説明

欠陥検査方法及びこれを用いた欠陥検査装置

【課題】複数波長を搭載した暗視野検査装置では、波長に応じて回折光の位置が異なるため、全ての回折像を遮光した場合、解像度が低下する問題がある。また、液晶フィルタのような2次元アレイ状のデバイスを用いる場合、特定の偏光しか検出できず、検出する偏光と直交方向に振動する偏光特性を有する欠陥の散乱光を遮光して欠陥を見逃すことになる。このため、レンズの解像度を低下せず、欠陥散乱光の偏光特性にも依存されずに検出感度の高い欠陥検査方法とその装置を提供する。
【解決手段】検出光路を波長分岐或いは偏光分岐の少なくても一つ以上の分岐を行い、分岐後に2次元アレイ状の空間フィルタを配置し、回折光のみを前記2次元アレイ状の空間フィルタにて遮光することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査方法及びこれを用いた欠陥検査装置に係り、特に、半導体製造工程やフラットパネルデイスプレイの製造工程に代表される薄膜プロセスを経て基板上に形成された微細パターンの欠陥や異物などの欠陥検査方法及びこれを用いた欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体検査装置として、国際公開特許WO2003/083560号がある。この検査装置は、ウェハ表面を斜方より単一波長にて照明してウェハ上での散乱光を検出する暗視野検出光学系を搭載している。この光学系には周期的なパターンからの回折光を対物レンズの後側焦点位置(射出瞳位置)に配置した空間フィルタにより遮光している。この空間フィルタとして、紫外線に適合した液晶フィルタを用いた構成が示されている。
【0003】
【特許文献1】国際公開特許 WO2003/083560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウェハ上には様々なパターンが形成されており、欠陥の種類も発生原因に応じて多様である。光学式暗視野検出方式では光源としてレーザが用いられており、単一波長の照明光である。
【0005】
しかし、単一波長では欠陥材料の光学定数や欠陥周辺の形状・構造によって、殆ど欠陥からの散乱光が得られないことがある。一例として、積層されるパターンの電気的絶縁膜としてシリコン酸化膜が用いられているが、光学的に透明な酸化膜では薄膜干渉を起こすため膜厚に応じて散乱光の強度が変化してしまう。このため、薄膜干渉により、弱め合う膜厚条件では散乱光が極端に小さくなり、検出できなくなる。この対応として照明波長を複数にすることにより、1波長では検出光量が不足する膜厚条件であっても他の波長では欠陥検出に必要な光量を確保できる確率が高くなる。
【0006】
このように、複数波長照明では欠陥の捕捉率を向上することが可能であるが、メモリセル部のような周期的なパターンからの回折光は、回折角が波長の関数で表されるため、回折像の位置が波長毎に異なる。図3に周期的なパターンを照明光λ,λ(λが相対的に短波長)にて照明したときの回折像の模式図を示す。この図は、対物レンズの射出瞳400に形成される回折像の模式図である。λの回折像410を(a)、λの回折像430を(b)に示す。回折像410はパターンの周期方向に発生し、図3の例では直交する2方向に周期的なパターンが形成された回折像の例である。これらの回折像を遮光する手段として帯状の遮光帯420を回折像のピッチに合せて遮光する手法がある。λとλの2波長を同時照明した場合、実際に検出される回折像は対物レンズの射出瞳400にλとλの2つの回折像が検出される。このため、(c)のように回折像が多くなり、これらを遮光する場合、遮光帯の本数が多くなって射出瞳の開口率が低下する。このことにより、実質的な解像度が低下するため、微小欠陥のコントラストが低下して欠陥検出感度が低くなるという課題がある。
【0007】
また、空間フィルタとして液晶フィルタを用いた場合、散乱光を直線偏光にフィルタリングして液晶の配列を電気的に制御して旋光させる必要がある。この旋光量に応じて像面側に配置した偏光板を透過する光の透過率を制御することが可能となる。
【0008】
しかし、パターンや欠陥の形状・構造・材質などに応じて散乱光の偏光状態が変化する。このため、液晶の物体側(ウェハ側)にて直線偏光にフィルタリングすると、フィルタ透過軸と直交する方向に欠陥散乱光が偏光している場合は欠陥の散乱光が遮光されて、欠陥検出できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
回路パターンが形成された試料の欠陥を検出する方法において、試料に対して斜方より複数波長で照明し、パターンや欠陥からの散乱・回折光を対物レンズにて捕捉して、周期的なパターンからの回折光をアレイ状の空間フィルタリングデバイスにて遮光し、遮光されなかった光を分光あるいは偏光分岐の少なくて1つ以上の分岐を行い、前記分岐したそれぞれの光路の像面にて画像を検出して比較処理にて欠陥候補を判定する。
【0010】
また、空間フィルタリングデバイスは液晶或いは複屈折素子を用いた光シャッタ或いはMEMSを用いた光シャッタであり、前記デバイスの透過光を電気制御可能な2次元アレイ状に配列された構造である。
【0011】
また、空間フィルタリングデバイスとして反射型DMDを用いてDMDへの入射光とフィルタリング後の反射光の分岐に偏光を利用することを特徴とする。
