海苔の外観検査方法及びその装置
【課題】海苔が傾斜姿勢で撮像手段に搬送された場合であってもシンプルな判別処理によって欠けの有無検査が行える海苔の外観検査方法及びその装置を提供することを技術的課題とするものである。
【解決手段】各海苔画像を搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行った後に、該海苔画像について、四辺の外辺接線となる水平接線及び垂直接線から任意画素内側に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別するようにしたので、海苔の欠け判別は、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けずに海苔の全周縁部分に亘って的確に行え、また、前記検査領域線は、撮像画素Ｐの配列方向に沿った単純な垂直基準線及び水平基準線によって構成することができる。このため、シンプルな判別処理によってよって広い検出範囲の海苔の欠け判別が行えるようになる。
【解決手段】各海苔画像を搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行った後に、該海苔画像について、四辺の外辺接線となる水平接線及び垂直接線から任意画素内側に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別するようにしたので、海苔の欠け判別は、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けずに海苔の全周縁部分に亘って的確に行え、また、前記検査領域線は、撮像画素Ｐの配列方向に沿った単純な垂直基準線及び水平基準線によって構成することができる。このため、シンプルな判別処理によってよって広い検出範囲の海苔の欠け判別が行えるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、矩形かつシート状の海苔の外観検査装置に係り、特に海苔周縁部分の欠けの検査に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の海苔の外観検査装置としては、例えば特許文献１に記載されたものがある。この海苔外観検査装置は、撮像手段によって、搬送される海苔を撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の角部に欠けがあるか否かを判別（以下、「欠け判別」という。）する。この欠け判別方法は、前記海苔画像に基づいて、海苔の各角部の面積を演算して求め、この各角部面積を、欠け判別設定値（しきい値）と対比し、角部面積が前記しきい値を超えた場合には「海苔に欠けあり」と判別するものである。また、この欠け判別方法は、ベルトコンベアでの搬送途中に海苔の姿勢が左右方向に傾いて、前記撮像手段に傾斜姿勢の海苔が搬送された場合でも、この傾斜を考慮して欠けの有無が判別されるようになっている。
【０００３】
【特許文献１】実公平６−４３７３０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記外観検査装置は、前記欠け判別方法の判別処理が複雑であるという問題点があった。すなわち、前記欠け判別方法は、搬送される海苔の一枚ごとに、海苔画像から該海苔姿勢の傾斜角度を演算して求めて該演算値に基づいて前記欠け判別設定値を補正する方法であるので、判別処理が複雑であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、海苔が傾斜姿勢で撮像手段に搬送された場合であってもシンプルな判別処理によって欠けの有無検査が行える海苔の外観検査方法及びその装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するため、
海苔の外観検査方法は、搬送された海苔を例えばＣＣＤラインセンサによって撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する。
海苔の欠け判別は、前記各海苔画像が搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行い、この後、海苔画像の四辺の外辺接線、すなわち水平接線及び垂直接線を求め、この水平接線及び垂直接線のそれぞれから海苔画像の任意画素内側に検査領域線（水平基準線及び垂直基準線）を引き、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別して行う。
前記画像回転処理は、海苔画像の重心位置を求めるとともに、海苔画像の幅方向又は長さ方向のフィレ径の値を求めて、フィレ径の値が最小値になるまで海苔画像を前記重心位置を中心に回転処理する。
【発明の効果】
【０００６】
本発明の海苔の外観検査方法によれば、各海苔画像を搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行った後に、該海苔画像について、四辺の外辺接線となる水平接線及び垂直接線から任意画素内側に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別するようにしたので、海苔の欠け判別は、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けずに海苔の全周縁部分に亘って欠け判別が的確に行え、また、前記検査領域線は、撮像画素Ｐの配列方向に沿った単純な垂直基準線及び水平基準線によって構成することができる。このため、シンプルな判別処理によってよって広い検出範囲の海苔の欠け判別が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明の海苔の外観検査装置１は、図１の縦側断面図に示すように、機壁１ａの一方側に原料海苔Ｎの原料供給部１ｂを配設するとともに他方側に良品海苔の良品排出部１ｃを配設し、前記原料供給部１ｂと良品排出部１ｃとの間には、前記搬送手段２を介して撮像手段３及び選別手段１４を順次配設して構成する。また、前記撮像手段３で取得した海苔画像に基づいて海苔周縁部分の欠けの有無を検査する欠け判別手段（形状判別手段）２４も備える。以下順に、各詳細の構成を説明する。
【０００８】
前記搬送手段２：
前記搬送手段２は、水平状態に配設したベルトコンベア２ａ，２ｂ，２ｃによって構成される。前記ベルトコンベア２ａは、その搬送始端側を前記原料供給部１ｂに臨ませる一方、搬送終端側を前記撮像手段３に連絡接続して配置するとともに、搬送終端部には、搬送ベルトと接する従動ロール２ｄを配設し、原料海苔Ｎを搬送ベルトとの間に挟んで搬送するようにしてある。前記ベルトコンベア２ｂは、前記撮像手段３と選別手段１４との間に配設するとともに、搬送始端部と搬送終端部とには、搬送ベルトと接する従動ロール２ｄ，２ｄを配設する。さらに、前記ベルトコンベア２ｃは、前記選別手段１４の搬送終端側と前記良品排出部１ｃとの間に配設する。
【０００９】
撮像手段３：
前記撮像手段３は、海苔の搬送方向に沿った位置に、海苔を上面側と下面側からそれ撮像する上面撮像手段４及び下面撮像手段９を順次配設する（図２参照）。
