説明

車載通信装置及び車両間通信システム

【課題】各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる車載通信装置及び車両間通信システムを提供すること。
【解決手段】車載通信装置10は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段11と、車両の進行方向及び車両が存在するエリアに応じて無線信号の周波数チャネルを設定する周波数チャネル設定部12と、無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信部13とを備え、エリア判定手段11は、地図データを記憶する地図データ記憶部11aと、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11bと、交差点エリアへの車両の流入出を判定する交差点エリア流入出判定部11cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば交差点を通過する車両に無線信号によって情報を伝送する車載通信装置及び車両間通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば交差点付近の情報を伝送する装置としては、特許文献1に示されたエリア通信装置が知られている。
【0003】
特許文献1に示されたものは、交差点付近の車両を刻々と撮影するカメラの撮影画像に基づき危険車両の存在を検知する危険度判定装置と、危険車両が検知されたとき交差点付近の車両の車載通信機に危険情報を送信する路側通信機とを備え、危険度判定装置によって危険車両が検知されたとき、路側通信機が危険情報を車載通信機に送信することによって、車両の運転者に危険情報を通知することができるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、路側通信機によって危険情報を車載通信機に送信するので、路側通信機からの電波が届かないエリアにある車両には危険情報を通知できないという課題があり、このような課題を解決するものとして、例えば特許文献2に示すような無線アドホックネットワークシステムが提案されている。
【0005】
特許文献2に示されたものは、互いに隣接する端末間のみで通信ができるように配置された4つの端末1〜4を備えており、以下のように動作するようになっている。
【0006】
端末1から端末2に、また端末4から端末3にそれぞれデータを送信しようとする場合、まず、端末1が端末2にデータ送信の開始を示すRTS(Request To Send)パケットを送信すると、端末2は端末3を待機状態にさせるパケットを送信する。その後、端末4が端末3にデータを送信しようとしてRTSパケットを繰り返し送信しても、端末3は待機状態にあるので端末4からのRTSパケットは受け入れられず、端末4はRTSパケットを再送する。
【0007】
RTSパケットの再送を検出した端末3は、自端末の待機状態が解除された後に端末4に対して帯域割り当てを通知するパケットを送信する。このパケットは、端末2も受信するので、端末2は、端末4の存在を知ることができ、端末3と端末4とがデータ通信を開始する際には、端末1及び端末2は待機状態に設定される。
【0008】
以上のように、特許文献2に示されたものは、無線アドホックネットワークを構成する端末がデータを中継することによって、データの送信元の端末から宛先の端末までデータを伝送することができるとともに、ある端末が認識できない隠れ端末が存在する場合でも、端末間で発生するパケットの衝突を回避し、混信のないデータ通信を行うことができるようになっている。
【0009】
したがって、このシステムを車両間の無線通信に適用することにより、例えば車両が密集している交差点付近の道路において、車両の現在位置及び速度等の情報を無線信号によって車両間で伝送する場合でも、無線信号の混信を防止しながら、データを中継する端末を介して各車両の情報を伝送することができると考えられる。
【0010】
【特許文献1】特開2005−174125号公報
【特許文献2】特開2005−236435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に示されたものを車両間の無線通信に適用したシステムでは、各車両は、データを中継する端末を有する車両を介して自車の情報を他の車両に送信することはできるが、各端末は互いに電波が届く範囲内にあるため、各車両が自車の情報を同報しようとすると隣接端末間においてパケットが衝突して混信が発生するので、自車の情報を周辺車両に同報することができないという問題があった。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる車載通信装置及び車両間通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車載通信装置は、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、所定の周波数の無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信手段と、前記進行方向に応じて前記無線信号の周波数を設定する周波数設定手段とを備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の車載通信装置は、周波数設定手段は、車両の進行方向に応じて無線信号の周波数を設定するので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる。
【0015】
また、本発明の車載通信装置は、予め定められたエリア判定条件に基づいて前記車両が第1エリア及び前記第1エリアとは異なる第2エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段を備え、前記周波数設定手段は、前記第1エリア及び前記第2エリアにおける無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定する構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の車載通信装置は、エリア毎に無線信号の周波数を設定するので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる。