【0012】
また、空間フィルタリングデバイスはLyotフィルタを1次元或いは2次元状に配列した液晶チューナブルフィルタであることを特徴とする。
【0013】
また、試料を照明する光源はランプ或いは複数レーザ或いは複数波長を発振するレーザであることを特徴とする。
【0014】
また、波長条件と偏光条件の少なくても1条件が異なる複数種の画像を用いて欠陥判定しており、複数種の比較処理にて欠陥候補が判定された場合は判定結果と判定処理した画像を記憶して、欠陥候補として判定されなかった画像についても欠陥候補と同一空間の画像を記憶して同一空間の異なる条件の画像の特徴量を算出して再度欠陥判定或いは分類を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、欠陥の形状・構造・材料に応じて変化する検出散乱光を複数波長照明にて安定して検出して欠陥の捕捉率を向上することが可能である。
【0016】
また、複数波長照明においても検出光学系の開口率低下を抑えて正常パターンの回折光を遮光して、微小欠陥の散乱光を効率的に検出することにより検査感度を向上する。
【0017】
さらに、欠陥種に応じて散乱光の偏光状態が異なる場合においても、欠陥の散乱光を遮光することなく空間フィルタリングを行うことにより、欠陥の捕捉率を向上することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を用いて実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明による半導体ウェハ欠陥検査装置の光学系の構成を図1に示す。ウェハ1上にパターン2が形成されており、欠陥3が存在している。ウェハ1に対して、斜方に配置された複数波長(本実施例では2波長λ,λ)の照明光学系5より、ウェハ1を照明する。照明光学系5に用いられている光源7としては、d線(588nm)、e線(546nm)、g(436nm)、h(405nm)、i線(365nm)を発光する水銀ランプやYAG第2高調波の532nmレーザ及び、第3高調波355nm或いは第4高調波266nmレーザ、199nmレーザなどDUV(Deep Ultraviolet)光から可視光が候補である。このうちの2波長(λ,λ)を照明光学系より、ウェハ1上に照明する。パターン2や欠陥3で散乱した光の内、対物レンズ10のNA(Numerical Aperture)内に伝播した光は対物レンズ10に捕捉され、対物レンズ10の後側焦点(射出瞳)位置に回折像を形成する。この後側焦点位置或いは共役位置に空間フィルタ20を配置し、周期的な正常パターン2からの回折光を遮光する。空間フィルタ20を透過した光は、ダイクロイックミラー25で波長に応じて光路を分岐する。ダイクロイックミラー25を透過したλは結像レンズ30を介して、イメージセンサ100上にウェハ1の像を結像する。一方、ダイクロイックミラー25を反射したλは、結像レンズ35を介してイメージセンサ110上にウェハ1の散乱像を結像する。
【0020】
この光学系を用いた検査装置の構成を図2に示す。ウェハ1はステージ4上に搭載されており、ウェハ1上に形成されたパターン2とステージ走査方向のθアライメントを行う。ウェハ1の暗視野画像はX方向にステージ4を定速走査しながら連続的に散乱光の画像を検出する。光源としては、DUV(Deep Ultraviolet)〜UV光の波長帯のうち特定波長λ(例えば、YAGの第3高調波の355nm)を発振するλレーザ8を用いており、出力したλレーザ光はミラー201とダイクロイックミラー205を反射する。また、λレーザ8とは異なる波長λ(例えば、YAGの第2高調波の532nm)を発振するλレーザ9を出力したλレーザ光はダイクロイックミラー205を透過し、λと同じ光軸を伝播する。λの2波長のレーザ光はミラー207を反射、1/2波長板210を透過して、波長依存性の少ないハーフミラー220にて光路が分岐され、ハーフミラー220を反射したλ,λの光はミラー位置制御機構260を備えたミラー270を反射して、1/2波長板280,1/4波長板290を透過する。この波長板280,290により、ウェハ1に対して所定のS/P/円偏光あるいはその中間的な偏光状態にしてレンズ295に入射し、ウェハ1上をY方向が長手となる線状に照明する。
【0021】
一方、ハーフミラー220を透過したλ1,λのレーザ光は、1/4波長板225を透過、ミラー230を反射してミラー位置制御機構240を備えたミラー250を反射し、レンズ255を介してウェハ1上をY方向が長手の線状に照明する。ミラー位置制御機構240,260は、それぞれに取り付けられたミラー250,270の高さと角度を制御可能であり、ウェハ1を照明する仰角を制御可能としている。本実施例ではハーフミラー220を用いて、X・Yの2方向からの同時照明を実施例として記載したが、ハーフミラー220を光路から外すことによりX方向からの照明のみとする実施形態や、ハーフミラー220の替わりに全て反射するミラーを配置することによりY方向からの照明にすることも実施形態として考えられる。
【0022】
