説明

電子デバイス及びその製造方法

【課題】カーボンナノチューブを用いた配線構造を備える電子デバイスの製造方法について、炭素元素円筒型構造体からなるビアを歩留まり良く形成すること。
【解決手段】基板1上の第1絶縁膜2上に導電パターン5を形成する工程と、第1絶縁膜2と導電パターン5を覆う第2絶縁膜7を形成する工程と、第2絶縁膜7のうち導電パターン5の上にホール7aを形成する工程と、少なくともホール7a内の底面と第2絶縁膜7の上面に金属膜9を形成する工程と、金属膜9の表面に触媒粒子又は触媒膜からなる触媒面10を形成する工程と、触媒面10から炭素元素円筒型構造体11の束を成長する工程と、炭素元素円筒型構造体の束10の間隙に埋込膜12を形成する工程と、炭素元素円筒型構造体の束11及び埋込膜12及び金属膜9を研磨して第2絶縁膜7の上面から除去するとともに、埋込膜12及び炭素元素円筒型構造体の束11をホール7a内に残してビア13を形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス及びその製造方法に関し、特に、カーボンナノチューブを用いた配線構造を備える電子デバイスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末、ゲーム機等のマルチメディア分野に牽引される電子デバイスの需要は着実な増加傾向にある。そのような電子デバイス、例えばLSI(large-scale integration)の一部にはダマシン構造の銅(Cu)配線が使用されている。銅配線は、アルミニウム配線に比べて、抵抗が低く、かつ電流密度が高い。
【0003】
しかし、さらなるLSIの高集積化に対応するために、線幅をさらに細くし、電流密度耐性もさらに高くすることが配線構造に求められている。
【0004】
それに対する解の候補の1つとして、低抵抗で且つ高電流密度耐性を有する炭素元素円筒型構造体であるカーボンナノチューブ(CNT)が注目されている。
【0005】
カーボンナノチューブは、形状異方性に起因する一次元電子的性質から、バリスティック伝導によって電子が流れ、最大電流密度は109A/cmと程度であり、Cuよりも単位面積当たりで千倍の電流を流すことができるほどエレクトロマイグレーション耐性に優れている。
【0006】
これまでLSIの配線にCNTを使用する構造が、例えば特開2006−120730号公報(特許文献1)、特開2006−202942号公報(特許文献2)や下記の非特許文献1〜3に記載されている。
【0007】
特許文献1、非特許文献1には、絶縁膜のホールの底面からカーボンナノチューブの束を縦方向に伸ばしてビア配線に用いることが記載されている。
【0008】
図9(a)〜(c)は、ビアをカーボンナノチューブから形成する工程を示している。
【0009】
まず、図9(a)に示すように、銅膜101の上に銅拡散バリアとしてタンタル(Ta)膜102を形成し、その上に、カーボンナノチューブの成長方向を決める膜、例えば窒化チタン(TiN)膜103を形成する。
【0010】
さらに、TiN膜103上にシリコン酸化膜104を形成した後に、シリコン酸化膜104をフォトリソグラフィー法等によりパターニングしてビアホール105を形成する。さらに、ビアホール105を通してTiN膜103表面にコバルト(Co)触媒粒子106を面方向に均一に分布するように形成する。
【0011】
次に、図9(b)に示すように、所定条件によりビアホール105内のCo触媒粒子106から上方向にカーボンナノチューブ107を成長させる。
【0012】
この後に、図9(c)に示すように、シリコン酸化膜104の上面から突出したカーボンナノチューブ107を除去する。これによりビアホール105内に残されたカーボンナノチューブ107はビアとして使用される。
【0013】
カーボンナノチューブ107は、直径がおおよそサブナノから数十nmの範囲のサイズであり、その長さは数百μmまで成長が可能である。
【0014】
【特許文献1】特開2006−120730号公報
【特許文献2】特開2006−202942号公報
【非特許文献1】IEEE International Interconnect Technology Conference 2006, p.230
【非特許文献2】IEEE International Interconnect Technology Conference 2005, p.234
【非特許文献3】Jan. J. Appl. Phys. Vol.41 (2002) pp.4370-4374
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、ビアホール105内において、カーボンナノチューブ107の成長核となるCo触媒粒子をTiN膜103上に均一分布で且つ選択して形成する必要があるが、その最適条件のプロセスマージンが狭い。
【0016】
従って、カーボンナノチューブ107からなるビアを制御性良く且つ歩留まり良く形成することが難しい。
【0017】
本発明の目的は、良好な構造の炭素元素円筒型構造体からなるビアを備えた電子デバイス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの観点の電子デバイスの製造方法によれば、基板上の第1絶縁膜上に導電パターンを形成する工程と、前記第1絶縁膜と前記導電パターンを覆う第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜のうち前記導電パターンの上にホールを形成する工程と、少なくとも前記ホール内の底面と前記第2絶縁膜の上面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜の表面に触媒粒子又は触媒膜からなる触媒面を形成する工程と、前記触媒面から炭素元素円筒型構造体の束を成長する工程と、前記炭素元素円筒型構造体の束の間隙に埋込膜を形成する工程と、前記炭素元素円筒型構造体の束及び前記埋込膜及び前記金属膜を研磨することにより前記第2絶縁膜の上面から除去するとともに、前記埋込膜及び前記炭素元素円筒型構造体の束を前記ホール内に残してビアを形成する工程とを有している。