【0017】
さらに、本発明の車載通信装置は、前記エリア判定手段は、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、地図データを記憶する地図データ記憶部とを備えた構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の車載通信装置は、車両の現在位置と地図データとによって第1エリア及び第2エリアを判別することができるので、第1エリア及び第2エリアにおける無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することができる。
【0019】
さらに、本発明の車載通信装置は、前記エリア判定手段は、前記第1エリア及び前記第2エリアのいずれかを示す目標物を検出する目標物検出部を備えた構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の車載通信装置は、第1エリア及び第2エリアを判別することができるので、第1エリア及び第2エリアにおける無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することができる。
【0021】
さらに、本発明の車載通信装置は、前記車両の進行方向の絶対方位を検出する絶対方位検出手段を備えた構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の車載通信装置は、車両の進行方向の絶対方位に基づいて無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することができるので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる。
【0023】
さらに、本発明の車載通信装置は、前記絶対方位検出手段は、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部を備えた構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の車載通信装置は、車両が走行した2地点間の緯度及び経度情報により、車両の進行方向の絶対方位を取得することができるので、車両の進行方向の絶対方位に基づいて無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することができる。
【0025】
さらに、本発明の車載通信装置は、前記絶対方位検出手段は、地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記車両の角速度を検出する角速度検出部とを備えた構成を有している。
【0026】
この構成により、本発明の車載通信装置は、地図データ上の走行道路情報と角速度の時間的変化情報とに基づいて車両の進行方向の絶対方位を取得することができるので、車両の進行方向の絶対方位に基づいて無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することができる。
【0027】
さらに、本発明の車載通信装置は、予め定められた第1エリアと第2エリアとの境界を示す境界表示物を検出する境界表示物検出手段と、所定の周波数の無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信手段と、前記無線信号の周波数を設定する周波数設定手段とを備え、前記境界表示物は、前記第1エリア及び前記第2エリアの少なくとも一方における無線信号の周波数情報を含み、前記周波数設定手段は、前記周波数情報に基づいて前記無線信号の周波数を設定する構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明の車載通信装置は、第1エリアと第2エリアとの境界を示す境界表示物に表示された周波数情報を取得できるので、異なるエリアに流入した際に利用できる無線信号の周波数を容易に設定することができる。
【0029】
さらに、本発明の車両間通信システムは、車載通信装置を複数の車両がそれぞれ備えた構成を有している。
【0030】
この構成により、本発明の車両間通信システムは、複数の車両がそれぞれ備えた車載通信装置の周波数設定手段が、車両の進行方向に応じて無線信号の周波数を設定するので、車両が密集している道路においても無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができるという効果を有する車載通信装置及び車両間通信システムを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置の構成について説明する。なお、特許請求の範囲に記載の第1エリア及び第2エリアにそれぞれ対応するものとして交差点エリア及び道路エリアを例に挙げて説明する。ここで、交差点エリアとは、複数の道路が交差している場所において予め定められた道路上の領域をいう。また、道路エリアとは、交差点エリアを除く道路上の領域をいう。
【0034】
図1に示すように、本実施の形態に係る車載通信装置10は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段11と、車両の進行方向及び車両が存在するエリアに応じて無線信号の周波数チャネルを設定する周波数チャネル設定部12と、無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信部13とを備えている。
【0035】
エリア判定手段11は、地図データを記憶する地図データ記憶部11aと、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11bと、交差点エリアへの車両の流入出を判定する交差点エリア流入出判定部11cとを備えている。
【0036】
地図データ記憶部11aは、例えば光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等で構成され、緯度及び経度と関連付けられた道路網のリンク及びノードを含む地図データを記憶するようになっている。