さらに、本実施例では照明方位はX,Y方向からの照明を示しているが、例えばY軸から45度や20度などの方位から照明する形態も本実施例の変形例として考えられる。また、ハーフミラー220の代わりにダイクロイックミラーを用いることにより、照明方位ごとに波長の異なる照明が可能となる。照明仰角や照明方位を変更する理由は、欠陥やパターンの方向性や欠陥形状、凹凸(例えば、ウェハ上にてZ方向に凸形状となる異物や、凹形状となるスクラッチ)に応じて散乱分布が異なるため、検査対象となる欠陥やパターンに応じて、検査に有利な条件に設定可能とするための機能である。欠陥3やパターン2からの散乱光は、対物レンズ10,空間フィルタ20,ダイクロイックミラー32を介して、ダイクロイックミラー32にて透過した波長λによる散乱像をイメージセンサ100上に結像する。ダイクロイックミラー25を反射したλによる散乱像はイメージセンサ110上に結像する。検出した画像は、画像処理部300に入力され、設計上同一パターンの像(例えば、隣接ダイの画像)と比較し、欠陥3を検出する。検出した欠陥の座標や大きさ及び明るさなどの欠陥情報は操作部320に送られ、検査装置ユーザがウェハ上の欠陥マップなどの欠陥情報を表示・欠陥情報データを出力することが可能となる。
【0023】
また、操作部320は検査装置の動作指示を行う機能も備えており、機構制御部330に動作の指示を行い、機構制御部330からステージ4や光学系機構制御部340の動作をコントロールする。この光学系の用いる空間フィルタとして、複屈折素子(LiNbO3やPLZTなど)の電気光学効果を利用したマイクロシャッタアレイや液晶フィルタ及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いた1次元及び2次元アレイ状のフィルタが実施形態としてある。これらのデバイスでは、電気制御により高速に光の透過/遮光をスイッチングできるため、ウェハ1上のパターン2のピッチや形状に応じて検査中に適切なフィルタリングパターンに変更することが可能となる。図3(d)にその形態を示す。2次元空間フィルタ500を回折像が形成される対物レンズ10の後側焦点面(射出瞳面)或いはその共役位置に配置する。回折像が形成される位置の2次元空間フィルタ500の画素510を遮光する設定にする。これにより、図3(c)に示す遮光帯420による回折光410、430の遮光よりも、射出瞳の開口率が大きくなり、光学系の解像度低下を抑制することが出来る。
【実施例2】
【0024】
図4(a)に液晶フィルタ500aを空間フィルタリングデバイスとして用いた例を示す。液晶フィルタ入射光150は、第1偏光板155にて透過軸に対応した直線偏光のみが透過する。TFT(Thin Film Transistors)基板160にて、透明電極180の印加電圧を制御して2つの配向膜165、175の間に封入されている液晶170の配列を変更する。この液晶170の配列に応じて、第2偏光板185を透過するフィルタ透過光190の透過率を制御可能とする。この液晶フィルタ500aは、2次元のアレイ状に画素が配列されており、1画素505ごとに光の透過率を制御可能である。
【0025】
図4(b)に電気光学効果を利用した2次元空間フィルタ500bの構造を示す。入射光150は第1偏光板155にて直線偏光成分が透過し、PLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O3の略]或いはLiNbO3などの電気光学効果を有した複屈折材172に入射する。この複屈折材172は、1次元もしくは2次元アレイ状に配置されており、それぞれの画素ごとに形成された電極の印加電圧に応じて入射した直線偏光の振動方向を制御し、第2偏光板185の透過率を変えることが可能となる。
【0026】
図4(c1)にMEMSを用いた2次元空間フィルタ500cの構造を示す。MEMSは2次元アレイ状に画素が配列されており、1画素506には図4(c2)に示す遮蔽部507と電極508が形成されている。遮蔽部507と電極508に所定の電圧を印加することにより、静電容量の作用によって遮蔽部507が電極508側に倒れて入射光を透過させることが可能となる。このため、遮蔽部507、電極508への印加電圧を制御することにより、遮蔽部の開閉状態が切換って入射光の透過/遮蔽を画素単位で制御することが可能となる。
【実施例3】
【0027】
図3(d)と図4に示す2次元空間フィルタでは、遮光する画素510はλ,λの2波長共に遮光する。しかし、λ,λの回折光の位置は一致しないので、λの回折像が形成される画素はλのみ遮光し、λの回折像が形成される画素はλのみ遮光することにより、実質的な開口が大きくなる。
【0028】
図5にLyotフィルタの原理を用いた液晶チューナブルフィルタLCTF(Liquid Crystal Tunable Filter)を2次元アレイ状に配列させて形成した2次元アレイ液晶チューナブルフィルタ500dを空間フィルタとした例を示す。λ,λの光が第1偏光板550に入射した場合、直線偏光となって波長板550に入射して位相差を受ける。TFT(Thin Film Transistor)基板560にて、配向膜570と配向膜580の間に封入された液晶575の配列をスイッチングさせ、透明電極585、第2偏光板590を透過した光が検出される。
この構成により、波長を選択して透過/遮光を制御することができる。
【0029】
