説明

窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法

【課題】任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1層と、機能層と、を備えた窒化物半導体素子が提供される。前記第1層は、非晶質層の上に形成され、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する。前記機能層は、前記第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウムなどの窒化物半導体を用いた各種の窒化物半導体素子が開発されている。例えば、紫外、青色または緑色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、及び、青紫色または青色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などの半導体発光素子が挙げられる。
【0003】
窒化物半導体素子のGaN層は、通常、サファイア基板などに上に形成される。しかしながら、低価格化と大口径化のために、サファイア以外の基板上にGaN層を成長させる技術の確立が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3960815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、第1層と、機能層と、を備えた窒化物半導体素子が提供される。前記第1層は、非晶質層の上に形成され、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する。前記機能層は、前記第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の一部を示す模式的断面図である。
【図4】実験で作製したAlN層の特性を示すRHEED像である。
【図5】実験で作製したAlN層の特性を示すグラフ図である。
【図6】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子を示す模式的断面図である。
【図10】実験で作製したAl膜の特性を例示するXRD解析結果を示すグラフ図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、第2の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハを示す模式的断面図である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を示すフローチャート図である。
【図13】第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法における特性を例示するグラフ図である。
【図14】第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法における特性を例示するグラフ図である。
【図15】図15(a)〜図15(d)は、窒化物半導体素子の特性を例示する模式的断面図である。
【図16】第4の実施形態に係る窒化物半導体素子の特性を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態は、窒化物半導体素子に係る。実施形態に係る窒化物半導体素子は、半導体発光素子、半導体受光素子、及び、電子デバイスなどの半導体装置を含む。半導体発光素子は、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(LD)などを含む。半導体受光素子は、フォトダイオード(PD)などを含む。電子デバイスは、例えば、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、電界トランジスタ(FET)及びショットキーバリアダイオード(SBD)などを含む。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体素子110は、下地層60(第1層)と、機能層10sと、を備える。下地層60は、非晶質層50の上に形成されている。下地層60は、窒化アルミニウム(AlN)を含む。非晶質層50は、例えば、基板40の上に設けられている。機能層10sは、窒化物半導体を含む。
【0011】
下地層60から機能層10sに向かう方向をZ軸方向とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。Z軸とX軸とに対して垂直な方向をY軸とする。
【0012】
以下、窒化物半導体素子110が、発光素子である場合について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、本実施形態に係る1つの例である窒化物半導体素子111において、機能層10sは、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、を含む。第1半導体層10は、下地層60の上に形成される。第1半導体層10は、窒化物半導体を含み、第1導電形である。発光部30は、第1半導体層10の上に設けられる。第2半導体層20は、発光部30の上に設けられる。第2半導体層20は、窒化物半導体を含み、第2導電形である。第2導電形は、第1導電形と異なる。
【0013】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。また、第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形である場合として説明する。