【0019】
また、他の観点の電子デバイスによれば、基板上に形成された第1絶縁膜上に形成された導電パターンと、前記導電パターン及び前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、前記導電パターンの上であって前記第2絶縁膜内に形成されたホールと、前記ホール内で前記導電パターンの表面から前記ホールの上端に形成された炭素元素円筒型構造体の束と、前記ホール内で炭素元素円筒型構造体の束の隙間に埋め込まれた埋込膜とを有している。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電子デバイスの製造方法によれば、絶縁膜のホールの内部と絶縁膜の上面の双方に炭素元素円筒型構造体の束を形成した後に、炭素元素円筒型構造体の束の隙間に埋込膜を形成し、ついで、絶縁膜の上面から炭素元素円筒型構造体の束と埋込膜を除去するとともにそれらをホール内にビアとして残している。
【0021】
このようなビアの形成によれば、炭素元素円筒型構造体の束の形成条件やその下の触媒粒子、触媒膜の形成のプロセスマージンが広くなり、ビア形成の歩留まりが向上する。
【0022】
また、本発明の電子デバイスによれば、絶縁膜内に形成されてビアを構成する炭素元素円筒型構造体の束の隙間には、絶縁材又は導電材からなる埋込膜が充填されているので、炭素元素円筒型構造体の束の隙間に炭素元素円筒型構造体を劣化させるガスや材料の侵入を防止して構造の安定したビアを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図である。
【0025】
まず、図1(a)に示す構造を形成するまでの工程について説明する。
【0026】
シリコン(半導体)基板1上にシリコン酸化膜よりなる第1層間絶縁膜2を化学気相成長(CVD)法により形成し、その上にタンタル(Ta)膜3、Cu膜4をスパッタにより順に形成する。シリコン基板1には図示しないトランジスタが形成され、そのトランジスタは第1層間絶縁膜2により覆われる。
【0027】
第1層間絶縁膜2として、例えばシラン系ガス又はテトラエトキシシラン(TEOS)ガスを使用してCVD法によりシリコン酸化膜を形成する。
【0028】
続いて、フォトレジストを使用するフォトリソグラフィー法によって銅膜4及びTa膜3を配線形状にパターニングし、これにより導電パターンである配線5を形成する。配線5の線幅は例えば数百nm以下、例えば200nm程度に設定される。
【0029】
さらに、配線5及び第1層間絶縁膜2上に窒化シリコン膜6を例えば50nm〜100nmの厚さに形成する。窒化シリコン膜6は、銅拡散防止兼銅酸化防止膜として形成される。
【0030】
その後に、窒化シリコン膜6の上に第2層間絶縁膜7を例えば200nm程度の厚さに形成する。第2層間絶縁膜7として、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を反応ガスに使用してプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を形成する。
【0031】
次に、第2層間絶縁膜7上にフォトレジスト8を塗布し、これを露光、現像することにより、ビア形成予定領域に開口部8aを形成する。
【0032】
続いて、フォトレジスト8をマスクにして第2層間絶縁膜7をエッチングし、これによりビアホール7aを形成する。シリコン酸化膜からなる第2層間絶縁膜7のエッチングとして、フッ素系ガスを使用する反応性イオンエッチング法、プラズマエッチング法等のドライエッチングや、フッ酸を使用するウェットエッチングのいずれを用いてもよい。
【0033】
フォトレジスト8を除去した後に、図1(b)に示すように、ビアホール7aを通して窒化シリコン膜6をリン酸等によりエッチングし、これによりビアホール7aから配線5の一部を露出させる。
【0034】
続いて、図1(c)に示すように、シリコン基板1の上面に対して垂直方向への成長異方性の高い膜形成方法によって、第2層間絶縁膜7の上面とビアホール7aの底面の上にそれぞれ触媒担持膜として金属膜9を形成する。
【0035】
金属膜9は、ターゲット・試料間の距離をターゲットの直径以上に設定して構成元素粒子を供給する異方性ロングスロースパッタ法のように、ビアホール7aの内側壁に金属が付着しにくい方法によって形成される。そのように金属元素の直進性が高い成膜方式として、異方性ロングスロースパッタ法の他にコリメータスパッタ、イオン化金属プラズマ(IMP)スパッタ等がある。
【0036】
金属膜9は、図において下層金属膜9aと上層金属膜9bの二層構造から構成されているが、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)のいずれか又はそれらの組み合わせであって、単層又は複数層から構成されるから構成されてもよい。
【0037】
下層金属膜9aとして、Cu拡散バリア膜となるTa又はTaNから構成される。また、上層金属膜9bとして、後述のビアに対して良好な電気的及び機械的な接続が可能なTi又はTiNから構成される。
【0038】
上層金属膜9bとしてTiN膜を反応性スパッタ形成する場合に、Tiターゲットを使用するとともにスパッタ雰囲気中に例えば窒素とアルゴンを導入する。
【0039】
次に、図2(a)に示すように、金属膜9表面、即ちビアホール7aの底部の金属膜9と第2層間絶縁膜7の上面上の金属膜9上に、触媒金属微粒子10a又は厚さ1nm程度の触媒膜(不図示)から構成される触媒領域である触媒面10を形成する。
【0040】
触媒面触媒金属微粒子又は触媒膜を構成する金属元素としてコバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)又はそれらのうちいずれかを含む二元系金属、例えばTiCo、又はそれらのうちいずれかを含む合金であってもよい。
【0041】
