説明

経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体

【課題】携帯電話の発信者に運転状況を知らせることにより、運転者は安全に停車したあとに通話することができる経路誘導装置を提供すること。
【解決手段】車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置である。この経路誘導装置は、前記車両が走行状態か否かを判定する判定部101と、判定部101によって走行状態であると判定され、通話機器への通話要求を受けた場合に、前記通話機器への発信者に対して通話待ち状態であることを案内する待機案内部102と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両内での通話に使用される通話機器に接続され、車両の走行経路を誘導する経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述の経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に限らない。
【背景技術】
【0002】
携帯電話を自動でドライブモードに設定/解除可能とし、ドライブモードのときに携帯電話の着信に対して、自車の現在位置と到着予想時刻を送信する車載用ナビゲーション装置がある(たとえば、特許文献1参照。)。また、緊急事態が発生した際に停止場所を容易に探すことができるナビゲーション装置があった(たとえば、特許文献2参照。)。また、運転中における通話を含めた通信の代行を行うナビゲーション装置がある(たとえば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−231081号公報
【特許文献2】特開2002−340597号公報
【特許文献3】特開2003−32329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯電話の発信者は、通話先が運転中であると分かり、到着時刻が分かっても、到着時刻が2、3時間先だったりした場合に用件を満たせない場合がある。また、途中で停止するなど受信可能な場合があっても、いつかけ直せば受信可能であるか発信者にはわからなかったため、何度も電話してしまう等の問題が一例として挙げられる。
【0005】
一方、運転者としては、運転中に携帯電話を受信するために、停車可能な場所を探すことが考えられるが、その状況は発信者に分からない。したがって、発信者は通話できないと判断してしまい、運転者が停車した際には通話が切れてしまっている場合があるという問題が一例として挙げられる。
【0006】
また、着信があったことだけが分かった状態であるものの、発信者に具体的な状況を伝えることができない。したがって、発信者を待たせた状態になっていることが気になって、運転者は安心して運転できないという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかる経路誘導装置は、車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置において、前記車両が走行状態か否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記通話機器への発信者に対して通話待ち状態であることを案内する待機案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項9の発明にかかる経路誘導方法は、車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置の経路誘導方法において、前記車両が走行状態か否かを判定する判定工程と、前記判定工程によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記通話機器への発信者に通話待ち状態であることを案内する待機案内工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項11の発明にかかる経路誘導プログラムは、請求項9または10に記載の経路誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
請求項12の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項11に記載の経路誘導プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる経路誘導装置、経路誘導方法、経路誘導プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態にかかる経路誘導装置の機能的構成を示すブロック図である。この実施の形態の経路誘導装置は、車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置である。車両には普通自動車を含むが、大型自動車やバイクなど、走行経路の誘導が望まれるいかなる車両であってもよい。また、判定部101、待機案内部102、停止案内部103、受付部104、予定案内部105、停止判定部106により構成されている。
【0013】
判定部101は、車両が走行状態か否かを判定する。判定部101は、経路誘導装置において車両が移動していると検出されたか否かにより走行状態か否かを判定することができる。また、車両のパーキングブレーキを検出することにより走行状態か否かを判定することができる。
【0014】