【0014】
窒化物半導体素子111は、第1電極70と、第2電極80と、をさらに備えることができる。第1電極70は、第1半導体層10に電気的に接続されている。第2電極80は、第2半導体層20に電気的に接続される。
【0015】
この例では、機能層10sの、第2半導体層20の側の主面において、第1半導体層10の一部、及び、第2半導体層20と、が露出している。第1電極70及び第2電極80は、この主面の側において、第1半導体層10及び第2半導体層20のそれぞれに接続される。
【0016】
第1電極70と第2電極80との間に電圧を印加することで、第1半導体層10及び第2半導体層20を介して発光部30に電流が供給され、発光部30から光が放出される。
【0017】
図3は、第1の実施形態に係る窒化物半導体素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図3に表したように、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。例えば、複数の障壁層31と、複数の井戸層32と、がZ軸に沿って交互に積層される。
【0018】
本願明細書において、「積層」とは、互いに接して重ねられる場合の他に、間に他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。また、「上に設けられる」とは、直接接して設けられる場合の他に、間に他の層が挿入されて設けられる場合も含む。
【0019】
井戸層32は、例えば、Inx1Ga1−x1N(0<x1<1)を含む。障壁層31は、例えば、GaNを含む。すなわち、例えば、井戸層32はInを含み、障壁層31はInを実質的に含まない。障壁層31におけるバンドギャップエネルギーは、井戸層32におけるバンドギャップエネルギーよりも大きい。
【0020】
発光部30は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、2つの障壁層31と、その障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む。または、発光部30は、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構成を有することができる。このとき、発光部30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む。
【0021】
すなわち、発光部30は、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、2以上の整数)。第(i+1)障壁層BL(i+1)は、第i障壁層BLiと第2半導体層20との間に配置される(iは、1以上(n−1)以下の整数)。第(i+1)井戸層WL(i+1)は、第i井戸層WLiと第2半導体層20との間に配置される。第1障壁層BL1は、第1半導体層10と第1井戸層WL1との間に設けられる。第n井戸層WLnは、第n障壁層BLnと第(n+1)障壁層BL(n+1)との間に設けられる。第(n+1)障壁層BL(n+1)は、第n井戸層WLnと第2半導体層20との間に設けられる。
【0022】
発光部30から放出される光(発光光)のピーク波長は、例えば400ナノメートル(nm)以上650nm以下である。ただし、実施形態において、ピーク波長は任意である。
【0023】
第1半導体層10には、例えば、n型不純物を含むGaN層が用いられる。n型不純物には、Si、Ge、Te及びSnの少なくともいずれかを用いることができる。第1半導体層10は、例えば、n側コンタクト層を含む。
【0024】
第2半導体層20には、例えば、p型不純物を含むGaN層が用いられる。p型不純物には、Mg、Zn及びCの少なくともいずれかを用いることができる。第2半導体層20は、例えば、p側コンタクト層を含む。
【0025】
図1及び図2に例示したように、本実施形態に係る窒化物半導体素子110及び111は、さらに、基板40を備えることができる。基板40は、必要に応じて設けられ、省略しても良い。
【0026】
基板40には、例えばSiが用いられる。実施形態はこれに限らず、例えば、基板40には、Si、SiO、石英、サファイア、GaN、SiC及びGaAsのいずれかが用いられる。このとき、基板40の面方位は任意である。以下では、基板40としてSi基板を用いる例について説明する。
【0027】
基板40の上に、非晶質層50が形成される。非晶質層50の上に、AlNの下地層60が形成される。このとき、下地層60は、Z軸方向(下地層60の層面に対して垂直な方向)に沿って実質的に配向していることが好ましい。
【0028】
下地層60の上に第1半導体層10が形成される。第1半導体層10の上に発光部30が形成される。発光部30の上に第2半導体層20が形成される。例えば、機能層10s(第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20)の形成後に、基板40を除去しても良い。
【0029】
非晶質層50には、例えばSiOが用いられる。実施形態はこれに限らず、非晶質層50には、例えばSiO及びアモルファスSiのいずれかなどが用いられる。また、非晶質層50には、非晶質金属膜(TaAlなど)を用いても良い。なお、非晶質層50として、SiOまたはアモルファスSiが用いることで、非晶質層50の耐熱性が高くなる。これにより、この上に形成する機能層10sの形成時のプロセス耐性が向上し、より好ましい。
【0030】
