説明

洗浄装置、洗浄方法及び半導体装置の製造方法

【課題】本発明は、洗浄装置、洗浄方法及び半導体装置の製造方法等に関し、半導体ウエハのエッジ部に形成された膜を除去するための洗浄装置及び洗浄方法、及び半導体装置の製造方法等に関する。
【解決手段】本発明に係るの洗浄装置は、半導体ウエハ3の最外端から内側に5mm以内の部分を挟んで押し当てる第1及び第2のブラシ1a、1bと、第1及び第2のブラシを保持する第1及び第2のブラシ軸2a、2bと、第1及び第2のブラシ軸を回転させる回転機構と、半導体ウエハを回転させる回転機構と、洗浄液を供給する機構と、制御機構とを具備し、制御機構は、半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分に第1及び第2のブラシを押し当て且つ半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には第1及び第2のブラシを押し当てないことにより、半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を除去するように制御する機構であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、洗浄方法及び半導体装置の製造方法等に関し、特に、半導体ウエハのエッジ部に形成された膜を除去するための洗浄装置及び洗浄方法、また、半導体ウエハのエッジ部に形成された膜を除去することによりパーティクルの発生を抑制した半導体装置の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
図9(A)は、従来の半導体ウエハを示す断面図である。
図9(A)に示す半導体ウエハ10は、シリコン基板に例えばトランジスタのような半導体素子を形成し、半導体素子の上に例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上に配線を形成し、最上層の配線上に例えばシリコン窒化膜からなるパッシベーション膜を形成し、パッシベーション膜にパッド開口部を形成した後の半導体ウエハであり、前工程を終了した後の半導体ウエハである。
【0003】
上記の前工程には、シリコン基板を熱酸化する工程、CVD(chemical vapor deposition)法によりシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を形成する工程などがあり、これらの工程によって半導体ウエハ10のべべル部(ウエハエッジ部)10aにも熱酸化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの膜21が成膜されてしまう(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上述したように酸化膜や窒化膜などの膜21がウエハエッジ部(周縁部)10aに成膜された状態の半導体ウエハ10を熱処理炉に挿入してシンター処理を行うと、図9(B)に示すように、シンター処理による熱応力によってストレスの高い厚い膜21aが剥がれることがある。この剥がれた膜21aがパーティクルの原因となる。
【0005】
そこで、上記のようなパーティクルの発生を防止するために、シンター処理を行う前に、洗浄装置によって膜21を除去することが考えられる。
【0006】
従来の洗浄装置は、ウエハを取り囲むようにして複数のローラーを配置し、ローラー先端部に形成した把持部によってウエハの縁部を保持し、ローラーの回転によってウエハを回転させ、ロール型スクラブ洗浄ブラシが上下からウエハに接触させることにより、ウエハの洗浄を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−120903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の洗浄装置では、ローラーによってウエハを保持し回転させながらウエハの表裏面に液供給を行いつつ、上下からスクラブ洗浄ブラシをウエハの表裏面に擦り付けてスクラブ洗浄を行う。このため、ウエハのベベル及びエッジ部のみを洗浄することはできず、ウエハの裏表面、ベベル及びエッジ部すべてにブラシが当たってしまう。その結果、パターン付きウエハのパターンを破壊し、さらに穴及び溝にパーティクルが残留することとなる。
【0009】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、本発明に係る幾つかの態様は、半導体ウエハのエッジ部に形成された膜を除去するための洗浄装置及び洗浄方法、また、半導体ウエハのエッジ部に形成された膜を除去することによりパーティクルの発生を抑制した半導体装置の製造方法等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る洗浄装置は、半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分を挟んで押し当てる第1及び第2のブラシと、
前記第1のブラシを保持する第1のブラシ軸と、
前記第2のブラシを保持する第2のブラシ軸と、
前記第1及び第2のブラシ軸を回転させる第1の回転機構と、
前記半導体ウエハを回転させる第2の回転機構と、
前記半導体ウエハに洗浄液を供給する供給機構と、
前記第1及び第2の回転機構を制御する制御機構と、
を具備し、
前記制御機構は、前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分に前記第1及び第2のブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記第1及び第2のブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を除去するように制御する機構であることを特徴とする。
【0011】