待機案内部102は、判定部101によって走行状態であると判定され、通話機器への通話要求を受けた場合に、通話機器の発信者に対して通話待ち状態であることを案内する。また、待機案内部102は、判定部101によって走行状態でないと判定された場合、発信者に対する通話待ち状態を解除することもできる。
【0015】
停止案内部103は、判定部101によって走行状態であると判定され、通話機器への通話要求を受けた場合に、この車両において車両の停止を案内する。また、停止案内部103は、前記車両の停止指示とともに、停止可能な場所への経路を前記運転者に案内することもできる。
【0016】
受付部104は、停止案内部103によって前記車両の停止が案内された場合に、前記車両を停止させるか否かを示す情報を受け付ける。受付部104によって車両を停止させないことを示す情報が受け付けられた場合、待機案内部102は、通話機器への発信者に通話できない状態であることを案内する。
【0017】
予定案内部105は、受付部104によって前記車両を停止させないことを示す情報が受け付けられた場合、通話機器への発信者に対して到着予定時刻を案内する。また、予定案内部105は、到着予定時刻とともに、発信者に折り返し連絡可能か否かに関する情報を案内することもできる。
【0018】
停止判定部106は、受付部104によって車両を停止させることを示す情報が受け付けられた場合、車両を所定の時間内に停止させることができるか否かを判定する。停止判定部106によって車両を所定の時間内に停止させることができないと判定された場合、待機案内部102は、通話機器への発信者に通話できない状態であることを案内する。
【0019】
図2は、この発明の実施の形態にかかる経路誘導方法の処理を示すフローチャートである。まず、判定部101は、車両が走行状態か否かを判定する(ステップS201)。車両が走行状態でない場合(ステップS201:No)、発信者に対する通話待ち状態を解除する(ステップS202)。通話待ち状態を解除することによって、車両が停止した時点で運転者と発信者は互いに通話をすることができる。そして、一連の処理を終了する。
【0020】
車両が走行状態であると判定され(ステップS201:Yes)、通話機器への通話要求を受けた場合に、待機案内部102は、通話機器の発信者に対して、通話待ち状態であることを案内する(ステップS203)。次に、停止案内部103は、この車両において車両の停止を案内する(ステップS204)。このとき、停止案内部103は、車両の停止指示とともに、停止可能な場所への経路を前記運転者に案内することもできる。これにより、発信者からの通話要求に早期に対応することができる。
【0021】
次に、受付部104は、停止案内部103によって前記車両の停止が案内された場合に、前記車両を停止させるか否かを示す情報を受け付ける(ステップS205)。情報の受け付けは、音声入力により受け付けることができる。なお、情報の受け付けに関しては音声入力の他、画面への入力や、ボタン(スイッチ)入力、視線入力、ジェスチャー等の種々の方法を適用できることはいうまでもない。次に、受付部104は、受け付けた情報が車両を停止させるものか否かを判定する(ステップS206)。
【0022】
車両を停止させない場合(ステップS206:No)、待機案内部102は、通話機器への発信者に、通話できない状態であることを案内する(ステップS207)。そして、予定案内部105は、通話機器への発信者に対して到着予定時刻を案内し(ステップS208)、一連の処理を終了する。これにより、発信者は、いつ頃通話ができるのかを確認することができる。またこのとき、予定案内部105は、到着予定時刻とともに、発信者に折り返し連絡可能か否かに関する情報を案内することもできる。
【0023】
一方、車両を停止させる場合(ステップS206:Yes)、停止判定部106は、車両を所定の時間内に停止させることができるか否かを判定する(ステップS209)。車両を所定の時間内に停止させることができないと判定された場合(ステップS209:No)、ステップS207に進む。車両を所定の時間内に停止させることができると判定された場合(ステップS209:Yes)、ステップS201に戻る。
【0024】
以上説明した実施の形態により、車両が走行状態のとき、通話機器の発信者に通話待ち状態であることを伝えることができるので、発信者は通話できないと判断して通話をすぐに切ることなく、運転者が通話できる状態になるのを待ってから通話をすることができる。運転者も急いで通話機器をとる必要がなくなり、安全に停車したあとに通話することができる。
【実施例】
【0025】
(ハードウエア構成)
図3は、この発明の実施例にかかる経路誘導装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。ナビゲーション装置は、ナビゲーション制御部300と、ユーザー操作部301と、位置認識部302と、記録媒体303と、記録媒体デコード部304と、エージェント制御部310と、表示部311と、表示制御部312と、案内音出力部313と、スピーカ314と、マイク315と、音声認識部316と、携帯電話317と、を含む構成となっている。
【0026】
なお、ナビゲーション制御部300、エージェント制御部310、案内音出力部313、音声認識部316は、たとえば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)およびCPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)などによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
