説明

CMP後洗浄配合物用の新規な酸化防止剤

化学機械研磨(CMP)後残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を洗浄するための洗浄組成物および方法。この洗浄組成物は、新規な腐食防止剤を含む。この組成物は、low−k誘電体材料または銅配線材料を損傷することなく、マイクロエレクトロニクスデバイス表面からCMP後残渣および汚染物質を非常に有効に洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、一般に、残渣および/または汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからこれらを洗浄するための酸化防止剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
マイクロエレクトロニクスデバイスウエハは集積回路の形成に使用されている。マイクロエレクトロニクスデバイスウエハはシリコン等の基板を含み、ここに、絶縁性、導電性、または半導電性を有する異なる材料を堆積させるための領域がパターニングされている。
【0003】
正確なパターニングを達成するためには、基板上に層を形成する際に使用された材料の余剰分を除去しなければならない。さらに、機能性および信頼性を有する電子回路を製造するためには、次の加工に入る前に、マイクロエレクトロニクスウエハ表面を平坦すなわち平面状に整えることが重要である。したがって、マイクロエレクトロニクスデバイスウエハの特定の面を除去および/または研磨することが必要である。
【0004】
化学機械研磨または平坦化(「CMP」)は、マイクロエレクトロニクスデバイスウエハ表面から物質を除去する処理であり、擦過等の物理的処理を酸化やキレート化等の化学的処理と一緒に行うことにより表面を研磨(より具体的には平坦化)するものである。CMPの最も基本的な形態には、マイクロエレクトロニクスデバイスウエハ表面を磨く研磨パッドに、スラリー、例えば研磨材および活性化学の溶液を適用することにより、除去、平坦化、および研磨処理を達成することが含まれる。除去または研磨処理が全くの物理的作用または全くの化学的作用からなることは望ましくなく、むしろ両者は、速やかかつ均一な除去を達成するべく相乗的に併用されている。集積回路の製作においては、その後に続くフォトリソグラフィーまたはパターニング、エッチング、および薄膜加工用の非常に平坦な面を生成させることができるように、CMPスラリーが金属および他の物質の複合層を含む皮膜を選択的に除去できることも必要である。
【0005】
最近では、集積回路の金属配線に銅が使用されることが一段と多くなってきている。マイクロエレクトロニクスデバイス製作における電子回路のメタライゼーションに一般に使用されている銅ダマシン法において除去および平坦化しなければならない層としては、厚みが約1〜1.5μmの銅層および厚みが約0.05〜0.15μmの銅シード層が挙げられる。このような銅層は、銅が酸化物誘電体材料中に拡散するのを防ぐバリア材料の層(典型的には、厚みが約50〜300Å)によって誘電体材料表面から分離されている。良好な面内均一性を有するウエハを研磨後に得るためには、各材料に対し適正な除去選択性を有するCMPスラリーを使用することが一つの鍵となる。
【0006】
ウエハ基板の表面処理、堆積、メッキ、エッチング、および化学機械研磨を含む前述の加工工程には、マイクロエレクトロニクスデバイス製品が汚染物質を確実に含まないようにする(そうしないと、製品の機能に悪影響が及ぼされるかまたは目的の機能さえ果たさなくなるであろう)ための様々な洗浄工程が必要である。このような汚染物質の粒子は0.3μmより小さい場合が多い。
【0007】
この点に関し特に問題になっていることの一つが、CMP処理後にマイクロエレクトロニクスデバイス基板上に残存する残渣である。このような残渣には、CMP材料およびベンゾトリアゾール(BTA)等の腐食防止剤化合物が含まれる。もしこのような残渣が除去されなければ、銅配線がダメージを受けたり銅メタライゼーションが極度に荒れたりする原因となり得るだけでなく、CMP後にデバイス基板上に適用される層が接着しにくくなる可能性もある。過度に荒れた銅はマイクロエレクトロニクスデバイス製品の電気的性能不良を引き起こし得るため、銅メタライゼーションが極度に荒れることは特に問題である。
【0008】
マイクロエレクトロニクスデバイス製造に一般的な、残渣を生じさせる他の処理は、現像されたフォトレジスト皮膜のパターンを下層(ハードマスク、層間絶縁膜(ILD)、およびエッチストップ層からなる場合もある)に転写するための気相プラズマエッチングを含むものである。気相プラズマエッチング後の残渣には、基板上およびプラズマガス中に存在していた化学元素が含まれる場合があり、これは、典型的には、配線工程(BEOL)の構造に付着し、もし除去されなければ、その後に続くシリサイド化またはコンタクト形成に支障を来す可能性がある。従来の洗浄化学では、ILDがダメージを受けたり、ILDの細孔に吸収され、それによって誘電率が上昇したり、かつ/または金属構造が腐食する場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、マイクロエレクトロニクス産業は、銅メタライズ基板用洗浄配合物の改良ならびにマイクロエレクトロニクスデバイスウエハのエッチング後洗浄、アッシング後洗浄、および化学機械研磨後洗浄に対する多様な有用性を示す組成物等のマイクロエレクトロニクスデバイス構造処理用組成物の改良に努め続けている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
本発明は、一般には、残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および/または汚染物質を洗浄するための組成物および方法に関する。本発明の洗浄組成物は、腐食防止剤として少なくとも1種の新規な酸化防止剤を含む。残渣には、CMP後、エッチング後、またはアッシング後残渣が含まれ得る。
【0011】
一態様においては、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤、および少なくとも1種のアミンを含む洗浄組成物であって、腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含み、洗浄組成物が、残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣を除去するのに有効である、洗浄組成物が記載される。この洗浄組成物は、少なくとも1種の第4級塩基;少なくとも1種の錯化剤;少なくとも1種の界面活性剤;少なくとも1種の還元剤;少なくとも1種の分散剤;少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素;尿酸;少なくとも1種のアルコール;およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分をさらに含んでいてもよい。
【0012】
他の態様においては、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の分散剤、少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素、および少なくとも1種の腐食防止剤を含み、腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む洗浄組成物であって、残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣を除去するのに有効な洗浄組成物が記載される。
【0013】
他の態様においては、本発明は、1つまたはそれ以上の容器内に、洗浄組成物を形成するための以下の試剤の1種またはそれ以上を含むキットであって、前記1種またはそれ以上の試剤が、少なくとも1種の腐食防止剤;少なくとも1種の第4級塩基;少なくとも1種の有機アミン;少なくとも1種の錯化剤;少なくとも1種の界面活性剤;少なくとも1種の還元剤;少なくとも1種の分散剤;少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素;少なくとも1種のアルカノールアミン;尿酸;少なくとも1種のアルコール;およびこれらの組合せからなる群から選択される、キットに関する。少なくとも1種の腐食防止剤は、好ましくは、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、グルクロン酸、クエルシチン/アントシアニン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化学種を含む。
【0014】
