説明

載置台構造及び処理装置

【課題】載置台に大きな熱応力が発生することを防止して、この載置台自体が破損することを防止することができると共に、腐食防止用のパージガスの供給量を抑制することができる載置台構造を提供する。
【解決手段】排気可能になされた処理容器22内に設けられて処理すべき被処理体Wを載置するための載置台構造において、被処理体を載置するために少なくとも加熱手段64が設けられた誘電体よりなる載置台58と、処理容器の底部側より起立させて設けられると共に、上端部が載置台の下面に接合されて載置台を支持する誘電体よりなる複数の保護支柱管60と、保護支柱管内に挿通されて上端が載置台に届くように設けられた機能棒体62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の処理装置及び載置台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の枚葉処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。上記したような各種の処理を行なう場合には、その処理の種類に対応して必要な処理ガス、例えば成膜処理の場合には成膜ガスやハロゲンガスを、改質処理の場合にはオゾンガス等を、結晶化処理の場合にはN ガス等の不活性ガスやO ガス等をそれぞれ処理容器内へ導入する。
【0003】
半導体ウエハに対して1枚毎に熱処理を施す枚葉式の処理装置を例にとれば、真空引き可能になされた処理容器内に、例えば抵抗加熱ヒータを内蔵した載置台を設置し、この上面に半導体ウエハを載置し、所定の温度(例えば100℃から1000℃)で加熱した状態で所定の処理ガスを流し、所定のプロセス条件下にてウエハに各種の熱処理を施すようになっている(特許文献1〜6)。このため処理容器内の部材については、これらの加熱に対する耐熱性と処理ガスに曝されても腐食されない耐腐食性が要求される。
【0004】
ところで、半導体ウエハを載置する載置台構造に関しては、一般的には耐熱性耐腐食性を持たせると共に、金属コンタミネーション等の金属汚染を防止する必要から例えばAlN等のセラミック材中に発熱体として抵抗加熱ヒータを埋め込んで高温で一体焼成して載置台を形成し、また別工程で同じくセラミック材等を焼成して支柱を形成し、この一体焼成した載置台側と上記支柱とを、例えば熱拡散接合で溶着して一体化して載置台構造を製造している。そして、このように一体成形した載置台構造を処理容器内の底部に起立させて設けるようにしている。また上記セラミック材に代えて耐熱耐腐食性があり、また熱伸縮も少ない石英ガラスを用いる場合もある。
【0005】
ここで従来の載置台構造の一例について説明する。図16は従来の載置台構造の一例を示す断面図である。この載置台構造は、真空排気が可能になされた処理容器内に設けられており、図16に示すように、この載置台構造はAlN等のセラミック材よりなる円板状の載置台2を有している。そして、この載置台2の下面の中央部には同じく例えばAlN等のセラミック材よりなる円筒状の支柱4が例えば熱拡散接合にて接合されて一体化されている。
【0006】
従って、両者は熱拡散接合部6により気密に接合されることになる。ここで上記載置台2の大きさは、例えばウエハサイズが300mmの場合には、直径が350mm程度であり、支柱4の直径は56mm程度である。上記載置台2内には例えば加熱ヒータ等よりなる加熱手段8が設けられ、載置台2上の被処理体としての半導体ウエハWを加熱するようになっている。
【0007】
上記支柱4の下端部は、容器底部9に固定ブロック10により固定されることにより起立状態になっている。そして、上記円筒状の支柱4内には、その上端が上記加熱手段8に接続端子12を介して接続された給電棒14が設けられており、この給電棒14の下端部側は絶縁部材16を介して容器底部を下方へ貫通して外部へ引き出されている。これにより、この支柱4内へプロセスガス等が侵入することを防止して、上記給電棒14や接続端子12等が上記腐食性のプロセスガスにより腐食されることを防止するようになっている。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−278322号公報
【特許文献2】特開平07−078766号公報
【特許文献3】特開平03−220718号公報
【特許文献4】特開平06−260430号公報
【特許文献5】特開2004−356624号公報
【特許文献6】特開2006−295138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、半導体ウエハに対するプロセス時には、載置台2自体は高温状態になるが、この場合、支柱4を構成する材料は熱伝導率がそれ程良好ではないセラミック材よりなるとはいえ、載置台2と支柱4とは熱拡散により接合されていることから、この支柱4を伝わって多量の熱が載置台2の中心側から支柱4側へ逃げることは避けられない。このため、特に載置台2の昇降温時では載置台2の中心部の温度が低くなってクールスポットが発生するのに対して周辺部の温度が相対的に高くなって載置台2の面内で大きな温度差が生じ、この結果、載置台2の中心部と周辺部との間で大きな熱応力が発生して載置台2が破損する、といった問題があった。
【0010】
特に、プロセスの種類にも依存するが、載置台2の温度は700℃以上にも達するので上記温度差はかなり大きくなり、これに伴って大きな熱応力が発生する。また、これに加えて、載置台の昇降温の繰り返しにより上記熱応力による破損が促進されてしまう、といった問題があった。
【0011】
また、載置台2及び支柱4の上部が高温状態となって熱膨張する一方で、支柱4の下端部は容器底部9に固定ブロック10により固定されているため、載置台2と支柱4の上部との接合箇所に応力が集中し、この部分を起点として破損が発生する、という問題があった。
【0012】
上記問題点を解決するために、上記載置台2と支柱4とを熱拡散接合により気密に一体接合するのではなく、間に高温耐熱性のあるメタルシール部材等を介在させて両者をセラミック材や石英等よりなるピンやボルトにより緩く連結することも行われている。
【0013】
この場合、上記連結部には僅かな隙間が生ずることになるため、この僅かな隙間を介して例えば腐食性のプロセスガスが支柱4内に侵入することを防止する目的で、上記支柱4内へはパージガスとしてN ガス、Arガス、Heガス等の不活性ガスを供給するようにしている。このような構成によれば、上記載置台と支柱の上端部とは強固には連結されていないので、載置台の中心側から支柱側へ逃げる熱量が減少する。このため載置台の中心部と周辺部との温度差が抑制され、これらの間に大きな熱応力が加わることを防止できる。
【0014】
しかしながら、この場合には、上記支柱4内に供給されたパージガスが、上記僅かな隙間を介して処理容器内の処理空間側へ洩れ出ることは避けられず、この結果、高真空下でのプロセスが実行できないばかりか、パージガスが多量に消費されるので、ランニングコストも高騰する、といった問題があった。
【0015】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、載置台に大きな熱応力が発生することを防止して、この載置台自体が破損することを防止することができると共に、腐食防止用のパージガスの供給量を抑制することができる載置台構造及び処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に係る発明は、排気可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、前記被処理体を載置するために少なくとも加熱手段が設けられた誘電体よりなる載置台と、前記処理容器の底部側より起立させて設けられると共に、上端部が前記載置台の下面に接合されて前記載置台を支持する誘電体よりなる複数の保護支柱管と、前記保護支柱管内に挿通されて上端が前記載置台に届くように設けられた機能棒体と、を備えたことを特徴とする載置台構造である。
【0017】
このように、被処理体を載置する載置台を、例えば給電棒等が内部に挿通された複数の保護支柱管で処理容器の底部より起立させて支持するようにしたので、従来構造の支柱と比較して載置台と保護支柱管との接合部の面積が少なくなるので、その分、熱の逃げを少なくしてクールスポットの発生を抑制することができる。従って、載置台に大きな熱応力が発生することを防止して、この載置台自体が破損することを防止することができると共に、保護支柱管は、従来の支柱に比べて容積が少ないので腐食防止用のパージガスの供給量を抑制することができる。
【0018】
この場合、例えば請求項2に記載したように、前記保護支柱管は前記載置台の中心部に接合されている。
また例えば請求項3に記載したように、1本の前記保護支柱管内には1本又は複数本の前記機能棒体が収容されている。
また例えば請求項4に記載したように、前記機能棒体は、前記加熱手段側に電気的に接続されるヒータ給電棒である。
【0019】
また例えば請求項5に記載したように、前記載置台には、静電チャック用のチャック電極が設けられており、前記機能棒体は前記チャック電極に電気的に接続されるチャック用給電棒である。
また例えば請求項6に記載したように、前記載置台には、高周波電力を印加するための高周波電極が設けられており、前記機能棒体は前記高周波電極に電気的に接続される高周波給電棒である。
【0020】
また例えば請求項7に記載したように、前記載置台には、静電チャック用のチャック電極と高周波電力を印加するための高周波電極とが兼用される兼用電極が設けられており、前記機能棒体は前記兼用電極に電気的に接続される兼用給電棒である。
また例えば請求項8に記載したように、前記機能棒体は、前記載置台の温度を測定するための熱電対である。
