説明

磁性材料及びそれを用いた磁気抵抗素子

【課題】低い磁化および低いダンピング定数を合わせ持つ磁性材料を提供する。
【解決手段】Co-Fe-B合金に元素X(CrまたはV)を添加した(Co-Fe)aXbBc (CoとFeの組成比は任意でa=45-80%、b=5-25%、c=15-30%)の組成を持つ磁性材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気メモリ、磁気センサー等に使われる磁気抵抗素子に用いることが出来る磁性材料に関し、特に、低磁化・低ダンピング係数磁性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗素子の抵抗値を“0”あるいは“1”の情報に対応させて用いる磁気メモリにおける素子の高密度化の際に、書き込み電流が低減するという深刻な問題がある。外部磁界による磁化の反転を情報の書き込みに利用する場合に、素子が小さくなればなるほど反磁界の影響が大きくなるため、より大きな書き込み電流が必要となる。
【0003】
一方、1996年にSlonczewskiは、微小磁気抵抗素子において、磁化自由層に直接スピン偏極電流を与えることによって磁化反転が起こる可能性があることを示し(下記非特許文献1参照)、2000年には微小CPP-GMR素子において、この現象が実験的に確かめられ(下記非特許文献2参照)、それ以降、この現象は「スピン注入磁化反転」として広く知られるようになった。
【0004】
スピン注入磁化反転は、反磁界の影響が無く、磁気抵抗素子のサイズが小さくなればなるほど、反転電流(すなわち、データ書き込み電流)も小さくなるという特徴があるため、この現象を用いた高密度磁気メモリ(Spin-RAM)の研究開発が、現在世界中で精力的に進められている(下記特許文献1参照)。
【0005】
スピン注入磁化反転を磁気メモリの書き込み技術として応用する場合、主に組み合わせるパストランジスタの性能により書き込み電流値の上限が制限され、現状では書き込み電流を数十マイクロアンペア以下にする必要がある。この値を電流密度に換算すると10A/cmのオーダーとなる。
【0006】
それに対して、CPP-GMR素子で行われた実験(下記非特許文献2参照)での反転電流密度は4×10A/cmと極めて大きく、Spin-RAMを実用化する際には、反転電流密度のさらなる低減が必要になる。理論的な研究(下記非特許文献1参照)によると、反転電流密度Jcoは、磁化Msの2乗とダンピング定数αの積(α・Ms2)に比例することが示されている。
【0007】
これまでに、反転電流の低減を目的として、より低い磁化を持つ材料を磁化自由層に使う試みがなされている(下記非特許文献3、特許文献2参照)。この実験では、CPP-GMR素子において、磁化自由層の材料として、従来から用いられているCo-Feに対し、磁化の小さなCo-Fe-Bを用いることにより、反転電流を4×10A/cmと一桁減少させることに成功している。
【0008】
しかしながら、磁気メモリとして用いる場合、CPP-GMR素子は、磁気抵抗変化率が数%と小さいため、既存のシリコンデバイスによるアクセス回路(メモリ素子を選択し、データを読み出す回路)に組み込む際に、出力信号のマッチング回路が必要となるため、実用的ではない。
【0009】
磁気メモリの実用化のためには、既存のシリコンデバイスによるアクセス回路(メモリ素子を選択し、データを読み出すための回路)とのマッチングを向上させる必要がある。マッチングの向上については、磁気抵抗比(MR ratio)を向上させることが最も有効な手段である。
【0010】
2004年に、湯浅らによって、MBE法で作成した結晶性MgOをトンネルバリアとするFe/MgO/Fe 強磁性トンネル接合で、180%を越える高い磁気抵抗変化率が発現することが発見された(下記非特許文献4参照)。下記非特許文献4に記載の技術では、強磁性材料には体心立方格子bcc(001)単結晶Feが、トンネルバリアには体心立方格子bcc(001)単結晶MgOが用いられており、コヒーレントトンネリングによる巨大磁気抵抗効果が発現することが明らかにされた。
【0011】
