説明

強誘電体膜、強誘電体膜を有する半導体装置、及びそれらの製造方法

【課題】 従来よりも小型化が可能で安定した動作が可能であり、下地との密着性に優れた強誘電体膜、強誘電体膜を用いた半導体装置、その製造方法および強誘電体膜を用いた強誘電体デバイスを提供する。
【解決手段】 半導体装置71は基板55、絶縁体56、酸化タンタル膜66、強誘電体膜(STN膜)57、上部電極膜62を有している。
酸化タンタル膜66は強誘電体膜(STN膜)57を結晶化する際に下地となる。
酸化タンタル膜66は酸素を含み、格子情報が強誘電体膜(STN膜)57の結晶と近似している。
そのため、酸化タンタル膜66上にSTNを結晶化すると、酸素欠損がなく、結晶粒径が100nm以下の強誘電体膜(STN膜)57が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電体膜、強誘電体膜を有する半導体装置、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性の半導体メモリとして、強誘電体の自発分極を利用した強誘電体メモリがある。この強誘電体メモリは、電界印加によって生じる2つの安定した電気分極状態を「0」、「1」に対応させることによって情報を記憶させている。この強誘電体メモリは、他の不揮発性メモリに比べて消費電力が少なく、高速動作が可能なことが知られている。
【0003】
強誘電体メモリの具体的な構造としては、例えば、キャパシタ部分に強誘電体膜を有するものがあり、FET(電界効果型トランジスタ)型の強誘電体メモリには、シリコン半導体基板のチャネル形成領域上に、ゲート絶縁膜、強誘電体膜、上部導電体膜が順に積層されているもの(MFIS−FET)、ゲート絶縁膜、下部導電体膜、強誘電体膜、上部導電体膜が順に積層されているもの(MFMIS)がある。
【0004】
上記強誘電体膜の膜材料には、従来、Pb(Zr1−xTi)O(0≦x≦1)(PZT)、SrBiTa(SBT)等が用いられて来たが、近年、比較的比誘電率を低く押さえることができ、かつ水素雰囲気等に対して劣化し難いSr(Ta1−xNb(0≦x≦1)(STN)が注目されている。
【0005】
現在、STNの強誘電体膜の成膜方法として、強誘電体材料の前駆体溶液を塗布、乾燥し、有機物を除去した後、加熱して結晶化するゾル−ゲル法が用いられている(例えば、特許文献1、参照)。STNはイオン化エネルギーの高いTaやNbで構成されている為、Ta、Nb原子の酸化には極めて高いエネルギーが必要である。ゾル−ゲル法が採用されているのは、初めから前駆体内に酸素成分を含有し、比較的酸化エネルギーが少なくてすむため、及びSTN膜組成が合わせ易いためである。
【0006】
一方、ゾル−ゲル法では得られた強誘電体膜の膜厚がメモリに使用するには厚いことや、抗電界が低いことから、STNの強誘電体膜の成膜方法として、スパッタリング法も用いられている(特許文献2)。
【0007】
この場合、まず、スパッタリング処理により下地の表面に強誘電体膜を形成し(膜形成手段による膜形成工程)、その後強誘電体膜を加熱し(加熱手段による加熱工程)、ラジカル酸化することによってSTNが得られる。
【0008】
ここで、いずれの方法を用いるにせよ、STNを結晶化させる場合は、結晶体を下地とし、下地上にSTNを生成する必要がある。
【0009】
これは、STNは下地となる結晶体の格子情報(格子定数等)を引き継いで結晶化するためである。
【0010】
そのため、下地としては、従来、格子定数がSTNに近いPt(単体)が用いられていた(非特許文献1)。
【0011】
一方、Ptは酸化物ではないため、STNの結晶化の際にSTNから酸素が抜けてしまい、酸素欠損の結晶相が生成されるという問題がある。
【0012】
そこで、STNと格子情報が近似しており、かつ酸素を含む材料としてIrOを用いた構造がある(非特許文献1、特許文献2)。
【0013】
【特許文献1】特開平10−326872号公報
【特許文献2】特開2004−265915号公報
【非特許文献1】高橋一郎、「強誘電体STN薄膜の形成技術とそのデバイス応用に関する研究(博士学位論文の要旨及び審査結果の要旨)」、東北大学、2006年12月15日、p.390−394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献2のようなIrOを用いた構造は、酸素欠損を防止しつつSTNの結晶化を推進するという観点からは有用な構造である。
【0015】
しかしながら、IrOを用いた構造でも、またはPtを用いた構造でも、結晶化したSTNの粒径が1μm以上であり、半導体メモリとして利用するには適さないという問題があった。その理由は、半導体メモリとして実用化するには微細化が要求されるが、グレインサイズが1μm以上では、チャンネル幅を1μm以下にするのは不可能であり、また絶縁膜厚も薄く出来ないからである。
【0016】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶粒径が小さなSTN強誘電体膜およびかかる強誘電体膜を用いた半導体装置を提供することにある。
【0017】
また本発明は、安定した動作が可能であり、下地との密着性に優れた強誘電体膜、強誘電体膜を用いた半導体装置、その製造方法および強誘電体膜を用いた強誘電体デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した課題を解決するために、第1の発明は、膜材料として、Sr、Ta、及びNbを主成分とする多結晶強誘電体材料が用いられ、該多結晶強誘電体膜の結晶粒径が100nm以下であることを特徴とする強誘電体膜である。
【0019】
第2の発明は、膜材料として、Sr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体材料が用いられ、酸化タンタルを含む下地上に形成された特徴を有する強誘電体膜である。
【0020】
第3の発明は、強誘電体膜を製造する方法であって、酸化タンタルを含む基板上にSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜を形成する膜形成工程を有することを特徴とする強誘電体膜の製造方法である。