【0021】
また例えば請求項9に記載したように、前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、前記熱拡散板内には板状の金属製の接合板が埋め込んで設けられており、前記接合板には前記熱電対の上端部がろう付けされている。
また例えば請求項10に記載したように、前記熱拡散板の下面には、前記熱電対を挿入するための接続用穴が形成されている。
【0022】
また例えば請求項11に記載したように、前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、前記熱拡散板内には板状の金属製の接合板が埋め込んで設けられており、前記接合板には、その下部が前記熱拡散板の下面よりも下方へ突出した金属製の熱伝導補助部材がろう付けにより接合されると共に前記熱伝導補助部材には前記熱電対の上端部が接触させて設けられている。
【0023】
また例えば請求項12に記載したように、前記熱伝導補助部材には、前記熱電対の先端部を挿入するための熱電対用穴が形成されている。
また例えば請求項13に記載したように、前記熱拡散板の下面には、前記熱伝導補助部材を挿入するための接続用穴が形成されている。
また例えば請求項14に記載したように、前記熱電対の上端部は、付勢力により前記熱伝導補助部材に押圧接触されている。
【0024】
また例えば請求項15に記載したように、前記機能棒体は、前記載置台の温度を測定するための放射温度計の光ファイバである。
また例えば請求項16に記載したように、前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなる。
【0025】
また例えば請求項17に記載したように、前記熱拡散板内には、チャック電極、高周波電極及び兼用電極の内のいずれか1つが設けられる。
また例えば請求項18に記載したように、前記載置台本体は石英よりなり、前記熱拡散板はセラミック材よりなり、前記載置台本体の表面にはセラミック材よりなる保護板が設けられる。
また例えば請求項19に記載したように、前記載置台本体と前記熱拡散板とは、セラミック材よりなる締結具により一体的に固定される。
【0026】
また例えば請求項20に記載したように、前記載置台本体と前記熱拡散板との間には、不活性ガスが供給されている。
また例えば請求項21に記載したように、前記誘電体は石英或いはセラミック材である。
【0027】
また例えば請求項22に記載したように、前記載置台と前記保護支柱管とは同一の誘電体により形成されている。
また例えば請求項23に記載したように、前記保護支柱管内へは不活性ガスが供給されている。
また例えば請求項24に記載したように、前記保護支柱管の下端部は封止されて、内部に不活性ガスが封入されている。
【0028】
また例えば請求項25に記載したように、前記載置台には、前記被処理体を載置する時に昇降される押し上げピンを挿通するピン挿通孔が形成されており、前記ピン挿通孔内へピン挿通孔用パージガスを流すピン挿通孔用パージガス供給手段が設けられると共に前記保護支柱管は、前記ピン挿通孔用パージガス供給手段のピン挿通孔用ガス通路の一部として兼用される。
また例えば請求項26に記載したように、前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、前記ピン挿通孔を区画する区画壁は、前記載置台本体と前記熱拡散板とを締結するために前記載置台に着脱可能に取り付けられて中心部に貫通孔が形成されたセラミック材製のボルトよりなる。
【0029】
また例えば請求項27に記載したように、前記貫通孔の形成されたボルトの長さ方向の途中には、前記ピン挿通孔用ガス通路に連通されるガス噴射孔が形成されている。
また例えば請求項28に記載したように、前記ガス噴射孔は、前記ボルトの長さ方向の上部に位置されている。
また例えば請求項29に記載したように、前記ボルトの外周側には、前記ピン挿通孔用ガス通路の一部を形成する隙間が形成されている。
【0030】
また例えば請求項30に記載したように、前記載置台本体と前記熱拡散板との接合部には、不活性ガスを一時的に貯留して前記接合部の隙間より外周に向けて不活性ガスを放出させるガス貯留空間が形成されており、前記ガス貯留空間は前記ピン挿通孔用ガス通路の一部として兼用されている。
請求項31に係る発明は、被処理体に対して処理を施すための処理装置において、排気が可能になされた処理容器と、前記被処理体を載置するために請求項1乃至30のいずれか一項に記載の載置台構造と、前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、を備えたことを特徴とする処理装置である。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る載置台構造及び処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
被処理体を載置する載置台を、例えば給電棒等が内部に挿通された複数の保護支柱管で処理容器の底部より起立させて支持するようにしたので、従来構造の支柱と比較して載置台と保護支柱管との接合部の面積が少なくなるので、その分、熱の逃げを少なくしてクールスポットの発生を抑制することができる。従って、載置台に大きな熱応力が発生することを防止して、この載置台自体が破損することを防止することができると共に、保護支柱管は、従来の支柱に比べて容積が少ないので腐食防止用のパージガスの供給量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明に係る載置台構造及び処理装置の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る載置台構造を有する処理装置を示す断面構成図、図2は載置台に設けた加熱手段の一例を示す平面図、図3は図1中のA−A線に沿った矢視断面図、図4は図1中の載置台構造の一部の保護支柱管の部分を代表的に取り出して示す部分拡大断面図、図5は図4中の載置台構造の組み立て状態を説明するための説明図である。ここではプラズマを用いて成膜処理を行う場合を例にとって説明する。尚、以下に説明する「機能棒体」とは、1本の金属棒のみならず可撓性のある配線、複数の配線を絶縁材で被覆して1本に結合して棒状に形成された部材等も含むものとする。
【0033】
図示するようにこの処理装置20は、例えば断面の内部が略円形状になされたアルミニウム製の処理容器22を有している。この処理容器22内の天井部には必要な処理ガス、例えば成膜ガスを導入するためにガス供給手段であるシャワーヘッド部24が絶縁層26を介して設けられており、この下面のガス噴射面28に設けた多数のガス噴射孔32A、32Bから処理空間Sに向けて処理ガスを噴射するようになっている。このシャワーヘッド部24はプラズマ処理時に上部電極を兼ねるものである。
【0034】
このシャワーヘッド部24内には、中空状の2つに区画されたガス拡散室30A、30Bが形成されており、ここに導入された処理ガスを平面方向へ拡散した後、各ガス拡散室30A、30Bにそれぞれ連通された各ガス噴射孔32A、32Bより噴射するようになっている。すなわち、ガス噴射孔32A、32Bはマトリクス状に配置されている。このシャワーヘッド部24の全体は、例えばニッケルやハステロイ(登録商標)等のニッケル合金、アルミニウム、或いはアルミニウム合金により形成されている。尚、シャワーヘッド部24としてガス拡散室が1つの場合でもよい。
【0035】
そして、このシャワーヘッド部24と処理容器22の上端開口部の絶縁層26との接合部には、例えばOリング等よりなるシール部材34が介在されており、処理容器22内の気密性を維持するようになっている。そして、このシャワーヘッド部24には、マッチング回路36を介して例えば13.56MHzのプラズマ用の高周波電源38が接続されており、必要時にプラズマを生成可能になっている。この周波数は上記13.56MHzに限定されない。
【0036】
また、処理容器22の側壁には、この処理容器22内に対して被処理体としての半導体ウエハWを搬入搬出するための搬出入口40が設けられると共に、この搬出入口40には気密に開閉可能になされたゲートバルブ42が設けられている。
【0037】
そして、この処理容器22の底部44の側部には、排気口46が設けられる。この排気口46には、処理容器22内を排気、例えば真空引きするための排気系48が接続されている。この排気系48は、上記排気口46に接続される排気通路49を有しており、この排気通路49には、圧力調整弁50及び真空ポンプ52が順次介設されており、処理容器22を所望する圧力に維持できるようになっている。尚、処理態様によっては、処理容器22内を大気圧に近い圧力に設定する場合もある。
【0038】
そして、この処理容器22内の底部44には、これより起立させて本発明の特徴とする載置台構造54が設けられる。具体的には、この載置台構造54は、上面に上記被処理体を載置するための載置台58と、上記載置台58に接続されると共に、上記載置台58を上記処理容器22の底部から起立させて支持するための複数の保護支柱管60と、これらの保護支柱管60内へ挿通される機能棒体62とにより主に構成される。
【0039】
図1においては、発明の理解を容易にするために、各保護支柱管60を横方向に配列して記載している。具体的には、上記載置台58は、全体が誘電体よりなり、ここではこの載置台58は肉厚で透明な石英よりなる載置台本体59と、この載置台本体59の上面側に設けられて上記載置台本体59とは異なる不透明な誘電体、例えば耐熱性材料である窒化アルミニウム(AlN)等のセラミック材よりなる熱拡散板61とにより構成されている。
【0040】