このように、実施形態に係る窒化物半導体素子110及び111においては、非晶質層50の上にAlN層(下地層60)が設けられる。これにより、機能層10s(例えばGaN層)とは結晶性が異なる基板40上に、高い結晶品質を有する機能層10sを形成することができる。
【0031】
以下、本実施形態に係る構成を構築する基となった実験結果について説明する。
発明者は、Si(100)基板上に種々の非晶質層を形成し、その非晶質層上にAlN層を形成した。非晶質層としては、TaAl、SiO膜またはa−Si膜を形成した。
【0032】
図4は、実験で作製したAlN層の特性を例示するRHEED像である。
同図は、非晶質層としてTaAl膜を形成し、その上にAlN層を形成した試料のRHEED像を示す。
図4に表したように、RHEED像において、スポット状(ドット状)の輝点が観察される。このことは、AlN層の面方位が揃っていることを示す。
【0033】
図5は、実験で作製したAlN層の特性を例示するグラフ図である。
同図は、非晶質層としてSiO膜またはa−Si膜を形成し、それぞれの上にAlN層を形成した試料のXRD半値幅の測定結果を示す。横軸は、AlN層の厚さであり、縦軸はXRD半値幅である。
図5に表したように、SiO膜及びa−Si膜のいずれの場合にも、AlN層において高い配向性が得られる。
【0034】
以上のように、非晶質層50の上にAlN層(下地層60)を形成することで、AlN層とは結晶性の異なる基板40(この例では、Si基板)上でも、高い配向性を示すAlN層(下地層60)が形成可能であることがわかった。
【0035】
このような下地層60の上に、機能層10sを結晶成長性させることで、機能層10sの結晶品質を高くすることができる。
【0036】
本実施形態において、下地層60は、機能層10sの結晶成長に適する残留応力を有していることが望ましい。例えば、下地層60は、機能層10sに圧縮応力を印加することができる。または、下地層60は、機能層10sに引張応力を印加することができる。これにより、機能層10sにおいて良好な特性(例えば、電荷の注入の制御性、クラックなどの抑制、転位密度の低減など)が得られる。
【0037】
図6は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図6に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体素子112においては、非晶質層50が凹凸形状を有している。例えば、基板40の主面上に凹凸を形成することで、非晶質層50に凹凸が形成される。このような窒化物半導体素子112においても、非晶質層50の上にAlNの下地層60を形成することにより、面内において良好かつ均一な結晶性を有する下地層60が得られる。これにより、良好な特性の機能層10sが得られる。
【0038】
さらに、非晶質層50の凹凸形状に傾斜面を設けても良い。例えば、基板40に形成される凹凸に傾斜面を設けることで、非晶質層50の凹凸に傾斜面が形成される。
【0039】
図7は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図7に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体素子113においては、基板40の上に設けられる非晶質層50がパターニングされ、部分的に設けられている。また、この例では、下地層60が部分的に設けられている。さらに、機能層10sが部分的に設けられている。このように、非晶質層50、下地層60及び機能層10sの少なくともいずれかをX−Y平面内の複数の領域に設けることができる。これらの層を有する領域と有していない領域とで、それぞれの領域の上に形成する層の結晶性を変化させ、欠陥の選択集中が可能になる。これにより、必要な領域において欠陥が少ない良好な結晶が得られる。
【0040】
図8は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図9は、第1の実施形態に係る別の窒化物半導体素子の構成を例示する模式的断面図である。
図8及び図9に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体素子120及び121においては、下地層60は、非晶質層50の上に設けられた配向性層55(第2層)上に設けられる。これ以外は、窒化物半導体素子110及び111と同様なので説明を省略する。以下、配向性層55について説明する。配向性層55には、例えばAlが用いられる。
【0041】
発明者は、Si(100)基板上に非晶質層50としてTaAl膜を形成し、TaAl膜の上に配向性層55となるAl膜を形成した。
【0042】
図10は、実験で作製したAl膜の特性を例示するXRD解析結果を示すグラフ図である。
図10の横軸は、角度ωであり、縦軸は、XRDの強度である。
図10に表したように、非晶質層50(TaAl膜)の上に形成された配向性層55(Al膜)は、高い配向性を示すことがわかった。この例では、配向性層55(Al膜)のXRD半値幅は、0.6度であった。このように、高配向性の配向性層55の上に下地層60(AlN層)を形成することで、高配向性の下地層60が得られる。そして、高配向性の機能層10sが得られる。
【0043】
実施形態において、配向性層55には、例えば、Al、Cu、Au、Ag、Ir、Ni、Pt、Mo及びWの少なくともいずれかが用いられる。
【0044】
配向性層55は、面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有していることが望ましい。配向性層55のXRD半値幅は、10度以下であることが望ましい。