【0021】
第4の発明は、下地上に膜材料としてSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜が設けられ、該多結晶強誘電体膜の結晶粒径が100nm以下であり、その上に導電性電極が設けられていることを特徴とする半導体装置である。
【0022】
第5の発明は、酸化タンタルを含む下地上に膜材料として、Sr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜が設けられ、さらに、その上に導電性電極が設けられていることを特徴とする半導体装置である。
【0023】
第6の発明は、半導体装置を製造する方法であって、酸化タンタルを含む下地上にSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜を形成する膜形成工程と、前記強誘電体膜を酸素ラジカルによって酸化する酸素導入工程および前記強誘電体膜を加熱、酸化する熱処理工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0024】
第7の発明は、下地上に設けられSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜を有し、該多結晶強誘電体膜の結晶粒径が100nm以下であることを特徴とする強誘電体デバイスである。
【0025】
第8の発明は、酸化タンタルを含む下地と、前記下地上に設けられ、Sr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜とを有することを特徴とする強誘電体デバイスである。
【発明の効果】
【0026】
本発明においては、安定した動作が可能であり、下地との密着性に優れた強誘電体膜、強誘電体膜を用いた半導体装置、その製造方法および強誘電体膜を用いた実用的な強誘電体デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
まず、強誘電体メモリの構造の概略について図12を参照して説明する。
【0029】
図12に示すように、強誘電体メモリ201は、例えば半導体基板202と、半導体基板202上に形成された絶縁体層203、絶縁体層上に形成された強誘電体層204、強誘電体層204上に形成された電極層205を有する構造である。
【0030】
半導体基板202表面の絶縁体層203両端にはソース領域202aとドレイン領域202bとが形成されている。
【0031】
次に、強誘電体メモリの動作について簡単に説明する。
【0032】
例えば、電極層205に一定以上の正または負の電圧を与えると、強誘電体層204は分極し、電圧を除去しても分極した状態が保持される。
【0033】
この2通りの分極の向きをそれぞれ「1」「0」という情報とすれば、強誘電体メモリ201をメモリとして利用することができる。
【0034】
なお、情報の読み出しの際は電極層205に読み出し電圧を与え、ソース領域202aとドレイン領域202bとの間にドレイン電流が流れたか否かによって記憶された情報が「1」か「0」かを判断する。
【0035】
次に、強誘電体メモリ201として利用可能な、本発明に係る半導体装置71の構造について、図1を参照して説明する。
【0036】
図1に示すように、半導体装置71はSi等の(半導体)基板55、基板55上に設けられた絶縁体56、絶縁体56上に設けられた酸化タンタル膜66、酸化タンタル膜66上に設けられた強誘電体膜(STN膜)57、強誘電体膜(STN膜)57上に設けられた上部電極膜62(導電性電極)を有している。
【0037】
なお、上部電極膜62と基板55間で強誘電体キャパシタを構成している。
【0038】
具体的には、基板55は、Siのような半導体基板であるが、シリコン酸化膜のような絶縁膜あるいは、金属酸化物であっても、導電性膜であっても良い。
【0039】
絶縁体56は酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料からなる。
【0040】
酸化タンタル膜66は酸化タンタル(Ta)の結晶を有する膜であり、強誘電体膜(STN膜)57を結晶化する際に下地となる部分である。
【0041】
膜の材料として酸化タンタルを選択した利点は、酸素を含んでおり、かつ格子情報が強誘電体膜(STN膜)57の結晶と近似していることである。
【0042】
また、強誘電体膜(STN膜)57との密着性がIrOを用いた場合よりも良好である。
【0043】
得られた強誘電体膜(STN膜)57は結晶粒径が100nm以下の微細な膜となる。
【0044】
また、酸化タンタルはIrOやPtと比べて低コストであり、コスト面でも有利である。
【0045】
強誘電体膜(STN膜)57は膜材料としてSr、Ta、Nbを含有する材料であり、具体的な組成は例えばSr(Ta1−xNb(0<x<1)(STN)である。
【0046】
上部電極膜62は導電体であればよく、例えばAl等が用いられる。
【0047】
半導体装置71は強誘電体メモリ201として用いることができる。
【0048】
この場合、基板55が強誘電体メモリ201の半導体基板202に相当し、半導体基板202のチャネル領域上に、絶縁体層203として酸化シリコン(SiO)等のゲート絶縁膜(絶縁体56)が形成される。さらに、絶縁体56上に酸化タンタル膜66、および強誘電体層204としての強誘電体膜(STN膜)57を形成し、電極層205として上部電極膜62を設ける。
【0049】
なお、半導体装置71を強誘電体メモリ201として用いる場合、その構成は1Tr型であっても1T−1C型、2T−2C型、1T−2C型、あるいはその他の構成であっても良い。
【0050】
次に、半導体装置71の製造方法について説明する。
【0051】
本実施形態に係る半導体装置71の製造方法としては、スパッタリング法、塗布法(先に述べたゾル−ゲル法)、有機金属化合物の気相反応(MOCVD)、有機金属化合物の液体を霧状にして基板上に導入するミスト法等が挙げられる。
【0052】
ここではスパッタリング法を例にして説明する。
【0053】