その後、高い磁気抵抗比(MR ratio)を持つMgOバリアを用いた強磁性トンネル接合がスパッタ法で作製出来ることが明らかとなった(下記非特許文献5、特許文献3参照)。この技術では、単結晶Feの代わりにアモルファスCo-Fe-Bを強磁性材料に用いて、MgOバリアと組み合わせて強磁性トンネル接合を作製する。製膜後の熱処理によりCo-Fe-B,MgOが結晶化し、コヒーレントトンネリングによる高い磁気抵抗比が報告されている(以下、このような素子を「MgO-TMR素子」と称する)。
【0012】
既存のシリコンデバイスとのマッチングがよく、高密度化できる磁気メモリの開発において、MgO-TMR素子におけるスピン注入磁化反転の実現は不可欠である。これまでに、100%以上の高い磁気抵抗変化率を示すCo-Fe-B/MgO/Co-Fe-B強磁性トンネル接合において、スピン注入磁化反転が報告されている(下記非特許文献6参照)。磁気抵抗比が大きいため、十分大きな読み出し信号が確保できることが見込まれる。
【0013】
しかしながら、上記の材料系において得られた反転電流密度は、最も小さい場合で1×10A/cmであり、デバイス設計・製造という観点からは、未だ大きすぎるという問題がある。
【0014】
一方、磁性材料において磁化を下げる方法として、非磁性材料を混ぜるという方法は広く知られている。例えば、下記非特許文献7においては、Co-Fe-B系の材料にCrを混ぜることでその磁化が低減したという報告がなされている。
【0015】
【特許文献1】米国特許第5695864号明細書
【特許文献2】特開2005-93488号公報
【特許文献3】特開2006-80116号公報
【特許文献4】特開2005-150482号公報
【非特許文献1】Current-driven excitation of magnetic multilayers, J. C. lonczewski,Journal of Magnetism and Magnetic Materials 159, (1996) L1-L7.
【非特許文献2】Spin-polarized current switching of a Co thin film nanomagnet, F. J. Albert, J.A.Katine, R. A. Buhrman, D.C. Ralph, Applied Physics Letters 77,(2000) 3809-3811.
【非特許文献3】Low-current spin-transfer switching and its thermal durability in a low-saturation-magnetization nanomagnet, K. Yagami, A. A. Tulapurkar, A. Fukushima, Y. Suzuki, Applied Physics Letter 85, (2004) 5634.
【非特許文献4】Giant room-temperature magnetoresistance in single-crystal Fe/MgO/Fe magnetic tunnel junctions, S. Yuasa, T. Nagahama, A. Fukushima, Y. Suzuki, K. Ando, Nature Materials 3, (2004) 868-871.
【非特許文献5】230% room-temperature magnetoresistance in CoFeB/ MgO/ CoFeB magnetic tunnel junctions, David D. Djayaprawira, Koji Tsunekawa, Motonobu Nagai, Hiroki Maehara, Shinji Yamagata, Naoki Watanabe, Applied Physics Letters 86 (2005) 092602.
【非特許文献6】Evaluation of spin-transfer switching in CoFeB/MgO/CoFeB magnetic tunnel junctions, H.Kubota, A. Fukushima, Y. Ootani, S. Yuasa, K. Ando, H. Maehara, K. Tsunekawa, D. D. Djayaprawira, N. Watanabe, Y. Suzuki, Japanese Journal of Applied Physics Part 2-Letters & Express Letters 44 (2005) L1237-L1240.