【0027】
ナビゲーション制御部300は、ナビゲーション装置全体を制御する。また、任意の地点を検索し、得られた地点情報に基づいて、当該地点までの最適な経路を算出する。また、この経路と自車位置情報に基づいて、リアルタイムに経路誘導情報を生成する。図1に示した判定部101と停止判定部106は、このナビゲーション制御部300によって実現される。ユーザー操作部301は、リモコン、タッチパネルを含む。また、操作ボタンでもよい。図1に示した受付部104はこのユーザー操作部301によって実現される。
【0028】
位置認識部302は、自車位置情報を取得する。ここで自車位置情報は、GPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求めるものであり、地球上どこでも計測可能である。電波としては、1.575.42MHzの搬送波で、C/A(Coarse and Access)コードおよび航法メッセージが乗っているL1電波が用いられる。これによって、現在の車両の位置(緯度および経度)を検知する。また、車速センサやジャイロセンサなどのセンサによって収集された情報を加味してもよい。
【0029】
記録媒体303は、たとえば、ハードディスク(HD)であり、その代わりにあるいはHDに加えて、DVD、コンパクトディスク(CD)などの着脱可能な記録媒体であってもよい。また、記録媒体デコード部304は、記録媒体303を読み取るドライブにより構成され、HD、DVD、CDを読み取り/書き込みの制御をおこなう。
【0030】
エージェント制御部310は、自車の目的地、現在位置、進行経路、携帯電話317に受信が入ったことなど、エージェント制御部310による制御内容に関する情報を、運転者との対話形式で運転者に伝えたり、運転者に回答を促したりするメッセージを作成する。また、携帯電話317の発信者からの返答に応じて運転者に伝えるべきメッセージを作成する。作成した会話文は案内音出力部313に出力する。
【0031】
また、携帯電話317の発信者に伝えるべきメッセージを作成する。作成されたメッセージは携帯電話317を介して発信者に伝えられる。また、携帯電話317による通話状態を制御する。図1に示した停止案内部103、待機案内部102および予定案内部105は、このエージェント制御部310によって実現される。
【0032】
表示部311は、モニタであり、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを含む。表示制御部312は、エージェント制御部310から入力された会話文を表示部311の表示画面に表示する。また、表示制御部312は、位置認識部302によって算出された自車位置情報と、記録媒体303から記録媒体デコード部304を経由して得られた地図DB情報とに基づいて、表示部311の表示画面に地図上のどの位置を走行しているかを表示する。
【0033】
案内音出力部313は、パターンに対応したトーンと音声のデータを生成する。すなわち、エージェント制御部310で作成されたメッセージを音声のデータとして生成する。また、経路情報に基づいて、案内地点に対応した音声ガイダンス情報を生成する。そして、1つまたは複数のスピーカ314への出力を制御することによって、案内音を再生する。図1に示した停止案内部103は、この案内音出力部313によって実現される。なお、案内音は録音された音声を出力しても良い。
【0034】
マイク315は、運転者の近くに配置され、運転者が話す音声を集音する。音声認識部316は、マイク315で集音された音声を解析して、集音された音声の内容を認識し、エージェント制御部310に出力する。図1に示した受付部104は、このマイク315および音声認識部316によって実現される。
【0035】
携帯電話317は、エージェント制御部310に接続される。エージェント制御部310には、コードにより接続してもよいし、無線により接続される構成にしてもよい。携帯電話317は、エージェント制御部310の制御により、携帯電話317は、着信に対して自車の状況に応じたアナウンスメントを発信者に流す。図1に示した待機案内部102および予定案内部105は、この携帯電話317によって実現される。
【0036】
図4は、着信時の停止案内処理を説明するフローチャートである。この停止案内処理は、携帯電話317が着信を受けることにより開始する。まず、エージェント制御部310は、停止確認メッセージを発信する(ステップS401)。つまり、エージェント制御部310は、運転者と発信者の両方にメッセージを発信する。運転者に対しては、「着信があります。停止可能な場所へ案内しましょうか?」と、停止するかどうかの判断を促すメッセージを流す。一方で発信者に対しては、「現在運転中です。停止可能か判断しますので少々お待ちください。」と、現在運転中であり運転者の判断待ち状態であることを伝えるメッセージを再生する。
【0037】
次に、エージェント制御部310は、車両を停止するか否かを判定する(ステップS402)。すなわち、マイク315に入力された運転者の音声から、音声認識部316において返答内容の音声を認識することにより、エージェント制御部310は、運転者の判断が自車を停止するというものか、停止しないというものかを判定する。
【0038】
停止すると判定された場合(ステップS402:Yes)、図5で説明する運転者に対する停止可能な場所の案内処理を実行し(ステップS403)、一連の処理を終了する。停止しないと判定された場合(ステップS402:No)、エージェント制御部310は、運転者からの返答に基づいて到着時刻を伝えるか否かを判定する(ステップS404)。すなわち、マイク315に入力された運転者の音声から、音声認識部316において返答内容の音声を認識することにより、エージェント制御部310は、運転者の判断が発信者に到着時刻を伝えるものなのか、到着時刻を伝えないというものなのかを判定する。