スパッタリング法を用いる場合、まず、スパッタリング処理により下地の表面に強誘電体膜を形成し(膜形成手段による膜形成工程)、その後強誘電体膜をラジカル酸化(酸素導入工程)し、加熱する(加熱手段による加熱工程)ことによって半導体装置71が得られる。
【0054】
まず、スパッタリング装置101の構造について図2を参照して説明する。
【0055】
図2に示すように、スパッタリング装置101は、例えば、上部が開口し、有底円筒状の処理容器1と、処理容器1の上部を閉鎖可能に設けられた、内部が中空な円板状の筐体2とを備えている。筐体2により処理容器1の上部を閉鎖することによって処理室3が形成される。
【0056】
処理室3内には強誘電体膜が形成される半導体ウエハ等の被処理基板10を載置する載置台4が設けられている。
【0057】
処理容器1における載置台4との対向面には、電極5が埋設されている。電極5は、処理容器1の外部に設けられた高周波電源6から電圧を印加可能な構造となっている。電極5は、保護部材17によって支持され、載置台4と対向する電極5にはターゲット7が設けられている。ターゲット7の材質は、被処理基板10に形成される強誘電体膜の種類によって定められている。
【0058】
また、処理容器1の一端の側面には、処理ガス導入口8が設けられており、処理ガス導入口8には、処理ガス供給源9に通じる処理ガス供給管11a、11b、11cが接続されている。処理ガス供給管11a、11b、11cにはバルブ12、マスフローコントローラ13等が設けられており、処理ガス供給管11cは、処理容器1の壁部を貫通して処理室3の処理ガス導入口8に通じている。従って、処理室3内には、所定圧のガスを供給できる。本実施形態においては、処理ガス供給源9に処理ガスとして、Ar、Kr、Xe等の希ガスと酸素ガスが接続されている。
【0059】
前記処理ガス導入口8に対向する処理容器1の他端には、処理室3内を排気するための排気口14が設けられている。排気口14には真空ポンプ15などの排気装置に通じる排気管16が接続されている。この排気口14からの排気によって、例えば、処理室3内を所定の圧力に減圧できる。
【0060】
このようなスパッタリング装置101において、電極の高周波電源6によって、処理室3内に供給された処理ガスがプラズマ化し、希ガスイオンが発生する。電極5の電位を負電位に維持することにより、正電荷の希ガスイオンがターゲット7側に向かって飛翔し、衝突する。この衝突によってターゲット7からターゲット種が飛び出す。この希ガスイオンが衝突する可能性のある部分、例えば、ターゲット7の周辺部には、ターゲット7と同様の構成材質で形成された保護部材17が取り付けられている。これにより、希ガスイオンが誤ってターゲットの周辺に衝突しても、その衝突部からターゲット種以外の不純物が飛び出ることがない。
【0061】
処理ガスがプラズマ化された際に、処理室3内には酸素ラジカルが生じる。ターゲット7から飛び出したターゲット種は酸素ラジカルによって酸化され、被処理基板10の表面に堆積される。処理室3における酸素ラジカルに曝される部分、例えば、処理室3の内側表面であって被処理基板10とターゲット7間には、石英の皮膜が設置されている。この石英の皮膜によって酸素ラジカルの消失が抑制され、処理室3内のターゲット種が酸化される。
【0062】
次に、強誘電体膜に酸素ラジカルにより酸素を導入するためのプラズマ処理装置について図3を参照して説明する。
【0063】
図3はプラズマ処理装置103の縦断面の様子を模式的に示しており、プラズマ処理装置103は、天井部に開口部32を備えた略円筒状の処理容器33を備えている。この処理容器33は接地されている。この処理容器33の底部には被処理基板10を載置するためのサセプタ34が設けられている。このサセプタ34は処理容器33の外部に設けられた交流電源35からの給電によって、サセプタ34内のヒータ36を発熱させることにより、サセプタ34上の被処理基板10を例えば500℃程度まで加熱できる。
【0064】
処理容器33の底部には、ターボ分子ポンプなどの排気装置38に通じ、処理容器33内の気体を排気するための排気口37が設けられている。排気口37のサセプタ34を挟んだ反対側であって、処理容器33の天井部には、供給口39が設けられている。供給口39には処理ガス供給源41に通じる供給管42a、42bがマスフローコントローラ43を介して接続されている。本実施形態においては処理ガス供給源41には、酸素ガスと希ガスのクリプトンガス(Kr)の各供給源が接続されている。供給口39から処理容器33に供給されたガスはサセプタ34の被処理基板10を通過し、排気口37から排気される。なお、クリプトンガスの代わりに他の希ガスを用いても良い。
【0065】
処理容器33の開口部32には気密性を確保するためのOリング44などのシール材を介して、例えば石英ガラスからなる誘電体窓45が設けられている。この誘電体窓45によって処理容器33が閉鎖され、処理容器33内に処理空間46が形成される。
【0066】
誘電体窓45の上方にはアンテナ部材47が設けられている。アンテナ部材47の上部には同軸導波管48が接続されている。同軸導波管48は、処理容器33の外部に設置されたマイクロ波供給装置51に接続されている。マイクロ波供給装置51で発生させた、例えば、2.45GHzのマイクロ波は、同軸導波管48を通じて前記アンテナ部材47に伝播され、誘電体窓45を介して処理空間46内に放射される。処理容器33の側部には、被処理基板10を搬入する為の搬入出口52を開閉するシャッタ53が設けられている。
【0067】
次に、加熱手段としてのアニール装置(炉)102の構造について図4および図5を参照して説明する。
【0068】
アニール装置(炉)102は、例えば、図4に示す様に軸が水平方向に向けられた略円筒形状の筐体18を有する。筐体18の軸方向の側面部はフランジ19によって閉鎖されており、筐体18内には閉鎖された処理室20が形成されている。筐体18内の中央部には、被処理基板10を載置する載置板21が設けられている。
【0069】
