説明

車両

【課題】ユーザが乗り心地に違和感を生じるのを抑制することが可能な車両を提供する。
【解決手段】この自動二輪車1(車両)は、車輪(前輪6および後輪41)と車体との間に設けられるとともに、車輪(前輪6および後輪41)と車体とが相対的に移動するときの伸長方向および圧縮方向の少なくとも一方側の力を減衰させる減衰機構(圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53)を含む懸架装置(右側フロントフォーク18およびリヤサスペンション42)と、減衰機構の減衰力特性を電気的に制御するための制御部29aとを備えている。また、制御部29aは、減衰機構の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成されているとともに、減衰力特性の設定変更を実質的に車両停止状態で許可するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に関し、特に、懸架装置の減衰機構の減衰力特性を電気的に制御するように構成された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される懸架装置の減衰機構の減衰力特性を電気的に制御する減衰特性制御システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、減衰力特性を調整可能な緩衝器(懸架装置の減衰機構)と、緩衝器の減衰特性を調整するECU(ECUの制御部)とを備えた緩衝器の減衰特性制御システムが開示されている。この減衰特性制御システムは、緩衝器の減衰特性を任意の減衰特性に入力可能に構成されており、ユーザにより任意の減衰特性が入力された後、入力された任意の減衰特性が緩衝器に反映されるように変更可能に構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−62550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された緩衝器(懸架装置の減衰機構)の減衰特性制御システムでは、任意の減衰特性に変更することが可能であるため、緩衝器の減衰特性が大幅に変更される際に、ユーザが乗り心地に違和感を生じる場合があるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザが乗り心地に違和感を生じるのを抑制することが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による車両は、車輪と、車体と、車輪と車体との間に設けられるとともに、車輪と車体とが相対的に移動するときの伸長方向および圧縮方向の少なくとも一方側の力を減衰させる減衰機構を含む懸架装置と、懸架装置の減衰機構の減衰力特性を電気的に制御するための制御部とを備え、制御部は、懸架装置の減衰機構の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成されているとともに、減衰力特性の設定変更を実質的に車両停止状態で許可するように構成されている。
【0007】
この一の局面による車両では、上記のように、制御部を、懸架装置の減衰機構の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成しているとともに、減衰力特性の設定変更を実質的に車両停止状態で許可するように構成している。これにより、走行中に減衰力特性が変更されるのを抑制することができるので、走行中の乗り心地が変更されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが乗り心地に違和感を生じるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2〜図6は、図1に示した一実施形態による自動二輪車の構成を詳細に説明するための図である。なお、本実施形態では、本発明の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、矢印FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1の構成について詳細に説明する。
【0010】
本発明の一実施形態による自動二輪車1では、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。また、メインフレーム3には、シートレール4が接続されている。これらのヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレール4によって、車体フレームが構成されている。なお、ヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレール4は、本発明の「車体」の一例である。
【0011】
また、ヘッドパイプ2には、ステアリングシャフト5が取り付けられている。このステアリングシャフト5の上部には、前輪6を操舵するためのハンドル7が取り付けられている。なお、前輪6は、本発明の「車輪」の一例である。また、ハンドル7には、図2に示すように、運転者の手が載置されるグリップ8が設けられており、グリップ8の近傍には、複数のスイッチ部9が設けられている。
【0012】
具体的には、グリップ8に最も近い部分には、ヘッドライト10(図1参照)が照射する方向を調整するためのビーム切替スイッチ9aが設けられている。また、ビーム切替スイッチ9aの下方には、左右(矢印X1方向および矢印X2方向)の各フラッシャー(方向指示ランプ)11(図1参照)を点滅させるための方向指示スイッチ9bが設けられている。また、方向指示スイッチ9bの下方には、図示しないホーン(警笛)を鳴らすためのホーンスイッチ9cが設けられている。
【0013】
ここで、本実施形態では、ビーム切替スイッチ9aの右側(矢印X2方向側)には、後述する圧縮側電子制御バルブ27、圧縮側電子制御バルブ52、伸長側電子制御バルブ28および伸長側電子制御バルブ53の減衰力特性マップの設定変更を行うためのUP/DOWNスイッチ9dが設けられている。このUP/DOWNスイッチ9dは、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fにより構成されており、後述する予め定められた複数の減衰力特性マップ(たとえば、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップD)のうちいずれか1つの減衰力特性マップを選択する(入力する)際などに操作されるように構成されている。なお、UP/DOWNスイッチ9dは、本発明の「第1スイッチ部」の一例である。また、UP/DOWNスイッチ9dの近傍には、後述する圧縮側電子制御バルブ27、圧縮側電子制御バルブ52、伸長側電子制御バルブ28および伸長側電子制御バルブ53の減衰力特性の設定変更(入力した設定を確定させること)を行うためのセレクトスイッチ9gが設けられている。このセレクトスイッチ9gは、UP/DOWNスイッチ9dにより所定の減衰力特性を選択した後に、所定の減衰力特性を選択決定する際などに操作されるように構成されている。なお、セレクトスイッチ9gは、本発明の「第2スイッチ部」の一例である。
【0014】
また、ヘッドパイプ2の前方には、図1に示すように、ヘッドパイプ2の前方を覆うフロントカウル12が設けられている。また、フロントカウル12の後部には、図1および図3に示すように、後述するエンジン38(図1参照)の回転数を表示する回転速度計13aが設けられている。また、回転速度計13aの矢印X1方向側には、図3に示すように、液晶パネルにより構成されている速度計13bが設けられている。また、回転速度計13aの矢印X2方向側には、液晶パネルにより構成されている表示パネル14が設けられている。なお、表示パネル14は、本発明の「表示部」の一例である。この表示パネル14は、自動二輪車1が走行した距離などを表示する機能を有するとともに、後述する圧縮側電子制御バルブ27、圧縮側電子制御バルブ52、伸長側電子制御バルブ28および伸長側電子制御バルブ53の減衰力特性の設定変更が行われる際の設定値(ストロークスピード・減衰力)などを表示する機能を有する。
【0015】
また、フロントカウル12の下方には、図1に示すように、前輪6の上方に配置されるフロントフェンダ15が配置されている。また、前輪6は、一対のフロントフォーク16の下端部に回転可能に取り付けられている。なお、フロントフォーク16は、本発明の「懸架装置」の一例である。このフロントフォーク16は、前輪6と車体とが相対的に移動するときの伸縮する力を減衰させる機能を有する。
【0016】
また、フロントフォーク16は、図4に示すように、走行方向に向かって前輪6の左側に配置される左側フロントフォーク17と、走行方向に向かって右側に配置される右側フロントフォーク18とにより構成されている。この左側フロントフォーク17は、アウターチューブ19およびインナーチューブ20が軸方向に摺動して伸縮可能に設けられるとともに、右側フロントフォーク18は、アウターチューブ21およびインナーチューブ22が軸方向に摺動して伸縮可能に設けられることによって、テレスコピック型に構成されている。また、アウターチューブ19および21は、ステアリングシャフト5に固定されたアンダーブラケット23aおよびアッパーブラケット23bに固定されている。また、インナーチューブ20および21には、アクスルブラケット24および25がそれぞれ設けられているとともに、アクスルブラケット24および25には、前輪6の車軸6aが取り付けられている。
【0017】
また、左側フロントフォーク17には、左側フロントフォーク17の伸縮量を検出するための検出装置26が設けられている一方、右側フロントフォーク18には、右側フロントフォーク18の減衰力特性を調整可能に構成されている圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28が設けられている。なお、圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28は、本発明の「減衰機構」の一例である。これら圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28は、それぞれ、ソレノイドバルブにより構成されており、通電する電流量を制御することによって、弁を流れるオイルの圧力を制御可能なように構成されている。
【0018】