【0037】
現在位置検出部11bは、例えばGPS(Global Positioning System)ユニットによって構成され、GPSの電波を受信して車両の速度、現在位置の緯度及び経度等の情報(以下「車両情報」という。)を検出し、この車両情報を交差点エリア流入出判定部11c及び無線通信部13にそれぞれ出力するようになっている。
【0038】
また、現在位置検出部11bは、車両が走行した2地点間の緯度及び経度の差を算出することによって車両の進行方向の絶対方位(以下「進行方位」という。)を算出し、この進行方位の情報を周波数チャネル設定部12に出力するようになっている。なお、現在位置検出部11bは、本発明の進行方向検出手段及び絶対方位検出手段を構成している。
【0039】
交差点エリア流入出判定部11cは、車両が道路エリアから交差点エリアに流入したことの判定(以下「流入判定」という。)と、車両が交差点エリアから道路エリアに流出したことの判定(以下「流出判定」という。)とを実行するようになっている。
【0040】
まず、交差点エリアの流入判定は、現在位置検出部11bが検出した車両の現在位置と、地図データ記憶部11aから読み出された地図データとを参照することによって、地図データに登録されている交差点を起点として所定の流入判定用の距離閾値内に車両があるか否かに基づいて判定される。ここで、流入判定用の距離閾値は、例えば車両の速度に応じて予め定められたものであり、具体的には車両の速度が60km/時のときの距離閾値は例えば70mと定められる。なお、流入判定用の距離閾値を車速に関わらず固定値としてもよい。
【0041】
次に、交差点エリアの流出判定は、現在位置検出部11bから入力される車両情報に基づいて、車両が交差点エリアに流入したと判定された地点を起点として所定の流出判定用の距離閾値(例えば100m)だけ車両が走行したか否かによって判定される。なお、車両が走行した距離のデータは、例えば、車輪の回転数に応じて車速パルスを出力するパルス検出センサを備える構成や、車両の速度及び走行時間から走行距離を算出する構成として算出するようにしてもよい。
【0042】
周波数チャネル設定部12は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかに基づいて無線通信部13から送信される無線信号の周波数を、車両の進行方位に応じて設定するようになっている。
【0043】
具体的には、周波数チャネル設定部12は、車両が道路エリアにあるとき、少なくとも一つの周波数チャネルを車両の進行方位に応じて設定するようになっている。また、周波数チャネル設定部12は、車両が交差点エリアにあるとき、道路エリアで用いられる周波数とは異なる複数の周波数チャネルを車両の進行方位に応じて設定するようになっている。なお、周波数チャネル設定部12は、本発明の周波数設定手段を構成している。
【0044】
無線通信部13は、例えば送信機、受信機、アンテナ等で構成され、送信機は、周波数チャネル設定部12によって設定された送信用の周波数チャネルを用いて自車の車両情報を交差点エリア内の他車に同報送信し、受信機は、所定の周波数チャネルを用いて他車の車両情報を受信するようになっている。なお、無線通信部13は、本発明の無線通信手段を構成している。
【0045】
次に、本実施の形態に係る車載通信装置10の動作について、図2及び図3を用いて説明する。
【0046】
図2は、車載通信装置10の各ステップのフローチャートである。図3は、車載通信装置10の交差点付近における動作説明図である。
【0047】
図3において、東西方向に延在する道路Aと、南北方向に延在する道路Bと、斜線で表された交差点エリアと、交差点エリア外の道路エリアと、道路A及びBをそれぞれ走行している複数の車両とが示されている。各車両は、本実施の形態に係る車載通信装置10をそれぞれ搭載しているものとする。以下、道路Aを西から東に向かって走行している車両Cに搭載された車載通信装置10の動作を例に挙げて説明する。
【0048】
まず、車両Cは、道路エリアを走行しているので、周波数チャネル設定部12によって、自車の車両情報を送受信するための周波数チャネルが道路エリア用の周波数チャネル(以下「道路エリアチャネル」という。)に設定されている(ステップS11)。
【0049】
例えば、車両情報を伝送する無線信号の周波数帯域が、第1chから第20chまでの20個の周波数チャネルに分割されているとする(以下同様)。この場合、周波数チャネル設定部12は、道路エリアチャネルとして第1chを割り当てる。
【0050】
次いで、交差点エリア流入出判定部11cによって、自車が交差点エリアに流入したか否かが判定される(ステップS12)。具体的には、図3に示すように、交差点エリア流入出判定部11cによって、地図データに登録されている交差点の中心位置から流入判定用の距離閾値L1までの範囲内に自車があるか否かに基づいて判定される。この距離閾値L1は、車両の速度に応じて予め定められた距離であり、車両の速度が例えば60km/時のときの距離閾値L1は例えば70mと定められる。
【0051】
ステップS12において、自車が交差点エリアに流入したと判定された場合は、交差点エリア流入出判定部11cによって、その旨を示す信号が周波数チャネル設定部12に出力され、周波数チャネル設定部12によって、交差点エリアに車両が流入する際の進行方位に基づいて、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが交差点エリア用の周波数チャネル(以下「交差点エリアチャネル」という。)に設定される(ステップS13)。
【0052】
ここで、進行方位に対する周波数チャネルの設定について説明する。
【0053】
図3において、交差点エリアに流入する車両の進行方位を判定するため、北の方位をゼロ度とし、交差点の中心に対して東西南北のそれぞれの方位毎に±45度に分割した例が示されている。周波数チャネル設定部12は、車両の進行方位に基づいて交差点エリアチャネルを決定する。
【0054】
例えば、車両Cは、交差点エリアの西方±45度の範囲内にある道路を走行して交差点エリア内に流入するので、周波数チャネル設定部12によって、交差点エリア内において自車の車両情報を送信するための交差点エリアチャネルとして第11chが設定される。同様に、車両D、車両E及び車両Fは、交差点エリア内において自車の車両情報を送信するための交差点エリアチャネルとして第12ch、第13ch及び第14chがそれぞれ設定される。
