検査方法及び装置、リソグラフィ装置、リソグラフィ処理セル、並びに、デバイス製造方法
【課題】回折スペクトルの情報を失わずにオーバレイを測定するために、より小さいターゲットで使用することができる放射を提供する放射源を提供する。
【解決手段】放射が基板で反射した結果としての角度分解スペクトルを高開口数のレンズの瞳面で測定することによって、基板の特性を割り出す装置及び方法。特性は、角度及び波長に依存してよい。基板で反射する放射は、放射状に偏光する。
【解決手段】放射が基板で反射した結果としての角度分解スペクトルを高開口数のレンズの瞳面で測定することによって、基板の特性を割り出す装置及び方法。特性は、角度及び波長に依存してよい。基板で反射する放射は、放射状に偏光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、例えばリソグラフィ技術によるデバイスの製造に使用可能な検査方法、及び、リソグラフィ技術を使用するデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を備える)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる網の目状の互いに近接したターゲット部分を含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所定の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行にスキャンしながら、パターンを所定の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを具備している。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン付き基板のパラメータ、例えばその中又はその上に形成された連続層間のオーバレイ誤差を測定することが望ましい。この測定は、リソグラフィプロセス中に、又はそれとは別個に実行することができるが、通常はリソグラフィ装置とは別個の計測装置(メトロロジ装置)を使用して実行される。というのは、各装置が些細な量ではない比較的専門の分野に関わっているからである。
【0004】
[0004] レジスト(又はエッチングの場合は基板表面)の現像後の測定及び検査ステップは、生産される基板の通常の処理の過程で実行されるのでインラインと呼ばれ、通常は2つの目的を果たす。第一に、現像したレジストのパターンに欠陥があるターゲット区域があれば、それを検出することが望ましい。十分な数のターゲット区域に欠陥がある場合は、欠陥のあるパターンでエッチングなどのプロセスステップを実行して、欠陥を永久的なものにするのではなく、基板からパターン付きレジストを剥ぎ取り、望ましくは正確に再露光することができる。第二に、測定することによって、リソグラフィ装置のエラー、例えば照明の設定又は露光量を検出し、その後の露光で補正できるようにすることができる。
【0005】
[0005] しかし、リソグラフィ装置の多くのエラーは、レジストに印刷されたパターンから容易に検出又は定量化できないことがある。欠陥を検出しても、常にその原因に直接辿り着くわけではない。したがって、リソグラフィ装置のエラーを検出し、測定する様々なオフラインの手順が知られている。これは、基板を測定デバイスで置き換えるか、特殊な試験パターンの露光を、例えば様々な異なる機械の設定で実行することを含む。
【0006】
[0006] リソグラフィプロセスで形成された顕微鏡的構造を測定するには、走査電子顕微鏡及び様々な専門ツールを使用するなど、様々な技術がある。専門的な検査ツール(インスペクションツール)の1つの形態に、放射ビームを基板の表面上のターゲットに誘導し、散乱又は反射したビームの特性を測定するスキャトロメータがある。基板による反射又は散乱の前後のビームの特性を比較することにより、基板(又は基板上の構造)の特性を割り出すことができる。反射スペクトルを生じる基板上の構造は、例えばリアルタイム回帰を使用して、又はシミュレーションによって導かれたパターンのライブラリと比較することによって再構築することができる。再構築は費用関数の最小化を含む。両方のアプローチは、周期的構造による光の散乱を計算する。最も一般的な技術は、厳密結合波解析(RCWA)であるが、光の散乱は、時間領域差分(FDTD)又は積分方程式技術などの他の技術でも計算することができる。
【0007】
[0007] 2つの主なタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは、広帯域放射ビームを基板に誘導し、特定の狭い角度範囲に分散した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射ビームを使用して、散乱した放射の強度を角度の関数として測定する。
【0008】
[0008] 基板表面のターゲットで測定する必要がある1つのパラメータは、オーバレイである。オーバレイは、1つの基板層上の構造と前の層(つまりそれより下にある層又は基板に近い方の層)上の構造との偏りである。オーバレイがある場合、全部の層を露光した後の全体的構造は正確に形成されず、その結果の製品に問題を引き起こすことがある。オーバレイは、全体的なスタック又は構造の対称性を検査することによって測定される。オーバレイの計測は、角度散乱スペクトルの非対称性の測定に基づく。対称の構造は対称の角度スペクトルを生成し、ターゲットの非対称性は角度散乱スペクトルの非対称性として現れる。この特性は、角度分解スキャトロメータを使用するオーバレイ計測の基礎である。
【0009】
[0009] オーバレイ計測に使用される放射は通常、円形又は環状ビームである。円形ビームより環状ビームが使用される。というのは、ゼロ次回折スペクトルと±1(及び潜在的にそれ以上)の回折次数との結果となる散乱スペクトルのオーバレイが、環状放射の方が解読し易く、使用可能な光子の「浪費」又は「損失」量が少なくなるからである。情報を与えるのは、回折次数の重ならない部分であるので、重なる部分は測定に使用されず、したがって「浪費」されず。1次「自由次数」(つまり重ならない放射の部分)のみが、オーバレイに関して有用な情報を含む。しかし、環状放射ビームを使用しても、ビームの一部の損失を防止することができない。というのは、ターゲットが小型化するにつれ、隣接するターゲットの情報、又は任意のターゲット以外の表面の情報までも含む場合は、環状ビームの一部を廃棄しなければならないからである。ビームは、より高い回折次数からの情報が失われる可能性があるので、小型化したターゲットのサイズに適合するように単に縮小することはできない。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 回折スペクトルの情報を失わずにオーバレイを測定するために、より小さいターゲットで使用することができる放射を提供する放射源を提供することが望ましい。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、基板の特性を測定するように構成されたスキャトロメータを含む、又は閉じ込める基板の特性を測定するように構成された検査装置、リソグラフィ装置又はリソグラフィセルが提供され、スキャトロメータは、放射ビームを提供するように構成された放射源と、高開口数のレンズと、基板の表面から複数の角度で反射した放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、を含み、放射源は放射ビームを放射状に偏光させるように構成される。
【0012】
[0012] 本発明の第二態様によれば、放射ビームを提供し、パターンを基板に印刷し、高開口数のレンズの瞳面にてパターンの反射スペクトルを測定することを含み、さらに放射ビームを放射状に偏光させることを含む、基板の特性を測定する方法が提供される。
【0013】
[0013] 基板上にパターンを形成するためにリソグラフィ装置を使用することと、放射ビームを提供し、パターンを基板に印刷し、高開口数のレンズの瞳面にてパターンの反射スペクトルを測定することによって印刷されたパターンのパラメータに関連する値を割り出すこととを含み、反射スペクトルが、放射状に偏光した放射ビームを基板上のパターンで反射させることによって生成されるデバイス製造方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 次に、本発明の実施形態を添付の略図を参照しながら、ほんの一例として説明する。図面では対応する参照記号は対応する部品を示している。
【図1a】[0015] 本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示した図である。
【図1b】[0016] 本発明の実施形態によるリソグラフィセル又はクラスタを示した図である。
【図2】[0017] 本発明の実施形態による第一スキャトロメータを示した図である。
【図3】[0018] 本発明の実施形態による第二スキャトロメータを示した図である。
【図4a】[0019] 本発明の実施形態によりオーバレイがない製品で使用中のスキャトロメータを示した図である。
【図4b】[0020] 0、1及び2次の回折スペクトルを示した図である。
【図5a】[0021] 本発明の実施形態によりオーバレイがある製品で使用中のスキャトロメータを示した図である。
【図5b】[0022] 図5aを示した拡大図である。
【図5c】[0023] オーバレイがある製品を示した上面図である。
【図6】[0024] 放射ビームの様々な偏光を示した図である。
【図7】[0025] 本発明の実施形態により直線偏光を使用する平面からの反射スペクトルを示した図である。
【図8】[0026] 本発明の実施形態により放射状偏光を使用する平面からの反射スペクトルを示した図である。
【図9】[0027] 本発明の実施形態による5nmのオーバレイがある製品を示した側面図である。
【図10】[0028] 本発明の実施形態によりTM偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップとしても知られる)を示した図である。
【図11】[0029] 本発明の実施形態によりTE偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示した図である。
【図12】[0030] 本発明の実施形態により放射状偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示した図である。
【図13】[0031] 本発明の実施形態によりオーバレイを測定するために直線偏光の使用と放射状偏光の使用との比較を示したグラフである。
【図14】[0032] 図14aから図14bは、高開口数の集光レンズを通過する放射ビームの偏光効果を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0033] 図1aは、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PLとを含む。
【0016】
[0034] 照明システムは、放射の誘導、成形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0017】
[0035] 支持構造体は、パターニングデバイスを支持、つまりその重量を支えている。該マスク支持構造体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造体は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0018】
[0036] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
【0019】
[0037] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0020】
[0038] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
【0021】
[0039] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0022】
[0040] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0023】
[0041] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に使用してもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造体を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0024】
[0042] 図1aを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0043] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0026】