【００１０】
上面撮像手段４は、上面ＣＣＤカメラ５と照射部６、さらに、海苔の搬送方向に沿って順次配設した、送りロール部７及び滑走板８から構成される。送りロール部７は、上下に配設して互いに当接させた一対の従動ロール５ａと駆動搬送ロール５ｂとから構成する。滑走板８には上面撮像開口部８ａが設けてあり、上面撮像開口部８ａには上面撮像用の光学検出位置Ｐ１が設定してある。前記上面ＣＣＤカメラ５は、光学検出位置Ｐ１から搬送方向の手前側の斜め上方位置に配設し、光学検出位置Ｐ１を斜め上方側から撮像するように配設してある。前記照射部６は上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂから構成し、光学検出位置Ｐ１に撮像用の光を照射するように構成してある。上側照射部６ａは赤、緑、青の各色の光を照射するＬＥＤ（発光ダイオード）を構成する。下側照射部６ｂは赤色の光を照射するＬＥＤと近赤外光を照射するＬＥＤを構成する。前記上面ＣＣＤカメラ５はモノクロのＣＣＤラインセンサを内蔵して構成し、前記光学検出位置Ｐ１の搬送方向と直行する方向に走査を繰り返すようになっている。そして、上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂの各ＬＥＤは順次、図示しない照射切換部の指示によって、ＣＣＤラインセンサが１走査するごとに赤、緑、青、赤、近赤外の光の点灯が切換えられるようになっている。
【００１１】
一方、下面撮像手段９は、前記上面ＣＣＤカメラ４と同様に、下面ＣＣＤカメラ１０と照射部１１、さらに、海苔の搬送方向に沿って順次配設した、送りロール部１２及び滑走板１３から構成される。送りロール部１２は、上下に配設して互いに当接させた一対の従動ロール１２ａと駆動搬送ロール１２ｂとから構成する。滑走板１３には下面撮像開口部１３ａが設けてあり、下面撮像開口部１３ａには下面撮像用の光学検出位置Ｐ２が設定してある。前記下面ＣＣＤカメラ１０は、光学検出位置Ｐ２から搬送方向の手前側の斜め下方位置に配設し、光学検出位置Ｐ２を斜め下方側から撮像するように配設してある。前記照射部１１は上側照射部１１ａ及び下側照射部１１ｂから構成し、光学検出位置Ｐ２に撮像用の光を照射するように構成してある。上側照射部１１ａは赤色の光を照射するＬＥＤと近赤外光を照射するＬＥＤを構成する。一方、下側照射部６ｂは赤、緑、青の各色の光を照射するＬＥＤ（発光ダイオード）を構成する。前記下面ＣＣＤカメラ１０も、前記上面ＣＣＤカメラ５と同じく、モノクロのＣＣＤラインセンサを内蔵して構成し、前記光学検出位置Ｐ２の搬送方向と直行する方向に走査を繰り返すようになっている。そして、上側照射部１１ａ及び下側照射部１１ｂの各ＬＥＤは順次、図示しない照射切換部の指示によって、ＣＣＤラインセンサが１走査するごとに赤、緑、青、赤、近赤外の光の点灯が切換えられるようになっている。
【００１２】
選別手段１４：
前記選別手段１４は、後述する欠け判別手段によって判別された不良品を不良品の種類に分けて選別する構成になっており、良品は、本選別手段１４によって選別されることなく、後工程の前記ベルトコンベア２ｃに送られて良品排出部１ｃから排出されるようになっている。前記選別手段１４は、不良品を３種類に選別できるようになっており、第１不良品選別箱１５、第２不良品選別箱１６及び第３不良品選別箱１７を有する。第１不良品選別箱１５は前記ベルトコンベア２ｂの搬送終端部の下方に配設し、該搬送終端部の近傍に配設した切換シャッター板１８による海苔の搬送路の切換作用によって第１不良品を選別するようになっている。前記切換シャッター板１８の切換えは、通過する海苔が第１不良品のときに、後述する欠け判別手段から信号を受けてシャッター切換部（図示せず）の信号によって作動し、通過する海苔が良品、第２不良品及び第３不良品のときには作動しない。前記切換シャッター板１８は、前記シャッター切換部からの信号によって、水平状態から傾斜状態に回動して第１不良品を第１不良品選別箱１５に誘導選別できるようになっている。
【００１３】
前記切換シャッター板１８の搬送方向の後方には、前記送りロール部７,１２と同様の送りロール部１９と切換シャッター板２０とが順次配設してある。該切換シャッター板２０は、通過する海苔が第２不良品のときに、前記シャッター切換部からの信号によって水平状態から傾斜状態に回動し、第２不良品を第２不良品選別箱１７に搬送する搬送部１７ａ側に搬送路を切り換える。
【００１４】
前記切換シャッター板２０の搬送方向の後方には、前記送りロール部１９と同様の送りロール部２１と切換シャッター板２２とが順次配設してある。該切換シャッター板２２は、通過する海苔が第３不良品のときに、前記シャッター切換部からの信号によって水平状態から傾斜状態に回動し、第３不良品を第３不良品選別箱１６に誘導選別できるように搬送路を切り換えるようになっている。なお、前記切換シャッター板２０は良品が通過するときは水平状態が維持されて、良品はベルトコンベア２ｃを介して良品排出部１ｃから機外に排出されるようになっている。
【００１５】
外観判別手段２３：
次に、前記外観判別手段２３について説明する（図３参照）。前記外観判別手段２３は、形状判別手段（欠け判別手段）２４と異物判別手段３３とから構成される。
【００１６】
形状判別手段（欠け判別手段）２４は、例えば、中央演算手段（ＣＰＵ）２５を中心に、該ＣＰＵ２５と連携してそれぞれの処理を行う、海苔画像の重心を求める重心演算回路２６、海苔画像の回転処理を行う回転処理回路２７ａ、海苔画像のフィレ径（図５に示したＨ）を演算するフィレ径演算回路２８及び海苔画像の周縁部分における欠けや海苔画像の内部分における透けの有無を判別する形状判別回路２９（判別部）を備える。このほか、前記上面撮像手段４及び下面撮像手段９が撮像した海苔画像を記憶する書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）３０及び前記回転処理回路２７ａによって回転処理した海苔画像を記憶する書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）３１を構成する。なお、前記形状判別回路２９は、欠けが検出された場合に前記選別手段１４に信号を送って任意の切換シャッターを駆動させるようにしあるほか、海苔の欠け判別結果を表示手段３２に送って表示させるようにしてある。また、本発明において、画像回転部２７は、前記重心演算回路２６、回転処理回路２７ａ、フィレ径演算回路２８及びＲＡＭ３０によって構成する。
【００１７】
なお、回転処理回路２７ａには、後述する海苔画像Ｇの四辺の各外辺接線（垂直接線Ｔ，Ｔ及び水平接線Ｙ，Ｙ）から任意画素数だけ海苔画像Ｇの内側位置に検査領域線（垂直基準線Ｔ１，Ｔ１及び水平基準線Ｙ１，Ｙ１）を設定する際に必要な前記任意画素数を回転処理回路２７ａに対して入力設定する画素数設定部（図示せず）を設けるとよい。
【００１８】
異物判別手段３３は、例えば、中央演算手段（ＣＰＵ）２５を中心に、該ＣＰＵ２５と連携して海苔画像に異物があるかどうかを判別する異物判別回路３４を構成する。該異物判別回路３４は、異物が検出された場合に前記選別手段１４に信号を送って任意の切換シャッターを駆動させるようにしあるほか、海苔の欠け判別結果を表示手段３２に送って表示させるようにしてある。