筐体18の径方向の側面を覆う円筒部は肉厚に形成され、図5に示すように、円筒部を均一に加熱するためにヒータ22が全周に渡って設置されている。載置板21上の被処理基板10を全周方向から偏りなく加熱できる。ヒータ22は筐体18の外部に設置された電源23に接続されており、この電源23からの給電によって発熱する。電源23は、例えば、温度コントローラ28により制御されており、温度コントローラ28は電源23の給電出力を変えることによって、ヒータ温度を制御できる。例えば、載置板21には、温度センサとして熱電対が設けられている。熱電対による温度測定結果は、温度コントローラに出力でき、温度コントローラは温度測定結果に基づいてヒータ温度を調節できる。なお、符号27は石英管である。
【0070】
筐体18の一端の側面には、処理ガス導入口24が開口されており、処理ガス導入口24には処理ガス供給源25に通じる処理ガス供給管26a、26b、26cが接続されている。処理ガス供給管26a、26b、26cにはバルブ12、マスフローコントローラ13が設けられており、処理室20内に所定圧のガスを供給できる。
【0071】
本実施形態においては処理ガス供給源25に、処理ガスとして、酸素ガスとアルゴンガスの各供給源が接続されている。なおアルゴンガスの代わりに窒素ガスを用いても良い。
【0072】
処理ガス導入口24に対向する筐体の他端の側面には筐体の外部に設置された排気装置29に通じ、処理室20内の雰囲気を排気するための排気口31が設けられている。
【0073】
図2に示したスパッタリング装置101、図3に示したプラズマ処理装置103、及び図4、図5に示したアニール装置102は、以上の様な構成を有している。次に本発明の実施形態に係る強誘電体膜57の製造方法を、半導体装置1としての強誘電体メモリ201を製造する場合を例に挙げて説明する。
【0074】
最初に、図6に示すように、被処理基板10として、シリコンウエハである基板55上に絶縁体56および酸化タンタル膜66が形成されたものを用意し、スパッタリング装置101に搬送し、図2に示す様に載置台4上に固定する。
【0075】
ここで、酸化タンタル膜の形成は、タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを不活性ガス雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルをゾル−ゲル法により形成する工程のいずれかを用いてよいが、いずれの場合も形成された酸化タンタル膜を酸素ラジカルで酸化することが好ましい。また、タンタルを不活性ガス雰囲気中でスパッタし、その後タンタル膜を、酸素ラジカルで酸化する工程もよい。膜厚は、強誘電膜に電圧のほとんどを印加させるため、10nm以下が望ましい。
【0076】
被処理基板10が載置台4に保持されると、排気口14から処理室3内の気体が排気され、処理室3内が例えば10−7Pa程度に減圧される。処理ガス導入口8から、アルゴンガスと酸素ガスが供給され、処理室3内がアルゴンガスと酸素ガスで満たされる。なお、処理室3内の圧力は例えば4Pa程度である。
【0077】
続いて、電極5に負電位の高周波電圧が印加され、この高周波電圧によって処理室3内のガスがプラズマ化され、アルゴンはアルゴンイオンになる。このアルゴンイオンは負電位の電極5側に引き寄せられ、高速でターゲット7に衝突する。ターゲット7にアルゴンイオンが衝突すると、ターゲット7からターゲット種が飛び出す。この飛び出したターゲット種は酸素ガスがプラズマ中で生じた酸素ラジカルによって酸化され、図7に示すように酸化タンタル膜66上に強誘電体膜57が形成される。
【0078】
強誘電体膜57の堆積が所定時間継続されると高周波電圧の印加が停止され、スパッタリング装置におけるスパッタリング処理が終了する。
【0079】
強誘電体膜57が形成されると、被処理基板10は、スパッタリング装置101から搬出されプラズマ処理装置103に搬送される。
【0080】
プラズマ処理装置103では、被処理基板10が搬入出口52から搬入され、図3に示したように、例えば400℃に維持されたサセプタ34上に載置される。続いて供給口39から、酸素ガスとクリプトンガスの混合ガスが処理空間内に供給され処理空間内が混合ガス雰囲気に置換される。排気口37からは、処理空間内の気体が排気され、処理空間内が所定の圧力、例えば、133Pa程度に減圧される。さらに、マイクロ波供給装置51によってマイクロ波を発生させて、このマイクロ波がアンテナ部材47に伝播される。そして処理空間内の混合ガスがマイクロ波によってプラズマ化され、それによって処理空間内に発生した酸素ラジカル58によって図8に示す様に強誘電体膜57に酸素が導入される。なおこの際、強誘電体膜57には少量のクリプトンも導入される。
【0081】
所定時間、強誘電体膜57に酸素ラジカルによって酸素が導入されると、アンテナ部材47からのマイクロ波の放射が停止され、被処理基板10はプラズマ処理装置103から搬出される。
【0082】
なお、図9に示すように、搬出された被処理基板10を再度スパッタリング装置101に搬送して、スパッタリング処理とプラズマ処理を繰り返すことにより、多層の強誘電体膜57a、57b…57cを形成してもよい。
【0083】
この場合、強誘電体膜57a、57b…57cの厚さは例えば1nm以上10nm程度である。
【0084】
スパッタリング処理が終了すると、図4および図5に示すように被処理基板10はアニール装置102に搬送され、ヒータ22によって例えば900℃に昇温された載置板21上に載置される。処理ガス導入口24から処理室20内に酸素ガスあるいはアルゴンガスが導入されると共に、排気口31からは処理室20内の気体が排気される。このように、処理室内には、軸方向に流れる気流が形成され、処理室20内がパージされ続けると共に、処理室20内が酸素ガスとアルゴンガスの雰囲気に置換される。900℃に維持された載置板21上に載置された被処理基板10は加熱され、強誘電体膜57が酸化されて結晶化する。強誘電体膜57が結晶化されると、被処理基板10がアニール装置102から取り出され、アニール処理が終了する。
【0085】
アニール処理が終了すると、図1に示すように、強誘電体膜57上に上部電極膜62として上部導電体膜が形成される。上部導電体膜の成膜は、例えば、上述したようなスパッタリング処理により行われる。
【0086】
成膜時に使用するガス種を衝突断面積の大きなKr、Xeを用いると強誘電体膜57へのダメージが低減するため回復アニール工程を省略できる。
【0087】