上記洗浄装置によれば、半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分を挟んで押し当てる第1及び第2のブラシを用いて半導体ウエハを洗浄することにより、半導体ウエハの表面に形成されたパターンにブラシが接触することはない。これにより、半導体ウエハのエッジ部のみを洗浄したい場合において、半導体ウエハの表面上に形成されたパターンを破壊させることなく半導体ウエハのエッジ部の洗浄を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る洗浄装置において、前記第1のブラシ軸は、前記第1のブラシを保持する部分に凹凸形状の第1の滑り止めを有し、前記第2のブラシ軸は、前記第2のブラシを保持する部分に凹凸形状の第2の滑り止めを有することも可能である。
【0013】
また、本発明に係る洗浄装置において、前記第1のブラシ軸は、その端部に前記第1のブラシを止める第1のストッパーを有し、前記第2のブラシ軸は、その端部に前記第2のブラシを止める第2のストッパーを有することも可能である。
【0014】
また、本発明に係る洗浄装置において、前記第1のブラシの表面には凹部が形成されており、前記第2のブラシの表面には前記凹部にはめ込まれる凸部が形成されていることも可能である。
【0015】
また、本発明に係る洗浄装置において、前記第1及び第2のブラシの表面は、前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分に沿う形状を有することも可能である。
【0016】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体ウエハの表面に熱酸化法又はCVD法により膜を成膜することにより、前記半導体ウエハのエッジ部にも前記膜が成膜される工程と、
前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分にブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記ブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を洗浄して除去する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記除去する工程の後に、前記半導体ウエハを熱処理する工程をさらに具備することも可能である。
【0018】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記除去する工程の後に、前記半導体ウエハに液浸露光を行う工程をさらに具備することも可能である。
【0019】
本発明に係る洗浄方法は、半導体ウエハを回転させながら前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分にブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記ブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を洗浄して除去することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図6】(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係る洗浄機を模式的に示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態の洗浄機における動作を示すフローチャート。
【図8】図1(a)に示す半導体ウエハ3の一部を示す断面図。
【図9】(A)及び(B)は、従来の半導体ウエハを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1(a)〜(c)及び図2(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る洗浄装置を模式的に示す図である。図1(c)は、洗浄装置の上面図であり、図1(a)は、図1(c)のB方向からみた側面図であり、図1(b)は、図1(a)のA方向からみた側面図である。
図1(a)〜(c)及び図2(a)、(b)に示す洗浄装置は、半導体ウエハ3のエッジ部(周縁部)において表裏面をスクラブ洗浄するためのものである。また、図8は、図1(a)〜(c)及び図2(a)、(b)に示す半導体ウエハ3の一部を示す断面図である。
【0022】
まず、図8に示すように、シリコン基板10上にLOCOS法によりLOCOS酸化膜13を形成する。次いで、このLOCOS酸化膜13の内側に位置するシリコン基板10上に熱酸化法によりゲート酸化膜14を形成する。シリコン基板10には複数種類のトランジスタを形成するため、各種類によってゲート酸化膜の膜厚を変更して異なる膜厚のゲート酸化膜を形成する。具体的には、シリコン基板10に熱酸化(ゲート酸化)工程と酸化膜除去工程を繰り返す。この際、半導体ウエハ(シリコン基板)10の周縁部にも熱酸化膜が形成される。
【0023】
次に、ゲート酸化膜14を含む全面上にCVD法によりポリシリコン膜を堆積し、このポリシリコン膜をパターニングにすることにより、ゲート酸化膜14上にはポリシリコン膜からなるゲート電極15が形成される。次いで、このゲート電極15及びLOCOS酸化膜13をマスクとして不純物をイオン注入することにより、シリコン基板10にはLDD領域17が形成される。
【0024】
次いで、ゲート電極15を含む全面上にシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜をCVD法により堆積し、このシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜をエッチバックすることにより、ゲート電極15の側壁にはサイドウォール16が形成される。次いで、このサイドウォール16及びゲート電極15をマスクとして不純物をイオン注入することにより、シリコン基板10にはソース・ドレイン領域18が形成される。