図6(a)にλを透過させる条件とした場合に分光透過特性を示す。図6(b)はλを透過、(c)はλ,λ共に透過させる条件とした場合の分光透過率である。図6(d)に2次元アレイ液晶チューナブルフィルタ500dを空間フィルタとして用いた場合の状態を示す。λ、λの回折像410,420が形成される位置に対応した画素はそれぞれの波長を遮光する光学条件とすることにより、例えばλの回折像を遮光してλを透過させることが可能とまり、不要な開口の遮蔽を抑制することが可能となる。
【実施例4】
【0030】
図4(a)(b)及び図5に示した空間フィルタは、入射光を直線偏光にする必要があるため、入射側に偏光板が配置されている。検出対象となる欠陥からの散乱光は偏光特性を有しており、欠陥種によってその偏光状態が変化する。例えば、直線偏光にて欠陥を照明しても散乱光が楕円偏光になったり、楕円の長軸が回転(旋光)するような現象が生じる。
【0031】
このため、特定の偏光のみを検出した場合、欠陥散乱光を遮光してしまうため欠陥を見逃す恐れがある。このため、図4(a)(b)及び図5に示した空間フィルタ500を使用しても見逃しを防止する光学系の構成を図7に示す。検出光路に偏光ビームスプリッタ15を配置して、直線偏光として2つの光路に検出系を分岐し、それぞれの光路に空間フィルタ500を配置する。これにより、様々な欠陥からの散乱光を遮光することなく検出可能な構成となる。また、それぞれの光路にはダイクロイックミラー25a,25bを配置して分光してそれぞれの光路にイメージセンサ100a,110a,100b,110bを配置して散乱像を検出する。
【0032】
なお、対物レンズ10と偏光ビームスプリッタ15の間に、回転機能12の付いた1/4波長板11と回転機能13の付いた1/2波長板14を配置している。このはたらきについて、図8を用いて説明する。図8(a)にウェハ1に対する照明光の方位と照明光の偏光の定義を示す。照明光130aは、ウェハ1に対してY方向より斜方照明する。この照明光130aの光軸に直交する断面を140aに示す。ウェハ1に対するS偏光を基準として、時計回りに90度偏光(電場ベクトルの振動方向)が回転するとP偏光照明になる。S偏光照明の場合の偏光の振動方向は135aとなる。これに対して、照明方位がθ回転した場合、照明光130bのS偏光は振動方向が135bとなる。図8(b)に検光子(対物レンズ10にて散乱光を捕捉した検出光路に配置する偏光板)の透過軸の方向を定義する。この図は、検光子を図7に示す偏光ビームスプリッタの透過側と仮定してイメージセンサ100a側から見た平面図である。X方向を検光子透過軸の基準とし、時計方向に検光子(図7の例では偏光ビームスプリッタ15)を回転した角をθとする。図8(c)にY方向照明にてS偏光及びP偏光照明した場合のパターン散乱光の検光子透過光量を示す。X・Y方向に平行或いは直交するパターン2からの散乱光は、S偏光照明では検光子回転角θが0度にて透過光が最大となり、P偏光照明では最小となる。また、検光子回転角θが90度にてS偏光照明では透過光量が最小となり、P偏光照明では透過光量が最大となる。
【0033】
一方、図8(a)に示すθ方位(この例では45度)からの照明光130bがS偏光の場合は、検光子回転角θがθ(この例では45度)にて透過光量が最大、P偏光照明にて透過光量が最小となる。このため、ウェハ1に対して同じS偏光照明であっても照明方位が違うと、検光子の透過光量が最大/最小となる角度が異なる。欠陥検出上、半導体デバイスにとって致命性のないパターンのLER(Line Edge Roughness)や微小な形状の違い及び表面のグレインや層間絶縁膜の膜厚変動によるパターンの散乱光の明るさ変動が感度阻害要因(ノイズ光)となるが、これらのノイズ光も図8(c)及び(d)と同じような特性となる。このため、図7の構成にて、ウェハ1に対してY方向よりS偏光照明をした場合、偏光ビームスプリッタ15を反射したS偏光がX・Y方向に平行あるいは直交するパターンからの散乱光やノイズ光を最小にすることが可能である(クロスニコルとなる検光子の配置)。一方、欠陥には様々な方向があり、欠陥散乱光の偏光は偏光ビームスプリッタ15を反射するS偏光にて最小になるとは限らない。このため、偏光ビームスプリッタ15の反射光(S偏光)は、ノイズ光の反射光量が小さく、欠陥散乱光の反射光量が多くなるため、偏光ビームスプリッタ15を反射したS偏光による散乱像は欠陥検出に有利な高S/N像となる。なお、欠陥の形状や種類、材質によっては、偏光ビームスプリッタ15を透過するP偏光(平行ニコルとなる検光子の配置)が高S/Nになることもある。このため、偏光ビームスプリッタ15にてクロスニコル(反射)、平行ニコル(透過)に検光したそれぞれの像を同時検出して欠陥判定することにより、ウェハ1上に存在する欠陥の捕捉率を向上することが可能となる。
【0034】
但し、図7,図8(a)にてY方向がY方向から45度(θ)の方位となった場合はウェハ1に対して同じS偏光照明であっても、クロスニコル及び平行ニコルの検光方向は変化する。このため、対物レンズ10と偏光ビームスプリッタ15の間に、回転機能13の付いた1/2波長板14を配置して回転角を制御することにより、照明方位が変わった場合においても偏光ビームスプリッタを回転させることなく、平行/クロスニコルとなるように1/2波長板14を回転させる。
【0035】