そして、上記載置台本体59内には、加熱手段64が例えば埋め込むようにして設けられており、また上記熱拡散板61内には兼用電極66が埋め込むようにして設けられる。そして、この熱拡散板61の上面に上記ウエハWを載置して、このウエハWを上記加熱手段64からの輻射熱により熱拡散板61を介して加熱するようになっている。
【0041】
図2にも示すように、上記加熱手段64は例えばカーボンワイヤヒータやモリブデンワイヤヒータ等よりなる発熱体68よりなり、この発熱体68は載置台58の略全面に亘って所定のパターン形状にして設けられている。そして、ここではこの発熱体68は、載置台58の中心側の内周ゾーン発熱体68Aと、この外側の外周ゾーン発熱体68Bの2つのゾーンに電気的に分離されており、各ゾーン発熱体68A、68Bの接続端子は、載置台58の中心部側に集合されている。尚、ゾーン数は1つ、或いは3以上に設定してもよい。
【0042】
また上記兼用電極66は、上述のように不透明な熱拡散板61内に設けられている。この兼用電極66は例えばメッシュ状に形成された導体線よりなり、この兼用電極66の接続端子は載置台58の中心部に位置されている。ここでは、この兼用電極66は、静電チャック用のチャック電極と高周波電力を印加するための下部電極となる高周波電極とを兼用するものである。
【0043】
そして、上記発熱体68や兼用電極66に対して給電を行う給電棒や温度を測定する熱電対の導電棒としての前記機能棒体62が設けられることになり、これらの各機能棒体62が細い上記保護支柱管60内に挿通されることになる。
【0044】
まず、図1及び図3にも示すように、ここでは6本の保護支柱管60が載置台58の中心部に集合させて設けられている。各保護支柱管60は、誘電体よりなり、具体的には上記載置台本体59と同じ誘電体の材料である例えば石英よりなり、各保護支柱管60は、上記載置台本体59の下面に例えば熱溶着により気密に一体的になるように接合されている。従って、各保護支柱管60の上端には、熱溶着接合部60A(図4参照)が形成されることになる。そして、各保護支柱管60内に上記機能棒体62が挿通されている。図4では前述したように、一部の保護支柱管60を代表して示しており、この内の1本の保護支柱管60内には後述するように2本の機能棒体62が収容されている。
【0045】
すなわち、内周ゾーン発熱体68Aに対しては、電力インと電力アウト用の2本の機能棒体62としてヒータ給電棒70、72がそれぞれ保護支柱管60内を個別に挿通されており、各ヒータ給電棒70、72の上端は上記内周ゾーン発熱体68Aに電気的に接続されている。
【0046】
また、外周ゾーン発熱体68Bに対しては、電力インと電力アウト用の2本の機能棒体62としてヒータ給電棒74、76がそれぞれ保護支柱管60内を個別に挿通されており、各ヒータ給電棒74、76の上端は上記外周ゾーン発熱体68Bに電気的に接続されている(図1参照)。上記各ヒータ給電棒70〜76は例えばニッケル合金等よりなる。
【0047】
また兼用電極66に対しては機能棒体62として兼用給電棒78が保護支柱管60内を挿通されており、この兼用給電棒78の上端は接続端子78A(図4参照)を介して兼用電極66に電気的に接続されている。上記兼用給電棒78は例えばニッケル合金、タングステン合金、モリブデン合金等よりなる。
【0048】
また残りの1本の保護支柱管60内へは、載置台58の温度を測定するために、機能棒体62として2つの熱電対80、81が挿通されており、そして、熱電対80、81の各測温接点80A、81Aが、それぞれ熱拡散板61の内周ゾーン及び外周ゾーンの下面に位置されており、各ゾーンの温度を検出するようになっている。上記熱電対80、81としては、例えばシース型の熱電対を用いることができる。このシース型の熱電対は、金属保護管(シース)の内部に熱電対素線を挿入して高純度の酸化マグネシウム等の無機絶縁物の粉末によって密封充填されており、絶縁性、気密性、応答性に優れ、高温環境やさまざまな悪性雰囲気の中での長時間の連続使用にも抜群の耐久性を発揮する。
【0049】
この場合、図4に示すように、上記接続端子78A及び熱電対80、81が通る載置台本体59の部分にはそれぞれ貫通孔84、86が形成されると共に、上記載置台本体59の上面には各貫通孔84、86に連通される共に上記熱電対の内の一方の熱電対81を外周ゾーンへ向けて配設するための溝部88が形成されている。尚、図4には機能棒体62として、ヒータ給電棒70、兼用給電棒78及び2本の熱電対80、81が代表的に記載されている。
【0050】
また、処理容器22の底部44は例えばステンレススチールよりなり、図4にも示すように、この中央部には導体引出口90が形成されており、この導体引出口90の内側には、例えばステンレススチール等よりなる取付台座92がOリング等のシール部材94を介して気密に取り付け固定されている。
【0051】
そして、この取付台座92上に、上記各保護支柱管60を固定する管固定台96が設けられる。上記管固定台96は、上記各保護支柱管60と同じ材料、すなわちここでは石英により形成されており、各保護支柱管60に対応させて貫通孔98が形成されている。そして、上記各保護支柱管60の下端部側は、上記管固定台96の上面側に熱溶着等によって接続固定されている。従って、ここには、熱溶着部60Bが形成されることになる。
【0052】
この場合、各ヒータ給電棒70、72、74、76を挿通する各保護支柱管60は、上記管固定台96に形成した貫通孔98を下方向へ挿通されており、その下端部は封止されて内部にN やAr等の不活性ガスが減圧雰囲気で封入されている。尚、図4では1本のヒータ給電棒70のみを示すが、他のヒータ給電棒72〜76も同様に構成されている。
【0053】
このように、各保護支柱管60の下端部を固定する管固定台96の周辺部には、これを囲むようにして例えばステンレススチール等よりなる固定治具100が設けられており、この固定治具100はボルト102によって取付台座92側へ固定されている。
【0054】
また、上記取付台座92には、上記管固定台96の各貫通孔98に対応させて同様な貫通孔104が形成されており、それぞれ機能棒体62を下方向へ挿通するようになっている。そして、上記管固定台96の下面と、取付台座92の上面との接合面には、上記各貫通孔104の周囲を囲むようにしてOリング等のシール部材106が設けられており、この部分のシール性を高めるようにしている。
【0055】
また、上記兼用給電棒78と2本の熱電対80、81が挿通されている各貫通孔104の下端部には、それぞれOリング等よりなるシール部材108、110を介して封止板112、114がボルト116、118により取り付け固定されている。そして、上記各兼用給電棒78及び熱電対80、81は、上記封止板112、114を気密に貫通させるようにして設けられている。これらの封止板112、114は、例えばステンレススチール等よりなり、この封止板112に対する上記兼用給電棒78の貫通部に対応させて、兼用給電棒78の周囲には絶縁部材120が設けられている。
【0056】
また、上記取付台座92及びこれに接する処理容器22の底部44には、上記兼用給電棒78を挿通する貫通孔104に連通させて不活性ガス路122が形成されており、この兼用給電棒78を通す保護支柱管60内に向けて、N 等の不活性ガスを供給できるようになっている。尚、上記載置台本体59の溝部88を介して上記貫通孔84と貫通孔86は連通しているので、上記兼用給電棒78の保護支柱管60に代えて、2本の熱電対80、81を通す保護支柱管60内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0057】
ここで各部分について寸法の一例を説明すると、載置台58の直径は、300mm(12インチ)ウエハ対応の場合には340mm程度、200mm(8インチ)ウエハ対応の場合には230mm程度、400mm(16インチ)ウエハ対応の場合には460mm程度である。また各保護支柱管60の直径は8〜16mm程度、各機能棒体62の直径は4〜6mm程度である。
【0058】
ここで図1へ戻って、上記熱電対80、81は、例えばコンピュータ等を有するヒータ電源制御部134に接続される。また、加熱手段64の各ヒータ給電棒70、72、74、76に接続される各配線136、138、140、142も、上記ヒータ電源制御部134に接続されており、上記熱電対80、81により測定された温度に基づいて上記内周ゾーン発熱体68A及び外周ゾーン発熱体68Bをそれぞれ個別に制御して所望する温度を維持するようになっている。
【0059】
また、上記兼用給電棒78に接続される配線144には、静電チャック用の直流電源146とバイアス用の高周波電力を印加するための高周波電源148とがそれぞれ接続されており、載置台58のウエハWを静電吸着すると共に、プロセス時に下部電極となる載置台58にバイアスとして高周波電力を印加できるようになっている。この高周波電力の周波数としては13.56MHzを用いることができるが、他に400kHz等を用いることができ、この周波数に限定されるものではない。
【0060】
また、上記載置台58には、この上下方向に貫通して複数、例えば3本のピン挿通孔150が形成されており(図1においては2つのみ示す)、上記各ピン挿通孔150に上下移動可能に遊嵌状態で挿通させた押し上げピン152を配置している。この押し上げピン152の下端には、円弧状の例えばアルミナのようなセラミック製の押し上げリング154が配置されており、この押し上げリング154に、上記各押し上げピン152の下端が乗っている。この押し上げリング154から延びるアーム部156は、処理容器22の底部44を貫通して設けられる出没ロッド158に連結されており、この出没ロッド158はアクチュエータ160により昇降可能になされている。
【0061】