触媒金属微粒子10a又は触媒膜は、例えばレーザアブレーション法、スパッタ法、蒸着法等により形成される。それらの方法においては、真空チャンバにて差動排気機構を介して触媒金属微粒子又は触媒膜を金属膜9の表面に形成するような方法を採用することにより、金属膜9の垂直方向への触媒元素成長の異方性を高めることが好ましい。
【0042】
次に、図2(b)に示すように、炭素元素円筒型構造体であるカーボンナノチューブ11の束を触媒面10の全面にCVD法により成長する。CVD法として、例えば、熱CVD法、熱フィラメントCVD法、プラズマCVD法がある。カーボンナノチューブ11は、触媒面10が触媒金属微粒子10aから構成される場合には、触媒金属微粒子10aから基板垂直方向に配向成長する。
【0043】
CVD法として熱CVD法を採用する場合には、例えば反応ガスとしてアセチレンとアルゴンの混合ガスを成長雰囲気である真空チャンバ内に導入する。
【0044】
アセチレンは10流量%のアルゴンで希釈して真空チャンバ内に導入される。また、アセチン含有ガスとアルゴンガスの流量は、例えば、それぞれ0.5sccm、1000sccmとする。また、その他の成長条件として、真空チャンバ内の圧力を1kPaに設定し、基板温度を400℃〜450℃に設定する。
【0045】
そのような条件によるカーボンナノチューブ11の成長速度は、例えば1μm/時間程度のレートである。
【0046】
カーボンナノチューブ11を成長する方法として、熱フィラメントCVD法を採用する場合には、ガスを解離させるための熱フィラメントの温度を例えば900℃〜1800℃の範囲内に設定する。
【0047】
ところで、触媒面10が形成される上層金属膜9bとしてTiN膜をスパッタにより形成する場合には、スパッタ雰囲気中での窒素のガス圧力(P)とアルゴンのガス圧力(P)の比(P/P)を3/100〜30/100の範囲、好ましくは5/100〜15/100の範囲に設定する。
【0048】
これにより、カーボンナノチューブ11の成長密度を向上することができる。これは、その条件により、TiN膜の表面のラフネス(粗さ)が比較的大きくなって横方向に炭素が移動しにくくなってカーボンナノチューブ11の長さ方向の成長が促進されるからと考えられる。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、ビアホール7a内と第2層間絶縁膜7上にそれぞれ成長した複数のカーボンナノチューブ11の束の隙間に埋込絶縁膜12を形成する。
【0050】
埋込絶縁膜12は、例えば塗布絶縁物である有機SOG(spin-on-glass)を使用して形成される。SOGは、スピンコーティング法により触媒面10上に塗布され、さらに、例えば温度250℃、5分間の加熱によりベークされ、その後に例えば温度400℃で30分間の加熱によりキュアするという工程を経て硬化される。
【0051】
なお、SOG塗布の前処理として、ビアホール7a内と第2層間絶縁膜7上とカーボンナノチューブ11の隙間でのSOG塗布の濡れ性を良くするために、塗布領域に対して酸素プラズマ処理、オゾン処理又は紫外線(UV)照射処理を行ってもよい。
【0052】
SOGとして硬化後にポーラス(多孔質)となる材料は、硬化により形成された埋込絶縁膜12にはクラック等の欠陥が発生しにくいので好ましい材料である。SOGとしては、有機系又は無機系のいずれでもよいが、有機系の方が塗れ性はよい。
【0053】
埋込絶縁膜12の形成は、シラン系ガス、TEOS等を使用したプラズマCVD法によって形成してもよいが、カーボンナノチューブ11同士の隙間への埋込性が良い塗布系材料を使用する方法が好ましい。
【0054】
なお、埋込絶縁膜12としては、電気伝導性の面から見て低誘電率材料から構成することが好ましい。
【0055】
次に、図3(a)に示すように、化学機械研磨(CMP)法によってカーボンナノチューブ11と埋込絶縁膜12を研磨してそれらを平坦化するとともに第2層間絶縁膜7の上面上からカーボンナノチューブ11、埋込絶縁膜12及び金属膜9を除去する。
【0056】
これにより、カーボンナノチューブ11はビアホール7a内にビア13として選択的に残される。
【0057】
CMP法に使用される研磨剤として、例えばアルカリ系の酸化膜系用スラリーを用いる。CMP法による研磨条件は、埋込絶縁膜12を構成する酸化シリコン(SiO)の研磨レートが金属膜9を構成するTaの研磨レートよりも大きくなるような高選択性研磨条件とすることが好ましい。
【0058】
カーボンナノチューブ11は高品質になるにつれて研磨レートが落ちるが、そのときにはスラリーを酸系に変えてカーボンナノチューブ11の研磨レートを増加できる。
【0059】
ただし、酸系のスラリーによればSiOの研磨レートが減少するので、スラリーのph(ペーハー)を調整することにより、ビアホール7a内に残されるカーボンナノチューブ11の上端と第2層間絶縁膜7の上面の平坦化を保ちながら研磨する。
【0060】
カーボンナノチューブ11及び埋込絶縁膜12の研磨により金属膜9が露出する時点で、CMP法の研磨条件を変える。この場合、金属膜9と埋込絶縁膜12のそれぞれの研磨レートは、金属膜9の方が埋込絶縁膜12及び第3層間絶縁膜7よりも大きな高選択性研磨であることが望まれる。その条件として、Ta用の酸系のスラリーを用いる。
【0061】
これにより、下層金属膜9aを研磨する状態で、シリコン酸化膜からなる第2層間絶縁膜7の研磨が抑制されて選択的に金属膜9が除去される。
【0062】
以上のような研磨によりビア13を形成した後に、例えば5%の希フッ酸によって第2層間絶縁膜7の表面の研磨残渣を除去するとともに、埋込絶縁膜12の露出面をエッチングしてビアホール7aの上端からカーボンナノチューブ11、即ちビア13の露出量を増加させる。
【0063】
この後に、図3(b)に示すように、第2層間絶縁膜7及びビア13の上にTiNあるいはTi、あるいはそれらの複合膜からなるコンタクト膜14aをスパッタにより形成する。さらに、Ta、TaN或いはそれらの複合膜からなるCu拡散防止膜14bをスパッタにより形成する。さらに、Cu拡散防止膜14bの上にCu膜15を電解メッキにより形成する。