【００１９】
上記海苔の外観検査装置１の作用を説明する。
【００２０】
まず、前記海苔の外観検査装置１に電源を入れて前記搬送手段２、撮像手段３及び選別手段１４のそれぞれを運転状態にする。次いで、任意の供給装置（図示せず）を使って海苔原料Ｎを前記原料供給部１６に順次供給する。該原料供給部１６に供給された各原料海苔Ｎは、ベルトコンベア２ａによって撮像手段３に搬送されて撮像される。
【００２１】
海苔画像の取得（STEP1）：
前記撮像手段３は、原料海苔Ｎを順次搬送しながら前記上面撮像手段４及び下面撮像手段９において撮像を行う。前記上面撮像手段４においては、原料海苔Ｎを、前記送りロール部７のロール間に挟みながら前記滑走板８上の光学検出位置Ｐ１に順次搬送し、該光学検出位置Ｐ１を通過する原料海苔Ｎを上面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）５によって撮像（走査）する。この時、光学検出位置Ｐ１の原料海苔Ｎには上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂの各ＬＥＤの赤、緑、青、赤、近赤外の光が順次点灯照射されており、上面ＣＣＤカメラ５は、この点灯切換（照射光の切換）に合わせて１走査（撮像）し、原料海苔Ｎの全体を撮像する。前記上面ＣＣＤカメラ５は海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像を取得するとともに赤、近赤外の透過光・海苔画像を取得し、これらの海苔画像を前記ＲＡＭ３０に記憶する。
【００２２】
続いて上面撮像手段４を通過した原料海苔Ｎは下面撮像手段９に送られて、前記上面撮像手段４と同様に、前記送りロール部１２のロール間に挟みながら前記滑走板１３上の光学検出位置Ｐ２に順次搬送し、該光学検出位置Ｐ２を通過する原料海苔Ｎを下面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）１０によって撮像（走査）する。この時、光学検出位置Ｐ２の原料海苔Ｎには上側照射部１１ａ及び下側照射部１２ｂの各ＬＥＤの赤、緑、青、赤、近赤外の光が順次点灯照射されており、下面ＣＣＤカメラ１０は、この点灯切換（照射光の切換）に合わせて１走査（撮像）し、原料海苔Ｎの全体を撮像する。前記下面ＣＣＤカメラ１０は海苔下面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像を取得するとともに赤、近赤外の透過光・海苔画像を取得し、これらの海苔画像を前記ＲＡＭ３０に記憶する。
【００２３】
以下、本発明の特徴点である形状判別手段（欠け判別手段）２４の作用説明を行う。
【００２４】
重心演算処理（STEP2）：
前記重心演算回路２６は、上面撮像手段４（上面ＣＣＤカメラ５）及び下面撮像手段９（下面ＣＣＤカメラ１０）で撮像した複数色の海苔撮像の中から任意の一色の海苔画像Ｇ（図５の（1））、すなわち、例えば、上面ＣＣＤカメラ５によって撮像した赤色の透過検出光による海苔画像を使って該海苔画像Ｇの重心位置を演算する（図５の（2）参照）。
【００２５】
フィレ径演算処理（STEP3）：
次に、フィレ径演算回路２８は、前記ＲＡＭ３０に記憶された、図５の（1）に示した海苔画像Ｇを基にして、該海苔画像Ｇのフィレ径Ｈ（海苔画像Ｇの左右の各端部と接した一対の垂直線の間隔）を演算する（図５の（２）参照）。なお、前記垂直線は海苔の搬送方向、すなわち、ＣＣＤラインセンサにおける一つの受光素子が撮像した画素Ｐの列を表わしている。なお、このフィレ径については、上記では海苔画像Ｇの左右の垂直線としたが、これ以外に、海苔画像Ｇの上下の水平線としてもよい。
【００２６】
画像回転処理（STEP4）
次に、前記画像回転部２７は、前記回転処理回路２７ａにより、前記ＲＡＭ３０に記憶された、図５の（1）に示した海苔の搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して傾いた海苔画像Ｇを順次読み出し、該海苔画像Ｇを、前記重心を中心に前記フィレ径Ｈの値が最小値（ＨＳ）になるまで画像回転処理して海苔の搬送方向と同方向（撮像画素Ｐの配列方向と同じ向きの状態）にする（図５の（3）,（4））。なお、回転処理回路２７ａは、海苔画像Ｇが搬送方向に対して傾いているか否かに関わらず、全ての海苔画像Ｇに対して実行し、全ての海苔画像Ｇを前述のように同方向にし、その海苔画像Ｇを前記ＲＡＭ３１に記憶する。
【００２７】
形状判別処理（STEP5）
次に、前記形状判別回路２９（判別部）は、ＲＡＭ３１に記憶された海苔画像Ｇを順次読み出して、海苔に欠けた部分があるか否かを判別する。欠けの有無の判別は、図５の（4）に示したように、まず、海苔画像Ｇの左右の各端部と接する左右の垂直接線Ｔ，Ｔ（外辺接線）と、海苔画像Ｇの上下の各端部と接する水平接線Ｙ，Ｙ（外辺接線）とを求める。前記垂直接線Ｔ，Ｔ及び水平接線Ｙ，Ｙは共に撮像画素Ｐの配列方向と一致する直線となるので、接線を求める演算は簡単である。次に、海苔周縁部分の凹凸形状を検査対象領域から除外するために、前記左右の各垂直接線Ｔ，Ｔから海苔画像Ｇにおける内側に、任意数の画素Ｐだけ移動した位置に、当該垂直接線Ｔ，Ｔと並行な各垂直基準線Ｔ１，Ｔ１（検査領域線）を設定する。また、前記上下の各水平接線Ｙ，Ｙから海苔画像Ｇにおける内側に任意数の画素Ｐだけ移動した位置には、当該水平接線Ｙ，Ｙと並行な各水平基準線Ｙ１，Ｙ１（検査領域線）を設定する。前記垂直基準線T１，T１及び水平基準線Ｙ１，Ｙ１も、撮像画素Ｐの配列方向と一致する直線となるので、各基準線を求める演算は簡単である。前述の任意数の画素Ｐについては、本実施の形態においては左右及び上下共に３画素としたが、これに限られるものではない。次に、前記各垂直基準線Ｔ１，Ｔ１と各水平基準線Ｙ１，Ｙ１とによって囲まれた四角形の範囲を検査領域Ｋとし、該検査領域Ｋ内、特に海苔周縁部分に欠けた部分があるか否かを検査し、欠けの有無を判別する（図５の（５））。これにより、欠け判別の際に、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けない。前記形状判別回路２９は、海苔画像Ｇに欠けが検出されると不良品１と判別し、前記選別手段１４に不良品信号１を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号１を送る。
【００２８】
なお、前記形状判別回路２９は、上記で述べた海苔周縁部分における欠けの有無の検出だけでなく、検査領域Ｋに穴や破れも検出し、これらを検出した場合には前記と同様に不良品信号１を前記選別手段１４と表示手段３２とに送る。
【００２９】
選別部に指示（STEP6）
次に、選別手段１４は、前記形状判別回路２９から不良品信号１を受けると、前記切換シャッター板１８を回動して、ベルトコンベア２ｂの搬送終端部から排出された不良品１（欠けが検出された海苔）を第１不良品選別箱１５に誘導して選別する。
【００３０】
表示部に指示（STEP7）