【0039】
到着時刻を伝えないと判定された場合(ステップS404:No)、エージェント制御部310は、携帯電話317を介して通話できない旨を発信者に通知し(ステップS405)、一連の処理を終了する。到着時刻を伝えると判定された場合(ステップS404:Yes)、エージェント制御部310は、携帯電話317を介して発信者に到着時刻を通知する(ステップS406)。そして、エージェント制御部310は、発信者に折り返しの要否を確認する(ステップS407)。すなわち、運転者から折り返しかけ直すか否かを問い合わせるメッセージを送り、発信者からの返答を受ける。そして返答内容を運転者に通知し、一連の処理を終了する。
【0040】
図5は、停止可能な場所の確認処理を説明するフローチャートである。まず、ナビゲーション制御部300は、自車の現在位置と進行経路から、自車の停止可能な場所を確認する(ステップS501)。次に、ナビゲーション制御部300は、停止までの時間を計算する(ステップS502)。すなわち自車の現在位置から停止可能な場所までの所要時間を計算する。
【0041】
次に、ナビゲーション制御部300は、求められた所要時間から、すぐに自車を停止させることができるか否かを判定する(ステップS503)。すなわち、求められた所要時間が、所定の時間内であるか否かを判定する。この所定の時間を1分とした場合、1分以内に停止可能な場所に到着するか否かを判定する。
【0042】
すぐに停止できないと判定された場合(ステップS503:No)、エージェント制御部310は、すぐに停止できない旨を発信者に通知し(ステップS504)、図4に示したステップS404に戻り、到着時刻を発信者に伝えるなどの、自車が早期に停止できない場合の処理を実行する。すぐに停止できると判定された場合(ステップS503:Yes)、エージェント制御部310は、発信者に待機する旨を通知する(ステップS505)。次に、自車が停止したか否かを判定する(ステップS506)。
【0043】
自車が停止していない場合(ステップS506:No)、ステップS505に戻る。自車が停止した場合(ステップS506:Yes)、エージェント制御部310は、携帯電話317を介して発信者に通話できる旨通知する(ステップS507)。そして発信者と運転者の間の通話処理を行い(ステップS508)、一連の処理を終了する。
【0044】
図6は、自車の進行経路と各地点における処理を説明する説明図である。まず、自車は地点601を出発する。出発後、自車は分岐点602に向かうが、この途中で携帯電話317が着信を受ける。自車の進行経路は、分岐点602を通過したあと、経路603を経て目的地604に向かうものである。
【0045】
エージェント制御部310は、着信を受けたとき、着信があったことを示すメッセージをスピーカ314から出力する。これに対して、運転者は、マイク315を介してエージェント制御部310に通話のための一時停車をするか否かを返答する。
【0046】
通話のための一時停車をしない場合、自車は経路603を進行する。ここで、エージェント制御部310は、発信者へ到着時刻を伝えるか否かを運転者に問い合わせるメッセージをスピーカ314から出力する。これに対して、運転者は、マイク315を介してエージェント制御部310に返答をし、到着時刻を伝える場合は到着時刻を、到着時刻を伝えない場合は運転中のため通話できない旨を、発信者に伝えて通話を終了する。そして、自車は経路603を経て目的地604に向かう。
【0047】
通話のための一時停車をする場合、自車は停止可能な場所605を経て目的地604に向かう。自車はそのための経路606を進行する。ここで、エージェント制御部310は、発信者にすぐに停車することを伝えた旨のメッセージをスピーカ314から出力する。ここで、エージェント制御部310は通話を切らず、通話待ち状態にしておく。
【0048】
その後、自車は停止可能な場所605に到着し、通話が可能になる。そこでエージェント制御部310は、停止して通話可能になったことを示すメッセージを出力し、通話待ち状態を解除する。通話終了後、自車は経路606に沿って目的地604に向かう。
【0049】
図7は、この実施例の処理における運転者および発信者へのメッセージの流れを説明するフローチャートである。図7および図8に示されるメッセージは、エージェント制御部310により作成され、スピーカ314および携帯電話317を介して運転者および発信者に送られる。このメッセージの話し手を、仮想的にエージェントと呼ぶことにより、メッセージの流れについて以下のように説明する。
【0050】
まず、着信を受ける(ステップS701)。次に、エージェントは、着信を受けたとき、運転者に「着信があります。停車可能な場所へ案内しましょうか?」というメッセージを出力する。一方で発信者に対しては、「現在運転中です。停止可能か判断しますので少々お待ちください。」というメッセージを出力する(ステップS702)。
【0051】
通話のための一時停止をする場合(ステップS702:停止する)、図8に示す停止可能な場所の案内処理を実行する。通話のための一時停止をしない場合(ステップS702:停止しない)、エージェントは、運転者に「発信者へ運転中であることを報告します。到着時刻を伝えましょうか?」というメッセージを出力する(ステップS703)。
【0052】