これにより、上記各押し上げピン152をウエハWの受け渡し時に各ピン挿通孔150の上端から上方へ出没させるようになっている。また、上記出没ロッド158の処理容器22の底部44の貫通部には、伸縮可能なベローズ162が介設されており、上記出没ロッド158が処理容器22内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0062】
ここで上記ピン挿通孔150は、図4及び図5にも示すように、上記載置台本体59と上記熱拡散板61とを連結する締結具であるボルト170に、その長さ方向に沿って形成された貫通孔172によって形成されている。具体的には、上記載置台本体59及び熱拡散板61には、上記ボルト170を通すボルト孔174、176が形成されており、このボルト孔174、176に上記ピン挿通孔150の形成されたボルト170を挿通し、これをナット178で締め付けることにより、上記載置台本体59と熱拡散板61とを結合するようにしている。これらのボルト170及びナット178は、例えば窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミック材により形成する。
【0063】
そして、この処理装置20の全体の動作、例えばプロセス圧力の制御、載置台58の温度制御、処理ガスの供給や供給停止等は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部180により行われることになる。そして、この装置制御部180は、上記動作に必要なコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体182を有している。この記憶媒体182は、フレキシブルディスクやCD(Compact Disc)やハードディスクやフラッシュメモリ等よりなる。
【0064】
次に、以上のように構成されたプラズマを用いた処理装置20の動作について説明する。
まず、未処理の半導体ウエハWは、図示しない搬送アームに保持されて開状態となったゲートバルブ42、搬出入口40を介して処理容器22内へ搬入され、このウエハWは、上昇された押し上げピン152に受け渡された後に、この押し上げピン152を降下させることにより、ウエハWを載置台構造54の各保護支柱管60に支持された載置台58の熱拡散板61の上面に載置してこれを支持する。この時に、載置台58の熱拡散板61に設けた兼用電極66に直流電源146より直流電圧を印加することにより静電チャックが機能し、ウエハWを載置台58上に吸着して保持する。尚、静電チャックの代わりにウエハWの周辺部を押さえるクランプ機構を用いる場合もある。
【0065】
次に、シャワーヘッド部24へ各種の処理ガスを、それぞれ流量制御しつつ供給して、このガスをガス噴射孔32A、32Bより噴射して処理空間Sへ導入する。そして、排気系48の真空ポンプ52の駆動を継続することにより、処理容器22内の雰囲気を真空引きし、そして、圧力調整弁50の弁開度を調整して処理空間Sの雰囲気を所定のプロセス圧力に維持する。この時、ウエハWの温度は所定のプロセス温度に維持されている。すなわち、載置台58の加熱手段64を構成する内周ゾーン発熱体68A及び外周ゾーン発熱体68Bにヒータ電源制御部134よりそれぞれ電圧を印加することにより発熱させている。
【0066】
この結果、各ゾーン発熱体68A、68Bからの熱でウエハWが昇温加熱される。この時、熱拡散板61の下面中央部と周辺部とに設けた熱電対80、81では、内周ゾーンと外周ゾーンのウエハ(載置台)温度がそれぞれ測定され、この測定値に基づいてヒータ電源制御部134は、各ゾーン毎にフィードバックで温度制御することになる。このため、ウエハWの温度を常に面内均一性が高い状態で温度制御することができる。この場合、プロセスの種類にもよるが、載置台58の温度は例えば700℃程度に達する。
【0067】
またプラズマ処理を行う時には、高周波電源38を駆動することにより、上部電極であるシャワーヘッド部24と下部電極である載置台58との間に高周波を印加し、処理空間Sにプラズマを立てて所定のプラズマ処理を行う。また、この際に、載置台58の熱拡散板61に設けた兼用電極66にバイアス用の高周波電源148から高周波電力を印加することにより、プラズマイオンの引き込みを行うことができる。
【0068】
ここで上記載置台構造54における機能について詳しく説明する。まず、加熱手段の内周ゾーン発熱体68Aへは機能棒体62であるヒータ給電棒70、72を介して電力が供給され、外周ゾーン発熱体68Bへはヒータ給電棒74、76を介して電力が供給される。また載置台58の中央部の温度は、その測温接点80Aが載置台58の下面中央部に接するようにして配置された熱電対80を介して上記ヒータ電源制御部134に伝えられる。
【0069】
この場合、上記測温接点80Aは内周ゾーンの温度を測定している。また、外周に配置された熱電対81は外周ゾーンの温度を測定しており、測定値は上記ヒータ電源制御部134へ伝えられる。このように、上記内周ゾーン発熱体68Aと上記外周ゾーン発熱体68Bへの供給電力はそれぞれフィードバック制御に基づいて電力が供給される。
【0070】
更には、兼用電極66へは、兼用給電棒78を介して静電チャック用の直流電圧とバイアス用の高周波電力が印加される。そして、機能棒体62である上記各ヒータ給電棒70、72、74、76、熱電対80、81及び兼用給電棒78は、上端が載置台58の載置台本体59の下面に気密に熱溶着された細い保護支柱管60内にそれぞれ個別(熱電対80、81は1本の保護支柱管)に挿通されている。そして、同時に、これらの保護支柱管60は載置台58自体を起立させて支持している。
【0071】
また、各ヒータ給電棒70〜76を挿通する各保護支柱管60内は、不活性ガス、例えばN ガスにより減圧状態で封止されており、ヒータ給電棒70〜76の酸化が防止されている。また、兼用給電棒78を挿通する保護支柱管60内へは、不活性ガス路122を介して不活性ガスとして例えばN ガスが供給されており、このN ガスは、この載置台本体59の上面に形成した溝部88(図4参照)を介して熱電対80、81を挿通する保護支柱管60内にも供給され、更には、この載置台本体59と熱拡散板61との接合面にも供給されるので、この接合面の僅かな隙間を介して載置台58の周辺部から放射状に不活性ガスが放出されるので、この内部に処理空間Sの成膜ガス等が侵入するのを防止することができる。
【0072】
さて、このような状況において、ウエハWに対する処理が繰り返し行われる載置台58の昇温及び降温が繰り返されることになる。そして、この載置台58の温度の昇降によって、例えば載置台58の温度が前述したように700℃程度に達すると、熱伸縮によって載置台58の中心部では0.2〜0.3mm程度の距離だけ半径方向への熱伸縮差が生ずる。この場合、従来の載置台構造の場合には、非常に硬いセラミック材よりなる載置台と直径が大きな支柱とを熱拡散接合により強固に一体結合していたので、上記した僅か0.2〜0.3mm程度の熱伸縮差とはいえ、この熱伸縮差に伴って発生する熱応力の繰り返しにより、載置台と支柱との接合部が破損する現象が頻発していた。
【0073】
これに対して、本発明では載置台58は、直径が1cm程度の細い複数本、ここでは6本の保護支柱管60により結合されて支持されているので、これらの各保護支柱管60は載置台58の水平方向の熱伸縮に追従して移動でき、従って、上記した載置台58の熱伸縮を許容することができる。この結果、載置台58と各保護支柱管60との接合部に熱応力が加わることがなくなり、各保護支柱管60の上端部や載置台58の下面、すなわち両者の連結部が破損することを防止することができる。
【0074】
また、石英よりなる上記各保護支柱管60は、載置台58の下面に溶着により強固に結合されているが、この保護支柱管60の直径は前述したように10mm程度であって小さく、この結果、載置台58から各保護支柱管60への伝熱量を少なくすることができる。従って、各保護支柱管60側へ逃げる熱を少なくできるので、その分、載置台58においてクールスポットの発生を大幅に抑制することができる。
【0075】
また上記各機能棒体62はそれぞれ保護支柱管60に被われ、また上記保護支柱管60内へは、パージガスとして不活性ガスが供給されていたり、或いは不活性ガスの雰囲気で封止されているので、上記各機能棒体62が腐食性のプロセスガスに晒されることはなく、しかも不活性ガスにより機能棒体62や接続端子78A等が酸化されることを防止することができる。また上記不活性ガスは、載置台本体59と熱拡散板61との接合部の僅かな隙間を介して処理容器22内へ洩れ出るようにして成膜ガス等が内部へ侵入するのを防止するようにしているが、パージを行なう保護支柱管60は、兼用給電棒78が挿通可能なサイズとすればよく、従来の支柱4(図16参照)に比べて容積が非常に少ないので、そのガス量は従来の載置台構造と比較して少なくすることができ、その分、不活性ガスの消費量も少なくできるので、ランニングコストを削減することができる。
【0076】
このように、本発明によれば、被処理体である半導体ウエハWを載置する載置台58を、例えば給電棒70〜76等が内部に挿通された複数の保護支柱管60で処理容器22の底部より起立させて支持するようにしたので、従来構造の支柱と比較して載置台と保護支柱管との接合部の面積が少なくなるので、その分、熱の逃げを少なくしてクールスポットの発生を抑制することができる。従って、載置台58に大きな熱応力が発生することを防止して、この載置台自体が破損することを防止することができると共に、保護支柱管は、従来の支柱に比べて容積が少ないので腐食防止用のパージガスの供給量を抑制することができる。
【0077】
<第1変形実施形態>