次に、前記表示手段３２は形状判別回路２９から受けた不良品信号１を適宜表示する。
【００３１】
次に、前記異物判別手段２５の作用について説明する。前記異物判別手段２５は、前記ＳＴＥＰ１（海苔画像の取得）によって撮像した画像、すなわち、前記上面ＣＣＤカメラ５による海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像と、前記下面ＣＣＤカメラ１０による海苔下面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像とに基づいて、これらの海苔画像を予め設定した異物判別用しきい値と対比して、ペンキの付着や貝殻等の混入等を検出する。ペンキの付着や貝殻等の混入等が検出されると、当該海苔は不良品２と判別し、前記選別手段１４に不良品信号２を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号２を送る。次に、選別手段１４は、前記形状判別回路２９から不良品信号２を受けると、前記切換シャッター板２０を回動して、前記送りロール部１９から排出された不良品２（異物が検出された海苔）を第２不良品選別箱１７に搬送するための搬送部１７ａに誘導して選別する。
【００３２】
なお、前記外観判別手段２３には、前述した形状判別手段（欠け判別手段）２４及び異物判別手段２５以外に、撮像手段３に重なって搬送された原料海苔Ｎを検出する重なり判別手段を設けてもよい。該重なり判別手段は、前記ＳＴＥＰ１（海苔画像の取得）によって撮像した画像、すなわち、前記上面ＣＣＤカメラ５による海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像のうち、いずれかの海苔画像Ｇに基づき、海苔の搬送方向の長さを検出し、所定のしきい値（海苔１枚分の平均的長さ、例えば２１０ミリメートル）と対比して、海苔画像Ｇの長さが前記しきい値よりも長い場合には、「複数の海苔が重なったもの」（不良品３）と判別して、重なり判別手段は、前記選別手段１４に不良品信号３を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号３を送る。そして、選別手段１４は、前記重なり判別手段から不良品信号３を受けると、前記切換シャッター板２２を回動して、前記送りロール部２１から排出された前記不良品３を第３不良品選別箱１６に誘導して選別する。
【００３３】
また、前記外観判別手段２３（形状判別手段（欠け判別手段）２４、異物判別手段２５及び重なり判別手段）において前記不良品１，２，３のいずれにも判別さなかった原料海苔Ｎは、良品として、前記ベルトコンベア２ｃを介して良品排出部１ｃから排出される。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明の海苔の外観検査装置における縦側断面図を示す。
【図２】同外観検査装置における撮像手段の拡大縦側断面図を示す。
【図３】同外観検査装置における外観判別手段のブロック図を示す。
【図４】同外観検査装置における形状判別手段（欠け判別手段）の処理フローを示す。
【図５】図４の処理フローに対応した処理画像の概念図を示す。
【符号の説明】
【００３５】
１ 海苔の外観検査装置
１ａ 機壁
１ｂ 原料供給部
１ｃ 良品排出部
２ 搬送手段
２ａ ベルトコンベア
２ｂ ベルトコンベア
２ｃ ベルトコンベア
２ｄ 従動ロール
３ 撮像手段
４ 上面撮像手段
５ 上面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）
６ 照射部
６ａ 上側照射部
６ｂ 下側照射部
７ 送りロール部
７ａ 従動ロール
７ｂ 駆動搬送ロール
８ 滑走板
８ａ 上面撮像開口部
９ 下面撮像手段
１０ 下面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）
１１ 照射部
１１ａ 上側照射部
１１ｂ 下側照射部
１２ 送りロール部
１２ａ 従動ロール
１２ｂ 駆動搬送ロール
１３ 滑走板
１３ａ 下面撮像開口部
１４ 選別手段
１５ 第１不良品選別箱
１６ 第２不良品選別箱
１７ 第３不良品選別箱
１７ａ 搬送部
１８ 切換シャッター板
１９ 送りロール部
１９ａ 従動ロール
１９ｂ 駆動搬送ロール
２０ シャッター板
２１ 送りロール部
２２ 切換シャッター板
２３ 外観判別手段
２４ 形状判別手段（欠け判別手段）
２５ 中央演算手段（ＣＰＵ）
２６ 重心演算回路
２７ 画像回転部
２７ａ 回転処理回路
２８ フィレ径演算回路
２９ 形状判別回路（判別部）
３０ 書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）
３１ 書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）
３２ 表示手段
３３ 異物判別手段
３４ 異物判別回路
Ｇ 海苔画像
Ｈ 海苔画像のフィレ径
ＨＳ フィレ径Ｈの値が最小値
Ｋ 検査領域
Ｎ 原料海苔
Ｐ 画素
Ｐ１ 光学検出位置
Ｐ２ 光学検出位置
Ｔ 垂直接線（外辺接線）
Ｔ１ 垂直基準線（検査領域線）
Ｙ 水平接線（外辺接線）
Ｙ１ 水平基準線（検査領域線）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、矩形かつシート状の海苔の外観検査装置に係り、特に海苔周縁部分の欠けの検査に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の海苔の外観検査装置としては、例えば特許文献１に記載されたものがある。この海苔外観検査装置は、撮像手段によって、搬送される海苔を撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の角部に欠けがあるか否かを判別（以下、「欠け判別」という。）する。この欠け判別方法は、前記海苔画像に基づいて、海苔の各角部の面積を演算して求め、この各角部面積を、欠け判別設定値（しきい値）と対比し、角部面積が前記しきい値を超えた場合には「海苔に欠けあり」と判別するものである。また、この欠け判別方法は、ベルトコンベアでの搬送途中に海苔の姿勢が左右方向に傾いて、前記撮像手段に傾斜姿勢の海苔が搬送された場合でも、この傾斜を考慮して欠けの有無が判別されるようになっている。
【０００３】
【特許文献１】実公平６−４３７３０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記外観検査装置は、前記欠け判別方法の判別処理が複雑であるという問題点があった。すなわち、前記欠け判別方法は、搬送される海苔の一枚ごとに、海苔画像から該海苔姿勢の傾斜角度を演算して求めて該演算値に基づいて前記欠け判別設定値を補正する方法であるので、判別処理が複雑であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、海苔が傾斜姿勢で撮像手段に搬送された場合であってもシンプルな判別処理によって欠けの有無検査が行える海苔の外観検査方法及びその装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するため、