【0064】
続いて、シリコン基板1に400℃程度の熱を加えることにより、カーボンナノチューブ11とコンタクト膜14aの電気的接合を改善する。
【0065】
次に、フォトリソグラフィー法によりCu膜15、Cu拡散防止膜14b及びコンタクト膜14aをパターニングして、ビア13上に一部が重なる導電パターンである二層目の配線16を形成する。
【0066】
続いて、特に図示しないが、配線16及び第2層間絶縁膜7上に銅拡散防止用のシリコン窒化膜、第3層間絶縁膜等が形成される。
【0067】
以上により、電子デバイスにおけるカーボンナノチューブ11の束からなるビア13により接続される一層目の配線5と二層目の配線16からなる多層配線構造が形成される。
【0068】
以上のように本実施形態では、ビアホール7aの中だけでなく、第2層間絶縁膜7の表面にも触媒面10を積極的に形成し、その上にカーボンナノチューブ11を成長するようにしたので、ビアホール7a内に選択的に触媒粒子や触媒膜を形成する場合に比べて、触媒面10を形成する条件が緩和され、これによりカーボンナノチューブ11の束からなるビア13の歩留まりが従来よりも高くなる。
【0069】
また、第2層間絶縁膜7の上面からる出るカーボンナノチューブ11を研磨する際に、カーボンナノチューブ11の隙間を埋込絶縁膜12で埋め込んだ状態にしたので、多数のカーボンナノチューブ13が固定されて研磨による除去や平坦化が容易になる。
【0070】
さらに、ビアホール7a内において、ビア13を構成するカーボンナノチューブ11同士の隙間は埋込絶縁膜12により埋め込まれるので、カーボンナノチューブ11の劣化原因となるガスや異物のその隙間への浸入を防止することができる。
【0071】
しかも、ビア13が埋め込まれるビアホール7aの内側壁面にはカーボンナノチューブ11より高抵抗な金属膜9を形成しないようにしているので、ビアホール7a内をカーボンナノチューブ11だけの導電体で埋め込んで、より大きな電流を流せる低抵抗なビア13を形成することができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
図4〜図6は本発明の第2実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図である。なお、図4〜図6において、図1〜図3と同じ符号は同じ要素を示している。
【0073】
まず、図4(a)に示す構造を形成するまでの工程について説明する。
【0074】
第1実施形態と同様に、シリコン酸化膜からなる第1層間絶縁膜2をシリコン基板1上にCVD法によって形成する。シリコン基板1には図示しないトランジスタが形成され、そのトランジスタは第1層間絶縁膜2により覆われる。
【0075】
また、第1層間絶縁膜2上には、窒化シリコンよりなる第1下地絶縁膜22と、低誘電率材料よりなる第2層間絶縁膜23を形成する。第2層間絶縁膜23は、例えば、有機シリコーン化合物又はポーラスシリカを含む塗布液を第1下地絶縁膜22上に塗布し、その中の溶媒を蒸発させた後に、窒素雰囲気中で熱処理する工程により形成される。
【0076】
その後に、第2層間絶縁膜23をフォトリソグラフィー法によりパターニングして幅が200nm程度の配線溝23aを形成する。配線溝23aの形成のために第2層間絶縁膜23はフッ素系ガスを用いてエッチングされ、その下の第1下地絶縁膜22はエッチングストッパとなる。
【0077】
続いて、配線溝23aから露出する第1下地絶縁膜22をリン酸により選択的にエッチングして配線溝23aをさらに深くする。これにより、配線溝23aの深さは精度よく制御される。
【0078】
さらに、第2層間絶縁膜23の表面のエッチング残渣をウェット処理により除去し、さらにその表面を洗浄する。
【0079】
次に、Cu拡散防止膜25aとしてTa膜又はTaN膜を配線溝23aの内面と第2層間絶縁膜23上にスパッタにより形成する。その後に、Cu拡散防止膜25a上にCu膜25bを電解メッキにより形成して配線溝23a内に埋め込む。
【0080】
第2層間絶縁膜23の上面上に形成されたCu拡散防止膜25aとCu膜25bはCMP法により除去され、これにより配線溝23a内に残されたCu膜25bとCu拡散防止膜25aはダマシン構造の一層目の配線25として使用される。
【0081】
続いて、一層目の配線25及び第2層間絶縁膜23の上に、窒化シリコン膜26をCVD法により例えば50nm〜100nmの厚さに形成する。窒化シリコン膜26は、一層目の配線25の酸化を防止するとともに銅の拡散を防止する。
【0082】
さらに、窒化シリコン膜26上に、低誘電率材料からなる第3層間絶縁膜27を例えば200nmの厚さに形成する。低誘電率材料としては、第2層間絶縁膜27を構成する材料と同じシリコーン樹脂を含む絶縁材料を使用する。
【0083】
即ち、第3層間絶縁膜27は、例えば、有機シリコーン化合物又はポーラスシリカを含む塗布液を窒化シリコン膜26上に塗布し、その中の溶媒を蒸発させた後に、窒素雰囲気中で熱処理する工程により形成される。
【0084】
次に、第3層間絶縁膜27上にフォトレジスト28を塗布し、これを露光、現像することにより、ビア形成予定領域に開口部28aを形成する。
【0085】
続いて、図4(b)に示すように、フォトレジスト28をマスクにして第3層間絶縁膜27をエッチングし、これによりビアホール27aを形成する。第3層間絶縁膜27のエッチングとして、フッ素系ガスを使用する反応性イオンエッチング法、プラズマエッチング法等のドライエッチングを用いる。この後に、フォトレジスト28を除去する、
さらに、フォトレジスト28を除去した後には、露出した第3層間絶縁膜27の表面にはエッチング残渣が存在するので、そのエッチング残渣をウェット処理により除去する。
【0086】