さらなる他の態様においては、残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を除去する方法であって、前記方法が、マイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質の少なくとも一部を洗浄するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄組成物と接触させる工程を含み、洗浄組成物が、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤、および少なくとも1種のアミンを含み、腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、方法が記載される。洗浄組成物は、少なくとも1種の第4級塩基;少なくとも1種の錯化剤;少なくとも1種の界面活性剤;少なくとも1種の還元剤;少なくとも1種の分散剤;少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素;尿酸;少なくとも1種のアルコール;およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分をさらに含んでいてもよい。
【0015】
他の態様は、洗浄組成物の終点を識別する方法であって、
残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄組成物と接触させる工程であって、洗浄組成物が、少なくとも1種の酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)を含み、酸化防止剤が、第1状態において、洗浄組成物が前記残渣をマイクロエレクトロニクスデバイスから実質的に除去するのに有用であることを示す、工程と、
洗浄組成物を監視する工程であって、酸化防止剤の第2状態への移行が洗浄組成物の終点を示す、工程と
を含み、酸化防止剤の第1状態が、無色または可視スペクトルの第1色であってもよく、酸化防止剤の第2状態が、無色または可視スペクトルの第2色であってもよく、第1状態および第2状態が同一ではない方法に関する。
【0016】
他の態様においては、CMP後残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからこれらを除去する方法であって、
マイクロエレクトロニクスデバイスをCMPスラリーで研磨する工程と、
マイクロエレクトロニクスデバイスからCMP後残渣および汚染物質を除去するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを少なくとも1種の腐食防止剤を含む洗浄組成物と接触させることにより、CMP後残渣含有組成物を形成する工程と、
マイクロエレクトロニクスデバイスを実質的に洗浄するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスをCMP後残渣含有組成物と連続的に接触させる工程と
を含み、
少なくとも1種の腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、方法が記載される。
【0017】
さらなる態様においては、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造方法であって、本明細書において記載される洗浄組成物を、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、および/または汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質の少なくとも一部を洗浄するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスと接触させる工程を含む、方法が記載される。
【0018】
さらなる他の態様は、本明細書において記載される方法および/または組成物を用いて、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、および/または汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を洗浄する工程と、場合により、マイクロエレクトロニクスデバイスを製品内に組み込む工程とを含む、本明細書において記載される方法を用いて作製される、改良されたマイクロエレクトロニクスデバイスおよびこれを組み込んだ製品に関する。
【0019】
他の態様は、洗浄組成物、マイクロエレクトロニクスデバイスウエハ、ならびに残渣、汚染物質、およびこれらの組合せからなる群から選択される物質を含む製造品であって、洗浄組成物が、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤、および少なくとも1種のアミンを含み、少なくとも1種の腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含み、残渣が、CMP後残渣、エッチング後残渣、およびアッシング後残渣の少なくとも1種を含む、製造品に関する。
【0020】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、次の開示および添付の特許請求の範囲によってより完全に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明およびその好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、一般には、残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからこのような物質を除去するのに有用な組成物に関する。この組成物は、CMP後、エッチング後、またはアッシング後残渣の除去に特に有用である。
【0022】
参照を容易にするため、「マイクロエレクトロニクスデバイス」は、マイクロエレクトロニクス、集積回路、またはコンピュータチップ用途に使用するために製造された、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、ならびに太陽電池用基板(solar substrate)、光起電力素子(photovoltaics)、およびマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を含む他の製品に相当するものとする。太陽電池用基板としては、これらに限定されるものではないが、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、およびガリウム上ガリウムヒ素が挙げられる。太陽電池用基板は、ドーピングされていてもアンドープであってもよい。「マイクロエレクトロニクスデバイス」という用語はいかなる限定も意図しておらず、最終的にマイクロエレクトロニクスデバイスまたはマイクロエレクトロニクスアセンブリになることとなる任意の基板を包含するものと理解されたい。
【0023】
本明細書において用いられる「残渣」は、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造中(これらに限定されるものではないが、プラズマエッチング、アッシング、化学機械研磨、ウェットエッチング、およびこれらの組合せを含む)に生成する粒子に相当する。
【0024】
本明細書において用いられる「汚染物質」は、CMPスラリー中に存在する化学物質、研磨スラリーの反応副生成物、ウェットエッチング組成物中に存在する化学物質、ウェットエッチング組成物の反応副生成物、およびCMP処理、ウェットエッチング、プラズマエッチング、またはプラズマアッシング処理の副生成物である他の任意の物質に相当する。
【0025】
本明細書において用いられる「CMP後残渣」は、研磨スラリーに由来する粒子(例えば、シリカ含有粒子)、スラリー中に存在する化学物質、研磨スラリーの反応副生成物、カーボンリッチな粒子、研磨パッドの粒子、ブラシから脱離した粒子(brush deloading particle)、設備建設用資材の粒子(equipment materials of construction particle)、銅、酸化銅、有機残渣、およびCMP処理の副生成物である他の任意の物質に相当する。
【0026】
本明細書において定義される「low−k誘電体材料」は、積層型マイクロエレクトロニクスデバイスの誘電体材料として用いられる、誘電率が約3.5未満である任意の材料に相当する。好ましくは、low−k誘電体材料としては、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フルオロケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、カーボンドープオキサイド(CDO)ガラス等の低極性材料が挙げられる。low−k誘電体材料は、様々な密度および様々な空隙率を有していてもよいことを理解されたい。
【0027】
本明細書において定義される「錯化剤」には、当業者に、錯化剤、キレート剤、および/または金属イオン封鎖剤であると理解されている化合物が含まれる。錯化剤は、本発明の組成物を用いて除去すべき金属原子および/または金属イオンと化合するかまたはこれを物理的に保持するであろう。
【0028】
本明細書において定義される「バリア材料」は、当該技術分野において、金属配線(例えば銅配線)を封止することにより前記金属(例えば銅)が誘電体材料中に拡散するのを最小限に抑えるために使用される任意の材料に相当する。好ましいバリア層材料としては、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウム、タングステン、および他の高融点金属、ならびにこれらの窒化物およびケイ化物が挙げられる。