海苔の外観検査方法は、搬送された海苔を例えばＣＣＤラインセンサによって撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する。
海苔の欠け判別は、前記各海苔画像が搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行い、この後、海苔画像の四辺の外辺接線、すなわち水平接線及び垂直接線を求め、この水平接線及び垂直接線のそれぞれから海苔画像の任意画素内側に検査領域線（水平基準線及び垂直基準線）を引き、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別して行う。
前記画像回転処理は、海苔画像の重心位置を求めるとともに、海苔画像の幅方向又は長さ方向のフィレ径の値を求めて、フィレ径の値が最小値になるまで海苔画像を前記重心位置を中心に回転処理する。
【発明の効果】
【０００６】
本発明の海苔の外観検査方法によれば、各海苔画像を搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して同方向になるように画像回転処理を行った後に、該海苔画像について、四辺の外辺接線となる水平接線及び垂直接線から任意画素内側に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別するようにしたので、海苔の欠け判別は、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けずに海苔の全周縁部分に亘って欠け判別が的確に行え、また、前記検査領域線は、撮像画素Ｐの配列方向に沿った単純な垂直基準線及び水平基準線によって構成することができる。このため、シンプルな判別処理によってよって広い検出範囲の海苔の欠け判別が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明の海苔の外観検査装置１は、図１の縦側断面図に示すように、機壁１ａの一方側に原料海苔Ｎの原料供給部１ｂを配設するとともに他方側に良品海苔の良品排出部１ｃを配設し、前記原料供給部１ｂと良品排出部１ｃとの間には、前記搬送手段２を介して撮像手段３及び選別手段１４を順次配設して構成する。また、前記撮像手段３で取得した海苔画像に基づいて海苔周縁部分の欠けの有無を検査する欠け判別手段（形状判別手段）２４も備える。以下順に、各詳細の構成を説明する。
【０００８】
前記搬送手段２：
前記搬送手段２は、水平状態に配設したベルトコンベア２ａ，２ｂ，２ｃによって構成される。前記ベルトコンベア２ａは、その搬送始端側を前記原料供給部１ｂに臨ませる一方、搬送終端側を前記撮像手段３に連絡接続して配置するとともに、搬送終端部には、搬送ベルトと接する従動ロール２ｄを配設し、原料海苔Ｎを搬送ベルトとの間に挟んで搬送するようにしてある。前記ベルトコンベア２ｂは、前記撮像手段３と選別手段１４との間に配設するとともに、搬送始端部と搬送終端部とには、搬送ベルトと接する従動ロール２ｄ，２ｄを配設する。さらに、前記ベルトコンベア２ｃは、前記選別手段１４の搬送終端側と前記良品排出部１ｃとの間に配設する。
【０００９】
撮像手段３：
前記撮像手段３は、海苔の搬送方向に沿った位置に、海苔を上面側と下面側からそれ撮像する上面撮像手段４及び下面撮像手段９を順次配設する（図２参照）。
【００１０】
上面撮像手段４は、上面ＣＣＤカメラ５と照射部６、さらに、海苔の搬送方向に沿って順次配設した、送りロール部７及び滑走板８から構成される。送りロール部７は、上下に配設して互いに当接させた一対の従動ロール５ａと駆動搬送ロール５ｂとから構成する。滑走板８には上面撮像開口部８ａが設けてあり、上面撮像開口部８ａには上面撮像用の光学検出位置Ｐ１が設定してある。前記上面ＣＣＤカメラ５は、光学検出位置Ｐ１から搬送方向の手前側の斜め上方位置に配設し、光学検出位置Ｐ１を斜め上方側から撮像するように配設してある。前記照射部６は上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂから構成し、光学検出位置Ｐ１に撮像用の光を照射するように構成してある。上側照射部６ａは赤、緑、青の各色の光を照射するＬＥＤ（発光ダイオード）を構成する。下側照射部６ｂは赤色の光を照射するＬＥＤと近赤外光を照射するＬＥＤを構成する。前記上面ＣＣＤカメラ５はモノクロのＣＣＤラインセンサを内蔵して構成し、前記光学検出位置Ｐ１の搬送方向と直行する方向に走査を繰り返すようになっている。そして、上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂの各ＬＥＤは順次、図示しない照射切換部の指示によって、ＣＣＤラインセンサが１走査するごとに赤、緑、青、赤、近赤外の光の点灯が切換えられるようになっている。
【００１１】
一方、下面撮像手段９は、前記上面ＣＣＤカメラ４と同様に、下面ＣＣＤカメラ１０と照射部１１、さらに、海苔の搬送方向に沿って順次配設した、送りロール部１２及び滑走板１３から構成される。送りロール部１２は、上下に配設して互いに当接させた一対の従動ロール１２ａと駆動搬送ロール１２ｂとから構成する。滑走板１３には下面撮像開口部１３ａが設けてあり、下面撮像開口部１３ａには下面撮像用の光学検出位置Ｐ２が設定してある。前記下面ＣＣＤカメラ１０は、光学検出位置Ｐ２から搬送方向の手前側の斜め下方位置に配設し、光学検出位置Ｐ２を斜め下方側から撮像するように配設してある。前記照射部１１は上側照射部１１ａ及び下側照射部１１ｂから構成し、光学検出位置Ｐ２に撮像用の光を照射するように構成してある。上側照射部１１ａは赤色の光を照射するＬＥＤと近赤外光を照射するＬＥＤを構成する。一方、下側照射部６ｂは赤、緑、青の各色の光を照射するＬＥＤ（発光ダイオード）を構成する。前記下面ＣＣＤカメラ１０も、前記上面ＣＣＤカメラ５と同じく、モノクロのＣＣＤラインセンサを内蔵して構成し、前記光学検出位置Ｐ２の搬送方向と直行する方向に走査を繰り返すようになっている。そして、上側照射部１１ａ及び下側照射部１１ｂの各ＬＥＤは順次、図示しない照射切換部の指示によって、ＣＣＤラインセンサが１走査するごとに赤、緑、青、赤、近赤外の光の点灯が切換えられるようになっている。
【００１２】
選別手段１４：
前記選別手段１４は、後述する欠け判別手段によって判別された不良品を不良品の種類に分けて選別する構成になっており、良品は、本選別手段１４によって選別されることなく、後工程の前記ベルトコンベア２ｃに送られて良品排出部１ｃから排出されるようになっている。前記選別手段１４は、不良品を３種類に選別できるようになっており、第１不良品選別箱１５、第２不良品選別箱１６及び第３不良品選別箱１７を有する。第１不良品選別箱１５は前記ベルトコンベア２ｂの搬送終端部の下方に配設し、該搬送終端部の近傍に配設した切換シャッター板１８による海苔の搬送路の切換作用によって第１不良品を選別するようになっている。前記切換シャッター板１８の切換えは、通過する海苔が第１不良品のときに、後述する欠け判別手段から信号を受けてシャッター切換部（図示せず）の信号によって作動し、通過する海苔が良品、第２不良品及び第３不良品のときには作動しない。前記切換シャッター板１８は、前記シャッター切換部からの信号によって、水平状態から傾斜状態に回動して第１不良品を第１不良品選別箱１５に誘導選別できるようになっている。