【非特許文献7】Magnetic properties and corrosion resistance of (CoFeB)100-XCrX thin films, A. Brunch, Journal of Applied Physics 50,(1979) 7603.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、MgO-TMR素子において、その磁気抵抗比を下げることなく、磁化、あるいは、ダンピング定数を下げることは上記いずれの技術を用いても容易ではない。MgO-TMR素子における高い磁気抵抗比は、磁性層とバリア層の結晶構造を体心立方格子bccの(001)方向に揃えることで起こるコヒーレントトンネリングによるものである。すなわち、Co-Fe-Bの結晶構造を大きく変化させることなく、磁化とダンピング定数の両方を低減する手段が望まれていた。
【0017】
本発明の主たる目的は、MgO-TMR素子において、磁化自由層あるいは磁化固定層に用いる磁性材料として、高い磁気抵抗比を保ったまま、低い磁化および低いダンピング定数を持つ磁性材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく検討を重ねた結果、今回、Co-Fe-B合金に、もともとbcc(001)構造を持つ元素であるCrあるいはVを適切な量、添加して合金化すると、結晶構造を大きく変化させることなく、磁化とダンピング定数の両者を同時に低減することが可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0019】
かくして、本発明は、Co-Fe-B合金に元素X(XはCrまたはV)を添加した(Co-Fe)aXbBc (CoとFeの組成比は任意で、a=45〜80%, b=5〜25%, c=15〜30%の範囲で任意である)の組成を持つ磁性材料を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明による磁性材料を用いると、従来の磁性材料であるCo-Fe-B合金に比べ、ダンピング定数αおよび磁化Msを同時に減少させることが出来、α・Ms2の値においては最小1/10以下まで減少させることが可能である。
【0021】
また、本磁性材料を用いることで、スピン注入磁化反転を誘起する反転電流密度Jcoを、従来の磁性材料に比べ大きく低減させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態による低磁化・低ダンピング定数磁性材料について、図面を参照しながら説明を行う。
【実施例1】
【0023】
(磁化とダンピング定数のデータ)
超高真空スパッタ法により熱酸化膜付きシリコン基板上にTa/Co-Fe-B-X/Taを順次堆積させ、Ta 10 nm/Co-Fe-B-X 10 nm/Ta 5 nm薄膜を作製した。ここでは、XとしてCrおよびVを選び、それらの濃度を0から20%まで変化させ、薄膜作製後、真空中で熱処理を行った。熱処理温度はCrの場合400℃、Vの場合は350℃とした。
【0024】
【表1】

【0025】
図1は、(Co50Fe50)80-bXbB20(X=Cr, V)における磁化のCrおよびV濃度依存性を示す図であり、表1は各データの数値を示すものである。熱処理前(as deposited)および熱処理後(Tannはアニール温度)のいずれにおいても、CrおよびV濃度の増加とともに磁化が減少していることがわかる。尚、アニール温度は、270℃以上が好ましい。但し、層分離や層構造の破壊が生じる温度、例えば500℃以下であることが好ましい。
【0026】
【表2】

【0027】
図2は、(Co50Fe50)80-bXbB20(X=Cr, V)におけるダンピング定数αのCrおよびV濃度依存性を示す図であり、2は各データの数値を示すものである。白抜きのプロットで示される熱処理前(as deposited)においては、CrおよびV濃度の増加にともない、ダンピング定数αは若干増加していることがわかる。
【0028】
一方、黒塗りのプロットで示される熱処理後のダンピング定数は、CrおよびV濃度が大きくなるほど、ダンピング定数αが小さくなっている。これは、Co-Fe-B合金においては、熱処理を行うことで結晶化が起こり、ダンピング定数は大きくなるが、CrおよびVを添加すると、熱処理によるダンピング定数αの増加が見られなくなるためである。
【0029】