【0045】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体素子120及び121においては、非晶質層50の上に、配向性層55が形成され、配向性層55の上に下地層60(AlN層)が設けられる。配向性層55を導入することにより、下地層60の配向性をより向上させることが可能となる。また、配向性層55の導入により、下地層60を薄膜化することが可能となる。これにより、結晶性の異なる基板40上でも高い結晶品質の窒化物半導体層が形成できる。これにより、任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体素子が得られる。
【0046】
サファイア以外の基板上にGaNを成長させる方法としては、格子不整合を緩和するためのバッファ層を導入する方法がある。例えば、シリコン基板上にZr(ジルコニウム)膜を形成し、その上に成長させるGaN層との格子不整合を緩和させる方法がある。しかしながら、この方法においては、基板とGaNとの格子不整合を緩和する目的でバッファ層を導入しており、用いる基板に制約が生じる。
【0047】
これに対して、実施形態においては、基板の結晶性をキャンセルする非晶質層50を導入することで、結晶性の異なる基板上でも高い結晶品質を有する窒化物半導体層が形成できる。
【0048】
(第2の実施形態)
本実施形態は、窒化物半導体ウェーハに係る。このウェーハには、例えば、半導体装置の少なくとも一部、または、半導体装置の少なくとも一部となる部分が設けられている。この半導体装置は、例えば、半導体発光素子、半導体受光素子、及び、電子デバイスなどを含む。
【0049】
図11(a)及び図11(b)は、第2の実施形態に係る窒化物半導体ウェーハの構成を例示する模式的断面図である。
図11(a)に表したように、本実施形態に係る窒化物半導体ウェーハ130は、基板40と、基板40の上に設けられた非晶質層50と、非晶質層50の上に設けられ、窒化アルミニウムを含む下地層60と、下地層60の上に形成され窒化物半導体を含む機能層10sと、を備える。
【0050】
上記の基板40、非晶質層50、下地層60及び機能層10sには、第1の実施形態に関して説明した構成を適用できる。
【0051】
例えば、非晶質層50は、酸化シリコン及びアモルファスシリコンのいずれかである。また、非晶質層50は、非晶質金属でも良い。下地層60は、下地層60の層面に対して垂直な方向に配向していることが望ましい。
【0052】
図11(b)に表したように、本実施形態に係る別の窒化物半導体ウェーハ140は、非晶質層50と下地層60との間に設けられた配向性層55をさらに備える。上記の配向性層55には、第1の実施形態に関して説明した構成を適用できる。
【0053】
例えば、配向性層55は、面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有することが望ましい。基板40は、シリコン基板であることが望ましい。
【0054】
(第3の実施形態)
図12(a)及び図12(b)は、第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法を例示するフローチャート図である。
図12(a)に表したように、本製造方法においては、基板40の上に非晶質層50を形成する(ステップS110)。そして、非晶質層50の上に窒化アルミニウムを含む下地層60を形成する(ステップS120)。そして、下地層60の上に窒化物半導体を含む機能層10sを形成する(ステップS130)。
【0055】
図12(b)に表したように、本製造方法においては、下地層60の形成(ステップS120)は、非晶質層50の上に配向性層55を形成し、配向性層55の上に下地層60を形成することを含む。
【0056】
非晶質層50及び下地層60の少なくともいずれかの形成には、例えばスパッタ法が用いられる。スパッタ法を用いることで膜の配向性の制御が可能になる。さらに、残留応力を広範囲で制御することが可能になる。これにより、機能層10sの結晶性向上に利点がある。
【0057】
非晶質層50及び下地層60の少なくともいずれかの形成には、例えばCVD法を用いることも可能である。CVD法を用いた場合は、これらの層と機能層10sとを一貫して形成することが可能となる。
【0058】
非晶質層50としてSiO層を用い、基板40としてSi基板を用いる場合は、非晶質層50を熱酸化法で形成することも可能である。
【0059】
機能層10sの形成においては、例えば、下地層60上に第1半導体層10を形成し、その上に発光部30を形成し、その上に、第2半導体層20を形成する。そして、第1電極70及び第2電極80を形成して、実施形態に係る窒化物半導体素子が作製される。なお、基板40は、技術的に可能な任意の工程で除去しても良い。
【0060】
実施形態に係る窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法において、半導体層の成長方法には、例えば、有機金属気相堆積(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法、及び、有機金属気相成長(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法などを用いることができる。
【0061】
本実施形態に係る製造方法においては、任意の基板上において、良好な結晶性を有する窒化物半導体層を製造できる。
【0062】
本製造方法においては、下地層60(第1層)は、スパッタ法により形成されることが特に好ましい。例えば、下地層60となるAlN層をCVD法またはMOCVD法により形成する場合は、下地層60に加わる応力(stress)を制御することが難しい。すなわち、これらの手法では、下地層60の歪(strain)を制御することが難しい。これに対し、下地層60をスパッタ法で形成することで、下地層60に圧縮歪(圧縮応力)または引張歪(引張応力)を制御性良く付与することができる。