【００１３】
前記切換シャッター板１８の搬送方向の後方には、前記送りロール部７,１２と同様の送りロール部１９と切換シャッター板２０とが順次配設してある。該切換シャッター板２０は、通過する海苔が第２不良品のときに、前記シャッター切換部からの信号によって水平状態から傾斜状態に回動し、第２不良品を第２不良品選別箱１７に搬送する搬送部１７ａ側に搬送路を切り換える。
【００１４】
前記切換シャッター板２０の搬送方向の後方には、前記送りロール部１９と同様の送りロール部２１と切換シャッター板２２とが順次配設してある。該切換シャッター板２２は、通過する海苔が第３不良品のときに、前記シャッター切換部からの信号によって水平状態から傾斜状態に回動し、第３不良品を第３不良品選別箱１６に誘導選別できるように搬送路を切り換えるようになっている。なお、前記切換シャッター板２０は良品が通過するときは水平状態が維持されて、良品はベルトコンベア２ｃを介して良品排出部１ｃから機外に排出されるようになっている。
【００１５】
外観判別手段２３：
次に、前記外観判別手段２３について説明する（図３参照）。前記外観判別手段２３は、形状判別手段（欠け判別手段）２４と異物判別手段３３とから構成される。
【００１６】
形状判別手段（欠け判別手段）２４は、例えば、中央演算手段（ＣＰＵ）２５を中心に、該ＣＰＵ２５と連携してそれぞれの処理を行う、海苔画像の重心を求める重心演算回路２６、海苔画像の回転処理を行う回転処理回路２７ａ、海苔画像のフィレ径（図５に示したＨ）を演算するフィレ径演算回路２８及び海苔画像の周縁部分における欠けや海苔画像の内部分における透けの有無を判別する形状判別回路２９（判別部）を備える。このほか、前記上面撮像手段４及び下面撮像手段９が撮像した海苔画像を記憶する書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）３０及び前記回転処理回路２７ａによって回転処理した海苔画像を記憶する書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）３１を構成する。なお、前記形状判別回路２９は、欠けが検出された場合に前記選別手段１４に信号を送って任意の切換シャッターを駆動させるようにしあるほか、海苔の欠け判別結果を表示手段３２に送って表示させるようにしてある。また、本発明において、画像回転部２７は、前記重心演算回路２６、回転処理回路２７ａ、フィレ径演算回路２８及びＲＡＭ３０によって構成する。
【００１７】
なお、回転処理回路２７ａには、後述する海苔画像Ｇの四辺の各外辺接線（垂直接線Ｔ，Ｔ及び水平接線Ｙ，Ｙ）から任意画素数だけ海苔画像Ｇの内側位置に検査領域線（垂直基準線Ｔ１，Ｔ１及び水平基準線Ｙ１，Ｙ１）を設定する際に必要な前記任意画素数を回転処理回路２７ａに対して入力設定する画素数設定部（図示せず）を設けるとよい。
【００１８】
異物判別手段３３は、例えば、中央演算手段（ＣＰＵ）２５を中心に、該ＣＰＵ２５と連携して海苔画像に異物があるかどうかを判別する異物判別回路３４を構成する。該異物判別回路３４は、異物が検出された場合に前記選別手段１４に信号を送って任意の切換シャッターを駆動させるようにしあるほか、海苔の欠け判別結果を表示手段３２に送って表示させるようにしてある。
【００１９】
上記海苔の外観検査装置１の作用を説明する。
【００２０】
まず、前記海苔の外観検査装置１に電源を入れて前記搬送手段２、撮像手段３及び選別手段１４のそれぞれを運転状態にする。次いで、任意の供給装置（図示せず）を使って海苔原料Ｎを前記原料供給部１６に順次供給する。該原料供給部１６に供給された各原料海苔Ｎは、ベルトコンベア２ａによって撮像手段３に搬送されて撮像される。
【００２１】
海苔画像の取得（STEP1）：
前記撮像手段３は、原料海苔Ｎを順次搬送しながら前記上面撮像手段４及び下面撮像手段９において撮像を行う。前記上面撮像手段４においては、原料海苔Ｎを、前記送りロール部７のロール間に挟みながら前記滑走板８上の光学検出位置Ｐ１に順次搬送し、該光学検出位置Ｐ１を通過する原料海苔Ｎを上面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）５によって撮像（走査）する。この時、光学検出位置Ｐ１の原料海苔Ｎには上側照射部６ａ及び下側照射部６ｂの各ＬＥＤの赤、緑、青、赤、近赤外の光が順次点灯照射されており、上面ＣＣＤカメラ５は、この点灯切換（照射光の切換）に合わせて１走査（撮像）し、原料海苔Ｎの全体を撮像する。前記上面ＣＣＤカメラ５は海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像を取得するとともに赤、近赤外の透過光・海苔画像を取得し、これらの海苔画像を前記ＲＡＭ３０に記憶する。
【００２２】
続いて上面撮像手段４を通過した原料海苔Ｎは下面撮像手段９に送られて、前記上面撮像手段４と同様に、前記送りロール部１２のロール間に挟みながら前記滑走板１３上の光学検出位置Ｐ２に順次搬送し、該光学検出位置Ｐ２を通過する原料海苔Ｎを下面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）１０によって撮像（走査）する。この時、光学検出位置Ｐ２の原料海苔Ｎには上側照射部１１ａ及び下側照射部１２ｂの各ＬＥＤの赤、緑、青、赤、近赤外の光が順次点灯照射されており、下面ＣＣＤカメラ１０は、この点灯切換（照射光の切換）に合わせて１走査（撮像）し、原料海苔Ｎの全体を撮像する。前記下面ＣＣＤカメラ１０は海苔下面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像を取得するとともに赤、近赤外の透過光・海苔画像を取得し、これらの海苔画像を前記ＲＡＭ３０に記憶する。
【００２３】
以下、本発明の特徴点である形状判別手段（欠け判別手段）２４の作用説明を行う。
【００２４】
重心演算処理（STEP2）：
前記重心演算回路２６は、上面撮像手段４（上面ＣＣＤカメラ５）及び下面撮像手段９（下面ＣＣＤカメラ１０）で撮像した複数色の海苔撮像の中から任意の一色の海苔画像Ｇ（図５の（1））、すなわち、例えば、上面ＣＣＤカメラ５によって撮像した赤色の透過検出光による海苔画像を使って該海苔画像Ｇの重心位置を演算する（図５の（2）参照）。
【００２５】
フィレ径演算処理（STEP3）：
次に、フィレ径演算回路２８は、前記ＲＡＭ３０に記憶された、図５の（1）に示した海苔画像Ｇを基にして、該海苔画像Ｇのフィレ径Ｈ（海苔画像Ｇの左右の各端部と接した一対の垂直線の間隔）を演算する（図５の（２）参照）。なお、前記垂直線は海苔の搬送方向、すなわち、ＣＣＤラインセンサにおける一つの受光素子が撮像した画素Ｐの列を表わしている。なお、このフィレ径については、上記では海苔画像Ｇの左右の垂直線としたが、これ以外に、海苔画像Ｇの上下の水平線としてもよい。