【0025】
この後、ゲート電極15を含む全面上にシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜22をCVD法により形成する。この際、半導体ウエハの周縁部にも第1の層間絶縁膜が成膜される。
【0026】
次いで、第1の層間絶縁膜22上にレジストパターン(図示せず)を形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして第1の層間絶縁膜22をエッチングすることにより、第1の層間絶縁膜22にゲート電極16及びソース・ドレイン領域18それぞれの上に位置するコンタクトホール22aが形成される。
【0027】
次いで、コンタクトホール22a内及び第1の層間絶縁膜22上にW膜をスパッタリング法により堆積する。次いで、第1の層間絶縁膜22上に存在するW膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)又はエッチバックで除去することにより、コンタクトホール22内には第1のWプラグ19が埋め込まれる。次いで、第1のWプラグ19及び第1の層間絶縁膜22の上にスパッタリング法によりAl合金膜を堆積し、このAl合金膜をパターニングすることにより、第1のWプラグ19及び第1の層間絶縁膜22上には第1のAl合金配線30が形成される。
【0028】
次に、第1のAl合金配線30及び第1の層間絶縁膜22の上にシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜23をCVD法により形成する。この際、半導体ウエハの周縁部にも第2の層間絶縁膜23が成膜される。
【0029】
次いで、第2の層間絶縁膜23上にレジストパターン(図示せず)を形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして第2の層間絶縁膜23をエッチングすることにより、第2の層間絶縁膜23には第1のAl合金配線30上に位置する第1のビアホール23aが形成される。
【0030】
次いで、第1のビアホール23a内及び第2の層間絶縁膜23上にW膜をスパッタリング法により堆積する。次いで、第2の層間絶縁膜23上に存在するW膜をCMP又はエッチバックで除去することにより、第1のビアホール23a内には第2のWプラグ26が埋め込まれる。次いで、第2のWプラグ26及び第2の層間絶縁膜23の上にスパッタリング法によりAl合金膜を堆積し、このAl合金膜をパターニングすることにより、第2のWプラグ26及び第2の層間絶縁膜23の上には第2のAl合金配線27が形成される。
【0031】
この後、第2のAl合金配線27及び第2の層間絶縁膜23の上にシリコン酸化膜からなる第3の層間絶縁膜24をCVD法により形成する。この際、半導体ウエハの周縁部にも第3の層間絶縁膜が成膜される。
【0032】
次いで、第3の層間絶縁膜24上にレジストパターン(図示せず)を形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして第3の層間絶縁膜24をエッチングすることにより、第3の層間絶縁膜24には第2のAl合金配線27上に位置する第2のビアホール24aが形成される。
【0033】
次いで、第2のビアホール24a内及び第3の層間絶縁膜24上にW膜をスパッタリング法により堆積する。次いで、第3の層間絶縁膜24上に存在するW膜をCMP又はエッチバックで除去することにより、第2のビアホール24a内には第3のWプラグ28が埋め込まれる。次いで、第3のWプラグ28及び第3の層間絶縁膜24の上にスパッタリング法によりAl合金膜を堆積し、このAl合金膜をパターニングすることにより、第3のWプラグ28及び第3の層間絶縁膜24の上にAlパッド29が形成される。
【0034】
次いで、Alパッド29及び第3の層間絶縁膜24の上にシリコン窒化膜からなるパッシベーション膜25をCVD法により形成する。この際、半導体ウエハのエッジ部にもパッシベーション膜が成膜される。次いで、このパッシベーション膜25上にレジストパターン(図示せず)を形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとしてパッシベーション膜25をエッチングすることにより、このパッシベーション膜25にはAlパッド29を露出させるパッド開口部25aが形成される。
【0035】
このようにパッド開口部25aを形成する工程まで施された半導体ウエハの周縁部には、前述したように熱酸化膜、CVD法によるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などが成膜されている。
【0036】
次に、図1(a)〜(c)及び図2(a)、(b)に示す洗浄装置を用意し、上記のように半導体ウエハのエッジ部に成膜された熱酸化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの膜を除去する工程を行う。具体的には、半導体ウエハのエッジ部(周縁部)を図1及び図2に示す洗浄装置によって洗浄する工程を行う。
【0037】
以下に、図1及び図2に示す洗浄装置の構成について説明する。
図1(a)、(b)及び図2(a)に示すように、洗浄装置はスクラブ洗浄ブラシ1a及び1bを有している。スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bはブラシ軸2a及び2bによって固定されている。スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bの材質は、例えばPVA(poly vinyl alcohol)が用いられる。また、スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bは、輪形状であり、ブラシ軸2a及び2bにはめ込むように取り付けられている。