また、検出装置26、圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28は、それぞれ、ECU(電子制御ユニット)29と接続されている。このECU29は、フロントフォーク16および後述するリヤサスペンション42において発生される減衰力を制御する機能を有する。具体的には、ECU29は、図5に示すように、フロントフォーク16、後述するエンジン38およびリヤサスペンション42などを電気的に制御する制御部29aと、後述する圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28のそれぞれの減衰力特性マップなどが記憶されている記憶部29bとを含んでいる。また、ECU29の制御部29aには、メインスイッチ30が接続されており、ECU29は、メインスイッチ30をオンすることにより起動される。なお、ECU29の詳細な構成については、後ほど説明する。
【0019】
また、左側フロントフォーク17の検出装置26は、ストロークセンサにより構成されている。また、検出装置26は、検出された左側フロントフォーク17の伸縮量をECU29に送信可能に構成されている。そして、ECU29の制御部29aは、左側フロントフォーク17の伸縮量から左側フロントフォーク17が圧縮および伸長する際のそれぞれのストロークスピードを検出可能に構成されている。また、制御部29aは、記憶部29bに記憶されている減衰力特性に基づいて、検出したストロークスピードに対応した減衰力により右側フロントフォーク18を減衰させるように、圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28に対して所定の電流を通電させる機能を有する。
【0020】
また、右側フロントフォーク18は、図4に示すように、アウターチューブ21に固定されたロッド部31と、ロッド部31の端部に設けられているピストン部32とを含んでいる。そして、右側フロントフォーク18の内部は、ピストン部32により、圧縮側オイル室18aと、伸長側オイル室18bとに隔てられている。この圧縮側オイル室18aには、オイル通路部33のオイル通路33aが接続されており、オイル通路部33は、圧縮側オイル室18aに充填されているオイルがオイル通路33aに流入され、圧縮側電子制御バルブ27、中間通路33b、33c、チェックバルブ34aおよびオイル通路33dを介して伸長側オイル室18bに流入可能に構成されている。また、伸長側オイル室18bには、オイル通路部33のオイル通路33dが接続されている。オイル通路部33は、伸長側オイル室18bに充填されているオイルがオイル通路33dに流入され、伸長側電子制御バルブ28、中間通路33e、33c、チェックバルブ34bおよびオイル通路33aを介して圧縮側オイル室18aに流入可能に構成されている。また、中間通路33b、33cおよび33eには、リザーバ35に接続されるオイル通路33fが設けられている。
【0021】
また、圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28は、ECU29により、それぞれを通過するオイルの圧力を調整可能に構成されている。そして、圧縮側電子制御バルブ27は、通過するオイルの圧力を小さくするのに従って、右側フロントフォーク18が圧縮される際の減衰力が小さくされるように構成されているとともに、通過するオイルの圧力を大きくするのに従って、右側フロントフォーク18が圧縮される際の減衰力が大きくされるように構成されている。また、伸長側電子制御バルブ28は、通過するオイルの圧力を小さくするのに従って、右側フロントフォーク18が伸長される際の減衰力が小さくされるように構成されているとともに、通過するオイルの圧力を大きくするのに従って、右側フロントフォーク18が伸長される際の減衰力が大きくされるように構成されている。
【0022】
また、メインフレーム3の上部には、図1に示すように、燃料タンク36が配置されている。また、燃料タンク36の後方には、シート37が配置されている。また、メインフレーム3の下方には、エンジン38が取り付けられている。このエンジン38には、エンジン38の図示しないクランク軸の回転数を検出する回転センサ38a(図5参照)が設けられているとともに、エンジン38の図示しない所定のギヤの回転数を検出することにより、自動二輪車1の車速を検出する車速センサ38b(図5参照)が設けられている。また、エンジン38の前方には、エンジン38を冷却するためのラジエーター39が設けられている。また、メインフレーム3の後部には、図示しないピボット軸が設けられている。このピボット軸により、リヤアーム40の前端部が上下に揺動可能に支持されている。このリヤアーム40の後端部には、後輪41が回転可能に取り付けられている。なお、後輪41は、本発明の「車輪」の一例である。
【0023】
また、メインフレーム3の後部の上側には、支持部3aが設けられている。この支持部3aには、リヤサスペンション42の上部取付部43が軸部材44により取り付けられている。なお、リヤサスペンション42は、本発明の「懸架装置」の一例である。また、リヤサスペンション42の下部取付部45は、メインフレーム3の後部の下側に設けられた支持部3bを中心として揺動可能に設けられた揺動部材46に取り付けられている。この揺動部材46の下部は、リヤアーム40の支持部40aに連結部材47によって連結されている。これにより、リヤアーム40が上下に揺動するにともなって、揺動部材46がメインフレーム3の支持部3bを中心として揺動するとともに、リヤサスペンション42を伸縮させることが可能となる。
【0024】
また、リヤサスペンション42は、図6に示すように、一方端部に上部取付部43が設けられたシリンダ部48と、シリンダ部48の内周面を摺動可能に設けられたピストン49と、一方端部がピストン49に取り付けられているとともに、他方端部が下部取付部45に取り付けられているロッド部50とを含んでいる。また、リヤサスペンション42には、リヤサスペンション42の伸縮量を検出するための検出装置51が設けられているとともに、リヤサスペンション42の減衰力特性を調整可能に構成されている圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53が設けられている。なお、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、本発明の「減衰機構」の一例である。これら圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、それぞれ、ソレノイドバルブにより構成されており、通電する電流量を制御することによって、弁を流れるオイルの圧力を制御可能なように構成されている。また、検出装置51、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、それぞれ、フロントフォーク16の検出装置26、圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28と同様、ECU(電子制御ユニット)29と接続されている。
【0025】
また、リヤサスペンション42の検出装置51は、ストロークセンサにより構成されている。また、検出装置51は、図5に示すように、検出されたリヤサスペンション42の伸縮量(ストローク)をECU29に送信可能に構成されている。そして、ECU29の制御部29aは、リヤサスペンション42の伸縮量からリヤサスペンション42が圧縮および伸長する際のそれぞれのストロークスピードを検出可能に構成されている。また、制御部29aは、記憶部29bに記憶されている減衰力特性に基づいて、検出したストロークスピードに対応した減衰力によりリヤサスペンション42を減衰させるように、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53に対して所定の電流を通電させる機能を有する。
【0026】
また、リヤサスペンション42の内部は、ピストン49により、圧縮側オイル室42aと、伸長側オイル室42bとに隔てられている。この圧縮側オイル室42aには、オイル通路部54のオイル通路54aが接続されており、オイル通路部54は、圧縮側オイル室42aに充填されているオイルがオイル通路54aに流入され、圧縮側電子制御バルブ52、中間通路54b、54c、チェックバルブ55aおよびオイル通路54dを介して伸長側オイル室42bに流入可能に構成されている。また、伸長側オイル室42bには、オイル通路部54のオイル通路54dが接続されており、オイル通路部54は、伸長側オイル室42bに充填されているオイルがオイル通路54dに流入され、伸長側電子制御バルブ53、中間通路54e、54c、チェックバルブ55bおよびオイル通路54aを介して圧縮側オイル室42aに流入可能に構成されている。また、中間通路54b、54cおよび54eには、リザーバ56に接続されるオイル通路54fが設けられている。
【0027】
また、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、ECU29により、それぞれを通過するオイルの圧力を調整可能に構成されている。そして、圧縮側電子制御バルブ52は、通過するオイルの圧力を小さくするのに従って、リヤサスペンション42が圧縮される際の減衰力が小さくされるように構成されているとともに、通過するオイルの圧力を大きくするのに従って、リヤサスペンション42が圧縮される際の減衰力が大きくされるように構成されている。また、伸長側電子制御バルブ53は、通過するオイルの圧力を小さくするのに従って、リヤサスペンション42が伸長される際の減衰力が小さくされるように構成されているとともに、通過するオイルの圧力を大きくするのに従って、リヤサスペンション42が伸長される際の減衰力が大きくされるように構成されている。
【0028】
図7は、図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたフロントフォークまたはリヤサスペンションに設けられている電子制御バルブの減衰力特性を示したグラフである。図8〜図10は、図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が設定される際のモードの移行を説明するためのモード遷移図である。図11は、図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が設定される際における詳細設定変更モードを説明するための図である。次に、図5および図7〜図11を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1のECU29の構成について詳細に説明する。
【0029】