【0063】
以下、下地層60のAlN層をスパッタ法で形成した場合の特性の例について説明する。
図13は、第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法における特性を例示するグラフ図である。
図13は、非晶質層50としてSiO膜を用い、この上に、スパッタ法でAlNを形成したときのAlN層の応力の測定結果を示している。スパッタにおいては、Alのターゲットを用い、高周波電力Pwを150W(ワット)とし、Nガス流量を10sccm(Standard Cubic Centimeter per Minutes)とし、Arガス流量を変えている。図13の横軸は、Arガス流量FAr(sccm)であり、縦軸は、AlN層の応力St(残留応力)(MPa:メガパスカル)である。応力Stが正であるときは引張応力であり、応力Stが負であるときは圧縮応力である。応力Stが正であるときは、AlN層において引張歪が形成され、応力Stが負であるときは、AlN層において圧縮歪が形成される。
【0064】
図13に示したように、Arガス流量FArが小さいと圧縮応力(圧縮歪)が得られ、Arガス流量FArが大きいと引張応力(引張歪)が得られる。そして、ガス流量FArの変化に対して、応力Stは、実質的に線形に変化する。このように、Arガス流量FArを変えることで、AlN層に、圧縮応力から引張応力までの広い範囲の応力Stを制御性良く印加できる。例えば、成膜中にAlN層中にArがトラップされ、この程度がArガス流量FArを変えることで変化し、その結果、AlN層における応力が変化することが考えられる。
【0065】
図13に示した例では、応力Stは、−1000MPa〜+1500MPaの範囲で制御されているが、実施形態はこれに限らない。実施形態において、応力Stは、−4000MPa〜+3000MPaの、圧縮から引張までの広い範囲で制御することができる。このような広い範囲の応力Stの制御は、成膜をスパッタ法により行うことで特に得られる効果である。−1000MPaの応力Stは、例えば、約0.3%の圧縮歪に対応する。+1500MPaの応力Stは、例えば、約0.5%の引張歪に対応する。−4000MPaの応力Stは、例えば、約1.3%の圧縮歪に対応する。+3000MPaの応力Stは、例えば、約1.0%の引張歪に対応する。
【0066】
図14は、第3の実施形態に係る窒化物半導体層の製造方法における特性を例示するグラフ図である。
図14は、非晶質層50としてSiO膜を用い、この上に、スパッタ法でAlNを形成し、このときの高周波電力Pwを変えたときのAlN層の応力Stを示している。図14の横軸は、高周波電力Pw(任意目盛)であり、縦軸は、応力St(任意目盛である)。
【0067】
図14に表したように、高周波電力Pwが小さいと引張応力(引張歪)が得られ、高周波電力Pwが大きいと圧縮応力(圧縮歪)が得られる。高周波電力Pwは所定の範囲内において、高周波電力Pwの変化に対して、応力Stは、実質的に線形に変化する。このように、高周波電力Pwを変えることで、AlN層に、圧縮応力から引張応力までの広い範囲の応力Stを制御性良く印加できる。例えば、高周波電力Pwを大きくすることで、AlN層が緻密になり、また、温度が上昇することなどにより圧縮応力が生成されるものと考えられる。
【0068】
また、スパッタ法において、成膜中の温度を変えることでも、AlN層における応力を制御することができる。
【0069】
このように、スパッタ法を用いてAlN層を成膜する場合においては、Arガス流量FAr、高周波電力Pw、及び、温度などのように、調整が容易なパラメータを制御することで、AlN層における応力を精度良く、再現性良く生成することができる。
【0070】
スパッタによれば、他の手法に比べて、例えば密度を大きく変化させたAlN層を形成することができる。スパッタにより形成したAlN層おいては、圧縮から引張までの広い範囲の応力を生成することが容易である。
【0071】
例えば、基板40としてシリコン基板を用いた場合には、AlN層に付与される残留応力(応力St)は、−4000MPa〜−1000MPaの範囲が好ましい。実施形態においては、AlN層は、例えば、1.3%〜0.3%の圧縮歪を有していることが好ましい。この条件を用いることで、結晶成長後の基板の反りを効果的に抑制することができる。なお、応力Stと歪との関係は、AlN層を形成する基板の種類やAlN膜などによって変化することがある。上記の応力Stの値及び歪の値は、実用的な半導体発光素子における適正な値の例である。
【0072】
ただし、適正な残留応力の範囲は、結晶成長の際に用いる基板の種類及び厚さ、並びに、成膜時の温度によっても異なる。実施形態においては、AlN層に付与される残留応力(応力St)は任意である。
【0073】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る窒化物半導体素子は、第1及び第2の実施形態に係る窒化物半導体素子と同様の構成を有する。ただし、本実施形態においては、下地層60(AlN)は、圧縮歪または引張歪を有する。すなわち、下地層60は、圧縮応力または引張応力の残留応力を有する。この残留応力(歪)は、機能層10sの結晶成長に適するように設計される。例えば、基板40としてシリコン基板を用い、非晶質層50としてSIO膜を用い、機能層10sがGaN層を含む場合の例について説明する。
【0074】