また、45度方位照明では図8(d)に示す通り、検光した光の最大透過光量b2と最小透過光量a2の比(a2/b2:楕円率)が、図8(c)に示すb1とa1の比よりも大きくなっており、パターン散乱光の偏光が比較的大きな楕円率になっている。このような場合は、クロスニコルにてノイズ光を十分抑制できないため、1/4波長板11にて楕円偏光が直線偏光となるように、回転機構12にて1/4波長板11を回転制御する。これにより、ノイズ光を抑制した高S/Nな画像を検出可能となり、欠陥出感度向上が可能となる。
【実施例5】
【0036】
図9(a)にウェハ1上にて空間的に離れた位置にλにてY方位照明130a,λにて45度方位照明130bを同時に行った場合の平面図を示す。Y方位照明130aはウェハ1に対してS偏光照明とし、45度方位照明130bはウェハ1の投射ベクトルがY方位照明130のS偏光と平行となるようにする。このため、45度方位照明の偏光は、ウェハ1に対してSとP偏光の中間的な偏光となる。この場合、2方位の照明光130a,130bの散乱光は、クロスニコルとなる偏光の振動方向が一致するため、図7に示した偏光ビームスプリッタ15を用いた構成において、Y方位及び45度方位共にクロスニコルと平行ニコルの散乱像を検出することが可能である。
【0037】
一方、図9(b)に示す通り、λのY方位照明130a,λの45度方位照明130b共に、ウェハ1に対してS偏光で照明することにより、欠陥検出感度を向上できることがある。この2方位の同時照明条件では、図7に示す構成にてそれぞれの照明方位が同時にクロスニコルとなる検出はできない。このため、それぞれの照明方位がクロスニコルとなる光学系の構成を図10に示す。ダイクロイックミラー25にて、λを透過、λを反射する。透過したλの光路には空間フィルタ500aが配置され、1/4波長板720aと1/2波長板725a及びこれらを独立して回転させて位置決めできる回転機構750aが備わっている。この回転可能な1/4波長板720aと1/2波長板725aにて、偏光ビームスプリッタ730aに対して検出した散乱光がクロスニコルと平行ニコルとなる条件あるいは、より高S/Nとなる中間的な検光条件に設定される。偏光ビームスプリッタ730aで偏光分岐されたそれぞれの像面にイメージセンサ100a,110aが配置され、λによる2種の検光した暗視野像を検出する。ダイクロイックミラー25を反射したλ2についても同様に、空間フィルタ500b、1/4波長板720b、1/2波長板725b、回転機構750b、偏光ビームスプリッタ730bを配置し、それぞれの像面にイメージセンサ100b、110bを配置する。以上、照明方位と波長及び偏光の異なる4種の画像を同時に検出することが可能となる。
【実施例6】
【0038】
図11に空間フィルタとして、2次元アレイ状のDMD(Digital Micromirror Device)を利用した反射型空間光変調器を用いた光学系の構成を示す。対物レンズ10にて捕捉した散乱光は、回転機構12のついた1/4波長板11と回転機構13のついた1/2波長板14を透過して、偏光ビームスプリッタ15に入射する。偏光ビームスプリッタ15を透過したP偏光成分は、1/4波長板18aにて円偏光となり、対物レンズ10の後側焦点位置或いはその共役位置に配置した反射型空間光変調器532aに入射する。反射型空間光変調器532aは、個々のミラー面が電気的な制御により傾斜するものであり、ウェハ上のパターンからの回折光を遮光したい場合はミラーが傾斜して光路から回折光を外して遮光する。検出したい光はミラーを傾斜させずに、ミラーに対して垂直に光が入射するようにミラー面が設定されており、反射光は入射した光路と同じ光路を逆方向に伝播する。再度1/4波長板18aを透過した光は偏光ビームスプリッタ15に対して、S偏光となって反射する。反射した光は結像レンズ30a及び、ダイクロイックミラー25aに入射する。ダイクロイックミラー25aにて透過したλと反射したλの像面には、それぞれイメージセンサ100a,110aが配置され、暗視野像が検出される。
【0039】
一方、対物レンズ10側から偏光ビームスプリッタ15に入射して反射するS偏光は、1/2波長板17にて第2の偏光ビームスプリッタ16に対してP偏光となって偏光ビームスプリッタ16を透過する。1/4波長板18bにて円偏光となり、反射型空間光変調器532bにて検出したくない回折光のみを光路外に反射させて遮光し、再度1/4波長板18bにてS偏光となって偏光ビームスプリッタ16を反射する。さらに、ダイクロイックミラー25bでは透過したλと反射したλの像面には、それぞれイメージセンサ100b,110bが配置され、暗視野像が検出される。
【実施例7】
【0040】
これらのイメージセンサで検出した画像を処理して欠陥を判定するブロック図を図12に示す。イメージセンサ100aにて検出された画像は、階調変換部301aにて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像の一方は位置合せ部305aに送られ、他方はメモリ303aに送られる。位置合せ分305aでは既に送られた画像と設計上同じパターン(例えば、隣接ダイ)となるまでメモリ部303aに格納されてメモリ部303aから送られた画像と位置合わせする。比較部307aでは位置合せされた2画像の差画像などの比較処理を行い、比較の結果として画像の特徴量を算出する。この特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部315にて欠陥を判定する。この一連の処理をイメージセンサ100b,110a,110bそれぞれについても同様に行う。