ところで、低誘電率材料からなる第3層間絶縁膜27がポーラスタイプである場合には、フォトレジスト28を除去した後に、図4(c)に示すように、ポアシール層24を第3層間絶縁膜27の上面とビアホール27aの内側面及び底面に形成する。ポアシール層24として例えばCVD法によりSiOCを形成する。ポアシール層24は、第3層間絶縁膜27の上面とビアホール27aの内壁面のそれぞれに浸透する。なお、ポアシール層24は、図5以降は省略されている。
【0087】
次に、ビアホール27aを通してその底部の窒化シリコン膜26とポアシール層24を例えばスパッタによりエッチングし、これによりビアホール27aから銅配線25の一部を露出させる。このエッチングの際に、第3層間絶縁膜27の上面のポアシール層24をフォトレジスト(不図示)により覆って保護する。
【0088】
続いて、図5(a)に示すように、垂直方向への異方性の高い薄膜形成方法によって、第2層間絶縁膜7の上面とビアホール7aの底面の上に金属膜9を形成する。金属膜9の形成については、第1実施形態と同様な条件を採用し、例えば、Cu拡散バリア材料からなる下地金属膜9aと、後述するビアに対して良好な電気的及び機械的なコンタクトが可能な材料からなる上層金属膜9bから構成される。
【0089】
なお、金属膜9は、第1実施形態と同様に、Ta、TaN、Ti、TiNのいずれか又はそれらの組み合わせであって、単層又は複数層から構成されるから構成されてもよい。
【0090】
次に、図5(b)に示すように、金属膜9表面、即ちビアホール27aの底部の金属膜9と第3層間絶縁膜27上の金属膜9上に触媒面10を形成する。
【0091】
触媒面10は、触媒金属微粒子又は触媒膜から構成され、図においては触媒金属微粒子10aが示されている。触媒金属微粒子又は触媒膜を構成する金属元素として、第1実施形態と同様な方法及び条件によって、Co、Fe、Ni又はそれらのうちいずれかを含む二元系金属、例えばTiCo、又はそれらのうちいずれかを含む合金から構成される。なお、触媒膜から触媒面10を構成する場合には、触媒膜の厚さを例えば1nm程度とする。
【0092】
次に、図5(c)に示すように、第1実施形態と同様な方法によって触媒面10の全面にカーボンナノチューブ11を成長する。
【0093】
なお、第3層間絶縁膜27がポーラスであってビアホール27aの内面にポアシール層が形成されている場合には、カーボンナノチューブ11を成長する際に使用されるガスはポアシール層により遮られて第3層間絶縁膜27内に影響を与えることはない。
【0094】
次に、図6(a)に示すように、ビアホール27a内と第3層間絶縁膜27上にそれぞれ成長した複数のカーボンナノチューブ11の隙間に埋込絶縁膜12を形成する。
【0095】
埋込絶縁膜12は、第1実施形態と同様な方法によって形成され、例えば塗布系絶縁物であるSOG(spin-on-glass)を使用して形成される。埋込絶縁膜12にクラック等の欠陥が発生しにくくするため、ポーラスな膜を形成することが好ましい。また、埋込絶縁膜12としては、電気伝導性の面から見て低誘電率材料から構成することが好ましい。
【0096】
次に、図6(b)に示すように、CMP法によってカーボンナノチューブ11と埋込絶縁膜12を研磨して平坦化するとともに第3層間絶縁膜27の上面上からカーボンナノチューブ11、埋込絶縁膜12及び金属膜9を除去する。カーボンナノチューブ11、埋込絶縁膜12及び金属膜9の研磨については、第1実施形態と同様な条件を採用する。
【0097】
これにより、カーボンナノチューブ11はビアホール7a内にビア13として選択的に残される。
【0098】
その後に、例えば5%の希フッ酸によって第3層間絶縁膜27の表面の研磨残渣を除去するとともに、ビアホール7aの上端からカーボンナノチューブ11の束、即ちビア13の上端を露出量を増加させる。
【0099】
次に、図6(c)に示すように、ビア13の上端に接続されるダマシン構造の二層目の配線34を第3層間絶縁膜27上に形成する。配線34は次のような方法により形成される。
【0100】
まず、第3層間絶縁膜27上に、窒化シリコンよりなる第2下地絶縁膜29をCVD法により形成し、さらに誘電率材料よりなる第4層間絶縁膜30を成長する。低誘電率材料として、例えば上記のようなシリコーンを含む材料や、或いはSiOC等が用いられる。
【0101】
その後に、第4層間絶縁膜30をフォトリソグラフィー法によりパターニングして幅が200nm程度の配線溝30aを形成する。配線溝30aを形成するためにドライエッチングを使用する場合にはフッ素系ガスを使用する。この場合、第2下地絶縁膜29はエッチングストップ層となる。
【0102】
続いて、配線溝30aから露出する第2下地絶縁膜29をリン酸により選択的にエッチングして配線溝30aをさらに深くする。
【0103】
次に、配線溝30aの内面に、TiNとTiを順に形成した二層構造のコンタクト膜31aと、TaからなるCu拡散防止膜31bを順に形成する。
【0104】
この後に、Cu拡散防止膜31b上にCu膜31cを電解メッキにより形成して配線溝30a内に埋め込む。続いて、400℃の加熱によってビア13とコンタクト膜31aの電気的接続を改善する。
【0105】
さらに、第3層間絶縁膜27の上面上にも形成されたコンタクト膜31a、Cu拡散防止膜31b、Cu膜31cをCMP法により除去し、これにより配線溝30a内に残されたCu膜31c、Cu拡散防止膜31b及びコンタクト膜31aをダマシン構造の二層目の配線31として使用する。
【0106】
この後に、特に図示しないが、シリコン窒化膜、層間絶縁膜、配線等をさらに形成する。
【0107】
以上により、電子デバイスにおけるカーボンナノチューブ11からなるビア13により一層目の配線25と二層目の配線31を接続する多層配線構造が形成される。
【0108】
以上のように本実施形態ではビアホール27aの中だけでなく、第3層間絶縁膜27の表面にも触媒面10を積極的に形成し、その上にカーボンナノチューブ11を成長するようにしたので、第1実施形態と同様に、触媒面10を形成する条件が緩和され、これによりビア13の歩留まりが従来よりも高くなる。
【0109】
