説明

排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システム

【課題】 エンジンが低回転・低負荷の排気ガス低温運転領域にある場合であっても、NOxをNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出することなく、NOx吸蔵還元型触媒を再生することができる排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムを提供する。
【解決手段】 NOx吸蔵還元型触媒50を備えた排気ガス浄化システム10において、触媒温度Tg が貴金属触媒の活性開始温度Tc 未満である時には、NOx吸蔵推定量Rnox が、活性開始温度Tc におけるNOx吸蔵飽和量R0 の値に設定された所定の第2判定値R02に達した時に、排気昇温制御を開始して、触媒温度Tg を活性開始温度Tc 以上に昇温した後、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒50のNOx吸蔵能力を回復する再生制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を還元して浄化するNOx吸蔵還元型触媒を備えた排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンや一部のガソリンエンジン等の内燃機関や様々な燃焼装置の排気ガス中からNOx(窒素酸化物)を還元除去するためのNOx触媒について種々の研究や提案がなされている。その一つに、ディーゼルエンジン用のNOx低減触媒としてNOx吸蔵還元型触媒があり、有効に排気ガス中のNOxを浄化できる。
【0003】
このNOx吸蔵還元型触媒は、図8に示すような構造のモノリスハニカム30M等で形成されており、このモノリスハニカム30Mは、図9に示すように、コージィエライト若しくはステンレスで形成された構造材の担体31に、多数の多角形のセル30Sを形成して構成される。このセル30Sの壁面には図9及び図10に示すように、アルミナ(Al2 3 )やゼオライトで形成された触媒担持層となる多孔質の触媒コート層34が設けられ、この排気ガスと接触する表面積を稼いでいる触媒コート層34の表面に担持貴金属(触媒活性金属)32とNOx吸蔵材(NOx吸蔵物質:NOx吸蔵剤:NOx吸収剤)33を担持し、これらにより触媒機能を発生させている。
【0004】
図11及び図12にNOx吸蔵還元型触媒の担持層表面の触媒物質32,33の配置とNOx吸蔵還元メカニズムを示す。このNOx吸蔵還元型触媒は、触媒コート層34に、酸化機能を持つ白金(Pt)等の担持貴金属32とNOx吸蔵機能を持つカリウム(K),ナトリウム(Na),リチウム(Li),セシウム(Cs)等のアルカリ金属、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属、ランタン(La),イットリウム(Y)等の希土類等の中から幾つかから形成されるNOx吸蔵材33が担持され、排気ガス中の酸素濃度によってNOx吸蔵とNOx放出・浄化の二つの機能を持っている。
【0005】
そして、図11に示すように、通常のディーゼルエンジン、希薄燃焼ガソリンエンジン等の排気ガス中に酸素(O2 )が含まれる排気ガスの空燃比がリーン空燃比状態の場合には、排気ガス中に含まれる酸素によって、エンジンから排出される一酸化窒素(NO)を担持貴金属32の酸化触媒機能によって二酸化窒素(NO2 )に酸化する。そして、その二酸化窒素をNOx吸蔵機能を持つバリウム等のNOx吸蔵材33に硝酸塩のかたちで吸蔵し、NOxを浄化する。
【0006】
しかし、このままであるとNOx吸蔵機能を持つNOx吸蔵材33は、全て硝酸塩に変化してNOx吸蔵機能を失ってしまう。そこで、エンジンの運転条件を変えたり、排気通路中に燃料噴射をしたりして、排気ガス中に酸素が存在しないで、一酸化炭素(CO)濃度が高く、排気温度も高い排気ガス、即ち、過濃燃焼排気ガスを作り出し触媒に送る。
【0007】
そして、図12に示すように、排気ガス中に酸素が無く、一酸化炭素濃度が高く、排気ガス温度が上昇したリッチ空燃比状態にすると、NOxを吸蔵した硝酸塩は二酸化窒素を放出し元のバリウム等に戻る。この放出された二酸化窒素を、排気ガス中に酸素が存在しないので、担持貴金属32の酸化機能により、排気ガス中の一酸化炭素,炭化水素(HC),水素(H2 )を還元剤として、水(H2 O),二酸化炭素(CO2 ),窒素(N2 )に還元し浄化する。
【0008】
そのため、NOx吸蔵還元型触媒を備えた排気ガス浄化システムでは、NOx吸蔵推定量がNOx吸蔵飽和量になった時に、排気ガスの空燃比をリッチにして、流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるNOx吸蔵能力回復用のリッチ制御を行うことにより吸収したNOxを放出させて、この放出されたNOxを貴金属触媒により還元させる再生操作を行っている。
【0009】
