説明

樹脂組成物とそれを用いた半導体装置の組立方法並びに半導体装置

【課題】 信頼性の高い半導体装置を得る半導体素子接着用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、環状オレフィン系樹脂(C)、及び該環状オレフィン系樹脂(C)が可溶な溶媒(D)を主成分とし、かつB−ステージ可能である樹脂組成物であり、前記環状オレフィン系樹脂はポリノルボルネン樹脂であることが好ましく、特に下記一般式(1)で表される構造を有するものであることが好ましい。
【化5】


(式(1)中のXは、−О−,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ水素、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エステル基、エーテル基および(メタ)アクリル基、エポキシ基から選ばれる基を示し、mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物とそれを用いた半導体装置の組立方法、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの組立には有機樹脂からなる接着剤が用いられている。例えば、回路基板またはリードフレームに半導体素子を接着するダイボンディング材、半導体装置(または半導体パッケージ)としての高機能化のために複数の目的の素子を重ねて接着するスタックドパッケージにおける半導体素子と半導体素子の接着剤、フリップチップBGAの接合封止用途等が挙げられる。これらは、近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化に伴いその需要は益々増加している。またパッケージの信頼性に関しては、鉛フリーはんだの導入によるはんだクラック耐性の要求レベルが厳しくなり、且つ素子の電気的応答速度の向上に適用するLOW-K膜への応力性低減、半導体装置の薄型化に伴う半導体素子の薄型化に対してはより低応力性が接着剤、封止材に求められている。接着剤用途の場合、例えば素子を多層に張り合わせて組み立てられるスタックドパッケージでは、素子の厚みは100ミクロン以下の薄さになるため、チップにかかる応力は極力小さくしなくてはならない。また、素子間の電気的接合、素子-回路基板の電気的接合はワイヤーボンディングが主に使われるため、ワイヤ−ボンディングパッドの部分が接着剤で汚染されるのを防ぐためその性状はフィルム状かB−ステージ化可能な液状接着剤が好んで用いられる(例えば特許文献1参照)。しかし、フィルムは半導体装置としての信頼性は高いがコストが高くその用途が限定されている。一方、B−ステージ可能な液状接着剤はフィルムに比べコストは低いが信頼性に劣っていた。
【特許文献1】特開2003−261833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、信頼性の高い半導体装置を得る半導体素子接着用樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的は下記[1]〜[9]に記載の本発明により達成される。
[1] エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、環状オレフィン系樹脂(C)、及び該環状オレフィン系樹脂(C)が可溶な溶媒(D)を主成分とし、かつB−ステージ可能であることを特徴とする樹脂組成物。
[2] 前記環状オレフィン系樹脂は、ポリノルボルネン樹脂である[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記ポリノルボルネン樹脂は下記一般式(1)で表される構造を有するものである、[2]に記載の樹脂組成物。
【0005】
【化3】

(式(1)中のXは、−О−,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ水素、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エステル基、エーテル基および(メタ)アクリル基、エポキシ基から選ばれる基を示し、mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)
【0006】
[4] 前記ポリノルボルネン樹脂は、下記一般式(2)で表されるものである[3]に記載の樹脂組成物。
【化4】