[0044] 放射ビームBは、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターンが与えられる。放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPLを通過する。第二位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PM及び別の位置センサ(図1aには明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。一般的に、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第一位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールの助けにより実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2及び基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(スクライブレーンアラインメントマークと呼ばれる)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0045] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0046] 1.ステップモードにおいては、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0047] 2.スキャンモードにおいては、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0048] 3.別のモードでは、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0049] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0050] 図1bに示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの部分を形成し、これは基板上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらはレジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像する現像装置DE、チルプレートCH及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ、つまりロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り上げ、これを異なるプロセス装置間で移動し、次にリソグラフィ装置のローディングベイLBに送出する。これらのデバイスは、往々にしてトラックと総称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、これ自体は監視制御システムSCSによって制御され、これはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、スループット及び処理効率を最大限にするために、様々な装置を操作することができる。
【0033】
[0051] リソグラフィ装置によって露光される基板が、正確かつ一貫して露光されるために、露光された基板を検査して、連続する層間のオーバレイ誤差、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。誤差が検出された場合、特に同じバッチの他の基板がまだ露光しないほど十分迅速かつ高速で検査を実行できる場合、連続する基板を露光するために調節することができる。また、既に露光した基板を、歩留まりを改善するために剥ぎ取り、再加工するか、廃棄し、それによって欠陥があると分かっている基板で露光を実行することを回避することができる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、良好であるターゲット部分のみでさらなる露光を実行することができる。
【0034】
[0052] 検査装置を使用して、基板の特性を、特に異なる基板の特性又は同じ基板の異なる層の特性が層毎にいかに異なるかを割り出す。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに組み込むか、独立型デバイスでよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光レジスト層の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像は非常に低いコントラストを有し、つまり放射に露光しているレジストの部分と露光していない部分との屈折率に非常に小さい差しかなく、全ての検査装置が、潜像を有用に測定するのに十分な感度を有しているわけではない。したがって、普通は露光基板で実行する最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分とのコントラストを増大させる露光後ベークステップ(PEB)の後に、測定することができる。この段階で、レジストの像を半潜像と呼ぶことができる。レジストの露光又は非露光部分が除去されている時点で、又はエッチングなどのパターン転写ステップの後に、現像したレジスト像を測定することも可能である。後者の可能性は、欠陥のある基板を再加工する可能性を制限するが、それでも有用な情報を提供することができる。
【0035】
[0053] 図2は、本発明に使用可能なスキャトロメータを示している。これは、基板Wに放射を投影する広帯域(白色光)放射投影装置2を含む。反射した放射は分光検出器4に渡され、これが鏡面反射放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生成する構造又は輪郭を、処理ユニットPUによって、例えば厳密結合波解析及び非線形回帰によって、又は図2の下部で示すようにシミュレートしたスペクトルのライブラリとの比較によって再構築することができる。概して、再構築するためには、構造の全体的形態が分かっていて、構造を作成するプロセスの知識から、幾つかのパラメータが仮定され、スキャトロメータのデータから割り出される構造のパラメータはわずかしかない。このようなスキャトロメータは、垂直入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0036】
[0054] 本発明で使用できる別のスキャトロメータが、図3に示されている。このデバイスでは、放射源2によって放出された放射は、レンズシステム3を使用して干渉フィルタ13及び偏光器17を通して集光され、部分反射表面16で反射し、顕微鏡の対物レンズ15を介して基板Wに集光され、これは高い、好ましくは少なくとも0.9、さらに好ましくは少なくとも0.95の開口数(NA)を有する。液浸スキャトロメータは、開口数が1を超えるレンズを有することさえできる。反射した放射は、次に部分反射表面16を透過して、散乱スペクトルを検出するために検出器18に入る。検出器は、レンズシステム15の焦点距離にある逆投影瞳面11に位置してもよいが、瞳面は、補助光学系(図示せず)で検出器に再結像してもよい。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角を規定し、角位置が放射の方位角を規定する面である。検出器は、基板ターゲット30の2次元角度散乱スペクトルを測定できるように、2次元検出器であることが好ましい。検出器18は、例えばCCD又はCMOSセンサのアレイでよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒などの積分時間を使用してよい。
【0037】
[0055] 基準ビームは、例えば入射放射の強度を測定するために、往々にして使用される。そのために、放射ビームがビームスプリッタ16に入射すると、その一部が基準ビームとしてビームスプリッタを透過し、基準ミラー5に向かう。次に、基準ビームは同じ検出器18の異なる部分に投影される。
【0038】
[0056] 例えば405〜790nm又はさらに低く、200〜300nmなどの範囲で、問題の波長を選択するために、干渉フィルタ13のセットが使用可能である。干渉フィルは、異なるフィルタのセットを含むのではなく、調節可能でよい。干渉フィルタの代わりに、回折格子を使用することができる。
【0039】
[0057] 検出器18は、1つの波長(又は狭い波長範囲)で散乱した光の強度を測定するか、複数の波長で別個に強度を測定するか、ある波長範囲にわたって統合された波長を測定することができる。さらに、検出器は、TM(transverse magnetic)偏光、及びTE(transverse electric)偏光の強度及び/又はTM偏光とTE偏光の間の位相差を別個に測定することができる。
【0040】
[0058] 広帯域光源(つまり光の周波数又は波長の、したがって色の範囲が広い光源)の使用が可能であり、これは大きいエタンデュを与え、複数の波長の混合を可能にする。広帯域の複数の波長は、それぞれδλの帯域幅及び少なくとも2δλの間隔(つまり帯域幅の2倍)を有することが好ましい。幾つかの放射「源」は、ファイバ束を使用して分割されている分散放射源の異なる部分でよい。この方法で、角度分解した散乱スペクトルを複数の波長にて並列で測定することができる。3次元スペクトル(波長及び2つの異なる角度)を測定することができ、これは2次元スペクトルより多くの情報を含む。これによって、より多くの情報を測定することができ、これは測定プロセスの堅牢性を向上させる。これについては、欧州特許EP1,628,164A号にさらに詳細に記載されている。
【0041】
[0059] 基板W上のターゲット30は回折格子でよく、これは現像後に、レジスト実線で回折格子のバー(又は線)が形成されるように印刷される。あるいは、バーを基板にエッチングすることができる。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLの色収差に影響されやすく、照明の対称性、及びこのような収差の存在は、印刷された回折格子の変動に現れる。したがって、回折格子を再構築するために、印刷された回折格子のスキャトロメータ測定データが使用される。線の幅及び形状などの回折格子のパラメータを、印刷ステップ及び/又は他のスキャトロメータプロセスの知識から、処理ユニットPUによって実行される再構築プロセスに入力することができる。
【0042】
[0060] 実施形態では、スキャトロメータは反射したスペクトル及び/又は検出構成の非対称性を測定することによって、位置合わせ不良の2つの回折格子又は周期的構造のオーバレイを測定するような構成であり、この非対称性は、オーバレイの程度と関係がある。対称の検出構成により、非対称性は明白に識別可能である。これは、回折格子の位置合わせ不良を測定する単純明快な方法を提供する。
【0043】
[0061] 使用される基板パターンの1つのタイプが、図4aに図示されている。基板W上の回折格子14は、その頂部に印刷された第二回折格子12を有する。図4aに見られるように、回折格子14に重ね合わせた回折格子12は、完全に回折格子14の一直線上にある。その結果の回折スペクトルが図4bに図示されている。図4bに示した回折スペクトルの中心にある円0は、ゼロ次回折次数の強度を示す。1と−1のラベルが付けられ、同様の影がある重なった円は、回折スペクトルの+1次及び−1次である。1次と重なって暗い方の影がある円は、+2次及び−2次回折次数である。回折格子12と14が図4aに示すように完全に一直線上にある場合、図4bに示す回折スペクトルの輪によって示される強度は対称になる。特に、回折スペクトルの像を生成するために使用される処理装置のタイプに応じて、非対称性は強度の影又は円の暗さの変化、又は非対称性を見られるようにする任意の他の適切な認識可能パラメータとして現れる。
【0044】
[0062] 図5a、図5b及び図5cは、基板W上の回折格子14と、その頂部に偏って印刷された第二回折格子12を示す。回折格子14に対する回折格子12の偏りの量が、オーバレイ22として知られる。図5aは、スキャトロメータ及び図4aと同様の基板パターンを示すが、第二回折格子12に偏りがある。図5bは、2つの回折格子12及び14の拡大図を示す。回折格子の各バーの幅は20、偏り(つまりオーバレイ)の幅は22というラベルが付いている。オーバレイの上面図が図5cに図示されている。左手の図形はオーバレイがないことを示し(OV=0)、右手の図形は製品層上のレジスト層を示し、レジスト層が回折格子のピッチの2倍だけ右側に偏っている(OV=2P)。その結果、検出器4で検出されたままのスキャトロメータの回折スペクトルは、図4bの回折スペクトルと同様に見えるが、1次回折次数が0次回折次数(1次自由次数)と重ならない区域は非対称になる。2次回折次数にも同じことが当てはまるが、2次回折次数は常に見えるとは限らず、特に照明源2によって生成される測定スポットが非常に小さい場合はそうである。
【0045】
[0063] 図4a及び図5aに示す実施形態では、放射源2が、表面の法線に対して対称にオブジェクトを照明し、スキャトロメータ検出器4が幾つかの角度から散乱放射を測定するが、傾斜角からオブジェクトを照明する源2も可能である。
【0046】
[0064] 以上で示したように、オーバレイの計測は、角度散乱スペクトルの非対称性の測定に基づく。対称構造は対称角のスペクトルを生成し、ターゲットの非対称性は角度散乱スペクトルの非対称性として現れる。この特性は、角度分解スキャトロメータ測定を使用するオーバレイ計測の基礎である。
【0047】
[0065] 重なっているが位置合わせ不良の2つの回折格子12及び14は、1つの非対称の複合ターゲットを形成する。その結果となる角度散乱スペクトルの非対称性が、図5aに示す角度分解スキャトロメータ4で検出され、以下の方法でオーバレイ22を導き出すために使用される。
【0048】
[0066] 2つの回折格子対を、第一及び第二対にそれぞれ+d及び−dという意図的な偏倚がある状態で使用する。つまり、回折格子12は、(図5bに示すような)一方の対では一方向に、他方の対(図示せず)では反対方向にシフトする。したがって、各対の回折格子間の実際の横方向シフトは、X1=OV+d及びX2=OV−dであり、OVはオーバレイ22である。
【0049】
[0067] 回折格子の対が位置合わせされると、オーバレイは0であり、回折格子に入射する照明の強度がIillで、回折格子で反射した放射の強度が同じ面ではあるが第一方向でI+1、反対方向でI-1であり、オーバレイOV=0である場合、下式のようになる。
【0050】
[0068] I+1=I-1 (1)
【0051】