ところで、上述した処理装置20では、例えばある程度の枚数のウエハの成膜処理を行うと、処理容器22の内部にパーティクル発生の原因となる不要な膜が付着するので、この不要な膜を除去するために、例えばNF ガス等のエッチングガスを用いたクリーニングガスが行われる。この場合、このエッチングガスは、窒化アルミニウム等のセラミック材と比較して石英に対しては腐食性がかなり大きいことが知られている。
【0078】
そこで、載置台58を構成する石英を上記クリーニングガスから保護することが望ましい。図6は上記した保護の目的のためにクリーニングガスに対する保護板を設けた載置台構造の第1変形実施形態の一部を示す断面図である。図6において、図4に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
図6に示すように、この第1変形実施形態においては、載置台58の内、石英により構成されている載置台本体59の表面全体に亘って薄い保護板190が設けられている。具体的には、載置台本体59の下面及び側面がこの保護板190で囲まれている。この保護板190は、中央側保護板190Aと周辺側保護板190Bとに主に分割されており、周辺側保護板190Bの内周部の係合段部192で、上記中央側保護板190Aの周囲を保持するようになっている。
【0080】
そして、この周辺側保護板190Bは、上記載置台本体59と熱拡散板61とを連結するボルト170とナット178により取り付け固定されている。この保護板190としては、エッチングガスに対して対腐食性の優れた薄いセラミック材、例えば窒化アルミニウムやアルミナ等を用いることができる。このとき、上記アルミナ等は熱伝導率が悪いため、温度差があるとそれ自体が破壊する場合がある。この破壊を防ぐために上記中央側保護板190Aと周辺側保護板190Bの境界を、内周ゾーン発熱体68Aと外周ゾーン発熱体68Bの境界と一致させるように構成するのが好ましい。この理由は、内周ゾーン発熱体68Aと外周ゾーン発熱体68Bの間は温度差が生じ易いからである。このように形成された変形実施形態によれば、載置台58の石英部分をエッチングガスによる腐食から保護することができる。
【0081】
<熱電対の接合部の構造>
次に、載置台構造の載置台に対する熱電対の取り付け構造について説明する。図7は載置台に対する熱電対の取り付け構造を示す部分拡大断面図であり、図7(A)は本発明の取り付け構造の第1例を示し、図7(B)は本発明の取り付け構造の第2例を示す。図8は熱電対の取り付け構造の製造工程を説明する工程図、図9は熱電対の取り付け構造の製造工程を説明するフローチャートである。尚、図1乃至図6に示した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0082】
前述した図1乃至図5に示したように、本発明の載置台構造の載置台58は、例えば石英よりなる載置台本体59と、この上に設置される薄板状の例えば窒化アルミニウム(AlN)等のセラミック材よりなる熱拡散板61とにより形成されている。そして、このセラミック材よりなる熱拡散板61に、例えば内周ゾーンの温度を検出する熱電対80と外周ゾーンの温度を検出する熱電対81とが取り付けられている。
【0083】
この熱電対80、81の取り付け構造は、まず、内部に兼用電極66を埋め込んだ状態でAlNのセラミック材を厚く焼成し、この焼成したセラミック材の下面を削り込んで削り出し加工することにより全体を薄くすると同時に、図7(A)の第1例に示すように、上記熱電対80、81を取り付けるための突起部200、202をそれぞれ形成する。
【0084】
この時のセラミック材の厚さH1は例えば5〜7mm程度である。そして、上記内周ゾーンの突起部200には、その下方より上方向に向かうように取付穴200Aを形成し、外周ゾーンの突起部202には、その横方向から取付穴202Aを形成し、上記各取付穴200A、202Aにそれぞれの熱電対80、81を挿入して取り付けるようになっている。この場合、内周ゾーンの取付穴200Aは、ウエハWの温度をより正確に測定するために、熱電対80の先端ができるだけウエハに近づくように深く形成する。
【0085】
ここで、熱拡散板61を薄くする理由は、この下方に位置される載置台本体59の発熱体68(図4参照)からの放射熱により効率的にウエハWを加熱させるためである。この場合、取付穴200A、202Aの深さが浅過ぎると、この下方に位置する発熱体68から輻射熱が直接的に取付穴200A、202A内に入り込んで熱的な外乱になって悪影響を受け、ウエハWの温度を正確に測定できなくなる恐れがあるが、上述のように、熱電対80、81の取り付けのために突起部200、202を設けることにより、各取付穴200A、202Aの深さを十分に確保することができ、熱的な外乱の悪影響を受けることがなくなって、ウエハWの温度を正確に測定できる。
【0086】
ところで、上述のように上記突起部200、202を、熱拡散板61の構成材料であるセラミック材と同じ材料で一体的に形成すると、特に、この突起部200、202自体が、この下方に位置する発熱体からの輻射熱を受け易くなってしまい、この結果、この突起部200、202で受けた輻射熱が削り出し加工によって一体的に形成された熱拡散板に容易に伝達されてしまい、この突起部200、202を設けた部分の温度が周囲と異なってしまい、ウエハWの面内温度の均一性を低下させる恐れがある。
【0087】
また上記突起部200、202を、厚くて硬い板状のセラミック材の下面から、削り出し加工することから、加工費用が高騰してコスト高を招来してしまう。そのため、上記取り付け構造の第2例では、上記突起部を、熱拡散板とは別の構成材料(金属)で形成するようにしている。すなわち、図7(B)に示すように、本発明に係る載置台構造の熱拡散板61における熱電対の取り付け構造の第2例にあっては、熱拡散板61内には、熱電対80、81を取り付ける位置に対応させて板状の金属製の接合板204が埋め込んで設けられている。
【0088】
この接合板204は、ウエハ温度をより正確に測定するために、できるだけ上面である載置面に接近させて設けるが、これに埋め込まれている上記兼用電極66に対しては絶縁されていなければならず、従って、ここでは、この兼用電極66の僅かに下方に位置されて設けられており、この兼用電極66と上記接合板204との間の距離H2の下限値は、例えば1mm程度である。またこの接合板204の厚さは、例えば0.1〜1.0mm程度であり、また熱拡散板61の厚さH1は図7(A)の場合と同じ5〜7mm程である。
【0089】
この接合板204は、熱伝導性が良好で金属汚染の恐れが少ない金属、例えばコバール(商品名)等を用いることができる。そして、上記接合板204の下方には、それぞれ接続用穴206、208が形成され、この接続用穴206、208内にそれぞれ金属製の熱伝導補助部材210、212が挿入されて、それぞれの上端が例えば金ろう等よりなるろう材214、216により、上記接合板204にそれぞれろう付け接合されている。この熱伝導補助部材210、212は、熱伝導性が良好で金属汚染の恐れが少ない金属、例えばコバール(商品名)等を用いることができる。
【0090】
上記両熱伝導補助部材210、212の下部は、共に熱拡散板61の下面よりも下方へ突出しており、内周ゾーンの熱伝導補助部材210は、上下方向に延びる円柱状に成形され、外周ゾーンの熱伝導補助部材212は、接続用穴208内に挿入される部分は上下方向に延びる円柱状に成形され、下方へ突出する突起部分は円板状の熱拡散板61の半径方向に延びる例えば断面半円状の部材として形成されている。
【0091】
そして、上記内周ゾーンの熱伝導補助部材210には、下方に開口されて上下方向に延びる熱電対用穴210Aが形成されている。そして、この熱電対用穴210A内に上記熱電対80をその下方より挿入して、この熱電対80の上端部を熱電対用穴210Aの底(上端)に接触させた状態で設置している。この場合、この熱電対80の下方には、例えばバネ(図示せず)が装着されており、このバネの付勢力によって上方に向けて押圧接触されて、熱抵抗ができるだけ少なくなるようにしている。
【0092】
また外周ゾーンの熱伝導補助部材212には、その突起部分に熱拡散板61の中心方向に開口されて、その中心方向(水平方向)に延びる熱電対用穴212Aが形成されている。そして、この熱電対用穴212A内に上記熱電対81を上記熱拡散板61の中心方向から挿入して、この熱電対81の上面及び先端部を熱電対用穴212Aの側面や底面に接触させた状態で設定している。この場合、この熱電対81は、熱拡散板61の中心部側より水平方向へ屈曲させて設けられており、そして、この熱電対81自体は弾性的に屈曲していることから、この時の復元力が付勢力となって上記熱電対用穴212A内の側壁等に押圧接触された状態となっており、熱抵抗ができるだけ少なくなるようになっている。
【0093】
次に、このような熱電対の取り付け構造の製造方法を説明する。まず、図8(A)に示すように、焼成前の例えばAlNのセラミック材中に兼用電極66及び2枚の接合板204をそれぞれ所定の位置に埋め込み、この状態でこのセラミック材を焼成して硬化させる(S1)。これにより、下面が平坦な円板状の熱拡散板61が形成されることになる。
【0094】
次に、上述のように焼成した円板状のセラミック材よりなる熱拡散板61の下面を少し研磨処理して平坦化させる(S2)。この場合、上記円板状のセラミック材の下面の平坦度が良好な場合には、上記研磨処理は不要である。またこの場合、図7(A)に示す第1例の取り付け構造と異なり、突起部200、202を削り出し加工する必要がないので、この部分における製造コストを大幅に削除することができる。
【0095】