(式(2)中、mおよびnは10〜10,000の整数である。また、R1〜R2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル基、t−ブチルエステル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メタクリロキシメチル基、およびグリシジルエーテル基のいずれかを示す。)
【0007】
[5] 半導体装置の組立工程において、半導体素子またはそれに付随する部品の接着或いは半導体素子の封止用として、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いることを特徴とする半導体装置の組立方法。
[6] ウエハー回路面の裏面に[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し、乾燥後、ダイシングにより半導体素子に個片化し、半導体素子を回路基板に圧着し、後硬化、ワイヤーボンド、モールド封止を経る事を特徴とする半導体装置の組立方法。
[7] 突起電極が形成されたウエハー回路面に[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し、乾燥後、ダイシングにより個片化し、半導体素子を回路基板に圧着して得られる半導体装置の組立方法。
[8] 半導体素子が接着された回路基板を[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し封止することを特徴とする半導体装置の組立方法。
[9] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物で封止されてなる半導体装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低応力、高密着性の樹脂組成物が得られ、該樹脂組成物を用いて高信頼性の半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられるエポキシ樹脂はあらゆる公知のエポキシ樹脂を適用することができる。より好ましい構造としては芳香族グリシジルエーテルを有し、1分子当り二個以上のグリシジル基を有するものである。更に半導体用途に用いるため、イオン性不純物が少ないことが好ましい。より好ましくは加水分解性塩素量が500ppm以下である。
本発明に用いる硬化剤は、樹脂組成物がB-ステージ可能になるように、反応を制御できるものが必須となる。B−ステージ状態とは、本発明では加熱により固体、半固体状態となり一定期間エポキシ樹脂と硬化剤の反応が抑制され、加熱による再溶融が可能な性質を持つものである。そのような硬化剤の例としてはジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物、マイクロカプセル化硬化剤、アミンアダクト、フェノール化合物などが挙げられる。
【0010】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂(C)は、溶剤可溶性のものであることが必須である。これらの環状オレフィン樹脂は、特開平3−14882号や特開平3−122137号、特開平4−63807号などで公知の樹脂を用いることができ、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン単量体とオレフィンの付加重合体、これらの重合体の変性物などが挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、特に付加型のポリノルボルネンは耐熱性にも優れるものであり、中でも、前記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンの化学構造における主鎖骨格は、ガラス転移温度が300℃前後の耐熱性を有し好適である。
【0011】
前記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンとしては、一般式(1)における置換基Xとして、−О−,−CH2−または−CH2CH2−を示し、また、一般式(1)における置換基R1、R2、R3およびR4として、それぞれ水素、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エステル基、エーテル基および(メタ)アクリル基、エポキシ基から選ばれるのいずれかを任意の割合で導入したものを用いることができ、これらの基は置換基を有していても良い。
【0012】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびイソブチル基などの側鎖を有していても良い(C1−C20)アルキル基、前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基およびメチルシクロヘキシル基などの(C3−C15)シクロアルキル基、前記アルケニル基としては、例えば、(C3−C10)アルケニル基、前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロペニル基、ヘキセイニル基、オクテニル基およびヘプテニル基などの(C2−C20)アルキニル基、前記アルキリデニル基としては、例えば、(C1−C6)アルキリデニル基、前記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチニル基などの(C6−C40)アリール基、前記アラルキル基としては、例えば、(C7−C15)アラルキル基、前記アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリエトキシシリル基およびトリエトキシシリルエチル基などのアルコキシシリル基、前記エステル基としては、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、n−ブチルエステル基、t−ブチルエステル基およびn−プロピルエステル基などのエステル基、前記(メタ)アクリル基としては、例えば、メタクリロキシメチル基などの(メタ)アクリル基、前記エポキシ基としては、例えば、グリシジルエーテル基などのエポキシ基が挙げられる。
【0013】
前記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンにおいて、前記一般式(2)で表される付加型のポリノルボルネンは、一般式(2)における置換基R1、およびR2として、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル基、t−ブチルエステル基、トリメトシキシラン基、トリエトキシシラン基、メタクリロキシメチル基、およびグリシジルエーテル基のいずれかを、任意の割合で導入したものを用いることができ、それを導入した樹脂組成物は半導体用途の接着剤として特性をより好ましいものとすることができる。例えば、これらの内、アルキル基を導入した場合、該ポリマーを導入した樹脂組成物は可とう性に優れる。また、トリメトキシシラン基、またはトリエトキシシランを導入した場合、銅などの金属との密着性が向上する。