図5に示すように、本実施形態による自動二輪車1のECU29は、上記したように、自動二輪車1の各部を電気的に制御する制御部29aと、右側フロントフォーク18の圧縮側電子制御バルブ27および伸長側電子制御バルブ28、および、リヤサスペンション42の圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のそれぞれの減衰力特性が記憶されている記憶部29bとを含んでいる。この記憶部29bに記憶されている減衰力特性は、サーキットマップA(CIRCUIT)、スポーツマップB(SPORTS)、ノーマルマップC(NORMAL)およびコンフォートマップD(COMFORT)(それぞれ図7参照)の走行状態に応じた減衰力特性マップによって構成されている。なお、減衰力特性マップは、フロントフォーク16およびリヤサスペンション42が相対的に伸縮する際のストロークスピードと、そのストロークスピードに対応する減衰力との関係を表したグラフである。また、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップD(それぞれ図7参照)は、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53について、それぞれ、別々に設けられている。すなわち、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップD(それぞれ図7参照)は、フロントフォーク16の圧側および伸び側の両方について設けられているとともに、リヤサスペンション42の圧側および伸び側の両方について設けられている。
【0030】
サーキットマップAは、図7に示すように、自動二輪車1をサーキットなどで走行させる際に最も適した減衰力特性を示す減衰力特性マップである。サーキットマップAは、ストロークスピードVに対応する減衰力FAが、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDのそれぞれのストロークスピードVに対応する減衰力FB、FCおよびFDと比べて、大きくなるように構成されている。すなわち、サーキットマップAは、障害物を乗り越えた時の周期運動が素早く収束されるような特性を有しており、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDと比べて、自動二輪車1の姿勢を素早く安定させることが可能である。その一方、サーキットマップAは、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDと比べて、最も路面の凹凸が吸収され難い特性を有する。
【0031】
また、スポーツマップBは、自動二輪車1を高速走行させる際に最も適した減衰力特性を示す減衰力特性マップである。スポーツマップBは、ストロークスピードVに対応する減衰力FBが、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDのそれぞれのストロークスピードVに対応する減衰力FCおよびFDと比べて、大きくなるように構成されている。すなわち、スポーツマップBは、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDと比べて、障害物を乗り越えた時の周期運動が素早く収束されるような特性を有しており、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDと比べて、自動二輪車1の姿勢を素早く安定させることが可能である。その一方、スポーツマップBは、サーキットマップAと比べて、路面の凹凸が吸収されやすい特性を有する。
【0032】
また、ノーマルマップCは、自動二輪車1を郊外路において走行させる際に最も適した標準的な減衰力特性を示す減衰力特性マップである。ノーマルマップCは、ストロークスピードVに対応する減衰力FCが、コンフォートマップDのストロークスピードVに対応する減衰力FDと比べて、大きくなるように構成されている。すなわち、ノーマルマップCは、コンフォートマップDと比べて、障害物を乗り越えた時の周期運動が素早く収束されるような特性を有しており、コンフォートマップDと比べて、自動二輪車1の姿勢を素早く安定させることが可能である。その一方、ノーマルマップCは、サーキットマップAおよびスポーツマップBと比べて、路面の凹凸が吸収されやすい特性を有する。
【0033】
また、コンフォートマップDは、自動二輪車1を石畳のような凹凸が多い路面において走行させる際に最も適した減衰力特性を示す減衰力特性マップである。コンフォートマップDは、ストロークスピードVに対応する減衰力FDが、サーキットマップA、スポーツマップBおよびノーマルマップCのそれぞれのストロークスピードVに対応する減衰力FA,FBおよびFCと比べて、小さくなるように構成されている。すなわち、コンフォートマップDは、サーキットマップA、スポーツマップBおよびノーマルマップCと比べて、路面の凹凸が吸収されやすい特性を有している。その一方、コンフォートマップDは、サーキットマップA、スポーツマップBおよびノーマルマップCと比べて、障害物を乗り越えた時の周期運動が素早く収束され難い特性を有する。
【0034】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、メインスイッチ30(図5参照)がオンされることにより、制御部29a(図5参照)は、記憶部29b(図5参照)より前回オフされた時点で実行されていた減衰力特性マップを呼び出すように構成されている。そして、制御部29aは、記憶部29b(図5参照)に格納されているサーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDの4種類の減衰力特性マップのいずれか1つの減衰力特性マップを選択可能なマップ選択モードM1に移行するように構成されている。このマップ選択モードM1は、選択されたいずれか1つの減衰力特性マップを選択決定可能に構成されている。
【0035】
具体的には、制御部29aは、マップ選択モードM1において、UP/DOWNスイッチ9d(図2参照)のUPスイッチ9eがユーザにより押圧されることにより、コンフォートマップD、ノーマルマップC、スポーツマップBおよびサーキットマップAの順に減衰力特性マップを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9fが押圧されることにより、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDの順に減衰力特性マップを選択可能に構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されている減衰力特性マップが点灯されるように構成されており、減衰力特性マップがサーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDのいずれの減衰力特性マップが選択されているかを示す機能を有する。
【0036】
また、制御部29aは、マップ選択モードM1において、4種類の減衰力特性マップのいずれか1つの減衰力特性マップを選択決定した後に、セレクトスイッチ9gを所定の時間(約2秒間)以上押圧した場合、右側フロントフォーク18の圧縮側電子制御バルブ27(Front_comp)および伸長側電子制御バルブ28(Front_reb)、および、リヤサスペンション42の圧縮側電子制御バルブ52(Rear_comp)および伸長側電子制御バルブ53(Rear_reb)のいずれか1つのバルブを選択可能なバルブ選択モードM2に移行するように構成されている。このバルブ選択モードM2および後述する減衰力調整モードM3は、マップ選択モードM1において選択した減衰力特性マップを微調整するために設けられている。
【0037】
具体的には、バルブ選択モードM2では、制御部29a(図5参照)は、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)がユーザにより押圧されることにより、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53の順に減衰力の調整を行いたいバルブを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、伸長側電子制御バルブ53が選択されている状態において、さらにUPスイッチ9eが押圧された際には、圧縮側電子制御バルブ27が選択されるように構成されている。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9f(図5参照)が押圧されることにより、伸長側電子制御バルブ53、圧縮側電子制御バルブ52、伸長側電子制御バルブ28および圧縮側電子制御バルブ27の順に減衰力の調整を行いたいバルブを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、圧縮側電子制御バルブ27が選択されている状態において、さらにDOWNスイッチ9fが押圧された際には、伸長側電子制御バルブ53が選択されるように構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されているバルブが点滅されるように構成されており、バルブが圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のいずれのバルブが選択されているかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のいずれか1つのバルブが選択された後に、セレクトスイッチ9g(図5参照)が押圧されることにより、上記4種類のバルブのいずれか1つのバルブを選択決定可能に構成されている。
【0038】
また、制御部29aは、バルブ選択モードM2において、上記4種類のバルブのいずれか1つのバルブを選択決定するためにセレクトスイッチ9gが押圧されることにより、上記4種類のバルブのいずれか1つのバルブを選択決定するとともに、選択されたいずれか1つのバルブの減衰力を、マップ選択モードM1において選択された減衰力特性マップを基準に−15%〜+15%の範囲で減衰力を調整可能な減衰力調整モードM3に移行するように構成されている。なお、バルブ選択モードM2において、バルブを選択することなくセレクトスイッチ9gを所定の時間(約2秒間)以上押圧した場合、制御部29aは、バルブ選択モードM2からマップ選択モードM1に移行するように構成されている。
【0039】