これに対して、到着時刻を伝えない場合は(ステップS703:伝えない)、エージェントは、「運転中のため通話できません」というメッセージを発信者に出力し(ステップS704)、通話を終了する。
【0053】
到着時刻を伝える場合(ステップS703:伝える)、エージェントは、「○時○分頃に目的地に到着予定です。到着後、折り返しましょうか?」というメッセージを、発信者に出力する。たとえば到着時刻が20時30分の場合、「20時30分頃に目的地に到着予定です。到着後、折り返しましょうか?」というメッセージになる(ステップS705)。
【0054】
発信者の返答が、折り返しを必要とするものの場合(ステップS705:折り返し)、エージェントは、運転者に「到着後、こちらから折り返し連絡します。」というメッセージを、発信者に「到着次第、折り返し連絡を差し上げます。」というメッセージをそれぞれ出力し(ステップS706)、通話を終了する。
【0055】
発信者の返答が、折り返しを必要としないものの場合(ステップS705:折り返さない)、エージェントは、運転者に「到着後、折り返す必要はありません。」というメッセージを、発信者に「到着まで通話できませんので、ご了承ください」というメッセージをそれぞれ出力し(ステップS707)、通話を終了する。
【0056】
図8は、停止可能な場所の案内処理における運転者および発信者へのメッセージの流れを説明するフローチャートである。まず、停止可能な場所の案内処理の開始後、ナビゲーション制御部300は停止可能な場所を確認する(ステップS801)。次に、停止までの時間を計算し(ステップS802)、所定の時間以内に停止できるかどうかを判定する。この所定の時間は、通話待ち状態にしても特に問題がない程度の時間とすることができ、たとえば1分とすることができる。
【0057】
所定の時間以内に停止できる場合(ステップS802:すぐに停止可能)、エージェントは、運転者に「案内を開始します。発信者へその旨伝えます。」というメッセージを出力する。一方、発信者に「現在、停止可能な場所へ移動中です。少々お待ちください。」というメッセージを出力する。ここで、エージェント制御部310は、通話を切らず通話待ち状態にしておく(ステップS803)。
【0058】
その後、自車は停止可能な場所605に到着し、通話が可能になる。そこでエージェントは、運転者に「電話をつなぎます。」というメッセージを出力し、発信者に「停止しました。運転手に代わります。」というメッセージを出力する(ステップS804)。そして、エージェント制御部310は、通話待ち状態を解除し、通話を開始する。通話終了後、この処理を終了する。
【0059】
所定の時間以内に停止できない場合(ステップS802:すぐに停止できない)、エージェントは、「案内を開始しますが、多少時間がかかりますので、その旨発信者へ伝えます。」というメッセージを作成してスピーカ314から出力する。一方、「停止するまで10分程度かかります。停止後折り返しましょうか?」というメッセージを、発信者に出力する。(ステップS805)。
【0060】
発信者の返答が、折り返しを必要とするものの場合(ステップS805:折り返し)、エージェントは、運転者に「到着後、こちらから折り返します。」というメッセージを、発信者に「到着次第、折り返し連絡を差し上げます。」というメッセージをそれぞれ出力し(ステップS806)、通話を終了する。
【0061】
発信者の返答が、折り返しを必要としないものの場合(ステップS805:折り返さない)、エージェントは、運転者に「到着後、折り返す必要はありません。」というメッセージを、発信者に「到着まで通話できませんので、ご了承ください」というメッセージをそれぞれ出力し(ステップS807)、通話を終了する。
【0062】
以上説明したように、自車が走行状態のとき、運転者には着信が通知され、自車の停止が必要なことが分かる一方で、発信者に通話待ち状態であることを伝えることができる。そして、通話できるか通話できないかというだけの情報ではなく、すぐ通話できるかという情報を、運転者の代理で応答することにより、運転者は運転したままで受話器を取る必要なく発信者に伝えることができる。
【0063】
そして、自車がすぐに停止できる場合には、発信者はすぐに通話できることが分かるので、発信者は通話がつながらないと判断して通話を切って再度かけなおす必要がなく、運転者が通話できる状態になるのを待ってから通話をすることができる。運転者も急いで通話機器をとる必要がなくなり、運転者と発信者の双方が安心できるとともに、安全に停車したあとに通話することができる。
【0064】
自車がすぐに停止できない場合も、その旨を発信者に伝えることができるので、発信者は運転者がすぐには通話できないことを知ることができ、再度のかけなおし時刻を遅らせることができる。その際、到着時刻も発信者に伝えることにより、発信者は運転者に適切な時間に連絡を取ることができる。また、折り返しの要否を運転者に伝えることができるので、運転者は着信があった電話に対して、必要のない電話の場合は対応を急ぐ必要がなくなる。
【0065】
なお、本実施の形態では、図3のハードウェア構成の一例において、ナビゲーション制御部300とエージェント制御部310とを個別に設けた例を示したが、これに限るものでなく、エージェント制御部310がナビゲーション制御部300に含まれるようにしても良い。
【0066】
また、本実施の形態では図3に示すようにハードウェア構成が全て車載機器に含まれる例を示したが、通信手段を設けて、エージェント機能を外部サーバに設定するなどしても良いことはもちろんである。
【0067】