【0014】
本発明に用いる溶媒(D)としては、環状オレフィン系樹脂を溶解することが可能であればよく、例えば、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エチルアセテートやエステル系、ラクトン系、アミド系溶媒などが挙げられ、中でも、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒およびエーテル系溶媒が好ましい。前記炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、やシクロヘキサンなどが挙げられ、前記芳香族溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどが挙げられ、前記ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどが挙げられ、前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどが挙げられる。これら溶剤を単独や混合しても溶媒として使用できる。これらの溶媒はエポキシ樹脂と硬化剤が反応が完結しない条件で加熱、乾燥できるような沸点のものを選択することが好ましい。
更に、硬化剤(B)が25℃で固形の場合、その硬化剤が溶解し難いものを選択することが好ましい。溶解しやすいとB−ステージ性が失われ保存性が低下するため好ましくない。
硬化剤が溶解するとB−ステージ用途にはシェルフライフの点で問題が起きる可能性があり好ましくない。
【0015】
次に、本発明に基づく半導体装置の組立工程の一例を説明する。
まず、樹脂の調製として、エポキシ樹脂、硬化剤、予め溶剤に溶解させた環状オレフィン樹脂、その他添加剤を秤量し、混錬、脱泡を行う。素性は作業性が良好な液状であることが好ましいのため必要あれば溶剤を添加する。
得られた樹脂組成物を半導体ウエハーの回路面の裏面に樹脂組成物を塗布する。この場合樹脂組成物がB-ステージ可能であることが必須の条件となる。その方法としてはスクリーン印刷、ステンシル印刷、スピンコート、転写、ディスペンス等公知の技術を用いることができる。
次に、含有する溶媒を乾燥させる。または同時に部分的にエポキシ樹脂と硬化剤を反応させ、B-ステージ状態にする。次にダイシングを行い、個片の半導体素子にする。次に該半導体素子をダイボンダーを用いて素子をリードフレームまたは回路基板に接着させる。更に必要に応じて後硬化を行う。ワイヤーボンディングし、封止樹脂で封止する。更にスタックドパッケージの場合は接着した素子の上に更にB-ステージ化された樹脂が回路面の裏面に形成した第二の半導体素子を同様に接着する。
また、樹脂組成物にフラックス活性を有する化合物を添加した樹脂組成物をはんだ電極が具備されたウエハーに
塗布−B-ステージ化−個片化と行った後、フリップチップボンダーを用いて、回路基板に接合することによりフリップチップの接合と封止を行うことも可能である。
【0016】
本発明の樹脂組成物には、目的に応じて、上記成分以外に無機フィラー、有機フィラー、接着剤層の厚み制御のためのスペーサー、相溶化剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤、チキソ剤、硬化促進剤、光および/または熱硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。これら添加剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。 特に、光および/または熱硬化剤を添加することにより、光の照射および/または加熱により環状オレフィン系樹脂側鎖のエポキシ基や二重結合部位の官能基を容易に反応させ架橋することができ、耐熱性が向上する。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
[樹脂組成物1の作製]
エポキシ樹脂として25℃で固形のエポキシ樹脂70g(商品名:NC−7300L、日本化薬製)を1,3,5−トリメチルベンゼン30gに溶解させたもの100g、硬化剤として3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン 21g、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(商品名:2P4MZ、四国化成製)0.15g、ポリポリノルボルネンとしてUS特許5,468,819号に記載されている公知の公知の方法によって得られたn−ブチルノルボルネン80mol%とトリエトキシシランノルボルネン20mol%からなるポリノルボルネン(式一般(2)においてRがブチル基、Rがトリエトキシ基、n/(n+m)=0.7)3.5gを1,3,5−トリメチルベンゼン14gに溶解した環状オレフィン系樹脂溶液17.5g、カップリング剤としてエポキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学製)0.4g、フィラーとして球状シリカ(商品名:SO−25R、アドマファイン製)30gを三本ロールを用いて混錬し、真空下で脱泡後樹脂組成物1を調製した。
【0019】
次に、簡易評価のため片面に2μmの厚みのポリイミド(CRC−6061T、住友ベークライト製)層が形成したベアウエハー(厚み100μm)のポリイミド形成面の裏面に印刷機を用いて50μmの厚みに均一に樹脂組成物1を塗布した。次に80℃、3時間かけ溶剤を乾燥し、部分的にエポキシ樹脂と硬化剤を反応させウエハー上にB-ステージ化されたウエハーを作製した。更にダイシングにより9mmX9mmのチップに個片化した。
次にB-ステージ層を下にして回路基板として、表面にソルダーレジスト(商品名:PSR4000/AUS308,太陽インキ製)が形成しているBT基板(16mmX16mm)を150℃に加熱し、ダイボンダーを用いて圧着を行った。次に150℃、1時間でB−ステージ樹脂を硬化させた。最後にモールド樹脂(商品名:G−770、住友ベークライト製)で封止し、模擬パッケージを作成した。更にこのパッケージ(試験片数N=8)を以下の信頼性試験を行った
【0020】
信頼性試験
はんだ耐熱試験
前処理条件
吸湿処理:85℃、65%、168時間
リフロー条件
JEDEC level2準拠(ピーク温度:260℃)三回処理。
試験項目
超音波探傷装置による剥離
超音波探傷装置による外部クラック