減衰力調整モードM3において、制御部29a(図5参照)は、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)が押圧されることにより、選択されたバルブの減衰力を、基準値の減衰力から+1%刻みで最大+15%まで大きくなるように選択可能に構成されている。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9fが押圧されることにより、選択されたバルブの減衰力を、基準値から−1%刻みで最小−15%まで小さくなるように選択可能に構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されている減衰力の基準値に対する増減率が点滅されるように構成されており、選択されている増減率が何%であるかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、減衰力の基準値に対する増減率が選択された後に、セレクトスイッチ9g(図5参照)が押圧されることにより、選択された増減率を選択決定可能に構成されている。また、減衰力調整モードM3において増減率を選択決定するためにセレクトスイッチ9gが押圧されることにより、制御部29aは、減衰力の増減率を選択決定するとともに、バルブ選択モードM2に戻るように構成されている。
【0040】
ここで、本実施形態では、制御部29a(図5参照)は、上記マップ選択モードM1において、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)およびDOWNスイッチ9f(図5参照)のいずれか一方を所定の時間(約2秒間)以上押圧した場合に、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53(それぞれ図5参照)のそれぞれが後述するプログラム設定により設定された減衰力特性を有した状態で走行可能なプログラム走行モードP0に移行可能に構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、プログラム走行モードP0の状態において、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方が時間t1(約2秒間)以上押圧(入力)されると同時に、セレクトスイッチ9gが時間t1(約2秒間)以上押圧(入力)されることによって、エンジン38の車速センサ38bに検出された自動二輪車1の車速がαkm/h(約2km/h)未満であり、実質的に車両停止状態であると制御部29aが判断した場合に、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1(図9および図10参照)に移行可能に構成されている。なお、任意減衰特性設定モードP1は、本発明の「詳細設定変更モード」の一例である。このとき、制御部29aがαkm/h(約2km/h)以上の車速であり、実質的に車両停止状態ではないと判断した場合には、制御部29aは、プログラム走行モードP0から任意減衰特性設定モードP1に移行しないように制御するように構成されている。この際、制御部29aは、前回使用されていた減衰力特性を記憶部29bから呼び出すように構成されている。この場合、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、前回使用されていた減衰力特性により作動するように構成されている。
【0042】
ここで、本実施形態では、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)は、図9および図10に示すように、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53(それぞれ図5参照)のそれぞれの減衰力特性を詳細に設定可能に構成されている。なお、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)は、マップ選択モードM1、バルブ選択モードM2および減衰力調整モードM3において減衰力特性マップの減衰力を全体的に上昇または減少させるように行われる減衰力調整と異なり、フロントフォーク16およびリヤサスペンション42がそれぞれ伸縮する際のストロークスピードに対応する減衰力を詳細に設定することが可能である。また、任意減衰特性設定モードP1は、記憶部29b(図5参照)に格納されているサーキットマップA(CIRCUIT)、スポーツマップB(SPORTS)、ノーマルマップC(NORMAL)およびコンフォートマップD(COMFORT)の4種類の減衰力特性マップのいずれか1つのマップ選択モードP2から開始されるように構成されている。
【0043】
マップ選択モードP2において、制御部29a(図5参照)は、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)が押圧されることにより、コンフォートマップD、ノーマルマップC、スポーツマップBおよびサーキットマップAの順に減衰力特性マップを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9f(図5参照)が押圧されることにより、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDの順に減衰力特性マップを選択可能に構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されている減衰力特性マップが点滅されるように構成されており、選択されている減衰力特性マップがサーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDのいずれの減衰力特性マップが選択されているかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップDのいずれか1つの減衰力特性マップが選択された後に、セレクトスイッチ9g(図5参照)が押圧されることにより、4種類の減衰力特性マップのいずれか1つの減衰力特性マップを選択決定可能に構成されている。
【0044】
また、制御部29aは、マップ選択モードP2において、4種類の減衰力特性マップのいずれか1つの減衰力特性マップを選択決定した後に、右側フロントフォーク18の圧縮側電子制御バルブ27(Front_comp)および伸長側電子制御バルブ28(Front_reb)、および、リヤサスペンション42の圧縮側電子制御バルブ52(Rear_comp)および伸長側電子制御バルブ53(Rear_reb)のいずれか1つのバルブを選択および選択決定可能なバルブ選択モードP3に移行するように構成されている。具体的には、制御部29aは、マップ選択モードP2において減衰力特性マップが選択された後、セレクトスイッチ9gが押圧された際に、減衰力特性マップを選択決定するとともに、バルブ選択モードP3に移行するように構成されている。
【0045】
バルブ選択モードP3において、制御部29aは、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eが押圧されることにより、伸長側電子制御バルブ53(Rear_reb)、圧縮側電子制御バルブ52(Rear_comp)、伸長側電子制御バルブ28(Front_rebおよび圧縮側電子制御バルブ27(Front_comp)の順に減衰力の調整を行いたいバルブを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、圧縮側電子制御バルブ27が選択されている状態において、さらにUPスイッチ9eが押圧された際には、伸長側電子制御バルブ53が選択されるように構成されている。また、バルブ選択モードP3において、制御部29aは、DOWNスイッチ9fが押圧されることにより、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53の順に減衰力の調整を行いたいバルブを選択可能に構成されている。また、制御部29aは、伸長側電子制御バルブ53が選択されている状態において、さらにDOWNスイッチ9fが押圧された際には、圧縮側電子制御バルブ27が選択されるように構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されているバルブが点滅されるように構成されており、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のいずれのバルブが選択されているかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のいずれか1つのバルブが選択された後に、セレクトスイッチ9gが押圧されることにより、上記4種類のバルブのいずれか1つのバルブを選択決定可能に構成されている。なお、バルブ選択モードP3においてセレクトスイッチ9gが押圧された場合(約2秒以内)、制御部29aは、バルブ選択モードP3からマップ選択モードP2に移行するように構成されている。
【0046】
そして、制御部29aは、バルブ選択モードP3において、上記4種類のバルブのいずれか1つのバルブを選択決定した後に、セレクトスイッチ9gが所定の時間(約2秒間)以上押圧されることにより、選択決定されたバルブの減衰力を詳細に設定変更可能な詳細数値変更モードP4(図10参照)に移行されるように構成されている。詳細数値変更モードP4は、図10に示すように、右側フロントフォーク18またはリヤサスペンション42が伸縮する際のストロークスピードを選択および選択決定可能なストロークスピード設定モードP41と、右側フロントフォーク18またはリヤサスペンション42が、ストロークスピード設定モードP41において設定されたストロークスピードに対応して発生させる減衰力を選択および選択決定可能な減衰力設定モードP42とにより構成されている。そして、詳細数値変更モードP4では、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のそれぞれについて、ストロークスピードに対応して発生させる減衰力を詳細に設定可能に構成されている。
【0047】
制御部29aは、バルブ選択モードP3から詳細数値変更モードP4に移行された際に、ストロークスピード設定モードP41に移行されるように構成されている。また、制御部29aは、ストロークスピード設定モードP41において、減衰力を設定したいストロークスピードを、フロントフォーク16の場合、たとえば、0.1m/sから1.0m/sまで0.1m/s刻みの10段階で選択可能に構成されている。具体的には、制御部29aは、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eが押圧されることにより、減衰力を設定したいストロークスピードを0.1m/s刻みで大きくなるように選択可能に構成されている。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9fが押圧されることにより、減衰力を設定したいストロークスピードを0.1m/s刻みで小さくなるように選択可能に構成されている。この際、表示パネル14は、現在選択されているストロークスピードの値が点滅されるように構成されており、選択されているストロークスピードがいくらであるかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、ストロークスピードが選択された後に、セレクトスイッチ9gが押圧されることにより、選択されたストロークスピードを選択決定可能に構成されている。また、ストロークスピードを選択決定後、制御部29aは、選択決定されたストロークスピード(たとえばストロークスピードV1)に対応する減衰力を設定可能な減衰力設定モードP42に移行するように構成されている。