しかしながら、このNOx吸蔵還元型触媒は、触媒温度が低い温度では、反応活性が極端に低下するため、エンジンの排気ガス温度が250℃程度以下となる低温度運転領域では、NOxに対する化学的吸蔵反応、及び、リッチ排気ガスによるNOx放出・浄化反応も極端に低下してしまう。
【0010】
そのため、内燃機関の排気系に配置された排気浄化触媒を速やかに活性させるとともに活性開始温度域に維持することを目的として、吸気弁の開閉時期、リフト量を変更する可変動弁機構と、吸気絞り弁とを制御すると共に、燃料噴射弁を制御してポスト噴射を行い、排気温度を上昇させる排気昇温手段を備えた圧縮着火式内燃機関の排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
また、一方で、図13に示すように、エンジンが低負荷運転を行っているような排気ガスが著しく低い、極低温域にある場合に、NOx吸蔵推定量がNOx吸蔵飽和量になってNOx吸蔵還元型触媒の再生を開始する時に、シリンダ内への燃料噴射制御において噴射時期遅延、ポスト噴射等を行う排気ガス昇温制御等によって排気ガスを昇温させている。これにより、触媒温度を上昇させて、NOx吸蔵還元型触媒の再生時における触媒活性を向上させている。
【0012】
このような排気浄化装置の一つとして、NOxトラップ触媒(NOx吸蔵還元型触媒)に吸着したNOxの量が、再生時期に対応する所定量NOx2よりも小さな値に設定される所定量NOx1に達したか否かで、再生時期が近くなったかを判定し、再生準備状態に入り、触媒ベッド温度が触媒の活性開始温度よりも低いと判断した場合に、吸気絞りなどにより排気の空気過剰率λを小さくし、排気温度を上昇させることにより、その後リッチスパイクモードに移行した時に、NOx再生が円滑に行われ、長期間のリッチ化による運転性の悪化等を回避することができる内燃機関の排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
しかしながら、NOx吸蔵還元型触媒の触媒活性化温度以下、特に200℃以下の極低温域では、化学的な吸蔵ではなく、物理的吸着の状態となるが、以下では、煩雑さを避けるため、触媒活性化温度より高い状態における化学的な吸蔵だけではなく、この物理的な吸着も含めて「吸蔵」で表現することにする。
【0014】
そして、触媒温度とのNOx吸蔵飽和量との関係は、図7に示すように、触媒温度Tg が上昇すると、NOx吸蔵材のNOx吸蔵飽和量R0 が低下するため、再生時期が近く、かつ、NOx吸蔵還元型触媒が低温時の時に、再生準備で昇温を開始すると、図7に示すA領域に所定量NOx1を設定した場合には、NOx吸蔵還元型触媒の昇温に伴い、NOx吸蔵飽和量R0 が減少するので、昇温中にNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されていたNOxが離脱して放出される。
【0015】
また、一方で、貴金属触媒の触媒温度と浄化率との関係は、図14に示すような関係にあり、触媒温度がNOx吸蔵還元型触媒の貴金属触媒の活性開始温度Tc(触媒にもよるが、約250℃〜300℃)に達しない内に、空気過剰率λを小さくし、排気ガスをリッチ状態にすると、例え、図7に示すB領域であったとしても、NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されていたNOxが放出される。そのため、特許文献2の排気浄化装置のように、空気過剰率λを小さくして排気昇温を行うと、昇温中にNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されていたNOxが放出されてしまうことになる。
【0016】
この昇温中に放出されたNOxは、触媒温度Tg が貴金属触媒の活性開始温度Tc に達する前では、この貴金属触媒の触媒活性が低いため、触媒作用で還元されずに、NOxのままでNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出されてしまう。また、NOx還元の際の還元剤となるべきHCやCO等もNOx吸蔵還元型触媒の下流側に排出されてしまう。
【0017】
従って、再生準備として排気ガスの昇温制御を開始する際の所定量NOx1を如何に設定するかが重要であり、また、触媒温度Tg が活性開始温度Tc に到達するまでは、NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されているNOxを放出させないようにしながら、昇温することが重要である。
【特許文献1】特開2003−120368号公報
【特許文献2】特開2004−36552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、排気ガス中のNOxの浄化のためにNOx吸蔵還元型触媒を用いる排気ガス浄化システムにおいて、エンジンが低回転・低負荷の排気ガス低温運転領域にある場合であっても、NOxをNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出することなく、NOx吸蔵還元型触媒を再生することができる排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記のような目的を達成するための排気ガス浄化方法は、排気ガスの空燃比が、リーン状態の場合にNOxを吸蔵し、かつ、リッチ状態の場合に吸蔵していたNOxを放出すると共に還元するNOx吸蔵還元型触媒を備え、該NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されたと推定されるNOx吸蔵推定量が所定の判定値に達した時に、該NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するための再生制御を行う排気ガス浄化システムにおいて、