[0069] しかし、OV≠0である場合は、下式のようになる。
【0052】
[0070] I+1≠I-1 (2)
【0053】
[0071] オーバレイが小さい場合、強度の差は下式のようにオーバレイに比例する。
【0054】
[0072] I+1−I-1=K×OV (3)
【0055】
[0073] Kは定数で、プロセスに依存し、したがって未知数である。
【0056】
[0074] 本発明の実施形態によるスキャトロメータでオーバレイの計測を較正するために、2つの回折格子ターゲット、つまり図5bに示すオーバレイがある第一、及び正反対のオーバレイがある第二を使用し、したがって上部回折格子12が底部回折格子14に対して右側ではなく左側に変位する。第一設定のオーバレイはOV+d(図5bの距離22)であり、第二設定のオーバレイはOV−dである。
【0057】
[0075] したがって、OV+dの場合、
非対称性A+=K(OV+d)であり、
OV−dの場合、
非対称性A-=K(OV−d)である。 (5)
【0058】
[0076] 換算係数Kは下式のように消去することができる
【数1】
【0059】
[0077] したがって、オーバレイは、角度分解散乱スペクトルの非対称性の測定値を使用して計算することができる。
【0060】
[0078] 実施形態では、基板と検出器の間の空間の少なくとも一部、特に図3に示すようなレンズ15と基板Wの間の空間を液体に液浸することが可能である。液体は水でよい。これは、基板Wとレンズ15の間にある媒質の空間帯域幅を拡大するという利点を有する。つまり、空気中で消失するような回折が液体中では伝播し、レンズで捕捉することができる。したがって、空間を液浸すると、より高い回折次数を検出することが可能になり、これは回折格子に関して例えば空間中の空気よりも詳細な情報を含む。
【0061】
[0079] スキャトロメータの開口数(NA)は少なくとも0.9、さらには0.05又は1を超えることが好ましい。
【0062】
[0080] 25と屈折率が高いオブジェクトとの間の空間を流体に液浸すると、媒質の空間帯域幅が拡大し、より小さいピッチでより高い回折次数を伝播することができる。伝播する1次スペクトルを生成する最小ピッチはλ/(2NA)である。NAが1.3に等しく、λが400nmに等しいと仮定すると、最小ピッチが154nmになる。これは、約20nmから80nmというクリティカルディメンジョン(CD)又は再構築された回折格子に対応する。図2に示すような輪郭を見ると、限界寸法は、ピークの平均幅であり、ピッチは1つのピークから次のピークまでの距離である。この方法で、スキャトロメータを使用してオーバレイばかりでなくCDの測定も実行することができる。
【0063】
[0081] 液浸流体は、例えば基板W上のレジストに対して大きい屈折率の刻みを有していなければならない。これによって、検出器の像に最大のコントラストを生じさせることができる。このような要件を満たすことが可能な液体は水である。
【0064】
[0082] スキャトロメータを使用してオーバレイを割り出す上述の方法、及びこれもスキャトロメータを使用してCDを割り出す方法では、放射源からの放射を集光するために使用される光学系(任意選択で偏光器及び/又はビームスプリッタを含む)と、放射が回折格子を含む表面から反射したという事実との組合せにより、放射源は通常、直線偏光である。しかし、直線偏光の使用に関して、これまで気づかれなかった、又は考慮されていなかった幾つかのアーチファクトがある。これらのアーチファクトは、オーバレイ測定から得られる結果に影響することがある。特に、高い開口数を通して集光レンズに入射すると、直線偏光は偏光効果を経験する。「偏光効果」の意味に関する以下の説明は、図14aから図14bに言及している。放射ビームは、高い開口数の集光レンズを通過する。図14aと図14bの両方で、放射ビームはy軸に沿って直線偏光する。図14aは放射ビームの偏光面を横切って、y軸に沿って見たものであり、図14bはx軸に沿って見たものである。その結果、図14bに示す放射の方向の分布は、図14aに示す分布より弱い。というのは、y軸に沿って直線偏光するビームが、焦点フィールドに対する寄与が異なるxz面及びyz面それぞれで伝播する成分光線を有するからである。yz面の焦点スポットは、入力ビームの偏光方向で細長くなる。というのは、これによって伝播する光線がその焦点にて完璧に合わないからである。図14bでは、入射角が異なる場合は矢印が相互に平行ではないことが分かり、図14aの光線の偏光方向は全て相互に平行で、焦点にて適切に合う。レンズの上縁及び下縁から来る光線の垂直電界は、垂直のままである左側及び右側のそれに対して傾斜する。円形レンズを通る偏光の挙動がこのように非対称であると、偏光効果として知られる特別なぶれを引き起こす。
【0065】
[0083] 直線偏光の場合、ビームの伝播方向における直線偏光成分のエネルギ分布は、回転対称ではない。これは主に、焦点を楕円形にする非対称の変形を引き起こす。環状アパーチャを使用する場合、縦方向の成分の相対的分布が増加し、非対称性がさらに顕著になる。
【0066】
[0084] その結果、基板Wの焦点又は瞳面における強度分布は、回転対称性を失う。回転対称の利点は、回転対称の放射の結果、回折スペクトルの対称性がさらに明瞭になることである。回転対称の点及び反射スペクトルは、放射状に偏光した光のアーチファクト(特性)である。これらのアーチファクトは、オーバレイ測定及び計算にとって幾つかの利点を与えることができる。例えば焦点サイズの小型化、有効オーバレイピクセルマップを通したピクセル値の分布の平滑化及び精度の上昇である。
【0067】
[0085] 環状アパーチャを集光に使用する場合、光軸に対して大きい角度で伝播する波のみが、焦点フィールドに寄与する。環状アパーチャの開口数が高く、内径が大きい場合、放射状に偏光した入力フィールドの電界ベクトルは、基本的に光軸に平行である。全ての光線が完全に干渉し、集光したビームは、小さい回転対称の強力な点であり、電界が放射ビームの方向を指している。
【0068】
[0086] さらに、直線偏光を使用して集光した測定点のサイズは、24μm程度である。しかし、1枚の基板上に存在し得る製品の量を最大にし、製品のパターンを小型化し続けるために、測定ターゲットサイズも小型化することが要求されている。直線偏光を使用すると、測定点が大きくなりすぎて、1つの測定ターゲットに適合することができず、したがってターゲットを囲む区域からのノイズ、さらには隣接ターゲットからのクロストークもある。
【0069】
[0087] さらに、上述したような直線偏光を使用してオーバレイを測定すると、オーバレイのピクセルサイズが大きく広がり、その結果、ピクセル毎の値の標準偏差が大きくなる。現実的なオーバレイの値を獲得するために、往々にしてフィルタを使用して、ノイズ(肩がある鐘形曲線で表され、肩を除去するためにフィルタが必要である)を遮断する必要がある。
【0070】
[0088] 本発明の実施形態は、スキャトロメータの光源として放射状偏光を使用することにより、以上の問題を解決する。放射状偏光は、図6の断面で放射ビームCとして図示されている。図6の放射ビームBは方位偏光ビームを示す。放射状偏光の電界ベクトルは、車輪のスポークのように構成され、ビームの中心から外向きである。
【0071】
[0089] 放射状偏光がレンズと考査すると、ビームの各部分からの電界が、ビームの個々の部分の周囲で対称に傾斜する。この方法で、放射状偏光を、直線偏光よりはるかに小さい測定点に集光することができる。例えば、放射状偏光は200nmの点に集光することができる。焦点が小さいほど、その点に含まれる情報が多くなり、したがって点の集光場所である瞳面における情報が多くなる。実施形態では、光学システムが、放射状偏光を最大約200nmの直径を有する焦点に集光するように構成される。
【0072】
[0090] 偏光を生成するために、幾つかの技術が使用されている。自然光線、つまり非偏光を偏光させるには、基本的に4つの技術がある。1つの技術は、複屈折又は2軸材料に基づく。第二の技術は、「ポラロイド」などの2色材料の使用に基づく。第三の技術は薄膜技術を使用し、ブルースタ効果を使用する。第四の技術は、ワイヤグリッド又は導電性回折格子に基づく。
【0073】
[0091] 光又は放射を偏光させるために複屈折材料を使用することは、複屈折偏光器の生産において知られている。複屈折偏光器は、多くの結晶から、及び特定の延伸ポリマからも作成することができる。複屈折材料は、1つの方向と別の方向で異なる光学指数を有する材料である。2方向の光学指数の差の程度は、放射の波長とともに変化する。指数の差を使用して、一方の直線偏光のビームを別の直線偏光のビームから区別する。2色偏光器は、一方の偏光を吸収し、他方を透過するように設計された偏光器である。最も一般的に使用される2色偏光器は、分子を配向するように延伸され、分子が1方向の偏光を吸収するようにヨウ素及び/又は他の材料又は化学物質で処理されたポリマシートで構成される。延伸ポリマシートを複屈折にした偏光器デバイスが開発されている。この延伸シートは一方の偏光を反射し、他方を通過させる。薄膜偏光器の技術は、ガラス、プラスチックなどの材料の表面にブルースタ角(ほぼ45°)で入射する光ビームが、2つの偏光ビームに分割され、一方が透過し、他方が反射するブルースタ効果を使用する。
【0074】
[0092] 偏光ビームの適用が探求されている像投影システムでは、常にビームは明るい方が望ましい。偏光ビームの明るさは幾つかの要素で決定され、要素の1つは光源自体である。偏光器を使用するシステムの別の要素は受光角である。受光角が狭い、又は制限されている偏光器は、広い受光角を使用するシステムほど多くの光を発散光源から集めることができない。受光角が大きい偏光器は、投影光学システムの設計に融通性を与えることができる。というのは、偏光器を光源に対して狭い範囲の受光角以内に配置し、配向する必要がないからである。
【0075】
[0093] 偏光器の別の望ましい特徴は、偏光の1つの成分を他の成分から効果的に分離する能力である。これは消光比と呼ばれ、望ましい偏光成分の光の量と望ましくない偏光成分の光の量との比率である。
【0076】
[0094] 望ましい他の特徴は、偏光器の効率を低下させたり、システムにビームの方向などの追加的制約を導入したりせずに、光学検査システム内に偏光器を配置する自由があることである。
【0077】
[0095] 別の偏光技術は、導電性回折格子又はワイヤグリッドを使用する。ワイヤグリッド偏光器は、等間隔の平行な電気導体の平面アセンブリであり、その長さは幅よりはるかに長く、電気導体の間隔は入射光線の最高周波数の光成分の波長より短い。この技術は長年、無線周波領域で、及びスペクトルの赤外線領域まで首尾よく使用されてきた。導体に平行な偏光(S偏光)を有する波は反射し、直交偏光(P偏光)の波はグリッドを透過する。ワイヤグリッド偏光器は主に、レーダ、マイクロ波、及び赤外線の領域で使用されている。ワイヤグリッド偏光器は、欧州特許EP1574904号でも、以上で簡単に検討したように、基板上のレジスト層を露光する光ビームを偏光させるために光学投影システムで使用すると説明されている。
【0078】
[0096] ワイヤグリッド偏光器の一例は、ガラスなどの材料に埋め込まれるもので、材料の第一層と第二層に挟まれた平行で細長く離間された要素のアレイを含む。細長い要素は、要素の間に複数のギャップを形成し、これは第一層の屈折率より低い屈折率を提供する。要素のアレイは、可視スペクトルの電磁波と相互作用して、第一偏光の光の大部分を反射し、第二偏光の光の大部分を透過するように構成される。要素は、0.3ミクロン未満の周期及び0.15ミクロン未満の幅を有する。
【0079】
[0097] 測定放射ビームが非常に小さい波長を有して、数百ナノメートルのオーダという非常に小さい焦点の直径を必要とするスキャトロメータなどの計測では、ワイヤグリッド偏光器の技術の使用は示唆されてこなかった。
【0080】
[0098] 波の偏光状態は、2つのパラメータθ及びφで規定することができ、ここでθはTE波成分とTM波成分との相対的大きさを規定し、φはその相対的位相を規定する。入射波は、以下の式の対で表すことができる。
【0081】
[0099] ATE=cosθ
【0082】
[00100] ATM=ejφsinθ
【0083】
[00101] したがって、φ=0の場合、波は角度θで直線偏光する。θ=π/4及びφ=±π/2の場合に、円偏光が獲得される。TE偏波はθ=0で表される。TM波はθ=π/2で表される。TE及びTM偏光は、基本的な偏光成分である。
【0084】
[00102] 放射状偏光器の実施形態は、放射状に対称のパターンで構成された周期的回折格子を有する。回折格子の周期は、使用される放射の特定の波長に合わせ、及び他の望ましいパラメータに従って選択することができる。この実施形態では、回折格子は基板に堆積し、これはガラス又は他の材料でよい。回折格子は、例えばアルミ、クロム、銀、金などの金属、又は電磁放射ビームの波長で導電性である任意の材料でよい。回折格子は、例えば誘電体又は多層構造内の組合せで作成することもでき、これには溶融石英の基板上でSi3N4の2つの層に挟まれた単層のSiO2などがあるが、それに限定されない。回折格子は、例えばGaAsの基板にパターンを転写した後に、電子ビームを使用してエッチングしてもよい。回折格子は、偏光器の直径に沿ってTE偏光の強度の均一性を維持するために、偏光効果が滑らかに遷移できるように交錯させることができる。さらに、偏光器は円板形状又は多角形を有してよく、これは長方形、六角形などであるが、それに限定されない。
【0085】
[00103] 放射状偏光器の別の実施形態は、第一屈折率を有する材料の第一層、及び第二屈折率を有する材料の第二層を含む。方位及び周期の点で離間された複数の細長い要素(又は回折格子)を、第一層と第二層の間に配置する。複数の細長い要素は、光又は放射の電磁波と相互作用し、TE偏光を透過して、TM偏光を反射又は吸収する。複数の細長い要素は、例えば二酸化珪素で作成することができ、第一及び/又は第二層は、例えば石英、シリコーン、二酸化物、窒化珪素、ガリウム砒素などを含む任意の材料、又は放射の電磁ビームの波長で誘電性の材料で作成することができる。以前の実施形態と同様に、細長い要素の間の間隔又は周期は、材料の所期の使用法に従って、つまり特定の波長に合わせて、リソグラフィシステムの他のパラメータに従い選択することができる。