【0041】
さらに、それぞれの画像で比較した結果は位置合せ部310に送られ、偏光、波長の異なる4画像の位置合せを行い、これら異なる光学条件での画像の特徴量を比較して、この特徴量を欠陥判定部315に送って欠陥を判定する。以上、欠陥判定部では5種類の特徴量を用いて判定を行う訳であるが、何れかの判定結果にて欠陥だと判定された場合は、残る4種類の特徴量も併せて分類部317に特徴量が送られる。この分類部317にて、欠陥の種類(例えば、異物やエッチング残り、スクラッチなど)や、擬似欠陥(デバイスにとって致命性のない酸化膜の明るさむらやパターンのラフネス及び、グレインなど)を分類し、欠陥の座標や分類結果及び特徴量などを出力する。
【実施例8】
【0042】
次に干渉フィルタやシャープカットフィルタのような波長選択フィルタを用いた空間フィルタリングの手法を説明する。図13に、2種類の分光特性を示す。λ透過フィルタの分光特性610はλをカット、λ透過の分光特性605はλをカットする特性を有している。これらの分光透過特性を有したフィルタの配置例を図14に示す。λ透過フィルタ615,λ透過フィルタ620共に対物レンズ10の後側焦点位置に近接して配置する。λ透過フィルタ615はλ回折光430を遮光、λ透過フィルタ620はλ回折光410を遮光するように、それぞれの透過フィルタを位置決めする。
【0043】
この回折光と透過フィルタの位置関係を対物レンズの射出瞳を平面的に見た図15に示す。λ,λ透過フィルタ615,620はライン形状をしており、回折光に対応して複数配置されている。これらのλ透過フィルタ615はλ回折像430、λ透過フィルタ620はλ回折光410のピッチに対応して、それぞれの透過フィルタの位置を調整可能な構成となっている。但し、λ透過フィルタ615を透過した光と透過フィルタ以外を通過した光の光路は、フィルタ615と空気の屈折率差とフィルタの厚みで決まる光路差が生じる。このため、像面にて形成される像が劣化する。
【0044】
この対策を図16に示す。分光透過フィルタユニット630には、λ透過フィルタ615とλ透過フィルタ620が配置されている。これらのフィルタの屈折率とほぼ同じ屈折率の光路差補正液631が分光透過フィルタユニット630に充填されており、フィルタ透過光とそれ以外の光の光路差を低減する。
【実施例9】
【0045】
図17(a)にウェハ1とダイ770のレイアウトを示す。(b)に示す通り、ダイ内にはメモリマット部780がマトリクス状に形成されており、その間に周辺回路790が形成されている。検査時のウェハ走査方向800を右側と仮定し、この時の視野を810とする。このとき、メモリマット端A部に着目すると、空間フィルタリングは対物レンズの後側焦点位置にて行うため、視野内のメモリマット部780と周辺回路部790の回折像が重なって検出される。この場合、メモリマット部780の回折光が遮光されるように空間フィルタを設定した場合、メモリマット部780のパターンピッチと異なる周辺回路部810からの回折光は遮光されず、周辺回路部810の欠陥検出性能が低下する。この対応として(c)に示すステージ走査方向の照明幅Lを細くする形態がある。ステージ走査速度をVmm/秒、空間フィルタの遮光部切換え応答周波数をRHzとした場合、ステージ走査方向の照明幅LをV/R以下とする。例えば、V:1000mm/秒、R:100kHz(例:LiNbO3の電気光学効果)とした場合、照明幅Lは10mmとなる。この照明幅10mmより細かくしても、空間フィルタの切換え速度に起因して、メモリマット部780と周辺回路部790の境界部でそれぞれの領域に対応したフィルタリングが出来ない。
【0046】
また、さらに照明幅Lを細く照明しても、空間フィルタリング上は問題ないがウェハ1上の照明強度が高くなるため、ウェハ1へのダメージが問題となる。このため、照明幅は10mmからウェハ1にダメージを与えない照明強度となる最小線幅の間が適切な照明幅Lとなる。これにより、検出視野の幅方向にてメモリマット部780と周辺回路部790がオーバーラップする割合を低下し、メモリマット部の端においてもメモリマット部の回折光を遮光する空間フィルタ条件、周辺回路部の端においても周辺回路部からの回折光を遮光する空間フィルタ条件に切替えて、それぞれ回折光を遮光した散乱像を検出することが可能となる。以上により、メモリマット部780と周辺回路部790の境界においても高感度に検査することが可能となる。
【実施例10】
【0047】
空間フィルタの条件を決める条件出し手法を図18に示す。視野内に回折像を遮光したいパターンを配置して瞳像を取り込み、取り込んだ画像より回折光の位置を検出して遮光部を判定する。判定した位置に対応する空間フィルタの画素を遮光される条件に設定する。再度、瞳画像を取込み、回折光の漏れがないか設定状態の良否判定を行い、良くない場合は液晶フィルタの設定に戻る。良い場合は他の検査条件を設定し、テスト検査及び感度調整を行って、条件出し終了とする。
【0048】
なお、同一ウェハ内に複数のパターンピッチが存在し、それぞれ空間フィルタの遮光条件を設定したい場合は、それぞれのパターンピッチにて空間フィルタ設定を行う。この場合、実際の検査ではウェハ1の座標に基づいて空間フィルタの設定条件を応答性10ms以下の瞬時に切換える。また、図14では省略したが、空間フィルタの設定は波長毎に行う必要がある。