排気ガス又は触媒の温度を検出する温度センサの検出値に基づいて、前記NOx吸蔵還元型触媒の触媒温度が前記NOx吸蔵還元型触媒が担持している貴金属触媒の活性開始温度以上であるか否かを判定し、
活性開始温度以上である時には、前記NOx吸蔵推定量が、前記触媒におけるNOx吸蔵飽和量により設定された所定の第1判定値に達した時に、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復し、
活性開始温度未満である時には、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量の値に設定された所定の第2判定値に達した時に、排気昇温制御を開始して、前記触媒温度を活性開始温度以上に昇温した後、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復する再生制御を行うことを特徴とする方法である。
【0020】
なお、NOx吸蔵還元型触媒のNOxの浄化に関しては、NOx吸蔵還元型触媒の触媒活性化温度以下、特に200℃以下の極低温域では、化学的な吸蔵ではなく、物理的吸着の状態となるが、ここでは「吸蔵」との表現に、触媒活性化温度より高い状態における化学的な吸蔵だけではなく、この物理的な吸着も含めている。
【0021】
そして、上記の排気ガス浄化方法において、前記所定の第2判定値を、前記排気昇温制御が終了した時に、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量となる値に設定する。即ち、排気昇温制御中に吸蔵されるNOx量、即ち、排気昇温制御によるNOx吸蔵推定量の増分を、予め差し引いた値を前記所定の第2判定値とする。
【0022】
このように、所定の第2判定値が、排気昇温制御による昇温によって、NOx吸蔵還元型触媒からNOxが放出されない値とすることにより、エンジンが低回転・低負荷の排気ガス低温運転領域にある場合であっても、NOxをNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出することなく、NOx吸蔵還元型触媒を再生することができる。
【0023】
また、触媒温度が貴金属触媒の活性開始温度に達してからストイキ又はリッチ制御するので、ストイキ又はリッチ制御によって排気ガス中に発生するHCやCO等はNOx還元の還元剤として消費されるので、これらのNOx吸蔵還元型触媒の下流側への排出も防止される。
【0024】
また、上記のような目的を達成するための排気ガス浄化システムは、排気ガスの空燃比が、リーン状態の場合にNOxを吸蔵し、かつ、リッチ状態の場合に吸蔵していたNOxを放出すると共に還元するNOx吸蔵還元型触媒を備え、該NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されたと推定されるNOx吸蔵推定量が所定の判定値に達した時に、該NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するための再生制御を行う再生制御手段を備えた排気ガス浄化システムにおいて、
排気ガス又は触媒の温度を検出する温度センサの検出値から触媒温度を検出する触媒温度検出手段と、
該触媒温度検出手段で検出された触媒温度が、前記NOx吸蔵還元型触媒が担持している貴金属触媒の活性開始温度以上であるか否かを判定する触媒温度判定手段と、
該触媒温度判定手段による判定が、活性開始温度以上である時には、前記NOx吸蔵推定量が、前記触媒におけるNOx吸蔵飽和量により設定された所定の第1判定値に達した時に、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復し、活性開始温度未満である時には、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量の値に設定された所定の第2判定値に達した時に、排気昇温制御を開始して、前記触媒温度を活性開始温度以上に昇温した後、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復する再生制御を行う再生制御手段とを備えて構成される。
【0025】
また、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記所定の第2判定値を、前記排気昇温制御が終了した時に、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量となる値に設定する。