【００２６】
画像回転処理（STEP4）
次に、前記画像回転部２７は、前記回転処理回路２７ａにより、前記ＲＡＭ３０に記憶された、図５の（1）に示した海苔の搬送方向（撮像画素Ｐの配列方向）に対して傾いた海苔画像Ｇを順次読み出し、該海苔画像Ｇを、前記重心を中心に前記フィレ径Ｈの値が最小値（ＨＳ）になるまで画像回転処理して海苔の搬送方向と同方向（撮像画素Ｐの配列方向と同じ向きの状態）にする（図５の（3）,（4））。なお、回転処理回路２７ａは、海苔画像Ｇが搬送方向に対して傾いているか否かに関わらず、全ての海苔画像Ｇに対して実行し、全ての海苔画像Ｇを前述のように同方向にし、その海苔画像Ｇを前記ＲＡＭ３１に記憶する。
【００２７】
形状判別処理（STEP5）
次に、前記形状判別回路２９（判別部）は、ＲＡＭ３１に記憶された海苔画像Ｇを順次読み出して、海苔に欠けた部分があるか否かを判別する。欠けの有無の判別は、図５の（4）に示したように、まず、海苔画像Ｇの左右の各端部と接する左右の垂直接線Ｔ，Ｔ（外辺接線）と、海苔画像Ｇの上下の各端部と接する水平接線Ｙ，Ｙ（外辺接線）とを求める。前記垂直接線Ｔ，Ｔ及び水平接線Ｙ，Ｙは共に撮像画素Ｐの配列方向と一致する直線となるので、接線を求める演算は簡単である。次に、海苔周縁部分の凹凸形状を検査対象領域から除外するために、前記左右の各垂直接線Ｔ，Ｔから海苔画像Ｇにおける内側に、任意数の画素Ｐだけ移動した位置に、当該垂直接線Ｔ，Ｔと並行な各垂直基準線Ｔ１，Ｔ１（検査領域線）を設定する。また、前記上下の各水平接線Ｙ，Ｙから海苔画像Ｇにおける内側に任意数の画素Ｐだけ移動した位置には、当該水平接線Ｙ，Ｙと並行な各水平基準線Ｙ１，Ｙ１（検査領域線）を設定する。前記垂直基準線T１，T１及び水平基準線Ｙ１，Ｙ１も、撮像画素Ｐの配列方向と一致する直線となるので、各基準線を求める演算は簡単である。前述の任意数の画素Ｐについては、本実施の形態においては左右及び上下共に３画素としたが、これに限られるものではない。次に、前記各垂直基準線Ｔ１，Ｔ１と各水平基準線Ｙ１，Ｙ１とによって囲まれた四角形の範囲を検査領域Ｋとし、該検査領域Ｋ内、特に海苔周縁部分に欠けた部分があるか否かを検査し、欠けの有無を判別する（図５の（５））。これにより、欠け判別の際に、海苔周縁部分の凹凸形状の影響を受けない。前記形状判別回路２９は、海苔画像Ｇに欠けが検出されると不良品１と判別し、前記選別手段１４に不良品信号１を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号１を送る。
【００２８】
なお、前記形状判別回路２９は、上記で述べた海苔周縁部分における欠けの有無の検出だけでなく、検査領域Ｋに穴や破れも検出し、これらを検出した場合には前記と同様に不良品信号１を前記選別手段１４と表示手段３２とに送る。
【００２９】
選別部に指示（STEP6）
次に、選別手段１４は、前記形状判別回路２９から不良品信号１を受けると、前記切換シャッター板１８を回動して、ベルトコンベア２ｂの搬送終端部から排出された不良品１（欠けが検出された海苔）を第１不良品選別箱１５に誘導して選別する。
【００３０】
表示部に指示（STEP7）
次に、前記表示手段３２は形状判別回路２９から受けた不良品信号１を適宜表示する。
【００３１】
次に、前記異物判別手段２５の作用について説明する。前記異物判別手段２５は、前記ＳＴＥＰ１（海苔画像の取得）によって撮像した画像、すなわち、前記上面ＣＣＤカメラ５による海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像と、前記下面ＣＣＤカメラ１０による海苔下面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像とに基づいて、これらの海苔画像を予め設定した異物判別用しきい値と対比して、ペンキの付着や貝殻等の混入等を検出する。ペンキの付着や貝殻等の混入等が検出されると、当該海苔は不良品２と判別し、前記選別手段１４に不良品信号２を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号２を送る。次に、選別手段１４は、前記形状判別回路２９から不良品信号２を受けると、前記切換シャッター板２０を回動して、前記送りロール部１９から排出された不良品２（異物が検出された海苔）を第２不良品選別箱１７に搬送するための搬送部１７ａに誘導して選別する。
【００３２】
なお、前記外観判別手段２３には、前述した形状判別手段（欠け判別手段）２４及び異物判別手段２５以外に、撮像手段３に重なって搬送された原料海苔Ｎを検出する重なり判別手段を設けてもよい。該重なり判別手段は、前記ＳＴＥＰ１（海苔画像の取得）によって撮像した画像、すなわち、前記上面ＣＣＤカメラ５による海苔上面側の、赤、緑、青の反射光・海苔画像及び赤、近赤外の透過光・海苔画像のうち、いずれかの海苔画像Ｇに基づき、海苔の搬送方向の長さを検出し、所定のしきい値（海苔１枚分の平均的長さ、例えば２１０ミリメートル）と対比して、海苔画像Ｇの長さが前記しきい値よりも長い場合には、「複数の海苔が重なったもの」（不良品３）と判別して、重なり判別手段は、前記選別手段１４に不良品信号３を送るとともに、前記表示手段３２にも不良品信号３を送る。そして、選別手段１４は、前記重なり判別手段から不良品信号３を受けると、前記切換シャッター板２２を回動して、前記送りロール部２１から排出された前記不良品３を第３不良品選別箱１６に誘導して選別する。
【００３３】
また、前記外観判別手段２３（形状判別手段（欠け判別手段）２４、異物判別手段２５及び重なり判別手段）において前記不良品１，２，３のいずれにも判別さなかった原料海苔Ｎは、良品として、前記ベルトコンベア２ｃを介して良品排出部１ｃから排出される。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明の海苔の外観検査装置における縦側断面図を示す。
【図２】同外観検査装置における撮像手段の拡大縦側断面図を示す。
【図３】同外観検査装置における外観判別手段のブロック図を示す。
【図４】同外観検査装置における形状判別手段（欠け判別手段）の処理フローを示す。
【図５】図４の処理フローに対応した処理画像の概念図を示す。
【符号の説明】
【００３５】
１ 海苔の外観検査装置
１ａ 機壁
１ｂ 原料供給部
１ｃ 良品排出部
２ 搬送手段
２ａ ベルトコンベア
２ｂ ベルトコンベア
２ｃ ベルトコンベア
２ｄ 従動ロール
３ 撮像手段
４ 上面撮像手段
５ 上面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）
６ 照射部
６ａ 上側照射部
６ｂ 下側照射部
７ 送りロール部
７ａ 従動ロール
７ｂ 駆動搬送ロール
８ 滑走板
８ａ 上面撮像開口部
９ 下面撮像手段
１０ 下面ＣＣＤカメラ（ＣＣＤラインセンサ）
１１ 照射部
１１ａ 上側照射部
１１ｂ 下側照射部
１２ 送りロール部
１２ａ 従動ロール
１２ｂ 駆動搬送ロール
１３ 滑走板
１３ａ 下面撮像開口部
１４ 選別手段
１５ 第１不良品選別箱
１６ 第２不良品選別箱
１７ 第３不良品選別箱