次に、図8(B)に示すように、上記熱拡散板61の各接合板204に対応する部分に、その下面から穴開けの加工を施して、接続用穴206、208をそれぞれ形成し、その底部(上端)に接合板204、204をそれぞれ露出させる(S3)。次に、図8(C)に示すように、予め熱電対用穴210Aの形成された熱伝導補助部材210及び予め熱電対用穴212Aの形成された熱伝導補助部材212を用意し、図8(D)に示すようにこれらの各熱伝導補助部材210、212をそれぞれ上記接続用穴206、208内に挿入して各熱伝導補助部材210、212の上端を各接合板204に、ろう材214、216を用いてそれぞれろう付け接合する(S4)。
【0096】
そして、このように各熱伝導補助部材210、212をそれぞれ各接合板204にろう付けしたならば、各熱伝導補助部材210、212の各熱電対用穴210A、212A内にそれぞれ熱電対80、81の先端部を挿入して取り付け(S5)、図7(B)に示すように熱電対80、81の取り付けを完了することになる。この後は、この熱拡散板61を、載置台本体59上に設置することになり(図5参照)、この際、上記各熱電対80、81は、それぞれ保護支柱管60内に挿通されることになる。
【0097】
このように形成した熱電対の取り付け構造にあっては、図7(A)に示す第1例の取り付け構造の場合と異なり、熱伝導補助部材210、212は、熱拡散板61の構成材料、例えばAlNとは異なった材料、例えばコバールにより形成されているので、この下方に位置する載置台本体59の発熱体68からの輻射熱が上記熱伝導補助部材210、212の突起部分に入射しても、この入射した輻射熱は異種材料よりなる熱拡散板61に向けては伝導し難くなっている。従って、この熱伝導補助部材210、212を設けた部分が上記熱輻射により部分的に熱的な悪影響を受ける恐れが抑制されることになり、結果的にウエハWの面内温度の均一性を高く維持することが可能となる。
【0098】
また、上記熱拡散板61の下面に対しては、必要な場合に平坦化加工を行うだけで済むので、図7(A)に示す第1例の取り付け構造の突起部200、202を形成するための複雑な削り出し加工を行う必要がなくなり、その分、加工コストを大幅に削減することが可能となる。
【0099】
上記熱電対の取り付け構造にあっては、熱伝導補助部材210、212を用いたが、これに限定されず、上記熱伝導補助部材210、212を用いないで、図10に示す熱電対の取り付け構造の変形実施形態に示すように、接続用穴206、208内に露出している接合板204に対して、各熱電対80、81をろう材214、216によりそれぞれ直接的に接合させて取り付けるようにしてもよい。この場合には、上述した作用効果に加えて、熱伝導補助部材210、212が不要になるので、更にその分のコスト削減を図ることができる。
【0100】
またここでは、上記熱電対の取り付け構造を、保護支柱管60を設けた載置台構造に適用した場合を例にとって説明したが、これに限定されず、上記した熱電対の取り付け構造は、図16に示すような太い円筒状の従来の支柱4を用いた従来の載置台構造に対して適用することができる。
【0101】
<第2変形実施形態>
ところで、先に説明した各実施形態においては、成膜時に成膜用の処理ガスが載置台58の裏面側に廻り込んでこの処理ガスがボルト170に形成されたピン挿通孔150内に侵入することは避けられない。このようにピン挿通孔150内に成膜用の処理ガスが侵入すると、この内部で薄膜が少しずつ堆積して押し上げピン152の昇降操作に支障を生ずるようになるので、定期的、或いは不定期的にドライエッチングやウェットエッチングを施して洗浄操作を行わなければならない。例えばピン挿通孔150の内径が4mm程度であるのに対して、押し上げピン152の直径は3.8mm程度であり、ウエハ移載時の位置ズレを抑制するためにスペース的に僅かな余裕しか設けていない。そのため、上記洗浄操作は頻繁に行われるので、その分、スループットが低下する、といった問題があった。
【0102】
そこで、この第2変形実施形態では、上記ピン挿通孔150内にパージガスとしてピン挿通孔用パージガスを流すようにしてこの内部で薄膜が堆積することを防止するようにしている。図11は上記した目的を達成するための載置台構造の第2変形実施形態を示す断面図、図12は第2変形実施形態の組み立て状態を説明するための説明図、図13は第2変形実施形態の載置台本体の上面を示す平面図である。尚、図1〜図10に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0103】
図11に示すように、ここでは上述したように載置台本体59と熱拡散板61とを着脱可能に締結する締結具であるボルト170に形成されたピン挿通孔150内へパージガスとしてピン挿通孔用パージガスを流すためのピン挿通孔用パージガス供給手段220が設けられている。図11では1つのボルト170しか記載していないが、他の図示しない2つのボルトについても同様に構成されている。このピン挿通孔用パージガス供給手段220は、この処理容器22(図1参照)の底部側より処理容器22内に導入されて上記載置台58内を通って上記ピン挿通孔150に至るピン挿通孔用ガス通路222を有しており、不活性ガスとして例えばN ガスを成膜時に供給できるようになっている。
【0104】
具体的には、上記複数の保護支柱管60の内の内部が封止されないで開放されている保護支柱管60が上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として用いられる。図11では兼用給電棒78が挿通されている保護支柱管60が上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として兼用されており、また、この保護支柱管60に不活性ガス、例えばN ガスを導入する不活性ガス路122も上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として兼用されている。
【0105】
また、上記載置台本体59と熱拡散板61との間には、不活性ガスを一時的に貯留して上記載置台本体59と熱拡散板61との接合部に僅かに形成されている隙間(図示せず)から外周に向けて不活性ガス(N ガス)を放出させるガス貯留空間224が形成されている。具体的には、ここでは、上記ガス貯留空間224は、図13にも示すように、上記載置台本体59の上面側を、その周縁部のみをリング状に残して内側の全面を円形状に削り取ることによって形成された円形凹部226よりなり、この円形凹部226を上記熱拡散板61の下面で覆うことによって上記ガス貯留空間224が区画形成されている。
【0106】
このガス貯留空間224は、上記兼用給電棒78が挿通された保護支柱管60と貫通孔84を介して連通されており、この保護支柱管60を介して導入された不活性ガスを上記ガス貯留空間224の半径方向外方に向けて拡散させて上述のように載置台本体59と熱拡散板61との接合部の僅かな隙間より処理容器22内に放射状に放出できるようになっている。尚、このガス貯留空間224は図4や図6中では明示されていないが、これらの実施形態でも設けられている。そして、上記ガス貯留空間224は、上記各ボルト170が設けられている位置まで半径方向に大きく形成されており、従って、このガス貯留空間224も上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として兼用されている。
【0107】
そして、上記ボルト170が挿通される上記載置台本体59のボルト孔176(図12参照)の内径は、これに挿通されるボルト170の直径よりも少し大きく設定されており、このボルト170をボルト孔176に挿通した時にこのボルト170の外周側に僅かな隙間228を形成できるようになっている。この隙間228は上記ガス貯留空間224に連通されて不活性ガスが流れ込むようになっており、従って、この隙間228も上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として構成されている。
【0108】
そして、上記ピン挿通孔150の形成されているボルト170には、その長さ方向の途中においてガス噴射孔230が形成されており、上記隙間228に流れ込んだ不活性ガスを上記ガス噴射孔230からピン挿通孔150内へ噴射できるようになっている。このガス噴射孔230は1つ或いは複数個設けることができる。この場合、このガス噴射孔230内へ成膜用の処理ガスが流れ込まないようにする作用を高めるためには、上記ガス噴射孔230を、上記ボルト170の長さ方向の上部に位置させるのがよい。
【0109】
さて、このような構成において、成膜処理が開始されると上記ピン挿通孔用パージガス供給手段220のピン挿通孔用ガス通路222を介して不活性ガスとして例えばN ガスが上記ボルト170に設けたガス噴射孔230よりピン挿通孔150内へ噴射されて供給される。すなわち、処理容器22の底部の不活性ガス路122より導入された不活性ガス(N ガス)は、兼用給電棒78が挿通されている保護支柱管60内へ流れてこの内部を上昇し、貫通孔84を介してガス貯留空間224内へ流れ込む。
【0110】
このガス貯留空間224内へ流れ込んだ不活性ガスは、この半径方向外方へ拡散して大部分は載置台本体59と熱拡散板61との間の隙間より処理容器22内へ放出されるが、一部の不活性ガスはボルト170の外周の隙間228を通ってガス噴射孔230からボルト170のピン挿通孔150内へ流入することになる。成膜時には、このピン挿通孔150の上端の開口はウエハWの裏面で塞がれているので、このピン挿通孔150内へ流入した上記不活性ガスは図11中の矢印232に示すようにピン挿通孔150の下端の開口より放出され続けることになる。従って、成膜処理中に載置台58の裏面側に廻り込んでピン挿通孔150内へ侵入しようとした成膜用の処理ガスは、矢印232に示すような上記不活性ガスの放出によって侵入が阻止されることになる。
【0111】
