説明

電子機器の盗難防止装置、方法及びプログラム

【課題】認証情報を忘れてしまったユーザであっても、正規のユーザであれば認証情報を取得できるとともに、その取得手続を活用して、装置を不正に入手した者を特定する手がかりを得られる電子機器の盗難防止技術を提供する。
【解決手段】暗証番号、識別情報を記憶するメモリ、自車位置情報を記憶する外部記憶装置5、入力された暗証番号を認証する認証部48、認証された場合に動作を許可する許可部49、自車位置を検出する現在位置検出部40、暗証番号、識別情報、自車位置情報を暗号化したコードファイルFを作成するコードファイル生成部50、電源との接続の有無を検知する電源検知部45、接続検知時に入力要求表示を指示する入力要求表示指示部46、コード発行要求が入力されると、コードファイルFを出力するコードファイル出力部51を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車載用のナビゲーション装置などの電子機器において、盗難された場合に使用を制限する盗難防止技術に係り、特に、盗難品の位置の把握に改良を施した電子機器の盗難防止装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに代表される移動体の現在位置や目的地への経路を自動的に案内する電子機器として、ナビゲーション装置が普及している。このナビゲーション装置は、人工衛星からの電波をGPS受信機で受けたり、ジャイロセンサーなどを使って、装置が搭載されている移動体の現在位置や現在の日時を計算し、予め用意された道路地図データに基づいて、現在位置及びその周辺地図を表示しながら、次にどこをどちらに曲がるといった道案内を画面表示や合成音声などで行うものである。
【0003】
また、現在のナビゲーション装置は多機能化が進んでおり、利用可能な記録媒体はCD、DVD、ハードディスク、メモリカード等の多岐に亘り、ディスプレイに表示できる情報には、TVやDVDの動画映像などが含まれる。そして、パーソナルコンピュータと同様の基本構成を備え、接続された通信装置により、電子メール機能や、Webページの閲覧機能等を備えた機器も開発されている。
【0004】
さらに、特許文献1に示すように、車両が盗難にあった場合に対処するため、ナビゲーション装置が、車両の始動時にパスワード入力画面を表示して、パスワードが正しく入力されなかった場合に、スピーカから警告音を発生するとともに、車両の現在位置を含む盗難情報を、情報センタに定期的に通知する機能を備えることも提案されている。
【特許文献1】特開2002−286460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のように高度な電子機器となったナビゲーション装置は、高価で取り引きされるため、車上荒らしによって、ナビゲーション装置のみが取り外されて盗難に合う可能性が高い。このため、一旦車から外して電源との接続が切れた場合には、再度電源を入れても、あらかじめ正規のユーザが設定したパスワードを入力しなければ利用できないようにすることが考えられる。
【0006】
しかし、かかる機能が存在すると、正規のユーザ自身が、以前の車両からナビゲーション装置を取り外して、別の車両に設置しなおす際にも、パスワードを要求される。このとき、ユーザ自身が暗証番号を忘れてしまった場合には、全く利用できなくなってしまう。
【0007】
一方、ナビゲーション装置を盗んだり、不正に入手して使用しようとする者も、パスワードを知らないことにより、そのナビゲーション装置を利用できなくなる。しかし、この場合、ナビゲーション装置は車両から取り外されており、情報センタとの通信ができなくなっている可能性が高いので、その後、犯人を特定するための手がかりは何も得ることはできない。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するもので、その目的は、認証情報を忘れてしまったユーザであっても、正規のユーザであれば認証情報を取得できるとともに、その取得手続を活用して、装置を不正に入手した者を特定する手がかりを得られる電子機器の盗難防止装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、ユーザを認証する認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、認証情報を入力する認証情報入力手段と、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報と前記認証情報入力手段から入力された認証情報とが一致するかどうかを判定する認証手段と、前記認証手段に一致すると判定された場合にのみ、全部若しくは一部の機能を動作可能とする許可手段とを有する電子機器の盗難防止装置において、ユーザを識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、電子機器の位置情報を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された位置情報を記憶する位置記憶手段と、認証情報、識別情報及び位置情報を秘密化する秘密化手段と、電源との接続を検知する電源検知手段と、前記電源検知手段によって、電源との新たな接続が検知された場合に、認証情報の入力を要求する入力要求手段と、前記入力要求に対して、不明な認証情報の取得要求を入力する取得要求入力手段と、取得要求が入力された場合に、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。なお、本発明は、上記の各手段の機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0010】