１７ａ 搬送部
１８ 切換シャッター板
１９ 送りロール部
１９ａ 従動ロール
１９ｂ 駆動搬送ロール
２０ シャッター板
２１ 送りロール部
２２ 切換シャッター板
２３ 外観判別手段
２４ 形状判別手段（欠け判別手段）
２５ 中央演算手段（ＣＰＵ）
２６ 重心演算回路
２７ 画像回転部
２７ａ 回転処理回路
２８ フィレ径演算回路
２９ 形状判別回路（判別部）
３０ 書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）
３１ 書き込み・読み込み兼用記憶部（ＲＡＭ）
３２ 表示手段
３３ 異物判別手段
３４ 異物判別回路
Ｇ 海苔画像
Ｈ 海苔画像のフィレ径
ＨＳ フィレ径Ｈの値が最小値
Ｋ 検査領域
Ｎ 原料海苔
Ｐ 画素
Ｐ１ 光学検出位置
Ｐ２ 光学検出位置
Ｔ 垂直接線（外辺接線）
Ｔ１ 垂直基準線（検査領域線）
Ｙ 水平接線（外辺接線）
Ｙ１ 水平基準線（検査領域線）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
搬送された海苔を撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する海苔の外観検査方法において、
海苔の欠け判別は、前記海苔画像が搬送方向と同方向になるように画像回転処理を行い、該海苔画像に基づいて欠けがあるか否かを判別することを特徴とした海苔の外観検査方法。
【請求項２】
前記海苔の欠け判別は、前記画像回転処理を行った後に、該画像回転処理を行った海苔画像の四辺の外辺接線を求め、前記各外辺接線から任意画素数だけ海苔画像の内側位置に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別する請求項１に記載の海苔の外観検査方法。
【請求項３】
海苔を供給・搬送する搬送手段と、
該搬送手段によって搬送した海苔を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像した海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する欠け判別手段と、
を備えた海苔の外観検査装置において、
前記欠け判別手段は、前記各海苔画像が搬送方向と同方向になるように画像回転処理を行う画像回転部を備えたことを特徴とした海苔の外観検査装置。
【請求項４】
前記欠け判別手段は、前記画像回転部で処理した海苔画像の四辺の各外辺接線を求め、該各外辺接線から任意画素だけ海苔画像の内側位置に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別する判別部を備えてなる請求項３に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項５】
前記画像回転部は、海苔画像の重心位置を求める重心演算回路と、海苔画像の幅方向又は長さ方向のフィレ径を求めるフィレ径演算回路と、前記フィレ径の値が最小値になるまで海苔画像を前記重心位置を中心に回転処理する回転処理回路とを有してなる請求項３又は請求項４に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項６】
前記判別部は、前記任意画素の数を設定する画素数設定部を備えてなる請求項３乃至請求項５に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項７】
前記撮像手段は、前記搬送手段によって搬送される海苔の搬送方向と直交する方向を走査するように配設したＣＣＤラインセンサを有してなる請求項３乃至請求項６のいずれかに記載の海苔の外観検査装置。
【請求項１】
搬送された海苔を撮像して海苔画像を取得し、該海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する海苔の外観検査方法において、
海苔の欠け判別は、前記海苔画像が搬送方向と同方向になるように画像回転処理を行い、該海苔画像に基づいて欠けがあるか否かを判別することを特徴とした海苔の外観検査方法。
【請求項２】
前記海苔の欠け判別は、前記画像回転処理を行った後に、該画像回転処理を行った海苔画像の四辺の外辺接線を求め、前記各外辺接線から任意画素数だけ海苔画像の内側位置に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別する請求項１に記載の海苔の外観検査方法。
【請求項３】
海苔を供給・搬送する搬送手段と、
該搬送手段によって搬送した海苔を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像した海苔画像に基づいて海苔の欠けの有無を判別する欠け判別手段と、
を備えた海苔の外観検査装置において、
前記欠け判別手段は、前記各海苔画像が搬送方向と同方向になるように画像回転処理を行う画像回転部を備えたことを特徴とした海苔の外観検査装置。
【請求項４】
前記欠け判別手段は、前記画像回転部で処理した海苔画像の四辺の各外辺接線を求め、該各外辺接線から任意画素だけ海苔画像の内側位置に検査領域線を設定し、該検査領域線で囲まれた検査領域内に欠けがあるか否かを判別する判別部を備えてなる請求項３に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項５】
前記画像回転部は、海苔画像の重心位置を求める重心演算回路と、海苔画像の幅方向又は長さ方向のフィレ径を求めるフィレ径演算回路と、前記フィレ径の値が最小値になるまで海苔画像を前記重心位置を中心に回転処理する回転処理回路とを有してなる請求項３又は請求項４に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項６】
前記判別部は、前記任意画素の数を設定する画素数設定部を備えてなる請求項３乃至請求項５に記載の海苔の外観検査装置。
【請求項７】
前記撮像手段は、前記搬送手段によって搬送される海苔の搬送方向と直交する方向を走査するように配設したＣＣＤラインセンサを有してなる請求項３乃至請求項６のいずれかに記載の海苔の外観検査装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００９−２７６４（Ｐ２００９−２７６４Ａ）
【公開日】平成２１年１月８日（２００９．１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１６３３２７（Ｐ２００７−１６３３２７）
【出願日】平成１９年６月２１日（２００７．６．２１）
【出願人】（０００００１８１２）株式会社サタケ (223)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月８日（２００９．１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月２１日（２００７．６．２１）
【出願人】（０００００１８１２）株式会社サタケ (223)
【Ｆターム（参考）】
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