板検査方法。
【請求項11】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、
前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を帯状に照射する照明ユニットと、
前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側に所定の位置関係で並んで配置されるラインセンサカメラ及びエリアセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かして、当該ラインセンサカメラ及び当該エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構と、
前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、
前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラそれぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットと、
表示ユニットとを有し、
前記画像処理ユニットは、
前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて前記表示ユニットに画像を表示させるエリア画像表示制御手段と、
前記照明ユニット及び前記カメラ調整機構により前記基板の前記帯状照明領域と所定の位置関係となるように調整された前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する基板検査装置。
【請求項12】
前記エリアセンサカメラと前記ラインセンサカメラとは、撮影方向が同一となる位置関係にて並んで配置された請求項11記載の基板検査装置。
【請求項13】
前記エリアセンサカメラと前記ラインセンサカメラとは、前記エリアセンサカメラの撮影中心と前記ラインセンサカメラの撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて並んで配置された請求項12記載の基板検査装置。
【請求項14】
前記カメラ調整機構は、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に前記基板の前記帯状照明領域の延びる方向にスライドさせるスライド機構を有する請求項13記載の基板検査装置。
【請求項15】
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置が、前記カメラ調整機構により、前記ラインセンサカメラの前記基板の表面での撮影ラインが、前記基板の前記帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように調整された請求項1乃至4のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項16】
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置が、前記カメラ調整機構により、前記ラインセンサカメラの前記基板の表面での撮影ラインが、前記基板の前記帯状照明領域の中心線から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように調整された請求項1乃至4のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかに記載の基板検査装置の調整方法であって、
前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいた画像を表示ユニットに表示させながら、前記基板に形成される帯状照明領域の映像が前記表示ユニットの画面上の所定位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かして、当該エリアセンサカメラ及び当該ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するエリアセンサカメラ調整ステップと、
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じになるように、前記カメラ調整機構によって前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かすラインセンサカメラ調整ステップとを有する前記基板検査装置の調整方法。
【請求項18】
調整すべき基板検査装置は、請求項14記載の基板検査装置であって、
前記ラインセンサカメラ調整ステップは、前記スライド機構により、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的にスライドさせて、前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じにさせる請求項7記載の基板検査装置の調整方法。
【請求項19】
前記エリアセンサカメラ調整ステップは、前記エリアセンサカメラの撮影中心が前記基板の前記帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分となる位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かす第1ステップと、
前記エリアセンサカメラの撮影中心が前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように、前記エリアカメラセンサ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かす第2ステップとを有する請求項17または18記載の基板検査装置の調整方法。
【請求項1】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、
前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する照明ユニットと、
前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラと、
前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、
前記ラインセンサカメラからの映像信号を処理する画像処理ユニットとを有し、
該画像処理ユニットは、
前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する基板検査装置。
【請求項2】
前記ラインセンサカメラは、当該ラインセンサカメラの撮影ラインが、前記基板に形成される帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるようにセットされた請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記ラインセンサカメラは、当該ラインセンサカメラの撮影ラインが、前記基板に形成される帯状照明領域の中心線から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるようにセットされた請求項1記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査結果情報生成手段は、前記基板画像情報に基づいて、当該基板画像情報が表す基板画像において前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じた微小空洞に対応する微小空洞部分を検出する手段を有し、
検出された前記微小空洞部分の形状に係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項1乃至3のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記検査結果情報生成手段は、前記微小空洞部分の形状に係る情報として前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する手段を有し、
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項4記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する手段は、検出された前記微小空洞部分から環状画像部分を抽出する手段を有し、
抽出された前記環状画像部分の干渉縞の形状に基づいて前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する請求項5記載の基板検査装置。