【0029】
本明細書において定義される「エッチング後残渣」とは、気相プラズマエッチング処理、例えば、BEOLデュアルダマシン処理、またはウェットエッチング処理後に残存している物質に相当する。エッチング後残渣は、有機系、有機金属系、有機ケイ素系、または無機系の性質を有するもの、例えば、ケイ素含有物質、炭素系有機物質、および酸素やフッ素等のエッチングガス残渣であり得る。
【0030】
本明細書において用いられる、本明細書において定義される「アッシング後残渣」とは、硬化したフォトレジストおよび/または下層反射防止膜(BARC)材料を除去するために酸化的または還元的プラズマアッシングを行った後に残存している物質に相当する。アッシング後残渣は、有機系、有機金属系、有機ケイ素系、または無機系の性質を有するものであり得る。
【0031】
本明細書において、「実質的に含まない」は、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満であることと定義される。
【0032】
本明細書において用いられる「約」は、提示した値の±5%に相当することを意図している。
【0033】
本明細書において用いられる、残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を洗浄することに対する「適性」とは、マイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣/汚染物質の少なくとも一部が除去されることに相当する。洗浄効果は、マイクロエレクトロニクスデバイス上の物体の低減により評価される。例えば、原子間力顕微鏡を用いて洗浄前後の分析を実施してもよい。試料上の粒子を、ピクセルの所定の範囲として記録してもよい。ヒストグラム(例えば、Sigma Scan Pro)を適用することにより特定の強度、例えば231〜235のピクセルを選別し、粒子の計数を行ってもよい。粒子の低減を、
【数1】

を用いて求めてもよい。この洗浄効果を決定する方法は例示に過ぎず、これに限定することを意図するものではないことに留意されたい。別法として、洗浄効果を、粒子状物質で覆われている全表面の割合と見なしてもよい。例えば、AFMのプログラムを、z平面を走査して一定の高さの閾値を超える対象形状を有する領域を識別した後、前記対象領域で覆われた表面全体の面積を求めるようにしてもよい。洗浄後の前記対象領域で覆われている面積が小さいほど洗浄組成物の効果が高いことは当業者に容易に理解されるであろう。好ましくは、本明細書において記載される組成物を用いることにより、残渣/汚染物質の少なくとも75%がマイクロエレクトロニクスデバイスから除去され、より好ましくは少なくとも90%、よりさらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の残渣/汚染物質が除去される。
【0034】
本明細書において記載される組成物は、以下により完全に説明するように、幅広い特定の配合で実施してもよい。
【0035】
組成物の特定の成分の重量百分率が、下限値であるゼロを含む範囲を参照して述べられている場合、このようなすべての組成物において、この成分は、組成物の様々な特定の実施形態において存在していてもしていなくてもよいことと、このような成分が存在する場合は、このような成分が用いられている組成物の総重量を基準として0.001重量パーセントという低濃度で存在してもよいこととが理解されるであろう。
【0036】
本洗浄組成物は、少なくとも1種の酸化防止剤成分(すなわち「腐食防止剤」)を含み、この酸化防止剤成分は、金属、例えば、銅、アルミニウムの腐食速度を低下させるだけでなく、洗浄性能を高める目的で洗浄組成物に添加されている。意図されている酸化防止剤(すなわち、腐食防止剤)には、これらに限定されるものではないが:シアヌル酸;バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等);グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸(ピルビン酸等);アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物(アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、およびイソグアニン、ならびにこれらの誘導体等);ホスホン酸およびその誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体(ニコチンアミド/L−アスコルビン酸等);フラボノイド(フラボノールおよびアントシアニンならびにこれらの誘導体等);フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せが包含される。例えば、フラボノールとしては、クエルシチンおよびその誘導体(クエルセチングルコシド、クエルシトリン(クエルセチンラムノシド)、ルチン(クエルセチンルチノシド)等)が挙げられるであろう。アントシアニンおよびフラボノールを併用することにより、フラボノールの水中への溶解性が増大する。特に好ましい酸化防止剤としては、プリン化合物、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、ならびにグルクロン酸が挙げられる。
【0037】
一態様においては、洗浄組成物が記載され、前記洗浄組成物は、少なくとも1種の溶媒と、シアヌル酸;バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等);グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸(ピルビン酸等);アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物(アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、およびイソグアニン、ならびにこれらの誘導体等);ホスホン酸およびその誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体(ニコチンアミド/L−アスコルビン酸等);フラボノイド(フラボノールおよびアントシアニンならびにこれらの誘導体等);フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)とを含む。好ましくは、溶媒は、水、好ましくは脱イオン水を含む。
【0038】
さらなる態様においては、洗浄組成物は、(i)〜(ix):
(i)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の酸化防止剤、水、および場合により少なくとも1種の還元剤を含む組成物;
(ii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の酸化防止剤、少なくとも1種の錯化剤、および水を含む組成物;
(iii)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の酸化防止剤、および水を含む組成物;
(iv)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の酸化防止剤、少なくとも1種の界面活性剤、水、および場合により少なくとも1種の還元剤を含む組成物;
(v)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の酸化防止剤、少なくとも1種の還元剤、水、場合により少なくとも1種の界面活性剤、および場合により少なくとも1種の第4級塩基を含む組成物;
(vi)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の酸化防止剤、少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の還元剤、水、および場合により少なくとも1種の界面活性剤を含む組成物;
(vii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種のアルカノールアミン、尿酸、水、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む組成物;
(viii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種のアルカノールアミン、尿酸、少なくとも1種のアルコール、水、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む組成物;ならびに
(ix)少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の分散剤、少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素、水、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む組成物