上部電極膜62をスパッタリングによって成膜する場合、導入ガスとして例えば希ガスであるKr、Xe、あるいはKr、Xeと酸素を用いた場合、Xeの衝突断面積がArのものより大きい為、下層にある強誘電体膜57に対するダメージが低減されるため通常行われる回復アニール工程を省略することが可能である。
【0088】
以上の工程により、図1に示すような半導体装置71が作製される。
【0089】
このように、第1の実施形態によれば、半導体装置71が基板55、絶縁体56、酸化タンタル膜66、強誘電体膜(STN膜)57、上部電極膜62を有し、強誘電体膜(STN膜)57は下地としての酸化タンタル膜66上に設けられている。
【0090】
そのため、強誘電体膜(STN膜)57は酸素欠損がなく、微細な結晶粒径(100nm以下)を有し、下地との密着性に優れている。
【0091】
また、半導体装置71は酸化タンタル膜66上に強誘電体膜(STN膜)57を設けた構造となっているため、従来よりも小型化が可能で、安定した動作が可能であり、かつ低コストである。
【0092】
次に、第2の実施形態に係る半導体装置71aについて図13〜図15を参照して説明する。
【0093】
第2の実施形態に係る半導体装置71aは、第1の実施形態において、窒化シリコン(SiN)膜76をさらに設けたものである。
【0094】
まず、図13を参照して半導体装置71aの概略構成を説明する。
【0095】
図13に示すように、半導体装置71aは絶縁体としてのSiO膜77と、基板55の間にSiN膜76が設けられている。
【0096】
このように、SiO膜77と基板55の間にSiN膜76を設けてもよく、このような構造とすることにより、ゲート絶縁物の誘電率を増加させることができる。
【0097】
次に、半導体装置71aの製造方法について図14および図15を参照して説明する。
【0098】
まず、基板55としてSi基板を用意し、図14に示すように、基板55の表面を窒化してSiN膜76を形成する。
【0099】
窒化処理の方法は特に限定しないが、例えばプラズマ処理が挙げられる。
【0100】
次に、窒化処理を施した基板55の表面に酸化タンタル膜66を形成する。
【0101】
酸化タンタル膜66の形成は、タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを不活性ガス雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルをゾル−ゲル法により形成する工程、のいずれかを用いてよいが、いずれの場合も形成された酸化タンタル膜を酸素ラジカルで酸化することが好ましい。ここではタンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成した。酸化雰囲気中でスパッタが行なわれるため、酸化タンタル膜66の形成の際には図15に示すようにSiN膜76の表面が酸化されてSiO膜77が形成され、SiO膜77上に酸化タンタル膜66が形成される。
【0102】
このようにして、SiO膜77と基板55の間にSiN膜76を設けることができる。
【0103】
なお、強誘電体膜(STN膜)57の形成方法は特に限定されないが、ゾル−ゲル法により形成する方法、スパッタリング形成する方法、および有機金属化合物の気相反応によって形成する方法のどれであってもよい。
【0104】
ここでは、酸化タンタル膜66上に強誘電体膜(STN膜)57および上部電極膜62を形成する工程は、第1の実施形態と同様としたため、説明を省略する。
【0105】
このように、第2の実施形態によれば、半導体装置71が基板55、SiN膜76、SiO膜77、酸化タンタル膜66、強誘電体膜(STN膜)57、上部電極膜62を有し、強誘電体膜(STN膜)57は下地としての酸化タンタル膜66上に設けられている。
【0106】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0107】
また、第2の実施形態によれば、半導体装置71がSiO膜77と基板55の間に設けられたSiN膜76を有している。
【0108】
そのため、第1の実施形態と比べて半導体装置71aの強誘電体メモリとしての特性をさらに向上させることができる。
【実施例】
【0109】
次に、具体的な実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
【0110】
[実施例1]
図2〜図5に示すスパッタリング装置101、プラズマ処理装置103、アニール装置(炉)102を用いた。最初に900℃のドライ酸化により、10nmのSiO2膜を形成し、その後、入射パワー0.6kW、圧力0.8Pa、Ar100%の条件下でタンタル膜をスパッタ形成し、入射パワー0.7kW、圧力133Pa、Kr/O2=97%/3%の条件下でプラズマ酸化によりタンタル膜の酸化処理を行い、酸化タンタル膜6nmを成膜し、さらにSTN膜を180nm形成し、STN膜の表面を倍率10万倍にて観察した。結果を図10に示す。
【0111】
図10から明らかなように、STN膜は数10nmサイズの結晶粒径を有する微細な結晶を有しており(例えば図10の白矢印A、Bの示す領域)、酸化タンタル薄膜上にSTN膜を形成することによって、結晶粒の微細化が図れることが分かった。
【0112】
[実施例2]
図2〜5に示すスパッタリング装置101、プラズマ処理装置103、アニール装置(炉)102を用いて図1に示す半導体装置71を作製し、高周波CV特性を評価した。
【0113】
まず、基板55としてCzP型Siを用意し、基板55上に絶縁体56としてSiOを10nm形成した。
【0114】
さらに、絶縁体56に実施例1と同様の条件で酸化タンタル膜66としてTaを23nm形成し、強誘電体膜(STN膜)57として比誘電率(STN)=43を180nm形成した。
【0115】
上部電極膜62としてはAlをスパッタリングにより形成した。
【0116】
強誘電体膜(STN膜)57のキャパシタ面積が2.0×10−4cm、印加電圧の周波数が1MHzの条件下で高周波CV特性を評価した。
【0117】
結果を図11に示す。
【0118】
図11から明らかなように、半導体装置71のCV特性は、強誘電性を示すヒステリシス曲線を描いており、強誘電体膜57の抗電界は58.3kV/cmであることが分かった。