【0055】
引き続き、交差点エリア流入出判定部11cによって、自車が交差点エリアから流出したか否かが判定される(ステップS14)。具体的には、交差点エリア流入出判定部11cによって、車両が交差点エリアに流入したと判定された地点から例えば100mだけ車両が走行したか否かに基づいて判定される。
【0056】
ステップS14において、自車が交差点エリアから流出したと判定された場合は、周波数チャネル設定部12によって、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが道路エリアチャネルに設定される(ステップS15)。図3に示された例では、道路エリアチャネルとして第1chが設定される。
【0057】
一方、ステップS14において、自車が交差点エリアから流出したと判定されなかった場合は、ステップS14を繰り返す。
【0058】
なお、前述の動作説明において、2本の道路が交差する四差路の交差点における交差点エリアチャネルの設定を説明したが、三差路又は五差路等の交差点においても同様に交差点エリアチャネルの設定を行うことができる。以下、図4に示すような五差路の交差点における交差点エリアチャネルの設定について説明する。図4において、道路Gと道路Hとの間に道路Jが存在する構成の五差路の交差点が示されている。
【0059】
道路Jの周波数チャネルを割り当てる第1の手法としては、進行方位aと進行方位bとの境界に道路Jが延在しているので、道路Jを走行して交差点の方向に向かっている車両に対しては、進行方位a又はbの周波数チャネルが空いている場合、この周波数チャネルを交差点エリアチャネルとして使用させるよう周波数チャネル設定部12に設定させることができる。
【0060】
道路Jの周波数チャネルを割り当てる第2の手法としては、進行方位a及びbの範囲をそれぞれ狭めて進行方位a1及びb1とし、両者の間に新たに進行方位cを設けるものである。この構成により、道路G、H及びJを走行して交差点方向に向かっている車両に対して、各車両の進行方位に基づいて交差点エリアチャネルを設定することができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る車載通信装置10によれば、交差点エリア流入出判定部11cは、車両の現在位置に基づいて車両が交差点エリアに流入したか否かを判定し、車両が交差点エリアに流入した際に、周波数チャネル設定部23は、車両の進行方位に応じて無線信号の周波数を設定する構成としたので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の車両情報を周辺車両に同報することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る車載通信装置10を各車両に搭載することにより、車両間通信システムを構築することができる。この車両間通信システムは、路側通信機を各交差点に設置することなく各車両が自車の車両情報を周辺車両に同報することができるので、路側通信機を有する従来の通信システムよりもコストを大幅に低減することができる。
【0063】
なお、前述の実施の形態において、道路エリアにおいて1つの道路エリアチャネルを設定し、交差点エリアにおいて4つの交差点エリアチャネルを設定する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の道路エリアチャネル用いる構成や、交差点の構成に応じて交差点エリアチャネルの個数を設定する構成としても同様の効果が得られる。
【0064】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置の構成について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置10(図1参照)の説明において定義した用語をそのまま用いることとする(第3及び第4の実施の形態についても同様)。
【0065】
図5に示すように、本実施の形態に係る車載通信装置20は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段21と、車両の進行方位を検出する進行方位検出手段22と、車両の進行方位及び車両が存在するエリアに応じて無線信号の周波数チャネルを設定する周波数チャネル設定部23と、無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信部24とを備えている。
【0066】
エリア判定手段21は、車両の進行方向前方を撮像する車載カメラ21aと、自車から信号機までの距離を検出する信号機距離検出部21bと、交差点エリアへの車両の流入出を判定する交差点エリア流入出判定部21cとを備えている。
【0067】
車載カメラ21aは、撮像素子、レンズ及び制御部を備え、制御部は、フォーカス、ズーム、アイリス等の動作を制御する機構や、撮像した画像信号を出力する信号処理回路等を有している。
【0068】
信号機距離検出部21bは、画像処理回路を備え、車載カメラ21aの撮像画像を画像処理して交差点に設置された信号機を検出するようになっている。また、信号機距離検出部21bは、信号機を検出したとき、撮像画像の画像処理によって自車から信号機までの距離と、その距離の時間変化に基づいて自車の速度を取得するようになっている。したがって、信号機距離検出部21bは、信号機を検出することによって自車の車両情報を取得することができる。なお、車載カメラ21a及び信号機距離検出部21bは、本発明の目標物検出部を構成している。
【0069】
交差点エリア流入出判定部21cは、交差点エリアへの流入判定と、交差点エリアからの流出判定とを実行するようになっている。
【0070】
まず、交差点エリアの流入判定は、自車から信号機までの距離が所定の流入判定用の距離閾値内に車両があるか否かに基づいて判定される。ここで、流入判定用の距離閾値は、例えば車両の速度に応じて予め定められたものであり、具体的には車両の速度が60km/時のときの距離閾値は例えば70mと定められる。
【0071】