からなる群から選択される組成物を含み、酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)は、シアヌル酸;バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等);グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸(ピルビン酸等);アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物(アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、およびイソグアニン、ならびにこれらの誘導体等);ホスホン酸およびその誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体(ニコチンアミド/L−アスコルビン酸等);フラボノイド(フラボノールおよびアントシアニンならびにこれらの誘導体等);フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。特に好ましい酸化防止剤としては、プリン化合物、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、ならびにグルクロン酸が挙げられる。
【0039】
特に好ましい実施形態においては、洗浄組成物は、少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の酸化防止剤、および水を含み、酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)は、シアヌル酸;バルビツル酸および誘導体(1、2−ジメチルバルビツル酸等);グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸(ピルビン酸等);アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物(アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、およびイソグアニン、ならびにこれらの誘導体等);ホスホン酸およびその誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体(ニコチンアミド/L−アスコルビン酸等);フラボノイド(フラボノールおよびアントシアニンならびにこれらの誘導体等);フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。洗浄組成物は、場合により、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の界面活性剤、残渣物、またはこれらの組合せをさらに含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本洗浄組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイス構造体から残渣および汚染物質、例えば、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、および汚染物質を洗浄するのに特に有用である。実施形態に拘わらず、マイクロエレクトロニクスデバイスから残渣物を除去する前の洗浄組成物は、好ましくは、酸化剤、フッ素源、および研磨材を実質的に含まない。洗浄組成物がグルコロニック酸(glucoronic acid)を含む場合、組成物のpHを6以上とすべきことは重要である。
【0041】
本発明のさらなる態様においては、洗浄組成物は、(i)〜(ix)からなる群から選択される洗浄組成物を含むか、洗浄組成物からなるか、または基本的に洗浄組成物からなってもよく、少なくとも1種の酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)は、シアヌル酸;バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等);グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸(ピルビン酸等);アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物(アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、およびイソグアニン、ならびにこれらの誘導体等);ホスホン酸およびその誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体(ニコチンアミド/L−アスコルビン酸等);フラボノイド(フラボノールおよびアントシアニンならびにこれらの誘導体等);フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む。特に好ましい酸化防止剤としては、プリン化合物、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、ならびにグルクロン酸が挙げられる。
【0042】
本洗浄組成物は、上に列挙した酸化防止剤に加えて、これらに限定されるものではないが、アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ベンゾトリアゾール、クエン酸、エチレンジアミン、没食子酸、シュウ酸、タンニン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、尿酸、1,2,4−トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br、またはI)、ナフトトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、リン酸トリトリル、イミダゾール、インジアゾール(indiazole)、安息香酸、安息香酸アンモニウム、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等)、アルファ−ケト酸(ピルビン酸等)、アデニン、プリン、ホスホン酸およびその誘導体、グリシン/アスコルビン酸、ならびにこれらの組合せ等のさらなる腐食防止剤をさらに含んでいてもよい。例えば、洗浄組成物は、フェナントロリンおよびアスコルビン酸またはグリシンおよびアスコルビン酸の組合せを含んでいてもよい。
【0043】
特定の組成物に有用な可能性のある例示的なアミンとしては、一般式NR(式中、R、R、およびRは、同一であっても互いに異なっていてもよく、水素、直鎖または分岐のC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル)、および直鎖または分岐のC〜Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノール)からなる群から選択される)を有する化学種が挙げられる。最も好ましくは、R、R、およびRの少なくとも1種は、直鎖または分岐のC〜Cアルコールである。その例として、これらに限定されるものではないが、アミノエチルエタノールアミン、N−メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、イソブタノールアミン、トリエチレンジアミン、他のC〜Cアルカノールアミン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0044】
本明細書において意図されている第4級塩基には、式NROH(式中、R、R、R、およびRは、同一であっても互いに異なっていてもよく、水素、直鎖または分岐のC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル)、および置換または無置換のC〜C10アリール(例えば、ベンジル)からなる群から選択される)を有する化合物が包含される。テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラメチアンモニウムヒドロキシド(tetramethyammonium hydroxide)(TMAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)、およびこれらの組合せ等の市販のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを使用してもよい。市販されていないテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを、TMAH、TEAH、TPAH、TBAH、TBMAH、およびBTMAHの調製に用いられている当業者に周知の公開されている合成方法と類似の方法で調製してもよい。幅広く用いられている他の第4級アンモニウム塩基は水酸化コリンである。
【0045】
本明細書において意図されている還元剤には、アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、没食子酸、グリオキサル、およびこれらの組合せからなる群から選択される化学種が包含される。
【0046】
例示的なアルコールとしては、直鎖または分岐のC〜Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノール)、ジオール、およびトリオールが挙げられる。好ましくは、アルコールは、イソプロパノール(IPA)を含む。
【0047】