【0086】
[00104] 放射状偏光器のさらなる実施形態は、一方は均一で一方は円摩擦のアラインメント層で構成されたネマチック液晶セルを含む。偏光変換器内のLCの局所的アラインメントは、ツイストセルのそれであり、捻れ角度は局所アラインメント層によって与えられる。これらの捻れ角度は常にπ/2より小さい。直線偏光又は放射が偏光変換器を通って輝き、偏光方向が均一のアラインメント層に平行又は直角である場合、方位的又は放射状に偏光した光又は放射が他方側に現れる。より詳細な説明は、1996年出版のStalderその他による「Optics Letters」第21巻1948ページに見ることができる。
【0087】
[00105] 例えばオーバレイ測定などの放射状偏光放射を使用することの利点は、ピクセル値の標準偏差を小さくした状態で、より正確なオーバレイの結果が可能なことである。シミュレーションについて以下で述べる。
【0088】
[00106] 放射状偏光又は放射は、オーバレイマップ(回折パターン像)の各ピクセルについて、オーバレイ値の分布をより滑らかにし、これは標準偏差をはるかに小さくし、平均オーバレイ値が実際のオーバレイ値に近づく。つまり、オーバレイ値がさらに正確になる。
【0089】
[00107] 放射状偏光を使用することのさらなる利点は、放射状偏光又は放射を使用する各ピクセル値の標準偏差が、既に大幅に小さくなっているので、ノイズを除去するためのフィルタが不必要なことである。
【0090】
[00108] 直線偏光と放射状偏光の回折スペクトル(又はピクセルマップ)の比較が、図7及び図8に図示されている。図7は直線偏光の回折スペクトルを示し、図8は放射状偏光の回折スペクトルを示す。これらの図で見られるように、直線偏光又は放射は、非対称性を求めることができる認識可能なパターンを生成するが、放射状偏光を使用した結果のパターンの方がはるかに明瞭である。実際、回折像は完全に回転対称であり、したがって非対称性があれば、全てさらに容易に現れる、と言うことができる。図13は、直線偏光放射を使用した場合(暗い方のダイアモンド)と放射状偏光放射を使用した場合(明るい方の正方形)で、オーバレイ測定の精度の差を示す。実際のオーバレイはx軸上にあり、オーバレイの誤差はy軸上にある。放射状偏光放射の方が、高いオーバレイ値でも誤差が少ないことが、明らかに分かる。
【0091】
[00109] 図9に示すようなスタック又はパターンを使用して、シミュレーションを実行した。基板Wは、平坦な珪素の表面で、2つの反対方向に偏倚した回折格子が重ね合わされ、5nmのオーバレイが与えられている。図7及び図8の回折パターンは、パターンがなく、したがってオーバレイがない平面の珪素基板の回折パターンである。他方で、図10、図11及び図12は、図9に示すオーバレイターゲットのずれについて、様々なオーバレイパターンを示す。図9の下部回折格子14は、基板Wと同様に珪素で作成される。最上回折格子12はレジストで作成される。中間層R1、R2及びR3は、SiO2、ハードマスク、キャッピング層又はバークなど、半導体産業で一般的に使用されている別の材料である。以上で示したように、意図的に与えられたオーバレイは5nmである。
【0092】
[00110] シミュレーションの結果を下表に示す。表1は、600nmの測定放射の波長に5nmのオーバレイを与えたシミュレーションの結果を示す。表2は、650nmの測定放射の波長を使用し、これも5nmのオーバレイを与えたシミュレーションの結果を示す。各表には、TE(Transverse Electric)方向、TM(Transverse Magnetic)方向に偏光を有する測定放射、及び放射状に偏光したビームを使用して回折パターンから求めた平均オーバレイの結果がある。図10は、TM直線偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効オーバレイピクセルマップ)を示し、図11は、TE直線偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示し、図12は、放射状偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示し、いずれも測定放射の波長は650nmである。
【0093】
[00111]
【表1】
【0094】
[00112]
【表2】
【0095】
[00113] 結果から分かるように、表1では、4.84nmという平均オーバレイの結果の方が、いずれの直線偏光放射ビームよりも5nmという実際のオーバレイに近い。さらに、図10、図11及び図12に示すピクセルマップの各ピクセルの値も、より滑らかであり、標準偏差が小さくなることを示し、したがってノイズを除去するためにフィルタを必要としない。表2も、放射状偏光の方が直線偏光よりも正確な平均オーバレイの結果を示し、この場合も標準偏差が小さくなる。
【0096】
[00114] 図10、図11及び図12の像は、1次回折次数と0次回折次数の自由ピクセルマップ(1次自由次数)のみを示し、したがってこれは特に、図4bのリングのうち、測定されている0次回折次数内にある部分のみである。
【0097】
[00115] 図10、図11及び図12をさらに詳細に見ると、図10から、オーバレイ像の影が、点Pの4nmと5nmの間のどこかに現れることが分かる。図11では、スケールの範囲が5に近くなり、Qのラベルが付けられた像の影は、4.95nmと5nmの間のどこかにある。しかし、放射状偏光を使用すると、標準偏差がはるかに小さくなるので、はるかに正確なマッピングを生成することができる。したがって、標準偏差は、スケール上でオーバレイピクセルマップの右側に示され、オーバレイの影が図12のRのラベルの点にあることが分かり、これは4.98nmと4.99nmの間である。
【0098】
[00116] これらのシミュレーション結果から分かるように、放射状偏光の方がピクセル毎のオーバレイ値の分布が滑らかになって、小さい標準偏差につながり、したがって実際のオーバレイの結果に近い結果となる。スタック又はパターンの他のモデル(図9に図示)及び最大30nmという大きいオーバレイ値を含む様々なオーバレイ値、さらに様々な波長の測定放射を使用して、多くのシミュレーションが実施された。いずれの場合も、標準偏差の大幅な改善が観察され、平均オーバレイ値が実際のオーバレイに近づくのが見られた。
【0099】
[00117] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0100】
[00118] 以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスの微細構成によって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスの微細構成を基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力又はその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0101】
[00119] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0102】
[00120] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学部品を含む様々なタイプの光学部品のいずれか、又はその組合せを指す。
【0103】
[00121] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べるコンピュータ読み取り可能命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はその内部に記憶されたこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0104】
[00122] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、例えばリソグラフィ技術によるデバイスの製造に使用可能な検査方法、及び、リソグラフィ技術を使用するデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を備える)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる網の目状の互いに近接したターゲット部分を含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所定の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行にスキャンしながら、パターンを所定の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを具備している。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン付き基板のパラメータ、例えばその中又はその上に形成された連続層間のオーバレイ誤差を測定することが望ましい。この測定は、リソグラフィプロセス中に、又はそれとは別個に実行することができるが、通常はリソグラフィ装置とは別個の計測装置(メトロロジ装置)を使用して実行される。というのは、各装置が些細な量ではない比較的専門の分野に関わっているからである。
【0004】
[0004] レジスト(又はエッチングの場合は基板表面)の現像後の測定及び検査ステップは、生産される基板の通常の処理の過程で実行されるのでインラインと呼ばれ、通常は2つの目的を果たす。第一に、現像したレジストのパターンに欠陥があるターゲット区域があれば、それを検出することが望ましい。十分な数のターゲット区域に欠陥がある場合は、欠陥のあるパターンでエッチングなどのプロセスステップを実行して、欠陥を永久的なものにするのではなく、基板からパターン付きレジストを剥ぎ取り、望ましくは正確に再露光することができる。第二に、測定することによって、リソグラフィ装置のエラー、例えば照明の設定又は露光量を検出し、その後の露光で補正できるようにすることができる。
【0005】
[0005] しかし、リソグラフィ装置の多くのエラーは、レジストに印刷されたパターンから容易に検出又は定量化できないことがある。欠陥を検出しても、常にその原因に直接辿り着くわけではない。したがって、リソグラフィ装置のエラーを検出し、測定する様々なオフラインの手順が知られている。これは、基板を測定デバイスで置き換えるか、特殊な試験パターンの露光を、例えば様々な異なる機械の設定で実行することを含む。
【0006】
[0006] リソグラフィプロセスで形成された顕微鏡的構造を測定するには、走査電子顕微鏡及び様々な専門ツールを使用するなど、様々な技術がある。専門的な検査ツール(インスペクションツール)の1つの形態に、放射ビームを基板の表面上のターゲットに誘導し、散乱又は反射したビームの特性を測定するスキャトロメータがある。基板による反射又は散乱の前後のビームの特性を比較することにより、基板(又は基板上の構造)の特性を割り出すことができる。反射スペクトルを生じる基板上の構造は、例えばリアルタイム回帰を使用して、又はシミュレーションによって導かれたパターンのライブラリと比較することによって再構築することができる。再構築は費用関数の最小化を含む。両方のアプローチは、周期的構造による光の散乱を計算する。最も一般的な技術は、厳密結合波解析(RCWA)であるが、光の散乱は、時間領域差分(FDTD)又は積分方程式技術などの他の技術でも計算することができる。
【0007】
[0007] 2つの主なタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは、広帯域放射ビームを基板に誘導し、特定の狭い角度範囲に分散した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射ビームを使用して、散乱した放射の強度を角度の関数として測定する。
【0008】
[0008] 基板表面のターゲットで測定する必要がある1つのパラメータは、オーバレイである。オーバレイは、1つの基板層上の構造と前の層(つまりそれより下にある層又は基板に近い方の層)上の構造との偏りである。オーバレイがある場合、全部の層を露光した後の全体的構造は正確に形成されず、その結果の製品に問題を引き起こすことがある。オーバレイは、全体的なスタック又は構造の対称性を検査することによって測定される。オーバレイの計測は、角度散乱スペクトルの非対称性の測定に基づく。対称の構造は対称の角度スペクトルを生成し、ターゲットの非対称性は角度散乱スペクトルの非対称性として現れる。この特性は、角度分解スキャトロメータを使用するオーバレイ計測の基礎である。
【0009】