【0119】
また、強誘電体膜(STN膜)57に由来するメモリウィンド(ΔVg)は2.1Vであることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上説明の通り本発明の強誘電体膜、半導体装置、及びそれらの製造方法並びに強誘電体デバイスは、強誘電体メモリ装置等の電子部品や電子機器の製造に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置71の縦断面図である。
【図2】スパッタリング装置101の縦断面図である。
【図3】プラズマ処理(酸素ラジカル処理)装置103を示す図である。
【図4】アニール装置102を側面から見た時の縦断面図である。
【図5】図3のアニール装置102を正面から見た時の縦断面図である。
【図6】本発明の実施形態による基板55上に絶縁体56および酸化タンタル膜66が形成された被処理基板10の断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る酸化タンタル膜66上に強誘電体膜57が形成された被処理基板10の断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る強誘電体膜57に酸素ラジカルが導入された被処理基板10の断面図である。
【図9】図8の変形例である。
【図10】酸化タンタル膜上に形成された強誘電体膜の電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施形態による酸化タンタル膜66上に形成された強誘電体膜57のCV特性を示す図である。
【図12】強誘電体メモリ201の構造を示す図である。
【図13】第2の実施形態に係る半導体装置71aの縦断面図である。
【図14】第2の実施形態に係る基板55上にSiN膜76が形成された被処理基板10aの断面図である。
【図15】第2の実施形態に係る基板55上にSiN膜76が形成され、SiN膜76上に酸化タンタル膜66が形成された被処理基板10aの断面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 処理容器
2 筐体
3 処理室
4 ウエハ載置台
5 電極
6 高周波電源
7 ターゲット
8 処理ガス導入口
10 被処理基板
11a、11b、11c 処理ガス供給管
12 バルブ
13 マスフローコントローラ
14 排気口
15 真空ポンプ
16 排気管
17 保護部材
18 筐体
19 フランジ
20 処理室
21 載置板
22 ヒータ
23 電源
24 処理ガス導入口
25 処理ガス供給源
26a、26b、26c 処理ガス供給管
27 石英管
28 温度コントローラ
29 排気装置
31 排気口
32 開口部
33 処理容器
34 サセプタ
35 交流電源
36 ヒータ
37 排気口
38 排気装置
39 供給口
41 処理ガス供給源
42a、42b 供給管
43 マスフローコントローラ
44 Oリング
45 誘電体窓
46 処理空間
47 アンテナ部材
48 同軸導波管
51 マイクロ波供給装置
52 搬入出口
53 シャッタ
55 基板
56 絶縁体
57 強誘電体膜(STN)
58 酸素ラジカル
62 上部電極膜
66 酸化タンタル膜
101 スパッタリング装置
102 アニール装置(炉)
103 プラズマ処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地上に形成されたSr、Ta、及びNbを主成分とする多結晶強誘電体材料の膜を含む強誘電体膜であって結晶粒径が100nm以下であることを特徴とする強誘電体膜。
【請求項2】
膜材料としてSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体材料が用いられ、酸化タンタルを含む下地上に形成されたことを特徴とする強誘電体膜。
【請求項3】
請求項1または2に記載の強誘電体膜において、前記下地はTaであることを特徴とする強誘電体膜。
【請求項4】
請求項1乃至3の一つに記載の強誘電体膜において、前記強誘電体材料は以下の組成式で表される材料であることを特徴とする強誘電体膜。
Sr(Ta1−xNb(0<x<1)…(式1)
【請求項5】
請求項1乃至4の一つに記載の強誘電体膜において、酸素ラジカルによって酸素成分が導入されていることを特徴とする強誘電体膜。
【請求項6】
請求項5に記載の強誘電体膜において、希ガス元素を含有することを特徴とする強誘電体膜。
【請求項7】
請求項6に記載の強誘電体膜において、前記希ガス元素は、Kr、Xeの内の少なくとも1種であることを特徴とする強誘電体膜。
【請求項8】
酸化タンタルを含む基板上にSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜を形成する膜形成工程を有することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の強誘電体膜の製造方法において、
前記強誘電体膜を酸素ラジカルによって酸化する酸素導入工程をさらに有し、
前記酸素導入工程の酸素ラジカルは、希ガス及び酸素を含むプラズマ処理によって生成されることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の強誘電体膜の製造方法において、前記希ガスは、Kr、Xeの内の少なくとも1種からなることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10の内のいずれか一つに記載の強誘電体膜の製造方法において、前記強誘電体膜を加熱する加熱工程を備えていることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11の内のいずれか一つに記載の強誘電体膜の製造方法において、前記強誘電体膜の成膜を、塗布、スパッタリング又は有機金属化合物の気相反応によって行うことを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の強誘電体膜の製造方法において、前記有機金属化合物の気相反応による成膜は、プラズマ中において行われることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項14】