【0048】
そして、制御部29aは、図10および図11に示すように、減衰力設定モードP42において、上記ストロークスピード(たとえばストロークスピードV1)を選択決定した後に、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)が押圧されることにより、ストロークスピードV1に対応する減衰力(たとえば減衰力F1)を、フロントフォーク16の場合、たとえば、基準値の減衰力F1から+20N刻みで最大(F1+100)Nまで大きくなるように選択可能に構成されている。なお、リヤサスペンション42の場合、ストロークスピードV1に対応する減衰力(たとえば減衰力F1)を、基準値の減衰力F1から+50N刻みで最大(F1+250)Nまで大きくなるように選択することが可能である。また、制御部29aは、DOWNスイッチ9f(図5参照)が押圧されることにより、ストロークスピードV1に対応する減衰力F1を、フロントフォーク16の場合、たとえば、基準値の減衰力F1から−20N刻みで最小(F1−100)Nまで小さくなるように選択可能に構成されている。なお、リヤサスペンション42の場合、ストロークスピードV1に対応する減衰力(たとえば減衰力F1)を、基準値の減衰力F1から−50N刻みで最小(F1−250)Nまで小さくなるように選択することが可能である。この際、表示パネル14は、現在選択されている減衰力が点滅されるように構成されており、選択されている減衰力がいくらであるかを示す機能を有する。そして、制御部29aは、ストロークスピードV1に対応する減衰力が選択された後に、セレクトスイッチ9gが押圧されることにより、選択された減衰力を選択決定可能に構成されている。また、ストロークスピードV1に対応する減衰力を選択決定後、制御部29aは、ストロークスピード設定モードP41に戻るように構成されている。つまり、詳細数値変更モードP4は、ストロークスピード設定モードP41と減衰力設定モードP42との間を往復可能に構成されているため、減衰力特性を詳細に設定することが可能である。
【0049】
また、図10には、圧縮側電子制御バルブ27の詳細数値変更モードP4が示されているが、圧縮側電子制御バルブ27以外の伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53についても、詳細数値変更モードP4により上記のように設定することが可能である。
【0050】
このように詳細数値変更モードP4では、0.1m/s〜1.0m/sの間の10段階のストロークスピードにおいて、それぞれの減衰力を設定することが可能であるため、ストロークスピードに対応して発生させる減衰力を詳細に設定することが可能である。
【0051】
また、制御部29aは、詳細数値変更モードP4において、セレクトスイッチ9gが所定の時間(約2秒間)以上押圧されることにより、バルブ選択モードP3に移行可能に構成されている。このようにバルブ選択モードP3と、詳細数値変更モードP4とを切替可能に構成することによって、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のそれぞれについて減衰力を詳細に設定することが可能である。
【0052】
また、任意減衰特性設定モードP1において、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方が時間t2(約5秒間)以上押圧された場合、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1を終了するとともに、プログラム走行モードP0に移行可能に構成されている。この際、制御部29aは、マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4において設定した設定を確定するとともに、確定した設定を記憶部29bに保存するように構成されている。そして、任意減衰特性設定モードP1により設定された減衰力特性を有した状態で、自動二輪車1を走行させることが可能となる。なお、時間t2は、本発明の「第2の時間」の一例である。
【0053】
また、本実施形態では、制御部29aは、車速が所定の車速αkm/h(約2km/h)以下の状態で、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53における減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を許可するように構成されている。具体的には、エンジン38の車速センサ38bに検出された自動二輪車1の車速がαkm/h(約2km/h)以下であると制御部29aが判断し、かつ、後述するエンジン38が停止している状態であると制御部が判断した場合、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)に移行可能に構成されている。これにより、任意の減衰力特性を設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)の状態である場合で、かつ、エンジン38の車速センサ38bに検出された自動二輪車1の車速がαkm/h(約2km/h)以上であり、実質的に車両停止状態ではないと制御部29aが判断した場合、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1を強制的に終了させるように構成されている。これにより、走行中に減衰力特性が変更されるのを抑制することができるので、走行中の乗り心地が変更されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが乗り心地の違和感を生じるのを抑制することができる。この際、制御部29aは、設定(入力)途中のデータを記憶部29bに保存するように制御するように構成されている。また、この際、制御部29aは、前回使用されていた減衰力特性を記憶部29bから呼び出すように構成されており、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、前回使用されていた(任意減衰特性設定モードP1に移行する前の)減衰力特性により作動するように構成されている。
【0055】
また、本実施形態では、制御部29aは、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53における減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を実質的にエンジン38が停止している状態で許可するように構成されている。具体的には、エンジン38の回転センサ38aに検出された自動二輪車1の図示しないクランク軸の回転数がβr/min(0r/min)未満であると制御部29aが判断した場合、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)に移行可能に構成されている。これにより、任意の減衰力特性を設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)することが可能となる。
【0056】
また、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3、および詳細数値変更モードP4)の状態である場合で、かつ、エンジン38の回転センサ38aに検出された自動二輪車1の図示しないクランク軸の回転数がβr/min(0r/min)以上であると制御部29aが判断した場合、制御部29aは、任意減衰特性設定モードP1を強制的に終了させるように構成されている。つまり、エンジン38が動作している際には、任意減衰特性設定モードP1が強制的に終了される。この際、制御部29aは、設定途中のデータを記憶部29bに保存するように制御するように構成されている。また、この際、制御部29aは、前回使用されていた減衰力特性を記憶部29bから呼び出すように構成されており、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53は、前回使用されていた(任意減衰特性設定モードP1に移行する前の)減衰力特性により作動するように構成されている。
【0057】
また、本実施形態では、制御部29aは、実質的に車両停止状態であるか否かを所定の時間間隔t3(約10msec〜約50msec)で確認するように構成されている。具体的には、制御部29aは、約10msec〜約50msec毎に自動二輪車1の車速センサ38bに基づいて車速を検出するように構成されており、車速がαkm/h(約2km/h)以上である場合に、減衰力特性の詳細な設定(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を行うことができないように構成されている。すなわち、制御部29aは、任意の減衰力特性の入力を行うことが可能な状態であるか否かを判断するように構成されている。この際、制御部29aは、自動二輪車1の車速がαkm/h(約2km/h)未満である場合、回転センサ38aに基づいてエンジン38の回転数も検出するように構成されている。
【0058】
図12は、プログラム設定モードにおいて任意の減衰力特性の入力が許可される際の処理フローを説明するためのフローチャートである。次に、図5、図8〜図10および図12を参照して、プログラム設定モードにおいて任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作について詳細に説明する。
【0059】
まず、図12に示すように、ステップS1において、制御部29a(図5参照)によりプログラム走行モードP0(図8参照)または任意減衰特性設定モードP1(図9参照)のいずれかの状態であるか否かが判断される。そして、ステップS1において、プログラム走行モードP0または任意減衰特性設定モードP1のいずれかの状態でないと判断された場合には、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。