[0009] オーバレイ計測に使用される放射は通常、円形又は環状ビームである。円形ビームより環状ビームが使用される。というのは、ゼロ次回折スペクトルと±1(及び潜在的にそれ以上)の回折次数との結果となる散乱スペクトルのオーバレイが、環状放射の方が解読し易く、使用可能な光子の「浪費」又は「損失」量が少なくなるからである。情報を与えるのは、回折次数の重ならない部分であるので、重なる部分は測定に使用されず、したがって「浪費」されず。1次「自由次数」(つまり重ならない放射の部分)のみが、オーバレイに関して有用な情報を含む。しかし、環状放射ビームを使用しても、ビームの一部の損失を防止することができない。というのは、ターゲットが小型化するにつれ、隣接するターゲットの情報、又は任意のターゲット以外の表面の情報までも含む場合は、環状ビームの一部を廃棄しなければならないからである。ビームは、より高い回折次数からの情報が失われる可能性があるので、小型化したターゲットのサイズに適合するように単に縮小することはできない。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 回折スペクトルの情報を失わずにオーバレイを測定するために、より小さいターゲットで使用することができる放射を提供する放射源を提供することが望ましい。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、基板の特性を測定するように構成されたスキャトロメータを含む、又は閉じ込める基板の特性を測定するように構成された検査装置、リソグラフィ装置又はリソグラフィセルが提供され、スキャトロメータは、放射ビームを提供するように構成された放射源と、高開口数のレンズと、基板の表面から複数の角度で反射した放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、を含み、放射源は放射ビームを放射状に偏光させるように構成される。
【0012】
[0012] 本発明の第二態様によれば、放射ビームを提供し、パターンを基板に印刷し、高開口数のレンズの瞳面にてパターンの反射スペクトルを測定することを含み、さらに放射ビームを放射状に偏光させることを含む、基板の特性を測定する方法が提供される。
【0013】
[0013] 基板上にパターンを形成するためにリソグラフィ装置を使用することと、放射ビームを提供し、パターンを基板に印刷し、高開口数のレンズの瞳面にてパターンの反射スペクトルを測定することによって印刷されたパターンのパラメータに関連する値を割り出すこととを含み、反射スペクトルが、放射状に偏光した放射ビームを基板上のパターンで反射させることによって生成されるデバイス製造方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 次に、本発明の実施形態を添付の略図を参照しながら、ほんの一例として説明する。図面では対応する参照記号は対応する部品を示している。
【図1a】[0015] 本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示した図である。
【図1b】[0016] 本発明の実施形態によるリソグラフィセル又はクラスタを示した図である。
【図2】[0017] 本発明の実施形態による第一スキャトロメータを示した図である。
【図3】[0018] 本発明の実施形態による第二スキャトロメータを示した図である。
【図4a】[0019] 本発明の実施形態によりオーバレイがない製品で使用中のスキャトロメータを示した図である。
【図4b】[0020] 0、1及び2次の回折スペクトルを示した図である。
【図5a】[0021] 本発明の実施形態によりオーバレイがある製品で使用中のスキャトロメータを示した図である。
【図5b】[0022] 図5aを示した拡大図である。
【図5c】[0023] オーバレイがある製品を示した上面図である。
【図6】[0024] 放射ビームの様々な偏光を示した図である。
【図7】[0025] 本発明の実施形態により直線偏光を使用する平面からの反射スペクトルを示した図である。
【図8】[0026] 本発明の実施形態により放射状偏光を使用する平面からの反射スペクトルを示した図である。
【図9】[0027] 本発明の実施形態による5nmのオーバレイがある製品を示した側面図である。
【図10】[0028] 本発明の実施形態によりTM偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップとしても知られる)を示した図である。
【図11】[0029] 本発明の実施形態によりTE偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示した図である。
【図12】[0030] 本発明の実施形態により放射状偏光を使用する図9の製品のオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示した図である。
【図13】[0031] 本発明の実施形態によりオーバレイを測定するために直線偏光の使用と放射状偏光の使用との比較を示したグラフである。
【図14】[0032] 図14aから図14bは、高開口数の集光レンズを通過する放射ビームの偏光効果を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0033] 図1aは、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PLとを含む。
【0016】
[0034] 照明システムは、放射の誘導、成形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0017】
[0035] 支持構造体は、パターニングデバイスを支持、つまりその重量を支えている。該マスク支持構造体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造体は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0018】
[0036] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
【0019】
[0037] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0020】
[0038] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
【0021】
[0039] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0022】
[0040] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0023】
[0041] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に使用してもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造体を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0024】
[0042] 図1aを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0043] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0026】
[0044] 放射ビームBは、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターンが与えられる。放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPLを通過する。第二位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PM及び別の位置センサ(図1aには明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。一般的に、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第一位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールの助けにより実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2及び基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(スクライブレーンアラインメントマークと呼ばれる)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0045] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0046] 1.ステップモードにおいては、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0047] 2.スキャンモードにおいては、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0048] 3.別のモードでは、支持構造体又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0049] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0050] 図1bに示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの部分を形成し、これは基板上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらはレジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像する現像装置DE、チルプレートCH及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ、つまりロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り上げ、これを異なるプロセス装置間で移動し、次にリソグラフィ装置のローディングベイLBに送出する。これらのデバイスは、往々にしてトラックと総称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、これ自体は監視制御システムSCSによって制御され、これはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、スループット及び処理効率を最大限にするために、様々な装置を操作することができる。
【0033】
[0051] リソグラフィ装置によって露光される基板が、正確かつ一貫して露光されるために、露光された基板を検査して、連続する層間のオーバレイ誤差、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。誤差が検出された場合、特に同じバッチの他の基板がまだ露光しないほど十分迅速かつ高速で検査を実行できる場合、連続する基板を露光するために調節することができる。また、既に露光した基板を、歩留まりを改善するために剥ぎ取り、再加工するか、廃棄し、それによって欠陥があると分かっている基板で露光を実行することを回避することができる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、良好であるターゲット部分のみでさらなる露光を実行することができる。
【0034】
[0052] 検査装置を使用して、基板の特性を、特に異なる基板の特性又は同じ基板の異なる層の特性が層毎にいかに異なるかを割り出す。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに組み込むか、独立型デバイスでよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光レジスト層の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像は非常に低いコントラストを有し、つまり放射に露光しているレジストの部分と露光していない部分との屈折率に非常に小さい差しかなく、全ての検査装置が、潜像を有用に測定するのに十分な感度を有しているわけではない。したがって、普通は露光基板で実行する最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分とのコントラストを増大させる露光後ベークステップ(PEB)の後に、測定することができる。この段階で、レジストの像を半潜像と呼ぶことができる。レジストの露光又は非露光部分が除去されている時点で、又はエッチングなどのパターン転写ステップの後に、現像したレジスト像を測定することも可能である。後者の可能性は、欠陥のある基板を再加工する可能性を制限するが、それでも有用な情報を提供することができる。
【0035】
[0053] 図2は、本発明に使用可能なスキャトロメータを示している。これは、基板Wに放射を投影する広帯域(白色光)放射投影装置2を含む。反射した放射は分光検出器4に渡され、これが鏡面反射放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生成する構造又は輪郭を、処理ユニットPUによって、例えば厳密結合波解析及び非線形回帰によって、又は図2の下部で示すようにシミュレートしたスペクトルのライブラリとの比較によって再構築することができる。概して、再構築するためには、構造の全体的形態が分かっていて、構造を作成するプロセスの知識から、幾つかのパラメータが仮定され、スキャトロメータのデータから割り出される構造のパラメータはわずかしかない。このようなスキャトロメータは、垂直入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0036】
[0054] 本発明で使用できる別のスキャトロメータが、図3に示されている。このデバイスでは、放射源2によって放出された放射は、レンズシステム3を使用して干渉フィルタ13及び偏光器17を通して集光され、部分反射表面16で反射し、顕微鏡の対物レンズ15を介して基板Wに集光され、これは高い、好ましくは少なくとも0.9、さらに好ましくは少なくとも0.95の開口数(NA)を有する。液浸スキャトロメータは、開口数が1を超えるレンズを有することさえできる。反射した放射は、次に部分反射表面16を透過して、散乱スペクトルを検出するために検出器18に入る。検出器は、レンズシステム15の焦点距離にある逆投影瞳面11に位置してもよいが、瞳面は、補助光学系(図示せず)で検出器に再結像してもよい。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角を規定し、角位置が放射の方位角を規定する面である。検出器は、基板ターゲット30の2次元角度散乱スペクトルを測定できるように、2次元検出器であることが好ましい。検出器18は、例えばCCD又はCMOSセンサのアレイでよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒などの積分時間を使用してよい。