本明細書に記載される組成物に使用される例示的な界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、両性塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フルオロアルキル界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組合せが挙げられ、これらに限定されるものではないが、SURFONYL(登録商標)104、TRITON(登録商標)CF-21、ZONYL(登録商標)UR、ZONYL(登録商標)FSO-100、ZONYL(登録商標)FSN-100、3M Fluoradフルオロ界面活性剤(すなわちFC-4430およびFC-4432)、ジオクチルスルホコハク酸塩、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールエーテル、カルボン酸塩、Rベンゼンスルホン酸またはその塩(Rは、直鎖または分岐のC〜C18アルキル基)、両親媒性フルオロポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールエーテル、カルボン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアクリレートポリマー、ジノニルフェニルポリオキシエチレン、シリコーンまたは変性シリコーンポリマー、アセチレン系ジオールまたは変性アセチレン系ジオール、アルキルアンモニウムまたは変性アルキルアンモニウム塩に加えて、上述の界面活性剤のうちの少なくとも1種、ドデシル硫酸ナトリウム、両イオン性界面活性剤、エーロゾル−OT(AOT)およびそのフッ素化された類似体、アルキルアンモニウム、パーフルオロポリエーテル界面活性剤、2−スルホコハク酸塩、リン酸エステル系界面活性剤、硫黄系界面活性剤、ならびにアセトアセテート系ポリマーを含む組合せが挙げられる。好ましい実施形態においては、界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸、より好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸を含む。
【0048】
分散剤が本明細書において記載される組成物中に使用される場合、これは、分散性を高めることと、除去された残渣および汚染物質のマイクロエレクトロニクスデバイスウエハ表面への再付着を最小限に抑えることとを目的として含有されている。本明細書において意図されている分散剤としては、アクリル酸またはその塩を含む、平均分子量が15,000未満の有機ポリマー(以下、低分子量アクリル酸含有ポリマーと称する)が挙げられる。低分子量アクリル酸含有ポリマーの平均分子量は、15,000未満、好ましくは約3,000〜約10,000である。低分子量アクリル酸含有ポリマーは、必須のアクリル酸またはアクリル酸塩モノマー単位を含むホモポリマーまたはコポリマーのいずれであってもよい。コポリマーは、変性アクリル、フマル、マレイン、イタコン、アコニット、メサコン、シトラコン、およびメチレンマロン酸、またはこれらの塩、無水マレイン酸、アルキレン、ビニルメチルエーテル、スチレン、ならびにこれらの任意の混合物等の、基本的に任意の好適な他のモノマー単位を含んでいてもよい。好ましい市販の低分子量アクリル酸含有ホモポリマーとしては、Acusol 445(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,PA,USA)のRohm and Haas)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0049】
本明細書において意図されているスルホン酸含有炭化水素には、直鎖および分岐のC〜Cアルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン)スルホン酸、直鎖および分岐のC〜Cアルケン(例えば、エタン、プロペン、ブタン、ペンテン、ヘキサン)スルホン酸、および置換または無置換のC〜C14アリールスルホン酸、ならびにこれらの塩(例えば、ナトリウム、カリウム等)が包含される。スルホン酸含有炭化水素としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、エテンスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0050】
本明細書において意図されている任意的な錯化剤としては、これらに限定されるものではないが、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アジピン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタミン、グルタル酸、グリセリン酸、グリセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イミノジ酢酸、イソフタル酸、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リジン、マレイン酸、無水マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、2,4−ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、フタル酸、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール(pyrocatecol)、ピロメリット酸、キナ酸、セリン、ソルビトール、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、バリン、キシリトール、これらの塩および誘導体、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0051】
組成分量に関し、本明細書において記載される各実施形態における各成分の重量パーセント比を以下に示す:
実施形態(i):第4級塩基対腐食防止剤が、約0.1:1〜約10:1、好ましくは約0.5:1〜約5:1、よりさらに好ましくは約1:1〜約2:1;有機アミン対腐食防止剤が、約0.1:1〜約10:1、好ましくは約0.5:1〜約5:1、よりさらに好ましくは約2:1〜3:1;
実施形態(ii):第4級塩基対錯化剤が、約1:1〜約5:1、好ましくは約2:1〜約3.5:1;有機アミン対錯化剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約3:1〜約7:1;腐食防止剤対錯化剤が、約0.001:1〜約0.5:1、好ましくは約0.01:1〜約0.1:1;
実施形態(iii):有機アミン対腐食防止剤が、約0.1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約3:1;
実施形態(iv):有機アミン対腐食防止剤が、約0.1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約3:1;界面活性剤対腐食防止剤が、約0.001:1〜約0.5:1、好ましくは約0.01:1〜約0.1:1;
実施形態(v):有機アミン対腐食防止剤が、約0.1:1〜約15:1、好ましくは約1:1〜約10:1;還元剤対腐食防止剤が、約0.1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約8:1;
実施形態(vi):有機アミン対腐食防止剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約7:1;第4級塩基対腐食防止剤が、約0.5:1〜約8:1、好ましくは約1:1〜約4:1;還元剤対腐食防止剤が、約0.1:1〜約6:1、好ましくは約0.5:1〜約3:1;界面活性剤(存在する場合)対腐食防止剤が、約0.001:1〜約0.1:1;
実施形態(vii):有機アミン対腐食防止剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約7:1;第4級塩基対腐食防止剤が、約0.5:1〜約8:1、好ましくは約1:1〜約4:1;還元剤対腐食防止剤が、約0.1:1〜約6:1、好ましくは約0.5:1〜約3:1;
実施形態(viii):有機アミン対腐食防止剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約2:1〜約7:1;第4級塩基対腐食防止剤が、約0.5:1〜約8:1、好ましくは約1:1〜約4:1;尿酸対腐食防止剤が、約0.1:1〜約6:1、好ましくは約0.5:1〜約3:1;アルコール対腐食防止剤が、約0.5:1〜約8:1、好ましくは約1:1〜約4:1;
実施形態(ix):腐食防止剤対界面活性剤が、約10:1〜約100:1、好ましくは約30:1〜約70:1;分散剤対界面活性剤が、約0.01:1〜約5:1、好ましくは約0.05:1〜約1:1;スルホン酸含有炭化水素対界面活性剤が、約1:1〜約10:1、好ましくは約3:1〜約7:1。
【0052】