【0060】
また、ステップS1において、プログラム走行モードP0の状態であると判断された場合には、ステップS2に進む。
【0061】
ここで、本実施形態では、ステップS2において、制御部29aにより、エンジン38(図5参照)の車速センサ38b(図5参照)により検出された車速がαkm/h(約2km/h)未満であるか否かが判断される。そして、ステップS2において、検出された車速がαkm/h(約2km/h)未満でないと判断された場合には、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS2において、検出された車速がαkm/h(約2km/h)未満であると判断された場合には、車両が実質的に停止状態であると判断して、ステップS3に進む。
【0062】
次に、本実施形態では、ステップS3において、制御部29aにより、エンジン38の回転数センサ38a(図5参照)により検出された図示しないクランク軸の回転数がβr/min(0r/min)未満であるか否かが判断される。すなわち、制御部29aにより、エンジン38が動作していないか否かが判断される。そして、ステップS3において、検出された回転数がβr/min(0r/min)未満でないと判断された場合には、車両が実質的に停止状態ではないと判断して、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS3において、検出された回転数がβr/min(0r/min)未満であると判断された場合には、車両が実質的に停止状態であると判断して、ステップS4に進む。
【0063】
その後、ステップS4において、制御部29aにより、任意減衰特性設定モードP1の状態であるか否かが判断される。そして、ステップS4において、制御部29aが任意減衰特性設定モードP1の状態であると判断された場合には、後述するステップS10に進む。また、ステップS4において、任意減衰特性設定モードP1の状態でないと判断された場合には、ステップS5に進む。
【0064】
そして、ステップS5において、制御部29aにより、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9e(図5参照)およびDOWNスイッチ9f(図5参照)のいずれか一方がオン(押圧)されると同時に、セレクトスイッチ9gがオン(押圧)されたか否かが判断される。そして、ステップS5において、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方がオン(押圧)されると同時に、セレクトスイッチ9gがオン(押圧)されていないと判断された場合には、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS5において、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方がオン(押圧)されると同時に、セレクトスイッチ9gがオン(押圧)されたと判断された場合には、ステップS6に進む。
【0065】
その後、ステップS6において、制御部29aにより、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方と、セレクトスイッチ9gとが押圧された状態のままで、t1秒(約2秒)(図8参照)以上経過したか否かが判断される。すなわち、プログラム走行モードP0(図8参照)から任意減衰特性設定モードP1(図9参照)に移行されるように、ユーザにより操作されたか否かが判断される。そして、ステップS6において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方と、セレクトスイッチ9gとが押圧された状態のままで、t1秒(約2秒)以上経過していないと判断された場合には、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS6において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方と、セレクトスイッチ9gとが押圧された状態のままで、t1秒(約2秒)以上経過したと判断された場合には、ステップS7に進む。
【0066】
その後、ステップS7において、制御部29aにより、前回の任意減衰特性設定モードP1の状態であった時、入力を受け付けている途中に任意減衰特性設定モードP1が終了され、記憶部29b(図5参照)に保存された入力中のデータが存在するか否かが判断される。そして、ステップS7において、記憶部29bに入力中のデータが存在すると判断された場合には、ステップS8に進み、記憶部29bから入力中のデータが呼び戻されて、ステップS9に進む。これにより、前回入力していた入力中の減衰力特性データを、最初から入力することなく、引き続き減衰力特性を入力することが可能となる。また、ステップS7において、記憶部29bに入力中のデータが存在しないと判断された場合には、ステップS9に進む。
【0067】
そして、ステップS9においては、制御部29aにより、任意減衰特性設定モードP1に移行される。この場合、ユーザの所定の操作により、マップ選択モードP2(図9参照)、バルブ選択モードP3(図9参照)および詳細数値変更モードP4(図10参照)に移行されるとともに、図9および図10のそれぞれのモード遷移図に沿って制御部29aにより制御されることにより、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53のそれぞれの減衰力特性が、任意の減衰力特性に設定される。
【0068】
その後、ステップS10において、制御部29aにより、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方がオン(押圧)されたか否かが判断される。そして、ステップS10において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方がオンされていないと判断された場合には、任意減衰特性設定モードP1が終了されずに、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS10において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方がオンされたと判断された場合には、ステップS11に進む。
【0069】
そして、ステップS11において、制御部29aにより、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方が押圧された状態のままで、t2秒(約5秒)(図8参照)以上経過したか否かが判断される。すなわち、任意減衰特性設定モードP1が終了されるのに伴って、任意減衰特性設定モードP1からプログラム走行モードP0に移行されるように、ユーザにより操作されたか否かが判断される。そして、ステップS11において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方が押圧された状態のままで、t2秒(約5秒)以上経過していないと判断された場合には、任意減衰特性設定モードP1が終了されずに、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。また、ステップS11において、UPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方が押圧された状態のままで、t2秒(約5秒)以上経過したと判断された場合には、ステップS12に進む。
【0070】
その後、ステップS12において、任意減衰特性設定モードP1(マップ選択モードP2、バルブ選択モードP3および詳細数値変更モードP4)において入力された入力設定が確定されるとともに、ステップS13に進む。そして、ステップS13において、任意減衰特性設定モードP1を終了させた後、任意の減衰力特性の入力が許可される際の制御部29aの処理動作が終了される。
【0071】
次に、図5および図6を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1のリヤサスペンション42の動作について説明する。
【0072】
まず、リヤサスペンション42(図6参照)に伸長する方向の力が作用した場合について説明する。リヤサスペンション42に伸長する方向の力が作用すると、リヤサスペンション42が伸長されることにより、減衰力が発生する。
【0073】
具体的には、図6に示すように、ピストン49が伸長側オイル室42bの方に移動されると、伸長側オイル室42bの油圧が上昇する。そして、伸長側オイル室42b内のオイルが、オイル通路部54のオイル通路54dに流入され、伸長側電子制御バルブ53に流入される。このとき、リヤサスペンション42の伸長側へのストロークスピードに応じて、ECU29の制御部29a(図5参照)が所定の電流を伸長側電子制御バルブ53に通電するように制御することにより、伸長側電子制御バルブ53の弁圧が調整される。これにより、伸長側電子制御バルブ53を通過するオイルの圧力が調整されるので、伸長側電子制御バルブ53で発生される減衰力が調整される。そして、伸長側電子制御バルブ53を通過したオイルは、中間通路54eおよび中間通路54cを介してチェックバルブ55bに流入され、チェックバルブ55bに流入されたオイルは、オイル通路54aを介して圧縮側オイル室42aに流入される。
【0074】
次に、リヤサスペンション42に圧縮する方向の力が作用した場合について説明する。リヤサスペンション42に圧縮する方向の力が作用すると、リヤサスペンション42が短縮されることにより、減衰力が発生する。
【0075】
具体的には、ピストン49が圧縮側オイル室42aの方に移動されると、圧縮側オイル室42aの油圧が上昇する。そして、圧縮側オイル室42a内のオイルが、オイル通路部54のオイル通路54aに流入され、圧縮側電子制御バルブ52に流入される。このとき、リヤサスペンション42の圧縮側へのストロークスピードに応じて、ECU29の制御部29a(図5参照)が所定の電流を圧縮側電子制御バルブ52に通電するように制御することにより、圧縮側電子制御バルブ52の弁圧が調整される。これにより、圧縮側電子制御バルブ52を通過するオイルの圧力が調整されるので、圧縮側電子制御バルブ52で発生される減衰力が調整される。そして、圧縮側電子制御バルブ52を通過したオイルは、中間通路54bおよび中間通路54cを介してチェックバルブ55aに流入され、チェックバルブ55aに流入されたオイルは、オイル通路54dを介して伸長側オイル室42bに流入される。