【0037】
[0055] 基準ビームは、例えば入射放射の強度を測定するために、往々にして使用される。そのために、放射ビームがビームスプリッタ16に入射すると、その一部が基準ビームとしてビームスプリッタを透過し、基準ミラー5に向かう。次に、基準ビームは同じ検出器18の異なる部分に投影される。
【0038】
[0056] 例えば405〜790nm又はさらに低く、200〜300nmなどの範囲で、問題の波長を選択するために、干渉フィルタ13のセットが使用可能である。干渉フィルは、異なるフィルタのセットを含むのではなく、調節可能でよい。干渉フィルタの代わりに、回折格子を使用することができる。
【0039】
[0057] 検出器18は、1つの波長(又は狭い波長範囲)で散乱した光の強度を測定するか、複数の波長で別個に強度を測定するか、ある波長範囲にわたって統合された波長を測定することができる。さらに、検出器は、TM(transverse magnetic)偏光、及びTE(transverse electric)偏光の強度及び/又はTM偏光とTE偏光の間の位相差を別個に測定することができる。
【0040】
[0058] 広帯域光源(つまり光の周波数又は波長の、したがって色の範囲が広い光源)の使用が可能であり、これは大きいエタンデュを与え、複数の波長の混合を可能にする。広帯域の複数の波長は、それぞれδλの帯域幅及び少なくとも2δλの間隔(つまり帯域幅の2倍)を有することが好ましい。幾つかの放射「源」は、ファイバ束を使用して分割されている分散放射源の異なる部分でよい。この方法で、角度分解した散乱スペクトルを複数の波長にて並列で測定することができる。3次元スペクトル(波長及び2つの異なる角度)を測定することができ、これは2次元スペクトルより多くの情報を含む。これによって、より多くの情報を測定することができ、これは測定プロセスの堅牢性を向上させる。これについては、欧州特許EP1,628,164A号にさらに詳細に記載されている。
【0041】
[0059] 基板W上のターゲット30は回折格子でよく、これは現像後に、レジスト実線で回折格子のバー(又は線)が形成されるように印刷される。あるいは、バーを基板にエッチングすることができる。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLの色収差に影響されやすく、照明の対称性、及びこのような収差の存在は、印刷された回折格子の変動に現れる。したがって、回折格子を再構築するために、印刷された回折格子のスキャトロメータ測定データが使用される。線の幅及び形状などの回折格子のパラメータを、印刷ステップ及び/又は他のスキャトロメータプロセスの知識から、処理ユニットPUによって実行される再構築プロセスに入力することができる。
【0042】
[0060] 実施形態では、スキャトロメータは反射したスペクトル及び/又は検出構成の非対称性を測定することによって、位置合わせ不良の2つの回折格子又は周期的構造のオーバレイを測定するような構成であり、この非対称性は、オーバレイの程度と関係がある。対称の検出構成により、非対称性は明白に識別可能である。これは、回折格子の位置合わせ不良を測定する単純明快な方法を提供する。
【0043】
[0061] 使用される基板パターンの1つのタイプが、図4aに図示されている。基板W上の回折格子14は、その頂部に印刷された第二回折格子12を有する。図4aに見られるように、回折格子14に重ね合わせた回折格子12は、完全に回折格子14の一直線上にある。その結果の回折スペクトルが図4bに図示されている。図4bに示した回折スペクトルの中心にある円0は、ゼロ次回折次数の強度を示す。1と−1のラベルが付けられ、同様の影がある重なった円は、回折スペクトルの+1次及び−1次である。1次と重なって暗い方の影がある円は、+2次及び−2次回折次数である。回折格子12と14が図4aに示すように完全に一直線上にある場合、図4bに示す回折スペクトルの輪によって示される強度は対称になる。特に、回折スペクトルの像を生成するために使用される処理装置のタイプに応じて、非対称性は強度の影又は円の暗さの変化、又は非対称性を見られるようにする任意の他の適切な認識可能パラメータとして現れる。
【0044】
[0062] 図5a、図5b及び図5cは、基板W上の回折格子14と、その頂部に偏って印刷された第二回折格子12を示す。回折格子14に対する回折格子12の偏りの量が、オーバレイ22として知られる。図5aは、スキャトロメータ及び図4aと同様の基板パターンを示すが、第二回折格子12に偏りがある。図5bは、2つの回折格子12及び14の拡大図を示す。回折格子の各バーの幅は20、偏り(つまりオーバレイ)の幅は22というラベルが付いている。オーバレイの上面図が図5cに図示されている。左手の図形はオーバレイがないことを示し(OV=0)、右手の図形は製品層上のレジスト層を示し、レジスト層が回折格子のピッチの2倍だけ右側に偏っている(OV=2P)。その結果、検出器4で検出されたままのスキャトロメータの回折スペクトルは、図4bの回折スペクトルと同様に見えるが、1次回折次数が0次回折次数(1次自由次数)と重ならない区域は非対称になる。2次回折次数にも同じことが当てはまるが、2次回折次数は常に見えるとは限らず、特に照明源2によって生成される測定スポットが非常に小さい場合はそうである。
【0045】
[0063] 図4a及び図5aに示す実施形態では、放射源2が、表面の法線に対して対称にオブジェクトを照明し、スキャトロメータ検出器4が幾つかの角度から散乱放射を測定するが、傾斜角からオブジェクトを照明する源2も可能である。
【0046】
[0064] 以上で示したように、オーバレイの計測は、角度散乱スペクトルの非対称性の測定に基づく。対称構造は対称角のスペクトルを生成し、ターゲットの非対称性は角度散乱スペクトルの非対称性として現れる。この特性は、角度分解スキャトロメータ測定を使用するオーバレイ計測の基礎である。
【0047】
[0065] 重なっているが位置合わせ不良の2つの回折格子12及び14は、1つの非対称の複合ターゲットを形成する。その結果となる角度散乱スペクトルの非対称性が、図5aに示す角度分解スキャトロメータ4で検出され、以下の方法でオーバレイ22を導き出すために使用される。
【0048】
[0066] 2つの回折格子対を、第一及び第二対にそれぞれ+d及び−dという意図的な偏倚がある状態で使用する。つまり、回折格子12は、(図5bに示すような)一方の対では一方向に、他方の対(図示せず)では反対方向にシフトする。したがって、各対の回折格子間の実際の横方向シフトは、X1=OV+d及びX2=OV−dであり、OVはオーバレイ22である。
【0049】
[0067] 回折格子の対が位置合わせされると、オーバレイは0であり、回折格子に入射する照明の強度がIillで、回折格子で反射した放射の強度が同じ面ではあるが第一方向でI+1、反対方向でI-1であり、オーバレイOV=0である場合、下式のようになる。
【0050】
[0068] I+1=I-1 (1)
【0051】
[0069] しかし、OV≠0である場合は、下式のようになる。
【0052】
[0070] I+1≠I-1 (2)
【0053】
[0071] オーバレイが小さい場合、強度の差は下式のようにオーバレイに比例する。
【0054】
[0072] I+1−I-1=K×OV (3)
【0055】
[0073] Kは定数で、プロセスに依存し、したがって未知数である。
【0056】
[0074] 本発明の実施形態によるスキャトロメータでオーバレイの計測を較正するために、2つの回折格子ターゲット、つまり図5bに示すオーバレイがある第一、及び正反対のオーバレイがある第二を使用し、したがって上部回折格子12が底部回折格子14に対して右側ではなく左側に変位する。第一設定のオーバレイはOV+d(図5bの距離22)であり、第二設定のオーバレイはOV−dである。
【0057】
[0075] したがって、OV+dの場合、
非対称性A+=K(OV+d)であり、
OV−dの場合、
非対称性A-=K(OV−d)である。 (5)
【0058】
[0076] 換算係数Kは下式のように消去することができる
【数1】
【0059】
[0077] したがって、オーバレイは、角度分解散乱スペクトルの非対称性の測定値を使用して計算することができる。
【0060】
[0078] 実施形態では、基板と検出器の間の空間の少なくとも一部、特に図3に示すようなレンズ15と基板Wの間の空間を液体に液浸することが可能である。液体は水でよい。これは、基板Wとレンズ15の間にある媒質の空間帯域幅を拡大するという利点を有する。つまり、空気中で消失するような回折が液体中では伝播し、レンズで捕捉することができる。したがって、空間を液浸すると、より高い回折次数を検出することが可能になり、これは回折格子に関して例えば空間中の空気よりも詳細な情報を含む。
【0061】
[0079] スキャトロメータの開口数(NA)は少なくとも0.9、さらには0.05又は1を超えることが好ましい。
【0062】
[0080] 25と屈折率が高いオブジェクトとの間の空間を流体に液浸すると、媒質の空間帯域幅が拡大し、より小さいピッチでより高い回折次数を伝播することができる。伝播する1次スペクトルを生成する最小ピッチはλ/(2NA)である。NAが1.3に等しく、λが400nmに等しいと仮定すると、最小ピッチが154nmになる。これは、約20nmから80nmというクリティカルディメンジョン(CD)又は再構築された回折格子に対応する。図2に示すような輪郭を見ると、限界寸法は、ピークの平均幅であり、ピッチは1つのピークから次のピークまでの距離である。この方法で、スキャトロメータを使用してオーバレイばかりでなくCDの測定も実行することができる。
【0063】
[0081] 液浸流体は、例えば基板W上のレジストに対して大きい屈折率の刻みを有していなければならない。これによって、検出器の像に最大のコントラストを生じさせることができる。このような要件を満たすことが可能な液体は水である。
【0064】
[0082] スキャトロメータを使用してオーバレイを割り出す上述の方法、及びこれもスキャトロメータを使用してCDを割り出す方法では、放射源からの放射を集光するために使用される光学系(任意選択で偏光器及び/又はビームスプリッタを含む)と、放射が回折格子を含む表面から反射したという事実との組合せにより、放射源は通常、直線偏光である。しかし、直線偏光の使用に関して、これまで気づかれなかった、又は考慮されていなかった幾つかのアーチファクトがある。これらのアーチファクトは、オーバレイ測定から得られる結果に影響することがある。特に、高い開口数を通して集光レンズに入射すると、直線偏光は偏光効果を経験する。「偏光効果」の意味に関する以下の説明は、図14aから図14bに言及している。放射ビームは、高い開口数の集光レンズを通過する。図14aと図14bの両方で、放射ビームはy軸に沿って直線偏光する。図14aは放射ビームの偏光面を横切って、y軸に沿って見たものであり、図14bはx軸に沿って見たものである。その結果、図14bに示す放射の方向の分布は、図14aに示す分布より弱い。というのは、y軸に沿って直線偏光するビームが、焦点フィールドに対する寄与が異なるxz面及びyz面それぞれで伝播する成分光線を有するからである。yz面の焦点スポットは、入力ビームの偏光方向で細長くなる。というのは、これによって伝播する光線がその焦点にて完璧に合わないからである。図14bでは、入射角が異なる場合は矢印が相互に平行ではないことが分かり、図14aの光線の偏光方向は全て相互に平行で、焦点にて適切に合う。レンズの上縁及び下縁から来る光線の垂直電界は、垂直のままである左側及び右側のそれに対して傾斜する。円形レンズを通る偏光の挙動がこのように非対称であると、偏光効果として知られる特別なぶれを引き起こす。
【0065】
[0083] 直線偏光の場合、ビームの伝播方向における直線偏光成分のエネルギ分布は、回転対称ではない。これは主に、焦点を楕円形にする非対称の変形を引き起こす。環状アパーチャを使用する場合、縦方向の成分の相対的分布が増加し、非対称性がさらに顕著になる。
【0066】
[0084] その結果、基板Wの焦点又は瞳面における強度分布は、回転対称性を失う。回転対称の利点は、回転対称の放射の結果、回折スペクトルの対称性がさらに明瞭になることである。回転対称の点及び反射スペクトルは、放射状に偏光した光のアーチファクト(特性)である。これらのアーチファクトは、オーバレイ測定及び計算にとって幾つかの利点を与えることができる。例えば焦点サイズの小型化、有効オーバレイピクセルマップを通したピクセル値の分布の平滑化及び精度の上昇である。
【0067】
[0085] 環状アパーチャを集光に使用する場合、光軸に対して大きい角度で伝播する波のみが、焦点フィールドに寄与する。環状アパーチャの開口数が高く、内径が大きい場合、放射状に偏光した入力フィールドの電界ベクトルは、基本的に光軸に平行である。全ての光線が完全に干渉し、集光したビームは、小さい回転対称の強力な点であり、電界が放射ビームの方向を指している。
【0068】
[0086] さらに、直線偏光を使用して集光した測定点のサイズは、24μm程度である。しかし、1枚の基板上に存在し得る製品の量を最大にし、製品のパターンを小型化し続けるために、測定ターゲットサイズも小型化することが要求されている。直線偏光を使用すると、測定点が大きくなりすぎて、1つの測定ターゲットに適合することができず、したがってターゲットを囲む区域からのノイズ、さらには隣接ターゲットからのクロストークもある。