【0038】
スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bは、半導体ウエハ3を上下から挟むように、半導体ウエハ3のエッジ部の表裏面に押し当て及び待避可能に配置されており、前記押し当て及び待避それぞれの位置にスクラブ洗浄ブラシ1a及び1bを移動させる移動機構(図示せず)を洗浄装置は有している。また、スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bの周囲には、半導体ウエハ3のエッジ部の表裏面に薬液及び純水などの洗浄液を供給する供給機構のノズル(図示せぬ)が設置されている。
【0039】
また、図1(c)に示すように、洗浄装置は、半導体ウエハ3を保持するための複数のローラー4を有しており、これらのローラー4は半導体ウエハ3の周囲に配置されている。ローラー4は回転機構であるローラー用モーター(図示せぬ)に接続されており、このローラー用モーターが稼動することによってローラー4が矢印の方向に回転駆動し、半導体ウエハ3もまた矢印の方向に回転させている。ブラシ軸2a及び2bは、回転機構であるモーター5に接続されており、このモーター5が稼動することによって上下のブラシ軸2a及び2bを回転駆動させるとともに、ブラシ1a及び1bを回転させている。また、洗浄装置は、前記ローラー用モーター及びモーター5の動作などを制御することによって半導体ウエハ3のエッジ部を洗浄する際の装置動作を自動制御する制御機構(図示せぬ)を有している。
【0040】
以下に、上述した洗浄装置によって半導体ウエハのエッジ部を洗浄する工程を図7に示すフローチャートを用いて説明する。また、図2(a)及び(b)は、ブラシ軸2a及び2bに固定されたブラシ1a及び1bの動作を説明するための模式図である。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、洗浄装置に半導体ウエハ3が投入される。次いで、投入された半導体ウエハ3は、図1(c)に示すローラー4に保持される(S1)。次いで、前記ローラー用モーターが稼動し、ローラー4が矢印の方向に回転開始することによって半導体ウエハ3も矢印の方向に回転開始する(S2)。この際に、モーター5が稼動し、ブラシ軸2a及び2bを回転駆動させることによってスクラブ洗浄ブラシ1a及び1bが回転開始し、それぞれ図2(a)に示す矢印11、12の方向に移動する。
【0042】
次いで、図2(b)に示すように、スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bは回転しながら半導体ウエハ3のエッジ部を上下から挟むように半導体ウエハ3に押し当てられ、半導体ウエハ3のエッジ部の洗浄が開始される(S4)。この際、半導体ウエハ3のエッジ部の表裏面には、前記ノズルより薬液及び純水が供給される。また、スクラブ洗浄ブラシ1a及び1bが半導体ウエハ3に押し当てられる領域は、図8に示す半導体素子が形成されていないエリア、即ち製品チップが形成される有効エリアの外側であり、具体的には半導体ウエハ3の最外端(外縁)から内側に5mm以内の部分である。
【0043】
また、半導体ウエハ3はローラー4によって回転しているため、ブラシ1a及び1bに接触していない半導体ウエハ3のエッジ部も順次洗浄される。
【0044】
次いで、所定時間において洗浄が終了した後、ブラシ1aが上方向に移動し、ブラシ1bが下方向に移動し、図2(a)に示す位置に戻る。その後、前記制御機構により前記ローラー用モーターが稼動停止し、ローラー4の回転が停止するとともに半導体ウエハ3の回転も停止する。この際に、モーター5もまた前記制御機構により稼動停止し、ブラシ軸2a及び2bの回転が停止するとともにブラシ1a及び1bも回転が停止する。その後、半導体ウエハ3を接触固定していたローラー4を解除する(S5)。
【0045】
次いで、半導体ウエハ3のエッジ部の表裏面に付着した処理液を高速回転の遠心力により完全に除去し、半導体ウエハ3の洗浄が終了する(S6)。
【0046】
次に、半導体ウエハ3を熱処理炉に挿入し、Alの活性化などを目的とするシンター処理を行う。このシンター処理は、例えば400℃の温度に30分間保持する条件で行う。
【0047】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、半導体ウエハ3のエッジ部の表裏面に接触するスクラブ洗浄ブラシ1a及び1bを用いて基板洗浄することにより、半導体ウエハ3の表面に形成されたパターンにブラシ1a及び1bが接触することはない。これにより、半導体ウエハ3のエッジ部のみを洗浄したい場合において、図8に示す半導体ウエハ3の表面上に形成されたパターンを破壊させることなく半導体ウエハのエッジ部の洗浄を行うことが可能となる。さらに、半導体ウエハ3のエッジ部以外にブラシ1a及び1bが接触しないため、半導体ウエハ3の表面に残留するパーティクルを低減することも可能である。
【0048】
また、ブラシ1a及び1bの形状が異なる以外は、従来の洗浄装置と同様である。そのため、洗浄用途に合わせてブラシ1a及び1bの交換を行うことが可能となる。その結果、既存の洗浄装置を用いて半導体ウエハ3のエッジ部の洗浄を行うことができる。
【0049】
また、本実施の形態では、シンター処理前に、半導体ウエハ3のエッジ部に成膜されている膜を除去するため、熱処理炉に挿入して半導体ウエハのシンター処理を行う際に、シンター処理による熱応力によって前記エッジ部に成膜された膜が剥がれることを防止できる。その結果、膜が剥がれることに起因するパーティクルの発生を抑制できる。
【0050】