以上のような発明では、電子機器の電源を外してから、再度電源に接続すると、これが検知されて、認証情報の入力要求がなされる。電子機器を付け替えた正規のユーザは、正しい認証情報を入力すれば、認証手段による認証及び許可手段による許可が行われて、再び利用することができる。認証情報を忘れたユーザは、認証情報の取得要求を入力すれば、秘密化された認証情報、識別情報、位置情報が出力される。ユーザは、出力された情報と他の情報(ユーザの記載した用紙等)とに基づいて、認証情報を管理する認証組織に認証を依頼する。認証組織は、出力された情報と他の情報とに基づいて、認証を行い、正規のユーザとして認証された場合には、当該ユーザに認証情報を通知する。
【0011】
一方、電子機器を盗んだ犯人等、不正の方法で電子機器を入手した者が、電源接続後になされる認証情報の入力要求に対して、認証情報の取得要求を入力して、出力された情報と他の情報(犯人等の記載した用紙等)に基づいて、上記と同様に認証組織に認証を依頼する。認証組織は、出力された情報と他の情報とに基づいて認証を行い、正規のユーザでないとして判断して、認証情報を通知しない。そして、出力された情報には、電子機器の位置情報が含まれているので、電子機器が最後に位置を記録した地点が特定でき、犯人を特定する手がかりが得られる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の電子機器の盗難防止装置において、前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を記録する記録手段が、着脱自在に設けられていることを特徴とする。なお、本発明は、上記の手段の機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0013】
以上のような発明では、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を記録した記録媒体を、電子機器から取り外して、他の情報(必要事項を記載した用紙等)とともに認証する組織に送付することにより、認証を受けることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の電子機器の盗難防止装置において、前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を送信する通信手段が設けられていることを特徴とする。なお、本発明は、上記の手段の機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0015】
以上のような請求項3の発明では、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を、通信手段を介して認証する組織に送信し、別途他の情報(必要事項を記載した用紙等)を当該組織に送付若しくは送信することにより、認証を受けることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、認証情報を忘れてしまったユーザであっても、正規のユーザであれば認証情報を取得できるとともに、その取得手続を活用して、装置を不正に入手した者を特定する手がかりを得られる電子機器の盗難防止装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。また、本発明は、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。したがって、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。
【0018】
[構成]
まず、図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置Nは、一般的な経路探索と誘導案内の機能を発揮するため、絶対位置・方位検出部1、相対方位検出部2、車速検出部3、外部記憶装置5等を備えている。
【0019】
外部記憶装置5は、ハードディスクなどの大容量記憶装置であって、ナビゲーションデータなど各種データの記録・読出しを行う手段である。ナビゲーションデータには、地図データ及び経路データを含む道路地図データ、施設検索のための検索データ、渋滞情報などを含む交通情報データ等が含まれている。また、車両の自車位置や走行した走行履歴等も記憶される。なお、同様の情報をCDやDVDに記録したものも使用できるように、CD/DVD−ROM制御部(図示せず)も設けられている。
【0020】
また、メインCPU及びその周辺回路4は、ナビゲーション装置Nの全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。なお、ナビゲーション装置Nの動作に必要な各種の記憶手段として、各種ROM、RAM等のメモリ群を備えているが、常識的であるため、図示を省略する。このようなメモリには、例えば、ユーザの暗証番号(パスワード)等の認証情報、住所、電話番号等の識別情報が登録されている。本実施形態では、上記のハードディスク、メモリ等によって、請求項の認証情報記憶手段、識別情報記憶手段、位置記憶手段等が構成されているが、いずれのデータについてどのような記憶媒体を用いるかを限定するものではない。