【0069】
[0087] さらに、上述したような直線偏光を使用してオーバレイを測定すると、オーバレイのピクセルサイズが大きく広がり、その結果、ピクセル毎の値の標準偏差が大きくなる。現実的なオーバレイの値を獲得するために、往々にしてフィルタを使用して、ノイズ(肩がある鐘形曲線で表され、肩を除去するためにフィルタが必要である)を遮断する必要がある。
【0070】
[0088] 本発明の実施形態は、スキャトロメータの光源として放射状偏光を使用することにより、以上の問題を解決する。放射状偏光は、図6の断面で放射ビームCとして図示されている。図6の放射ビームBは方位偏光ビームを示す。放射状偏光の電界ベクトルは、車輪のスポークのように構成され、ビームの中心から外向きである。
【0071】
[0089] 放射状偏光がレンズと考査すると、ビームの各部分からの電界が、ビームの個々の部分の周囲で対称に傾斜する。この方法で、放射状偏光を、直線偏光よりはるかに小さい測定点に集光することができる。例えば、放射状偏光は200nmの点に集光することができる。焦点が小さいほど、その点に含まれる情報が多くなり、したがって点の集光場所である瞳面における情報が多くなる。実施形態では、光学システムが、放射状偏光を最大約200nmの直径を有する焦点に集光するように構成される。
【0072】
[0090] 偏光を生成するために、幾つかの技術が使用されている。自然光線、つまり非偏光を偏光させるには、基本的に4つの技術がある。1つの技術は、複屈折又は2軸材料に基づく。第二の技術は、「ポラロイド」などの2色材料の使用に基づく。第三の技術は薄膜技術を使用し、ブルースタ効果を使用する。第四の技術は、ワイヤグリッド又は導電性回折格子に基づく。
【0073】
[0091] 光又は放射を偏光させるために複屈折材料を使用することは、複屈折偏光器の生産において知られている。複屈折偏光器は、多くの結晶から、及び特定の延伸ポリマからも作成することができる。複屈折材料は、1つの方向と別の方向で異なる光学指数を有する材料である。2方向の光学指数の差の程度は、放射の波長とともに変化する。指数の差を使用して、一方の直線偏光のビームを別の直線偏光のビームから区別する。2色偏光器は、一方の偏光を吸収し、他方を透過するように設計された偏光器である。最も一般的に使用される2色偏光器は、分子を配向するように延伸され、分子が1方向の偏光を吸収するようにヨウ素及び/又は他の材料又は化学物質で処理されたポリマシートで構成される。延伸ポリマシートを複屈折にした偏光器デバイスが開発されている。この延伸シートは一方の偏光を反射し、他方を通過させる。薄膜偏光器の技術は、ガラス、プラスチックなどの材料の表面にブルースタ角(ほぼ45°)で入射する光ビームが、2つの偏光ビームに分割され、一方が透過し、他方が反射するブルースタ効果を使用する。
【0074】
[0092] 偏光ビームの適用が探求されている像投影システムでは、常にビームは明るい方が望ましい。偏光ビームの明るさは幾つかの要素で決定され、要素の1つは光源自体である。偏光器を使用するシステムの別の要素は受光角である。受光角が狭い、又は制限されている偏光器は、広い受光角を使用するシステムほど多くの光を発散光源から集めることができない。受光角が大きい偏光器は、投影光学システムの設計に融通性を与えることができる。というのは、偏光器を光源に対して狭い範囲の受光角以内に配置し、配向する必要がないからである。
【0075】
[0093] 偏光器の別の望ましい特徴は、偏光の1つの成分を他の成分から効果的に分離する能力である。これは消光比と呼ばれ、望ましい偏光成分の光の量と望ましくない偏光成分の光の量との比率である。
【0076】
[0094] 望ましい他の特徴は、偏光器の効率を低下させたり、システムにビームの方向などの追加的制約を導入したりせずに、光学検査システム内に偏光器を配置する自由があることである。
【0077】
[0095] 別の偏光技術は、導電性回折格子又はワイヤグリッドを使用する。ワイヤグリッド偏光器は、等間隔の平行な電気導体の平面アセンブリであり、その長さは幅よりはるかに長く、電気導体の間隔は入射光線の最高周波数の光成分の波長より短い。この技術は長年、無線周波領域で、及びスペクトルの赤外線領域まで首尾よく使用されてきた。導体に平行な偏光(S偏光)を有する波は反射し、直交偏光(P偏光)の波はグリッドを透過する。ワイヤグリッド偏光器は主に、レーダ、マイクロ波、及び赤外線の領域で使用されている。ワイヤグリッド偏光器は、欧州特許EP1574904号でも、以上で簡単に検討したように、基板上のレジスト層を露光する光ビームを偏光させるために光学投影システムで使用すると説明されている。
【0078】
[0096] ワイヤグリッド偏光器の一例は、ガラスなどの材料に埋め込まれるもので、材料の第一層と第二層に挟まれた平行で細長く離間された要素のアレイを含む。細長い要素は、要素の間に複数のギャップを形成し、これは第一層の屈折率より低い屈折率を提供する。要素のアレイは、可視スペクトルの電磁波と相互作用して、第一偏光の光の大部分を反射し、第二偏光の光の大部分を透過するように構成される。要素は、0.3ミクロン未満の周期及び0.15ミクロン未満の幅を有する。
【0079】
[0097] 測定放射ビームが非常に小さい波長を有して、数百ナノメートルのオーダという非常に小さい焦点の直径を必要とするスキャトロメータなどの計測では、ワイヤグリッド偏光器の技術の使用は示唆されてこなかった。
【0080】
[0098] 波の偏光状態は、2つのパラメータθ及びφで規定することができ、ここでθはTE波成分とTM波成分との相対的大きさを規定し、φはその相対的位相を規定する。入射波は、以下の式の対で表すことができる。
【0081】
[0099] ATE=cosθ
【0082】
[00100] ATM=ejφsinθ
【0083】
[00101] したがって、φ=0の場合、波は角度θで直線偏光する。θ=π/4及びφ=±π/2の場合に、円偏光が獲得される。TE偏波はθ=0で表される。TM波はθ=π/2で表される。TE及びTM偏光は、基本的な偏光成分である。
【0084】
[00102] 放射状偏光器の実施形態は、放射状に対称のパターンで構成された周期的回折格子を有する。回折格子の周期は、使用される放射の特定の波長に合わせ、及び他の望ましいパラメータに従って選択することができる。この実施形態では、回折格子は基板に堆積し、これはガラス又は他の材料でよい。回折格子は、例えばアルミ、クロム、銀、金などの金属、又は電磁放射ビームの波長で導電性である任意の材料でよい。回折格子は、例えば誘電体又は多層構造内の組合せで作成することもでき、これには溶融石英の基板上でSi3N4の2つの層に挟まれた単層のSiO2などがあるが、それに限定されない。回折格子は、例えばGaAsの基板にパターンを転写した後に、電子ビームを使用してエッチングしてもよい。回折格子は、偏光器の直径に沿ってTE偏光の強度の均一性を維持するために、偏光効果が滑らかに遷移できるように交錯させることができる。さらに、偏光器は円板形状又は多角形を有してよく、これは長方形、六角形などであるが、それに限定されない。
【0085】
[00103] 放射状偏光器の別の実施形態は、第一屈折率を有する材料の第一層、及び第二屈折率を有する材料の第二層を含む。方位及び周期の点で離間された複数の細長い要素(又は回折格子)を、第一層と第二層の間に配置する。複数の細長い要素は、光又は放射の電磁波と相互作用し、TE偏光を透過して、TM偏光を反射又は吸収する。複数の細長い要素は、例えば二酸化珪素で作成することができ、第一及び/又は第二層は、例えば石英、シリコーン、二酸化物、窒化珪素、ガリウム砒素などを含む任意の材料、又は放射の電磁ビームの波長で誘電性の材料で作成することができる。以前の実施形態と同様に、細長い要素の間の間隔又は周期は、材料の所期の使用法に従って、つまり特定の波長に合わせて、リソグラフィシステムの他のパラメータに従い選択することができる。
【0086】
[00104] 放射状偏光器のさらなる実施形態は、一方は均一で一方は円摩擦のアラインメント層で構成されたネマチック液晶セルを含む。偏光変換器内のLCの局所的アラインメントは、ツイストセルのそれであり、捻れ角度は局所アラインメント層によって与えられる。これらの捻れ角度は常にπ/2より小さい。直線偏光又は放射が偏光変換器を通って輝き、偏光方向が均一のアラインメント層に平行又は直角である場合、方位的又は放射状に偏光した光又は放射が他方側に現れる。より詳細な説明は、1996年出版のStalderその他による「Optics Letters」第21巻1948ページに見ることができる。
【0087】
[00105] 例えばオーバレイ測定などの放射状偏光放射を使用することの利点は、ピクセル値の標準偏差を小さくした状態で、より正確なオーバレイの結果が可能なことである。シミュレーションについて以下で述べる。
【0088】
[00106] 放射状偏光又は放射は、オーバレイマップ(回折パターン像)の各ピクセルについて、オーバレイ値の分布をより滑らかにし、これは標準偏差をはるかに小さくし、平均オーバレイ値が実際のオーバレイ値に近づく。つまり、オーバレイ値がさらに正確になる。
【0089】
[00107] 放射状偏光を使用することのさらなる利点は、放射状偏光又は放射を使用する各ピクセル値の標準偏差が、既に大幅に小さくなっているので、ノイズを除去するためのフィルタが不必要なことである。
【0090】
[00108] 直線偏光と放射状偏光の回折スペクトル(又はピクセルマップ)の比較が、図7及び図8に図示されている。図7は直線偏光の回折スペクトルを示し、図8は放射状偏光の回折スペクトルを示す。これらの図で見られるように、直線偏光又は放射は、非対称性を求めることができる認識可能なパターンを生成するが、放射状偏光を使用した結果のパターンの方がはるかに明瞭である。実際、回折像は完全に回転対称であり、したがって非対称性があれば、全てさらに容易に現れる、と言うことができる。図13は、直線偏光放射を使用した場合(暗い方のダイアモンド)と放射状偏光放射を使用した場合(明るい方の正方形)で、オーバレイ測定の精度の差を示す。実際のオーバレイはx軸上にあり、オーバレイの誤差はy軸上にある。放射状偏光放射の方が、高いオーバレイ値でも誤差が少ないことが、明らかに分かる。
【0091】
[00109] 図9に示すようなスタック又はパターンを使用して、シミュレーションを実行した。基板Wは、平坦な珪素の表面で、2つの反対方向に偏倚した回折格子が重ね合わされ、5nmのオーバレイが与えられている。図7及び図8の回折パターンは、パターンがなく、したがってオーバレイがない平面の珪素基板の回折パターンである。他方で、図10、図11及び図12は、図9に示すオーバレイターゲットのずれについて、様々なオーバレイパターンを示す。図9の下部回折格子14は、基板Wと同様に珪素で作成される。最上回折格子12はレジストで作成される。中間層R1、R2及びR3は、SiO2、ハードマスク、キャッピング層又はバークなど、半導体産業で一般的に使用されている別の材料である。以上で示したように、意図的に与えられたオーバレイは5nmである。
【0092】
[00110] シミュレーションの結果を下表に示す。表1は、600nmの測定放射の波長に5nmのオーバレイを与えたシミュレーションの結果を示す。表2は、650nmの測定放射の波長を使用し、これも5nmのオーバレイを与えたシミュレーションの結果を示す。各表には、TE(Transverse Electric)方向、TM(Transverse Magnetic)方向に偏光を有する測定放射、及び放射状に偏光したビームを使用して回折パターンから求めた平均オーバレイの結果がある。図10は、TM直線偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効オーバレイピクセルマップ)を示し、図11は、TE直線偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示し、図12は、放射状偏光放射で取得したオーバレイパターン(有効ピクセルオーバレイマップ)を示し、いずれも測定放射の波長は650nmである。
【0093】
[00111]
【表1】
【0094】
[00112]
【表2】
【0095】
[00113] 結果から分かるように、表1では、4.84nmという平均オーバレイの結果の方が、いずれの直線偏光放射ビームよりも5nmという実際のオーバレイに近い。さらに、図10、図11及び図12に示すピクセルマップの各ピクセルの値も、より滑らかであり、標準偏差が小さくなることを示し、したがってノイズを除去するためにフィルタを必要としない。表2も、放射状偏光の方が直線偏光よりも正確な平均オーバレイの結果を示し、この場合も標準偏差が小さくなる。
【0096】
[00114] 図10、図11及び図12の像は、1次回折次数と0次回折次数の自由ピクセルマップ(1次自由次数)のみを示し、したがってこれは特に、図4bのリングのうち、測定されている0次回折次数内にある部分のみである。
【0097】
[00115] 図10、図11及び図12をさらに詳細に見ると、図10から、オーバレイ像の影が、点Pの4nmと5nmの間のどこかに現れることが分かる。図11では、スケールの範囲が5に近くなり、Qのラベルが付けられた像の影は、4.95nmと5nmの間のどこかにある。しかし、放射状偏光を使用すると、標準偏差がはるかに小さくなるので、はるかに正確なマッピングを生成することができる。したがって、標準偏差は、スケール上でオーバレイピクセルマップの右側に示され、オーバレイの影が図12のRのラベルの点にあることが分かり、これは4.98nmと4.99nmの間である。
【0098】
[00116] これらのシミュレーション結果から分かるように、放射状偏光の方がピクセル毎のオーバレイ値の分布が滑らかになって、小さい標準偏差につながり、したがって実際のオーバレイの結果に近い結果となる。スタック又はパターンの他のモデル(図9に図示)及び最大30nmという大きいオーバレイ値を含む様々なオーバレイ値、さらに様々な波長の測定放射を使用して、多くのシミュレーションが実施された。いずれの場合も、標準偏差の大幅な改善が観察され、平均オーバレイ値が実際のオーバレイに近づくのが見られた。