図3(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態による洗浄装置のブラシ軸2a及び2bに固定されたブラシ1a及び1bの動作を説明するための模式図であり、図2(a)及び(b)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
第2の実施形態は、ブラシ軸の構成が第1の実施形態と異なるが、それ以外の洗浄装置の構造及び半導体ウエハ3の洗浄方法は、第1の実施形態と同様である。
【0052】
図3(a)に示すように、ブラシ軸2a及び2bにおいてブラシ1a及び1bが取り付けられる部分には、凹凸形状の滑り止め6か形成されている。この凹凸形状の滑り止め6が形成された部分にブラシ1a及び1bをはめ込んでいる。
【0053】
図3(b)に示すように、ブラシ1a及び1bは回転しながら半導体ウエハ3のエッジ部を上下から挟むように半導体ウエハ3に接触し、半導体ウエハ3の洗浄が開始される。
【0054】
以上、本発明の第2の実施形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ブラシ軸2a及び2bにおいてブラシ1a及び1bが取り付けられる部分には、凹凸形状の滑り止め6か形成することにより、ブラシ1a及び1bがずれることなく半導体ウエハ3のエッジ部を洗浄することが可能となる。
【0055】
図4(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態による洗浄装置のブラシ軸2a及び2bに固定されたブラシ1a及び1bの動作を説明するための模式図であり、図2(a)及び(b)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
第3の実施形態は、ブラシ軸の構成が第1の実施形態と異なるが、それ以外の洗浄装置の構造及び半導体ウエハ3の洗浄方法は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
図4(a)に示すように、ブラシ軸2a及び2bに取り付けられたブラシ1a及び1bの外側からストッパー7を設置している。
【0058】
図4(b)に示すように、ブラシ1a及び1bは回転しながら半導体ウエハ3のエッジ部を上下から挟むように半導体ウエハ3に接触し、半導体ウエハ3の洗浄が開始される。
【0059】
以上、本発明の第3の実施形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ブラシ軸2a及び2bにストッパー7を設置することにより、ブラシ軸2a及び2bに取り付けられたブラシ1a及び1bがずれることを防止することが可能となる。
【0060】
図5(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態による洗浄装置のブラシ軸2a及び2bに固定されたブラシ1a及び1bの動作を説明するための模式図であり、図2(a)及び(b)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
第4の実施形態は、スクラブ洗浄ブラシの構成が第1の実施形態と異なるが、それ以外の洗浄装置の構造及び半導体ウエハ3の洗浄方法は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
図5(a)に示すように、半導体ウエハ3のエッジ部とブラシ1a及び1bの接触面において、半導体ウエハ3の表面と接触するブラシ1aには、凹部8aを形成し、半導体ウエハ3の裏面と接触するブラシ1bには、凸部8bを形成している。これにより、モーター5が稼動し、ブラシ軸2a及び2bを回転駆動させることによってブラシ1a及び1bが回転開始し、それぞれ矢印11、12の方向に移動し、ブラシ1a及び1bが接触した際に凹部8aに凸部8bがはまる。
【0063】
図5(b)に示すように、ブラシ1a及び1bは回転しながら半導体ウエハ3のエッジ部を上下から挟むように半導体ウエハ3に接触し、半導体ウエハ3の洗浄が開始される。
【0064】
以上、本発明の第5の実施形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ブラシ1a及び1bにそれぞれ凹部8a及び凸部8bを形成し、それぞれが接触した際に隙間無くはまるようになる。これにより、ブラシ1a及び1bの密着性が向上し、且つブラシ1a及び1bと半導体ウエハ3の密着性が向上する。
【0065】
図6(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態による洗浄装置のブラシ軸2a及び2bに固定されたブラシ1a及び1bの動作を説明するための模式図であり、図2(a)及び(b)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
第5の実施形態は、スクラブ洗浄ブラシの構成が第1の実施形態と異なるが、それ以外の洗浄装置の構造及び半導体ウエハ3の洗浄方法は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
図6(a)に示すように、半導体ウエハ3のエッジ部とブラシ1a及び1bの接触面9は、その断面が半導体ウエハ3の外縁に沿って同様な円弧になるようにR形状を有している。
【0068】
図6(b)に示すように、ブラシ1a及び1bは回転しながら半導体ウエハ3のエッジ部を上下から挟むように半導体ウエハ3に接触し、半導体ウエハ3の洗浄が開始される。
【0069】
以上、本発明の第5の実施形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ブラシ1a及び1bの断面が半導体ウエハ3の外縁に沿って同様な円弧になるようにR形状を有している。これにより、ブラシ1a及び1bと半導体ウエハ3の密着性が向上する。
【0070】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、パッシベーション膜にパッド開口部を形成した後に半導体ウエハのエッジ部を研磨しているが、パッシベーション膜にパッド開口部を形成する前に半導体ウエハのエッジ部を研磨し、その後にパッシベーション膜にパッド開口部を形成することも可能である。