このように、ピン挿通孔150内へ成膜用の処理ガスが侵入することを阻止することができるので、このピン挿通孔150内で薄膜が堆積することを防止できる。従って、ピン挿通孔150内の薄膜を除去するために従来必要とされたドライエッチングやウェットエッチングの回数を抑制したり、これをなくすことができ、その分、半導体ウエハの処理のためのスループットを向上させることができる。尚、他の構成部分の作用効果は、図1〜図5を参照して説明した内容と同じである。
【0112】
<第3変形実施形態>
先に説明した各実施形態では、複数の細い保護支柱管60で載置台58を支持した場合を例にとって説明したが、これに限定されず、上記ピン挿通孔用パージガス供給手段220の構成は、図16の従来の載置台構造で示したような直径の大きな太い支柱4で載置台58を支持させるようにした装置例にも適用することができる。図14は載置台構造の第3変形実施形態を示す断面図である。尚、図1〜図13及び図16に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0113】
図14に示すように、ここでは細い保護支柱管60は全く設けられておらず、図16で示したような直径の大きな中空状の例えばセラミック材製の支柱4が設けられている。この支柱4の上端は、例えば熱拡散接合部6によって載置台58の下面の中心部に接合され、下端部はOリング等のシール部材234を介して処理容器の底部に気密に固定されている。そして、各ヒータ給電棒70(他は省略)、兼用給電棒78、熱電対80、81等は絶縁部材16を介して容器底部の外側へ引き出されている。そして、ここでは上記支柱4内の全体が上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として構成されている。
【0114】
従って、ここでは不活性ガス路122から導入された不活性ガス(N ガス)は上記支柱4内の全体を通って上方へ流れ、その後は図11を参照して説明したように貫通孔84、ガス貯留空間224、隙間228を順次流れてガス噴射孔230からピン挿通孔150内へ流れ込み、第2変形実施形態と同様な作用効果を発揮することができる。尚、図11に示すような複数の保護支柱管60を設けた構成において、この複数の保護支柱管60の周囲を囲むようにして図14に示す支柱4を設けるようにしてもよい。
【0115】
<第4変形実施形態>
上記各実施形態では、ピン挿通孔用ガス通路222の一部として、載置台本体59と熱拡散板61との接合面に不活性ガスを供給するガス通路を兼用するようにしたが、これに限定されず、ウエハWの裏面側に不活性ガスを流すバックサイドガスのガス通路を兼用させるようにしてもよい。図15は載置台構造の第4変形実施形態を示す断面図である。ここでは図14に示した装置例をベースにして表している。また図1〜図14及び図16に示す構成部分と同一構成部分については、同一参照符号を付して、その説明を省略する。
【0116】
まず、太い支柱4の内部には、バックサイド用ガス管236が容器底部を貫通して設けられており、この上端は、載置台58を上下方向へ貫通して設けられたバックサイド用貫通孔238に連通されており、ウエハWの裏面側に不活性ガスとして例えばN ガスを流すようになっている。上記バックサイド用ガス管236は載置台58の下面に例えば熱拡散接合部6により接合されている。そして、載置台本体59と熱拡散板61との接合面、例えば載置台本体59の上面に、上記バックサイド用貫通孔238から上記各ボルト170まで届くような長さの溝部240を形成して、この溝部240を、ピン挿通孔用パージガス供給手段220のピン挿通孔用ガス通路222の一部として構成している。また、上記バックサイド用ガス管236は、上記ピン挿通孔用ガス通路222の一部として兼用されることになる。
【0117】
この実施形態の場合には、成膜処理時においてバックサイド用ガス管236へ導入された大部分の不活性ガスはバックサイド用貫通孔238から上方へ放出されて載置台58の上面に載置されているウエハWの裏面側へ供給されるが、一部の不活性ガスはバックサイド用貫通孔238から分岐させるように設けられた各溝部240内を通ってボルト170に設けたガス噴射孔230よりピン挿通孔150内へ流れ込むことになる。従って、この場合にも先の各実施形態で説明した作用効果と同様な作用効果を発揮することができる。
【0118】
尚、上記各実施形態では、ピン挿通孔用ガス通路222の一部を予め設けられている他の用途のためのガス通路と兼用させるようにしているが、これに限定されず、既設のガス通路と兼用させることなく専用のピン挿通孔用ガス通路222を新たに別途設けるようにしてもよい。
【0119】
また、上記各実施形態では、ボルト170とナット178とよりなる締結具にピン挿通孔150を設けた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、例えば載置台本体59と熱拡散板61とが接着剤や溶着等により一体的に接合して形成されている場合にも上記ピン挿通孔用パージガス供給手段220を設けることができる。
【0120】
また、上記ピン挿通孔用パージガス供給手段220を設けるに際して、載置台58を支柱4や複数の保護支柱管60で支持する載置台構造に適用する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、支柱4や保護支柱管60を設けないで基台部を直接的に容器底部に設置するようにした載置台構造にも本発明を適用することができる。
【0121】
また上記各実施形態においては、セラミック材として主に窒化アルミニウムを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、アルミナ、SiC等の他のセラミック材を用いることができる。また、ここでは載置台58を載置台本体59と熱拡散板61との2層構造にした場合を例にとって説明したが、これに限定されず、載置台58の全体を同一の誘電体、例えば石英、或いはセラミック材で一層構造としてもよい。
【0122】
この場合、石英として透明石英を用いた場合には、発熱体のパターン形状がウエハ裏面に投影されて熱分布が発生することを防止するために、載置台58の上面に例えばセラミック材よりなる均熱板を設けるのがよい。また、気泡等を内部に含んだ不透明石英を用いた場合には上記均熱板は不要である。また、ここでは不活性ガスとして主にN ガスを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、He、Ar等の希ガスを用いてもよい。
【0123】
また、上記各実施形態では、載置台58に兼用電極66を設け、これに兼用給電棒78を介して静電チャック用の直流電圧と、バイアス用の高周波電力とを印加するようにしたが、これらを分離して設けるようにしてもよいし、或いはいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。例えば両者を分離させて設ける場合には、兼用電極66と同様な構造の電極を上下に2つ設けて、一方をチャック電極とし、他方を高周波電極とする。そして、チャック電極には機能棒体としてチャック用給電棒を電気的に接続し、高周波電極には高周波給電棒を電気的に接続する。これらのチャック用給電棒や高周波給電棒がそれぞれ保護支柱管60内に挿通される点及びその下部構造は他の機能棒体62と全く同じである。
【0124】
また上記兼用電極66と同じ構造のグランド電極を設けて、これに接続される機能棒体62の下端を接地して導電棒として用いることにより、上記グランド電極を接地するようにしてもよい。また、複数ゾーンの発熱体を設けた場合に、1本のヒータ給電棒を接地するようにすれば、各ゾーンの発熱体の一方のヒータ給電棒を上記接地されたヒータ給電棒として共通に用いることができる。
【0125】
また、本実施形態ではプラズマを用いた処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、載置台58に加熱手段64を埋め込むようにした載置台構造を用いた全ての処理装置、例えばプラズマを用いたプラズマCVDによる成膜装置、プラズマを用いない熱CVDによる成膜装置、エッチング装置、熱拡散装置、拡散装置、改質装置等にも適用することができる。従って、兼用電極66(チャック電極や高周波電極を含む)や熱電対80及びそれらに付属する部材を省略することができる。
【0126】
更には、ガス供給手段としてはシャワーヘッド部24に限定されず、例えば処理容器22内へ挿通されたガスノズルによりガス供給手段を構成してもよい。
また更には、温度測定手段として、ここでは熱電対80、81を用いたが、これに限定されず、放射温度計を用いるようにしてもよい。この場合には、放射温度計に用いられる光を導通する光ファイバが機能棒体となり、この光ファイバが保護支柱管60内に挿通されることになる。
【0127】
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明に係る載置台構造を有する処理装置を示す断面構成図である。
【図2】載置台に設けた加熱手段の一例を示す平面図である。
【図3】図1中のA−A線に沿った断面を示す矢視断面図である。
【図4】図1中の載置台構造の一部の保護支柱管の部分を代表的に取り出して示す部分拡大断面図である。
【図5】図4中の載置台構造の組み立て状態を説明するための説明図である。
【図6】クリーニングガスに対する保護板を設けた載置台構造の第1変形実施形態の一部を示す断面図である。
【図7】載置台に対する熱電対の取り付け構造を示す部分拡大断面図である。
【図8】熱電対の取り付け構造の製造工程を説明する工程図である。
【図9】熱電対の取り付け構造の製造工程を説明するフローチャートである。
【図10】熱電対の取り付け構造の変形実施形態に示す図である。
【図11】載置台構造の第2変形実施形態を示す断面図である。