図15(a)〜図15(d)は、窒化物半導体素子の特性を例示する模式的断面図である。
図15(a)及び図15(b)は、下地層60が残留応力(歪)を有していない窒化物半導体素子219に対応し、図15(c)及び図15(d)は、下地層60が圧縮応力(圧縮歪)を有する窒化物半導体素子210に対応する。図15(a)及び図15(c)は、機能層10sを結晶成長しているときの状態を例示している。機能層10sを結晶成長しているときの温度は、例えば900℃以上1200℃以下の高温である。図15(b)及び図15(d)は、機能層10sの結晶成長が終了し、室温まで降温したときの状態を例示している。
【0075】
図15(a)に表したように、下地層60が応力を有していない窒化物半導体素子219においては、機能層10sの結晶成長の高温時に、基板全体は平坦である。そして、図15(b)に表したように、室温に戻したときには、上に凹状態となる。これには、シリコンとGaNとにおける熱膨張係数の差に起因している。このように、下地層60が応力を有しない場合には、大きな反りが生じ、さらに、クラックが発生し易くなる。そして、この状態においては、機能層10sには大きな引張応力が印加される。この状態は、例えば、機能層10sに含まれる活性層の特性を劣化させることがある。具体的には、転位密度などの欠陥密度が高くなり、電荷の注入効率が低下する。また、リーク点が増加することがある。
【0076】
これに対して、図15(c)に表したように、下地層60が圧縮応力を有している窒化物半導体素子210においては、機能層10sの結晶成長の高温時に、基板全体は上に凸状態である。そして、図15(d)に表したように、室温に戻したときには、基板全体が平坦になる。すなわち、図15(b)に例示した状態よりも、基板の反りが抑制される。このように、下地層60が圧縮応力を有する場合には、反りが抑制され、クラックの発生も抑制される。また、下地層60の応力を適切に制御することで、機能層10sにおいて、適正な応力を印加することもできる。例えば、機能層10sに適切な圧縮応力が印加されている状態を形成することで、ピエゾ電界の影響を低減することができる。また、デバイス作製工程の、貼り合わせ工程が容易になる。また、例えば、機能層10sに適切な引張応力が印加されている状態を形成することで、電荷(ホール及び電子の少なくともいずれか)の移動度に影響を与えることができる。
【0077】
このように、本実施形態に係る窒化物半導体素子210は、非晶質層50の上に形成され、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する第1層(下地層60)と、第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む機能層10sと、を備える。これにより、反りクラックの発生を抑制できる。その結果、任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体素子を提供できる。
【0078】
なお、図15(c)及び図15(d)は、下地層60が圧縮歪を有する窒化物半導体ウェーハ220の特性も例示している。窒化物半導体ウェーハ220においても、ウェーハの反りやクラックを抑制できる。
【0079】
すなわち、実施形態に係る窒化物半導体ウェーハ220は、基板40と、基板40の上に設けられた非晶質層50と、非晶質層50の上に設けられ、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する第1層(下地層60)と、第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む機能層10sと、を備える。これにより、これにより、反りクラックの発生を抑制できる。その結果、任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体ウェーハが提供できる。
【0080】
なお、SiN上に、FIB(フォーカスドイオンビーム)によるAl堆積と熱処理との組み合わせ、または、金属蒸着と熱処理との組み合わせなどのように、Alを含む原料を供給してAlNを成長させる手法によりAlN層を形成する構成が考えられる。この方法においては、熱処理によるマイグレーションを用いてAlN層を形成するため、高い熱処理温度が必要となり、基板へのダメージやスループットの面で問題になる。また、SiN上にAlNを形成する場合は、SiNに含まれるNをAl膜が取り込むことでAlN層が形成されるため、形成できるAlNの厚さに制約が生じる。また、AlN層を形成する過程で下地のSiNが分解されるため、AlN層は、分解されるSiNの影響を受ける。このため、この方法では、良質なAlNの結晶を得ることが困難である。非晶質膜のSiO膜の上にAlNを形成する場合には上記のような制約や、下地の影響が発生しない。
【0081】
一方、実施形態においては、AlN層はスパッタにより形成できるので、高温の熱処理を必要としない。このため、基板へのダメージが抑制され、高いスループットが得られる。また、大面積のウェーハに対しても均一にAlNを成長させやすい。実施形態においては、容易に製造できる手法を用いて形成したAlN層において、AlN層の応力(歪)を適正に制御することで、任意の基板上においても、良好な結晶性を有する窒化物半導体素子を形成することができる。
【0082】
下地層60における応力は、例えばX線回折により求められる。