【0026】
なお、ここでいう排気ガスの空燃比状態とは、必ずしもシリンダ内における空燃比の状態を意味するものではなく、NOx吸蔵還元型触媒に流入する排気ガス中に供給した空気量と燃料量(シリンダ内で燃焼した分も含めて)との比のことをいう。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係る排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムによれば、エンジンが低回転・低負荷の排気ガス低温運転領域にある場合であっても、NOxをNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出することなく、NOx吸蔵還元型触媒を再生することができるので、低温域のNOx浄化性能を向上させると共に、燃費、HC,CO排気ガスの悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、ここでいう排気ガスのストイキ状態ヤリッチ状態とは、必ずしもシリンダ内でストイキ燃焼やリッチ燃焼する必要はなく、NOx吸蔵還元型触媒に流入する排気ガス中に供給した空気量と燃料量(シリンダ内で燃焼した分も含めて)との比が理論空燃比に近い状態か又は理論空燃比より燃料量が多いストイキ又はリッチの状態であることをいう。
【0029】
図1に示す排気ガス浄化システム10は、エンジン(内燃機関)1の排気通路20に、NOx吸蔵還元型触媒50が配置されて構成される。
【0030】
このNOx吸蔵還元型触媒50は、モノリス触媒で形成され、酸化アルミニウム、酸化チタン等の担持体に触媒コート層を設け、この触媒コート層に、白金(Pt)(Pd)等の貴金属触媒(触媒金属)とバリウム(Ba)等のNOx吸蔵材(NOx吸蔵物質)を担持させて構成される。
【0031】
このNOx吸蔵還元型触媒50では、酸素濃度が高い排気ガスの状態(リーン空燃比状態)の時に、排気ガス中のNOxをNOx吸蔵材が吸蔵することにより、排気ガス中のNOxを浄化し、酸素濃度が低いかゼロの排気ガス状態の時に、吸蔵したNOxを放出すると共に放出されたNOxを貴金属触媒の触媒作用により還元することにより、大気中へのNOxの流出を防止する。
【0032】
このNOx吸蔵還元型触媒50の入口側に、触媒入口NOxセンサ51とNOx吸蔵還元型触媒50の触媒温度Tg を検出するための触媒入口排気ガス温度センサ52が、また、出口側に、触媒出口NOxセンサ53がそれぞれ配設されている。更に、排気通路20のNOx吸蔵還元型触媒コンバータ50の上流側に、ターボチャージャ21のタービン21aが配置される。
【0033】
一方、吸気通路30には、マスエアフローセンサ(MAFセンサ)31とターボチャジャー21のコンプレッサー(図示しない)と吸気絞り弁(吸気スロットル弁)32とが設けられ、また、タービン21aの上流側の排気通路20と吸気通路30とを接続するEGR通路40が設けられ、このEGR通路40には、EGRクーラー41とEGR弁42が設けられている。
【0034】
そして、エンジン1の運転の全般的な制御を行うと共に、NOx吸蔵還元型触媒50のNOx浄化能力の回復制御も行う制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット)60が設けられる。この制御装置60に触媒入口NOxセンサ51、触媒入口排気ガス温度センサ52、触媒出口NOxセンサ53等からの検出値が入力され、この制御装置60からエンジン1のEGR弁42や燃料噴射用のコモンレール電子制御燃料噴射装置の燃料噴射弁61や吸気絞り弁32等を制御する信号が出力される。
【0035】
この排気ガス浄化システム10においては、空気Aは、吸気通路30のマスエアフローセンサ(MAFセンサ)31とターボチャジャー21のコンプレッサー(図示しない)を通過して、吸気絞り弁32によりその量を調整されてシリンダ内に入る。そして、シリンダ内で発生した排気ガスGは、排気通路20のターボチャジャー21のタービン21aを駆動し、NOx吸蔵還元型触媒50を通過して浄化された排気ガスGcとなって、図示しない消音器を通って大気中に排出される。また、排気ガスGの一部はEGRガスGeとして、EGR通路40のEGRクーラー41を通過し、EGR弁42でその量を調整されて吸気通路30側に再循環される。
【0036】
そして、この排気ガス浄化システム10の制御装置が、エンジン1の制御装置60に組み込まれ、エンジン1の運転制御と並行して、排気ガス浄化システム10の制御が行われる。この排気ガス浄化システム10の制御装置は、図2に示すようなNOx吸蔵還元型触媒の制御手段C1 を備えて構成される。
【0037】
このNOx吸蔵還元型触媒の制御手段C1 は、NOx吸蔵還元型触媒50の再生や脱硫(サルファパージ)等の制御を行う手段であり、NOx濃度検出手段C11、触媒温度検出手段C12、触媒温度判定手段C13、低温域再生制御手段C20と高温域再生制御手段C30等を有して構成される。
【0038】