【請求項7】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査方法であって、
照明ユニットが前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を照射する状態で、前記基板と、前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側の所定位置に配置されるラインセンサカメラ及び当該照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる基板走査ステップと、
前記基板と前記照明ユニット及び前記ラインセンサカメラとの相対移動がなされている際に、前記ラインセンサから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成ステップと、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成ステップとを有する基板検査方法。
【請求項8】
前記検査結果情報生成ステップは、前記基板画像情報に基づいて、当該基板画像情報が表す基板画像において前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じた微小空洞に対応する微小空洞部分を検出するステップを有し、
検出された前記微小空洞部分の形状に係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項7記載の基板検査方法。
【請求項9】
前記検査結果情報生成ステップは、前記微小空洞部分の形状に係る情報として前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出するステップを有し、
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を含む前記検査結果情報を生成する請求項8記載の基板検査方法。
【請求項10】
前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出するステップは、検出された前記微小空洞部分から環状画像部分を抽出するステップを有し、
抽出された前記環状画像部分の干渉縞の形状に基づいて前記微小空洞部分の厚さに係る情報を算出する請求項9記載の基板検査方法。
【請求項11】
第1基板層と第2基板層とが貼り合わされてなる基板の前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞について検査する基板検査装置であって、
前記基板の表面に対して斜めに入射するように所定波長の検査光を帯状に照射する照明ユニットと、
前記検査光により前記基板に形成される帯状照明領域を挟んで前記照明ユニットと逆側に所定の位置関係で並んで配置されるラインセンサカメラ及びエリアセンサカメラと、
前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かして、当該ラインセンサカメラ及び当該エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するカメラ調整機構と、
前記基板と前記ラインセンサカメラ及び前記照明ユニットとを前記帯状照明領域を横切る方向で相対移動を行わせる移動機構と、
前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラそれぞれからの映像信号を処理する画像処理ユニットと、
表示ユニットとを有し、
前記画像処理ユニットは、
前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいて前記表示ユニットに画像を表示させるエリア画像表示制御手段と、
前記照明ユニット及び前記カメラ調整機構により前記基板の前記帯状照明領域と所定の位置関係となるように調整された前記ラインセンサカメラと前記基板との相対移動が前記移動機構によりなされている際に、前記ラインセンサカメラから出力される映像信号に基づいて前記基板の画像を表す基板画像情報を生成する基板画像情報生成手段と、
前記基板画像情報に基づいて前記基板における前記第1基板層と前記第2基板層との界面に生じ得る微小空洞についての検査結果情報を生成する検査結果情報生成手段とを有する基板検査装置。
【請求項12】
前記エリアセンサカメラと前記ラインセンサカメラとは、撮影方向が同一となる位置関係にて並んで配置された請求項11記載の基板検査装置。
【請求項13】
前記エリアセンサカメラと前記ラインセンサカメラとは、前記エリアセンサカメラの撮影中心と前記ラインセンサカメラの撮影ラインとが同一ライン上となる位置関係にて並んで配置された請求項12記載の基板検査装置。
【請求項14】
前記カメラ調整機構は、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に前記基板の前記帯状照明領域の延びる方向にスライドさせるスライド機構を有する請求項13記載の基板検査装置。
【請求項15】
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置が、前記カメラ調整機構により、前記ラインセンサカメラの前記基板の表面での撮影ラインが、前記基板の前記帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように調整された請求項1乃至4のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項16】
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置が、前記カメラ調整機構により、前記ラインセンサカメラの前記基板の表面での撮影ラインが、前記基板の前記帯状照明領域の中心線から前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように調整された請求項1乃至4のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかに記載の基板検査装置の調整方法であって、
前記エリアセンサカメラからの映像信号に基づいた画像を表示ユニットに表示させながら、前記基板に形成される帯状照明領域の映像が前記表示ユニットの画面上の所定位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かして、当該エリアセンサカメラ及び当該ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置及び姿勢を調整するエリアセンサカメラ調整ステップと、
前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じになるように、前記カメラ調整機構によって前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的に動かすラインセンサカメラ調整ステップとを有する前記基板検査装置の調整方法。
【請求項18】
調整すべき基板検査装置は、請求項14記載の基板検査装置であって、
前記ラインセンサカメラ調整ステップは、前記スライド機構により、前記ラインセンサカメラ及び前記エリアセンサカメラを一体的にスライドさせて、前記ラインセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係が、前記エリアカメラ調整ステップにより調整された前記エリアセンサカメラの前記基板の前記帯状照明領域に対する相対的な位置関係と同じにさせる請求項7記載の基板検査装置の調整方法。
【請求項19】
前記エリアセンサカメラ調整ステップは、前記エリアセンサカメラの撮影中心が前記基板の前記帯状照明領域の照度分布が最大となる帯状部分となる位置になるように、前記エリアセンサカメラ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かす第1ステップと、
前記エリアセンサカメラの撮影中心が前記照明ユニットから遠ざかる方向に所定距離だけずれた位置となるように、前記エリアカメラセンサ及び前記ラインセンサカメラを一体的に前記カメラ調整機構によって動かす第2ステップとを有する請求項17または18記載の基板検査装置の調整方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−233880(P2012−233880A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−82640(P2012−82640)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
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