【0021】
ディスプレイ6は、地図や操作メニューなど各種の情報を、画面に表示する手段である。特に、本実施形態においては、電源を外した後、再度電源を接続した場合に、暗証番号の入力若しくは後述するコード発行を要求する入力要求画面が表示される(図4参照)。スピーカ7は、音声出力により音声案内を行う手段である。
【0022】
操作入力部8は、ユーザが各種操作入力を行うためのリモコンユニット、マイク(音声入力を可能とする)、タッチパネル(ディスプレイ6)、フロントパネルに設けられたスイッチ等である。この操作入力部8は、ナビゲーションに必要な入力の他、暗証番号の入力、コード発行要求入力等の入力手段として機能することができる。
【0023】
また、ナビゲーション装置Nは、メモリカード制御部9、通信装置10を備えている。メモリカード制御部9は、スロットにメモリカードMが着脱自在に設けられ、これに後述するコードファイルを記録する手段である。通信装置10は、携帯電話、PHS、PDA、無線LAN等の端末(カード等も含む)であり、アンテナを介して基地局との送受信を行うことにより、外部のサーバ等との間で情報を送受信可能な通信手段である。なお、ナビゲーション装置Nは、交通情報等を受信するFM多重受信部、光/電波ビーコン受信部等も備えているが、図示を省略する。
【0024】
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、上記のようなプログラムの作用によって、図1に示す下記の各部分としての役割を実現するように構成されている。すなわち、現在位置検出部40は、自車位置を逐次計算するための手段である。なお、請求項における電子機器の位置情報とは、電子機器自体の位置のみではなく、電子機器が設置された移動体の位置情報、走行履歴等も含む広い概念である。
【0025】
目的地設定部41は、ナビゲーションデータからの施設検索や地図上でのカーソル指定などにより目的地の設定を行う手段である。経路設定部42は、現在位置検出部40により検出される現在位置から、目的地設定部41により設定された目的地に到達するまでの経路を、道路地図データに基づいて計算し、結果として得られた経路を設定する手段である。
【0026】
また、表示制御部44は、自車位置及び道路地図データに基づいて、周辺の地図上における自車位置と、算出された経路の少なくとも一部とをディスプレイ6に二次元表示、三次元表示又は他の態様で表示させる手段である。案内制御部43は、ナビゲーションを実行するための種々の情報を処理するものである。
【0027】
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、電源検知部45、入力要求表示指示部46、入力判定部47、認証部48、許可部49、コードファイル生成部50、コードファイル出力部51を有している。電源検知部45は、電源との接続を検知する手段である。入力要求表示指示部46は、表示制御部44に入力要求画面(図4)の表示を指示する手段である。入力判定部47は、操作入力部8から入力された暗証番号、コード発行要求を判定する手段である。
【0028】
認証部48は、操作入力部8から入力された暗証番号と、あらかじめ登録された暗証番号とを比較して、一致するかどうかを判定する手段である。許可部49は、認証部48により一致すると認証された場合に、ナビゲーション装置Nの使用を許可する手段である。
【0029】
コードファイル生成部50は、操作入力部8から入力されたコード発行要求に応じて、コードファイルFを生成する手段である(図5参照)。コードファイルFは、あらかじめ登録されたユーザの識別情報、暗証番号と、最後に記憶された自車位置とを含むファイルである。
【0030】
なお、コードファイル生成部50は、識別情報、暗証番号、自車位置の暗号化も行うため、請求項の秘密化手段として機能する。この暗号化は、後述する認証組織Aにおいて復号化して認証できるものであればよく、暗号化の手法は、現在又は将来において利用可能なあらゆる技術を適用可能である。コードファイル出力部51は、コードファイル生成部50によって生成されたコードファイルを、メモリカード制御部9若しくは通信装置10に出力する手段である。
【0031】
[作用]
以上のような本実施形態による検索処理の一例を、図2のフローチャート、図3〜6の説明図を参照して説明する。なお、あらかじめユーザは、操作入力部8を操作することにより、暗証番号等の認証情報、住所、電話番号等の識別情報を登録しておくことにより、盗難防止機能を有効としておく。これらの情報は、認証組織A(例えば、カーナビメーカーが運営する組織等)のサーバにおいても登録され、管理されているものとする。さらに、認証組織Aにおいては、後述する暗証番号問い合わせ用紙と照合するために、同内容を記述したユーザの手書きの用紙を管理するものとする。
【0032】
[正規ユーザによる場合]
まず、図3(A)に示すように、正規のユーザが、ナビゲーション装置を従前の車両C1から取り外して、新しい車両C2に取り付けると、電源検知部45が、再度の電源接続を検知する(ステップ201)。すると、入力要求表示指示部46が、入力要求画面の表示を指示するので、図4に示すように、ディスプレイ6に入力要求画面が表示される(ステップ202)。
【0033】
これに対して、ユーザが操作入力部8を用いて、正しい暗証番号を入力すると(ステップ203)、認証部48が、あらかじめ登録された暗証番号と入力された暗証番号が一致するかどうか判定する(ステップ210)。この場合、正しい暗証番号が入力されているので、許可部49がナビゲーション装置Nの機能の利用を許可する(ステップ211)。