【0099】
[00117] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0100】
[00118] 以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスの微細構成によって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスの微細構成を基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力又はその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0101】
[00119] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0102】
[00120] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学部品を含む様々なタイプの光学部品のいずれか、又はその組合せを指す。
【0103】
[00121] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べるコンピュータ読み取り可能命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はその内部に記憶されたこのようなコンピュータプログラムを有するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0104】
[00122] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の特性を測定するように構成されたスキャトロメータであって、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が前記放射ビームを放射状に偏光させるように構成されるスキャトロメータ。
【請求項2】
前記放射源が前記放射ビームを偏光するように構成された液体ネマチックセルを備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項3】
放射状偏光放射ビームを直径が最大約200nmの焦点に集光するように構成された光学システムをさらに備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項4】
基板上の第一層のオーバレイを、前記第一層に重ね合わせた第二層に対して測定するように構成され、
前記検出器が、重ね合わせた前記第一及び第二層から反射している前記放射状偏光放射ビームの少なくとも0次及び1次の角度分解スペクトルを検出し、0次、−1及び+1次の回折次数の個々の強度の像、前記オーバレイの程度を示す前記像のパラメータを出力するように構成される、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項5】
前記オーバレイの程度を示す前記像の前記パラメータが、カラースケール又はグレースケールのピクセル像上に値を含む、請求項4に記載のスキャトロメータ。
【請求項6】
前記高開口数のレンズの前記瞳面において、前記反射スペクトルの特性を複数の波長で同時に測定することにより、前記基板の特性がさらに測定される、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項7】
前記レンズの前記開口数が少なくとも約0.9である、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項8】
前記基板と前記高開口数のレンズとの間で液体を含む空間をさらに備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項9】
前記放射源が、
前記放射ビームを放射状に偏光するように構成された偏光器を備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項10】
前記基板上の構造の限界寸法が、前記反射スペクトルの特徴を測定することによって測定され、前記特徴が、既知の限界寸法に関して予め割り出した特徴のライブラリと比較可能である、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項11】
前記反射スペクトルの前記特徴が非対称性を含む、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項12】
放射ビームを提供すること、
パターンを基板に印刷すること、
高開口数のレンズの瞳面にて前記パターンの反射スペクトルを測定すること
を含み、さらに、
前記放射ビームを放射状に偏光させることを含む、基板の特性を測定する方法。
【請求項13】
前記反射スペクトルを測定することが、(a)複数の角度での前記反射スペクトルの特性、(b)複数の波長、又は(a)と(b)の両方を同時に測定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンが、平行に層状になり、位置合わせ不良の2つの回折格子を備え、それによって他方に対する一方の回折格子のオーバレイを生成し、
前記回折格子の前記反射スペクトルの前記測定が、スキャトロメータを使用して実行され、
前記オーバレイの程度が、前記反射スペクトルの非対称性から導かれる、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
パターンを照明するように構成された照明光学システムと、
前記パターンの像を基板に投影するように構成された投影光学システムと、
前記基板の特性を測定するように構成された角度分解スキャトロメータと、
を備え、前記スキャトロメータが、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が、前記放射ビームを放射状に偏光するように構成される、リソグラフィ装置。
【請求項16】
基板を放射感応性層でコーティングするように構成された塗布器と、
前記塗布器によってコーティングされた基板の前記放射感応性層に像を露光するように構成されたリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置によって露光された像を現像するように構成された現像装置と、
基板の特性を測定するように構成された角度分解スキャトロメータと、
を備え、前記スキャトロメータが、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が、前記放射ビームを放射状に偏光するように構成される、リソグラフィセル。
【請求項17】
リソグラフィ装置を使用して、基板上にパターンを形成するステップと、
前記パターンのパラメータに関連する値を割り出すステップと、
を含み、
前記パターンは、
放射ビームを提供すること、
パターンを基板に印刷すること、及び、
高開口数のレンズの瞳面にて前記パターンの反射スペクトルを測定することによって印刷され、
前記反射スペクトルが、放射状に偏光した放射ビームを前記基板上の前記パターンで反射させることによって生成される、デバイス製造方法。
【請求項1】
基板の特性を測定するように構成されたスキャトロメータであって、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が前記放射ビームを放射状に偏光させるように構成されるスキャトロメータ。
【請求項2】
前記放射源が前記放射ビームを偏光するように構成された液体ネマチックセルを備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項3】
放射状偏光放射ビームを直径が最大約200nmの焦点に集光するように構成された光学システムをさらに備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項4】
基板上の第一層のオーバレイを、前記第一層に重ね合わせた第二層に対して測定するように構成され、
前記検出器が、重ね合わせた前記第一及び第二層から反射している前記放射状偏光放射ビームの少なくとも0次及び1次の角度分解スペクトルを検出し、0次、−1及び+1次の回折次数の個々の強度の像、前記オーバレイの程度を示す前記像のパラメータを出力するように構成される、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項5】
前記オーバレイの程度を示す前記像の前記パラメータが、カラースケール又はグレースケールのピクセル像上に値を含む、請求項4に記載のスキャトロメータ。
【請求項6】
前記高開口数のレンズの前記瞳面において、前記反射スペクトルの特性を複数の波長で同時に測定することにより、前記基板の特性がさらに測定される、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項7】
前記レンズの前記開口数が少なくとも約0.9である、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項8】
前記基板と前記高開口数のレンズとの間で液体を含む空間をさらに備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項9】
前記放射源が、
前記放射ビームを放射状に偏光するように構成された偏光器を備える、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項10】
前記基板上の構造の限界寸法が、前記反射スペクトルの特徴を測定することによって測定され、前記特徴が、既知の限界寸法に関して予め割り出した特徴のライブラリと比較可能である、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項11】
前記反射スペクトルの前記特徴が非対称性を含む、請求項1に記載のスキャトロメータ。
【請求項12】
放射ビームを提供すること、
パターンを基板に印刷すること、
高開口数のレンズの瞳面にて前記パターンの反射スペクトルを測定すること
を含み、さらに、
前記放射ビームを放射状に偏光させることを含む、基板の特性を測定する方法。
【請求項13】
前記反射スペクトルを測定することが、(a)複数の角度での前記反射スペクトルの特性、(b)複数の波長、又は(a)と(b)の両方を同時に測定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンが、平行に層状になり、位置合わせ不良の2つの回折格子を備え、それによって他方に対する一方の回折格子のオーバレイを生成し、
前記回折格子の前記反射スペクトルの前記測定が、スキャトロメータを使用して実行され、
前記オーバレイの程度が、前記反射スペクトルの非対称性から導かれる、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
パターンを照明するように構成された照明光学システムと、
前記パターンの像を基板に投影するように構成された投影光学システムと、
前記基板の特性を測定するように構成された角度分解スキャトロメータと、
を備え、前記スキャトロメータが、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が、前記放射ビームを放射状に偏光するように構成される、リソグラフィ装置。
【請求項16】
基板を放射感応性層でコーティングするように構成された塗布器と、
前記塗布器によってコーティングされた基板の前記放射感応性層に像を露光するように構成されたリソグラフィ装置と、
前記リソグラフィ装置によって露光された像を現像するように構成された現像装置と、
基板の特性を測定するように構成された角度分解スキャトロメータと、
を備え、前記スキャトロメータが、
放射ビームを提供するように構成された放射源と、
高開口数のレンズと、
前記基板の表面から複数の角度で反射した前記放射ビームの角度分解スペクトルを検出するように構成された検出器と、
を備え、
前記放射源が、前記放射ビームを放射状に偏光するように構成される、リソグラフィセル。
【請求項17】
リソグラフィ装置を使用して、基板上にパターンを形成するステップと、
前記パターンのパラメータに関連する値を割り出すステップと、
を含み、
前記パターンは、
放射ビームを提供すること、
パターンを基板に印刷すること、及び、
高開口数のレンズの瞳面にて前記パターンの反射スペクトルを測定することによって印刷され、
前記反射スペクトルが、放射状に偏光した放射ビームを前記基板上の前記パターンで反射させることによって生成される、デバイス製造方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図5a】
【図5b】
【図9】
【図14】
【図4b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図5a】
【図5b】
【図9】
【図14】
【図4b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−200466(P2009−200466A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−284915(P2008−284915)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284915(P2008−284915)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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