図16は、第4の実施形態に係る窒化物半導体素子の特性を例示するグラフ図である。 図16は、基板40としてシリコンの(111)基板を用い、非晶質層50の上に、下地層60となるAlN層をスパッタで形成した試料のX線回折解析結果を示している。図16には、スパッタ条件が異なる2種類の試料(第1試料SP1及び第2試料SP2)の結果が示されている。図16の横軸は、X線回折解析の回転角2θ(度)であり、縦軸は、強度Int(任意目盛)である。なお、図16において、回転角2θが約28.5度におけるピークは、基板40であるSi(111)のピークである。
【0083】
これらの試料は、Nガス流量が5.5sccmで、マイクロ波パワーが500Wで、高周波電力が500Wで、成膜温度が200℃の条件で形成された。第1試料SP1においては、Arガス流量は30sccmであり、第2試料SP2においては、Arガス流量は20sccmである。なお、この実験で用いた成膜装置は、図13に関して説明した実験で用いた成膜装置とは異なる。
【0084】
図16に示したように、応力が印加されていない時のAlN層P0においては、回転角θが約36.0度のときにピークが生じる。AlN層の試料において、X線回折のピークに対応する角度2θが、無応力の2θの36.0度よりも大きいときは、その試料には引張応力が印加され(すなわち、その試料は引張歪を有する)、小さいときは圧縮応力が印加されている(すなわち、その試料は圧縮歪を有する)ことを示す。
【0085】
図16に表したように、第1試料SP1においては、2θが約35.7度(無応力の時に対して−0.3度)において、ピークが生じている。第2試料SP2においては、2θが約35.4度(無応力の時に対して−0.6度)において、ピークが生じている。
【0086】
これらの試料においては、X線回折において、AlN層のピークに対応する回転角2θが、応力が印加されていないときのAlN層P0のピークに対応する回転角2θよりも小さく、圧縮応力が印加されている(すなわち、圧縮歪を有する)と判定できる。そして、その圧縮応力(圧縮歪)の大きさは、無応力の2θの36.0度との差に対応する。
【0087】
例えば、本実施形態においては、下地層60のAlN層のX線回折におけるピークに対応する回転角2θと、応力が印加されていないときのAlN層P0のピークに対応する回転角2θとの差の絶対値は、0.3度以上である。
【0088】
但し、実施形態はこれに限らない。所望の特性に応じて、下地層60の圧縮応力を調整することができる。
【0089】
このように、残留応力は、例えばX線回折法により測定できる。AlN層をX線回折法により解析することで、AlN層における歪(応力が印加されていない時のAlN層P0からの差)が求められる。求められた歪の値から、AlN層の算出することができる。
【0090】
なお、下地層60が圧縮応力を有する場合、下地層60は、その上に形成される機能層10sに引張応力を印加する。また、下地層60が引張応力を有する場合、下地層60は、その上に形成される機能層10sに圧縮応力を印加する。
【0091】
また、基板40に用いる材料と、機能層10sに用いる材料と、の組み合わせが上記と異なる場合は、その組み合わせに応じて、下地層60における応力(圧縮応力または引張応力)を調整しても良い。
【0092】
このように、下地層60における応力を調整することで、反り及びクラックを抑制でき、下地層60の上に形成される機能層10sの高い結晶性を実現できる。
【0093】
図8に例示したように、窒化物半導体素子211は、窒化物半導体素子210の構成において、配向性層55(第2層)をさらに備えている。
また、図11(b)に例示したように、窒化物半導体ウェーハ211は、窒化物半導体ウェーハ220の構成において、配向性層55をさらに備えている。
【0094】
配向性層55は、例えば結晶性を有する。ここで、結晶性を有する状態は、単結晶である状態の他に、微結晶を含む状態も含む。結晶性を有する状態は、非晶質でない状態である。結晶性を有する状態は、何らかの方向に沿う配向を有する状態をいう。例えば配向性層55は、結晶構造を有する。配向性層55は、例えば、面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有する。
【0095】
配向性層55をスパッタにより形成しても良い。これにより、配向性層55の形成と、下地層60の形成と、を同様の装置で行うことができ、装置の効率が向上する。さらに、配向性層55に圧縮または引張の応力を付与しても良い。反りやクラックの発生をより効果的に抑制できる。
【0096】
実施形態によれば、任意の基板上に形成でき良好な結晶性を有する窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法が提供できる。
【0097】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0098】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0099】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、窒化物半導体素子及びウェーハに含まれる基板、非晶質層、下地層、配向性層、第1層、第2層、半導体層、発光部及び電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0100】
その他、本発明の実施の形態として上述した窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0101】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