NOx濃度検出手段C11は、排気ガス中のNOx濃度を検出する手段であり、触媒入口NOxセンサ51と触媒出口NOxセンサ53を有している。なお、このNOxセンサにNOx濃度センサと酸素濃度センサとが一体化した排気成分濃度センサを用いる場合には、NOx濃度と共に酸素濃度(又は空気過剰率)も検出できることになる。
【0039】
触媒温度検出手段C12は、触媒入口排気ガス温度センサ52によって検出された排気ガス温度Tg を基に、触媒温度を検出する手段である。厳密には、触媒入口の排気ガス温度Tg は触媒温度とは異なり、補正する必要があるが、制御の簡便さを考えて、排気ガス温度Tg を触媒温度として使用する場合が多く、ここでも触媒温度として排気ガス温度(触媒入口ガス温度)Tg を用いる。なお、触媒温度センサを設けて触媒温度を直接計測する場合には、計測された温度がそのまま検出された触媒温度となる。
【0040】
触媒温度判定手段C13は、触媒温度(ここでは、排気ガス温度で代用している)Tg が、NOx吸蔵還元型触媒の貴金属触媒の活性開始温度Tc 未満の低温域にあるか、活性開始温度Tc 以上の高温域にあるかを判定する手段である。
【0041】
そして、低温域再生制御手段C20は、触媒温度Tg が活性開始温度Tc 未満の場合のNOx吸蔵還元型触媒の再生制御を行う手段であり、NOx触媒の再生開始判定手段C21、排気昇温制御手段C22、NOx触媒再生制御手段C23等を有して構成される。
【0042】
NOx触媒の再生開始判定手段C21は、エンジンの運転状態を示すエンジン回転速度Ne と負荷Qから予め実験などによって設定されたマップデータから、排気昇温制御開始用の判定値(所定の第2判定値)R02を算出する。この排気昇温制御開始用の判定値R02は、再生制御を開始する時期を判断するための所定の判定値(所定の第2判定値)であり、この低温域再生制御では、NOx吸蔵還元型触媒の活性開始温度Tc におけるNOx吸蔵飽和量R0と同じ値に設定される。
【0043】
なお、マップデータの設定が必要になるが、この所定の第2判定値を、排気昇温制御が終了した時に、NOx吸蔵推定量が、NOx吸蔵還元型触媒の活性開始温度Tc におけるNOx吸蔵飽和量R02の値になるように設定すると、NOxのNOx吸蔵還元型触媒の下流側への放出をより少なくすることができる。この場合には、排気昇温制御中のNOxの吸蔵量が考慮され、この排気昇温制御中のNOxの吸蔵量がNOx吸蔵飽和量R02から引き算された値が所定の第2の判定値とされる。
【0044】
つまり、NOx吸蔵飽和量を読み込み、排気昇温制御により、排気昇温制御により、触媒温度が上昇してもNOxが放出されない閾値を予め実験などによって求め、この閾値をマップデータとして入力しておき、この閾値を基に排気昇温制御を開始する。
【0045】
また、一方で、排気ガスの状態を示す、触媒入口NOx濃度Cnoxin 、触媒出口NOx濃度Cnoxex 、燃料噴射量(燃料重量)Qg 、吸入空気量(吸入空気重量)Ag とから、Rnox1=(Qg +Ag )×(Cnoxin −Cnoxex )の計算で、単位時間当たりのNOxの排出量である第1NOx吸蔵推定量Rnox1を算出する。そして、NOx吸蔵量が温度に多少影響するため、関数として多少、第1NOx吸蔵推定量Rnox1を補正した値を、累積計算して、NOx吸蔵推定量Rnox を求める。
【0046】
そして、このNOx吸蔵推定量Rnox と排気昇温制御開始用の判定値R02を比較して、NOx吸蔵推定量Rnox がこの所定の判定値R02以上になった時に、再生制御開始の時期であると判断する。
【0047】
また、排気昇温制御手段C22は、シリンダ内への燃料噴射におけるアフター噴射、遅延噴射、多段噴射、ポスト噴射等の燃料噴射制御等や吸排気絞り制御等により、排気温度を昇温させる手段である。図5と図6にアフター噴射と遅延噴射の例を示す。図5のアフター噴射制御では、メイン噴射Mfの前にパイロット噴射Pfがなされ、メイン噴射Mfの後にアフター噴射Afがなされる。また、図6の遅延噴射制御では、メイン噴射Mfの前にパイロット噴射Pfがなされ、メイン噴射Mfが通常のメイン噴射Mfよりも遅延される。これらの排気昇温制御では、昇温中においては、NOx吸蔵還元型触媒の貴金属触媒が活性化しておらず、NOxを還元できないので、昇温の間はNOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵材から吸蔵されたNOxが放出されないように、空気過剰率λをリーン(例えば、5.0〜2.0程度)に維持する。
【0048】
この排気昇温制御は、触媒入口ガス温度Tg が、エンジンの運転状態を示すエンジン回転速度Ne と負荷Qから予め実験などによって設定されたマップデータから算出された昇温判定温度Ts 以上となった場合に終了する。この昇温判定温度Ts は、通常は、NOx吸蔵還元型触媒の貴金属触媒の活性開始温度Tc 以上の温度に設定される。
【0049】
NOx触媒再生制御手段C23は、排気ガスの空燃比をストイキ又はリッチ状態にして、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵材から吸蔵されたNOxを放出させると共に、貴金属触媒により還元する制御であり、吸気弁絞り、排気弁絞り、EGR制御等の吸気絞り制御と、前記ポスト噴射や排気管燃料噴射制御とが併用され、空気過剰率λをストイキ又はリッチ(例えば、1.0〜0.90)にする。