さらに、図3に示すように、磁化Msの2乗とダンピング定数αの積(α・Ms2)の値は、磁化Msの減少の影響が大きいため、CrおよびV濃度が増加するにつれて、急激に減少している。
【実施例2】
【0030】
(磁気抵抗素子の例)
本発明に係る磁性材料を用いたMgO-TMR素子が、大きな磁気抵抗を保っていることから、本発明に係る磁性材料が、素子全体の結晶構造をそれほど大きく乱していないことの傍証とすることが出来る。
【0031】
以下、本実施例によるCo-Fe-Cr-B磁性材料を磁化自由層に用いた磁気抵抗素子の特性について説明する。本実施例による磁気抵抗素子の膜構造は、超高真空スパッタ法を用いて、熱酸化膜付きシリコン基板上に作製した。本実施例による磁気抵抗素子の膜構成は、基板/下地層/Pt-Mn/Co-Fe/Ru/Co-Fe-B/MgO/(Co75Fe25)80-bXbB20/保護層である。Cr濃度は0から30%までの間で作成した。薄膜作製後、真空中で330℃の熱処理を行った。
【0032】
図4は、本実施例による磁気抵抗素子の一構成例を示す図である。図4に示すように、本実施例による磁気抵抗素子は、面内の電気抵抗を下げ、かつ、適した表面の平坦性を実現するための層である下地層3である熱酸化膜付きシリコン基板1と、厚さ15nmのPt−Mn層5と、厚さ2nmのCoFe層7と、厚さ0.85nmのRu層11と、厚さ3nmのCoFeB層15と、厚さ1nmのMgO層17と、厚さ2nmのCoFeX(Cr又はV)B層21と、保護層23と、が基板1側から順番に堆積されて、例えば島状に加工されている。保護層23と下地層3との間に電源25が設けられる。
【0033】
ここで、保護層23は、CoFeBXフリー層を酸化、加工プロセス中のダメージから保護するための層であり、CoFeXB層21は、スピン注入磁化反転により反転するフリー層であり、MgO層17は、トンネルバリア層であり、CoFe/Ru/CoFeB層7/11/15においては、積層フェリ構造の固定層、MgOに接するCoFeBが固定層であるが、その下のCoFe/Ru11/7は、層間相互作用により磁気的に結合し、CoFeB層15の磁化を安定化することができる。また、Pt-Mn層5は、積層フェリ構造の固定層の磁化の固着方向をきめるための反強磁性層である。
【0034】
【表3】

【0035】
図5は、作成した本実施例による磁気抵抗素子(図4)の膜構造における磁気抵抗変化率のCr濃度依存性を示す図であり、表3は各データの値を示すものである。Crを含まない場合には、磁気抵抗比は120%であり、Cr濃度が20%においても、磁気抵抗比として約50%と高い値が得られていることがわかる。
【実施例3】
【0036】
(反転電流の低減の例)
上記非特許文献1および上記特許文献4に示されているように、スピン注入磁化反転を誘起する反転電流密度(Jco)は、下記の2つの式で示すことができる。
【0037】
【数1】

【0038】
ここで、e、α、γ、Ms、dFree、Hext、Hk、μB、θ、g(θ)、は、それぞれ、電子の素電荷、ダンピング定数、磁気ジャイロ定数、磁化自由層の磁化、磁化自由層の厚さ、外部磁界、異方性磁界、ボーア磁子、フリー層と固定層の磁化のなす角度、およびその角度に依存するスピントランスファー効率である。2πMsは反磁界の半分を意味する。JC0はフリー層磁化が固定層の磁化に対して平行から反平行に反転する場合の反転電流密度を意味する。JC0-はその逆の場合の反転電流密度を意味する。上記の式に示されるように2πMsに比べ、Hext、Hkが小さい場合、いずれの反転電流密度も、α・Ms2にほぼ比例する。
【0039】
図3に示した熱処理後の(Co50Fe50)80-bCrbB20をフリー層に用いると、例えばb=20%の場合のα・Ms2は、b=0%の場合のα・Ms2の1/3にまで減少しているため、他の条件が一定とするならば、JCOも1/3にまで減少する。また、同様に、熱処理後の(Co50Fe50)80-bVbB20をフリー層に用いた場合、例えばb=20%の場合のJcoは、b=0%の場合のJcoに比べて1/10以下に減少する。
【0040】
以上に説明したように、本実施の形態による磁性材料を用いることにより、従来材料であるCo-Fe-B合金を用いた場合に比べて、ダンピング定数αおよび磁化Msを同時に減少させることが出来るため、α・Ms2の値においては最小1/10以下まで減少させることが可能である。
【0041】