また、本実施の形態で説明した経路誘導方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態にかかる経路誘導装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる経路誘導方法の処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施例にかかる経路誘導装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】着信時の停止案内処理を説明するフローチャートである。
【図5】停止可能な場所の確認処理を説明するフローチャートである。
【図6】自車の進行経路と各地点における処理を説明する説明図である。
【図7】この実施例の処理における運転者および発信者へのメッセージの流れを説明するフローチャートである。
【図8】停止可能な場所の案内処理における運転者および発信者へのメッセージの流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
101 判定部
102 待機案内部
103 停止案内部
104 受付部
105 予定案内部
106 停止判定部
300 ナビゲーション制御部
301 ユーザー操作部
302 位置認識部
303 記録媒体
304 記録媒体デコード部
310 エージェント制御部
311 表示部
312 表示制御部
313 案内音出力部
314 スピーカ
315 マイク
316 音声認識部
317 携帯電話



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置において、
前記車両が走行状態か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記通話機器への発信者に対して通話待ち状態であることを案内する待機案内手段と、
を備えることを特徴とする経路誘導装置。
【請求項2】
前記判定手段によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記車両において該車両の停止を案内する停止案内手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の経路誘導装置。
【請求項3】
前記停止案内手段は、前記車両の停止指示とともに、停止可能な場所への経路を運転者に案内することを特徴とする請求項2に記載の経路誘導装置。
【請求項4】
前記待機案内手段は、前記判定手段によって走行状態でないと判定された場合、前記発信者に対する通話待ち状態を解除することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の経路誘導装置。
【請求項5】
前記停止案内手段によって前記車両の停止が案内された場合に、前記車両を停止させるか否かを示す情報を受け付ける受付手段を備え、
前記待機案内手段は、前記受付手段によって前記車両を停止させないことを示す情報が受け付けられた場合、前記通話機器の発信者に通話できない状態であることを案内することを特徴とする請求項2または3に記載の経路誘導装置。
【請求項6】
前記受付手段によって前記車両を停止させないことを示す情報が受け付けられた場合、前記通話機器への発信者に対して到着予定時刻を案内する予定案内手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の経路誘導装置。
【請求項7】
前記予定案内手段は、前記到着予定時刻とともに、前記発信者に折り返し連絡可能か否かに関する情報を案内することを特徴とする請求項6に記載の経路誘導装置。
【請求項8】
前記受付手段によって前記車両を停止させることを示す情報が受け付けられた場合、前記車両を所定の時間内に停止させることができるか否かを判定する停止判定手段を備え、
前記待機案内手段は、前記停止判定手段によって前記車両を所定の時間内に停止させることができないと判定された場合、前記通話機器への発信者に通話できない状態であることを案内することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の経路誘導装置。
【請求項9】
車両内での通話に使用される通話機器に接続され、該車両の走行経路を誘導する経路誘導装置の経路誘導方法において、
前記車両が走行状態か否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記通話機器への発信者に通話待ち状態であることを案内する待機案内工程と、
を含むことを特徴とする経路誘導方法。
【請求項10】
前記判定工程によって走行状態であると判定され、前記通話機器への通話要求を受けた場合に、前記車両において該車両の停止を案内する停止案内工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の経路誘導方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の経路誘導方法をコンピュータに実行させることを特徴とする経路誘導プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の経路誘導プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−191208(P2006−191208A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382045(P2004−382045)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】