【0050】
この再生せいぎょでは、排気成分濃度センサで形成される触媒入口NOxセンサ51等により空気過剰率が常時NOx濃度と共に測定され、フィードバックされ、ストイキ以下に制御される。この時初めはリッチ側に深く次第にストイキ側に制御するようにしてもよい。このようにストイキ以下に所定時間保持され、終了する。
【0051】
そして、高温域再生制御手段C30は、触媒温度Tg が活性開始温度Tc 以上の場合のNOx吸蔵還元型触媒の再生制御を行う手段であり、従来技術の再生制御と同じである。この高温域再生制御手段C30は、NOx触媒の再生開始判定手段C31、NOx触媒再生制御手段C32、脱硫制御開始判定手段C33と脱硫制御手段C34等を有して構成される。
【0052】
このNOx触媒の再生開始判定手段C31は、低温域再生制御手段C20のNOx触媒の再生開始判定手段C21と同様に、エンジンの運転状態を示すエンジン回転速度Ne と負荷Qから予め実験などによって設定されたマップデータから、再生制御開始用の判定値R01を算出する。この判定値R01は、再生制御を開始する時期を判断するための所定の判定値(所定の第1判定値)であり、この高温域再生制御では、NOx吸蔵還元型触媒の活性開始温度Tc におけるNOx吸蔵飽和量R0と同じ値に設定される。
【0053】
また、触媒入口NOx濃度Cnoxin 、触媒出口NOx濃度Cnoxex 、燃料噴射量(燃料重量)Qg 、吸入空気量(吸入空気重量)Ag とから、Rnox1=(Qg +Ag )×(Cnoxin −Cnoxex )の計算で、単位時間当たりのNOxの排出量である第1NOx吸蔵推定量Rnox1を算出する。そして、NOx吸蔵量が温度に多少影響するため、関数として多少、第1NOx吸蔵推定量Rnox1を補正した値を、累積計算して、NOx吸蔵推定量Rnox を求める。
【0054】
そして、このNOx吸蔵推定量Rnox と所定の第1判定値R01を比較して、NOx吸蔵推定量Rnox がこの所定の第1判定値R01以上になった時に、再生制御開始の時期であると判断する。
【0055】
また、NOx触媒の再生制御手段C32は、排気ガスの空燃比をストイキ空燃比(理論空燃比)又はリッチ状態に制御する手段であり、EGR弁42を制御してEGR量を増加させたり、吸気絞り弁32を制御して新規の吸気量を減少させたり、シリンダ内噴射における燃料噴射制御により、排気ガス中へ燃料を添加したりして、排気ガスの空燃比を低下させて、排気ガスの空燃比をストイキ空燃比よりも低くする。
【0056】
これらの制御により、排気ガスの空燃比を触媒前で空気過剰率(λ)換算値で1.00〜0.90にすると共に、所定の温度範囲(触媒にもよるが、概ね200℃〜600℃)にして、NOx吸蔵能力、即ちNOx浄化能力を回復し、NOx触媒の再生を行う。
【0057】
そして、脱硫制御開始判定手段C33は、硫黄(サルファ)蓄積量を積算する等の方法で、NOx吸蔵能力が低下するまで硫黄が蓄積したか否かでサルファパージ制御を開始するか否かを判定する手段であり、硫黄蓄積量が所定の判定値以上になると脱硫の開始とする。また、脱硫制御手段C34は、一酸化炭素(CO)の大気中への排出を抑制しながら、効率よく脱硫を行う手段であり、排気管内噴射又はポスト噴射により排気ガスの空燃比を制御すると共に、EGR制御や吸気絞り制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒の温度を脱硫可能な温度まで昇温する。
【0058】
そして、この排気ガス浄化システム10では、エンジン1の制御装置60に組み込まれた排気ガス浄化システム10の制御装置の排気ガス浄化システムの制御手段C1により、図3に例示するような制御フローに従って、NOx吸蔵還元型触媒コンバータ10の再生制御が行われる。また、図4に、この図3の制御フローによる、NOx吸蔵推定量Rnox 、触媒温度Tg と排気昇温制御(アフター噴射制御)、NOx再生制御(空燃比リッチ制御)の時系列の一例を模式的に示す。
【0059】
なお、この図3の制御フローは、エンジン1の運転に際して、エンジンの他の制御フローと並行して、実行されるものとして示してある。また、本発明は、NOx触媒の低温域再生制御に関するものであり、高温域再生制御は従来技術を使用できるので高温域再生制御についての説明は省略する。
【0060】
この図3の制御フローがスタートすると、ステップS11で、触媒温度検出手段C12により、触媒温度(ここでは触媒入口ガス温度で代用している)Tg を検出し、これを入力する。次のステップS12では、触媒温度判定手段C13により、触媒温度Tg がNOx吸蔵還元型触媒の活性開始温度Tc 未満の低温域にあるか、活性開始温度Tc 以上の高温域にあるかを判定する。
【0061】
このステップS12の判定で、高温域にあると判断された場合には、ステップS20で、高温域再生制御手段C30により、高温域再生制御を行う。この高温域再生制御のルーチンを通った後は、ステップS11に戻る。なお、この高温域再生制御では、諸条件が整えば、再生制御や脱硫制御を行うが、整わない場合には再生制御や脱硫制御を行うことなく、戻ってくる。