また、カーボンナノチューブ11の束の隙間を埋込絶縁膜12で埋め込むようにしたので、カーボンナノチューブ11が固定されて研磨による除去が容易になる。さらに、ビア13を構成するカーボンナノチューブ11同士の隙間は埋込絶縁膜12により埋め込まれるので、ビアホール7a内への異物の侵入によるカーボンナノチューブ11の劣化が防止される。
【0110】
さらに、銅配線25の上にビアホール27が形成される第3層間絶縁膜27をポーラスな低誘電率材料から構成する場合であっても、その表面にポアシール層24を形成するようにしたので、カーボンナノチューブ11を成長するために使用されるガスが第3層間絶縁膜27へ悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0111】
(第3の実施の形態)
図7、図8は本発明の第2実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図である。なお、図7、図8において、図4〜図5と同じ符号は同じ要素を示している。
【0112】
まず、第2実施形態に係る図4(a)、(b)に示したと同様な工程により、シリコン基板1上に、第1層間絶縁膜2、第1下地絶縁膜22、第2層間絶縁膜23、一層目の配線25、第1のシリコン窒化膜26、第3層間絶縁膜27を形成する。第3層間絶縁膜27は低誘電率材料から構成される。
【0113】
そして、第3層間絶縁膜27のうち一層目配線25の上方にビアホール27aを形成した後に、第3層間絶縁膜27上面とビアホール27aの内壁面及び底面にポアシール層(不図示)を形成し、さらに、ビアホール27aを通して第1の窒化シリコン膜26とその上のポアシール層4とをエッチングして一層目の配線25の一部を露出する。
【0114】
次に、図7(a)に示すように、第3層間絶縁膜27の上面とビアホール27aの内壁面及び底面に金属膜9を構成する下層金属膜9cと上層金属膜9bを順に形成する。
【0115】
金属膜9の下層金属膜9cとして、異方性の低いスパッタ法により金属拡散バリア膜を形成する。下側金属膜9cは、例えばTa、TaN、Ti、TiNのいずれかまたはそれらの組み合わせから構成され、その中でTa、TaNは銅等に対してバリア性に優れている。
【0116】
また、上側金属膜9bとして、第1実施形態と同様に、異方性ロングスロースパッタ法等により異方性の高い成膜方法によりコンタクト膜を形成する。上側金属膜9bは、第3層間絶縁膜27の上面とビアホール27aの底面に形成される一方、ビアホール27aの側壁面上に実質的に成膜されない条件とする。
【0117】
上側金属膜9bは、例えばTa、TaN、Ti、TiNのいずれかまたはそれらの組み合わせを形成し、特にTi、TiNは後述のカーボンナノチューブ11と電気的、機械的に良好なコンタクトが図れる。
【0118】
次に、図7(b)に示すように、ビアホール27aの底部と第3層間絶縁膜27の上面上にそれぞれ形成された上側金属膜9b上に触媒面10を形成する。
【0119】
触媒面10は、触媒金属微粒子又は触媒膜から構成され、図においては触媒金属微粒子10aが示されている。触媒金属微粒子又は触媒膜を構成する金属元素として、第1実施形態と同様な方法及び条件によって、Co、Fe、Ni又はそれらのうちいずれかを含む二元系金属、例えばTiCo、又はそれらのうちいずれかを含む合金を形成する。
【0120】
次に、図7(c)に示すように、第1実施形態と同様な方法によって触媒面10の全面にカーボンナノチューブ11を成長する。
【0121】
なお、ビアホール27aの内面に形成されたCu拡散バリア材からなる下層金属膜9cは、カーボンナノチューブ11を成長する際に使用されるガスが第3層間絶縁膜27に影響を与えることを防御する。
【0122】
次に、図8(a)に示すように、ビアホール27a内と第3層間絶縁膜27上にそれぞれ成長した複数のカーボンナノチューブ11の束の隙間に埋込金属膜18を形成する。
【0123】
埋込金属膜18は、例えばCuによって構成され、電解メッキ又は無電解メッキにより形成される。なお、Cu以外の金属、例えば、Ti、パラジウム(Pd)など、カーボンナノチューブ11への低抵抗接触可能な金属、その他の導電材でもよい。
【0124】
ビアホール27a内に充填されたCuの埋込金属膜18は、Cu拡散バリア膜9cによって第3層間絶縁膜27への拡散が抑制される。
【0125】
次に、図8(a)に示すように、CMP法によってカーボンナノチューブ11と埋込金属膜18を研磨して平坦化するとともに第3層間絶縁膜27の上面上からカーボンナノチューブ11、埋込金属膜18及び金属膜9を除去する。
【0126】
これにより、カーボンナノチューブ11及び埋込金属膜18はビアホール7a内にビア13として選択的に残される。
【0127】
CMP法に使用される研磨条件は、第1段階として、埋込金属膜18を構成する銅の研磨レートが金属膜9を構成するTaの研磨レートよりも大きくなるような高選択性研磨条件とすることが好ましい。
【0128】
カーボンナノチューブ11は、高品質になるにつれて研磨レートが落ちるので、そのような場合には機械研磨成分を増加させるためのスラリーを選択することにより、研磨レートを増加することができる。この場合、埋込金属膜18のダメージが増加するおそれがあるので、機械研磨成分の増加の程度を調整する必要がある。
【0129】
カーボンナノチューブ11及び埋込絶縁膜12の研磨により下層金属膜9aが露出する時点で、スラリーを酸系Ta用に変える。この場合、下層金属膜9aと第3層間絶縁膜27のそれぞれの研磨レートは、第3層間絶縁膜27よりも金属膜9の方が大きな高選択性研磨であることが望まれる。
【0130】
これにより、金属膜9の下層金属膜9aを研磨する状態で、第3層間絶縁膜27の研磨が抑制されて選択的に金属膜9が除去される。
【0131】
金属膜9の除去後に、例えば5%の希フッ酸によって第3層間絶縁膜27の表面の研磨残渣を除去する。
【0132】
次に、図8(c)に示すように、第2実施形態と同様な方法により、ビア13の上端に接続されるダマシン構造の二層目の配線34を第3層間絶縁膜27上に形成する。
【0133】