【0034】
一方、ユーザが暗証番号を忘れてしまった場合には、ユーザは操作入力部8によって、コード発行ボタンを選択する。すると、入力判定部47がコード発行指示があったことを判定する(ステップ204)。これに応じて、コードファイル生成部50は、その時の自車位置情報を取得し(ステップ205)、あらかじめ登録された暗証番号、認証情報とともに、暗号化したコードファイルFを生成する(ステップ206)。
【0035】
そして、コードファイル出力部51は、あらかじめスロットにメモリカードが挿入されている場合には(ステップ207)、メモリカード制御部9にコードファイルFを出力する(ステップ208)。これにより、図5に示すように、メモリカードM内に、コードファイルFが記録される。この後は、ユーザは、メモリカードMをスロットから抜き出し、別途用意された専用の用紙Sに必要事項を記入して、両者を封筒Eに入れて、認証組織Aの指定窓口に郵送する。用紙Sには、例えば、氏名、住所、電話番号を記入する。
【0036】
上記の封筒Eを受領した認証組織Aにおいては、オペレータOが、メモリカードMをサーバS(コンピュータ)にセットして、コードファイルF内の情報を復号化する。そして、オペレータOは、これをあらかじめ登録された用紙Sに記載された情報、サーバSに記録された情報等と照らし合わせて、一致する場合には、ユーザへのパスワードの通知若しくは再発行の手続きを行う(郵送等による通知)。
【0037】
通知を受領したユーザは、操作入力部8を用いて、その暗証番号を入力する(ステップ209)。すると、認証部48が、あらかじめ登録された暗証番号と入力された暗証番号が一致するかどうか判定する(ステップ210)。この場合、正しい暗証番号が入力されているので、許可部49がナビゲーション装置Nの機能の利用を許可する(ステップ211)。
【0038】
[不正に入手した者による場合]
まず、図3(B)に示すように、ナビゲーション装置を従前の車両C1から取り外して、ナビゲーション装置を盗んだ犯人等が、自己の車両C3に取り付けると、電源検知部45が、再度の電源接続を検知する(ステップ201)。すると、入力要求表示指示部46が、入力要求画面の表示を指示するので、図4に示すように、ディスプレイ6に入力要求画面が表示される(ステップ202)。
【0039】
これに対して、犯人は正しい暗証番号を入力することはできないが、表示されているコード発行ボタンを見る。犯人は、ナビゲーション装置とともに盗んだか、別途入手した説明書等を参照して、コード発行ボタンの意味を知り、メモリカードMをスロットに挿入し、用紙Sを用意する。
【0040】
そして、暗証番号を取得するために、コード発行ボタンを選択すると、入力判定部47がコード発行指示があったことを判定する(ステップ204)。これに応じて、コードファイル生成部50は、その時の自車位置情報を取得し(ステップ205)、あらかじめ登録された暗証番号、認証情報とともに暗号化したコードファイルFを生成する(ステップ206)。
【0041】
そして、コードファイル出力部51は、あらかじめスロットにメモリカードが挿入されているので(ステップ207)、コードファイルFをメモリカード制御部9に出力する(ステップ208)。これにより、図5に示すように、メモリカードM内に、コードファイルFが記録される。
【0042】
この後は、犯人は、メモリカードMをスロットから抜き出し、専用の用紙Sに必要事項を記入して、両者を封筒Eに入れて、認証組織Aの指定窓口に郵送する。用紙Sには、例えば、氏名、住所、電話番号の記入欄が存在するが、これらの事項は、犯人は、車上荒らし時に、入手したユーザの運転免許書、車検証等から知ることができる。但し、誤った事項を記入する場合も想定される。
【0043】
次に、上記の封筒Eを受領した認証組織Aにおいては、オペレータOが、メモリカードMをサーバSにセットして、コードファイルF内の情報を復号化する。そして、オペレータOは、これをあらかじめ登録された用紙に記載された情報、サーバSに記録された情報等と照らし合わせるが、犯人による場合なので、一致しない場合や用紙の筆跡等が異なる場合がある。そこで、認証組織Aにおいては、盗難に遭ったものと判断して、パスワードの通知若しくは再発行の手続きを行わない。さらに、復号化によって得られた自車位置情報は、認証組織Aにおいて管理される。例えば、警察等へ通知することもできるし、ユーザに通知することもできる。
【0044】
[効果]
以上のような本実施形態によれば、ナビゲーション装置Nを付け替えたが、暗証番号を忘れてしまったユーザの場合には、上記のような正規の手続きをとれば、暗証番号を知って、再度使用することができる。
【0045】
一方、ナビゲーション装置Nを盗んだ犯人等は、上記のような手続きをとったとしても、認証を受けることはできず、暗証番号を知ることはできない。そして、このとき、認証組織Aにおいては、自車位置情報を見ることによって、その製品のおおよその位置を把握することができるので、犯人を特定するための手がかりが得られる。
【0046】
このように、盗んでも暗証番号を知ることができず、結局使用できないこと、暗証番号を取得するための手続をとると、位置情報が知られてしまうこと等から、本発明を搭載したナビゲーション装置Nは、盗んでも無駄であるとの認識が広まれば、盗難の抑止効果が得られ、車上荒らしが減ることに貢献できる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、あらかじめ登録しておく識別情報としては、例えば、ニックネーム、親類縁者の名前、好きな映画、好きな本、よく行く場所等どのような情報でもよい。これらの識別情報を、用紙の記載内容に含めてもよい。