この成分の重量パーセント比の範囲には、本組成物の実施形態のあらゆる可能な濃縮または希釈物が包含されるであろう。この目的のために、一実施形態においては、洗浄液として使用するために希釈することができる濃縮された洗浄組成物が提供される。濃縮された組成物すなわち「濃縮物」によって、有利には、使用者、例えばCMP処理技術者がこの濃縮物を希釈して使用時に所望される濃度およびpHにすることが可能になる。洗浄組成物の濃縮物の希釈は、約1:1〜約2500:1、好ましくは約5:1〜約200:1の範囲で行ってもよく、洗浄組成物は、溶媒、例えば、脱イオン水を用いて、器具内またはその直前に希釈される。希釈後においても、本明細書において開示された成分の重量パーセント比の範囲は変化しないままであるべきことを当業者は理解すべきである。
【0053】
本明細書において記載された組成物は、これらに限定されるものではないが、エッチング後残渣除去、アッシング後残渣除去表面処理、メッキ後洗浄、CMP後残渣除去等の用途に有用な可能性がある。
【0054】
さらなる他の好ましい実施形態においては、本明細書において記載される洗浄組成物は、残渣および/または汚染物質をさらに含む。残渣および汚染物質が組成物中に溶解および/または懸濁している可能性があることは重要である。好ましくは、残渣には、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、汚染物質、またはこれらの組合せが含まれる。
【0055】
洗浄組成物は、それぞれの原料を単純に加えて均質状態になるまで混合することによって容易に配合される。さらに、この組成物は、1剤型(single-package)配合物または使用時もしくはその前に混合する多剤型(multi-part)配合物として容易に配合することができ、例えば、多剤型配合物の個々の構成剤(part)を、器具内または器具の上流の貯蔵タンクで混合してもよい。それぞれの原料の濃度を、当該組成の特定の倍率で、すなわち本発明の広範な実施の範囲内でより希釈またはより濃縮して幅広く変化させてもよく、また、本発明の組成物が、本明細書の開示内容に従う原料の多種多様かつ二者択一的な形の任意の組合せを含むか、組合せからなるか、または組合せから基本的になってもよいことが理解されるであろう。
【0056】
したがって、他の態様は、1つまたはそれ以上の容器内に、本発明の組成物を形成するようになされた1種またはそれ以上の成分を含むキットに関する。このキットは、1つまたはそれ以上の容器内に、製造工場または使用時においてさらなる溶媒(例えば、水)と混合するための、少なくとも1種の腐食防止剤、本明細書において提示された実施形態の任意の成分、および場合により少なくとも1種のさらなる腐食防止剤を含んでいてもよい。キットの容器は、前記除去組成物の貯蔵および輸送に適していなければならず、例えば、NOWPak(登録商標)容器(米国コネチカット州ダンベリー(Danbury,Conn.,USA)のAdvanced Technology Materials,Inc.)が挙げられる。好ましくは、除去組成物の成分を含む1つまたはそれ以上の容器は、前記1つまたはそれ以上の容器内の成分を混合および分注するための流体連通手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器を参照すると、前記1つまたはそれ以上の容器のライナーの外側にガス圧を印加することによってライナーの内容物の少なくとも一部を排出させて、流体を混合および分注するために連通可能にするものであってもよい。別法として、流体の連通を可能にするために、従来の加圧可能な容器の上部空間にガス圧を印加してもよいし、またはポンプを使用してもよい。さらにこの系は、好ましくは、混合された除去組成物を処理器具に分注するための分注ポートを含む。
【0057】
前記1つまたはそれ以上の容器のライナーの製作には、実質的に化学的に不活性な、不純物を含まない、可撓性および弾性を有する高密度ポリエチレン等のポリマーフィルム材料を用いるのが好ましい。望ましいライナー材料は、共押出またはバリア層を必要することなく、かつライナー内に配される成分に要求される純度に悪影響を与え得る、顔料、UV防止剤、または加工助剤を一切用いることなく加工される。所望のライナー材料の一覧には、バージン(添加剤を含まない)ポリエチレン、バージンポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレン等を含むフィルムが含まれる。このようなライナー材料の好ましい厚みの範囲は、約5ミル(0.005インチ)〜約30ミル(0.030インチ)であり、例えば、厚みは、20ミル(0.020インチ)である。
【0058】
本発明のキット用容器に関しては、以下の特許および特許出願のそれぞれの開示内容全体を参考として本明細書に組み込む:米国特許第7,188,644号、標題「超高純度液体における粒子の生成を最小限にするための装置および方法(APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS);米国特許第6,698,619号、標題「返却および再使用可能なバッグインドラム流体貯蔵および分注容器システム(RETURNABLE AND REUSABLE, BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM);米国特許出願第60/916,966号、標題「材料を混合および分配するためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION)」、John E.Q. Hughes名義で2007年5月9日出願;およびPCT/US08/63276、標題「材料を混合および分配するためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION)」、Advanced Technology Materials, Inc.名義で2008年5月9日出願。
【0059】
マイクロエレクトロニクス製造工程に適用されているように、本明細書において記載される洗浄組成物は、CMP後残渣および/または汚染物質をマイクロエレクトロニクスデバイス表面から洗浄するのに有用に用いられる。重要なことは、本洗浄組成物が、low−k誘電体材料にダメージを与えたりデバイス表面の金属配線を腐食したりしないことである。好ましくは、洗浄組成物は、残渣を除去する前のデバイス上に存在する残渣の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、よりさらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を除去する。
【0060】
CMP後残渣および汚染物質洗浄用途においては、本洗浄組成物を、メガソニックやブラシ洗浄等の多種多様な従来の洗浄手段と一緒に用いてもよい。これらに限定されるものではないが、Verteqの枚葉式メガソニックGoldfinger、OnTrak systemsのDDS(両面スクラブ洗浄装置)、SEZまたは他社の枚葉式スプレーリンス、Applied MaterialsのMirra-Mesa(商標)/Reflexion(商標)/Reflexion LK(商標)、およびメガソニックバッチ式ウエットベンチシステムが挙げられる。
【0061】
本明細書において記載される組成物を、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、および/または汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからこれらを洗浄するために使用する際は、洗浄組成物を、典型的には、約20℃〜約90℃、好ましくは約20℃〜約50℃の範囲の温度で約5秒間〜約10分間、好ましくは約1秒間〜20分間、好ましくは約15秒間〜約5分間デバイスと接触させる。このような接触時間および温度は例示的なものであり、本方法の広範な実施の範囲内で、CMP後残渣/汚染物質の少なくとも一部をデバイスから洗浄するのに有効な他の任意の好適な時間および温度条件を用いてもよい。「少なくとも一部を洗浄する」および「実質的に除去する」は、いずれも、残渣を除去する前のデバイス上に存在する残渣の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、よりさらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が除去されることに相当する。
【0062】
洗浄組成物は、所望の洗浄作用が達成された後、それを先に適用したデバイスから容易に除去することができ、これは、本明細書に記載される組成物の所与の最終用途に望ましい所期の効果であろう。好ましくは、リンス溶液には、脱イオン水が含まれる。その後、デバイスを、窒素またはスピンドライサイクルを用いて乾燥してもよい。
【0063】
有利には、本明細書において提示される一部の酸化防止剤は、消費されるに従い視認できる色の変化が起こり、これにより、使用者が洗浄組成物浴の効力を監視する手段が提供される。監視手段としては、これらに限定されるものではないが、視覚的および分光光度法的な手段が挙げられる。本明細書において定義される「終点」は、洗浄組成物がマイクロエレクトロニクスデバイスから除去すべき物質、例えばCMP後残渣を、もはや効率的かつ有効に除去しない範囲に相当する。終点は、これらに限定されるものではないが、洗浄組成物の飽和(例えば、混入限界(loaded))および/または洗浄組成物の1種もしくはそれ以上の成分の枯渇等の多くの異なる要因によって起こり得る。
【0064】