また、個片化したチップを23℃、50%相対湿度の環境下で2ヶ月保管した後同様に模擬パッケージを試作し、同様の試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0021】
(実施例2)
[樹脂組成物2の作製]
エポキシ樹脂として25℃で固形のエポキシ樹脂70g(商品名:NC−7300L、日本化薬製)を1,3,5−トリメチルベンゼン30gに溶解させたもの100g、硬化剤として2,5−ジヒドロキシ安息香酸
18g、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(商品名:2P4MZ、四国化成製)0.15g、ポリポリノルボルネンとしてUS特許5,468,819号に記載されている公知の公知の方法によって得られたn−ドデシルノルボルネン70mol%とグリシジルノルボルネン30mol%からなるポリノルボルネン(一般式(2)においてR1がドデシル基、R2がトグリシジル基、n/(n+m)=0.7)3.0gを1,3,5−トリメチルベンゼン14gに溶解した環状オレフィン系樹脂溶液17gフィラーとして球状シリカ(商品名:SO−25R、アドマファイン製)20gを三本ロールを用いて混錬し、真空下で脱泡後樹脂組成物2を調製した。次にはんだ電極(Sn−Pb共晶はんだ、融点183度、高さ80μm)が形成したウエハー(ウエハー厚み750μm)に印刷機を用いて80μmの厚みに樹脂組成物2を均一に塗布し、90℃、90分で樹脂層をB-ステージ化した。更にダイシングを行い、5mmX5mmのフリップチップを得た。(バンプ配列:フルアレイ、バンプピッチ:250μm)次にフリップチップをフリップチップボンダーを用いて対応する回路基板(BT基板、ソルダーレジスト:実施例1と同様)に接合した。接続性はデイジーチェーンにより導通性を調べ判定した。ボイドに関しては超音波探傷装置を用いて観察した。
更に実施例1と同様に個片化したチップを保管し、同様に模擬パッケージを組み立て、作製した模擬パッケージを冷熱衝撃試験(-55℃-125℃)にかけ1000サイクル後の剥離性、外部クラック性を超音波探傷装置を用いて、また接続性をデイジーチェーンにより導通性を調べ確認した。
また、得られた樹脂組成物2を23℃、50%相対湿度の環境下で2ヶ月間保存後、同様に接続性、ボイド及び模擬パッケージを組立て、作製した模擬パッケージの冷熱衝撃試験1000サイクル後の剥離性、接続性、外部クラック性を確認した。
試験結果を表2に示す。
【0022】
比較例1
実施例1においてポリノルボルネン溶液だけを抜いた処方を作製し同様の実験を行った。
試験結果を表1に示す。
比較例2
実施例2においてポリノルボルネン溶液だけを抜いた処方を作製し同様の試験を行った。
試験結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、ポリノルボルネン溶液の代わりに低応力剤としてブタジエン−アクリロニトリル共重合体
(商品名:CTBN−1008SP、宇部興産製)3.5gとした以外は同様に樹脂組成物を調製し同様の試験を行った。
試験結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
実施例はいずれの試験でも高い信頼性が得られ、且つ保存性も良好であった。比較例1、2は本発明のポリノルボルネンが添加していないため信頼性の低下が見られた。比較例3は公知の低応力剤を添加した系で比較例1に比べ信頼性の改善が見られるが、合格レベルではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、環状オレフィン系樹脂(C)、及び該環状オレフィン系樹脂(C)が可溶な溶媒(D)を主成分とし、かつB−ステージ可能であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記環状オレフィン系樹脂は、ポリノルボルネン樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリノルボルネン樹脂は下記一般式(1)で表される構造を有するものである、請求項2に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中のXは、−О−,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ水素、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エステル基、エーテル基および(メタ)アクリル基、エポキシ基から選ばれる基を示し、mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)
【請求項4】
前記ポリノルボルネン樹脂は、下記一般式(2)で表されるものである請求項3に記載の樹脂組成物。
【化2】

(式(2)中、mおよびnは10〜10,000の整数である。また、R1〜R2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル基、t−ブチルエステル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メタクリロキシメチル基、およびグリシジルエーテル基のいずれかを示す。)
【請求項5】
半導体装置の組立工程において、半導体素子またはそれに付随する部品の接着或いは半導体素子の封止用として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いることを特徴とする半導体装置の組立方法。
【請求項6】
ウエハー回路面の裏面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し、乾燥後、ダイシングにより半導体素子に個片化し、半導体素子を回路基板に圧着し、後硬化、ワイヤーボンド、モールド封止を経る事を特徴とする半導体装置の組立方法。
【請求項7】
突起電極が形成されたウエハー回路面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し、乾燥後、ダイシングにより個片化し、半導体素子を回路基板に圧着して得られる半導体装置の組立方法。
【請求項8】
半導体素子が接着された回路基板を請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布し封止することを特徴とする半導体装置の組立方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物で封止されてなる半導体装置。

【公開番号】特開2006−96873(P2006−96873A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284833(P2004−284833)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】