【0048】
また、コードファイルに、機器を特定する機種番号等を含めて、機種の特定を容易にしてもよい。コードファイルの秘密化は、内容を秘匿するためのあらゆる処理が含まれる。従って、暗号化のみならず、あらかじめ設定した認証情報(パスワード)を入力しなければ、ファイルを開けないようにすることも含まれる。
【0049】
また、コードファイルを、郵送ではなく、通信回線を介して認証組織Aのサーバ等に送信し、認証を受けるようにしてもよい。この場合、上記の実施形態では、通信装置10(ナビゲーション装置Nに内蔵されている場合若しくは接続が維持されている場合)を介して送信することができる。
【0050】
コードファイルを記録する媒体は、送付可能なものであれば、どのようなものでもよい。従って、記憶媒体としては、フラッシュメモリを用いたカード型の記憶装置であるメモリカードには限定されず、USBメモリ、小型ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク等であってもよい。位置情報は、現在製品が存在する位置を示していてもよいし、過去に存在した位置を示していてもよい。例えば、製品が取り外された位置、取り付けられた位置等、記録する設定やタイミングによって種々の可能性が考えられるが、何らかの位置情報が得られれば、手がかりとなりうる。容量の大きな記録媒体であれば、位置情報として、走行履歴や設定された経路(実際に走行した場合でも、未だ走行していない場合でもよい)を含めることにより、より有効な手がかりを得ることが可能となる。
【0051】
また、コードファイルを記録した記録媒体を、パーソナルコンピュータ等に挿入し、このパーソナルコンピュータに接続された通信装置等の通信環境を用いて、コードファイルを送信してもよい。この際に、認証組織AのWebサイトに、上記の用紙に記載した事項を入力するフォームを用意して、このサイトから記載事項を送信するようにしてもよい。これにより、認証組織AのサーバS側で、認証を自動化できる。但し、手書き用紙による筆跡等の認証は困難であるため、認証情報の種類を多くして、セキュリティを高める必要がある。さらに、手書きの用紙をイメージ入力したものを、メールの添付ファイルによって送信して、認証を受けることもできる。
【0052】
許可手段の許可、不許可の対象となる機能は、装置の全部の機能とすることが通常であるが、例えば、ナビゲーション機能のみ、DVD、TV等の映像再生機能のみ、音声出力機能のみ等、装置の一部の機能であってもよく、ユーザが所望の機能について認証が必要とすることを設定可能としてもよい。
【0053】
また、本発明は、車載用には限定されず、他の移動手段や携帯用のナビゲーション装置にも適用可能である。さらに、本発明が適用される装置は、ナビゲーション装置には限定されず、移動体に設置される電子機器に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1の実施形態を利用した認証処理の手順を示す説明図である。
【図4】図1の実施形態における入力要求画面の一例を示す説明図である。
【図5】図1の実施形態におけるメモリカードに記憶されるコードファイルの一例を示すブロック図である。
【図6】図1の実施形態における認証処理に用いる用紙を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…外部記憶装置
6…ディスプレイ
7…スピーカ
8…操作入力部
9…メモリカード制御部
10…通信装置
40…現在位置検出部
41…目的地設定部
42…経路設定部
43…案内制御部
44…表示制御部
45…電源検知部
46…入力要求表示指示部
47…入力判定部
48…認証部
49…許可部
50…コードファイル生成部
51…コードファイル出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを認証する認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、認証情報を入力する認証情報入力手段と、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報と前記認証情報入力手段から入力された認証情報とが一致するかどうかを判定する認証手段と、前記認証手段に一致すると判定された場合にのみ、全部若しくは一部の機能を動作可能とする許可手段とを有する電子機器の盗難防止装置において、
ユーザを識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
電子機器の位置情報を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された位置情報を記憶する位置記憶手段と、
認証情報、識別情報及び位置情報を秘密化する秘密化手段と、
電源との接続を検知する電源検知手段と、
前記電源検知手段によって、電源との新たな接続が検知された場合に、認証情報の入力を要求する入力要求手段と、
前記入力要求に対して、不明な認証情報の取得要求を入力する取得要求入力手段と、
前記取得要求が入力された場合に、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする電子機器の盗難防止装置。