10…第1半導体層、 10s…機能層、 20…第2半導体層、 30…発光部、 31…障壁層、 32…井戸層、 40…基板、 50…非晶質層、 55…配向性層(第2層)、 60…下地層(第1層)、 70…第1電極、 80…第2電極、 λ…波長、 λp…ピーク波長、 110、111、112、113、120、121、210、219…窒化物半導体素子、 130、140、220…窒化物半導体ウェーハ、 BL…障壁層、Int…強度、Pw…高周波電力、SP1…第1試料、SP2…第2試料、St…強度、 WL…井戸層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質層の上に形成され、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する第1層と、
前記第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む機能層と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体素子。
【請求項2】
前記第1層は、圧縮歪を有することを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体素子。
【請求項3】
前記機能層は、
前記第1層の上に形成され、窒化物半導体を含み第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、複数の障壁層と、前記複数の障壁層どうしの間に設けられた井戸層と、を含む発光部と、
前記発光部の上に設けられ、窒化物半導体を含み、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
【請求項4】
前記非晶質層は、酸化シリコン及びアモルファスシリコンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
【請求項5】
前記非晶質層は、非晶質金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
【請求項6】
前記第1層は、前記第1層の層面に対して垂直な方向に配向していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
【請求項7】
前記第1層は、前記非晶質層の上に設けられ面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有する第2層の上に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
【請求項8】
前記第2層は、Al、Cu、Au、Ag、Ir、Ni、Pt、Mo及びWの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項6記載の窒化物半導体素子。
【請求項9】
基板と、
前記基板の上に設けられた非晶質層と、
前記非晶質層の上に設けられ、窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する第1層と、
前記第1層の上に形成され、窒化物半導体を含む機能層と、
を備えたことを特徴とする窒化物半導体ウェーハ。
【請求項10】
前記第1層は、圧縮歪を有することを特徴とする請求項9記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項11】
前記非晶質層は、酸化シリコン及びアモルファスシリコンのいずれかであることを特徴とする請求項9または10に記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項12】
前記第1層は、前記第1層の層面に対して垂直な方向に配向していることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項13】
前記非晶質層と前記第1層との間に設けられ面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有する第2層をさらに備えたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項14】
前記第2層は、Al、Cu、Au、Ag、Ir、Ni、Pt、Mo及びWの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項13記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項15】
前記基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1つに記載の窒化物半導体ウェーハ。
【請求項16】
基板の上に非晶質層を形成し、
前記非晶質層の上に窒化アルミニウムを含み、圧縮歪または引張歪を有する第1層をスパッタにより形成し、
前記第1層の上に窒化物半導体を含む機能層を形成することを特徴とする窒化物半導体層の製造方法。
【請求項17】
前記第1層は圧縮歪を有し、
前記基板はシリコン基板であることを特徴とする請求項16記載の窒化物半導体層の製造方法。
【請求項18】
前記第1層の形成は、
前記非晶質層の上に、面心立方格子構造及び体心立方格子構造のいずれかを有する第2層を形成し、前記第2層の上に前記第1層を形成することを含むことを特徴とする請求項16または17に記載の窒化物半導体層の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−256843(P2012−256843A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29992(P2012−29992)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】