請求項8〜11の内のいずれか一つに記載の強誘電体膜の製造方法において、前記強誘電体膜の成膜を有機金属化合物の液体を霧状にして基板上に導入し、反応することにより前記強誘電体膜を成膜することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の強誘電体膜の製造方法において、前記強誘電体膜の成膜を有機金属化合物の液体を霧状にしてプラズマ中において反応し、基板上に導入することにより成膜することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【請求項16】
酸化タンタルを含む下地膜上にSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体材料からなる強誘電体膜が設けられ、さらに、その上に直接又は間接に導電性電極が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
下地膜上にSr、Ta、及びNbを主成分とする多結晶強誘電体材料からなる強誘電体膜が設けられ、さらに、その上に直接又は間接に導電性電極が設けられている半導体装置において、前記強誘電体膜の結晶粒径が100nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項16または17に記載の半導体装置において、前記下地はTaを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項16乃至18の一つに記載の半導体装置において、前記強誘電体材料は以下の組成式で表される材料であることを特徴とする半導体装置。
Sr(Ta1−xNb(0<x<1)…(式1)
【請求項20】
請求項16乃至19の一つに記載の半導体装置において、前記強誘電体膜は、酸素ラジカルによって酸素成分が導入されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体装置において、前記強誘電体膜は、希ガス元素を含有することを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
請求項21に記載の半導体装置において、前記希ガス元素は、Kr、Xeの内の少なくとも1種であることを特徴とする半導体装置。
【請求項23】
請求項16〜22の内のいずれか一つに記載の半導体装置において、前記導電性電極部分をゲートとし、前記強誘電体膜をゲート絶縁膜の一部とした電界効果型トランジスタを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項24】
請求項23に記載の半導体装置において、前記ゲート絶縁膜はさらに前記下地膜と半導体基板との間に設けられた絶縁物膜とを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項25】
請求項16〜24の内のいずれか一つに記載の半導体装置において、Si基板と、前記Si基板上に形成された絶縁物膜とを有し、前記下地膜は前記絶縁膜上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項26】
請求項24または25に記載の半導体装置において、前記絶縁膜はシリコン酸化膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項27】
請求項24〜26の内のいずれか一つに記載の半導体装置において、前記絶縁膜は窒化シリコン膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項28】
請求項16〜25の内のいずれか一つに記載の半導体装置において、シリコン基板上に形成された窒化シリコン膜とその上に形成されたシリコン酸化膜とを含む絶縁膜を有し、前記下地膜は前記絶縁膜上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項29】
請求項16〜28の内のいずれか一つに記載の半導体装置において、強誘電体メモリに用いられることを特徴とする半導体装置。
【請求項30】
酸化タンタルを含む下地膜上にSr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体膜を形成する膜形成工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の半導体装置の製造方法において、前記強誘電体膜を酸素ラジカルによって酸化する酸素導入工程および前記強誘電体膜をアニールする熱処理工程をさらに有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の半導体装置の製造方法において、半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と前記絶縁膜上に前記下地膜を形成する工程をさらに有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項33】
請求項30〜32の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、前記絶縁膜を形成する工程は、前記半導体基板表面を窒化して窒化膜を形成する工程および酸化膜を形成する工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項34】
請求項30〜33の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、前記下地膜を形成する工程は、タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを不活性ガス雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルを酸化雰囲気中でスパッタ形成する工程、酸化タンタルをゾル−ゲル法により形成する工程、タンタル膜を酸素ラジカルで酸化する工程、および酸化タンタル膜を酸素ラジカルで酸化する工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項35】