以上により、電子デバイスにおけるカーボンナノチューブ11からなるビア13により一層目の配線25と二層目の配線31を接続する多層配線構造が形成される。
【0134】
以上のように本実施形態ではビアホール27aの底部だけでなく、第3層間絶縁膜27の上にも触媒面10を積極的に形成し、その上にカーボンナノチューブ11を成長するようにしたので、第1実施形態と同様に、触媒面10及びカーボンナノチューブ11を形成する条件が緩和され、これによりビア13の歩留まりが従来よりも高くなる。
【0135】
また、多数のカーボンナノチューブ11の隙間を埋込金属膜12で埋め込むようにしたので、カーボンナノチューブ11が固定されて研磨による除去が容易になる。さらに、ビア13を構成するカーボンナノチューブ11同士の隙間は埋込金属膜12により埋め込まれるので、ビアホール7a内への異物の侵入によるカーボンナノチューブ11の劣化が防止される。
【0136】
さらに、ビアホール27内でカーボンナノチューブ11の隙間に金属埋込膜を埋め込んだので、サイズを変更せずにビア13の低抵抗化が可能になる。この場合、同じサイズの銅のみでビアを形成する場合に比べて流せる電流密度は大きい。
【0137】
なお、上記の第1〜第3実施形態では、半導体装置を例に挙げて説明したが、それ以外の電子デバイスにおける多層配線構造を上記の方法で形成し、上記と同じ構造にしてもよい。
【0138】
次に、上記実施形態の特徴を付記する。
(付記1)基板上の第1絶縁膜上に導電パターンを形成する工程と、前記第1絶縁膜と前記導電パターンを覆う第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜のうち前記導電パターンの上にホールを形成する工程と、少なくとも前記ホール内の底面と前記第2絶縁膜の上面に触媒担持膜を形成する工程と、前記触媒担持膜の表面に触媒粒子又は触媒膜からなる触媒面を形成する工程と、前記触媒面から炭素元素円筒型構造体の束を成長する工程と、前記炭素元素円筒型構造体の束の間隙に埋込膜を形成する工程と、前記炭素元素円筒型構造体の束及び前記埋込膜及び前記触媒担持膜を研磨して前記第2絶縁膜の上面から除去するとともに、前記埋込膜及び前記炭素元素円筒型構造体の束を前記ホール内に残してビアを形成する工程とを有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
(付記2)前記触媒担持膜は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタンのいずれかまたはそれの組み合わせの単層又は複数層から構成されていることを特徴とする付記1に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記3)前記触媒担持膜は、前記基板の垂直方向に選択成長するスパッタ法により形成されることを特徴とする付記1又は付記2に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記4)前記触媒粒子又は前記触媒膜は、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかの第1金属か、前記第1金属を含む二元系金属か、前記第1金属の合金のいずれかであることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
(付記5)前記埋込膜は、埋込絶縁膜により形成されていることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
(付記6)前記埋込絶縁膜は、塗布系絶縁材料の塗布により形成された後に熱処理により硬化されて形成されることを特徴とする付記5に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記7)前記埋込膜は、導電膜であることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
(付記8)前記導電膜は、メッキにより形成された金属膜であることを特徴とする付記7に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記9)前記触媒担持膜を、前記導電膜の前記第2絶縁膜への拡散を防止するバリア材料から構成し、前記ホールの内壁面上にも形成することを特徴とする付記1乃至付記8のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
(付記10)前記ホール内の前記ビアの状態に接続される上側の導電パターンを前記第2絶縁膜の上に形成する工程を有することを特徴津摺る付記1乃至付記9に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記11)基板上に形成された第1絶縁膜上に形成された導電パターンと、前記導電パターン及び前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、前記導電パターンの上であって前記第2絶縁膜内に形成されたホールと、前記ホール内で前記導電パターンの表面から前記ホールの上端に形成された炭素元素円筒型構造体の束と、前記ホール内で炭素元素円筒型構造体の束の隙間に埋め込まれた埋込膜とを有することを特徴とする電子デバイス。
(付記12)前記埋込膜は絶縁材から構成されることを特徴とする付記11に記載の電子デバイス。
(付記13)前記絶縁材は、ポーラスタイプの有機SOGであることを特徴とする付記12に記載の電子デバイス。
(付記14)前記埋込膜は導電材から構成されることを特徴とする付記11乃至付記13のいずれかに記載の電子デバイス。
(付記15)前記ホールの内壁面には前記導電材の前記第2絶縁膜内への拡散を防止するバリア膜が形成されていることを特徴とする付記14に記載の電子デバイス。
(付記16)前記ホール内の前記導電パターンの表面は触媒担持膜から構成され、前記触媒担持膜の上には触媒粒子又は触媒膜が形成されていることを特徴とする付記11乃至付記15のいずれかに記載の電子デバイス。