【0071】
また、上記実施の形態では、シンター処理の前に半導体ウエハのエッジ部を研磨しているが、これに限定されるものではなく、半導体ウエハのエッジ部で発生するパーティクルが問題となる工程の前に半導体ウエハのエッジ部を研磨することも可能であり、例えば、液浸露光工程の前に半導体ウエハのエッジ部を研磨することも可能である。ここでいう液浸露光工程とは、露光装置の投影レンズと半導体ウエハの間を超純水で満たすことにより、同じ角度の光でも投影レンズの開口率(N.A.)を大きくして半導体の微細化に対応した露光技術を用いた露光工程である。
【符号の説明】
【0072】
1a,1b・・・ブラシ、2a,2b・・・ブラシ軸、3・・・半導体ウエハ、4・・・ローラー、5・・・モーター、6・・・滑り止め、7・・・ストッパー、8a・・・凹部、8b・・・凸部、11,12・・・矢印、10・・・シリコン基板、10a・・・ベベル部、13・・・LOCOS酸化膜、14・・・ゲート酸化膜、15・・・ゲート電極、16・・・サイドウォール、17・・・LDD領域、18・・・ソース・ドレイン領域、19・・・Wプラグ、21、21a・・・膜、22・・・第1の層間絶縁膜、22a・・・コンタクトホール、23・・・第2の層間絶縁膜、23a・・・第1のビアホール、24・・・第3の層間絶縁膜、24a・・・第2のビアホール、25・・・パッシベーション膜、25a・・・パッド開口部、26・・・第2のWプラグ、27・・・第2のAl合金配線、28・・・第3のWプラグ、29・・・Alパッド、30・・・第1のAl合金配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分を挟んで押し当てる第1及び第2のブラシと、
前記第1のブラシを保持する第1のブラシ軸と、
前記第2のブラシを保持する第2のブラシ軸と、
前記第1及び第2のブラシ軸を回転させる第1の回転機構と、
前記半導体ウエハを回転させる第2の回転機構と、
前記半導体ウエハに洗浄液を供給する供給機構と、
前記第1及び第2の回転機構を制御する制御機構と、
を具備し、
前記制御機構は、前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分に前記第1及び第2のブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記第1及び第2のブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を除去するように制御する機構であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1のブラシ軸は、前記第1のブラシを保持する部分に凹凸形状の第1の滑り止めを有し、前記第2のブラシ軸は、前記第2のブラシを保持する部分に凹凸形状の第2の滑り止めを有していることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1において、前記第1のブラシ軸は、その端部に前記第1のブラシを止める第1のストッパーを有し、前記第2のブラシ軸は、その端部に前記第2のブラシを止める第2のストッパーを有していることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1において、前記第1のブラシの表面には凹部が形成されており、前記第2のブラシの表面には前記凹部にはめ込まれる凸部が形成されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項1において、前記第1及び第2のブラシの表面は、前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分に沿う形状を有していることを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
半導体ウエハの表面に熱酸化法又はCVD法により膜を成膜することにより、前記半導体ウエハのエッジ部にも前記膜が成膜される工程と、
前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分にブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記ブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を洗浄して除去する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1において、前記除去する工程の後に、前記半導体ウエハを熱処理する工程をさらに具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1において、前記除去する工程の後に、前記半導体ウエハに液浸露光を行う工程をさらに具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体ウエハを回転させながら前記半導体ウエハの最外端から内側に5mm以内の部分にブラシを押し当て且つ前記半導体ウエハの最外端から内側に5mmより更に内側の表裏面には前記ブラシを押し当てないことにより、前記半導体ウエハのエッジ部に成膜された膜を洗浄して除去することを特徴とする洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−177363(P2010−177363A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17019(P2009−17019)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】