したがって、他の態様には、洗浄組成物の終点を識別する方法であって、
残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄組成物と接触させる工程であって、洗浄組成物が、少なくとも1種の酸化防止剤(すなわち腐食防止剤)を含み、酸化防止剤が、第1状態において、洗浄組成物が前記残渣をマイクロエレクトロニクスデバイスから実質的に除去するのに有用であることを示す、工程と、
洗浄組成物を監視する工程であって、酸化防止剤の第2状態への移行が洗浄組成物の終点を示す、工程と
を含む方法が包含される。酸化防止剤の第1状態は無色または可視スペクトルの第1色であってもよく、酸化防止剤の第2状態は無色または可視スペクトルの第2色であってもよく、第1状態および第2状態は同一ではないことが当業者に理解されるべきである。
【0065】
さらなる他の態様は、本発明の方法に従い作製された改良マイクロエレクトロニクスデバイスおよびこのようなマイクロエレクトロニクスデバイスを含む製品に関する。
【0066】
他の態様は、再利用された洗浄組成物に関し、この洗浄組成物は、残渣および/または汚染物質の混入量(loading)が、洗浄組成物が受容し得る、当業者によって容易に決定される最大量に到達するまで再利用してもよい。
【0067】
さらなる他の態様は、本明細書に記載される洗浄組成物を用いた、マイクロエレクトロニクスデバイスを備える物品の製造方法であって、CMP後残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を洗浄するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄組成物と接触させる工程と、前記マイクロエレクトロニクスデバイスを前記物品に組み込む工程とを含む、方法に関する。
【0068】
以下に述べる例示的な実施例により、特徴および利点をより完全に示す。
【実施例】
【0069】
実施例1
ブランケットPVD銅ウエハを、TMAH、1−アミノ−2−プロパノール、および異なる酸化防止剤を含む塩基性溶液を含む溶液中に浸漬し、作用電極がPVD Cuであり、対電極がPtメッシュであり、参照電極がAg/AgCl電極であるポテンシオスタットを用いて銅の腐食速度を測定した。開放電位に対するアノードの電圧バイアスを0.1〜1.0Vとして銅のアノード腐食速度を求めた。結果を以下の表1にまとめる。
【0070】
【表1】

【0071】
銅の腐食速度がアデノシンによって大幅に低下したことがわかる。さらなる利点としては、これらに限定されるものではないが、銅の荒れが最小限に抑えられることおよび残渣除去後の酸化銅(I)表面が安定化することが挙げられる。
【0072】
本明細書において、例示的な実施形態および特徴を参照しながら本発明を様々な形で開示してきたが、先に記載した実施形態および特徴は本発明を限定することを意図するものではないことと、本明細書の開示に基づき、当業者が他の変形、修正、および他の実施形態を類推するであろうこととが理解されるであろう。したがって、本発明は、以下に説明する特許請求の範囲の趣旨および範囲を逸脱しないこの種のあらゆる変形、修正、および代替的な実施形態を包含するように広義に解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤、および少なくとも1種のアミンを含む洗浄組成物であって、前記腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含み、前記洗浄組成物が、残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣を除去するのに有効である、組成物。
【請求項2】
前記腐食防止剤が、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、グルクロン酸、クエルシチン/アントシアニン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化学種を含む、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記腐食防止剤が、アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化学種を含む、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記洗浄組成物が、少なくとも1種の第4級塩基;少なくとも1種の錯化剤;少なくとも1種の界面活性剤;少なくとも1種の還元剤;少なくとも1種の分散剤;少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素;尿酸;少なくとも1種のアルコール;およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分をさらに含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
前記洗浄組成物が、(i)〜(viii):
(i)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の有機アミン、および場合により少なくとも1種の還元剤;
(ii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の有機アミン、および少なくとも1種の錯化剤;
(iii)少なくとも1種のアミン;
(iv)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の界面活性剤、および場合により少なくとも1種の還元剤;
(v)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の還元剤、場合により少なくとも1種の界面活性剤、および場合により少なくとも1種の第4級塩基;
(vi)少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種の還元剤、および場合により少なくとも1種の界面活性剤;
(vii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種のアルカノールアミン、および尿酸;ならびに
(viii)少なくとも1種の第4級塩基、少なくとも1種のアルカノールアミン、尿酸、および少なくとも1種のアルコール
のうちの少なくとも1種の実施形態をさらに含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
前記溶媒が、水を含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
残渣および汚染物質をさらに含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項8】
前記残渣が、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、またはこれらの組合せを含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項9】
前記CMP後残渣が、CMP研磨スラリーに由来する粒子、CMP研磨スラリー中に存在する化学物質、CMP研磨スラリーの反応副生成物、カーボンリッチな粒子、研磨パッドの粒子、ブラシから脱離した粒子、設備建設用資材の粒子、銅、酸化銅、およびこれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項8に記載の洗浄組成物。
【請求項10】
前記組成物が、約5:1〜約200:1の範囲で希釈される、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項11】
マイクロエレクトロニクスデバイスから残渣物を除去する前の前記組成物が、酸化剤、フッ素源、および/または研磨材を実質的に含まない、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項12】
少なくとも1種のさらなる腐食防止剤をさらに含み、前記少なくとも1種のさらなる腐食防止剤が、アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ベンゾトリアゾール、クエン酸、エチレンジアミン、没食子酸、シュウ酸、タンニン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、尿酸、1,2,4−トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br、またはI)、ナフトトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、リン酸トリトリル、イミダゾール、インジアゾール、安息香酸、安息香酸アンモニウム、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツル酸および誘導体(1,2−ジメチルバルビツル酸等)、アルファ−ケト酸(ピルビン酸等)、アデニン、プリン、ホスホン酸およびその誘導体、グリシン/アスコルビン酸、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のアミンが、一般式NR(式中、R、R、およびRは、同一であっても互いに異なっていてもよく、水素、直鎖C〜Cアルキル、分岐C〜Cアルキル、直鎖C〜Cアルコール、および分岐C〜Cアルコールからなる群から選択される)を有する、請求項1、2、または3に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の第4級塩基が、式NROH(式中、R、R、R、およびRは、同一であっても互いに異なっていてもよく、水素、直鎖C〜Cアルキル、分岐C〜Cアルキル、置換C〜C10アリール、および無置換C〜C10アリールからなる群から選択される)を有し、