(付記項17)前記触媒担持膜は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタンのいずれかまたはそれの組み合わせの単層又は複数層から構成されていることを特徴とする付記16に記載の電子デバイス。
(付記18)前記触媒粒子又は前記触媒膜は、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかの第1金属か、前記第1金属を含む二元系金属か、前記第1金属の合金のいずれかであることを特徴とする付記16に記載の電子デバイス。
(付記19)前記第2絶縁膜はポーラスタイプの絶縁膜から構成され、前記第2絶縁膜の表面と前記ホールの内面はポアシール層に覆われていることを特徴とする付記11乃至付記18のいずれかに記載の電子デバイス。
(付記20)前記第2絶縁膜の上には、前記炭素元素円筒型構造体の束の上端に接続する第2の導電パターンが形成されていることを特徴とする付記11乃至付記19のいずれかに記載の電子デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その1)である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その1)である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その2)である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その3)である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その1)である。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイス及びその製造工程を示す断面図(その2)である。
【図9】図9は、従来技術に係る電子デバイスの配線構造の形成工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0140】
1 シリコン基板
2 層間絶縁膜
5、25 配線
6、26 シリコン窒化膜
7、27 層間絶縁膜
8、28 フォトレジスト
7a、27a ビアホール
9a 金属拡散バリア膜
9b コンタクト膜
9 金属膜(触媒担持膜)
10a 触媒金属粒子
10 触媒面
11 カーボンナノチューブ
12 埋込絶縁膜
13 ビア
16、31 配線
18 埋込金属膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1絶縁膜上に導電パターンを形成する工程と、
前記第1絶縁膜と前記導電パターンを覆う第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜のうち前記導電パターンの上にホールを形成する工程と、
少なくとも前記ホール内の底面と前記第2絶縁膜の上面に触媒担持膜を形成する工程と、
前記触媒担持膜の表面に触媒粒子又は触媒膜からなる触媒面を形成する工程と、
前記触媒面から炭素元素円筒型構造体の束を成長する工程と、
前記炭素元素円筒型構造体の束の間隙に埋込膜を形成する工程と、
前記炭素元素円筒型構造体の束及び前記埋込膜及び前記触媒担持膜を研磨して前記第2絶縁膜の上面から除去するとともに、前記埋込膜及び前記炭素元素円筒型構造体の束を前記ホール内に残してビアを形成する工程と
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記触媒担持膜は、前記基板の垂直方向に選択成長するスパッタ法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記埋込膜は、埋込絶縁膜により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記埋込絶縁膜は、塗布系絶縁材料の塗布により形成された後に熱処理により硬化されて形成されることを特徴とする請求項3に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記埋込膜は、導電膜により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
基板上に形成された第1絶縁膜上に形成された導電パターンと、
前記導電パターン及び前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、
前記導電パターンの上であって前記第2絶縁膜内に形成されたホールと、
前記ホール内で前記導電パターンの表面から前記ホールの上端に形成された炭素元素円筒型構造体の束と、
前記ホール内で炭素元素円筒型構造体の束の隙間に埋め込まれた埋込膜と
を有することを特徴とする電子デバイス。
【請求項7】
前記埋込膜は絶縁材から構成されることを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記埋込膜は導電材から構成されることを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記ホール内の前記導電パターンの表面は触媒担持膜から構成され、前記触媒担持膜の上には触媒粒子又は触媒膜が形成されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記触媒粒子又は前記触媒膜は、コバルト、鉄、ニッケルのいずれかの第1金属か、前記第1金属を含む二元系金属か、前記第1金属の合金のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−258187(P2008−258187A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95368(P2007−95368)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】