【0062】
また、ステップS12の判定で、低温域にあると判断された場合には、ステップS13に行き、低温域再生制御手段C20のNOx触媒の再生開始判定手段C21により、エンジンの運転状態を示すエンジン回転速度Ne と負荷Qから予め実験などによって設定されたマップデータから、排気昇温制御開始用の判定値(所定の第2判定値)R02を算出する。また、触媒入口NOx濃度Cnoxin 、触媒出口NOx濃度Cnoxex 、燃料噴射量(燃料重量)Qg 、吸入空気量(吸入空気重量)Ag とから、Rnox1=(Qg +Ag )×(Cnoxin −Cnoxex )の計算で、単位時間当たりのNOxの排出量である第1NOx吸蔵推定量Rnox1を算出する。そして、NOx吸蔵量が温度に多少影響するため、関数として多少、第1NOx吸蔵推定量Rnox1を補正した値を、累積計算して、NOx吸蔵推定量Rnox を求める。
【0063】
そして、次のステップS14で、NOx吸蔵推定量Rnox と排気昇温制御開始用の判定値R02を比較して、NOx吸蔵推定量Rnox がこの所定の第2判定値R02未満では、再生制御開始の時期になっていないと判断して、ステップS11に戻る。また、NOx吸蔵推定量Rnox がこの所定の判定値R02以上の場合は、再生制御開始の時期であると判断し、ステップS15に行く。
【0064】
ステップS15では、排気昇温制御手段C22により、排気昇温制御を行う。この排気昇温制御は、シリンダ内への燃料噴射におけるアフター噴射、遅延噴射、多段噴射、ポスト噴射等の燃料噴射制御等や吸排気絞り制御等により、排気温度を昇温させる。この排気昇温では、空気過剰率λは5.0〜2.0程度である。この排気昇温制御を所定の時間の間行ってから、ステップS16に行く。この所定の時間とは、触媒入口ガス温度のチェックのインターバルに関係する時間である。
【0065】
ステップS16では、エンジンの運転状態を示すエンジン回転速度Ne と負荷Qから予め実験などによって設定されたマップデータから昇温判定温度Ts を算出すると共に、触媒入口ガス温度Tg を入力する。
【0066】
次のステップS17では、触媒入口ガス温度Tg が昇温判定温度Ts 以上であるか否かをチェックし、昇温判定温度Ts 未満ではステップS15に戻って排気昇温制御を繰り返す。そして、触媒入口ガス温度Tg が、昇温判定温度Ts 以上となった場合に、排気昇温制御を終了して、次のステップS18に行く。
【0067】
ステップS18では、NOx触媒再生制御手段C23により、NOx再生制御を行って、排気ガスの空燃比をストイキ又はリッチ状態にして、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵材から吸蔵されたNOxを放出させると共に、貴金属触媒により還元する。このNOx再生制御では、吸気弁絞り、排気弁絞り、EGR制御等の吸気絞り制御と、燃料噴射制御とが併用され、空気過剰率λを1.00〜0.90にする。このNOx再生制御は、NOx吸蔵還元型触媒の再生が完了するまで行われ、完了すると、ステップS11に戻る。
【0068】
この図3の制御フローは繰り返し実行され、エンジンの停止まで繰り返される。なお、制御の途中でエンジンキイーがオフされた場合には、ステップS19の割り込みが発生し、割り込みが生じたそれぞれのステップで必要な終了処理(図示していない)を行った後,リターンして、メインの制御の終了と共に、この制御フローも終了する。
【0069】
以上の構成の排気ガス浄化システム10によれば、NOx吸蔵還元型触媒50のNOx吸蔵能力の再生制御において、エンジンが低回転・低負荷の排気ガス低温運転領域にある場合であっても、NOxをNOx吸蔵還元型触媒の下流側に放出することなく、NOx吸蔵還元型触媒を再生することができるので、低温域のNOx浄化性能を向上させると共に、燃費、HC,CO排気ガスの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの制御手段の構成を示す図である。
【図3】NOx吸蔵還元型触媒の再生のための制御フローの一例を示す図である。
【図4】図3の制御フローによるNOx吸蔵推定量、触媒温度、排気昇温制御、NOx再生制御の時間的な変化を模式的に示す図である。
【図5】アフター噴射を模式的に示す図である。
【図6】遅延噴射を模式的に示す図である。
【図7】触媒温度とNOx吸収飽和量との関係を示す図である。
【図8】モノリスハニカムを示す図である。
【図9】モノリスハニカムの部分拡大図である。
【図10】モノリスハニカムのセルの壁の部分の拡大図である。
【図11】NOx吸蔵還元型触媒の構成とリーン制御時の状態の浄化のメカニズムを模式的に示す図である。
【図12】NOx吸蔵還元型触媒の構成とリッチ制御時の状態の浄化のメカニズムを模式的に示す図である。
【図13】極低温域を模式的に示す図である。
【図14】触媒温度と浄化率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 エンジン
10 排気ガス浄化システム