この磁性材料を用いることにより、スピン注入磁化反転を誘起する反転電流密度を、従来の磁性材料を用いた場合に比べて大きく低減させることが可能である。
【0042】
また、本実施の形態によれば、低磁化と低ダンピング定数とを併せ持つ磁性材料を提供することが可能である。また、この材料を用いることにより、MgO-TMR素子において、これまでより低い電流密度でスピン注入磁化反転を実現することが可能となる。従って、スピン注入磁化反転を動作原理とする不揮発性素子を利用してコンピュータなどの情報処理装置を実現可能である。従って、これら情報処理装置などの電子機器における省エネルギーが可能である。
【0043】
尚、上記実施例では、CoFeBへの添加材料として体心立方格子(bcc)構造を有するCr又はVを用いる場合を例にして説明したが、VとCrとの両方を添加剤として用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の磁性材料は、磁気抵抗素子として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施の形態による(Co50Fe50)80-bXbB20における磁化MsのCrおよびV濃度依存性を示す図である。
【図2】本実施の形態による(Co50Fe50)80-bXbB20におけるダンピング定数αのCrおよびV濃度依存性を示す図である。
【図3】本実施の形態による(Co50Fe50)80-bXbB20におけるダンピング定数αと磁化Msの2乗の積(α・Ms2)のCrおよびV濃度依存性を示す図である。
【図4】本実施の形態による基板/下地層/Pt-Mn/Co-Fe/Ru/Co-Fe-B/MgO/(Co75Fe25)80-bXbB20/保護層の構造の一例を示す図である。
【図5】本実施の形態による基板/下地層/Pt-Mn/Co-Fe/Ru/Co-Fe-B/MgO/(Co75Fe25)80-bXbB20/保護層の構造を有する磁気抵抗素子の磁気抵抗変化率および規格化抵抗のCr濃度依存性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Co-Fe-B合金に元素X(Xは、CrまたはV)を添加した(Co-Fe)aXbBc (CoとFeの組成比は任意で、a=45〜80%、b=5〜25%、c=15〜30%)の組成を持つことを特徴とする磁性材料。
【請求項2】
強磁性金属磁化固定層と中間層と強磁性金属磁化自由層との積層構造からなり、磁化固定層と磁化自由層との磁化の相対角度により抵抗を変化させる磁気抵抗素子において、
請求項1に記載の磁性材料を前記磁化自由層又は前記磁化固定層の少なくともいずれか一方に用いたことを特徴とする磁気抵抗素子。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気抵抗素子において、前記中間層として酸化マグネシウムを用い、前記磁化自由層又は前記磁化固定層の少なくともいずれか一方を構成する磁性材料として請求項1に記載の磁性材料を用いることを特徴とする磁気抵抗素子。
【請求項4】
前記磁気抵抗素子を構成する薄膜をスパッタリング法により作成し、かつ、前記薄膜の製膜後に、270℃以上の温度でアニール処理を行うことによって、前記中間層と前記磁化自由層又は前記磁化固定層のうち少なくともいずれか一方を結晶化させ、かつ、その結晶方向を体心立方格子(bcc)の(001)面に配向させることを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗素子。
【請求項5】
磁化反転の手段として、電流による磁化反転(スピン注入磁化反転)を用いることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗素子。
【請求項6】
請求項2から4までのいずれか1項に記載の磁気抵抗素子を用いることを特徴とする磁気メモリ装置又は磁気センサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−65040(P2009−65040A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232843(P2007−232843)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「スピントロニクス不揮発性機能技術プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】