次に、交差点エリアの流出判定は、車両が交差点エリアに流入したと判定された地点を起点として所定の流出判定用の距離閾値(例えば100m)だけ車両が走行したか否かに基づいて判定される。なお、車両が走行した距離のデータは、例えば、車輪の回転数に応じて車速パルスを出力するパルス検出センサを備える構成や、車両の速度及び走行時間から走行距離を算出する構成として算出するようにしてもよい。
【0072】
進行方位検出手段22は、例えばGPSユニットによって構成され、車両が走行した2地点間の緯度及び経度の差を算出することによって車両の進行方位を算出し、この進行方位の情報を周波数チャネル設定部23に出力するようになっている。なお、進行方位検出手段22は、本発明の進行方向検出手段及び絶対方位検出手段を構成している。
【0073】
周波数チャネル設定部23は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかに基づいて無線通信部24から送信される無線信号の周波数を、車両の進行方位に応じて設定するようになっている。
【0074】
具体的には、周波数チャネル設定部23は、車両が道路エリアにあるとき、少なくとも一つの周波数チャネルを車両の進行方位に応じて設定するようになっている。また、周波数チャネル設定部23は、車両が交差点エリアにあるとき、道路エリアで用いられる周波数とは異なる複数の周波数チャネルを車両の進行方位に応じて設定するようになっている。なお、周波数チャネル設定部23は、本発明の周波数設定手段を構成している。
【0075】
無線通信部24は、例えば送信機、受信機、アンテナ等で構成され、送信機は、周波数チャネル設定部23によって設定された送信用の周波数チャネルを用いて自車の車両情報を交差点エリア内の他車に同報送信し、受信機は、所定の周波数チャネルを用いて他車の車両情報を受信するようになっている。なお、無線通信部24は、本発明の無線通信手段を構成している。
【0076】
次に、本実施の形態に係る車載通信装置20の動作について、図6及び図7を用いて説明する。
【0077】
図6は、車載通信装置20の各ステップのフローチャートである。図7は、車載通信装置20の交差点付近における動作説明図である。なお、図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置10の動作を説明した図3とほぼ同様であるので、重複する説明は省略する。以下、道路Aを西から東に向かって走行している車両Cに搭載された車載通信装置20の動作を例に挙げて説明する。
【0078】
まず、車両Cは、道路エリアを走行しているので、周波数チャネル設定部23によって、自車の車両情報を送受信するための周波数チャネルが道路エリアチャネルに設定されている(ステップS21)。
【0079】
次いで、車載カメラ21aによって、車両の進行方向前方の画像が所定時間おきに撮像され(ステップS22)、画像信号が信号機距離検出部21bに出力される。
【0080】
さらに、信号機距離検出部21bによって、信号機Sが検出されたか否かが判断される(ステップS23)。
【0081】
ステップS23において、信号機Sが検出されたと判断された場合は、信号機距離検出部21bによって、自車から信号機までの距離が算出される(ステップS24)。
【0082】
一方、ステップS23において、信号機Sが検出されたと判断されなかった場合は、ステップS23を繰り返す。
【0083】
引き続き、交差点エリア流入出判定部21cによって、自車が交差点エリアに流入したか否かが判断される(ステップS25)。具体的には、図7に示すように、交差点エリア流入出判定部21cによって、交差点の信号機Sの位置から流入判定用の距離閾値L2までの範囲内に自車があるか否かに基づいて判定される。この距離閾値L2は、車両の速度に応じて予め定められた距離であり、車両の速度が例えば60km/時のときの距離閾値は例えば70mと定められる。
【0084】
ステップS25において、自車が交差点エリアに流入したと判定された場合は、交差点エリア流入出判定部21cによって、その旨を示す信号が周波数チャネル設定部23に出力され、周波数チャネル設定部23によって、進行方位検出手段22が検出した進行方位情報が取得される(ステップS26)。
【0085】
一方、ステップS25において、自車が交差点エリアに流入したと判定されなかった場合は、ステップS25を繰り返す。
【0086】
続いて、周波数チャネル設定部23によって、交差点エリアに車両が流入する際の進行方位に基づいて、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが交差点エリアチャネルに設定される(ステップS27)。
【0087】
例えば、車両Cは、交差点エリアの西方±45度の範囲内にある道路を走行して交差点エリア内に流入するので、周波数チャネル設定部23によって、交差点エリア内において自車の車両情報を送信するための交差点エリアチャネルとして第11chが設定される。同様に、車両D、車両E及び車両Fは、交差点エリア内において自車の車両情報を送信するための交差点エリアチャネルとして第12ch、第13ch及び第14chがそれぞれ設定される。
【0088】
引き続き、交差点エリア流入出判定部21cによって、自車が交差点エリアから流出したか否かが判定される(ステップS28)。具体的には、交差点エリア流入出判定部21cによって、車両が交差点エリアに流入したと判定された地点から例えば100mだけ車両が走行したか否かに基づいて判定される。
【0089】
ステップS28において、自車が交差点エリアから流出したと判定された場合は、周波数チャネル設定部23によって、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが道路エリアチャネルに設定される(ステップS29)。
【0090】
一方、ステップS28において、自車が交差点エリアから流出したと判定されなかった場合は、ステップS28を繰り返す。
【0091】
以上のように、本実施の形態に係る車載通信装置20によれば、交差点エリア流入出判定部21cは、車両から信号機までの距離に基づいて車両が交差点エリアに流入したか否かを判定し、車両が交差点エリアに流入した際に、周波数チャネル設定部23は、車両の進行方位に応じて無線信号の周波数を設定する構成としたので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の車両情報を周辺車両に同報することができる。