20 排気通路
30 吸気通路
32 吸気絞り弁(吸気スロットル弁)
40 EGR通路
42 EGR弁
50 NOx吸蔵還元型触媒
51 触媒入口NOxセンサ
52 触媒入口排気ガス温度センサ
53 触媒出口NOxセンサ
C1 NOx吸蔵還元型触媒の制御手段
C1 1 NOx濃度検出手段
C12 触媒温度検出手段
C13 触媒温度判定手段
C20 低温域再生制御手段
C21 NOx触媒の再生開始判定手段
C22 排気昇温制御手段
C23 NOx触媒再生制御手段
C30 高温域再生制御手段
C31 NOx触媒の再生開始判定手段
C32 NOx触媒再生制御手段
C33 脱硫制御開始判定手段
C34 脱硫制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの空燃比が、リーン状態の場合にNOxを吸蔵し、かつ、リッチ状態の場合に吸蔵していたNOxを放出すると共に還元するNOx吸蔵還元型触媒を備え、該NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されたと推定されるNOx吸蔵推定量が所定の判定値に達した時に、該NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するための再生制御を行う排気ガス浄化システムにおいて、
排気ガス又は触媒の温度を検出する温度センサの検出値に基づいて、前記NOx吸蔵還元型触媒の触媒温度が前記NOx吸蔵還元型触媒が担持している貴金属触媒の活性開始温度以上であるか否かを判定し、
活性開始温度以上である時には、前記NOx吸蔵推定量が、前記触媒におけるNOx吸蔵飽和量により設定された所定の第1判定値に達した時に、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復し、
活性開始温度未満である時には、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量の値に設定された所定の第2判定値に達した時に、排気昇温制御を開始して、前記触媒温度を活性開始温度以上に昇温した後、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復する再生制御を行うことを特徴とする排気ガス浄化方法。
【請求項2】
前記所定の第2判定値を、前記排気昇温制御が終了した時に、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量となる値に設定することを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化方法。
【請求項3】
排気ガスの空燃比が、リーン状態の場合にNOxを吸蔵し、かつ、リッチ状態の場合に吸蔵していたNOxを放出すると共に還元するNOx吸蔵還元型触媒を備え、該NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵されたと推定されるNOx吸蔵推定量が所定の判定値に達した時に、該NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するための再生制御を行う再生制御手段を備えた排気ガス浄化システムにおいて、
排気ガス又は触媒の温度を検出する温度センサの検出値から触媒温度を検出する触媒温度検出手段と、
該触媒温度検出手段で検出された触媒温度が、前記NOx吸蔵還元型触媒が担持している貴金属触媒の活性開始温度以上であるか否かを判定する触媒温度判定手段と、
該触媒温度判定手段による判定が、活性開始温度以上である時には、前記NOx吸蔵推定量が、前記触媒におけるNOx吸蔵飽和量により設定された所定の第1判定値に達した時に、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復し、活性開始温度未満である時には、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量の値に設定された所定の第2判定値に達した時に、排気昇温制御を開始して、前記触媒温度を活性開始温度以上に昇温した後、ストイキ又はリッチ制御を行って、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復する再生制御を行う再生制御手段とを備えて構成されることを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項4】
前記所定の第2判定値を、前記排気昇温制御が終了した時に、前記NOx吸蔵推定量が、活性開始温度におけるNOx吸蔵飽和量となる値に設定することを特徴とする請求項3記載の排気ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−83746(P2006−83746A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268339(P2004−268339)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】