【0076】
次に、図4および図5を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1の右側フロントフォーク18の動作について説明する。
【0077】
まず、右側フロントフォーク18(図4参照)に伸長する方向の力が作用した場合について説明する。右側フロントフォーク18に伸長する方向の力が作用すると、右側フロントフォーク18が伸長されることにより、減衰力が発生する。
【0078】
具体的には、図4に示すように、ピストン32が伸長側オイル室18bの方に移動されると、伸長側オイル室18bの油圧が上昇する。そして、伸長側オイル室18b内のオイルが、オイル通路部33のオイル通路33dに流入され、伸長側電子制御バルブ28に流入される。このとき、右側フロントフォーク18の伸長側へのストロークスピードに応じて、ECU29の制御部29a(図5参照)が所定の電流を伸長側電子制御バルブ28に通電するように制御することにより、伸長側電子制御バルブ28の弁圧が調整される。これにより、伸長側電子制御バルブ28を通過するオイルの圧力が調整されるので、伸長側電子制御バルブ28で発生される減衰力が調整される。そして、伸長側電子制御バルブ28を通過したオイルは、中間通路33eおよび中間通路33cを介してチェックバルブ34bに流入され、チェックバルブ34bに流入されたオイルは、オイル通路33aを介して圧縮側オイル室18aに流入される。
【0079】
次に、右側フロントフォーク18に圧縮する方向の力が作用した場合について説明する。右側フロントフォーク18に圧縮する方向の力が作用すると、右側フロントフォーク18が短縮されることにより、減衰力が発生する。
【0080】
具体的には、ピストン32が圧縮側オイル室18aの方に移動されると、圧縮側オイル室18aの油圧が上昇する。そして、圧縮側オイル室18a内のオイルが、オイル通路部33のオイル通路33aに流入され、圧縮側電子制御バルブ27に流入される。このとき、右側フロントフォーク18の圧縮側へのストロークスピードに応じて、ECU29の制御部29a(図5参照)が所定の電流を圧縮側電子制御バルブ27に通電するように制御することにより、圧縮側電子制御バルブ27の弁圧が調整される。これにより、圧縮側電子制御バルブ27を通過するオイルの圧力が調整されるので、圧縮側電子制御バルブ27で発生される減衰力が調整される。そして、圧縮側電子制御バルブ27を通過したオイルは、中間通路33bおよび中間通路33cを介してチェックバルブ34aに流入され、チェックバルブ34aに流入されたオイルは、オイル通路33dを介して伸長側オイル室18bに流入される。
【0081】
本実施形態では、上記のように、制御部29aを、右側フロントフォーク18およびリヤサスペンション42の減衰機構(圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53)の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)可能に構成しているとともに、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を実質的に車両停止状態で許可するように構成している。これにより、走行中に減衰力特性が変更されるのを抑制することができるので、走行中の乗り心地が変更されるのを抑制することができる。その結果、ユーザが乗り心地の違和感を生じるのを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、車速が所定の車速αkm/h(約2km/h)以下の状態で、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を許可するように構成している。これにより、自動二輪車1が実質的に車両停止状態の場合のみ減衰力特性の設定変更を行うことができるので、走行中に減衰力特性が変更されるのを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を実質的にエンジン38が停止している状態で許可するように構成されている。これにより、自動二輪車1を実質的に車両停止状態の場合のみ減衰力特性の設定変更を行うことができるので、走行中に減衰力特性が変更されるのを抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、フロントフォーク16(右側フロントフォーク18)およびリヤサスペンション42の減衰機構(圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53)の減衰力特性を表示するための表示パネル14を設けている。これにより、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53の減衰力特性を設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)する際の入力状況を視覚的に確認することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、ハンドル7のグリップ8近傍に、圧縮側電子制御バルブ27、伸長側電子制御バルブ28、圧縮側電子制御バルブ52および伸長側電子制御バルブ53の減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を行うためのUP/DOWNスイッチ9dおよびセレクトスイッチ9gを設けている。これにより、通常、ユーザは、自動二輪車1を支える際に、グリップ8を握るので、減衰力特性の変更の際に、グリップ8近傍に設けられたUP/DOWNスイッチ9dおよびセレクトスイッチ9gを、容易に、操作することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方側が時間t1(約2秒)以上押圧されると同時に、セレクトスイッチ9gが時間t1(約2秒)以上押圧された際に、任意減衰特性設定モードP1が開始されるように制御するように構成している。これにより、ユーザが誤ってグリップ8近傍のUP/DOWNスイッチ9dおよびセレクトスイッチ9gを押圧した場合に、任意減衰特性設定モードP1に移動するのを抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、車両停止状態でUP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方側が入力されることにより、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)が実行されるとともに、任意減衰特性設定モードP1が終了されるように制御するように構成している。これにより、容易に、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を実行することができるとともに、任意減衰特性設定モードP1を終了させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、UP/DOWNスイッチ9dのUPスイッチ9eおよびDOWNスイッチ9fのいずれか一方側が時間t2(約5秒)以上押圧された際に、任意減衰特性設定モードP1が終了されるように制御するように構成している。これにより、ユーザが誤ってグリップ8近傍のUP/DOWNスイッチ9dを押圧した場合に、任意減衰特性設定モードP1が終了されるのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、UP/DOWNスイッチ9dおよびセレクトスイッチ9gを、それぞれ、複数の減衰力特性(サーキットマップA、スポーツマップB、ノーマルマップCおよびコンフォートマップD)のいずれか1つの減衰力特性を選択するとともに、選択を決定するために設けている。これにより、容易に、減衰力特性を選択するとともに、選択を決定することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)が行われている途中に車両停止状態でなくなった場合、減衰力特性の設定変更を行うことができないように制御するように構成している。これにより、走行しながら減衰力特性の設定変更を行うことができなくなるので、ユーザを、運転に集中させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)を行うことができないように制御した際に、減衰力特性の設定変更が行われている途中のデータを記憶部29bに保存するように制御するように構成している。これにより、入力途中の設定が消滅するのを抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、制御部29aを、実質的に車両停止状態であるか否かを所定の時間間隔t3(約10msec〜約50msec)で確認するように構成している。これにより、減衰力特性の設定変更(任意の減衰力特性の入力および入力された減衰力特性の確定)が行われている途中に車両停止状態でなくなった場合に、確実に減衰力特性の設定変更を行うことができないように制御することができる。
【0093】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0094】