以上の実施例で示した構成や機能及び画像処理内容については、様々な組合せが考えられるが、それらの組合せについても本発明の範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施例1で示す光学系の構成図。
【図2】本実施例1で示す検査装置の構成図。
【図3】射出瞳位置における回折像と空間フィルタリングの説明図。
【図4】透過型2次元アレイ空間フィルタの構成図。
【図5】2次元アレイ液晶チューナブルフィルタの構成図。
【図6】2次元アレイ液晶チューナブルフィルタの分光特性と遮光の説明図。
【図7】本実施例4で示す光学系の構成図。
【図8】照明の偏光と検光によるノイズ光の検出特性の概念図。
【図9】照明方位と偏光の概念図。
【図10】本実施例5で示す光学系の構成図。
【図11】反射型2次元アレイ空間フィルタを用いた光学系の構成図。
【図12】本実施例7で示す光学系の構成図。
【図13】分光透過フィルタの光学特性図。
【図14】分光透過フィルタユニットの配置図。
【図15】分光透過フィルタユニットの構成図。
【図16】光路差補償ユニットの構成図。
【図17】細線照明による効果の概念図。
【図18】条件出し手順の流れ図。
【符号の説明】
【0050】
1…ウェハ、2…パターン、3…欠陥、4…ステージ、5…照明光学系、7…光源、8…照明領域、10…対物レンズ、20…空間フィルタ、25…ダイクロイックミラー、30…結像レンズ、35…結像レンズ、100…イメージセンサ、110…イメージセンサ、300…画像処理部、320…操作部、330…機構制御部、340…光学系機構制御部、500…液晶空間フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成された試料の欠陥を検出する欠陥検査方法において、
前記試料を載置したステージを水平な面内にて走査し、前記試料表面の法線に対して所定の角度を保持しながら波長の異なる複数の照明光で前記試料表面を照明し、
前記照明光により照明された前記試料表面上から放射される散乱光を対物レンズにて捕捉し、
前記捕捉された散乱光の一部をアレイ状の空間フィルタリングデバイスにて遮光し、
前記空間フィルタリングデバイスにて遮光されなかった散乱光を分光あるいは偏光分岐により少なくても1つ以上の光路に分岐し、
前記分岐したそれぞれの光路上の像面にて画像を検出し、
前記検出した画像のそれぞれを比較処理して前記試料上の欠陥候補を判定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
回路パターンが形成された試料の欠陥を検出する欠陥検査方法において、
前記試料を載置したステージを水平な面内にて走査し、前記試料表面の法線に対して所定の角度を保持しながら第1の波長を有する第1の照明光と、前記第1の照明光と異なる波長を有する第2の照明光とを用いて前記試料表面を照明し、
前記第1および第2の照明光により照明されて前記試料表面上から放射される散乱光を検出し、
前記検出した散乱光を波長条件または偏光条件のうちいずれか一方の条件にて第1の分岐を行い、
前記第1の分岐がされた光路のそれぞれにアレイ状の空間フィルタリングデバイスを配置することにより前記散乱光の一部を遮光し、
前記空間フィルタリングデバイスにて遮光されなかった光を前記第1の分岐条件とは異なる第2の分岐条件にて分岐を行い、
前記分岐したそれぞれの光路上の像面にて画像を検出し、
前記画像のそれぞれを比較処理して前記試料上の欠陥候補を判定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項3】
前記空間フィルタリングデバイスが、複屈折素子を用いて電気的に透過と遮光を制御するデバイスであることを特徴とする請求項1または2記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記照明光が2波長であり、前記空間フィルタリングデバイスが前記2波長のうち何れか一方を電気的に遮光する分光特性を有するデバイスであることを特徴とする請求項1または2記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記ステージの走査速度をV(mm/sec)とし、前記空間フィルタリングデバイスの遮光部切換え応答周波数をR(1/sec)としたとき、前記照明光による照明の幅が、V/R以下であることを特徴とする請求項1または2記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記比較処理において、
前記波長条件と前記偏光条件のいずれか少なくても1条件が異なる複数の画像を用いて第1の欠陥判定を行い、
前記第1の欠陥判定において前記複数の画像が欠陥候補と判定された場合は、前記第1の欠陥判定の結果と前記欠陥判定処理した画像とを記憶し、
前記欠陥候補として判定されなかった画像についても前記欠陥候補と同一空間の画像を記憶して、
前記記憶した同一空間の異なる条件の画像の特徴量を比較して第2の欠陥判定或いは欠陥分類を行うことを特徴とする請求項1または2記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
回路パターンが形成された試料の欠陥を検出する欠陥検査装置において、