前記少なくとも1種の還元剤が、アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、没食子酸、グリオキサル、およびこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含み、
前記少なくとも1種のアルコールが、直鎖または分岐のC〜Cアルコールを含み、
前記少なくとも1種の界面活性剤が、両性塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フルオロアルキル界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組合せを含み、
前記分散剤が、平均分子量が15,000未満であるアクリル酸またはその塩を含む有機ポリマーを含み、
前記スルホン酸含有炭化水素が、直鎖C〜Cアルカンスルホン酸、分岐C〜Cアルカンスルホン酸、直鎖C〜Cアルケンスルホン酸、分岐C〜Cアルケンスルホン酸、置換C〜C14アリールスルホン酸、無置換C〜C14アリールスルホン酸、これらの塩、およびこれらの組合せを含み、かつ
前記錯化剤が、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アジピン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタミン、グルタル酸、グリセリン酸、グリセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イミノジ酢酸、イソフタル酸、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リジン、マレイン酸、無水マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、2,4−ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、フタル酸、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール(pyrocatecol)、ピロメリット酸、キナ酸、セリン、ソルビトール、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、バリン、キシリトール、これらの塩および誘導体、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、請求項4に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
1つまたはそれ以上の容器内に、洗浄組成物を形成するための以下の試剤の1種またはそれ以上を含むキットであって、前記1種またはそれ以上の試剤が、少なくとも1種の腐食防止剤;少なくとも1種の第4級塩基;少なくとも1種の有機アミン;少なくとも1種の錯化剤;少なくとも1種の界面活性剤;少なくとも1種の還元剤;少なくとも1種の分散剤;少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素;少なくとも1種のアルカノールアミン;尿酸;少なくとも1種のアルコール;およびこれらの組合せからなる群から選択され、前記キットが、請求項1、2、または3に記載の組成物を形成するようになされている、キット。
【請求項16】
残渣および汚染物質をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質を除去する方法であって、前記方法が、前記マイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣および汚染物質の少なくとも一部を洗浄するのに十分な時間、前記マイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄組成物と接触させる工程を含み、前記洗浄組成物が、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の腐食防止剤、および少なくとも1種のアミンを含み、前記腐食防止剤が、シアヌル酸、バルビツル酸およびその誘導体、グルクロン酸、スクアリン酸、アルファ−ケト酸、アデノシンおよびその誘導体、プリン化合物およびその誘導体、ホスホン酸誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、グリシン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノールおよびその誘導体、アントシアニンおよびその誘導体、フラボノール/アントシアニン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、方法。
【請求項17】
前記腐食防止剤が、アデニン、プリン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、スクアリン酸、アデノシンおよびその誘導体、フェナントロリン/アスコルビン酸、ニコチンアミドおよびその誘導体、フラボノイド、アントシアニン、フラボノール/アントシアニン、クエルシチンおよびその誘導体、グルクロン酸、クエルシチン/アントシアニン、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化学種を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記残渣が、CMP後残渣、エッチング後残渣、アッシング後残渣、またはこれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記CMP後残渣が、CMP研磨スラリーに由来する粒子、CMP研磨スラリー中に存在する化学物質、CMP研磨スラリーの反応副生成物、カーボンリッチな粒子、研磨パッドの粒子、ブラシから脱離した粒子、設備建設用資材の粒子、銅、酸化銅、およびこれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触が、約15秒間〜約5分間の時間、約20℃〜約50℃の範囲の温度、およびこれらの組合せからなる群から選択される条件を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、およびマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)からなる群から選択される物品を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記洗浄組成物を、使用時またはその前に溶媒で希釈する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒が、水を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、銅を含有する材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記洗浄組成物と接触させた後の前記マイクロエレクトロニクスデバイスを、脱イオン水でリンスする工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の分散剤、少なくとも1種のスルホン酸含有炭化水素、および少なくとも1種の腐食防止剤を含む洗浄組成物であって、前記腐食防止剤が、シアヌル酸;バルビツル酸およびその誘導体;グルクロン酸;スクアリン酸;アルファ−ケト酸;アデノシンおよびその誘導体;プリン化合物およびその誘導体;ホスホン酸誘導体;フェナントロリン/アスコルビン酸;グリシン/アスコルビン酸;ニコチンアミドおよびその誘導体;フラボノールおよびその誘導体;アントシアニンおよびその誘導体;フラボノール/アントシアニン;ならびにこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含み、前記洗浄組成物が、残渣をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残渣を除去するのに有効である、洗浄組成物。

【公表番号】特表2010−527405(P2010−527405A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508606(P2010−508606)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063885
【国際公開番号】WO2008/144501
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】