【0092】
なお、前述の実施の形態において、本発明の目標物検出部としての車載カメラ21a及び信号機距離検出部21bが交差点に設置された信号機を検出する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば交差点の道路に表示された停止線、見通しの悪い交差点に設置された道路ミラー、一時停止を示す一時停止標識等を目標物として検出する構成としても同様の効果が得られる。
【0093】
また、車載カメラ21a及び信号機距離検出部21bが、道路エリアを示す目標物を検出し、周波数チャネル設定部23が、道路エリアチャネルを設定する構成としてもよい。
【0094】
(第3の実施の形態)
まず、本発明の第3の実施の形態に係る車載通信装置の構成について説明する。
【0095】
図8に示すように、本実施の形態に係る車載通信装置30は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段31と、車両の進行方位を検出する進行方位検出手段32と、車両の進行方位及び車両が存在するエリアに応じて無線信号の周波数チャネルを設定する周波数チャネル設定部33と、無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信部34とを備えている。
【0096】
なお、本実施の形態に係る車載通信装置30は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置20(図5参照)の進行方位検出手段22に代えて進行方位検出手段32を設けたものであるので、同様な構成の説明は省略する。
【0097】
進行方位検出手段32は、地図データを記憶する地図データ記憶部32aと、車両の角速度を検出する角速度検出部32bと、車両の現在位置を検出する現在位置検出部32cとを備えている。なお、進行方位検出手段32は、本発明の進行方向検出手段及び絶対方位検出手段を構成している。
【0098】
地図データ記憶部32aは、例えば光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等で構成され、緯度及び経度と関連付けられた道路網のリンク及びノードを含む地図データを記憶するようになっている。
【0099】
角速度検出部32bは、例えばジャイロセンサを備え、車両の角速度を検出するようになっている。
【0100】
現在位置検出部32cは、例えばGPSユニットによって構成され、GPSの電波を受信して車両の現在位置の緯度及び経度の情報を検出し、車両の現在位置を地図データとマッチングさせ、地図データ上の走行道路のデータと角速度の時間変化情報とから車両が進行する進行方位を検出するようになっている。
【0101】
次に、本実施の形態に係る車載通信装置30の動作について説明する。なお、車載通信装置30の動作は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置20のフローチャート(図6参照)に対してステップS26における進行方位情報の取得処理が異なるものなので、この処理のみについて図9を用いて説明し、その他のステップの説明は省略する。
【0102】
まず、現在位置検出部32cによって、地図データ記憶部32aから地図データが読み出される(ステップS31)。
【0103】
次いで、現在位置検出部32cによって、車両の現在位置が取得される(ステップS32)。
【0104】
さらに、現在位置検出部32cによって、車両の走行道路が検出される(ステップS33)。また、並行して、角速度検出部32bによって、車両の角速度が検出される(ステップS34)。
【0105】
そして、現在位置検出部32cによって、車両の現在位置が地図データとマッチング処理され、地図データ上の走行道路のデータと角速度の時間変化情報とから車両が進行する進行方位が検出され(ステップS35)、周波数チャネル設定部33に出力される。
【0106】
以上のように、本実施の形態に係る車載通信装置30によれば、車両が交差点エリアに流入した際に、周波数チャネル設定部33は、車両の進行方位に応じて無線信号の周波数を設定する構成としたので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の車両情報を周辺車両に同報することができる。
【0107】
(第4の実施の形態)
まず、本発明の第4の実施の形態に係る車載通信装置の構成について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置10(図1参照)と同様な構成についての説明は省略する。
【0108】
図10に示すように、本実施の形態に係る車載通信装置40は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段41と、車両の進行方向及び車両が存在するエリアに応じて無線信号の周波数チャネルを設定する周波数チャネル設定部42と、無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信部43とを備えている。
【0109】
エリア判定手段41は、車両の進行方向前方を撮像する車載カメラ41aと、道路エリアと交差点エリアとの境界を示す境界標示物を検出する境界標示物検出部41bと、車両情報を取得する車両情報取得部41cと、交差点エリアへの車両の流入出を判定する交差点エリア流入出判定部41dとを備えている。
【0110】
車載カメラ41aは、撮像素子、レンズ及び制御部を備え、制御部は、フォーカス、ズーム、アイリス等の動作を制御する機構や、撮像した画像信号を出力する信号処理回路等を有している。
【0111】
境界標示物検出部41bは、画像処理回路を備え、車載カメラ41aの撮像画像を画像処理して、道路エリアと交差点エリアとの境界を示す境界標示物を検出するようになっている。ここで、境界標示物には、例えば2次元バーコードによって交差点エリアで利用できる周波数情報が表示されている。したがって、境界標示物検出部41bは、境界標示物を検出することによって、自車が交差点エリアに流入した際に利用できる周波数情報を取得することができるようになっている。なお、車載カメラ41a及び境界標示物検出部41bは、本発明の境界表示物検出手段を構成している。