【図12】第2変形実施形態の組み立て状態を説明するための説明図である。
【図13】第2変形実施形態の載置台本体の上面を示す平面図である。
【図14】載置台構造の第3変形実施形態を示す断面図である。
【図15】載置台構造の第4変形実施形態を示す断面図である。
【図16】従来の載置台構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0129】
20 処理装置
22 処理容器
24 シャワーヘッド部(ガス供給手段)
38 高周波電源
48 排気系
54 載置台構造
58 載置台
59 載置台本体
60 保護支柱管
61 熱拡散板
62 機能棒体
64 加熱手段
66 兼用電極
68 発熱体
68A 内周ゾーン発熱体
68B 外周ゾーン発熱体
70,72,74,76 ヒータ給電棒
78 兼用給電棒
80,81 熱電対
146 直流電源
148 高周波電源
170 ボルト(締結具)
190 保護板
204 接合板
206,208 接続用穴
210,212 熱電対補助部材
210A,212A 熱電対用穴
214,216 ろう材
220 ピン挿通孔用パージガス供給手段
222 ピン挿通孔用ガス通路
224 ガス貯留空間
230 ガス噴射孔
W 半導体ウエハ(被処理体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、
前記被処理体を載置するために少なくとも加熱手段が設けられた誘電体よりなる載置台と、
前記処理容器の底部側より起立させて設けられると共に、上端部が前記載置台の下面に接合されて前記載置台を支持する誘電体よりなる複数の保護支柱管と、
前記保護支柱管内に挿通されて上端が前記載置台に届くように設けられた機能棒体と、
を備えたことを特徴とする載置台構造。
【請求項2】
前記保護支柱管は前記載置台の中心部に接合されていることを特徴とする請求項1記載の載置台構造。
【請求項3】
1本の前記保護支柱管内には1本又は複数本の前記機能棒体が収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の載置台構造。
【請求項4】
前記機能棒体は、前記加熱手段側に電気的に接続されるヒータ給電棒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項5】
前記載置台には、静電チャック用のチャック電極が設けられており、前記機能棒体は前記チャック電極に電気的に接続されるチャック用給電棒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項6】
前記載置台には、高周波電力を印加するための高周波電極が設けられており、前記機能棒体は前記高周波電極に電気的に接続される高周波給電棒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項7】
前記載置台には、静電チャック用のチャック電極と高周波電力を印加するための高周波電極とが兼用される兼用電極が設けられており、前記機能棒体は前記兼用電極に電気的に接続される兼用給電棒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項8】
前記機能棒体は、前記載置台の温度を測定するための熱電対であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項9】
前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、
前記熱拡散板内には板状の金属製の接合板が埋め込んで設けられており、前記接合板には前記熱電対の上端部がろう付けされていることを特徴とする請求項8記載の載置台構造。
【請求項10】
前記熱拡散板の下面には、前記熱電対を挿入するための接続用穴が形成されていることを特徴とする請求項9記載の載置台構造。
【請求項11】
前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、
前記熱拡散板内には板状の金属製の接合板が埋め込んで設けられており、前記接合板には、その下部が前記熱拡散板の下面よりも下方へ突出した金属製の熱伝導補助部材がろう付けにより接合されると共に前記熱伝導補助部材には前記熱電対の上端部が接触させて設けられていることを特徴とする請求項8記載の載置台構造。
【請求項12】
前記熱伝導補助部材には、前記熱電対の先端部を挿入するための熱電対用穴が形成されていることを特徴とする請求項11記載の載置台構造。
【請求項13】
前記熱拡散板の下面には、前記熱伝導補助部材を挿入するための接続用穴が形成されていることを特徴とする請求項11又は12記載の載置台構造。
【請求項14】
前記熱電対の上端部は、付勢力により前記熱伝導補助部材に押圧接触されていることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項15】
前記機能棒体は、前記載置台の温度を測定するための放射温度計の光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項16】
前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項17】
前記熱拡散板内には、チャック電極、高周波電極及び兼用電極の内のいずれか1つが設けられることを特徴とする請求項16記載の載置台構造。
【請求項18】
前記載置台本体は石英よりなり、前記熱拡散板はセラミック材よりなり、前記載置台本体の表面にはセラミック材よりなる保護板が設けられることを特徴とする請求項16又は17記載の載置台構造。
【請求項19】
前記載置台本体と前記熱拡散板とは、セラミック材よりなる締結具により一体的に固定されることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項20】
前記載置台本体と前記熱拡散板との間には、不活性ガスが供給されていることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項21】
前記誘電体は石英或いはセラミック材であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項22】
前記載置台と前記保護支柱管とは同一の誘電体により形成されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項23】
前記保護支柱管内へは不活性ガスが供給されていることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項24】
前記保護支柱管の下端部は封止されて、内部に不活性ガスが封入されていることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項25】
前記載置台には、前記被処理体を載置する時に昇降される押し上げピンを挿通するピン挿通孔が形成されており、
前記ピン挿通孔内へピン挿通孔用パージガスを流すピン挿通孔用パージガス供給手段が設けられると共に前記保護支柱管は、前記ピン挿通孔用パージガス供給手段のピン挿通孔用ガス通路の一部として兼用されることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項26】
前記載置台は、前記加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体の上面側に設けられて前記載置台本体の形成材料とは異なる不透明な誘電体よりなる熱拡散板とよりなり、
前記ピン挿通孔を区画する区画壁は、前記載置台本体と前記熱拡散板とを締結するために前記載置台に着脱可能に取り付けられて中心部に貫通孔が形成されたセラミック材製のボルトよりなることを特徴とする請求項25記載の載置台構造。
【請求項27】
前記貫通孔の形成されたボルトの長さ方向の途中には、前記ピン挿通孔用ガス通路に連通されるガス噴射孔が形成されていることを特徴とする請求項26記載の載置台構造。
【請求項28】
前記ガス噴射孔は、前記ボルトの長さ方向の上部に位置されていることを特徴とする請求項27記載の載置台構造。
【請求項29】
前記ボルトの外周側には、前記ピン挿通孔用ガス通路の一部を形成する隙間が形成されていることを特徴とする請求項26乃至28のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項30】
前記載置台本体と前記熱拡散板との接合部には、不活性ガスを一時的に貯留して前記接合部の隙間より外周に向けて不活性ガスを放出させるガス貯留空間が形成されており、前記ガス貯留空間は前記ピン挿通孔用ガス通路の一部として兼用されていることを特徴とする請求項29記載の載置台構造。
【請求項31】
被処理体に対して処理を施すための処理装置において、
排気が可能になされた処理容器と、
前記被処理体を載置するために請求項1乃至30のいずれか一項に記載の載置台構造と、
前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、
を備えたことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−109316(P2010−109316A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48538(P2009−48538)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【特許番号】特許第4450106号(P4450106)
【特許公報発行日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】