前記試料を載置したステージを水平な面内にて走査する走査部と、
2波長以上の光を前記試料表面に照明する照明手段とを有し、
前記照明光により照明された前記試料表面上から放射される散乱光を捕捉する対物レンズと、
前記捕捉された散乱光の一部を遮光する1次元或いは2次元状に素子が配列された空間フィルタリングデバイスと、
前記遮光されなかった散乱光を分光あるいは偏光分岐により少なくても1つ以上の光路に分岐を行う分岐手段と、
前記分岐したそれぞれの光路の像面に設けられたイメージセンサと、
前記イメージセンサにて検出したデジタル画像を比較処理する画像処理部と、
前記画像処理部にて検出した欠陥の情報を記憶する記憶部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
回路パターンが形成された試料の欠陥を検出する欠陥検査装置において、
前記試料を載置したステージを水平な面内にて走査する走査部と、
前記試料表面の法線に対して所定の角度を保持しながら前記試料表面を照明する第1の波長を有する第1の照明手段と、
前記第1の波長と異なる波長を有し前記試料表面を照明する第2の照明手段とを有し、
前記第1と第2の照明手段にて照明された前記試料表面からの散乱光を捕捉する対物レンズと、
前記捕捉した散乱光を波長条件と偏光条件のいずれか一方の条件にて分岐を行う第1の分岐手段と、
前記第1の分岐手段にて分岐されたそれぞれの光路に配置され1次元或いは2次元状に素子が配列された空間フィルタリングデバイスと、
前記捕捉した散乱光の一部を遮光し、前記第1の分岐手段とは異なる条件にて分岐を行う第2の分岐手段と、
前記第1及び第2の分岐手段にて分岐したそれぞれの光路の像面に設けたイメージセンサと、
前記イメージセンサにて検出したデジタル画像を比較処理する画像処理部と、
前記画像処理にて検出した欠陥の情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
前記空間フィルタリングデバイスは、液晶或いは複屈折素子を用いた光シャッタ或いはMEMSを用いた光シャッタであり、前記デバイスの透過光を電気制御可能な2次元アレイ状に配列された構造であることを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記空間フィルタリングデバイスは、反射型DMDであり、前記DMDへの入射光と前記DMDの反射光の分岐手段として偏光ビームスプリッタを用いており、前記DMDと前記偏光ビームスプリッタの間に1/4波長板を配置したことを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記空間フィルタリングデバイスは、Lyotフィルタを1次元或いは2次元状に配列した液晶チューナブルフィルタであることを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
前記試料を照明する光源は、ランプ或いは複数レーザ或いは複数波長を発振するレーザであることを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
前記第2の照明手段は、前記第1の照明手段と照明方位が異なっており、前記対物レンズと前記偏光分岐による分岐手段との間に位相差板を備えたことを特徴とする請求項8記載の欠陥検査装置。
【請求項14】
前記位相差板は、回転機構を有した1/2波長板或いは回転機構を有した1/4波長板或いは1/2波長板と1/4波長板を有したことを特徴とする請求項13記載の欠陥検査装置。
【請求項15】
前記照明手段は、偏光された光を用いており、前記回路パターンからの散乱光量が前記偏光分岐による分岐手段において反射光或いは透過光がほぼ最小となるように設定可能であることを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項16】
前記画像処理部では、波長条件と偏光条件の少なくても一つの光学条件が異なる複数種の画像について同一の光学条件かつ設計上同一の回路パターンの画像を比較して欠陥候補を判定しており、前記欠陥候補と判定された座標の複数種の画像を比較処理して再度欠陥判定或いは欠陥分類の少なくても一方を行う機能を有することを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。
【請求項17】
前記画像処理部は、波長条件と偏光条件の少なくても一つの光学条件が異なる複数種の画像について同一の光学条件で、かつ設計上同一の回路パターンの画像を比較して欠陥候補としての特徴量を求める第1の特徴算出部と、
前記画像と同じ座標の前記異なる複数条件の画像を比較して欠陥候補としての特徴量を求める第2の特徴算出部とを有し、
前記第1及び第2の特徴算出部にて算出した特徴量を用いて欠陥を判定し、前記判定された欠陥の分類を行う欠陥判定・分類部を有することを特徴とする請求項7または8記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−257903(P2009−257903A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106579(P2008−106579)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】