【0112】
車両情報取得部41cは、例えば、車輪の回転数に応じて車速パルスを出力するパルス検出センサを備え、車両の速度を取得するようになっている。また、車両情報取得部41cは、境界標示物検出部41bが検出した境界標示物からの走行距離を車両の速度及び走行時間から算出するようになっている。
【0113】
交差点エリア流入出判定部41dは、交差点エリアへの流入判定と、交差点エリアからの流出判定とを実行するようになっている。
【0114】
まず、交差点エリアの流入判定は、道路エリアと交差点エリアとの境界に設置してある境界標示物の位置と自車の位置との位置関係に基づいて判定される。
【0115】
次に、交差点エリアの流出判定は、境界標示物の位置を起点として所定の流出判定用の距離閾値(例えば100m)だけ車両が走行したか否かに基づいて判定される。
【0116】
周波数チャネル設定部42は、車両が交差点エリア及び道路エリアのいずれにあるかに基づいて無線通信部43から送信される無線信号の周波数を、境界標示物検出部41bが取得した周波数情報に応じて設定するようになっている。
【0117】
具体的には、周波数チャネル設定部42は、車両が道路エリアにあるとき、予め定められた少なくとも一つの周波数チャネルを設定するようになっている。また、周波数チャネル設定部42は、車両が交差点エリアにあるとき、道路エリアで用いられる周波数とは異なる複数の周波数チャネルを境界標示物検出部41bが取得した周波数情報に応じて設定するようになっている。なお、周波数チャネル設定部42は、本発明の周波数設定手段を構成している。
【0118】
無線通信部43は、例えば送信機、受信機、アンテナ等で構成され、送信機は、周波数チャネル設定部42によって設定された送信用の周波数チャネルを用いて自車の車両情報を交差点エリア内の他車に同報送信し、受信機は、所定の周波数チャネルを用いて他車の車両情報を受信するようになっている。なお、無線通信部43は、本発明の無線通信手段を構成している。
【0119】
次に、本実施の形態に係る車載通信装置40の動作について、図11及び図12を用いて説明する。
【0120】
図11は、車載通信装置40の各ステップのフローチャートである。図12は、車載通信装置40の交差点付近における動作説明図である。
【0121】
図12において、例えば2次元バーコードによって交差点エリアで利用できる周波数情報が表示された境界標示物51〜54が示されている。境界標示物51には、交差点エリアにおいて第11chの周波数が使用できる旨の情報を含む2次元バーコードが表示されている。同様に、境界標示物52、53及び54には、それぞれ、交差点エリアにおいて第12ch、第13ch及び第14chの周波数が使用できる旨の情報を含む2次元バーコードが表示されている。以下、道路Aを西から東に向かって走行している車両Cに搭載された車載通信装置40の動作を例に挙げて説明する。
【0122】
まず、車両Cは、道路エリアを走行しているので、周波数チャネル設定部42によって、自車の車両情報を送受信するための周波数チャネルが道路エリアチャネルに設定されている(ステップS41)。
【0123】
次いで、車載カメラ41aによって、車両の進行方向前方の画像が所定時間おきに撮像され(ステップS42)、画像信号が境界標示物検出部41bに出力される。
【0124】
さらに、境界標示物検出部41bによって、境界標示物51が検出されたか否かが判断される(ステップS43)。
【0125】
ステップS43において、境界標示物51が検出されたと判断された場合は、境界標示物検出部41bによって、交差点エリアチャネル情報が取得され(ステップS44)、交差点エリア流入出判定部41dによって、自車が交差点エリアに流入したと判定される。
【0126】
一方、ステップS43において、境界標示物51が検出されたと判断されなかった場合は、ステップS43を繰り返す。
【0127】
続いて、周波数チャネル設定部42によって、境界標示物検出部41bが取得した交差点エリアチャネル情報に基づいて、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが交差点エリアチャネルに設定される(ステップS45)。図12に示された例では、交差点エリアチャネルは第11chに設定されることとなる。
【0128】
引き続き、交差点エリア流入出判定部41dによって、自車が交差点エリアから流出したか否かが判定される(ステップS46)。具体的には、交差点エリア流入出判定部41dによって、車両が交差点エリアに流入したと判定された地点から例えば100mだけ車両が走行したか否かに基づいて判定される。
【0129】
ステップS46において、自車が交差点エリアから流出したと判定された場合は、周波数チャネル設定部42によって、自車の車両情報を送信するための周波数チャネルが道路エリアチャネルに設定される(ステップS47)。
【0130】
一方、ステップS46において、自車が交差点エリアから流出したと判定されなかった場合は、ステップS46を繰り返す。
【0131】
以上のように、本実施の形態に係る車載通信装置40によれば、車両が交差点エリアに流入した際に、周波数チャネル設定部42は、境界標示物検出部41bが取得した交差点エリアチャネル情報に基づいて無線信号の周波数を設定する構成としたので、車両が密集している道路においても、同一帯域の周波数を使用する車両の台数を削減して無線信号の混信を防止することができ、各車両が自車の車両情報を周辺車両に同報することができる。
【0132】
なお、前述の実施の形態において、交差点エリアの流出判定を流出判定用の距離閾値で判定する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば交差点エリアと道路エリアとの境界に境界標示物を設置して、交差点エリアの流出判定を行う構成としても同様の効果が得られる。
【0133】