請求項30〜34の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、前記強誘電体膜を形成する膜形成工程は、前記強誘電体膜をゾル−ゲル法により形成する工程、前記強誘電体膜をスパッタリング形成する工程、および前記強誘電体膜を有機金属化合物の気相反応によって形成する工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項36】
請求項30〜35の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、前記下地膜を形成する工程および前記強誘電体膜を形成する膜形成工程の一方または両方は、前工程から半導体装置を外気に曝すことなく行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項37】
請求項30に記載の半導体装置の製造方法において、前記下地はTaであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項38】
請求項35に記載の半導体装置の製造方法において、前記膜形成工程では、処理室の少なくともターゲット周辺の内側表面がターゲットと同様の構成材質で形成されている処理室内において、前記ターゲットに対しプラズマ中のイオンを衝突させ、当該衝突によって発生したターゲット原子を下地に堆積させることによって、前記強誘電体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項39】
請求項35に記載の半導体装置の製造方法において、酸素ラジカルによって酸素成分が導入されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項40】
請求項39に記載の半導体装置の製造方法において、前記酸素導入工程の酸素ラジカルは、希ガス及び酸素を含むプラズマ処理によって生成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項41】
請求項40に記載の半導体装置の製造方法において、前記希ガスは、Kr、Xeの内の少なくとも1種からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項42】
請求項35に記載の半導体装置の製造方法において、前記有機金属化合物の気相反応による成膜は、プラズマ中において行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項43】
請求項30〜42の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において
前記強誘電体膜の成膜をプラズマ中における有機金属化合物の気相反応によって行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項44】
請求項30〜42に記載の半導体装置の製造方法において、前記強誘電体膜を有機金属化合物の液体を霧状にして基板上に導入し、反応することにより成膜することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項45】
請求項44に記載の半導体装置の製造方法において、前記強誘電体膜の成膜を有機金属化合物の液体を霧状にしてプラズマ中において反応し、基板上に導入することにより成膜することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項46】
請求項30〜42の内のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、Si基板の表面上にSiN層を形成する工程と、前記SiN層上に酸化雰囲気で酸化タンタルを含む下地を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項47】
酸化タンタルを含む下地と、前記下地上に設けられ、Sr、Ta、及びNbを主成分とする強誘電体材料からなる強誘電体膜とを有することを特徴とする強誘電体デバイス。
【請求項48】
請求項47に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記強誘電体膜の結晶粒径が100nm以下であることを特徴とする強誘電体デバイス。
【請求項49】
請求項47に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記下地はTaであることを特徴とする強誘電体デバイス。
【請求項50】
請求項47に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記強誘電体材料は以下の組成式で表される材料であることを特徴とする強誘電体デバイス。
Sr(Ta1−xNb(0<x<1)…(式1)
【請求項51】
請求項47に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記強誘電体膜は、酸素ラジカルによって酸素成分が導入されていることを特徴とする強誘電体デバイス。
【請求項52】
請求項51に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記強誘電体膜は、希ガス元素を含有することを特徴とする強誘電体デバイス。
【請求項53】
請求項51に記載の強誘電体デバイスにおいて、前記希ガス元素は、Kr、Xeの内の少なくとも1種であることを特徴とする強誘電体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−16127(P2010−16127A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173864(P2008−173864)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000173658)財団法人国際科学振興財団 (31)
【Fターム(参考)】