たとえば、上記実施形態では、減衰機構を含む懸架装置を備えた車両の一例として自動二輪車を示したが、本発明はこれに限らず、減衰機構を含む懸架装置を備えた車両であれば、自動車、自転車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、リヤサスペンションおよびフロントフォークに設けられた電子制御バルブを、それぞれ、伸長側および圧縮側の両方で設けることにより、伸長方向および圧縮方向の両方の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、伸長方向および圧縮方向のいずれか一方の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、リヤサスペンションおよびフロントフォークの両方に任意の減衰力特性に設定変更可能な電子制御バルブを設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、リヤサスペンションおよびフロントフォークのいずれか一方に任意の減衰力特性に設定変更可能な電子制御バルブを設けるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、UPスイッチおよびDOWNスイッチのいずれか一方側が時間t1(約2秒)以上押圧されると同時に、セレクトスイッチが時間t1(約2秒)以上押圧された際に、プログラム設定モードが開始されるように制御するように制御部を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、UPスイッチ、DOWNスイッチおよびセレクトスイッチのいずれか1つのスイッチが時間t1(約2秒)以上押圧されることにより、プログラム設定モードが開始されるように制御するように制御部を構成してもよい。また、時間t1を約2秒に設定した例について示したが、本発明はこれに限らず、UPスイッチ、DOWNスイッチおよびセレクトスイッチのいずれかを誤って押圧した場合にプログラム設定モードが開始されない程度の押圧時間であれば、時間t1を約2秒よりも短い押圧時間に設定してもよいし、約2秒よりも長い押圧時間に設定してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、UPスイッチおよびDOWNスイッチのいずれか一方側が時間t2(約5秒)以上押圧された際に、プログラム設定モードが終了されるように制御するように制御部を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、UPスイッチおよびDOWNスイッチのいずれか一方側が時間t2(約5秒)以上押圧されると同時に、セレクトスイッチが時間t2(約5秒)以上押圧された際に、プログラム設定モードが終了されるように制御部を制御するように構成してもよい。また、時間t2を約5秒に設定した例について示したが、本発明はこれに限らず、UPスイッチ、DOWNスイッチおよびセレクトスイッチのいずれかを誤って押圧した場合にプログラム設定モードが開始されない程度の押圧時間であれば、時間t2を約5秒よりも短い押圧時間に設定してもよいし、約5秒よりも長い押圧時間に設定してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、フロントフォークおよびリヤサスペンションの減衰力特性を、UP/DOWNスイッチおよびセレクトスイッチが操作されることにより、任意の減衰力特性に設定変更可能に構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、表示パネルをタッチパネルにより構成するとともに、表示パネルのタッチパネルが操作されることにより、任意の減衰力特性に設定変更可能に構成してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、フロントフォークおよびリヤサスペンションの減衰力特性におけるストロークスピードの設定幅を、それぞれ、0.1m/sに設定しているとともに、減衰力の設定幅を、それぞれ、20Nおよび50Nに設定した例について示したが、本発明はこれに限らず、上記各設定値以外の設定値を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による自動二輪車のスイッチ部周辺を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による自動二輪車の表示パネル周辺を示した図である。
【図4】図1に示した一実施形態による自動二輪車のフロントフォークの構成を説明するための図である。
【図5】図1に示した一実施形態による自動二輪車の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示した一実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの構成を説明するための図である。
【図7】図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたフロントフォークまたはリヤサスペンションに設けられている電子制御バルブの減衰力特性を示したグラフである。
【図8】図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が詳細に設定される際のモードの移行を説明するためのモード遷移図である。
【図9】図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が詳細に設定される際のモードの移行を説明するためのモード遷移図である。
【図10】図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が詳細に設定される際のモードの移行を説明するためのモード遷移図である。
【図11】図1に示した一実施形態による自動二輪車に搭載されたECUの制御部により電子制御バルブの減衰力特性が詳細に設定される際における詳細数値変更モードを説明するための図である。
【図12】プログラム設定モードにおいて任意の減衰力特性の入力が許可される際の処理フローを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 自動二輪車(車両)
2 ヘッドパイプ(車体)
3 メインフレーム(車体)
4 シートレール(車体)
6 前輪(車輪)
7 ハンドル
8 グリップ
9d UP/DOWNスイッチ(第1スイッチ部)
9e UPスイッチ(第1スイッチ部)
9f DOWNスイッチ(第1スイッチ部)
9g セレクトスイッチ(第2スイッチ部)
14 表示パネル(表示部)
16 フロントフォーク(懸架装置)
18 右側フロントフォーク(懸架装置)
27、52 圧縮側電子制御バルブ(減衰機構)
28、53 伸長側電子制御バルブ(減衰機構)
29a 制御部
29b 記憶部
41 後輪(車輪)
42 リヤサスペンション(懸架装置)
P1 任意減衰特性設定モード(詳細設定変更モード)
t1 時間(第1の時間)
t2 時間(第2の時間)
t3 時間間隔
α 車速


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
車体と、
前記車輪と前記車体との間に設けられるとともに、前記車輪と前記車体とが相対的に移動するときの伸長方向および圧縮方向の少なくとも一方側の力を減衰させる減衰機構を含む懸架装置と、
前記懸架装置の減衰機構の減衰力特性を電気的に制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記懸架装置の減衰機構の減衰力特性を任意の減衰力特性に設定変更可能に構成されているとともに、前記減衰力特性の設定変更を実質的に車両停止状態で許可するように構成されている、車両。
【請求項2】
前記制御部は、車速が所定の車速以下の状態で、前記減衰力特性の設定変更を許可するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
エンジンをさらに備え、
前記制御部は、前記減衰力特性の設定変更を実質的に前記エンジンが停止している状態で許可するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記懸架装置の減衰機構の減衰力特性を表示するための表示部をさらに備える、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
運転者の手が載置されるグリップを含み、前記車輪を操舵するためのハンドルと、
前記ハンドルのグリップ近傍に設けられ、前記減衰力特性の設定変更を行うための第1スイッチ部および第2スイッチ部とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部の少なくともいずれか一方側が入力された際に、前記減衰力特性を詳細に設定変更可能な詳細設定変更モードが開始されるように制御するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部の少なくともいずれか一方側が第1の時間以上押圧された際に、前記詳細設定変更モードが開始されるように制御するように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記制御部は、前記減衰力特性の設定変更後に、車両停止状態で前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部の少なくともいずれか一方側が入力されることにより、前記減衰力特性の設定変更が実行されるとともに、前記詳細設定変更モードが終了されるように制御するように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部の少なくともいずれか一方側が第2の時間以上押圧された際に、前記詳細設定変更モードが終了されるように制御するように構成されている、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記減衰力特性の設定を記憶するための記憶部をさらに備え、
前記記憶部には、予め定められた複数の減衰力特性が記憶されており、
前記第1スイッチ部および前記第2スイッチ部は、それぞれ、前記複数の減衰力特性のうちいずれか1つの減衰力特性を選択するとともに、前記選択を決定するために設けられている、請求項5に記載の車両。
【請求項10】
前記制御部は、前記減衰力特性の設定変更が行われている途中に前記車両停止状態でなくなった場合、前記減衰力特性の設定変更を行うことができないように制御するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記減衰力特性の設定を記憶するための記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記減衰力特性の設定変更を行うことができないように制御した際に、前記減衰力特性の設定変更が行われている途中のデータを前記記憶部に保存するように制御するように構成されている、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記制御部は、実質的に車両停止状態であるか否かを所定の時間間隔で確認するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項13】
前記懸架装置は、フロントフォークと、リヤサスペンションとをさらに含み、
前記制御部は、前記フロントフォークと前記リヤサスペンションとの少なくとも一方における減衰力特性の設定を変更可能に構成されている、請求項1に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−132222(P2009−132222A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308742(P2007−308742)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】