また、前述の実施の形態において、交差点エリアで利用できる周波数情報が2次元バーコードで表示された境界標示物を境界標示物検出部41bが検出する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばRFID(Radio Frequency Identification)技術を利用した通信機能を境界標示物に持たせて交差点エリアで利用できる周波数情報を無線通信部43に伝送する構成としても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明に係る車載通信装置及び車両間通信システムは、各車両が自車の情報を周辺車両に同報することができるという効果を有し、交差点を通過する車両に無線信号によって情報を伝送する車載通信装置及び車両間通信システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置の各ステップのフローチャート
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置の動作説明図
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車載通信装置において、五差路の交差点における進行方位の判定例を示す図
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置のブロック図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置の各ステップのフローチャート
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る車載通信装置の動作説明図
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る車載通信装置のブロック図
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る車載通信装置の進行方位情報の取得処理のフローチャート
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る車載通信装置のブロック図
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る車載通信装置の各ステップのフローチャート
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る車載通信装置の動作説明図
【符号の説明】
【0136】
10、20、30、40 車載通信装置
11、21、31、41 エリア判定手段
11a、32a 地図データ記憶部
11b、32c 現在位置検出部(進行方向検出手段、絶対方位検出手段)
11c、21c、41d 交差点エリア流入出判定部
12、23、33、42 周波数チャネル設定部(周波数設定手段)
13、24、34、43 無線通信部(無線通信手段)
21a 車載カメラ(目標物検出部)
21b 信号機距離検出部(目標物検出部)
22、32 進行方位検出手段
32b 角速度検出部
41a 車載カメラ(境界表示物検出手段)
41b 境界標示物検出部(境界表示物検出手段)
41c 車両情報取得部
51〜54 境界標示物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、所定の周波数の無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信手段と、前記進行方向に応じて前記無線信号の周波数を設定する周波数設定手段とを備えたことを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
予め定められたエリア判定条件に基づいて前記車両が第1エリア及び前記第1エリアとは異なる第2エリアのいずれにあるかを判定するエリア判定手段を備え、
前記周波数設定手段は、前記第1エリア及び前記第2エリアにおける無線信号の周波数を互いに異なる周波数に設定することを特徴とする請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記エリア判定手段は、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部と、地図データを記憶する地図データ記憶部とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記エリア判定手段は、前記第1エリア及び前記第2エリアのいずれかを示す目標物を検出する目標物検出部を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記車両の進行方向の絶対方位を検出する絶対方位検出手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項6】
前記絶対方位検出手段は、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の車載通信装置。
【請求項7】
前記絶対方位検出手段は、地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記車両の角速度を検出する角速度検出部とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の車載通信装置。
【請求項8】
予め定められた第1エリアと第2エリアとの境界を示す境界表示物を検出する境界表示物検出手段と、所定の周波数の無線信号によって車両間の無線通信を行う無線通信手段と、前記無線信号の周波数を設定する周波数設定手段とを備え、
前記境界表示物は、前記第1エリア及び前記第2エリアの少なくとも一方における無線信号の周波数情報を含み、前記周波数設定手段は、前記周波数情報に基づいて前記無線信号の周波数を設定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の車載通信装置を複数の車両がそれぞれ備えたことを特徴とする車両間通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−108837(P2007−108837A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296237(P2005−296237)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】