【請求項2】
前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を記録する記録手段が、着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の盗難防止装置。
【請求項3】
前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を送信する通信手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子機器の盗難防止装置。
【請求項4】
コンピュータが、認証情報記憶手段、認証情報入力手段、認証手段、許可手段を有し、前記認証情報記憶手段が、ユーザを認証する認証情報を記憶する処理と、前記認証情報入力手段が、認証情報を入力する処理と、前記認証手段が、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報と前記認証情報入力手段から入力された認証情報とが一致するかどうかを判定する処理と、前記許可手段が、前記認証手段に一致すると判定した場合にのみ、全部若しくは一部の機能を動作可能とする処理とを実行する電子機器の盗難防止方法において、
前記コンピュータは、識別情報記憶手段、位置検出手段、位置記憶手段、秘密化手段、電源検知手段、入力要求手段、取得要求入力手段、出力手段を有し、
前記識別情報記憶手段が、ユーザを識別するための識別情報を記憶する処理と、
前記位置検出手段が、電子機器の位置情報を検出する処理と、
前記位置記憶手段が、前記位置検出手段により検出された位置情報を記憶する処理と、
前記秘密化手段が、認証情報、識別情報及び位置情報を秘密化する処理と、
前記電源検知手段が、電源との接続を検知する処理と、
前記電源検知手段によって電源との新たな接続が検知された場合に、前記入力要求手段が認証情報の入力を要求する処理と、
前記取得要求入力手段が、前記入力要求に対して、不明な認証情報の取得要求を入力する処理と、
前記出力手段が、前記取得要求が入力された場合に、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を出力する処理と、
を実行することを特徴とする電子機器の盗難防止方法。
【請求項5】
前記コンピュータに着脱自在に設けれられた記録手段に、前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を記録する処理を実行することを特徴とする請求項4記載の電子機器の盗難防止方法。
【請求項6】
前記コンピュータが有する通信手段が、前記出力手段から出力された認証情報、識別情報及び位置情報を送信する処理を実行することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の電子機器の盗難防止方法。
【請求項7】
コンピュータに、ユーザを認証する認証情報を記憶する認証情報記憶処理と、認証情報を入力する認証情報入力処理と、前記認証情報記憶処理により記憶された認証情報と前記認証情報入力処理により入力された認証情報とが一致するかどうかを判定する認証処理と、前記認証処理により一致すると判定された場合にのみ、全部若しくは一部の機能を動作可能とする許可処理とを実行させる電子機器の盗難防止プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
ユーザを識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶処理と、
電子機器の位置情報を検出する位置検出処理と、
前記位置検出処理により検出された位置情報を記憶する位置記憶処理と、
認証情報、識別情報及び位置情報を秘密化する秘密化処理と、
電源との接続を検知する電源検知処理と、
前記電源検知手段によって電源との新たな接続が検知された場合に、認証情報の入力を要求する入力要求処理と、
前記入力要求に対して、不明な認証情報の取得要求を入力する取得要求入力処理と、
前記取得要求が入力された場合に、秘密化された認証情報、識別情報及び位置情報を出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とする電子機器の盗難防止プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに着脱自在に設けられた記録手段に、前記出力処理により出力された認証情報、識別情報及び位置情報を記録する記録処理を実行させることを特徴とする請求項7記載の電子機器の盗難防止プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータが有する通信手段に、前記出力処理により出力された認証情報、識別情報及び位置情報を送信する送信処理を実行させることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の電子機器の盗難防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−265324(P2007−265324A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92867(P2006−92867)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】